平成二十五年東京都議会会議録第三号

〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十九番西岡真一郎君。
   〔七十九番西岡真一郎君登壇〕

〇七十九番(西岡真一郎君) 東京のエネルギー対策としての見える化とソーラー屋根台帳の整備について伺います。
 知事は、施政方針表明の中で、環境エネルギー都市の構築に向けた取り組みとして、エネルギーの見える化が必要との見解を述べられました。エネルギーの見える化は、消費量の状態を見える化することにより、省エネ化を推進し、むだな電力、エネルギーの削減を目指す取り組みです。知事自身も、太陽光発電のユーザーとして、この見える化による省エネ効果をみずから実感されているとのことですが、私も、見える化を進めることはとても重要であると認識しています。エネルギーの見える化による気づきは、大きな意識改革や環境教育の促進にもつながります。
 都は、この見える化を進める取り組みとして、再生可能エネルギーについては、国内初となる仮称ソーラー屋根台帳の整備と公表を、家庭や事業所における省エネピークカットに向けては、家庭用燃料電池などの設置への支援を打ち出しています。ソーラー屋根台帳は仮称でありますので、より効果が発揮されやすく、わかりやすい名称となることを期待しています。
 さらに、環境局内へのエネルギー専管組織の立ち上げも表明されました。これらの新たな取り組みには、再生可能エネルギー拡大や省エネ、節電対策を推進していく上で大いに期待をするものです。
 そこで、知事が考える見える化の意義について、改めて伺います。
 次に、島しょ地域における再生可能エネルギーの導入促進について伺います。
 私は、東日本大震災の発生以来、改めて自然再生可能エネルギーの導入を促進し、東京の電気は、安心・安全なあらゆる方策を駆使し、東京で生み出し賄う、そして、東京に存する島しょ地域の自然や多摩地域の資源を最大限に活用することを考えています。もちろん、これらの取り組みは、地元の皆様のご意思が重要です。そして、将来的には、送電線などの技術革新の進展、また、洋上風力、波力、海洋温度差発電、バイオマス、地熱などにより、島で生み出された電気が東京に送られてくることも夢ではないと感じています。
 現在、八丈島の地熱発電などが注目され、三宅島でのメガソーラー構想が浮上し、島独自のさまざまな試験的取り組みが行われていると承知しています。自然に恵まれた島しょ地域は、再生可能エネルギーの導入の可能性も極めて高いと思われますが、都が来年度予算において、そのポテンシャルを調査の上、積極的に導入を検討していく姿勢を示していることはとても望ましい姿です。このことは、島の新たな振興や発展に大きく寄与する取り組みです。
 そこで、島しょ地域の一部では、既にそのポテンシャルを生かした取り組みが都と連携して行われていますが、その成果及び今後の都の取り組みの方向性についてご所見を伺います。
 次に、振り込め詐欺などの対策強化について伺います。
 治安対策は、都民が都政に求める施策の中で常に上位を占めている重要課題であり、オリンピック招致においても重要な判断材料です。東京の治安対策は、警視庁を中心とした努力と対策により向上しているものの、警視総監による治安状況報告にも述べられていたように、サイバー犯罪など、新たな手口による犯罪は大きな課題となっています。
 十年近くにわたり、都民を脅かし続けている振り込め詐欺には、電話によるおれおれ詐欺や成り済まし詐欺など、はがきやメールによる架空請求や融資保証金詐欺など、次から次へと新たな手口が用いられています。
 そこで、東京都内の振り込め詐欺などの犯行手段の傾向と検挙状況について、警視庁に伺います。
 振り込め詐欺に絞った都内の被害額の推移を見てみますと、平成二十三年は三十億円、昨年、平成二十四年は平成二十二年の倍以上となる五十八億円です。都内では、警視庁を中心として、行政、金融機関、地域団体など、社会が一体となってその撲滅に向け懸命に努めていますが、犯人グループや、やみ社会の勢いは衰えていません。国でも、金融庁などによるさまざまな取り組みが行われていますが、検挙につながる決定打が見出せていないのが現状です。
 警視庁では、振り込め詐欺などの電話がかかってきたことなどの通報を安心・安全メールで広く配信し、ツイッターでは毎日数十件以上の都内の通報情報が配信されています。この犯罪の高齢者への接近率は、ほぼ一〇〇%といえる状況ではないかと考えます。
 警視庁の調査では、被害者の八割は女性、被害者の約五割は七十歳代、被害者の約七割が夫婦二人またはひとり暮らし、過去に詐欺被害に遭った経験があるものは約四%とされていることから、被害者の傾向に適した被害抑止対策が求められています。今月二月は、警視庁の振り込め詐欺対策の強化月間として、さまざまな対策が行われたと承知しています。
