平成二十五年東京都議会会議録第十七号

〇副議長(藤井一君) 二十五番島崎義司君。
   〔二十五番島崎義司君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇二十五番(島崎義司君) まず、水道事業の都営一元化について伺います。
 多摩地区の水道事業は、昭和四十六年十二月に策定された多摩地区水道事業の都営一元化基本計画に基づいて、計画対象二十九市町中、二十六市町が一元化されました。計画対象市町でまだ都営水道に一元化されていない三市のうち、私の地元である武蔵野市については、平成十二年に都が実施した水道事業の都営一元化に関する意向の再確認に対し、可能な限り本市の事業として経営すべきものとの考えを示し、一元化については、本市が長期計画に基づいて鋭意推進している配水管網等の主要な整備が完了となる段階において、統合の必要性も含め検討したいという意向を示していました。
 こうしたことから、武蔵野市の水道事業は、これまで市の事業として経営されてきましたが、市の自己水源である二十七本の深井戸水だけでは必要な水量を確保できず、不足分については長年にわたり都から受水してきました。
 これまで市では、自己水源での揚水量の増量対策について、既存の深井戸の改善などで水量確保に取り組んできましたが、それにも限界があり、また、仮に市が自己水源一〇〇%を確保できたとしても、近年、首都直下地震の発生が懸念される中で、市単独では水源、管路のバックアップ機能を確立することができず、そのため、老朽化する水道配水本管の更新工事も事実上困難で、今後、市民に対して将来にわたる安定給水を確保することが難しいという危機管理上の重大な問題があります。
 厚生労働省が本年三月に策定した新水道ビジョンでは、将来の理想的な水道が備えるべきものを安全、強靱、持続とし、これらを具現化するために発展的な広域化、つまり、積極的に近隣水道事業者との広域化の検討を進めることが望まれるとしています。
 以上のような武蔵野市の水道事業を取り巻く現況等を鑑み、同市議会自由民主クラブなどから我が都議会自民党に対し、武蔵野市の水道事業の都営一元化を早急に進める必要があるとして、このための支援と協力を求める要望書が届いております。
 都におかれましても、この切実な要望に真摯に取り組んでいただきたいと考えておりますが、一元化を希望した場合、今後どのような手続を行っていくのか見解を伺います。
 次に、事業者による自転車駐車場確保の責務と自転車駐車場の整備について伺います。
 都心などへの通勤通学住民を多く抱える鉄道沿線自治体にとって、駅周辺の放置自転車対策並びに自転車駐車場の確保は、自治体財政の観点からも大きな問題となっております。
 多摩地区では、平成二十二年十一月に東京都の連続立体交差事業により、JR中央線三鷹―立川駅間が全線高架化しました。この間、私の地元武蔵野市でも駅周辺のマンション開発の際、建築物の附置義務以外の自転車駐車スペースを提供していただき、公共自転車駐車場として使用するなどの手法をとりつつ、鉄道高架下にも、自治体が公租公課相当額で利用可能な面積のほぼ全てを使用して、自転車駐車場を整備してきました。
 これまで、駅周辺の放置自転車対策、自転車駐車場対策について、自治体が莫大な費用を費やして取り組んできた一方で、とりわけ鉄道事業者の責務については必ずしも明確ではありませんでした。
 このような中、都ではことし七月、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を施行し、その第七章第二十九条の中で、事業の実施により自転車の駐車需要を生じさせる者は、顧客、従業者等による自転車の駐車が道路交通法の規定に違反しないよう、自転車の駐車場所の確保、自転車駐車場の利用の啓発その他の必要な措置を講じるよう努めなければならないと明記しました。鉄道事業者にとって、鉄道利用者は顧客そのものであり、その顧客の自転車駐車場を確保することは、事業者としての努力義務になったものと認識しております。
 これらの経緯から、都は、自転車駐車場確保について、事業者の責務をさらに明確化すべきと考えますが、まず、施行された条例の第七章第二十九条の規定は、鉄道事業者についても適用されるのか改めて確認をいたします。
 また、この規定や条例全体の趣旨を踏まえ、都も、事業者みずからが自転車駐車場の確保に努めることを求めるとともに、区市町村と連携して駅周辺の自転車駐車場の整備を初めとする放置自転車対策に、より一層努力すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた施策について伺います。
 東京で行われることになった二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催計画は、大会の中心となる選手村を東京臨海部に設置し、東京圏三十三競技会場のうち二十八会場は選手村から半径八キロメートル圏内に設置するというもので、多摩地区での競技開催は、調布市にある味の素スタジアムと、その隣接地に建設する武蔵野の森総合スポーツ施設などでの三競技となっております。
