平成二十五年東京都議会会議録第十三号

〇副議長(藤井一君) 二十一番柴崎幹男君。
   〔二十一番柴崎幹男君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇二十一番(柴崎幹男君) 初めに、都政運営について伺います。
 現在、東京都は三環状道路の整備を進めておりますが、私の地元、練馬区大泉でも、外環道の工事が開始の運びとなりました。外環は、交通渋滞の解消、環境の改善、交通物流拠点の連携などを進めるとともに、災害時には迅速な救命救急活動を支える高速道路として重要な役割を果たすことが求められています。昨年九月の東名ジャンクションでの着工に続き、本年六月には大泉ジャンクションでも準備工事に着手しました。
 そこで、二〇二〇年夏に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックまでの完成に向けて、外環の整備促進への都の取り組みについて伺います。
 ところで、環状道路の構想は昭和初期までさかのぼりますが、長い時を経ての環状道路の整備の歩みは、五十年、百年先を見越した都市づくりの重要性を示しています。そして、未来をしっかりと見据える政治と行政の意思が、今日ますます問われていると感じております。
 グローバルな競争に勝ち抜くためには、東京が一段と実力と魅力を増していく必要があります。それには、インフラ整備をさらに進め、都市機能を強化する必要があります。また、インフラ整備から人の往来や経済活動を活性化し、文化やスポーツの一層の振興が重要であります。可能性の宝庫である東京が、そのポテンシャルを存分に発揮し、日本を新たな成長軌道に乗せ、そのプレゼンスを世界に示していくことが、今、求められています。
 今後、長期ビジョンが策定されますが、十年後だけでなく、五十年先、百年先を見据えながら、東京の都市としての魅力、競争力を高める都政運営を進めていただきたいと考えます。知事のご所見を伺います。
 次に、防災公園について伺います。
 東京都は、平成二十三年に都市計画公園・緑地の整備方針を改定し、今後十年間に優先的に整備着手する都立公園を明らかにしました。地元練馬区では、遊園地としまえんを含む地域、約二十一・九ヘクタールが練馬城址公園として優先整備区域に指定されました。世界初の流れるプールを初めとした屋外プールは東京の夏の風物詩ともなっており、猛暑であったこの夏も大変なにぎわいを見せていました。練馬区内随一の大規模集客施設であり、今後の事業化に当たっては、地元の意見や要望を十分に酌み取り、地元自治体と協働して、としまえんのにぎわいを高めるような公園として整備していく必要があります。
 今後、地元とどのように協議を進めていくのか伺います。
 整備方針では、練馬城址公園は、首都東京の防災機能を強化するため、避難場所として確保する公園と位置づけています。九十年前の関東大震災では、猛火によって多くの犠牲者が出ました。その教訓からも、避難場所の確保が重要であることはいうまでもありません。
 今後、練馬城址公園の計画に当たり、にぎわいとともに防災性を兼ねた公園の整備を目指すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、交通インフラ整備について伺います。
 東京都の鉄道ネットワークについては、現在、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号を基本に、平成二十七年を目標年次として路線の整備が進められています。しかし、答申に位置づけられていながら未着手となっている路線も多く残っています。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催やリニア中央新幹線の開業が予定される中で、鉄道ネットワークの充実に向け、どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。
 これまで五期務めた練馬区議会時代に、大江戸線延伸促進期成同盟の副会長として、地元の悲願である大江戸線延伸の実現に向け、都への要請活動を行ってきました。導入空間となる補助二三〇号線の整備についても、笹目通りから約九百三十メートル区間で既に交通開放され、本年の冬には土支田通りまでの区間で交通開放を目指すなど、街路整備が着実に進み、延伸への地元の期待はさらに高まっています。
 二十三区北西部の交通不便を解消するため、大江戸線の大泉学園町までの早期延伸の実現を強く要望します。
