平成二十六年東京都議会会議録第一号

平成二十六年二月二十六日(水曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番かんの弘一君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番松田やすまさ君
八番大津ひろ子君
九番石川 良一君
十番みやせ英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番まつば多美子君
十九番伊藤こういち君
二十番河野ゆうき君
二十一番柴崎 幹男君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番清水 孝治君
二十五番島崎 義司君
二十六番神野 次郎君
二十七番やながせ裕文君
二十八番田中 朝子君
二十九番塩村あやか君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番遠藤  守君
三十九番中山 信行君
四十番木村 基成君
四十一番北久保眞道君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番小宮あんり君
四十七番三宅 正彦君
四十八番吉住 健一君
四十九番桜井 浩之君
五十番野上ゆきえ君
五十一番上田 令子君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山崎 一輝君
六十五番崎山 知尚君
六十六番川松真一朗君
六十七番近藤  充君
六十八番堀  宏道君
六十九番鈴木 錦治君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番両角みのる君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高木 けい君
八十八番村上 英子君
八十九番高橋 信博君
九十番鈴木 章浩君
九十一番秋田 一郎君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番相川  博君
九十六番山田 忠昭君
九十七番林田  武君
九十八番服部ゆくお君
九十九番こいそ 明君
百番中村ひろし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番田島 和明君
百十一番中屋 文孝君
百十二番宇田川聡史君
百十三番吉原  修君
百十四番高島なおき君
百十五番古賀 俊昭君
百十六番立石 晴康君
百十七番野島 善司君
百十八番三宅 茂樹君
百十九番川井しげお君
百二十番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十一番  野村 有信君

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長比留間英人君
東京都技監都市整備局長兼務藤井 寛行君
知事本局長中村  靖君
総務局長中西  充君
財務局長中井 敬三君
主税局長影山 竹夫君
警視総監高綱 直良君
生活文化局長小林  清君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長長谷川 明君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長塚田 祐次君
建設局長横溝 良一君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松浦 將行君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長森 祐二郎君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長目黒 克昭君
包括外部監査人松本正一郎君

二月二十六日議事日程第一号
第一 第一号議案
平成二十六年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十六年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十六年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十六年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十六年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十六年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十六年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十六年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十六年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十六年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十六年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十六年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十六年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十六年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十六年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十六年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十六年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十六年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十六年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十六年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十六年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十六年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十六年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
東京都青少年問題協議会条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都恩給条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
平成二十五年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都固定資産評価審議会条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
保険業法に基づく特定保険業の認可審査に係る手数料に関する条例を廃止する条例
第五十 第五十号議案
東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都生涯学習審議会条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都土地利用審査会条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都民生委員定数条例
第七十二 第七十二号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例
第七十三 第七十三号議案
介護保険法施行条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例を廃止する条例
第八十二 第八十二号議案
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都農業構造改革支援基金条例
第八十八 第八十八号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
東京都地球温暖化対策推進基金条例を廃止する条例
第百 第百号議案
東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都工業用水道条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
警視庁留置施設視察委員会の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
都営住宅二十五H─一〇六東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
第百十七 第百十七号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)新築給水衛生設備工事(その二)請負契約
第百十八 第百十八号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)新築空調設備工事(その二)請負契約
第百十九 第百十九号議案
環二勝どき高架橋(仮称)上部仕上げ工事(二十五 一─環二築地)請負契約
第百二十 第百二十号議案
包括外部監査契約の締結について
第百二十一 第百二十一号議案
平成二十六年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十二 第百二十二号議案
平成二十五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十三 第百二十三号議案
平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百二十四 第百二十四号議案
平成二十五年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百二十五 第百二十五号議案
平成二十五年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百二十六 第百二十六号議案
平成二十五年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第一号)
第百二十七 第百二十七号議案
平成二十五年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)
第百二十八 第百二十八号議案
東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百二十九 諮問第一号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第百三十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)の報告及び承認について
第百三十一 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について

   午後一時開会・開議

〇議長(吉野利明君) ただいまから平成二十六年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

〇議長(吉野利明君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   五番   栗山よしじ君 及び
   六十八番 堀  宏道君
を指名いたします。

〇議長(吉野利明君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 平成二十六年二月十九日付東京都告示第百三十四号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成二十六年二月二十五日付で、本定例会に提出するため、議案百二十九件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した、平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)外一件の報告及び承認について依頼がありました。
 次に、知事代理副知事より、知事の職務代理について、平成二十五年十二月二十五日以後、知事の職務は副知事安藤立美がこれを代理する旨の通知がありました。
 次に、知事代理副知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十六年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、公安委員会委員長より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の委任変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十六年二月十九日付で、平成二十五年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十五年工事監査、平成二十五年財政援助団体等監査及び平成二十五年行政監査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)

〇議長(吉野利明君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成二十五年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一四ページ)に掲載〕

〇議長(吉野利明君) 次に、警視総監西村泰彦君の退任に伴い、新たに高綱直良君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監高綱直良君。
   〔警視総監高綱直良君登壇〕

〇警視総監(高綱直良君) 去る一月二十二日付で警視総監を命ぜられました高綱でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。
 現下の情勢は、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺への対策や、ストーカー、DV事案に対する迅速的確な対処、さらには、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた諸対策など、取り組むべき重要課題が山積いたしております。
 警視庁といたしましては、こうしたさまざまな治安課題に的確に対応し、都民の皆様の安全・安心を守るため、東京都を初め関係機関の方々と連携を図りながら、組織力を最大限に発揮した各種対策を強力に推進してまいります。
 都議会の皆様方には、今後とも、一層のご指導、ご支援を賜りますようお願いを申し上げまして、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって紹介は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、先般の組織改正に伴い、異動のありました説明員をご紹介いたします。
 オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君。
   〔理事者挨拶〕

〇議長(吉野利明君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員より、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
〔常任委員所属変更名簿は本号末尾(六六ページ)に掲載〕

〇議長(吉野利明君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る二月十八日付をもって、西崎光子さんより辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって、これを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、やながせ裕文君を指名いたしました。

〇議長(吉野利明君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十八日までの三十一日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十一日間と決定いたしました。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成二十五年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、平成二十五年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、松本正一郎包括外部監査人の出席を求めます。
〔包括外部監査人松本正一郎君入場、着席〕

〇議長(吉野利明君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 松本正一郎さんでございます。
   〔包括外部監査人挨拶〕

〇議長(吉野利明君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席いただき、まことにありがとうございます。

〇議長(吉野利明君) この際、知事より、平成二十六年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事舛添要一君。
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 平成二十六年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 天皇皇后両陛下におかれましては、昨年十月の台風第二十六号の被害に対し、十二月十九日、お見舞金を賜りました。また、全島を挙げて復興に取り組んでいる大島町へ、明後日、行幸啓されます。都民を代表して、両陛下に心からの感謝を申し上げます。
 このたび、都民の皆様のご支持をいただき、東京都知事の重責を担うことになりました。改めて身が引き締まる思いであります。本日、ここに一千三百万都民を代表される都議会の皆様にご挨拶できますことを大変光栄に存じます。
 選挙を通じて、福祉、医療の充実や防災力の強化、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの成功などを都民の皆様に訴えてまいりました。都内をくまなく回り、さまざまなお話を伺う、大変貴重な機会を得ることができました。これからも現場を重視して、こうした地域の声を都政に反映させてまいりたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 街頭演説の最中に、年配の女性が私のところに近づいて、こう話しかけてくださいました。ありがとう、あなたがねんきん特別便を送ってくれたおかげで年金を取り戻すことができましたという感謝の言葉でありました。そのとき、私は政治の道を志して本当によかったと心底思いました。寒い中、わざわざ足を運んで声をかけてくださったのであります。
 一生懸命働いて、年金の掛金を支払ってきた。そして、やっと年金を受け取る年齢になって、掛金を払った記録が消えていたのです。単に年金を受け取れなかったということだけに国民の皆さんは怒ったのでしょうか。それだけではないと思います。自分の歩んできた人生を、これまでの努力と汗を否定された、裏切られた気持ちになったのだと思います。
 額に汗して積み重ねた努力が正当に報われる、そう信じることができる社会であるからこそ、人は将来に夢と希望を持つことができます。その信頼を担保し、人々に明るいビジョンを提示するのが政治の役割であります。知事として、改めてこれを肝に銘じ、全力でその重責を全うしてまいります。
 ここ東京は、日本の首都であります。日本の中心を守り、守り立てていくため、政府と力を合わせていきます。国政で培ってきた経験や人脈もフルに生かしてまいります。
 私は、国をただ、あしざまに批判するような姿勢はとりません。一見、勇ましい批判が時に喝采を浴びたとしても、それが都民生活の向上につながらなければ、全く意味がありません。政治は決して個人の趣味で行うものではありません。必要なものは、リアリズムと実行力であります。そして、その結果の責任をとる。これが政治の基本であり、地方分権の前提でもあると考えております。
 国家的大事業であるオリンピック・パラリンピックの開催準備はもとより、都民、国民のため、政府と一緒になって知恵を絞り、しっかりと力を合わせる。もし政府が動かなければ、東京が先陣を切って遠慮なく改革を進め、国を突き動かし、日本全体に改革を波及させていきます。
 東京都は、これまで以上に地方自治体のリーダーとしての自覚、同時に地方の一員であるという意識を持つことが必要であります。高度に発達した現代の社会において、それぞれの都道府県という殻の中に閉じこもったままでは、解決できる問題も限られてきます。防災の問題しかり、環境の問題しかり、エネルギーの問題もまたしかりであります。
 そのため、首都圏の九都県市を初めとする大都市や他の道府県との連携を重視してまいります。東京が持つ政策のノウハウは進んで提供し、みずからも汗をかくことで、共通する問題の解決に貢献していきます。逆に、相手側のよい取り組みは積極的に取り入れて、互いに切磋琢磨していく関係を築いていきたいと思います。
 東京がお世話になってきました福島県や新潟県など電源立地県への感謝の気持ちも忘れず、東北の被災地の復興も強力に後押ししてまいります。
 今回の議会は、知事に就任して初めての都議会であります。まずは、私が目指す東京の姿を中心に申し述べさせていただきます。
 首都東京は、日本の成長と発展の起点たるべき存在であり、日本のみならず、世界の大都市のモデルになると確信しております。しかし、民間の研究機関が発表している世界の都市ランキングによりますと、東京は、一位のロンドン、二位のニューヨーク、三位のパリに次ぐ、世界第四位の都市という地位に甘んじております。
 六年後のオリンピック・パラリンピックという目標を掲げ、東京を世界一の都市に引き上げたい。そのために、この任期中、まずは三つの世界一に向けて重点的に取り組んでまいります。
 第一に、東京を世界一安全・安心な都市にするために取り組みます。
 知事の最大の使命は、都民の生命と財産を守ることであります。首都直下地震など、震災への備えを万全にしていかなければなりません。
 都内の主要道路は、災害時の救援活動や、その後の復旧、復興に欠かせない大動脈となります。これを塞がないよう、その沿道にある建物の耐震化や無電柱化を推進します。火災による被害を少なくするためにも、地元区とともに木造住宅密集地域の改善を強力に進め、延焼を食いとめる道路も整備していきます。
 また、消防力の強化に加え、町会、自治会など地域の防災力を高めてまいります。さらに、食料や飲料水の家庭での備蓄を促すなど、自助、共助の力も最大限引き出してまいります。
 厚生労働大臣のときに、新型インフルエンザという未知の脅威と対峙しました。そのときの経験からしても、正確な情報の提供こそが危機管理の要諦であります。自分の置かれた状況が把握できないことほど、人を恐怖に陥れるものはありません。一方、状況が理解できれば、日本人は驚くほど我慢強く、手に手をとって行動を始めます。
 東日本大震災でも、人々は皆で力を合わせ整然と行動しました。新型インフルエンザのときも、みんなが手洗い、うがいを徹底し、さらに、迅速かつ的確な学級閉鎖を行い、児童生徒間の濃厚接触を避けたことにより、感染の拡大を防ぐことができました。日本人は、本当にすばらしいと思います。
 情報は、組織の上位のリーダーから伝えられるほど信頼性が高くなります。いざ災害のときには、私自身が陣頭指揮をとって迅速に対応することを約束いたします。
 さらに、日本の首都東京には、あらゆる危機が潜んでいるといっても過言ではありません。危機が現実になったときの被害も甚大であります。警視庁、東京消防庁、政府、区市町村、民間などがスクラムを組んで、テロ対策の体制整備を進めるなど、首都の危機管理を世界最高水準に引き上げてまいります。
 第二に、東京を世界一の福祉先進都市にいたします。
 私は、認知症を患った母親の介護を経験して、この苦労、家族ですらばらばらにしかねない苦しみを、もはや何人にも味わわせてはならない、その強い思いが政治の道を歩む原点でありました。政治は強い者のためでなく弱い者のためにある、これが私の政治哲学であります。
 オリンピック・パラリンピックが開かれる二〇二〇年をピークに、東京の人口は減少に転じます。その先にある二〇二五年には、都民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者になります。そして、私のような戦後生まれの団塊世代は七十五歳以上の高齢者になるのであります。この現実を前に、ともすれば高齢社会は負担がのしかかる暗い社会と考えがちです。だからこそ、政治は現実を見据えて準備し、自助、共助、公助、この三つの力を組み合わせて、そこに夢と希望を吹き込まなければなりません。
 東京に生まれて本当によかった、東京で生活し、子供を育て、仕事を続けられて本当によかった、そして、最期に自分の人生を振り返ったときに、本当に充実した幸せな人生だったと誰もが心から感じていただけるような東京をつくっていきたいと思います。
 健康長寿が人類普遍の願いであるならば、私たち日本人はそれに最も近いところにあります。誰もが生き生きと働き活躍できる場を広げ、オリンピック・パラリンピック開催を契機として、スポーツを都民に一層身近なものにしていくことで、生涯健康社会を目指してまいります。
 社会の活力を高めるためには、女性の活躍は不可欠であります。これまで、ややもすると、女性は子育てや介護に忙殺され、せっかくの能力を思う存分発揮することができませんでした。本来、男性も積極的にかかわっていかなければならない問題であります。ワークライフバランスを推進し、男性も女性も働きながら育児や介護のできる環境づくりを進めます。
 さらに、この四年間の任期中に保育サービスをふやして、現在八千人いる都内の待機児童をゼロにいたします。
 介護につきましても、地域包括ケアの考え方に基づいて、在宅での医療や介護の体制、地域での見守りなどを充実させて、あたかも地域全体が介護施設であるかのようにサービスを行き渡らせます。同時に、都有地の活用などいろいろな知恵を出し、特別養護老人ホームの定員も大幅にふやします。
 介護を受ける方々にとっても、その家族にとっても、さまざまなメニュー、選択肢があった方がよいと思います。介護は、家族で抱え込むのではなく、介護のプロや地域の力など周囲の助けをかりる。そこから、家族に精神的、身体的な余裕が生まれて、より一層の愛情を注ぐことができる。そういう環境をつくっていきたいと思っております。
 第三に、史上最高、世界一のオリンピック・パラリンピックの実現に向けて取り組みます。
 日本の近現代史を振り返れば、我が国は二度、外圧によって大きな変革を迫られました。まず一度目は十九世紀のペリー提督の黒船来航、二度目は一九四五年の太平洋戦争の敗戦です。しかし、二十一世紀は、外からではなく、日本の中心、首都東京から変革のうねりを巻き起こしていきたいと思います。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、そのための絶好の機会であります。
 先ほど申し上げた都市のランキングでも、一位はニューヨークではなくロンドンであります。ロンドンは、まさにオリンピック・パラリンピック開催を起爆剤として、世界一の都市に上り詰めたのであります。そして、今度は東京の番です。
 ソチ・オリンピックの閉会式にも出席して、昨日帰ってまいりました。吉野利明議長と私は、トーマス・バッハ会長、ジョン・コーツ副会長を初め、IOC幹部の方々と会談し、今後の協力をお願いするとともに、東京が確実に安全な大会を開催することを約束いたしました。また、多くのIOC委員の方々と直接お話しする機会も得て、基本的な信頼関係を築くことができたと思っております。
 現地では、選手や観客に対するおもてなしと厳しいセキュリティーチェックを初めとした完璧な大会警備とをどう両立しているのか、さらに、ロシア語以外の言語では意思疎通ができないという問題も肌で感じてまいりました。東京大会を成功に導くため、今回の経験をぜひ役立てていきたいと思います。
 大会開催までのあと六年半、組織委員会、JOCなどのスポーツ界、政府、経済界など、オールジャパンの体制で取り組んでまいります。
 東京都は、開催都市としての責務を果たすべく、競技会場や道路インフラの整備、安全な大会運営の確保など着実に準備を進めていきます。高齢者や障害者を初め、誰もが安心して町に出かけられるよう、バリアフリーのまちづくりを進め、鉄道駅のホームドアも整備していきます。さらに、外国人にとっての言葉のバリアも取り除くなど、ハード、ソフト両面から、東京の町のバリアフリー化を徹底します。再生可能エネルギーの導入も推進し、環境技術を初め、日本が持つ最高の技術力や、すばらしいおもてなし、四季折々の自然が育んだ日本文化を世界に発信してまいります。
 二〇二〇年大会を史上最高のものとするため、都民、国民の力を一つに結集したいと思います。都議会の皆様方のお力添えをよろしくお願い申し上げます。
 そして、東京オリンピック・パラリンピックの開催準備を起爆剤にして経済に力を与え、富を新しくつくり出して、福祉、医療や防災、治安対策の財源にしていく。さらには、その果実が全国に、東北の被災地に行き渡って日本全体を元気にする。日本経済を再び成長の軌道に乗せる。それこそが首都東京の使命であります。
 東京には、すばらしい技術を持った企業やすぐれた人材が集積しています。こうした潜在力を最大限引き出さなければなりません。環状道路や多摩地域の南北を結ぶ道路など、必要なインフラを整備しながら、高度経済成長期に整備された首都高速など、老朽化したものについては適切な措置をとっていく必要があります。世界との玄関口である羽田空港の機能も強化していかなければなりません。
 東京の中小企業を応援する産業政策を積極的に展開し、さらに国家戦略特区によって、東京を世界で一番ビジネスのしやすい都市にしていきます。そして、東京が機関車として日本経済を力強く牽引していくのであります。
 先般、理化学研究所の小保方晴子さんを中心とするチームが、より簡便な方法で万能細胞を作製することに成功しました。STAP細胞という画期的な研究成果であります。こうした若いすばらしい才能を伸ばしていかなければなりません。教育の改革を進めることで、世界をリードするグローバル人材を東京から育ててまいります。
 さらに、私が都民の皆様に特に強く訴えてきた少子高齢化対策、総合的な交通政策、再生可能エネルギーの拡大を含めた環境政策、芸術文化の振興、多摩・島しょ地域の振興、まずはこの五つの課題について、政策の具体化に向けた検討を始めるように指示いたしました。そして、都議会の皆様とも議論を重ね、年内に新しいビジョンを策定いたします。目指すべき東京の将来像を明らかにし、達成すべき政策目標と、そこに至る具体的な工程表を示してまいります。
 続いて、多摩・島しょ地域の振興について申し上げます。
 今回の選挙で、いかに東京が広いかを改めて実感いたしました。二十三区より広く、豊かな自然に恵まれた多摩の発展は、東京を世界一の都市へと押し上げるために必要不可欠であります。
 そのために、就任後、直ちに秋山副知事を多摩・島しょ地域の担当に任命いたしました。早速、今回の大雪で孤立した集落について、副知事に対応を指示いたしました。
 今後、副知事とともに、みずからも多摩地域を回りたいと思います。医療や介護、子育ての現場、中小企業、都市農業、多摩には多くの大学もあります。ニュータウンの再生や交通体系をどうしていくかという大事な問題もあります。
 地をはうアリの目をもって、つぶさに現場を見詰め、そこに暮らす都民の皆様方の声を直接受けとめて、地域が抱える問題にきめ細やかに対応してまいります。同時に、空を飛ぶ鳥の目で、東京全体を、さらには日本全体を俯瞰する視点を持ちながら、多摩の発展に力を尽くしてまいります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを、世界の人々が多摩地域を訪れる機会ともしてまいりたいと考えております。人々を緑あふれる環境と最高のおもてなしでお迎えする。例えば、各国選手団の事前キャンプを誘致し、その国と多摩の人々との新しい交流が生まれれば、大変すばらしいと思います。都として市町村の取り組みを力強く支援し、多摩の魅力を世界にアピールしてまいります。
 次に、昨年十月の台風二十六号により、甚大な被害をこうむった大島の復旧、復興に向けた取り組みについて申し上げます。
 先月、大島の被災現場を自分の目と足で確認いたしました。被災された方々に心からのお見舞いを申し上げ、いまだ災害の傷跡が生々しい大島の姿に、迅速な復興への決意を強くいたしました。
 本定例会に提案しております平成二十五年度補正予算案と平成二十六年度予算案には、インフラの復旧や産業の活性化など、大島の復興を全面的に支援するための予算、合わせて百四十九億円を計上いたしました。特に島の観光を支援するため、椿まつりのこの時期、観光キャンペーンの展開や旅行者の運賃割引に切れ目なく取り組んでまいります。
 大島に限らず、太平洋の火山帯に位置する東京の島しょ地域は、時に厳しい自然と直接向き合う事態が起こります。かつては大噴火により約半世紀にわたって島を離れながら、帰還を果たした青ヶ島のような例もあります。島に住む方々は、そうした自然の厳しさに直面しながら、独特の文化を育んできたのであります。自然と一体となった島しょ地域を守るため、全力を挙げて防災対策に取り組んでまいります。東京の島の、時には厳しく、しかし美しい自然を自身の目で確かめながら、振興策を練り上げていきたいと思います。
 多摩・島しょが元気にならなければ東京の発展はない。この決意で、市町村とも力を合わせて取り組んでまいります。
 次に、平成二十六年度予算案について申し上げます。
 この予算案は、約五十日間にわたって知事が不在という状況の中で、職務代理者が都議会のご意見も伺った上で整理した暫定案を基調に編成いたしました。都政停滞の影響は、現代社会の複雑に絡み合ったメカニズムの中で、瞬く間に各所に波及し、都民生活に重大なしわ寄せを与えます。都政を預かる者として、そのような無責任なことはできません。
 もとより限られた時間の中でありましたが、職員と忌憚のない議論を交わし、保育所の整備費補助の拡充、救急医療の充実強化、新たな家庭用防災マニュアルの作成、二〇二〇年に向けて自転車レーンの整備を加速させることや、再生可能エネルギーをさらに普及させるための新しいファンドの創設など、都民の皆様にお約束した事柄で、すぐに始められるもの、その端緒を開くことができるものについては予算案に盛り込みました。今回、新たにまいた種を、これから大きく育て上げたいと思っております。
 予算規模は十三兆三千億円。東京都が持つ力の大きさ、同時に責任の重大さを改めて実感いたしました。起債依存度の低さ、基金の残高など、国と比べても、東京都財政は健全性を維持しております。しかし、法人関係の税収に多くを頼る財政構造であり、不況時には税収の減少が財政を直撃し、過去に幾多の危機に陥りました。都財政の健全性を維持することが都民福祉を向上させるための大前提である、これを肝に銘じてまいりたいと思います。
 なお、本定例会には、四月からの消費税率の引き上げに伴い、水道料金、下水道料金、卸売市場の使用料などを改定する条例案を提案しております。効率的な経営と都民サービスの向上に一層努めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 これまで、政策を中心に、私が目指します東京の姿について申し上げてまいりました。しかし、いうまでもなく政治は結果責任であります。いかにすばらしい理想や言葉を並べても、実現できなければ何の意味もありません。
 都政を前に進め、都民生活の向上につながる政策を実現し、東京を世界一にしていくためには、ともに都民の代表である知事と議会が、緊密に意思の疎通を図ることが絶対に欠かせません。このことを骨身に刻んで、皆様と真摯で建設的な議論を積み重ねながら、都政のかじ取りを行っていきたいと思います。都議会の皆様のご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ソチで開かれた二〇一四年冬季オリンピック大会では、フィギュアスケートの羽生結弦選手の金メダル獲得を初め、銀メダル四個、銅メダル三個、合計八個のメダルというすばらしい活躍を見せてくれました。これは海外で行われた冬季オリンピックでは最高の成績でした。もうすぐ開かれるパラリンピックでも、日本の選手が大活躍することを期待しております。国際大会で日本人が頑張る姿を見ると、私たちは感動し勇気づけられる。見ている我々も元気になります。
 政治も同じです。よい政策を展開することで人々は元気になり、働く意欲も湧いて、成果が出てもっと頑張る。それが国全体の活力につながるのであります。希望のないところに未来はありません。だからこそ、世界一の都市東京を目指すのであります。
 今回の選挙では、行政をつかさどる者に求められるものは何かということが大きく問われました。マックス・ウェーバーは、政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、かたい板に力を込めてじわじわと穴をくり抜いていく粘り強い作業であるといいましたが、まさに至言だと思います。厚生労働大臣として、年金記録問題、薬害C型肝炎など困難な問題にも取り組んでまいりました。その経験から申し上げても、政治や行政の現場は、派手なパフォーマンスや劇場型の政治手法で動くものではありません。
 私は、都民の大きな負託に応えるため、さまざまな意見に耳を傾け、声なき声にもしっかりと耳を澄ましてまいります。東京都職員十六万五千人の力を引き出し束ね、たとえ困難な道であっても、地に足をつけて前へと歩みます。そして、その評価は歴史の審判に委ねる覚悟であります。その覚悟と勇気を持つ者だけが、都民、国民に明るい未来と本当の幸せをもたらすことができると確信しております。
 東京が変われば、日本は必ず変わることができます。その志を持って、全身全霊、力を尽くしてまいります。皆様のご協力を重ねてお願いするものであります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十二件、条例案八十九件など、合わせて百三十一件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどをお願いいたします。
 以上をもちまして私の施政方針表明を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
   〔警視総監高綱直良君登壇〕

