平成二十五年東京都議会会議録第十二号

〇議長(吉野利明君) 百二番石毛しげる君。
   〔百二番石毛しげる君登壇〕

〇百二番(石毛しげる君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 さきの都議会議員選挙では大変厳しい選挙戦となり、都議会民主党は、会派結成時の平成九年とほぼ同じ議席数となりました。
 私たちは、都民の審判を厳粛に受けとめ、新たなスタートの気持ちを込め、これまで以上に都民の目線に立って、生活者、納税者、消費者、働く者の立場から、都民の福祉の向上、自治分権改革の推進、活力ある東京の実現のために取り組んでいく決意であることを、まず冒頭に申し上げます。
 初めに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いします。以後、二〇二〇年大会と呼びます。
 私は、オリンピック・パラリンピック招致議員団の一員としてブエノスアイレスに行ってまいりました。機内には、各国のオリンピック・パラリンピック関係者が乗り合わせていました。その一人に、スイスのIOC委員であるデニス・オズワルド氏の奥様がおられ、ご主人に日本を支援していただきたいと話し、快い返事をいただきました。このように機内でも、私たちは招致活動を行いました。
 五十六年ぶりに開催される二〇二〇年大会は、オリンピック・パラリンピック史上、最も一つに統一された、一体感のある祭典を目指しています。これを契機に、日本における障害者スポーツが発展するよう、都が国内大会への支援を引き続き行い、障害者の夢と希望を支えていただきたいと考えます。
 また、パラリンピアンにも優しい東京は、障害の有無にかかわらず、都民がお互いに人格や個性を尊重し合い、安心して暮らすことのできる東京であり、障害者施策を推進していくべきです。
 帰りのブエノスアイレスの飛行場では、議員団長、副団長、日本パラリンピック委員会の鳥原光憲委員長、交通政策の専門家であるフィリップ・ボヴィ氏と広く意見交換をし、二〇二〇年大会では多言語表記やバリアフリーが重要ということを確認し合いました。
 二つの大会を一体感ある祭典とするには、二大会を祝うイベント開催やロンドン・パラリンピックを見習う競技のチケット戦略、オリンピックに勝るとも劣らないパラリンピックを放映する報道体制の構築、各競技会場や会場への外国式点字を含めた表記アクセス支援など、さまざまな取り組みが必要です。
 二〇二〇年大会を一体的な祭典とするとともに、パラリンピアン、障害者にも優しい東京を実現していくべきと考えます。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の成功に向けた知事の見解を伺います。
 次に、二〇二〇年大会における、おもてなしとそのレガシーについてお伺いします。
 二〇二〇年大会を成功させるためには、国立競技場の建てかえを初めとしたハード整備が必要であることはいうまでもありません。
 一方で、日本人のおもてなしの心を体現させるためには、ソフト面での取り組みも不可欠です。そのためにも、外国人と意思疎通を図ることが必要です。
 英語だけではない、さまざまな言語を話すことのできる日本人をふやすことは、そのまま日本を訪れる外国人へのおもてなしとなりますし、競技会場だけではない、東京が誇る日本の資源である人材の能力向上として後世に残すことが重要です。
 そこで、インフラ整備などハード面だけではなく、ソフト面でのレガシーをどのように残していく考えなのか、知事の見解を伺います。
 また、ボランティアだけではなく、今後七年の間に都民の外国語習得の機会を広げる施策を行うべきと考えますが、学校教育、生涯教育の両面から都の見解を伺います。
 次に、マラソン競技についてお伺いします。
 二〇二〇年大会では、一九六四年大会のレガシーとして、新国立霞ヶ丘競技場で開会式や主要競技を行うこととなっています。日本で、マラソンなど陸上競技は特に人気が高い競技です。そこで、オール東京で応援でき、一九六四年大会のレガシーである国立競技場から甲州街道を西へ向かうマラソン競技のルートの復活が期待されています。
 多くの都民、国民が二〇二〇年大会を歓迎できるように、マラソンコースを一九六四年大会のコースに変更すべきと考えます。都の見解をお伺いします。
 また、二〇二〇年大会直前に行う事前キャンプ要請や、練習会場の変更がある場合には、組織委員会として、スポーツ祭東京二〇一三で整備された多摩地域を含めた国内の最適地の競技施設を推薦していただきたく考えます。
 次に、被災地支援についてお伺いします。
 招致において、東京は復興五輪のスローガンを掲げ、東北三県のスポーツ関係者と被災地支援事業を取りまとめました。二〇二〇年大会では、宮城スタジアムでサッカー予選を開催します。