 そこで、振り込め詐欺の被害を防止するため、今後さらに、都民に対する周知、啓発活動と警視庁、行政、金融機関などの民間企業、地域団体、都民など、社会が一体となった取り組みが重要と考えますが、警視庁の今後の取り組み方針などのご所見を伺います。
 一方、都も、振り込め詐欺へのさまざまな対策に取り組んでいます。先日は、本富士警察署で行われた青少年・治安対策本部による地元老人クラブ向けの寸劇を通じた振り込め詐欺対策の活動現場を視察しました。最新実例を取り入れた臨場感ある迫真の演技により、犯人たちの巧妙さや悪質さを痛感できました。この地道な取り組みには高い効果が期待できると感じました。さらに、強化、継続していただきたいと要望します。
 自治体としての市民への効果的な啓発や注意喚起は重要な取り組みであり、東京ならではの取り組みが求められています。また、市区町村の取り組みへの支援や情報の共有化も重要です。これまでの都の取り組み状況と今後の取り組み方針を伺います。
 一方、被害者の心痛は大きく、この犯罪は、子や孫のためを思う人の心につけ込んだ極めて悪質な犯罪です。振り込め詐欺の被害者への支援やフォローも重要と考えます。警視庁の取り組みについてご所見を伺います。
 次に、多摩産材の普及拡大について伺います。
 先月十七日の福祉保健局の発表によると、都内におけることしのスギ花粉の飛散量は、昨春の五から六倍と予想されており、例年と比べても二倍程度になるとのことです。三・五人に一人が花粉症に悩まされている状況を打破する対策を構築していかなければなりません。中でも、都が、花粉発生源対策として購入契約を締結した約四百ヘクタールの杉林において、順次、杉の木を伐採し、花粉の少ない杉などへの植えかえを行っていることは、抜本的な花粉症対策として注目されています。
 こうして伐採された多摩産材は、多摩のブランドであり、木の地産地消を進めることは有効な環境対策でもあります。多摩産材について、都営住宅の内装材や都立学校の什器などに率先して利用するなど、多摩産材の利用は着実にふえています。多摩産材の利用は、多摩の森林循環の維持と林業の活性化にもつながり、多摩の振興に寄与することから、今後も、その利用を積極的に推進していく必要があります。
 そこで、現在の公共利用の推進に向けた取り組みについて伺います。
 木材利用にはさまざまな形態がありますが、公共が率先して利用する段階を第一段階とすれば、第二段階は、住宅建築など、民間で活用していくことが極めて有効です。
 先日、立川市にある住宅展示場に展示されている多摩産材のヒノキを活用したモデルルームを視察しました。木のぬくもり、温かさ、木の香りなど、地元の木材を全面的に活用した住宅のすばらしさや意義を痛感しました。風土に適した質の高い多摩産材が活用された住宅の普及には大きな意義があります。
 私の地元小金井市には、多摩産材を活用した住宅建築に積極的に取り組んでいる工務店などがあります。事業者の方々の声を聞かせていただきますと、住宅用材として多摩産材の一層の利用を推進するためには、施主、エンドユーザーに対して補助金などのインセンティブを働かせることが最も効果的であるとの声をよくいただいております。
 都としても、こうした声を受けとめ、新たなセカンドステージの施策により、多摩産材の活用を一層進め、多摩の健全な森林の育成につなげるべきであると考えます。多摩産材の民間利用に関する取り組みについて伺います。
 次に、多摩地域の広域連携について伺います。
 多摩地域の各市町村では、日々地域が抱える課題の解決に向け、精力的に取り組まれています。中でも、私の地元小金井市の喫緊の最重要課題は、可燃ごみの処理体制の一刻も早い確立です。
 まず、東京都や多摩地域の自治体を初め、小金井市の可燃ごみの受け入れなど、さまざまなご支援をいただいているすべての関係者の皆様に、厚く御礼を申し上げます。
 小金井市としても、みずからの責任を果たすべく、あらゆる方策を市行政当局にて検討してまいりましたが、このたび、新たな局面を迎えることができたことに、心から感謝と敬意を表します。
 今後は、共同化に向けた関係市との信頼関係の構築に協力していかなければなりません。そのためにも、また、ご支援いただいている多摩地域のためにも、国内有数の実績のあるごみ減量、発生抑制やリサイクルの取り組みや、最終的な処理方針の確立までの間の可燃ごみ処理の広域支援を継続していかなければなりません。これらの極めて困難な状況を乗り越えるためには、小金井市が全市民を挙げて結束し、どのように貢献すべきかを考えることが何よりも求められています。
