平成二十五年東京都議会会議録第十七号

   午後五時五十五分開議

〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十七番今村るか君。
   〔七十七番今村るか君登壇〕

〇七十七番(今村るか君) 初めに、台風二十六号による甚大な被害を受けた大島でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 災害から一人でも多くの生命や財産を守るためには、民間の力を行政が支援、誘導などを図り、より引き出すことが重要です。例えば帰宅困難者対策は、条例で都内の民間事業者に三日分の備蓄を求めるとともに、帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設についても協力を呼びかけています。
 さきの大島の災害時には、災害ボランティアセンターが設置をされ、行政や住民だけでは対処し切れない被災者宅の片づけや、きめ細やかなケアにボランティアが活躍をいたしました。特に、組織的に運営やボランティアを派遣をしている青年会議所や連合ボランティアサポートチームなどの活動は、消防団とともに大きな力となっています。
 このように民間との協働は、都による働きかけやきっかけづくりが重要です。その取り組みの一つに、都が災害時に備え、民間団体と締結をしている災害時応援協定があります。既に医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会との間で救護活動に関する協定や、建設業協会との間で応急対策業務に関する協定が締結されるなど、災害対応に不可欠な役割を担っています。
 協定締結に際し、都が適切に費用負担を行うのはもちろんのこと、災害時に民間団体の積極的な協力を得られる仕組みづくりを構築するなど、各局が率先して民間団体との連携を図る努力が必要です。
 そこで、都と民間団体が締結をする災害時応援協定の意義を伺います。
 先日、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催されたスポーツ祭東京二〇一三が閉幕いたしました。
 本大会の特徴として、期間中、私の地元にある都立町田の丘学園の生徒たちが沖縄伝統エイサーを踊り、都立特別支援学校生徒によるアナウンスや、車椅子利用者が炬火走者やプラカーダーを務めるなど、多くの場面で障害者が活躍し、大会を支える裏方の仕事にも参加していたと聞いています。そこには、ともに大会をつくり上げる姿がありました。
 スポーツ祭東京二〇一三は、さまざまなボランティアによって支えられた大会でもありました。特に全国障害者スポーツ大会特有のボランティアとして選手団サポートボランティアがあり、都内から約千名もの学生が選手団の到着から見送りまで、六日間にわたって競技会場でサポートを行いました。
 初日はぎこちなかった学生たちも、選手たちと時間を過ごすうちに打ち解け、選手と一体となって競技に臨み、競技結果を自分のことのように一喜一憂し、メダルを獲得した選手とサポートボランティアが抱き合って喜びを分かち合う姿があちこちで見られたと聞いています。最終日には、選手からもらったメッセージ入りのTシャツは私の宝物だなどの声が届くなど、新たなきずなが生まれたと聞き、大変うれしく思いました。
 このような障害のあるなしにかかわらず、ともに支え合い、一体となって盛り上がった今大会を通じて、見た人も参加した人もともに学び、ともに成長し、お互いの理解がこれまで以上に進んだことと確信をしています。
 そこで、改めて大会の成果を伺い、その成果をどのように生かしていくのかを伺います。
 昨年、ロンドンで開催されたパラリンピック競技大会は、団体種目初の快挙となりますゴールボール女子チームの金メダルの獲得を初め、日本人選手の活躍もあり、パラリンピックが注目を浴びるようになってきました。
 ロンドン大会は、過去最高の二百七十万人の観客を記録するなど、障害者スポーツにとって大きな成果であったといわれ、閉会式のスピーチでは、国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイブン会長が、このロンドン大会を過去最高の大会と評したとのことです。
 しかしながら、日本においては、まだ障害者スポーツへの関心が低いのが現状です。国は、障害者選手の強化方針を打ち出し、ナショナルトレーニングセンター新設検討を行っています。
 一方、都は、二〇二〇年パラリンピック大会を二百七十万人の観客が熱狂したロンドン大会を上回る大会とすることを目指しています。
 都では、北区と国立市にあります障害者スポーツセンターを中心に、障害者へのスポーツ支援を行ってきました。この二つのセンターは、今後も障害者スポーツの中核を担っていくことが期待されますが、さらに障害者が身近な地域でスポーツ活動ができる場づくりなどを行い、裾野を広げ、障害者スポーツを推進させることがアスリートの発掘にもつながり重要と考えます。都の認識、取り組みを伺います。