 二〇二〇年大会において、最終プレゼンテーションでも強調した被災地復興の公約実現に向けて、組織委員会が被災地支援のために、ハード、ソフト両面の被災企業への優先発注を行い、東北の復興にともに取り組むことが改めて重要であると考えます。都の見解を伺います。
 知事の所信表明で、パラリンピックの開催都市にふさわしく、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めると述べられましたが、私どもも賛同するものです。
 そこで、都内に多く設置されています横断歩道橋についてお伺いします。
 都が管理する横断歩道橋は、高度経済成長期に歩行者の安全対策を緊急に進めるために設置され、交通安全対策に一定の役割を果たしてきました。しかしながら、設置から五十年が経過し、人口構造や地域のニーズも変化し、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点から、横断歩道橋を撤去し、横断歩道を設置してほしいという都民の声が大きくなってきています。
 また、横断歩道橋は、主要幹線道路や震災時の緊急輸送道路となる路線にも多く設置されています。横断歩道橋は構造的に耐震性にすぐれていると認識していますが、老朽化が懸念されます。
 そこで、都における横断歩道橋の管理、撤去、更新について見解を伺います。
 次に、新たな長期ビジョンについてお伺いします。
 猪瀬都知事のもとで、東京都の新しい長期ビジョン策定と二十六年度予算編成は、これから本格化していきます。オリンピック招致が成功した今、二〇二〇年大会の成功までの七年と、その後の三年まで見据えた東京の将来像をしっかりと示し、次の世に残す有形無形のレガシーとは何か、オリンピック開催を契機として東京の姿が大きく変わり、前進したのだと、将来、私たちの子供たちや孫たちに胸を張っていえるような、オリンピック成功への道のりと一体となるビジョンを示していかなければなりません。
 昭和の東京オリンピックは、その開催を一つの到達点と捉え、そこに向かって頑張った大会であったように思います。もちろん世界的なビッグイベントではありますが、二〇二〇年の成熟した都市東京が行うオリンピックは、その開催、成功を一つの経過点と捉えた長期ビジョンのもとに行うべきではないでしょうか。
 明治以来、何度も構想し、完成を見ずして今日に至っている不燃都市東京、三環状道路など道路ネットワークの完成による交通円滑化、言語や障害のあるなし、年齢を問わず、誰もがスムーズに参画できるユニバーサルデザインの社会。私たちが実現していくべき東京の姿をどのように描いていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更についてお伺いいたします。
 東京都は、八ッ場ダム建設に関する基本計画について、平成二十七年度までという現行の工期を平成三十一年度までに延長し、洪水調節計画を変更する国からの意見照会に対し、二点の意見を付して、やむを得ないとして同意をする旨、議会に諮っています。
 国において八ッ場ダム建設事業の検証が行われ、継続することが妥当であると結論が出ました。多額の税金を投入する以上、都民への説明責任がありますので、今後とも、ただすべき点についてはしっかりとただしていきたいと思っております。
 今回の計画変更では、事業費四千六百億円について変更なしとされ、都も工期延長等により事業費が増額しないよう求めています。
 八ッ場ダムの建設事業の検証により、新たに地すべり等の対策が必要である可能性が示されましたが、今回の事業費には含まれていません。今後、八ッ場ダム事業費は増加しないのか、また、さらなるコスト縮減は本当に可能であるのか、懸念する声も聞かれます。
 今回、都がやむを得ないとする意見案を出す上で、どのような検討を行ったのか、また、都の求める徹底したコスト縮減をどのように実現させていくのかお伺いいたします。
 次に、震災対策についてお伺いいたします。
 都は、首都直下地震等対処要領を年度内に完成していくこととしています。発災時の初動対応について定めるものですが、発災後七十二時間以内の救助活動が生存率を大きく左右します。都議会民主党は、広域応急体制をシミュレートし、首都直下地震に備えるべきと求めてまいりました。
 対処要領の策定に当たっては、大規模火災の危険性が高い木密地域、道路寸断などが懸念される山間部など、さまざまな地域特性を踏まえた上で、実践的な訓練の成果や改善点などを取り入れ、実効性の高いものとしなければなりませんが、所見をお伺いします。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いします。以後は特定建築物と呼ばせていただきます。
