平成二十五年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

〇百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、当面する都政の主要課題について、猪瀬新知事並びに関係局長に伺います。
 まず初めに、都政運営について伺います。
 猪瀬知事は、選挙公約において、自助、共助、公助で一人一人が輝く首都をという理念を掲げ当選されました。また、猪瀬知事が選挙戦で掲げた、強者が弱者を、余裕のある人がない人を助ける、女性が働きやすい職場をつくる、互いに助け合う東京をみんなでつくろうというメッセージは、私たち民主党が掲げる生活者、消費者、働く者の立場に立った公平公正な社会の実現という目標と軌を一にするものであり、今後の取り組みに大いに期待するものです。
 しかし、一方で、猪瀬知事になって初めて策定された「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三は、時間的な制約もあり、これまでの「二〇二〇年の東京」に一部猪瀬カラーともいえる施策が加わったものの、猪瀬新知事の基本理念を総合的に示す体系的なものになっているとはいえません。
 そこで、私は、東京都の新しい知事として、より幅広い視点から東京の将来像を示していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、平成二十五年度予算案について伺います。
 猪瀬知事のもとで最初に編成された平成二十五年度予算案については、総じて東京都の不安定な税収構造と将来の財政負担を考慮した堅実な予算案であると考えます。猪瀬知事は、国を動かし、民間活力を引き出しながら、新たな東京モデルを発信していく予算案だと述べていますが、公約で掲げていた南鳥島近海の資源開発に関する予算は見られず、電力エネルギー改革でも、仕組みの検討や導入の可能性の調査にとどまるなど、平成二十五年度予算案ではその苗を植えたという段階で、今後の取り組みが期待されるところです。
 そこで、猪瀬知事は、今回の予算案を通じてどのように国を動かし、民間の活力を引き出しながら新たな東京モデルを発信していくつもりなのか、今後の取り組みも含めて見解をお伺いいたします。
 次に、地方分権改革について伺います。
 安倍政権は、緊急経済対策の中で一括交付金を廃止し、ひもつき補助金を復活させる方針を打ち出すなど、地方分権改革に逆行し、中央政府による地方支配を進めようとしています。特に地方公務員の給与削減問題では、これまで国以上に削減してきた自治体の努力に何ら配慮をしておりません。このような地方交付税を盾に一方的に強要するような政府の姿勢は、断じて容認できません。
 私は、保育所の面積基準やハローワークの移管といった問題にとどまらず、より幅広い視点から地方分権改革に積極的に取り組んでいくべきだと考えます。地方分権改革推進委員の一員として中央官僚体制とも戦ってきた猪瀬知事は、地方分権改革に向けてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 また、法人事業税の暫定措置の撤廃も都政にとって大きな課題です。石原前知事と当時の福田首相とによる地方税の原則を無視した合意により、東京都は平成二十五年度までの間に、累計で約八千億円もの減収を余儀なくされています。
 私たち都議会民主党は、この間、東京都とも連携しながら、暫定措置の撤回に向けて積極的に取り組み、社会保障・税一体改革関連法において抜本的に見直しを行うことを明記させました。猪瀬知事としても、前任者として暫定措置を受け入れ現在国会議員となっている石原慎太郎氏の協力も得て、自民党、公明党に働きかけるなど、暫定措置を撤回し、地方税財源全体を充実強化させるために積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、尖閣諸島活用基金条例についてお伺いをいたします。
 同条例は、東京都尖閣諸島寄附金として寄せられた都民等の意思を受け、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とするため、地方自治法の規定に基づき設置をされるものです。これらの寄附金は、昨年の石原前知事の沖縄県尖閣諸島購入発言を受けた、当時副知事であった猪瀬知事のまさにつぶやきを契機として、尖閣諸島の購入、活用のために、都民、国民より寄せられたものです。この間、自治体東京都がどこまでをその所管とするのか、その基本的役割を問われていますが、幸いにして民主党政権による昨年九月の国有化により、都が購入するのではなく、本来の役割である国が購入することになり、その活用もまた国による取り組みが求められるものです。
 一方、猪瀬知事は、知事選挙における公約において、南鳥島近海のレアアース資源開発を支援しますともされました。尖閣諸島の問題を含めて、東京都の基本的役割について、猪瀬知事はどのようにお考えなのか、その基本的見解をお伺いいたします。
 本条例案では、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とするため、その全部または一部を処分することができるとされています。基金に積み立てるに当たって、寄附金を厳格に管理することもその要因の一つになっています。そうであるならば、当然のこととして、その処分もまた厳格に判断をされなければなりません。
 都は、この処分の対象として、国によるどのような取り組みを想定されているのか、どのような事業をもって活用と評価をされるのか、見解をお伺いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
 昨年十一月、東京都地域防災計画が修正されました。この計画では、東京を高度防災都市に生まれ変わらせるため、四十七の減災目標を、二〇二〇年のオリンピック開催年、もしくは十年後までに達成するとしています。知事も、東日本大震災の問題が起きて、東京の安全・安心ということがもう一度強く求められていると述べています。
 自助の備えを講じている都民の割合を一〇〇%に到達させる目標に対して、都民は防災訓練や災害時要援護者の把握など、共助活動を都内各所で行っています。一方、昨年の都民世論調査では、震災を受け、自宅の耐震化や耐震診断の実施をした人は七・七%、地域の防災活動に参加をしている人は一五・七%にとどまり、同じ都民でも防災に備える取り組みがいまだ十分でない人たちも見受けられます。
 知事は、その突破力、解決力によって、公助である社会インフラの耐震、耐水化などの目標を着実に達成するとともに、都民が自助の意識を高めて、災害に備え、助け合う共助を推進していくことをいかに後押しして、安全・安心の東京をつくり上げていくのでしょうか。見解をお伺いいたします。
