平成二十五年東京都議会会議録第十三号

〇議長(吉野利明君) 七十六番島田幸成君。
   〔七十六番島田幸成君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇七十六番(島田幸成君) まず初めに、オリンピック開催と都市外交についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京開催が決まりました。大変うれしいことで、心からお祝いを述べたいと思います。
 オリンピック開催が決定した今、都は率先して都市外交を進め、ニューヨーク、ロンドン、パリなどと並ぶ国際都市としての地位を確立すべきと考えます。
 もちろん、今回のオリンピックでは、東日本大震災における各国の支援に対して感謝の意をあらわす重要な機会でもあります。また、オリンピックを経験した北京市やソウル市との交流は、アジア地域の経済、文化の発展に大きな影響を与えることと考えます。
 特に、石原知事時代に消極的だった姉妹都市との関係を見直すべきです。そして、例えば姉妹都市関係をベースにして、次世代を担う人材を対象に、日本文化を紹介し、おもてなしの精神を培うために、ホームステイを活用した留学生受け入れ制度を構築してはどうかと考えます。こうした経験は、オリンピック開催時、海外の方々に、日本の家庭のすばらしさを体感していただきながら、心のこもったおもてなしで迎える絶好の機会につながること、間違いありません。
 都市外交の基本認識とオリンピックのレガシーともなる各都市との交流を、今後どのように進めていくのか、知事に見解をお伺いいたします。
 横田基地のオスプレイ配備についてお伺いいたします。
 アメリカ太平洋空軍のカーライル司令官は、七月二十九日会見し、その中で、オスプレイの日本配備について、沖縄の嘉手納基地と並び、東京の横田基地も重要な候補地であると述べました。報道の直後、横田基地周辺五市一町は、日本政府に対し、オスプレイ横田配備の撤回を求める要請を行いました。東京都は、通常、五市一町と連携し、横田基地に対する要望活動を行っておりますが、どうして今回、東京都はオスプレイ横田配備に対し、この要望に加わらなかったのでしょうか。
 猪瀬知事は、会見でオスプレイの横田基地配備に関して国に問い合わせたところ、何の話もないということをおっしゃっております。そうだとしても、国の責任ある司令官がこのような発言をすること自体、理解できません。
 都は、基地の商業的、平和的利用という観点で軍民共用化を目指しておりますが、一方で、オスプレイ配備は、アメリカ軍の横田基地における軍事力増強につながる政策であり、到底認めることはできません。横田基地のオスプレイ配備について、都の見解をお伺いいたします。
 基地の周辺に住む住民は、毎日、航空機の騒音や航空機事故、アメリカ軍基地関係者による事件など、身の危険や生活不安を感じながら生活しております。このような実情を踏まえ、東京都としてリーダーシップを発揮し、オスプレイの配備を初め、横田基地に関するさまざまな課題の対応をしていただくことを強く要望いたします。
 次に、周産期医療、子育て支援についてお伺いいたします。
 西多摩地域は、東京都内において特殊出生率が高い地域であります。平成二十三年度、羽村市とあきる野市は一・四三と、東京で一番高い特殊出生率を記録しております。それは治安がよいこと、あるいは住宅環境、自然に恵まれ、都心に比べると子育てしやすい地域だからと思います。
 少子高齢化が進む中、このような地域性を大切にし、病院や保育所、学校など、医療、教育施設を充実させ、次世代を担う人材育成を中心とするまちづくりが、西多摩を初めとする多摩地域の重要な施策だと考えます。
 ただ、充実した少子化対策が実行されているかというと、必ずしもそうではありません。本年六月には、あきる野市の公立阿伎留医療センターの産婦人科が、医師そして助産師が急に退職したとの理由で閉鎖になっております。このセンターでは、毎月多くの方々の分娩が行われておりましたが、今は他の施設に振り分けられております。公立福生病院でも、数年前にそのようなことが起こりました。
 今回の閉鎖は、産婦人科医と助産師の意思疎通の不十分から起こった内部事情が原因とされますが、根本には産科や小児科の医師不足や、職場における過密な労働などが背景にあると考えます。特に都心部とは違い、地方の公立病院は財政上も厳しく、医師や看護師の募集も大変苦労している現状があります。
 都はこれまで、産科、小児科、救急医療に従事する医師不足、また医師の多忙、離職後復帰対策について対策を講じておりますが、まだまだ不十分であると考えます。今後、都はどのような対策を講じていくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、産後ケアについてお伺いいたします。
