平成二十五年東京都議会会議録第三号

〇議長(中村明彦君) 四十一番田中たけし君。
   〔四十一番田中たけし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇四十一番(田中たけし君) まず初めに、防災対策について伺います。
 一昨年発生した東日本大震災から、私たちは多くの教訓を学んでまいりました。そして、その教訓を踏まえ、昨年、被害想定の見直しが行われ、特に木密地域において、火災による被害が広範囲に発生することが想定されました。私の地元品川区では、三〇%以上の地域で火災による被害が発生することが想定され、また首都直下型地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するとの予測もあり、一刻も早い対策が望まれます。
 木密地域の対策として、特定整備路線の整備は、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域の延焼遮断帯となり、防災力の向上を図る上でも重要な都市計画道路であります。特に品川区を通る補助二九号線は、このたび指定された二十八カ所の特定整備路線の候補区間中、延長約三千五百メートルと最長の都市計画道路であります。この補助二九号線には、複数の商店街や私立幼稚園、神社の参道なども重なり、また、戸建て住宅やアパートなどの共同住宅も多く含まれております。
 昨年十二月、都は、住居の移転など再建の進め方に不安のある人や、住みなれた地域で暮らし続けたい人に対する不安解消、移転先の確保など、用地買収における生活再建に向けたサポートを充実させる骨子案を公表いたしました。補助二九号線では事業開始に向けた説明会も始まり、道路計画に係る住民は生活再建に不安を感じています。
 そこで、特定整備路線の関係権利者の生活再建に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 木密地域の対策を進める上で、特定整備路線とともに、面的対応からの木密地域不燃化十年プロジェクトの推進にも期待をしております。先月、不燃化十年プロジェクトの不燃化特区制度案が公表され、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対する都の特別支援策が明らかになりました。このたび、先行実施地区として取り組んでいる地元品川区の東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区は、品川区の中でも木造住宅がまさに密集している地域であり、この地区での取り組みは防災対策上効果的であり、さらに、ここで得られた成果を周辺地域にも早期に展開することで広域的な防災力の強化につなげるべきと考えます。
 そこでまず、先行実施地区として取り組んでいる東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区の現在の検討状況と今後の不燃化特区の展開についてお伺いいたします。
 震災発生時に被害を最小限に食いとめ、早期復旧、復興を可能にするためにもライフラインの確保が求められ、水道施設の震災対策は喫緊の課題であります。東京水道経営プラン二〇一三では、その震災対策が示されており、水道管路の耐震化の新たな施策として、空気弁の耐震化が打ち出されています。東日本大震災において、水道管路の抜け出しによる漏水だけでなく、空気弁などの附属施設の損傷による漏水被害が多く発生し、復旧に時間を要したと伺っております。空気弁は水道管の幹線に附属し、管内の空気を排出する設備であり、これが損傷すれば水道施設全体に大きな影響を及ぼします。首都直下型地震への備えとして水道管路の耐震化が必要ですが、取りかえに長期間を要します。一方、空気弁の耐震化は短期間で効果が期待できることから、早急に進めることが重要と考えます。
 そこで、空気弁の震災時における被害予測と耐震化事業の具体的内容及び効果についてお伺いいたします。
 地域住民にとって、防災力の強化は安全・安心を実感する重要な施策でありますが、地域医療体制の充実も地域の安全・安心のために求められる課題であります。
 都は、平成元年に東京都保健医療計画を策定し、現在、第五次改定作業が大詰めを迎えております。この間、国は、高度の医療サービスの提供などを行う特定機能病院やかかりつけ医を支援し、地域医療連携の推進を図る地域医療支援病院などを制度化し、都は、東京発医療改革を掲げ、三百六十五日二十四時間の安心と患者中心の医療の実現に向け、医療施策に取り組んできました。
 一方、東京の高齢者人口は平成二十七年まで急速に増加し、その後、緩やかに増加すると見込まれており、今後は高齢者の視点から医療提供体制を考えるべきと認識をしております。
 高齢者になっても、病気になっても、都民が住みなれた地域でその方らしい療養生活を送り、人生を全うできる社会の実現が求められており、身近な地域における医療の充実が重要であります。
 そこで、都は、東京の高齢社会にふさわしい医療体制を構築するため、まず地域医療の現状を把握した上で新たな施策を検討する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 都民の死亡原因一位であるがんの対策について、都は、東京都がん対策推進計画を平成二十年に策定し、がん予防、がんの早期発見、高度ながん医療の総合的な展開、がん登録などの各分野で積極的に施策を実施し、そのがん対策推進計画の第一次改定作業も行われております。都民の三人に一人ががんで亡くなっている現状と高齢化の進展を踏まえる必要があります。
