平成二十五年東京都議会会議録第十七号

〇議長(吉野利明君) 四十二番高椙健一君。
   〔四十二番高椙健一君登壇〕

〇四十二番(高椙健一君) 本年、伊豆大島を襲った台風二十六号の豪雨により、災害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々に対して謹んでお悔やみを申し上げます。
 さて、私がこの壇上に立つ機会を与えてくださいました国分寺市民、国立市民の方々に感謝をいたし、誠心誠意、全力で都民福祉の向上に努めてまいります。
 それでは、最初に河川整備についてお伺いをします。
 多摩川の支流である野川は、多摩川との合流部から鞍尾根橋までは、水辺に近づけるよう、階段の設置や護岸の緑化などを取り入れた整備が進んでいます。
 一方、上流部である国分寺市内の区間では、河川整備はいまだ事業化されておりません。このため、河川に沿って住宅が密集し、川幅も狭い状態が続いています。
 下水道幹線も整備され、近年大きな水害が発生していないものの、昨今の局地的集中豪雨の発生状況やJR国分寺駅北口再開発の進捗を考えると、国分寺市内でも最も地形的に低いこの地域に雨水が集中し、浸水被害が発生することが懸念されます。
 また、国分寺市内では、緑の基本計画において、野川の整備について実現に向けて取り組みを進めるとしており、昨年、都に要望書も提出しております。
 このため、野川の最上流部について、治水面、親水性や緑化等を考慮し、一体としての整備を目指した取り組みを進めていくべきと考えます。
 そこで、野川上流部の整備に向けた取り組みについてお伺いします。
 また、多摩地域の発展のためには、渋滞解消はもとより、地域の防災性や安全性の向上に資する道路整備が不可欠であります。かねてより、我が党は多摩の都市基盤整備の重要性を訴えており、このたびの選挙公約では、多摩の潜在力や魅力を引き出す都市基盤として、物流や経済を活性化し、生活の利便性を高める多摩南北、多摩東西道路の整備推進を挙げています。現在、南北主要五路線の一つである国分寺三・二・八号府中所沢線において事業が進められております。地元からは早期完成が望まれています。
 そこで、国分寺三・二・八号府中所沢線の整備状況についてお伺いします。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、数多くの踏切を同時に除却することで交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化や防災性を向上させる極めて効果の高い事業であります。
 JR中央線連続立体交差事業は、平成二十二年度に高架化が完成し、十八カ所の踏切が全て除却され、交通渋滞が解消しました。
 現在、事業の総仕上げとして、国立市でも高架橋北側の側道整備が進められています。地元の方々からは、側道整備による利便性や防災性の向上に大きな期待が寄せられており、安全に利用できる道路にしてほしいとの要望が出されています。
 そこで、JR中央線連続立体交差事業の国立市内における側道の安全対策の取り組みについてお伺いします。
 次に、安全・安心まちづくりに関する施策についてお尋ねをします。
 地域の安全・安心を高めていくためには、犯罪捜査や被害の未然防止など、警察や行政の取り組みはもちろんでございますが、防犯パトロールなど地域の方々の自主的な活動が大変重要であります。
 私も、ささやかではありますが、その活動の一端を担わせていただきましたが、町会や自治会、商店街などの地域団体の日々献身的な取り組みが、地域の防犯力を引き上げていくと実感しております。
 このような地域活動を後押しするため、都は、町会等が設置する防犯カメラに対する補助事業を実施しておりますが、我が党は、かねてから地域における防犯カメラに対する支援の必要性や重要性を提言してまいりました。
 そこで、地域の自主的な活動をさらに広げるためにも、積極的に本事業を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、防災に関して伺います。
 今年、国分寺市で行われた総合防災訓練では、消防署と消防団が連携する中、防災まちづくり委員、民生児童委員、自治会、町内会、消防少年団ほか、防災に協力してくれる各種団体にまじって自衛隊の救助救援部隊も参加し、市民から心強く注目されておりました。
 また、国立市の総合防災訓練でも、同様に、消防署、消防団、自主防災組織との連携も含め訓練が実施されています。
 このように、多摩や島しょ地域においては、消防団は地域防災のかなめとなっています。しかし、現在、多摩・島しょ地域の消防団については各市町村で運営されており、市町村ごとの財政力等の違いもあって、配備されている資器材等の状況に差があるのが現状です。
 特別区が、東京消防庁により全ての消防団に対して一定の資器材が配備されていることと比較すると、未配備の資器材も多く、また区部と異なり、山間部や島しょ部など地域に多様性があることから、こうした点も配慮し、市町村にだけ任せるのではなく、都として充実に向けた支援を行っていく必要もあると考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、都の災害廃棄物処理支援の取り組みについて伺います。
 未曽有の大震災から、既に二年半余りが経過しました。被災地で復旧、復興の歩みを阻んでいた災害廃棄物も、宮城県、岩手県では今年度末で処理が終了する見込みです。
 我が党の提言のもと、都は平成二十三年十一月から約二年間にわたって被災地から災害廃棄物を受け入れ、都内区市町村や民間処理業者と連携して、廃棄物の特性に応じ、安全かつ的確な処理を行ってきました。