〇警視総監(高綱直良君) 都内の治安状況についてご報告申し上げます。
 警視庁では昨年、犯罪抑止総合対策を初め、サイバー犯罪・サイバー攻撃対策、ストーカー・DV総合対策、重大交通事故防止対策、さらには、伊豆大島風水害に伴う災害警備など、さまざまな重要課題に取り組んでまいりました。
 この間、東京都を初め、東京都議会、都民の皆様方のご協力をいただきながら、おおむね首都東京の安全・安心を守ることができたものと考えております。
 以下、その状況についてご報告いたします。
 第一は、犯罪抑止総合対策の推進状況についてであります。
 昨年の刑法犯認知件数は十六万二千五百五十七件で、本対策を開始した平成十五年から十一年連続で減少し、戦後最悪を記録した平成十四年に比べますと、四六・二%減少いたしました。
 以下、主な対策の推進状況等について、五点申し上げます。
 その一は、重要特異事件の検挙状況についてであります。
 昨年は、特別捜査本部を設置した重要特異事件を五事件解決するとともに、いわゆるコールドケースにつきましても、四事件解決したところであります。
 しかしながら、大和田町スーパー事務所内拳銃使用強盗殺人事件や上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件などは、いまだ解決に至っていないことから、今後とも、犯罪を闇に葬らず、悪事は必ず露見するという強い信念のもと、科学捜査を強力に推進するなど、事件解決に向け、懸命な捜査を展開してまいります。
 その二は、特殊詐欺対策の推進状況についてであります。
 昨年の特殊詐欺の認知件数は二千六百十六件で、一昨年に比べ一五・〇%増加し、被害総額は約六億五千万円増加の約八十七億六千九百万円に上るなど、被害の拡大に歯どめがかからない状況が続いております。
 当庁では、これまでの各種対策に加え、本年からは、高齢者の特殊詐欺に対する抵抗力の強化を目的とした、特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京の取り組みを開始したところであります。
 今後も、東京都を初め、関係機関と連携し、高齢者等への注意喚起を図るとともに、犯行グループの壊滅に向けた突き上げ捜査やアジトの発見及び摘発を徹底するなど、特殊詐欺の撲滅に向けた対策を強力に推進してまいります。
 その三は、ひったくり対策の推進状況についてであります。
 昨年のひったくりの認知件数は、平成元年以降最少を記録した一昨年をさらに下回る八百二十六件で、検挙件数は一昨年に比べ七三・四%増加の八百九十五件と、大きな成果をおさめたところであります。
 今後も、被害実態に即した検挙対策や、ひったくり防止カバーの普及促進など、ひったくりの撲滅に向け、各種対策を継続的に推進してまいります。
 その四は、少年非行総合対策の推進状況についてであります。
 昨年の非行少年の検挙、補導人員は七千六百六十五人で、一昨年に比べ一五・〇%減少いたしておりますが、当庁では引き続き、少年警察ボランティアや関係機関と連携して、非行少年を生まない社会づくりを推進してまいります。
 また、近年の少年を取り巻く社会環境は、スマートフォンの急速な普及により、コミュニティサイト等の利用に起因する被害が増加するなど、憂慮すべき状況にあります。
 当庁では、携帯電話事業者に対するフィルタリング機能の導入促進の働きかけを初め、少年に対する非行・被害防止教室の開催や、サイバー補導の実施など、インターネット利用に起因する少年の非行防止等に向けた取り組みを、より一層推進してまいります。
 その五は、犯罪の起きにくい社会づくりの推進についてであります。
 当庁では、自治体との協働による安全・安心まちづくりを推進しており、昨年末現在、四十五の自治体と覚書等を締結するに至っております。
 今後も、犯罪の起きにくい社会づくりを定着化させるため、官民一体となって、規範意識の向上と地域社会のきずなの再生に向け、環境美化活動やマナー違反者への声かけ活動などの取り組みを推進してまいります。
 第二は、サイバー犯罪・サイバー攻撃対策の推進状況についてであります。
 インターネットが国民生活や経済活動に不可欠なものとして定着する中で、サイバー空間の匿名性、広域性を利用したさまざまな犯罪が敢行されるなど、その脅威はますます増大をしております。
 こうした情勢の中、昨年はいわゆるパソコン遠隔操作事件やインターネットバンキングに対する不正アクセス事件など、八百八十八件のサイバー犯罪を検挙いたしました。当庁では、関係機関との連携を図りながら、対処能力のさらなる向上を図り、サイバー犯罪対策に係る被害の未然防止と的確な検挙に努めてまいります。
 また、サイバー攻撃については、政府機関や重要インフラ事業者などを標的とした攻撃が相次いで発生しております。
 当庁においては、昨年四月、サイバー攻撃特別捜査隊を発足させ、実態解明等を推進してきたところでありますが、今後も、サイバーテロ対策協議会等を通じた官民の連携を一層強化するなど、サイバー攻撃に係る被害の未然防止に努めてまいります。
 第三は、ストーカー・DV総合対策の推進についてであります。
 昨年のストーカー事案に係る相談受理件数は一千四百六十六件、DV事案に係る相談受理件数は二千八百二十一件で、いずれも増加傾向にある中、当庁ではストーカー規制法、配偶者暴力防止法等を適用した加害者の検挙のほか、被害者やその親族の保護措置など、事案の内容に応じた対応を推進してまいりました。
 しかしながら、昨年十月に三鷹市内でストーカーの相談に訪れていた被害者が殺害されるという事件が発生をいたしました。
 当庁では、本事件を重く受けとめ、副総監を長とするストーカー・DV総合対策本部を新たに設置し、警察署の相談受理への支援体制と組織的対応の強化を図ったところであります。
 今後も、相談者等の安全確保を最優先とした保護対策を実施するとともに、検挙等により加害行為の防止を図るなど、相談者の視点に立った的確な事態対処に全庁一丸となって取り組んでまいります。
 第四は、重大交通事故防止対策の推進状況についてであります。
 当庁では、見せる交通街頭活動を初め、重大事故に直結する飲酒運転、速度超過等の悪質、危険な交通違反の取り締まりを徹底するなど、重大交通事故防止対策を推進してまいりました。その結果、交通事故の発生件数及び負傷者数は十三年連続で減少するとともに、死者数については百六十八人と戦後最少を記録したところであります。
 また、自転車利用者に対しては、交通ルール及びマナーの浸透を図るための各種対策を推進した結果、昨年の自転車関与事故は一万四千五百八十四件で、一昨年に比べ一四・六%減少をいたしました。
 今後も、悲惨な交通事故を一件でも多く減らすため、効果的な対策を推進し、重大交通事故防止に取り組んでまいります。
 第五は、震災警備を初めとする各種災害警備対策の推進状況についてであります。
 昨年は全国各地で大雨、突風等による被害が多数発生をし、都内におきましても台風による甚大な被害が発生したことに鑑みますと、震災を初めとする各種災害への備えをさらに強化する必要があります。
 当庁では、職員の災害対処能力向上を図りますとともに、地域版パートナーシップを活用した訓練等の推進により、地域防災力の向上に努めるなど、発生が懸念されている首都直下地震を初めとする各種災害の備えに万全を期してまいります。
 第六は、テロ等不法事案の防圧検挙状況についてであります。
 昨年開催されましたスポーツ祭東京二〇一三に伴う警備は、都民の方々のご理解とご協力をいただき、所期の目的を達成することができました。
 しかしながら、世界各地ではイスラム過激派によるものと見られるテロが頻発するなど、国際テロの脅威は依然として高いほか、極左暴力集団にありましては、昨年、都内において在日米軍基地に向けた飛翔弾発射事件を引き起こし、また、右翼については、政府の政策や領土問題などを捉えた抗議行動の過程において、今後の情勢次第ではテロ等不法事案の発生も懸念されます。
 こうした中、昨年、当庁では革マル派の非公然アジトを摘発したほか、極左暴力集団の活動家十七人、右翼団体構成員等九十五人を検挙いたしました。
 今後は、六年後に控えたオリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、国内外の幅広い情報の収集と分析を強化するとともに、官民一体となってテロを許さないまちづくりを推進し、テロ等不法事犯の防止に万全を期してまいります。
 第七は、総合的な組織犯罪対策の推進状況についてであります。
 都内の暴力団情勢については、東京都暴力団排除条例の施行や社会における暴力団排除機運の高まりを受け、勢力は減少傾向が続く一方で、いわゆる共生者等を利用して商取引に介入するなど、資金獲得活動を活発化させております。
 こうした中、昨年、当庁では暴力団構成員のみならず、共生者等の取り締まりを徹底し、暴力団員等四千七百十一人を検挙いたしました。
 次に、国際組織犯罪情勢につきましては、依然としてカード犯罪やマネーロンダリング事犯が発生しているほか、繁華街での昏睡強盗事件が多発するなど、外国人犯罪グループは活発に活動しております。また、偽装結婚等により在留資格を不正に取得している外国人の増加も懸念されるところであります。
 これらの情勢を踏まえ、昨年は、東京入国管理局との合同摘発や犯罪インフラ事犯などの取り締まりを推進し、外国人犯罪者四千九百八人を検挙いたしました。
 また、これら犯罪組織の主要な資金源である違法薬物事犯の取り締まりを推進し、昨年は薬物事犯被疑者一千八百十三人を検挙するとともに、覚醒剤など合計約三百六十六キログラムを押収いたしました。
 今後も、総合的な組織犯罪対策を強力に推進し、都民生活の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、当庁では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を見据え、先月二十四日、警視庁オリンピック・パラリンピック競技大会総合対策本部を新設したところであります。
 今後も、東京都や大会組織委員会などの関係機関と連携し、来日をされる諸外国の方々はもとより、東京を訪れる全ての方々に治安のよさを肌で感じ、そして安心していただけるよう、世界一安全な都市東京の実現を目指し、総力を挙げて取り組んでまいります。
 また、当庁では、女性の視点を一層反映した警察運営を推進しております。具体的には、女性の採用拡大に向けた情報発信活動の強化、各警察署の女性捜査員等を対象とした、犯罪被害者支援女性警察官専科の新設などをいたしました。
 今後も、都民の皆様の要望に的確に対応するため、性別を問わない能力に応じた積極的な人材登用や被害者支援体制の充実などに努めるとともに、関連する施設整備を推進してまいります。
 結びに、警視庁といたしましては、首都東京の安全・安心を守っていくためには、警察活動を支えるさまざまな警察基盤の強化が必要であり、本定例会において、条例改正と所要の予算の確保をお願いしているところであります。東京都議会の皆様には、今後とも、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、治安状況報告を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますのでこれを許します。
 監査委員高橋かずみ君。
   〔九十四番高橋かずみ君登壇〕

