平成二十五年東京都議会会議録第十三号

   午後一時開議

〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(吉野利明君) あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(吉野利明君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十五号、東京都保育所建設用地取得費補助条例、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件九件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(吉野利明君) 昨日に引き続き質問を行います。
 百十六番立石晴康君。
   〔百十六番立石晴康君登壇〕

〇百十六番(立石晴康君) まことに五十六年ぶりに、二〇二〇年、平成三十二年夏季オリンピック・パラリンピックが東京開催に決定するという、記念すべき第十九期冒頭の都議会で私に質問の機会を与えてくれた中央区民の皆様にまず感謝して、質問に入ります。
 初めに、オリンピック・パラリンピック選手村について伺います。
 この選手村の最寄り駅は、大江戸線の勝どき駅です。大江戸線の中で、乗りかえ駅を除くと最も乗降人数の多い駅で、現在、ホームの拡張工事をしております。その勝どき駅から選手村が予定されている晴海五丁目まで、徒歩で二十分前後かかります。選手村は数千戸前後の住宅供給を前提に、民間資金で建設する計画であります。このような場所に立地する選手村は、交通環境の抜本的な改善が必要です。
 そこで現在、地元中央区では、建設中の環状二号線を活用して、晴海、勝どき、築地、銀座を結ぶLRT、BRTなどの交通システムを検討中です。さまざまな競技施設の建設が計画されているお台場、有明地区や、日常的な交通手段を強く求められている豊洲新市場などとも連結し、銀座だけではなく、新橋、虎ノ門などに至る交通網を考えれば、二十一世紀東京の基本的な交通軸の一つとして期待できるのではないかと考えます。
 そこでお尋ねいたします。臨海部の新たな交通機関となり得るLRT、BRTの交通システムに関する都の基本的認識について、お伺いいたします。
 次に、選手村と地元区民の日常生活に及ぼす影響についてお伺いいたします。
 オリンピック・パラリンピック開催中については、世界各国から選手が選手村に集まり、その選手と地域の交流などが期待され、都民がオリンピック・パラリンピックを身近に感じられるよい機会になります。しかし反面、選手村地域での交通規制に伴い、交通状況がどのように変わっていくのか、地元には不安の声もあります。
 そこで、オリンピック・パラリンピック開催時に選手村が地元区民の日常生活へ及ぼす影響について、お伺いをいたします。
 また、オリンピック・パラリンピック後の選手村の活用を考えたとき、単に数千戸の住宅団地ができたという結果にならないよう、十分な事前の検討が必要だと考えます。アスリートのためにつくられるグラウンドや体育館をそのまま残し、アスリート養成のスポーツ振興の拠点とするという視点もあり得るし、事後、建設しなければならない小学校や中学校に着目して、新しい国際的教育拠点とする考え方もあり得ると考えます。
 都心の住宅は依然として好調に販売されていますが、東京全体として見た場合、住宅は既に供給過剰の域に達しており、選手村が高度成長期のような団地造成に終わるならば、後世、特段の評価は得られないと思います。
 教育、スポーツ、芸術などの分野と連結し、二十一世紀後半の東京に持続可能なまちづくりのための発展こそが、後世の都民に引き継がれていく晴海の姿であると考えます。この晴海の選手村に、都として何を五輪記念遺産として残そうと考えておられるのか、ご見解をお聞きします。
 次に、首都高速道路についてお尋ねします。
 このことをあえて今お聞きするのは、首都高速が前回の一九六四年、昭和三十九年のオリンピックに前後してつくられたからであります。
 多くの人が阪神・淡路大震災で大変なことが起きたと認識したのは、高速道路が折れ曲がり、倒れた映像を見たときでありました。あの衝撃から十八年、補強、補修を重ねながら、首都高速は今も私たちの前にそびえています。
 しかし、昨年、国土交通省において、首都高速の再生に関する有識者会議が設置され、その廃止まで視野に入れた検討が行われたり、ことしに入って、首都高速の老朽化対策の財源確保に向けて、首都高速道路敷の容積移転が提唱されたり、何かと首都高速の老朽化をめぐって議論が提起されています。
 また、日本橋本町付近の地元町会連合会は、江戸橋から首都高上野線が高架で通っていますが、通行量は比較的少なく、景観を損なっているとの理由で、撤去してほしいとの強い要望があります。
 都は、長年、市街地の不燃化、耐震化に取り組み、三・一一以降、その取り組みを強化し、緊急輸送道路沿道整備事業などに一定の成果を上げていることは高く評価するものですが、都心を縦横に走る首都高速についても、既に耐震化が図られています。
