平成二十五年東京都議会会議録第十五号

平成二十五年十一月二十九日(金曜日)
 出席議員 百二十七名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番かんの弘一君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番松田やすまさ君
八番大津ひろ子君
九番石川 良一君
十番みやせ英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番まつば多美子君
十九番伊藤こういち君
二十番河野ゆうき君
二十一番柴崎 幹男君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番清水 孝治君
二十五番島崎 義司君
二十六番神野 次郎君
二十七番やながせ裕文君
二十八番田中 朝子君
二十九番塩村あやか君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番遠藤  守君
三十九番中山 信行君
四十番木村 基成君
四十一番北久保眞道君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番小宮あんり君
四十七番三宅 正彦君
四十八番吉住 健一君
四十九番桜井 浩之君
五十番野上ゆきえ君
五十一番上田 令子君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山崎 一輝君
六十五番崎山 知尚君
六十六番川松真一朗君
六十七番近藤  充君
六十八番堀  宏道君
六十九番鈴木 錦治君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番両角みのる君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高木 けい君
八十八番村上 英子君
八十九番高橋 信博君
九十番鈴木 章浩君
九十一番秋田 一郎君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番相川  博君
九十六番山田 忠昭君
九十七番林田  武君
九十八番服部ゆくお君
九十九番こいそ 明君
百番中村ひろし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番田島 和明君
百十一番中屋 文孝君
百十二番宇田川聡史君
百十三番吉原  修君
百十四番高島なおき君
百十五番古賀 俊昭君
百十六番立石 晴康君
百十七番野島 善司君
百十八番三宅 茂樹君
百十九番川井しげお君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事猪瀬 直樹君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長比留間英人君
東京都技監都市整備局長兼務藤井 寛行君
知事本局長中村  靖君
総務局長中西  充君
財務局長中井 敬三君
主税局長影山 竹夫君
警視総監西村 泰彦君
生活文化局長小林  清君
スポーツ振興局長細井  優君
環境局長長谷川 明君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長塚田 祐次君
建設局長横溝 良一君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松浦 將行君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長森 祐二郎君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

十一月二十九日議事日程第一号
第一 第百八十二号議案
  職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十四号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十五号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十六号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百三十四号議案
  災害廃棄物処理の事務の受託について
第七 第百八十一号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第八 第百八十三号議案
  職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第九 第百八十七号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第十 第百八十八号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百八十九号議案
  東京都計量検定所設置条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十一号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十二号議案
  東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十四 第百九十三号議案
  東京都電車条例の一部を改正する条例
第十五 第百九十四号議案
  東京都乗合自動車条例の一部を改正する条例
第十六 第百九十五号議案
  東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第十七 第百九十六号議案
  東京都地下高速電車条例の一部を改正する条例
第十八 第百九十七号議案
  東京都日暮里・舎人ライナー条例の一部を改正する条例
第十九 第百九十八号議案
  東京都公営企業職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第二十 第百九十九号議案
  武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)メインアリーナ棟新築工事(その二)請負契約
第二十一 第二百号議案
  武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)サブアリーナ・プール棟新築工事(その二)請負契約
第二十二 第二百一号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第二十三 第二百二号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第二十四 第二百三号議案
  都立横網町公園(二十五)慰霊堂・慰霊塔耐震補強工事請負契約
第二十五 第二百四号議案
  都営住宅二十四CH―一〇三東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事その二請負契約
第二十六 第二百五号議案
  東京消防庁江東航空センター庁舎(二十五)新築工事(その二)請負契約
第二十七 第二百六号議案
  東京文化会館(二十五)改修工事請負契約
第二十八 第二百七号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第二十九 第二百八号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第三十 第二百九号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第三十一 第二百十号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第三十二 第二百十一号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第三十三 第二百十二号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第三十四 第二百十三号議案
  都立産業貿易センター台東館(二十五)改修空調設備工事請負契約
第三十五 第二百十四号議案
  東京文化会館(二十五)空調その他設備改修工事請負契約
第三十六 第二百十五号議案
  平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事(その二)請負契約
第三十七 第二百十六号議案
  総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意について
第三十八 第二百十七号議案
  清掃工場建設工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第三十九 第二百十八号議案
  東京都立学校の敷地に係る土地明渡請求事件に関する和解について
第四十 第二百十九号議案
  当せん金付証票の発売について
第四十一 第二百二十号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第四十二 第二百二十一号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第四十三 第二百二十二号議案
  東京都練馬障害者支援ホームの指定管理者の指定について
第四十四 第二百二十三号議案
  東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第四十五 第二百二十四号議案
  東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十六 第二百二十五号議案
  東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第四十七 第二百二十六号議案
  東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第四十八 第二百二十七号議案
  東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第四十九 第二百二十八号議案
  東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第五十 第二百二十九号議案
  東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第五十一 第二百三十号議案
  土地の買入れについて
第五十二 第二百三十一号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第五十三 第二百三十二号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百三十三号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について

   午後一時開会・開議

〇議長(吉野利明君) ただいまから平成二十五年第四回東京都議会定例会を開会いたします。

〇議長(吉野利明君) この際、開議に先立ちまして、さきの台風二十六号により亡くなられた方々のご冥福を祈るため、黙禱をささげたいと存じます。

〇議会局長(産形稔君) 全員ご起立願います。
   〔全員起立〕

〇議会局長(産形稔君) 黙禱をお願いいたします。
   〔黙禱〕

〇議会局長(産形稔君) 黙禱を終わります。ご着席願います。

〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(吉野利明君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において、
   三番   かんの弘一君 及び
   六十六番 川松真一朗君
を指名いたします。

〇議長(吉野利明君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 平成二十五年十一月二十二日付東京都告示第千五百七十八号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成二十五年十一月二十二日及び二十八日付で、本定例会に提出するため、議案五十四件の送付がありました。
 次に、平成二十五年第三回定例会の会議において同意を得た副知事、公安委員会委員、人事委員会委員及び土地利用審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び選挙管理委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成二十五年十月十七日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

〇議長(吉野利明君) この際、報告いたします。
 さきの台風二十六号により被災された方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 本議会は、大島町議会議長及び大島町長に対し、見舞状を添えて、議員の拠出による見舞金を贈呈いたしました。

〇議長(吉野利明君) この際、平成二十五年十月二十二日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職十年以上、村上英子さん、大津ひろ子さん。
 ここに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
   〔拍手〕

〇議長(吉野利明君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一一ページ)に掲載〕

〇議長(吉野利明君) 次に、先般、副知事に就任されました前田信弘君をご紹介いたします。
 副知事前田信弘君。
   〔副知事前田信弘君登壇〕

〇副知事(前田信弘君) さきの第三回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました前田信弘でございます。東京のさらなる発展のため、新たな長期ビジョンの策定と実行や、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた万全の準備などに、知事のもと全力を尽くして取り組んでまいります。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

〇議長(吉野利明君) 以上をもって副知事の紹介は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 知事本局長中村靖君、主税局長影山竹夫君、交通局長新田洋平君、選挙管理委員会事務局長森祐二郎君。
   〔理事者挨拶〕

〇議長(吉野利明君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、閉会中の平成二十四年度各会計決算特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十月十一日付をもって、早坂義弘君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、きたしろ勝彦君を指名いたしました。

〇議長(吉野利明君) 次に、東京都議会友好代表団について申し上げます。
 本議会を代表いたしまして、去る十一月十九日から二十一日まで、ソウル特別市へ友好代表団を派遣いたしました。
 友好代表団を代表いたしまして、報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 ソウル特別市訪問東京都議会友好代表団谷村孝彦君。
   〔六十三番谷村孝彦君登壇〕

〇六十三番(谷村孝彦君) 東京都議会友好代表団のソウル特別市訪問についてご報告をいたします。
 吉野利明議長を団長とし、自民党、公明党、共産党、民主党の各会派代表から成る友好代表団九名は、ソウル特別市議会の招請を受けて、平成二十五年十一月十九日から二十一日までの三日間、ソウル特別市を訪問いたしました。
 訪問の目的は、東京都とソウル特別市との友好、親善に寄与するとともに、両都市の共通する都市問題等に関して調査及び意見交換を行い、都議会における政策立案に資することでありました。
 最初に、ソウル特別市議会の金軫洙副議長を表敬訪問いたしました。
 友好都市提携を結んでから二十五年間、両都市は文化、経済、教育、スポーツなどの広範な分野において、多彩な交流を行ってまいりました。特に、毎年、絶えることなく実施してきた両議会の交流の積み重ねが、今回の訪問と相まって、両都市の間の相互理解と友情の深まりに多大な貢献を果たしていることを確認いたしました。
 吉野団長からは、東京が二〇二〇年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地に決定したことを報告し、応援をいただいた韓国、そしてソウルの皆さんへの感謝の言葉をお伝えしました。そして、東京大会に先立つ二〇一八年には、韓国の平昌で冬季オリンピック・パラリンピック大会が開催されることから、東京都議会とソウル特別市議会とがしっかりと手を携えて両大会の成功を支援し、アジアにおけるオリンピックムーブメントの推進に貢献していくことを提案し、合意を得ることができました。
 次に、ソウル特別市の政策について、三つのテーマに基づき調査、視察を行いました。
 一点目は、昨年九月にオープンしたソウル特別市の新庁舎の機能であります。
 庁舎に入り、まず目を引くのは、垂直庭園と名づけられた高さ二十八メートルの屋内壁面緑化で、これはギネスブックにも登録されたとのことであります。太陽光、太陽熱、地熱なども積極的に取り入れ、エネルギー使用量の二八・三%を再生可能エネルギーで賄うなど、新庁舎の高い環境性能は、ソウル市の環境戦略の一環として参考になりました。
 また、新庁舎の地下に新設されたソウル安全統合センターを視察しました。これまで三カ所に分散していた災害対策、危機管理、交通管理の三つの機能を一カ所に統合し、平常時は交通管理を行いつつ、洪水などの災害発生時には防災センターとして、テロなどの非常事態には危機管理センターとして重点対応を行う拠点となっております。統合により予算、人員が三分の一に削減された効果の説明もありました。
 視察の二点目は、交通政策であります。
 総合交通管理センターにおいて、路線バスや道路上に設置されたカメラ、GPS、道路下のセンサーなどの機器を駆使した交通情報の収集や、これを活用した警察、道路公社などとの連携による渋滞対策、違反取り締まりなどの交通マネジメントの状況を確認いたしました。
 また、渋滞対策として、ソウル市が実施するナヌムカーというカーシェアリングシステムを視察いたしました。これは、スマートフォン一つで空き自動車の検索と予約、自動車の開錠と使用後の精算も行えるという大変に利便性の高いシステムであります。利用者の満足度も高く、現在約七百台の車両を来年末までには二千台にふやす予定とのことでありました。
 もう一つ、地下鉄への自転車持ち込みシステムについても視察いたしました。環境対策や余暇の活用という観点から、土日、休日に地下鉄の一部車両に無料で自転車を持ち込むことを可能としており、このための改良車両を見学し、自転車の持ち込みと設置を実際に体験しました。
 滞在中、ソウル市内の渋滞は極めて深刻で、政策の効果は今後の課題と感じましたが、可能性のある施策には大いにチャレンジするという精神に、一同感心をしたところであります。
 視察の三点目は、MICE政策であります。
 ソウルは、昨年、イギリスの観光専門誌において最優秀MICE都市に選ばれるなど、東京を一歩先んじている都市であります。現在、MICE機能で世界五位のソウルは、東京は六位ですけれども、五年後に世界三位を目指すという明確な目標のもと、二〇二〇年までに現在のインフラを三倍近くの面積にふやす戦略を掲げているとの説明がありました。
 実地には、COEXというMICE施設を見学しました。展示面積としては東京ビッグサイトに及びませんが、国際会議場、ホテル、ショッピングセンター、カジノなどが複合的に併設されている点で強みがあり、当日も朝から大変なにぎわいを見せておりました。ソウルの政策は、現状に甘んじずに高い成長を志向しており、同様にMICEを重点施策に掲げる東京にとって手ごわい相手と実感しました。
 三日間という短い訪問ではありましたが、両都市の友好のきずなを一層深めるとともに、意欲的な政策を手がけるソウル特別市の現在の姿を見聞し、さらに意見交換を行うなど、大変有意義な訪問となりました。
 今回の視察及び意見交換を今後の都政に生かしてまいりたいと思っております。
 最後に、このたびの訪問に当たりお世話をいただきました金軫洙副議長を初め、多くのソウル特別市議会などの関係者の方々に、団員一同、心より厚く御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって東京都議会友好代表団の報告は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 次に、東京都議会海外調査団について申し上げます。
 本議会において、去る十一月十八日から二十五日まで、ミラノ、アテネ及びロンドンへ海外調査団を派遣いたしました。
 海外調査団を代表いたしまして、報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 七十一番田中たけし君。
   〔七十一番田中たけし君登壇〕

〇七十一番(田中たけし君) このたび、東京都議会を代表し、ロンドン、ミラノ、アテネへ都議会自由民主党の崎山知尚議員、小宮あんり議員、高椙健一議員、柴崎幹男議員、小松大祐議員とともに海外調査を行いましたので、ご報告申し上げます。
 私たち海外調査団は、国の内外を問わず先進事例を学び、都政の課題解決に生かすべきとの認識を持ち、特に今日の都政の課題のうち、オリンピック・パラリンピックの開催、オリンピックを契機とした外国人観光客や外国企業の誘致、産業振興やMICE事業の推進による国際競争力の強化、豊洲新市場の開場などの各施策の推進に貢献すべく、海外調査を行いました。
 海外調査の訪問都市の選定に当たり、ロンドンは、過去三回のオリンピックを開催し、特に昨年の大会開催の評価が高いこと、オリンピック会場にも使われた国際展示場が拡張され、効果的に活用されていること、市場を移転し、市場の機能強化とともに市場関連のさまざまな取り組みを行い、大きな成果を上げていること。ミラノは、ヨーロッパ一の国際展示場を運営し、二〇一五年の万国博覧会を初め、国際見本市や国際会議などを積極的に招致し、成果を上げていること、イタリア最大の市場において、最先端の施設整備に向け準備をしていること。アテネは、過去二回のオリンピックを開催し、特に二〇〇四年大会以降の施設の活用状況とその評価が参考になることなどから、都政の課題解決に当たり最適な調査都市と判断し、各都市を訪問いたしました。
 以下、訪問都市順に主な調査概要をご報告申し上げます。
 まずミラノでは、ミラノの郊外のコモ地区にあるコモ産業連盟で、イタリアの産業特性などについて、また、衣料デザインメーカーであるCANEPA社では、中小企業ながらオリジナルデザインを多数開発し、世界有名ブランドメーカーに向けデザイン供給している状況や人材育成の取り組みを調査いたしました。
 また、イタリア最大のミラノ市場では、市場再整備計画の概要、市場の温度管理や品質管理体制、運送体制や駐車場の設置計画などを伺い、現地視察も行いました。
 ミラノ市役所では、副市長から、ミラノにおける産業振興、外国企業誘致の取り組みについて調査し、ヨーロッパ最大の国際会議場を擁するフィエラ・ミラノでは、国際会議や国際見本市などの招致の取り組みや大規模施設の運営状況、ミラノ万博の概要などについて調査いたしました。
 アテネでは、観光省次官から、アテネ・オリンピック開催準備や大会運営、閉会後の施設の状況を伺いました。また、オリンピックスタジアム運営会社では施設の活用状況を伺い、メーンスタジアム、水泳競技場などを視察いたしました。
 ロンドンでは、イギリス最大の水産市場であるビリングスゲート市場で、品質管理、温度管理の取り組み、食育教室など食品関連事業を調査いたしました。
 また、グレーター・ロンドン市議会議長、元副市長らから、オリンピック開催地区の選定理由や大会運営の取り組み、オリンピック閉会後も見据えた施設利用計画などについて伺いました。
 英国貿易投資総省において、外国企業誘致の取り組みを伺い、ロンドン・オリンピック・レガシー・開発公社では、オリンピック閉会後の将来のオリンピックパークの都市計画、住宅開発、適正規模の施設運営などの考え方や取り組みを調査し、メーンスタジアム、総合体育館、自転車競技場などを視察しました。
 また、オリンピックでは、フェンシングや柔道の競技会場となったエクセル・ロンドン国際展示場に伺い、施設の活用状況の調査も行いました。
 このたびの海外調査を通じ、オリンピックに関しては、ロンドンとアテネを比較し、明らかにオリンピック閉会後の施設の状況に隔たりがあることを強く感じました。ロンドンでは、オリンピック後の施設の利用予測を基準に、利用が見込まれないものは仮設施設として、メーンスタジアムも含め、オリンピック以上には集客が見込まれないものは部分的に仮設とし、閉会後、仮設施設を撤去し、適正な規模の施設のみを残し、負担を最小限に抑えておりました。
 一方、アテネでは、ギリシャでは人気のない野球の立派な競技場が未使用のまま放置されているなど、稼働率の低い施設が複数残っておりました。開催すら危ぶまれる中、オリンピック開催準備に強い関心が払われ、閉会後の施設の活用にまで十分検討することもできず、結果として施設維持のための財政負担を強いられておりました。
 東京として、未来の東京に残していくべき具体的レガシーを明確にし、その方向に沿った大会運営や施設計画の必要性を改めて痛感いたしました。
 また、ロンドン・オリンピックでは、IOCの了解のもと、スポンサー企業以外からも積極的に寄附金やボランティアを受け入れ、オリンピックの参加企業の裾野を広げ、収益拡大を図っておりました。東京オリンピックの経済効果は約三兆円と見込まれておりますが、取り組みにより、さらに大きく拡大できる方法があることも参考になりました。
 MICE事業の推進に関しては、施設の整備だけではなく、地域の観光資源、安全性、交通の利便性、宿泊施設の状況など、アフターコンベンション機能も強く求められており、行政と地域一体となった招致活動の必要性を強く感じました。
 市場に関しては、改めて温度管理や輸送効率の必要性を感じ、また、食育学校が高い評価を得ていることに強い関心を持ちました。
 なお、以下詳細の報告につきましては、現在取りまとめている報告書により行いますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
 このたびの海外調査を行うに当たり、事前調査として、松島みどり経済産業副大臣及びジェトロ職員の方々などから、訪問国、訪問都市の概況聴取を行いました。また、調査先では、東京オリンピック招致にもご尽力された在ギリシャ西林大使から、アテネ・オリンピックの状況及び東京オリンピック招致活動の状況についてもお伺いすることができました。また、現地では、ジェトロ職員及びCLAIR職員の方々からも、海外調査の充実に向けた有効なご助言もいただき、改めて感謝申し上げます。
 いずれにいたしましても、オリンピックの開催を初め多くの都政の課題が山積している今日、都民から信頼され、理解される体制のもとで、力強く都政を牽引していくことが、特に昨今強く求められております。我が海外調査団もその認識のもと、都政の発展に向け、調査結果を踏まえた質問や発言を、今定例会初め、行ってまいります。
 理事者の皆様にも調査の成果を積極的に捉えていただき、都政発展に向け、活用いただきますことを期待し、本会議場での海外調査報告といたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって東京都議会海外調査団の報告は終わりました。

〇議長(吉野利明君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十三日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