 一方で、今後とも東京都の支援が必要であります。以前、石原前都知事が記者会見で、ごみ処理の一元化の必要性を指摘されたこともありますが、こうした問題についてはもとより、今後、自治体間の広域連携の視点は、ますます重要になってくると思います。
 そこで、今後の多摩地域における広域連携の展望について、都の見解を伺います。
 次に、東京の水循環と雨水流出抑制対策について伺います。
 東京は、都市化により、降った雨が地中に返るという自然のサイクル機能の多くが失われ、環境の変化や悪化が生まれています。また、ゲリラ豪雨という新たな脅威、課題も生まれています。
 平成十八年に行われた環境局の資料を分析してみますと、東京に降った雨がどのくらい浸透しているのかを示す区部の雨水浸透割合はおよそ一三・八%、多摩地域の山間部等、一部の自治体を除いた台地部では二五・九%となっており、その他の大半の部分は河川に流出しています。
 都は、平成十九年八月に策定した豪雨対策基本方針に基づき、河川、下水道の整備に加え、流域対策を促進してきました。その中で、雨水浸透施設の設置を流域対策の一つとして位置づけ、平成十九年度より、個人住宅への浸透ますなどの設置に対して助成を行っている市区に対して、その費用の一部を補助する雨水流出抑制事業を実施してきました。雨水浸透施設の設置推進は、豪雨対策のみでなく、地下水の涵養や湧水の保全、ヒートアイランド対策にも大きく寄与する大切な取り組みです。都議会民主党では、この取り組みの重要性を認識し、平成二十二年度の復活予算要望により、市区が指導要綱の策定などを行うための都の予算を確保するなど、流域対策の充実に取り組んできました。
 そこで、雨水流出抑制事業の現在までの実績について伺います。
 雨水浸透ますの設置は、地元の小金井市が有名であり、長年の市民の理解と事業者の協力のもと、市内の直近の設置全棟数は二万六千二百十一軒、設置率は五六・八%と、世界に誇れる数値となっており、日本水大賞、土木学会環境賞なども受賞してきました。しかし、この雨水浸透機能を取り戻す事業、降った雨を地中に返す取り組みは、七流域の区市や流域に住んでいる住民の方々の理解と協力が不可欠です。そして、全都的に拡大していくべき取り組みであると考えます。
 最後に、個人住宅における雨水浸透施設の設置促進に向けた取り組みについて伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えします。
 エネルギーの見える化についてでありますが、家庭や企業がみずから電気を生み出し、賢く使っていく都市をつくるためには、見えないものを見えるようにするということが、かぎになると認識しています。
 自分は、震災の、ちょうど三・一一の一年前に太陽光パネルをつけました。太陽光パネルのユーザーになってみて、発電量、消費量、その差の数字がモニターで見える。今、電気を売っているのか、買っているのか、一目瞭然となります。これが省エネ意欲につながるということを実感しています。
 そこで、来年度は、自宅や会社の屋根が太陽光発電に適しているかどうか、ホームページで確認できる、国内初となるソーラー屋根台帳を整備して、建物所有者に気づきを与え、太陽光発電普及のさらなる加速化を図っていきたい。このソーラー屋根台帳をつくるに当たって、環境局では、こういう発想自体がまず大事なんですけれども、ここまでやっていいのかとか、いろんな議論があった。そういう熱い議論の中で、このソーラー屋根台帳をやるということになったんですね。そういう発想と熱い議論ができる職員がいるということは、大変僕は誇りに思っています。
 電力の使用状況の見える化にあわせて、省エネとピークカットを促す仕組みとして、家庭用燃料電池等の設置を支援する予算を組みました。このように、見える化の効果を具体化する施策を進めることによって、都市の成長を支えるエネルギーバランスの確保を図っていきたいと、そういう方向でやります。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東京都内の振り込め詐欺等の犯行手段の傾向と検挙状況についてお答えいたします。
 昨年の振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の認知件数は二千二百七十四件で、前年に比べ三四・一%増加し、被害総額も約三十三億九千万円増加の約八十一億二千万円となっており、認知件数、被害総額とも全国最多となっております。
 その内訳を手口で見ますと、息子や孫に成り済ましてお金をだまし取るおれおれ詐欺が千四百十一件と最も多く、次いで、医療費や保険料を還付すると偽ってATMからお金を振り込ませる還付金等詐欺が四百六十二件、架空のインターネット利用料金や有価証券の購入代金と称してお金をだまし取る架空請求詐欺が百八十三件となっております。
