平成二十五年東京都議会会議録第二号

   午後三時三十分開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番野島善司君。
   〔百十三番野島善司君登壇〕

〇百十三番(野島善司君) 平成二十五年第一回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、北朝鮮のこのたびの核実験に対し、強い抗議と怒りを表明します。このような行為は断じて許されないもので、我が国は地下核実験を繰り返し、ミサイルの開発に狂奔する、核をもてあそぶ隣国の脅威にさらされている危機感を国民全体で共有しなければなりません。このような愚劣きわまりない行為は、自国民を苦しめるのみならず、国際社会への重大な挑戦にほかなりません。
 これに対し、我が自由民主党は、唯一の核被爆国の国民、都民の強い怒りと抗議の意思を呈して、過日の決議を提案いたしました。
 政府・自民党と力を合わせ、今後もミサイルと核の開発を北朝鮮に放棄させ、一日も早く拉致問題を全面解決すべく全力を尽くしてまいります。
 昨年十二月の総選挙で、我が党は政権に復帰いたしました。衆議院の過半数を得たにとどまらず、公明党と合わせて三分の二を超える議席を得たのは、政権を担った経験の豊かな政党による、安定感のある、決めることを決める政治を国民が強く望んだからだと思います。
 民主党政権の三年余りは、経済も外交も敗北の連続であり、日本は土台から揺らぎ、がけっ縁に立たされています。しかし、苦難の連続である歴史の坂道を、先人たちは歯を食いしばって上ってきました。国家を立て直し、国力を回復させることは並大抵のことではありませんが、私たちはその困難を克服しなければなりませんし、克服できると信じています。
 中小企業を苦しめに苦しめてきた円高は、安倍政権の誕生で急速に是正され、日経平均株価は急上昇しました。何よりも、民主党政権下の沈うつなムードが払拭されました。
 さきの訪米でも、安倍総理は、我が国の安全保障の根幹をなし、アジア地域の安定にも欠かすことのできない日米同盟の信頼ときずなの完全復活を宣言し、懸案となっていたTPP問題では、聖域なき関税撤廃が前提条件ではないことを共同声明という文書で確認しました。このことは、我が国とアジア地域全体にとって極めて明るい将来展望をもたらすことになりました。
 我々都議会自由民主党も、都民、国民の期待に政権政党として全力でこたえる第一歩とすべく、先日、国の各省に対して、首都東京を支え、日本経済の発展に不可欠なインフラの整備や次世代を担う子どもたちの教育にかかわる制度改革など、民主党政権が停滞させていた政策の大幅な改善を申し入れました。
 都民、国民の期待にこたえるために今なすべきは、物事をしっかり決め、前に進める政治です。これは、まさに我々都議会自民党が進めてきた都政運営のありようでもあります。
 国政で大問題となっている行政改革も財政再建も、都政では既に実行済みです。企業や都民の皆さんと協力して実現したディーゼル車排ガス規制や認証保育所の整備など、硬直した霞が関に風穴を次々とあけました。東日本大震災でも、東北の被災地を全力で支援するとともに、木密地帯の不燃化など、首都東京における備えを緊急に充実させました。
 こうした取り組みを引き続き発展させていくには、国を動かし、日本を変える気概が必要です。
 それゆえ、猪瀬知事には議会と車の両輪となって、意思と情熱を持って都政を進めていただきたい。そして、現代社会が直面するさまざまな課題を多面的に分析した上で、都政の現場感覚を大事にしながら、奥行きと深みのある総合的な処方せんを示し、都民、国民に将来への希望を指し示していただきたいと希望するものでございます。
 我々都議会自民党は、これまで同様、都民、国民のために、東京と日本のために行動することを根本に据え、時には厳しい注文をいたしながら、都政を前に進めるべく協力していきます。
 猪瀬知事に、どのような都政運営を行う考えか、冒頭お伺いを申し上げる次第でございます。
 次に、尖閣諸島寄附金について伺います。
 前政権の大局観を欠いた国政運営により、国境の島々では我が国の主権が脅かされ、国民は強い危機感を抱きました。
 昨年四月、都が尖閣諸島の魚釣島など三島を購入、活用する方針を発表し、寄附金の口座を開設すると、都民、国民から十五億円もの熱い志が寄せられました。これは、島々の実効支配の強化を望む気持ちの発露であります。
 我が党では、こうした国民感情を酌み取り、昨年六月、無人国境離島管理法案を国会へ提出し、都議会自由民主党においては、尖閣諸島公有化推進政策研究会を立ち上げ、精力的に議論を重ねてまいりました。
 三島は九月に国の所有となりましたが、法案の趣旨や研究会での議論を踏まえ、都民、国民の志にこたえるべく、会派として尖閣諸島に関する基本方針を明らかにいたしました。本定例会に基金化の条例案、補正予算案が提出されたことは、我が党の方針にもかない、了とするものであります。
 そこで、基金化に当たっての都の基本的な考え方を伺います。
 次に、民間事業者と連携したインフラ整備について伺います。
 橋や道路、トンネルといった私たちの日常生活に欠かせない公共インフラの老朽化が国内各地で進んでいます。今、我が国は税収入の伸びが見込めない中にあって、膨大な老朽インフラへの対応が迫られるという大変厳しい事態に直面しています。
 こうした中、都は新たなインフラ整備手法として、官と民が連携し、民間の資金やノウハウなどを活用する、いわゆるPPP事業の仕組みづくりへの着手を明らかにいたしました。
 既に都は、発電事業を投融資先とするインフラファンドを立ち上げ、インフラ投資に民間資金を活用するモデル事業を開始していますが、大規模なPPP事業の実施には専門的知見に基づく意思決定や事業の検証など、厳しいリスク管理体制の構築が不可欠です。
 従来型行政の域を超えた新たな仕組みづくりの視点が欠かせませんが、来年度に予定する調査の概要と方向性について伺います。
 次に、財政運営について伺います。
 民主党政権での失われた三年半を取り戻すべく、安倍政権は経済の再生を一丁目一番地と位置づけ、円高、デフレ脱却に向けて策定した緊急対策の実施に伴う補正予算と二十五年度予算を一体として、切れ目のない財政出動を行う、いわゆる十五カ月予算を編成いたしました。加えて、多くの国民が景気の変化を実感できるよう、経済三団体のトップに対して業績が改善している企業の賃上げを要請いたしました。
 こうした国の予算の趣旨などを踏まえ、都においても景気回復に万全を期し、東京の活力を呼び戻すための施策を迅速に展開していくことが重要です。
 同時に、都政には防災力強化に向けた取り組みや老朽化した社会資本の維持更新、急速に進展する少子高齢化への対応など、中長期にわたる取り組みを着実に進めていくことも求められています。
 これら短期、中期的両面から都政の役割を確実に果たすとともに、こうした施策展開を支え得る堅実な財政運営を行っていくべきと考えますが、知事に所見をお伺いいたします。
 東日本大震災から間もなく二年、あの日から、我が党は被災地への支援とともに、首都東京の防災対策を早期に再構築すべく、具体的な提言を二度にわたり示すなど、執行機関と手を携えて全力で取り組んできました。
 一昨年十一月に対策全般の指針が、昨年四月に科学的根拠に基づいた新たな被害想定が示され、これらを踏まえ、昨年十一月に東京都地域防災計画が修正されました。都民の命を守るためにスピード感を持って対策を推進するという姿勢を高く評価するものでございます。
 平成二十五年度予算では、地域防災計画に基づく多くの対策が盛り込まれています。今後は、まさに実行がキーワードでございます。
 そこで、これまでの我が党の提言を踏まえ、具体的な実行策について伺ってまいります。
 知事は、副知事時代から帰宅困難者対策協議会の座長を務め、帰宅困難者対策の具体化を先導するなど、防災対策に積極的に取り組んでこられました。首都東京の防災は、まさに我が国の命運を左右する大きな課題です。初動体制の確保に加え、耐震化、不燃化の推進などにより東京を強靱な防災都市へと変貌させなければなりません。
 まず、首都の防災を預かる知事としての決意を伺います。
 大地震から都民の命を守るためには、発災直後の七十二時間が勝負です。地域防災計画の中でも、自衛隊、警察、消防等の機関を統合的に運用するための対処要領の策定が盛り込まれました。各機関が直ちに動き出せるよう、自衛隊との情報ネットワークの確保や十分な訓練を行うなど、万全の体制を構築すべきです。
 実効性ある初動体制の確立に向けてどのように取り組むのか伺います。
 また、初動体制や被災者支援を効果的に行うためには、民間の協力を得ることも重要です。
 例えば、災害拠点病院や緊急車両通行に必要な燃料の確保や、避難所への迅速な物資提供などは、行政のみで対応できるものではなく、卸、小売、流通などの民間事業者が持つ供給力やノウハウを活用すべきです。
 災害時の物資確保や供給における民間事業者との連携について、今後の取り組みを伺います。
 都が全国に先駆けて制定した帰宅困難者対策条例は、発災時の首都東京の混乱を防止する重要な施策です。四月に迫った条例施行を見据え、一斉帰宅の抑制や三日分の備蓄など、都民や事業者への一層の周知が求められています。
 また、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保が大きな課題であり、都立施設の体制整備に加え、民間施設の協力が得られるよう、実効性の高い支援策が必要です。
 帰宅困難者対策の推進に向けた取り組みについて伺います。
 発災時の被害軽減には、地域の自助、共助が欠かせません。我が党は、町会や自治会を中心とした地域の防災活動のすそ野を広げるため、積極的な支援を求めてまいりました。また、こうした活動の牽引役である東京防災隣組の第二回認定を早期に行い、その浸透を図ることも求めています。
 東京防災隣組を初めとした、地域の自主的な防災活動への支援について伺います。
 また、我が党はかねてから、地域の担い手である町会、自治会の役割を重視し、その活性化を図るために地域の底力再生事業助成を実現させ、制度の充実を求めてきました。都が本事業を今年度から本格実施し、地域の防災活動を初めとして制度の充実を図っていたことは大いに評価するところです。
 来年度予算案では、予算額を一億円から一億五千万円に増額することとしています。都は、より多くの町会、自治会がこの制度を活用することで、安全で安心な東京の実現に努めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、地域の防災力のもう一つの核である消防団の活動強化も重要です。
 我が党は、人材確保、活動のための装備の充実などの課題を指摘し、区部や多摩・島しょの区別なく消防団を活用できる環境整備を強く求めてきました。
 消防団の活動強化に向けた都の具体的な取り組みを伺います。
 震災時に住民が消火栓などを応急給水に活用したり、排水栓を消火用水源として活用することが減災のために有効です。
 我が党は、平成二十五年度予算要望の中で、スタンドパイプなどの応急給水用資器材や初期消火に用いる消火用ノズルを都から区市町村に配布するよう強く要望してきました。震災はいつ起こるかわかりません。地元の町会などから、こうした資器材を早期かつ十分に配備するよう要望が多く上がっており、これにこたえるべきです。
 そこで、今回の我が党の要望を受け、今後どのような措置をとられるのか伺います。
 また、水道施設をさらに活用するなど、あらゆる手段を尽くして初期消火に資する施策を検討していくべきと考えますが、見解をあわせて伺います。
 次は、高度防災都市づくりの実現に向け、ハード対策について多岐にわたり伺います。
 東京の都市基盤は、首都機能を支える都市活動や都民生活に不可欠であるとともに、切迫する首都直下地震などから都民の生命と財産を守る重要な役割を担っており、積極的な整備が必要です。
 そもそも、我が国の都市基盤は高度成長期に整備されたものが多く、都においても橋梁等の老朽化対策などが喫緊の課題となっています。我が国の経済が成長を続け、国土強靱化を図るためにも、適切な維持管理と更新を通じ、良質な都市基盤を次世代に引き継いでいかなければなりません。
 今後、東京の都市基盤整備にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、不燃化特区について伺います。
 都心部を囲むように広範に広がる木造住宅密集地域は、首都直下地震の切迫性からも待ったなしの対策が必要な地域であることはいうまでもありません。
 都は、本年一月に不燃化特区の制度案を公表し、木密地域の改善に向けた本格的な取り組みがようやく緒につきました。
 知事は、就任以来さまざまな場面において木密地域の危険性に言及され、その解消に向けた取り組みが重要であることを発言されております。
 そこで、まず木密地域の解消に向けた知事の決意を伺います。
 次に、不燃化特区には各地域の事情があります。それぞれの事情に対応した支援を行い、区の取り組みを加速させることが重要です。
 そこで、不燃化特区制度では区をどのように支援していくのか伺います。
 次に、木密地域における特定整備路線の整備について伺います。
 都は、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域約七千ヘクタールにおいて、延焼遮断などに大きな整備効果が見込まれる主要な都市計画道路を特定整備路線に指定し、平成三十二年度までに一〇〇%の整備を行うとしています。
 都は、昨年、特定整備路線の候補区間と関係権利者に対する特別の支援策の骨子策を公表したところです。
 今後、平成三十二年度までの実質約八年間という限られた期間でこれらの路線を整備していくためには、この支援制度を積極的に活用し、関係権利者の理解と協力を得ることが不可欠です。
 そこで、特定整備路線の整備に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、防災対策の中でもとりわけ都民の生命、首都東京の安全にかかわる重要な課題です。
 条例によって昨年四月から耐震診断の義務化が施行され、所有者への個別訪問などさまざまな取り組みの結果、本年一月までの診断作成の申請件数は約千七百件と大幅に伸びたと聞いております。
 耐震診断については着実に進捗しているものと評価いたしますが、建築物の安全・安心を確保するためには、一刻も早く耐震化を進める必要があります。
 我が党は、これまで所有者の厳しい実情を踏まえ、耐震化をさらに後押しするような支援策を講じるよう、再三訴えてきました。
 これにこたえ、支援策を充実するとのことでありますが、その内容と今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、都市計画道路の整備について伺います。
 都市計画道路は、都市活動を支える最も基本的な都市基盤であり、東京の魅力づくりや国際競争力の強化に加えて、震災への備えなどの観点からも極めて重要であります。