 次に、広域応急体制の構築について伺います。
 昨年四月、東京都防災会議は被害想定を見直し、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が広範囲に発生するとした首都直下地震等による東京の被害想定を発表しました。国では、平成十六年に、東京湾北部地震によって、特に東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県、三十から四十キロメートル圏の南関東地域で、死者一万一千人、全壊、焼失棟数八十五万棟、経済被害百十二兆円などの大きな被害が出ると想定をしております。そして現在、最新の科学的知見に基づいた首都直下地震の新たな被害想定を検討しています。
 これらを踏まえ、首都直下地震による膨大な被害、障害物、危険物を想定して、平常時から自衛隊や他県の警察、消防、各ブロック知事会、関西広域連合などによる陸海空から応援をいかに受け入れ、発災後七十二時間以内にいかに被災者の保護を図っていくのか、その対策を構築していかなければなりません。
 都は、国や被災想定自治体、応援関係機関と連携して、広域応急体制をシミュレートし、首都直下地震に備えることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、立川断層帯地震についてお伺いをいたします。
 この断層帯については、殊さら立川が強調されますが、正確には、関東山地東部埼玉県飯能市の名栗断層と武蔵野台地西部の東京都青梅市から府中市へと至る立川断層から成る活断層です。立川が強調される余り、風評被害に困惑し、地域住民からは名称を変えてほしいとの声も上がっておりますが、本断層帯の最新活動時期は約二万年前から一万三千年前と考えられています。
 地震調査委員会は、約二千あると推定される全国の活断層のうち、百十の主要活断層帯について震災後の影響を評価し、立川断層帯など五つの断層について地震発生確率が高くなっている可能性を発表しました。
 そこで、今年度から三年間かけて、東大地震研究所や首都大学などが立川断層帯の現地調査を行い、その後、国が調査評価を行います。私たちはこの調査結果を冷静に見きわめるとともに、災害に備えていくことが重要と考えます。
 都としては、この調査で解明する地殻構造や活動履歴、強震動予測などといった基礎資料に基づいて、立川断層帯地震の被害像の把握に努め、防災対策に生かしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、防災対策工事における都民意識の向上について伺います。
 新たな首都直下地震等による被害想定では、都内河川、港湾の水門、堤防が万一破損すると、電気、機械設備が浸水するおそれがあるとしています。そこで、都は河川堤防、海岸保全施設、下水道施設などの地震、津波に伴う水害対策の整備計画を策定しました。現在、大田区昭和島の森ヶ崎水再生センターでは、塩素接触槽の耐震対策を行っています。また、東京港の高潮対策センターでは、平成二十七年度の新センター稼働による二拠点化を目指し、防潮堤の補強なども行います。
 また、東日本大震災から間もなく二年が経過し、東京で防災の意識が少しずつ薄れいく中で、都が行う耐震、耐水工事において、例えば、防災教育を推進するため、地元小中学校などを対象とした現場見学会を行うことや、お知らせビラなど、地域住民への丁寧な対応など、これまで以上に都民の防災意識の向上を図る必要があるのではないでしょうか。
 東部低地帯や沿岸部において、河川施設などの耐震、耐水対策を推進する中での都民の防災意識の向上について、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都内避難者対策について伺います。
 東日本大震災からの復興への取り組みが進められていますが、今なお三十一万五千人の方々が全国自治体に避難しています。今後もこうした方々を国、都道府県や受け入れ自治体と被災自治体が連携して支えていかなければなりません。
 先月、東雲住宅において、福島から避難されていた男性が死後一カ月たってから発見されました。国は、都とともに、長期化する広域避難者の孤立化防止に引き続き努めていくべきです。
 そこで、都は、故郷から遠く離れた東日本大震災からの都内避難者の支援体制を点検し、再度、孤立死が起こらないような取り組みを行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都の事前復興について伺います。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験から学んだ課題は、日本全体、首都東京の課題でもあります。都は、被災地派遣職員の皆さんの現場経験を踏まえ、震災の教訓などを整理し、震災前における復興検討、事前復興に生かすべきと考えます。
 今回の東日本大震災では、断熱性能が悪い仮設住宅への対応として、戸建ても含めた木造仮設住宅が地場産業によって建てられたことや、中小企業の公的支援が、阪神・淡路大震災時には融資かもしくは利子補給だったものが、施設復旧費用の四分の三を国の補助金が受けられるようになるなど、被災者目線による復興支援制度の改善が図られたケースが出てきています。
 阪神・淡路大震災のその後の復興や東日本大震災の復興状況を受け、首都直下地震に備える都の事前復興の取り組みを見直すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、特別区の消防団活動についてお尋ねいたします。
 一昨年発生した東日本大震災発生時において、地元消防団員は、みずからも被災者であるにもかかわらず、だれよりも先に災害現場に駆けつけ、人命救助活動を行いました。一方で、多くの消防団員が犠牲となったことも記憶に新しいところです。
 国の総務省消防庁においては、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会を設置し、昨年八月には、装備資機材の充実や消防団員の惨事ストレス対策などの提言をまとめました。
 私たちも、昨年の第三回定例会において、消防団員を地域に最も身近な防災の担い手と位置づけ、消防団活動を強化すべきであると求めました。
 首都直下地震の発生が危惧される中、特別区の消防団員への期待はますます高まっており、特別区消防団員が震災時等の大規模災害時に効果的に消火、救助活動等を行うためには、木造住宅密集地域や津波による浸水など、地域特性に応じた災害に対応することも必要だと考えます。
 東京都においては、特別区ごとに設置されている特別区消防団運営委員会において、東日本大震災を踏まえ、地域特性に応じた即時性の高い消防団活動についてを諮問事項とし、我々も各区で審議を重ねてまいりました。