 全ての学校での教育現場において、さまざまな機会を使い、障害者スポーツとのかかわり、きっかけをつくり出すことはとても重要です。ロンドン大会百メートル背泳ぎに出場した、当時、港特別支援学校の長尾智之さんの活躍は、特別支援学校の生徒たちにすばらしい影響と夢を与えました。
 そこで、都立特別支援学校においても障害者スポーツの裾野を広げる取り組みが必要と考えますが、都教育委員会の認識と今後の取り組みについて伺います。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会開催までには、二〇一四年の世界卓球選手権、二〇一六年のアジア水泳選手権などが予定をされており、今後もこのような国際スポーツ大会において東京をアピールし、経験を積む必要があると考えます。
 特に二〇一九年には、ラグビーワールドカップが日本で開催され、新国立競技場がメーンスタジアムとして利用される予定です。現在、ラグビーワールドカップの開催受け入れを希望する十九の都道府県と三十七の市区町村と組織委員会の協議が進められていると聞いています。
 私の地元町田市には、キャノンイーグルスの本拠地、キャノンスポーツパークがあり、市民はもちろん、地元経済団体からも大きな期待が寄せられています。
 そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会成功のために、今後、東京で開催される国際スポーツ大会に対する都の対応と、前年開催されるラグビーワールドカップに積極的に対応すべきですが、認識と取り組みを伺います。
 あす、あさって、国際パラリンピック委員会、世界車いすダンススポーツ選手権大会が駒沢体育館で開催をされますが、障害者スポーツやパラリンピックの認知度は、オリンピックに比べ、残念ながら低い状況にあります。
 一方、パラリンピックとともにオリンピックの名称使用を許可されている障害者スポーツに聴覚障害者のデフリンピック、知的障害者のスペシャルオリンピックスがあります。障害者スポーツ全体の認知度向上を図り、パラリンピックの成功のため、それぞれの主催団体である全日本ろうあ連盟やスペシャルオリンピックス日本との連携が大切と考えます。
 そこで、全日本ろうあ連盟やスペシャルオリンピックス日本を重要なパートナーとして障害者スポーツ全体の認知度向上を図っていくべきと考えますが、都の認識と今後の取り組みを伺います。
 ことし九月、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が決定をし、都は大会を通じ、世界中に復興した被災地の姿を届けるとしています。十月に閉幕したスポーツ祭東京二〇一三では、健常者と障害者のスポーツの垣根が取り払われ、心のバリアフリー、ソーシャルインクルージョンが実践をされました。
 先月十一月には、スペシャルオリンピックス創始者、アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妹、ユーニス・ケネディ・シュライバーをおばに持つ、キャロライン・ケネディ駐日大使が就任をされ、その足で東日本大震災の被災地に向かわれ、被災者のみならず、日本中に希望を与えました。
 私は、東京の使命の一つは、皆さんとともに二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させ、被災地の復興に寄与し、スポーツを通じ、障害のある人、ない人が真にともに生きる社会をつくること。そう遠くない時期に、まだ日本で開催をされていないスペシャルオリンピックス夏季大会とデフリンピック大会を私たちのこの東京で開催することだと考えます。
 その実現を願い、私は全力を尽くすことを誓い、質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 今村るか議員の一般質問にお答えをいたします。
 障害者スポーツを広げる取り組みについてでありますが、都立特別支援学校の教育活動に障害者スポーツを取り入れることは、児童生徒が生涯にわたりスポーツに親しむ態度や習慣の基礎を育む上で重要であります。
 現在、例えば視覚障害や肢体不自由の特別支援学校では、フロアバレーボールやハンドサッカーなどの障害者スポーツを学習に取り入れ、児童生徒が障害の種類や程度に応じてスポーツに親しむ教育を進めております。
 今後、都教育委員会は、全ての都立特別支援学校における小学部段階からの障害者スポーツを取り入れた体育活動の充実や普及啓発を目的とした教員研修の実施、新たな競技種目の研究開発などにより、各学校の教育活動を支援し、障害者スポーツを広げる取り組みの充実に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 都と民間団体が締結する災害時応援協定の意義についてでございます。