 特定建築物の中には、診断困難な物件が少なからず存在し、構造図がない場合は構造図を復元したり、分譲マンションでは区分所有者の合意形成に時間を要するなど、診断完了が困難なものが出てきています。全ての特定建築物を耐震化するためには、このような状況に対し、耐震診断助成制度の見直しを図ることが必要と考えます。
 都において、特定建築物耐震診断義務化をし、国に先駆けて取り組みを進めてきています。建物所有者の実質負担をゼロ化し、東京の大動脈である輸送ネットワークを保持するため、特定建築物の耐震診断を平成二十五年度で完了し、平成二十七年度末には耐震化を完了するとしています。
 耐震性が不足する建築物を残さないよう、そして、一刻も早く耐震化を完了するよう求めるものですが、耐震化の完了に向けた都の見解を求めます。
 次に、子育て支援についてお伺いいたします。
 私たちは、女性が子供を安心して産み育て、働き続けられる社会の実現、子育て負担の軽減を重要課題の一つと考えています。
 国は、平成二十七年度から、社会保障・税一体改革の一つとして、新たな子ども・子育て支援制度を始めることとしています。保育を必要とする全ての人々に保育を受けられる権利を認められたことを評価いたしますが、大都市地域では、共働き家庭の増加から短時間保育など、保育の潜在需要が顕在化して保育ニーズが増大すると考えられます。
 都内に認可保育所をふやすことは、公費補助の多額さや都市部の事情から簡単ではありません。認証保育所設置基準は認可と大きな隔たりはなく、開所時間が長く、ゼロ歳児保育も全ての地域で実施するなど、認可よりすぐれた面を持っており、需要増に対応する機動性もあります。このモデルを国が認めれば、待機児童を減らし、保育の質の低下を防ぐことができると考えます。
 参議院では、子ども・子育て関連法に附帯決議を付し、国に大都市自治体が独自で行ってきた保育への大きな役割に特段の配慮を求めています。法人事業税一部国税化の見返りとして、国との実務者協議会の協議事項ともなっているので、国はすぐにでも認めるべきです。
 今後、保育を求める子供たちがふえる都内において、都の認証保育所を国に認めさせる取り組みをさらに強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多様な保育ニーズへの対応についてお伺いいたします。
 都は、待機児童の早期解消に向け、国の新たな子育て支援制度に先駆け、短期間で開設可能な、空き店舗などを活用する小規模保育、スマート保育の整備支援を始めました。六月の第二回定例会で、都は、保育士を六割以上配置する小規模保育施設に対し、ゼロ歳児一人当たり一カ月十万七千円、一、二歳児一人当たり一カ月五万七千円の運営費を補助する新たな拡充策を創設いたしました。この支援を活用し、杉並区、豊島区が小規模保育施設を整備し始めました。
 ことし四月現在、東京都内の区部十九区、多摩地域の十八市では待機児童数五十名以上を抱え、中には八百名を超える自治体もあります。昨年に比べ十五区、十二市が待機児童をふやしています。また、さきに挙げた潜在的待機児童の問題も存在し、顕在化した場合、その対応が必要です。
 都内に保育を必要とする子供たちがふえる中で、子供の未来のために多様な保育ニーズに対応しなければなりません。都の見解を伺います。
 次に、障害者総合支援法についてお伺いいたします。
 日本の障害者福祉制度は、この十年ほどの間に目まぐるしい改変を重ね、障害者を翻弄してきました。障害者自立支援法については違憲訴訟が起こされるなど、制度をめぐって障害者と国の間で対立を経て、合意が行われました。その後、国はこの法律をベースに、共生社会の実現を理念に明記するなどした障害者総合支援法を提出、一部改正の後、成立させ、ことし四月から一部施行しています。
 各障害者団体からは、法施行の影響や都の障害者施策について、都議会民主党に多様な要望が寄せられました。障害が重くても地域で暮らせるようにすること、グループホームをふやすこと、区市町村の支援サービスがどこでも同じように受けられるようにすること、相談事業を充実させること、都が要約筆記者養成、派遣を行うこと、通訳介助者養成研修を充実すること、高次脳機能障害者への支援体制を構築することなど、切実なものです。
 都は、障害当事者などからの要望や総合支援法を踏まえ、障害者施策に取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 次に、障害の範囲に加えられた難病についてお伺いいたします。
 総合支援法における障害福祉サービスの対象に、病状が変動しやすく障害者手帳の取得が難しい事例があった難病等が加えられました。この範囲について政令で定めることとされ、ことし三月に、当面の措置として、難治性疾患克服研究事業の対象疾患である百三十疾患と関節リウマチの患者に限定されることとなりました。
 今後、疾患の範囲は、国の難病対策委員会などでさらに検討され、対象を広げる方向とのことですが、比較的患者数が多い慢性疾患が対象となるかは定かではありません。