 また、西武新宿線はいまだ数多くの踏切が残されているため、慢性的な交通渋滞の原因となり、踏切事故の危険性も伴っております。このような問題を解消するためには、踏切を一挙に除去する連続立体交差事業を推進することが必要不可欠であります。西武新宿線の井荻駅から東伏見駅間は、都において連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけられたことから、地元の踏切解消への期待も高まっております。上石神井駅では、平成十三年に駅周辺まちづくり協議会が発足するなど、武蔵関駅、上井草駅と、それぞれがまちづくり協議会を形成して活発な活動を進めております。
 こうした中で、本区間の連続立体交差化の検討状況について伺います。
 次に、産業振興について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催決定は、東京の産業力発展、強化に向けた追い風になることは間違いありません。大事なのは、この勢いを大企業だけにとどまらせず、地域の中小零細企業に光が当たるようにすることであります。
 厳しい経営環境の中で、中小零細企業の経営者にとって一番の悩みは、何といっても日々の資金繰りであります。都の中小企業制度融資では、企業の信用力に応じて無担保融資も行われています。しかし、成長性が見込める企業であっても、創業から間もない場合や売上規模が小さい場合は、十分な信用力がないため不動産担保が必要となり、資金調達が厳しいのが現状であります。現在の制度に加え、例えば、資産価値のある動産物件などを活用し、資金調達手段の多様化を図ることも有効と考えます。
 都は、中小零細企業の選択肢を広げるため、金融施策の充実を図るべきと考えますが、ご所見を伺います。
 あわせて、中小零細企業にとりまして、人材の確保も大変厳しい状況であります。また、地元練馬区では、就学前児童が三万四千人超と、世田谷区、江戸川区に次いで、子育てのため離職した女性が多くいると考えられています。意欲がありながら十分に能力を発揮する機会に恵まれない人たちが、職業訓練により再び新たなスキルを身につけて活躍していくことも必要であります。
 地域産業の人材ニーズや労働市場の動向を踏まえ、中小零細企業の人材確保とともに、再就職を目指す女性の能力開発を充実させていくべきでありますが、ご所見を伺います。
 また、中小零細企業の従業員の能力の向上も、持続的な成長を図るためには欠かせません。特に、東京の産業の強みであるものづくりにおいては、熟練技術者の高齢化が進み、蓄積されてきた熟練技能や卓越したノウハウについて、次代を担う青年技術者へと継承していくことが重要であります。
 ものづくりの現場で働く若者の技術向上に資するよう、職業能力開発を充実させるべきでありますが、ご所見を伺います。
 近年、近隣に商店がなくなり、交通手段も確保できず、日常の買い物に不便の生じる買い物弱者の問題が取り上げられています。今後、高齢化社会が進むにつれて、さらに深刻化するものと考えます。
 我が自民党は、かねてより、買い物弱者対策のモデルとなる事業を行うべきとの提案を行い、これを受けて、都においては、昨年度からモデル事業を活用して、商店街が買い物の不便な地域に共同の店舗をつくり、商品を自宅近くで購入できるサービスを展開しています。
 今後、より一層、買い物弱者対策という観点から商店街への支援策を幅広く検討すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、教育について伺います。
 教育委員会は、一昨年、高等学校における日本史の必修化を機に、都独自の教材である「江戸から東京へ」を作成しました。この教材を拝見しましたが、東京に残る身近な史跡や文化財などを活用し、地理的な視点も踏まえ、近現代史の大きな流れを総合的に理解させる工夫を凝らしたすばらしい教材です。今後とも、この教材の一層の活用を期待したいと考えております。
 また、私の出身校である都立大泉高等学校に設置された附属中学校で使用している社会科の教科書がすばらしいとの評判から、早速読んでみました。我が国の歴史や文化を尊重し、国の郷土に対する愛情を深めるという点でとてもすぐれた教科書であり、感心したところであります。今後も、こうした内容の教科書を都立中学校で使用できるよう期待しております。
 都立中学校で使用する教科書について、都教育委員会はどのように採択を行っているのかお伺いします。
 次に、東京都駐車場条例に基づく建築物への駐車場附置義務制度について伺います。
 この制度は、路上駐車を減少させ、道路交通の円滑化に寄与してきました。しかし、近年、区部の駅周辺など公共交通の充実した地域では、建物用途によっては駐車場の利用率が低いものもあるようです。本年の第一回定例会では、都は、駐車場の利用状況を調査した結果、区部の共同住宅や大規模な事務所では最大利用台数の平均が附置義務基準を下回るようなので、駐車需要の実施に即して基準の見直しを検討していくとのことでした。