〇九十四番(高橋かずみ君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう、各局の事務事業が適正に実施されているか監査することで、都民の信頼を確保していくことであります。そのため、年間を通じて、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査、決算審査、住民監査請求に基づく監査など、多岐にわたる監査を実施しております。
 この一年間に合計五百九十四カ所で監査を実施し、問題点の指摘は二百十一件、指摘金額は約四億円でありました。
 初めに、定例監査について申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。本庁各部の全てと事業所の約四割、合計で四百四十七カ所を対象として監査を実施しました。
 その結果、医薬品の共同購入契約において、納品書の日付や検査日が記載されていないなど、多数の誤りが認められたことから、検収等の履行確認を適正に行うよう求めました。
 また、ろう学校に設置された緊急時等に点灯する始業灯が生徒の視野に入らない位置に設置されていたため、適切な場所に移設するよう求めました。指摘件数としては合計八十九件、金額にして約二億四千万円であります。
 平成二十五年は、水道局及び東京都住宅供給公社の発注工事に係る汚職事件や建設局での不適正処理の発生を踏まえ、工事を全局共通の重点監査事項として設定しました。その結果、工事を施工した後に事後処理で契約しているもの、工事変更に係る事務手続を行っていないものなど二十五件の指摘を行い、事件、事故の再発抑止の観点からも改善を求めました。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は百万円以上の工事を対象として、千六百五十件について監査を実施しました。
 その結果、高所作業時の転落防止や掘削面の崩落防止など、安全対策が講じられていないものについて指摘するなど、工事の安全面から適切な監督を行うよう求めました。
 また、単価設定や数量算出に関する積算誤りも認められたことから、積算を適正に行うよう求めるなど、合計二十五件の指摘を行いました。
 次に、財政援助団体等監査について申し上げます。
 まず、補助金交付団体への監査では、百三十五団体を対象に、補助等に係る事業が適切に行われているかなどについて検証いたしました。
 その結果、例えば、社会福祉法人において施設利用者数の算定誤りなどによる過大交付が認められたため、補助金の返還を求めました。
 また、出資団体への監査では、十二団体を対象に団体の事業が適切に行われているかなどについて検証いたしました。
 その結果、例えば、公園の遊具について点検で異常があると判明したにもかかわらず修繕等が行われていないものが認められたため、速やかに適切な対応を行い、遊具の安全を確保するよう求めました。
 次に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、特定の事務や事業を対象として行う監査であり、今回は、災害発生時に応急対策業務を実施する上で必要となる職員の参集や電力、燃料の確保、通信の確保など、発災直後における組織体制の機能維持について監査しました。
 その結果、職員の参集訓練を平成二十一年以降実施していないものや、現地対策本部となる庁舎の非常用発電機の燃料について、応急対策業務に必要な量が確保されていないものなど十五件の指摘を行い、改善を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成二十四年度の決算について、決算の数値が正しいか、予算の執行が適正で効率的に行われているかなどを審査しました。
 その結果、開示請求に係る手数料として受領した現金を収入手続を行わないまま年度末まで保管していたものや、財産に関する調書において建物が過大登載となっていたものなどについて指摘し、適正に事務を行うよう求めました。
 次に、監査結果に対する措置状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めてその目的を達成します。このため、年二回、各局から改善状況について報告を求め、その改善を促しています。過去三年間に行った指摘について見ると、各局が改善に努めた結果、これまでに約八六%が改善済みとなっています。
 具体的な改善事例としては、旅券申請窓口の待ち時間を改善したものや、公園における利用者満足度の調査方法を改善したものなどがありました。
 また、平成二十五年度予算編成から事業評価の取り組みとして、監査結果に基づく事業の見直し内容を評価し、迅速かつ的確に予算へ反映される仕組みが導入されました。
 監査事務局では、各局における事務の見直しに資するよう、指摘を類型化した事例集を新たに作成し、各局に周知を図りました。平成二十六年度予算編成における事業評価の取り組みに当たっては、この事例集が活用され、全庁横断的な検証が可能となる事例をより多く提示するなど、取り組みの充実強化が図られています。
 引き続き、精度の高い監査を実施するとともに、監査結果に対する改善の取り組みを促してまいります。
 これらの監査のほかに、住民監査請求が八件ありましたが、いずれも監査を実施するための要件を満たしていませんでした。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 我が国の経済は、個人消費や企業収益の改善の動きが見られ、また、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催決定を契機に、停滞から成長への転換の機運が高まっております。
 一方、都財政は、収入の大宗を占める都税収入は増収に転じたものの、景気変動に左右されやすい不安定な構造にあることから、その先行きは楽観視できません。
 このような状況下でも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催準備や、防災力の向上、急速な少子高齢化への対応などの都民の安全・安心を高める取り組みについても、着実に推進していかなければなりません。
 これらの施策を確実かつ継続的に実施していくためにも、これまで以上に創意工夫を凝らし、無駄を排除するなど、都政改革をたゆみなく進めていく必要があります。
 こうしたことから、監査委員としては、引き続き都の事務事業が効率的に行われているか、サービス向上が図られているかという観点で監査することに加え、都民の安全・安心という観点からも、重点的に監査をしていく必要があると認識しています。
 私ども五名の監査委員は、都政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査委員の使命を全力で果たし、都民の信頼と期待に応えていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、包括外部監査人より、平成二十五年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人松本正一郎さん。
   〔包括外部監査人松本正一郎君登壇〕

〇包括外部監査人(松本正一郎君) 平成二十五年度包括外部監査人の松本正一郎でございます。
 平成二十五年度の包括外部監査は、高速電車事業の経営管理について、東京交通サービス株式会社の経営管理について及び東京地下鉄株式会社の経営管理についてを監査のテーマとしました。補助者十八名とともに監査を行い、八件の指摘事項と六十八件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 本日は、その主な事項についてご説明申し上げます。
 初めに、高速電車事業の経営管理についてであります。
 都営地下鉄は、一日約二百三十万人の利用者があり、都民の生活に欠かせない公共交通機関として重要な役割を担っています。高度経済成長期につくられた多くの構造物の老朽化対策など、施設の安全性向上に万全を期すとともに、さらなる利便性の向上が求められています。
 まず、地下鉄構造物の維持管理についてです。
 現在の長寿命化工事は、暫定的な計画によって実施箇所が決定されていますが、予防保全型管理を図るため、駅間ごとの健全度について、路線全体に対して定量的に把握し、工事の優先順位を柔軟に見直すよう検討されたいとしました。
 また、塩害などの弱点とその対策に関する情報を予防保全型管理に反映させ、健全度の把握及び将来の維持管理費用の推計などに活用し、費用削減効果を定量的に把握することが望ましいとしました。
 さらに、地下鉄構造物の点検記録や補修記録などを一元的に整理することにより、維持管理に役立つ有益な情報として活用することが可能としました。
 次に、列車検査の周期についてです。
 列車検査の周期については、平成十九年度に六日以内から十日以内に基準を変更していますが、運用は変更されておりません。安全性と経済性のバランスも考慮して、列車検査の周期を見直されたいとしました。
 次に、地下鉄駅等施設の清掃業務委託の競争性の確保についてです。
 交通局は、駅などの清掃業務に関して一般財団法人東京都営交通協力会と特命随意契約を締結しています。重要機器などが存在する指令区などに関しては、セキュリティー確保の観点から協力会に特命する必要がありますが、駅の出入り口など協力会以外の清掃業者にも委託できるところは、競争入札の導入を検討すべきであるとしました。
 次に、東京交通サービス株式会社に委託する業務の見直しについてです。
 交通局は、経営の効率化に努めるため、東京交通サービスに交通局に準じた技術、ノウハウが必要な業務を委託するとしております。しかし、全般・重要部検査などの保守管理業務について東京交通サービスに委託している業務としていない業務があります。同種の業務については同様の業務分担が望ましいとしました。
 次に、交通局の高速電車事業と東京地下鉄株式会社に共通する事項についてです。
 地下鉄の路線図は、都営地下鉄と東京メトロとの共通の駅ナンバリング路線図のほか、それぞれが作成した路線図が使用されています。しかし、一般の利用者には共通の路線図の方がよりわかりやすいことから、用途を踏まえつつ、都営地下鉄と東京メトロとの共通の路線図を普及促進させていくことが望ましいとしました。
 同様に、都営地下鉄と東京メトロの各駅に自路線の運賃表と他路線の乗り継ぎ運賃表の二枚の運賃表が併存する状況は、利用者にとって十分にわかりやすいものとはいえません。地下鉄利用者の視点から、よりわかりやすい運賃表とするよう検討すべきであるとしました。
 次に、駅のバリアフリー対応についてです。
 都営地下鉄及び東京メトロの出入り口は、階段のみの構造となっているところが多く見られます。高齢者などの利便性の向上のため、中長期における目標を定め、エレベーター及びエスカレーターのさらなる整備を進めていくことが望ましいとしました。
 続いて、東京交通サービス株式会社の経営管理についてであります。
 東京交通サービスでは、交通局からの受託業務について、契約別の営業損益が黒字の契約と赤字の契約があります。これまで以上に、契約ごとの損益の管理を行うとともに、交通局は、自律的経営に向けて東京交通サービスを指導監督することが必要であるとしました。
 続いて、東京地下鉄株式会社の経営管理についてであります。
 東京メトロは、一日約六百四十万人の利用者があり、都営地下鉄と同様に、東京の都市機能を支える公共交通機関として重要な役割を担っています。交通局と同様に、さらなる安全対策と利便性の向上が求められています。
 まず、地下鉄構造物の維持管理のあり方についてです。
 地下鉄構造物の長寿命化対策は、科学的根拠に基づいており有効と考えられますが、定量的な効果が示されておりません。地下鉄構造物の維持管理計画のビジョンを明確化し、各対策の効果を定量的に計測できる仕組みの構築を進められたいとしました。
 次に、自動更新契約についてです。
 委託契約には、契約期間は一年であるが、契約解除の申し出がなければ契約が継続する自動更新契約があります。これらの多くは契約後の委託料の見直しがされておりませんでした。取引先及び契約金額の見直しについての考え方を明確にすることが望ましいとしました。
 以上をもちまして、平成二十五年度の包括外部監査結果のご説明といたします。

〇議長(吉野利明君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十七日から三月三日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十七日から三月三日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月四日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二五財主議第五二四号
平成二十六年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 吉野 利明殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十五年第四回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   おときた駿議員
   西沢けいた議員
   塩村あやか議員
   尾崎あや子議員
   小竹ひろ子議員
   斉藤あつし議員
   畔上三和子議員
   中村ひろし議員
   かち佳代子議員

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた 駿

質問事項
一 オープンデータへの取り組みについて
二 シェアハウスについて

一 オープンデータへの取り組みについて
東京都のオープンデータへの取り組みについてお伺い致します。近年の情報技術の急速な発展を受けて、行政データを電子的に二次利用可能な手法で公開していくオープンデータという概念が注目されています。我が国でも本年4月に初めて総務省により、行政が保有する情報のオープンデータ化のテストケースとして、情報通信白書のオープンデータ化が行われました。また6月に閣議決定された『世界最先端IT国家宣言』の中では、「行政が保有するデータは信頼性の高い基礎データとして、民間での利用ニーズが高いが、現状は公開データの二次利用に制約があり、機械判読(ソフトウェアによる解析・処理)が困難なデータが多い、目的のデータの有無や所在が分かりにくい、ビジネス等に活用できる多くのデータが公開されないままになっている等の要因から、公共データが十分に利用されていない。公共データの民間開放(オープンデータ)及び公共データを自由に組み合わせて利活用可能な環境の整備を早急に推進する必要がある」と明確に指針が述べられています。
こうした流れを受けて、オープンデータの先進自治体として注目されている千葉市では、すでに「推計人口、年齢別人口・町丁別年齢別人口、町丁別人口及び世帯数」や「千葉市保健統計(出生、死亡、婚姻、離婚、死産に関する統計情報)」などが加工しやすいエクセル形式かつ、二次利用可能なライセンスで公開されており、民間による新たな価値の創造が期待されています。日本の首都である東京都においても、このオープンデータ化の流れは避けて通れるものではなく、むしろその見本として強くオープンデータ化を進めていくべきと考えます。そこで、以下4点についてお伺いいたします。
1 現時点で、東京都が取り組んでいるオープンデータ化の施策や、実際に公開されているデータがあるのか教えてください。
2 情報公開にあたり、行政機関内のみで利用されるクローズドなデータと異なり、公開データについてはより慎重な対応が求められます。また、行政機関がデータを公開する際は二次加工の難しいPDF形式であることが一般的ですが、これを他者が利用しやすいフォーマットに転換すれば民間が創意工夫できる余地が生まれるとともに、情報改ざんなどのリスクが高まることが予想されます。こうした理由から、情報公開に積極的ではない自治体も多いのが現状ですが、東京都の現時点でのデータ開示に対する見解をお聞かせ下さい。なおデータ開示については、「これまで公開されてこなかった情報を公開すること」と「現在公開されているデータを、二次利用が可能な形式・ライセンスで公開すること」の二点が考えられますが、それぞれについてのお考えを教えてください。
3 今後、更なる情報技術の発展により、行政にはさらなる情報開示、オープンデータ化が求められることが容易に予想されます。今後の行政のオープンデータ化について、全庁横断的に検討を行っていく組織が不可欠であると考えますが、そうしたシステムは現時点であるのか教えて下さい。また、オープンデータ化への今後の展望を、具体的な施策があればそれとともに合わせてお聞かせ下さい。
4 最後に建設局に対し個別の事案についてお伺い致します。建設局が先月11月から取り組まれている「工事設計書の情報提供」は、民間からの需要が高いデータを公開する、素晴らしい取組です。全庁においても、このような「民間企業や住民から情報請求の多いデータ」を公開していくことが経済活性化に繋がると考えます。一方、素晴らしい本取り組みではありますが、オープンデータの観点では課題も残っています。
・情報を閲覧するために都庁まで出向かなければいけないこと
・提供データがPDF形式なため、データ加工が困難なこと
・これらのデータを二次利用することについて触れていないこと
これらの課題に対しては、例えば下記のような取組が考えられます。
・情報をインターネットを通じて公開する
・データを加工可能なエクセルやシェイプなどの形式で公開する
・クリエイティブ・コモンズ「CC BY」を明記し、二次利用を認める
実際に、今年の総務省の実証では佐賀県・福岡市にて、社会インフラや工事情報をインターネットを通じて公開し、建設会社のマーケティングや住民の安全情報として活用する実験が行われています。建設局として、この「工事設計書の情報提供」についてどう取り組んでいくか、今後の展望とお考えをお聞かせ下さい。