 そこで、特別区消防団運営委員会の答申を踏まえた東京消防庁の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、高度防災まちづくりについて伺います。
 これまで木造密集地域の不燃化について、多くの区が取り組みを進めてきましたが、合意形成に長い年月を要してきました。
 今般、その取り組みを加速化するための不燃化特区制度案が公表されました。いつ起こってもおかしくないといわれる首都直下地震に備え、格段にスピードアップして不燃化を進めようというこの特区案には、安全なまちづくり、住民負担の軽減や事業期間の短縮などに向けたさまざまな推進方策が盛り込まれました。この特区制度を活用して不燃化に取り組むためには、道路用地や種地確保、空き家の除去一つにも、限られた期間内で費用はもちろんのこと、交渉、調整の手間暇が通常時の何倍もかかることになります。
 密集市街地整備事業では非常に長い年月を要している地区が多く、中には所期の成果を上げる前に事業を完了させてしまう事例も出ているといわれています。既に都民からは、十年以内に終了させようという意欲的な目標に対して、十年で完了できなかった場合どうなってしまうのか、引き続き支援は受けられるのかといった声も聞かれています。こうした不安を払拭し、しっかりと事業をやり切っていけるよう、強力に推進をしていただきたいと考えます。
 先行実施地区として手を挙げ、選定された十二地区に加えて、今後五十地区に拡大していくとのことですが、着実かつ加速化した取り組みを推進するため、都は区の支援をどのように行うのか、お伺いをいたします。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物耐震化についてお伺いをいたします。
 都議会民主党は、耐震化施策は原則として地域を限定せずに実施すべきだと考えており、これまでも繰り返し、耐震化にかかわる助成は都全域を対象として行うべきと主張してきました。ただ、中でも特に集中的に取り組む方策として、耐震化推進条例に基づく特定緊急輸送道路沿道建築物耐震診断の義務化と建物所有者の実質負担ゼロ化については、かねてより私たちが求めてきたことでもあり、都が所有者負担の原則を大転換したものとして一定の評価をしたところです。
 緊急輸送道路はいわば東京の大動脈であり、輸送ネットワークを保持するため、道路閉塞が許されない重要な道路です。都は特定沿道建築物の耐震診断を平成二十五年度で完了し、三年後には緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を完了するとしています。耐震性が不足する建物を残さないよう、耐震化の取り組みを強化する必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、エネルギー戦略について伺います。
 東京全体でのエネルギーマネジメントを実現するためには、まずはオフィスビルや家庭向けのエネルギー管理を最適化するエネルギーマネジメントシステムの導入を進めることが必要です。東京都は、平成二十五年度予算案において、スマートエネルギー都市推進事業として、ホームエネルギーマネジメントシステムやビルディングエネルギーマネジメントシステムの導入を条件として、コージェネレーションや蓄電池、電気自動車等を用いて蓄電するビークル・ツー・ホームシステム等への補助を盛り込みました。
 「二〇二〇年の東京」アクションプログラムでは、三年後の到達目標として、創エネルギー、エネルギーマネジメント機器の普及拡大、オフィスビルにおけるエネルギーマネジメントの普及等を掲げています。本事業ができる限り活用され、普及が進むよう十分な配慮が必要と考えますが、本事業のねらいと具体的な仕組みについてお伺いをいたします。
 さらに、個々のエネルギーマネジメントシステムの普及に加えて、それぞれを階層的に束ねることで、単位ごとの管理を行えるようにすることはもちろん、地域のデマンドレスポンスによってピークカットに取り組む地域エネルギーマネジメントの普及拡大が必要です。都はこの点について、二十四年度に大規模なオフィスビル集積地域への適用可能性について予算をつけ、既に大・丸・有地区で実現可能性調査を行っています。
 消費電力量も多く、まとまって取り組めるオフィスビル集積地域において、再開発や都市再生にあわせて取り組むことは、事業効率もよく、都市部のモデルづくりとなります。また、低炭素化の推進という従来からの課題に加えて、エネルギーの安定確保による高度防災都市実現に向けての取り組みとしても評価するものです。
 私は、これに加え、東京全体のエネルギーの安定確保の観点から、都心のビル群だけではなく、マンションや多摩の住宅街などさまざまな地域においても、地域ごとの特色に応じた取り組みを誘導すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 東京都は二〇二〇年の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年比で二五%削減することを目標に掲げており、さまざまな地球温暖化対策を実施しています。都庁自身も、温室効果ガス削減都庁率先行動計画を策定し、積極的に取り組んでおります。
 しかし、まだまだ公有施設等には、再生可能エネルギーを導入する余地があるのではないでしょうか。みずから初期投資を行って再エネ機器を設置する方法のほか、例えば屋根を太陽光発電のために民間事業者などに貸し出す屋根貸しは、既に全国で幾つかの自治体が有償または無償で行っています。民間の屋根だけでなく、都有施設や公営企業の施設、市区町村保有の施設、あるいは公民館や保育園などでも積極的に行っていくことが可能です。
 小水力発電も、マイクロ水力と呼ばれる出力百キロワット以下のものもあり、市町村が持つ施設においても、より積極的に太陽光、熱利用や小水力発電を導入していくことが可能です。さらには、廃棄物発電も、固定価格買い取り制度の対象となったことから、廃棄物発電の高効率化を図ることでも、未利用エネルギーの活用と温室効果ガス削減等により、環境負荷を低減することができます。
 環境負荷を低減するため、公有施設等においては率先してあらゆる場面で再生可能エネルギー、未利用エネルギー導入を促進していく必要があると考えますが、改めて見解をお伺いいたします。
 都は、「二〇二〇年の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない、最先端の低炭素都市を実現し、二〇二〇年の姿として、最先端の環境技術を駆使しながら、カーボンマイナスを東京全体で展開、都市づくりにおけるエネルギーマネジメントが普及、エネルギー需要の最適制御と再生可能、未利用エネルギーの利用が進んでいるという未来図を示しました。また、一月に発表されたアクションプログラムでは、太陽エネルギーなど再生可能エネルギーの普及拡大やスマートシティーの実現に向けた取り組みとして、家庭やオフィスビル等のエネルギーマネジメントシステムの普及に向けた取り組みを掲げています。