 出産後の母親は、不安や孤立感を抱えることもあるため、サポートが必要となる場合があります。産後の育児不安が、第二子以降の出生行動に影響を与えていることや、乳幼児の虐待の問題にかかわると指摘されていることから、出産後の母親に適切な支援を行い、育児不安を取り除くことは大変重要であります。
 本年七月に出された国の少子化危機突破のための緊急対策では、産後ケアセンターについて、日帰りや宿泊ができる産後レスパイト型事業などが提案されております。都内においても、世田谷区の産後ケアセンターなど、先進的に取り組んでいる事例があります。さまざまな理由で、出産後に実家や親族などを頼れない家庭もふえる中、体調や育児に不安を抱える母親のニーズに応えるためにも、産後ケアサービスの充実を図ることは大変に重要だと考えます。
 今後、都はどのように産後ケアを推進していくのか、見解をお伺いいたします。
 男性の育児参加についてお伺いいたします。
 イクメンという言葉が流行語になり、当たり前のように使われている昨今です。伝統的に、育児は女性がするものという時代から考えると、時代も大きく変化しております。特に近年は働く女性がふえておりますが、女性が働きながら育児するのは大変なことであり、育児不安を初め、幼児虐待などの未然防止、そして子育ての環境の充実のためにも、男性が育児に積極的に参加することが求められます。育児参加の重要性を都民に周知していくこととともに、子育てしやすい環境づくりを進めることが今後の重要な課題であります。
 東京都では、男性の育児参加に関して、これまで以上に積極的な取り組みを行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、教育についてお伺いいたします。
 都立小中高一貫校の設置についてお伺いいたします。
 この件について、前回の予算委員会でも質問させていただきましたが、特にその際、私は、今までの六・三・三制にはとらわれない四・四・四制の教育制度や、これまで都が推し進めた中高一貫校の検証を反映することなどを求めました。四月から検討が進み、先月、途中経過として中間のまとめが公表されました。四・四・四の教育課程が取り入れられていることや、さまざまな取り組みにより理数教育を充実することなど、評価できる点も多々ありますが、その一方で心配な点もあります。
 小学校段階で、理数に関する資質や能力を見分けることの難しさ、小学校五年生から通学場所が変わる影響、また、この構想では十二年の途中から入学も認める方向のようですが、小学校一年生で入学する児童と十二年間の途中で入学する生徒との学力差をどう埋めていくかなど、課題は多いと考えます。
 都は、小中高一貫教育によって、子供たちの資質や能力を十分伸ばすために、今後どのようにこれらの課題に対応していくのか、見解をお伺いいたします。
 最後に、私学振興についてお伺いいたします。
 私は、今まで高等学校授業料の公私間格差の是正を進めることが重要と訴えてまいりました。この間、我が党の政策である国の高等学校就学支援金と東京都の特別奨学金により、私立学校に通う多くの子供たちの就学支援を行ってまいりました。このような実質的な支援により、私学に通う保護者の負担軽減は、大いに改善されている状況でございます。
 現在、政権交代により国の高等学校の無償化の見直しが進められております。都は、これを機に、さらなる公私間格差の是正の観点から、特別奨学金制度を見直すべきだと考えますが、所見をお伺いし、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 島田幸成議員の一般質問にお答えします。
 都市外交に関する基本的な認識と今後の取り組みについてでありますが、洗練された成熟都市東京は、少子高齢化や環境問題など、世界の都市がいずれ直面することになる課題を先取りする位置にあります。東京は、姉妹友好都市やアジア大都市ネットワークの会員都市など世界の主要な都市と互いの持つ知恵や経験を積極的に交換し、協力していきます。本年十一月には、ハノイでアジネット総会が開催されますので、こうした都市問題の解決に迅速に取り組んでいく予定でおります。
 また、オリンピック・パラリンピックは、世界に東京の魅力を知っていただく、またとない機会であります。二〇二〇年に向けて、文化やスポーツなどの分野においても交流を深め、世界の人々と相互理解を促進します。
 こうした取り組みにより、お話もあったように、おもてなしの心を培い、世界中から日本を訪れるお客様をお迎えしたいと思います。
 今後も、都市外交を積極的に推進し、都市の課題解決を通じた国際貢献を果たしていくとともに、オリンピック・パラリンピックの機会を捉えた東京の魅力の発信により、国際的なプレゼンスをさらに高め、東京を世界一の都市へと押し上げていきます。世界の人口の半分は都市にいます。そういうことで、都市外交は積極的にやっていきます。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 小中高一貫教育の課題への対応についてであります。