〇議長(吉野利明君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事猪瀬直樹君。
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 平成二十五年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に関する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 初めに、先般の台風二十六号による災害で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
 天皇皇后両陛下からは、犠牲者に対するお悼みと被害をこうむった人々に対するお見舞いの気持ちを、また、災害対策に努力している関係者に対するおねぎらいのおぼしめしを、侍従長を通じて直接賜りました。
 台風三十号が東南アジア地域を襲い、とりわけフィリピンで甚大な被害が発生しました。犠牲となられた方々に対し深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様にはお見舞い申し上げます。一日も早く大災害の痛手から立ち直られることを心から願っております。
 このたびの私が徳田毅代議士から五千万円を借り入れた問題につきまして、一言申し述べさせていただきます。
 この借入金は、当時、自分の先の生活に対する不安があり、昨年十一月に私が個人として借り入れを行ったものであります。その借入金には手をつけず、全額返済いたしました。ことし二月に返済する予定で具体的な約束も取りつけておりましたが、結果として延び延びとなり、返済がことしの九月になってしまったこと、また、無利子、無担保で借りたこと、その軽率さにつきましてご批判をいただくのは当然であります。この間を振り返り、深く反省をしております。
 しかし、医療法人徳洲会グループに対して見返りに便宜を図ったことは一切ありません。また、資産報告書への記載を怠って先日訂正いたしました。ひとえに私の不徳のいたすところであります。
 今回の事態により、都民の皆様、ともに都政を担っている都議会の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけしたことは痛恨のきわみであり、心から深くおわび申し上げます。まことに申しわけございませんでした。
 一日も早い都民の信頼回復に向け、これからも都民のため、国民のため、東京のため、日本のため、粉骨砕身努力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 台風二十六号への対応の経過について申し上げます。
 去る十月十五日夜半から十六日未明にかけて、台風二十六号が東京地方を襲い、伊豆大島で大規模な土石流が発生しました。東京都は、十六日午前八時に自衛隊への災害派遣要請を行い、その日のうちに副知事を本部長とする現地対策本部を設置して対応に当たりました。自衛隊、海上保安庁、他県からの消防隊の皆様を初め、多くの方が応援に駆けつけてくださり、警視庁、東京消防庁、そして地元の消防団の方々とともに、救助救援活動に当たりました。
 私も現地に赴いて、台風二十七号が接近する差し迫った状況の中で、二次災害を食いとめるための対策を指示しました。大型土のうを二カ所、四百四十メートルと百メートル、合わせて五百四十メートルにわたって積み上げ、堰を築くなど、被災地域にこれ以上の土砂が流れ込まないよう対策を講じました。災害即応対策本部を立ち上げて、全庁的な体制を整え、高齢者や障害者などで希望する方には島外に避難していただくなど、大島町と力を合わせて手を尽くし、幸い台風二十七号による被害はありませんでした。
 また、安倍総理を初め政府関係者の方々も現地入りされ、局地激甚災害の指定を速やかに行っていただきました。
 この間、ご尽力いただいた全ての関係者の皆様に、改めて深く感謝申し上げます。
 台風二十六号による被害は、東京を襲った自然災害としては、半世紀前、昭和三十三年の狩野川台風以来の大きなものとなりました。東京都は、大島の方々が一日も早く日常の生活を取り戻し、あしたへの希望を描けるよう、復旧、復興をしっかりと支えてまいります。
 自宅が損壊した方の当面の生活の場として、東京都の教職員住宅を提供しております。応急仮設住宅については、大島町からの要請を受け、早急に整備してまいります。
 また、生活の再建を支援するため、住宅が全壊や大規模半壊した世帯などに支援金が支給できるよう、被災者生活再建支援法を適用しました。それに加えて、東京都は独自に、半壊した世帯にも支援金を支給いたします。住宅の建設、補修のために資金を借りる際には利子への支援も行います。
 産業の復興も進めてまいります。大島では、来年一月から椿まつりが開かれるなど、観光のシーズンを迎えます。島の魅力、多彩な観光資源をアピールすることで、基幹産業である観光や農林水産業を支援します。
 土石流によって設備などが損壊した中小企業の方には、事業の復旧に必要な資金の融資に加え、その保証料と融資額一億円までの利子を全額補助いたします。
 取引先の被災や観光客の減少によって間接的に被害をこうむった方にも、通常とは別枠で資金を融資するほか、保証料の二分の一を補助いたします。
 災害で発生した瓦れきについては、島の中で処理し切れないものは、都内区市町村や民間と力を合わせ、島外での処理を始めたいと思います。十二月中旬にも処理を開始するため、本定例会に大島町から処理を受託するための議案を提案しております。よろしくお願いいたします。
 全国から多くの義援金が寄せられております。東京都や日本赤十字社東京都支部、東京都共同募金会に寄せられた義援金の総額は、二十六日現在で二億三千万円に上り、既に大島町への一回目の配分を行っております。他の自治体の皆様からもお見舞金をお寄せいただきました。心から感謝申し上げます。
 全庁横断的に設置した大島応急復旧プロジェクトチームの検討を踏まえ、こうした対策を矢継ぎ早に打ち出しております。さらに、追加の対策を盛り込み、年内に緊急対策として取りまとめてまいります。
 自然災害への対応に絶対の方法はありません。今回の台風でも、たった一日で八百ミリを超える豪雨が、大島の中でごく一部の地域に局地的に降りました。砂防ダムの間隙を突いて、土石流が人家の集まる元町地区に流れ込んだという現実に、自然の脅威、予測の困難さを痛感しております。
 今できることは、災害を振り返りながら教訓を最大限引き出し、防災、減災の取り組みに結びつけることです。専門家の知見を得ながら、元町地区の土砂災害への緊急対策を実施し、梅雨の時期までに完了させます。同時に、今年度内に本格的な対策を取りまとめたいと思います。
 また、今回の災害で、情報連絡体制についても課題が明らかになりました。そこで、すぐにできる対策として、都内全六十二の区市町村長と防災担当責任者の携帯電話番号をリストアップして、東京都の防災責任者とホットライン化し、緊急時に直接連絡がとれる体制を構築しました。ファクスなど防災情報が伝わったかの確認も徹底することにしました。
 先週、あきる野市と合同で実施した総合防災訓練では、土砂災害を想定した救出訓練を初め、孤立集落を想定したヘリコプターによる物資輸送訓練も行いました。土砂災害警戒区域の指定を着実に進めながら、砂防、治山対策などハード面での対策も行ってまいります。道路に面した斜面の土砂崩れに対する安全性を高めて、災害時の孤立を防ぎ、避難や救助救援活動を行いやすい環境を整えます。地域の特性に応じた対策を着実に進め、災害対応能力を高めていきたいと思っております。
 一方、区部では、防災上最大の弱点ともいえる木造住宅密集地域の不燃化のため、税制優遇や補助制度など、さまざまな支援メニューを展開します。そういう不燃化特区の取り組みを進めてまいります。
 既に先行的に取り組んでいる十二の地区では、用地取得や建てかえなどが始まりました。これに加えて、来年度からの事業実施に向けて、新たに二十七地区が名乗りを上げました。これらの地区についても、一刻も早い事業着手を働きかけており、六つの地区で、春を待つことなく来月から、事業を前倒しで実施することになりました。目標の五十地区の指定に向けて、引き続き区の取り組みを引き出してまいります。
 延焼を遮断し、避難や救援活動を行うための道路も、特定整備路線として重点的に整備していきます。事業に協力することで転居が必要となる方々などのために、生活再建に関する相談窓口を設置していきます。先般、墨田区内で第一号を開設しました。移転先に関する情報提供や税金に関する相談など、住民の皆さんの不安をきめ細かく取り除くことで、整備を加速してまいります。
 次に、地方税制の見直しの動きについて申し上げます。
 もともと、法人事業税の一部国税化は、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでという条件で導入された暫定的なものであります。にもかかわらず、国は、東京から財源を奪うため、今回の消費税率の引き上げにあわせ、当然果たすべき法人事業税の暫定措置の撤廃という約束をほごにしようとしているばかりか、あろうことか法人住民税まで一部を国税化しようとしています。
 改めて申し上げます。この不合理で、信義則にも反する見直しを到底承服することはできません。もしこのまま強行されれば、災害対策の強化や急速な少子高齢化に備えた構造的福祉改革の推進はもちろん、オリンピック・パラリンピックの開催準備にも支障が出かねません。
 まず、東京への財源集中という誤解に対し、具体的に反論しなければなりません。国税収入は四十三兆円であります。その四割に当たる十七兆円は、東京都のエリアから納められています。これが総額十七兆円の地方交付税の原資にもなり、広く全国に行き渡っているのです。地方交付税と地方税を合わせた人口一人当たりの一般財源の額では、東京都は四十七都道府県中三十七位であります。そもそも財源が集中している事実はありません。
 私は、第一次安倍内閣のときに地方分権改革推進委員を務めておりました。長年、歳出の割合は、国対地方が四対六であるのに対し、税源の割合はその逆で六対四でした。このアンバランスをいかに変えていくかということで、その当時取り組んでいたわけです。そして、一時、税源の割合が五対五近くにまでなりました。しかし、法人事業税の一部国税化によって、再び国の六に対して地方は四に逆戻りしています。
 そして、今回、さらに法人住民税の国税化を持ち出しました。国と地方の役割分担に見合う税源こそが地方に必要なのであり、国が税収を集めて地方に配分する仕組みを強めることは、地方分権のギアを再びバックに入れることにほかならないのです。
 均衡ある発展を目指した政府の政策が、戦後の高度経済成長や国民の生活の向上に一定の役割を果たしたことは事実だと思います。しかし、国家財政の危機的状況、地方の疲弊、バブル崩壊後の長い停滞を見ても、この政策が制度疲労に陥っているのは明らかです。
 一極集中をいうならば、それは霞が関への権限集中であります。今必要なことは、霞が関とそれにがんじがらめにされた地方という日本の旧体制、アンシャンレジームを守ることではありません。国の権限、財源、人を地方政府に移して無駄を削り、それぞれの地方が個性を最大限発揮して、長所を伸ばし、短所を補い合う、地方が主体的に役割を果たすことで、有機的に結びついていく国家像をつくり上げることが必要です。
 そして、私たちは、いかにして日本経済を活性化させ、税収全体のパイを拡大していくかというダイナミックな発想に立たなければなりません。
 東京が日本経済の成長を牽引し、その効果を全国に波及させていくことが重要であり、日本中に血液を送る心臓の役割を十分に果たさなければなりません。東京の活力が失われれば、日本は確実に沈みます。
 都議会の皆様とともに、そして東京選出の国会議員や特別区長会、市長会、町村会、首都圏の九都県市の皆様などともタッグを組んで戦ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続いて、日本の活力を高めることにつながる国家戦略特区について申し上げます。
 今の国会で審議されている国家戦略特区関連法案は、当初は、規制緩和に限定されており、外国企業が進出する上で肝心かなめの税制面での支援がないなど、極めて不十分な内容でした。
 東京都は、すぐさま政府や国会議員に働きかけて、税制支援の検討が行われるところまでは来ました。結論は年末に持ち越されています。規制緩和については、外国人医師の診療機会拡大などは方向性こそ示されていますが、具体的な中身は先延ばしとなっております。オリンピック・パラリンピックの開催も決まった今、政府には、日本の再興に本気で取り組んでもらいたいと思います。
 国際競争力の強化は待ったなしです。東京を世界で一番ビジネスのしやすい国際都市にするために、特区制度が本当に実効性のある取り組みとなるよう、政府に働きかけていきます。同時に、東京都は、ただ待つのではなく、外国企業への経営コンサルティング、外国人子弟の教育環境の整備など、独自にできることは積極的に進めてまいります。
 先般、友好都市である北京市環境保護局の実務担当者などが東京を訪れ、東京都・北京市大気保全ワークショップを開催いたしました。PM二・五の問題など北京市が直面する深刻な大気汚染に対し、東京都が培った経験や政策のノウハウを提供するため、ことし一月に、王安順北京市長に呼びかけ、実現したものであります。東京都の環境科学研究所や民間の自動車工場などの現場も実際に見てもらい、実務家同士が専門的な知見を出し合うなど、非常に意義深いものとなったと思っております。
 さらに、先週十八日、十九日の二日間、ベトナムの首都ハノイで開かれたアジア大都市ネットワーク21の総会に出席してまいりました。総会では、政策対話で取り上げたテーマを、新技術の開発やビジネスに具体的につなげていく新しい共同事業を提案し、全都市の合意を得ました。
 この機会を捉えて、ハノイのグエン・テー・タオ市長と会談しました。ハノイ市は、公共交通が未発達であり、大気汚染が問題になっております。北京市に対してと同じように、この分野で培った東京の経験、ノウハウを提供することになりました。同時に、日本で学ぶベトナム人留学生の就職を支援すること、水道分野での人材育成に引き続き協力していくこと、東京から柔道の指導者を派遣することを合意いたしました。そして、この四点の合意事項についてハノイ市と覚書を結びました。
 招待を受けて、ハノイ国家大学で日本語を学ぶ学生や日本に関心のある現地の若者に講演する機会を得ました。みんな好奇心にあふれ、輝いた目をしていました。将来、東京とハノイ、日本とベトナムとのかけ橋になってくれることを期待しております。
 このような都市同士の真に実のある交流は、それぞれの国民同士の友情を育て、国家間の友好をもたらし、お互いの発展にもつながります。それを進めることは、世界のフロントランナー東京の責任でもあるのです。オリンピック・パラリンピックの開催都市となったことで、その責任はより増したと思います。東京は、都市外交をこれまで以上に積極的に展開してまいります。
 スポーツ祭東京二〇一三は、天皇皇后両陛下、皇族方にも競技をごらんいただき、選手、大会関係者、観客を合わせ、延べ百二十万人を超える方が参加し、大盛況のうちに全日程を終えることができました。東京都選手団は、日ごろの練習の成果を遺憾なく発揮し、国民体育大会では天皇杯、皇后杯を、全国障害者スポーツ大会でも過去最高三百十四個のメダルを獲得するなど、すばらしい成績をおさめました。
 都議会の皆様、区市町村や競技団体など関係者の皆様、観客として、あるいはボランティアとして大会を盛り上げ、支えていただいた都民の皆様に深く感謝申し上げます。
 スポーツ祭東京二〇一三は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を初めて一つの祭典として開催し、スポーツ大会の新しいあり方を全国に発信しました。国体の閉会式と全国障害者スポーツ大会の開会式との間の三日間を結ぶイベントとして、東京ユニバーサルスポーツ3daysを実施しました。障害のある人もない人も、一緒に楽しみながら都庁周辺を走るユニバーサルジョグには、私も参加をいたしました。
 東京都は、誰もがスポーツを楽しむことができる社会を実現してまいります。今後、全国に東京の先導的な取り組みが受け継がれていくことを期待しております。
 先日、IOCの実務担当者が来日し、オリエンテーションセミナーが開かれ、IOCとの間で具体的な準備が始まりました。続いて日本を訪れたトーマス・バッハ新会長とも会談し、パートナーとして信頼関係をさらに強くしていくことを確認いたしました。
 招致決定後、すぐに庁内に設置した大会実施準備会議では、東京都の責任で行う恒久的な競技施設の整備について検討を始めました。
 オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもあります。来月開かれる東京芸術文化評議会では、今後展開していく文化プログラムの具体化に向けた検討を始めます。
 また、鉄道の駅や道路の案内標識、レストランのメニューなどを、スマートフォンのアプリも使いながら複数の言語で表示する多言語対応も進めてまいります。政府や、鉄道会社、ホテル、通信事業者など、民間の業界団体とも連携して協議会を立ち上げていきたいと思います。
 また、一月一日に、スポーツ振興局を改組し、オリンピック・パラリンピック準備局を設置するため、本定例会に組織条例の改正案を提案しております。大会の準備体制を強化し、開催都市としてオリンピックムーブメントを広げるため、スポーツをさらに盛んにしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 大会組織委員会については、来年二月までに立ち上げるべく、現在、関係者と精力的に調整を行っております。ロンドン大会の組織も参考にしながら、東京都、JOC、政府、財界など、オールジャパンの力が最大限発揮できる体制、日本の中枢をつくってまいりたいと思います。
 新国立競技場の整備について申し上げます。
 政府は、東京都に建設費を一部負担するよう求めてきましたが、国立である以上、国が当然負担すべきです。
 しかし、都民の便益となる周辺の施設の整備についてまで協力を拒むということではありません。協力するには、競技場の設計内容について専門機関による技術的な精査を受け、透明性を高めることが必要です。今後、具体的な中身を文部科学省と話し合ってまいります。都議会の皆様とも十分協議してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 本定例会には、駐車場条例の改正案を提案しております。
 これは、自動車の保有台数が低下傾向にある中で、東京都の調査で七割程度の利用にとどまっていた区部の大規模オフィスビルやマンションなどの駐車場について、設置基準を見直して緩和するものです。これにより、駐車場の空きスペースを防災用備蓄倉庫などに転用することができ、駐輪場に転用することも可能となります。
 この改正条例は、災害に備えて備蓄を義務化した帰宅困難者対策条例や、放置自転車対策を進める、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例という東京都の先進的な条例とも相まって効果を発揮いたします。いずれの条例も、民間の取り組みが重要であり、創意工夫の幅が広がってくると思います。
 時代に合わせて、きのうのルールを見直すことで、社会のストックを有効に活用し、大都市の課題への対応に結びつけていきたいと思います。
 また、本定例会には、来年四月からの消費税率の引き上げに伴い、都営交通の運賃を改定する条例案を提案しております。今後とも、利用者サービスの向上に一層努めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 なお、水道、下水道などの他の公共料金につきましては、来年の第一回定例会で提案したいと考えております。
 なお、本定例会には、八王子市から申し出のあった中核市への移行に対する同意の議案を初め、これまで申し上げたものを含めて、条例案十八件、契約案十七件など、合わせて五十四件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。

〇議長(吉野利明君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入られることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入ることに決定いたしました。

〇議長(吉野利明君) 日程第一から第六まで、第百八十二号議案、職員の分限に関する条例の一部を改正する条例外議案五件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました六議案についてご説明申し上げます。
 まず、第百八十二号議案から第百九十号議案までの五議案は、条例案でございます。
 これらの議案は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 第二百三十四号議案は事件案でございます。
 大島町の災害廃棄物処理の事務の一部を受託するため、地方自治法の規定に基づき、規約を定めるものでございます。
 よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 人事委員会の回答は、第百八十二号議案、第百八十四号議案から第百八十六号議案及び第百九十号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二五人委任第一〇三号
平成二十五年十一月二十八日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 吉野 利明殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十五年十一月二十二日付二五議事第二七八号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百八十二号議案
  職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
二 第百八十四号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
三 第百八十五号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第百八十六号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
五 第百九十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております第百八十二号議案外五議案につきましては、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、第百八十二号議案外五議案は原案のとおり可決されました。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明三十日から十二月四日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明三十日から十二月四日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時五十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二五財主議第四〇七号
平成二十五年十一月二十一日
東京都知事 猪瀬 直樹
 東京都議会議長 吉野 利明殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十五年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   塩村あやか議員
   山内れい子議員
   上田 令子議員
   河野ゆりえ議員
   小竹ひろ子議員
   斉藤あつし議員
   畔上三和子議員
   大島よしえ議員
   中村ひろし議員
   植木こうじ議員
   かち佳代子議員
   吉田 信夫議員

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 スマート保育について
二 動物愛護について

一 スマート保育について
東京都の待機児童は8117人と全国最多です(4月1日現在)。中でも世田谷区は884人と地方自治体の中でも全国ワースト1となっています。昨年よりも待機児童が100人近く増えて対策に追われるなか、世田谷区は東京都のスマート保育に現在のところ、手を挙げていません。
世田谷区の担当部局に問い合わせたところ、その理由として「全体像が見えないなか、無責任に手をあげるわけにはいかない」という回答でした。
全国で最も多くの待機児童を抱えており、待機児童問題を早急に解決したいはずの世田谷区のような自治体が手を挙げにくいことは大きな問題であると思います。東京都はこのような問題の存在を早急に把握し、改善をしていくべきです。そのことが、待機児童が解消される近道となるはずです。
今後、スマート保育制度についてどのような改善や見直しを予定していますでしょうか。

二 動物愛護について
東京都動物愛護相談センターの民間連携についてお伺いいたします。
広島県神石高原町は国際NGOピースウインズ・ジャパンと連携し、地域活性を図りながら、殺処分ゼロを目指す「ピース・ワンコジャパン」という新しい取り組みをスタートさせています。
その内容は、空いた土地と施設を町から借り受け、神石高原町で収容をされた犬猫を広島県の動物愛護センターに回さずに新たな飼い主に譲渡、または災害救助犬やセラピー犬を目指して同施設で飼育するという取り組みです。
施設内ではドッグランとカフェを運営し、気軽に家族連れで遊びに来ることができる雰囲気にもなっています。
この事業が2011年にスタートしてから、同町では殺処分がゼロとなり、さらには新たなお出かけスポットとして周辺地域の住民達に認知され地域活性と貢献にもなっています。また、ここのドッグランを訪れる犬は、希望をすれば相性の合う犬をスタッフに選んでもらい、いつでも一緒に遊ぶことができます。
このように、民間の発想と活力を取り入れていくことで、動物愛護と福祉だけではなく、地域の活性化にも一役を買い、関わる全ての人と動物を幸せにしている実例があります。
そこでお伺いします。東京ではこの事例を直接当てはめるのは難しいと思いますが、民間の発想を積極的に取り入れて、さらなる改善を図る予定はありますか。または、提案があった場合に検討の用意はありますか。

平成25年第三回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 スマート保育について
   待機児童問題を早急に解決したいはずの自治体が、スマート保育に手を挙げにくいことは大きな問題であり、都は、このような問題の存在を早急に把握し、改善すべきだが、今後、スマート保育制度について、どのような改善や見直しを予定しているのか、見解を伺う。

回答
  都が今年度から国に先駆けて実施している小規模保育事業は、区市町村が地域の実情に応じて、独自に基準を定めて実施できる仕組みとしています。その結果、既に都内10区市が独自に基準を定め、平成26年4月までに、当初予定の30か所を上回る40か所の整備が予定されています。
  地域の実情に応じて、どのような保育サービスをどのくらい整備するか
決定するのは、保育の実施主体である区市町村であり、現在の小規模保育事業に問題があるとは考えていません。
  今後、小規模保育事業は、平成27年度に開始が予定されている子ども・子育て支援新制度の中に位置付けられ、その施設整備等の基準は区市町村が条例で定めることとなります。既に、平成25年8月に国の子ども・子育て会議で、小規模保育の施設整備等の基準案が示され、この基準案に基づき、国は今年度から運営費等の補助を実施することとしています。
  都は今後とも、地域の実情に応じて多様な保育サービスの拡充が図られるよう、区市町村の取組を支援して行きます。

質問事項
 二 動物愛護について
   東京都動物愛護相談センターの民間連携について、民間の発想を積極的に取り入れて、さらなる改善を図る予定はあるのか。または、提案があった場合に検討の用意はあるのか、見解を伺う。

回答
  動物愛護相談センターでは、これまで、飼育経験が豊富で実績のあるボランティア団体と連携し、やむを得ない理由により引取り・収容した犬猫の譲渡の拡大を図ってきました。
  現在、35の団体と連携し、平成24年度では譲渡した動物の約8割がこれらの団体を通じて新たな飼い主に渡っています。
  今後とも致死処分の減少に向けて、動物愛護管理法の改正を踏まえ、より多くの団体との連携を進めていきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 東京都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業(江戸川区施行)について

一 東京都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業(江戸川区施行)について
  本事業は、2009年(平成21年)11月24日都市計画決定、2011年(平成23年)3月30日事業認可取得、2011年(平成23年)5月17日事業計画決定の公告がなされた事業です。江戸川区は、国の高規格堤防事業と一体的に行う事業として、2004年(平成16年)から地域住民に説明をしてきました。
  しかし、江戸川区が東京都に認可申請した「東京都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業」の事業計画は、それまでの住民説明とは異なり、国との共同事業ではなく、江戸川区の単独事業として提出されました。
  2009年度(平成21年度)第1回江戸川区都市計画審議会議案「諮問第3号・東京都市計画土地区画整理事業・北小岩一丁目東部地区土地区画整備事業の決定について(江戸川区決定)」において、その「議案の概要」には、「江戸川沿いの高規格堤防計画の範囲にある本地区については、密集市街地を改善し、生活環境が向上した安全な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業を決定しようとするものである。なお、事業の実施については、国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定である。」と明記されています。さらに、2010年(平成22年)江戸川区議会第一回定例会に提案された議案「東京都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業施行規程」の説明資料「北小岩一丁目東部地区土地区画整備事業の概要」には、「本事業はスーパー堤防と一体整備による事業実施を前提」と明記、その中にあるスケジュールには「平成23年3月、スーパー堤防事業者と共同事業の基本協定締結」とされています。さらにこの間、江戸川区土木部は「まちづくりニュース北小岩一丁目東部地区」を発行、「スーパー堤防と一体となったまちづくり」を再三表明してきています。
  このように、江戸川区は日頃から、また、都市計画決定や施行規程制定など、法に基づく重要な局面において、本件事業は国との共同事業である旨一貫して説明していたにもかかわらず、事業計画は一転、区の単独事業としての計画となったのです。これは単に資金をどちらが拠出するかという行政サイドの事情にとどまらず、後段で述べるとおり、当該権利者にとって、自身の土地の権利に関わる重大な変更をも意味するものです。
  都市計画法に基づく「都市計画運用指針」(第6版)にある<都市計画決定手続に係る基本的考え方>には、「近年、行政一般に対して、行政手続の透明化や情報公開、説明責任の遂行が求められており、都市計画のように国民の権利義務に直接影響を与えることとなる行政手続については、特にその要請が高まっている。このため、今後の都市計画決定手続においては、以上のような状況を十分踏まえ、都市計画に対する住民の合意形成を円滑化し、都市計画の確実な実現を図る観点から、これまで以上に都市計画決定手続における住民参加の機会の拡大、都市計画に係る情報公開及び理由の開示等に意を用いていくべきである。」と明記されています。
1 これに照らした場合、住民への説明とは異なる事業計画の申請、そして認可という行政処分は、果たして適切だったのでしょうか。改めて都の見解を伺います。
  現在、江戸川区はこの単独事業の事業計画に則り、本件土地区画整理事業を粛々とすすめています。7月16日に権利者に対して仮換地指定通知を郵送、同月30日には建物等除却通知及び照会を出すなど、矢継ぎ早に行政処分がなされました。そして、その中では、本年12月16日をもって、現在住んでいる土地建物の使用収益停止が告知され、その日までの建物の取り壊し及び移転を迫り、一斉の明け渡しが求められています。しかも、建物の除却を自ら行うか、行わないかの回答を9月末までに出すことも要求され、この事業に問題意識を持ち、いまだ建物調査に応じていない権利者らは、この急展開の事業推進に困惑している状況にあります。移転補償契約に応じた権利者も、いまだ全体(66名)の半分にも満たないとも聞く中、土地区画整理法第77条にある「直接施行」も視野に入れた行動が施行者である江戸川区によってとられています。
  ここで問題にすべきは、本件事業が、現在、共同事業としてすすめられているという点です。
  本年5月30日、江戸川区長と国土交通省関東地方整備局長は、「北小岩一丁目地区高規格堤防整備事業及び北小岩一丁目東部土地区画整理事業に関する基本協定書」を締結しました。これに基づき、高規格堤防事業との共同事業を前提に、都が認可した事業計画とは異なる事業としてすすんでいます。つまり、現状に照らせば、本事業計画は重大で明白な瑕疵のある事業計画であると言えます。ついては、認可された事業計画は撤回し、事業計画変更のプロセスがとられなければならないと考えます。
  先に述べたとおり、国との基本協定に基づき、当該権利者に土地建物の一斉明け渡しを求める手続きを強力にすすめながら、一方で、その元となる事業計画変更に着手しないのは本末転倒と考えます。使用収益停止日を過ぎてから、あるいはその直前に事業計画を変更したとしても、それは権利者にとって事実上意味のないものになります。
2 江戸川区単独の事業計画でありながら、共同事業として実施してしまっている現状に対する認可権者としての見解、及び、今後行われるべき事業計画変更のプロセスとスケジュールについて、都のお考えをお聞きします。
  前段でも触れたとおり、本件事業が江戸川区の単独事業ではなく、国との共同事業になれば、これは全権利者にとって大きな権利の変更をもたらすことになります。当該地区は、個人の土地であると同時に堤防地として国の管理下に置かれ、河川法6条に定められた「高規格堤防特別区域」の指定により、地権の大きな変更を伴うことになるからです。登記は「河川区域(高規格堤防特別区域)」となり、通常登記であれば大深度未満までが利用できるところ、その深さは1.5メートルに制限される、工作物の設置にも大幅な制限がかかり、いざというときには「堤防」が優先される、などです。
  東京都は土地区画整理事業の認可に関わるのみであるにしても、国の高規格堤防事業との共同事業である以上、都の認可がこの共同事業を実質すすめる大きなポイントとなります。結果的に本件土地区画整理事業は、通常の平地での区画整理とは異なり、うず高い盛り土上における階段状の立体的な事業となり、さらには「河川区域」に住むことを余儀なくさせるのです。本事業における都の認可は、通常の区画整理事業にはない、土地利用の大きな形態の変化をもたらす極めて重要な判断になることを念頭に置かなければなりません。
  江戸川区では、今後も区内の江戸川・荒川沿川すべての高規格堤防化を「江戸川区スーパー堤防整備方針」に掲げ、その費用を2兆1千億円と試算しており、この問題は、今後の都市計画事業にも関わる大きな課題と考えます。
3 北小岩地区の認可については、国の高規格堤防事業との関連性から、通常の平地での土地区画整理事業の認可よりも重要な判断になると考えますが、都としての見解を伺います。
  本事業は法に基づくプロセスの中で、共同事業を前提として都市計画決定がなされ、しかしながら、単独事業として事業計画の申請・認可がなされ、結局、共同事業として施行される、と二転三転してきました。しかし江戸川区の説明は、この間一貫して国との共同事業で行う、というものであり、区の資料の中には、単独で行う、とした説明資料は見当たりません。
  縦覧にかかった本件事業計画案は、区単独の事業計画となった一方で、江戸川区は、国との共同事業であるのか否か、その説明をあいまいにしてきました。資金計画書では、区費3,593,000千円のうち、区単独費として3,474,000千円が計上されましたが、その説明は「現段階では国との協定が締結されておらず、国との費用分担が明確でないので、とりあえず単独費として計上する」というものであり、あくまでも国との共同事業を示唆する説明でした。
  実は、単独事業であることを示す資料が唯一存在しますが、それは東京都の公式文書です。事業計画縦覧の際に寄せられた884通の意見書審査を行う、2011年3月の第192回東京都都市計画審議会の事前説明会資料「事業計画決定に伴う意見書の審査について」(同年1月公表)の、意見書に対する「施行者の見解」の中で、江戸川区は「本地区は、三方を盛土により囲まれた地形要件がまちの課題の要因となっていることから、高規格堤防事業の有無に関わらず、土地区画整備事業の施行にあたっては盛土造成を行い、隣接地とも高低差を解消することが必要である」と述べています。「高規格堤防事業の有無に関わらず」と明記したのは、後にも先にもこの資料だけです。東京都の公式文書を使い、認可直前のこの時点で初めて江戸川区は説明を変えたと言えます。
  東京都は2011年3月30日、本件土地区画整理事業を認可しましたが、都が単独施行を可能と判断したのが、2010年2月25日及び3月3日、江戸川区長と国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所長との間で交わされた「北小岩一丁目東部土地区画整理事業に伴う堤防裏法面の整備について(協議)」及び「同(回答)」の存在です。
  この協議文書は、1 施行区域と連続した地盤高となるよう整備を行う。2 河川区域内に宅地側と接続できる道路の整備を行う。3 河川区域内の道路以外の区域については、公園・広場として整備を行う。4 当該区域(河川区域)は、江戸川区で占用及び管理を行う、以上4点が確認されたもので、江戸川区が堤防裏法面も土地区画整備事業の中で施行区域と連続した地盤面になるよう盛土することを求め、それが了解されたものです。
  本協議は、先の民主党政権下における行政刷新会議の事業仕分けにより、「スーパー(高規格)堤防事業はスーパー無駄遣い」として「一旦廃止」となっていた時期になされました。こうした状況にあれば、同事業との共同事業に固執してきた江戸川区としては、土地区画整理事業の手続きについても拙速にすすめるべきではなかったのではないでしょうか。事業認可を取得することで、国に対して高規格堤防事業の継続を求める狙いがあったものと考えられます。この協議文書の存在も、事業認可直前の2011年1月25日、都議会都市整備委員会での都の答弁の中で初めて明らかになったものであり、当該文書の存在は、当の江戸川区民や江戸川区議会議員にさえ知らされてきませんでした。
  これまで述べてきましたとおり、江戸川区では一連のプロセスの中で、適切に住民や議会への説明がなされてきませんでした。前段で「都市計画運用指針」を引用しましたが、住民の権利義務に直接影響を与える重要な手続きにおいて、十分な説明を果たしていない行政の姿勢は、厳しく問われなければなりません。
4 自治体とともに、都の都市計画行政に責任を負う東京都として、住民への説明はどうあるべきとお考えか、最後にお伺いいたします。

