平成二十五年東京都議会会議録第三号

〇議長(中村明彦君) 二十三番山崎一輝君。
   〔二十三番山崎一輝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇二十三番(山崎一輝君) 最初に、オリンピック・パラリンピック招致についてお尋ねします。
 去る一月七日、東京は、大会開催計画書である立候補ファイルをIOCに提出し、一月十日には、知事みずからがロンドンにおいて記者会見を行いました。これは、本格的に始まる国際招致レースにおいて、ライバル都市の機先を制す好スタートといえます。
 その後、招致委員会が一月三十日に発表した支持率調査では、賛成が十一月の調査から七ポイント上昇した七三%となりました。
 私は、昨年来、予算特別委員会の場などで、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルネットワーキングサービスの活用を訴えてきました。これらは、招致支援の輪を広げる格好のツールであり、今回の支持率向上にも効果を発揮したと実感します。
 次の大きな関門は、来日が目前に迫ったIOC評価委員会への対応です。この訪問により取りまとめられる報告書は、すべてのIOC委員に送付されることから、九月の開催都市決定の投票行動に大きな影響を及ぼします。東京の計画の優位性を確実に伝えるとともに、東京の招致への熱意を感じさせる場にしなければなりません。
 そこで、この重要なIOC評価委員訪問をどのように成功裏に導いていくのか、知事の意気込みを伺います。
 知事、一つ要望があります。私は招致を確信していますが、九月に東京開催決定後は、オールジャパンで取り組める大会に絶対にしなければなりません。
 そのためには、各国の代表選手や代表チームは、必ず開会前のキャンプ地を同じ気候の日本で行い、東京に入ると考えるはずです。
 そこで、全国の地方自治体に働きかけ、各国の選手をおもてなしの心で迎え入れる地域を募集するなど、日本全体でオリンピアンの受け入れ体制を整えるべきと考えます。そして、世界の競技関係者に、日本各地にある競技施設や競技キャンプ地のPRなど情報発信を世界へ進めてください。
 このようなことによって、国民一人一人が自分たちも参加をしているという意識が生まれます。これが日本全体でオリンピックに携わっているという強い意識の醸成につながることと私は確信をします。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の取り組み状況について伺います。
 臨海副都心は、東京ビッグサイトが立地するとともに、大型の商業施設やイベントなどで多くの人々が集まる日本の代表的なMICE、国際観光拠点であります。
 MICEと国際観光機能は成長戦略を支える両輪であり、双方の充実は、その都市の活力のみならず、国の経済をも浮揚させる効果があります。シンガポールなどアジアの諸都市がこの分野に力を入れて著しく発展を遂げており、我が国もおくれをとってはなりません。
 臨海副都心の特性を最大限に生かして、さらなる発展を目指していくべきと考えますが、そのための具体的な取り組みについて伺います。
 次に、東京港における港湾機能の強化についてお尋ねします。
 我々都議会自民党は、民主党政権によって前に進められなかった東京都のさまざまな課題について、政権交代後、直ちに国に要望活動を行っています。
 この要望では、東京港の機能強化についても、我が国の経済を支える上で、さらに整備を進めていかなければならない重要な基幹インフラとして、国土交通大臣にも直接要望し、前向きに取り組むとの回答を得ています。
 東京港は、平成二十三年の外貿コンテナ貨物取扱個数が初めて国内港湾で四百万TEUを突破するなど、好調を維持していますが、施設能力を上回る貨物の増加により、コンテナヤード内は混雑をし、周辺道路は交通渋滞が深刻化しています。
 早朝ゲートオープンの実施や車両待機場の整備など、当面の対応は評価をしますが、港湾施設などの大規模なインフラは、長期的な視点に立って計画的に整備を進める必要があると考えます。
 そこで、これまでの東京港における港湾機能の強化の取り組み状況について伺います。
 また、東京港では、さらなる国際競争力の強化に向け、港湾計画の改定作業を始めたと聞いています。東京港は、大都市東京の市街地と隣接する港湾であるため、改定に当たっては、港湾機能のみならず、防災、環境、観光など幅広い視点から、将来をしっかりと見据えた計画とするべきと考えます。
 そこで、今回の港湾計画改定の方向性について伺います。
 次に、東部低地帯における河川の耐震対策についてお尋ねします。
 東部低地帯に暮らす三百万人の一人一人の暮らしを守るため、地震や津波に対して、水門や堤防などの安全性を向上させることは喫緊の課題です。
 都は、東日本大震災が発生した直後の四月に、江東区清澄町に水門管理センターを開設し、河川の水門の一元的な監視制御が可能となるなど、確実性や迅速性が格段に強化されました。また、堤防の整備が進んでいることも、私自身も現場へ足を運び、確認をしています。
 昨年十二月、最大級の強さを持つ地震が発生した場合でも、津波などによる浸水を防止するための整備計画を策定したことは、大いに評価をします。特に、堤防や水門などに守られて生活している低地帯に住む我々にとって、期待が大きく、一刻も早い完成が待たれるところであります。
