平成二十五年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件三件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

〇百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、当面する都政の主要課題について、猪瀬知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
 まず、憲法改正手続を定める憲法九十六条の改正についてお伺いをいたします。
 猪瀬知事は、第一回定例会の和田前議長の憲法に関する質問に対して、必要な改正も含めて、国民全体で議論して決めていくことが大事とし、結果として国家の基本法としての価値を高める、そういう憲法にしていきたいと答弁をされました。
 私たちは、日本国憲法のあるべき姿を国民全体で議論し、その上で、国権の最高機関である国会が我が国の最高法規たる憲法の改正案を主権者である国民の投票に付す以上、党派を超えた国会議員の大多数の合意を得ることが、国会が責任を果たすということであり、憲法の国家の基本法としての価値を高めることにもつながると考えるものです。
 しかし、現行の憲法九十六条に定める国会の三分の二を超える議員の賛同はとても得られそうにないから、自分たちの改正案は横に置いて、先にルールだけを二分の一に変えようというのは、余りにもこそくなやり方ではないでしょうか。九十六条改正そのものについても、改憲を唱える学者からも、憲法の本質を無視した暴挙とまで批判をされています。憲法改正が大事だと考えるならば、改正案を掲げて正々堂々と王道を歩むべきであると考えます。
 そこで、憲法改正のあるべき姿について知事の所見を伺います。
 また、地方自治体にとっては、単に地方自治の本旨としか定められていない現行憲法にはいささか不満も残ります。知事も、憲法九十二条の地方公共団体という言葉は、これは地方を見下した表現で、東京都が団体のわけがない、首都政府ですとも述べておられます。
 現行憲法の第九十二条から第九十五条及び関連条項も含めて、地方自治の本旨に関して、憲法は具体的な意味を明示しておりません。民主党は憲法提言において、補完性の原理に基づき、国と地方自治体の基礎自治体、広域自治体の権限配分を憲法上明確にすることをうたっていますが、東京都としても、自治権拡充の立場から憲法改正について検討することも必要であろうと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、都政運営についてお伺いをいたします。
 いわゆるアベノミクスに国民の不安と期待が交錯しています。この間、株式市場は乱調を来し、債券市場の乱高下により長期金利が上昇し、住宅ローン金利の引き上げや社債発行の見送りにもつながっています。円安も、輸出効果だけではなく、輸入額の増大ももたらし、貿易赤字が続いております。何より、円安に伴う値上げが中小事業者や家計を圧迫し、収入も上がらず、都民生活にはいまだ恩恵がもたらされておりません。円安効果による企業所得の増大も、働く者に還元されなければデフレ脱却にはつながらず、長期金利の上昇は国家の財政にとっても大きな打撃となります。
 経済を活性化する成長戦略が求められていますが、安倍政権の成長戦略第一弾、第二弾は、それほど具体性のあるものではありません。知事は、国の成長戦略について、多くの現場を持っている東京は、キャッチャーとしてさまざまな先行事例を実施していくと述べましたが、都民生活の向上のためどのような対処をお考えなのか、所見をお伺いいたします。
 本定例会に提出された平成二十五年度補正予算案は、昨年末発足した安倍政権による十兆二千八百十五億円もの平成二十四年度補正予算を受けて編成をされたものです。しかし、東京都を初め各自治体は既に平成二十五年度予算を決定しており、これに上乗せされる補正予算の執行がその実を発揮できるとは考えられません。事実、補正予算に盛り込まれた公共工事の内容を見ると、追加されたのは二十億円余にすぎず、独自の公共事業の前倒しでは、実際の事業に使われるのは約四十億円にすぎません。
 救いは、民主党政権時代に積み立てたものも含む百六十八億円の基金事業が予算化されたことに加え、都独自の保育事業に対する支援策が盛り込まれたことです。都は今回の補正予算についてどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。
 次に、子育て支援について伺います。
 都議会民主党は、四年前の都議選マニフェストで二万人分の保育サービスの供給を掲げ、平成二十年から二十四年までに都内の保育所の定員を約三万人ふやしてまいりました。都は、今年度から平成二十六年度までの三年間で保育サービスを二万四千人分整備する計画を立てていますが、就学前児童の人口は平成十八年以降増加を続けており、今後の保育需要はますますふえることが予想されます。待機児童の解消には、保育サービスの需要を適切に把握した上で整備を進める必要があります。
 本定例会では、民主党政権下で成立し、平成二十七年度から本格施行される予定の子ども・子育て支援法等に基づき、東京都子供・子育て会議条例が提案をされています。私たちは、子育て当事者を初めとする関係者が参画する子供・子育て会議において、認証保育所運営費補助の引き上げなどによる保護者負担の軽減や、利用料金の応能応益化、保育サービスの量的供給増と質の向上など、東京の保育についても議論をしっかりと行っていくべきと考えております。
 そこで、今後、この会議での議論も踏まえて、保育サービスを拡充していく必要があると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 都は、待機児童解消のため、認可保育所を初め、都独自の認証保育などの認可外保育施設の整備を進めてきましたが、こうした取り組みは私たちも評価をいたしております。
 その一方で、認可保育所の利用を希望する保護者の方々が多いのも事実です。認可保育所と認証保育所の基準は基本的には変わらないにもかかわらず、認可保育所を希望する一番大きな理由は、平均の保育料が認可保育所の約一万七千円に対して、認証保育所は約四万九千円との調査結果もあるように、保育料の格差にあるのではないかと考えます。
 認可と認証に対する補助額の違いは、国が認証保育所を認めず、応分の負担をしようとしないことが一番の原因だと考えます。また、子ども・子育て支援新制度においても、現在のところ、認証保育所のほとんどは国の財政措置が見込めない状況にあると聞きますが、都としても、認証保育所が新制度の給付対象となるよう、国に対して強く働きかけていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 都は、国に先駆けて、今年度から小規模保育、いわゆる東京スマート保育の整備を促進する補助制度を開始しています。ゼロ歳児から二歳児を対象として、定員六人以上十九人以下の空き家、空き店舗、空き公共施設等を活用した保育サービスの整備を促進する市区町村を支援するものです。今年度は二十カ所、定員三百八十人分の確保を目指した予算が組み込まれていますが、この制度に対する市区町村からの反響と、今回の補正予算も踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 待機児童解消に向けて保育サービスを拡充するためには、また保育の質を確保、向上させるためにも、現在でも不足しているといわれる保育を支える人材の確保、育成が重要でございます。
 そこで、保育人材の確保、育成に向けた今後の取り組みについて、所見をお伺いいたします。
 次に、雇用対策について伺います。
 女性が能力を発揮し、生き方、働き方を選択できるようにすることは、少子高齢化が進展し、労働力人口が減少していく我が国の将来に非常に重要な意味を持ちます。しかし、今なお日本女性の就業率は、二十五歳から四十四歳の間で落ち込む、いわゆるM字カーブを描いており、諸外国と比べても就業率は低い状態にあります。これは、出産を契機として仕事をやめる女性が依然として多く、また、一たん離職をすると、意欲があってもなかなか希望する職につけないことが背景にあると考えられます。
