平成二十五年東京都議会会議録第十三号

〇議長(吉野利明君) 四十一番北久保眞道君。
   〔四十一番北久保眞道君登壇〕

〇四十一番(北久保眞道君) 今月八日の早朝、見事に東京が二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定し、日本中が歓喜の渦に包まれました。
 私は、一九六四年の東京大会のとき小学生でしたが、あの感動と興奮、そして日本中の盛り上がりは今でも鮮明に覚えていますので、再び東京で目の当たりにできる喜びはひとしおでございます。
 同時に、わずか七年後には世界最大、最高とも称されるスポーツの祭典を東京で実施するという責務に、都議会の一員として身が引き締まる思いでもあります。
 中でも環境は、二〇〇〇年に開催されたシドニー・オリンピック以降、スポーツ、文化と並ぶ三本柱の一つに位置づけられており、東京も、今回の立候補ファイルや環境ガイドラインにおいて自然と共生する都市環境を実現するとしていることから、開催地周辺はもちろん、東京に緑をふやしていくことは今後の重要な課題だと考えております。
 私の周りでも、オリンピック・パラリンピックを契機として、さらに緑豊かなまちづくりを進めてほしいという都民の期待の声が聞かれます。
 都は、既に前回の招致活動のときから積極的に緑化を進めており、「二〇二〇年の東京」でも千ヘクタールの新たな緑の創出を掲げ、現在も緑あふれる都市東京の実現に向けて取り組んでいますが、これまでの進捗と成果について伺います。
 また、緑の創出といえば、二〇一〇年に愛知で生物多様性条約締約国会議、いわゆるCOP10が開催されて以来、都市の緑化施策には生物多様性の視点が欠かせないと考えます。
 都でも、生物多様性の保全という国際的な潮流を踏まえ、昨年度、緑施策の新展開を策定し、緑の量だけでなく緑の質を向上する方向性を打ち出しており、今年度から新たに市区町村と連携して、在来植物による緑化に取り組んでいます。
 こうした行政による率先した取り組みは民間にも広げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 二番目としまして、多摩地域における都立公園の整備について伺います。
 私の地元、東村山市は、トトロのふるさとといわれる八国山緑地や狭山緑地を有する狭山丘陵に抱かれ、いまだに武蔵野の美しい面影を残す地域であります。この狭山丘陵は、東村山のみならず隣接する東大和市、武蔵村山市、瑞穂町にまたがっており、地元市の緑の基本計画においても、その地域を代表する貴重な緑地に位置づけられております。
 東京都は、都立自然公園や近郊緑地保全区域などを指定し、開発の抑制に取り組んでおりますが、同時に、都市計画公園や緑地を計画し事業を進めています。
 そこで、狭山丘陵における都立公園の位置づけについてお伺いいたします。
 埼玉県側は市街地化が進んだところもある中で、東京都では、西の野山北・六道山から東の八国山までのかなりの区域において公有地化による都立公園の整備を行い、緑の保全と活用を図りながら、都民に広く開放していることは評価に値します。
 狭山丘陵における都立公園の整備状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 三番目としまして、次に、多摩の交通インフラ整備について伺います。
 まずは、連続立体交差事業と道路整備について伺います。
 私の地元である東村山市では、西武新宿線でまちが分断されており、踏切が渋滞の原因となっています。特に、南北の幹線道路である府中街道では、西武新宿線との踏切において慢性的な渋滞が発生しています。このため、西武新宿線の連続立体交差による踏切解消や、府中街道を拡幅する東村山三・三・八号線の整備は市民の強い願いであります。
 そこで、西武新宿線東村山駅周辺の連続立体交差事業と、東村山三・三・八号線の事業化に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、多摩都市モノレールの上北台駅から箱根ヶ崎間の延伸について伺います。
 三十年前の一九八二年には、都は長期計画を策定し、その中に現在運行している多摩都市モノレールの多摩センター駅から上北台駅間の整備を位置づけています。
 その多摩都市モノレールは、平成二十四年度の決算概要では、乗車人員、運輸収入、営業収入、営業収益が過去最高を更新するなど、経営基盤も安定してきています。また、モノレールの導入空間となり得る新青梅街道の拡幅事業が都によって進められている中、地元、武蔵村山市では、都市核地区区画整理事業を中心としたまちづくりに積極的に取り組んでいます。
 長年、上北台駅から箱根ヶ崎間の延伸については、経営の安定化、事業の採算性、沿線まちづくりの進展といったことが事業化の課題とされてきました。今、多摩都市モノレールの延伸整備に向けた環境は整いつつあると考えられます。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催も決定し、区部における都市基盤整備は一層加速することが見込まれますが、多摩地域の都市基盤整備も着実に進めていただきたい。