 ところで、質問の冒頭に申し上げましたが、台風二十六号により甚大な被害を受けた大島町においては、土砂に流された流木や倒壊した家屋の瓦れきなど大量の災害廃棄物が発生し、その処理が復興の妨げになっています。この大島町の災害廃棄物を早急に処理するため、都議会は、大島町の災害廃棄物処理事務の一部を都が受託する議案を開会初日に議決したところであり、これから大島町の災害廃棄物処理が本格的に動き出します。
 そこで、これまでの東日本大震災における災害廃棄物処理の経験を生かして、今後、大島町の災害廃棄物処理をどのように支援していくのかお伺いします。
 また、二年間にわたる被災地からの災害廃棄物の受け入れにおいて、都は、民間処理業者のすぐれた処理技術を活用してきました。特に、混合廃棄物の受け入れは、被災地での選別作業を軽減し、処理の迅速化に大きな役割を果たしてきたものであり、評価できます。
 今後、東日本大震災の五倍もの災害廃棄物が発生するといわれている首都直下地震が発生した場合にも、このような民間処理業者の協力が不可欠と考えます。
 国においては、本年十月に検討委員会を立ち上げ、巨大地震に備えた広域的な対応体制の整備の検討を始めましたが、この委員会では、民間処理業者の活用について明確な方向性が示されていません。
 都は、災害廃棄物の受け入れを通して得たノウハウを生かして、民間処理業者のさらなる活用を国に働きかける必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢者の雇用就業支援についてお尋ねします。
 少子高齢化が進展し、生産年齢人口は減少する中で、元気で意欲のある高齢者の方々に地域で活躍していただくことが必要になっています。
 とりわけ、昨年から、いわゆる団塊の世代が六十五歳に到達し始め、労働市場から本格的な引退過程に入り、企業で仕事中心の生活を送ってきた多くの方々が地域に活躍の場を移しつつあります。
 昨日の我が党の代表質問において、地域におけるシルバー人材センターの重要性を踏まえ、支援を充実すべきとの質問を行い、前向きな答弁をいただいたところです。
 高齢者の方々は、体力等の個人差が大きく、年金などの状況も異なることから、高齢化が進展していく今後は、希望する就業形態も、より幅広いものになると思われます。このため、シルバー人材センターに加え、地域において、高齢者が働く多様な機会を掘り起こし、広げていくことも重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、障害者の職場定着支援についてお尋ねします。
 本年四月から民間企業の法定雇用率が二・〇%へと引き上げられました。
 先月発表された障害者の雇用状況を見ますと、都内民間企業の実雇用率は一・七二%と、法定雇用率は下回っているものの過去最高を更新し、企業における障害者雇用は着実に進んできております。
 このように、企業で働く障害者の方がふえることは大変喜ばしいことですが、一方で、せっかく就職しても短期間で離職してしまっては、就職した障害者本人にとっても、雇用した企業にとっても不幸な事態でございます。
 障害者の方々が生き生きと働き続けられるようにするためには定着支援が重要ですが、雇用される障害者の方が大幅にふえる一方で、企業では、定着に当たって問題が発生した場合の対応ノウハウが十分ではありません。また、就労支援機関の人員も限られていることから、参考となるケースを広く情報収集するなどの取り組みが効果的と考えます。
 障害者の方々が職場で円滑に定着するために、都としてどのような支援を行っていくのか伺い、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 高椙健一議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、野川上流部の整備に向けた取り組みについてでございますが、野川では、親水性や生態系の保全に配慮しながら、水害の早期軽減を目指して整備を進めており、平成二十四年度末の護岸整備率は八六%でございます。
 未整備の上流区間、約一・八キロメートルは、川沿いに多くの住宅がある中、約五メーターの川幅を下流部と連続する形で約二十メーターに広げることとしております。
 事業化に向けては、地元国分寺市による野川などの自然を生かしたまちづくりの進展や住民との合意形成が必要でございます。
 このため、現在、都と市で周辺地域を含めた野川の検討会を設置しており、オープンスペースの確保や遊歩道の整備など、防災性や環境を向上させるための方策について検討しております。
 今後とも、市と連携し、野川の上流部の整備に向けて取り組んでまいります。
 次に、国分寺三・二・八号府中所沢線の整備状況についてでございますが、本路線は、神奈川県から埼玉県に至る広域的な道路交通ネットワークを形成する府中所沢鎌倉街道線の一部であり、延長二・五キロメートル全線が事業中でございます。
 本事業により、交通の円滑化や防災性の向上が図れることはもとより、整備に当たっては、車道の両側に緑豊かな植樹帯と快適な歩行者空間を有する十メートルの環境施設帯を設けるなど、沿道環境に配慮してまいります。
 現在、約八割の用地を取得し、施工に長期間を要する鉄道交差部の橋梁やトンネル工事を進めており、引き続き、街路築造工事などを実施してまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら本路線の早期完成を目指し、積極的に整備を進めてまいります。
 最後に、JR中央線連続立体交差事業の国立市内における側道の安全対策についてでございますが、連続立体交差事業は、交通渋滞や地域分断の解消を図るとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。鉄道の高架化に伴い設置する側道は、沿線の良好な住環境の保全や円滑な地域交通の確保を図るために必要でございます。