 知事が力を入れて進めている電力の供給側である電力システム改革については、たびたびその取り組み、意欲が発信されております。しかし、低炭素社会の実現に向けて電力の安定供給を確保し、都全体でのエネルギー需給の最適な制御を行うには、エネルギーの供給を受ける側、需要側の施策についても政策を進化させることが必要と考えますが、知事の決意をお伺いいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 脱デフレに向け、安倍政権は物価ターゲットの金融緩和方針を決め、市場は期待感から株価上昇となり、輸出企業で業績が回復しています。一方、円安は灯油やガソリン、食品などの生活必需品、電気料金の大幅な引き上げにつながり、被災地を初めとして国民生活、事業者に負担の増大をもたらしています。
 国内の消費者物価を押し下げている要因の一つには、新興国企業との相対的な競争力低下によって、テレビやパソコン、冷蔵庫などの製品価格を値下げせざるを得なくなったこともあり、金融緩和策だけでは現状を改善することができません。国は、規制改革や現実的な成長戦略に沿って、企業の生産性、創造性を高め、内外の需要を取り込む必要があります。
 都では、外資系企業五百社を誘致するアジアヘッドクオーター特区の取り組みを始めています。特区推進においては、野田前首相とオバマ大統領が合意した日米入国審査手続簡素化を今後実現するなど、国は外国から優秀な人材を集め、海外進出企業が国内立地を考えるようなビジネス環境、産業競争力の改善に向けた税制改革や規制緩和を大胆に進めていかなければなりません。そして、都はこうした取り組みを着実に東京の産業振興に結びつけていくことが不可欠です。
 知事は、今後、東京を輝く国際都市とするとしていますが、外国企業の誘致促進を含め、成長産業の育成や中小企業のイノベーションなどの産業振興をどう図っていくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、成長産業支援の強化について伺います。
 企業成長には、新たな市場への販路戦略が重要です。日本企業は世界各国において商品特許や商標登録を進め、技術貿易収支を伸ばしています。例えば大手電機メーカーは、南アメリカ地域に合った冷蔵庫を売り出すため、現地の家庭を回って、必要な性能や使い勝手、先行する他企業製品の研究を行うなど、顧客志向の製品開発に取り組んでいます。
 中小企業においても、新製品や主力商品を海外へ売り込むためには、海外市場を熟知して行わなければなりません。産業力強化には、国際化に向けた中小企業に対する知財戦略や販路開拓など、専門性の高い経営支援がより重要になると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、中小企業金融円滑化法終了に伴う課題について、二点お伺いをいたします。
 金融円滑化法終了後の中小企業への支援について、私たちはかねてから、金融支援とともに専門家による財務面での対策、事業譲渡や会社の分割など、多様な手法を活用した支援を行っていくべきと主張してきました。現在、金融円滑化法の終了を踏まえ、東京都中小企業再生支援協議会や東京都事業引継ぎ支援センター、都中小企業振興公社などが経営支援ネットワークを構築し、経営改善計画の策定などを初めとした課題解決や経営改善を進めるとともに、事業再生や事業承継など最適な解決策の提案を行っています。しかしながら、こうした公的機関の支援を受けている企業はまだまだ少ないのが現状です。
 金融円滑化法終了後のソフトランディングに向け、都は中小企業の経営改善から事業再生、継承まで、支援を充実させていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、金融支援について伺います。
 金融円滑化法に基づき、中小企業が貸付条件の変更を受けたのは、昨年九月末時点の累計で約三百四十四万件、返済猶予額は約九十六兆円に上ります。同法を使った支援の大半は、地方銀行や信用金庫など地域の金融機関が行っており、不良債権がふえれば地域経済に大きな影響を与えます。金融機関は、将来性ある中小企業の事業立て直しに協力して、企業が事業を立て直すとともに、借り入れ返済を行う流れを定着させる必要があります。
 国は金融機関に新自己資本規制を導入するとともに、金融機関が中小企業の経営改善などに積極的に関与するよう求め、その具体例などを定期的に開示することを義務づける方針と聞きます。いかに多くの中小企業が経営改善に向けて取り組みを進めることができるのかが、東京の地域金融安定のかぎとなります。
 昨年十月、都は国の保証制度に合わせて、経営力強化融資を新設するとともに、平成二十五年度は特別借りかえ融資による金融支援を始めます。都は金融円滑化法の終了を見据え、地域経済や中小企業振興に重要な役割を担う金融機関の協力を得て、都内中小企業の経営改善に向けた金融支援をいかに推進していくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、新銀行東京について伺います。
 私たちは事業譲渡や株式の売却などを含め、新銀行から早期に撤退すべきだと主張してきましたが、猪瀬知事はこの間、マスコミなどの取材に対しても、新銀行の今後のあり方についての言及を控えています。
 一方、石原前知事は、新銀行東京への追加出資以前から、セカンドステージについて、いろいろ考えている、追加出資が決まれば即日次へ動く旨の発言をし、再建計画期間中である平成二十二年十一月には、これからセカンドステージというものを積極的に考える時期だと思うと述べ、中国での交渉にさえ言及していました。
 そこで、新銀行東京の今後の方向性について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、雇用、就業環境の改善について伺います。
 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する日本社会において、企業が生産性を保ち、創造性を向上させていくためには、産業を支える年齢や性別などにとらわれない多様な人材の活用が必要と考えます。知事は、公約で雇用を守るとし、民間企業の給与が上がるような政策を東京都が打たなきゃだめなんだと述べています。
 現在の労働状況は、国内で非正規労働者が三五%近くの割合を占めるなど、給与は一九九〇年以降で過去最低となっています。現在、景気回復に期待が集まりますが、結果、雇用が拡大し、正社員だけではなく、非正規社員も含めて給与がふえなければ、国内消費は減退し、真の回復には至らないと考えます。