 都として、女性が出産後も働き続けることができる職場環境づくりに取り組む企業への支援と、離職した女性の再就職支援に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、近年、職場においては、雇用形態の多様化や人間関係の複雑化、長時間労働を背景に、働く方のストレスが増加をする傾向が続いています。厚生労働省によれば、三人に一人の労働者が、過去一年間に自分の仕事に対する強い不安やストレスを感じています。こうした状況を反映して、平成二十三年度の精神障害の労災請求件数と支給決定件数は、いずれも過去最高となっています。また、都の労働相談情報センターでのメンタルヘルス不調者にかかわる相談件数も、前年に比べ一割以上増加をいたしております。
 こうした状況を踏まえ、都はメンタルヘルス対策を積極的に推進していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、医療対策について伺います。
 都は、救急搬送時間の短縮を図るため、救急医療の東京ルールを開始し、搬送先の医療機関がなかなか決まらない患者を、地域の医療機関が協力連携して、迅速に受け入れる体制を構築するなどの対応を行ってまいりました。また、救急車の増車や救急隊の増強も着実に進めております。
 その結果、救急出場件数がふえる中で、救急搬送時に医療機関の選定が困難になった事例の一日当たりの発生率は、東京ルールを開始した平成二十一年の二・三八%から、平成二十四年には二・二三%に減少しております。一方、過去五年間の救急搬送の実態を見ますと、救急搬送時間は、残念ながら、平成十九年の四十六・二分から年々少しずつ延びており、平成二十三年では五十一・六分となっているのが現状です。
 搬送時間の延伸は全国的な傾向でもありますが、今後高齢者も急増するため、救急搬送の需要はさらにふえ、救急搬送時間もさらに延びることが懸念されます。
 都は、迅速適切な救急医療の確保のため、救急医療体制の充実を図る必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 都議会民主党は、四年前のマニフェストで、東京小児ERの整備を提案しました。これに対して、現在、都では、四カ所指定された三次救急医療を担うこども救命センターを中心に、こども救命搬送システムが運営されています。直近の救命救急センターでの治療継続が困難な重篤患者を迅速に受け入れ、小児特有の症状に対応した高度な救命治療が受けられる体制が整備されました。さらに、緊急性の高い小児患者の命を守るため、トリアージを七つの小児二次救急医療機関で実施し出しております。
 そこで、小児救急医療体制の充実に向けた今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 東京での風疹の大流行は、いまだやむ気配を見せておりません。既に昨年一年間の患者数の三倍を超え、五月二十六日分までの報告数は二千三百三十八人に達しています。
 こうした中、都は、本年三月から、緊急対策として、市区町村が大人への風疹の予防接種を実施した場合、要した費用の二分の一を補助することとしました。生まれ来る子どもたちを先天性風疹症候群から守るためには、この制度を利用して、妊娠を希望する女性や妊婦の夫への予防接種を進めていく必要があります。
 また、多くの方が働く東京では、企業にも積極的な情報発信を行い、風疹の予防やワクチン接種の重要性に関する理解を広げることが必要と考えます。
 そこで、都の補助事業を活用した市区町村の風疹の予防接種の実施状況と、企業などへの都からの情報提供の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、介護についてお伺いをいたします。
 できる限り要介護にならないよう、介護予防サービスを適切に確保するとともに、要介護状態になっても、高齢者のニーズや状態の変化に応じて必要なサービスが切れ目なく提供される、包括的かつ継続的なサービス体制、いわゆる地域包括ケアシステムでは、高齢者の日常生活圏域において、予防、介護、医療、生活支援、住まいの五つのサービスがセットで提供されることが求められ、現状では、特に在宅医療の仕組みづくりが重要といわれます。まずは訪問診療や訪問看護、訪問介護などのサービスを担うマンパワーの確保を進め、地域での受け皿づくりを進めることが喫緊の課題であります。
 一方で、国の社会保障・税一体改革では、介護予防が重点化、効率化の大きな柱の一つとなっており、昨年度から市町村介護予防強化推進事業、予防モデル事業が要支援者等に必要な予防サービスと生活支援サービスを明らかにするために実施をされております。この結果をもとに、予防効果の高いサービス体系を構築することとされておりますが、こうした動きも注視をしていく必要があります。
 そこで、地域包括ケアの構築に向けた課題についての認識と今後の取り組みについて、所見をお伺いいたします。
 都が平成二十三年に行った調査では、都内認知症高齢者は約三十二万人で、六十五歳以上人口の約一二・五%と推計されています。また、このうちの四分の三に当たる約二十三万人が、見守りまたは支援が必要な認知症高齢者であるとされています。今後、さらに高齢化が加速する中で、認知症高齢者の急増が予想をされております。
 認知症対策としては、早期の診断による発見や診断結果に基づく早期の治療が重要といわれていますが、認知症の疑いのある高齢者の中には、みずから受診をしようとしない方もいるため、こうした方への訪問による早期の診断と対応が必要です。
 現在、都では、認知症の専門医療や人材育成などを担う認知症疾患医療センターが、十二カ所、指定を受けて稼働しています。今後、地域で認知症の人を支えていくために、医療機関や介護事業者が連携して、認知症の早期診断、対応の取り組みを進めていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、教育施策についてお伺いをいたします。
 初めに、学びの機会均等に向けた私立高校に通う生徒への授業料補助についてお伺いをいたします。
 民主党は、平成二十二年に公立高校無償化を実現させ、私学にも就学支援金を支給することとしました。その結果、保護者の負担が軽減をされ、経済的な理由による中途退学者も減少するなど、大きな成果を得ることができました。
 しかしながら、安倍政権は、高校無償化に所得制限を設けることを検討しています。高額所得者に負担を求めるのであれば、累進税制によればよく、子どもたちの学費に格差を設けるべきではありません。所得制限を導入することのないように、都としても国に働きかけをしていくよう求めておきたいと思います。
 さて、東京都においては、国の就学支援金に上乗せする形で特別奨学金補助を行っていますが、一人当たりの補助単価は毎年微増しており、私学に通う生徒の経済的負担も年々、少しずつですが、軽減をされております。昨年の九月には、我が国とマダガスカルのみが留保していた国際人権A規約第十三条二、中等・高等教育無償化の漸進的導入を定めている規約への留保を撤回したことから、今後、さらに私立高校生に対する授業料軽減補助を拡充していかなくてはならないと考えます。公立、私立学校の授業料格差を縮小し、だれもが教育内容で学校を選び、学べるよう、学びの機会均等を促進していくべきと考えます。
 そこで、都においては、国に対して就学支援金の拡充を引き続き求めるとともに、特別奨学金補助の拡充を行っていくべきと考えますが、所見をお伺いをいたします。
 次に、専修学校の助成についてお伺いをいたします。
 近年の厳しい雇用情勢のもと、職業実践教育を担う私立専修学校への期待はますます高まっています。その中でも、中学卒業者を対象とする専修学校の高等課程は、中学生の段階で自分の進むべきキャリアを発見した生徒に職業教育の場を提供するとともに、高校中退などさまざまな事情を抱えた生徒に対しての再チャレンジの場となるなど、子どもたちの多様なニーズにこたえる役割を果たしています。