二 シェアハウスについて
東京都内におけるシェアハウスについてお伺い致します。近年、新しい居住形態として急速に注目を集めているシェアハウスですが、防災や安全面において不安のある「脱法シェアハウス」の横行に伴い、国土交通省は本年9月に「事業者が入居者を募集し、自ら管理する物件に住まわせるものは建築基準法上の寄宿舎」とする通知を行いました。これを東京都の建築安全条例に当てはめると、狭く危険な脱法シェアハウスだけでなく、URが提供する団地の4LDKを4人でシェアするといった一般的なシェアハウスまでも規制の対象となる可能性があり、多くの居住者が住まいを失うことになりかねません。実際にシェアハウスに対して行政指導を行うのは基礎自治体ですが、現場からは「業者が仲介するシェアハウスと、血縁家族が暮らす住まいに明確な線引きは難しい」「一戸建てを転用したシェアハウスに空地などないし、作れというのも困難だろう」と言った声もあると聞きます。そこで、以下の3点をお伺い致します。
1 国土交通省の通知に基づき、東京都建築安全条例を満たさないシェアハウスがいくつ都内に存在するのか、実態を把握されているのか教えて下さい。把握していない場合、今後の調査予定や進捗状況をお聞かせ下さい。
2 厳格に国からの通知と東京都建築安全条例を現状に当てはめることはほとんど現実的ではなく、東京都が独自に適切な条例改正を行うことや、国に対してシェアハウスの基準を改めて定めてもらうための働きかけが必要になるかと思います。狭く危険な脱法シェアハウスとは異なり、家族が数人で暮らしているのと同様の環境下で行われているシェアハウスには一定の配慮が必要かと思いますが、これに対する法整備について東京都の現時点での見解を教えてください。
3 仮に現状に則した法整備が行われない場合、現実に存在するシェアハウス用の住居や住人に対して基礎自治体と連携して今後どのような対応を行っていくのか、指針をお聞かせ下さい。

平成25年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 オープンデータへの取組について
  1 現時点で、都が取り組んでいるオープンデータ化の施策や、実際に公開されているデータがあるのか伺う。

回答
  情報公開条例では、情報公表施策及び提供施策の拡充を図り、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう努めるものと定められており、これに基づき、各局において、情報提供の量的拡大や質的な向上等に努めております。
  例えば、総務局のホームページで、「東京都の統計」として、毎年度分の多様な統計データをPDF・HTML形式に加えて、エクセル形式でも提供しています。
  なお、平成25年7月から九都県市首脳会議にて、千葉市の提案により、「ビッグデータ・オープンデータのまちづくりへの活用」をテーマに、各自治体が共通で保有している公共データを対象とした共通ルールの策定について検討しております。

質問事項
 一の2 情報公開における現時点でのデータ開示について、「これまで公開されてこなかった情報を公開すること」及び「現在公開されているデータを、二次利用が可能な形式・ライセンスで公開すること」の二点について見解を伺う。

回答
  情報公開条例では、情報公表施策及び提供施策の拡充を図り、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう努めるものと定められており、これに基づき、各局において、情報提供の量的拡大や質的な向上等に努めております。

質問事項
 一の3 今後の行政のオープンデータ化について、全庁横断的に検討を行う組織が不可欠だが、そうしたシステムは現時点であるものなのか。また、オープンデータ化への今後の展望について、具体的な施策があればあわせて伺う。

回答
  都はこれまでも情報公開条例に基づき、各局において、公文書の開示のほか、重要な基本計画や主要事業の進行状況等について、都民からの開示請求を待つことなく、情報の公表や提供に取り組んできております。
  今後も引き続き、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう、関係局連携のもと、情報公開の総合的推進に努めていきます。

質問事項
一の4 建設局が平成25年11月から取り組んでいる「工事設計書の情報提供」について、どのように取り組んでいくのか、今後の展望と見解について伺う。

回答
  工事設計書については、これまで東京都情報公開条例に基づく公文書開示請求により個別に開示の対応を行ってきました。
  近年開示請求の件数が増大していることから、開示請求を待つことなく原本と同様の様式や体裁で情報提供することによって利用者の利便性を向上させ、かつ、行政運営の効率化を図るために、建設局では平成25年11月より工事設計書の情報提供を試行として始めたところです。
  今後も工事設計書の情報提供については、試行による状況を踏まえつつ、適切な運用に努めていきます。

質問事項
 二 シェアハウスについて
  1 国土交通省の通知に基づき、東京都建築安全条例を満たさないシェアハウスがいくつ都内に存在するのか、実態を把握されているのか伺う。把握していない場合、今後の調査予定や進捗状況について伺う。

回答
  東京都や23区等の特定行政庁では、国土交通省の要請に基づき、違法貸しルームに対する立入調査等を随時、実施しています。
  調査結果については、国が取りまとめており、建築基準法や建築安全条例ごとに集計されておりません。
  引き続き、実態把握に努めてまいります。

質問事項
 二の2 家族が数人で暮らしているのと同様の環境下で行われているシェアハウスについては一定の配慮が必要だが、これに対する法整備について、都の現時点での見解を伺う。

回答
  各特定行政庁は、違法貸しルームについて、その形態が事務所や倉庫を改造したものから、一戸建て住宅を転用したものまで、様々であることから、随時、立入調査等を実施し、実態把握に努めています。
  都としては、国から出された通知を踏まえつつ、安全面などに問題のある建築物については、その状況に応じて、適切な是正指導を行うことが必要と考えています。

質問事項
 二の3 現状に則した法整備が行われない場合、現実に存在するシェアハウス用の住居や住人に対して、基礎自治体と連携して、今後、どのような対応を行っていくのか、指針について伺う。

回答
  各特定行政庁は、調査対象の建築物等の状況に応じて、関係機関等と連携を図り、適切に対応していくことが必要と考えています。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 西沢けいた

質問事項
一 「居住用車両を除く」道路標識について

一 「居住用車両を除く」道路標識について
通行禁止標識の補助標識「居住者用車両を除く」の「居住者用車両」とは、「規制区間内又は規制区域内に居住する住居、会社その他人が社会生活を営む場所又は車庫、倉庫その他人が管理する場所に出入りするために使用する車両」と聞いています。
こうした規制区間内又は規制区域内に居住する方々に対して、国政、都政、区政報告などのお知らせの告知や、街宣等をする目的で出入りをする政治活動用車両について、通行禁止標識の補助標識「居住者用車両を除く」の「居住者用車両」に含まれるのか、見解を伺います。

平成25年第四回都議会定例会
西沢けいた議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 「居住者用車両を除く」道路標識について
   政治活動用車両について、道路禁止標識の補助標識「居住者用車両を除く」の「居住者用車両」に含まれるのか見解を伺う。

回答
  都内における通行禁止規制「居住者用車両を除く」は、昭和52年度を初年度として3か年で計画された「東京マイタウン化総合交通対策」に基づき、生活道路から通過交通を排除し、歩行者などの安全を図る目的で実施されているものです。
  「居住者用車両」とは、規制区間内又は規制区域内に所在する住居、会社その他人が社会生活を営む場所又は車庫、倉庫その他人が管理する場所に出入りするために使用する車両が該当するとしています。具体的には、居住者が乗車している車両、居住者宅への訪問車両、その他、規制区間内又は規制区域内を所用のため出入りする宅配便、行商車両などが該当するものと解しています。
  質問の「政治活動用車両」については、それが規制区間内又は規制区域内において政治活動に関する街頭宣伝を行うために出入りする場合には、規制区間内又は規制区域内を所用のため出入りするものであることから、「居住者用車両」に該当するものと解しています。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 パブリックコメントについて

一 パブリックコメントについて
パブリックコメントについてお伺いをします。パブリックコメントは政策形成過程で都民の皆様に意見を頂き、その貴重な意見を政策に反映させていくものです。都民参加型の公平公正で開かれた都政を都民の皆様に実感して頂くためにも、非常に有効な制度と言えます。
制度は欧米では広く実施されており、国では平成11年4月から「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」として各省庁に取り入れられ、平成17年からは行政手続法の「意見公募手続」として引き継がれています。
以下、番号を振り質問をさせて頂きます。
1 滋賀県、静岡県や鳥取市、名古屋市、堺市、大阪市などの地方自治体において制度化されているが、東京都はパブリックコメントを募集し、都政に反映をしているものの、制度化はされていないと聞く。その理由と、今後パブリックコメントをより弾力的に活用するため、制度化の可能性があるのかを伺う。また、現在東京都にパブリックコメントに関するガイドラインはあるのか。
2 東京都は現在、パブリックコメントが制度化されていないが、パブリックコメントの対象とするもの、しないものの選別方法を伺う。
3 パブリックコメントの実績について伺う。東京都がパブリックコメントを導入したのはいつか。平成24年度までの年間のパブリックコメント募集数の推移と年間平均数、募集をしたタイトルと寄せられた意見の数を其々伺う。タイトルに関しては数が多く1ページで列挙できないようであれば、過去5年でお願いします。そこから読み取れるパブリックコメントの有益性と重要性について都の所見を伺う。
4 寄せられた意見の確認方法を伺う。寄せられた意見は個人情報を除き、都民の皆様の意見が適切に反映できているのかを確認するためにも、公表すべきだと考える。募集をしたパブリックコメントの意見はどのように、そしてどこに公表されているのか。
5 都民の目線から質問をさせて頂く。パブリックコメントの募集はなかなか見つけにくいと感じる。東京都のトップページの右下に「ご意見募集」とあり、そこに直近3件ほどの募集のタイトルを何とか見つけることができるものの、文字は小さく、すぐに見つけることは難しい。また、目につきやすい新着情報のコーナーは新着情報であるがゆえに、新しい情報が掲載されてしまえば、すぐに情報がトップ画面から消えてしまう。各局のサイトを見てみても、更に見つけにくいものも多く、都庁のサイトを訪れてもパブリックコメントの募集までいきつく事は難しいと感じている。ゆえに、それが原因でパブリックコメントの意見数が伸びないことも懸念される。愛知県ではパブリックコメントをまとめたサイトがあり、分かりやすいイラスト付きのコンパクトなバナーも県のトップページにある。そこをクリックするだけで現在の募集や過去の募集したパブコメの一覧があり、寄せられた全ての意見の概要、県の回答まで見ることができ、大変見やすい。東京都には全てのパブリックコメントを統括したサイトページは見当たらない。都民の意見をより多く取り入れるためにも今後、見つけやすく、分かりやすいサイトページを設置するべきだと考えるが、所見を伺う。(愛知県パブリックコメントのサイトhttp://www.pref.aichi.jp/0000008347.html)
6 各局のホームページを訪れる人は、その局の担当する分野に少なからず興味を持っている人でもある。そのような方々はパブリックコメントに回答をしてくれる可能性の高い方々だと考えられる。しかし、局のサイトを見ても見つけにくいのでは、回答に結びつかず都民の意見の反映を逃してしまっている可能性もある。各局での創意工夫を促すべきだと考えるが、都の所見を伺う。

平成25年第四回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 パブリックコメントについて
  1 都はパブリックコメントを募集し、都政に反映をしているものの、制度化はされていないと聞く。その理由と、今後、パブリックコメントをより弾力的に活用するため、制度化の可能性があるのか。また、現在、都にパブリックコメントに関するガイドラインはあるのか伺う。

回答
  都では、各局において、所管する事業や計画の特質等を勘案し、計画策定等の参考とするため中間段階の計画書等を公表し、都民から意見募集を行っています。
  なお、情報公開条例では、東京都の規則等で定める重要な基本計画について、情報公表すべきものと定めています。また、その計画のうち各局が定めるものにかかる中間段階の案についても、情報公表すべきと定めています。

質問事項
 一の2 都は現在、パブリックコメントが制度化されていないが、パブリックコメントの対象とするもの、しないものの選別方法について伺う。

回答
  都では、各局において、所管する事業や計画の特質等を勘案し、計画策定等の参考とするため中間段階の計画書等を公表し、都民から意見募集を行っています。

質問事項
 一の3 パブリックコメントの実績について、都がパブリックコメントを導入したのはいつか。平成24年度までの年間のパブリックコメント募集数の推移と年間平均数、募集をしたタイトルと寄せられた意見の数について、それぞれ伺う。そこから読み取れるパブリックコメントの有益性と重要性について、都の所見を伺う。

回答
  都では従前から、各局において、所管する事業や計画の特質等を勘案し、計画策定等の参考とするため中間段階の計画書等を公表し、都民から意見募集を行っています。東京都の規則等で定める重要な基本計画と、その計画のうち各局が定めるものにかかる中間段階の案については、情報公開条例に基づきホームページで公表しており、平成24年度の公表件数は17件です。
  公表した計画案等に対して都民から意見を募集した事例として東京都消費生活基本計画があり、消費者が持続可能な社会の実現に向けて行動することの重要性について盛り込むべきなど84件の意見をいただき、計画策定の参考といたしました。

質問事項
 一の4 寄せられた意見の確認方法について、寄せられた意見は個人情報を除き公表すべきだが、募集をしたパブリックコメントの意見はどのように、そしてどこに公表されているのか伺う。

回答
  都では、各局において中間段階の計画案等を公表、意見募集しています。そこで都民から寄せられた意見は、意見に対する都の考え方とともに、意見募集の結果として単独で、あるいは計画等の発表時に公表しています。
  なお、公表の方法としては、報道発表やホームページへの掲載、計画書又は審議会答申書等への記載により行っています。

質問事項
 一の5 都には、全てのパブリックコメントを統括したサイトページは見当たらない。都民の意見をより多く取り入れるためにも、今後、見つけやすく分かりやすいサイトページを設置すべきだが所見を伺う。

回答
  意見募集中の計画等については、都庁総合ホームページのトップページに「ご意見募集」として掲載しています。
  また、重要な基本計画などの中間段階の案については、ホームページ上に「情報公開の窓」というページを設けて公表しています。
  今後とも、都民にわかりやすい情報提供に努めていきます。

質問事項
 一の6 各局のホームページを訪れる人は、パブリックコメントに回答をしてくれる可能性が高いと考えられるが、局のサイトを見ても見つけにくいのでは、回答に結びつかず、都民の意見の反映を逃してしまっている可能性もある。各局での創意工夫を促すべきだが、都の所見を伺う。

回答
  都庁総合ホームページは、各局ホームページの入口としてレイアウトに工夫を行うなど、情報公表という観点も含めて、見やすくわかりやすいページづくりに努めています。
  各局ホームページにおいても事業内容や利用者に応じて工夫をしているところです。
  今後とも、都民にわかりやすく誰もが使いやすいホームページとするよう、関係局連携のもと、その充実に取り組んでいきます。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 学校給食の食物アレルギー対策について
二 特別支援学校の給食について