 これまで、都は、三次にわたり都市計画道路の事業化計画を策定し、例えば区部環状、多摩南北道路の整備を中心として進めるなど、効率的な道路整備を推進してきました。しかしながら、都内の都市計画道路の整備率を見ると、まだ六割程度と不十分であり、依然として交通渋滞の解消や都市間連携の強化などの課題を抱えております。
 現行の第三次事業化計画は、平成二十七年度に計画が終了すると聞いております。第三次事業化計画以降を見据えた新たな都市計画道路の整備方針の策定に向けた都の取り組みについて伺います。
 東日本大震災は、生命を左右するインフラの整備の必要について教訓を残しました。東京の約三分の一に当たる四百万人を超える人口を擁する多摩地域は、首都機能に隣接することによる利便性と、人、物及び情報の結節点として一層の発展と個性の発揮が期待されます。そのためには、幹線道路ネットワークを形成し、防災の強化にも資する多摩南北道路主要五路線を初めとした骨格幹線道路の整備が必要不可欠であります。
 我が党は、これまで多摩南北主要五路線の整備推進を要望してきており、八王子村山線については平成二十年度に全線開通いたしましたが、その他の四路線についても、防災、減災の観点からも一日も早い完成が求められています。
 そこで、多摩南北主要五路線のうち、とりわけ重要な府中清瀬線及び調布保谷線の整備状況について伺います。
 次に、都は昨年十二月に地震、津波に伴う水害対策に関する整備計画を策定しました。以下、各施設の具体的な対策について伺ってまいります。
 江東デルタ地帯のような低地帯や沿岸部においては、堤防や水門等について、地震、津波に対する備えを早期に講じていくことが求められます。
 そこでまず、東部低地帯を守る河川の堤防や水門等の耐震対策について、目的達成に向けた都の取り組みについて伺います。
 さらに、東京の沿岸部には多くの都民が生活し、都市機能も高度に集積しており、いざというときに浸水を防ぐ水門や防潮堤等の海岸保全施設の整備が急務でございます。
 海岸保全施設の新たな整備計画について、計画の内容と事業費の見込みについて伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える最も重要な都市インフラです。我が党は、これまで震災対策を初めとしたハード対策やソフト対策に至るまで、さまざまな提案を行ってきました。さらに、高度経済成長期に整備した施設の老朽化などの課題は山積しています。
 そこで、こうした課題を乗り越え、今後の水道事業をどのようにかじ取りしていくのか、見解を伺います。
 また、水道の耐震化についてです。
 さきの大震災で、被災地では断水が長期に及びました。また、都の被害想定においても多くの断水被害が発生すると報告されています。こうした中、都はさらなる耐震化に向けて、今後十年で五千キロメートルの取りかえを行う水道管路の耐震継ぎ手化十カ年事業を新たに策定しました。
 そこで、この事業を進めることにより、十年後の耐震継ぎ手率と、その結果として水道管の復旧日数がどの程度短縮されるのか、具体的に伺います。
 次に、下水道管の再構築についてです。
 下水道は平成六年度に区部で一〇〇%の普及概成を果たし、その直後から下水道管の老朽化対策にあわせて雨水排除能力の増強などを図る再構築事業を進めています。
 一方、一万六千キロメートルに及ぶ区部の下水道管は、二十年後には半分の八千キロメートルが法定耐用年数五十年を超えるため、より一層のスピード感を持って再構築を進めていくことが重要です。
 そこで、下水道管の再構築の今後の取り組みについて伺います。
 また、都では、避難所などからの排水を受ける箇所を対象に下水道管の耐震化を進めております。しかし、東日本大震災の際は、都内の駅などにも多くの帰宅困難者があふれました。このため、対象地区の拡大を図るなど、対策を一層強化することが重要です。
 そこで、下水道管の耐震化の取り組みと今後の対策について伺います。
 さらに、震災時においても、浸水を防ぐため下水道の排水機能を確保することが求められます。
 そこで、水再生センターやポンプ所などの下水道施設における耐震、耐水化の進め方についても伺います。
 次に、東日本大震災では、学校が地域住民の避難所となる重要な役割を果たしました。その観点から、校舎の構造体だけでなく、非構造部材の耐震化を早急に実施することが重要です。
 我が党は、平成二十五年度予算編成に当たって、校舎などの耐震化支援の延長に加え、新たに天井材等の非構造部材の耐震化も区市町村と連携を図りながら促進すべきと要望しました。
 都は、すべての学校の非構造部材の耐震化の促進を図るため、区市町村を財政、技術の両面で支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、私立学校の防災対策も重要です。都内の高校生の約六割、幼稚園においては実に九割以上が私立に通うなど、私立全体で現在四十万人を超える児童生徒が通学しています。都は、これまでも校舎の耐震化を促すための支援などに積極的に取り組んできましたが、防災対策に終わりはありません。学校現場の実態を踏まえながら、きめ細かく対応していく必要があります。今後の私立学校の防災対策の推進について伺います。
 次に、都営地下鉄の安全対策について伺います。
 我が党がこれまで求めてきた都営地下鉄の安全性向上のためには、地下鉄施設のさらなる耐震対策が必要です。また、老朽化したトンネルについては、点検とともに長寿命化をも考慮した計画的な維持補修、修繕を実施すべきです。
 今後、地下鉄施設の耐震対策及び老朽化対策にどのように具体的に取り組んでいくのか伺います。
 次に、木造住宅など建築物等にかかわる液状化対策について伺います。
 新たな被害想定では、東京湾北部地震が発生すると、液状化により約六万四千棟の建築物に被害が生じるとされております。
 これまで我が党は、都民が建築物の液状化に備えるために必要な対策に関する情報を提供すべきであると指摘してまいりました。このたび東京都建築物液状化対策検討委員会の報告が公表され、地盤データの提供の必要性などについて提言されています。
 都は速やかに実効性のある取り組みを講じていくべきと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 一方、高度防災都市を実現する上で、ライフラインを含めた橋梁などの公共施設の液状化対策が不可欠であります。
 東日本大震災を受け、都は昭和六十一年度に作成した東京の液状化予測図の見直し作業を行っておりますが、現在の状況と今後の予定について伺います。
 次に、東京都駐車場条例に基づく建物への駐車場の附置義務について伺います。
 この制度は、路上駐車を減少させ、公共駐車場の整備とともに交通渋滞の緩和に寄与してきました。しかし、近年、公共交通ネットワークの発達や若者の車離れなどにより、建物の駐車需要も大きく変化してきています。
 このような状況を踏まえ、昨年の第三回定例会では、我が党の吉住議員が建物の有効利用や建てかえの支障とならないよう、附置義務の基準を見直す必要について質問をしました。都からは、駐車需要の実態を調査し、現在の基準を検証するとの答弁がありました。
 そこで、どのような調査結果が得られ、その結果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、自転車条例について伺います。
 近年、自転車利用者のルール、マナーが大きな社会問題となっています。今後、自転車利用者の規範意識を高める上で、具体的な施策を社会全体で着実に展開していくことが極めて重要です。
 このたび提出された自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例は、自転車安全利用の取り組みを大きく進めるものと期待しています。
 そこで、本条例のねらいについて知事の所見を伺います。
 次に、豊洲新市場について伺います。
 我が党は、築地市場が既に限界に達しているとして、高度な品質、衛生管理を実現した豊洲新市場への早期移転を強く求めてまいりました。
 昨年十一月には、業界と合意された豊洲新市場建設工事施設計画が公表され、いよいよ本格的な移転に向けて具体化してきたことを実感しておりますが、本年一月、豊洲市場の開場時期の延期が発表されました。
 もとより、我が党としては、食の安全・安心の確保は何よりも優先されるべきであり、土壌汚染対策に万全を期すことは当然のことと考えております。
 この一年の延期については、老朽化が進み、限界を迎えている築地市場のメンテナンスも必要であり、また、この一年を有効に使って豊洲新市場をよりよいものにして整備する必要があると考えます。
 コールドチェーン維持のための温度設定、市場内物流の円滑化、高度化は世界を相手にする新市場の生命線ともいうべきものです。所見を伺います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 日常生活や経済活動を支えるエネルギーを賢く使う都市をつくるには、エネルギー使用の見える化に加え、需給の最適制御を行う仕組みを都市づくりの中に組み込んでいくことが必要です。
 東日本大震災後、HEMS、太陽光発電、燃料電池等を装備し、自動制御による節電が可能なスマートハウスの販売は加速化しています。また、オフィスビル向けにはBEMS設置と省エネ支援をセットにしたサービスが始まっています。
 一方、スマートハウスの購入には、初期投資が大きいことや、オフィスビルの中でも特に中小規模のテナントビルでは、設備投資に踏み切れない等の課題があるのも事実です。
 こうした設備機器は、まさに我が国が誇る省エネ技術を凝縮した製品であり、その普及を都が積極的に支援し、賢くエネルギー利用をコントロールするスマートエネルギー都市の実現をすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 都は、平成二十二年度から大規模事業所に対する全国初のキャップ・アンド・トレード制度を導入し、着実に運用してきました。事業所の熱心な取り組みにより、二十三年度には平均二三%と、既に第一期計画期間の削減義務率以上の削減が進み、多くの事業所で義務達成のめどが立ったといえます。
 一方、二十七年度からの第二期の削減義務率は一七%の見通しが示されていますが、中小企業が所有する事業所や、生命や健康の維持、回復に不可欠な病院及び中学、高校が併設されるなどの多様な施設が立地する大学の一部において、義務履行が困難なところもあると聞いております。
 第二期計画の開始まであと二年余りとなりました。事業者の準備を考えますと、そろそろ新たな義務率等を明らかにする必要があると考えますが、どのように検討していくのか、また、いつごろまでに示すのか伺います。
 あわせて、今月二十日に都に対し緊急要望したとおり、義務達成が困難な中小企業や病院、大学には配慮が必要と考えますが、その対応について伺います。
 次に、産業、景気対策についても伺います。
 中小企業の振興について伺います。
 我が国の経済は、新政権による経済再生に向けた矢継ぎ早の政策により円高が修正され、株価も上昇基調に転じ、明るい兆しが見え始めました。しかし、中小企業は依然として厳しい状態が続いています。
 我が党は、中小企業がこの苦境を乗り越え、将来にわたって力強く発展していくことが重要だと主張し、ものづくり産業の支援などさまざまな中小企業対策を強力に推進してきました。
 東京が日本を牽引していくためには、何よりも産業を支え、地域を活性化し、雇用機会を提供する中小企業の活力を高めていくことが大切です。
 都の中小企業振興の基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 中小企業にとって、これまでにない厳しい経営環境が続く中、三月末には中小企業金融円滑化法が終了します。この法律は、借入金返済の猶予期間内に企業の業況改善を目指すものですが、事業者の中には経営立て直しの第一歩となる経営改善計画をつくれないまま、条件変更を繰り返す企業も多いと聞いています。
 新年度予算案には、円滑化法終了に対応するさまざまな施策が盛り込まれておりますが、これらの対策の一刻も早い実現に向け、我が党は新年度を待たずに前倒しすべきとの緊急要望をしました。都はこれを受け、二月から既に相談体制の強化に取り組んでおります。
 しかし、窮状にある中小企業を救うためには、新年度から実施予定の新たな借りかえ制度を我が党の要望どおり前倒しするとともに、あらゆる手だてを講じ、新年度も切れ目なく支援すべきと考えます。見解を伺います。
 東京の経済再生には、個々の中小企業の経営力を強化する取り組みも不可欠です。都が平成二十一年度から三カ年実施した経営力向上TOKYOプロジェクトは、その再開を求める要望がさまざまな団体から出ています。我が党は、昨年の第三回定例会でその取り組みの復活を提案し、これを受けて都が新年度の予算案に計上したことは高く評価します。
 また、中小企業の売上高の減少に対応した販路開拓支援のさらなる充実が必要です。加えて、事業承継税制を初めとする税制改正の動き等を十分に踏まえた相談サポートも重要です。
 都は、中小企業の経営力強化にどのように取り組むのか所見を伺います。
 新政権は、経済再生に向け、成長戦略の重視を打ち出しています。国の成長戦略では、イノベーションや世界最先端の産業などが重要な観点ですが、日本経済の根幹を支える東京がその先導役となるべきと考えます。
 大きな潜在力を持った中小企業がその力を一層発揮できるよう、都は国の成長戦略と歩を一にして取り組みを強力に進めるべきですが、都の考え方を伺います。
 中小企業が今後、持続的に成長していくためには、戦略的に海外展開を図り、アジア新興国など、拡大する海外の需要を積極的に取り込むことが重要です。
 しかし、言葉の問題や法律、商慣習の知識がないために海外展開に踏み出せない中小企業が多いのも実情です。また、海外取引では模倣被害や技術流出を防ぐための知的財産への配慮は欠かせません。さらに、海外の製品規格への対応も重要となっています。
 中小企業の海外への積極的な展開の確実なサポートに向け、都は各国の実情に即したさまざまなきめ細かな支援を展開する必要があると考えます。見解を伺います。
 次に、商店街施策について伺います。
 都内各地の商店街では、地域のにぎわいの創出に取り組むとともに、都政の重要なテーマである省エネやCO2削減に役立つ街路灯のLED化など、都民の日々の暮らしを支えるまちづくりに向けて数多くの努力をしています。
 我が党は、これまで商店街振興施策の充実を一貫して主張してまいりました。新年度の予算原案に対しても、新・元気を出せ商店街事業を初めとする商店街振興予算の大幅な復活を強く要望したところでございます。