 その役割の重要性から、私立専修学校高等課程を今後一層充実させるためにも、補助対象経費を私立高等学校と同等に扱い、教育振興費補助を増額していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、専門的な技術、技能を持つスペシャリストを輩出するためには、都立専門高校の役割も重要です。このたび都教育委員会は、新たに都立専門高校における技能スタンダードを発表しましたが、この取り組みによって、生徒の技能、技術力の専門性が向上され、都立専門高校の教育力、ブランド力の向上につながることが期待をされております。
 そこで、今後、どのように技能スタンダードを活用し、都立専門高校生の専門性を向上させていくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、都立高校生の中途退学者に対する社会的自立支援についてお伺いをいたします。
 中途退学者に占める、学校にも行かず就職もしていない割合が、二十二年度は平成九年度に比べて大幅に増加しており、これらの中途退学者がニートやフリーターなどの予備軍になっていると考えられ、大きな問題となっています。
 都教育委員会は、昨年の七月から十一月にかけて中途退学者の追跡調査を行い、ことしの三月にその結果が報告されました。その中で、中途退学後のハローワークや心の相談機関などの若者支援機関の活用状況に関する調査がありますが、特に利用したことがないという回答が、ニートになった者を筆頭に圧倒的多数であるという結果が出ております。
 今後、行き先が決まっていない中での中途退学を食いとめる予防対策を行っていくことはもとより、こうした状況から、退学した後、支援機関の利用を促すなどのフォローもしっかり行っていく必要があると考えます。
 そこで、今後、中途退学者に対する社会的自立支援に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、自立と社会参加に向けた小中学校の特別支援学級の教育についてお伺いをいたします。
 現在、知的障害特別支援学級に在籍する児童生徒は、学習上、生活上の困難の程度も多様であり、また、発達障害をあわせ持つ児童生徒の入級も増加している状況です。平成二十四年度の都内の知的障害特別支援学級の在籍者数は、小中学校合わせて七千九百五十一人ですが、今後も微増していくことが予想されています。
 こうした状況の中、将来の自立と社会参加に向けて、児童生徒一人一人の障害の程度に応じたきめ細かな教育が求められますが、その一方で、現在、専門性と経験を身につけたベテラン教員の大量退職時代を迎えるため、教員の専門性の維持向上を図っていく必要があります。
 都教育委員会は、昨年度までの二カ年で、特別支援学級と特別支援学校の連携による専門性向上プロジェクトを実施してきましたが、その内容を踏まえ、今後、都内公立小中学校の特別支援学級における指導力向上に向けてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、知的障害特別支援学校における職業教育についてお伺いをいたします。
 東京都は、今後十年間でさらに三万人増の障害者雇用を達成し、だれもがともに暮らす社会を実現するとしていますが、知的障害特別支援学校の高等部普通科卒業生の一般就労率は、現在三〇%前半にとどまっています。今後、一般就労率の向上を図るため、民間企業等との連携を強化し、新たな職種、職域の開拓を進めるとともに、企業等のニーズに適切にこたえられるよう、職業教育を充実させていかなければなりません。
 都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画から、現在の第三次実施計画に至るまで、知的障害特別支援学校における職業教育改善校や実践研究校の指定など、職業教育の充実に向けた研究開発を行ってきたようですが、これまでの取り組みの実績と今後の展開についてお伺いをいたします。
 次に、体罰についてお伺いをいたします。
 都教育委員会は、ことし一月に都内公立学校における体罰の実態調査を開始し、三月の第一次報告を受けて、五月に最終報告を発表しました。最終報告では、昨年度に体罰と認定されたものが百四十六校百八十二人、不適切、行き過ぎた指導が三百三十五校五百四十二人にも上りました。
 先般、文科省が定めた運動部活動での指導ガイドラインには、肉体的、精神的な負荷や厳しい指導と、体罰等の許されない指導との区別や、適切な指導体制に関しての内容などが含まれておりますが、何が体罰に該当するのかの判断基準については、各市区町村や個々の教員、保護者等によって異なることから、都教育委員会としても、このようなガイドラインや調査結果に基づき、統一の基準を示していく必要があると考えます。
 体罰根絶のため、都教育委員会は、体罰基準を明確化し、効果的な指導方法の考案、普及を図るとともに、各学校において、組織一体となった教員一人一人の意識改革への取り組みが進むよう、今後の対策を講じるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、築地市場の移転問題についてお伺いをいたします。
 都議会民主党は、四年前、築地市場の移転について、豊洲の移転予定地から高濃度の汚染物質が検出されるなど、安全性が確認されておらず、関係者の合意も得られていないことから、強引な移転には反対とする主張をいたしました。現在、土壌汚染対策工事が、工程等を調整しながら、慎重かつ丁寧に進めているのは確認をしているところですが、都民にとって食の安全を確保していくことが重要であるとの我々の認識はいささかも変わっておりません。
 そこで、我々の主張に沿って、食の安全に万全を期すため、一年間開場を延期して行っている土壌汚染対策の現状と今後の見込みについて、確認をさせていただきたいと思います。
 また、昨年二月に、関係者である地元中央区とは、築地地区で中央区と東京都が協力して食文化の拠点継承に向けて取り組むことなどを合意しています。現在、中央区では、築地場外市場の区有地に、食のプロに支持され、一般客、観光客にも親しまれる食のまち築地のにぎわいの拠点となる約百店舗の施設を先行的に整備する計画があります。こうした築地のまちづくりに協力し、築地市場の移転後の食文化の拠点継承に向けた都の見解をお伺いいたします。
 我々都議会民主党は、この四年間、さまざまな指摘や提案をして、その都度、深い議論をしながら進めてまいりました。今後も、土壌汚染対策の進捗状況、地下水モニタリングの結果などを注視し、豊洲新市場が安心・安全な状態で開場されるよう取り組んでまいります。
 都には、土壌汚染対策の確実な実施、汚染の処理を完了した上での施設建築工事の着手など、それぞれの段階でリスクコミュニケーションなどの取り組みを通じて、都民や市場関係者の理解や信頼を得て、豊洲新市場の整備を進めることを強く求めておきます。
 次に、首都圏直下地震、南海トラフ地震などの震災、台風やゲリラ豪雨など、東京が備えを万全にし、不安を解消していかなければならない震災災害対策について、それぞれお伺いをいたします。
 まず、都が独自に実施した南海トラフ巨大地震の被害想定についてです。
 島しょの町村の防災対策につなげるため、詳細な検討が実施され、島ごとの人的被害、建物被害や、島しょ町村における港ごとの浸水域などが明らかにされました。人々の避難条件を変化させたときの人的被害は、津波から避難する条件を迅速化すればするほど人的被害が軽減できると示されています。
 三十メートルを超えるような津波の到来は極めてまれと推察されますが、万が一発生した場合、迅速に避難することが命を守るために重要であると明らかになりました。今回の被害想定を受け、このように津波からの避難がますます重要になる中、都としてどのように取り組むのかお伺いをいたします。
 改正耐震改修促進法が五月二十二日に成立し、本年十一月に施行される見通しとなりました。国は大規模建築物に対して、平成二十七年末までに耐震診断の実施を義務づけるとともに、補助制度の拡充を行い、耐震化を加速させるとしています。
 都においては、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断を義務化し、国に先駆けて取り組みを進めてきています。建物所有者の実質的負担をゼロ化し、東京の大動脈であり、輸送ネットワークを保持するため、特定沿道建築物の耐震診断を平成二十五年度で完了し、平成二十七年度末には緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を完了するとしています。