平成25年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 北小岩一丁目東部土地区画整理事業(江戸川区施行)について
  1 本事業について、江戸川区は、国の高規格堤防事業と一体的に行う事業として、地域住民に説明をしてきたが、区が都に認可申請した事業計画は、それまでの住民説明とは異なり、国との共同事業ではなく、江戸川区の単独事業として提出された。住民への説明とは異なる事業計画の申請、そして認可という行政処分は、果たして適切だったのか、都の見解を伺う。

回答
  北小岩一丁目東部地区は、三方を盛土によって囲まれた窪地であることに加え、木造や旧耐震基準による建物が非常に多く、また、地区内道路の9割以上が幅員4メートル未満の狭あいな道路となっています。このため、江戸川区が、生活環境の改善や防災上の課題の解消が必要なことから、盛土を含めた土地区画整理事業について、地元合意を得て認可申請したものです。
  これを受け、都は、事業計画における『設計の概要』が適切であることから認可を行ったものです。

質問事項
 一の2 江戸川区長と国土交通省関東地方整備局長は、高規格堤防事業との共同事業を前提に、都が認可した事業計画とは異なる事業として進んでいる。江戸川区単独の事業計画でありながら、共同事業として実施している現状に対する認可権者としての見解、及び今後行われるべき事業計画変更のプロセスとスケジュールについて、都の見解を伺う。

回答
  都は、土地区画整理法に基づき、事業計画のうち『設計の概要』について、道路や公園などの技術的な基準に加え、環境や防災性などの観点から審査し、認可を行っています。
  今後、江戸川区が事業計画の変更を必要と判断し、申請した場合は、適切に対応していきます。

質問事項
 一の3 北小岩地区の認可については、国の高規格堤防事業との関連性から、通常の平地での土地区画整理事業の認可よりも重要な判断になるが、都としての見解を伺う。

回答
  北小岩一丁目東部地区については、三方を盛土によって囲まれた窪地であることなどにより、生活環境の改善や防災上の課題の解消が必要なことから、江戸川区が、盛土を含めた土地区画整理事業について、地元合意を得て認可申請を行い、都は、『設計の概要』が適切であることから認可を行ったものです。

質問事項
 一の4 江戸川区では一連のプロセスの中で、適切に住民や議会への説明がなされず、住民の権利義務に直接影響を与える重要な手続において、十分な説明を果たしていない行政の姿勢は、厳しく問われなければならない。自治体とともに、都市計画行政に責任を負う都として、住民への説明はどうあるべきか、見解を伺う。

回答
  北小岩一丁目東部地区については、江戸川区は、これまで説明会や懇談会などにより、住民への十分な情報提供を行いながら、土地区画整理法に基づく手続を適切に進めてきています。
  都は、区が行う土地区画整理事業について、引き続き、認可権者として適切に対応していきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 葛西臨海公園カヌースラローム競技場建設問題について
二 アスベスト対策について
三 東京都教育委員会による体罰ガイドラインと部活動について
四 東京都における請願の取り扱いについて
五 都立病院の医療事故防止策について
六 障がい者・高齢者の選挙権等の行使について
七 知的障がい者入所施設虐待事件について

一 葛西臨海公園カヌースラローム競技場建設問題について
  2016年のオリンピック・パラリンピック招致活動以来、自然保護の観点から問題視されてきましたカヌー会場につき、2020年立候補ファイルにおいても変更はなされませんでした。かようなことから、9月8日に、招致決定となった直後から耳目を集め、もはや社会現象といっても過言ではない状況となっております。去る9月30日には、改めて都庁に、「日本野鳥の会」の皆さんが、葛西臨海公園の建設予定地区の貴重な自然環境を守るために、会場の変更を求める申し入れをされました。また、地域住民からの声を受け、江戸川区議会でも議論がなされてきました。平成24年第四回定例会で行われた、みんなの党ます秀行区議会議員の「オリンピック招致に伴う競技場の建設、並びに天然ガス火力発電所の候補地とされるなど、二つの大きな計画が進行しています。これまで多田区長は、この東京都の計画に対し、当地区の保護を優先的に考える旨の発言をしてきたが変わりないか」という質問に対し、多田正見江戸川区長は「葛西臨海公園の問題ですが、この考え方は変わっておりません。あの公園ができたいきさつからすれば、これは恐らく、あの公園を半分壊してしまうようなことをすれば、区民が黙っているはずはありませんし、そのことは重々、東京都に伝えてあります。幹部職員にも伝えておりますし、都議の皆さんにも、党会派を問わず、こういうことだということをお話をしております。来年の9月が決定ですので、これ以前に大騒ぎするわけにもいきませんから、その結果を待ってということになるということであります。当然、代替案を持って迫ると、こういうことになりますが、その代替案が、発電所用地として考えられているということもありますので、これをあわせて、そのことも含めて、東京都にそうはいきませんよということを申し上げていくと、こういうことでございます。」と答弁し、オリンピック・パラリンピック招致決定後の本年9月24日、第三回江戸川区議会定例会招集挨拶では「開催計画によれば本区ではカヌー競技が予定されておりますが、競技場建設については、今後、東京都と綿密に協議していく必要があると考えております。」と発言しております。
  つきましては、以下、4点についておたずねします。
1 江戸川区長・地域住民への「了解」について
  「申請ファイル提出前の平成19年11月に発表した開催基本計画の中にも盛り込まれ同様の方法(広報東京都やホームページ)により周知」し「地元の江戸川区に対しても説明し了解を得ています。」と平成20年都議会定例会の文書質問答弁書にあるが、江戸川区長ならびに地域住民にはいつ「了解」を得たのか時系列に順を追って具体的にお示しください。議事録などあればあわせてお示しください。
2 2008年、北京大会のトライアスロン会場や、昨年開催されたロンドン大会のバドミントン、新体操会場など変更が行われた例があります。また、ゴルフは埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部で催されます。環境保護、社会的な評価を鑑みますと、8キロメートル圏内にこだわり葛西臨海公園に固執することの再検討もあってもいいのではないかと思料し、以下、所見をうかがいます。
ア 今からの会場変更は理論上、手続き上可能でしょうか?
イ 8キロメートル圏内ではないものの、本年国民体育大会にて、カヌースラローム競技が開催されました東京都青梅市にある御岳渓谷特設カヌー競技場、埼玉県長瀞地区、事実上計画撤回となった葛西臨海公園隣接地の葛西水再生センター内天然ガス発電所予定地への変更への検討の余地はありませんでしょうか?
3 建設費24億円を都民の税金から投入するにあたり、カヌー競技人口7000人における費用対効果について、所見をうかがいます。
ア オリンピック・パラリンピック開催による競技人口増にむけて、開催前、開催後、どのような数字的想定をしていますか?
イ オリンピック・パラリンピック開催後の管理維持費、ランニングコストを年間いくらを想定し、その金額と競技人口との投資がふさわしいものかお示しください。
4 東京都は「自然環境の保全と再生」を掲げ、緑や水辺環境の創出ほか、自然地の適正な管理、利用への誘導を進める必要があるとしています。「緑の東京10年プロジェクト」基本方針では、都庁の総力を結集して、緑の創出・保全に取組むとともに都民1人ひとりが主体的に緑に関心を持ち、緑を育て、緑を守っていくことができる、仕組みを構築するなど多様な施策を展開されています。あわせて、自然公園の保護・利活用の推進、生物多様の確保、鳥獣の保護の取り組みも行ってきたところです。つきましては、都民のみならず国民が葛西臨海公園の自然環境保護に関心を持つ中、東京都は環境に配慮した工法を模索するとのことですが9月30日に、「日本野鳥の会」にしめした環境影響評価に終わらない十分に調査した丁寧な評価を求めるものですが、今後の環境影響評価の方法論と、猪瀬直樹都知事も「できる限り自然を残せるか考え」るとするところで、現在想定している環境に配慮した工法につきお示しください。

二 アスベスト対策について
  平成25年6月21日、大気汚染防止法の一部を改正する法律が公布されました。今後、アスベスト飛散対策強化が実施されるにあたり、以下、4点についておたずねします。
1 国土交通省による「民間建築物における吹付けアスベストに関する調査結果」によると東京都では対象建築物2万9692棟の内1万1303棟(38%)の報告がされていませんが、今後これらの全容を把握するための追跡調査、計画・予定を時系列でお示しください。
2 すでに阪神大震災、今後は東日本大震災での倒壊建造物によるアスベスト飛散が指摘、報告されています。アスベスト建材が使用された建築物の具体的な把握のため早急な「アスベスト台帳」作成が求められ、現在、区市町村において整備が進められていますが、自治体間のばらつきがあります。東京都としては「アスベスト台帳」整備完了に向けてどのような方針を持ち、いかなる取り組みと対策を実施していく予定か、お示しください。
3 アスベスト予防対策についてですが、工事現場ではアスベストの危険性を認識していない若年建設労働者が散見されています。施主ならびに事業者への啓発はもとより、アスベストの危険性を啓蒙していくことが必要と考えます。ついては、元請事業者、直接雇用者が必要な責任ある知識を得て、その責任により労働者に教育し、建設従事者が自己防衛でき、アスベスト疾患にり患した場合は労災保険適用、「石綿被害救済法」の適用を受ける情報が必要と考えます。建設従事者が適正な情報を直接得て、悪質な処理をしている現場について通報できる対策についてお示しください。
4 中小零細事業所においては、アスベスト飛散防止工事の適切なコストが積算されていないため、不適切に処分するリスクも否めません。こうした負のインセンティブを回避し、対象建造物において適正な工事が実施されるための対策をお示しください。

三 東京都教育委員会による体罰ガイドラインと部活動について
  9月28日に「いじめ防止対策推進法」が施行されました。また、教員による生徒への体罰防止に向けて、東京都教育委員会は去る9月12日に「体罰根絶に向けた総合的な対策について」を示し、体罰が起こる原因・背景、体罰根絶に向けた総合的な対策についての検討結果について取りまとめたところです。これについて、以下、3点、おたずねします。
1 体罰についてのガイドラインでありますが、教育現場において解釈に逡巡する場合も想定されます。また、体罰防止のインセンティブとして「グッドコーチ賞」を設けていますが、アメとムチとなり、子どもよりも外部からの評価にどうしても教員の関心が向いてしまい、教育の本質を見落とさないかが懸念されます。このような場合において、教員が安心して相談できる学校外の機関の必要性を感じます。児童・生徒への指導に際して教員が相談できる学校外の機関に関する現状と、教員の判断を客観的・総合的なものとするための今後の取り組みについてお示しください。
2 2020年オリンピック・パラリンピック招致が決定し、未来のメダリストの育成は、東京都のみならず日本全体のスポーツ振興政策の中心をなしています。こうしたアスリートの卵たちは、専門的な指導を得るため民間のクラブチームなどで養成を受けている子どもが多いのが現状です。今後ますます、公立学校での部活動においても、民間のクラブチームと学校の部活動との連携が求められてくることが予想されます。こうした生徒には、公式試合に出場するとしないでは、大きく将来に影響を与えるものなのですが、ことに公立中学校において部活を民間クラブなどで休むと出場できないなどの問題が散見されています。部活動と民間クラブの連携により、部活動を振興することが望ましいと考えます。そこで、公立中学校部活動への、民間スポーツ機関指導者の活用について、所見をお示しください。
3 部活動の顧問について、体罰により処分を受けた教職員が短期間に復帰する例が見られ、保護者から不安の声が寄せられています。部活動の顧問の選任は、各学校長により行われているのか、都教育委員会や区市町村教育委員会は体罰事案の再発の防止に向け、適正な選任のための指導や関与が必要であり、生徒や保護者のこのような不安を解消するための対応が必要ではないかと考えますが、所見をお示しください。

四 東京都における請願の取り扱いについて
  本年6月25日付東京新聞では、「都教委事務局、市民の声選別 請願6割報告せず」との見出しで、教育委員会あての請願書の処理について、次のように報じています。「本紙は、全国の都道府県教委事務局に、2010―12年度に受理した請願の件数と、そのうち委員に報告した件数などたずねた。都教委の事務局は計33件の請願を受け付けたが、21件は報告しなかった。報告したのは11年度の22件のうち12件だけ。10、12年度に受け付けた請願は、一件も報告しなかった。」また、これについて「木村孟(つとむ)都教育委員長の話」として「請願の取り扱いについては、これまでも必要な改善は行っているが、現在、基本的な仕組みについて変更は考えていない。都民の意見や要望である「都民の声」の件数や主な内容は従来教育委員長に資料配布されていたが、次回の教育委員会からは、請願や公益通報も含めて報告を受ける。」と報じています。
  これに関連して、以下8点、おたずねします。
1 記事の内容は事実でしょうか。
2 教育委員長の話にあるように、報道後に教育委員会における請願書の取り扱いが変更されたのでしょうか。請願書の内容は全ての委員に知らされているのでしょうか。具体的な取り扱いについて、お示しください。
3 教育委員会では、請願書に回答をしていますが、回答をするものとしないもの、回答の内容については、どのような手続きで決定され、請願者に通知されていますか。
4 憲法第16条には「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と定められ、これを受けて、請願法第3条第1項では「請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。」、同法第5条では「この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」と定めています。この「官公署」には、東京都においては、地方自治法第124条および第125条に別の処理規定がある議会を除く、知事、各執行機関、附属機関、全ての機関・役職を含むと解され、「東京都知事」のほか、例えば「○○委員会」、「○○審議会」、「○○局長」、「東京都建設局○○事務所長」のような名宛人あてに提出することも認められるのでしょうか。また、「誠実な処理」の意味するところについて、所見を明らかにしてください。
5 知事あての請願書について、平成24年度の提出件数、具体的な処理手順、回答の有無・件数について、お答えください。
6 教育委員会以外の執行機関あての請願書、並びに都民の声について、平成24年度の提出件数、具体的な処理手順、回答の有無・件数について、お答えください。
7 請願法第4条は「請願書が誤って前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。」と定めていますが、区市町村や他の行政機関で処理するのが望ましいと思われる請願書が都の機関に提出されたときの請願者への教示や当該機関への送付はどのように行われているのか、具体的な手順をお示しください。
8 請願権の現代的意義について、東京都のご所見をお示しください。

五 都立病院の医療事故防止策について
  「安定した行政医療を提供」し、事故を未然に防ぐための対策を以下、2点、おたずねします。
1 現在の各病院の入院患者の誤嚥による事故などの件数・典型例についてお示しください。また、事故の検証・発生防止のための対策について、具体的にお示しください。
2 入院患者の巡視、歯磨き、着替え、シーツ交換等の日常看護体制について、ことにサポートが必要な高齢者や身体の自由がきかない患者にむけてのサービス担保のためのガイドライン、定期的継続的な取組・研修体制、人員配置について取り組み状況をお示しください。土日・休日を含め、十分な人員体制が組まれているかどうかについての所見をお示しください。

六 障がい者・高齢者の選挙権等の行使について
  本年5月、成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、公布後、6月30日に施行されました。これにより、本年7月1日以後に公示・告示される選挙について、成年被後見人の方は、選挙権・被選挙権を有することとなりました。また、改正法では、併せて、選挙の公正な実施を確保するため、代理投票において選挙人の投票を補助すべき者は、投票に係る事務に従事する者に限定されるとともに、病院、老人ホーム等における不在者投票について、外部立会人を立ち会わせること等の不在者投票の公正な実施確保の努力義務規定が設けられました。公職の選挙権は、日本国民固有の権利であり、有権者は選挙権を適正に行使できるよう、保障されなければいけません。以下、6点、おたずねします。
1 改正法により、選挙権を回復した有権者は、東京都民には何名いますか。その内、施設入所等により都外・国外に居住する者は何名いますか。
2 総務省は平成22年に障がい者に係る投票環境向上に関する検討会を設置し、同研究会は翌年3月に総務大臣に報告書を提出しています。検討会メンバーには、都選挙管理委員会事務局の選挙課長が参加しています。この報告書の内容は、政見放送への字幕及び手話通訳の付与、点字及び音声による選挙情報の提供、投票所のバリアフリーなど投票環境の改善が盛り込まれ、それぞれについて都道府県選挙管理委員会への要請等が示されています。この報告書記載事項への東京都としての対応状況と課題をお示しください。また、各区市町村選挙管理委員会への周知状況をお示しください。
3 改正法により、代理投票・郵便投票による投票者が増えていることが予想されますが、これらについて都が対応している事項をお示しください。また、投票所のバリアフリー化について、都が対応している事項をお示しください。
4 改正法により、選挙権を回復した有権者に対する周知・啓発について、都が対応している事項をお示しください。
5 都は都外にも多くの福祉施設を有していますが、施設内不在者投票所の設置、当該自治体の選挙管理委員会での不在者投票等、投票の機会の保障や選挙の周知・啓発について、都の取り組みの有無・内容についてお示しください。
6 障がいや高齢により選挙権の行使に支援が必要な有権者への支援の課題について、所見をお示しください。また、障がいや高齢により被選挙権の行使に支援が必要な者が立候補した場合の課題、また、都がそのような立候補者について把握している事例について、所見をお示しください。

七 知的障がい者入所施設虐待事件について
  障がい者虐待防止法が施行され、本年10月1日で1年となりました。去る9月30日には、西東京市の知的障がい者入所施設「たんぽぽ」(社会福祉法人田無の会運営)における虐待事件が新聞報道となり、東京都でも異例の厳格な処分をしました。すでに、本件について、都として対策は講じてきたとは考えますが、「今回このような事態にまで発展してしまったわけで、東京都として看過し取りこぼしてしまった原因はどこにあったと考えるか?」と問う声も福祉関係者から聞かれます。
  障がい者施設のみならず、高齢者施設、学校すべての公的サービスについて行われる可能性が常にありえます。原因を明らかにした上で今後、新たな取り組みについてもお示し頂きたく、以下、7点につき、おたずねします。
1 「たんぽぽ」の今後の運営について、平成14年にも施設運営上のトラブルが発生し、東京都社会福祉協議会より厳重注意がなされたのちにも、幾度となく東京都への通報、告発があったにもかかわらず、実質的に組織運営を改められることなく今日に至った東京都の指導責任について所見をお示しください。
2 本件に関して、職員らから公益通報があったと承知していますが、この公益通報に対する都の対応の時系列に沿った経過と、その対応が適切であったかどうかについて、所見をお示しください。
3 都は「理事長、施設長等の責任を明確にした上で、組織・管理体制の見直しを図り、上記の法令等の違反に係る施設運営及び利用者支援等について違反状態を改め、別途通知するところにより、改善措置を講じ報告を行うよう指示している」とし、「平成25年10月1日から平成26年9月30日まで(12か月間)新規利用者の受入れを停止すること。」としているが、この措置で、これまで、苦情が寄せられ、改善指導があったにも関わらず今回の処分とまでなった法人の、理事長・施設長、職員らの意識改革と倫理感および援助技術の向上等、日常の福祉の質の改善はどのように図っていくのか、また、理事長・施設長の反省の色なく改善努力をする意思がない場合はどのような対策を図るかにつきお示しください。
4 今後の、当該法人の管理監督につき、西東京市に一任することはないとは思いますが、具体的に関係機関や西東京市とどのような連携をはかり、東京都の責任はどこまであり、どのように経過観察と改善指導をしていくのかお示ししてください。
5 改めまして、東京都としての「虐待」の定義について、所見をお示しください。
6 当該施設のみならず、同種の施設についてどのように普及啓発と、全体の現状を把握する予定かお示しください。
7 再発防止に向けて、同様の施設・事業所長へ「施設・事業所における虐待防止の徹底について」の通達を報道発表同日一斉配信をしたことは評価できますが、第二、第三の「たんぽぽ」を生み出さないためには、当事者・保護者が、問題施設を介さずに直接、相談・告発・通報できる情報提供が必要であると考えます。また、社会福祉協議会が相談機関であることはほとんど周知されていません。今回の案件を受け、利用者や保護者への相談・救済機関の情報提供の拡充については検討しているか、また、第三者相談機関の施設内掲示、「苦情ポストの設置」の義務化、並びにさらなる強化等について検討できないか、提案するとともに、所見をおたずねします。

