平成二十五年東京都議会会議録第十七号

〇議長(吉野利明君) 六十五番崎山知尚君。
   〔六十五番崎山知尚君登壇〕

〇六十五番(崎山知尚君) 初めに、先般の台風二十六号によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 この台風は想定外の降雨量となり、一晩で八百ミリもの雨が降り続け、大島の住民にとっても、よもや山頂から海岸までの土石流が発生するとは思いもよらない災害でした。予期しないことが起きることを予期せよ、不可抗力という言葉をいいわけにしてはいけない、この箴言に心して、私ども自民党としても、地元の三宅正彦議員を先頭に、大島町の復旧、復興に力を尽くしていきたいと思います。
 私も発災から四十時間後には現地に赴き、悲惨な状況を目の当たりにし、この災害の教訓を今後の防災対策につなげていくべく質問をいたします。
 まず、発災直後の初動体制について伺います。
 土砂災害が起きた十六日未明は、土砂や雨水で現場に近づくこともできず、救出救助活動は困難をきわめました。自衛隊、警察、消防、地元消防団などの関係者が効果的に活動するためには、断片的でもいいので、情報を収集し、初動対応につなげることが重要と感じました。
 今回の災害を教訓として、今後、初動時にどのように情報を収集し、救出救助活動に結びつけていくのか、所見を伺います。
 次に、災害時における都と町村の連携について伺います。
 今回の災害では、ミニ都庁ともいえる大島支庁に副知事を本部長とする現地対策本部を設置し、大島町と協力しながら応急復旧対策に取り組んできました。災害時には、被害状況の情報を両者が共有し、役割分担することが大変重要と考えます。
 そこで、今回の災害対応の教訓を踏まえ、発災直後から、都と島しょの町村が連携協力しながら効果的に災害対応を行うため、都としてどのように取り組むのか伺います。
 三番目に、災害時における報道機関の活動について伺います。
 テレビは、活字に比べ速報性が重要なポイントで、今回の災害も直ちに報道されました。
 しかし、一方で、現地で私が見た一部のマスコミ関係者の行動には、疑問を感じる点もありました。例えば、土砂災害による被災者が救助を待つ現場では、自衛隊などの関係者が必死の救助活動を行っている現場に、記者が立ち入ったり、また、救出救助活動の生命線となる主要な道路に列をなし、取材用の車両が放置されていました。
 こうしたマスコミ取材に対し、平時なら自治体職員や警察が対応できますが、災害時にはそれを期待することは困難であります。まさにマスコミの良心と節度が求められますが、都としても、災害現場におけるマスコミ活動のあり方について検討しておく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、地域危険度について伺います。
 一方、区部に目を向けると、本年九月に第七回地域危険度測定調査の結果が公表され、木密地域における地震被害が大きいことが改めて浮き彫りになりました。
 このような地域では、効果的な防災対策が必要です。都内約五千百町丁目ごとに危険度がランクづけされていますが、我が荒川区はワースト一、二も含め、百位以内に十九地区がランクインする災害危険度の高い地域であります。この調査は、おおむね五年ごとに公表しているとのことですが、今回明らかになった結果を踏まえ、これまで、そしてこれからの防災都市づくりにどのように活用していくのか、まず伺います。
 次に、消防水利の整備についてであります。
 災害時は、公助より自助、共助の方が最も重要であり、例えば町会、自治会など地域住民による迅速な消火活動があれば、火災による被害も大きな減少が期待できます。また、消防水の確保は何よりも重要であり、災害時に水道管が破裂し、水が利用できなければ、火災被害は拡大します。特に区東部は、六割以上が断水する被害想定であり、深刻です。水道管の耐震化にも時間がかかります。
 災害時においても有効に活用できる消防水利の整備をさらに推進することが求められると考えますが、東京消防庁の所見を伺います。
 防災について、最後は深井戸の整備についてであります。
 深井戸は、消火用水に加え、非常用飲料水ともなるため、独自で整備するよう検討を始めた区もあります。こうした動きを受けて、国土交通省は、密集市街地における深井戸の整備について支援を行うことが可能との見解を示しています。
 都としても、区が行う深井戸の整備を支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 続いて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 本定例会初日に、我が党の田中たけし団長から視察報告がありました。七年後のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功を期して、かつての開催都市、アテネ、ロンドンに行ってまいりました。