 耐震性が不足する建物を残さないよう、そして一刻も早く耐震化を完了するよう、取り組みを強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災における死者の七割を占めた神戸市内での死者のうち、建物の問題を原因として亡くなられた方の割合は、兵庫県監察医の調査結果では、実に九五・五%にも達しているとのことです。瓦れきと化した家屋の下敷きとなり、内臓破裂や骨盤骨折でのほぼ即死、多くの建物が同時に被災したため、救助活動が円滑に進まず、瓦れきによる圧死、あるいは下敷きになって逃げ出せずに火災で命を落とされた方々も多くいました。
 そのため、これまで都議会民主党は、繰り返し建物の耐震化推進を求め、阪神・淡路大震災の教訓として、耐震化は既に終了しているべき事項であると申し上げてきました。建物の耐震化は、震災被害の抑止、すなわち生命を守るための基本中の基本として、早急に進めていかなければならない課題でございます。
 都は、耐震診断、耐震補強への助成は、都が定めた整備地域内のみを対象とするとしてきましたが、一刻も早く、また一世帯でも多く耐震化するため、木造住宅の耐震化助成対象地域をさらに拡大すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 こうした対策を進める中で、忘れてはならないのは、地域でまずだれよりも先に災害現場へ駆けつけ、人命救助活動等を行う消防団員の皆さんです。消防団員は、団員招集計画に基づき所定の参集場所へ参集することが原則ですが、災害の状況によっては、所定の参集場所へ参集することなく、被災地において人命救助活動等を行うのがより有効な場合もあります。
 既に特別区内では、団員が自己団に参集するのに長時間を要する場合などの一定の条件下において、自己団区域以外で活動することが可能になっています。こうした取り組みが、特別区と市町村あるいは市町村と市町村の間でも進むことになれば、貴重な人材である消防団員の皆さんの能力を十全に生かしていくこともできるのではないかと考えます。
 しかし、そのためには、共通する消防団員証による身分の確認から、装備資機材の提供、負傷時の補償など、さまざまな課題をあらかじめ協定していく必要があります。現在、一部市町村を除いて、都内市町村長が消防団に関し、消防相互応援協定を締結しようとするときは、あらかじめ東京都知事と協議することになっていますが、市町村長の協議申し入れに対して都はどのように対応するのか、所見をお伺いいたします。
 近年、雷雨性豪雨や台風による水害が増加しており、降雨状況の変化に対応した対策を推進することが急務であります。先般、東京都は、今後の河川整備において目指すべき目標整備水準を、現在の時間五〇ミリの降雨への対応から、区部では時間最大七五ミリ、多摩では時間最大六五ミリに引き上げることにより、局地的短時間の時間一〇〇ミリの降雨でも安全を確保していくこととしました。
 一方、豪雨対策については、平成十九年に東京都豪雨対策基本方針を定め、対策が急がれる神田川など七流域において、平成二十九年度を目標年次とする豪雨対策計画を策定をし、浸水被害の状況や流域の特性を踏まえ、河川、下水道の整備及び雨水の流出を抑制するための流域対策を総合的に推進し、頻発する局地的集中豪雨への対処を進めてきました。さらに、平成二十二年七月には、石神井川流域で発生した集中豪雨による浸水被害を契機に、緊急豪雨対策を定め、浸水被害の危険性の高い地域において集中的に整備を行っています。
 都民が安心して暮らせる安全なまちを実現するためには、緊急豪雨対策に掲げる緊急的、効果的施策を着実に進めていく必要がありますが、見解をお伺いいたします。
 次に、環境、エネルギー施策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災後、三回目の夏を迎えます。東京電力管内における今夏の電力需給見通しでは、安定供給に最低限必要な三%以上の六・七%の予備率の確保が見込まれています。この需給想定には、震災前の夏に比べ一〇・五%の節電の定着が盛り込まれており、我が党が一昨年、二十一年ぶりに議員提案をし、そして成立をいたしました省エネ条例に基づき、引き続き省エネ、節電の必要性を訴えていくことが必要であると考えます。
 一方で、供給量には、老朽化した火力発電の増強が盛り込まれており、当面はCO2の排出量増加が避けられないという事実を忘れてはなりません。先日、世界の指標とされるハワイの観測所におけるCO2濃度が初めて四〇〇ppmを超えたとの報道がありました。一九五八年の観測開始時には三一五ppmだったということであり、この五十年余りで急速に上昇したことになります。電力の安定供給とCO2排出量の削減という二つの課題を同時に解決していかなければならないのです。
 そこで、改めてこの夏の電力需要の見通しを踏まえ、この二つの課題の解決に向けた都の所見をお伺いいたします。
 省エネ、節電は、CO2削減はもとより、コスト削減にも直結をしてまいります。都は、二〇一〇年度から大規模事業所を対象としたキャップ・アンド・トレード制度を運用しています。都の発表によれば、大規模事業所の二〇一一年度の排出量は、基準排出量と比べ約二三%の削減となり、節電、省エネの取り組みが進んでいることがうかがえます。
 一方で、都内の業務、産業部門のCO2排出量の六割を占める中小規模事業所の取り組みも大きな課題です。都はこれまで、地球温暖化対策報告書制度等を活用し、中小規模事業所におけるエネルギー利用の効率化を促してきましたが、大規模事業所と同様に、より一層対策を推進、継続することが必要と考えます。
 中小規模事業所では、人材面、技術面などさまざまな課題があると思いますが、都は今後、さらなる対策をどのように推進をしていくのか、お伺いをいたします。
 また、事業者の対策のみならず、家庭においても無理のない節電を効果的に進めていく必要があります。スマートエネルギー都市東京を実現するため、住宅のスマート化に向けた取り組みについて、都の見解をお伺いいたします。
 次に、東京の魅力を高める施策について伺います。
 まずは、緑施策についてですが、森記念財団や、イギリスの雑誌「モノクル」、ドイツのシーメンス社など、世界の都市比較調査が実施されています。これらの調査の評価項目を見ると、環境分野の項目には必ず緑地に関する事項が設けられており、緑は都市の魅力向上に不可欠な要素であることがわかりますが、東京は上位にランクインをしておりません。
 都は、水や緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを目標に掲げ、都市空間の緑化を推進しています。都市における緑は、都民に潤いや安らぎを与えるだけでなく、風格ある都市景観を創出するほか、防災機能の強化にも寄与するなど、その役割は多様かつ重要と考えます。
 東京の魅力向上に不可欠な緑の保全、創出について、これまでの都の取り組みの成果をお伺いいたします。
 また、緑は生き物の生存基盤としても重要であり、特に二〇一〇年に開催された生物多様性条約第十回締約国会議以降は、生物多様性の保全の観点からもその注目度は高まってきています。都内でも、数百年前の豊かな森が再現され、生物多様性の保全が進められている事例もあります。こうした取り組みを都全体に広げていく必要があると考えますが、生物多様性に配慮した緑施策の今後の展開について、都の所見をお伺いいたします。
 次に、こうした緑豊かな都市環境の中でも、大正時代に整備された都市構造と風格ある緑を備え、日本を代表するスポーツ施設が集積している神宮外苑のまちづくりについて伺います。
 本地区では、多くの樹木による豊かな自然環境を守りつつ、新たな時代のスポーツニーズに対応した施設整備や、安全で円滑な移動を可能とする配置、バリアフリー化によるアクセス性向上など、東京の新しい魅力となるまちづくりの推進が求められております。