 そこで、運輸政策審議会答申十八号において、二〇一五年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられている上北台駅から箱根ヶ崎間のモノレールの延伸整備について、都の見解を伺います。
 四番目としまして、次に、多摩振興について伺います。
 都は、多摩地域の振興に向け、我が党の提案を踏まえ、本年三月に新たな多摩のビジョンを策定しました。このビジョンでは、目指す多摩の姿として、魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心が確保された多摩を掲げておりますが、昨日の我が党の代表質問にご答弁いただきましたとおり、全庁を挙げてしっかりと取り組んでいただいて、ぜひ実現を図っていただきたいと思います。
 私は、東村山生まれの東村山育ちという生粋の多摩の人間であり、これまで市議会議員としての活動はもとより、青年会議所やロータリークラブ、商工会などでも地域に根差した活動をしてまいりました。地域の一員として多摩を見ておりますと、一口に多摩といっても、その顔は実に多様であります。
 森林や河川など豊かな自然に恵まれた地域があり、また一方では、商業や工業が集結したまちがあり、また、屋敷林や農地など、身近な緑と調和した住宅地があるというように、地域ごとに異なる魅力を持っています。こうした多様な顔を持つことが多摩地域の魅力であり、同時に強みでもあると思います。
 新たな多摩のビジョンで掲げた多摩の姿を実現するためには、多摩の持つ多様な魅力を多くの方に認識していただいて、多摩に住んでみたい、あるいは訪れてみたいと感じていただくことが重要です。
 都は今後、こうした点を踏まえ、多摩振興を推進するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、横田基地の軍民共用化について伺います。
 今回、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決まり、国内外から多くの人々が飛行機で東京を訪問することから、知事は、改めて横田軍民共用化の必要性を表明されております。
 我が党は、石原前知事がこの問題を提起した当初から、横田軍民共用化は東京の国際競争力向上はもとより、多摩地域の発展にとって大きな効果をもたらす極めて重要な施策と考えてきました。横田軍民共用化は、首都圏の航空需要に応えるだけでなく、地元の産業振興や交通インフラの整備が図られるなど、多摩振興の起爆剤となります。
 しかし、この問題は、日米の外交、安全保障にかかわるものであり、都と国が一枚岩となって取り組まなければ解決は見込めない。
 今後、地元の意向も踏まえながら、国の関係省庁ともしっかり連携して横田軍民共用化を推進していくべきと考えるが、知事の見解をお伺いし、私の質問を終えさせていただきます。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 北久保眞道議員の一般質問にお答えします。
 横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田の共用化は、首都圏の空港容量拡大や企業活動がグローバル化する中で、ますます需要の高まるビジネスジェットの受け入れ促進など、東京と我が国の国際競争力強化に欠かせない取り組みであります。
 また、羽田と成田とあわせ、西にある横田を共用化して活用することは、多摩地域の発展を促進する重要な施策であります。
 この問題は、外交、安全保障に直結するものであり、その解決には、国を動かし日米協議を促進させることが不可欠であります。ご指摘のとおり、国との連携を緊密にして一枚岩で取り組むことが重要と認識しております。今回、長期政権だということを見込んで、きちんとやらなきゃいけないと思っています。
 乗り越えるべきさまざまな困難な条件はありますが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催を契機に国との連携を一層強め、地元の声を聞きながら、多摩地域の活性化に資するよう共用化の実現に向けて取り組んでまいります。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 多摩都市モノレールの延伸についてでございますが、箱根ヶ崎方面への延伸につきましては、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、お話のとおり、二〇一五年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられております。
 都としては、多摩地域における活力の維持向上に向けて、都市間の連携を強化させるとともに、鉄道不便地域を解消させる観点から、整備の必要性が高い路線として認識しております。
