平成二十五年東京都議会会議録第三号

〇議長(中村明彦君) 三番大場やすのぶ君。
   〔三番大場やすのぶ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三番(大場やすのぶ君) 初めに、都立公園の整備について質問します。
 都市における緑は、都民に安らぎやレクリエーションの場を提供するとともに、道路の緑と相まって風格ある都市景観を形成しています。
 また、昨今の集中豪雨の原因ともいわれるヒートアイランド現象を和らげ、都市環境の改善に寄与するとともに、野鳥や昆虫など多様な生物の生息場所となり、生物多様性の保全に資するなどさまざまな役割を果たします。
 このような観点から、都市における緑の核となるのは都立公園のような大規模な公園だと私は思います。
 さらに、都立公園のような大規模な公園は、震災時に地域住民の避難場所や、消防、自衛隊などによる救援、復興活動の拠点となるなど、重要な役割を果たします。このように、都市において重要な施設である都立公園の整備を推進していくべきと考えます。
 都は「二〇二〇年の東京」で、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを目標にし、都立公園の整備を進めています。
 しかし、その一方で、丘陵地や崖線などに残る貴重な樹林地、住宅地に残る屋敷林や農地などが開発により減少している現状も生じております。
 このような状況にある東京において、都立公園の整備による緑とオープンスペースの拡大はますます重要になっています。
 今後、どのように都立公園を整備しようとしているのか、伺います。
 私の地元、世田谷区には、都立祖師谷公園があります。昭和十八年に旧都市計画法の都市計画緑地、祖師ケ谷緑地として計画され、その後、祖師ケ谷公園として昭和三十二年に都市計画決定されていますが、整備率はまだ二割弱です。
 旧教育大学農場跡地を中心に都立公園として整備されたものですが、仙川を挟んで左岸にはテニスコートやゲートボール場などの運動施設が、右岸のなだらかな傾斜には大きな原っぱ広場や花見のできる広場があり、地域の皆様に親しまれる憩いの場になっております。
 祖師谷公園は、現在の公園区域をはるかに超える広大な計画があり、公園の完成までには長期間かかるのではないかという地域の皆さんの声もあります。
 また、公園計画区域の中にお住まいの方からは、道路などの整備状況も悪く、防災面での不安や、公園事業がどのように進むのか知りたいとの声も聞いています。
 そこで、都は、祖師谷公園の整備をさらに進めるべきと考えますが、祖師谷公園の整備状況と今後の整備について伺います。
 次に、障害者雇用について伺います。
 本年四月から、障害者の法定雇用率が二%へと引き上げられ、また、法定雇用率未達成の場合に不足する障害者数に応じて一人当たり月額五万円を納付しなければならない納付金制度の適用対象が、平成二十七年度からは従業員百人を超える企業にまで拡大されることが予定されております。
 このような中で、都内の民間企業において雇用されている障害者数、実雇用率とも過去最高となるなど、障害者雇用は着実に進んでいますが、従業員三百人未満の企業では実雇用率〇・九三%と、法定雇用率一・八%を大きく下回っております。
 中小企業は、身近な地域で自立した生活を求める障害者の雇用の受け皿として重要な役割を担っていますが、どんな仕事を任せたらよいのか、どう接したらいいのか、どんな支援が受けられるのか、どのように募集、採用したらいいのかなど、具体的な取り組み方がわからず悩んでいる企業も少なくないと考えます。
 このように、大企業に比べ中小企業では、雇い入れに際しての経験やノウハウがないことなど、取り組みが進んでいない原因と考えられます。制度改正が予定されている中、中小企業に対し、なお一層の障害者雇用に向けた支援が急務です。
 そこで、障害者雇用の経験や受け入れノウハウがない中小企業に対して、都はどのような支援を行っていくのか伺います。
 また、中小企業においては、障害者の雇用管理に関するノウハウも少ないことから、障害者を採用しても、結果として離職につながってしまうケースも少なくないと考えられますが、中小企業では職場定着のための支援体制を企業内で確保することは難しいのが実情です。また、経営基盤が脆弱な中小企業で障害者が長く働き続けられるようにするためには、負担軽減のための経済的なサポートも必要です。
 中小企業での障害者の職場定着を支援していくために、都としてどのように取り組むつもりなのか、見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 東京の水道水は、かつて、においがありおいしくないといわれていた時代もありました。このため、平成四年度の金町浄水場を皮切りに、三郷、朝霞、三園、東村山といった利根川水系の浄水場に、順次、高度浄水処理の導入を進めてきました。