 総合支援法の対象となっていなかった難病患者が必要な障害福祉サービスを受け、安心して日常生活や社会生活を営むことができるように、都はどのように取り組んできたのか、また、難病の範囲が広がる場合にはいかに対応していくのか、都の見解をお伺いいたします。
 次に、総合支援法のこれからの課題についてお伺いいたします。
 障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会が骨格提言で示した事項は、全て総合支援法に盛り込まれておらず、多くの重要な課題や方向性は、施行後三年かけて検討する形となっています。
 今後の検討事項となったのは、常時介護を要する障害者などに対する支援、手話通訳などを行う派遣その他の聴覚、言語機能などのため意思疎通を図ることに支障のある障害者に対する支援、精神障害者及び高齢の障害者に対する支援のあり方などです。これらの六つの項目については、障害者などやその家族、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じて検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしています。
 今後、国が新たな障害者施策を講ずるために検討を行うに当たっては、都が国に障害者や団体、支援者、自治体などからの意見を踏まえて必要な要望を行い、国の施策に十分反映させていくべきだと考えます。都の見解をお伺いいたします。
 最後に、新銀行東京と築地市場移転問題についてお伺いいたします。
 前回の都議会議員選挙で重要政策に掲げた新銀行東京や築地市場移転問題についても、私たちは引き続き責任を持って取り組んでいく考えです。
 新銀行東京については、私たちは、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に撤退すべきと考えています。
 一方、猪瀬知事は、ことしの予算議会で、新銀行の今後の方向性を考える前提として、新銀行の企業価値を高めていく必要があり、まずは安定的に黒字を確保することが先決の旨、答弁いたしました。
 しかし、新銀行の決算は、本業の中小企業支援に関係なく既に安定的な状況にあり、また、今後の新銀行が飛躍的に企業価値を高めるとは考えにくい中で、早い段階で事業譲渡や株式の売却などを含めたさまざまな可能性を模索していくことが、より有益であると考えます。
 そこで、この間の決算状況を踏まえ、新銀行東京の今後の方向性について見解を伺います。
 築地市場の移転問題について、私たちは、東京都と中央区との合意を尊重するとともに、豊洲では、汚染された土壌が無害化され、安全な状態になっていることを確認し、リスクコミュニケーションなどを通じて、都民に安全宣言できるような状態にすべきであると考えます。
 既に、二十四年度の付帯決議に基づき、豊洲新市場は、食の安全に万全を期すために開場を一年間延期したところですが、今年度中には、土壌汚染対策が完了したところから建設工事に着手すると聞いています。
 そこで、土壌汚染対策工事が終了している区域で、確実な無害化の確認について、リスクコミュニケーションなどを含めてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 以上、都議会民主党を代表して質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 石毛しげる議員の代表質問にお答えします。
 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、二〇二〇年に向けて、世界の注目が日本、東京に集まります。新しい未来とは何かを見つけていくことが、洗練され、成熟した都市東京のオリンピック・パラリンピックであります。
 二〇〇八年の北京パラリンピックでは、観戦チケットを百八十万枚売り上げ、二〇一二年のロンドン・パラリンピックでは二百七十万枚を売り、会場は歓喜の渦に沸きました。
 二〇二〇年の東京では、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるとともに、パラリンピック選手を積極的に取り上げるメディア戦略などにより障害者スポーツを盛り上げ、観客数の、ロンドン大会を上回るパラリンピックを目指したい。
 東京都は、国に先駆け、障害者スポーツを含めスポーツ行政を一体的に推進する体制を整備しました。今週の土曜日、二十八日に開幕するスポーツ祭東京二〇一三では、全国で初めて、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一体の祭典として実施します。