 私は、多くの国民やアスリートがスポーツを楽しむ一大拠点としてさらに発展をさせるとともに、都心の豊かな自然の中で都民が楽しめるようなランニングコースを設置することで、さらに魅力が向上するものと考えます。
 このように、より多くの都民が楽しめる、もっと魅力的な東京となるよう、神宮外苑地区のまちづくりを進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致について伺います。
 本年九月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるIOC総会において、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催都市が決定されるまで、いよいよ三カ月に迫ってきました。これからは、IOC委員やその関係者に東京での開催を戦略的に印象づけていくための国際プロモーションが重要になってまいります。
 先日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催されたスポーツアコード会議は、立候補している三都市による初めての公式のプレゼンテーションの機会であり、国際プロモーション活動を展開していく上で極めて重要な場面でした。知事もみずから現地に赴き、積極的なPR活動を行いましたが、国際スポーツ界の関係者が一堂に会するこの会議は、先日のイスラムに関する発言による影響を挽回する上でも重要な機会であったのではないでしょうか。
 そこで、今回のスポーツアコード会議ではどのような国際プロモーション活動を行い、具体的にどのような成果を上げることができたのか、知事に見解をお伺いいたします。
 今こそ東京招致に向けて、都民、国民の心を改めて一つにするときではないでしょうか。東京の開催支持率は七〇%台まで押し上がってきましたが、イスタンブールやマドリードの開催支持率にはいまだ及んでおりません。山場を迎える今後の招致レースにおいて、東京は、招致実現に向けてさらなる国内機運の盛り上げを推し進め、その姿をIOC委員やその関係者に伝えることで、東京の熱意をアピールすることが重要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 開催都市決定まであと三カ月。決定する九月には、スポーツ祭東京二〇一三が開催されます。現在、その開催に向け、一般の人々も参加できるデモンストレーションの関連スポーツイベントが各地で行われておりますが、こうした機会も利用しながら、オリンピック・パラリンピックの招致に向けた国内機運をさらに盛り上げていただきたいと考えます。
 私たち都議会民主党は、スポーツの力で子どもたちに夢をつかむ機会を与え、日本を復興させるためにも、引き続き招致成功に向け、都民や関係者の方々とともに、全力で取り組んでまいります。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 酒井大史議員の代表質問にお答えします。
 憲法改正についてでありますが、第一回定例会で申し上げましたが、憲法九条のもとで、我が国は国防をアメリカにゆだね、戦争を国家の想定外にしてきました。そのことで、大戦で疲弊した国力を涵養し、産業や国民生活の向上に振り向け、日本の復興と繁栄に貢献したことも事実であります。
 しかし、戦後日本がその繁栄の向こうにたどり着いた地平は、ディズニーランドのような特異な国家でありました。自分の意見や主張も実証されない、いわばごっこの世界、フィクションの世界ができ上がり、危機をリアルに想像する力を失ってしまったのです。
 東日本大震災と原発事故を経験した日本は、起こり得る危機を想定する社会へと転換しなければいけません。将来のリスクを想定して、あるいはこれからの時代の変化に対応していくため、憲法の改正条項の問題や、それだけを先行して改正することも含めて、さまざまな議論が起きるのは当然であります。要は、国民全体で議論し、決めることが大事だということです。
 私は、国民主権、基本的人権の尊重という基本原理を変えてはならないと思っています。そして、この変えてはならない原則に、想定外のない、リアルな平和主義を加えるべきだと思います。
 いずれにせよ、来るべき国政選挙で、それぞれの政党が憲法改正についてわかりやすい選択肢を示すことで、国民の間で議論が盛り上がることを期待しています。
 次に、都民生活の向上に向けた都政運営についてであります。
 知事就任以来、一人一人が輝く社会の実現を目指して、施策の展開に努めてまいりました。例えば、都民の安全を守るため、不燃化特区を大幅に拡大し、災害に負けない都市の整備を進めるとともに、安心して子どもを産み育てられる社会を実現するため、東京スマート保育を初めとする東京都独自の保育施策を積極的に推進しています。さらに、上下水道の海外展開など、東京の高い技術力を生かした先進的な政策にも取り組んでいます。
 同時に、日本の心臓である東京のさらなる発展は、日本経済の再生と切り離して考えることはできません。現在、安倍政権は、脱デフレの経済政策を進めており、国の成長戦略により、企業の業績改善や、雇用と所得の拡大が実現することを期待しています。
 東京都も、国に呼応し、現場を持つ強みを生かした政策を展開していきます。今定例会でも、政府の緊急経済対策に連動した補正予算を提案しておりまして、公共事業の早期実施などにより、景気を支え、雇用の創出につなげていきたい。こうした政策を加速させ、人々を覆う心のデフレを取り払い、東京に元気を取り戻していきたいと思っています。
 次に、サンクトペテルブルクにおけるスポーツアコード会議の成果についてでありますが、この国際会議は、IOC委員の四割を含む世界じゅうの競技団体の役員ら約二千人が集うとともに、招致を目指す三つの立候補都市が初めて一堂に会する会議でありました。
 私自身は、プレゼンテーションにおいて、もし財布を落としても現金が入ったまま手元に戻ってくる──実際に三十億円戻ってきているんです。そういう治安のよさや、現在、四千億円の基金が銀行にあります、その財政力。正確に運行される輸送インフラなど、東京の都市の都市力、確実な大会運営能力を強く訴えました。
 また、フェンシング銀メダリストの太田雄貴選手などとともに、会場内に設けた招致ブースや現地の有力者、国内外のメディア関係者を招待して開催した招致懇談会などにおいて、東京の二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会開催に向けた熱意と開催計画の優位性を訴えてきました。こうした取り組みを通じて、IOC委員及びその関係者に対し、東京が最高のパートナーであるということを強く印象づけることができたと思っております。
 今回のスポーツアコード会議での成果を弾みとして、今後の国際招致活動においても、引き続き東京への支持拡大に努め、九月のIOC総会において確実に招致をかち取る決意でいます。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、専門高校生徒の専門性向上についてでありますが、社会で通用する実践力のある人材を育成するため、都教育委員会は、技術、技能の確実な習得と有用な資格の取得促進を目的に、在学中に身につけるべき事項を基礎から応用、発展まで段階別に示した専門高校技能スタンダードを策定し、推進校を十校指定いたしました。
 今後、この技能スタンダードに基づき、例えば電気科では、電気配線工事などの技術習得と電気工事士などの資格取得を目指すよう、各学校が目標を設定した上で計画的に実習を行い、実習の終了時などに一人一人の習得状況を確認してまいります。習得が不十分な生徒には繰り返し指導するなどして、すべての生徒への技術、技能の定着と伸長を図り、社会で求められる専門性を確実に身につけさせてまいります。
 次に、中途退学者に対する社会的自立支援についてであります。
 高校を中途退学した者は、ニートなどに至るリスクが高いにもかかわらず、中途退学後は自立に役立つさまざまな情報が届いていないため、十分な支援が受けられない現状があります。
 ことし三月に発表した都立高校中途退学者等追跡調査においても、退学後の若者を支援する機関等の利用状況については、特に利用したところはないという回答が全体の六六・三%でありました。