 しかし、首都高速は一日当たり百万台もの交通がある過酷な使用状況にあり、常時振動している工作物です。東日本大震災などを振り返ってみても、対策には絶対というものはなく、念には念を入れて対応していく必要があります。計画的な点検、補修を行うなど、施設の安全性の確保に万全を期すことを改めて首都高速道路株式会社に求めていくよう、強く要望いたします。
 一方、オリンピックに向けては、外かく環状道路や中央環状線の整備も急ピッチに進められております。中央区内を走る都心環状線は、通過するだけの交通も多いといわれておりますが、通過物流を都心から排除できる状況が生まれれば、首都高速の役割も軽減されます。
 都心の交通を抑制していくには、都心環状線よりも外側にある環状道路の利用促進を図っていく必要があると思いますが、知事の所見を伺います。
 海外諸都市では、環境に配慮して、中心市街地への車両乗り入れ規制も当たり前のように行われています。このような流れを率直に読み解き、厳しい財政状況を考えれば、老朽化した首都高速の都心環状線の一部は撤去するということも、あながちむちゃな選択肢ではないと考えます。
 都心においても、自転車利用は急速に増加しており、自転車専用レーンの整備の必要性が高まっております。また、急激な高齢化の進展の中で、身近な交通機関のニーズが高まり、多くの自治体でコミュニティバスの運行が開始されています。交通手段そのもののあり方が大きく変わろうとしています。
 前回のオリンピックが車社会を決定づけたものとするならば、今回のオリンピック・パラリンピックは環境との共生社会を目指すものでありたいと考えます。名橋日本橋を覆う高速道路を撤去して青空を取り戻す運動が、同保存会を初め、大きなうねりとなっています。
 一方、国においては、首都高速の老朽化を踏まえて、民間都市開発と一体となった再生の検討を推進するとしています。
 そこで、老朽化する首都高速のあり方について、都の所見を伺います。
 次に、臨海副都心開発についてお伺いします。
 先般、この地域に多くの競技会場を配置する二〇二〇年、平成三十二年夏季オリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。ことしはレインボーブリッジの開通二十周年のほか、都市再生の取り組みがスタートして十二年、えとの一回りという節目の年でもあります。開発を当初から支援してきた我々都議会自民党には感慨深いものがあります。
 都市の競争力の向上は、安倍政権の成長戦略が示す重要な取り組みの一つであります。首都東京の都市機能の向上を図り、東京がアジアのビジネス拠点となってアジアの成長を取り込むことが、日本経済の再生には必要であります。
 特に、大きな経済波及効果を持つMICE、国際観光分野で、国際都市としての魅力と競争力をさらに高めることが重要であり、そのためには、東京五輪の開催を弾みとして、都心では貴重な開発余地を持つ臨海副都心を、今後いかにして発展させるかが鍵となります。
 そこで、現在の臨海副都心の姿と今後の取り組みの方向について、見解をお伺いいたします。
 また、昨今は都内の新たな観光名所として、スカイツリーや丸の内で赤れんが駅舎を復元しリニューアルした東京駅と、八重洲口にはグランルーフが先日オープンしました。臨海副都心では、大型商業施設のダイバーシティ東京が開業し、ガンダムの立像とともに大きな反響を呼んでいます。
 東京全体で新たな観光資源が開発され、来訪者の増加につながることはすばらしいことです。臨海副都心が世界のMICE先進都市との競争に打ち勝つには、質が高く個性のあるまちとして注目を集めることが重要であり、五輪招致のプレゼンでも注目された日本ならではのおもてなしの取り組みなども必要と考えますが、MICE先進都市へ向けて、今年度の取り組みの視点とその概要をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 立石晴康議員の一般質問にお答えします。
 環状道路の利用促進についてでありますが、三環状道路のうち中央環状線が来年度に完成するなど、三環状道路の整備率は二〇一五年末には八五%に達します。都心を走る交通量を減らし、首都高一号羽田線のような老朽化した首都高速道路の維持更新しやすい環境を整えるためにも、三環状道路を最大限活用する取り組みが重要であります。
 しかし、三環状道路が整備されても、現行の料金体系のままでは、車が都心を通過して目的地に向かった方が、外側の環状道路を利用するより安い場合があります。それでは貴重な税金を使って整備した三環状道路の整備の効果は十分に発揮されません。
 そのため、車が外側の環状道路を利用して目的地へ向かうためのインセンティブが必要になります。そのインセンティブを与えて、そして一体的で利用しやすい料金体系の構築をつくりたいと思っております。
 今後、圏央道の完成を見据え、国交省や高速道路会社と話し合って、新たな料金体系を実現していきたいと思っております。