 そこで、附置義務基準の見直しへの取り組み状況について伺います。
 最後に、自転車の安全走行について伺います。
 自転車事故の増加や利用者のルール、マナー違反等の問題に対処するため、都は今春、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を制定しました。今後はこの条例の理念を社会に広げていくことが重要であります。
 ところが、まちに目をやると、イヤホンやスマートフォンを使用するなど、危険な自転車利用が目立ちます。ほかにも、赤信号や一時停止を無視するなど、自転車が被害者になるだけでなく加害者にもなり得る状態にあります。こうした危険な自転車利用は子供に限ったことではなく、通勤者、主婦、高齢者など大人にも見られるのが実態であります。
 私も自転車をよく利用していますが、東日本大震災以降、幹線道路において通勤目的と思われる自転車利用が増加するなど、自転車が東京のライフスタイルに溶け込みつつあります。その点からも、大人に対する自転車の安全利用の促進に向けた一層の取り組みが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終了いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 柴崎幹男議員の一般質問にお答えいたします。
 五十年先、百年先を見据えた都市づくりについてでありますが、道路、空港、港湾、鉄道など都市インフラは、交通、物流ネットワークを形成し、人間の社会活動や経済活動を支えるものであります。明治以来、長い時を経て整備されてきた都市インフラを礎として、東京と首都圏は大きな発展を遂げてきました。
 人や物の流れがグローバル化しており、森記念財団の二〇一二年の世界都市ランキング調査によれば、ロンドンがニューヨークを抜いて一位になりました。これはオリンピック・パラリンピックの影響が大きいというふうに見られております。ちなみに、一位がニューヨークだったのがロンドンになった、三位はパリ、そして四位が東京、この四つが断トツで、あと、ぐっと下がって、シンガポールやいろんな大きな都市になりますけれどもね。
 そういうことで、グローバル化して激化する都市間競争、この非常に激化しているところを勝ち抜いてオリンピック・パラリンピックを開催することで、五十年先、百年先を見据えた都市インフラの強化が不可欠であるということであります。
 このため、引き続き、三環状道路や幹線道路の整備を強力に進めて広域的な道路ネットワークを形成し、人、物の流れをさらに加速させる。三環状がこれでそろうと大分違ってきます。
 それともう一つ、一位の理由というか、東京が四位になってしまう理由は、やっぱり空港のキャパシティーなんですね、国際空港の。
 そういう意味で、そういう増大する航空需要に対応するため、羽田空港の発着容量の拡大や横田基地の軍民共用化の実現に取り組み、首都圏空港のさらなる機能強化、成田、羽田、横田、こういう国際化を推進していくということが一番、都市ランキングにとっては重要だということになります。
 さらに、各種インフラの適切な維持管理と老朽化に対応した計画的な更新により都市機能を確保して、東京を持続的発展が可能な都市にしていく。
 引き続き、世界一の都市の実現に向けて、東京の魅力と競争力を高める都市づくりに取り組みます。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 都立中学校の教科書の採択についてであります。
 都立中学校で使用する教科書の採択の権限は、都教育委員会にあることが法令により定められております。
 都教育委員会は、東京都教科用図書選定審議会の答申に基づき、学習指導要領、都教育委員会の教育目標のほか、各都立中学校の特色などを踏まえ、学校ごとに最も適した教科書を採択しております。
 具体的には、それぞれの教育委員が、教科書調査研究資料などを参考に、採択の対象となる教科書を事前に検討した上で、みずからの判断で教科書を選び、委員相互の協議を経て、最終的に採択する教科書を決定しております。
 今後とも、採択権者である都教育委員会は、その責任と権限において、都立中学校で使用する教科書を適正かつ公正に採択をしてまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道ネットワークについてでございますが、都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。
