平成二十五年東京都議会会議録第十六号

〇議長(吉野利明君) これより質問に入ります。
 百十二番宇田川聡史君。
   〔百十二番宇田川聡史君登壇〕

〇百十二番(宇田川聡史君) 第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、先般の台風二十六号によりお亡くなりになられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 とりわけ大島では、かつてない激しさで降り注いだ大雨により大規模な土石流が発生し、甚大な被害が生じました。
 我が都議会自民党は、発災後直ちに現地を訪れ、地元の要求を確認した上で、都に対して、人命救助に最大限努めること、医療体制の充実や産業の早期復興に向けた資金繰りの確保など、大島町の皆様が安心な生活を取り戻せるよう、都を挙げて万全な対処を行うことを緊急に要望しました。
 都は、大島町消防団を初め、自衛隊、警察、消防などと連携し、懸命の救出救助活動を行うとともに、直後に襲来した台風二十七号への備えや被災者への対応に精力的に取り組みました。
 また、我が党の要望に応え、生活再建支援金や被災中小企業に対する金融支援策を打ち出し、その後も激甚災害の指定にあわせ、国との緊密な連携のもと、支援策の拡充を迅速に実現してきたことは評価をいたします。
 一方で、いまだ大島町の状況は深刻です。三十五名のとうとい命が失われ、なお四名の方が行方不明となっております。山間部についても、今回の土石流により多くの林道が寸断され、今後も大雨などによる崩壊が懸念をされています。被災された方々の中には、住宅再建の見通しも立たず仮住まいをされている皆様や、事業の再開にめどが立たない皆様もおり、島全体の経済への影響もはかり知れません。
 こうした現状を直視した上で、かつて三宅島の火山災害において特別交付金制度を創設したように、さまざまな取り組みを強力に、そして継続的に展開していく必要があります。
 大島の一日も早い復旧、復興に向けて、関係各局が緊密に連携し、都の総力を挙げた取り組みが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 今回の災害により多くの犠牲者が出てしまったことは痛恨のきわみです。都は、発災直後からさまざまな対策を着実に実施してまいりましたが、地元との連携において幾つかの課題が浮き彫りとなったのもまた事実であります。
 我が党では、従来から、休日、夜間でも災害に対する安全・安心を確保することの重要性を主張してまいりました。今回の土砂災害も深夜に発生をしましたが、時間帯を問わず、さまざまな災害に対処するための体制の構築が必要です。
 一方、気候変動の状況も踏まえると、過去の災害に学ぶだけでは、もはや十分とはいえません。国では、避難勧告等に関するガイドラインの見直しを進めているようですが、都においても、こうした動きも踏まえながら、今回の対応で得られた教訓をもとに、発災時の情報伝達や救出救助体制、国や町との連携など、改めて危機管理体制を見直していくべきと考えますが、見解を伺います。
 去る十一月一日、新たな長期ビジョンの策定に向けた論点整理が公表をされました。
 我が党は、都民の皆様に約束した政策集の実現に向け、既に議論をスタートさせております。今回の論点整理も検討に加え、骨太の政策を練り上げ、新たな長期ビジョンに反映させるべく、近々にも執行機関に提言をしてまいります。執行機関には、我が党の今定例会での質問を真摯に受けとめ、さらに、我々の提言を十二分に踏まえて長期ビジョンの策定に当たられるよう求めておきます。
 論点整理では、今後の人口減少の姿が示されました。しかし、我々が厳に戒めなければならないことは、将来をいたずらに悲観し、縮小のスパイラルに陥ることであります。必要なことは、日本の可能性、潜在力を見詰め直しながら経済の活力を維持し、若者には希望を与え、誰もが安全で安心できる社会を築いていくことが政治と行政の役割である、このことは論をまちません。我が党は責任政党として、これに全力で当たってまいります。
 そうした中、人口が減少するからインフラ整備を縮小させよとの議論があります。これは余りに短絡的といわざるを得ません。激しい国際競争を勝ち抜き、都民生活の利便性を一段と高め、都民の暮らし、生命、財産を守るには、都市インフラの整備は不可欠であります。既存のインフラの更新も揺るぎなく進める必要があります。インフラの新設と更新をバランスよく続けながら、都市としての機能を維持し向上させることで、観光客の誘致や産業振興が進み、福祉の拡充や教育の充実が加速することで東京の魅力は一段と高まってまいります。
 先人たちの皆様が血のにじむような努力を重ねてきてくれたそのおかげで、世界に誇れる都市へと成長をした東京、我々はこれを引き継ぎ、守り抜き、より成熟、発展をさせて次代へとつなげていく使命、責務を負っていると考えております。
 今後の都政の羅針盤となるべき新たな長期ビジョンでは、オリンピック・パラリンピック開催と、その先の子や孫たちの将来をも見据えて、今やっておかなければならない取り組みに果敢に挑んでいかなければなりません。今後の都市インフラの整備について所見を伺います。
 また、我が党は、政策集の一つに、魅力あふれる多摩・島しょをつくりますを掲げました。多摩・島しょの豊かな潜在力を引き出し、新たな発展を加速させることが重要だと認識をしております。
 論点整理では、将来像を実現するための政策展開の方向性として、六本の政策の柱が示されていますが、多摩・島しょについても、ビジョンの政策の柱の一つに位置づけすべきくらいに重要であると考えております。今後、策定される長期ビジョンにおける多摩・島しょの政策展開について伺います。
 次に、地方税制のあり方について伺います。
 来年度税制改正の議論が山場を迎えておりますが、依然として法人事業税の暫定措置の存続や法人住民税の一部国税化など、地方分権に大きく逆行する案が取り沙汰されております。
 こうした状況に対し、これまで我が党は、緊急都連会議を開催して断固反対の決議をし、総務大臣、財務大臣に決議書を提出するなど、全力で国に働きかけを行ってきておりますが、事態は予断を許さない状況であります。不合理な税制改正が行われれば、防災力強化や少子高齢化への対応等、喫緊の課題への対応がおくれるばかりか、オリンピック・パラリンピックの開催準備にも支障が出かねません。
 また、地方分権の大義を忘れ、国への依存度が高まるこのような措置が強行されれば、地方にも明るい未来は決して来ません。税制改正の最終局面を迎えるに当たり、この不合理な税制改正の阻止に向け、どのように取り組んでいかれるのか見解を伺います。
 東京が世界で一番の都市へと成長を遂げられるかは、都政を担う職員一人一人の力量にかかっています。職員が都政の質を高めることにより、直面する課題や想定外の事態にも対応できる確かな執行力が求められているのです。
 これまで、都は厳しい行革努力を行ってきました。しかし、大量退職が進む中、職員数も減少し、技術職を中心にノウハウの継承が危ぶまれているとの声も聞こえてきます。必要な職員の数や質を確保できず、執行力を失って都政が停滞するようなことがあってはなりません。
 人材育成は短時間でなし得ることではありません。オリンピック・パラリンピック開催のみならず、その先も見据えて新たな長期ビジョンを実現していくためには、必要なマンパワーを今からしっかりと確保していくことが強く求められており、職員数を削減してきたこれまでの流れを転換すべきときに来ているのではないでしょうか。
 そこで、人材の確保や育成のあり方など人事政策の今後の方向性を見定めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、外国人技能実習制度の充実について伺います。
 本制度は、我が国で開発され培われた、すぐれた技能、技術、知識を開発途上国等へ移転することを通じ、広く国際協力、国際貢献を目的とする制度であり、同時に、我が国産業の振興や発展にも大きく寄与しております。
 今後、東日本大震災からの復興や老朽化したインフラの更新などにより公共事業等の増加が見込まれており、本制度を活用した外国人の技能習得、習熟の機会がふえることとなります。また、より高度な技能者の育成のニーズが高まっている中、より長期間の実習期間が必要となっております。
 しかし、現行制度では、実習期間が最大でも三年で、再延長できないことに加え、帰国後の再入国も認められておらず、これらの情勢に十分に対応できていない状況にあります。
 そこで、実習生がより高度な技能を身につけるための実習制度の導入など、技能実習の機会を最大限に活用できるよう、制度の充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、入札契約制度について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京開催は、全ての国民、都民の勝利であり、心から感謝を申し上げます。この世紀の祭典に当たって、参加するアスリートはもとより、国民、都民にとって、さらには世界各国から訪れる全ての人々にとって、我々は最高の舞台を準備しなければなりません。特に、主要な競技場は、その周辺も含め、工程的にも十分な余裕を持って整備を進めていくことが求められており、都の責務は非常に重大であります。
 そのような施設整備に当たっては、民間の高い技術力を引き出しつつ、大胆な工期の短縮を図るなど、これまでに経験したことのない取り組みが必要であり、オリンピック・パラリンピック関連施設の工事発注等に向けた入札契約制度の運用や新たな手法が必要だと考えますが、所見を伺います。
 また、オリンピック・パラリンピックの準備を待たずとも、都の公共工事を取り巻く環境は、この間大きく変化をしております。安倍政権が誕生して以来、アベノミクス効果によって日本経済は再生の軌道に乗り、これまで我々都議会自民党からの提言により、都が進めてきた入札契約制度改革の成果もあって、いっときのような低価格による過度な価格競争は減少してきました。
 一方で、都が発注する工事においても、工事費の先高感や、技術者、技能者の不足等の理由による不調が増加するなど新たな課題が発生しております。不調による工事契約のおくれは、ひいては都民サービスの低下につながりかねません。
 このような公共工事を取り巻く状況の変化に、都は的確に対応していくべきと考えますが、今後の入札契約制度における取り組みについて伺います。
 工事だけではなく、業務委託における品質の確保もまた重要であります。委託は、日々の履行確認を適切に行うことで全うできるとの考えから、競争による経済性の発揮を主眼としてきたわけですが、社会経済状況の変化による価格競争の激化の中で、業務委託の一部には、サービスの質が低下しているとの指摘もあります。
 質の高いサービス提供のために必要なことは、技術的にすぐれた事業者が、持てる実力を遺憾なく発揮できる環境をつくり上げることであります。品質確保のため、価格のみによらない入札契約制度のさらなる検討を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 とうとい人命を奪った東日本大震災の発生から二年八カ月の歳月が経過いたしました。大津波により被災した旧市役所庁舎や市街地に打ち上げられた大型漁船など、自然の猛威を伝える震災の遺構が次々と姿を消し、世間の関心が時間の経過とともに薄れていくことを懸念しております。震災の記憶を胸に刻みつつ、子孫を災害から救う手だてを着実に講じていくことは、震災の惨禍を知り、今を生きる我々の後世への責任でもあります。
 都は、我が党の要望を踏まえ、発災直後から現地事務所を設置し、被災地の状況を見きわめながら、全国の先頭に立って、瓦れきの都内受け入れやインフラ再建を担う技術職員の派遣を初め、さまざまな復興支援に懸命に取り組んできました。
 復興事業がピークを迎える中、都は引き続き、被災自治体のさまざまなニーズを踏まえ、復興をしっかりと後押ししていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 今なお、福島県では風評被害の影響があり、観光面からの復興を後押しするため、来年度も被災地応援ツアーを継続するとともに、被災地の子供たちに元気と希望を与えるアスリート派遣を引き続き実施するよう要望しておきます。