 その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、晴海や銀座などを結ぶLRT、BRTなどの交通システムについてでございますが、お話の交通システムは、地域交通を担う公共交通機関として有効でありますが、導入に当たりましては、導入空間の確保や自動車交通に与える影響、事業採算性など、さまざまな課題があります。
 中央区では、臨海部と都心部とを結ぶこうした交通システムの実現に向けた調査検討を行っております。
 引き続き、関係区の動向などを踏まえながら、都は必要な技術的支援や情報提供などを行っていくとともに、将来的には複数区にまたがる広範囲の交通機関ともなり得ることから、都としても適切に対応してまいります。
 次に、老朽化する首都高速道路のあり方についてでございますが、首都高速道路は建設から半世紀が経過し、経年変化に加えて、車両の大型化などから、構造物の老朽化が進んできており、今後、早期に対策を実施する必要があります。首都高速道路株式会社が設置した調査研究委員会では、ご指摘の日本橋周辺の都心環状線を含む十区間におきまして、大規模更新の実施が必要との提言が出されております。
 都は、首都高速道路が東京の自動車交通を支える基幹的なインフラであることや、災害時における緊急輸送道路としての役割を持つことなどを踏まえ、今後の再生のあり方につきまして、国や関係機関と連携し、検討してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、選手村がオリンピック開催時に地元へ及ぼす影響についてでございます。
 選手村は、選手がくつろいだ時間を過ごすことに加えて、競技に向けた集中力を高める場所であり、選手にとって最も重要な施設でございます。そのため、単に快適なだけでなく、安全性や利便性にも万全を図る必要があり、選手村への侵入を防ぐセキュリティーゾーンや、競技会場までのアクセスを確保するオリンピックレーン等を設ける予定でございます。
 これらにより、選手村周辺においては、一部の道路の通行を制限する必要がございまして、地域の生活に一定の影響が生じることが想定されます。選手村の運営には、地域住民の理解が必要でございまして、今後、選手村計画の具体化において、地域への影響を極力低減するよう努めていくとともに、地元区や地元住民に丁寧に説明をしてまいります。
 次に、選手村のレガシーについてでございます。
 選手村跡地のまちづくりにおいては、オリンピックレガシーを継承して、地域の持続的な発展に生かすことが重要と認識してございます。そのため、立候補ファイルでは、選手村跡地を、大会後もさまざまな人々が集い、交流しながら世界へ発信していく地域として、教育、文化、スポーツ等の面からあらゆる世代の活動を推進する国際交流拠点と位置づけております。
 今後、選手村整備や後利用の検討にあわせて、地元区など関係者と連携しながら、国際交流拠点の具体化に向けた検討を進めてまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず臨海副都心の現況と開発の方向についてですが、臨海副都心では、既に約七割の土地処分が完了し、約千五百社が活動するビジネス拠点として、また、観光客に人気のリゾート地として多彩な魅力を持つ都市に成長を遂げております。
 現在、躍進著しいアジア諸都市との都市間競争を見据えて、今後開発予定の青海地区北側を中心に、IRも視野に、複合的なMICE拠点の実現を目指しております。
 今後は、さらに東京五輪の競技会場が多く配置されていることを生かし、国際的なスポーツ拠点として親しまれるにぎわいの創出や多言語案内表示の充実など、世界に開かれた観光都市としての付加価値を一層高めて、日本経済の再生に寄与する都市づくりを進めてまいります。
 次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に向けた今年度の取り組みについてですが、MICE先進都市と伍していくためには、臨海副都心ならではのおもてなしの視点からの魅力向上が重要でございます。
 今年度は、こうした視点から、都独自の補助制度を活用し、アフターコンベンションに資する事業を推進しております。
 まず、日本初のビルの窓を利用した音と連動した動きのあるイルミネーションや、季節に応じたさまざまなコンテンツにより建物に映像を映すプロジェクションマッピングを展開し、夜のエンターテインメントを創出いたします。
 さらに、外国人観光客のニーズが非常に高い、だれもが利用できる無料Wi-Fi環境を駅前など多くの方々が集まる公共スペースに整備し、利便性の向上を図ってまいります。
 今後とも、臨海副都心により多くの方々が何度も来訪していただけるよう、こうしたおもてなしの心あふれる魅力的な事業を展開してまいります。

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