 また、最も被害が多かったおれおれ詐欺につきましては、従来、金融機関等から現金を振り込ませる、いわゆる振り込み型が主流でありましたが、近年は、犯人側が直接現金を受け取りに来る、いわゆる現金手交型が増加傾向にあり、昨年は、おれおれ詐欺全体の約七割が現金手交型の被害でありました。
 特殊詐欺犯人の検挙状況につきましては、前年に比べ二百四十人多い六百四十四人を検挙いたしました。検挙した犯人を役割別で見ますと、被害者から現金を受け取る役割のいわゆる受け子が三百七十二人と最も多く、次いで、高齢者宅等にだましの電話をかける役割のいわゆるかけ子は百十八人となっており、この受け子とかけ子で全体の約八割を占めております。
 このほか、口座詐欺や携帯電話詐欺など、特殊詐欺を助長する犯罪の検挙は、昨年に比べ三人多い二百八十一人を検挙いたしました。
 次に、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害防止対策についてお答えいたします。
 振り込め詐欺が猛威を振るい始めて十年になり、多くの方は知識としては振り込め詐欺を知っている状況にあります。にもかかわらず、振り込め詐欺の被害が後を絶たない大きな理由の一つは、残念ながら、まだまだ多くの高齢者の方が、自分も被害に遭うかもしれないという危機感を抱くには至っていない点にあるのではないかと考えております。
 警視庁では、昨年、詐欺被害に遭った六十五歳以上の高齢者から聞き取り調査を行いましたが、その結果、被害者の九割以上が、自分は大丈夫だと思っていた、自分が詐欺の被害に遭うことについて考えたこともなかったと答えております。
 このように、自分はだまされない、だから自分には関係ないと考える高齢者が少なくありませんので、まず何より高齢者自身の当事者意識を醸成し、自分もいつでも被害者になり得るのだと思っていただくための取り組みが必要であります。
 そのためには、まさに議員ご指摘のとおり、警察、行政、地域団体等、社会一体となったいわば国民運動的な取り組みによる振り込め詐欺撲滅の機運を醸成することが必要不可欠であると考えております。
 警視庁といたしましても、引き続き、取り締まりの強化とあわせて、高齢者に対する直接的な注意喚起を徹底するとともに、企業等と連携し、三十代、四十代の息子世代の従業員等に対して、自分の親や祖父母に注意喚起を行うよう働きかけを強化してまいります。
 最後に、振り込め詐欺の被害者に対するフォローについてお答えいたします。
 振り込め詐欺は、家族や親族の情愛を逆手にとるなど、極めて卑劣で許しがたい犯罪であります。被害に遭われた多くのご高齢の方は、かけがえのない貴重な財産を一瞬にして奪われ、財産を奪われたダメージのみならず、今後の生活設計の不安の増大や家族とのトラブル等により、精神的なダメージから体調を崩される被害者も多くおられます。
 警視庁といたしましても、このような被害者に対するアフターケアは重要と考えておりまして、被害者の居住地を管轄する警察署において、捜査担当者による被害者支援や、地域警察官による巡回連絡を行っているほか、元女性警察官の高齢者被害防止女性アドバイザー百七十三名が、都内七十五警察署において、高齢者宅を訪問し、各種防犯活動に従事しておりますので、この女性アドバイザーの訪問活動等を通じて、被害者に対する適時適切な防犯指導やアドバイスを定期的に行ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 島しょ地域における再生可能エネルギーの導入促進についてでございますが、都はこれまでも、島しょ地域の町村と連携しながら、再生可能エネルギー導入に向けた取り組みを展開し、例えば大島や御蔵島では、公共施設への太陽光発電の導入が進むなど、具体的な成果が上がってきております。
 さらに、太陽光発電が導入された施設では、再生可能エネルギーの解説パネルを設置して環境学習を実施するなど、教育面での活用も図られております。
 都は、このような波及的な効果の観点も含めまして、島しょ地域の町村と連携を深めながら、各島のポテンシャルを踏まえ、再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 振り込め詐欺等の被害防止対策についてでありますが、被害を防止するためには、警視庁はもとより、高齢者に身近な地元自治体や事業者などと連携したきめ細かな取り組みが重要でございます。