平成25年第三回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 葛西臨海公園カヌースラローム競技場建設問題について
  1 2020年オリンピック・パラリンピック競技大会における、カヌースラローム競技場の建設について、江戸川区長並びに地域住民には、いつ「了解」を得たのか、時系列に順を追って具体的に伺う。議事録などあればあわせてお示し願う。

回答
  葛西臨海公園をカヌースラローム会場とすることについては、平成18年6月に2016年大会の国内立候補都市選考のための開催概要計画書、平成19年11月には開催基本計画を公表するとともに、平成20年1月に2016年大会の申請ファイルをIOCに提出しました。
  御質問の平成20年都議会での文書質問答弁書は、2016年大会の開催概要計画書を作成する段階で、カヌースラローム会場の候補地を葛西臨海公園とすると、江戸川区に説明したことを踏まえた答弁です。

質問事項
 一の2 会場の変更について
    ア 今からの会場変更は手続上可能なのか、見解を伺う。

回答
  立候補ファイルに記載した内容の遵守が基本ですが、会場を変更する場合は、国際競技連盟(IF)と協議し、IOCの承認を得る手続が定められています。

質問事項
 一の2のイ 8キロ圏内ではないものの、本年国民体育大会にて、カヌースラローム競技が開催された青梅市にある御岳渓谷特設カヌー競技場、埼玉県長瀞地区、事実上計画撤回となった葛西臨海公園隣接地の葛西水再生センター内天然ガス発電所予定地への変更への検討の余地はあるのか、見解を伺う。

回答
  葛西臨海公園は、選手村からの近さ、IFが求める基準を満たすことや大会後に都民が水辺に親しめる施設とするのにふさわしい場所であることを考慮すると、カヌースラローム会場に適した候補地です。
  引き続き、詳細な環境影響評価を実施するとともに地元江戸川区などの意見を聴きながら、自然環境と調和した計画となるよう検討を進めていきます。

質問事項
 一の3 カヌー競技における費用対効果について
    ア オリンピック・パラリンピック開催による競技人口増に向けて、開催前、開催後、どのような数字的想定をしているのか、見解を伺う。

回答
  カヌー競技人口増に関する数字的な把握はしていませんが、都では都民のスポーツ実施率70パーセントを達成するための取組を進めています。

質問事項
 一の3のイ オリンピック・パラリンピック開催後の維持管理費、ランニングコストについて、年間いくらを想定し、その金額と競技人口との投資がふさわしいものなのか、見解を伺う。

回答
  カヌースラローム会場については、大会後、カヌー競技のほかラフティングなど広く地域の人々が水辺に親しむことができるよう施設のあり方を検討するとともに、維持管理費の検討も行っていきます。

質問事項
 一の4 今後の環境影響評価の方法論と、現在想定している環境に配慮した工法について、見解を伺う。

回答
  会場候補地の立地特性に応じた環境影響評価の調査計画を作成し、それに基づき樹木の分布や鳥類の生息などの自然環境調査を季節ごとに行います。
  今後、調査結果を踏まえて施設配置や必要な対策を検討し、詳細な環境影響評価を行います。

質問事項
 二 アスベスト対策について
  1 国土交通省による「民間建築物における吹付けアスベストに関する調査結果」によると、都では対象建築物2万9,692棟の内1万1,303棟(38パーセント)の報告がされていないが、今後これらの全容を把握するための追跡調査、計画・予定について、見解を伺う。

回答
  国土交通省による「民間建築物における吹付けアスベストに関する調査」は、区市等と連携し、継続的に実施されており、報告がなされていない建築物については、建物所有者等に報告を求めるなど、引き続き、実態の把握に努めていきます。

質問事項
 二の2 都として、「アスベスト台帳」整備完了に向けてどのような方針を持ち、いかなる取組と対策を実施していく予定なのか、見解を伺う。

回答
  国土交通省や区市等と連携して、引き続き、建築物の実態把握に努めていきます。

質問事項
 二の3 アスベスト予防対策について、元請事業者、直接雇用者が必要な責任ある知識を得て、その責任により労働者に教育し、建設従事者が自己防衛でき、アスベスト疾患にり患した場合は労災保険適用、「石綿被害救済法」の適用を受ける情報が必要だが、建設従事者が適正な情報を直接得て、悪質な処理をしている現場について通報できる対策について、見解を伺う。

回答
  アスベスト対策において、従事労働者の健康診断や健康管理手帳交付などの健康管理、労働災害の認定、これらの労働者や事業者からの相談については国が直接所管しており、都内では、東京労働局や全部で18か所ある労働基準監督署の窓口で相談に応じています。
  都は、都民や事業者に対して、アスベストに関する適切な情報を伝えるとともに、国等の問合せ窓口を案内するため、環境局のホームページからダウンロードも可能な「アスベストQ&A」を作成し、広く周知を図っています。

質問事項
 二の4 中小零細事業所においては、アスベスト飛散防止工事の適切なコストが積算されていないため、不適切に処分するリスクも否めない。こうした負のインセンティブを回避し、対象建造物において適正な工事が実施されるための対策について、見解を伺う。

回答
  本年6月に大気汚染防止法が改正され、アスベストの排出を伴う建設工事について、第一に、届出者が解体等工事の施工業者から発注者に変更になること、第二に、施工業者は発注者に対して、アスベストの有無の調査結果と工事内容を書面で説明すること、第三に、発注者は施工業者が行う調査に要する費用を適正に負担するとともに、作業基準が遵守されるよう工事費等に配慮することが規定されました。
  また、改正法では、発注者に対して、工事の状況等について報告を求めることができることとなりました。
  都は、改正法が徹底されるよう、発注者や施工業者に法改正内容を周知するとともに、区市とともに、法の確実な執行に努めていきます。

質問事項
 三 東京都教育委員会による体罰ガイドラインと部活動について
  1 体罰についてのガイドラインについて、教育現場において解釈に逡巡する場合も想定され、教員が安心して相談できる学校外の機関が必要だが、児童・生徒への指導に際して、教員が相談できる学校外の機関に関する現状と、教員の判断を客観的・総合的なものとするための今後の取組について伺う。

回答
  都教育委員会は、教員等が児童・生徒への指導に関していつでも相談できるよう東京都教育相談センターを設置しています。平成24年度は、教員等からの教育相談を269回受け付けています。
  今後とも同センターの利用について周知を図るとともに、平成25年9月12日に公表した「体罰関連行為のガイドライン」について、具体例を交えながら研修を行うなど、区市町村教育委員会や学校とも連携して、教員が児童・生徒への指導に当たり逡巡することがないよう取り組んでいきます。

質問事項
 三の2 2020年オリンピック・パラリンピック開催が決定し、部活動と民間クラブの連携により、部活動を振興することが望ましいが、公立中学校部活動への民間スポーツ機関指導者の活用について、見解を伺う。

回答
  部活動は、学校の教育活動の一環として計画・実施するものです。
  民間スポーツクラブの指導者や地域の専門的指導者を、外部指導員として部活動に導入することは、部活動を活性化するための有効な手段の一つとなります。
  このため、都教育委員会は、都内公立中学校の外部指導員導入費用の一部を補助する事業や、中学校体育連盟と連携し、外部の専門的指導者による強化練習会を実施してきました。
  今後とも、学校が積極的に部活動に外部指導員を導入するよう、区市町村教育委員会に働きかけていきます。

質問事項
 三の3 部活動の顧問の選任について、都教育委員会や区市町村教育委員会は体罰事案の再発の防止に向け、適正な選任のための指導や関与が必要であり、生徒や保護者の不安を解消するための対応が必要ではないかと考えるが、見解を伺う。

回答
  部活動指導は教員の本務であり、部活動の顧問は、校長が教職員に校務として分掌させることとなっています。
  都教育委員会は、平成25年5月、部活動において体罰が発生した場合の校長の対応について、その基本的な考え方を都立学校長及び区市町村教育委員会に通知しました。
  本通知では、顧問教諭による体罰が発生した場合、部活動の指導を禁止し、その後復帰させる場合には、校長が生徒・保護者の理解を得るとともに、加害顧問教諭の反省状況や生徒の心理状況等を総合的に判断し、指導するに当たっては複数指導体制を整えた上で部活動指導を許可することとしています。
  さらに、部活動指導開始後は、校長等管理職が加害顧問教諭から定期的に指導状況の報告を求めるとともに、経過観察を行うこととしています。
  今後とも、都立学校長及び区市町村教育委員会に対して、本通知の趣旨を徹底していきます。

質問事項
 四 東京都における請願の取り扱いについて
  1 教育委員会あての請願書の処理に関し、2010―12年度に受理した請願の件数と、そのうち委員に報告した件数や都教育委員長のコメントが、本年6月に東京新聞で報道されたが、記事の内容は事実なのか伺う。

回答
  平成25年6月25日付東京新聞朝刊で報道された、平成22年度から平成24年度の東京都教育委員会における請願の受理件数、教育委員会への報告件数及び東京都教育委員会委員長のコメントの内容は、事実です。

質問事項
 四の2 また、都教育委員長の話として「次回の教育委員会からは、請願や公益通報も含めて報告を受ける」と報じているが、報道後に教育委員会における請願書の取扱いが変更されたのか。請願書の内容は全ての委員に知らされているのか。具体的な取り扱いについて伺う。

回答
  平成25年6月27日開催の教育委員会から、「請願」、「公益通報」等の件数及び主な内容を報告しています。これは、本年4月から東京都教育委員会公益通報弁護士窓口を開設したことに伴い、従来から定期的に教育委員に配布していた「都民の声」の件数及び主な内容の資料に、「請願」、「公益通報」等を加えて報告するよう改めたものです。
  なお、請願の受理から回答までの取扱いを定めた東京都教育委員会請願処理規則、同請願取扱要綱、同事案決定規程等を変更したものではありません。

質問事項
 四の3 教育委員会では、請願書に回答をしているが、回答をするもの、回答の内容については、どのような手続で決定され、請願者に通知されているのか伺う。

回答
  都教育委員会に提出された請願は、東京都教育委員会請願処理規則、同請願取扱要綱、同事案決定規程等に基づき、教育委員会決定とされる特に重要な案件については、教育委員会に報告し、決定しています。
  一方、既に教育委員会で決定された基本方針等に基づく事項等については、同請願取扱要綱及び同事案決定規程等に基づき、主管課において、当該事案について決定権限を有する者が適正に処理をし、全ての請願に回答しています。

質問事項
 四の4 請願書の提出について、都においては、「東京都知事」のほか、名宛人あてに提出することも認められるのか。また、「誠実な処理」の意味するところについて、見解を伺う。

回答
  都では、都民からの都政に関する意見、要望等について、都知事宛に限らず、局長、事務所長等に宛てたものについても、都民の声総合窓口や各局都民の声窓口等で広く受け付けています。
  都民の声総合窓口に寄せられた意見、要望等は、速やかに関係する局等へ伝達し、各局都民の声窓口等で受け付けたものとあわせ、それぞれの所管において、回答すべきもの、事業の改善に活かしていくものなど、適切な処理を行っています。

質問事項
 四の5 知事あての請願書について、平成24年度の提出件数、具体的な処理手順、回答の有無・件数について伺う。

回答
  都民の声総合窓口に寄せられた意見、要望等のうち、知事への声等は、平成24年度に11,358件あり、知事本局及びその内容を所管する局等の都民の声窓口に伝達し、所管部署による適切な対応を依頼しています。
  そのほか、平成24年度には、知事本局都民の声窓口に4,600件の知事への意見、要望等が寄せられました。
  これらはそれぞれの所管において回答すべきもの、事業の改善に活かしていくものなど、適切な処理を行っています。

質問事項
 四の6 教育委員会以外の執行機関あての請願書、並びに都民の声について、平成24年度の提出件数、具体的な処理手順、回答の有無・件数について伺う。

回答
  東京都に寄せられた意見、要望等は、平成24年度に176,420件あり、そのうち都民の声総合窓口で37,164件、各局都民の声窓口で139,256件を受け付けています。
  都民の声総合窓口で受け付けた意見、要望等は、その内容を所管する局等の都民の声窓口に迅速に伝達し、各局都民の声窓口等で受け付けたものと併せ、それぞれの所管において回答すべきもの、事業の改善に活かしていくものなど、適切な処理を行い、主な事例は公表しています。

質問事項
 四の7 区市町村や他の行政機関で処理するのが望ましいと思われる請願書が、都の機関に提出されたときの請願者への教示や、当該機関への送付はどのように行われているのか、具体手順について伺う。

回答
  都民の声総合窓口に他の行政機関で処理することが望ましい意見、要望等の文書を持参された場合は、意見等の内容に最も適切な提出先を御案内しています。
  また、メールや手紙等で寄せられた場合においても、適切な行政機関に速やかに転送し、対応を依頼しています。

質問事項
 四の8 請願権の現代的意義について、見解を伺う。

回答
  請願法では、請願書に住所、氏名を明記し、文書で提出することを要件としていますが、都では、都民から都政に関する意見、要望等を電話、メール、ファクシミリ、手紙等により広く受け付け、迅速に処理するとともに、都民の声を都政運営に反映させ、都政に対する都民の信頼の確保に努めています。
  なお、都への意見、要望等は、匿名のものも含め受け付けています。
  今後とも、都民から寄せられた意見、要望等に適切に対応していきます。

質問事項
 五 都立病院の医療事故防止策について
  1 現在の各病院の入院患者の誤嚥による事故などの件数・典型例について伺う。また、事故の検証・発生防止のための対策について、見解を伺う。

回答
  都立病院では、インシデント・アクシデント・レポート制度により、「ヒヤリ」としたり「ハッ」とした事例など、院内で発生した様々な事例を職員が報告しています。平成24年度の報告の総件数は、2万2,809件で、些細なものも含め報告し、情報共有する制度として定着しています。主な報告内容は、「薬剤」関連、点滴等が外れてしまう「抜去」、「転倒・転落」等です。
  誤嚥についての報告は23件で、自力で食事中にのどに詰まらせる事例や異物を飲み込む事例等が発生しています。
  医療事故防止のため、各都立病院に医療安全対策室を設置するとともに専任リスクマネジャーを配置して、定期的にインシデント・アクシデント・レポートの検証・分析、予防・再発防止策の立案・実施を行っているほか、医療安全研修の実施、医療事故予防マニュアルの作成等の各種対策を実施しています。なお、誤嚥予防については、食材の再検討やリスク評価に基づく見守りの強化等の取組を行っています。
  今後も、医療安全対策の充実強化に努めていきます。

質問事項
 五の2 入院患者の巡視、歯磨き、着替え、シーツ交換等の日常看護体制について、高齢者や身体の自由がきかない患者に向けてのサービス担保のためのガイドライン、定期的継続的な取組・研修体制、人員配置についての取組状況について伺う。また、土日・休日を含め、十分な人員体制が組まれているのか、見解を伺う。

回答
  都立病院では、様々な状態にある患者に対して適切な看護ケアを提供するため、寝衣交換、口腔ケア、体位交換などの方法を具体的に示した「看護手順」を整備しています。その内容を確実に提供していくことができるように、全ての看護職員に対して、採用1年目から基礎看護技術研修をはじめとして経験年数に応じ、定期的継続的に教育を実施しています。
  人員については、患者の状態、病床数、病床利用率、その他病棟の特性などを考慮した上で、土日・休日を含め体制を確保し、患者の状態に応じた適正な対処を行っています。

質問事項
 六 障がい者・高齢者の選挙権等の行使について
  1 本年5月、成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律が成立したが、改正法により、選挙権を回復した有権者は、東京都民には何名いるのか。その内、施設入所等により都外・国外に居住する者は何名いるのか伺う。

回答
  今回の法改正により参議院議員選挙で選挙権を回復した都内有権者数は15,720人です。
  都外に居住する有権者については、選挙人名簿上、現住所所在か施設入所かが必ずしも明確ではないため、また、国外に居住する有権者については、在外選挙人名簿への登録が申請主義によるため、いずれも把握していません。

質問事項
 六の2 総務省は平成22年に障がい者に係る投票環境向上に関する検討会を設置し、翌年3月に総務大臣に報告書を提出しているが、この報告書記載事項への都としての対応状況と課題について伺う。また、各区市町村選挙管理委員会への周知状況について伺う。

回答
  ご質問にある報告書のうち、区市町村と関わりのある投票所のバリアフリー化については、区市町村選挙管理委員会に対し情報交換の場や選挙実施前の事務説明会を通じて情報提供し、積極的に働き掛けを行っています。
  都と関わりのある選挙公報の点字版については、「選挙のお知らせ」として昭和50年から、音声版については平成19年から、それぞれ対応済みであり、また、政見放送への手話の付与は平成23年都知事選挙から実施しています。

質問事項
 六の3 改正法により、代理投票・郵便投票による投票者が増えていることが予想されるが、これらについて都が対応している事項について伺う。また、投票所のバリアフリー化について、都が対応している事項について伺う。

回答
  区市町村に対しては、コミュニケーションボード(イラストや易しい文字により障害者との意思疎通が容易になる案内板)の作成・配布や、心身障害者福祉センター職員を招き、障害者に対応する場合の接遇研修を行っています。
  また、投票所のバリアフリー化として、都の実施する選挙においては、区市町村が取り組むスロープの設置、車椅子等の配備などの経費を最優先して交付しています。

質問事項
 六の4 改正法により、選挙権を回復した有権者に対する周知・啓発について、都が対応している事項について伺う。

回答
  法改正が施行される直前に都議会議員選挙が行われましたが、その期間中は混同を避けるため周知は控え、終了後直ちに参議院議員選挙に向け、総務省や区市町村選挙管理委員会と連携し、ホームページや広報紙の活用、周知ビラの配布、不在者投票指定施設への説明会等により周知を図りました。

質問事項
 六の5 都は、都外にも多くの福祉施設を有しているが、施設内不在者投票所の設置、当該自治体の選挙管理委員会での不在者投票等、投票の機会の保障や選挙の周知・啓発について、都の取組の有無・内容について伺う。

回答
  都が都外に有する福祉施設の入所者の多くは、施設所在地に住民票を移すことから、現地の選挙管理委員会が対応することになります。
  なお、住所を移していない入所者については、選挙人名簿での把握が困難なため、都や区市町村のホームページ、「社会福祉の手引」への掲載等により対応しています。

質問事項
 六の6 障がいや高齢により選挙権の行使に支援が必要な有権者への支援の課題について、所見を伺う。また、障がいや高齢により被選挙権の行使に支援が必要な者が立候補した場合の課題、また、都がそのような立候補者について把握している事例について、見解を伺う。

回答
  投票所のバリアフリー化などの環境改善が進められていますが、今後も関係機関との連携をより密にして、投票環境の向上に努めていく必要があると考えます。
  支援が必要な方が立候補した場合については、現行法に特段支援の規定がないことから、法に許容される選挙運動の中で行うことになります。
  また、立候補事例については、把握していません。

質問事項
 七 知的障がい者入所施設虐待事件について
  1 西東京市の知的障がい者入所施設「たんぽぽ」(社会福祉法人田無の会運営)における虐待事件について、実質的に組織運営を改められることなく今日に至った都の指導責任について、見解を伺う。

回答
  当該施設は、これまでも、施設と利用者家族とのトラブルや施設運営に対する利用者家族からの苦情等があり、都はその都度、適切な障害福祉サービスの提供を確保する立場から、利用者家族への対応について指導を行ってきたほか、施設運営基準等が遵守されているかを確認するため、障害者総合支援法等に基づく指導検査を毎年実施してきました。
  平成24年11月の通報は利用者虐待に関するものであったことから、都は、障害者虐待防止法に基づき、施設所在地である西東京市等の関係自治体と連携し、事実確認調査を行うとともに、施設自らの改善を促すため、外部の弁護士、学識経験者及び障害福祉関係者を委員とする第三者委員会を設置させて、再発防止策を講じるよう、強く指導を行ってきました。

質問事項
 七の2 本件に関して、職員らから公益通報があったと承知しているが、この公益通報に対する都の対応の時系列に沿った経過と、その対応が適切であったのかについて、見解を伺う。

回答
  都は、平成24年11月の通報を受け、障害者虐待防止法に基づき、西東京市等と連携して、速やかに事実確認調査を実施しました。
  調査の結果、利用者への不適切な対応が認められたため、同年12月、当該法人に対して、文書で利用者の安全確保策と再発防止策について報告を求めるとともに、自主改善を促すための第三者委員会の設置を指導しました。
  その後、平成25年5月に第三者委員会から、法人に対して運営の改善を求める報告書が出されたことを踏まえ、都は、法人に対して、改善に向けた対策を早急に文書で提出するよう、指導を行いました。
  また、同年3月からは、障害者総合支援法に基づき、施設への立入検査や職員への聞き取り調査等による監査を行い、同年9月30日に身体的虐待の存在及び理事長等の不適切な対応、人権擁護・虐待防止等のための取組が不十分であること等を理由として、行政処分を行いました。

質問事項
 七の3 都は、これまで改善指導があったにも関わらず、今回の処分とまでなった法人の、理事長・施設長、職員らの意識改革と倫理感及び援助技術の向上等、日常の福祉の質の改善をどのように図っていくのか。また、理事長・施設長の反省の色なく改善努力をする意思がない場合はどのような対策を図るのか、見解を伺う。

回答
  都は、当該法人に対して、平成25年9月30日に行政処分を行うと同時に、理事長、理事及び施設長等幹部職員の責任を明確にすること、利用者支援に専門性を有する外部講師等を活用し、職員の意識改革や支援の質の向上に資する研修を行うこと、利用者に対する人権に配慮した施設運営ができる知識と経験を有する職員を配置すること等、実効性のある改善策を早急に講じるとともに改善状況を報告するよう、文書により指導しました。
  今後、確実に改善が図られるよう、定期的に改善状況の報告を求めるほか、適宜当該施設を訪問し改善状況の確認や指導を行いながら、関係法令に基づいて必要な対応をとっていきます。

質問事項
 七の4 今後の当該法人の管理監督について、具体的に関係機関や市とどのような連携をはかり、都の責任はどこまであり、どのように経過観察と改善指導をしていくのか、見解を伺う。

回答
  社会福祉法の改正により、平成25年4月から、主たる事業所が特別区及び市の区域にある社会福祉法人であって、その行う事業が当該区市の区域を越えない社会福祉法人については、認可や行政処分等の権限を持つ所轄庁が区長・市長となりました。
  その結果、社会福祉法人田無の会の所轄庁は、都知事から西東京市長になりましたが、都知事は、引き続き同法に基づく一般的監督権を有しています。
  現在、都は西東京市と本件に関する連絡調整会議を設け、都がこれまで実施してきた指導検査結果等の情報共有を図りながら、今後の指導等の進め方について随時情報交換を行っています。
  今後とも西東京市と連携し、同法人に対する指導検査を合同で実施するなど、適切に対応していきます。