 この臨時国会において、自由民主党が提案してきた国土強靱化基本法案、首都直下地震や南海トラフ地震に関する特別措置法案が成立し、防災対策の強化が日本全体で進められることになります。我々都議会自民党も安倍政権と手を携え、首都東京に強靱な防災体制を構築していく決意であります。
 災害に強い安全な東京をつくるためには、インフラの整備に加え、住民の避難体制の整備といった対策も欠かせません。区部東部ゼロメートル地帯には百五十万人の都民が住んでおり、水害の危険性に常にさらされております。堤防の決壊などにより浸水被害に一旦見舞われた際には、地元自治体単独では対応し切れない大災害となる可能性が極めて高いと考えられます。
 避難所や避難経路の確保、避難勧告など、主たる役割を果たすのは基礎的自治体である区市町村でありますが、ここ最近の異常気象を踏まえると、一自治体だけでは対応し切れないことも十分に想定されることから、行政区域を超えた避難体制を都が先導して構築していくことが求められております。
 災害時に都民の命を守るため、都は広域的な避難体制の構築に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、多摩地域における豪雨対策について伺います。
 ことしの夏は極端な悪天候があり、過去に経験したことのない豪雨や台風により、全国各地で甚大な浸水被害に見舞われました。中小河川が多く、山間部を抱える多摩地域においては、都市化が進んだこと等により、被害の拡大につながるおそれがあります。
 都では、昨年十一月に中小河川の新たな整備方針を策定し、多摩では、目標とする整備水準をこれまでの時間五十ミリから六十五ミリに引き上げました。また、土石流や崖崩れなどの土砂災害にハード対策、ソフト対策の両面から取り組んできています。多摩地域に住む都民の安全・安心を確保するためには、台風や局地的集中豪雨への対策を早期に進めることが極めて重要であります。
 そこで、多摩地域における豪雨対策への取り組みについて見解を伺います。
 本年第三回定例会の我が党の代表質問に対して、下水道局から、ことしの浸水被害の状況を踏まえ、局地的集中豪雨に対応する計画を年内に策定する旨の答弁がありました。
 そこで、局地的集中豪雨に対応する下水道対策プランの取り組み方針について伺います。
 東京を世界で一番の都市にするためには、大地震や集中豪雨等への備えを万全とし、都民の生命を守り、首都機能を堅持する取り組みを推進していく必要があります。道路は、交通、物流の確保や地域の安全・安心を支える重要な都市基盤であり、大規模災害時においても、その機能が十分に発揮されるよう、質、量ともに一層充実していくことが不可欠であります。
 そこで、災害に対する道路の強靱化の取り組みについて伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 都による全国初となる耐震化推進条例の施行後、耐震診断を行う建築物が大幅にふえ、対象約五千棟のうち、既に七割を超える建築物が診断に着手したと聞いております。特定沿道建築物は、そのうちの一棟が倒壊しただけでも道路を閉塞し、緊急輸送道路の機能を失わせ、広範囲に大きな影響を与えることから、早急に耐震化を進めていくことが重要です。
 そのため、残る三割の建築物についても、耐震化に向けた第一歩である耐震診断を着実に実施してもらうよう、これまでにも増して積極的な対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 診断の進捗状況を踏まえれば、今後、多くの建物所有者が耐震改修の実施を検討していくことが想定されますが、その際の工事費用の捻出が高いハードルとなります。
 このたび、国は耐震改修促進法を改正し、都と同様に耐震診断の義務化を行い、これにあわせて改修工事などへの助成制度を拡充いたしました。国がようやく都の施策に追いつき、都の取り組みが全国的に拡大することになったといえるのではないでしょうか。
 加えて、耐震改修に関する相談へのきめ細かな対応もこれまで以上に重要となっています。改修の実施に向けた動きが本格化していく中、耐震化推進の先駆けである都としても、建物所有者への耐震改修に向けたさらなる支援策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 先月、COP19が開催されました。台風三十号によって甚大な被害を受けたフィリピン代表団の悲痛な演説により、私たちは気候変動の危機が目の前にあることを改めて突きつけられました。もはや異常気象が常態化しつつあるといっても過言ではなく、気候変動対策は待ったなしであります。
 東京のエネルギー消費量は北欧諸国の一国分に相当し、この規模に見合った責任を果たさなければなりません。加えて、東京は電力の大部分を他県に依存しており、地域のさまざまな課題を乗り越えた上で東京へと電力を供給し続けてくれた、このことを我々は決して忘れてはなりません。
 その上で、今、我々がなすべきことは、省エネ対策、気候変動対策を一層力強く講じていくことであります。都の基本認識を伺います。
 東電の原発事故以降、日本の電力環境は一変しています。さらに、本年九月、IPCCが六年ぶりに報告書を公表しましたが、温暖化には歯どめがかかっていないとの指摘でありました。
 こうした中で、都の水道事業は、都内電力使用量の約一%の電力を使用する大規模事業者としてエネルギー削減に努める社会的使命があるのではないでしょうか。間もなく長期間にわたる水道施設の更新事業が始まることとなりますが、水をつくり、届けるという水道システムそのものをエネルギーの観点から見直す絶好の機会と捉えます。長期的視点に立って、抜本的なエネルギー対策に転換していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、下水道の地球温暖化対策について伺います。
 下水道事業は、都民の安全で快適な都市環境の確保を担う重要なインフラである一方、都庁全体の温室効果ガス排出量の約四割を占める最大の排出事業者であります。
 これまで、二酸化炭素の三百十倍もの温室効果がある一酸化二窒素を大幅に削減する取り組みなど、エネルギー消費量の削減を積極的に実施してきました。しかし、さらなる努力を続けることが求められております。下水道事業における地球温暖化対策の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
 世界一の環境都市を実現するためには、無駄なエネルギー消費を無理なく抑える社会を構築する歩みをとめてはなりません。そのためには、省エネ性能の高い機器や創エネ機器の普及により、エネルギー利用の効率化を最大限に高めることが重要です。特に、都内に六十九万ある中小事業所の省エネ、創エネ対策は重要であり、我が党はその必要性を第三回定例会で提言したところであります。
 中でも、給湯などで熱を多用している中小事業所へのエネルギーマネジメントの普及や、省エネ改修のインセンティブが働かない中小テナントビルへの設備改修の促進が課題となっております。
 都は、具体的な手だての構築を急ぐべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策における区市町村との連携強化について伺います。
 都みずからの取り組みに加え、地域の実情に精通している区市町村との連携を強化し、東京の環境を一層向上させることは重要です。
 我が党も区市町村の実情把握に努めておりますが、その中で、区市町村がみずからの創意工夫を生かしながら継続的に取り組めるよう、これまでのサンセット事業とは異なった財政的支援や、専門的、技術的サポートを望む切実な声も多く寄せられており、こうした意見をしっかりと受けとめる必要があります。
 第三回定例会で我が党は、継続的かつ着実に区市町村との連携強化を図るべきことを提言し、都は既に検討を進めておりますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、東京湾の水質改善についてお尋ねいたします。
 多くの都民が、身近な憩いの場として、また、多様な生物が生息する水辺空間として、東京湾が再生されることを期待しております。
 この夏、葛西海浜公園では、一定の条件はあったものの、およそ五十年ぶりに海水浴場が復活、たくさんの子供たちの笑顔であふれておりました。加えて、トライアスロン等の会場となるお台場はもちろん、選手村や会場の多くが臨海部に集まり、東京湾に対する注目はいやが応でも高まってきます。
 これまで複合的な課題がある中、関係各局のさまざまな努力により水質改善がなされてきましたが、今後、より一層の取り組みが必要です。東京湾の水質改善に向けてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 また、下水道の普及によっても、河川を含む水質改善がなされてきました。しかし、よりレベルの高い水質改善のためには、水再生センターの処理水質をさらに向上させる高度処理の導入が必要です。今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 また、区部の八割では合流式下水道が採用されています。衛生環境の改善と雨水排除の両方を早期に達成できるといったメリットがある一方で、大雨の際には、汚水まじりの雨水が河川や海などに放流されることとなり、その対策も講じる必要があります。合流式下水道の改善にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度の見直しについて伺います。
 本制度は、大気汚染による健康被害者の救済に一義的な責任を持つ国の動きが極めて鈍いことから、気管支ぜんそく患者の方々の救済を早急に実施するために、訴訟の和解に向け、都が提案し創設したものです。ディーゼル車規制等の取り組みとあわせ、二十世紀の負の遺産ともいうべき東京の大気汚染問題の解決に道を開いた画期的な制度だと考えております。
 本制度による助成は平成二十年八月に開始され、国がいまだ患者救済制度を創設しない中、現在まで約七万三千人もの患者の方々を救ってまいりました。一方、和解条項では、創設後五年を経過した時点で見直すこととなっており、その時期が到来しています。
 気管支ぜんそくは治癒しない病気とされ、継続的な治療が必要なことから、我が党には患者の皆様から、制度がどのように見直されるのか不安を訴える声が多く寄せられております。
 本制度は、都、国、自動車メーカー、首都高による財源拠出により成り立っておりますが、現状では、新たな財源拠出は大変厳しい状況であると聞いております。また、医療費助成制度というものは、患者の皆様の日々の生活に直結するものであり、その見直しは大きな影響を及ぼします。
 そこで、我が党はかねてより、見直しに当たっては、患者の皆様への影響に十分配慮すべきと主張を繰り返してまいりました。都は、現行制度をめぐる検証の結果を踏まえ、どのように制度を見直していくのか伺います。
 次に、福祉、保健、医療施策について伺います。
 現在、国においては、社会保障制度改革国民会議の審議の結果等を踏まえ、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆる社会保障改革プログラム法案を今臨時国会で審議しております。
 一方、都においても、急速に進行する少子高齢化や人口減少社会の到来など諸課題に対応するため、年内には新たな長期ビジョンを発表する予定であります。
 こうした状況も踏まえ、我が党では、高齢、少子、障害、社会保障それぞれについてプロジェクトチームを設けて検討を重ねているところであります。少子高齢化が進展する中で、今後の福祉、保健、医療施策をどのように展開していくのか所見を伺います。
 次に、次世代育成支援東京都行動計画の成果を踏まえた、子供家庭施策の今後の展開について伺います。