一 学校給食の食物アレルギー対策について
私の住んでいる東大和市で9月、学校給食アレルギー事故がありました。適切な対応によって、幸いに命に係わる事故に至らず安心しましたが、調布市においては、死亡事故も起きており、学校給食における食物アレルギー対策は、子どもの命にかかわる重大な問題と考えます。
教育庁は7月25日に「学校におけるアレルギー疾患対策について」という文書を発表しています。起きてからの対応は命にかかわるので迅速で正確な対応が求められると考えますが、同時に、食物アレルギーが起きないようにすることが大切だと考えます。
この中の「別紙3」に「学校給食における食物アレルギー対応役割分担表(例示)」という文書があります。これは「自校調理方式、栄養教諭・学校栄養職員が配置されているという標準的なパターン」とのことです。全部で17の段階が例示される中で、栄養士は13段階で主な役割を担う一員となっています。保護者に申請の提出を依頼する段階と教育委員会が対応を把握する段階を除くすべての段階で主な役割を栄養士が担います。個別面談、面談調書作成、対応委員会の設置・開催。とりわけ、最終調整と実際の対応の段階では、ほぼ栄養士が全責任を負っていくことになります。養護教諭が9段階ですから、13段階を担う栄養士のアレルギー事故予防における役割は極めて重いと思います。
1 栄養士の役割は重要だと思いますか。認識をうかがいます。
2 食物アレルギー対策の強化は重要ですが、栄養士の責任と負担はこれまで以上に重くなると思います。どう認識していますか。
私の地元・東大和市の給食はセンター方式ですが、栄養士がアレルギー対策に重要な役割を担っていることは、自校方式の場合と同じです。市ではこのたび、これまで2ヶ所だった給食調理センターを、新給食センター1ヶ所に統合することになりました。
東京都の栄養士の配置基準は、東大和市の「新給食センター」での栄養士は3人です。現在、2ヶ所の給食センターで2人ずつ計4人配置されていますから、市全体の給食の食数、アレルギー対応の必要な食数も変わらないにもかかわらず栄養士が減らされることになります。市もアレルギー除去食などの本格的対応が始まるなかで、役割を担う栄養士をこのまま減らし、重大な事故が起きることがあってはなりません。他市では、死亡事故さえ起きていることからも、万全の体制で対応することが必要で、栄養士など関係者からも「減らさないでほしい」と要望が寄せられています。
3 食物アレルギーへの対応をしっかり行なうためにも、東京都教育委員会として栄養士配置基準を変えて増員すべきだと考えますが、いかがですか。
食物アレルギーは、今後も増加すると言われています。東京都の栄養士配置基準の充実を強く求めるものです。

二 特別支援学校の給食について
障害児にとって障害の状態に合った給食は、噛む力や舌の動き、むせない飲み込み方などの摂食機能を発達させるとともに、食べてみようかなという意欲を育て、食べる楽しさを味わうことができるなど、学習の上で大変重要な意味をもっています。逆に、合わない給食は、のどに詰まるなど命を危険にさらすことさえあります。
都立肢体不自由特別支援学校では、普通食のほかに普通食の再調理、初期、中期、後期の3種類の形態食などが調理され、子どもの障害や発達段階に応じた給食が提供されています。重複障害の子どもの増加などにともない、知的障害など他の障害種の特別支援学校でも形態食などが提供されるようになっていますが、学校によりばらつきがあるのが実情です。
私たちが相談をうけたあるお子さんの通う知的障害特別支援学校は、普通食とペースト状の初期食の2種類しかなく、そのお子さんは普通食は厳しいので初期食を選んだそうです。しかし本当はもっと普通食に近いものを食べられる、後期食くらいのものを食べさせたいとのことでした。その学校には他にも、合う給食がないためお弁当持参のお子さんがいるとのことでした。
1 知的障害特別支援学校などでの形態食の提供の必要性について、認識をうかがいます。
2 どの障害種の特別支援学校でも、その子に適した形態の給食が提供できるよう、都教育委員会として条件を整えていただきたいと思いますが、いかがですか。
何種類もの給食に対応できない理由として、施設設備の問題があると聞いています。形態食は普通食とは別の調理が必要になるので、別のスペースや設備がないと難しいというのです。
3 各学校の調理施設設備の状況を把握し、計画的に改善にとりくむことを求めます。特に大規模な改修などが必要なく、調理器具を整えれば提供可能などの場合は、すぐに対応していただくことを要望します。
栄養職員や調理員の研修なども重要です。特別支援学校の形態食は、学校現場の栄養職員と調理員が試行錯誤を重ねてつくり上げたもので、病院の食事や介護食とは異なります。したがってそのノウハウを栄養職員や調理員が身につけ、どの学校でもきめ細かく対応できるようにするためには、都教育委員会自身の取り組みが重要なのです。
4 栄養職員や調理員などを対象にした実習や研修の充実は大切だと思いますが、いかがですか。
5 肢体不自由と知的障害の大規模併置校や寄宿舎のある学校などは、食の安全確保などのため、かねてから栄養教諭や栄養職員を複数配置してほしいとの要望が、教員や保護者などから上がっています。ベテランの栄養職員と特別支援学校の経験の浅い職員を組み合わせた複数配置は、特別支援学校の給食のノウハウを継承発展させていく観点からも効果があると思いますが、いかがですか。
6 栄養教諭や栄養職員の複数配置を求めますが、いかがですか。
発達段階に合った給食は、その子どもの成長を保障するために大切なものです。ぜひ前向きに検討をお願いいたします。

平成25年第四回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 学校給食の食物アレルギー対策について
  1 学校給食における食物アレルギー対策について、栄養士のアレルギー事故予防における役割は極めて重いが、栄養士の役割について認識を伺う。

回答
  学校における食物アレルギー対策では、児童生徒のアレルギー症状の把握から緊急時の対応まで一連の過程を統一的・組織的に行う必要があり、校長、副校長、養護教諭、栄養教諭・学校栄養職員、学級担任等もそれぞれ役割を担っています。
  その中でも、栄養教諭・学校栄養職員は学校給食における食物アレルギー対策において重要な役割を担っていると認識しています。

質問事項
 一の2 食物アレルギー対策の強化は重要だが、栄養士の責任と負担はこれまで以上に重くなると思われる。どのように認識しているのか伺う。

回答
  都教育委員会が7月に示した「学校におけるアレルギー疾患対策について」では、学校における標準的な役割分担例を明示し、これまで以上に組織としての対応の強化を働き掛けてきました。
  学校給食の食物アレルギー対策においては、栄養教諭、学校栄養職員、養護教諭といった特定の職種のみならず、各教職員がそれぞれの役割分担を踏まえ、学校全体として取り組むことが重要であると考えています。

質問事項
 一の3 食物アレルギーへの対応をしっかり行うためにも、都教育委員会として栄養士配置基準を変えて増員すべきだが見解を伺う。

回答
  小中学校の栄養職員の定数は、国の基準において、学校給食を自校で調理する単独実施校4校に1人としていますが、都は単独実施校2校に1人として、国を上回る基準としています。

質問事項
 二 特別支援学校の給食について
  1 知的障害特別支援学校などでの形態食の提供の必要性について、認識を伺う。

回答
  都立特別支援学校における形態食の提供目的は、学校給食における誤嚥事故防止及び摂食・嚥下機能の向上であり、特に事故の危険が高い肢体不自由(部門)特別支援学校では必ず提供しています。
  肢体不自由(部門)特別支援学校以外では、主に摂食・嚥下機能の向上を目的として実施することが多く、児童生徒の実態や学校の実状に応じて対応しています。

質問事項
 二の2 どの障害種の特別支援学校でも、その子に適した形態の給食が提供できるよう、都教育委員会として条件を整えるべきだが見解を伺う。

回答
  学校給食を提供するに当たり、特別な配慮が必要な子供には、施設設備等に応じて、形態食を提供しています。
  現在、東京都特別支援教育推進計画に基づき、施設設備の改修・改築を計画的に実施しています。

質問事項
 二の3 各学校の調理施設設備の状況を把握し、計画的に改善に取り組むべきだが見解を伺う。

回答
  定期的な学校訪問、設備調査などにより、各学校の児童生徒の実態や施設設備の実状を把握し、施設設備の改修・改築や機器の更新を計画的に実施しています。

質問事項
 二の4 特別支援学校の形態食は、病院の食事や介護食とは異なるため、栄養職員や調理員などを対象とした実習や研修を充実すべきだが見解を伺う。

回答
  毎年、夏季休業期間に、栄養職員や調理員などを対象として、講義及び実習により、形態食に関する研修を実施しています。
  さらに今年度は、肢体不自由(部門)特別支援学校以外の学校の栄養職員に対する形態食の啓発を目的に、摂食専門歯科医師の講演及び形態食の展示見学による研修を実施する予定です。

質問事項
 二の5 ベテランの栄養職員と特別支援学校の経験の浅い職員を組み合わせた複数配置は、特別支援学校の給食のノウハウを継承発展させていく観点からも効果があると思うが見解を伺う。

回答
  特別支援学校における形態食を提供するための知識、技術の習得については、形態食に関する専門的な業務マニュアル、講義、実習による実務的な研修などにより、適切に継承しています。

質問事項
 二の6 栄養教諭や栄養職員の複数配置を求めるが、見解を伺う。

回答
  特別支援学校の栄養教諭等の定数は、国の基準において、1校1人としていることから、都の基準も1校1人としています。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 高校授業料無償化について
二 公衆浴場について

一 高校授業料無償化について
安倍内閣は、2010年に始まったばかりの「高校授業料無償化制度」を廃止する法案を国会で強行しました。「世帯収入910万円以上」の所得制限を設け、それ以上の所得の家庭を対象から外すとともに、公立高校の授業料不徴収条項が削除され、私立と同様に就学支援金を支給する制度とされました。
世界の流れは学費無償です。経済協力開発機構(OECD)加盟国34ヶ国中、公立高校授業料を徴収しているのは日本の他には3ヶ国だけであり、その負担も低廉です。
日本政府は昨年9月、高校の段階的な無償化を定めた国際人権規約第13条2項(b)の留保を撤回しました。それなのに「わずか1年で高校無料化制度を廃止するのはおかしい」との声が上がるのは当然ではないでしょうか。
文部科学省が高校生に配布した案内チラシには、「社会全体であなたの学びを支えます」とあります。教育は人間として生きるために不可欠であり、若い世代が学ぶことは社会の貴重な財産となるからこそ、教育を権利として認め社会全体で支えようというのが、無償制の考え方です。
都内の高校生の6割は私学に通っており、公私の学費の格差も依然として大きく、所得制限の「世帯収入910万円以上」といっても、私立高校に兄弟2人以上通っていたら経済的にも厳しいとの声が関係者から上がっているのです。また、支援金がもらえる生徒と全額自分で負担しなければならない生徒が同じ教室で高校生活を送ることで、人間関係に良くない影響や混乱をもたらしかねないとの心配と不安も広がっています。
1 「社会全体で学びを支える」として始めた無償制度をくつがえす法律の撤回を、国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
2 「世帯の年収910万円以上」で制度の対象から外される、都内の公立私立高校生は何人くらいと予想していますか。また、そのことによる家計の負担増の総額は、公立私立でそれぞれどの程度と予想されますか。
3 東京都は世界の無償化の流れに立ち、学費無償をできるだけ前にすすめる立場での施策の充実を求めます。見解を伺います。
文科省は授業料相当額11万8800円を就学支援金で支給するとしていますが、都立高校の授業料を決めるのは東京都で、現在の授業料徴収条例では年額12万2400円となっています。このままでは就学支援金との差額が発生しかねません。
4 少なくとも、国の就学支援金支給の対象となる都立高校生は、差額もふくめ実質無償を継続することを求めます。
新しい制度になれば、保護者の所得が低くても申請しなければ制度から排除されます。現在、若い子育て世帯では、非正規でいくつもの仕事を掛け持ちするなど、所得の証明が難しい家庭も多く、そういう家庭ほど経済的に苦しいのです。また心の問題を抱えて課税証明をとりにいけない保護者や、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待などのケースなど、困難を抱える家庭ほど課税証明がとれないのです。
子どもの貧困化には深刻な実態があり、このままでは子どもの学ぶ権利が排除されかねません。
5 このように低所得でありながら、制度から排除されかねない生徒をどうするのですか。
6 国は、私立高校に通う低所得者世帯の負担を軽減するため、所得制限で産み出された財源を使って上乗せするとしていますが、それでも生活保護基準程度の250万円以下の収入でも、私立学校の平均授業料と就学支援金の額に差があります。生保に準ずる世帯としている年収350万円以下の世帯も含めて、都独自の授業料補助として上乗せしてきた金額を減らすことなく、国の支援金に加えて都として実質授業料無償にする、また施設費なども補助対象とするなど、父母負担の軽減を図るべきと思いますが、いかがですか。
7 この制度が実施されると、大多数の世帯の所得を把握するための事務の増大が見込まれます。都として事務職員を拡充し、私立学校にはそのための財政支援をすべきですが、見解を伺います。
8 与党の「確認書」には給付制奨学金制度の創設が記されていますが、法律には明記されていません。学費は授業料以外の父母負担も大きいものがあります。都として国に先立ち給付制奨学金制度を創設して父母負担を軽減すべきと考えますが、いかがですか。

二 公衆浴場について
都民の健康維持と公衆衛生の向上に重要な役割を果たしてきた公衆浴場が、浴場利用者の減少や後継者不足等で転廃業し、大幅な減少によって深刻な状況が生れています。23区で見ると10年前の2003年には1000軒を超していた公衆浴場が、2012年には1/3減り675軒になってしまいました。
1 都民の健康維持の点からも、町内の交流の場としても、また首都直下型地震など巨大地震への警鐘が鳴らされるもと、災害時の衛生・健康確保の場としても公衆浴場は欠かせません。公衆浴場の役割についての都の認識を伺います。
2 現在、多摩地域を含めても都内で7百数十軒になった公衆浴場は、健康維持や災害時の公衆衛生上の提供の場としても、これ以上減らすわけにはいかないものだと考えますが、認識を伺います。
公衆浴場確保のため、これまで都がハード面の事業を担い、ソフト面は区市が担うなどの役割分担をし、公衆浴場維持の努力をしてきたことは評価しますが、減少に歯止がかかっていません。これだけ減少すると区市の境界を越えて公衆浴場の利用拡大をはかり、存続基盤を整える必要があると考えます。
都はこれまで確保浴場を選定し、浴場を確保するため融資の利息の差を補助してきました。確保浴場の選定基準は、半径500mを利用限界距離として、その商圏に浴場がないこと、過去3年間の営業実績で1日当たりの平均入浴人員数などの合計点数が最低130点あることなどでした。現在は浴場の側から申請に基づいて選定していますが、この点からみれば、今営業している浴場の大半は、確保浴場の基準にあてはまるのではありませんか。
3 今ある公衆浴場は何としても残すという立場から、区市町村と共同して、すべての公衆浴場を確保浴場として指定し、融資利息の差補助だけでなく、現行事業の補助率を引上げるなどの支援をすべきではありませんか。
来年4月からの消費税の増税がおこなわれれば、入浴料金に転嫁しなければなりません。上下水道料金の引上げも懸念され、08年に値上げされ6年間据え置かれてきた入浴料金の値上げが危惧されます。現在の入浴料金は大人450円であり、これ以上の値上げは浴場利用者の家計を直撃し、利用を減らすことにつながりかねません。
4 公衆浴場の入浴料金の抑制と浴場経営の安定化を一層強化するため、上下水道料金の軽減率の引上げをすべきと考えますが、いかがですか。
私の住む文京区では、2003年に20軒あった公衆浴場が、昨年には12軒、今年は更に2ヶ所廃業し10軒と、半分になってしまいました。そのため公衆浴場が空白の町目が区内の半分以上の11の町目にのぼっており、「銭湯をなんとか残して」「作ってほしい」との願いが町をあげた声になっています。
マンションなど風呂付の住宅が増えているとはいえ、風呂のない木造住宅・アパートも多く存在し、浴場がなくなることは深刻な問題となっています。そこには年金暮らしの高齢者が多く居住しており、健康維持の上からも切実な問題です。
浴場のなくなった地域では、バスに乗って遠くまで行ったり、区境の所に住む人は隣の区の浴場を利用したりしています。他区の浴場を利用する場合には、それぞれの区が行っている浴場事業、たとえば高齢者や区民向けの割引が利用できません。「経済的に厳しいから回数を減らさなければならない」と寂しそうに高齢の方が訴えています。
5 都として、利用者の増大をはかるためにも、高齢者の100円入浴など、区市の枠を超えて安く入浴できる仕組みをつくって支援すべきと考えますが、いかがですか。
あらゆる知恵をしぼり、浴場利用者を増やし、これ以上公衆浴場を減らさない対策をもとめます。