質問事項
 七の5 都としての「虐待」の定義について、見解を伺う。

回答
  障害者虐待の定義は、障害者虐待防止法第2条に規定されており、
「身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」(身体的虐待)
「障害者にわいせつな行為をすること、又は障害者をしてわいせつな行為をさせること」(性的虐待)
「障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応、又は不当な差別的言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」(心理的虐待)
「障害者を衰弱させるような著しい減食、又は長時間の放置等、養護を著しく怠ること等」(ネグレクト)
「障害者の財産を不当に処分すること、その他障害者から不当に財産上の利益を得ること」(経済的虐待)
の5種類の行為が、障害者虐待に該当します。

質問事項
 七の6 当該施設のみならず、同種の施設についてどのように普及啓発と、全体の現状を把握する予定なのか、見解を伺う。

回答
  都は、平成23年度から、区市町村の相談窓口従事者、施設の管理者や従事者を対象に、「障害者虐待防止・権利擁護研修」を実施しています。また、障害福祉サービスの従事者等に対し、各種の研修会も活用し、障害者虐待防止法に関する情報を提供し、周知を図ってきました。
  さらに、虐待防止に関する知識や都内の通報窓口などを分かりやすくまとめたリーフレットを障害者施設に配布するとともに、施設への指導検査の際には、虐待防止の取組を把握し、必要な指導を行っています。
  障害福祉サービスの実施主体である区市町村は、法に基づき、障害者虐待の通報の受理や虐待防止に関する普及啓発を行う障害者虐待防止センターを設置しており、今後とも、都は、東京都障害者権利擁護センターを中心に、区市町村と連携しながら、障害者虐待の防止に取り組んでいきます。

質問事項
 七の7 今回の案件を受け、利用者や保護者への相談・救済機関の情報提供の拡充については検討しているのか。また、第三者相談機関の施設内掲示、「苦情ポストの設置」の義務化、並びにさらなる強化等について検討できないのか提案するとともに、見解を伺う。

回答
  都は、平成12年度から、福祉サービスの利用者支援の仕組みとして、利用者に身近な区市町村が関係機関と連携しながら相談や苦情に対応する、都独自の苦情対応の仕組みづくりを進めてきました。
  また、障害者虐待については、障害者虐待防止法に基づき障害者虐待防止センターの設置が区市町村に義務付けられており、都は、利用者や保護者が通報・相談できる窓口を一覧にしたリーフレットを区市町村、民生・児童委員、保護者の連絡協議会等へ配布するとともに、ホームページに掲載し、広く都民の方に情報提供を行っています。
  障害者支援施設においても、障害者総合支援法で、施設が自ら苦情を受け付けるための窓口を設置することが義務付けられており、都は、これに加え、施設が苦情解決のための第三者委員を設置すること、区市町村の窓口や福祉サービス運営適正化委員会等の連絡先を施設内に掲示することを指導し、施設開設時の現地確認や指導検査の中で、確認しています。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 江戸川区内のスーパー堤防建設問題について

一 江戸川区内のスーパー堤防建設問題について
  東京都は今年6月、「平成26年度 国の施策及び予算に対する東京都の要求提案」を、国に提出しました。都が国土交通省に要求した項目に、「高規格堤防(スーパー堤防)事業を着実に推進」と、「土地区画整理事業の推進に必要な財源の確保」があります。この2つの項目に関連して、以下、質問します。
1 平成25年度の国の予算に対しても、東京都は、高規格堤防事業(以下、スーパー堤防事業と記述)の推進に予算措置を行うよう要望を出しています。スーパー堤防事業は、2012年の会計検査院による調査で、全長872キロメートルの事業目標に対して、わずか1.1%しか完成していない事実が明らかになりました。これまでの進捗で計算すると、総延長完成まで、2200年もの時間がかかってしまうことになります。
  堤防は、川に沿って連続的に強化されていなければ、治水の役に立ちません。スーパー堤防は、越水や津波、高潮には効果がない構造であるというのは、これまで、様々な角度から指摘されてきたところです。東京都は、「国への提案要求」に、「水害から都民の命と暮らしを守るために堤防の安全性向上は不可欠」と記しています。しかし、進捗状況からの計算で、2200年もの時間を要し、治水効果がないと指摘されているスーパー堤防事業で、都民の生命と財産を守ることができると、お考えなのでしょうか。お答えください。
2 今年8月5日付の朝日新聞は、次のように報じています。「『無駄な公共事業』として白紙になった国のスーパー堤防事業が、今年度から本格的に再開する。東日本大震災を受け、首都圏と近畿圏の人口密集地に絞って整備を進める方針に切り替えて、復活した。大洪水でも溢れない堤防を造るとしているが、その効果には依然として疑問の声が絶えない」とし、事業が実施になった各地域の関係住民の声を紹介しています。また、8月25日の東京新聞も、「ゾンビ事業動き出す」「住民に怒り、困惑」と見開きの記事を掲載しました。
  スーパー堤防関係住民や、市民団体、専門の研究者などの意見を紹介した、これらの報道を東京都は、どのように受け止めているのでしょうか。お聞きします。
3 平成25年度、平成26年度と、都は連続して、国への「提案要求」で、江戸川区内のスーパー堤防事業と、北小岩一丁目東部地区(18班地区)区画整理事業の促進を要求しています。
  今年度、国土交通省は、江戸川区北小岩一丁目18班地区のスーパー堤防事業に、12億円の予算をつけました。スーパー堤防事業は、河川法により、事業費の3分の1を国直轄事業負担金として、東京都が支出しなければなりません。今後、事業が進むとすれば、費用は増大します。
  さらに、北小岩一丁目東部地区の区画整理事業にも都の補助金が投入されます。この地区の区画整理事業費の見込みは約44億円、そのうち都補助金は約5億円となっています。スーパー堤防事業は国が施行、区画整理事業は江戸川区が施行者ですが、東京都にも大きな財政負担がかかってきます。
  防災、治水を看板にした巨大開発とも言える事業に、東京都が大きな財政支出をすることについて、都民の合意が得られるとお考えでしょうか。お答えください。
4 江戸川区内の北小岩一丁目18班地区、また、篠崎地区では、スーパー堤防事業と区画整理事業に地域住民の強い反対運動が続いています。
  特に、北小岩一丁目18班地区では、施行面積の9%を占める地権者11人が、事業の不当性を訴えて、2011年11月11日に東京地方裁判所に提訴し、裁判がたたかわれています。地域住民が合意していない事業に対して、東京都はどのような住民意向調査を行いましたか。国に対して、提案要求を行った背景、理由と合わせて、お答えください。
5 北小岩一丁目18班地区の区画整理事業施行区域は、北は国道14号線、南はJR総武線、西は旧千葉街道、東は江戸川土手という地形で、1.4ヘクタールの狭い面積です。区画整理事業は事業決定がされましたが、そのなかには、東側の江戸川土手と道路部分は入っていません。
  今年5月30日、江戸川区と国土交通省は、「北小岩一丁目東部地区区画整理事業」と「北小岩一丁目地区高規格堤防整備事業」を共同で行うとして、「基本協定」を締結しました。この協定によって、2つの事業が共同で行われることになります。また、区画整理事業地区に入っていなかった、東側江戸川土手法面を含めた道路部分まで、事業の施行面積が広がります。これらの問題は、事業計画の変更手続きが必要なほどの、大幅な計画変更ではないか、という意見が出ています。
  今年7月、江戸川区は地域住民に対して、「今年12月16日から仮換地指定の効力が発生する」との文書を発送し、重ねて、「建築物等除却通知紹介」なる公文書が送付され、住民追い出しとも言える強引な手法が取られています。事業計画の変更が必要との意見が出ていることについて、都はどのようにお考えですか。また、裁判係争中のなかで、強引に事業に従うことを求めるような手法について、いかがお考えですか。事業に対して、東京都は財政負担を負うわけですから、住民合意に基づく事業のあり方を目指して、国や区に働きかけていただく努力を求めるものですが、どうでしょうか。それぞれお答えください。
6 スーパー堤防と合わせた街づくりが進んだ場合、施行地域全体が河川法による「堤防」の位置づけになり、単なる宅地ではなくなります。堤防内は、土地所有者に、建築物の制限などが課せられます。例えば、住宅を建設する場合、建築基準法の定めと合わせて、河川法の定めも守らなくてはならなくなります。地下に入れる杭の深さなどに規制があり、個人の財産権を狭める事態が発生します。治水効果が疑問視されているだけでなく、個人の財産権にまで影響が及ぶことを、どう考えますか。治水の効果が期待できないスーパー堤防事業は、撤回が妥当と考えます。これらの点についてご答弁下さい。
7 災害に強い東京の街づくりは、都民みんなの要望です。「自然災害は避けられないが、被害を最小限に留める対策を講じる」という、防災、減災の考えに立ち、施策を講じる必要があります。
ア 東京東部低地帯の河川堤防耐震化について、わが党が継続的に要求し、都が昨年12月に「東部低地帯の河川施設整備計画」を定め、大地震の際の河川堤防の耐震度をレベル1からレベル2に引き上げたことは、貴重な前進です。さらに、引き続き、東京都が災害への備えに力を尽くしていただくことを求めます。
イ 江戸川区を含めた東部低地帯は、河川護岸からの溢水対策も重要ですが、より強めなくてはならないのが、下水道などからの内水氾濫だと言われています。内水氾濫対策として、必要な地域への下水道貯留管の敷設、雨水枡を増やすこと、透水性舗装の普及、墨田区などが実施して来た住宅への雨水貯留タンクの補助など、様々な対策を講じるよう、都の努力を求めるものです。それぞれお答えください。
 これらは、気が遠くなるほどの歳月がかかり、巨額の財政投入をしても治水効果がないスーパー堤防事業より優先すべき課題ではないでしょうか。
以上の質問について答弁を求めるものです。

平成25年第三回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 江戸川区内のスーパー堤防建設問題について
  1 平成25年度の国の予算に対し、都は、高規格堤防事業の推進に予算措置を行うよう要望を出しているが、進捗状況からの計算で、2200年もの時間を要し、治水効果がないと指摘されているスーパー堤防事業で、都民の生命と財産を守ることができるのか、見解を伺う。

回答
  国は、平成23年12月、学識者からなる「高規格堤防の見直しに関する検討会」において、人口が集中し、堤防の損壊等により甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間の約120キロメートルでスーパー堤防整備事業を進めていくこととし、都内では、江東デルタなどゼロメートル地帯を含む東部低地帯の荒川、江戸川や多摩川を整備区間としました。
  スーパー堤防は、想定を超える規模の洪水からも都民の命と暮らしを守り、首都東京の機能を維持するために必要です。

質問事項
 一の2 スーパー堤防関係住民や、市民団体、専門の研究者などの意見を紹介した報道について、都は、どのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
  スーパー堤防事業に対する報道について賛否両論あることは承知しています。
  約300万人の都民が暮らしている東部低地帯においては、水害から都民の命と暮らしを守るため、スーパー堤防の整備は不可欠です。

質問事項
 一の3 平成25・26年度と、都は連続して、国への「提案要求」で、江戸川区内のスーパー堤防事業と、北小岩一丁目東部地区(18班地区)区画整理事業の促進を要求しているが、防災、治水を看板にした巨大開発とも言える事業に、都が大きな財政支出をすることについて、都民の合意が得られると考えているのか、見解を伺う。

回答
  国のスーパー堤防整備事業は、想定を超える規模の洪水からも都民の命と暮らしを守り、首都東京の機能を維持する上で重要であり、都は、国に対して整備促進を求めています。
  また、北小岩一丁目東部地区においては、木造や旧耐震基準による建物が多く、道路幅員が狭小であるなどの課題を抱えており、住環境の改善や防災性の向上を図るため、都は、江戸川区による土地区画整理事業が促進できるよう、国に対して求めています。
  これらの事業に対して、都は必要な財政支出をするものです。

質問事項
 一の4 江戸川区内の北小岩一丁目18班地区、また、篠崎地区では、スーパー堤防事業と区画整理事業に地域住民の強い反対運動が続いているが、地域住民が合意していない事業に対して、都は、どのような住民意向調査を行ったのか。国に対して、提案要求を行った背景、理由と合わせて、見解を伺う。

回答
  江戸川区は、説明会や懇談会などにより、住民への十分な情報提供を行いながら、土地区画整理事業の事業計画を決定しました。この中で、都は、事業計画の縦覧に伴う意見書審査の手続を適切に行っており、その際、住民の賛成の意向について把握しています。
  土地区画整理事業は、道路や公園などの公共施設と宅地を一体的に整備し、交通の円滑化、防災性の向上、地域の活性化などの達成に大きく貢献する重要な事業です。また、スーパー堤防の整備は、江戸川の治水安全度を高める上で重要です。
  そのために、都は必要な財源を安定的・継続的に確保するよう国に提案要求しています。

質問事項
 一の5 江戸川区と国土交通省が、「基本協定」を締結したことにより、2つの事業が共同で行われることになり、また、区画整理事業地区に入っていなかった部分まで、事業の施行面積が広がるが、事業計画の変更が必要との意見が出ていることについて、都はどのような考えなのか。また、裁判係争中のなかで、強引に事業に従うことを求めるような手法について、どのような考えなのか。都は、住民合意に基づく事業のあり方を目指して、国や区に働きかける努力をすべきだが、それぞれについて見解を伺う。

回答
  都は、土地区画整理法に基づき、事業計画のうち、『設計の概要』について、道路や公園などの技術的な基準に加え、環境や防災性などの観点から審査し、認可を行っています。
  また、江戸川区の単独事業からスーパー堤防との共同事業へ移行しても土地区画整理事業の施行区域は変わらないため、事業計画変更の必要はありません。
  これまで区が説明会、懇談会などにより、住民への十分な情報提供を行ってきており、適切に事業を進めていると都は考えています。

質問事項
 一の6 スーパー堤防と合わせた街づくりが進んだ場合、施行地域全体が河川法による「堤防」の位置づけになり、土地所有者に、建築物の制限などが課せられる。治水効果が疑問視されているだけでなく、個人の財産権にまで影響が及ぶことについて、どのように考えるのか。治水の効果が期待できないスーパー堤防事業は撤回が妥当だが、これらの点について見解を伺う。

回答
  国のスーパー堤防整備は、地震や豪雨による水害から都民を守るために必要な事業です。
  堤防の安全性を確保するため河川法による一定の規制はありますが、通常の区域に比べて緩和されています。

質問事項
 一の7 災害に強い東京の街づくりについて
    ア 東京東部低地帯の河川堤防耐震化について、都が昨年12月に「東部低地帯の河川施設整備計画」を定め、大地震の際の河川堤防の耐震度をレベル1からレベル2に引き上げたことは貴重な前進だが、さらに、引き続き、都が災害への備えに力を尽くしていくべきだが、見解を伺う。

回答
  都では、これまでも都民の安全・安心を確保するため、堤防などの耐震対策を継続的に進めてきましたが、東日本大震災を踏まえ、昨年12月に最大級の地震が発生した場合でも津波等による浸水を防止するため、新たな整備計画を策定し、水門、排水機場や堤防などについて2022年までに耐震対策を完了させることとしました。
  引き続き、事業の推進を図っていきます。

質問事項
 一の7のイ 江戸川区を含めた東部低地帯は、河川護岸からの溢水対策も重要だが、より強めなくてはならないのが、下水道などからの内水氾濫だと言われている。内水氾濫対策として、必要な地域への下水道貯留管の敷設、雨水桝を増やすこと、透水性舗装の普及、住宅への雨水貯留タンクの補助など、様々な対策を講じるよう都は努力すべきだが、見解を伺う。

回答
  東京都は、平成19年度に定めた東京都豪雨対策基本方針に基づき、対策を進めています。
  江戸川区を含めた東部低地帯においても、これまでに、下水道幹線やポンプ所、雨水貯留施設などを整備してきています。
  今後も、必要に応じて対策を進めていきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 シルバーパスの拡充について

一 シルバーパスの拡充について
  今年も9月のシルバーパス更新の時期が過ぎました。
  私の住む文京区では、公衆浴場の廃業が続き、バスに乗らなければ風呂屋にも行けない、近くに買い物できる店もないなど、高齢者のくらしが困難になっています。
  「バスに乗らないと風呂にも行けない。1回行くとバス代と風呂代で千円近くになる。かといって2万円以上もするシルバーパスは買えない。何とか安くならないか」「月13万円の年金だが、わずかに住民税を払っているのでパスが20,510円になり、とても買えない。何とかして」「2万円以上もするパスは買えないよ。介護保険料や国民健康保険料が引かれ、その上年金も減らされたら、出かけることもできなくなる。高齢者の引きこもりが増えるよ」等々、その訴えは切実です。
  高齢者クラブの会長さんや町会長さんたちからも、切実な声が上がっています。
  2012年の国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯の6割が年収300万円未満であり、40.3%が年収200万円未満、うち15%は100万円未満です。10年の同調査によれば、貯蓄も200万円未満が3割、貯蓄なしが1割以上を占めています。
  もともと暮らしが厳しい大変な状況にある上、今年10月から公的年金の支給が1%引き下げられ、15年までに2.5%、基礎年金で年間平均1万6千円も削られようとしています。その上、消費税増税や社会保険料等の値上げも計画されています。このままでは、多くの高齢者が出かけることも毎日の生活もままならない状況に追い込まれかねません。
  高齢者にとって電車やバスなどの交通機関は重要な役割を果たしています。2007年度の文京区介護予防給付対象者実態調査によれば、「バスや電車を使って一人で外出できる」と答えた人が60.8%います。また、2010年度の台東区高齢者実態調査では、回答した一般高齢者の85.5%が「バスや電車を使って一人で外出している」と答えています。
  バスや電車が多くの高齢者の交通手段になっていることからも、高齢者が気軽に外出できるようにし、介護予防をすすめるためにシルバーパスが役立つものであると考えられるのではないでしょうか。
1 シルバーパスは石原前都政下の2000年度に全面有料化され、住民税非課税者は1,000円、住民税課税者は20,510円となりました。
  その結果、99年度には70歳以上の高齢者の71.8%がシルバーパスを利用していたものが年々減少して、2012年度には47.7%にまで低下しています。なかでも20,510円のパスの利用者は、2007年度から12年度の5年間に113,461人から101,412人に10.6%も減っています。1,000円パスの利用者は同じ5年間に、682,895人から812,830人に19.0%増えているのです。このことから、20,510円のパスの負担が重いことは明らかではないでしょうか。
  70歳以上の高齢者人口が増え、1,000円パスの利用者は増えているのに20,510円パスの利用者が減っている原因を、都はどう考えているのですか。
2 高齢者の年金支給額の引き下げが始まった下で、すべての高齢者が所得に応じてシルバーパスを購入し、気がねなくバスや電車で出かけられるようにし、社会参加をすすめ、元気に老後を過ごせるようにするべきです。そのために今こそ住民税課税者は一律20,510円という現行制度を見直して、3,000円、5,000円のパスを作るべきと考えますが、いかがですか。
3 東京メトロは都民の足として都営交通とともに重要な役割を果たしています。「シルバーパスをメトロでも使えるようにしてほしい」との切実な声が大きく寄せられています。この声をどう受け止めていますか。
4 都は、国土交通省と東京メトロとの3者で協議会を立ち上げ、都営地下鉄と東京メトロとの一体的サービス改善の協議を始めました。都民の立場から一体的サービスを進めるのなら、シルバーパスを東京メトロでも使えるようにする検討・協議がぜひとも必要ではありませんか。
5 多摩地域の人たちから要望が強く出されている多摩都市モノレールや臨海部のゆりかもめも使えるようにして、高齢者の方々が家族等に気がねなく外出でき、元気で長生きできるようにすべきではないでしょうか。ぜひ実現させてください。

平成25年第三回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 シルバーパスの拡充について
  1 70歳以上の高齢者人口が増え、1,000円パスの利用者は増えているのに20,510円パスの利用者が減っている原因を、都はどのように考えているのか、見解を伺う。

回答
  シルバーパスは、所得に応じて、区市町村民税非課税の方は1,000円、課税の方は20,510円の利用者負担をいただいており、平成18年度から、課税であっても合計所得金額が125万円以下の方には、税制改正に伴う経過措置として、1,000円でパスを発行しています。
  20,510円のパスの発行枚数は、ここ5年間10万枚程度で推移していますが、シルバーパスは、あくまでも本人の希望により発行しているものです。

質問事項
 一の2 今こそ住民税課税者は一律20,510円という現行制度を見直して、3,000円、5,000円のパスを作るべきだが、見解を伺う。

回答
  シルバーパス制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成12年に、都民の理解を得て見直しを行い、所得に応じて、区市町村民税非課税の方は1,000円、課税の方は20,510円の利用者負担をいただく仕組みとしました。
  御提案の内容が、区市町村民税課税の方の一部について、20,510円の利用者負担を引き下げるという趣旨であれば、そうした措置を実施する考えはありません。

質問事項
 一の3 「シルバーパスをメトロでも使えるようにしてほしい」との切実な声が大きく寄せられているが、この声をどのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
  シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により、都営交通及び路線バスとなっており、新たに対象を拡大する考えはありません。

質問事項
 一の4 都は、国土交通省と東京メトロとの3者で協議会を立ち上げ、都営地下鉄と東京メトロとの一体的サービス改善の協議を始めた。都民の立場から一体的サービスを進めるのなら、シルバーパスを東京メトロでも使えるようにする検討・協議がぜひとも必要だが、見解を伺う。

回答
  都は、地下鉄一元化を展望しつつ、都営地下鉄と東京メトロの乗り継ぎ改善など、サービスの改善・一体化を推進するため、「東京の地下鉄の運営改革会議」を設置しました。
  シルバーパスの利用対象交通機関を新たに拡大する考えもないことから、同会議において、シルバーパスを東京メトロでも使えるようにする検討・協議を行う予定はありません。

質問事項
 一の5 多摩都市モノレールや臨海部のゆりかもめでも使えるようにすべきだが、見解を伺う。

回答
  シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により、都営交通及び路線バスとなっており、新たに対象を拡大する考えはありません。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 都営住宅の駐車場の運用方法について
二 公立小中学校に業務を適切に遂行できる教職員等の配置数について

一 都営住宅の駐車場の運用方法について
1 都営住宅の駐車場の使用に関するルールは何によるものか、また、具体的な運用方法などはどこで決めているのか伺う。
2 私の地元の大規模な都営住宅では、利用契約のない駐車場にカラーコーンが置かれているが、その数が相当数に上り、たまたま見た都民から「無駄ではないか」「もっと上手に運用をしてはどうか」など厳しい御指摘をいただく。現在利用のない駐車場は全体でどのくらいあるのか伺う。
3 敷地が都有地であるので、それをどのように使うかは都や都民の考え方によると思うが、都営住宅という性格上、福祉的な外部の官民合わせた支援者が来訪するのは一般住宅に比して極端に多いのではないか。介護事業者の車両等が不測の事態で長時間駐車するような場合や、住民の傷病による親族の駆け付けなど、緊急事態に対応するような車両の駐車については、どのように対応しているのか伺う。
4 管理業務を行う指定管理者の関係車両の駐車位置などは決まっているのか伺う。

二 公立小中学校に業務を適切に遂行できる教職員等の配置数について
1 公立小中学校において副校長を始め、教職員の多忙は、近年、看過できないとして、都も対応を工夫しているところである。特に東日本大震災以降急激に日常の準備が必要と再認識された災害対応も加わって、多忙化が加速する要素が増えている。病院やホテル、保育園や幼稚園、娯楽施設においての災害対応の例を考えても一定の人数が長時間過ごす施設では、やはり通常も緊急時もその規模に対応できる運営側の人員が必要である。特に子供が1日の大半の時間を過ごす学校のような施設では、運営側の教職員が一定以上いなくては十分な対応が他の施設同様にできないのではないだろうか。職員数は定数に対して常にいっぱいいっぱいで、病休の場合に定数に満たないことがあるようだが、余裕がない状態が恒常化しているのではないかと思うが、所見を伺う。
2 区市町村による独自予算による教員または事務員の配置はどのような状況か伺う。
3 特別支援学級ができると、事務や指導の面で業務がかなり増えるとの話も聞く。支援学級に対応する教職員の配置は十分と考えるのか、業務の増加についてどのように考えるのか伺う。