 都は、商店街の振興を今後もしっかりと支援していくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 現下の雇用情勢は大変厳しいものがありますが、少子高齢化の進展で中長期には労働力の不足が見込まれます。今後の中小企業の発展には、経営資源としてのすぐれた人財の確保が不可欠です。
 先般、東京都雇用・就業対策審議会の答申が出されました。審議の過程では、少子高齢化への対応を初め、若年層の就業支援や中小企業における雇用環境の改善など、大所高所から活発な議論が行われたと聞いております。
 こうした議論を受け、答申では、中小企業の実情に即した人材確保の支援策を強化すべきとの提言もなされています。
 都は、答申を踏まえ、今後どのように中小企業の人材確保を支援していくのか見解を伺います。
 次に、臨海副都心の開発について伺います。
 今、アジアの諸都市はMICE、国際観光機能の充実強化に力を注ぎ、大きな発展を遂げています。現に、シンガポールではカジノ併設の統合リゾートが二〇一〇年に開業して、海外からの来訪者が前年比で約二〇%増加し、国の経済成長を下支えしています。
 都でも、「二〇二〇年の東京」計画により、厳しい都市間競争に打ち勝つ取り組みを進めています。国際会議など、MICEの活性化や魅力的な観光資源の充実といった取り組みは、東京の国際競争力を強化し、日本経済を牽引する重要な施策です。
 日本最大の展示面積を持つ東京ビッグサイトがある臨海副都心は、開発余地のある戦略上極めて重要なエリアであります。この臨海副都心の開発の意義について、知事の所見を伺います。
 また、シンガポールやソウルでは、大規模な統合リゾートを開発する事業者の誘致や国際会議場と商業施設等の多機能な施設の整備など、特色のある開発を進めております。
 今後開発予定の青海地区北側の土地は、これらの諸都市と伍していくための新たな成長に向けて非常に貴重な存在です。ばらばらに売り急ぐことなく、より幅広い視点で開発すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新たな多摩のビジョンについて伺います。
 都は、今般、新たな多摩のビジョンの素案を公表しました。これは、我が党の提案に応じ策定するものでありますが、スポーツ祭東京二〇一三の開催や、多摩東京移管百二十周年となる節目の年に都がこのような多摩振興の新たな羅針盤を明らかにしたことは高く評価します。
 素案では、地域の成り立ちの違いによる多様な特性を有する多摩地域の状況も踏まえ、多摩都市モノレールの延伸の検討を初めとする交通ネットワークのさらなる充実や産業の活性化など、ハード、ソフト両面から骨太の方向性が示されています。
 今回のビジョン策定はあくまでも出発点であり、ビジョンに基づく多摩振興の実現に向け、都の総力を挙げて取り組んでいくことが必要であります。
 そこで、改めて今回のビジョン策定の意義を伺うとともに、このビジョンに基づきどのように多摩振興を進めていくのか所見をお伺いいたします。
 なお、都が多摩のイノベーションの活性化に向け整備を予定している八王子の産業交流拠点は、産学公連携の核としての役割が期待されており、着実な整備を要望しておきます。
 次に、農業振興について伺います。
 東京には、大都市特有の問題を抱えながらも、新鮮で安全・安心な農産物を求める都民の期待にこたえようと頑張る農業者が数多くいます。また、大消費地を身近に抱えるメリットを最大限に生かした新たな経営を目指す意欲的な農業者もいます。
 このように、東京の農業は今後の発展に向けた高い可能性を持っており、都はこうした農業者を強力に支援して産業力を高めていく必要があります。また、農地は環境保全や防災機能など、特に都市に必要な多面的機能を有することから、農業が継続できるよう地域ぐるみで守っていくことが必要です。
 これらを踏まえ、今後、都がどのように農業を振興していくのか伺います。
 次に、福祉、保健、医療関係について伺います。
 少子高齢化が急速に進む中、都内の高齢者は現在の五人に一人から、平成四十七年には三人に一人となり、これまでに経験したことのない、まさに超高齢社会の出現が見込まれています。
 こうした状況に的確に対応し、高齢者を初め、次世代を担う子どもたちや障害者、すべての都民が安心して生活できる社会を実現することは、都の責務であります。
 今後、福祉施策の拡充にどのように取り組んでいくのか、知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、現在、改定が進められております東京都保健医療計画に関連して、二点お伺いいたします。
 都は、さきの震災の教訓を踏まえ、医療機関の耐震化や災害医療コーディネーターを核とした情報連絡体制の整備など、災害医療体制の強化にいち早く取り組んできました。
 また、すべての医療機関を災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院、診療所等に分類しましたが、総力を挙げて多くの負傷者等を確実に受け入れることが重要です。
 改定後の計画における災害医療の位置づけと、今後どのように災害医療体制整備に取り組んでいくのか伺います。
 平成二十三年の国の調査によれば、精神疾患の患者は全国で三百万人を超え、都内では二十八万人となっており、精神疾患は都民にも広くかかわるものであります。精神疾患に罹患した方が早期に確実な治療を受け、地域で安心して生活できるようにするためには、症状に応じて必要な精神科医療が提供される体制の構築が重要と考えます。
 今回の保健医療計画の改定では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾患に精神疾患が追加されますが、精神疾患についてどのような観点から取り組むこととしているのか伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 都民の三人に一人ががんで亡くなるなど、がんは都民の健康にとって大きな脅威です。都は、法に基づき、平成二十年にがん対策の基本となるがん対策推進計画を策定し、がん検診の受診率の向上や都独自の認定がん診療病院の整備などを着実に進めてきました。高齢化に伴い、がん患者の増加が見込まれる中、がん対策の一層の充実が必要です。
 現在、都はがん対策推進協議会での議論や都民等の意見を踏まえ、計画を改定していますが、今回の計画の特徴について伺います。
 都は、これまでも都民、関係団体の意見を踏まえ、目標を定め、その達成に向けた計画を策定し、具体的かつ確実にがん対策を実施して成果を上げてきたものと受けとめております。
 今後とも、法の趣旨を踏まえ、実効性のある取り組みを着実に実施していくよう要望しておきます。
 次に、高齢者対策について伺います。
 都は、昨年三月に策定した東京都高齢者保健福祉計画に基づき、さまざまなサービスの組み合わせや地域での支え合いにより、高齢者の生活を複層的に支える体制づくりを進めています。
 高齢者の八割は、元気とはいえ、ひとり暮らしや夫婦のみの世帯など、支援が必要な高齢者もふえています。都内には、電気、ガスなどのライフライン事業者と住民の異変について通報協定を結ぶなど、さまざまな機関の協力を得て見回りを実施している区市町村があります。
 高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、都はこうした区市町村の取り組みを後押しし、都内全域で高齢者の見回り活動のより一層の充実を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、ケアつき住まいの供給促進について伺います。
 今後、高齢化が急速に進展する中、我が党は二年前に少子高齢プロジェクトチームを立ち上げ、高齢者が安心して暮らせる住宅の供給が喫緊の課題であると報告書を提出いたしました。
 都は、ケアつき住まいを平成二十六年度までに六千戸供給するとしてきましたが、今回、目標を一万戸まで引き上げることとしています。この目標達成に向け、供給を促進していくためには民間事業者の多額の初期投資などの課題に適切に対応していくことが必要であります。
 また、高齢者が住みなれた地域で安心して生活していくためには、地元区市町村との連携が不可欠で、地元区市町村の後年度負担の軽減を支援するルールづくりも必要です。
 こうしたことを踏まえ、今後のケアつき住まいの整備に当たり、都として目標を引き上げた理由と供給を促進する方策について伺います。
 次に、保育サービスについて伺います。
 都は、これまで我が党が推進してきた認証保育所や認可保育所などにより、保育サービスを積極的に拡充してきました。しかし、昨年四月の待機児童数は七千二百五十人で、この二年間で約千二百人減少したものの、依然高い水準が続いています。
 待機児童を解消していくため、保育の質も確保しながら、利用者ニーズに的確に対応した取り組みをさらに進めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 本年四月から障害者自立支援法が障害者総合支援法と改正されますが、障害者が安心して暮らせるよう地域生活を支える行政の役割は何ら変わるものではありません。
 都は現在、施設整備費の特別助成を行い、グループホームや通所施設等、地域生活に必要なサービス基盤の拡充を図っています。
 同時に、障害者が入所施設から地域生活に安心して移行できるよう支援していくことも必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 都は、いつでも、だれでも、安心して医療を受けられることを理念に、患者中心の医療の実現のため、改革マスタープランを策定し、都立病院改革を進めてまいりました。医療を取り巻く環境は、超高齢社会の到来、都内病院数の減少や在宅療養における医療支援への期待など、急激に変化しています。
 都立病院は、今後とも民間病院では対応が困難な医療の分野の充実強化を図るとともに、医療環境の変化に着実に対応していくことが重要であります。
 そこで、策定中である次期計画の基本的な考え方について伺います。
 次に、教育、スポーツ振興について伺います。
 まず、東京都教育ビジョンについてです。教育は、いつの時代にあっても国家、社会の発展の礎であります。
 近年、グローバル化の進展など社会環境が急速に変化しており、将来を見据え、教育を不断に見直ししていかなければ、我が国は世界から取り残されてしまいます。
 都は、都立高校における日本史必修化など、全国に先駆けた教育改革を実行してきました。引き続き、首都東京が我が国の教育再生を牽引していかなければなりません。
 東京都教育委員会が今般改定する東京都教育ビジョンに、変化する社会環境に対応した施策を盛り込み、教育改革をより一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、中一ギャップへの対応について伺います。
 都では、我が党が主張してきたように、小中学校の入学当初の時期に限って都独自の取り組みとして、学級規模の縮小や少人数指導等も可能にする小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、教員の加配に取り組み、成果を上げてきました。
 来年度、国においては、教職員の定数改善計画の実施が見送られることとなりましたが、学校現場ではいじめや不登校など、依然としてさまざまな課題があります。都は独自に中一ギャップ加配を拡充するとしていますが、これらの課題に向け、考え方を伺います。
 次に、部活動での体罰問題について伺います。
 昨年十二月、大阪市立高校の部活動において、顧問教諭の体罰により生徒が自殺するという痛ましい事件がありました。また、今般、都が実施した調査において、都内公立学校でも部活動における体罰が判明しました。部活動をより一層推進するためには、こうした体罰問題の解決にしっかり取り組んでほしいと考えます。
 そこで、都教育委員会は、今後、体罰のない部活動指導に向けどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、スクールカウンセラーについて伺います。
 いじめや不登校などの課題解決のために、子どもの心のケアに当たるスクールカウンセラーの役割はますます大きくなってきています。我が党がかねてより主張してきたスクールカウンセラーの全校配置が来年度予算案に盛り込まれたことは高く評価します。
 スクールカウンセラーは、児童生徒の心の悩みを個別にケアすることから、その業務は相談室内でのカウンセリングが中心になりがちです。公立小中高等学校への全校配置を機に、教員との積極的な連携や、児童生徒等のさまざまな問題への対応など、スクールカウンセラーの専門性を一層生かした活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次は、私学振興について伺います。
 都内の私立高校では多くの学校が建学の精神に基づく独自の留学制度によって、高校生を海外に派遣し、世界に通用するグローバル人材の養成に積極的に取り組んでいます。
 我が党は、私立高校のこうした取り組みを支援し、一人でも多くの意欲のある高校生の留学の夢を実現させることが、日本の将来を担うチャレンジ精神にあふれた若者の育成に必要であることをかねてより主張してきました。
 昨年の第三回定例会で我が党は、私立高校がこれまで培ってきた取り組みを踏まえ、学校現場と十分に意見交換を行った上で、効果が高く、きめの細かい支援策を構築すべきことを求めました。今回提案されている支援制度にどのように反映されているのか伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 本年はスポーツイヤーです。一月の冬季国体から始まり、一昨日の東京マラソンでは三万六千人ものランナーを初め、大会を支えるボランティア、観客など、百七十四万人もの人々が参加し、大成功をおさめました。今後は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市決定、スポーツ祭東京二〇一三の開催へと続いていきます。
 スポーツは、青少年の心身の健全な発達や健康増進など、都民生活の質の向上や都市の活性化にも寄与する大きな力を持っており、その果たす役割はますます大きくなっています。
 現在、都は、昨年の第一回定例会における我が党の提案を受け、東京の新たなスポーツ推進指針となる東京都スポーツ推進計画の策定に向けた準備を進めています。東京のスポーツを推進する上で大変重要なこの年に、長期的な視点に立った都としての新たなスポーツ推進計画をアピールできることはまさに時宜を得たものと評価します。
 今後は、二〇二〇年に向けて、この計画を着実に推進し、スポーツ都市東京を実現することが求められます。
 そこで、都は、本計画に基づき、具体的にどのような施策を展開していくのか伺います。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