 都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会の中間のまとめでは、理数に興味、関心のある入学者の決定方法や系統的、継続的な教育活動の推進、一貫教育を行うための教職員の体制などを、今後の検討課題としております。
 これらに加え、小中高一貫教育の実施上の課題として、小学校五年生からは通学場所が異なり、通学経路及び所要時間などが変わることへの対応や、子供たちに学力差が生じた場合の対応などについても指摘をされております。
 今後、こうした課題について、基本構想検討委員会で十分に検討した上で、さまざまな意見も踏まえ、広く都民の理解を得て、よりよい教育の実現に努めてまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 横田基地についての質問にお答えいたします。
 米軍基地の運用に当たりましては、都はこれまでも、地域住民に影響を及ぼす訓練や飛行の実施に関しては、事前に情報提供を行うよう国に求めてまいりました。
 先般、オスプレイについて、米国の太平洋空軍司令官が、横田も配備先の候補の一つと発言したとの報道がありました。
 都は、直ちに国に照会し、日米両国で横田への配備に向けて協議をしている事実はない旨を確認いたしました。引き続き、正確な情報のもと適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず医師確保についてですが、都はこれまで、周産期、小児、救急等に従事する医師を確保するため、奨学金制度を設け、当該分野での勤務に意欲を持つ医学生を支援しており、今年度から卒業生が医師として勤務を開始しました。
 また、病院の勤務医の勤務環境を改善するため、救命救急センターや周産期母子医療センター等を対象に、交代制勤務や短時間勤務の導入、復職支援研修などの取り組みを支援するとともに、地域で出産を支える産科医等に対し、分娩手当等を支給し、産科医の確保に努めてまいりました。
 さらに、本年四月には、都の特性に合った総合的な医師確保対策を推進するため、地域医療支援センターを設置したところであります。
 医師の確保は重要であり、今後とも、こうした医師の育成や就業支援等の取り組みを推進してまいります。
 次に、産後のケアについてですが、子供の健やかな育ちと母の心身の健康を支えるため、区市町村は母子保健事業として、乳幼児健診、保健師による産後の家庭訪問、保護者への相談支援等を実施しております。
 また、訪問等を通じて、育児不安などの心身の負担感を抱える母親を把握した場合には、子供家庭支援センターが必要に応じて育児支援ヘルパーの派遣や、親と子供をともに預かるショートステイ、デイケアの提供などを行っており、都は、こうした取り組みを包括補助事業等により支援をしております。
 今後、先進的な取り組み事例の紹介も行いながら、区市町村において、産後の母親へのケアの取り組みが一層充実するよう支援してまいります。
 最後に、男性の育児参加についてですが、男性の育児参加を進めるには、子育てに関する意識啓発や、子育てを社会で支える環境づくりが必要であります。
 このため、都は、母子健康手帳交付時などに配布できるよう、育児の基礎知識などの情報をまとめた「父親ハンドブック」を作成するほか、都と関係団体で構成する子育て応援とうきょう会議のホームページにパパのお悩み一一〇番を開設し、父親の子育てに関する相談に対応しております。
 また、男性社員の子育て参加も含め、仕事と家庭の両立についてのすぐれた取り組みを進める中小企業を認定し、その内容を広く発信しております。
 今後とも、こうした取り組みを推進し、男性が積極的に育児参加ができる環境づくりを進めてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立高校生への特別奨学金制度についてでありますが、都は、公私格差是正の観点から、経常費補助を通じて授業料の抑制を図るとともに、国が平成二十二年度に就学支援金を導入する以前から、特別奨学金により所得に応じて授業料の補助を実施してきております。
 現在、国では、就学支援金制度の見直しが進んでおりますが、その内容は、私立高校生の一律支給を改め、所得制限を設けることにより、低所得者に対する支給の重点化を図るものでございます。
 都としては、国の見直しの状況を注視しつつ、今後の対応を検討してまいります。

〇副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十三分休憩

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