平成25年第三回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都営住宅の駐車場の運用方法について
  1 都営住宅の駐車場の使用に関するルールは何によるものなのか。また、具体的な運用方法などはどこで決めているのか伺う。

回答
  都営住宅の駐車場の使用に関するルールや運用方法など、駐車場の管理については、東京都営住宅条例、同施行規則などで規定されています。

質問事項
 一の2 現在利用のない駐車場は全体でどのくらいあるのか伺う。

回答
  平成25年3月末現在、都営住宅の駐車場は、47,185区画あり、そのうち未契約のものは11,298区画あります。

質問事項
 一の3 介護事業者の車両等が不測の事態で長時間駐車するような場合や、住民の傷病による親族の駆け付けなど、緊急事態に対応するような車両の駐車については、どのように対応しているのか、見解を伺う。

回答
  真に必要と認められる緊急事態においては、他の車両等の通行を妨げるなどの支障を及ぼさない範囲で、駐車されているものと考えています。

質問事項
 一の4 管理業務を行う指定管理者の関係車両の駐車位置などは決まっているのか伺う。

回答
  都営住宅の指定管理者である東京都住宅供給公社の業務車両などは、フロントガラスなどに駐車票を添付の上、安全の確保が可能な空きスペースや緊急車両等の通行に支障がない団地内通路等に駐車するよう指導しています。

質問事項
 二 公立小中学校に業務を適切に遂行できる教職員等の配置数について
  1 教職員の定数について、余裕がない状態が恒常化しているのではないかと思うが、見解を伺う。

回答
  都の教職員数は、国のいわゆる「標準法」に基づいて定めており、教諭は児童・生徒数に応じた学級数で算定し、養護教諭や栄養士などの教諭以外の教職員については学校単位で算定しています。
  また、都独自の措置として、小中学校の特別支援学級への加配、島しょ加配、小1問題・中1ギャップを予防、解決するための加配などを実施しています。
  そのほか、主幹教諭の授業持ち時数の軽減や、非常勤教員の配置、臨時職員の配置などを行っています。

質問事項
 二の2 区市町村による独自予算による教員または事務員の配置は、どのような状況なのか伺う。

回答
  平成24年5月1日現在の学校基本調査によると、東京都における区市町村費負担の教員は、小学校119人、中学校7人、事務職員は、小学校133人、中学校157人です。

質問事項
 二の3 特別支援学級ができると、事務や指導の面で業務がかなり増えるとの話も聞くが、支援学級に対応する教職員の配置は十分と考えるのか。業務の増加についてどのように考えるのか、見解を伺う。

回答
  都の教職員数は、国のいわゆる「標準法」に基づいて定めております。特別支援学級については、国の基準のほか、都の教育水準の維持向上のため、都独自の加配として1人を加えた教員を配置しています。
  さらに、特別支援学級を設置する学校には、学級の規模など学校の実態を踏まえ、非常勤講師を配置しています。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 畔上三和子

質問事項
一 少人数学級について
二 特別教室の冷房化について
三 湾岸、河川の船舶の係留保管適正化について

一 少人数学級について
  来年度の予算編成に向けての要望として、小学校校長会からも副校長会からも切実な要望としてあがっているのが小学3年生の35人学級、並びに学年進行による全学年での少人数学級の実施です。勉強が難しくなり、つまずきを丁寧に指導する時期に、一クラスの人数が一気にふえることへの不安と不満は、教職員だけでなく保護者からも多く寄せられています。
1 今年度の小学3年生で、2年生の時よりクラス数が減った学校は何校何学級ですか。
2 また今年度、加配により35人学級になっている小学2年生は、何校何学級ですか。
私たち都議団は、2年生の時には20人2クラスだったのが、3年生になって39人1クラスになった文京区内の小学校を視察しました。文京区は区単独での講師などの配置がかなりあって、小規模校でも本来配置されない家庭科などの専科の教員や事務職員が配置されており、さらには相当な学校現場の工夫によって、丁寧な授業に努力されていましたが、20人と39人では、やはり大違いです。「近年、1人ひとりを大切にした授業が求められていますが、個に応じたきめ細かい対応をするには、子どもたちの人数が多すぎます」と現場でご苦労されている校長先生はおっしゃっていました。
3 こうした現場からの声をどう受け止めていますか。
4 来年度少なくとも小学3学年の35人学級を実施すべきと考えますが、伺います。
5 文部科学省は2014年度予算の概算要求で、36人以上学級の解消などのため、2100人の教員を増やす要求を出しています。来年度の着実な実施に向け、都として国に要望すべきではありませんか。
6 国が予算をつけた場合、現在都独自で行っている中学1年生の35人学級にあてるのではなく、35人学級の拡大に活用すべきと考えますが、いかがですか。

二 特別教室の冷房化について
  この夏も猛暑日が続き、学校現場でも児童生徒の熱中症による体調不良がおきています。昨年度の都立高等学校のPTA調査でも12件の熱中症による体調不良が発生しています。
  都立高等学校の場合、原則として普通教室には冷房設備を設置していますが、特別教室については限定的です。
  都教委は、都立学校の特別教室のうち冷房化する教室は、防音性が求められたり、熱を発するICT機器が設置されている部屋としています。具体的には図書室、音楽室、視聴覚室、パソコン室、LL室などであり、これまで計画的に冷房化を行い整備は完了しているとの認識を示しています。ところが、東京都公立高等学校PTA連合会が都立高校にアンケートを実施したところ、そのアンケートでは「夏の空調状況は授業などに支障の出ない満足な状態だったか」という問いに84%が「満足とは言えない」と答えています。
  その最大の理由は、理科実験室、調理室、美術室などの特別教室には冷房設備がないことです。なかには普通教室の冷房設備が古くてきかないという声もありました。
1 都立学校での各教室の空調設備の総点検及び室温測定を行うべきと考えます。
科学クラブなど特別教室を使うクラブは夏場とても活動できない、暑くて授業に集中できないなどといった問題も起きていて、全教室の空調設備の設置は切実な要望となっています。
また特別支援学校においても、例えば八王子盲学校では機能訓練室、解剖教室など冷房が入っておらず国家試験にむけての学習は灼熱状態の中で行わざるを得ない事態です。
2 こうした実態、要望を踏まえ、都立高校、都立特別支援学校のすべての特別教室の冷房化、老朽化している空調の改善を求めますが、どうですか。
体育館については、肢体不自由特別支援学校では冷房化を行っていますが、知的や視覚障害、聴覚障害の学校はしていません。これらの障害種の学校でも重複障害などにより体温調節が難しい児童生徒が増えており、冷房化してほしいという要望があがっています。
3 肢体不自由でない特別支援学校も体育館の冷房化を求めます。
4 都教委は、個別の事情によって設置の判断をしているということですが、学校から要望があがっている場合は、応えるべきです。特に風通しが悪い、近隣との関係で窓が開けられないなど建物の条件等により暑くなりやすい体育館は優先的に対応すべきです。
5 さらに八王子盲学校の寄宿舎のエアコンは老朽化に伴う故障が頻発しているとのことです。一定程度老朽化した空調設備は更新をしているとのことですが、早急な対応を求めます。
区市町村立の小中学校の普通教室、および特別教室の冷房化も待ったなしの課題です。
特別教室についての冷房については都の補助制度もなく、設置されていないのがまだまだ多いのが現状です。私たちが視察させていただいたある小学校の校長先生は「少人数授業をするのに特別教室などを利用しますが、同じ算数の授業でも一部の子どもたちは空調設備のない中での授業にならざるを得ず、本当に悩ましい限り」とお話されていました。また別の小学校では、8月下旬には授業が始まりますが、熱中症対策をしなければ授業にならない等、大変です。
都が、今年度、区市町村の実情に合わせ普通教室の空調設備についての補助制度を延長したことは重要です。
6 区市町村立小・中学校の普通教室の冷房化率の今年度末の見込みを伺います。
7 児童生徒の熱中症対策として、また学習に集中できる条件を確保するために、早急に理科室、家庭科室などの特別教室の空調設備整備補助を求めます。

三 湾岸、河川の船舶の係留保管適正化について
都は、船舶の係留保管の秩序を確立し、都内の公共水域における都市景観の回復および創出を図るとともに、都民の暮らしの安全性の保持などの確保のための「東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例」を定めています。そしてこの条例に基づいて放置船舶の受け皿を確保し規制を強化したということですが、放置船舶は減少しているのでしょうか。平成23年3月の東日本大震災の教訓からも放置船舶の対処は安全確保上も喫緊の課題となっていると考えます。
たとえば江東区の小名木川水域では、確かに「警告」の貼紙がされている船舶があり、指導していることは理解しますが、すでに水域に沈没した船や、明らかに長期間不使用である船舶が放置されたまま等、放置船舶はむしろ増えていて、景観上も安全上も地域住民からは苦情が上がっています。
1 2013年5月現在の都内の各水域別、湾岸域別の放置船舶数は何隻あるのか伺います。また放置理由については、どのようなことが要因になっているか把握していますか。
2 既存の放置船舶を減らすために都としてどのようなことを行っていますか。
国土交通省は、今年5月に「プレジャーボートの適正管理及び利用環境改善のための総合的対策に関する推進計画」を策定し、今年度から10ヵ年で放置船舶ゼロとするとともに、新たな放置船発生の未然防止を図ることを目標とし、国および地域レベルでの一体となった取り組みを進めるとしています。
3 これに対応した都としての検討体制は、つくるのですか。つくるとしたらいつ、どのようなメンバーで「放置船舶ゼロ、未然防止の計画」を作るのですか。
また都は、2010年5月に船舶係留保管の適正化計画の見直しをおこない、係留保管施設数の不足のため係留保管施設を2015年度までに整備し適正化を進めるとしています。営業用船舶の係留施設不足は、廃業に追い込まれるという深刻な事態も生んでいます。
4 営業用船舶および工事用作業船の係留施設の必要数をどのように確認し、整備をどのように計画、確保していくのか、伺います。

平成25年第三回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 少人数学級について
  1 今年度の小学3年生で、2年生の時よりクラス数が減った学校は何校何学級あるのか伺う。

回答
  平成25年度の第一学期が開始された4月7日時点で、都内区市町村立小学校のうち、第2学年時の学級数より第3学年時の学級数が減った学校は254校で、減った学級数は255です。

質問事項
 一の2 また今年度、加配により35人学級になっている小学2年生は、何校何学級あるのか伺う。

回答
  都内区市町村立小学校第2学年で、平成25年度に、都の教員加配により区市町村教育委員会が学級規模を縮小したのは、266校、266学級です。

質問事項
 一の3 近年、1人ひとりを大切にした授業が求められているが、個に応じたきめ細かい対応をするには、子どもたちの人数が多すぎるとの現場からの声を、どのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
  都教育委員会としては、生活集団としての教育効果を考え、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力を育むため、学級には一定規模が必要であると考えています。

質問事項
 一の4 来年度、少なくとも小学3学年の35人学級を実施すべきだが、見解を伺う。

回答
  都教育委員会は、入学直後の時期が、その後の充実した学校生活を送るための基礎を固める重要な時期であることから、平成22年度に小1問題、中1ギャップを予防、解決するための加配を導入し、順次拡大を図り、平成25年度に完成させました。
まずは、この加配を活用して、小1問題、中1ギャップの解消に全力を挙げていくことが必要だと考えています。
  義務教育の場合は、教育の機会均等や教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいので、今後については、国の動向を注視するとともに、様々な教員加配を活用して教育課題の解決に努めていきます。

質問事項
 一の5 文部科学省は2014年度予算の概算要求で、36人以上学級の解消などのため、2,100人の教員を増やす要求を出しているが、来年度の着実な実施に向け、都として国に要望すべきではないのか、見解を伺う。

回答
  都教育委員会は、国に対して、具体的かつ実効性のある教職員定数改善計画を早期に決定するよう、既に提案要求しています。

質問事項
 一の6 国が予算をつけた場合、現在、都独自で行っている中学1年生の35人学級にあてるのではなく、35人学級の拡大に活用すべきだが、見解を伺う。

回答
  文部科学省の平成26年度予算概算要求は、少人数学級を推進するだけではなく、ティームティーチングや習熟度別指導の推進をすることも、選択できるものとなっています。また、対象学年などの詳細は明らかになっておりません。
現段階では、政府予算案に盛り込まれるかは未定であり、引き続き国の動向を注視していきます。

質問事項
 二 特別教室の冷房化について
  1 都立高等学校の場合、原則として普通教室には冷房設備を設置しているが、特別教室については限定的であり、理科実験室、調理室、美術室などの特別教室には冷房設備がない。なかには普通教室の冷房設備が古くてきかないという声もある。都立学校での各教室の空調設備の総点検及び室温測定を行うべきだが、見解を伺う。

回答
  都立学校の各教室に設置されている空調設備については、学校職員による日常的な点検を行っているほか、定期的に専門業者による保守点検を実施しています。
  室温測定については、学校環境衛生基準に基づき、毎年度2回行っています。

質問事項
 二の2 都立高校、都立特別支援学校のすべての特別教室の冷房化、老朽化している空調を改善すべきだが、見解を伺う。

回答
  都立学校の特別教室のうち、冷房化する教室は、防音性が求められたり、熱を発するICT機器が設置されたりしている部屋としています。具体的には、図書室、音楽室、パソコン室、LL室などで、これまで計画的に冷房化を行い、整備を完了しています。
  これらに加え、特別支援学校においては、生活訓練室及び多目的室を冷房化しており、肢体不自由特別支援学校及び病弱特別支援学校では全室を冷房化しています。
冷房化対象外の特別教室についても、教室の配置や周辺環境等に配慮すべき事情がある場合には、冷房化の必要性を個別に判断し、適切に対応しています。
  また、既存の空調設備については、年次計画により更新を進めています。

質問事項
 二の3 体育館については、肢体不自由特別支援学校では冷房化を行っているが、知的や視覚障害、聴覚障害の学校は冷房化していない。肢体不自由でない特別支援学校も体育館の冷房化すべきだが、見解を伺う。

回答
  都立肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校の体育館については、高校と同様、冷房化対象外としています。
  しかし、建物配置や周辺環境など配慮すべき事情がある場合には、冷房化の必要性を個別に判断し、適切に対応しています。

質問事項
 二の4 都教委は、個別の事情によって設置の判断をしているとのことだが、特に風通しが悪い、近隣との関係で窓が開けられないなど建物の条件等により暑くなりやすい体育館については、優先的に対応すべきだが、見解を伺う。

回答
  暑い時期の体育の授業はプールを使用して行うことが多く、体育館の使用頻度が低くなることもあって、肢体不自由特別支援学校を除く都立学校の体育館は冷房化の対象施設としていません。ただし、個別の事情を考慮し、必要な学校については体育館の冷房化を行っています。

質問事項
 二の5 さらに、八王子盲学校の寄宿舎のエアコンは老朽化に伴う故障が頻発しており、一定程度老朽化した空調設備は更新をしているとのことだが、早急な対応をすべきである。見解を伺う。

回答
  八王子盲学校寄宿舎の空調設備については、今年度実施した定期点検においても、異常なしとの報告を受けていることから空調設備の更新対象としていません。
  不具合があった場合には、迅速に修繕等の対応をしています。

質問事項
 二の6 区市町村立の小・中学校の普通教室、および特別教室の冷房化も課題であり、都が、今年度、区市町村の実情に合わせ普通教室の空調設備についての補助制度を延長したことは重要だが、区市町村立小・中学校の普通教室の冷房化率の今年度末の見込みについて伺う。

回答
  普通教室の冷房化率については、平成24年度末現在で区部の小・中学校は100パーセント、市町村部の小・中学校は、94.4パーセント、都全体では98.0パーセントです。
残る普通教室の冷房化を市町村が推進できるよう、都の補助制度を今年度まで延長しており、市町村立小・中学校の普通教室の冷房化は今年度末に完了する予定です。

質問事項
 二の7 児童生徒の熱中症対策として、また学習に集中できる条件を確保するために、早急に理科室、家庭科室などの特別教室の空調設備整備補助をすべきだが、見解を伺う。

回答
  現在、各市町村は小・中学校の普通教室の冷房化に取り組んでいるところであり、都教育委員会としては、この取組を支援しています。

質問事項
 三 港湾、河川の船舶の係留保管適正化について
  1 2013年5月現在の都内の各水域別、湾岸域別の放置船舶数は何隻あるのか。また、放置理由については、どのようなことが要因になっているかを把握しているか伺う。

回答
  平成25年5月現在、都内の放置船舶は、プレジャーボートや営業用船舶等が、河川区域に516隻、港湾区域に21隻、合計537隻あります。
  放置理由としては、船舶所有者の意識やマナーに、主な要因があると考えます。

質問事項
 三の2 既存の放置船舶を減らすために、都としてどのようなことを行っているのか伺う。

回答
  平成15年1月に制定した「東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例」に基づき、「東京都船舶の係留保管適正化計画」を策定し、放置船舶の適正化に取り組んでいます。
  具体的には、放置船舶の所有者に対する指導・警告を強化しつつ、受け皿となる係留保管施設の確保等を進めることにより、適正化を推進しています。さらに、文書や口頭により繰り返し警告を行っても自主的な移動・撤去がなされない場合、行政代執行等による法的強制措置をもって、適正化を実現させています。

質問事項
 三の3 国土交通省は、今年5月に「プレジャーボートの適正管理及び利用環境改善のための総合的対策に関する推進計画」を策定し、国及び地域レベルでの一体となった取組を進めるとしているが、これに対応した都としての検討体制はつくるのか。つくるとしたら、いつ、どのようなメンバーで「放置船舶ゼロ、未然防止の計画」をつくるのか、見解を伺う。

回答
  都は、東京都の公共水域における船舶の係留保管の秩序を確立するにあたり、周辺水域における管理者等と、施策の調整や幅広い意見の交換を目的として、条例制定時から「東京都船舶係留保管適正化連絡会」を設置し、対策を進めており、新たな検討体制を設置する必要はないものと考えます。

質問事項
 三の4 また都は、2010年5月に船舶係留保管の適正化計画の見直しをおこない、係留保管施設数の不足のため係留保管施設を2015年度までに整備し適正化を進めるとしているが、営業用船舶及び工事用作業船の係留施設の必要数をどのように確認し、整備をどのように計画、確保していくのか、見解を伺う。

回答
  放置船舶の中には、未登録船舶や使用頻度が少なく長期間利用されずに放置されている船舶等も多く含まれています。
  そのため、航行に必要な登録の有無や機能、利用実態の有無及び適正化実施の過程で見込まれる自主廃船数等を考慮しつつ、併せて既存の係留保管施設の収容余力を勘案しながら、真に必要な係留保管施設を確保していきます。
  このうち営業用船舶については、地域経済、社会及び文化と密接な関わりを持つものであることから、生業の維持に配慮しつつ、営業実態を考慮し係留保管施設の整備を行っていきます。
  また、工事用作業船については、事業者団体が既に使用している工事用作業船係留保管水域の活用を図っていきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大島よしえ

質問事項
一 違法貸しルーム(脱法ハウス)対策について
二 ルームシェアについて

一 違法貸しルーム(脱法ハウス)対策について
倉庫、レンタルオフィスを装いながら住居として劣悪な部屋を賃貸し、多人数の居住実態がありながら、防火関係規定や、建築基準法違反の疑いがある「違法貸しルーム」の存在が大きな社会問題となっています。
当初「規制は考えていない」と言っていた国土交通省も方針を変え、今年6月からこうした建築物の実態調査のための情報受付窓口を設置し、情報収集や是正指導を行ってきました。8月30日現在の状況が国土交通省より発表されましたが、全国の調査対象物件730件中、東京都は658件と全体の90%を占める重大な事態となっています。
1 「違法貸しルーム」の実態について、東京都はどのように認識し、どのような調査をしているのか。また、今後の対策についてどのように考えているのか。
2 国交省の発表では、都内で調査中の物件数が454件ありましたが、その後の調査の進捗状況について、都としてどのように把握しているのか伺います。
3 調査済みの物件のうち「違反あり是正準備中の物件」35件と「違反あり是正指導中の物件」143件を合わせると87.2%が何らかの違反物件となります。違反の内容を都はどのように把握しているのか。また、是正指導中の建築物の安全性はどのように確保されているのか。
建築基準法違反が判明したものについては、是正指導が行われていますが、実際に居住者がいるにもかかわらず施設を突然閉鎖すると言うやり方で解消しようとする動きもあります。違法貸しルームの経営者の都合で居住者が路頭に迷うということがあってはなりません。国交省住宅局長は「契約書にかかわらず、居住実態があれば借家権は発生する」とした上で、退去を求められている入居者への支援について、「東京都や消防、福祉部局等と連携を図りながらやっていく」と答弁しています。
 4 都としてどのような入居者支援を考えているのか伺います。
違法貸しルーム是正で、強制退去となり住まいも仕事もなくなった場合は、住宅支援給付事業や、TOKYOチャレンジネットなどが活用できます。ところがTOKYOチャレンジネットが民間アパート等を借り上げ、一時住宅として提供する「チャレンジハウス」は、民間アパート60戸と都営住宅10戸しかなく、居住者は最大3ヶ月しか居住できません。常時ほぼ満室状態で違法貸しルーム是正により、強制退去となる住民を全員収容できるだけの余裕はありません。「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」では、国と地方公共団体の責務として、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」とされています。
5 強制退去となる居住者を受け入れる仮住居として民間アパートの借り上げや、都営住宅の提供を考えるべきと思うがどうか。
「違法貸しルーム」問題は、都営住宅の新規建設14年間ゼロ、単身世帯への住宅対策や、借家政策が軽視され続け、民間住宅家賃の高負担を放置してきた結果、起こるべくして起こった住宅問題といわざるを得ません。
6 都の住宅マスタープランでは、「低所得者層については、低家賃の住宅が減少していることなど、安定した居住の場を確保することが困難な状況が見受けられる」とありますが、違法貸しルームで暮らさなければならない都民の困難な状況を打開するための具体策について、どのように考えているのか伺います。
違法貸しルームの居住者を適切な住環境の住まいに早急に転居させることが必要です。しかし、違法貸しルームが、低所得層、不安定就労層の居住の受け皿となり、定住の場となっているのも現実です。
7 劣悪な環境でも住まいがあり、働いているが不安定就労、転居したくても保証人がいない、転宅資金は用意できず、高額な家賃は払えない。こうした入居者のために、常設の相談窓口を設置する必要があると思うがどうか。また、みなし仮設住宅のように民間住宅の借り上げや、家賃補助、公的保証人制度を実施する考えはありませんか。

二 ルームシェアについて
違法貸しルームとは違い新たな居住形態としてひとつの住宅を共同で借りたり、共有したりして居住するルームシェア、シェアハウスが、いま注目されています。各居住者のプライベートルームと台所やリビングなどを共有スペースとして利用するもので、UR賃貸住宅も「ハウスシェアリング制度」を実施しています。
1 東京都の住宅マスタープランでは、「ルームシェアやホームシェアなどの新たな住まい方に対し、トラブル防止の観点から、ルールつくりについて検討し取り組む」としています。こうした新たな住まい方におけるルールつくりの現在の取り組み状況について伺います。
2 猪瀬知事は、就任後初めての記者会見で「都営住宅に高齢者と若い人のシェアハウスを組み合わせることで世代間のギャップを埋めるコミュニケーションをつくって行きたい」と言う趣旨の発言をしました。シェアハウスについて、どのような検討がされているのか伺います。