 そこで、東部低地帯を守る河川の堤防や水門などにかかわる耐震対策に対する都の取り組みについて伺います。
 次に、中小企業の防災対策についてお尋ねします。
 東京の産業を支える中小企業の防災力の強化は、極めて重要な課題であり、これまでも我が党はその必要性を訴えてきました。とりわけ、災害発生時の対策として有効な手段である事業継続計画、いわゆるBCPについて、その策定支援の充実や普及啓発の強化を繰り返し求めてきました。
 昨年十一月に修正された東京都地域防災計画では、事業所による自助、共助の強化の重要性が指摘されており、中小企業BCP策定支援が防災力を向上させるための対策として位置づけられております。
 都では、かねてからBCP対策を支援してきましたが、来年度の取り組みについて伺います。
 次に、私立幼稚園の防災備蓄倉庫の整備についてお尋ねします。
 私立幼稚園のさらなる防災力向上のため、我が党はこれまで、防災備蓄倉庫の設置に対する支援を要望してきました。これを受けて、都が来年度予算案に備蓄倉庫の整備費補助を計上したことは評価をいたします。
 幼稚園の現場からは、園によって防災物資の備蓄に必要な大きさや機能など倉庫に対するニーズはさまざまであり、個々の実情を踏まえた対応を求める声が寄せられています。
 このため、補助の実施に当たっては、実態に的確に対応できる制度にすべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、防犯対策についてお尋ねします。
 東京をより安全で安心なまちとしていくためには、防犯カメラの整備など、地域の防犯の取り組みをさらに促進していくことが必要です。
 今日、防犯カメラの映像が犯人逮捕につながったとの報道が数多くなされ、また、地域からは、防犯カメラがあると安心できるとのお声も聞かれるようになりました。防犯カメラが地域の安全・安心に果たす役割は、ますます大きくなっています。
 都が支援を開始して十年がたちましたが、当初設置されたカメラは、老朽化により更新が必要になってきており、我が党は、昨年の第二回定例会の代表質問において、地域が引き続き防犯活動に取り組めるように、更新も含めて支援することを要望してきました。
 江東区でも、設置したときと同じように補助金がなければ、新たに購入することができず、もうカメラを撤去するしかないとのお声も聞いております。整備の更新は、新規整備と同様、地域にとって大変大きな負担となります。
 そこで、更新にも対応できる予算を確保する必要があると考えますが、地域による防犯カメラ整備への支援について都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えします。
 IOC評価委員会訪問の対応についてでありますが、来日する委員には、東京の計画の優位性と運営能力の高さ、洗練された都市としての魅力を理解してもらうことが重要であります。今週の金曜日、三月一日朝、委員長が参りますから、そこでお迎えにも行くんです。
 それで、東京のメリットは、選手村を中心として半径八キロメートル圏内に会場を配置することによって、アスリート本位の計画であることを実感していただく。
 プレゼンテーションや会場視察をIOCが求めるスケジュールどおり正確無比に行うことで、東京の卓越した運営能力を実証していきます。東京マラソンで見られた運営能力もアピールしたいと思っています。
 加えて、紙に書かれた計画なんですね、今までのものは。今回は、実際来て見ていただいて、そして、紙に書いた計画だけでは語り尽くせない東京の魅力と日本人のホスピタリティーを、滞在期間中に随所に直接感じ取っていただく。
 プレゼンテーションは、もちろん都知事がみずからやるんですが、安倍総理にも出ていただきます。そして、世界で最も安全で先進的な大都市の中心で開催されるダイナミックな祭典とすることを、IOC委員にあらゆる角度からアピールしたい。同時に、テーマごとに知見を有する専門家をプレゼンターに起用しております。
 国家総力戦だと思っています。東京都だけではなくて、政府も、スポーツ関係者も、みんな一丸となって熱意を訴えて、IOC評価委員会から高い評価を獲得することを目指してやります。
 また、ご提案のあったオールジャパンで招致に取り組む貴重なご提案ですが、今後も支援、ご協力をお願いいたします。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 河川の耐震対策の取り組みについてでございますが、東部低地帯において、大地震による水害から都民の命と暮らしを守るためには、スーパー堤防の整備など幅広い取り組みを進めるとともに、既存の堤防や水門などの耐震対策を早急に講じることが極めて重要でございます。
 昨年十二月には、具体的な対策箇所などを示した整備計画を策定し、総事業費は約一千八百億円と見込んでおります。このうち、水門の全箇所と水門外側の堤防などにつきましては、二〇二〇年までに対策を完了させることといたしました。
 優先度の高い隅田川の大島川水門など四水門につきましては、既に民間の技術提案を受けるプロポーザル方式で契約を行い、現在設計を進めております。さらに、来月初旬には、中川や隅田川など三河川の堤防につきましても、同様の方式で設計に着手してまいります。