 施設整備に当たっては、ホワイトエレファント、白い象、いってみれば無用の長物をつくるなかれ。明暗の分かれるアテネ、ロンドン両都市で、全く同じ言葉のアドバイスをもらいました。
 そして、議会の役割についての私の問いに、大ロンドン市議会議長からは、二つのP、パートナーシップとプレッシャーに尽きるとの貴重なアドバイスをいただきました。パートナーシップとプレッシャーです。ぜひ議会と両輪で走り出していただきたい。
 と思ったやさきに、訪問先で、残念ながら猪瀬知事の不可解な借り入れ問題の報道が入りました。そして、私が帰国してからきのうまで、納得のいく説明がなされていません。
 出処進退という四文字の意味を、作家の知事はもちろんご承知だと思います。進むと出るは、人の助けを要さねばなりません。ある意味、これは選挙をいうかもしれません。そして、おると退くは自分でできるもの。ただし、その判断の前提として、猪瀬知事には行政の長として、そして選良として、総務委員会において、一連の問題に対し、正直に事のてんまつを説明する責任があると思います。その良心にご期待申し上げ、質問に入ります。
 初めに、オリンピックにおける文化の役割についてであります。
 さきのロンドン大会では、シェークスピアの全作品の上映など、英国文化の力を最大限に活用しました。日本にも多様な文化があふれており、東京大会を成功に導くには、ロンドン大会のレガシーを受け継ぎ、成熟都市の魅力を発信していく必要があります。
 そこでまず、オリンピックにおける文化の役割について伺います。
 次に、文化プログラムの策定についてであります。
 今回の立候補ファイルでは、文化プログラムとして、大会期間中、都市が劇場となるなどの基本的な考え方が示されています。東京大会の開催は七年後ですが、今から計画の策定に取り組んでいく必要があると考えます。
 ロンドン大会を手本に、文化プログラムを策定するため、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 三番目に、戦略的海外広報について伺います。
 二〇二〇年の東京大会の開催に向けて、文化のみならず、東京の都市全体の魅力を世界に発信していくことも重要であります。
 ロンドンは、二〇一二年大会を機に、再開発により再生した町並みや雇用創出効果などを海外に広く発信し、都市のプレゼンスを大きく向上させました。東京は、人的、経済的資源の集積に加え、正確な公共交通、治安のよさなど、誇るべき都市機能があるにもかかわらず、都市としての魅力が十分に伝わっていないと今回のロンドン訪問で強く感じました。
 東京が海外の主要都市との競争に勝ち抜くためには、海外広報を強化することが喫緊の課題と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 四番目に、都立学校におけるスポーツ振興について伺います。
 オリンピック・パラリンピック開催都市として、地域の人々がスポーツに親しみ、楽しむ機会を広げていくために、都立学校の体育施設の一層の活用が図られるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 五番目に、特別支援学校のスポーツ教育についてであります。
 オリンピック・パラリンピックとの名称も定着し、当たり前の表記となっています。昨年のロンドン大会でも、都立特別支援学校の生徒や先生が日本代表として活躍したことは記憶に新しく、都立特別支援学校に通う生徒たちが生涯にわたりスポーツに親しむことができるよう、スポーツ教育を充実させるべきと考えますが、所見を伺います。
 産業政策について、初めに、下請取引の適正化についてお伺いいたします。
 景気の明るさは見えてきたものの、中小零細の下請企業は依然として厳しい経営状況にあります。また、来年四月からは、消費税率が八%に引き上げられます。
 こうした中、国においては、法律をつくり、引き上げ分を円滑に転嫁できるよう、その取り組みを行っています。
 都としても、こうした消費税の転嫁問題を初めとして、取引の現場で不利な状況に置かれやすい下請企業の悩みをしっかりと受けとめて、解決に向けたサポートを行うことがより一層重要となってくると考えますが、所見を伺います。
 次に、環境対応に取り組む中小企業の支援についてであります。