 そこで、都教育委員会は、中途退学者の社会的自立に向け、都立高校と若者の自立を支援するNPO等とが連携して、一人一人の状況に応じて必要な機関等につなげ、学び直しや就労などに結びつくきめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、特別支援学級の教員の指導力向上についてであります。
 都教育委員会は、小中学校の特別支援学級に、都立特別支援学校の教員を継続的に派遣し、実際の指導場面での助言を行うことにより、教員の専門性向上を図るモデル事業を九地区において実施してまいりました。本事業により、特別支援学級では、子どもの障害実態を踏まえた学習課題の設定や、教材の工夫等の授業改善が図られるとともに、助言を受けた教員が他校の教員を支援するなど、成果が上がっております。
 都教育委員会は、今年度、すべての区市町村教育委員会に対し、本事業のすぐれた実践を周知するとともに、都立学校からの教員派遣を活用した専門性向上のための計画策定を働きかけ、特別支援学級の教員の専門性向上を推進してまいります。
 次に、特別支援学校の職業教育についてであります。
 都教育委員会は、高等部普通科における知的障害が中重度の生徒の職業能力を開発するため、実践研究校を指定し、生徒の特性や技能に適した作業学習の改善充実を図っております。実践研究校では、作業工程の細分化や補助具の工夫、開発によって、生徒の理解力や技能に応じた作業が可能となり、生徒の主体的な活動意欲の向上や、一人でできる作業領域の拡大などの成果があらわれております。
 今後は、こうした研究成果を全校に普及させるとともに、各校が生徒の状況に応じた指導内容と方法を確立することで、生徒一人一人の手順に従って作業する力などを伸ばし、進路先の企業や就労継続支援事業所等の期待にこたえられるよう育成してまいります。
 最後に、体罰基準の明確化と今後の対策についてであります。
 このたびの体罰調査では、教員の体罰に対する認識不足や、体罰が効果的な指導であるとする誤った考え方があるなどの課題が明らかとなりました。
 今後、都教育委員会は、文部科学省が示したガイドラインを踏まえつつ、部活動指導等の在り方検討委員会において、体罰と指導の範囲を明確にしたガイドラインを示してまいります。また、効果的な体罰防止プログラムの開発や、全顧問教諭を対象とした研修の実施などの総合的な対策を、八月を目途に策定し、学校や区市町村教育委員会と一体となって教員の意識改革を進めてまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 憲法改正に係る都としての検討についてのご質問にお答えいたします。
 東京の活力を高め、都民の暮らしを守る施策を展開するためには、地方分権改革が必要であります。このため、都は国に対して権限や財源の移譲を要求するとともに、認証保育所など都独自の新しい施策を展開し、その実績をもとに国への提言を行うなど、具体的な取り組みを着実に進めてまいりました。今後とも、国からの権限移譲など、地方分権改革の推進を国に強く求めてまいります。
 憲法の改正については、知事がご答弁されたとおり、国民全体で議論して決めることが大事と考えますが、同時に、改正手続は立法府である国会の発議により行われるとされております。
 都としては、今後とも、地方自治に関する憲法の規定についての議論を注視してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 補正予算についてでありますが、今回の補正予算は、国の緊急経済対策に呼応するとともに、子育て支援の強化に向けた都独自の取り組みを行うことを目的として編成したものであります。
 具体的には、地域の元気臨時交付金を活用して、東京の防災力の向上や経済の活性化に資する公共事業を前倒しするとともに、小規模保育の拡充など、待機児童の解消を加速化させる取り組みを盛り込んでおります。いずれも、現下の都政の重要課題への対応として不可欠な取り組みであることから、これらを着実に実施して具体的な成果を積み上げていくことが重要であると考えております。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育サービスの拡充についてですが、都はこれまで、保育の実施主体である区市町村が実施したニーズ調査の結果を踏まえ、東京都保育計画を策定し、保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 新たな子ども・子育て支援制度では、保育に加え、幼児教育や地域の子育て支援についてもニーズ調査を行った上で、平成二十六年度末までに区市町村が事業計画を策定し、これに基づいて保育サービスの拡充に取り組むこととなります。都は、区市町村の事業計画を踏まえ、子ども・子育て会議の意見も聞きながら、広域的な立場から区市町村に対する支援計画を策定してまいります。
 次に、認証保育所についてですが、大都市ニーズにこたえる認証保育所は、広く都民の支持を得て設置が進んでおり、本年五月一日現在、六百九十五カ所、定員は二万三千人を超え、東京の保育施策として不可欠なものとなっております。
 都はこれまで、認証保育所を国の制度に位置づけ、十分な財源措置を講ずるよう要求してまいりましたが、国はいまだに認証保育所の実績を認めておりません。国は本年四月から、子ども・子育て会議の中で、新たな制度の具体的な基準について議論を始めており、都は、認証保育所が新制度の中に位置づけられるよう引き続き強く求めてまいります。
 次に、小規模保育への取り組みについてですが、現在、新宿区、杉並区及び豊島区で事業者の公募が行われているほか、板橋区や北区でも整備を予定しており、その他の区市町村からも、人員や設備に関する基準などについて多くの問い合わせが寄せられております。
 今回の補正予算では、運営費補助の拡充も図ることとしており、今後、保育の実施主体である区市町村による小規模保育の整備が一層進むよう、説明会の開催や個別の相談などさまざまな機会を通じて、積極的に働きかけてまいります。
 次に、保育人材の確保、育成についてですが、都はこれまで、保育所勤務経験者で現在は勤めていない人を対象に、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するほか、未経験の有資格者を対象に、最新の知識や技術を習得するためのセミナー等を実施するなど、保育人材の確保に努めてまいりました。また、質の高い保育人材を育成するため、安心こども基金を活用し、区市町村が保育士等に対して実施する研修を支援してまいりました。
 今年度は、新たに保育団体等と連携し、保育士養成校の新卒者等を対象に、職場体験の充実を図るほか、今後の保育人材の確保、育成策に生かすため、保育士有資格者を対象に就労や離職状況等の調査を実施いたします。
 次に、救急医療体制の充実についてですが、都はこれまで、いつでも症状に応じた適切な医療を受けられるよう、初期、二次及び三次救急医療の体制を整備するとともに、救急医療の東京ルールを定め、東京消防庁に搬送コーディネーターを配置するなど、医療機関への迅速な搬送体制を構築してまいりました。
 こうした体制を一層充実させるため、昨年七月には、救急医療対策協議会に、社会構造の変化に対応する救急医療体制のあり方について諮問を行い、本年五月に、継続的かつ安定的な体制確保の観点から、見直しの方向性について答申がございました。
 今後、この答申や、診療報酬制度との整合性も踏まえながら、関係機関とも十分協議の上、救急医療体制の見直しについて検討してまいります。
 次に、小児救急医療体制についてですが、都は現在、区市町村が実施する小児初期救急医療事業に支援を行うとともに、入院が必要な救急患者に対し、小児科医師が二十四時間体制で診療を行う二次救急医療機関を都内五十一カ所で確保しております。
 また、重篤な小児救急患者を必ず受け入れ、高度な救命医療を行うこども救命センターを四カ所整備するとともに、このセンターを中核として、地域の実情に応じた医療機関相互の連携体制を構築しているところでございます。
 今年度からは、こども救命センターに入院している患者の円滑な退院に向けた取り組みを開始しており、今後とも、小児救急医療体制の一層の充実に努めてまいります。