 二〇二〇年に向けて、障害の有無にかかわらず、全ての都民がともに暮らす心のバリアフリー社会の実現を目指し、動きを加速させ、オリンピックとパラリンピックを一体感のある最高の祭典に仕上げていきたいと思っております。
 オリンピック・パラリンピックのレガシーについてでありますが、東京は二〇二〇年大会のビジョンとして、ディスカバー・トゥモローを掲げ招致をかち取りました。二〇二〇年大会開催に向けて、東京を世界にますます開かれた都市にしていきたい。
 今後七年間、多くの外国人が日本を訪れることになります。成熟した都市の中心で行う新しい大会の成功に向け、おもてなしの心を持って外国人を迎えていきたいと思います。
 このため、道路標識や案内標識だけでなく、レストランのメニューの多言語など、さまざまな多言語対応をさらに推し進め、言葉の壁を感じることなく、外国人が自由にひとり歩きできる環境を整えていきたいと思っております。
 また、若者から高齢者まで幅広い方々を大会ボランティアとして大会運営に協力していただく。こうしたボランティアの方々に、大会開催までに、語学はもとより日本の歴史、文化について理解を深めていただいて、世界中からのお客様をお迎えしたいと思っております。
 こうした取り組みを通じて得られた人々のおもてなしの心や、新しいものに挑戦する気概をレガシーとして次世代につなげていきたい、そういうふうに確信しております。
 オリンピックの成功とその後を見据えた東京の姿についてでありますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを成功させるため、それまでに必要な道路などのインフラ整備やおもてなしの心を備えた観光施策などを確実に進めていくわけですが、一方、十年後を見据えた場合、東京は、急速に進行する少子高齢化と人口減少社会の到来を初めとする多くの重要課題に直面しておりまして、これらに対しては、中長期的な視点に立って取り組む必要があります。
 このため、オリンピック・パラリンピックの成功とともに、大会開催のさらなる先を見据えて、首都東京に山積する重要課題の解決への道筋を描き、十年後の東京の将来像を示す新たな長期ビジョンを策定します。
 新たな長期ビジョンでは、一人一人が輝く世界一の都市の実現を目指し、さらなる耐震化、不燃化の推進などによる高度防災都市の実現、バリアフリー化の一層の進展などによるユニバーサルデザインに配慮した都市の実現など、今後の政策展開については明らかにしていきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 都民の外国語習得の機会を広げることについてでありますが、東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、外国語の習得や異文化理解を深めて、訪れる外国人におもてなしの精神を伝えられるようにすることは重要でございます。
 各学校では、言語や文化への理解を深め、積極的にコミュニケーションを図る態度や能力の育成を図っておりますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機に、今後、小学校を初め、学校教育における英語の授業を一層充実させてまいります。
 また、生涯学習についても、区市町村や他の教育機関と連携し、さまざまな外国語の公開講座等の取り組みの充実と都民への周知を図ってまいります。
 こうしたことにより、都民が言語や異文化について学び、開催後も、国際的な視野を持って学習の意欲を高めていくような取り組みを進めてまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、八ッ場ダム建設事業基本計画変更案についてでございますが、八ッ場ダムの本体工事中止に伴う事業のおくれを取り戻し、一日も早くダムを完成させるため、基本計画の変更に関する国からの照会に対して、意見を付して同意することとし、議案を提出しております。
 都は、今回の意見案を取りまとめるに当たり、国に対して、今後の工程計画などにつきまして詳細な説明を求めるとともに、関係県と現地に赴き、本体関連工事の契約内容や残事業に要する工期などを調査し、国が示した基本計画の変更内容を慎重に確認いたしました。
 今後とも、国と関係県によるコスト管理などに関する連絡協議会も活用し、コスト縮減策や事業の進捗状況を適宜確認することにより、新たな基本計画に基づき八ッ場ダムが完成されるよう、関係県とともに注視してまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震化推進条例に基づき診断を義務づけた特定沿道建築物につきましては、建物所有者への個別訪問や啓発セミナー、相談会などの取り組みにより、約五千棟の対象建物のうち、約七割が既に耐震診断を実施しております。