 中小企業にも、環境に配慮した経営がこれまで以上に求められています。こうした中、同じ悩みを持つ企業同士への専門的なアドバイスや、合同研修会の開催など、グループや団体の共通課題への対策が効果的です。また、環境経営の認証制度であるエコアクション21は、中小企業にも取り組みやすいすぐれた仕組みであり、認証を取得する企業はふえています。
 そこで、東京都と中小企業団体中央会とが協力しながら、環境対応に向けたグループの取り組みを支援していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、人材育成についてであります。
 中小企業の持続的な成長のためには、すぐれた技能者を育成することが欠かせません。そのためには、例えばメッキやインテリア関係の団体などでは、技能向上のための講習会や、傘下の企業で働く技能者が互いに競いながら技能の向上を図る競技大会など、技能者育成のための取り組みを行い、東京の産業力強化につながっています。
 しかし、経営環境の厳しい中で、民主党の事業仕分けという問答無用のお白州に引き出され、国の技術振興に対する補助金が大幅に削減されました。その結果、技能者育成に取り組む団体からは、競技大会の開催が難しくなっているとの悲鳴の声が我が党に寄せられています。
 都は、技能振興の観点から、技能者育成に取り組む団体に対して支援をすべきと考えますが、所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えをいたします。
 教育に関する二点のご質問ですが、まず、都立学校の体育施設の活用についてであります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、より多くの都民がスポーツに親しめるよう、都立学校体育施設の一層の活用が求められております。
 都教育委員会は、開かれた学校づくりとスポーツ活動等の振興の観点から、体育施設を開放しておりますが、開放日全てが有効に利用される学校がある一方で、開放可能であるにもかかわらず開放日が少ない学校や、地域への周知不足のため十分な施設利用が行われていない学校もあります。
 今後はさらなる活用を図るため、施設の開放日の拡大、利用者の利便性に配慮した施設の整備、ホームページの改善による周知促進や、関係局と連携した地域スポーツクラブに対する開放施設の情報提供等の取り組みを通じ、気軽にスポーツを楽しめる環境の整備に努めてまいります。
 次に、都立特別支援学校のスポーツ教育についてでありますが、都立特別支援学校では、障害が重い児童生徒も楽しめるハンドサッカーやボッチャなどの障害者スポーツの普及啓発や、全国規模の障害者体育大会で活躍する選手の育成など、障害のある児童生徒に、スポーツを通じて夢や希望を育む教育の充実に努めております。
 今後、都教育委員会は、パラリンピック開催に向けて、障害者スポーツを取り入れた学習の一層の充実や、すぐれた外部指導者を活用した部活動の振興、近隣の小中学校等とのスポーツを通じた交流の活性化など、都立特別支援学校のスポーツ教育を計画的に推進をしてまいります。こうした取り組みにより、全ての児童生徒に、障害の種類や程度に応じて、卒業後もスポーツに親しむ態度や習慣の基礎が身につくよう、各学校を支援してまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 防災対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域危険度測定調査の結果活用についてでございますが、本調査は、市街化区域の全町丁目を対象に行うものであり、地震に対する建物倒壊や火災の危険性を相対的に示すものでございます。これまで、都市計画道路の整備に伴い、沿道建築物の不燃化や耐震化が進んだ地域、市街地再開発事業を行った地域などでは、危険度は低下しておりますが、木密地域などでは依然として危険度は高い状況でございます。
 今後とも、本調査で明らかになった結果を活用し、都民の防災意識の高揚に役立てるとともに、木密地域不燃化十年プロジェクトなど、防災都市づくりを効率的、効果的に進めてまいります。
 次に、区が行う深井戸整備への支援についてでございますが、都はこれまで、防災都市づくり推進計画で定めた整備地域内において、老朽木造住宅の不燃化建てかえや主要生活道路の整備などに合わせ、消火活動を行うための耐震性貯水槽などの施設整備に対して、区への助成を行ってまいりました。お話のありました地域の防災性の向上に資する深井戸につきましては、都は、区から要望があった場合は国と連携して支援してまいります。