 次に、風疹対策についてですが、都は、妊娠中に風疹ウイルスに胎児が感染し発生する先天性風疹症候群を防止するため、三月から全国に先駆けて緊急対策を開始し、現在、都内のすべての区市町村で、妊娠を希望している女性や妊娠している女性の夫等を対象とした予防接種が行われております。
 また、風疹への感染を予防するため、ツイッターやホームページにより、広く都民に対し、発生状況や予防接種に関する情報を発信しており、流行の中心となっている働く世代に対しては、商工会議所等の企業団体や健康保険組合などを通じて、職場や家庭等における感染予防や予防接種の重要性等について啓発を行っているところでございます。
 今後とも、積極的な情報発信を行い、感染拡大の防止に努めてまいります。
 次に、地域包括ケアシステムについてですが、医療や福祉、住まいなど多様なサービスを日常生活の場で切れ目なく提供する地域包括ケアシステムの実現のためには、医療と介護の連携を強化し、在宅療養を推進することが重要であります。
 このため、都は、病院から在宅への円滑な移行を調整する窓口を設置する区市町村を包括補助等により支援するとともに、医療と介護の連携に重要な役割を果たす訪問看護ステーションの拠点整備や、連携の核となる介護支援専門員や看護師等の人材の育成にも取り組んでいるところでございます。
 国は昨年から、全国十三の区市町村で、予防サービスと生活支援サービスを組み合わせたモデル事業を実施しており、今後その成果も踏まえながら、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めてまいります。
 最後に、地域における認知症への取り組みについてですが、認知症高齢者の在宅生活を支えていくために、都は現在、十二の認知症疾患医療センターを中心に、地域における医療と介護の連携を進めており、今年度は、新たに早期発見、診断、支援のための取り組みを開始いたします。
 この取り組みでは、区市町村に配置した認知症コーディネーターが、かかりつけ医や介護事業者等と連携して、認知症の疑いのある方を訪問し、適切な介護サービス等につなげるとともに、認知症疾患医療センターの医師、看護師、精神保健福祉士等から成る専門チームが訪問、診断し、早期に支援する取り組みも開始いたします。
 今後とも、医療と介護の両面から関係機関の連携を進め、地域における認知症対応力の向上を図ってまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、女性の就業についてでございます。
 労働力人口が減少する中、働く意欲のある女性が、能力を十分発揮できる機会を確保することは重要でございます。
 都はこれまで、女性が出産後も継続して働ける仕組みづくりなど、仕事と生活の両立についてすぐれた取り組みを進める企業を認定し、そのノウハウを広く発信してまいりました。
 今年度からは、育児も含め、仕事と生活の両立を進める中小企業に対し、短時間勤務制度の導入など、企業の実情に応じた取り組みを支援する事業を開始いたしました。
 また、再就職を希望する女性のため、保育サービスつきの職業訓練などを行うとともに、東京しごとセンターではキャリアカウンセリングのほか、就職に役立つ実践的な知識やスキルを提供するプログラムを実施しております。
 今後とも、意欲ある女性の就業を支援してまいります。
 次に、職場におけるメンタルヘルス対策についてでございます。
 労働者が心の健康を保持し、生き生きと働ける労働環境を整備するため、都はこれまで、メンタルヘルスに問題を抱えている従業員への対応や職場環境の改善方法、関係法令等について、セミナーや専用のホームページを通じて、幅広く普及啓発を行ってまいりました。
 また、労働相談情報センターにおいて、事業主や労働者などそれぞれの立場からの相談に応じております。
 今年度は、企業における取り組みをさらに支援するため、事業主などを対象にしたシンポジウムと相談会をあわせて開催することとしており、こうした取り組みを通じ、職場におけるメンタルヘルス対策を推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立学校に対する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立高校の生徒への特別奨学金についてでございますが、都の特別奨学金制度は、公私の授業料格差の是正を図る観点から、一定所得以下の保護者を対象として、所得に応じて授業料の一部を補助するものであり、国の就学支援金制度が導入される以前から実施し、保護者の授業料負担の軽減を図ってまいりました。
 都といたしましては、私立高校に対する基幹的補助である経常費補助を初めとして、特別奨学金制度など幅広い施策を総合的に実施し、公私格差の是正も含め、私学振興に努めてまいります。
 次に、私立専修学校教育振興費補助についてであります。
 都では、教育条件の維持向上と生徒の経済的負担の軽減を図るとともに、経営の安定性と健全性を高めるため、私立専修学校の高等課程に対し、学校運営費の一部について補助を行っております。しかしながら、専修学校は、学校教育法第一条で定める高等学校とは位置づけが異なっており、また、国の助成制度がなく、都単独の補助には一定の限界があるため、国に対して専修学校高等課程への助成制度の創設を要望してまいりました。
 今後とも、私立専修学校の振興発展を図るため、引き続き国に対して、助成制度の創設を要望してまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、豊洲新市場用地における土壌汚染対策工事についてでございます。
 現在、五街区及び七街区においては、操業由来の汚染土壌、汚染地下水の対策を進めており、四月末時点で、汚染土壌については、対象区画の約八割で対策に着手し、約六割が完了しております。また、汚染地下水については、約七割で着手し、約五割が完了しており、対策が完了した箇所から液状化対策を進めております。
 六街区では、仮設土壌処理プラントにおいて全街区の汚染土壌処理を行うとともに、他の街区から敷地の西側に仮置きしました盛り土を搬出し、操業地盤面以下の土壌の掘削や汚染土壌、汚染地下水の対策に着手しております。
 今後は、引き続き液状化対策を進めるとともに、六街区の仮設土壌処理プラントを順次移設し、プラント下の対策を行うなど、三街区間で綿密な工事調整を行い、予定どおり施設建設工事に着手してまいります。
 次に、築地市場移転後の食文化の継承についてでございますが、都と中央区は昨年四月に都区検討会を立ち上げ、築地市場移転後も、築地が食文化の拠点として活気とにぎわいを継承していくための検討を重ねてまいりました。
 区が場外に整備を進める店舗施設についても、築地地区のにぎわいを途絶えさせることなく継承するという観点から、積極的に協力しております。
 都としては、市場移転後も築地と豊洲がともにブランドとして並び立つよう、今後とも引き続き区と連携し、築地が食文化の拠点としてはぐくんだ活気とにぎわいの継承について協力してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、津波からの避難対策についてでありますが、本年五月に公表いたしました都の被害想定では、南海トラフ巨大地震による津波であっても、迅速な避難により人的被害が大きく軽減されることが明らかとなりました。
 都はこれまでも、町村が行う避難対策を支援しており、例えば、昨年十一月の神津島で実施した総合防災訓練では、避難目標地点を定めた上で、避難完了までの時間を計測する実践的な訓練を実施し、村と連携して避難経路などの具体的な対策を検討いたしました。
 ことしは、最大の津波高が想定された新島で総合防災訓練を実施し、その訓練での検証結果を島しょ町村等で構成される連絡会で情報共有するなど、それぞれの島で避難の迅速化に向けた取り組みが進むよう支援をしてまいります。
 次いで、消防相互応援協定にかかわる協議についてでありますが、特別区及び消防を委託している市町村の区域において発災時に消防団が活動する場合は、消防総監または消防署長のもとで行動することとなりますが、あらかじめ自治体の区域を超えた応援内容などについて協定を締結する場合があります。