 少子高齢社会の中であっても、都民の安全・安心を追求するため、都は雇用を守り、民間給与を上げるような取り組みを行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、若年者雇用について伺います。
 ことし開催された世界経済フォーラム、ダボス会議では、先進国を中心に深刻化する若者の失業問題をめぐって活発な議論が行われました。国内においては、昨年春卒業した大学生の就職率は九三・六%、また今春卒業予定の大学生の昨年十二月時点の就職内定率は七五%と、依然厳しい状況が続いています。
 先月末、東京しごとセンターで新卒者向け合同企業説明会が行われましたが、学生の皆さんは、企業の人事担当者が発する言葉を聞き漏らさないように真剣に耳を傾けていました。また、大卒者の三年間の離職率は全体で三人に一人となるなど、高どまりしているのが現状であり、対策が求められます。
 若年者の就業問題を解決するためには、安定した雇用と定着が重要と考えますが、都の若年者就業対策の強化について見解を伺います。
 次に、女性の就業促進とキャリアアップについて伺います。
 厚生労働省の調査によれば、日本女性の就業率はいまだ二十九歳から四十五歳の間に緩やかなM字カーブを描いて落ち込んでおり、潜在的労働力との差が大きく存在しています。このカーブの解消には、働く意欲のある女性が、結婚後、出産前後も継続して就業できるようにする取り組みが重要です。
 また、日本の就業者の中で女性の比率は四二%ですが、女性管理職の比率は一一・九%と欧米諸国を下回り、フィリピンやシンガポールなどアジアの国々にもおくれをとっています。内閣府によれば、女性の労働参加率が高い国ほど労働時間当たりのGDPが高いとのことで、女性の活躍の場を広げる取り組みが必要です。
 都においても、女性が継続して働くことができる職場環境づくり、ワークライフバランスの活用や、女性の積極登用を図る能力開発などの取り組みを推進していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、高年齢者雇用について伺います。
 人口減少社会における高年齢者の雇用対策は、労働力の減少ペースを和らげるとともに、シニアの消費を活発にするなど、大変重要であります。ことし四月から改正高齢者雇用安定法が施行され、厚生年金が六十五歳支給に引き上げられることに合わせて、各企業は段階的に六十五歳前の希望者全員を雇用することが義務づけられます。
 制度変更に対しては、再雇用制度よりも、給与水準を高めて従業員の士気を高める企業や、新たに高年齢者の積極活用を目的とした新会社を設立する中小企業が出てくるとともに、製造業においては、若手への技術伝承を進めていく、社外へ技術が不正に持ち出されることを防ぐなどのねらいもあると聞きます。
 しかしながら、六十五歳までの雇用継続のために現役世代の賃金上昇を抑えることを決めた企業の制度変更が発表されるなど、若年者雇用や社員の待遇悪化につながりかねない取り決めも出されています。
 そこで、こうした実態を踏まえつつ、高年齢者が持つ経験を生かすとともに、安心して働き続けられるような取り組みを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 一月八日、東京都は、これまで平成二十六年度中としてきた豊洲新市場の開場時期を一年延期し、平成二十七年度とすることを発表しました。都はその理由として、土壌汚染対策工事の工期延伸を挙げ、処理土量が一・五倍にふえたことなどを挙げています。しかし、そもそも都は、有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いと述べていたわけですから、今回の汚染土量の増大については真摯に向き合っていただきたいと思います。
 かつて猪瀬知事は、移転がおくれるほどじり貧化するとも語っていましたが、そうではあっても、今回、開場延期を決断したことは、私たちが平成二十四年度の関連予算の賛否に当たり付した付帯決議に基づき、食の安全を優先した結果であると受けとめています。
 また、関係者との合意について、かつて石原前知事が、豊洲も築地もともにブランドとして並び立つような妙案をと述べていましたように、現在中央区が進めている取り組みは、東京都と中央区とが知恵を絞った結果であり、猪瀬知事としても、築地地区での食文化の拠点継承に向けて積極的に協力していくべきと考えます。
 そこで、築地市場の移転問題における食の安全・安心確保と食文化の拠点継承について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、自転車対策について伺います。
 自転車対策にかかわることし一月のパブリックコメントでは、自転車利用を規制するような内容の条例は再考すべきなどとする厳しい意見も寄せられていましたが、条例案はこういった意見にもこたえようと、必要な修正を加えています。私たちは、この条例を制定することによって、自転車の安全で適正な利用に向けて、東京都の施策を初め、社会環境が大きく前進するものと考えています。
 また、条例案には、自転車道、駐輪場等の整備のため、東京都が市区町村等と連携した措置を実施していくことや、東京都における技能、知識の習得機会の提供などが盛り込まれています。私は、こうした施策を積極的に進めることに加え、自転車を都市の有効な交通手段ととらえ、自転車を都市計画やまちづくりの中に位置づけるなど、自転車の利用をさらに促進していくべきと考えます。
 そこで、自転車という交通手段を明確に位置づけた都市像を描いていくことについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、自転車におけるナンバープレート制度の導入について伺います。
 今回の条例案では、そもそもナンバープレート制度の導入を予定していなかったこともあり、パブリックコメントでは、制度への直接的な意見は少ないように見受けられます。私たちは、昨年十月の代表質問で、条例に盛り込むべき施策のメリット、デメリットを明示して、都民の合意を図りながら検討を進めるべきだと主張してきたところであり、ナンバープレート制度についても、まずはメリット、デメリットを都民に対して明示していく必要があるものと考えます。また、車体ナンバーの認識に向けては、プレート形式ではない方策など、関係者と協議をしながら最善の方策を模索していくことも必要です。
 そこで、昨年九月の自転車対策懇談会の提言で検討が求められていた自転車のナンバープレート制度についてどう考えているのか、見解をお伺いいたします。
 次に、駐輪場確保について伺います。
 今回の条例案では、違反事業者に対する勧告、公表制度は見送られましたが、事業者が自転車通勤をする従業員のための駐輪場確保、またはその従業員が駐輪場を確保していることの確認義務は課せられることになります。