 都は、平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度に向けて、東京都子供・子育て会議を十月に立ち上げ、検討を開始しました。
 一方、国においては、新制度への移行に当たり、次世代育成支援法の延長についても検討されています。
 これまで都は、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、先駆的な取り組みも含め、さまざまな施策を推進してきました。この計画では、安心して子供を育て、子育ての喜びを実感できる社会を実現するなど三つの理念を示すとともに、地域で安心して子育てができる新たな仕組みづくりなど五つの目標を掲げています。
 今後の取り組みを考える上では、この行動計画におけるこれまでの成果を総括、評価することが必要です。在宅で、あるいは働きながら子供を育てているなど、東京で暮らす全ての子供と家庭を支援するため、都は今後どのような施策を展開していくのか、基本的な方向性を伺います。
 次に、地域における介護基盤の整備と、高齢者の地域生活を支える見守り、相談等の機能強化について伺います。
 団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年には、東京の高齢化率は二五・二%、都民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となる見込みであり、介護サービス基盤のさらなる整備が必要であります。
 同時に、高齢者ができる限り地域生活を継続できるよう、見守りや相談など、地域における支援体制を充実することも重要であり、そのかなめとなる地域包括支援センターの機能強化が必要です。
 今後、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、障害者を初め、誰もが暮らしやすいまちづくりについてお尋ねします。
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、地域居住の場の整備や在宅サービスの充実とともに、安心して生活し、活動できる町を実現することが重要です。障害者が暮らしやすい町は、全ての人が暮らしやすい町ともいえます。折しも来年度は福祉のまちづくり推進計画の改定年次に当たっています。
 そこで、東京を世界一暮らしやすい町にするため、障害者の視点も十分に踏まえて計画を改定し、関係局とも連携して福祉のまちづくりを一層推進していくべきと思いますが、都の考えを伺います。
 次に、都営地下鉄におけるホームドア整備について伺います。
 高齢者や障害者を含む全ての人々が安心して鉄道を利用する上で、ホームドアの整備は極めて有効な取り組みであります。
 しかしながら、都内の鉄道路線では、相互乗り入れなどさまざまな課題があり、整備が進んでいない状況にあります。都営地下鉄においては、三田線に加え、大江戸線もホームドアの整備が実現しました。残る二路線では、これまで乗り入れ各社と検討を行っているとのことでありますが、新宿線については、もう既に二年半以上も経過しております。
 誰もが安全で安心して利用できる地下鉄を実現するためにも、スピード感を持って、都営交通が率先してホームドアを整備することが求められていると考えますが、新宿線へのホームドア整備について伺います。
 次に、少子高齢社会における医療政策について伺います。
 晩婚化などの影響により、ハイリスク妊産婦や低出生体重児の割合も増加傾向にあることから、これらに対する専門医療を二十四時間体制で提供するNICUの整備を着実に進めるとともに、退院後の療養生活を地域全体で支える体制の整備が必要と考えます。
 そこで、小児在宅療養体制の推進に向けた都の取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、今後のがん対策について伺います。
 我が党は、都議選の公約において、がん検診の受診率向上等を初め、がん対策の充実強化を掲げました。都民の死因の第一位はがんであり、また、二人に一人が生涯のうちにがんにかかる可能性があるといわれています。
 がん対策で、まず第一に重要なことは、生活習慣の改善などによるがんの予防でありますが、がん検診の受診による早期発見、早期治療も大切なことであります。また、将来的ながん対策の充実を図るためには、がんの罹患状況や生存率などの実態を把握することも重要です。
 都は、昨年度から地域がん登録に取り組んでおりますが、一方、国では、今臨時国会で、がん登録制度の法案成立を目指しています。
 そこで、今後のがん検診の受診率向上のための取り組みと、がん登録法制化に向けた所見を伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 我々都議会自民党は、東京が力強い経済で日本をリードしていくことを公約に掲げ、その具体的な施策の議論を重ねているところであります。政権交代から間もなく一年、アベノミクスのさまざまな政策が着実に成果を上げ、企業の業績回復など、経済の見通しに明るさが見え始めています。
 こうした景気回復の流れをしっかりと中小零細企業に行き渡るようにすることが都政の責務だと考えます。景気回復を確実なものとし、中小企業の成長を実現するため、より一層の力強い支援を行うべきです。
 都はこれまで、新たな技術や製品づくりに向けた中小企業の研究開発を支援してきましたが、こうした開発の成果を生産活動に結びつける一つに、新たな設備導入があります。しかし、すぐれた技術を持ちながら、資金の負担に限りがあるため、設備の導入に踏み切れない中小零細企業が多くあることも事実であり、こうした企業の設備投資を活性化することが必要であります。
 国の設備投資減税とも軌を一にしながら、中小零細企業にも十分に配慮し、より踏み込んだ実効性ある支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 情報通信分野技術の発展により、すぐれたアイデアや技術力があれば、世界規模で事業を展開することが可能となり、将来に向け、創業を目指す者にとっては、これまでにないビジネスチャンスが広がっています。
 また、女性や若者に加え、仕事の経験の豊かなシニア層が、身近な地域社会で起業に取り組む動きも出ています。地域の実情を踏まえた具体的な支援のため、例えば、創業をサポートするファンドのような枠組みとして、地域の金融機関と連携した新たな資金供給の仕組みを立ち上げるべきです。
 都として、創業支援に向け、多様な施策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 ものづくりの業界では、コスト高などの理由により、施設を新しくする際に他県への転出を考える会社も出てきております。また、多摩地域では、大規模な生産工場の都外移転などにより、その周辺を含めた中小企業の集積の維持が新たな課題の一つになっております。
 そのため、企業の集積を維持し、産業の空洞化を招かないよう、工場の改修や移転等に対する企業の負担を軽減する新たな仕組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 東京を世界の中で存在感のある都市へと発展させるためには、観光の振興が欠かせません。オリンピック・パラリンピックの開催を一つの契機として、数多くの外国人旅行者が東京を訪れることが期待されています。こうした外国人旅行者が、東京が誇れる食や文化などの数々の魅力を実感できる環境を整備することが求められています。
 このためには、外国人旅行者がまず目にする表示、標識などの多言語による対応をさらに推し進めることが必要です。また、外国人旅行者の受け入れ環境の整備に当たっては、東京の魅力の発信源である民間とも連携した取り組みが求められると考えます。
 今後、多言語対応についてどのように進めていくのか、所見を伺います。
 さらには、国内外旅行者誘致に向けて、東京のすぐれた魅力をブランドとして効果的に発信していくための計画的な取り組みが必要です。また、都内でも特に、多摩や島しょ地域は、豊かな自然や歴史、文化にも恵まれていることから、そうした魅力を体験できる機会をつくり、発信する方法などを工夫すべきであります。所見を伺います。
 東京の多摩・島しょ地域に広がる森林は、木材の供給に加え、水源の涵養や二酸化炭素の吸収、固定といった環境の保全など、多様な機能を発揮しています。こうした東京の貴重な財産を維持し、増進し、地域経済にも貢献しているのが林業であります。
 我が党はこれまでも、スギ花粉発生源対策や多摩産材の利用拡大の推進を図る方策を提案し、実現をしてきました。こうした中、多摩産材のより一層の活用を進めるには、建築事業者からの受注調達相談窓口の設置や利用のPRなど、実情に即したさらなる取り組みの強化が必要です。
 都は現在、森づくり推進プランの改定に取り組んでおりますが、一歩踏み込んだ支援策なども盛り込んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の島しょ地域を中心とする水産業も、価格の低迷や漁獲量の減少に加え、燃油価格の高どまりなど、その経営環境は大変厳しい状況が続いています。島しょ地域の活力をも失いかけない懸念から、我が党は、第三回定例会において燃油価格高騰への緊急支援策を都に求め、実現させるなど、水産業の振興に向けた施策に力を注いでまいりました。しかし、現在の厳しい経営環境に対応していくには、加工、流通の推進や新たな担い手対策など、より一層の取り組みの強化が必要です。
 都は現在、審議会から答申を受け、水産業振興プランの改定に取り組んでいますが、その方向性について伺います。
 産業の担い手として女性が十分に能力を発揮し、生き生きと活躍することが期待されています。企業においても、女性の活躍は組織の活性化や生産性の向上にもつながり、ひいては都内産業の発展に寄与するものと考えます。
 現在の女性の就業率は、三十歳代を底としてM字カーブを描いており、出産や育児などで一度離職した女性の再就職や雇用環境の整備を進めるなど、働く意欲のある女性に対する支援は充実しているとはいえません。働き方に対する女性の多様なニーズを捉え、ライフステージに応じたきめ細かい支援が必要と考えますが、今後の取り組みの方向性を伺います。
 少子高齢化が進む一方で、経済や社会の活力を維持するためには、高齢者が年齢や意欲、体力に応じて力を発揮し、活躍できる環境整備が重要です。
 こうした中で、地元での仕事の機会を提供するシルバー人材センターの役割も増しているものと考えます。前政権の事業仕分けにより、センターへの国の補助金は削減されましたが、より多くの高齢者が地域で活躍できるよう、会員数の拡大や活動拠点となる施設整備等への支援を強化するなどの施策の充実を図るべきであります。都の見解を伺います。
 次に、アジア大都市ネットワーク21について伺います。
 我が党は、世界人口の六割を占め、経済成長も著しいアジアと東京の結びつきは、今後もより一層強化すべきと考えます。中でも、アジア諸国の首都や大都市とは、危機管理や環境対策など共通する行政課題の解決や、経済交流をさらに推進し、人々の暮らしをより豊かにしていくため、地に足のついた交流を一段と深めるべきだと認識しております。そうした意味で、アジア大都市ネットワーク21は大変重要な施策であると評価をしております。
 ことしのハノイ総会で、都は会員都市に対して新しい共同事業を提案し、採択されました。新しい共同事業は、何を目的とし、どのような成果が期待されているのか、新規共同事業の内容について伺います。
 次に、東京港の物流円滑化について伺います。
 近年、東京港では、貨物量が増加傾向にあります。コンテナ貨物の流れには、年末年始などの季節的なピーク、工場や卸売業者の営業時間と連動した時間的なピークなどがあることから、一部のターミナル周辺でのコンテナ車による交通混雑は長年の大きな課題です。国際競争力の向上を大目標に据えても、この交通混雑問題が解消されなければ、著しく成長しているアジア諸港に水をあけられ続けることになりかねません。