 箱根ヶ崎延伸につきましては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や、進捗している土地区画整理事業など、周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討するなど、課題解決に向け知恵を絞ってまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 緑に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、緑施策のこれまでの取り組みと成果についてでございますが、都市の緑は、潤いや安らぎ、風格ある景観の創出など、都市の魅力向上にとって重要な要素でございます。
 都はこれまで、海の森や都市公園の整備、校庭の芝生化、街路樹の倍増などに全庁的に取り組み、平成二十四年度までの六年間で街路樹を約八十四万本までふやすとともに、約五百七十ヘクタールの新たな緑を創出してまいりました。
 また、都民、企業等が緑化等に主体的に取り組む機運を醸成するため、緑の東京募金や、企業による多摩地域の貴重な緑の保全活動の推進など、あらゆる主体が緑の創出や保全に参画できる環境の整備を進めてまいりました。
 引き続き、オリンピック・パラリンピックの開催都市にふさわしい緑あふれる都市の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。
 次に、在来植物による緑化の民間への拡大についてでございますが、生物多様性の保全を図るためには、緑の量の確保に加え、東京の生物の生息空間となる在来植物をふやすなど、緑の質にも配慮することが重要であり、こうした取り組みを拡大していくには、お話のとおり、都民や企業による取り組みが不可欠でございます。
 このため、都は現在、気候や地形などの地域特性に応じた在来植物のリストや植栽方法などを、わかりやすく整理したガイドラインを取りまとめております。
 今後、このガイドラインの普及を図るとともに、都が市区町村と連携して開始しております江戸のみどり復活事業や、民間の先駆的な在来種緑化の事例から得られる知見を収集、蓄積して共有することにより、都民や企業が取り組みやすい環境を整備し、在来植物の植栽を後押ししてまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、狭山丘陵における都立公園の位置づけでございますけれども、狭山丘陵は都心に近接し、多摩湖を含む約千三百六十ヘクタールに及ぶ丘陵地でございます。
 この丘陵は、地域の歴史的資源や雑木林を主体とした良好な里山景観を有し、次世代へ継承すべき水と緑のネットワークの骨格となっており、まさに都民の財産でございます。
 このため都では、狭山丘陵の野山北・六道山公園、観音寺森緑地を初めとする七カ所の都立公園、約七百七十三ヘクタールを一体的に都市計画決定し、公有地化を進めることで、恒久的な緑の保全と活用を図ってきております。
 次に、狭山丘陵における都立公園の整備状況と今後の取り組みでございますが、都市計画が決定されている区域のうち、多摩湖などを除く、都立公園として事業化すべき区域は、七公園、約四百五十ヘクタールでございまして、そのうち四公園、二百七十四ヘクタール、計画面積の約六一%を開園しており、自然に抱かれた展望広場や里山体験施設などを整備してきております。
 今後は、これまで開園されていなかった中藤公園、観音寺森緑地を含む四公園において、観察のための園路やピクニック広場などの整備を進め、狭山丘陵における水と緑のネットワークの充実を図ってまいります。
 最後に、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業などの取り組みについてでございますけれども、本連続立体交差事業は、鉄道を高架化することにより、府中街道などの五カ所の踏切を除却することで、交通渋滞や地域分断の解消に極めて効果の高い事業であります。
 また、この事業とあわせて、西武新宿線と交差する東村山三・三・八号線の約一キロメートルの区間を整備することは、地域のまちづくりや交通の円滑化を図る上で重要でございます。
 現在、この二つの事業については、用地測量や設計を進めており、今年度中には事業に着手する予定です。
 今後とも、東村山駅付近の連続立体交差事業と東村山三・三・八号線の整備について、地元の理解と協力を得ながら積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 今後の多摩振興についてでございますが、多摩地域は、産業集積や豊かな自然など、地域ごとに多様な魅力を有しており、地域の実情に精通した市町村等と連携を図りながら、こうした多摩の魅力を広め、多摩地域の振興を着実に進める必要があります。
 このため、都は、多摩の東京移管百二十周年を迎える本年、多摩フェスティバル等のイベントを、市町村や商工会議所、東京都商工会連合会等と連携して開催するなど、多摩の魅力発信に積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、自然を生かしたトレッキングや多摩の農産物等をPRする出張市場、マルシェの開催、多摩の魅力をまとめた映像の配信など、自然、グルメ、産業といった幅広い分野にわたる多摩の魅力を関係機関と連携して発信することで、多摩振興を強力に推進してまいります。

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