平成二十五年東京都議会会議録第八号

〇議長(中村明彦君) 七十三番西崎光子さん。
   〔七十三番西崎光子君登壇〕

〇七十三番(西崎光子君) 知事就任後、半年が過ぎ、この間、知事は、都バスの二十四時間営業や日本の標準時間を二時間早めることを政府の産業競争力会議に提案したと報道され、唐突な提案の真意に戸惑った都民が少なくありません。
 知事は、経済活動を優先し、東京を二十四時間眠らないまちにすることが世界都市の要件とお考えなのでしょうか。東京は日本の首都であると同時に、一千三百万人もの人が生活するまちであり、生活者ネットワークは、生活都市東京を目指して、福祉や教育、食の安全などの生活課題にしっかり取り組んでいくべきと考えます。
 スマートシティー東京とは矛盾し、都民の生活スタイルに大きく影響する今回の知事の提案には慎重な議論が必要です。東京をどういうまちにしたいと考えているのか、猪瀬知事が描く東京の将来像について伺います。
 東京の高齢化は、二〇三〇年には六十五歳以上の高齢者が三百六十一万人、うち二百十一万人が七十五歳以上になり、ひとり暮らしや高齢者の夫婦のみ世帯が急増されると推測されています。これに伴って、介護や医療を必要とする人もふえ、高齢になっても、障害があっても、医療を含む生活全般の安定が図られ、その人らしい充実した人生を全うできるような在宅療養生活の実現が求められています。
 今後、在宅療養患者や家族の負担を軽減するためのセーフティーネットの構築など、都民に最も身近な行政機関である区市町村における取り組みを進めていくことが必要です。
 そこで、都は、在宅療養の推進に向け、区市町村支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 環境改善に向けて、川の水質調査やNO2測定など、継続的に活動している多くの市民団体の要望を受けて、生活者ネットワークは、かねてから提案をしてきました。
 東京の大気汚染対策は、工場のばい煙規制に始まり、近年ではディーゼル車の排出ガス規制などによって、一九七五年ぐらいに比べると、東京の空気は確実にきれいになりました。
 この冬、中国からPM二・五の流入問題が大きく報道され、都ではホームページなどでデータを公表しています。市民の不安にこたえるためには、数値などを適時わかりやすく情報提供することが課題です。東京のこれまでの取り組みについて、国内の他都市やアジアを初めとする世界の諸都市にも積極的にノウハウを提供すべきです。
 東京の大気環境について、これまでの取り組みの成果と情報の発信、今後の取り組みについて所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 西崎光子議員の一般質問にお答えします。
 東京の将来像についてでありますが、私が知事就任の際、一人一人が輝く社会を実現するということを、都政の基本方針として都民にお示ししました。日本が世界のフロントランナーとなった今、心のデフレを脱却して、さらなる発展を遂げるためには、これまで当たり前だと思ってきたことを、発想を思い切って転換して、新しいモデルを示すことが必要だろうと。
 GDPは、この二十年間、五百兆円のまま、ずっととまったままです。どこかで発想を変えなきゃいけない。
 都営バスの二十四時間運行も、まずは六本木と渋谷、やってみようじゃないかと。今、都営バスの最終バスは、渋谷に一時十五分に着きます。そして、一時三十分から、東急バスが新横浜や青葉台に二千円で運行しています。そこまで民間はやっています。ロンドンも、パリも、ニューヨークも、ベルリンもみんな二十四時間バスをやっています。
 東京は、まず少しやってみようじゃないかと、そういうことを考えたり、あるいは時間という市場、これも考えてみようじゃないかと。仕事終わって、焼き鳥屋に行って帰るだけじゃ、これは、市場は深まりません。もっと違う考え方をしていいと思う。
 例えば、東京ジャイアンツは夜六時に始まりますが、ニューヨークヤンキースは夜七時に始まります。あるいは、ニューヨークメッツも夜八時に始まったりします。サントリーホールは夜七時に始まりますが、ブロードウエーは夜八時に始まったりします。そういうふうに、時間の市場がまだあるだろうと。考え方をちょっと変えてみるのも、賛否両論あっていいんです。ちょっと考えてみようということが、まず大事です。
 東京は、まだまだ多くの可能性を秘めた都市であります。アートやスポーツを盛んにして、多様なライフスタイルはもちろん、ビジネスの分野においても新たなスタイルを生み出すなど、都市の可能性を引き出して、東京から日本を牽引していきたいと、こういう思いでお伝えしました。
 なお、その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 在宅療養の推進についてですが、都はこれまで、地域における在宅療養の取り組みを進めるため、病院から在宅への円滑な移行等を調整する在宅療養支援窓口や、医療、介護の関係者等による協議会を設置する区市町村を支援してまいりました。
 また、患者や家族が安心して療養できるよう、区市町村が地域の医療機関に病状急変時等に利用できる病床を確保する取り組みについても支援しております。
 ことし改定した東京都保健医療計画では、在宅療養を重点課題に位置づけており、また、今般作成した地域医療再生計画案でも、地域における在宅療養の体制整備への新たな施策を盛り込んでおります。
 今後とも、在宅療養の推進に向け、区市町村を一層支援してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 東京の環境施策の成果と今後の取り組みについてでございますが、都はこれまで、工場や発電所への排出ガス規制、ディーゼル車排出ガス対策などの先駆的な施策により、東京の大気環境の大幅な改善を実現してまいりました。
 都の環境施策は、都民の命と健康を守る上で重要な役割を果たしただけでなく、東京の都市としての魅力を高め、ビジネス活動の場としての価値の向上にも、少なからぬ寄与をしたものと認識しております。
 都市環境の改善と都市活力の向上を両立させてきた東京の環境施策は、経済成長の中で環境悪化に直面しているアジアの諸都市にも貴重な教訓を含むものでございます。
 今後とも、これまでの取り組みを継承し、世界に誇れる東京の環境施策を発展させるとともに、その成果を国内外に発信してまいります。

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