 都はこれまで、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を進めつつ、早朝ゲートオープンの取り組みなどを実施してきていますが、構造的な原因を抱えるこの問題は、一朝一夕に解決できるものではないことは明らかです。有効な手だてを講じなければ、物流の円滑化に水を差すばかりでなく、待機による経済的なロスをももたらし、周辺地域の環境にまで悪影響を及ぼすことになるため、抜本的な改革の必要性があることは論をまちません。
 中防外コンテナターミナルの供用を見据えた、東京港全体の機能強化に向けた進行管理を行いつつ、短期的な交通混雑対策も確実に実施していくなど、総合的な施策展開を図っていくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、私学振興についてお尋ねいたします。
 我が党は、私立学校が公教育に果たす重要な役割に鑑み、学校運営に対する経常費補助の充実を初め、特別奨学金などによる保護者負担の軽減や、防災機能向上のための耐震化補助の拡大、私立高校生の留学支援制度の創設などに積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、学校現場や保護者の要望を踏まえ、きめ細やかな対応を行い、公私間格差の是正や幼児教育の充実に向け、私学振興の推進に全力で取り組んでまいります。
 都民にとって厳しい経済環境が続いている中で、子供たちの修学機会を確保するため、保護者負担の実態に即したより一層の支援が必要であると考えます。
 国は、これまで私立高校生に対して一律に支給されていた就学支援金制度について、所得制限を設けるという改正法を先週成立させたところであり、その所得制限により捻出した財源で低所得世帯への支援の拡充を図るとともに、給付型奨学金の創設を行うとの考え方を示しました。
 都は、第三回定例会での我が党の代表質問に対し、国の見直しは都の考えと一致するものであり、都の制度の効果をより発揮できるよう具体的な対策を検討していくと答弁されましたが、その後の国の状況を踏まえ、どのように対応していくのか伺います。
 生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期の教育は、活力ある東京の未来をつくる人材を育成する観点から、今、我々が最も力を注いで取り組まなければならない課題です。
 幼児教育についての専門性を生かし、質の高い教育を展開する東京の私立幼稚園は、核家族化の進展や地域のつながりが希薄化する中、地域における幼児教育のセンターとして都民の大きな期待を集めています。
 もとより、全ての教育の基本は家庭教育にありますが、私立幼稚園は、教育理念に基づく独自の幼児教育に加え、障害がある園児や食物アレルギーを持つ園児にきめ細かく対応するなど、子供たちの健やかな成長を第一に考え、日々努力を重ねてくださっております。
 こうした中、私立幼稚園は、教育時間を延長して教育活動を行う預かり保育に取り組んできましたが、保護者の要望を受けてさらなる支援を望む幼稚園もあると聞いています。
 こうした地域に根差した幼児教育に取り組む私立幼稚園に対して、今後、都はどのような考え方で支援を行っていくのか伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 知的障害特別支援学校の児童生徒の増加による教室不足を解消するため、都は、特別支援教育推進計画に基づき、新設や増改築など学校の整備を積極的に進めてはおりますが、将来の児童生徒数の不確定要素にも対応できる柔軟性を持つ必要があると考えます。
 例えば、学校では、多くの授業が複数の学級をまとめたグループで行われており、日中は使用されていない普通教室がある。こうした状況を踏まえれば、今後は、多様な用途に活用できる教室をあらかじめ用意するなど、児童生徒数の将来動向に柔軟に対応できる施設整備に関する都独自の指針を新たに作成し、施設の有効活用と効果的な教育活動を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、基礎的な学力を全ての子供に習得させる取り組みについて伺います。
 東京を、若者が夢と希望を持てる教育都市とするためには、全ての子供の能力を最大限に伸ばす学校教育の充実に取り組まなければなりません。東京都の実態を分析すると、習熟のおくれがちな層の学力の底上げが大きな課題となっています。子供たち一人一人が将来の夢や希望をかなえるためには、誰もが基礎的な学力を確実に身につけていくことが必要であり、全ての子供に対する教育の質の保証は都の大きな使命の一つです。
 そこで、小学校という早い段階で基礎的な学力の定着を図る施策を充実すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、いじめ問題について伺います。
 これまで学校には、いじめの兆候があっても学校内部のみで対応しようとする嫌いがありましたが、こうした実態は抜本的に改めていく必要があるのではないでしょうか。
 都教育委員会は、昨年度から、専門家会議において具体的な対策を検討してきたと聞いています。今後、国の動向も踏まえ、子供をいじめから守る実効性のある新たな取り組みを実施していく必要があります。
 このたび、都教育委員会は、専門家会議における検討結果を取りまとめ、公表をしましたが、その内容と今後の取り組みについて伺います。
 次に、スポーツの振興について伺います。
 障害者アスリートの佐藤真海さんがIOC総会のプレゼンテーションで発言した、私がここにいるのは、スポーツによって救われたからですという言葉は、多くの人に感銘を与えました。
 先日私は、ある障害者の方からお手紙を頂戴しました。その方は卓球に挑戦し始めたとのことですが、より強くなりたいという目標ができ、今では喜びと生きがいを感じ、スポーツを通じ充実した生活を送っているとのことです。しかし、都内には障害者が気軽にスポーツのできる場所が余りにも少なく、スポーツへの挑戦を諦めざるを得ない方も大勢いるのではないか、そうした投げかけがありました。
 障害者にとってスポーツとは、リハビリテーションの効果とともに、コミュニケーションの機会の拡大、さらには、日々の目標となるなど生活に輝きを与えるものであり、健常者にとってのスポーツよりも一層大きな意味を持っていると考えます。より多くの障害者がスポーツを楽しむことができる環境づくり、さらなる障害者スポーツの振興が重要です。都の取り組みについて伺います。
 さらに、これからは障害者が気軽にスポーツを楽しむことができ、健常者ともスポーツを通じて交流できるなど、より身近なところで都民の誰もがスポーツを行える環境を整備することも必要です。都の取り組みを伺います。
 最後に、知事の基本姿勢について申し上げます。
 先週の所信表明において、一連の借入金問題について知事より発言がありました。一言でいえば、都民、東京都議会に対する説明責任を果たしたとは到底いいがたい内容でありました。
 知事は当選後間もなく、都民からの負託を得た、我こそ民意だといった趣旨の発言をされました。これを決して否定するものではありません。しかし、ここにいる東京都議会議員百二十七名全員も、全く同様の都民からの負託を受けているのです。だからこそ、二元代表制が成り立っているのです。我々都議会議員は、二元代表制のもとで建設的な議論をなし、都政を進めていくと同時に、執行側のチェック機能を果たしていかなければなりません。
 十一月二十二日の新聞報道以来、我々都議会自民党は、記者会見などにおける知事の言動を注視してまいりました。二十九日までの間、数回にわたり発言されてきましたが、所信表明を含め、都民の理解を得られたとお思いなのでしょうか。
 ご批判をいただくのは当然と踏まえた上で、深く反省している、不徳のいたすところ、おわび申し上げる、こうした発言がありましたが、一連の言動を考えれば、現在の知事の言葉を信じる都民がいるとは考えられないのです。説明責任を果たしていない上に、都民の皆さんの疑問は晴れるどころか深まる一方です。このままでは、都政運営に支障を来すおそれすらあるのです。
 知事とは、改めて申し上げるまでもなく、一千三百万都民の安全・安心を守り、時には国とも闘いながら、都政のかじ取り役を果たしていかなければならないのです。
 現在、法人事業税の暫定措置撤廃に向け、都と都議会、区市町村までもが一丸となって闘っている大事な時期です。にもかかわらず、知事はひたすら釈明に追われ、肝心な知事としての職務を果たしているとはいいがたい状況であります。
 行政府の長である知事として、政治家としての責任があるはずです。一連の報道は、海外メディアにも取り上げられております。オリンピック・パラリンピック東京開催という夢がかない、都民、国民は七年後に向け大きな目標ができました。さあ、これからだという大事な時期に、知事の言動は大きく水を差す結果となったのです。国際社会における影響をどう考えているのでしょうか。
 また、今日に至るまで、我々は新聞報道に対し、驚きと戸惑いを禁じ得ません。新国立競技場建設に対する出資、北区の産業技術研究センター跡地問題、大会組織委員会のボードと称する人事など、都議会に対しては報告、相談等一切なされないまま、突然に発表されたことは事実であります。
 第三回定例会の我が党の代表質問に対して、都議会としっかり連携することは不可欠、コミュニケーションを密にし、ともに汗をかいていくと答弁されました。発言には責任を持っていただきたい。独善的ともとれる言動は、ともすれば議会軽視につながるおそれがある、そういわざるを得ません。
 我々は、きょう、あすの代表質問、一般質問の知事の発言を逐一お聞きしてまいりますが、限られた時間内でもあり、ましてや、一方通行のやりとりでは都民の理解を得ることは困難だと考えております。
 そもそも、知事が条例に基づき公開しているご自身の資産について、異例ともいえる訂正を行ったとのことでありますが、条例を所管する委員会において報告があってしかるべきであります。
 今後、知事にお尋ねする場を早急に設けたいと考えております。その際には、ぜひともご出席をいただきたくお願いをしておきます。
 我々都議会自民党は、都民の皆様のご期待に応えるべく、都議会第一会派として責任感を持ち、やるべきことはしっかりと果たしてまいります。と同時に、たとえ何があろうとも、決して都政を停滞させることはいたしません。それこそが負託に応える我々の使命だと考えております。
 このことをお約束申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えをいたします。
 教育に関する三点のご質問ですが、まず、特別支援学校の施設整備と活用についてでございます。
 障害のある児童生徒数の増加に対応して、良好な教育環境を確保していくためには、計画的な施設整備に加え、学校施設を有効に活用することが重要であります。
 都教育委員会では、これまで校舎の増改築や特別教室の転用などにより普通教室の確保に努めてまいりましたが、特別教室で行う学習活動に影響が生じている一方、日中の時間帯によっては、普通教室の使用率が低い状況があります。
 このため、多様な学習活動に対応できる教室の整備や、施設の柔軟な利用のあり方などに関する新たな指針を策定し、学校や児童生徒の実態に応じた教育環境を整備することにより、障害特性や発達段階に応じた教育活動の充実に努めてまいります。
 次に、基礎的な学力の定着を図る施策についてでございます。
 子供たちがみずからの夢と希望を実現していくためには、基礎的な学力が不可欠であり、特に小学校段階で基礎、基本を確実に身につけることが重要であります。
 現在、学校には、習熟のおくれがちな子供たちが、その学年で学習する内容を理解しないまま進級し、次の学年での学習に支障を来すとともに、そのことが原因で学習全体に対する意欲も低下しているという実態があります。
 そのため、都教育委員会は、新たな指導指針を示して、一人一人の学習到達度に着目し、個々の状況に応じて前の学年の内容に立ち戻る指導を徹底するなど、各学校の指導内容、方法を改善してまいります。
 また、区市町村と連携して効果的な習熟度別指導を全都的に展開するため、指導体制を充実するなどの支援を行ってまいります。
 最後に、いじめ問題の検討結果と今後の取り組みについてでございます。