 この結果、東京の水道水は以前と比べてとてもおいしくなったと私自身も高く評価しております。
 この東京の水道水の品質とおいしさは、世界に誇れる技術力を示すものであり、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致においても、東京という都市の魅力を伝える一つのアピールポイントになるものと考えます。
 先日発表された東京水道経営プラン二〇一三では、平成二十五年度中に利根川水系の全量を高度浄水処理するとしており、このような施策は一刻も早く実現することが期待されます。
 そこで、具体的にいつから全量高度浄水処理になるのか伺います。
 また、高度浄水処理され、格段においしくなっている水道水ですが、水道局が毎年実施しているお客様満足度調査では、高度浄水を知っている人は、意外にも半数に達しておらず、この結果は驚きであるとともに、とても残念に思います。
 しかし、この調査の内容を見てみると、高度浄水を知らないと回答した人のうち、飲み水としての水質に満足している人の割合は約四割にとどまっているのに対し、高度浄水を知っている人では、この水質に満足している人の割合が約七割にまで高まります。つまり、高度浄水をよく知っている人ほど、飲み水としての水質に満足している割合が高い傾向にあるわけです。
 私は、二十四日の東京マラソンのフルに参加し、完走いたしました。ゴール地点では、水道局がブースを出して、水道水とミネラルウオーターとのおいしさを比較していただく飲み比べキャンペーンなど、さまざまなPRを行っていました。
 このように、多くの人々が集まる場所でPRを行うことは、水道水のおいしさをじかに実感してもらう非常に有効な取り組みだと思いました。より多くの方に水道水のおいしさを実感していただくためには、こうした飲み比べキャンペーンを初め、高度浄水についてのPRをさらに行うなど、東京の水道水をもっと知ってもらうための取り組みが必要なのではないでしょうか。
 そこで、高度浄水処理一〇〇%を機に、PRを積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、自転車の安全利用条例について伺います。
 自転車は、環境に優しく健康にもよい、手軽で身近な交通手段です。都民生活に欠かせない乗り物であり、特に、一昨年の東日本大震災以降は、通勤などでの都心への移動手段としても注目されるなど、都市において重要な役割を果たしています。
 一方、交通ルールを無視する自転車利用者の存在が社会問題になっており、私の地元、世田谷区でも、昨年、自転車に乗るときの心構えとして、区民の皆様の意見を聞きながら、区民自転車利用憲章を制定するなど、安全利用に向けた取り組みを進めています。憲章にもあるとおり、思いやりの精神と譲り合う心に基づき、ルールを学び、マナーを守り、ゆとりの心で自転車を利用することが大切ですが、こうした利用が社会に広まるようにするためには、社会全体での取り組みも欠かせません。子どもたちは家庭や学校で、通勤で自転車を使う人には職場でといったように、自転車に関する交通安全教育が広く行われるようにすべきと考えます。信号や一時停止を守るといった基本的なルールは心がけの問題ですが、大きな交差点の右折の方法や歩道を通行することができる例外の場合など、自転車のルールには複雑なところもあり、こうした内容を行政としてわかりやすく示すべきと考えます。
 都は、このたび、自転車安全利用条例を提案されました。まさに利用者の自覚と責任を促すものであり、条例をきっかけに都内全域で安全利用が進んでいくことが期待されますが、都はどのような取り組みを進めるのでしょうか。
 条例案には、都が自転車の安全利用の指針を作成することが明記されていますが、指針作成の目的や指針に盛り込む具体的な内容についてお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えいたします。二点のご質問ですが、まず、都立公園の整備についてでございます。
 都立公園は、首都東京の魅力を高め、震災時には避難場所や救出救助活動の拠点になるなど、安全で快適な都民生活に欠くことのできない都市施設でございます。
 「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三におきましては、防災機能の充実などを図るため、都立公園の計画的、重点的な整備を行い、震災時のオープンスペースを確保することとしております。
 また、水と緑の豊かな都市空間を創出するため、石神井川沿いの東伏見公園、放射五号線内の玉川上水や神田川に接する高井戸公園などの整備を行いまして、二〇二〇年までに、日比谷公園約十個分に当たる百七十ヘクタールの都立公園を開園してまいります。