 そこで、高齢社会における地域のがん医療提供体制について、計画改定の考え方をお伺いいたします。
 次に、交通政策についてお伺いいたします。
 交通ネットワークは、都市の動脈として重要な役割を担っており、鉄道や道路は、人や物の流れを支える根幹的な交通インフラとして、首都東京の発展に大きく貢献し、安全なネットワークを形成しておりますが、鉄道各線において、朝のラッシュ時には大変混雑している状況にあります。また、都心を走る地下鉄も、都営地下鉄と東京メトロの二つの事業体により運営されているため、両者の間にある壁がサービスの低下につながり、料金体系も別々であるため、わかりづらく、相互に乗りかえる際に、割引制度はあるものの新たな料金が発生しており、都民を初め多くの利用者に不便を強いている現状にあります。
 一方、都内の道路についても、都市計画道路の整備率がいまだ約六割にとどまっており、慢性的な交通渋滞が発生し、時間的、経済的損失を招いています。
 停滞感、閉塞感のある今日の現状を打破するため、これら課題を解消する具体的な手だてを、時期を逸することなく講じていくことが必要です。このため、根幹的な都市基盤である鉄道や道路の整備を積極的に推進し、国際競争力を強化し、環境や防災などの視点を一層重視した都市づくりを進めていくことが重要と考えます。
 そこで、今後、鉄道や道路などの都市基盤づくりにどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、鉄道ネットワークの充実について伺います。
 東京圏の鉄道整備については、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号を基本に、平成二十七年を目標年次として、路線の整備が進む一方、答申に位置づけられながら、未着手となっている路線も多く残っています。
 地元品川区では、東海道貨物支線の貨物と旅客の併用化が今後整備について検討すべき路線として位置づけられています。先月、調査列車に試乗し、沿線地区の旅客化に対する期待を強く感じました。また、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅へのアクセスも可能となり、さらには交通機関の少ない品川区八潮地区の新たな交通手段の確保にもつながり、旅客化が期待されております。
 また、リニア中央新幹線の開業に向け、品川駅への新たな鉄道アクセスの確保の観点から、例えば、五反田駅が終点となっている東急池上線を地下化し、品川駅への延伸も効果的であるなど、新たな時代の鉄道ネットワークを構築することが必要であると考えます。
 こうした中、今後、都は、鉄道ネットワークのさらなる充実に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、環境政策のうち、水辺資源の活用の視点から伺います。
 地元品川区は、羽田空港と品川駅の間に位置することから多くの観光客が訪れ、その観光資源として、河川や運河などの水辺が憩いの場となっています。地元品川区では、目黒川やその河口周辺での水質改善や観光船の航路確保などが進むと、一層観光事業が推進すると期待しております。
 観光資源として期待している勝島運河では、埋め立てなどによって水の流れが滞留しやすく、また合流式下水道のため降雨後に水の汚れが目立つ状況にあります。
 そこで、下水道局では水質改善とあわせて浸水被害の軽減にも寄与するプロジェクトを立ち上げ、勝島ポンプ所などの整備に着手し、既に対策の効果が発揮されています。このプロジェクトの完成に向け、工事に困難を伴うことも予想されます。
 そこで、勝島運河の水質改善に向けた事業の進捗状況と今後の取り組みについて伺い、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 特定整備路線の関係権利者の生活再建へ向けた取り組みについてでございますが、移転や再建などへの不安を早期に払拭するため、用地取得の第一歩となる用地の説明会の段階から、新たにすべての関係権利者の意向調査を実施し、現地の実情に応じた具体的なニーズを把握いたします。
 あわせて、移転や再建、権利関係の調整など、一人一人の事情に応じた支援を丁寧に行うため、民間専門事業者を活用して、気軽に相談できる窓口を路線ごとに設け、移転先となる賃貸住宅の確保など、きめ細かく対応してまいります。
 また、都営住宅のあっせんや代替地の提供など、既存制度の拡充のほか、移転資金の貸し付けにつきましても優遇金利で実施いたします。
 今後とも、地元区とも連携を図り、燃え広がらないまちの実現に向け、全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区についてでございますが、現在、品川区においては、東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区で、先行実施地区として整備プログラムの作成を進めております。この地区では、建てかえができない未接道敷地の区による取得や、高齢化している建物所有者の経済的負担を軽減するため、建てかえ時の設計費の一部助成など、支援策の活用を検討しております。
 区は、その他の地区においても、新たな不燃化特区の取り組みとして、地元のまちづくり協議会や民間事業者との連携などについて、具体的な検討を始めており、都も区からの相談に応じております。
 都は、こうした区の取り組みを支援することで、不燃化を強力に推進してまいります。
 次に、都市基盤づくりについてでございますが、鉄道や道路等の交通インフラは、東京の都市機能や利便性を向上させるだけでなく、首都圏全体の活性化にも不可欠な社会資本であり、都は、国や交通事業者等と連携し、さまざまな施策を展開しております。