 いじめ専門家会議においては、被害の子供や周囲の子供からの声を確実に受けとめ、子供を守り通すことや、学校だけで問題を解決しようとせず、保護者、関係機関と連携することなどの対策を検討してまいりました。
 具体的には、新たに学校いじめ対策委員会を全校に設置し、情報共有と組織的な対応を徹底するとともに、スクールカウンセラーによる全員面接や、把握した情報を保護者、PTAに速やかに開示することなど、子供をいじめから守るためにあらゆる手だてを講じてまいります。
 今後、いじめ防止対策推進法に基づき、条例及び基本方針の策定を進めるとともに、この専門家会議の検討内容を反映した総合的対策を推進し、いじめ問題の解決に全力で取り組んでまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、耐震診断の積極的な推進についてでございますが、特定緊急輸送道路沿道建築物の全ての所有者が、診断により建築物の耐震性能を把握し、必要とされる耐震化に向け取り組むことが不可欠でございます。
 このため、都は建物所有者に対し、個別訪問など粘り強い働きかけを行った結果、これまで七割を超える建築物につきまして、診断が実施されてきております。残り三割の建築物につきましても診断を着実に完了させるため、助成期限を一年延長し、平成二十六年度末までとすることといたしました。
 こうした取り組みに加え、区市町村とともに、個々の建築物などの状況を勘案した上で、条例に基づき期限を定めて診断を実施するよう指示するなど、全ての建築物の診断完了に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、耐震改修に向けたさらなる支援策についてでございますが、先月、改正耐震改修促進法が施行され、耐震改修促進計画に位置づけた建築物につきまして、改修工事費などの国費助成を割り増す制度が創設されました。
 都は、この改正を受けて、条例で定める特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者が、拡充された助成制度を速やかに活用できるよう耐震改修促進計画の変更に着手いたしました。
 また、建築士団体や金融機関に加え、今後、地域の事情に明るい地元の建設会社などで構成される団体と協定を締結し、相談体制についても充実を図ることといたします。
 これらさらなる支援策を年明け一月から開始し、特定沿道建築物の耐震化に全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、大島の復旧、復興に向けた取り組みについてでございます。
 都ではこれまでも、被災者の方々を支援するため、きめ細かな取り組みを全庁挙げて進めてまいりました。
 住まいを失った方々のため、国の制度では対象とならない半壊世帯を対象に建設費等を最大二百万円支給するとともに、大島町の要請に基づき、応急仮設住宅を早急に整備してまいります。さらに、被害を受けた中小企業を対象に、融資限度額を拡大し、利子も全額補助いたします。
 こうした被災者に対する迅速な支援策に加え、大島応急復旧プロジェクトチームのもと、各局において、現在さらなる復旧、復興対策を検討しております。砂防施設の整備や治山事業に加え、観光キャンペーンの展開や農林、漁業等の基盤整備など、年内を目途に総合的な対策を取りまとめてまいります。
 今後も、被災地の方々の声を聞きつつ、大島町の早期の再生に向け、都の総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、危機管理体制の見直しについてでございます。
 都民の安全・安心の確保に向け、二十四時間三百六十五日、大規模災害に備えるため、都はこれまでも、職員参集態勢の確立など初動体制を整備してまいりました。
 こうした中、今回の大島の災害対応において、区市町村との間での情報連絡が課題となったことから、都内全ての区市町村長の携帯電話の番号を都が把握することにより、連絡体制の強化を図ったところでございます。
 さらに、今後、大島応急復旧プロジェクトチームでの検討も踏まえ、メールを活用した気象情報の提供に関する新たな仕組みづくりを行います。
 加えまして、島しょ部における避難体制の再構築、物資等運搬体制の拡充などを図り、風水害だけでなく、さまざまな災害に的確に対応できる危機管理体制を構築してまいります。
 次に、これからの人事政策の方向性についてでございます。
 行政の執行力や質の高さは、まさに組織を支える人材力によるところが大きく、ご指摘がありました人材の確保、育成等のあり方は、人事政策上の重要な課題でございます。
 都におきましては、職員の採用に当たり、職員構成の変化等を的確に把握し、計画的な採用を進めるため、新卒区分に加え、国や他団体に先駆けて有用な経験や技術力に着目した採用区分を新設するなど人材の確保に努めてまいりました。
 また、人材の育成、活用面では、研修の充実はもとより、専門性を生かした行政専門職の導入、職責、能力、業績の給与への反映など、職員の頑張りに応じて達成感を感じられる都独自の人事制度の構築に取り組んでおります。
 今後、長期ビジョンの実現に向けて、必要とするマンパワーを着実に確保するとともに、事業動向に応じためり張りのある人材配置や職員の意欲と能力を最大限に引き出す人事制度など人材の育成、活用について、不断に検証し見直しを行ってまいります。
 次に、東日本大震災の被災地支援についてでございます。
 都はこれまで、被災地の状況や要望を的確に把握しながら、全国に先駆け震災瓦れきの受け入れを行うとともに、専門技術や行政実務にたけた職員を派遣してまいりました。
 また、原発事故による風評被害を払拭するためのふくしま東京キャンペーンなどのほか、いまだ八千人を超える都内避難者への住居の提供や生活支援などさまざまな支援を行っております。
 被災地では、災害公営住宅の建設等の復興事業の発注が、今後、ピークを迎えるなど復興への取り組みはいよいよ本格化しつつあります。
 都は、こうした被災地の状況やニーズの変化を的確に把握しながら、引き続き、全庁を挙げて被災地を支援してまいります。
 最後に、広域避難体制の構築に向けた取り組みについてでございます。
 大規模水害が発生した場合において、都民の命を守るためには、あらかじめ、自治体の区域を超えて住民が避難できる方策を構築しておくことが重要でございます。
 都は広域的な立場から、避難者受け入れに関する都内自治体間の調整、都県境を越える避難も想定した近隣自治体との協議、さらには避難手段の確保に向けた交通事業者との調整などの役割を担っていく必要があり、現在、専門家や都内自治体、防災機関の実務者等を交え検討を進めております。
 今後、広域避難に係る具体的な手順を盛り込んだ対応方針や各主体の役割分担など広域避難体制の基本的な枠組みを年度内につくり上げ、地域防災計画風水害編に反映させてまいります。
   〔知事本局長中村靖君登壇〕

〇知事本局長(中村靖君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の都市インフラの整備についてでありますが、社会が成熟化する中、我が国は、高度成長期に形づくられた社会経済システムを見直していく時期を迎えております。
 都市インフラの整備は、人口減少という状況を迎えたとしても、決して軽視することはできません。
 二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが開催されます。これを契機として、ますます激化する国際的な都市間競争を勝ち抜くために、陸海空を結んだ交通ネットワークの充実など、都市インフラのさらなる強化に取り組むことが不可欠であります。
 また、東京は震災や風水害などの脅威に直面していることから、都民の暮らし、生命、財産を守るために、木密地域の不燃化や耐震化の促進、地下調節池の整備などを積極的に行っていく必要があります。
 一方、既存ストックの力を最大限引き出すことも重要であり、老朽化したインフラを更新するとともに、需要も創出し、我が国経済に必要な循環を生み出していかなければなりません。
 例えば、高度経済成長期に整備された首都高速道路は、三環状道路の整備を踏まえ、計画的に更新していく必要があります。また、羽田のさらなる国際化や東京港の機能強化も図らなければなりません。さらに、橋梁や上下水道等の耐震性を向上させながら、適時リニューアルをしていくことも求められております。
 社会状況が変化する中にあっても、真に必要な施策を厳選しながら、成熟社会の新たなモデルとなるようなインフラ整備を展開してまいります。
 次に、新たな長期ビジョンでの多摩・島しょの取り扱いについてであります。
 多くの大学、研究機関や最先端技術を有する中小企業などが集積し、東京の活力を支える多摩地域や、豊かな自然環境に恵まれ、世界的にも類いまれなる観光資源を有する島しょ地域は、それぞれ東京にとって重要な地域であると認識しております。
 新たな長期ビジョンの論点整理では、こうした観点に立って、三環状道路や骨格幹線道路などの整備促進、多摩ニュータウンを初めとする団地再生など多摩地域にかかわる事項や、島しょ地域の防災力を高める地震、津波対策の強化や土砂災害対策の推進などを政策の方向性として記載いたしました。
 今後公表予定のビジョンでは、多摩・島しょ地域につきまして、その重要性をしっかりと踏まえ、それぞれの地域のさらなる発展と魅力向上につながる施策を展開してまいります。
 次に、外国人技能実習制度の充実についてでありますが、本制度は、ご指摘のとおり、国際貢献はもとより、我が国の産業の振興にも寄与していると認識しております。
 今後、東日本大震災からの復興や老朽インフラの更新などにより、公共事業等の増加が見込まれますが、現在の制度では、技能実習の機会を十分に活用し、より高度な技術を習得するための環境が整っているとはいいがたい状況にございます。
 一方、一部の実習実施機関においては労働関係法令違反などの不正行為が指摘されており、より適切な指導監督が必要となっております。
 このため、実習期間の延長や再度の技能実習を可能とするなど、本制度の趣旨を十分に生かすための制度の充実について、実習生保護の観点も含め、適切な措置を講じるよう国に働きかけてまいります。
 次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度の見直しについてであります。
 本制度は、和解成立に向けて都が提案し、都が三分の一、国が三分の一、自動車メーカーが六分の一、首都高が六分の一と、関係者が応分の財源負担をすることにより創設されたものであり、都は、和解条項に基づき、創設から五年が経過した本年八月に、制度見直しに向けた検証を開始いたしました。
 大気汚染につきましては、平成二十四年度において、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の濃度が都内のほぼ全ての大気測定局で環境基準を達成しております。
 国による疫学調査では、自動車排出ガスへの暴露とぜんそく発症の関連性について、学童の一部では認められたものの、幼児及び成人では結論づけることはできなかったとされております。
 本制度の累計助成額は二十四年度末時点で約百十七億円であり、関係者の拠出による二百億円の原資は二十六年度いっぱいでほぼ使い切る見込みであります。
 また、関係者に対し、新たな財源の拠出を働きかけておりますが、現在のところ、前向きな回答を得られておりません。検証結果やこうした現状を考慮すると、制度自体は見直さざるを得ません。
 一方で、都は、制度の創設を提案した立場としての責任は、今後とも果たしていかなければならないと考えております。
 そこで、来年度は現行制度を継続した上で、その年度末をもって患者の新規認定を終了し、それ以降は、その時点の認定患者の方に対して、都が担うべき負担である三分の一に相当する範囲で医療費の助成を実施します。
 また、ご指摘を踏まえ、現に助成を受けている患者の方々への配慮として、二十七年度からは、既に認定した患者の方に対する全額助成を三年間維持する経過措置を講じます。