 しかし、例えば、駅前では駐輪場の絶対数自体が不足している中で、東京都が市区町村と協力して駐輪場整備を進めたとしても、その完成には五年、十年と時間がかかり、また、これまで自転車通勤を禁止していなかった事業所も、物理的な理由で自転車駐輪場所が確保できない場合も想定されます。もちろん、違法駐輪を容認しているわけではありませんが、結果として自転車利用が抑制されるのは本意ではありません。
 駐輪場の確保や確認の義務を課すのであれば、東京都としても駐輪場の整備に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 スポーツ都市を目指す東京としては、何としてでも、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致を実現させなければなりません。知事は就任直後ロンドンまで出向き、オリンピック招致の記者会見を行って、オリンピックを東京で行うことの強みを世界各国にアピールしてきました。
 三月にはIOC評価委員が訪問する予定ですが、そのときの対応は招致決定に大きく影響するものと考えます。国や民間団体などと密に連携をとりながら、一体となってIOC評価委員の日本訪問の対応や国際プロモーション活動を積極的に展開をしていくべきと考えます。
 そこで、今後の招致に対する取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ推進について伺います。
 スポーツは、それ自体が喜びや楽しさをもたらすだけではなく、心身の健康を含めた生活の質の向上にも寄与するものです。都が昨年十月に実施した都民のスポーツ活動に関する世論調査によれば、二十代から四十代のいわゆる働き世代、子育て世代において、スポーツを週一回以上実施する人の割合が低い傾向にあります。
 超高齢社会を迎える東京において、都民がいつまでも健康で生き生きと暮らせる社会を創出するためには、幅広い世代で多くの都民がスポーツに親しみ、スポーツを生活の中に浸透させるような環境づくりが必要です。
 都が先月公表した東京都スポーツ推進計画中間のまとめでは、年齢や生活環境等にかかわらず、だれもがスポーツに親しめるよう、ライフステージに応じたスポーツ活動を支援していくとしていますが、都は今後、どのようにライフステージに応じたスポーツ活動を推進し、身近にスポーツを楽しめる環境を整備していくのかお伺いをいたします。
 一昨年、超党派の議員立法で制定されたスポーツ基本法では、地域スポーツからすぐれた選手がはぐくまれ、その選手が地域スポーツに寄与することは、我が国のスポーツの発展を支える好循環をもたらすとしています。
 さきの中間のまとめにおいても、地域スポーツとトップスポーツの融合として、トップアスリートを地域スポーツの指導者として迎え、その経験や技術を地域スポーツの推進につなげる仕組みを構築するとしています。
 トップアスリートの高い技術や人間的な魅力は、地域や学校における活動ではぐくまれ、競技団体など周囲のサポートのもと、本人のたゆまぬ努力により培われた社会的な財産となります。よって、その財産を地域に還元するという都の取り組みは、積極的に推進されるべきものと考えます。
 そこで、都は、今後どのように地域スポーツとトップスポーツの好循環を図っていくのかお伺いをいたします。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、知事の教育再生に対する見解をお伺いいたします。
 石原前知事は、破壊的教育改革に向けて、教育再生・東京円卓会議を開き、今後の教育のあり方について多角的な議論を行ってきました。しかしながら、前知事は、昨年の都知事最後の定例会見に臨んだ際、手がけたいと思っていたができなかったことがある、教育の破壊的改革、これが心残りだと述べていました。
 猪瀬新知事は、生きる力、支え合う力を教育再生の基本とすることを選挙公約に掲げ、教育の再生を訴えています。
 そこで、知事は、東京都の教育の充実に向け、特に何を重視していくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、少人数学級について伺います。
 民主党政権時に策定された平成二十九年度までの五年間で三十五人以下学級を実現させる計画案が、安倍政権になって見送られ、文科省が当初、来年度予算に要求していた三十五人以下学級の拡大に向けた教員加配がなくなりました。
 これまで都教育委員会は、中一ギャップ対策として、平成二十二年度に教員加配を開始し、学級編制の算定基準を、初年度三十九人、二十三年度三十八人、二十四年度三十七人としてきました。平成二十四年三月に出されたその効果検証の報告では、いじめ発生の減少や全般的な基本的生活習慣の定着、授業中の学習態度の改善など、三十一項目ほどで顕著な効果が見られたという結果が出ています。
 教員が、一人一人が児童生徒に向き合い、きめ細かな指導を行っていくことで、学力の向上を初め、いじめの早期発見につながるなど、児童生徒が充実した学校生活を行っていく上では、少人数学級の推進は欠かせない施策と考えます。
 このような状況を踏まえ、国に先駆け、中一で三十五人学級を行おうとする都教育委員会に、今回実施に踏み切った理由と少人数学級の有効性について見解を伺います。
 次に、いじめ対策について伺います。
 都教育委員会は、都内全公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置することとしました。これらのスクールカウンセラーには、いじめの予防、早期発見、事後対策としての児童生徒の心のケア、自殺にまで発展させないなど、深刻化を防ぐこと、また教師から心理面に関する相談を受けることなど、さまざまな役割が求められます。
 また、配置するに当たっては、相談時間が現在の週一回、七・四五時間で有効なのか、いじめられていることをだれにもいえない子どもに対してはどう対応するのかといった活用策について、あらゆる角度から分析し、さらなる有効な活用方法を考案していくべきと考えます。
 そこで、都教育委員会は、配置に当たって、いじめ対策におけるスクールカウンセラーの有効性をどのように十全に発揮させ、活用を図っていくのか、見解をお伺いいたします。
 なお、各市区町村の公立小中学校の中には、その学校の実情に合わせてスクールカウンセラーを独自に配置をしている学校がありますが、その取り組み等がさらに生かされるような形で配置を行っていただくことも要望しておきます。
 次に、体罰問題について伺います。
 大阪市立桜宮高校の体罰事件をきっかけに、都教育委員会は、都内公立小中高校の全校に体罰実態調査を実施しました。そして、二月八日、都立高校二校で部活指導における体罰があったことが発覚したと発表されました。内容は、部員に対し平手打ちやひざげりを行い、体罰を受けた部員は口の中を負傷したとのことです。