 次に、都立祖師谷公園の整備についてでございますが、祖師谷公園は、昭和三十二年に都市計画決定された面積約五十三・三ヘクタールの総合公園であり、平成二十四年度現在、約九・六ヘクタールを開園しております。
 祖師谷公園は避難場所として指定されるとともに、医療機関に近接しているヘリコプター活動拠点となっており、防災上重要な公園の一つでございます。都は、都市計画公園・緑地の整備方針におきまして、本公園に平成三十二年度までに事業に着手する優先整備区域を設定しており、住民の理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者雇用に向けた中小企業支援についてでございます。
 大企業に比べ、障害者の実雇用率が低迷している中小企業に対し、雇用促進に向けた支援を行っていくことは重要でございます。
 このため都では、障害者の雇用に当たっての留意点等をまとめたハンドブックを作成、配布するほか、中小企業の経営者や人事担当者に対し、好事例を紹介し、ノウハウを提供するためのセミナーを実施しています。
 また、障害者を雇用した経験のない中小企業等を対象として、支援制度の紹介や業務の選定についての助言、採用手続のサポートなど、個々の企業の実情に応じたきめ細かな支援を行うモデル事業を実施しております。
 さらに、中小企業と障害者のマッチングを支援するため、企業合同説明会も行っているところでございます。
 次に、中小企業での障害者の職場定着についてでございます。
 障害者が職場で働き続けるためには、企業現場の実情を十分に踏まえたきめ細かな支援が必要です。このため、東京ジョブコーチが企業に出向き、障害者の職場適応支援や職場環境に関する助言等を実施しております。
 また、障害者の雇い入れに対する国の助成金の支給終了後も、都は職場定着支援のため、二年間、独自の助成を行っております。
 法定雇用率を達成していない中小企業が多い現状に加え、今後、雇用率の引き上げや納付金制度の対象拡大といった制度改正が行われることから、新年度は、東京ジョブコーチを増員することに加え、本年度で終了予定でありました助成事業についても五年間延長して実施するなど、支援を拡充いたします。
 こうした施策により、中小企業での障害者の雇用促進と職場定着を支援してまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、利根川水系の全量が高度浄水処理になる時期についてであります。
 水道局では、平成四年から、利根川水系を水源とする五つの浄水場に高度浄水処理を順次導入してきております。
 平成二十五年度には、工事中の三つの浄水場の施設がようやく完成し、高度浄水処理一〇〇%は、金町浄水場の給水区域である区部東部地域は本年四月、都内全域では本年十月に実現いたします。
 次に、高度浄水処理の積極的なPRについてであります。
 今年度、PRの一環として実施した水道水とミネラルウオーターとの飲み比べでは、一万四千人を超す人々に参加していただき、四五%の方が水道水の方がおいしいと回答しており、おいしさを実感していただいております。高度浄水処理一〇〇%を機に、水道水のおいしさをさらに実感していただくよう、積極的なPRを実施してまいります。
 具体的には、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べにつきましては、より多くの方に参加していただけるよう、実施箇所数をふやすなどにより、二万人以上を目標に行ってまいります。
 また、「水道ニュース」の発行回数を年四回から五回にふやし、毎号、高度浄水処理一〇〇%の記事をシリーズ化して一面に掲載してまいります。
 さらに、ホームページ、電車内で放映するトレインチャンネル、ツイッター、地域広報の充実、マスメディアへの積極的な情報提供など、あらゆる広報手法を活用し、PRに全力で取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車の安全利用の指針についてでございますが、自転車が安全に利用されるためには、まずは利用者の規範意識が求められます。また、家庭、学校、事業所等における安全教育などの取り組みも必要でございます。
 このため、都は、利用者が自転車を安全で適正に利用する上で身につけておくべきルールなどをわかりやすく示した安全利用の指針を作成するものでございます。
 具体的な内容といたしましては、道路交通法等に定められた交通ルールや交通事故に遭わないための乗車方法など、利用者が習得すべき知識、技能のほか、利用者の年齢等に応じた効果的な安全教育の方法なども盛り込みます。
 都といたしましては、指針を踏まえた教育が広く社会で行われ、利用者の規範意識が高まり、安全で適正な自転車利用が促進されるよう、必要な取り組みを進めてまいります。

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