 なお、患者救済の一義的な責任は国にあり、引き続き、国による救済制度の創設を求めていくとともに、関係者に対し、本制度への協力を働きかけてまいります。
 次に、多言語対応の検討の進め方についてでありますが、日本を訪れる年間外国人旅行者が、ことし十月の時点で八百六十六万人となり、過去最高を記録いたしました。二〇二〇年大会も見据え、こうした増加傾向にある外国人旅行者の受け入れ環境を充実させることが必要であり、多言語対応はその重要な要素の一つと認識しております。
 ご指摘のとおり、多言語対応をさらに強化するためには、民間とも連携し、検討を進めることが不可欠であります。
 今後、一月を目途とする官民一体となった協議会の設立、立ち上げに向け、国との協議を推進するとともに、民間からの幅広い参画を募ってまいります。
 また、協議会のもと、交通、道路、宿泊業等サービスに関する三つの分科会を設置し、実務者レベルでの検討を進め、着実な多言語対応の実現を図ってまいります。
 最後に、アジア大都市ネットワーク21の新規共同事業についてであります。
 アジアの経済成長は目覚ましく、今後は、会員都市に存在する中小企業のビジネスチャンスの拡大など、相互にメリットをもたらす関係をさらに深めるべきだと認識しております。
 都は、ハノイ総会において、これまでの経験を生かし、アジア地域における旺盛な経済成長をさらなる発展につなげる新たな共同事業といたしまして、経済交流促進のプラットホームの創設を提案いたしました。
 このプラットホームでは、まず、総会の政策対話のテーマをもとに会員都市に共通する都市問題について検討を始め、続いて、検討テーマに関する新技術の開発及び産業人材の育成を図ります。最終的には、開発された技術や製品を国際見本市へ出展させることを通じ、アジア市場に展開することを目指してまいります。
 共同事業としての採択後、ハノイ市からは、早速、省エネルギー対策についてこのプラットホームで検討を開始したい旨発言があり、都とともに取り組むことになりました。
 この新たな事業を通じて、会員都市とともに、アジアの大都市が抱える共通の課題の解決に向けて貢献してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、税制改正への対応についてでありますが、地方法人特別税は、当時の福田総理と石原知事の間で、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置という条件で導入されたものであり、平成二十六年度税制改正において、今回の消費税率の引き上げにあわせて確実に撤廃し、地方税として復元されなければならないものであります。
 また、法人住民税の一部国税化は、地方分権に大きく逆行するばかりか、地方交付税への依存が高まることになり、不交付団体をふやしていこうという政府の方針にも反するものであります。その影響は、都ばかりでなく区市町村にも及ぶものであり、到底承服することはできないものであります。
 このため、都は先月、国などの主張に対する反論書を発表するとともに、四都府県で連携して、国への緊急共同要請を実施いたしました。また、全国知事会議や九都県市首脳会議などのあらゆる機会を捉えて、東京の主張の正当性を繰り返し訴えてきております。
 平成二十六年度税制改正はまさに大詰めでございます。これまでも都議会の皆様から多大なご尽力をいただいているところでございますが、都としても、最後の最後まで力を尽くしてまいりますので、都議会を初め、東京にかかわる全ての皆様のあと一押しのご支援をお願いする次第でございます。
 次に、オリンピック・パラリンピック関連施設に関する入札契約制度についてでありますが、これらの施設の整備については、立候補ファイル等を踏まえ、期限におくれることなく着実に竣工させていくことが重要であります。
 そのため、特に大規模な競技場等の整備については、民間の技術力を積極的に引き出すよう、例えば、設計と施工を一括して発注する、いわゆるデザインビルド方式や、異なる業種で共同企業体を結成し工事を円滑に進める方式など、施設の特性に応じた、より柔軟で効率的な手法を導入するよう検討してまいります。
 また、その他の関連施設の整備については、地域の工事で培われた中小企業ならではの強みやノウハウなども活用できるよう、今後の入札契約制度の見直しの中で検討してまいります。
 次に、今後の入札契約制度についてでありますが、都は、平成二十一年十月に公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針をまとめ、低入札価格調査制度の強化など、入札契約制度改革に取り組んでまいりました。
 一方で、昨今の資材価格や労務費の上昇、技術者等の不足などにより、一部の業種で入札不調が増加するなど、公共工事を取り巻く状況には変化が生じてきております。こうした中においても、都民生活に必要なインフラを着実に整備していくには、より多くの事業者が入札に参加しやすい環境を整備することが重要であると考えております。
 このため、学識経験者や業界団体との意見交換を行い、現状の把握に努めるとともに、工事請負契約における、いわゆる全体スライド条項などの見直しや、工事ごとに専任を求めてきた主任技術者の兼務を可能とするなど新たな取り組みを検討し、より適切な入札契約制度の実現を図ってまいります。
 最後に、業務委託における品質確保の取り組みについてでありますが、都はこれまで、都立病院の建物維持管理業務委託について、価格のみによらない総合評価方式の入札を試行導入し、施設の特性に応じた品質確保に取り組んでまいりました。さらに、今年度は都庁舎設備管理業務委託にも導入するなど、その拡大を図っております。
 今後は、これまで行ってきた以外の業務委託についても、履行状況や評価すべき内容を精査検討し、総合評価方式の導入拡大を図るとともに、安定的なサービス提供を確保する観点から、複数年契約を検討してまいります。
 また、各事業所管局が業務発注に当たり、総合評価を円滑に導入できるよう、標準的な手引書等を作成し、周知徹底を図ってまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩地域における豪雨対策についてでございますが、都は、都内全域を低地部、台地部、山間部の三つの地域に区分し、それぞれの地域特性に応じて河川事業を推進しております。
 多摩地域の台地部を流れる中小河川は、降雨に対する安全度が都内一律となるよう、目標整備水準を時間最大六十五ミリとし、このうち五十ミリまでは川で流下させ、それを超える雨は調節池で対応することを基本といたしました。現在、野川と境川で新たな調節池の設置箇所や構造形式等を検討しております。
 また、山間部を中心に、土砂災害対策として砂防事業などを実施しております。
 加えて、ソフト対策といたしまして、土砂災害警戒区域等を西多摩地域から順次指定しておりまして、これまでに警戒区域を五千八百二十六カ所指定いたしました。その結果、市町村がハザードマップを作成するなど、取り組みが進んでおります。
 今後とも、関係局と連携し、多摩地域の安全・安心を確保する豪雨対策に、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 次に、災害に対する道路の強靭化の取り組みについてでございますが、都は、救助、救援、復旧活動を確実に実行するため、輸送経路の多重化や交通の分断を防ぐ観点から道路整備を推進しております。
 具体的には、骨格幹線道路のネットワークによるダブルルートの確保はもとより、道路の閉塞や寸断を防ぐため、緊急輸送道路の無電柱化や橋梁の耐震化を進めております。また、山間・島しょ部では、落石防護柵や擁壁の設置のほか、例えば、国道四一一号の代替路となる多摩川南岸道路の整備など、地域の孤立化を防ぐ取り組みを進めております。
 一方、発災時の迅速な対応力を強化するため、試行している道路防災ステーションに資機材を確保するとともに、十一の建設事務所全てにおいて民間事業者などと連携し、道路障害物除去作業を実施してまいります。
 今後とも、都民の生命と財産を守る道路や橋梁の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、局地的集中豪雨に対応する対策プランの取り組み方針でございます。
 ことしの豪雨で浸水被害が生じた地域において、過去の浸水の発生状況も踏まえ、降雨強度、くぼ地や坂下などの地形、河川や下水道の整備状況などを確認し、次の三つの取り組み方針を定め、検討を進めております。
 まず、一定規模以上の床上浸水が集中して発生した地域では、既存幹線の下に新たな幹線を整備するなど、時間七十五ミリの降雨に対応できる施設を建設いたします。
 次に、既に施設整備を計画している地域のうち、ことし被害が生じた地域では、対策をできる限り前倒しするとともに、既存の貯留施設の活用などにより、時間五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減いたします。
 また、被害箇所が点在し、浸水棟数が少ないなど被害が比較的小規模な地域では、地元区等と連携し、雨水ますの増設やバイパス管の整備などの対策を早期に実施いたします。
 これらの取り組みにより、浸水対策における整備水準の向上と対策の迅速化を図ってまいります。
 次に、下水道事業の地球温暖化対策についてでございます。
 下水道局では、アースプランに基づき対策を進め、昨年度は、目標を上回る二〇〇〇年度対比約二十五万トンの温室効果ガスの削減を達成いたしました。しかし、今後も浸水対策や合流式下水道の改善などの事業の推進により電力使用量の増加が見込まれるため、取り組みをさらに強化していくこととしています。
 具体的には、温室効果ガスを大幅に削減できる世界初のターボ型流動焼却炉などの新型焼却炉や、これらと低含水率型脱水機とを組み合わせた下水汚泥焼却システムを、葛西水再生センターなど四カ所で平成二十七年度までに導入いたします。
 さらに、焼却時の補助燃料を不要とし、必要な電力をみずから発電できるエネルギー自立型の新たな焼却システムを開発し、平成二十七年度までに工事に着手いたします。
 また、水処理施設の省エネルギー化やメガワット級の太陽光発電設備の導入なども一層推進してまいります。
 これらの取り組みにより、地球温暖化対策やエネルギー対策を積極的に進めてまいります。
 次に、水再生センターの処理水質の向上についてでございます。
 東京湾の赤潮の原因である窒素とリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めておりますが、導入開始からの十七年間の導入実績は、一日平均処理水量の二割に相当する約百十五万立方メートルにとどまっております。高度処理は、施設の規模が大きく、導入に期間を要し、標準的な処理に比べ電力使用量が多いという課題もあります。
 そこで、平成二十二年度からは、高度処理に比べて窒素とリンの除去率が若干低いものの、電力使用量の増加もなく、既存施設の改造と運転管理の工夫により早期に導入が可能で、効率的に水質改善を図ることができる準高度処理を導入しております。
 今後は、平成三十一年度までの七年間で新たに約百九十万立方メートルの準高度処理を導入し、累計で一日平均処理水量の七割以上に相当する約四百万立方メートルの処理を可能とすることで、処理水質向上の取り組みを加速してまいります。
 最後に、合流式下水道の改善対策についてでございます。
 雨天時の下水をより多く水再生センターへ送る下水道管の整備や、雨水はけ口からのごみなどの流出を抑制する対策を、これまでにおおむね完了いたしました。
 また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、雨がやんだ後に水再生センターへ送水し処理するための貯留施設を、既に約百三万立方メートル整備しております。
 今後は、平成三十一年度までに約三十七万立方メートルの貯留施設を新たに整備し、累計で約百四十万立方メートルといたします。この効果として、貯留施設の整備が完了した雨水はけ口からの放流回数を約七割削減することができます。