 都は、国や鉄道事業者などと連携し、運輸政策審議会答申に位置づけられた路線の実現に向け取り組んでおります。
 この答申で、二〇一五年までに開業することが適当とされた都内の十六路線は、既に開業または事業中でございます。
 一方、二〇一五年までに整備着手することが適当とされた路線につきましては、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。
 都としては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、未着手の路線の整備につきまして、国や関係自治体、鉄道事業者などと検討していくとともに、鉄道ネットワークに関する国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、駐車場の附置義務についてでございますが、建築物の建築の際に設置を義務づけている駐車場につきまして、昨年度実施いたしました利用状況調査の結果を踏まえ、現在、設置基準の見直しを行っております。
 具体的には、区部における共同住宅及び大規模事務所にかかわる基準を緩和するとともに、既存建築物につきましても、見直し後の基準まで駐車場を減らせることとし、防災用倉庫などのスペースとして活用できるようにしてまいります。
 また、個々の建築物に設置すべき駐車場の集約化などを可能とする制度につきまして、対象地域を都心部などから拡大し、全ての区市が活用できるようにいたします。
 今後、これらの見直し案につきましてパブリックコメントを行い、区市とも連携しながら、附置義務制度の見直しに取り組んでまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 最初に、外環の整備促進に向けた取り組みでございますけれども、外環は、東京の渋滞解消のみならず、首都圏の陸海空の交通の要衝を結ぶ重要な幹線道路でございます。
 さらに、切迫する首都直下地震などにおいても、日本の東西交通の分断を防ぎ、国民の生命と財産を守る命の道として、一刻も早く完成させる必要があります。
 国と東日本及び中日本高速道路会社は、東名─大泉に続き中央ジャンクションの準備工事に着手し、全てのジャンクションで工事を開始いたしました。都は、引き続き国から受託している大泉ジャンクション地域の用地取得を全力で推進してまいります。
 また、オリンピック・パラリンピックのためにも、二〇二〇年早期の開通に向け、国などに対し、スピード感を持って事業を推進するよう強く働きかけてまいります。
 次に、練馬城址公園の整備に関する地元との協議についてでございますが、この公園は計画面積約二十六・六ヘクタールの総合公園であり、平成二十三年に改定した都市計画公園・緑地の整備方針で、平成三十二年度までに事業に着手する優先整備区域約二十一・九ヘクタールを設定しております。
 今後、地元区や広く都民の声を聞きながら、豊かな緑と区域内を流れる石神井川を生かした水と緑のネットワークを形成し、防災面にも十分配慮しつつ、安らぎとレクリエーションの拠点として整備することを目指して、具体的な施設の考え方について検討を進めてまいります。
 次に、防災性を兼ね備えた練馬城址公園の整備についてでございますが、この公園の予定地は、約五万五千八百人を受け入れる避難場所に既に指定されており、今後、公有地化して整備することにより、将来にわたって避難場所としての機能を確実に担保することができます。
 防災公園として整備する場合には、夜間の停電時に避難者を誘導するソーラー式公園灯や、水道の供給がとまっても使用できる防災トイレなど、避難時に必要となる防災施設を設置していくこととなります。また、区域内に石神井川が流れていることから、雨水貯留浸透機能を持たせることで、豪雨対策にも寄与することができます。
 今後とも、都立公園の整備に当たっては、震災対策はもとより、水害対策など防災機能の強化に努め、高度防災都市実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 最後に、西武新宿線井荻駅から東伏見駅間の連続立体交差の検討状況についてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 西武新宿線の井荻駅から東伏見駅間の約五キロメートルには、ピーク時一時間当たり、遮断時間が四十分以上のあかずの踏切が七カ所あり、鉄道立体化により踏切を解消することが必要であります。