平成25年第四回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 高校授業料無償化について
  1 国は、2010年に始まったばかりの「高校授業料無償化制度」を廃止する法案を国会で強行した。都は、「社会全体で学びを支える」として始めた無償制度をくつがえす法律の撤回を国に求めるべきだが見解を伺う。

回答
  今回成立した「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」は、低所得世帯の生徒等について高等学校教育に係る経済的負担が十分に軽減されていないことから、その負担の軽減を適正に行うという目的で、国会での慎重な審議を経て可決したものです。
  このため、国に対し法律の撤回を求めることは考えていません。

質問事項
 一の2 「世帯の年収910万円以上」で制度の対象から外される、都内の公立私立高校生は何人くらいと予想しているのか。また、そのことによる家計の負担増の総額は、公立私立でそれぞれどの程度と予想しているのか見解を伺う。

回答
  都内の私立高校生について、年収910万円以上である世帯の来年度の高校1年生は、国の推計を基に約1万3,300人と見込んでいます。
  また、都立高校1年生については、約1万4,600人と見込んでいます。
  なお、この規模を基に対象外となる生徒の就学支援金の総額を試算すると、以下のとおりとなります。
  私立高校 約15億8,000万円(生徒1人当たり年額11万8,800円)
  都立高校 約16億円(生徒1人当たり、全日制課程で年額11万8,800円、定時制課程で年額3万2,400円、通信制課程で年額6,240円)
  国は、所得制限の導入により捻出した財源を用いて、低所得者支援や公私間の教育費格差の是正のための施策を拡充することとしています。

質問事項
 一の3 都は、世界の無償化の流れに立ち、学費無償をできるだけ前にすすめる立場での施策を充実すべきだが見解を伺う。

回答
  今回の法改正は、低所得世帯の生徒等について高等学校教育に係る経済的負担の軽減を適正に行うという目的で、国会での慎重な審議を経て可決したものです。

質問事項
 一の4 都立高校の授業料と就学支援金の差額について、少なくとも、国の就学支援金支給の対象となる都立高校生は、差額もふくめ実質無償を継続すべきだが見解を伺う。

回答
  現在の「東京都立学校の授業料等徴収条例」では、全日制の授業料は年額12万2,400円であり、就学支援金11万8,800円と3,600円の差があります。これは普通教室冷房化事業に伴い、受益者負担を考慮して平成20年度に改定したものです。
  小中学校を含め、普通教室における冷房設備の設置が一般的になったことから、授業料を11万8,800円に改定する条例案を平成26年第一回都議会定例会に提出します。

質問事項
 一の5 新しい制度になれば、保護者の所得が低くても申請しなければ制度から排除されるが、低所得でありながら、課税証明がとれず制度から排除されかねない生徒をどうするのか見解を伺う。

回答
  私立高校生については、国が定める事務処理要領に基づき、やむを得ない理由により証明書類が提出できない生徒に支障が生じないよう、これまでも適切に対応しています。
  また、都立高校においても、国から示される制度の詳細を踏まえて、必要に応じて具体的な措置を講じていきます。

質問事項
 一の6 都独自の授業料補助として上乗せしてきた金額を減らすことなく、国の支援金に加えて都として実質授業料無償にする、また施設費なども補助対象とするなど、父母負担の軽減を図るべきだが見解を伺う。

回答
  都はこれまでも公私間格差の是正を図る観点から、私立学校に対する経常費補助を通して授業料の抑制を図るとともに、保護者の所得に応じて特別奨学金を支給するなど、私立高校生の修学支援に取り組んできたところであり、今後とも適切に対応していきます。

質問事項
 一の7 この制度が実施されると、大多数の世帯の所得を把握するための事務の増大が見込まれるが、都として事務職員を拡充し、私立学校にはそのための財政支援をすべきだが見解を伺う。

回答
  私立学校については、平成22年度の就学支援金制度創設時より効率的な事務処理のため、事務センターを設け対応しています。
  さらに、私立学校現場において発生する事務(申請書類等の配布や問合せ対応など)を支援するため、学校事務費に対する補助を行っています。
  また、都立学校にあっては、国から示される制度の詳細を踏まえて、授業料等徴収システムを活用して、審査事務を委託するなど、事務職員の負担軽減を図っていきます。

質問事項
 一の8 与党の「確認書」には給付制奨学金制度の創設が記されているが、法律には明記されていない。都として国に先立ち、給付制奨学金制度を創設して父母負担を軽減すべきだが見解を伺う。

回答
  国の給付金制度の創設に対応するため必要な経費を平成26年度東京都予算案に計上しています。
  なお、都は、これまでも、学校に対する経常費補助をはじめとして、特別奨学金や育英資金などの幅広い施策を総合的に活用して、私立高校の修学上の保護者負担を軽減しています。

質問事項
 二 公衆浴場について
  1 都民の健康維持の点からも、町内の交流の場としても、また首都直下型地震など巨大地震への警鐘が鳴らされるもと、災害時の衛生・健康確保の場としても公衆浴場は欠かせないが、公衆浴場の役割についての都の認識を伺う。

回答
  公衆浴場は、都民の公衆衛生の確保、健康づくり、さらには地域住民の交流の場として重要な役割を担っています。
  また、大規模災害発生時においては、都と東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が加入している東京都生活衛生同業組合連合会との協定により、被災者に対して、公衆浴場施設の開放や入浴の便宜供与などを行うこととしています。

質問事項
 二の2 現在、多摩地域を含めても都内で7百数十軒になった公衆浴場は、健康維持や災害時の公衆衛生上の提供の場としても、これ以上減らすわけにはいかないものだが認識を伺う。

回答
  都は、公衆浴場を取り巻く経営環境やその果たしている役割を踏まえ、施設確保と経営の安定化を図るため、クリーンエネルギー化等推進事業や耐震化促進支援事業など、各種の助成策を実施しています。
  平成25年度から補助メニューを拡大するとともに、補助対象限度額と補助率を引き上げ、制度の充実を図りました。

質問事項
 二の3 今ある公衆浴場は何としても残すという立場から、区市町村と共同して、すべての公衆浴場を確保浴場として指定し、融資利息の差補助だけでなく、現行事業の補助率を引上げるなどの支援をすべきだが見解を伺う。

回答
  確保浴場の選定は、市町村に所在する浴場については、東京都公衆浴場対策協議会の意見を踏まえ都が適切に選定しています。なお、特別区については、都区間の協議を踏まえ、昭和57年度に特別区に事務移管し実施しています。
  現在、都は公衆浴場の施設確保と経営の安定化を図るため、確保浴場だけでなく、全ての公衆浴場を対象に各種の助成策を実施しています。

質問事項
 二の4 公衆浴場の入浴料金の抑制と、浴場経営の安定化を一層強化するため、上下水道料金の軽減率の引上げをすべきだが見解を伺う。

回答
  公衆浴場に係る上下水道料金については、従前から一般世帯に比べ安価な料金としています。
  公衆浴場営業に対しては、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計で補?することを前提として、既に上下水道料金の減免措置を実施しています。
  これは、公営企業における独立採算の原則及び負担の公平に対する例外的な措置です。
  したがって、公衆浴場に係る減免措置を拡大するという考えはありません。

質問事項
 二の5 都として、公衆浴場の利用者の増大をはかるためにも、高齢者の100円入浴など、区市の枠を超えて安く入浴できる仕組みをつくり支援すべきだが見解を伺う。

回答
  高齢者に対する入浴券の配布などは、基礎的自治体の役割である住民サービスの一環として、各区市が地域の特性や住民ニーズを踏まえて、実施しています。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 特定秘密保護法の東京都への影響について
二 東京都監察医務院の実績をより社会に貢献できる体制整備をすることについて
三 精神疾患に罹患した東京都職員の復職プログラムについて
四 物流業界への高校卒業者就労の為の中型自動車免許制度見直しに関する東京都の意見について

一 特定秘密保護法の東京都への影響について
成立した「特定秘密保護法」は地方公共団体の業務にも少なからず影響を与えると考えられる。「秘密の対象」が公表されないことは、実際にその秘密に触れなくても「秘密の対象」に触れることを意識することで地方公共団体活動への影響が懸念されるとも報道されている。
国の中核施設や自衛隊施設や横田基地がある市区町村などに相談対応や指導を東京都として行うことになるのかもしれない。そのような課題も具体的な対応を考えていかなくては、都職員にもその対応姿勢を明確に周知させなくてはならないし、都職員自身も安心して業務ができるようにしなくてはならないと思う。
1 東京都内には首都と言うこともあって、国の中核的関連施設が多数存在する。これに伴い東京都が有する行政情報の公開や公表等にも影響が生じるのではないか。予想の範囲で良いので所見を伺う。
2 多摩地域には多くの市町に接して横田基地があり、東京都は永年にわたり軍民共用化に向けて米軍や米国との接点を持つ場合があると思うが、関連事項のほぼすべてが「軍事」「外交」に関わることと言えるが、同法はどのような影響があると予想されるか。

二 東京都監察医務院の実績をより社会に貢献できる体制整備をすることについて
現在、東京都立大塚看護専門学校跡地で業務を続けている東京都監察医務院であるが、平成26年には待望の新棟が開院する。また、最近は23年ぶりに新人の検査技師が採用されるなど同院にとって喜ばしいニュースが続いている。
しかし、そもそも検案解剖数が倍増しているのに職員定数が増えていないといった業務環境の改善が見られていない面もあるため、その体制には様々な改善の余地がある。
1 脱法ドラッグ吸引に対する取り締まりは東京都でも積極的に厳格化を進めているものの、東京都監察医務院には遺体の血液に含まれる脱法ドラッグ成分を検出する検査機器がない。やむなく外部に検査を委託しているため、時間がかかっている。自前のLC/MS/MS=液体クロマトグラフィー質量分析器があれば効果的な時間短縮が測れるそうである。島津製作所などの国産メーカーがあるが、導入が可能だろうか、所見を伺う。
2 同院の高度な要求が求められる標本作製技術や、数多くの検案・解剖から傷病の予防・治療方法を発見するといった、検案解剖個々ではなく全体の結果による医療への貢献といった側面は世田谷区松沢にある公益財団法人東京都医学総合研究所と共通する面も多い。両者の連携は医学への大いなる貢献が期待できると思うが、現在どのような連携がなされているのか、また、今後はどのような展望があるのか。
3 これまでも同院が東京23区中心の活動をしてきた一方で、多摩地域の検案解剖には手が届かない状況があり、都議会もその改善に尽力してきた。現在は杏林大学など多摩の2病院の他、地域の医師会に検死などの協力を頂いてきた。今後の予算確保や医師への研修の増加など多摩格差の解消についてどのように考えているか。

三 精神疾患に罹患した東京都職員の復職プログラムについて
近年の職場のうつ及び俗称「新型うつ(非定形うつ)」による休職者の増加は、多くの企業の人事担当者のみならず組織全体の問題として各社対策に腐心している。東京都も例外でないと言える。
1 うつ病を発症した都職員の現在の復職支援について、支援プログラムを段階別にどのような内容かを伺う。
2 俗称「新型うつ」も同様か。
3 休職中の給与保証は基準額の何%か。
4 最大どの程度の休職期間及び時短勤務が認められるのか。
5 復職支援プログラムにはその計画作成者等の支援者によって手法も差異があるが、東京都の場合誰がどのようにプログラム作成及びコーディネートをしているのか。
6 現在の復職支援プログラムのコストはどの程度か、所見を伺う。
7 東京都のような予算や組織規模が大きい企業は比較的復職支援制度が整備されている場合が多いが、本来は中小企業も含めた全ての都内の企業が復職支援ができることが理想である。しかし、予算面を中心に実際には普及が難しい。この課題に対して東京都ができる行動があるか。所見を伺う。

四 物流業界への高校卒業者就労の為の中型自動車免許制度見直しに関する東京都の意見について
平成19年6月の道路交通法の一部を改正する法律の施行により、「中型自動車免許」制度が創設されたが、若年者の輸送・物流業界への新規運転者採用が減少するとともに、せっかく同業界に就職を希望される高卒者がいても、中型免許制度の導入により2年間の経験が必要となり、直ちに運転業務に従事することができないことから採用を見合わせる事態も生じている。その為、全日本トラック協会など関係団体から「普通自動車運転免許の自動車の種類に係る適用要件を、車両総重量6.5トン未満(現行5トン未満)までにすること」を平成23年、24年、25年と当時の民主党政府や現警察庁長官らに対して要望があった。このような経緯を受けて、この度、警察庁は中型自動車免許制度を見直す方針を固め、有識者による検討会の設置を決めたようである。私も、高校卒業者と物流業界の為にも現行制度の見直しが進むことを望むものである。
運転者や交通に関する規制は、昨今の悪質な飲酒運転や無謀運転、大型の貨物や商業車両の無理な運行体制などに対してより厳しく、という状況である。今回の中型免許制度もその辺りに背景があると思う。そのような社会情勢の中で、仮に規制の緩和が進むようなことがあれば、物流業界の都合を優先したようにマイナスイメージだけで理解されかねない。そのような誤解がない様に物事を進める配慮をしていく必要がある。また、2年たてば運転技術やマナーが必ず向上するわけではないのだから、研修の義務付けなどの手法をとることが安全のためには効果的かもしれない、と思う。
1 全国高等学校校長協会も高校卒業生の就職先確保の観点から要望をしていた。東京都も多数の都立高校を抱えているので同協会と同意見ではないかと推察するが、現行制度の高校卒業者の運輸・物流業界の就職の機会確保の為に教育庁はどのように考えるのか。
2 若年者雇用という視点から、産業労働局にも所見を伺う。

平成25年第四回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項  一 特定秘密保護法の東京都への影響について
  1 成立した「特定秘密保護法」は、地方公共団体の業務にも少なからず影響を与えると考えられるが、都が有する行政情報の公開や公表等にも影響が生じるのではないか。所見を伺う。

回答
  「特定秘密の保護に関する法律」では、その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを「特定秘密」として指定することとなっております。
  その指定の対象として、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関する事項の4点について、限定列挙されております。
  「特定秘密の保護に関する法律」については、現段階では施行に向けた政令等の詳細が不明であり、情報公開の観点から、国の動向を注視していきます。

質問事項
 一の2 多摩地域には多くの市町に接して横田基地があり、都は永年にわたり軍民共用化に向けて米軍や米国との接点があると思う。関連事項のほぼすべてが「軍事」及び「外交」に関わることと言えるが、同法はどのような影響があるものと予想されるか伺う。

回答
  特定秘密の保護に関する法律は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止の4分野に関する情報のうち、安全保障上、特に秘匿が必要とされる特定秘密について、その取扱いを定めるものです。
  防衛及び外交については、基本的には国の専管事項であり、同法に基づく特定秘密の指定等の運用基準は、有識者の意見を聴いた上で、施行までの間に閣議で決定されるものと認識しています。

質問事項
 二 東京都監察医務院の実績をより社会に貢献できる体制整備をすることについて
  1 脱法ドラッグ吸引に対する取締りは、都においても積極的に厳格化を進めているものの、東京都監察医務院には遺体の血液に含まれる脱法ドラッグ成分を検出する検査機器がない。導入が可能なのか所見を伺う。

回答
  東京都監察医務院では遺体の検案のみでは死因が判明しない場合、解剖や薬毒物検査を行うなど精度の高い死因究明に努めています。
  脱法ドラッグも検出できる検査機器については、現在進めている東京都監察医務院の建替えに併せて導入することとし、既に必要な経費を平成26年度予算原案に盛り込んでいます。

質問事項
 二の2 同院と公益財団法人東京都医学総合研究所との連携について、現在どのような連携がなされているのか、また、今後はどのような展望があるのか見解を伺う。

回答
  東京都監察医務院と東京都医学総合研究所では、病理検体を用いた診断・研究・教育を通じて都民の保健医療と福祉の向上に寄与するため、現在、覚書を締結し、相互の技術に関する相談・提供や共同研究など連携事業を実施しています。
  今後とも、それぞれの役割に応じて、標本作製や病理診断等の技術協力、病理標本データベースの共有、職員の教育研修など連携を一層深めていきます。

質問事項
 二の3 これまでも同院が東京23区中心の活動をしてきた一方で、多摩地域の検案解剖には手が届かない状況であるが、今後の予算確保や医師への研修の増加など多摩格差の解消について、どのように考えているのか見解を伺う。