 今後とも、民間技術力の一層の活用など、さまざまな工夫を行い、全力を挙げて耐震対策に取り組んでまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まずは、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の具体的な取り組みについてでありますが、今年度、都独自にMICE、国際観光機能の充実強化に資する民間事業への補助制度を創設し、眺望やセキュリティー面にすぐれ、最新のネット接続環境を持つ会議場の整備や、大画面での多言語による観光情報の提供など、民間の創意工夫を生かした事業を選定いたしました。
 来年度は、補助制度への提案事業数の拡大とともに、市中の輸入関税免税店等の新たな観光資源の誘致に努めるなど、MICE、国際観光機能のさらなる充実を図ってまいります。
 また、陸と海から観光を楽しめる水陸両用車の誘致に向け、臨海副都心と豊洲で、来年度はスロープ整備の調査設計を行い、平成二十六年度には工事に着手し、都心のリゾート地としての魅力向上にも取り組んでまいります。
 次に、東京港における港湾機能の強化の取り組み状況についてであります。
 増加する貨物に対応し、物流機能の強化や円滑な交通ネットワークの形成を図るため、現在、中央防波堤外側地区において、新たなコンテナふ頭C1、C2バースの整備や、新木場交差点の立体化を進めております。
 また、今後も一層増大するコンテナ貨物に対応するためには、新たにC3バースや臨港道路南北線の整備が必要であり、都としても、国に対し緊急要望するなど、早期事業化を強く働きかけております。
 さらに、中央防波堤外側地区のコンテナふ頭を、大井や青海の既存コンテナふ頭の再編整備のための種地として活用するなど、長期的、計画的な視野を持って、東京港のさらなる機能強化に取り組んでまいります。
 最後に、港湾計画の改定の方向性についてであります。
 港湾計画は、東京港の今後十年から十五年間の開発や土地利用等の基本となるものでございます。今回の改定に当たっては、東京港の国際競争力の強化はもとより、東京の安全・安心、環境、観光等のさまざまな視点が重要であると考えております。
 具体的には、既存コンテナふ頭の再編整備や効率的な交通ネットワークの形成、客船機能の充実などのさらなる港湾機能の強化に加え、MICE等の都市機能との調和、耐震強化岸壁の拡充や被災者輸送等の防災機能の強化、さらには、水辺空間のにぎわいや緑の創出などの検討を進めてまいります。
 これらの検討を踏まえ、臨海部全体の発展に資するよう、平成二十五年度末を目途に計画改定に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) BCPの策定支援についてでございますが、中小企業によるBCPの策定は、地震などの災害による事業活動への影響を最小限にする上で効果が高く、その取り組みを広く普及させていくことが重要でございます。
 そのため、都は、中小企業によるBCP策定の取り組みが進むよう、モデル的に支援を行うとともに、その成果を広く発信してまいりました。
 新年度は、BCPのより一層の普及に向け、支援対象の数を今年度の七十五から百二十にふやし、より多くの業種と企業規模に応じた事例をつくり上げてまいります。
 また、関係局と連携して中小企業向けの防災セミナーを開催し、BCPの紹介に加えて、帰宅困難者対策条例等の周知も行うなど、中小企業の防災力の強化を着実に支援してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立幼稚園の防災備蓄倉庫の整備についてでありますが、都は、私立幼稚園の一層の防災対応力の向上を図るため、来年度、防災備蓄倉庫の整備経費に対する補助制度を設けることといたしました。
 制度の構築に当たりましては、災害発生時に、水、食料等の備蓄物資を速やかに活用できるようにするため、各幼稚園の規模や施設の状況等に対応できる仕組みとすることが重要であります。
 このため、新たな倉庫の建築や既製の倉庫の購入、設置に対する補助に加えまして、園舎の一部を倉庫に転用する改造工事や、大きな揺れの際に物資の散乱を防ぎ、取り出しやすくする棚の設置工事などを補助対象としてまいります。
 今後も、私立幼稚園における園児の安全確保に向けた環境整備を的確に支援してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 防犯カメラの整備への支援についてでありますが、安全で安心なまちづくりのためには、住民や事業主などの方々が地域の治安に関心を持ち、防犯活動に主体的に取り組んでいただくことが重要でございます。
 都はこれまで、三百を超える地域団体に防犯カメラ等の整備に要する経費を補助し、地域の自主的な防犯活動を促進してまいりましたが、さらに安全で安心なまちづくりを推進するためには、より多くの地域において活動が行われ、また、その活動が継続するように促していく必要がございます。
 そのため、平成二十五年度の予算案におきましては、防犯カメラ等の整備に対する補助事業について、設備の新設、増設及び更新に対応できるよう、今年度予算に比べて三九・一%増の一億六千二百二十万円を計上し、地域による防犯カメラ等の整備を支援してまいります。

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