 さらに、汚濁物を従来の二倍程度多く除去でき、既存施設の改造により早期に導入可能な高速ろ過施設を、新たに、葛西水再生センターなど合流式の水再生センター十一カ所全てに、平成三十一年度までに整備してまいります。
 これらの取り組みを、着実、スピード感を持って進め、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの舞台となる東京湾の水質改善に積極的に貢献してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、省エネ対策、気候変動対策に関する都の基本認識についてでございますが、極端な気象現象の頻発など、気候変動の危機を回避するためには、実効性ある対策を着実に進めていくことが重要でございます。
 加えて、東京の都市活動を支えている電力は、その多くが他県から供給されており、この貴重なエネルギーを有効に活用していくことが、エネルギー大消費地である東京の責務であると認識しております。
 これまでキャップ・アンド・トレードなどの都の先導的な取り組みにより、二〇一一年度の都内のエネルギー消費量は、二〇〇〇年度対比一五%減となっております。
 一方、こうした都民、事業者の省エネ努力にもかかわらず、震災後、火力発電所からの電力供給の増大に伴い、CO2排出量は逆に増加しており、省エネ努力の成果がわかりにくくなっております。
 そこで、二〇二〇年までにエネルギー消費量を二〇〇〇年対比二〇%削減するという省エネ成果が明確になる新たな目標を設定し、経済成長にも結びつくすぐれた省エネ技術も活用しながら、省エネルギー対策、気候変動対策を着実に展開してまいります。
 次に、中小事業所の省エネ、創エネ対策についてでございます。
 まず、熱を含めたエネルギーマネジメント推進の観点からは、給湯などに熱を多用する医療、福祉施設に対し、燃料電池などの創エネ機器を導入することが効果的であると認識しております。
 また、中小テナントビルの省エネ推進の観点からは、省エネ改修効果の見える化により改修メリットを明確化し、ビルオーナーがテナント事業者に対してわかりやすく提示できる仕組みの構築が不可欠であります。
 さらに、初期投資軽減のためには、新たな設備をリースで導入し、光熱水費の削減分でリース代や保守管理費用を賄うESCO事業を活用することが有効でございます。
 こうした点を踏まえ、中小事業所の特性に応じた対策強化に向け、具体的な事業スキームの検討を急いでまいります。
 次に、環境施策での区市町村との連携強化についてでございます。
 地域に根差した環境面での取り組みを一層進めるため、技術的支援、情報共有体制の構築、財政的支援の三つの観点から、区市町村との連携強化が必要と考えております。
 このため、技術的支援につきましては、きめ細かな相談や専門的研修等を充実させるとともに、情報共有体制につきましては、地域の抱える課題や先駆的な取り組みを共有し、ともに解決を図る仕組みの構築を目指してまいります。
 また、財政的支援につきましては、現在、具体的支援メニューを検討しており、お話の区市町村ニーズに的確に応えられる支援の仕組みに関しても速やかに構築してまいります。
 こうした一連の取り組みを通じ、世界一の環境先進都市の実現に向けて、地域から東京の環境を着実に向上させてまいります。
 最後に、東京湾の水質改善に向けた取り組みについてでございますが、これまでの取り組みにより、東京湾に流入する河川の水質は大きく改善されておりますが、閉鎖性水域であるため、東京湾の水質は近年横ばいの状況にございます。
 このため、事業所等への規制、指導、合流式下水道の計画的改善などによる汚濁物質流入の削減や、底泥のしゅんせつ等を実施するほか、水質モニタリングを適切に行うなど、引き続き、関係各局が連携し、施策を推進してまいります。
 また、東京湾には他県からも汚濁物質が流入しておりますことから、東京湾再生推進会議等を通じて、国や関係自治体とも協働しながら、陸域での負荷削減対策と海域の環境改善対策を実施してまいります。
 こうした総合的、重層的取り組みにより、オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市として、親しみやすく美しい東京湾の再生を目指してまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 水道事業における抜本的なエネルギー対策への転換についてでありますが、水道局ではこれまで、水資源の有効利用のほか、エネルギー削減にも大きな効果のある漏水防止対策や、太陽光発電、小水力発電といった再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組んでまいりました。
 しかし、大規模浄水場の多くは、限られた敷地において拡張や改造を重ね、築造年代が異なる施設が混在し、浄水過程が複雑になっているため、エネルギーロスが大きくなっております。
 また、安定給水に必要な水量、水圧を確保するため給水所などに設置しておりますポンプにつきましても、エネルギー効率の低いものがいまだ多く稼働しております。
 そこで、水道施設の更新にあわせ、エネルギー効率に配慮した施設の再構築を行うなど、長期的視点に立ち、取り組むべき施策を具体化する十カ年プランを平成二十五年度内に作成し、抜本的なエネルギー対策を展開してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の福祉、保健、医療施策についてですが、少子高齢化が一層進展する中で、将来にわたって都民が安心して生活できる社会を実現するためには、中長期的な視点に立って福祉、保健、医療サービスの一層の充実を図るとともに、雇用、住宅、教育などの施策と連携し、局の垣根を超えた実効性のある施策を展開していくことが必要でございます。
 こうした考え方に立って、都は現在、構造的福祉プロジェクトチームで、少子化や高齢化に対応した新たな施策を検討しているところでございます。
 これまで都は、保育サービスの充実や高齢者の地域ケア体制の整備を初め、都独自の施策を推進しており、今後とも、都民ニーズに応えるさまざまな施策を、民間、地域、行政の力を最大限に活用し、積極的に展開してまいります。
 次に、今後の子育て施策についてですが、都は、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、保育サービスや子育てひろばの設置促進等、地域の実情に応じて区市町村が取り組む子育て施策を積極的に支援するとともに、児童相談所機能の強化や家庭的養護の推進を図り、子供たちの健やかな育ちを支援してまいりました。
 現在、東京都子供・子育て会議では、産前、乳幼児期から学童期までを主な対象とする都の支援計画について議論を進めており、構造的福祉プロジェクトチームでも、子育て家庭への支援を局横断で検討しているところでございます。
 今後、これらの検討結果も踏まえ、全ての子育て家庭が地域で安心して子供を産み育てられるよう、都市型保育サービスのさらなる拡充や、在宅で子育てする家庭への支援の一層の充実等、さまざまな子育て施策を展開してまいります。
 次に、介護基盤整備と地域支援体制の強化についてですが、都は、介護基盤の整備を促進するため、未利用の都有地を減額して貸し付けるほか、特別養護老人ホーム等の整備が高齢者人口に比べて進んでいない地域の補助額を一・五倍にするなど、独自の多様な手法を講じております。
 また、地域包括支援センターの機能を強化するため、職員が必要な知識や技術を習得するための研修を実施するほか、センターを核とした地域住民等による見守り体制を整備する区市町村の取り組み等を包括補助により支援しているところでございます。
 お話のように、高齢化の進展に伴い、今後、介護需要も一層増大することから、介護基盤の整備を加速し、地域包括支援センターのさらなる機能強化を図るために、都としての新たな支援策を検討してまいります。
 次に、福祉のまちづくり推進計画についてですが、本年七月、都民、学識経験者、事業者団体、障害者団体等から成る福祉のまちづくり推進協議会から、計画改定の基本的な考え方について意見具申をいただきました。
 現在、それを踏まえ、全庁横断的な体制のもと、改定作業を進めており、改定計画には、円滑な移動、施設の利用のためのバリアフリー化の推進、さまざまな障害特性等にも配慮した情報バリアフリーの充実などを柱に、ハード、ソフトの両面からさまざまな施策を盛り込む考えでございます。
 今後とも、障害者を初め全ての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインの先進都市東京を目指して、区市町村、事業者、都民の参加と協力も得ながら、効果的な施策を展開し、福祉のまちづくりを一層推進してまいります。
 次に、小児在宅療養体制の推進についてですが、都は現在、NICUから在宅療養への円滑な移行を促進するため、周産期母子医療センターに対して、NICU入院児支援コーディネーターの配置や、在宅ケアの訓練等を行う在宅移行支援病床の整備等を支援しております。
 また、今年度から、地域で在宅療養児を支える体制の構築に向け、地域の医療、福祉関係者等による協議の場を定期的に設け、地域の医療、福祉資源を把握しながら、医療と福祉の連携強化のための研修等を行う小児等在宅医療連携拠点事業を、都内三病院で開始したところでございます。
 今後、区市町村においても支援体制整備に積極的に取り組めるよう、地域医療再生基金を活用し、新たに支援する予定であり、こうした取り組みを積み重ねながら、子供たちが地域で安心して療養できる体制の整備を推進してまいります。
 最後に、がん検診の受診率向上とがん登録についてですが、がん検診の受診率を向上させるためには、住民への検診を実施する区市町村の取り組みと、従業員が検診を受けやすい職場の環境づくりを行う企業の取り組みが重要でございます。
 そのため、今後、住民への個別の受診勧奨や未受診者への再勧奨など、受診率向上に向けた区市町村の取り組みを一層促進するとともに、企業団体とも連携して、検診の重要性に関するハンドブックの配布や講演会等を開催し、経営者や健康管理担当者への普及啓発を強化してまいります。
 また、がん登録の法制化により、全ての患者について、がん発見の経緯、発症した年齢、治療の内容やその後の状況等が把握できるようになります。都としては、こうしたがん登録の成果も活用しながら、検診受診率の向上を初めとしたがん対策を積極的に推進してまいります。
   〔交通局長新田洋平君登壇〕

〇交通局長(新田洋平君) 都営新宿線へのホームドア整備についてでございますが、安全・安心の確保を最大の使命とする交通事業者にとりまして、ホーム上における安全対策の強化は最重要施策の一つでございます。
 ホームドアにつきましては、平成十二年に、営業中の路線として全国で初めて三田線に設置し、本年四月には大江戸線の全駅に整備を完了いたしました。
 残る二つの路線におきましても、これまで乗り入れ各社との検討を重ねてきておりまして、このうち、乗り入れが一社の新宿線につきましては、技術面や輸送面での課題がおおむね整理されましたことから、財産、権利等の取り扱いなど、導入に向けた諸条件を協議する新たな会議を年内に設置いたします。
 交通局といたしましては、新宿線のホームドア整備に向け、より具体的な取り組みを加速化させてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の設備投資への支援についてでありますが、都内中小企業がより一層の発展を遂げるためには、成長に向けた設備投資を適切に行うことが必要であります。その一方、設備の導入には大きな資金負担を伴うことから、中小企業にとっては容易に踏み切れない状況もございます。
 そこで、都は、成長分野への参入や付加価値の高いものづくりを目指す中小企業が、技術開発の成果などを着実に実用化、事業化できるよう、今後、小規模事業者の資金負担力の状況などにも十分配慮しながら、設備投資に対する助成制度について具体的に検討してまいります。
 また、制度融資においても、設備資金を円滑に調達できるよう、利用者の負担軽減を考慮した新たなメニューの創設を検討いたします。