 また、その後の補強設計や耐震改修に関する具体的な相談もふえてきており、今年度の助成申請件数は、現時点で既に昨年度の実績を大幅に上回っております。
 都としては、引き続き区市町村や関係団体などと連携し、マンションにおける合意形成などに向け、個々の事情に応じたきめ細かな支援を行っていくとともに、今年度拡充したアドバイザー派遣制度の積極的な活用を促していくなど、特定沿道建築物の耐震化に全力で取り組んでまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マラソンコースについてでございます。
 二〇二〇年東京大会のマラソンコースは、世界最高の大会にふさわしい競技性を確保することと、東京の魅力を世界に発信することを両立する観点から、国内国際両陸上競技連盟と協議し、その承認を得た上で計画したものでございます。
 現行計画は、コース中の起伏を考慮するとともに、新しいオリンピックスタジアムを発着点として、皇居周辺、銀座、浅草などを通り、沿道からは東京タワーや東京スカイツリーなども眺めることのできる、全世界にアピールするコースとなっております。
 コースの詳細については、今後、交通規制や警備の観点も含めて、現行計画をもとに、警察、地元自治体、競技団体等の関係者と協議、検討してまいります。
 次に、東北の復興への取り組みについてでございます。
 都が設置した復興専門委員会の最終報告は、大会準備期間から大会開催時、大会後までのあらゆる期間を通じて、都、大会組織委員会に限らず、さまざまな主体による取り組みを提言してございます。
 被災企業への優先発注は、組織委員会が発注する事業について、被災した企業へ優先的に発注する仕組みを検討するとしたものでございまして、今後設立されます組織委員会において具体的な手法を検討していくこととなります。
 都はこれまでも、アスリート派遣や観戦招待、被災地とのスポーツ交流事業などを実施しておりますが、今後もオリンピック・パラリンピック開催を通じた被災地支援に積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 横断歩道橋の管理と撤去等についてでございますが、歩道橋は、昭和四十年代に集中的に整備し、子供たちの安全確保と自動車交通の円滑化などに寄与してまいりました。現在、都では約六百橋の歩道橋を管理しており、常時良好な状態に保つため、日常点検や五年に一度の定期点検などにより、損傷や塗装の劣化などを早期に発見し、速やかに維持補修を行っております。
 このような中、歩道橋と隣接して横断歩道が設置されている、利用者が少ない、通学路の指定がないなど、役割を終えた歩道橋につきましては、地元住民と交通管理者などと合意の上、撤去してきております。
 都といたしましては、今後とも、歩道橋を健全に維持管理していくとともに、撤去、更新する場合には、交通管理者や地元とよく調整し、都市景観やバリアフリーにも配慮して対応してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 首都直下地震等対処要領についてでございますが、東京には、高度に集積した市街地が連担する地域から山間・島しょ部まで、多様な地域がございます。このため、大規模地震が発生した際の火災や土砂災害等による被害についてもさまざまな状況が想定されます。
 現在、自衛隊、警察、消防等の各機関による発災時の初動対応について、地域特性を考慮した複数の区市町村を単位とする圏域を設定し、想定される被害特性に応じた活動を検討しております。
 今後も、関係機関による図上訓練を実施するとともに、今年度の総合防災訓練では、地域特性を踏まえた各機関の連携による救出救助活動等を実践いたします。
 こうした訓練の成果を検証し、関係機関と綿密に協議しながら、実効性ある対処要領を策定してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、認証保育所についてですが、都内では、就学前児童人口が増加しており、保育所の入所を希望する割合も年々増加しております。こうした中、大都市ニーズに応える認証保育所は、広く都民の支持を得て設置が進んでおり、本年九月一日現在、六百九十九カ所、定員は二万三千人を超え、東京の保育施策として不可欠なものになっております。
 都はこれまで、認証保育所を国の制度に位置づけ、十分な財源措置を講じるよう、国と東京都の実務者協議会も含め、さまざまな機会を通じて要求してまいりました。
 現在、国の子ども・子育て会議では、新たな制度の具体的な内容が議論されているところであり、都は、認証保育所が新制度の中に位置づけられるよう、引き続き国に求めてまいります。
 次に、多様な保育ニーズへの対応についてですが、都はこれまで、保育の実施主体である区市町村のさまざまな取り組みを支援しており、平成二十三、二十四年度には、認可保育所、認証保育所、家庭的保育、パートタイム労働者向けの定期利用保育などを合わせ、都全体で年一万人分以上の多様な保育サービスが整備されました。