 そもそも体罰は、学校教育法十一条により、懲戒を加えることはできるが体罰を加えることはできないとして、法律でも禁止されており、絶対にあってはならないことです。
 部活動の指導は、部員の技術における長所をいかに伸ばし、課題部分をいかにカバーし、またそれを本人が自発的に探究し、技術向上を図っていくよう促すなど、より客観的で効果的な技術指導、生徒指導であるべきと考えます。体罰に関する調査結果はこれからですが、都教育委員会は、それをもとに効果的な指導方法をしっかり分析し、教員に周知徹底していくことが必要であります。
 このたびの大阪市立桜宮高校の体罰事件を受けた直後の対応を伺うとともに、今後の対応の方向性についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
 次に、医療、福祉施策について伺います。
 知事は、選挙公約において子育て支援を掲げ、特に周産期医療とリスクの高い小児医療の充実を図るとともに、子育てしながら働く女性を応援するとしています。来年度予算案では、これら公約の実現に向けた第一歩として、子どもと子育て家庭への支援のため、周産期医療対策、小児医療対策、社会的養護などの充実に対する予算が計上されました。私たちも都議選マニフェストで、NICUの充実や、小児救急医療対策、待機児童の解消などを掲げており、こうした施策の充実は歓迎をするところです。
 知事の考える子育て支援のあるべき姿について、基本的な認識をお伺いいたします。
 また、知事は同じく選挙公約において、東京ER体制を進め、緊急医療ネットワークを充実し、二十四時間の安全を確保するとしています。救急医療の充実については、前回の都議選における私たちの選挙公約でもあり、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと考えています。
 救急医療が十分に機能するためには、患者を受け入れる医療機関に空きベッドが確保されている必要がありますが、それが困難な状況もあると聞きます。
 そこで、知事の選挙公約である東京ER体制を進め、緊急医療ネットワークを充実するについて、どのように救急医療体制を充実していくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 知事の選挙公約では、もう一つ、都民の健康増進により医療費負担を減らし、福祉充実に充てるとの記述があります。
 昨年、国では、国民の健康づくりの指針となる健康日本21(第二次)を公表しました。この中では、介護を受けたり病気になったりせず、日常生活に制限のない期間を健康寿命と新たに定義し、この期間を延ばす考え方を打ち出しています。例えば、八十歳まで生きた人の場合、入院して日常生活に制限が生じて一年、さらに介護に二年を要した場合の健康寿命は七十七歳となるという考え方です。
 国は、この健康寿命の伸び幅が平均寿命の伸び幅を上回ることを目指しています。平均寿命と健康寿命の差が縮まれば、健康で元気な高齢者がふえ、結果として医療や介護など、年々膨らむ社会保障費用を抑える効果が期待され、私たちもこの考え方を支持するものです。
 現在、都は、今年度で計画期間が終了する東京都健康推進プラン21の次期計画の策定作業を行っているところですが、特にどのような観点を重視して策定を進めているのか、見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都が平成二十三年に行った調査では、都内の認知症患者は約三十二万人で、六十五歳以上人口の一二・五%と推計されています。また、このうち四分の三に当たる二十三万人が、見守りまたは支援が必要な認知症高齢者であるとされています。今後さらに高齢化が加速する中で、認知症高齢者の急増が予想されています。
 認知症対策としては、早期の診断による発見や診断結果に基づく早期の治療が重要といわれていますが、認知症の疑いのある高齢者の中には、みずから受診しようとしない方もいるため、こうした方への訪問による早期の診断と対応が必要です。認知症は精神疾患の一つですが、若い世代において発症することが比較的多いとされている統合失調症等と比べて、認知症疾患患者は高齢の方々が多く、早期の診断や介護との連携がより必要になります。そのため、認知症に詳しい医療スタッフによるアウトリーチが有効であり、今後注力すべきと考えます。
 来年度予算でも認知症対策のための予算が計上されていますが、認知症対策の基本的な考え方と今後の取り組みについて見解を伺います。
 次に、孤立死防止について伺います。
 ここ数年、地域で亡くなられたことに近隣の方々が気づかず、かなりの日数を経過してから発見される、いわゆる孤立死という大変痛ましい報道が後を絶ちません。都も来年度予算案では、高齢者の孤立を防ぐため、高齢者の見守りネットワークの構築の支援等のための予算を計上しています。
 しかし、最近の孤立死に対する報道は、高齢者だけの世帯に限らず、世帯内の生計中心者もしくは介護者が急になくなったことにより、その援助を受けていた方も死に至ったケースや、三十代、四十代の家族が同居しているにもかかわらず、家族全員が死に至っているケースも発生しています。
 このような高齢者を初めとした地域で孤立している方々に対し支援を行う市区町村の取り組みを一層推進すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者施策について伺います。
 都は、今年度から平成二十六年度までの三カ年を計画期間とする第三期障害福祉計画に基づき、障害者施策に取り組んでいます。中でも、福祉施設に入所している障害者が地域生活に移行する人数について、国の基本方針に基づいた具体的数値目標として、平成二十六年度末までに基準時点となる平成十七年十月一日時点の施設入所者の三割以上、二千二百四人が掲げられています。第三期障害福祉計画では、目標達成のために市区町村の取り組みを促すとともに、新たな取り組みを進めることとしています。
 しかし、これまでの状況から推計すると、現在のままでは、平成二十六年度末までに基準時点の施設入所者の三割には到達しないことが予想されます。
 そこで、障害者の地域生活移行者数の目標達成に向けた取り組みについて、見解を伺います。
 次に、犯罪被害者等支援の推進についてお伺いをいたします。
 悲惨な事件により生命を奪われ、あるいは重大な傷害を負わされてきた犯罪被害者の皆さんの切実な訴えを受けとめ、民主党、自民党、公明党が合意して犯罪被害者等基本法を制定してから九年がたちます。