 鉄道については、利便性や安全性の向上を図るため、相互直通運転の拡大、ターミナル駅の再編整備、駅のバリアフリー化、鉄道施設の耐震化等に取り組んでおります。
 道路については、渋滞の解消、物流の円滑化、防災性の向上を図るため、ミッシングリンクや物流拠点周辺の道路整備、延焼遮断帯の形成等に取り組んでおります。
 今後とも、国際競争力を備えた快適で機能的な都市の実現に向け、重層的、複合的に施策を展開してまいります。
 最後に、鉄道ネットワークについてでございますが、都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。
 都は、国や鉄道事業者等と連携し、運輸政策審議会答申に位置づけられた路線の実現に向け取り組んでおります。この答申で、平成二十七年までに開業することが適当とされた都内の十六路線は、既に開業または事業中でございます。一方、平成二十七年までに整備着手することが適当とされた路線については、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。
 都としては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、未着手路線の整備について、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討していくことに加え、鉄道ネットワークに関する国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 空気弁の震災時における被害予測と、耐震化事業の内容及び効果についてであります。
 都内に約九千カ所ある空気弁は、水道管の幹線に附属し、管の中にたまる空気を排出するための重要な設備でありますが、さきの大震災では、空気弁の破損を原因とする漏水被害が都内八十カ所で発生いたしました。
 首都直下地震の際には、三割に当たる二千七百カ所の被害が予想され、震災後の給水活動及び復旧活動に大きな支障となります。このため、これらの空気弁すべてを、新たに開発された耐震性にすぐれる空気弁へ取りかえてまいります。
 空気弁は、マンホール内に設置されているため、道路の掘削をせずに取りかえることが可能であることから、短期間で漏水被害を最小限に抑える効果が期待できるものであり、この耐震化事業を平成二十五年度から五カ年計画で実施してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢社会における医療体制についてでありますが、高齢社会にふさわしい医療体制を構築するためには、急性期から回復期、在宅療養に至る医療サービスを地域ごとに切れ目なく確保していくことが必要であり、地域の医療機関が果たす役割が極めて大きいものでございます。
 そのため、現在、都内全病院を対象に、提供可能な医療の内容、地域の診療所や訪問看護ステーションとの連携、在宅療養患者への支援の状況等についてアンケート調査を行い、地域の医療機関が提供している医療サービスの状況を改めて把握しているところでございます。
 今後、調査結果をもとに、関係機関とも十分協議しながら、高齢者が住みなれた地域で適切な医療を受けられるよう、地域医療体制の確保に向けた検討を進めてまいります。
 次に、高齢社会でのがん医療提供体制についてでありますが、高齢化の進展に伴い、がん患者が増加する中、がん医療を充実させていくためには、個々の医療機関の質の向上を図るとともに、医療機関相互の連携を進めていくことが必要であります。
 こうした観点から、今回改定するがん対策推進計画では、これまでの都の取り組みを踏まえた上で、がん診療連携拠点病院等と地域の病院や診療所との効果的な連携のあり方や、それぞれの医療機能や専門性を生かした役割を改めて検討することとしております。
 今後、診断、急性期の治療、在宅療養、緩和ケアの提供などについて、各医療機関の具体的な役割分担を検討し、患者の望む場所で適切な医療を切れ目なく受けられる環境を整備してまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 勝島運河の水質改善の取り組みについてでございますが、勝島運河には、立会川への吐き口、浜川ポンプ所及び鮫洲ポンプ所の吐き口から雨天時下水が放流されておりました。
 このうち、鮫洲ポンプ所については、昨年度、勝島ポンプ所を一部完成させ、放流先を水の流れのある京浜運河へ変更するとともに、ポンプ所内に降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を稼働させました。
 現在、浜川ポンプ所の放流先変更に必要な浜川幹線について、来年度の完成に向けて鋭意整備を進めておるところでございます。
 今後は、立会川に注ぐ吐き口の対策として、延長約七百五十メートルの立会川幹線雨水放流管について、地元区などの協力により工事に必要な用地を確保することができ、今年度中に工事に着手する予定でございます。
 今後も勝島運河の水質改善に向け、全力で取り組んでまいります。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇副議長(ともとし春久君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇副議長(ともとし春久君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十三分散会

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