 今年度は新たに、小規模保育、スマート保育への支援策も開始しており、八月に豊島区で、九月に杉並区で開設され、他の八区市においても設置が予定されているところです。
 また、待機児童解消加速化プランを活用して、幼稚園の預かり保育などに取り組む区市町村も支援し、地域の保育ニーズに応じた多様な保育サービスの整備を促進してまいります。
 次に、障害者施策の取り組みについてですが、都は、東京都障害者施策推進協議会や障害者団体連絡協議会等の場を通じて、障害者の方の意見や要望を聞きながら、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画を策定し、障害者が地域で安心して暮らし、当たり前に働ける社会の実現に向け、施策を進めているところです。
 また、障害者総合支援法の施行に当たっては、障害福祉サービスの実施主体である区市町村の担当者を対象に説明会を開催するなど、制度の円滑な実施に取り組んでまいりました。
 今後とも、国の動向等を随時把握しながら、法の全面施行に適切に対応するとともに、障害者団体などの意見も聞きながら、グループホーム等地域生活基盤の整備など、障害者施策を推進してまいります。
 次に、障害者の範囲の見直しへの対応についてですが、本年四月から、難病等の方が障害福祉サービスの対象となったことに伴い、区市町村では、対象者の確認や障害程度区分の認定などの手続を行うこととなりました。
 そのため都は、これらの業務を区市町村が円滑に実施できるよう、対象となる疾病の範囲などについて説明会を実施するほか、審査等に必要となる診断書や意見書を記載する際の留意点を医療機関に周知してまいりました。また、区市町村を通じて、対象者の方への制度の周知を図っているところでございます。
 今後、難病等の範囲について見直しが行われた場合にも、区市町村や医療機関等と十分連携を図りながら、適切な実施体制の確保や制度の周知に取り組んでまいります。
 最後に、国の障害者施策への要望についてですが、都はこれまで、障害者団体や事業者、区市町村等からの意見も聞きながら障害者施策を進めており、国に対して、法制度の改正に当たっては障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとすること、障害者と家族への周知期間や区市町村、事業者の準備期間を十分確保すること、安定的な制度とするための財源を確保することなど、繰り返し障害者施策の推進に向けた提案要求を行ってまいりました。
 今後とも、国に対しては、障害者施策の推進に向けて必要な提案を適宜適切に行ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は、中期経営計画の初年度である平成二十四年度決算において、実質業務純益、当期純利益ともに黒字を計上し、直近の四半期決算においても黒字を継続しております。
 新銀行東京の今後の方向性については、さまざまな可能性も考えられますが、まずは安定的に黒字を確保し、企業価値をさらに高めていく必要がございます。
 そのため、今は中期経営計画の達成に向けて、与信管理の徹底や経費削減、収益力の向上などの経営努力を積み重ね、経営基盤をより一層強固にすることが、何よりも重要であると考えております。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 豊洲新市場の土壌汚染対策工事についてでありますが、三つあります敷地のうち五街区及び七街区においては、本年八月末現在、操業に由来する汚染区画のうち、土壌の約九割の掘削除去を完了し、地下水の約八割の対策を完了しております。六街区では、敷地の西側から操業地盤面以下の対策を実施するとともに、仮設土壌処理プラントを移設し、プラント下の対策にも着手しております。
 今後、対策後のデータ等をもとに、操業に由来する汚染の処理が完了したことを技術会議で確認し、施設のくい打ち工事などに着手してまいります。
 都はこれまでも、各種調査の結果を図面等でわかりやすく公表するとともに、昨年七月以降、市場関係者や都民代表、学識経験者等で構成する土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会を三回開催し、関係者間で情報を共有し、意見交換を行ってきました。
 今後とも、こうした取り組みにより、土壌汚染対策について市場関係者や都民の理解が得られるよう努めてまいります。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時五十九分散会

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