 去る一月二十六日から七日間にわたり、冬季国体のスケートとアイスホッケー競技会が開催されました。国立代々木競技場で行われた開始式は、満員の来場者であふれ、スポーツ祭東京二〇一三の幕あけとしてさい先のよいスタートを切ったといえます。
 スポーツ祭東京二〇一三の開催を契機に、多摩・島しょ地域をより一層発展していく上でも、この大会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域の活性化や都のスポーツ振興につなげていかなければなりません。
 そこで、スポーツ祭東京二〇一三の成功に向け、どのような大会にしていくのか伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 今、我が国に必要なのは、未来への夢と希望であります。二〇二〇年大会の日本招致は、東日本大震災からの復興のシンボルともなり、都民、国民に元気と夢、希望を与えます。
 先般、招致委員会が実施した支持率調査では、我が党の呼びかけにより行った東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟による全国の署名活動などの成果が着実にあらわれ、支持率がついに七〇%を超えました。
 しかし、この支持率は、マドリード、イスタンブールにはいまだに及んでおらず、本年九月七日、IOC総会での開催都市決定をかち取るまで、引き続き国内の支持獲得に努めなければなりません。
 知事には、オールジャパンの体制をより強固にして取り組んでいただきたいと思います。今後の招致レースに向けた知事の決意を伺います。
 また、東京の計画は、高品質かつ豊富な宿泊施設、高い運営能力、また、世界で最も安全な治安のよさなどが高く評価されております。今後は、そのような立候補ファイルに盛り込まれた東京の強みを国際的に訴えることが重要です。所見を伺います。
 我が党も、この国の輝かしい未来を切り開く契機となるよう、招致実現に向けて、最後まで全力を尽くして戦う決意であることを申し上げておきます。
 さて、都議選の投票日は六日二十三日に決まりました。我々都議会自民党は、日々都民の暮らしの中に肌で触れ、有権者の声をじかに聞く中で、いわば現場から都政における責任政党として、国に対して主張すべきは主張し、都政のすべての分野にわたり、打つべき政策を着実に実行してまいりました。
 来るべき選挙戦には、この間に発生した未曾有の東日本大震災を踏まえたインフラ、防災対策はもとより、都内企業の活性化や雇用の確保などを初めとする経済再生、学力や規範意識をはぐくむ教育再生、都民生活の安心・安全を確保する福祉、社会保障など、暮らしの再生の実現に向け、引き続き全力を傾注してまいります。
 最後に、知事は施政方針の中で、人々や企業が、自分の個性と才覚を最大限発揮でき、強い人が弱い人を助け、余裕のある人がない人を助ける、そうした東京を目指していくとしています。これが世にいう新自由主義とは決別した主張とするならば、我が都議会自民党の一貫してとってきた立場でもあります。
 内憂外患の困難な時代にあって、都民の生活、仕事を守り、将来の展望を切り開いていくため、山積する課題の本質を見きわめながら都政をリードしていくことが我々に課せられた責務であり、都民にこたえる道でもあります。
 都民の皆様のご理解をいただき、公認候補全員があすの東京づくりの参画を目指す決意であることを表明して、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 野島善司議員の代表質問にお答えいたします。
 今後の都政運営についてですが、きょうは、くしくも二月二十六日でありまして、今から七十七年前、青年将校たちが一千四百人以上の兵士を率いて、首相官邸や警視庁などを襲った二・二六事件ですね。大蔵大臣高橋是清や内大臣齋藤實を殺害し、鈴木貫太郎侍従長に重傷を負わせた上、岡田啓介首相は危うく難を免れたが、しばらく行方不明でありました。
 あの事件以降、政治は完全に機能不全に陥って、政治家は軍部、官僚をコントロールできないまま昭和十六年の日米開戦に突入し、三百万人ものとうとい命が犠牲になりました。
 軍部や官僚をコントロールできない戦前の政治状況は、バブル経済崩壊以後の政治、小泉首相の五年五カ月を除いて、総理大臣が平均一年ごとにかわっていった国政の混迷とよく似ています。この数年は特に、与党も野党も政局に明け暮れ、こうした国の政治に嫌気が差していた国民が多かったのではないでしょうか。
 昨年末誕生した安倍総理は、再登板ゆえ、政治主導を掲げた前政権よりも、霞が関の使いこなし方もよく理解されていると思います。さきの日米首脳会談でも、日米間の信頼の回復を十分に果たされた。これからは大変期待しています。
 ところで、オバマ大統領と安倍総理が暖炉の前で会談している映像が映りましたが、安倍さんのここ、気がつきましたか。オリンピックのバッジをきちんとつけています。皆さんもぜひつけてください。ついていない人がいるんです。スポーツ振興局長はちゃんと背広を着がえてもいいように、幾つも渡しておいてください。この辺はついているんですけれどもね、ちょっとついてないところがあるんです。
 官僚主権と決別しなければいけないという話に戻りますが、日本を沈没から救うことは官僚主権ではできない、そう確信して、首都東京のかじ取りを担う決意をしました。アメリカがユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカなら、日本は、十二の省がばらばらに自分の利益を追求するユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパンだというふうにいえます。
 そうした中で、東京だけが唯一、霞が関の壁を超えられる東京ステート、東京国ともいっていい存在だと思って、皆さんも一緒にやりたいと思いますが、東京からこの縦割りの壁を打ち破って、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開して、日本じゅうに改革のうねりを巻き起こしていく。上辺だけのあるべき論や理想論では何も変わらない。現実に真正面から向き合って、複眼的な思考であらゆるところに目配りしながら、リアルな改革を進めていくつもりであります。
 もとより、こうした改革は都知事だけでは進めることはできません。同じ首都東京の政治家である都議会の皆さんと一緒に建設的な議論を交わしながら、ともに改革を前に進めていきたい。そして、この東京を世界一の都市へとしていきたい。ご協力をぜひともお願い申し上げます。
 財政運営についてでありますが、都政には、都民の暮らしを守り、東京の活力を高める施策を着実に実施することはもとより、日本の心臓として、先駆的な取り組みにより国を動かし、全国を牽引していくことが求められています。
 このため、平成二十五年度予算では、都民の安全・安心を守る取り組みや、新たな東京モデルを発信していく取り組み、そこに財源を重点的に投入し、とりわけ経済波及効果の高い投資的経費については、九年連続で増加させることにしました。
 さらに、国の平成二十四年度補正予算に対応し、都としても追加の補正予算を編成しました。
 このようにして編成した予算を着実に執行するとともに、引き続き国の動きを注視しつつ、必要な措置を迅速に講じていきます。
 一方、なすべき施策を機動的かつ継続的に実施していくためには、自己改革をたゆみなく進め、将来にわたり財政の健全性を堅持していくことも不可欠であります。
 このため、中長期的な視点から都債の発行を抑制し、基金残高をふやすなど、財政基盤の一層の強化を図ることにしました。
 今後とも、都民の負託にこたえる積極的な施策展開と、それを支える強固な財政基盤の堅持、この両面に目配りした財政運営を行うことで、都政に課された使命を確実に果たしていきたい。
 首都東京の防災についてであります。
 首都直下型地震が発生したとき、対応は一刻を争います。完璧な情報の収集と分析を待って対策を検討するいとまはない。そういうとき、東日本大震災の当日、わずかな情報のもとで、即座の判断と東京消防の機動力によって、気仙沼の公民館から四百四十六人の人々を助け出すことができました。
 限られた情報をもとに、まずは走り出すことが必要であります。発災後、即座に人命救助や傷病者の搬送を行う救出、救助拠点の立ち上げに着手する。自衛隊、警察、消防の全国の部隊が持つヘリコプターや船舶の機動力を結集し、ヘリサインを八百カ所から千六百カ所に倍増します。
 これは、この間、神津島からヘリコプターで戻ってくるときに、防災訓練ですが、上から見るとヘリサインの数が非常に少ないんです。前にも、小金井に防災訓練で行くときにもヘリに乗りましたが、やはり多摩地区の方も少ないんです。東京都心も少ない。だからこれを二倍にして、東京に救出、救援に来るヘリコプターが、ここはどこなんだと上からわかるように、そういうヘリサインを二倍にする、こういうことであります。
 そういうことも含めて、刻々と変化する状況に、走りながら考え、臨機応変に指示を出すことで、一人でも多くの都民の命を救い出すということに全力を傾けたい。
 また、危機に備えて、日ごろからスピード感を持ってやるべきことを積み重ねることも、災害に強い都市を築く上で重要であります。
 大都市東京が抱える課題を解決するために、木造住宅密集地域の不燃化特区の大幅な拡大、全国で初めての帰宅困難者対策条例による一斉帰宅の抑制や、備蓄の一割の上乗せの呼びかけ、さらにはツイッターによる都民への情報発信など、発災時に首都が混乱に陥ることがないような仕組みを社会全体で、つまり、行政だけじゃなくて民間も含めていろんな形でつくり上げていく、それがこの三・一一の大きな教訓です。
 いざというときに備えて、ふだんからやるべきことをやり、そのときが来たら果敢に決断し先手を打つ。こうした平素の備えと発災時の対応により、首都東京の防災力を必ず向上させていかなければいけないと、こういうふうに思っています。
 木密地域の解消についてですが、木密地域は、不燃化特区十二だったんですが、五十にしようということで五十地区、そういう目標を掲げて、東京都が不燃化特区制度を通じて木密地域の解消に本格的に取り組むという、区や住民に対するメッセージ、これが大事です。木密地域を解消するには、今取り組んでいる十二地区では絶対不十分。これは、東京都が五十だということで区が本気になりますから、都と区で協力して、取り組みを大幅に拡大していくことが重要であります。
 そもそも、二十世紀の負の遺産ともいうべき木密は、戦前からそのまま残された古い木造のまちに加えて、戦後の急速な復興の中で無秩序な開発が進んだことによって形成されてきたわけです。現在では、細くて入り組んだ道路や古い家屋がひしめき合っており、大地震の際には、建物の倒壊や延焼のおそれがある危険な地域となっています。
 木密地域は、比較的利便性の高い都心周辺部にあるにもかかわらず、こうした危険性により地域経済を滞留させ、地域の価値も低下させています。
 入り組んだ路地の先にある古い家屋を取り壊すこと、燃えにくい建物に建てかえることや道路を広げていくことなどで安全・安心のまちを実現し、ひいては地域の価値も高めることができるということであります。
 このために、東京都がまずリーダーシップを発揮して、目標と道筋を示すことはもちろん、官民の英知を集めた取り組みとなるような方向性を誘導する必要があります。
 木密地域の現場では、積極的に取り組む区の後押しをするというほか、地域の実情にたけた民間のノウハウを活用するなど、総力を挙げ、短期間で実効性の上がる木密対策となるように取り組んでいきます。
 自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案のねらいについてですが、自転車は環境負荷も少なく、健康増進にも役に立つ交通手段であります。通勤通学や買い物などさまざまな用途に利用され、都民の生活に密着しています。
 しかし、最近では、危険で無謀な運転や違法な放置が後を絶たず、自転車利用のあり方が社会的な問題となっている。
 こうした状況を解決するには、まず、自転車の利用者自身が規範意識を持つことが大切。そのため、条例案では、交通ルールの習得と利用者の責務を定めて、家庭、学校などにおいて利用者に対する安全教育が推進されるようにしています。
 また、放置自転車対策として、企業などに駐輪場の場所の確保などを義務づけました。東京は、駐輪場の整備が需要に追いつかない区域もありますが、オフィスビルの屋上に駐輪場を確保するといった新たなビジネスも民間に生まれています。
 条例案は、こうした民間の創意工夫による新たな力、発想を引き出すことも期待できるものでありまして、条例の制定を契機として、自転車利用者の規範意識が高まるとともに、社会全体で自転車の安全で適正な利用が促進されることを目指します。
 中小企業振興についてであります。
 東京の経済活動の規模を示す都内総生産八十五兆円、国内総生産の二割を占め、東京が我が国経済の命運を握っています。東京が発展し、日本が飛躍するためには、東京都内の企業の九九%を占める中小企業の力を高めていくことが重要な役割である、そういう考えで臨みます。
 東京の中小企業には、独創的な技術や熟練した技術を持つ企業が数多く存在いたします。例えば、社員十数人の会社ですが、東京都ベンチャー技術大賞優秀賞を受賞した流水式小水力発電装置は、全く新しい水力発電システムで、フロート型の水力発電装置を川に浮かべて、水の流れをエネルギーに変換する、そういうものであります。ですから、下水道処理施設や、工場や農業用水路などで発生する排水もエネルギー源として活用できます。これが低炭素型社会の実現に寄与する技術だと、こういうお宝技術がたくさんあります。
 東京都は、こういう中小企業の経営力の強化や、新製品、新技術開発の支援を行っておりまして、昨年十月には、海外市場への販路拡大を後押しするため、海外の規制などに関する情報提供や評価試験の実施を行う広域首都圏輸出製品技術支援センターを都立産業技術研究センター内に開設しました。
 来年度は、海外規格に適合させるための認証取得や、知的財産の保護、活用など、意欲ある中小企業の成長に向けた支援を一層強化していきたいと思っています。
 こうした施策を通じて、中小企業の振興を図り、東京の新たな発展を実現させたいと思っています。
 臨海副都心の開発の意義についてであります。
 都市の世紀といわれる今世紀において、世界じゅうから人、物、情報が集まるMICE、国際観光機能の充実は、都市の競争力の強化に貢献し、東京のみならず、首都圏や日本全体に大きな経済波及効果をもたらします。
 また、都市の洗練された文化やホスピタリティーの向上にもつながることから、東京を初め、今の日本を覆う心のデフレ脱却にも役に立つと。
 臨海副都心は、既に一定のMICE機能が集積はしています。かつ、都心に残された数少ない開発用地を有することから、さらなる機能強化で世界トップクラスのMICE、国際観光拠点に発展する可能性が十分あるわけです。