 都は、区市町村とのネットワークを生かし、警視庁と協力して、振り込め詐欺の現状や対策等の情報を提供するとともに、警視庁、区市町村等と連携して、各種キャンペーンやリーフレットの配布を行うなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 また、高齢者を読者層とする雑誌へ注意喚起のための広告を掲載する、そのようなことにも取り組んでまいりましたが、今後は、地域との交流が少ないひとり暮らしの高齢者を対象とし、介護事業者と連携して被害防止の啓発を行うなど、これまでの活動では情報が届きにくかった高齢者に重点を置いた対策も推進してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩産材の公共利用の推進に向けた取り組みでございます。
 都は、公共利用の拡大を図るため、平成十八年度に、多摩産材利用推進方針を策定いたしまして、都の率先利用を進めるとともに、区市町村にも利用を働きかけてまいりました。こうした全庁的な取り組みや区市町村の理解と協力もあり、着実に利用が進んできております。
 具体的には、お話にございました都営住宅のほか、都立上野恩賜公園のオープンカフェの構造材や、都道のガードフェンス等での活用を図りますとともに、区市町村の図書館や保育園の内装材等に利用されております。
 こうした取り組みによりまして、多摩木材センターにおける平成二十三年度の多摩産材の取扱量は約一万三千立方メートルと、五年前の四倍以上に拡大してございます。
 次に、多摩産材の民間利用に関する取り組みについてでございます。
 都はこれまで、モデルハウスの設置や家具を初めとした製品開発など、広く多摩産材をPRする事業者の取り組みに加え、保育園や幼児向け美術館での内装の木質化など、波及効果が期待できる取り組みに対して支援してまいりました。
 また、昨年度から、木造住宅や什器に固定されている二酸化炭素量を認証する制度を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを効果的に実施し、多摩産材の民間利用の推進を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 多摩地域の広域連携の展望についてでありますが、これからの多摩振興は、都はもとより、市町村や民間企業、NPOなど多様な主体が一丸となって取り組むことが重要であり、中でも、地域が抱えるさまざまな課題の解決に当たる市町村が果たす役割は大きいと認識しております。
 一方、少子高齢化に伴う行政需要の増大や、人口減少に伴う税収減の懸念など、市町村を取り巻く状況が厳しくなる中、安定した行政サービスの提供に向けて、これまで以上に自治体相互が補完し合うことが必要であります。
 こうした観点から、今般策定する新たな多摩のビジョンでは、可燃ごみ処理の共同化を初めとする、行政運営の効率化やコスト削減などのスケールメリットが見込まれる取り組み、公共施設の相互利用など、地域の中にとどまらない広域的な連携を積極的に進めていくことを今後の多摩地域の重要な方向性として位置づけました。
 本ビジョンに掲げた方向性に基づき、都は、各市町村の主体的な広域連携の取り組みを支援し、一体となって多摩振興を図ってまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、雨水流出抑制事業の現在までの実績についてでございますが、本事業は、豪雨対策基本方針で対策促進エリアとしている野川など七流域において、個人住宅への浸透ますなどの設置を促進するものであり、流域での流出抑制対策をより一層進めるために重要な事業でございます。この事業では、個人住宅を対象に、雨水浸透施設の設置に対して助成を行う市区に補助を行っております。その実績は、平成二十三年度末で、雨水浸透ますに換算して約一万八百個、雨水対策量は約七千六百立方メートルでございます。
 次に、個人住宅における雨水浸透施設の設置促進に向けた取り組みについてでございますが、雨水浸透施設の設置を促進するには、支援策を充実するとともに、普及活動を強化することが必要でございます。支援策として、平成二十三年度から、既存の個人住宅に関し、五百平方メートル未満に限定していた敷地の規模要件を廃止するなど、補助対象の拡大を図っております。
 また、都及び関係市区町村から成る協議会のホームページで周知しているほか、パンフレットやポスターを作成して、各自治体や学校等に配布するとともに、都が主催する施設見学会等の機会をとらえ、参加者に浸透施設設置の協力を呼びかけております。
 今後も、このような取り組みを進め、雨水浸透施設の設置を促進し、安心・安全なまちづくりに取り組んでまいります。

ページ先頭に戻る