 今後とも、地元自治体と連携し、燃えない、燃え広がらない町の実現など、防災都市づくりの推進に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 防災対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、発災直後の情報収集体制についてでございます。
 発災時に的確な初動対応を行うためには、さまざまな手段を最大限に活用して被害状況などを把握し、初動時の対応に結びつけていく必要がございます。
 現在、発災直後の自衛隊、警察、消防との連携等を定めた首都直下地震等対処要領の策定を進めておりますが、情報収集につきましては、都庁の高所カメラやヘリコプターからの映像、道路、河川に設置しているカメラ映像等を活用して、状況把握を行うこととしております。
 また、今回の災害では、現地対策本部を通じてさまざまな情報を収集できました。このため、今後も、発災時には必要に応じて災害対策本部等から被災地へ職員を派遣し、現場の情報をきめ細かく酌み取るなど、都の情報収集機能の強化に努めてまいります。
 次に、災害時における都と町村との連携についてでございます。
 島しょにおける大規模災害発生時に、住民に迅速な避難を促すとともに、救出救助などの応急対策を着実に行うためには、都の出先機関である支庁と地元の町村とが緊密に連携して、災害対応を行っていく必要がございます。
 都はこれまで、防災行政無線の整備など、支庁と町村の間での情報連絡手段を確保するとともに、今回の大島の災害対応では、支庁に設置いたしました現地対策本部を通じて、支庁と町が必要な連絡調整を行ってまいりました。さらに、より実効性の高い応急対策を実施するため、今後、支庁と地元自治体との間で、発災時に相互に職員を派遣し、情報共有や事業調整を行う体制の構築に向け、検討を進めてまいります。
 最後に、災害時における報道についてでございます。
 災害時の情報発信については、防災行政無線やホームページなど行政による情報発信に加え、マスコミ等の報道が大きな役割を担っています。
 このため、都は、各報道機関と災害時等における報道要請に関する協定を締結し、随時の報道発表を通じて、都民に対する情報伝達の迅速化を図っています。また、総合防災訓練の際の事前説明等を通じて、各報道機関に対し、取材時の安全性確保、プライバシーへの配慮などについても理解を求めております。
 現在、住民等に対するマスメディアを通じた迅速な災害情報提供方法についても検討しており、今後とも、報道機関と適切に連携しながら、災害時の情報発信を行ってまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

〇消防総監(大江秀敏君) 震災時における消防水利の整備についてでありますが、大規模火災などによる被害を軽減するためには、震災時においても有効に活用できる消防水利が重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、延焼危険度に応じて、四十トンまたは百トンの耐震性防火水槽や、地下水を活用する深井戸を整備するとともに、河川や池を初めとする自然水利などの確保に努めております。
 引き続き、関係機関との連携を図りながら、深井戸を含め、多岐にわたる消防水利の整備、確保を推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 文化、広報に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックにおける文化の役割についてでございますが、オリンピック憲章には、スポーツと文化は一体であることや、文化イベントを計画すべきことなど、オリンピックが文化の祭典でもあることが示されております。
 二〇一二年のロンドン大会では、二〇〇八年の北京大会終了後から、英国の歴史と文化を象徴する数多くの文化プログラムが展開をされました。特に、大会期間を含む三カ月間は、約二千万人が参加したロンドンフェスティバルが実施されるなど、文化の力で大会を盛り上げたことがオリンピック成功の大きな要因となったといわれております。
 日本には、歌舞伎など伝統文化からアニメや最先端技術まで、海外からの評価が高い文化資源が集積をしております。また、江戸以来の都市の成熟の中で、人々の生活や様式に定着したホスピタリティーや品格も存在をしております。
 ロンドン大会と同様に、二〇二〇年の東京大会を成熟した都市として成功させるため、伝統と現代が融合し、洗練された日本の文化の特性を生かした文化プログラムを策定してまいります。
 次に、文化プログラムの策定に向けた今後の取り組みについてでございます。