 そこで、今後は、臨海副都心に東京ビッグサイトと連携、補完するMICE施設とともに、カジノのような大人の社交場が存在しない日本においては、国際的な集客力を持つ新たな観光資源を誘致して、東京をきのうと違う世界に発展させていきたいと、そう思っています。
 福祉施策の拡充に向けた取り組みについてでありますが、日本では、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。東京でも、昨年初めて死亡者数が出生数を上回り、二〇三五年には三人に一人が高齢者という超高齢社会が到来すると、こういうふうに予想されています。
 今後の福祉政策は、この東京の未来を見据え、自助、共助、公助の取り組みを適切に組み合わせながら、都民ニーズにこたえる具体的な施策をきめ細かく、かつスピードを加速させて展開していく必要があります。
 こうした考えに立って、今回初めて編成した来年度予算において、高齢者のためのケアつき住まいの整備、認知症の早期発見、診断、治療のための新たなシステムの構築、それから、六人から十九人の小規模保育を支援する東京スマート保育の創設、それから、障害者が地域で暮らすグループホームの増設、そういう費用対効果の高い新しい施策を盛り込みながら、過去最高の一兆円を超える福祉と保健の予算を組みました。
 今後とも、効果的な福祉施策を充実させ、一人一人が輝く、年を重ねるごとに輝いていくということができる東京に、互いに助け合って、だれもが安心して生活できる東京につくり変えていかなければいけない、そういうつもりでこの問題に取り組んでいきます。
 オリンピック・パラリンピック招致についてであります。
 長く閉塞感が続くこの日本社会において、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを開催することは、人々の心のデフレを解消していくきっかけとなると思っています。目標があると、その目標に向かって夢を、希望をつくっていくということができます。平成生まれの人は、ずっと目標がないまま、若者は生きていますが、二〇二〇年があるよということをやはり確実に示していきたい。
 去年、僕は東京マラソン、四十二・一九五キロ、六十五歳で初めて走りました。これからの招致活動は、そのときに、今まで最高十キロメートルしか走ったことなかったんだが、四十二・一九五に挑戦するに当たって、やっぱり逆算してみなきゃいけない。三十キロから四十二キロを時間のあるときにちょっと走ってみた。そこからどうやって完走するかという逆算をしていって、それで走ったんですが、そういうマネジメントの発想で、九月七日のブエノスアイレス、それに対して、ロンドンの記者会見から始まってどういうステップでいくか逆算しながら、三月の初めにIOC調査団が来ますが、IOC調査団が来て、そこでプレゼンテーション、これは第二ステップ。第三ステップがスイスのローザンヌ。逆算しながら、今何をすべきかということを考えながらやっています。
 招致レースというのは、マラソンレースとよく似ています。どこに、今何をやらなきゃいけないかというポイントを、常に、その場所その場所で考える。来月、もうあと一週間もないです。IOCの調査団が来ます。東京のソフィスティケートされた、洗練された世界とかおもてなしの持っている魅力とか、そういうものをぜひプレゼンテーションで伝えたい。
 一昨日の東京マラソンでも、新宿で荷物を預けたら、マラソンフィニッシュしたら、ビッグサイトで荷物をもらえるんです、自分の服を。そして帰れる。これ、ホテルのサービスと同じです。これをボランティアがやっている。すごいことです。これは外国では考えられない。一つ一つ間違いなく、フィニッシュ終わった人に服を渡して、服を着がえて帰れる、こういうホスピタリティーとは何かということをどうやってプレゼンテーションであらわすか、それを一生懸命考えています。
 もうちょっとつけ加えますが、東京で開催する大会、これは単に東京だけのものではなくて、被災地を聖火ランナーが走り、宮城スタジアムでサッカーの予選をやり、日本全体のオリンピックであると。プレゼンテーションに安倍総理にも出てきてもらいます。国を挙げて、そして、もちろん東京の力を、東京都も、そしてJOCの竹田会長も、みんながこのプレゼンテーションに集中して、元オリンピックの選手も出ます。招致を獲得するためには、経済界、それから町会連合会、いろんな人たちが力を与えてくれていますが、行政も、あるいは国も東京都も民間も、みんな一丸となって、国家の総力を挙げて臨まなければ、この招致レースは勝てないと、そういう厳しい認識でやっています。
 みずから先頭に立って、リーダーシップを発揮して強いチームをつくり、オリンピック・パラリンピック招致というレースの中で、これを必ず成功させるというふうに、そういう決意で──もう来週、IOC調査団が来ますから、プレゼンテーション、四、五日かかります。徹底的に東京のメリットを説明します。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁していただきます。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、非構造部材の耐震化に対する区市町村への支援についてでありますが、学校施設には、児童生徒の安全確保に加え、地域住民の避難所としての役割が求められております。このため、天井材等の非構造部材の耐震化は喫緊の課題であり、早急に対策を進める必要があります。
 小中学校の非構造部材の耐震化対策は、震災被害や実証実験等から得られた知見を生かすことが有効であり、専門家の点検を踏まえることが重要でございます。
 都教育委員会は、技術面での指導等を継続するとともに、国が創設した技術者登録制度の活用を促してまいります。
 また、耐震化費用については、区市町村に対する新たな補助制度を創設し、耐震化対策が確実に実施されるよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、東京都教育ビジョンについてでありますが、今般改定をいたします教育ビジョンは、変化の激しい時代における、みずから学び考え行動する力や、社会の発展に主体的に貢献する力の育成を重点施策としております。
 例えば、子どもたちの内向き志向を打破し、世界を舞台に活躍する能力を高めるため、高校生の海外留学支援の拡充や、海外大学進学資格を付与する国際バカロレアの認定を目指す取り組みを行います。
 また、科学に関心を持つ生徒の能力を伸ばすため、理数系コンテストの開催など、理数教育を充実いたします。
 さらに、よりよい社会の実現に向け行動する力を育成するため、全都立高校において、体験活動と一体的に実施する道徳を必修化いたします。
 今後、新たな教育ビジョンに基づき、さらなる教育改革を総合的に推進してまいります。
 次に、中一ギャップへの対応についてでありますが、入学当初の生徒の学校不適応などに対応するため、都教育委員会は、中学校第一学年について、平成二十二年度から計画的に教員加配を拡大してまいりました。平成二十三年度に行った、中一ギャップ加配の効果検証では、学習規律が確保できたなど、生徒の学校生活の改善に効果があると各学校から報告があったところです。
 中学校第一学年では、いじめの認知件数が最も多いなど、依然として課題があることから、来年度、都独自で三十五人以下学級編制を可能とする中一ギャップ加配を完成させ、学級規模の縮小のみならず、少人数指導、チームティーチングなど、各学校の実情に即した最適策を選択できる弾力的な学級編制方針のもと、引き続き、中一ギャップの予防、解決に努めてまいります。
 次に、体罰のない部活動に向けた対策についてでありますが、現在、都内全公立学校で調査を実施しておりますが、この過程で、一部の学校において指導者の体罰が判明をいたしました。体罰は、いかなる場合においても絶対にあってはならないことであり、体罰を指導の一環とする認識や、厳しい指導も必要と容認する風土等を一掃する必要があります。
 このため、緊急に教員研修用パンフレットを作成し、三月中に都内全公立中学、高校の顧問教諭を対象とした研修会を開催し、改めて体罰禁止の徹底を図ります。
 さらに、スポーツ指導者等による部活動指導のあり方検討委員会を立ち上げ、暴力容認の背景や望ましい指導のあり方を早急に検討し、総合的な対策を講じてまいります。
 こうしたことにより、体罰の根絶に、学校と一体となって全力で取り組んでまいります。
 最後に、スクールカウンセラー活用事業についてでありますが、臨床心理に関する高い専門性を有するスクールカウンセラーが、児童生徒等からの相談に応じる中で、いじめや不登校などの問題解決に成果を上げてきました。
 来年度、スクールカウンセラーを千四百人程度に倍増し、全公立小中高等学校へ配置をいたします。
 あわせて、学校から期待される役割や、教員との連携上の留意点などを周知徹底するため、すべてのスクールカウンセラーに対し、教育相談の手引を改訂、配布するとともに、三月までに、実績のある経験者を講師とする新たな研修を実施いたします。
 さらに、児童生徒への相談業務に加え、教員への研修の実施を通して学校全体の相談技術や相談機能を向上させるなど、スクールカウンセラーの一層の活用を図ってまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、首都東京の都市基盤整備についてでございますが、東京のインフラは、都市の安全・安心の礎を築くとともに、円滑で効率的な都市活動を支え、首都としての成熟した風格を創出する重要なストックでございます。その効用は国全体に及び、国際的な都市間競争が激化する中、東京のインフラの充実なくして我が国のさらなる成長はありません。
 こうした認識のもと、首都圏三環状道路の整備、羽田空港のさらなる国際化、東京港を初めとする京浜三港の機能強化などにより、陸海空の交通ネットワークを構築してまいります。
 既存のインフラにつきましても、全国に先駆けて導入した橋梁のアセットマネジメント手法を活用するなど、戦略的な更新を行うとともに、堤防や水門などの徹底した耐震化を図り、高度防災都市へと進化させてまいります。
 今後とも、安定的な財源確保に努め、技術力を結集しながら、先人から受け継いだストックのさらなる充実を図り、我が国を牽引する活力ある国際都市東京を築いてまいります。
 次に、木造密集地域における特定整備路線の取り組みについてでございますが、都は、特定整備路線のすべての候補区間を公表した昨年十月以降、順次、地元説明会を開催し、測量に着手するなど、早期事業化に向けた取り組みを進めております。
 事業推進に当たりましては、整備を加速するためのかぎとなる関係権利者の建物再建や移転先の確保に向け、すべての関係権利者の意向を速やかに確認し、用地取得への第一歩といたします。
 あわせて、路線ごとに、民間の専門事業者を活用した相談窓口を設置し、一人一人の事情に応じた丁寧なサポートを行うとともに、移転先となる民間賃貸住宅の確保や、移転資金貸付金の金利優遇などの多様な支援策も実施してまいります。
 これらの支援策の内容につきましては、測量や用地補償の地元説明会など、あらゆる機会を通じて十分周知し、きめ細かな対応を行いながら用地取得を図り、早期整備に努めてまいります。
 今後とも、地元区とも連携を図り、燃え広がらないまちの実現に向け、特定整備路線の整備に全庁を挙げ、全力で取り組んでまいります。
 次に、多摩南北主要五路線のうち、府中清瀬線と調布保谷線の整備状況についてでございますが、多摩地域における自立と都市間連携の強化を推進するためには、交通円滑化はもとより、防災性の向上を図る必要があり、都は、多摩南北主要五路線を代表とした骨格幹線道路ネットワークの形成を重点的に進めてまいりました。
 府中清瀬線につきましては、唯一の未開通区間である府中市内の約五百五十メートルの区間で現在事業を行っており、来月には交通開放をする予定でございます。これにより、川崎街道から埼玉県境までの延長約十八キロメートルの全線が開通することとなります。
 また、調布保谷線は、青梅街道から西東京三・四・一一号線までの約二キロメートルの区間を、本年四月に交通開放する予定でございます。
 残る区間につきましては、平成二十六年度の全線開通を目指して事業を進めてまいります。
 今後とも、地域の発展に寄与し、非常時には救命救急活動に大きな役割を担う骨格幹線道路を全力で推進し、都民の生命と財産を守ってまいります。
 次に、河川の耐震対策の取り組みについてでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘される中、東部低地帯の安全性向上を図るには、スピード感を持って対策を講じていくことが極めて重要でございます。
 昨年十二月には、具体的な整備計画を策定し、最大級の地震が発生した場合でも津波などによる浸水を防止するため、対策の実施箇所などを提示し、このうち、水門の全箇所と水門外側の堤防などにつきましては、二〇二〇年までに完了させることといたしました。
 事業推進を早期に図るため、既に、優先度の高い隅田川下流部などの四水門の設計を進めており、また、堤防につきましても、来月初旬には設計に着手いたします。
 今後とも、民間技術の活用などさまざまな工夫を行いながら、全力で事業の推進を図り、地震、津波に対する都民の安全・安心の確保を早急に実現してまいります。
 最後に、液状化予測図の見直しについてでございますが、液状化予測図は、公共施設や民間建築物などの液状化対策検討の基礎となる重要な資料でございます。
 東日本大震災を踏まえ、現在、東京都土木技術支援・人材育成センターが予測図の見直しを行っており、これまで約五十年にわたって蓄積してきた約二万本の地質調査データを用いまして、地下水位や砂層の分布状況を詳細に把握し、予測精度を高めております。
 この予測図は三月末に発表し、引き続き公共施設の液状化対策に活用するほか、新たに民間建築物の液状化対策を検討中の都市整備局にも情報提供してまいります。
 あわせて、ホームページを拡充し、住所による検索を可能とするとともに、予測に用いた地盤の解析データや地形の変遷に関する図面も閲覧できるようにいたしまして、液状化に関する地域の情報を幅広く、速やかに発信してまいります。
 今後とも、高度防災都市の実現に向け、関係部署と連携し、液状化に関する情報提供に努めてまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、尖閣諸島寄附金の基金化についてでございますが、昨年四月、都が設けた口座には、都民、国民の方から約十万四千件、十四億円を超える寄附金が寄せられました。これは、島々を公の所有として安定させ、活用してほしいという願いが志として寄せられたものと受けとめております。
 こうした中、昨年九月に、島々は国の所有となりました。このため、都は、国に尖閣諸島の活用について働きかけることとし、会計年度を越えて寄附金を管理するために基金を造成することといたしました。