 お話の市町村の消防団員が特別区で活動する場合の協定については、東京消防庁と当該市町村が締結することとなり、その際には、消防事務の受託者である都への協議が必要となります。
 こうした協定では、既に多摩地域においては、複数の隣接する市町村間で締結をされており、今後とも、協定締結に関する協議の際は、東京消防庁の意見を十分に踏まえ、適切に対応をしてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震診断が義務化された建築物約五千棟のうち、既に半数以上が診断を実施しており、今後は、診断結果を踏まえた耐震改修に速やかにつなげていくことが重要でございます。
 このため、今年度から耐震性が著しく低い建築物に対する改修助成単価を割り増し、また、改修費用の融資限度額を引き上げました。
 さらに、耐震診断アドバイザーに加え、新たに建設業者や弁護士、コンサルタントなど、耐震改修に向けた具体的な相談に対応する各種アドバイザーの無料派遣を開始いたしました。
 引き続き、都としては、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けて、全力で取り組んでまいります。
 次に、木造住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める、震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象として、住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止するという公共性の観点から、区と連携し、公的助成を行っております。
 都としては、財源を効率的、効果的に活用するため、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 次に、緊急豪雨対策についてでございますが、平成二十二年七月の集中豪雨を踏まえ、浸水の危険性が高い神田川流域など七流域を中心に、緊急豪雨対策を策定し、取り組みを進めております。
 具体的には、流域を超えた地下調節池の活用、下水道施設の整備による大規模地下街等への浸水防止、公共施設を活用した雨水の一時貯留施設の設置促進など、局の垣根を超えて、迅速かつ集中的に対策を実施しております。
 今後とも、関係局や地元区市などと連携し、緊急豪雨対策に全力で取り組み、安全で安心な東京の実現を目指してまいります。
 最後に、神宮外苑地区のまちづくりについてでございますが、本地区は、首都東京の象徴となる景観を有するとともに、日本を代表するスポーツ施設が集積し、国民や競技者がスポーツに親しむ一大拠点となっております。新国立競技場の計画が具体化したことを受け、こうした地域特性も踏まえ、都は、にぎわいあふれるスポーツ、文化、交流のまちの形成や、緑豊かで風格と活力を兼ね備えたまちの形成などを目標とした地区計画の策定に向けて取り組んでおります。
 今後とも、関係者等と連携し、この目標の実現に向け、成熟した都市東京の新しい魅力の拠点となるまちづくりを進めてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 五点のご質問でございます。
 まず、電力の安定供給とCO2削減についてでございますが、この夏は、昨年の最大需要を上回る電力の供給力を確保できると見込まれておりますが、この供給力には、効率の悪い老朽化した発電設備の稼働や石炭火力発電の増強が含まれておりまして、CO2排出量の増加が懸念されております。
 電力需給バランスの安定化とCO2削減という二つの問題を同時に解決するには、需要側の取り組みとして、省エネ節電を一層進めていくとともに、供給側の取り組みとして、天然ガスコンバインド発電への転換、再生可能エネルギーや高効率なコージェネレーションなど、低炭素な自立分散型電源の普及を促進することが必要でございます。
 都は、東日本大震災以降、こうした施策を強化してきておりまして、今後とも需給両面から二つのエネルギー問題の解決に取り組んでまいります。
 次に、中小規模事業所の省エネ、節電についてでございますが、都はこれまで、中小規模事業所の削減量を、キャップ・アンド・トレード制度における大規模事業所の削減義務履行に利用できる仕組みを設けるとともに、事業者団体などと連携して、中小規模事業所を対象とした地球温暖化対策報告書制度に取り組む事業所の拡大を図り、さらには、無料の省エネ診断や区市町村等と連携した研修会を実施してまいりました。
 今年度からは、この報告書制度におきまして、省エネの目標を設定、公表できるようにして、積極的に省エネ対策に取り組む事業者の意欲を高めるようにいたしました。今後とも、このような方策を展開していくことにより、中小規模事業所の対策を着実に推進してまいります。
 次に、住宅のスマート化に向けた取り組みについてでございますが、エネルギー使用の見える化を図り、需給の効率的な制御により、省エネやピークカットを促す仕組みを取り入れたスマートハウスが普及してきております。こうしたスマートハウスは、今後市場拡大が見込まれておりまして、大きなビジネスチャンスを生み出す成長産業としての期待も高いものでございます。
 都としては、この機をとらえ、HEMSの導入を前提に、燃料電池等の設備の導入を促進する補助事業を今年度から開始いたします。これによりまして、家庭におけるエネルギーの効率化と市場の活性化の双方を後押ししてまいります。
 次に、緑の保全、創出の取り組みの成果についてでございますが、都は、自然保護条例に基づく保全地域制度により、手つかずの貴重な緑地などを保全するとともに、開発許可制度によりまして、開発行為に際しても緑の保全に努めてまいりました。また、都市農地の保全を図るため、相続税制度の改善などについて国への提案を行ってまいりました。
 一方、新たな緑の創出に向けましては、都市公園等の整備を進めるとともに、緑化計画書制度を活用し、これまでに屋上や壁面など建築物上の緑化だけでも、日比谷公園の面積の九倍もの緑を生み出してまいりました。緑化計画書制度など、都の先駆的な取り組みは、他の自治体での類似制度の創設につながるとともに、国際的にも高く評価されております。
 最後に、生物多様性に配慮した緑施策についてでございますが、生物多様性の保全と回復のためには、生き物の生存基盤となる緑の量の確保に加え、質を高めることが重要でございます。昨年策定した緑施策の新展開でも、こうした考え方を示してまいりました。今年度からは、生態系に配慮した緑のネットワークの拡大に向け、区市町村が行う在来種による緑化を支援してまいります。
 また、保全地域では、湿地の再生によって、希少な植物が復活した事例も生まれております。こうした成果を生かし、今後、他の保全地域や自然公園等における希少種の保全に積極的に取り組んでまいります。これらの取り組みを、都民、企業、区市町村等と連携して推進し、生物多様性を背景とした自然の恵みを受け続けられる、魅力的で快適な都市空間を広げてまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致についてでございます。
 招致獲得には、都民、国民がオリンピック・パラリンピックの東京開催を待ち望む姿をIOC委員に強くアピールすることが重要でございます。そのため、先月三十日に行われました開催都市決定百日前記念イベントでの盛り上がりの様子を、スポーツアコード会議のプレゼンテーションの場でも紹介をいたしました。
 今後は、夏に開催を予定しております、青森八戸から東京までの千キロメートル縦断リレーや、スポーツ祭東京二〇一三のプレイベントでのオリンピアン、パラリンピアンによる招致PRなどの様子を海外に積極的に発信してまいります。
 具体的には、オリンピック関連の海外メディアに精力的に働きかけるとともに、英文でのホームページやツイッターなど多様な手法を駆使して、招致実現を待ち望む東京の熱意の高さを幅広く訴えてまいります。

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