 このため、都は、現在、事業範囲や構造形式などの調査を実施するとともに、課題の把握を行うなど事業化の可能性について検討しております。
 今後とも、鉄道事業者と連携し、地元まちづくりの動向を勘案しながら鉄道立体化の検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の資金調達の多様化についてでありますが、中小企業の資金調達については、経営の安定化や成長を支える観点から選択肢を広げていく必要がございます。そのためには、これまでの不動産担保や個人保証による借り入れに加え、動産を借り入れの担保として活用することも有効な手法であると認識しております。
 一方で、動産担保による融資は適正な担保評価が難しく、また、評価にかかる費用負担や担保の厳正な管理が求められるなど、中小企業にとっても負担が大きいことから、活用が進んでいないのが現状であります。
 このため、今後、都としては、このような課題を踏まえつつ、新たな事業展開により成長を目指す企業を後押しするため、売掛金などの動産を担保として活用した新たな融資手法について検討を進めてまいります。
 次に、人材確保等に資する職業能力開発についてでありますが、東京の産業の持続的な成長を図るためには、再就職を目指す女性など求職者の職業能力を高め、地域の中小企業が求める人材として育成していくことが重要であります。
 このため、都は、十四カ所の職業能力開発センターで地域の産業特性を踏まえた多様な訓練科目を設け、女性を初め多くの求職者に実践的な職業訓練を実施しております。
 今後、業界団体などの声を聞きながら、引き続き地域産業の人材ニーズの動向も的確に捉え、新たな訓練科目の開発と訓練内容のレベルアップに取り組んでまいります。
 また、企業現場での能力発揮を望む女性が子育てをしながら受講できる職業訓練を、民間の活用も視野に入れ検討するなど、意欲ある求職者に対する職業能力開発の充実に努めてまいります。
 次に、若年技能者の職業能力開発についてでありますが、従業員の教育訓練は、まずは事業主が行うべきでありますが、資金やノウハウ等の面でみずから実施が困難な中小企業に対しては、若年技能者の育成を図るために実態に合わせたきめ細かい支援が必要であります。
 都は、小規模、短時間の訓練も対象とする独自の助成制度を今年度開始し、企業の負担軽減を図っているほか、従業員教育のノウハウ等を必要とする企業に対しては、現場へ指導者を派遣するとともに、職業能力開発センターにおいて在職者向けの多様な訓練機会を提供しております。
 今後、企業現場における教育訓練の指導人材の確保や、熟練技能者から若手への幅広い分野における技能継承に対する支援の充実などを検討し、若年技能者の職業能力開発を一層推進してまいります。
 最後に、買い物弱者対策への取り組みについてでありますが、商店街は商業活動の拠点であるとともに、地域コミュニティの維持発展を担う重要な役割を果たしております。こうした役割を持つ商店街が、日々の買い物に困難を感じる高齢者などに対するサービスを行っていくことは、地域住民の生活を支える上で極めて大切であります。
 そこで、都は昨年度から、買い物弱者への対策に取り組む商店街を区市町村と連携して支援する買物弱者支援モデル事業を実施しております。これまでに、商店の空白地域において商店街の商品を販売する店舗の開設や、高齢者への宅配、送迎業務などの取り組みが行われております。
 今後、商店街の創意工夫による各地域の特性に応じたさまざまな取り組みが数多く行われるよう、支援内容の充実について検討してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 自転車の安全利用の促進についてお答えいたします。
 自転車の交通事故の多くは大人が関与しておりまして、事故を防止し、また、子供への模範を示すためにも、大人が交通ルール、マナーを習得し、これを守ることが必要です。
 大人に対する安全教育の場としては、地域における身近な安全教室があります。このほか、事業活動や通勤で自転車を利用することがありますので、こういったことを考えますと、事業者による従業員への研修等が効果的であります。
 そこで、都では、事業者が的確に研修を行えるようにするための講習会の開催や、社内研修への講師の派遣などにより事業者を支援しております。
 また、現在策定中の自転車安全利用推進計画では、行政や地域団体のほか、事業者が取り組むべき事項も具体的に明示することを検討しておりまして、社会全体で大人に対する安全教育を展開してまいります。

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