 今後は、この基金を国に託すため、石垣市など地元自治体とも連携し、国への提案などを行いつつ、お話の無人国境離島管理法案など国の動向を見きわめながら、都民、国民の志が生かされるよう対応してまいります。
 次に、インフラ整備をいわゆるPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップ事業により実施するための調査についてでありますが、PPP事業は、民間事業者が事業の企画立案段階から参画するため、民間の資金やノウハウなどを生かしやすい手法とされており、海外では既に多くの活用事例がございます。
 来年度の調査は、将来のPPP事業への参画に向けた一里塚となるもので、都が確立すべきガバナンスとなる官民連携政策投資システムの構築を目的とするものです。
 このために、まず、都が保有する主なインフラ資産の現状や将来見通しなどの把握を行うとともに、国の内外におけるインフラ整備に当たり、民間資金を活用した先進事例に関する調査を行います。あわせて、民間資金の活用に適したインフラ分野を選び、実際にこの分野を対象にした事業投資などに関するシミュレーションなどを計画しております。
 また、こうした調査を踏まえた上で、専門の有識者等の知見を得ながら、金融、法律、会計などの専門家による第三者的な検証のあり方や、プロジェクトへの参加の是非の判断を行う意思決定の仕組みなどを整理することとしております。
 今後とも、将来のインフラ整備のためのPPP事業の実施に向けて、万全な調査の実施と十全な検討に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、防災の関係で、実効性ある初動体制の確立についてでありますが、大規模災害発生時には、発生から七十二時間の対応が極めて重要になることから、自衛隊、警察、消防を初めとする関係機関との連携の方法や手順をあらかじめ整理した対処要領を策定することといたしました。
 例えば、発災直後の情報収集については、都庁の高所カメラに加え、各機関のヘリコプターによる映像や、都内の道路や河川に関係機関が設置しているカメラ映像を相互に交換して、被災地域の状況把握を行います。同時に、都内の各地に救出救助拠点を構築し、そこを軸として災害拠点病院と連携し、ヘリコプターによる負傷者の広域搬送を実施いたします。
 また、首都直下地震発生時に、陸海空の三自衛隊の統合的な運用を担う東部方面総監部と都との連携体制についても明確に示してまいります。
 対処要領では、こうした活動における各機関相互の動きをわかりやすく結びつけてまいります。
 この要領を基礎として、さまざまな局面を想定し、庁内各局はもとより、各機関との連携協力のもと、図上訓練や実動訓練を積み重ねることで、初動時の災害対応力を強化してまいります。
 次いで、燃料や物資の確保に向けた民間との連携についてであります。
 燃料や物資の供給について、民間事業者は、流通拠点を中心としたネットワークや消費者のさまざまなニーズに対応するための供給能力を有しており、こうした民間の力を活用することが災害対策においても重要であります。
 このため、災害時に確実に燃料を確保できるよう、東京都石油商業組合と連携して、流通在庫を活用した備蓄を行う仕組みを整え、今月から実施いたしました。
 また、被災者の多様な物資ニーズに対応するため、メーカー、流通、小売の事業者で構成される企業グループとの間で、効率的な物資調達の方策について検討、調整を進めており、年度内に新たな仕組みを確立してまいります。
 今後とも、民間団体等との強固な連携体制を構築し、東京の総力を結集して大震災への備えを強化してまいります。
 次いで、帰宅困難者対策の推進についてであります。
 発災時の混乱防止に向け、一斉帰宅の抑制を徹底するとともに、行き場のない人を保護する一〇%余分の備蓄や一時滞在施設の確保を社会全体で進める必要があります。
 このため、民間団体等への説明会に加え、トレインチャンネルやホームドアシート、防災ツイッターなど多様なツールを活用し、集中的な広報活動を実施してまいります。
 また、一時滞在施設としてご協力いただく事業者には、帰宅困難者受け入れに必要な備蓄品購入費用の六分の五を補助する新たな制度を創設するとともに、都立の滞在施設には、家族との安否確認のための特設公衆電話やWi-Fi環境を整備し、機能向上を図ってまいります。
 帰宅困難者対策条例の施行を間近に控えたこの機をとらえ、さまざまな取り組みを展開し、社会全体に帰宅困難者対策を浸透させてまいります。
 次いで、地域の自主的な防災活動への支援についてであります。
 地域の自助、共助を推進していくためには、地域防災の担い手である町会、自治会等の活動の活性化を図るとともに、意欲的な取り組みを普及することが重要であります。
 このため、来年度から新たに、町会、自治会等を対象として学習交流会を開催いたします。防災活動の専門家を派遣し、ハザードマップの作成など、地域のニーズに応じた講義や住民同士の交流の機会を提供してまいります。
 さらに、東京防災隣組については、区市町村と連携して意欲的な団体の掘り起こしを行うなど、第二回認定に向けた作業を進めております。認定団体を大幅にふやし、その活動を広く発信することで、さらなる普及を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、地域の自主的な防災活動を活性化し、東京の地域防災力を高めてまいります。
 次いで、消防団活動の強化についてであります。
 大規模地震の発生時に住民の迅速な救出、救助や初期消火を行うためには、地域に根差した消防団が果たす役割は極めて重要であり、地域防災計画においても、都は、消防団の人材確保や技能向上に向けた多面的な支援を強化することとしております。
 このため、消防団の人材確保に向け、都内鉄道各線での広告を東京消防庁と連携して実施するとともに、団員の技能向上に向け、消防訓練所の資器材を拡充し、講習内容の充実を図ってまいります。
 さらに、特別区消防団の資器材の充実はもちろん、来年度、多摩・島しょ地域の消防団の資器材整備に対する補助を新たに行い、都内全域を視野に、消防団活動の支援に全力で取り組んでまいります。
 最後に、これからの多摩振興の進め方についてであります。
 今回策定する新たな多摩のビジョンは、人口減少社会の到来や大規模工場の相次ぐ撤退など、多摩地域を取り巻く厳しい状況変化に対し、地域にかかわるさまざまな主体が一丸となって道を切り開いていくことが必要との認識のもと、交通ネットワークのさらなる充実や成長分野への中小企業の参入促進による産業の活性化など、多摩地域の進むべき大きな方向性を示したものであります。
 本ビジョン策定後、都は、全庁横断的な組織である多摩島しょ振興推進本部を中心として、多摩振興の実現に向け、全庁を挙げて取り組み、早急に施策の具体化を図ってまいります。
 また、本ビジョンは、都の施策の方向性にとどまらず、多摩の市町村、地域で活動する民間企業やNPOなど、さまざまな主体の活動の方向性も示すものであり、今後、これらの主体と一体となって、目指すべき姿として掲げた、魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心な多摩を実現してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の底力再生事業助成についてでありますが、地域社会における結びつきを強化し、共助を推進するため、都内全域の町会、自治会活動の底上げを図ることは、都の重要な役割と考えております。
 今年度から、本事業助成を本格実施したことにより、前年度を約四割も上回る四百二十五件の申請があり、この事業をもとに活発な地域活動が展開されたことに大きな手ごたえを感じております。
 とりわけ、多くの町会、自治会による避難、通信訓練や応急救護講習会などの防災活動に関して支援を行ってきており、こうした活動内容の充実や助成実績の増加に基づきまして、来年度予算の増額を提案させていただいております。
 今後とも、制度の周知等に努め、さらに多くの町会、自治会に本事業助成を活用していただくことで、災害に強いまちづくりに向け、地域力の向上が図られるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、私立学校の防災対策の推進についてであります。
 都はこれまで、すべての私立学校を対象に、最大で補助率五分の四となる耐震化補助を実施するなど、安全・安心の確保に取り組んでまいりました。
 さらに、東日本大震災の教訓を踏まえ、建築士の派遣などにより、耐震化を一層促進するとともに、太陽光発電設備の整備、水、食料等の防災備蓄物資の購入、防災マニュアルの改定など、さまざまな支援を行ってきております。
 来年度は、こうしたこれまでの施策の実績や学校現場からの要望を踏まえ、天井材などの非構造部材の耐震対策について、新たに補助制度を創設するとともに、物資の保管場所が不足している幼稚園に対しまして、防災備蓄倉庫の設置に対する補助を実施いたします。
 今後も、都全体の防災対策と連動させながら、私立学校の防災対策に着実に取り組んでまいります。
 最後に、私立高校生の留学支援についてであります。
 制度の構築に当たりましては、私学団体や現場の先生方から、海外留学の現状について丹念にヒアリングを重ねてまいりました。その結果を踏まえ、各学校が蓄積したノウハウや教育方針を生かしつつ、費用負担の大きい長期間の留学に対する支援策ということで、各学校が留学制度の新設や充実に取り組みやすい環境を整えることといたしました。
 具体的には、学校がその実施内容に責任を持つ海外留学プログラムのうち、おおむね三カ月以上の留学を対象に、期間に応じた段階的な単価を設定し、補助することで、生徒、保護者の費用負担の軽減を図ってまいります。
 本制度を活用することで、より多くの東京の私立高校生が海外留学を経験し、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かな人材に成長できるよう支援をしてまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、スタンドパイプなどの資器材配布の今後の具体的な措置についてでございますが、震災時には、住民みずからが消火栓や排水栓を活用し、応急給水や初期消火を行うことが重要であります。
 そのため、応急給水用スタンドパイプと仮設給水栓、そして消火用ノズルなどの資器材を、平成二十五年度は五百セット、三カ年で二千六百セットを調達し、希望する区市町に配布する計画であります。
 配布計画につきましては、ご指摘の点を踏まえまして、区市町からの要望状況を見て、前倒しや配布数の拡大を検討してまいります。
 あわせて、水道局と東京消防庁、区市町が連携して訓練を行うことにより実効性を確保し、自助、共助への支援強化を図ってまいります。
 次に、水道施設のさらなる活用による初期消火についてでありますが、これまで、消火栓と同じ構造の排水栓につきましては、東京消防庁及び多摩地区の都営水道二十六市町と覚書を締結し、震災時の初期消火に活用していくこととしております。
 今後、私道の末端などに設置してある都内約七千カ所の簡易排水栓につきましても、東京消防庁などと連携し、詳細にわたってその活用を検討してまいります。
 次に、今後の水道事業のかじ取りについてでありますが、このたび水道局では、二十五年度からの三カ年を計画期間とする経営プランを策定いたしました。
 この経営プランでは、震災対策を大きな柱と位置づけ、水道管の耐震継ぎ手化の一層の推進や、消火栓、排水栓を活用した応急給水体制の充実など、ハード、ソフト両面から取り組みを強化することといたしました。
 また、安全でおいしい水を供給するための高度浄水施設の整備や、世界の水問題を解決するための国際貢献ビジネスを推進してまいります。
 さらに、将来にわたる安定給水のため、大規模浄水場の更新に備えた代替浄水施設を整備していくとともに、多摩地区などにおいて、給水所の新設に向けた調査を実施してまいります。
 都民一千三百万人の暮らしの安全と安心、そして、首都東京の都市活動を支えていくため、差し迫った課題への対応から将来を見据えた取り組みまで、経営プランに掲げた施策を着実に実施し、お客様に喜ばれる水道を実現してまいります。
 最後に、水道管路の耐震化についてでありますが、水道局は、さきの震災や被害想定を踏まえ、耐震継ぎ手化を一層推進する新たな十カ年事業に取り組むことといたしました。
 この事業は、被害が大きいと想定される地域や災害拠点病院、小中学校等の避難所、主要な駅などへの供給ルートを優先して耐震化するものであり、取りかえ延長約五千キロメートル、事業費は約八千億円を見込んでおります。
 これにより、耐震継ぎ手率を現在の二九%から、オリンピック・パラリンピックの開催を目指す二〇二〇年に五〇%、十年後には五四%まで向上させることとしております。
 この取り組みの結果、震災時における水道の復旧日数は、現在の三十日から、十年後には十八日まで大幅に短縮いたします。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度における区への支援についてでございますが、不燃化特区では、都区連携のもと、積極的な取り組みを進める区の後押しや住民の建てかえ意欲が高まるような環境づくりを集中的、多角的に行うこととしております。
 支援の考え方としては、第一に、細くて入り組んだ路地裏の土地を地域整備に活用するなど、住民みずからでは解決できない課題に着手する。
 第二に、弁護士や建築士等の専門家の助言を得ながら生活再建プランの提示を行い、不燃化に踏み出せる環境づくりを行う。
 第三に、区が新たな事業に取り組むための人材やノウハウの提供により、現場の体制を強化することといたしました。
 今後は、区に不燃化特区への取り組みを働きかけることや、取り組みを始める地区の整備プログラムへの助言を行うことにより、施策の実効性を高め、延焼による焼失がほぼゼロとなる不燃領域率七〇%を目指してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対する支援策についてでございますが、耐震化を今後さらに加速させていくためには、これまで得られた耐震診断の結果や所有者のニーズに応じて必要な支援を的確に行っていくことが重要でございます。
 そこで、厳しい社会経済情勢の中、費用負担の軽減を求める所有者の意向など、現場の実態を踏まえ、従来の支援策に加え、耐震性能が著しく低い場合の改修工事の助成単価を割り増すとともに、低利融資について融資上限額を大幅に引き上げるなど、所有者が耐震化により一層主体的に取り組めるよう、支援策を拡充することといたしました。
 今後は、区市町村等とも連携し、こうした支援策を総合的に実施していくことで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、都市の再生を牽引し、東京のさらなる発展を実現するためには、都市活動を支える道路ネットワークの強化が不可欠でございまして、その実現に当たりましては、さまざまな課題に対応するため、効果的、計画的に整備を進めていく必要がございます。