平成25年第三回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 違法貸しルーム(脱法ハウス)対策について
  1 「違法貸しルーム」の実態について、都はどのように認識し、どのような調査をしているのか。また、今後の対策についてどのように考えているのか、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームについては、事務所や倉庫を改造したものから一戸建て住宅を転用したものまで様々であり、各特定行政庁が随時、立入調査等を実施し、その実態把握に努めています。
  引き続き、現場の状況に応じて、安全面など問題のある建築物について、適切な是正指導を行うことが必要と考えています。

質問事項
 一の2 国交省の発表では、都内で調査中の物件数が454件あったが、その後の調査の進捗状況について、都としてどのように把握しているのか伺う。

回答
  国土交通省が公表した8月末時点の454件については、引き続き、国において把握に努めていると聞いています。

質問事項
 一の3 調査済みの物件のうち、87.2パーセントが何らかの違反物件となるが、違反の内容について、都は、どのように把握しているのか。また、是正指導中の建築物の安全性はどのように確保されているのか、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームの中には、建築基準法第28条第1項(居室の採光)や同法施行令第114条第2項(主要な間仕切壁の構造)などの規定に抵触するものがあると聞いています。
  各特定行政庁は、建築物の安全性を確保するよう、適切な指導を行っていくものと考えています。

質問事項
 一の4 建築基準法違反が判明したものについて、国交省は、退去を求められている入居者への支援について、都や消防、福祉部局等と連携を図りながらやっていくとしているが、都として、どのような入居者支援を考えているのか、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームの入居者のうち、転居先の確保にお困りの方については、区市等の住宅相談窓口などで対応できるものと考えます。
  なお、生活に困窮している方については、生活支援や就労支援を行う窓口で対応できるものと考えます。

質問事項
 一の5 強制退去となる居住者を受け入れる仮住居として、民間アパートの借り上げや、都営住宅の提供を考えるべきだが、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームからの転居に当たって支援が必要な方については、それぞれの事情に応じた施策により対応できるものと考えており、都として、民間アパートの借り上げなど、新たな取組は考えていません。

質問事項
 一の6 違法貸しルームで暮らさなければならない都民の困難な状況を打開するための具体策について、どのように考えているのか、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームの入居者のうち、支援が必要な方については、それぞれの事情に応じた施策により対応できるものと考えます。

質問事項
 一の7 転居が困難な入居者のために、常設の相談窓口を設置すべきであり、また、みなし仮設住宅のように民間住宅の借り上げや、家賃補助、公的保証人制度を実施する考えはあるのか、見解を伺う。

回答
  違法貸しルームの入居者のうち、相談が必要な方については、既にある区市等の窓口で対応可能です。
  また、都として、民間住宅の借り上げなど、新たな取組は考えていません。

質問事項
 二 ルームシェアについて
  1 ルームシェアやホームシェアなどの新たな住まい方におけるルールつくりの現在の取組状況について伺う。

回答
  ルームシェアなどの新たな住まい方については、現在、業界団体へのヒアリングなどにより、契約内容等の情報収集を行っています。

質問事項
 二の2 シェアハウスについて、どのような検討がされているのか伺う。

回答
  高齢者や若者などの多様な世代が、一定のプライバシーを確保しながら共同生活を行うといった新しい住まい方について、来年度のモデル事業の実施を視野に検討していきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 オリンピック開催と平和への取り組みについて
二 100万キロワット級の天然ガス発電の見直しと電力の状況について

一 オリンピック開催と平和への取り組みについて
1 2020年に開催が決定したオリンピックは「平和の祭典」であり、オリンピック憲章にも「オリンピズムの目標は、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることにあり、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。」と記載があります。知事は、8月8日の都議会本会議で、「オリンピック・パラリンピックは『平和の祭典』であります。折しも来週8月15日は終戦の日でありますが、我が国は、戦後68年、一貫して平和を守り続けてきました。その日本で、大会を開催することで、これからも平和のトップリーダーであり続ける、その決意を全世界に示してまいりたいと思います。」と語っています。そこで2020年オリンピック・パラリンピック大会を「平和の祭典」としていくための取り組みについて伺います。
2 前知事が就任した平成11年以降、平和、国際交流、市民活動への支援などがあまり重視されてこなかったのではないかと言われ、これらの事業を所管する生活文化局の組織の変遷にもあらわれています。また現在、都では平和に関連する取り組みとして、3月10日の平和の日の式典を生活文化局が行い、慰霊、援護、施設管理などは目的に応じて各部門が担当しています。新たな知事の就任により、都政は新たな段階を迎える中、都政においても平和な世界の実現に向けて積極的に取り組むためこうした事業の一層の充実を図るとともに、平和施策の推進に一元的に取り組むことも必要と考えます。所見を伺います。
3 戦後68年が経過し、戦争の悲惨さの風化は、平和の尊さを忘れ、平和が脅かされることにつながります。都として戦争の悲惨さを記録として残していき、都民に広めるよう取り組むべきと考えるが所見を伺います。
4 都の国際交流についてですが、都市間交流としてアジア大都市ネットワークの取り組みがあり、また、近年低調となっていますが、姉妹友好都市交流の取り組みもあります。これらはいずれも行政主導のものが多く、必ずしも市民レベルのものとはなっていません。平和な世界の実現に向けた外交は国の役割ですが、仮に国同士が外交上こじれた場合でも、市民レベルの根強い民間交流がもとで解決への糸口が生まれることもあります。都はこうした地道な市民レベルの国際交流をより積極的に支援すべきと考えますが、所見を伺います。

二 100万キロワット級の天然ガス発電の見直しと電力の状況について
今都議会定例会で、猪瀬知事は、副知事時代から建設を目指していた100万キロワット級の天然ガス発電所について計画を見直すと表明し、事実上の中止という方針転換を行いました。このことは、自らの所信表明では述べられず、議会からの質問に答える形で表明されたものです。100万キロワットの天然ガス発電所を整備することへの困難さはあり、震災後の電力不足に対応するため老朽化した火力発電所を稼動させていますので、それをリプレースすることを優先するのは当然としても、電力不足に陥っていないから見直すというだけでは長期的な電力の安定の観点から都民は安心できません。背景を明確化し、今後策定される新しい長期ビジョンも見据えて、都内で安定的な電力確保に向けた政策を前進させることが必要であると考えますので、以下質問します。
1 都は、平成23年5月策定の東京都電力対策緊急プログラムを策定しましたが、その後、推進方針に記載されていない100万キロワット級の天然ガス発電所の計画が発表されました。その後、都の長期計画ともいえる「2020年の東京」に掲載され、今年1月に発表されたアクションプログラム2013にも記載はされ、ここに老朽化した発電所のリプレースが新たに追加されていました。そもそも計画の決定、中止はいつどのような場で意思決定されたのか伺います。
2 震災直後は、東京都内での発電量を示していましたが、その後、東京電力管内という単位での数値はあっても、都内という数値は発表されていません。現時点では都内の数値はどのようになっているのでしょうか。
  「2020年の東京」では、都内使用電力1,737万キロワットのうち、都内発電能力は300万キロワットとわずか2割なのでさらに300万キロワットを増やすということでした。もとより300万キロワット創出とはいえ、天然ガス発電所が100万キロワット、コージェネレーションシステム導入で50万キロワット、再生可能エネルギー100万キロワットとの内訳でしたので実際には250万キロワット創出という計画でした。これを単純に100万キロワットがなくなって150万キロワットに数値を下方修正したということでよいのか伺います。
3 老朽化した発電所のリプレースには都はどのように関わるのでしょうか。報道では知事は補助金を出さないと述べていると報じられていますが、どのように進めるのか、実際に進む見通しはあるのか伺います。
  また、老朽化した火力発電所をリプレースすることによって設備は新しくなるのですが、このことにより発電能力の向上になるのか伺います。
4 突然100万キロワット級の天然ガス発電所の設置の候補地と発表され、今度は中止と発表された周辺地域には丁寧な説明をすることが必要になります。設置の候補地となった時の反応、今回の中止が伝わった後の反応と、都のとった対応を伺います。
5 再生可能エネルギーの目標値はむしろ上方修正して、積極的に導入することを進めることが重要ですが所見を伺います。また、現時点で電力不足に陥っていないという宣言は都民に再生可能エネルギー導入への意欲を低減させてしまう懸念はないのでしょうか、あわせて所見を伺います。
  また、10年間で都内戸建て住宅の6分の1に相当する30万戸に太陽光発電を設置し90万キロワットの発電をするとのことでしたが、現状の進捗と見通しを伺います。
6 東京電力管内の電力状況が震災直後とは変わったとのことですが、具体的に震災直後にどのような見通しを立て、それが、現在ではどのようになっているのか伺います。
  震災直後は電力不足が言われ、無理のある節電といわれましたが、今は省エネが習慣化し節電が定着したとは言われています。実際の節電や省エネによる効果はいかがでしょうか。そして、それは持続するという見通しですが、そのように楽観してよいのか、所見を伺います。
7 老朽化した火力発電所は二酸化炭素の排出量が増える懸念があります。地球温暖化対策は忘れてはならない課題であり、全体の電力需要が減っているので排出量が増えていないとは言われますが、実際にはどうなっているでしょうか伺います。
  また、老朽化した発電所から発生する二酸化炭素が、リプレースした場合はどのように変化するのか効果を伺います。

平成25年第三回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 オリンピック開催と平和への取組について
  1 2020年に開催が決定したオリンピック・パラリンピックは「平和の祭典」であるが、「平和の祭典」としていくための取組について、見解を伺う。

回答
  オリンピックのあるべき姿、すなわちオリンピズムは、人々がスポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などの差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献することです。
  2020年の大会を戦後一貫して平和を守り続ける日本で開催することは、全世界に対して平和の尊さを訴える格好の機会です。
  この大会が平和と復興のオリンピックであることを世界にアピールするため、聖火リレーを被災各県などでも実施します。
  また、「1校1NOC運動」やユースキャンプを通じた国際交流の実施により、平和な社会の実現に寄与する若者の育成に取り組んでいきます。
  大会開催時には、アスリートが遺憾なくその力を発揮できるよう、安全・安心な大会運営のための準備に総力を挙げて取り組んでいきます。
  これらの取組を通じて、オリンピズムの普及を推進し、世界平和の実現に貢献していきます。

質問事項
 一の2 都政においても、平和な世界の実現に向けて積極的に取り組むため、平和、国際交流、市民活動への支援などの事業の一層の充実を図るとともに、平和施策の推進に一元的に取り組むことも必要だが、見解を伺う。

回答
  東京都では、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、3月10日を東京都平和の日と定めています。
  現在、東京都平和の日に平和の意義を確認し、その意識の高揚を図るため、記念式典や記念公演、東京空襲資料展など、様々な記念行事を行っています。
  また、慰霊や援護、これに関係する施設管理についても、関係部局が、それぞれの事業目的を踏まえて実施してきました。
  今後とも、引き続き、都民の平和を願う意識の高揚に努めるとともに、関係部局が連携しながら、平和施策の推進に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3 戦後68年が経過し、戦争の悲惨さが風化せぬよう、都として戦争の悲惨さを記録として残していき、都民に広めるよう取り組むべきだが、見解を伺う。

回答
  東京都は、毎年、東京都平和の日記念行事として、東京空襲犠牲者やその遺族、在日大使館関係者の方々を招いて記念式典を開催するとともに、墨田区の都立横網町公園内に「東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑」を建立し、東京空襲犠牲者の名簿の収集・作成を行い、平成25年3月現在、7万9,941名の氏名をお納めしています。
  また、空襲遺品や写真などを展示する、東京都主催の東京空襲資料展のほか、区市町村が行う展示に関連資料の貸出を行い、都民への周知を図り、啓発に努めています。

質問事項
 一の4 都の国際交流について、地道な市民レベルの国際交流をより積極的に支援すべきだが、見解を伺う。

回答
  都は、都内における国際交流等に関する情報の収集・提供、普及啓発の促進などを行うために、東京都国際交流委員会に対して事業費補助等を行い、市民レベルの国際交流の支援に取り組んでいます。
  具体的には、国際交流活動をしているNGO等の事業やイベント情報等を収集し、それをホームページや広報誌を通じて紹介することで、市民や活動団体に情報提供しています。
  そのほか、都と区市町村の国際交流担当者による連絡会議及び地域の国際交流協会やNPOなどが参加する会議を開催し、情報交換や連携の強化などを図っています。
  今後とも様々な情報提供や連絡会議の開催などを通じて、市民レベルの国際交流の支援に努めていきます。

質問事項
 二 100万キロワット級の天然ガス発電の見直しと電力の状況について
  1 100万キロワット級の天然ガス発電所の計画について、そもそも計画の決定、中止はいつどのような場で意思決定されたのか伺う。

回答
  都は、平成23年8月に東京天然ガス発電所プロジェクトを立ち上げ、同年12月に「2020年の東京」で本プロジェクトを掲げ、東京産エネルギー確保へ向けた検討などを行ってきました。
  首都圏では、この夏も懸念された電力不足に陥っておらず、電力事情が震災直後とは大きく異なっています。その一方で、老朽化した発電所には、故障による運転停止リスクがつきまとっています。
  このことを踏まえ、平成25年9月、第三回都議会定例会で、新規の発電所建設となる本プロジェクトの推進については見直し、老朽火力のリプレース促進に全力を挙げていく方針を示しました。

質問事項
 二の2 震災直後は、東京都内での発電量を示していたが、その後、都内という数値は発表されていない。現時点では都内の数値はどのようになっているのか。また、「2020年の東京」では、実際には250万キロワット創出という計画であったが、150万キロワットに数値を下方修正したとのことでよいのか伺う。

回答
  都内には、東京電力株式会社の火力発電設備や事業者が設置する大規模な自家発電設備があり、これらに加え、都では自立・分散型電源の普及や再生可能エネルギーの促進を進めており、こうした取組により、都内の発電容量は増加しています。
  また、現在、本年12月末を目途に「新たな長期ビジョン(仮称)」を策定しているところであり、この中で、エネルギー施策も検討中です。

質問事項
 二の3 老朽化した発電所のリプレースに、都は、どのように関わるのか。どのように進めるのか、実際に進む見通しはあるのか、見解を伺う。また、老朽化した火力発電所をリプレースすることによって設備は新しくなるが、このことにより発電能力の向上になるのか、見解を伺う。

回答
  東京電力は、「総合特別事業計画」において、「古い火力発電設備のリプレースを積極的に進め、高効率化を図っていく必要がある。」としており、この早期実現を目指して、都は、発電所売却も含めた、リプレースのための具体的な提案をしてきました。今後も、リプレースの促進に向けて、国や東京電力に対して強く働きかけていきます。
  また、老朽化した火力発電所を最新型の天然ガスコンバインドサイクル発電所にリプレースすると、発電効率を5割程度高めることができ、発電能力が向上します。

質問事項
 二の4 突然100万キロワット級の天然ガス発電所の設置の候補地と発表され、今度は中止と発表された周辺地域には丁寧な説明をすべきだが、設置の候補地となった時の反応、今回の中止が伝わった後の反応と、都のとった対応について伺う。

回答
  東京天然ガス発電所プロジェクトでは、地元の理解を得るため、候補地選定時や事業可能性調査結果がまとまった時点などで、関係区に対して説明し、意見を聞きながら、プロジェクトの検討を進めてきました。
  今回、本プロジェクトの終了についても、同様に、関係区に説明を行い、御理解を頂いているところです。

質問事項
 二の5 再生可能エネルギーの目標値はむしろ上方修正して、積極的に導入することを進めるべきだが、見解を伺う。また、現時点で電力不足に陥っていないという宣言は都民に再生可能エネルギー導入への意欲を低減させてしまう懸念はないのか、あわせて見解を伺う。また、10年間で都内戸建て住宅の6分の1に相当する30万戸に太陽光発電を設置し90万キロワットの発電をするとのことだが、現状の進捗と見通しについて、見解を伺う。

回答
  都は、再生可能エネルギーの普及拡大を重要と認識しており、太陽光発電について、金融機関や販売店との連携による「屋根ぢから」プロジェクトや、新たな導入手法である「屋根貸し」を推進するマッチング事業など、多様な取組を展開しながら積極的に導入を進めています。
  再生可能エネルギーについては、昨年開始された固定価格買取制度により、その導入機運は高まっています。
  都内における太陽光発電の設備容量は、本年1月末時点で約22万キロワットに上っており、都は、今後とも普及拡大の取組を着実に進めていきます。

質問事項
 二の6 東京電力管内の電力状況が震災直後とは変わったとのことだが、具体的に震災直後にどのような見通しを立て、それが、現在ではどのようになっているのか。また、震災直後は電力不足が言われ、無理のある節電といわれたが、実際の節電や省エネによる効果はいかがか。そして、それは持続するという見通しであるが、そのように楽観してよいのか、見解を伺う。

回答
  平成23年3月の震災直後、東京電力管内の電力供給力は約6割に落ち込み、不測の大規模停電の発生を回避するために計画停電が実施されたほか、同年夏には電力使用制限令が発せられたことから、電力事情は厳しいものと認識していました。震災から2年が過ぎ、「賢い節電」が定着した今年の夏は、東京電力管内で、予備率は電力の安定供給に最低限必要な3パーセントを上回る6.7パーセントを確保するなど、電力事情は改善しています。
  また、実際の節電や省エネによる効果については、照明照度の見直しが進み、従来の照度750ルクス以上から500ルクス以下が主流になったことなどから、震災前の平成22年度で5,999万キロワットであった東京電力管内の最大需要は、平成24年度及び本年度の夏も5千万キロワットをわずかに超えただけであり、削減が継続しています。
  照明照度の見直しをはじめとした現在定着している省エネ・節電は、今後も無理なく続けられる「賢い節電」であり、取組の継続により効果が持続するものと考えます。

質問事項
 二の7 老朽化した火力発電所は二酸化炭素の排出量が増える懸念がある。全体の電力需要が減っているので排出量が増えていないとは言われているが、実際にはどうなっているのか、見解を伺う。また、老朽化した発電所から発生する二酸化炭素が、リプレースした場合はどのように変化するのか、効果について見解を伺う。

回答
  資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の平成24年度速報によれば、昨年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量は、震災前の平成22年度と比較して7.4パーセントの増加となっています。
  また、二酸化炭素排出量は、最新型の天然ガスコンバインドサイクル発電所にリプレースすることにより、約2から3割低減できると見込まれています。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
一 西武新宿線の地下化促進で踏切渋滞解消を

一 西武新宿線の地下化促進で踏切渋滞解消を
10月1日、JR横浜線の踏切を渡る途中で動けなくなった高齢者を助けようとした女性が、電車にはねられ死亡するという痛ましい事故がありました。
1 こうした踏切事故のたびに「二度と再び、このような事故が起きないように」と踏み切りの改善が叫ばれます。東京都は、2004年に「踏切対策基本指針」の具体化を発表しましたが、どこまで進んでいるのですか。また、計画を進めるに当たっては住民の協力を得る上でも直接かかわりを持つ周辺住民の要望を尊重しながらすすめることがいっそう重要になっていると思いますが、見解を伺います。
中野でも、2003年に中野区町会連合会が区民の切実な声を受けて提出した、区内全線地下化を求める6万9千余名の「中野区内の西武鉄道新宿線の踏切解消促進に関する請願」が都議会で趣旨採択されました。
翌2004年には、町会、商店会、PTA、区議会、区、住民団体が共同で西武新宿線の踏切渋滞解消に向けて、地下化の実現を目指して区民の総意として「西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟」結成大会を開催し、国、東京都及び西武鉄道等関係機関への要請活動を行ってきました。
2 このように、中野区民の一貫した要望は、区内全面地下化だということを認識していますか。
3 また、地下化を求める区民の要望を尊重しながら踏切解消の検討を進めるべきと思いますが、見解を伺います。
私は、都議になる前から、松本善明衆議院議員(当時)と西武本社を訪ねて地下化促進を求めてきました。また、現在の連続立体交差事業の前に、新宿駅から上石神井駅間の地下急行線の「複々線建設計画」が1993年に都市計画決定され住民説明会まで開催され、これで、少しでも渋滞が改善できると期待し、応援してきました。ところが、翌々年に突然、西武鉄道が一方的に東京都に計画の延期を表明したのです。驚いた中野区と私を含めた中野区選出4人の都議が超党派で「複々線建設計画」を再開すべきだと都知事や関係者に申し入れましたが、事実上の凍結・中止になってしまいました。
その後、22年前、地域住民により「西武新宿線鷺ノ宮・都立家政駅利用者の会」が結成され、中野区や西武鉄道株式会社に地下化促進などの署名を提出すると同時に都や国交省に申し入れてきました。同時に、鷺ノ宮駅のすぐの第一号踏み切り(中杉通り)の改善のため、幅員の拡張の障害だった石柱の撤去や踏み切り幅員の拡張など少しずつ西武に改善させてきましたが、やはり、根本的な解決のためには地下化が欠かせません。
こうして、区民の総意でようやく野方駅から中井駅までの区間の地下化が決まって喜んでいましたら、新井薬師前駅周辺の住民が突然立ち退きを迫られるという驚く事態や中野区の周辺街づくりとの関係がでてきました。
周辺街づくりについては、中野区に住民参加をいっそう重視するよう求めていきたいと考えています。
新井薬師前駅周辺の住民は、地下化計画は現在の線路の真下を通る計画だと都や区の説明を受けて賛成してきた、しかし、発表された計画は線形が変えられており、それも、住民が説明会場で質問をして初めて、鉄道の線形が変えられていて住民の立ち退きがあるということがわかり、驚いて、「何故、これまで住民に説明してこなかったのか」と詰め寄る事態になりました。
4 質問しなければ住民には知らせないという姿勢は、住民は黙って行政に従えというもので絶対許せません。今後改めるべきと思うが、お答えください。
5 また、今後こうした事態を避けるために早い段階で住民の意見を聞きながら計画そのものについて検討を行う姿勢が重要だと思いますが認識を伺います。
何故、住民に説明もしないで線形を変えようとしたのか。新井薬師前駅のカーブは、西武新宿線を敷設したときから半径300メートルであり、車輌とホームの隙間は最大で30センチメートルあり、この80年間改善を一切してきませんでした。安全性に配慮することは当然であるが、一方的に鉄道線路の半径300メートルをいきなり500メートルに変更し、内規だからと問答無用の姿勢で住民にその責任のしわ寄せを押し付けようとし、自らさまざまな角度からの検討を怠っていることを住民は怒っているのです。現在、納得いく説明と努力なしに測量には応じられないと説明を求めているにもかかわらず測量を進めています。
新井薬師前駅部分のカーブの安全性の問題では、前記の「西武鉄道新宿線複々線建設計画」が都市計画決定されたときの線路は現在の線路の真下を寸分たがわず走る計画であったことからみても、現在のカーブでも高速の急行や特急などの安全に支障がないことは、明らかです。
もう一つは、線路とホームの隙間の安全確保の問題では、ホーム柵とホームステップ(ホームと車輌の隙間に踏み板をわたすものですでに東京メトロなどで実用化されている)との組合せの技術が進んできているので改善は可能です。
ところが、住民がそのことを求めても、西武鉄道は「ホーム柵については、車輌が3ドアと4ドアの二種類あるので対応できない」という理由をあげてホーム柵の整備に消極的です。
6 現在、国交省が、3ドアと4ドアの二種類の車輌に対応できるホーム柵の実証実験を西武新宿線の新所沢駅で行っており、実験後、実用化をすすめるとしています。私も、実験を見てきましたが、3ドアの車輌が通ったあとに4ドアの車輌が来る場合、車輌が前の駅を出発する時に次の駅に電気信号が送られて車輌が着く前に4ドア対応にセットされるという仕組みです。実験結果を検証して実用化を急ぐべきです。今なら連続立体化事業の設計はこれからですから、ホーム柵とホームステップとの組合せを整備することは可能なはずです。お答えください。
それによって、安全を確保しながら鉄道の線形は最小限の変更で済むことになり、新井薬師前駅北側の拡張を抑えられるはずです。
中井―野方駅間の連続立体化事業に続いて、野方―井荻駅間については準備区間と位置づけられている。今年、5月17日、野方駅―井荻駅間の早期実現を目指し、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の決起大会を開催しました。
連続立体交差事業について地下化か、高架化の住民に関係する課題で比較検討すれば地下化であるべきことは明らかです。
7 野方―井荻駅間の連立事業の具体化に当たっては、「踏切渋滞解消促進期成同盟」の目的が区内全面地下化にあることから、この中野区民の意思を尊重すべきと考えますが、どうですか。お答えください。
高架にした場合の周辺住民への影響は極めて大きいといわざるを得ません。
8 西武新宿線は東西に走っているため、北側は都市計画上の北側斜線部分を幅員6―8メートルの道路ネットワークの形成を図ることが原則になっていると思いますが見解を求めます。
鉄道北側に最低6メートル道路を作る場合には詳細な測量によるべきではあるが、住宅地図によっても約200軒の住宅、マンション、アパート等が立ち退き対象になる可能性があります。
公共事業の原則は、住民への犠牲を必要最低限にすべきであるということが示されています。
9 よって、野方―井荻駅間の連続立体交差事業の検討に当たっては、住民の犠牲が少なく、かつ、区民の地下化の要望を尊重した内容に沿った検討を進めるべきだと思いますが、見解を伺います。

