平成二十五年東京都議会会議録第十七号

〇副議長(藤井一君) 九番石川良一君。
   〔九番石川良一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇九番(石川良一君) 日本維新の会東京都議団を代表いたしまして、まず、猪瀬知事の借入金問題について伺います。
 猪瀬当時東京都副知事は、昨年十一月六日に徳洲会系列の湘南鎌倉総合病院に出向き、徳洲会グループ創設者の徳田虎雄氏と面会し、徳田毅衆議院議員を紹介されました。そして、副知事辞任前の二十日に、単身で衆議院議員会館の徳田毅議員事務所を訪ね、借用証への署名を求められ、名目を告げることなく、無利子、無担保、無期限で五千万円を借り入れたというものであります。
 知事選挙において、企業・団体献金が禁止されていることは、選挙に出ようとする者にとっては常識のはずであります。しかも、五千万円の借り入れは、毅議員からの個人的な借り入れであることを強調していますが、毅氏とそれまで会ったこともなく、ましてや友人でも知人でもないことからして、徳洲会という団体からの借り入れであることは否定することができません。
 自治体の代表は強い職務権限を持っており、行政と利害関係のある企業、団体との関係は、要らぬ疑念を持たれることのないよう、その行動には慎重にも慎重を期す必要があります。しかしながら、今回はどう見ても、徳洲会からの借入金とするのが当然で、まさにグレーゾーンに足を踏み込んだことになり、都民の期待や信頼に背くものといわざるを得ません。
 このような、都と利害関係を有する者から、都の一般職の職員が借り入れをしたことによって、職員服務規程違反で懲戒免職になった事例があることが明らかになりました。特別職の猪瀬副知事といえども、今回のこのような借り入れは、服務紀律違反となり、懲戒免職に当たる免官となることは明らかであります。
 一般職の職員が懲戒免職処分の場合は、退職金は没収されます。まず、職員を統括すべき知事の立場として道義的に、副知事の二期目の退職時に受け取った十八カ月分、一千二十六万円の退職金を供託して、知事退職時に返納する決意をすべきと考えますが、その気持ちがおありでしょうか、お伺いいたします。
 そして、今回の質疑でも明らかになった、郵送された借入証の封筒は保管されていますか。されていれば、ぜひ提出をしていただきたいと思います。いかがですか、お伺いいたします。
 都民は、政治と金の問題にうんざりしており、政治畑出身でなく、作家として鋭く政治問題にも切り込んできた、クリーンで改革派の猪瀬氏ゆえに四百三十四万票を投じたといっても過言ではないかと思います。しかしながら、資産報告については、完全に条例に違反をしていることも改めて指摘をしておかなければなりません。
 これらの不始末にどのような責任をとるのか伺うものであります。
 多摩振興について伺います。
 多摩地域は、東京都の中でも真っ先に人口減少と超高齢社会の到来、そして自治体の財政難という大きな日本社会に押し寄せる波にさらされなければならない立場に置かれています。そのような状況の中で、いかに各自治体がその持てる特性を生かし、活力があり、住みやすい町をつくっていくのかという極めて困難な課題に挑戦をしなければならないわけであります。
 本年三月に出された新たな多摩のビジョンは、多摩地域は最先端産業や数多くの大学研究機関を集積し、日本の心臓である東京の発展を担う重要な地域であるとしています。そして、右肩上がりの成長、拡大から、活力ある都市の成熟、持続へと発想転換を図っていくとしております。
 一方で、東京は、東京都全体の新たな長期ビジョンを十二月末までに策定することを明らかにしました。
 今後の多摩地域の振興を図る上で、新たな多摩のビジョンを踏まえた上で長期ビジョンとの整合性を図りながら具体的な取り組みを推進していくことが重要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
 また、本年九月に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が正式に決定しました。多摩地域でもサッカー、近代五種、自転車ロードレースが行われます。今後、都が展開をする多摩振興策においても、オリンピックを有効に活用して、地域の活性化につなげる視点を持つことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、新たな長期ビジョンは十二月末までに作成するとのことでありますが、鈴木知事のマイタウン東京も、青島知事の生活都市東京構想も、石原知事の東京構想二〇〇〇も、都民、そして都議会の意見も含め、衆知を集め、策定されたと認識をしております。また、市町村の長期計画策定には二年から三年かけるのが普通であります。
 今都議会は、都知事自身の選挙の出馬にかかわる借入金問題に時間と労力をとられています。新たな長期ビジョンを十二月いっぱいまでに完成させるというような拙速を避け、もっと時間をかけ、都議会の意見を聞く機会を設け、衆知を結集して策定されることを強く望むものであります。
 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 石川良一議員の一般質問にお答えします。
 副知事時代の退職金を返納し、責任を果たすべきとのお尋ねでありますが、今回の私の行動が、都政にさまざまな迷惑をかけていることは承知しており、その責任も感じているところであります。副知事退職金の返納については、ご意見として受けとめさせていただきます。
 借用証が送られてきた際の封筒についてでありますが、その封筒は保管していません。 私の事務所には、毎日大量の郵便物を含む書類が届きます。封筒は特に保管していませんので、事務所のスタッフにより処分されたと聞いています。
 みずからの責任についてでありますが、今回の問題について、都民、国民の皆様、都議会の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたということ、その混乱を招く一因をつくった自分自身の至らなさを心から反省しております。改めておわび申し上げます。
 また、借入金を資産等報告書に記載していなかったことは、私の不徳のいたすところであります。先日、訂正を済ませました。大いに反省しています。
 都政には、一日もおくれてはならないことが山積みされております。都議会の皆様と車の両輪となって、一生懸命、仕事をしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、その他の質問は、総務局長が答弁いたします。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の多摩地域の振興についてでございますが、都は、将来の人口減少など、多摩地域を取り巻く状況の変化を踏まえ、本年三月に新たな多摩のビジョンを策定いたしましたが、今後は本ビジョンの具現化に向けた取り組みを推進していく必要がございます。
 このため、少子高齢化対策や産業力の強化、スポーツ振興など幅広い分野にわたり、都の施策に加え、市町村、民間等の取り組みも盛り込んだ新たな多摩のビジョン行動戦略を、現在策定中の長期ビジョンとの整合も図りながら、今年度内に取りまとめる予定です。
 今後、この行動戦略に基づき、多様な主体の力を結集して、魅力と活力にあふれた多摩地域の実現を目指してまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピックを活用した多摩地域の活性化についてでございます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、東京のさらなる飛躍につながる大きな契機であり、開催の効果を多摩地域も含めた都内全域に広く波及させることが重要です。
 このため、二〇二〇年の東京開催を多摩地域をPRするまたとない機会として捉え、豊かな自然や歴史文化、各地の特産品など、多摩の有する多様な魅力を市町村等とも連携を図りながら、広く発信してまいります。
 今後、オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて多様な主体と連携し、多摩地域の活性化につながる取り組みを推進してまいります。

〇議長(吉野利明君) 以上をもって質問は終わりました。

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