 このように、設備投資の活性化に向けて多面的な取り組みを展開していくことにより、都内中小企業の成長を着実に後押ししてまいります。
 次に、創業に向けた支援についてでありますが、東京の産業力を高めていくためには、起業意欲を持つ多様な人材が、それぞれの経験や持ち味を生かした新事業を数多く創出していく必要がございます。
 このため、都は、将来の起業を考えるすぐれた才能を持つ人材が切磋琢磨して革新的なビジネスを生み出す取り組みや、企業で培った技術やノウハウを活用してベンチャー企業を立ち上げ独立を目指す取り組みなどを支援する新たな創業支援施設の整備を検討してまいります。
 加えて、女性、若者、高齢者による地域に根差した創業を強く後押しするため、ご指摘の趣旨も踏まえ、地域の金融機関と連携して経営面のサポートと資金供給を行う新たな支援の枠組みを検討いたします。
 こうしたさまざまな取り組みを積極的に展開することで、多くの創業を促し、都内産業の成長につなげてまいります。
 次に、中小製造業の集積確保についてでありますが、中小製造業の地域における集積を確保し、集積から生まれる企業間のネットワークを活性化するとともに、都内での操業の継続に伴うさまざまな負担の軽減を図ることは、産業の空洞化の無秩序な進行に歯どめをかけ、中小企業の競争力を強化する上で重要であります。
 そこで、都は、区市町村が実施する企業誘致のための助成制度や工場アパートの整備などを支援するとともに、中小企業がグループを組んで共同で行う開発、生産、営業体制の強化などの取り組みを支援してまいりました。
 今後、こうした取り組みに加え、中小製造業が工場の改修や都内での移転等を行うことで操業を続けることができるよう、区市町村と連携した支援策について具体的に検討してまいります。
 次に、国内外からの旅行者誘致についてでありますが、旅行者を効果的に誘致するためには、東京の魅力を高め、これを多様な手段を駆使し広く発信することが重要であります。
 これまで都は、伝統文化や食、アニメ、多摩・島しょ地域の自然など、東京の多彩な魅力を高める施策を展開し、海外でのプロモーション活動や観光ウエブサイトの活用などを通じて国内外に発信してまいりました。
 今後、東京の観光面でのブランドを確立するため、民間のノウハウを活用しながら、都市としての強みや課題、海外諸都市の事例等を調査検討してまいります。また、多摩・島しょ地域について、モニター旅行者の体験に基づく観光情報をSNSなどを活用して提供するなど、新たな魅力発信の手法を検討いたします。
 こうした取り組みを通じて旅行者誘致を積極的に進め、世界有数の観光都市を目指してまいります。
 次に、森づくり推進プランについてでありますが、林業は多摩の地域経済に不可欠で重要な産業であるため、都はこれまで、推進プランに基づき、林道整備や花粉発生源対策事業等を着実に推進してまいりました。
 しかし、林業の厳しい経営環境を克服するには、これまでの取り組みの充実に加え、さらなる生産性の向上や需要拡大に向けた新たな施策展開を図る必要があるため、現在、プランの改定を進めております。
 具体的には、森林整備を効率的に進めるため、多摩の急峻な森林に対応した木材の搬出手法の導入や、施業の集約化といったコスト低減策のほか、森林作業道等を整備する技術者の育成などを盛り込んでまいります。
 さらに、多摩産材の一層の利用拡大を図るため、PRの充実や調達に関する情報提供窓口の速やかな設置に加え、保育園等の内装を木質化するための支援策の拡充などについてプランに反映させてまいります。
 次に、水産業振興プランについてでありますが、都はこれまで、プランに基づき、漁場の造成等の基盤整備や水産物の学校給食への導入推進など、島しょ地域の基幹的な産業である水産業の振興策を講じてまいりました。
 しかし、漁獲量の減少や消費の低迷など、水産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございます。
 そこで、こうした状況を克服し、持続可能な水産業を確立するため、現在、プランの改定に取り組んでおります。
 具体的には、主要な魚種であるキンメダイの資源管理の効果的な実施や、収益性の向上に結びつく水産物の加工流通の促進のほか、新規就労者の定着を図る対策の強化などを盛り込んでまいります。
 今後は、森づくり推進プランとあわせ、年度内にプランを改定し、施策の充実を図ってまいります。
 次に、企業等における女性の活躍についてでありますが、女性が仕事を通じ能力を十分に発揮するためには、ライフステージに応じ、希望する働き方を実現できることが重要であります。
 都はこれまで、仕事と家庭の両立に取り組む中小企業を認定、公表し、安心して働き続けられる社会的機運の醸成を図るほか、出産や育児により離職を余儀なくされた女性の再就職支援などを実施してまいりました。
 今後は、女性のさらなる活躍に向け、職場環境の改善など他の企業のモデルとなる取り組みを支援し、そのノウハウを広く普及する仕組みを検討いたします。あわせて、再就職のための専用窓口の設置や、身近な地域での支援の充実、子育て中の就職活動を応援する手法等についても検討いたします。
 こうしたさまざまな施策の充実強化を図り、女性の活躍を積極的に支援してまいります。
 最後に、高齢者の就業支援の強化についてでありますが、少子高齢化が進展する中で、働く意欲のある高齢者が希望や能力に応じ、地域社会の担い手として活躍できるよう支援していくことが重要であります。
 このため、都は、都内五十八カ所のシルバー人材センターに対して、その円滑な事業運営を図ることを目的に、区市町村を通じて経費を助成し、企業を退職した高齢者等に身近な地域で臨時的かつ短期的な就業機会を提供しております。
 今後は、活動内容を広く紹介するなど会員の拡大につながる取り組みや、請け負った仕事を行う作業スペース等の施設の整備など、シルバー人材センターに対する支援の一層の充実を検討し、身近な地域における高齢者の就業を推進してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 東京港の物流機能の円滑化についてですが、東京港の交通混雑を解消するためには、ご指摘のとおり、新たなコンテナターミナルの整備など東京港全体の抜本的な機能強化を軸に、短期的な視点も盛り込んだ総合的な施策を体系的に実施することが必要でございます。
 そのため、東京港における交通混雑対策を、初めてハード、ソフト両面から包括的にまとめるとともに、新たな対策も盛り込んだ東京港総合渋滞対策を年明け早々に策定し、直ちに実施してまいります。
 まず、東京港の抜本的な機能強化策として、中央防波堤外側Y1、Y2コンテナターミナルの具体的な施設の仕様について協議を進め、早期の供用を目指すとともに、新規に事業化したY3ターミナルの整備も見据え、青海・大井コンテナふ頭の再編を確実に進めてまいります。
 次に、短期的には、大井地区に東京港で最大規模となる五百台を超えるコンテナ車両を収容可能で、運転手の福利厚生にも配慮した車両待機場を新設するとともに、警察との連携のもと、違法駐車の取り締まり強化策を検討していきます。
 今後も、引き続き我が国のメーンポートとして、円滑な国際物流の確保に不退転の決意で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立学校の振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立高等学校の特別奨学金についてでございますが、都は、効果的な修学支援を図る観点から、現在、一定所得以下の保護者を対象とした特別奨学金の給付により、所得に応じて授業料の一部を補助しております。
 国の就学支援金制度につきましては、所得制限の導入が決まり、年内には生活保護世帯、住民税非課税世帯など低所得者に対する手厚い支援や、給付型奨学金の創設など詳細が示される見通しとなっております。
 特別奨学金についての具体的な対応は、今後、国が示す詳細内容を見きわめる必要はございますが、都といたしましては、所得に応じて区分を設け補助するこれまでの考え方を堅持するとともに、国の制度による給付がなされた後の所得区分ごとの給付バランスも勘案して、より政策効果が発揮できるよう取り組んでまいります。
 次に、私立幼稚園に対する支援の考え方についてでございます。
 都内の幼稚園児の九割以上が通う東京の私立幼稚園は、全国に比べて個人立や宗教法人立が多いという特色がありますが、国の支援が学校法人立の幼稚園に限られる中で、都は全ての私立幼稚園を対象に運営費補助を行ってきております。
 また、国の就園奨励費に加えまして、都独自の補助制度を設け、保護者負担軽減の充実を図るとともに、教育時間終了後等に行う教育活動である預かり保育や、障害のある子供の受け入れなど地域のニーズに対応した幼稚園の取り組みに対する補助の充実にも努めてまいりました。
 核家族化の進展や地域のつながりが年々希薄化する中にあって、私立幼稚園が地域において幼児教育の充実のために果たす役割はますます重要になっていると認識しております。
 都といたしましては、今後も関係団体と十分な意見交換を行った上で運営費補助の充実に努めるとともに、預かり保育など各幼稚園が地域のニーズを踏まえて取り組む事業についても積極的に支援をしてまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの振興についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、障害のある方にとってのスポーツは、外出やコミュニケーションの機会がふえることで自立や社会参加を促すとともに、スポーツの上達が目標や生きがいになるなど、さまざまな意義を有しております。
 このため都は、全国に先駆けて策定した東京都障害者スポーツ振興計画に基づきまして、障害者スポーツ施策のさらなる推進に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、地域開拓推進員が区市町村等に出向き、障害者スポーツ教室の実施を支援するほか、都内公共スポーツ施設のバリアフリー情報を網羅した全国初の障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビを開設するなど、障害のある方が身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりに努めております。
 また、地域でスポーツに取り組む方の目標でもある全国障害者スポーツ大会での上位入賞を目指し、強化練習会を実施しております。
 今後は、これらの取り組みをさらに前へ進め、地域でスポーツを行う場を充実するとともに、スポーツ教室等の企画やスポーツを指導する人材の育成にも力を入れてまいります。あわせて、競技レベルの向上に向けて調査分析を行ってまいります。
 また、障害者スポーツセンターにつきましては、老朽化に伴う改修に当たりまして、利用者ニーズをより反映できるよう検討してまいります。
 こうしたさまざまな取り組みを通じまして、障害者スポーツのさらなる充実に努めてまいります。
 次に、スポーツを行うための環境整備についてでございます。
 都は、東京都スポーツ推進計画において、二〇二〇年までに都民のスポーツ実施率を七〇%とすることを目標としてございます。
 その実現に向けては、区市町村や地区体育協会など関連団体と連携し、子供や高齢者、障害者など誰もがスポーツに親しめる環境を整備充実することが極めて重要でございます。
 さきに行われましたスポーツ祭東京二〇一三では、都内各地でさまざまなスポーツが実施され、会場となった区市町村施設の整備が進み、地域の誰もが身近な施設でスポーツを楽しむ機運が醸成されました。
 こうした機運をさらに向上させるため、今後、都民が身近にスポーツを実践できる環境を整備するための新たな方策を検討し、都民のスポーツ活動をより一層促進してまいります。

〇議長(吉野利明君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

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