 私は、このコンパクトな大会計画自体は、効率、効果的な会場配置、選手の移動時間の最小化などのメリットから適切なものであるとは考えておりますが、オリンピック開催に向けては、多摩地域の振興という観点にも十分な配慮が必要だと考えます。多摩地区を各国選手団の事前合宿地などとして大いに活用するとともに、観光面でも多摩地区の活用と振興策を明確に位置づけるべきだと考えます。
 そこで、都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向けた多摩地区の活用をどのように考えているのか、また、オリンピックと多摩地域振興との関係についてはどのように考えているのか、見解を伺います。
 次に、ジュニア選手の育成について伺います。
 ことし、国民体育大会、スポーツ祭東京二〇一三が東京で五十四年ぶりに開催されました。その大会結果も、東京は男女ともに圧倒的大差で総合成績第一位、競技別でも四十競技中二十競技で総合優勝を獲得するなど、選手強化や育成面でも、東京都にとっては大成功の大会となりました。
 競技におけるこの成果は、各地区体育協会を通じてジュニアスポーツ選手を育成するジュニア育成地域推進事業などが極めて有効な事業だった証左といえます。
 実際、私の地元武蔵野市でも、将来を夢見る多くのアスリートの卵がこの事業で学び、平成二十三年FIFA女子ワールドカップ優勝時のなでしこジャパンの最年少選手や、ことしの国体女子サッカーチームのメンバー二名も、武蔵野でのこの事業で学び、育ちました。
 東京都がスポーツ祭東京二〇一三の選手発掘、育成のために行ってきたこれらの事業は、同大会が終わった今年度までのものという話もありますが、ジュニア選手の発掘、育成は、七年後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになったこれからが、ますます重要な取り組みになるものと考えます。
 そこで、東京都における今後のジュニア選手の発掘、育成について、都はどのように考えているのか、見解を伺います。
 次に、都市における緑の確保と都市農業の振興について伺います。
 緑は、都市における潤いや安らぎをもたらすほか、ヒートアイランド現象の緩和など環境保全にも貢献しており、防災力強化や多様な生物の生息環境を確保する観点などからも、大都市東京において緑の空間を確保することは極めて重要であります。
 特に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市としての風格を備える意味でも、緑など自然の確保は欠かせません。そのためには、新たな緑を創出する施策とあわせ、既存の緑を保全する取り組みが重要と考えます。
 しかし、こうした都市の貴重な緑地空間や農地は、相続の関係などもあって減少が続いております。古くからの屋敷林は、小区画の住宅地や大規模マンションへと変貌を続け、また、私の地元武蔵野市を含むJA東京むさし管内の農地も、この十年間で七百八十八ヘクタールから六百五十九ヘクタールへと、百二十九ヘクタール、東京ドームにして約二十八個分減少しております。
 緑の確保に当たっては、例えば私の地元周辺には、古くからの苗木等を生産する農家も多く、街路樹の整備や都市公園の整備等の際に、こうした都内産の苗木や植木、花きなどを活用しながら、樹木をふやし緑豊かな東京の実現につなげていくべきと考えます。
 そこで、都として、東京における緑などの自然環境の充実に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都市農業の振興についてでありますが、都市部における農地の減少に歯どめをかけるためには、相続税など税制面の改善はもとより、野菜や果樹、植木、花きといった各地域の特産物の地産地消を推進するなど、農家の経営力の強化を図ることが必要であります。
 近年、農産物価格の低迷が続き、収益性が悪化するなど、都市農業は厳しい環境にありますが、都内には、加工によって付加価値を高めたり、地域特産の農産物をブランド化してPRするなど、新たな経営展開に向けて頑張っている農家も数多くあります。
 今後、都市農業を発展させるためには、こうした新たな取り組みにチャレンジする農家に対して、都が支援を強化していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者虐待防止について伺います。
 厚生労働省が昨年十月からことし三月までの半年間を対象に行った、家族や施設職員から障害者への虐待についての全国調査の結果が先月公表されました。
 それによると、自治体に寄せられた障害者への虐待の相談、通報件数は四千五百二件で、このうち一千五百二十四件で虐待が認められ、被害者は千六百九十九人に上り、件数が最も多かった家族からの虐待では、被害者一千三百二十九人のうち、三人が死亡していたというものでありました。