 ロンドン大会では、文化プログラムの策定に当たり、英国政府やロンドン市に加え、芸術文化の専門機関であるアーツカウンシルが、事業の企画立案やその推進を担ってまいりました。
 二〇二〇年の東京大会における文化プログラムは、二〇一六年リオデジャネイロ大会終了後の事業展開に向けて、早期に検討に着手する必要があることから、今月二日に東京芸術文化評議会を開催し、議論を開始したところでございます。
 今後、ロンドン大会の文化プログラムの責任者からの意見聴取など、海外の先進事例の調査や、国内の文化団体との意見交換を早期に実施するとともに、ロンドンでも中心的な役割を担っていたアーツカウンシルの機能の充実を図ってまいります。
 これらの取り組みを踏まえ、基本コンセプトを早期に取りまとめ、文化プログラムの策定につなげてまいります。
 最後に、海外への広報展開の強化についてでございます。
 東京が厳しい都市間競争を勝ち抜くためには、高度に発達した都市機能など、現在の東京が持つ魅力はもちろんのこと、今後、都が重点的に取り組む政策と、それによりさらなる発展を遂げていく東京の姿を、世界に向けて強くアピールしていくことが極めて重要であります。
 都はこれまで、都民向けの都政広報を展開してまいりましたが、今後は、ロンドンが成功したように、海外発信に効果的な情報内容と手法を選択した都市広報に力を入れ、これを積極的かつ戦略的に展開していく必要がございます。
 そのため、新たな取り組みとして、東京の強みやセールスポイントとなる、駅や医療機関等での多言語対応を含むユニバーサルデザインのまちづくり、クリーンな水や大気を実現する先進的な環境技術、都内の中小企業が世界に誇るものづくりなどの情報を、海外に向けてわかりやすく体系化して発信してまいります。
 また、ホームページやユーチューブなどで写真や映像を効果的に活用し、見る人に強く印象づけていくとともに、国際的に活躍する文化人によるツイッターやフェイスブックへの投稿など、新たな発信手法も積極的に導入してまいります。
 こうした具体的な取り組みを通じて、海外からの東京に対する注目度を高め、東京のプレゼンスの向上を図ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、下請取引の適正化についてでありますが、厳しい経営環境にある中小企業にとって、下請代金の支払い遅延や減額請求などの不適正な取引は、経営に多大な影響を及ぼす切実な問題であります。
 そのため、都は、東京都中小企業振興公社に下請センター東京を設置し、取引に係る苦情相談の対応や、調停による紛争解決を行うとともに、講習会や企業への巡回訪問により、不適正取引の未然防止に取り組んでおります。
 また、本年十月からは、消費税の転嫁対策に関する法律の施行を踏まえ、下請センター東京において、転嫁拒否行為等に関する相談受け付けを開始いたしました。
 今後、消費税率の引き上げに伴う価格転嫁への対応も含め、下請企業へのよりきめ細かな支援が実現できるよう、相談体制や普及啓発の強化を検討してまいります。
 次に、環境対応に取り組む中小企業の支援についてでありますが、都内中小企業が省エネや省資源の取り組みを進め、環境に配慮した経営を実現することにより、取引先の信頼を確保することは重要であります。
 都は、中小企業団体中央会と連携して、中小企業のグループによる新たな事業計画の策定などを後押ししており、環境対応への取り組みについても、中小企業診断士等の専門家を派遣するなどの支援を行っております。
 本事業を活用し、これまでに二十のグループが環境経営の認証であるエコアクション21の取得に向けた計画を策定するなど、着実に成果を上げております。
 今後は、課題解決に向けた中小企業グループの継続的な取り組みをより一層促進できるよう、計画の更新や人材育成に対する支援の拡充を検討してまいります。
 最後に、技能者育成の取り組みへの支援についてでありますが、技能を振興し、ものづくり現場の実態に即した人材を育成する上で、現場を抱える業界団体による主体的な取り組みを後押しすることは重要であります。
 都では、東京マイスターの表彰等を通じ、技能を尊重する社会的機運の醸成を図るとともに、技能を競う競技大会やコンクールに対して後援や表彰を行うなど、団体の取り組みを奨励してまいりました。
 しかし、競技大会等の開催に当たっては、審査、運営に係る人員の確保や使用する材料の費用など負担も大きく、業界によっては実施が困難な状況が見られます。
 このため、今後、団体が競技大会等を円滑に運営するための支援策について検討し、ものづくりを支える技能者の育成を促進してまいります。

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