回答
  東京都23区は、死因が不明な死体を検案・解剖する監察医を置くべき地域として、政令で定められており、都は独自の組織として監察医務院を設置しています。
  また、政令で監察医を置くべき地域として定められていない多摩地域では、検案業務を公益社団法人東京都医師会に、解剖業務を東京慈恵会医科大学と杏林大学に委託し実施するほか、立川警察署管内については監察医務院による検案業務を実施するなど、多摩地域における検案・解剖体制の確保を図っています。
  さらに、監察医務院では常勤医師に加え、大学医学部等の協力を得て非常勤医師を採用し、後継医師の確保に努めるとともに、検案医を育成するため、医師会や大学の法医学教室と連携し、検案実技を取り入れた研修を実施しています。
  このような取組を通じて、今後も多摩地域を含めた都全域の検案・解剖体制の充実を図るとともに、都内全域での監察医制度の適用についても引き続き国に提案要求していきます。

質問事項
 三 精神疾患に罹患した東京都職員の復職プログラムについて
  1 うつ病を発症した都職員の現在の復職支援について、支援プログラムを段階別にどのような内容なのか伺う。

回答
  知事部局では、職員の心の健康問題への対策を行うことで本人や家族の安心と安全を確保し、また、職場全体の公務能率を一層推進させることを目的として、「職員の心の健康づくり計画」を策定しています。
  この計画においては、り患の予防から復職に至るまで、総合的な対策を講じることとしており、とりわけ、職場復帰については、次の三段階により実施しています。
  第一段階として、職場内で実施する職場復帰訓練の前段で、復帰に向けての準備方法や注意点に関するグループ指導を実施しています。第二段階として、実際の職場で通常業務への復帰に向けた職場復帰訓練を実施しています。第三段階として、職場復帰後、精神疾患の再発予防等を目的として、それぞれの症状に応じた定期的な面接指導を実施しています。

質問事項
 三の2 俗称「新型うつ」も同様なのか伺う。

回答
  うつ病をはじめとした精神疾患については、その病状が多様であり、個別具体的な対応が求められます。
  このため、都においては、職場復帰を進める際に、職員それぞれの症状や状況を詳しく把握し、個人別にきめ細やかな対応を実施しています。

質問事項
 三の3 休職中の給与保証は基準額の何%なのか伺う。

回答
  都においては、精神疾患に限らず、疾病又は負傷で療養が必要となる場合は、国同様の病気休暇・病気休職制度により対応しています。
  療養に当たって、当初90日間の病気休暇制度では、給与が100パーセント支給されます。引き続く病気休職制度では、最大で3年間の療養が可能ですが、休職開始から当初1年間は給与の80パーセントが支給され、その後の2年間は無給となります。

質問事項
 三の4 最大どの程度の休職期間及び時短勤務が認められるのか伺う。

回答
  90日間の療養が可能な病気休暇を30日以上取得後に、職場に復帰する場合は、引き続く1か月間、1日当たり2時間以内の勤務の免除が認められます。
  また、3年間の療養が可能な病気休職の後に、職場に復帰する場合には、引き続く3か月間、1日当たり4時間以内の勤務の免除が認められます。
  なお、病気休職後の勤務の免除については、特別の事由がある場合に限り、医師の診断等の範囲内でさらに3か月間、延長が可能です。

質問事項
 三の5 復職支援プログラムには、その計画作成者等の支援者によって手法も差異があるが、都の場合、誰がどのようにプログラム作成及びコーディネートをしているのか伺う。

回答
  職場復帰に当たっては、産業医が、職員本人と面接し、また、主治医、職場の上司又は人事担当者などの意見も聴取しながら、回復の程度や復帰する職場の状況などを踏まえ、職員それぞれに応じた職場復帰計画を作成しています。

質問事項
 三の6 現在の復職支援プログラムのコストはどの程度なのか所見を伺う。

回答
  職場復帰支援は、り患の予防から復職に至るまでの総合的な精神保健管理の一環として実施しており、切り離して算定することは困難でありますが、知事部局等における精神保健管理の全体的な事務経費については、平成24年度決算で、約7,230千円となっています。

質問事項
 三の7 予算や組織規模が大きい企業は、比較的復職支援制度が整備されている場合が多いが、本来は中小企業も含めた全ての都内の企業において、復職支援を行えることが理想である。しかし、予算面を中心に実際には普及は難しいが、この課題に対して都ができる行動があるのか所見を伺う。

回答
  労働者が心の健康を保持し、いきいきと働ける労働環境を整備するため、都は、セミナーや専用のホームページにより、労働安全衛生に関する法令やメンタルヘルス不調者への対応方法、企業における取組事例など、職場のメンタルヘルス対策についての普及啓発に取り組んでいます。
  こうした取組の中で、従業員の復職を支援しようとする企業に対し、様々な相談や職場復帰支援プログラム作成への助言などの専門的支援を行っている機関に関する情報提供をしています。

質問事項
 四 物流業界への高校卒業者就労の為の中型自動車免許制度見直しに関する東京都の意見について
1 現行の「中型自動車免許」制度において、高校卒業者の運輸・物流業界の就職の機会確保の為に、教育庁はどのように考えるのか見解を伺う。

回答
  平成25年5月に、全国高等学校長協会から国家公安委員会に対して、中型自動車免許制度導入により、物流業界など一部の企業において高校新卒者の採用を控えるなど、就職を希望する生徒の就業機会が狭まることを理由に、中型自動車免許制度の見直しを求める要望が出されています。
  現在、都立高校の就職に関して、中型自動車免許制度の導入による大きな変化はみられませんが、今後、都教育委員会は、全国高等学校長協会からの要望を受けた警察庁の動向を踏まえつつ、生徒が的確な進路選択を行えるよう、就業に関する様々な制度の趣旨を校長連絡会や進路指導主任対象の研修会で徹底するなど、各都立高校における就職指導の充実を図り、生徒の就職機会の確保に努めていきます。

質問事項
 四の2 若年者雇用という視点から、産業労働局にも所見を伺う。

回答
  意欲ある若者が仕事を通じて自らの能力を十分に発揮できるよう、それぞれの希望や適性に応じた就業の機会を確保することは重要です。
  このため、都は、運輸・物流業を含め、幅広い分野の企業が参加する合同就職面接会を実施するとともに、東京しごとセンターにおけるキャリアカウンセリングの中で、希望する業種や職種に応じ、必要な資格や経験の有無などの応募要件をはじめとした情報を提供し、円滑なマッチングを支援しています。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 畔上三和子

質問事項
一 スクールソーシャルワーカーについて

一 スクールソーシャルワーカーについて
学校現場では、教職員の献身的な熱意と努力で、子どもたちの成長発達を支えていますが、不登校やいじめ問題、また家庭内暴力、貧困問題など子どもたちを取り巻く社会環境は厳しいものがあり、スクールソーシャルワーカーの果たす役割に大きな期待と配置の要望が出てきています。
すでに配置している自治体では、スクールソーシャルワーカーは、学校や児童相談所、子ども家庭支援センターなどの関連機関との連携で、児童生徒の家庭訪問もできる、家庭丸ごとへの支援ができるという面で大変重要な役割を果たしていると伺っています。ある自治体では、教育委員会の相談室を拠点に、定期的に学校を訪問するほか、各学校や子ども家庭支援センター等と個別のケース会議をおこない、家庭訪問をしています。
学校からも「是非この家庭を訪問してほしい」「経済的支援に結びつけてほしい」などの要望が寄せられ、スクールソーシャルワーカーはスケジュール表を作って、学校との連携した様々な支援活動をおこなっています。
各自治体で、こうしたスクールソーシャルワーカー事業が積み重ねられつつあります。そうしたなか、中学校長会などからは、スクールソーシャルワーカー配置のための財政的支援の拡充を求める声があがっています。
1 都教委としてスクールソーシャルワーカーの果たしている役割をどう評価されているのか、伺います。
スクールソーシャルワーカー事業は、国が2008年度から事業を発足させ、都も同年からスタートさせています。
2011年度は29区市町村に44名、2012年度は31区市町村に67名と配置が増えてきています。
2 配置した市区町村では効果があがり、配置自治体、人数とも増えているのですから、都教委として全区市町村にスクールソーシャルワーカーを配置できるよう事業を充実させていただきたいと思いますが、いかがですか。
ある自治体では、教育的効果が高いと今年もうひとり配置して、複数配置としましたが、自治体として持ち出しが多く、都として財政支援を強化してほしいとの声が寄せられました。都教委が現在行っているスクールソーシャルワーカー支援事業は、国6分の1、都6分の2の合わせて2分の1補助ですが、実際には、2分の1補助にはとても届かないというのです。
3 スクールソーシャルワーカー事業の予算を拡充し、各自治体が積極的に事業を展開できるよう補助方式及び補助額の拡充を求めます。
スクールソーシャルワーカーの活用のノウハウも重要です。まだ生まれて間もない制度ですから、人選や雇用形態、働き方も区市町村によりそれぞれですし、区市町村教委もまだまだ試行錯誤の段階だと思います。
私がお話を伺った自治体では、どんな人にスクールソーシャルワーカーになってもらうかが重要だと考え、人材を探しに探し、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持ち、療育やケースワーカーなどの豊富な経験のあるベテランの方にお願いしたそうです。地元の福祉制度や医療資源を熟知し、子どもの問題行動の背景に経済的困難や虐待があり医療的ケアが必要な家族がいるなどの複雑なケースでも、どの機関が家庭内の誰をどうやって支援するか役割を整理し橋渡ししてくれているので、本当に助かるし、子どもはもちろん家庭全体が前向きにがんばれる方向へと効果が上がるとのことでした。
活動方法も、定期的な学校訪問などでスケジュールを固めてしまうのではなく、ケース会議や家庭訪問に柔軟に対応できる余裕をつくっておくなど、より良い方法が工夫されていると感じました。
4 都教委として、スクールソーシャルワークの啓発を行うとともに、生きた活用事例やノウハウを情報交換できる場を設けるなど、区市町村がスクールソーシャルワーカー事業をさらにうまく活用できるよう、支援を充実していただきたいと思いますが、いかがですか。
子どもをとりまく学校や家庭、地域の関係の中で子どもを丸ごととらえ、成長発達を保障するスクールソーシャルワーカーを、どの自治体でも複数配置及び拡充できるよう求めます。

平成25年第四回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 スクールソーシャルワーカーについて
  1 都教委として、スクールソーシャルワーカーの果たしている役割をどのように評価しているのか見解を伺う。

回答
  不登校、いじめ、暴力行為、児童虐待などの児童・生徒の健全育成の問題の背景には、家庭環境が影響している場合もあることから、学校が関係機関とのネットワークを構築し、これらの問題に対応していく上で、スクールソーシャルワーカーの果たす役割は大きいと認識しています。

質問事項
 一の2 配置した区市町村では効果があがり、配置自治体、人数とも増えているのだから、都教委として全区市町村にスクールソーシャルワーカーを配置できるよう事業を充実すべきだが見解を伺う。

回答
  スクールソーシャルワーカー活用事業は、国の補助を受け、実施主体である区市町村教育委員会からの配置希望により、平成23年度は29区市町、平成24年度は31区市町、平成25年度は37区市町で実施しています。
  都教育委員会は、引き続き、区市町村教育委員会に対しスクールソーシャルワーカーの配置について、働き掛けを行っていきます。

質問事項
 一の3 スクールソーシャルワーカー事業の予算を拡充し、各自治体が積極的に事業を展開できるよう、補助方式及び補助額を拡充すべきだが見解を伺う。

回答
  スクールソーシャルワーカー活用事業は、平成20年度に国の委託事業として開始し、平成21年度からは、国の補助事業となり、負担割合は、国が6分の1、都が6分の2、実施主体である区市町村が6分の3となっています。
  都教育委員会は、このスクールソーシャルワーカー活用事業を拡充するため、国の負担割合を高めるよう提案要求を行っています。

質問事項
 一の4 都教委として、区市町村がスクールソーシャルワーカー事業をさらにうまく活用できるよう、支援を充実すべきだが見解を伺う。

回答
  これまでも、都教育委員会は、スクールソーシャルワーカーの配置の成果をまとめたリーフレットを作成し、区市町村教育委員会をはじめ、都内公立学校全てに配布するとともに、各区市町村教育委員会の生活指導を担当する指導主事の連絡会で事例報告するなど、効果的な活用について周知してきています。
  今後とも、こうした取組により、区市町村教育委員会に対する支援の充実を図っていきます。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 ストーカー対策について

一 ストーカー対策について
10月8日に三鷹市で発生した殺人事件に関して、被害者が加害者からストーカー行為を受けていたことが報道され、社会に大きな衝撃を与えました。その後、警視庁では対応を協議し、12月6日に「ストーカー・DV総合対策本部」を立ち上げると発表がありました。迅速な体制確立は評価しますが、引き続き、被害者の生命と安全を守るために万全を期していただきたい趣旨から以下質問します。
1 過去5年間の警視庁管内におけるストーカー行為等相談受理状況を伺います。昨今では、インターネットの普及や短絡的に殺人につながる事例など社会状況の変化も見られます。都民の関心が高まると相談件数が増えるため発生件数とは必ずしも一致しない場合もありますが、近年のストーカー行為についての傾向、特徴を伺います。
2 昨年、ストーカー行為について相談を受理した案件について、警告等の対応を行った件数を伺います。また、こうした対処により犯罪への抑止効果がどのようにあったのか伺います。
3 このたび「ストーカー・DV総合対策本部」が設置されると伺っていますが、これまで組織上どのような問題点があり、今回改善が図られるようになったのか、新体制の人員体制や特徴を含めて伺います。
4 ストーカー行為が殺傷事件にならないよう被害者の安全確保が何より最優先になります。安全確保に向けた取り組みを伺います。また、シェルターとはどのように連携していくのかも含めて伺います。
5 相談に来た方に対して、丁寧に接し、その状況を的確に判断することが必要になります。職員のより高い能力が求められますが研修などをどのようにしていくのか伺います。
6 被害者にとっては警察に相談することを躊躇する場合もあります。遠慮なく相談してもらえるよう、そしてその場合、安全を守るということを広報する必要があります。警視庁や各警察署に専門の相談窓口や相談電話の設置を行うことも必要だと思います。相談体制や広報について見解を伺います。
7 民間の支援団体としてNPO法人や相談機関との連携も重要です。どのように連携していくのか伺います。

平成25年第四回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 ストーカー対策について
  1 過去5年間の警視庁管内におけるストーカー行為等相談受理状況について伺う。都民の関心が高まると相談件数が増えるため発生件数とは必ずしも一致しない場合もあるが、近年のストーカー行為についての傾向、特徴について伺う。

回答
  平成20年から平成24年までの警視庁管内におけるストーカー事案の相談認知件数は、平成20年は1,077件、平成21年は1,120件、平成22年は1,032件、平成23年は993件、平成24年は1,437件となっています。
  平成24年の相談の状況について見ると、相談者の性別では女性が約86パーセント、年齢別では20歳代と30歳代が全体の約70パーセントを占めています。ストーカー行為者の性別では男性が約84パーセント、年齢別では20歳代から40歳代までが全体の約70パーセントを占めています。行為の形態では、面会、交際その他義務のないことを行うことを要求する行為が最も多く全体の約30パーセントを占め、次いで、つきまとい、待ち伏せ、押し掛け等の行為が約25パーセントとなっています。平成20年から平成23年までの相談についても、ほぼ同様の傾向となっています。

質問事項
 一の2 昨年、ストーカー行為について相談を受理した案件について、警告等の対応を行った件数について伺う。また、こうした対処により犯罪への抑止効果がどのようにあったのか伺う。

回答
  平成24年中におけるストーカー事案の相談認知件数1,437件のうち、ストーカー規制法に基づく警告件数は275件です。警告後にストーカー行為が再発し禁止命令に移行した件数は16件で、このうち、禁止命令に従わなかったことによりストーカー規制法違反として検挙した件数は3件です。そのほか、警告後、禁止命令に移行することなくストーカー規制法違反として検挙した件数は4件です。
  また、警告後にストーカー行為が確認されなかった件数は、警告件数の約92.7パーセントに当たる255件となっており、警告による一定の抑止効果があったものと考えています。

質問事項
 一の3 このたび「ストーカー・DV総合対策本部」が設置されたが、これまで組織上どのような問題があり、今回、改善が図られるようになったのか、新体制の人員体制や特徴を含めて伺う。

回答
  ストーカー・DV事案については、被害者やその親族等に危害が加えられる危険性、切迫性を正確に把握することが重要となります。これを組織として、より的確に把握し、関係部署が一体となって様々な事態に対して迅速な対応を図るため、昨年12月13日、副総監を本部長とする「ストーカー・DV総合対策本部」を設置しました。また、同対策本部内に約80名体制の「ストーカー・DV事態対処チーム」を設置し、警察署におけるストーカー・DV事案への相談対応を支援することとしました。
  「ストーカー・DV事態対処チーム」は、専任理事官の下に、生活安全部ストーカー対策室並びに刑事部捜査第一課及び機動捜査隊並びに総務部被害者支援室の職員で構成されており、交替制勤務による24時間体制で、警察署からの要請に基づき、速やかに警察署の支援に当たります。