 これに先立つことし六月の新聞報道で、私の地元武蔵野市からも五名の市民が利用している西東京市の障害者支援施設たんぽぽにおいて、施設利用者への身体的虐待が行われていたことが発覚いたしました。この問題については、都も、ことし九月、当該施設に対して指定の一部の効力停止という行政処分を行ったと承知しております。
 昨年十月の障害者虐待防止法施行から一年余が経過いたしました。
 そこで、障害者虐待防止法施行を受けた、これまでの都の取り組みを伺います。
 また、都内における平成二十四年度の障害者虐待、そのうち施設従業者による虐待の件数等の実態もご報告いただきたいと思います。
 さらに、申し上げた西東京市の障害者施設における虐待事案に対し、その虐待防止の実効性を確保するために、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 以上、私からの一般質問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 島崎義司議員の一般質問にお答えいたします。
 都営水道への一元化を希望した場合の手続についてでありますが、一元化に際しては、給水安定性を確保する上での施設整備水準の差や、料金水準、料金徴収システム及び業務処理方法などが都営水道と相違しているなど、さまざまな課題がございます。
 こうしたことから、一元化の希望があった場合には、都として現地調査を行うなど、市の現状を十分把握するとともに、都営水道のお客様や、これまで一元化を行ってきた市町との公平性なども踏まえ、課題を明らかにしていくこととなります。
 その上で、施設整備や財政上の調整など、一元化の諸条件が整理された段階で、市と協議を行うこととなります。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 駅周辺の放置自転車対策についてお答えいたします。
 鉄道事業者は、駅の周辺に乗客等の利用者が自転車を駐輪しておりますことから、条例上の自転車の駐車需要を生じさせる事業者でありまして、自転車の駐車場所を確保するなどの責務があります。
 この条例に基づき、現在策定中の自転車安全利用推進計画におきましては、行政だけでなく、鉄道事業者や小売業者等につきましても、顧客等の駐車需要に応じた自転車駐車場を整備することを明記する予定であります。
 駅周辺の自転車駐車場の整備につきましては、鉄道事業者を初め、地元自治体等が地域の実情に応じて取り組む必要があり、都としては、駅周辺の放置自転車対策を推進するため、関係者の連携に向けた協議会の設置等の必要な協力を実施してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピックに向けた多摩地域の活用についてでございます。二〇二〇年大会では、自転車ロードレース、サッカー、近代五種の三つの競技が多摩地域で開催されます。
 このうち自転車ロードレースは、皇居外苑をスタートした後、多摩地域に至り、味の素スタジアムそばの武蔵野の森公園でゴールするコースを予定してございます。コース沿道では、多数の観客がチケットなしで観戦でき、国内外から多くの人々が多摩地域に足を運ぶ機会となるとともに、テレビを初めとするメディアを通じて全世界に多摩地域の魅力を発信する好機となります。
 サッカー、近代五種の会場は、観客収容数五万人の味の素スタジアムであり、これも多くの観客の来場が期待できます。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを通じて、多摩地域の魅力を最大限発信できるように努めてまいります。
 次に、ジュニア選手の発掘、育成についてでございます。
 二〇二〇年、首都東京で開催されますオリンピックを地域から盛り上げるためには、多くの東京育ちのアスリートの活躍が重要でございまして、七年後を目指し、ジュニア選手を計画的に育成していくことが必要でございます。
 都はこれまでも、東京国体の総合優勝を目指し、ジュニア選手層の拡大からトップアスリートの強化まで、体系的かつ多角的な取り組みを展開してまいりました。
 特に、ジュニア育成地域推進事業は、地域に根差したスポーツ活動を通じて、地域スポーツの裾野拡大とジュニア選手の発掘に大きく寄与してまいりました。
 今後も、二〇二〇年東京オリンピックで活躍する選手を発掘し、育成するためにも、これまで東京国体で培ったレガシーを生かし、地区体育協会や競技団体と協力してジュニア競技人口をふやすなど、競技力向上施策を引き続き強力に推進してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) オリンピック・パラリンピックと多摩振興の関係についてでございますが、多摩地域は、豊かな自然や歴史、文化、農産物や地酒といった特産品など多様な魅力を有しており、今後のさらなる発展を図る上では、あらゆる機会を捉えて地域の魅力を広く発信し、普及していくことが重要であります。