 そこで、都は改めて、平成二十七年度に策定予定の新たな都市計画道路の整備方針の調査検討に着手いたしました。その中で、ミッシングリンクの解消、区部と多摩地域の連携強化、首都直下地震への備え、広域的な産業交流の活性化など、さまざまな課題への対応を検討いたします。
 来年度の早い時期に、学識経験者で構成する委員会や、区部及び多摩地域のそれぞれについて地元自治体を含めた検討会を設置して、都市計画道路の整備方針について検討を進めてまいります。
 次に、木造住宅など建築物の液状化対策についてでございますが、都は、東日本大震災の発生以降、建築物液状化対策検討委員会を設置し、検討を進めてまいりました。
 委員会からは、建て主や建物所有者みずからが液状化による建物被害に備えるため、都は、情報提供や相談体制の整備などを行うべきであると報告されております。
 これを踏まえ、来月、地盤調査の方法や対策工法等を解説した手引を作成し、広く情報提供してまいります。
 また、来年度早々には、都や区市等の窓口におきまして、地盤調査データや過去の地形図を閲覧できるようにするとともに、都民からの相談に適切に対応していくため、アドバイザー制度を創設いたします。
 こうした取り組みを区市等とも連携を図りながら進めることにより、建築物の液状化対策を推進してまいります。
 次に、駐車場条例に基づく附置義務についてでございますが、都はこれまで、建築物から発生する駐車需要に対応して駐車場の附置を義務づけ、路上における荷さばきや駐車の解消を通じて、道路交通の円滑化を図ってまいりました。
 近年、公共交通が充実した駅周辺の地域などにおいて駐車場の利用率が低い事例もあることから、昨年十一月、建物所有者等へのヒアリングを含め、改めて利用状況を調査いたしました。
 その結果、区部の共同住宅や大規模な事務所では、最大利用台数の平均が附置義務基準を下回るなどの傾向が見られました。
 今後、この調査結果を踏まえるとともに、都民や不動産関係団体などの意見も聞きながら、駐車需要の実態に即して附置義務基準の見直しを検討してまいります。
 最後に、ケアつき住まいについてでございますが、高齢者が可能な限り自立して暮らしていくことのできる機能やサービスを備えた住まいへの需要がますます高まっていることを踏まえ、今回、その整備目標を六千戸から一万戸に引き上げ、来年度から補助制度を拡充いたします。
 具体的には、国、都及び区市町村の三者の補助事業について、都の補助率をふやすとともに、区市町村の負担がない場合でも都費を充当して事業を行うことができるよう、制度を充実いたします。
 また、医療、介護サービスの事業所と連携する場合は、現行の国の直接補助に、区市町村の同意を得た上で、都が国と同額を加算するよう制度の拡充を図ることといたしました。
 事業を進めるに当たっては、地元の区市町村と十分連携し、ケアつき住まいの供給促進に取り組んでまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京港海岸保全施設の整備計画についてでございますが、新たな計画では、東京都防災会議が想定した最大級の地震が発生した場合においても、津波による浸水を防ぐよう防潮堤等の耐震対策を実施するとともに、水門、排水機場の電気、機械設備が浸水しないよう耐水対策を実施してまいります。
 具体的には、防潮堤及び内部護岸約四十三キロメートルについて、水辺環境にも配慮しながら耐震対策を行ってまいります。また、水門及び排水機場十六施設の耐震、耐水対策なども行ってまいります。
 さらに、高潮対策センターの二拠点化を進めるとともに、陸こうの削減等により、安全性の向上にも取り組んでまいります。
 概算総事業費は、計画十年間で約千五百億円を見込んでおります。
 今後、最大級の地震や台風に備え、水害から都民の生命、財産、首都東京の中枢機能を守るため、本整備計画に基づき、早急に事業を推進し、防災力を強化してまいります。
 次に、青海地区北側の開発についてでございますが、臨海副都心のMICE、国際観光機能の充実に当たっては、都心に残された貴重な開発用地である青海地区北側の十四ヘクタールの土地をいかに有効に活用して開発するかが重要でございます。
 開発に当たっては、会議場や展示場などのMICE機能と集客力のある国際観光機能の双方を充実させ、その相乗効果を最大限に発揮できる複合的なMICE拠点の実現を目指してまいります。
 そのためには、従来のような区画ごとの募集だけではなく、民間の創意工夫をより一層生かせるよう、まとまった区画を一体的に開発する進出事業者の誘致も検討するなど、より効果的な開発に努めてまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の再構築の取り組みについてでございますが、高度成長期に集中整備した管の老朽化が進んでおります。
 このため、アセットマネジメント手法を本格的に導入し、予防保全型の維持管理により、法定耐用年数より三十年延命化して、経済的な耐用年数八十年程度で再構築するとともに、中長期的な事業の平準化を図りつつ、計画的に再構築を進めてまいります。
 また、道路を掘らずに下水を流したままで、管の内側から補強する更生工法をこれまで以上に活用してまいります。
 これらにより、これまでと同程度の事業費で整備ペースを約二倍にアップし、整備年代の古い都心部について、平成四十一年度までの再構築の完了を目指してまいります。
 次に、下水道管の耐震化の取り組みについてでございます。
 震災時においてもトイレ機能を確保するため、避難所や災害拠点病院などから優先的に下水道管の耐震化を実施しており、対象とする約二千五百カ所を、計画を前倒しし来年度完了いたします。
 今後は、東日本大震災の状況を踏まえ、対策を拡大してまいります。
 具体的には、帰宅困難者が滞留するターミナル駅や、災害復旧の拠点となる国や都の庁舎など約一千カ所へと対象を拡大し、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度までの完了を目指します。
 このうち、ターミナル駅約四十カ所については、平成二十五年度からの三カ年で実施してまいります。
 また、発災時に多くの人がビル内等にとどまる地区内残留地区においても、優先度を定めて対策を実施してまいります。
 次に、水再生センター等の耐震、耐水化についてございますが、耐震化については、想定される最大級の地震動に対し、水をくみ上げる揚水、簡易処理及び消毒など、震災時においても必ず確保すべき機能について、九十八カ所を対象に、平成三十一年度までに対策を完了してまいります。
 耐水化につきましては、電気設備などの浸水を防ぐため、建物の出入り口など開口部の水密化について、最大津波高さより地盤が低い三十四カ所を対象に、平成二十八年度末までに対策を完了してまいります。
 また、津波の下水道管内への逆流を防ぐ高潮防潮扉の操作については、下水道管内に敷設している光ファイバー通信網を活用するなど、遠方制御による自動化を図り、閉鎖の迅速性、安全性を確保することとし、平成二十八年度末までに対策を完了してまいります。
 今後とも、下水道施設の震災対策の強化や再構築のスピードアップにより、安全・安心な東京の実現に貢献してまいります。
   〔交通局長中村靖君登壇〕

〇交通局長(中村靖君) 都営地下鉄の安全対策についてでございますが、耐震対策につきましては、これまでに阪神・淡路大震災を受けて国が定めた基準に基づく対策は、すべて完了しております。
 さらに、東日本大震災での教訓を踏まえまして、運行の早期再開の観点から国の方針に先駆けて、一歩進んだ対策に取り組むことといたしました。
 具体的には、高架部の橋脚や地下鉄の中柱など約三千八百本について、東京都地域防災計画で想定した大地震が発生しても、大きな損傷を受けることなく機能を保持できるよう補強工事を実施いたします。
 次に、トンネルの老朽化対策につきましては、法令に基づく目視や打音による定期検査に加え、独自に頻度を高めた点検や補修などを行っております。
 一方、開業から相当期間が経過したトンネルもあることから、予防保全型の管理手法を導入し、長寿命化を計画的に進めることが重要であると考え、浅草線に続き来年度から三田線においても、剥落及び漏水対策などの大規模修繕工事を開始いたします。
 これらの対策を、新たに策定した経営計画に基づき着実に実施し、より安全・安心な地下鉄を目指してまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 豊洲新市場の整備についてでございますが、築地市場は、ご指摘のとおり施設の老朽化が著しいため、市場の機能維持については、施設点検の箇所や回数を増加させてふぐあい箇所の早期発見に努めるとともに、必要な保全対策を行うことにより、新市場に移転するまでの間、支障なく市場が運営できるよう全力を尽くしてまいります。
 豊洲新市場は、土壌汚染対策工事に万全を期すために延伸しました時間を有効に活用して、温度管理が可能な閉鎖型施設や十分な駐車、荷さばきスペースなど、ハード面の整備とあわせて高度な衛生管理の実現や場内物流の効率化など、ソフト面の検討も進めてまいります。
 また、円滑な移転を実現するため、業界と連携して財務、業務の側面から移転準備を促進する指導助言を行うなど、支援の一層の充実を図ってまいります。
 生鮮食料品の安定供給という卸売市場としての機能を十分に発揮するとともに、都民や市場関係者の期待に十分こたえ得る競争力を備えた首都圏の基幹市場として、また、国際的にも通用する市場として、豊洲新市場を着実に整備してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市の実現についてでございますが、これからの都市づくりに当たりましては、あらゆる主体においてエネルギー使用の見える化を図り、需給の最適な制御を行うエネルギーマネジメントの推進が必要でございます。
 家庭の電力需要の管理を行うHEMSを中核に、燃料電池等を活用するスマートハウスの導入も始まっております。
 こうしたスマートハウスは、二〇二〇年に現在の約二・五倍の三兆六千億円を超える市場拡大が見込まれるなど、新たな技術開発の進展や大きなビジネスチャンスを生み出す成長産業としても期待が高いものでございます。
 都は、初期費用の軽減を図るため、燃料電池等の設備導入への補助制度を創設し、家庭におけるエネルギー利用の効率化と市場活性化の双方を後押ししてまいります。
 一方、オフィスビルにおきましては、震災後、特に高度の省エネ、節電機能や自前の発電機能を備えた高機能ビルへの需要が高まるなど、その選択基準が大きく変わってきております。
 都は、この機をとらえまして、環境性能の高いコージェネレーション設備や中小テナントビルへのエネルギー管理システム、BEMSの導入を支援する制度を創設し、普及を図ってまいります。
 このように、家庭、オフィスの双方で新たな施策を展開し、東京におけるエネルギー利用の効率化、最適化を促進し、低炭素で快適性、防災力を同時に備えたスマートエネルギー都市を実現してまいります。
 次に、大規模事業所に対する総量削減義務制度についてでございますが、平成二十二年度から開始しました第一計画期間の削減義務率は、六%または八%となっておりますが、大規模事業所におきましては、義務履行に向けた対策の推進により、円滑に震災後の節電に取り組めたこともありまして、昨年度の削減実績は、平均二三%となっております。
 また、こうした大規模事業所の取り組みはその後も定着してきておりまして、九割以上の対象事業所で、第一計画期間の義務達成の見込みが立っております。
 平成二十七年度から始まる第二計画期間の義務率につきましては、対象事業者が長期的な投資計画を立てやすくするため、制度の創設当初に、見込みとして一七%と公表しております。
 事業者からは、第二計画期間まで二年余りとなり、その準備のため、早期に義務率等を確定してほしいという声もいただいているため、専門家の意見も聞きながら、今年度末に向けて検討してまいります。
 また、第二計画期間の義務履行に向けては、大規模な省エネ改修が必要な場合もあり、中小企業の所有する大規模事業所には厳しい状況もございます。
 こうした中小企業に加え、ご指摘の点につきましても、必要な配慮を早急に検討してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、金融円滑化法の終了に伴う支援策についてでございます。
 都の調査による推計では、借り入れ条件を変更中の中小企業の数は約三万社であり、このうち約一万に上る会社が経営改善計画を未策定と考えられます。こうした企業が早期に計画を策定し、経営改善を図ることが重要でございます。
 そこで都は、緊急対応として、まず、この二月から、経営改善計画の策定とその実施をサポートいたします特別相談窓口の開設や、経営の専門家を派遣する事業を拡充いたしました。
 また、この三月には、制度融資の新メニューでございます特別借りかえ融資の取り扱いを開始いたします。本制度により、複数の保証つき融資を一本化し、返済期間を延長することで、借り入れ企業の月々の返済負担の軽減を図ります。小規模の企業には、保証料の二分の一を補助する措置も講じます。
 新年度には、円滑化法終了に対応した専門家の派遣を新たに六百回分設けるとともに、そのうち資金繰りが逼迫した企業には無料の派遣も実施いたします。
 さらに、事業の抜本的な再生が必要な企業に対しましては、事業承継・再生支援強化事業により、一定期間の継続的な相談を行うなど、サポートの充実を図ってまいります。
 制度融資においても、昨年十月に新設いたしました経営力強化融資について、小規模の企業への保証料補助を開始して支援を充実いたします。
 こうした経営と金融の両面からの総合的な取り組みにより、直面する課題の克服を目指す都内中小企業の支援に万全を期してまいります。
 次に、中小企業の経営力強化についてでございます。
 中小企業の抱えるさまざまな経営課題の解決のため、新年度から、都を中心といたしまして、商工会議所や商工会に加え、中小企業団体中央会などの支援機関が協力し、新・経営力向上TOKYOプロジェクトを立ち上げ、経営診断などの支援を実施いたします。
 また、中小企業の展示会出展などをサポートいたします、目指せ中小企業経営力強化事業では、昨年十二月に、過去に助成を受けた企業も二回目の利用ができる仕組みといたしましたが、新年度は助成件数を大幅にふやし、販路開拓の支援の充実を図ってまいります。
 さらに、承継税制を含む税制改正や国の経済対策の動きについても十分に把握した上で、経営相談を的確に実施してまいります。
 こうした施策を効果的に展開し、中小企業の経営力強化を着実に進めてまいります。
 次に、成長分野での産業支援についてでございます。
 東京の産業が将来にわたる発展を実現するため、中小企業や新規の創業者が、高い成長の見込める分野で新たなビジネスや製品を数多く生み出すことが重要でございます。