質問事項
 一の4 ストーカー行為が殺傷事件にならないよう、被害者の安全確保が何より最優先だが、安全確保に向けた取組について伺う。また、シェルターとはどのように連携していくのかも含めて伺う。

回答
  被害者やその親族等に危害が加えられる危険性・切迫性に応じ、加害者の検挙措置等による加害行為の防止を図るほか、被害者等に一時避難を促したり、身辺警戒などの保護措置を執るなどして、被害者等の安全を確保していきます。
  また、シェルターへの避難が円滑に行われるように、東京都女性相談センター等の関係機関・団体と、より一層、緊密な協力関係を確立するとともに、シェルター以外にも協力を頂ける宿泊施設の確保に努めていきます。

質問事項
 一の5 相談者に対して、丁寧に接し、その状況を的確に判断することが必要になるため、職員のより高い能力が求められるが、研修などをどのようにしていくのか伺う。

回答
  個々の相談担当者の対処能力を向上させるため、民間有識者の知見も借りつつ、過去の事例に基づき、ストーカー行為をした者の平素の言動や性格、生活実態、具体的なストーカー行為の形態、相談者との関係、相談者の状況等から想定される具体的な危険性や対処方策等について、相談担当者を対象とした研修を充実させていきます。

質問事項
 一の6 警視庁や各警察署に専門の相談窓口や相談電話の設置を行うことも必要だが、相談体制や広報について見解を伺う。

回答
  警視庁本部では、警察相談専用電話「♯9110」を設けており、従来からストーカー相談の場合には、生活安全部ストーカー対策室で受理することとしていました。警察署では、主に生活安全課の相談担当者が来署又は電話による相談を受理していました。
  今後、ストーカー・DV相談については、警視庁本部では「ストーカー・DV総合対策本部」がこれを受理するほか、警察署においては、刑事事件化を検討する必要がある場合には、生活安全課員と刑事課員が共同で聴取を行うこととし、同対策本部とも連携して事態の危険性・切迫性の判断を行います。また、関係機関・団体にも協力を呼びかけながら幅広い広報を行っていきます。

質問事項
 一の7 民間の支援団体としてNPO法人や相談機関との連携も重要だが、どのように連携していくのか伺う。

回答
  男女間の問題解決を支援する各種相談機関やNPO法人、学校等の教育機関、相談者の安全確保を支援するシェルター運営団体や警備業者、行為者のカウンセリング等を実施する専門機関等と広く連携し、社会全体でストーカー被害等の予防、拡大防止を図るための取組を促進していきます。

平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
一 中小建設業の振興について

一 中小建設業の振興について
都内の建設産業は、2012年の産業別倒産件数が全産業の16%、卸売業・小売業27%に次ぐものです。休廃業・解散企業数は、同じく18%です。これは、サービス業29%、卸売業18%に次ぐものです。一方、開業は1.3%と、全産業平均2.3%を大きく下回っています。
長期的に見ても、国土交通省の調査によると、建設投資額は2000年66兆円にたいし、2012年度45兆円、就業者数は653万人から503万人に減少する見通しと発表しています。
このように、建設産業の実態は深刻です。
1 東京都は、建設産業のこうした実態について、どのように認識していますか。
総務省調査によると、建設業の場合、29歳以下の就業者比率が全産業平均の70%を下回っています。
建設産業で働く就業者数は、この10年間でみると20%近くも減少。1985年と2010年を比較すると、大工は半減、土木作業者は4割減少などと深刻です。国交省も、このまま続けば、若者の入職者が減少し、建設労働者は不足するとの見通しを立てています。
このままでは、都民が、低廉で高品質の住宅を確保できるようにするという住宅政策にも支障をきたしかねません。
国土交通白書によると、建設後50年以上経過する社会資本の割合が、道路橋が、2010年度約8%が、2030年度約53%と急増するとされています。
このままでは、災害対応やインフラの維持・補修に支障をおよぼすおそれもあります。
2 都として、中小建設産業の育成、建設技能労働者の確保について、長期的な視点にたって都政の課題として建設産業振興政策を打ち出すことが求められると思いますが、どうですか。
3 中小建設産業の育成、建設技能労働者の確保などを都として責任もってすすめる事業担当部門を設けるべきではありませんか。
現在、都に中小建設産業振興について責任もって担当する部門がないために、都としてやるべき課題が山積していながら、手がついていません。
はじめに、建設産業労働者の賃金問題です。
若手の建設技能労働者が入職しない要因は、建設産業専門団体連合会の調査によれば「収入の低さ」が58%と最も多くなっています。
建設労働者の確保には、適正な賃金確保が欠かせません。今年4月には、とうとう国も公共設計労務単価について、これまでにない引き上げをしました。都としても、こうした賃金引き上げの流れをしっかり受け止め対応するよう、いくつか提案します。
4 建設労働者の賃金は、もともと労使交渉の中で決まっていくものですが、都内にはゼネコンが集中し、都の大規模公共工事も請け負っています。こうしたゼネコンに、賃金の引き上げ、下請け工事の適正な契約について、都として求めるよう提案します。
建設産業では、重層化した下請け契約が常態化しています。
中小企業庁の調査によると、東京における中小企業1社あたりの工事受注額は全国トップですが、全国に比べて公共工事の受注額が低く、下請け工事受注額が高いという特徴があります。
5 都は、建設業法、建設業法遵守ガイドラインなどにそって、施工段階において、下請契約の請負代金や支払い方法等について、適正に履行されているかどうか点検をしているのですか。どのように行われていますか。具体的にお示しください。
下請け企業が、適正な賃金を確保できない契約がされていないかなどを、都として随時、把握できるような体制がつくられていることが必要です。
東京都では、担当部署を設け、建設業者の、不正行為等の指導監督等をおこなっていますが、その案内はホームページでは、建設工事の請負契約をめぐる紛争について、公的機関「建設工事紛争審査会」を案内しているだけです。
今年の第2回定例会のわが党の質問には、建設工事の請負契約を巡る元請下請間等に関するトラブルの相談窓口は、国に設置された建設業取引適正化センターがあると答弁するだけでした。また、東京都発注の公共工事における、下請け代金未払い被害の相談件数さえも、都として把握していないこともわかりました。
6 都として、建設工事の請負契約を巡る元請下請間等に関するトラブルの相談窓口を設置する必要があるとは思いますが、どうですか。
7 また、そうした相談活動を通して把握できた情報のみならず、下請け企業が、適正な賃金を確保できないような契約などがないかなどを随時、把握する体制を都の中につくる必要があると思いますが、どうですか。
都が発注する公共工事での、建設労働者の適切な賃金確保に都の果たす役割も重要です。
8 2013年度から都内の公共設計労務単価は約18%上昇しましたが、都の建設工事の予定価格について中小建設業者から「1%から3%の引き上げ」にしかなっていないとの声があがっています。これは、都の公共工事の予定価格にしめる労務費の割合が、もともと低すぎるということではないですか。
9 都は、今定例会で公共工事における建設労働者の賃金実態について「我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉等により、自主的に決定される」との考え方を示しています。
しかし、もともと公共工事の積算は、標準的な施工能力を持つ建設業者が、標準的な価格の資機材を使い、標準的な能力及び賃金の建設労働者を使用して工事を行うことを前提としているのではありませんか。
10 都は、低入札価格調査対象の案件でも、「資材や資金の調達など、経営者の経営努力の結果によるもの」「工事の施工管理では成績評定制度を設けるなど、適正な履行の確保に努めている」として、低入札価格調査の対象工事でも特に問題はなく、第三者の評価機関による適否の判断を求める必要はないとの立場をとり続けています。このように、低入札調査価格でも、まったく問題にしていませんが、その背景には工事現場の建設労働者の賃金は最低賃金さえ確保されていれば問題ないとする都の認識があるのではありませんか。賃金については、どのような調査をされているのですか。それぞれ、お答えください。
11 倒産、下請けなど経営上やむをえない場合はともかく、下請け代金等の未払いをおこなった業者については、入札参加規制をはかるため、下請け業者からの相談を受けたり、裁判所より判決を受けたり、督促等の措置を受けた場合には、専門の部署が事実認定をして元請けに入札参加規制する仕組みが必要だと思いませんか。
最後に、仕事確保の問題です。
12 都が発注する軽易な修繕工事など小規模工事の受注の機会を積極的に提供する、小規模工事等契約希望者登録制度の実施は、地域の業者の仕事確保につながると思いますがどうですか。
東京都には、多摩地域の森林から、一定の木材が産出されています。都は、すでに多摩産材の普及及び利用拡大のため、魅力的な製品開発や住宅関連産業の中での利用拡大をすすめるための提案に助成するなどの取り組みをしています。
13 都は、製材所、工務店、設計事務所や多摩地域の市町村をメンバーにした「東京の木・いえづくり協議会」を2001年に発足し、多摩産材を使用した住まいづくりを通じて、安全で安心できる居住環境の実現と、持続的な森林資源の構築、循環型社会へ向けて努力するとされていました。
  この協議会は、現在、どのような問題にぶつかり、どのように進めていく予定ですか。
14 森林関係者、住宅関連産業、製造業の方々などから幅広く参加していただき、多摩産材を使って低廉で高品質、安全で安心な住まいづくり、生活関連製品などができるしくみをつくることを提案するものですが、どうですか。

平成25年第四回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 中小建設業の振興について
  1 都内の建設産業は、2012年の産業別倒産件数が全産業の16%、卸売業・小売業27%に次ぐものであり、休廃業・解散企業数は、同じく18%である。都は、建設産業のこうした実態について、どのように認識しているのか伺う。

回答
  都は、市場の動向に注視しながら、建設業団体とも意見を交換しており、引き続き、建設業法に基づき建設工事の請負契約の適正化等を図ってまいります。

質問事項
 一の2 都として、中小建設産業の育成、建設技能労働者の確保について、長期的な視点にたって都政の課題として建設産業振興政策を打ち出すべきだが見解を伺う。

回答
  東京には多種多様な業種が存在し、いずれも東京の経済を支える重要な産業であることから、都は、業種のいかんに関わらず、意欲的に経営革新等に取り組む中小企業を支援しています。

質問事項
 一の3 中小建設産業の育成、建設技能労働者の確保などを、都として責任をもってすすめる事業担当部門を設けるべきだが見解を伺う。

回答
  東京には多種多様な業種が存在し、いずれも東京の経済を支える重要な産業であることから、都は、業種のいかんに関わらず、意欲的に経営革新等に取り組む中小企業を支援しています。
  したがって、お話のような事業担当部門を設ける考えはありません。

質問事項
 一の4 建設労働者の賃金は、もともと労使交渉の中で決まっていくものだが、都内のゼネコンに、賃金の引き上げ、下請け工事の適正な契約について、都として求めるべきだが見解を伺う。

回答
  都は、建設業団体や元請企業に対して毎年通知している「下請負人等に対する契約の適正化及び支払の迅速化並びに必要な技術者の配置等について」により、下請負人等に対する契約の適正化等を求めています。

質問事項
 一の5 都は、建設業法、建設業法遵守ガイドラインなどにそって、施工段階において、下請契約の請負代金や支払い方法等について、適正に履行されているかどうか点検をしているのか。どのように行われているのか。具体的に伺う。

回答
  都は、建設業取引適正化推進月間を始め、様々な機会を活用し、下請契約の履行状況を含めて、建設業者への立入検査等を実施しています。

質問事項
 一の6 都として、建設工事の請負契約を巡る、元請下請間等に関するトラブルの相談窓口を設置すべきだが見解を伺う。

回答
  元請下請間等に関するトラブル相談窓口としては、国において建設業取引適正化センターが設けられています。
  都は、請負契約を巡るトラブルの相談があった場合、必要に応じて、同センターを紹介しています。

質問事項
 一の7 下請け企業が、適正な賃金を確保できないような契約などがないかなどを随時、把握する体制を都の中につくるべきだが見解を伺う。

回答
  都は、建設工事の請負契約を巡る相談・通報等を受け、随時、必要な対応を既に行っております。

質問事項
 一の8 2013年度から都内の公共設計労務単価は約18%上昇したが、都の建設工事の予定価格について中小建設業者から「1%から3%の引き上げ」にしかなっていないとの声があがっている。これは、都の公共工事の予定価格にしめる労務費の割合が、もともと低すぎるということではないのか。所見を伺う。

回答
  予定価格における労務費相当分については、労務単価の引上げを適切に反映しています。具体的な上昇額は、個々の工事案件ごとに異なります。

質問事項
 一の9 もともと公共工事の積算は、標準的な施工能力を持つ建設業者が、標準的な価格の資機材を使い、標準的な能力及び賃金の建設労働者を使用して工事を行うことを前提としているのではないか。見解を伺う。

回答
  都では、工事の円滑かつ適正な施行を図ることを目的として「東京都工事施行規程」を定めています。
  公共工事の積算は、本規程に基づいて定める「積算に関する基準」により行うこととなっています。

質問事項
 一の10 都は、低入札調査価格について、まったく問題にしていないが、その背景には工事現場の建設労働者の賃金は最低賃金さえ確保されていれば問題ないとする認識があるのではないか。賃金については、どのような調査をしているのか。それぞれについて伺う。

回答
  我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法が下支えしつつ、業績等を踏まえながら、各企業が対等な労使間での交渉等で自主的に決定しています。
  都で直接締結している契約であっても、契約の相手方である企業で働く労働者の労働条件は、企業の経営方針や経営の状況を踏まえて労使間で決定したものであり、法令違反でない限りは尊重されるべきものであると認識しています。
  また、労務単価については、低入札価格調査の調査項目の一つとなっています。下請予定者の資材単価が著しく低くなっていないか、下請に係る見積額が入札金額の積算内訳に正しく反映されているか、調査対象者及び下請予定者は、法令に従い社会保険に加入しているか等と合わせて調査を行い、下請へのしわ寄せがないことを確認しています。

質問事項
 一の11 下請け代金等の未払いをおこなった業者について、入札参加規制をはかるため、専門の部署が事実認定をして元請けに入札参加規制する仕組みが必要だが見解を伺う。

回答
  都の契約は、契約約款により法令遵守を義務付けています。
  下請代金の未払い等、元請下請間のトラブルについては、当事者の話合いによる解決を図るとともに、紛争となった場合には、建設業法に基づき東京都建設工事紛争審査会など紛争処理機関が設置されています。
  また、都発注の工事に限らず、建設業法等関係法令に違反し、営業停止処分となった事業者については、東京都競争入札参加有資格者指名停止等取扱要綱に基づき、指名停止を行い、入札から一定期間排除することとしています。

質問事項
 一の12 都が発注する軽易な修繕工事など小規模工事の受注の機会を積極的に提供する、小規模工事等契約希望者登録制度の実施は、地域の業者の仕事確保につながると思うが見解を伺う。

回答
  都は、これまでも、分離分割発注の推進、事業協同組合等の活用などにより、中小企業者の受注機会増大に努めています。
  このことは、「官公需についての中小企業・小規模事業者の受注機会の確保について」という通知文により各局に通知し、徹底を図っています。
  平成23年度においては、工事契約件数の約85パーセントを中小企業と契約しています。
  また、小規模工事等契約希望者登録制度を都において導入する予定はありませんが、少額な案件については、随意契約によることができるため、東京都に入札参加資格の申請をしていなくても、これに参加することは可能です。

質問事項
 一の13 都は、「東京の木・いえづくり協議会」を2001年に発足し、安全で安心できる居住環境の実現と、持続的な森林資源の構築、循環型社会へ向けて努力するとしていたが、現在、どのような問題にぶつかり、どのように進めていく予定なのか伺う。

回答
  都は、木材供給者や住宅生産事業者等とともに「東京の木・いえづくり協議会」を設立し、多摩産材を活用した家づくりの普及啓発のためのイベント・セミナーの開催や優遇融資制度の情報提供などを行っております。
  今後とも、こうした協議会の活動を通じて、住宅への多摩産材の活用促進を図ってまいります。

質問事項
 一の14 多摩産材を使って低廉で高品質、安全で安心な住まいづくり、生活関連製品などができるしくみをつくるべきだが見解を伺う。

回答
  都は既に、多摩産材を利用した新たな製品開発に加え、多摩産材を活用した家づくりに取り組む団体のPR活動などに対する支援を行っています。
  また、多摩産材を利用した住宅・什器による二酸化炭素の固定量等を評価認証する「とうきょう森づくり貢献認証制度」を行っています。

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