 大規模地震等の発災時には、火災や建物倒壊による多数の負傷者の発生、道路閉塞による物流の寸断など、大きな被害が懸念されます。こうした状況において迅速な応急復旧活動を行うためには、行政のみならず、さまざまなノウハウを有する民間の力を活用することが不可欠でございます。
 このため、都では、医療救護、道路啓開、物資の供給や輸送、燃料の確保等について民間団体と応援協定を締結し、それぞれの専門能力に応じた協力が得られる体制を整備しております。
 今後とも、協定に基づく民間団体との連携体制を確保し、発災時の災害対応力を強化してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツ祭東京二〇一三の成果についてでございます。
 スポーツ祭東京二〇一三は、天皇皇后両陛下、皇族方にも競技をごらんいただきまして、選手、大会関係者、観客を合わせまして百二十万人を超える方が参加し、大盛況のうちに全日程を終わることができました。今大会は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を初めて一つの祭典として開催し、スポーツ大会の新しいあり方を全国に示しました。
 具体的には、国体の開閉会式において、障害のある人にも受付等のボランティアや式典出演者として多くの方に活動いただくなど、ともに支え合う大会といたしました。
 国体の閉会式と全国障害者スポーツ大会の開会式との間の三日間には、東京ユニバーサルスポーツ3daysとして、障害のある人もない人もともにジョギングを楽しむイベントなどを実施いたしました。
 スポーツ祭東京二〇一三の成果を今後の都のスポーツ振興策に反映し、都民の誰もが多様なスポーツを楽しみ、一人一人が輝く都市の実現を目指してまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでございます。
 都は、全国に先駆けて策定しました東京都障害者スポーツ振興計画に基づき、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめる環境整備を重要な柱の一つとして、裾野の拡大に取り組んでおります。
 具体的には、地域開拓推進員が市区町村等の地域に出向き、地域の実情に応じてスポーツ教室等の実施を支援する地域開拓推進事業や、スポーツ推進委員や市区町村職員等を対象に、障害者スポーツを支える人材として必要な知識を習得できるセミナーを実施してございます。
 また、スポーツの経験がない障害者でも気軽にチャレンジできるよう、障害の有無や体力を問わず楽しめる種目を多数用意した障害者スポーツのイベント、チャレスポTOKYOを開催しておりまして、アスリートとともに多くの方にスポーツを楽しんでいただいております。
 今後もこのような取り組みを通じ、関係団体等と連携を図りながら、障害者スポーツの裾野の拡大に努めてまいります。
 次に、国際スポーツ大会についてでございます。
 国際スポーツ大会の開催は、国際都市東京の地位を向上させ、都民のスポーツへの関心を高め、地域の活性化に寄与することができます。
 都はこれまでも、世界体操競技選手権を初めとした国際スポーツ大会の誘致や東京マラソンの開催など、東京の魅力を海外に発信してまいりました。
 また、二〇一九年に日本で行われるラグビーワールドカップは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの前年に開催される重要な大会と認識しております。
 今後、都の協力のあり方について、ラグビーワールドカップ組織委員会等と十分連携を図りながら検討を進めてまいります。
 最後に、障害者スポーツの認知度向上についてでございます。
 パラリンピックに並ぶ障害者スポーツの代表的な国際大会には、デフリンピック、スペシャルオリンピックスがあり、ともに障害者スポーツの振興に重要な大会であると考えております。
 都では、デフリンピックを所管する全日本ろうあ連盟が主催する競技会について後援を行うほか、ことしブルガリアのソフィア市で開催されました第二十二回夏季デフリンピック大会でメダルを獲得した東京ゆかりの八名の選手に都民スポーツ大賞を贈呈いたしました。また、障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビでは、デフリンピックの特集も行っております。
 スペシャルオリンピックスについては、都内で開催される競技会の後援を行うほか、前回二〇一一年アテネ夏季大会で活躍した日本人選手の写真展を都庁展望室で行いました。
 今後とも各団体と連携し、デフリンピック、スペシャルオリンピックスを初めとした障害者スポーツの認知度向上に努めてまいります。

ページ先頭に戻る