 こうした観点から、都は本年、スポーツ祭東京二〇一三や、多摩の東京移管百二十周年などの機会を捉えて、多摩フェスティバル等のイベントや魅力発信映像の配信を行っており、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについても、多摩の魅力を広める機会として積極的に活用してまいります。
 今後、地域資源を活用した観光まちづくりや、多摩の多様な魅力を広くPRする取り組みを、市町村等とも連携しながら推進し、多摩地域のさらなる振興を図ってまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 緑などの自然環境の充実についてでございますが、樹林地や農地、公園緑地などの都市の緑は、お話のとおり、潤いや安らぎ、生き物の生存基盤のほか、防災機能など多面的な役割を果たしていると認識しております。
 都はこれまで、都市公園や街路樹の整備、校庭の芝生化などで新たな緑の創出を図るとともに、多摩地域の貴重な自然地の保全地域への指定や、相続を契機とした農地等の減少を防ぐための税負担の軽減措置の国への提案要求など、緑の保全に向けたさまざまな取り組みを行っております。
 昨年五月には、生物多様性の保全に向け、緑施策の新展開を策定し、緑の量だけでなく質の向上も目指すこととし、生き物の生息空間となる在来植物による緑化や、都内産の苗木を活用した緑化事業など、さまざまな施策を体系化し、実施しております。
 今後とも、こうした施策に全庁的に取り組み、東京の自然環境を充実させ、人々が安心、快適に過ごせる、緑に包まれた都市を実現してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 都市農業の振興についてでありますが、都市農業の発展には、大消費地を抱える優位性を生かし、消費者ニーズを素早く捉えた農産物や加工品の生産などにより、経営力の向上を図ることが重要であります。
 このため、都は、従来から行ってきた生産流通施設等の整備に対するハード面の補助に加え、今年度から、農業者の経営強化に向けた取り組みをソフト面から支援する、東京農業の産業力強化支援事業を実施しております。
 具体的には、加工品開発や販路開拓等の経営課題に対して、フードコーディネーターや経営コンサルタントなどの専門家を派遣し、解決に向けた助言等を行っております。
 今後は、こうした農業者の取り組みをさらに後押しするため、加工品の試作や販売促進活動等の経費に対する支援策を検討してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者虐待防止法に関する取り組みについてですが、都は、法が施行された昨年十月一日から、障害者虐待の対応窓口となる障害者権利擁護センターを開設し、相談や通報等があった事案に、障害福祉サービスの実施主体である区市町村等と連携して対応しているところでございます。
 また、障害者虐待への理解を深めるとともに、専門性の強化を図るため、平成二十三年度から、区市町村の相談窓口従事者、施設等の管理者や従事者を対象に、障害者虐待防止・権利擁護研修を実施しております。
 さらに、障害者虐待防止法の内容や、相談、通報等の窓口になる区市町村障害者虐待防止センターの連絡先等をわかりやすくまとめたリーフレットを作成し、区市町村や事業者、関係団体等に配布するとともに、ホームページにも掲載し、広く都民に周知を図っているところでございます。
 次に、障害者虐待の件数等についてですが、法が施行された平成二十四年十月から平成二十五年三月までに、都及び区市町村が受理した障害者虐待の相談、通報等の件数は三百七十八件であり、事実確認調査を行った結果、虐待があったと判断された事案は百件でございます。
 そのうち、障害者福祉施設従事者等による虐待の相談、通報等の件数は百七件であり、事実確認調査を行った結果、虐待があったと判断された事案は七件でございます。
 最後に、障害者支援施設における虐待についてですが、都は、障害者総合支援法に基づき、本年三月から施設への立入検査や職員への聞き取り調査等による監査を行い、その結果、身体的虐待の存在及び理事長等の不適切な対応、人権擁護、虐待防止等のための取り組みが不十分であること等が判明しました。
 そのため、九月三十日に、法人に対し新規利用者の一年間の受け入れ停止という行政処分を行うとともに、実効性のある改善策を早急に講じ改善状況を報告するよう文書により指導を行いました。
 現在、法人に対して指導を続けており、引き続き定期的に報告を求めるとともに、施設を適宜訪問し改善状況の確認や指導を行い、西東京市とも連携しながら関係法令に基づき厳正に対処してまいります。

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