 このため、都は、創業支援を行う施設同士の連携等を強化いたしますインキュベーションHUB推進プロジェクトを開始し、創業のサポートの充実を図ってまいります。
 また、連携イノベーション促進プログラムにより、中小企業が大学や研究機関の研究成果を活用し、都市課題の解決に役立つ製品を開発する取り組みに対しまして、重点的な支援を行ってまいります。
 さらに、金融機関独自のノウハウを活用し、成長分野での中小企業の資金ニーズにも対応する制度融資の新たなメニューを設けるなど、中小企業の積極的な事業展開を資金面からも支援いたします。
 こうした総合的な取り組みを通じて、成長分野の産業振興を積極的に展開してまいります。
 次に、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 これまで都は、中小企業の海外取引をサポートするため、総合的な情報提供を初め、知的財産の保護や販路の開拓に加え、海外規格に適合する製品開発など、さまざまな面から支援を行ってまいりました。
 新年度は、アジア新興国での知的財産をめぐるトラブル等に対処するため、実用新案権の取得経費を助成の対象に加えるなど、支援の充実を図ってまいります。
 また、中小企業の製品が海外の基準や規格を満たすための製品改良や認証取得などの経費への助成を開始し、負担の軽減を図ります。
 さらに、各国の貿易実務や技術動向に詳しい専門人材を確保いたしまして、相談体制の充実を図るなど、販路開拓の支援の強化を行います。
 こうした取り組みを総合的に展開し、海外市場を目指す中小企業を強力に支援してまいります。
 次に、商店街の振興についてでございます。
 商店街は、地域の買い物客に日常生活で必要な商品などを提供する商業活動の拠点であるとともに、住民が安心して日々の暮らしを送るための地域コミュニティの核として重要な役割を果たしています。
 このため、都は、地域ににぎわいを創出するイベントや、都の重要課題の解決に役立つ取り組みの支援に向け、新・元気を出せ商店街事業を初め、さまざまな商店街振興施策の充実を図ってまいりました。
 新年度は、節電やCO2の排出抑制に向け、街路灯にLEDランプを導入する取り組みや、行政区域を超え、商店街が協力して行う事業などの支援を充実してまいります。
 今後とも、商店街の意欲あふれる多様な取り組みを的確に支援してまいります。
 次に、中小企業の人材確保についてでございます。
 労働力の減少が見込まれる中、効果的な雇用就業施策を実施することは、産業振興を図る上からも極めて重要な課題でございます。
 このため、都は、これまでも東京しごとセンターでのきめ細かい就業支援を初め、女性の再就職のサポートや仕事と家庭の両立支援、産業の動向に即した職業訓練の実施など、さまざまな施策を展開してまいりました。
 今回の答申も踏まえ、来年度から、若者を対象に研修と企業での派遣就労を組み合わせたこれまでの就業支援施策を再構築いたしまして、その実施規模を拡大するとともに、新たに民間情報サイトを活用したマッチング事業を展開いたします。
 また、雇用環境の整備に自主的に取り組む中小企業に対し、業界団体等を通じた助成事業を新たに開始するほか、国の補助制度では対象とならない企業内訓練について、都独自の助成制度を創設することといたします。
 こうした取り組みを通じ、中小企業の人材確保を強力に支援し、東京の活力の維持と向上を実現してまいります。
 最後に、今後の農業振興についてでございます。
 ご指摘のとおり、農業の産業としての力を高め、農地の保全を図ることは、今後、東京の農業を振興していく上で重要なポイントであり、都としても積極的な施策展開を図ってまいります。
 このため、新年度から、農業経営をソフト面でサポートいたします東京農業の産業力強化支援事業を開始し、収益性の向上や農業経営の多角化等に取り組む農業者のニーズに対応して、経営や流通に加えまして、食品加工等の専門家を派遣するなどの支援により、東京農業の産業力を強化してまいります。
 また、農業者と地域住民等による農地の保全をサポートいたします農業・農地を活かしたまちづくり事業について、より小規模なエリアでも事業の実施が可能となる仕組みといたします。これにより、農道や農業用水を活用した散策路を整備するなど、農地の多面的機能を一層発揮させることで、その保全を効果的に実現してまいります。
 さらに、多摩や島しょ地域において、遊休農地の再生を図るなど、その利活用の促進を図る取り組みも充実いたします。
 今後、こうした取り組みを総合的に展開することで、東京農業が持つ潜在力を最大限に引き出し、着実な振興を図ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害医療体制の整備についてでありますが、今回の保健医療計画の改定では、災害医療体制の充実を重点課題の一つに位置づけ、施策目標として災害医療コーディネーターを中心とする情報連絡体制の強化、医療機関ごとの役割分担の明確化と受け入れ体制の確保、東京DMATの体制強化などを盛り込んだところでございます。
 改定計画に基づき、まず、来年度は重症者の医療を担う災害拠点病院を五カ所追加して七十五施設に拡充するほか、中等症者を受け入れる災害拠点連携病院を新たに指定し、負傷者の受け入れ体制の充実を図ってまいります。
 また、産科や透析等の専門医療を提供する診療所に対し、自家発電装置の整備を都独自に支援してまいります。
 今後、こうした取り組みを一層進め、区市町村や関係機関とも連携しながら災害医療体制の強化を図ってまいります。
 次に、保健医療計画における精神疾患への取り組みについてでありますが、精神疾患は発症や病状の変化に気づきにくく、対人関係など生活面の障害と疾病が共存する特性がございます。
 そのため、患者を地域で支える社会を実現していくためには、一般診療科と精神科の連携、地域の関係機関の連携、医療と保健福祉の連携の三つの連携が重要であります。
 こうした考え方のもとに、今回の保健医療計画では、日常診療体制の構築、精神科救急医療提供体制の安定的な確保、地域生活支援の取り組みの推進を三つの柱に位置づけ、精神疾患の医療体制を整備することといたしました。
 今後、かかりつけ医と精神科医による合同症例検討会の開催、精神科医療機関と救急医療機関との連携の強化、関係機関が連携した地域移行、地域定着への支援などに取り組み、地域での体制づくりを進めてまいります。
 次に、東京都がん対策推進計画の改定についてでありますが、今回の計画改定では、これまでの施策の成果や、がんを取り巻く状況の変化、都の特性等を十分踏まえながら、予防、早期発見、健康教育の推進、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録と研究の推進を施策の柱に据えたところでございます。
 具体的な取り組みでは、地域の中で安心して緩和ケアを受けられる体制の整備、小児がん診療連携ネットワークによる高度な医療の提供、がんポータルサイトによる総合的な情報の発信、就労を含めた相談支援体制の強化など、新たな施策を盛り込んでおります。
 今後、がんになっても自分らしく生活できる社会の構築に向け、都民や関係機関等と一体となって実効性ある施策を展開し、東京都のがん対策を一層推進してまいります。
 次に、高齢者の見守り活動の充実についてでありますが、お話のように、現在、区市町村は民生委員や町会、自治会、NPO法人、ライフライン事業者等と連携しながら、さまざまな高齢者の見守り活動を行っております。
 都は、こうした取り組みを包括補助により支援するとともに、シルバー交番設置事業により地域の高齢者を見守る拠点の充実を図ってまいりました。また、今年度は、見守りの関係者会議を開催し、現在、具体的かつ効果的な見守り手法を盛り込んだ見守りの手引を取りまとめているところでございます。
 来年度は、地域の住民が高齢者を日常的に見守る、見守りサポーターの養成についても新たに区市町村を支援することとしており、見守りの手引も活用しながら、区市町村と連携し、地域資源を活用した高齢者の見守り体制の一層の充実を図ってまいります。
 次に、保育サービスの拡充についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が認可保育所や認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、さまざまな保育サービスの整備を進められるよう、安心こども基金の活用に加え、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減する都独自の支援策を実施しているところでございます。
 来年度は、こうした取り組みを進めるとともに、区市町村が地域の特性を踏まえ保育サービスをさらに拡充できるよう、空き家や空き店舗など既存の資源を活用した小規模保育に対しても新たに補助を行ってまいります。
 また、区市町村が実施する障害児保育や食育などの専門性の向上を図る研修に加え、保育施設が人材定着のため独自に行う研修を新たに支援するなど、保育人材の確保、育成に向けた取り組みを充実してまいります。
 最後に、施設入所者の地域生活への移行についてでありますが、お話のとおり、都はこれまで、グループホームなど障害者の地域生活基盤の整備を進めるとともに、地域生活に移行した障害者に対してグループホーム等が行う相談援助等について、包括補助により支援してまいりました。
 また、本人や家族、区市町村、施設職員を対象にした地域移行の取り組み事例を紹介するセミナーを実施し、現在、支援者向けマニュアルを作成しているところでございます。
 こうした取り組みに加え、来年度は、都独自に地域移行促進コーディネーターを入所施設十カ所に配置いたします。
 コーディネーターは、入所者の状況や希望を踏まえ、移行経験を聞く場やグループホーム等での生活を体験する機会を提供するとともに、区市町村や相談支援事業者と連携して地域生活に必要なサービスにつなげる等、支援体制づくりを進めることとしております。
 今後も、施設入所者が安心して地域移行できるよう、本人や家族への支援を充実してまいります。
   〔病院経営本部長塚田祐次君登壇〕

〇病院経営本部長(塚田祐次君) 都立病院の次期計画の基本的な考え方についてでありますが、これまで都立病院は、都民の安全・安心を支える質の高い患者中心の医療を実現するため、大規模な再編整備等による医療機能の強化を図り、都における良質な医療サービスの確保に取り組んでまいりました。
 次期計画では、これまでの改革の成果を最大限活用し、医療の質と患者サービスの向上、都立病院を支える人材の確保と資質の向上、迅速で的確な危機管理体制の強化及び経営力の強化を四つの柱として、これまで以上に質の向上を図ります。
 具体的には、医療環境の変化に対応した東京ERの機能強化、周産期、小児医療の充実強化などに加え、各都立病院において患者支援体制の充実を図り、区市町村や在宅医療機関である地域の医療機関等との協働を推進するなど、都民の医療ニーズに的確に対応してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都スポーツ推進計画についてでございます。
 お話のとおり、ことしは一月の冬季国体から重要なスポーツ関連イベントが続くスポーツイヤーでございまして、東京のスポーツをさらに推進する好機でございます。
 このため、都では、東京都スポーツ推進計画を策定し、世界トップレベルのスポーツ実施率七〇%という、さらに高い目標を設定してさまざまな施策を推進してまいります。
 主な取り組みとしては、ソーシャルネットワーキングサービスの積極的な活用を初めとしたスポーツ関連情報の発信強化などを通じて、気軽に多様なスポーツが楽しめる環境づくりを進めます。
 また、高齢者のスポーツ活動への支援や障害者スポーツの場の開拓を進めるほか、ジュニア層に対しては多様な競技の体験を通じて新たな才能を発掘し、短期間でトップクラスに育てるトップアスリート発掘・育成事業を拡充するなど、幅広い競技で競技力を向上してまいります。
 さらに、日本の首都として、スポーツを通じて被災地の復興を牽引し、我が国の復興の過程や復興後の姿を世界に発信してまいります。
 このような取り組みを通じて、スポーツの力により、東京だけでなく日本全体の活性化に寄与してまいります。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
 この大会は、国内最大のスポーツの祭典として、都内六十二すべての区市町村で競技を実施いたします。トップアスリートが活躍する姿や、障害のある人がスポーツに打ち込む姿を身近な地域で多くの都民に観戦していただき、スポーツのすばらしさや楽しさを実感できるような大会といたします。
 さらに、都民が競技に参加できるデモンストレーションとしてのスポーツ行事を五十七行事、全国障害者スポーツ大会のオープン競技を十七競技と過去最大規模で実施することにより、さまざまなスポーツに親しみ、スポーツのすそ野を広げる契機としてまいります。
 また、全国から訪れる選手、監督、観客の皆様を地域を挙げて温かくお迎えし、多摩・島しょを初めとする東京の多様な魅力を全国に発信してまいります。
 スポーツ祭東京二〇一三の成功に向け、区市町村とも連携し、開催準備に万全を期してまいります。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致についてでございます。
 都議会のご協力を得て、全国の招致決議や百五十万もの署名が集まるなど、招致機運は高まってきておりまして、ことし一月には支持率は七三%になっております。しかし、油断することなく、招致獲得までさらに国内の支持拡大に全力で取り組んでまいります。
 同時に、本年一月の立候補ファイル提出後、国際招致活動が解禁となりました。立候補ファイルには、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるコンパクトな会場配置、世界有数のインフラ、洗練された都市としての魅力など、東京の強みを数多く盛り込んでおります。
 来月初めのIOC評価委員会訪問では、プレゼンテーションや質疑応答等により、こうした東京の開催計画の優位性と運営能力の高さに関する理解を得ていくとともに、シティードレッシングなどによりまして歓迎ムードを創出することで、おもてなしの心を最大限アピールしてまいります。
 その後も、都や招致委員会はもとより、JOCを初めとしたスポーツ界や国、経済界、国家の総力を挙げて、さまざまな国際会議など、あらゆる機会をとらえて東京、日本の強みをアピールし、九月のIOC総会での招致獲得を目指します。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時八分休憩

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