 国立市内約一・四キロメーターの側道については、国立駅や立川駅へのアクセス性が向上するとともに、周辺まちづくりに大きく寄与するものでございます。
 現在、横断歩道の設置や交差点内のカラー舗装など、地元市及び交通管理者との協議に基づき、必要な安全対策を進めております。
 この側道を含め、平成二十五年度末には全ての工事を終え、JR中央線連続立体交差事業が完了いたします。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 防犯カメラに対する補助事業についてお答えいたします。
 町会や自治会、商店街などの地域団体の行う防犯カメラの設置は、地域の人々の防犯意識が高まり、それぞれの自主的な活動を進める好機となることに加え、犯罪の抑止にも資することから、地域の安全・安心を確保する上で大変有効であると考えております。
 また、地域の活動の中核を担う人々の高齢化が進む中で、疲れない、眠らない、見逃さない、忘れないなどの特性を持つといわれる防犯カメラは、地域の活動を継続的かつ効率的に実施していく上でも重要な役割を果たすものと受けとめております。
 今後とも、防犯カメラに対する補助事業につきましては、設置を必要としている多くの地域の要望に応えられるよう、円滑な実施に努め、地域の自主的な活動を支援してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 消防団への資器材配備の支援についてでございます。
 災害時に一人でも多くの命を救うためには、発災直後から迅速に救出救助活動を行う必要があり、地域に密着し、即応力のある消防団の役割は重要であります。
 首都直下地震等の際には、各所で火災等の被害が想定され、都内全域での地域防災力の確保が必要です。
 しかし、多摩・島しょ地域の消防団の装備等の状況について調査したところ、団員の安全確保のための装備や救出救助用資器材について課題が見られました。
 このため、今年度、市町村に対して、簡易救助資器材と安全靴、さらには市町村と消防団との情報連絡に必要な無線機の配備に対して補助を開始いたしました。
 今後とも、引き続き消防団の活動を支援し、地域防災力のさらなる向上に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 災害廃棄物の処理に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大島町の災害廃棄物処理への支援についてでございます。
 都は、約二年間にわたって東日本大震災の災害廃棄物を受け入れてきた経験から、民間処理業者の活用やコンテナでの輸送など、災害廃棄物を広域的に処理する上でのさまざまなノウハウを蓄積することができました。
 こうしたノウハウをもとに、大島町での災害発生の直後から、災害廃棄物の早期の処理に向けて、発生量の推計や処理方針、処理計画の策定などについて、大島町を全面的に支援してまいりました。
 このたび、本定例会開会日に、大島町の災害廃棄物処理事務の一部を都が受託する議案を議決いただきましたことから、今月中旬には島外への船舶輸送を開始し、区市町村や民間処理業者と協力して迅速に処理を進め、大島町の復旧、復興を支援してまいります。
 次に、民間処理業者のさらなる活用に向けた国への働きかけについてでございます。
 巨大地震における災害廃棄物は、建設混合廃棄物のような一般の家庭ごみとは性状の大きく異なるものが短期間で膨大に発生することから、自治体の一般廃棄物処理施設だけで迅速かつ適正に処理することは難しく、民間処理業者の活用が不可欠でございます。
 このため都は、昨年度改定した東京都震災瓦れき処理マニュアルにおいて、震災発生時の民間処理業者との連携を明確に位置づけたところでございます。
 現在、国が行っている検討委員会においても、災害廃棄物の広域処理に民間処理業者のすぐれた処理技術が十分に活用されるよう、都として、東日本大震災の経験を踏まえた具体的な提言を行ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の就業機会の拡大についてでありますが、少子高齢化が進展する中、働く意欲のある高齢者が長年培ってきた知識や経験を生かし、希望や能力に応じて働き続けることは重要であります。
 このため都は、企業での再就職を望む方には、東京しごとセンターにおいて就業相談や能力開発などの就職支援を行っております。また、身近な地域における臨時的かつ短期的な就業を希望する方には、シルバー人材センターを通じて就業機会を提供しております。
 今後は、就業ニーズの多様化に対応するため、地域で高齢者が活躍する働き方のモデルとなる取り組みを後押しし、そのノウハウを広く発信するなど、高齢者の就業機会のさらなる拡大に向けた方策を検討してまいります。
 次に、障害者の職場定着支援についてでありますが、障害者雇用を推進するためには、障害者が就職した職場で働き続けることができるように定着支援を行うことが重要であります。
 このため都では、障害者と企業の実情に応じて、作業能力の向上や職場環境に関する助言等を行う東京ジョブコーチを企業に派遣しております。今年度は、増加する定着支援のニーズに対応するため、東京ジョブコーチの定員を六十名から七十五名に増員するなど、体制の強化を図りました。
 今後は、こうした取り組みに加え、企業現場における課題の把握や、企業や就労支援機関による効果的なサポート事例の普及啓発など、円滑な職場定着を図る支援策のさらなる充実を検討し、障害者雇用に積極的に取り組んでまいります。

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