平成25年第三回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 西武新宿線の地下化促進による踏切渋滞解消について
  1 都は、2004年に「踏切対策基本指針」の具体化を発表したが、どこまで進んでいるのか。また、計画を進めるに当たっては住民の協力を得る上でも直接かかわりを持つ周辺住民の要望を尊重しながらすすめるべきだが、見解を伺う。

回答
  都は平成16年度に「踏切対策基本方針」を策定し、平成37年度までに重点的に踏切対策を実施、検討していく重点踏切を約390か所抽出しました。
  その上で、鉄道立体化の可能性を検討していく鉄道立体化の検討対象区間を20区間選定するとともに、その他の重点踏切については、早期に実現可能な対策を検討していくこととしています。
  鉄道立体化の検討対象区間のうち、西武新宿線中井駅から野方駅間及び東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近については現在事業中であり、西武新宿線東村山駅付近及び京王線笹塚駅から仙川駅間については、昨年10月に都市計画決定を行いました。
  また、その他の重点踏切については、踏切道の拡幅や歩道部のカラー舗装化、踏切システムの改善などの対策を既に実施しており、引き続き、区市、鉄道事業者など関係者との連携を図りながら、踏切対策に取り組んでいきます。

質問事項
 一の2 中野区においても、地下化の実現を目指して、国、都及び西武鉄道等関係機関への要請活動を行ってきたが、中野区民の一貫した要望は、区内全面地下化だということを認識しているのか、見解を伺う。

回答
  中野区内の西武新宿線について、「中野区内の西武鉄道新宿線の踏切解消促進に関する請願」の趣旨や、「西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟」から都知事に要望書が提出されたことについては承知しています。

質問事項
 一の3 また、地下化を求める区民の要望を尊重しながら踏切解消の検討を進めるべきだが、見解を伺う。

回答
  中野区内の西武新宿線のうち、中井駅から野方駅間については、地下式で連続立体交差化の都市計画を定め、平成25年4月に事業認可を取得し、事業に着手しました。
  また、野方駅から井荻駅間については、連続立体交差化の事業候補区間となっており、現在、事業化の可能性を検討しています。
  事業を実施する際は、構造形式などの内容を都市計画や環境影響評価の説明会などにおいて、広く住民の皆様に説明し、理解と協力を得られるよう努めていきます。

質問事項
 一の4 新井薬師前駅周辺の住民は、地下化計画は現在の線路の真下を通る計画だと都や区の説明を受けて賛成してきたが、発表された計画は線形が変えられており、質問しなければ住民には知らせないという姿勢は、今後改めるべきだが、見解を伺う。

回答
  新井薬師前駅付近については、ホームが急カーブ上にあり、電車とホームとの隙間が大きく開いていることから、利用者の安全性の確保を図るため、連続立体交差化に併せて鉄道の線形を北側に移設し、現在の急カーブを緩やかにすることとしています。
  こうした連続立体交差化計画の内容については、平成22年2月に都市計画素案説明会、同年10月に都市計画案及び環境影響評価書案説明会を開催し、計画図やスライド、パンフレット等を用いて適切に説明を行うとともに、御意見等のある方々と質疑応答を行いました。また、説明会後も電話や窓口等において個別に対応を行うほか、都庁及び区役所において都市計画案の縦覧を行い、縦覧期間中は図面等を都のホームページ上で公開しました。
  引き続き、工事説明会等において工事内容等、丁寧な説明に努めていきたいと考えています。

質問事項
 一の5 また、今後こうした事態を避けるために、早い段階で住民の意見を聞きながら、計画そのものについて検討を行う姿勢が重要だが、見解を伺う。

回答
  鉄道や道路の都市計画案の策定に当たっては、素案を取りまとめた段階で、都市計画素案説明会等にて地元の方々への御説明に努めています。その後、都市計画法の手続及び必要に応じて実施する環境影響評価の手続において、都市計画案等の縦覧を行うとともに、意見書の提出の機会を設けています。今後の都市計画案についても、これまでと同様、説明会の開催等により、丁寧な説明に努めていきたいと考えています。

質問事項
 一の6 線路とホームの隙間の安全確保の問題について、今なら連続立体化事業の設計はこれからであり、ホーム柵とホームステップとの組合せを整備することは可能なはずであるが、見解を伺う。

回答
  鉄道駅におけるホーム柵の設置など、転落防止対策については、鉄道の安全運行の責任を負う鉄道事業者が自ら取り組むことが基本です。

質問事項
 一の7 野方―井荻駅間の連立事業の具体化に当たっては、「踏切渋滞解消促進期成同盟」の目的が区内全面地下化にあることから、この中野区民の意思を尊重すべきだが、見解を伺う。

回答
  西武新宿線野方駅から井荻駅間の連続立体交差化については、現在、課題の把握を行うなど事業化の可能性を検討しています。
  事業化する際は、構造形式などの内容を都市計画や環境影響評価の説明会などにおいて、広く住民の皆様に説明し、理解と協力を得られるよう努めていきます。

質問事項
 一の8 西武新宿線は東西に走っているため、北側は都市計画上の北側斜線部分を幅員6―8メートルの道路ネットワークの形成を図ることが原則になっていると思うが、見解を伺う。

回答
  連続立体交差化を高架式で実施する場合は、環境影響評価に基づき、鉄道高架橋により生じる日影に対しては、高架橋北側に側道を整備することにより、良好な沿線環境を確保することとしています。
  この側道により、沿線地域の交通の円滑化、地域の安全性、防災性の向上なども図られます。

質問事項
 一の9 野方―井荻駅間の連続立体交差事業の検討に当たっては、住民の犠牲が少なく、かつ、区民の地下化の要望を尊重した内容に沿った検討を進めるべきだが、見解を伺う。

回答
  西武新宿線野方駅から井荻駅間の連続立体交差化については、現在、事業化の可能性について検討しています。
  連続立体交差化の構造形式については、地形的条件、計画的条件、事業的条件などを比較検討の上総合的に判断し、最適な構造形式を選定することとしています。
  事業化する際は、構造形式や必要な環境保全措置などの内容を、都市計画や環境影響評価の説明会などにおいて、広く住民の皆様に説明し、理解と協力を得られるよう努めていきます。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
一 TPP問題について

一 TPP問題について
TPPは日本農業に壊滅的打撃となるのをはじめ、「国のかたちを変える」といわれるほど国民生活に影響を与えます。そのTPPを、安倍政権が自ら命運をかける成長戦略の突破口にしようとしていることは見過ごせません。参院選後に開かれた政府の規制改革会議は、営利目的で農地の荒廃につながる株式会社の農地取得や、国民皆保険制度の崩壊につながる混合診療の全面解禁などを進める姿勢を鮮明にしています。
一方、知事は、7月26日の記者会見で、TPPが都内産業に及ぼす影響について認識を問われましたが、答えられませんでした。
「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、独自に「関税撤廃による生産、所得への都道府県別影響」を試算し、発表しています。私たちは、この試算をおこなってきた先生方から話を聞きましたが、関税撤廃による都内の農林水産生産額の影響は、政府の試算方式を連用するとマイナス31億円で、関連産業まで含めた都内の影響は55億円です。さらに、全国的には、農業以外への影響の波及で国内生産額は11.7兆円減少し、都内産業がうける影響額は約1.1兆円にまでなります。これは北海道に次ぐ大きな影響です。
東京都の場合、特に影響を受けるのは第3次産業で、9700億円です。これは、先生方の説明では、関税撤廃で小麦が輸入されるとなると、そのほとんどは小麦粉として加工されて輸入されるために製粉工場の設備が過剰になるなど、肉、乳製品など、関税撤廃の品目は同様の影響を受け、畜舎、肥料、農薬、耕ウン機などの農林漁業関連の設備投資関連工場、農林漁業関係産業が影響を受けるからです。都内の企業には、本社機能をもっているところが多く、金融、輸送、食品、運輸などが影響を受け、都内全体の影響額の約9割は、第3次産業が大打撃を受けます。
1 知事、7月の記者会見から2ヶ月経過していますが、TPPによる関税撤廃による東京の産業が受ける影響について、こうした試算をすすめ、検証するよう求めますが、どうか。
米国では遺伝子組み換えの稲の開発が進み、残留農薬基準もマラチオンという殺虫剤で比べた場合、米国基準は日本の80倍です。豆腐や味噌などへの遺伝子組み換え大豆使用の表示義務は、TPPの非関税障壁の対象とされると言われています。サケ・マス類も57%が外国産になると言われていますが、米国では2倍速く成長する遺伝子組み換えサケが市場に出回る可能性もあります。
TPPへの参加は、遺伝子組み換え表示、残留農薬基準などは、非関税障壁の撤廃の対象となります。そのため、食の安心・安全が大きく崩されるということで、消費者を中心に、大きな不安、反対運動が広がっています。
知事は、この点について、7月26日の記者会見で、遺伝子組み換え表示の撤廃に賛成か反対か問われて、「表示をきちんとやるようにすべきだ」「当たり前のこと」と述べました。
2 知事、国がTPP参加に向けて暴走している中、遺伝子組み換え表示、現在の日本独自の残留農薬基準を守るために、具体的にどのような取り組みをするのですか。
TPP交渉は、安倍首相のもとで「アジア太平洋地域の活力を取り込む」「この地域の貿易や投資のルールづくりに参加する」とすすめられたものです。
しかし、アジアの主要国である中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、インドなどは参加していません。日本が参加しなかったからといって、アジアや世界から取り残されるというものではありません。
日本がTPPに参加することで、交渉国全体のGDPで日米の80%を占めるようになり、実質的には日本がアメリカのルールに飲み込まれ、アメリカの多国籍企業の利益のために、国の主権が著しく侵害される事態になりかねません。
例えば、安価なジェネリック薬品の普及に大きな影響を与え、医療保険財政の立て直しを目指している厚労省の医療財政政策に決定的な障害になる「知的財産権」分野で米国が特許期間の延長を主張しています。
さらに漁港整備や経費の高騰にたいして補塡するなどの漁業補助金まで禁止されかねず、東北の震災復興を含め我が国の漁業に壊滅的な影響を受ける内容があります。
自治体の公共事業で、地元の中小建設会社を優先するのは差別だとされます。地元中小企業が多大な影響を受けます。
外国投資家、企業が、進出先及び投資先の政府にたいして損害賠償等を求めることができるISD条項が協議のテーブルに乗せられると言われています。
このように、数々の問題があるにもかかわらず、政府は国会決議にもなっている「十分な情報を国民に提示」は実行されず、交渉経過も、日本政府の提案内容も明らかにせずに、秘密裏にすすめられることは許されません。
3 知事、農業、医療、食の安全、国民生活を土台から壊し、日本をまるごとアメリカに売り渡すTPPについて、「中身も知らせず、何も分からないまま賛成しろ」という安倍政権の暴走をとめるために、反対の立場を表明するよう求めるものですが、どうですか。

平成25年第三回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 TPP問題について
  1 TPPによる関税撤廃による東京の産業が受ける影響について、こうした試算をすすめ、検証するべきだが、見解を伺う。

回答
  TPPが産業に与える影響としては、プラス面については、工業製品の国際競争力を後押しし、輸出の拡大が期待される一方で、マイナス面については、例えば農業分野について輸入が増加し、国内の農業に影響を与えると指摘されています。
  なお、関税が撤廃された場合における都道府県別の影響額を算出することは技術的に困難であり、都として独自に試算を行う予定はありません。

質問事項
 一の2 国がTPP参加に向かっている中、遺伝子組換え表示、現在の日本独自の残留農薬基準を守るために、具体的にどのような取組をするのか、見解を伺う。

回答
  TPP政府対策本部は、「政府が現時点で得ている情報では、現在のTPP交渉において、残留農薬基準や遺伝子組換え食品の表示義務といった、個別の食品安全基準の緩和は議論されていない」と説明しています。
  都としては、今後とも国の動向を注視していきます。

質問事項
 一の3 TPPについて、安倍政権の暴走をとめるために、反対の立場を表明するよう求めるものだが、見解を伺う。

回答
  TPPのような国家間の通商交渉は、政府の専権事項です。
  本年3月、TPPへの参加を表明した際に安倍首相は、「交渉を通じて国益を踏まえて、最善の道を実現します」と発言しました。政府においては、現在それに沿う形で、交渉を進めているものと認識しています。

平成25年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
一 「3次元顔形状データベース自動照合システム」について

一 「3次元顔形状データベース自動照合システム」について
警視庁が試験運用している「3次元顔形状データベース自動照合システム」(以下「システム」)に関して、基本的な点について質問します。
1 「システム」の試験運用の期間はいつからいつまでですか。
2 試験運用に関する各年度ごとの予算額(決算額)はいくらですか。支出事項ごとに示されたい。
3 試験運用する「システム」には、照合対象者の3次元顔形状データが登録されますが、登録データはどのような基準で選び出すことになっているのですか。
4 警視庁が委託した「テロ対策へ向けた民間カメラの活用に関する調査研究報告書」(以下「研究報告書」)によれば、対象者は「テロリストや指名手配被疑者等」となっていますが、そのとおりですか。そのとおりなら、「テロリスト」「指名手配被疑者」の基準はなにですか。「等」にはなにが含まれるのですか。
5 試験運用においてモデル地区の選定はどのように行なわれたのですか。いくつのモデル地区が選定されているのですか。
6 モデル地区では、防犯カメラは何台活用されているのですか。民間と公設の防犯カメラはそれぞれ何台ですか。
7 試験運用にあたって、防犯カメラ設置者や地元町会・住民などとどのような協議・合意を経ているのですか。
8 防犯カメラに撮影され、顔画像が警視庁に送信される市民の肖像権やプライバシーの保護はどのようにはかられているのですか。
9 防犯カメラから警視庁のサーバに送信され、登録データとの照合にあてられた顔画像データは、どのような方法で、どれだけの期間保存されるのですか。
  上記の画像はどのように消去され、消去されたことがどのような方法で検証・確認されるのですか。また、上記の画像の情報流出防止措置は、どのように講じられているのですか。
10 「システム」に活用されている防犯カメラに撮影された画像の保存、管理、消去はどのようなシステムになっているのですか。上記防犯カメラの画像の保存、管理、消去は、警視庁の責任で行なうのですか、防犯カメラ設置者の責任ですか。
11 防犯カメラに取り付けられた「顔認識・顔画像切り出し装置」で切り出された顔画像データの、保存、管理、消去はどのようなシステムになっているのですか。上記装置の顔画像データの、保存、管理、消去は、警視庁の責任で行なうのですか、防犯カメラ設置者の責任ですか。
12 「研究報告書」では、「定期的に検証しながら、防犯カメラ設置者や地元の要望・意見を尊重」するとしています。検証はどのように行なわれているのですか、2013年3月頃に第1回目の検証が実施される予定と聞いていましたが、検証は実施されたのですか。また、地元の要望・意見を尊重する手段はどのように講じられているのですか。
13 検証結果は、公表されるのですか。
14 試験運用開始以降のシステム登録数、照合合致数、検挙・捕捉数はそれぞれいくらですか。
15 試験運用はいつまで続けるのですか。試験運用終了後はどうするのですか。

平成25年第三回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 3次元顔形状データベース自動照合システムについて
  1 システムの試験運用の期間はいつからいつまでなのか伺う。

回答
  本システムの試験運用の期間は、平成23年3月1日から平成26年2月28日までです。
  なお、通報する機能を活用した試験運用(照合の結果、データベースの登録データと合致した場合に、防犯カメラの設置場所を管轄する警察署に通報する機能を活用した試験運用)の期間は、平成24年9月14日から平成26年2月28日までです。

質問事項
 一の2 試験運用に関する各年度ごとの予算額(決算額)はいくらなのか。支出事項ごとに伺う。

回答
  試験運用に関する各年度の支出ごとの予算額・決算額は、次のとおりです。
 ・平成22年度の予算総額は3,549万8千円、内訳は、機器リース代3,125万8千円、通信回線等424万円
 ・平成22年度の決算総額は202万3千円、内訳は、機器リース代110万4千円、通信回線等91万9千円
 ・平成23年度の予算総額は7,006万3千円、内訳は、機器リース代6,239万5千円、通信回線等730万8千円、電気料金36万円
 ・平成23年度の決算総額は2,228万4千円、内訳は、機器リース代1,236万8千円、通信回線等964万3千円、電気料金27万3千円
 ・平成24年度の予算総額は2,228万4千円、内訳は、機器リース代1,236万8千円、通信回線等964万3千円、電気料金27万3千円
 ・平成24年度の決算総額は2,228万4千円、内訳は、機器リース代1,236万8千円、通信回線等964万3千円、電気料金27万3千円
 ・平成25年度の予算総額は2,068万2千円、内訳は、機器リース代1,134万4千円、通信回線等906万5千円、電気料金27万3千円

質問事項
 一の3 試験運用するシステムには、照合対象者の3次元顔形状データが登録されるが、登録データはどのような基準で選び出すことになっているのか伺う。

回答
  基準については、「3次元顔形状データベース自動照合システム運用要綱」を制定して定めています。
  その登録対象者は、指名手配被疑者等を定めています。

質問事項
 一の4 警視庁が委託した「テロ対策へ向けた民間カメラの活用に関する調査研究報告書」によれば、対象者は「テロリストや指名手配被疑者等」となっているが、そのとおりなのか。そのとおりならば、「テロリスト」「指名手配被疑者」の基準は何か。「等」には何が含まれるのか、見解を伺う。

回答
  データベースの登録対象者は、質問事項一の3に対する回答のとおり、「指名手配被疑者等」です。
  なお、「指名手配被疑者等」とは、「警視庁指名手配被疑者等(指名手配被疑者及び刑事部長が指定した重要凶悪事件や社会的反響の大きい事件の被疑者で指名手配登録手続中の段階にあるもの)」、「警察庁指名手配被疑者」、「他府県指名手配被疑者」をいいます。

質問事項
 一の5 試験運用において、モデル地区の選定はどのように行われたのか。いくつのモデル地区が選定されているのか伺う。

回答
  指名手配被疑者等の立ち回り先となり得る大規模集客施設等から1か所を選定しています。

質問事項
 一の6 モデル地区では、防犯カメラは何台活用されているのか。民間と公設の防犯カメラはそれぞれ何台なのか伺う。

回答
  民間の防犯カメラ20台に接続しています。民間以外の防犯カメラには接続していません。

質問事項
 一の7 試験運用にあたって、防犯カメラ設置者や地元町会・住民などと、どのような協議、合意を経ているのか伺う。

回答
  本システムの試験運用に先立って、接続先の防犯カメラ設置者と協議を行い、試験運用の協力について了解を得ています。

質問事項
 一の8 防犯カメラに撮影され、顔画像が警視庁に送信される市民の肖像権やプライバシーの保護は、どのようにはかられているのか伺う。

回答
  登録対象者の顔画像データに合致したもの以外は、瞬時に消去され、保存されることはありません。

質問事項
 一の9 防犯カメラから警視庁のサーバに送信され、登録データとの照合にあてられた顔画像データは、どのような方法で、どれだけの期間保存されるのか。上記の画像はどのように消去され、消去されたことが、どのような方法で検証・確認されるのか。また、上記の画像の情報流出防止措置は、どのように講じられているのか伺う。

回答
  本システムは、登録対象者の顔画像データと合致したもの以外の画像データは瞬時に消去され、保存されることはありません。
  合致情報については、その保存期間を最大で1週間と定めており、運用上不要になった場合には、1週間を待たずに速やかに消去することとしています。
  また、「3次元顔形状データベース自動照合システム運用要綱」を制定して厳格に管理運用することにより、画像データの情報流出防止に万全を期しています。

質問事項
 一の10 システムに活用されている防犯カメラに撮影された画像の保存、管理、消去はどのようなシステムになっているのか。上記防犯カメラの画像の保存、管理、消去は、警視庁の責任で行うのか。防犯カメラ設置者の責任なのか、見解を伺う。

回答
  本システムは、防犯カメラ設置者が管理する防犯カメラの画像データの分岐を受けて、運用しています。したがいまして、分岐を受けて提供された画像データについては、警視庁の責任で管理しています。

質問事項
 一の11 防犯カメラに取り付けられた「顔認識・顔画像切り出し装置」で切り出された顔画像データの保存、管理、消去はどのようなシステムになっているのか。上記装置の顔画像データの保存、管理、消去は、警視庁の責任で行うのか。防犯カメラ設置者の責任なのか、見解を伺う。

回答
  分岐を受けて提供された画像データから、「顔認識・顔画像切り出し装置」により顔画像データを切り出して登録データと照合し、合致したもの以外の画像データは、瞬時に消去され保存されることはありません。
  分岐を受けて提供された画像データについては、警視庁の責任で管理しており、「顔認識・顔画像切り出し装置」により切り出した顔画像データについても、警視庁で管理しています。

質問事項
 一の12 「研究報告書」では、「定期的に検証しながら、防犯カメラ設置者や地元の要望・意見を尊重」するとしているが、検証はどのように行われているのか。2013年3月頃に第1回目の検証が実施される予定と聞いていたが、検証は実施されたのか。また、地元の要望・意見を尊重する手段は、どのように講じられているのか伺う。

回答
  通報する機能を活用した試験運用は、平成24年9月14日から開始し、外部有識者による第1回目の本システムの活用状況の検証を本年3月に実施し、第2回目の検証を9月から10月にかけて実施しました。
  なお、外部有識者による検証結果を含め、本システムの活用状況を本年4月に東京都公安委員会に対して報告しております。10月には第2回目の報告を実施しました。
  また、本システムの試験運用は、大規模集客施設等に設置されている防犯カメラ画像の提供を受けていることから、随時防犯カメラ設置者と連絡をとり、その要望・意見を尊重しながら運用しています。

質問事項
 一の13 検証結果は公表されるのか伺う。

回答
  本システムの活用状況についての検証結果は、東京都公安委員会に対して報告するものとしています。

質問事項
 一の14 試験運用開始以降のシステム登録数、照合合致数、検挙・捕捉数は、それぞれどのくらいなのか伺う。

回答
  データベースの登録対象者数については、公にすることにより、本システムの捕捉能力や登録対象者に関する情報等が明らかになることから申し上げられませんが、「3次元顔形状データベース自動照合システム運用要綱」で定めた登録基準を満たす者以外は登録していません。照合合致数及び検挙・捕捉数は現在までありません。

質問事項
 一の15 試験運用はいつまで続けるのか。試験運用終了後はどうするのか、見解を伺う。

回答
  試験運用は、質問事項一の1に対する回答のとおり、平成26年2月28日をもって終了します。なお、試験運用終了後に引き続いての本実施への移行は予定しておりません。

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