 東京は、地下鉄サリン事件や秋葉原無差別殺傷事件など、多くの犯罪被害者が生じた重大事件の発生地であり、性犯罪を初めとした犯罪発生水準や交通事故発生件数は高い水準にあります。都の相談、支援件数も、毎年増加傾向にあります。都は、都民のだれもがいつでも犯罪の被害者になり得る現状を重視して、犯罪被害者等支援を東京の社会全体の問題として認識し、犯罪被害者の権利利益の保護に向けて一層努めるべきと考えます。
 昨年、私たちは、すべての犯罪被害者がその被害から肉体的、精神的、そして経済的に回復する権利を持っているという考えから、条例提案を行いました。この基本的な考えについては皆さんも異論がないのではないかと考えます。
 イギリスには、被害者憲章、ビクティムチャーターがあり、我が国には基本法もありますが、犯罪被害者等の支援をさらに推進し、都民の理解を深めていくために、東京都が犯罪被害者を支えるその姿勢を明確に示す、東京都犯罪被害者等権利章典といった都としての宣言を策定する必要があると考えますが、互いに助け合う東京をみんなでつくろうと考える知事に見解を伺います。
 昨年四月、都内の市区町村に犯罪被害者への相談、問い合わせ窓口が設置されました。これからは、被害に遭われた犯罪被害者の皆さんが、都内のどこの自治体に相談に訪れてもきめ細かな支援が受けられる、都内全域が一体となっての支援体制の構築が推進されることが重要と考えます。
 都は、都内に犯罪被害者等に便利でわかりやすい総合相談窓口を設置し、相談事業を行うとともに、心的外傷その他犯罪等により受けた影響から早期に回復できるように、精神科医や臨床心理士などによるカウンセリングも実施しています。窓口における支援の実績は、平成二十年以降、毎年増加傾向にあり、昨年度は五千六十件にも上っています。
 そこで、多摩地域にも犯罪被害者等の皆さんを支援する拠点を新設し、犯罪被害者等の皆さんを支え、市町村と一体となった支援体制の構築を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩・島しょ振興について伺います。
 多摩地域の振興策については、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一が策定されました。以来、この基本構想に基づき、平成十五年の多摩アクションプログラムを初めとするさまざまな実施計画により、重点的施策への取り組みが行われてきました。
 こうした取り組みにより、多摩の生活や産業を取り巻く環境は改善されつつありますが、新たな多摩ビジョンでは、多摩地域の将来をしっかりと見据えた暮らしや産業のビジョンが描かれなければなりません。あらゆる視点から多摩が持つ資源を掘り起こし、その可能性を探りながら、快適で活力ある地域をつくり上げていかなければならないと考えます。
 そこで、多摩地域の振興に対する知事の基本的姿勢についてお伺いをいたします。
 また、八丈島では、都と町が連携し、地熱発電等の再生可能エネルギーの利用拡大や地産地消への取り組みも始められています。都議会民主党では、これまでもエネルギー政策について、私たちが視察したアイスランドなど諸外国の例も取り上げ、太陽光や地熱、水力を初めとする再生可能エネルギーの普及促進を訴えてきました。
 多摩地域には、太陽光、風力、小水力、バイオマスなど多彩な再生可能エネルギー源があり、こうした資源を最大限に活用し、環境スマートシティー実現に向けた多摩地域ならではのエネルギー戦略を構築していくことが可能です。電力制御技術とICT、情報通信技術を組み合わせた電気の有効利用に加え、未利用エネルギーも含めたエネルギー全体の需要供給体制の構築、さらには地域の交通システムや市民のライフスタイルの変革までも幅広く含むエリア単位での次世代エネルギー、社会システムを構築する、こうした地域づくりは、さまざまなサービス提供という形でビジネスチャンスを生む絶好のフィールドを提供することにもなります。
 多摩地域が持つ多彩な再生可能エネルギー源という潜在的資源を生かし、環境スマートシティーづくりを多摩ビジョンに位置づけ、積極的に進めていくことが重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、小笠原諸島の航空路問題について伺います。
 小笠原村では、一九六八年、小笠原諸島が日本に返還されて以来、空路の開設を要望し続けてきました。これまでの空路開設への経過を見ると、さまざまな計画案が出されては、その都度、環境への影響、経費の増大等の理由からとんざし、四十年余りが経過をいたしております。そして、現在では、父島の洲崎地区の旧海軍の飛行場跡地案、防衛省の滑走路がある硫黄島案、水上飛行艇案が浮上し、協議会等で議論が行われています。
 村民の皆さんの中には、世界自然遺産登録によって空路開設のハードルが一つふえたという認識を持たれている方もいます。しかし、住民側から見ると、急な病気やお産といった緊急時、また、一たん上京すると帰りの船を待つのに十日もかかってしまう、こうした経済的、肉体的な負担が大きいという現状に、ライフラインとしての航空路を求める声は強いものがあります。
 小笠原諸島の航空路について、いま一度小笠原村住民の意向をお聞きし、確たる方向性を示すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 酒井大史議員の代表質問にお答えします。
 東京の将来像についてでありますが、日本は今、停滞感、閉塞感に覆われています。こうした心のデフレ状態を突破する、打破するためには、日本の心臓である東京をおいてほかにありません。
 この都市がたどってきた、近代からの歴史の軸を心に構え、東京の生きた現場から、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開することで、日本全体に改革のうねりを巻き起こしていきたい。そして、改革の先に実現する、一人一人が輝く社会こそが、私の思い描く東京の将来像であり、その実現に向け、これまでの都政の方向を継承しつつ、改革を加速させていきます。
 東京都では、一昨年の十二月、「二〇二〇年の東京」を策定し、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目指す東京の姿とそれに向けた政策展開を示しました。
 副知事として策定にかかわったこの長期ビジョンを踏まえて、先月、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三を策定しました。就任から一カ月という短い期間でありましたが、選挙で都民の皆様にお約束したことについて、政策展開の基本的な方向性を示すとともに、直ちに取り組みが可能な政策を具体化しました。
 これらの計画を羅針盤として、東京を二十一世紀にふさわしい都市へ進化させ、世界一の都市に押し上げていく、そういうつもりであります。
 平成二十五年度予算についてでありますが、日本を支え、変えていくためには、日本の心臓である東京が率先して行動を起こすことなどが必要であり、今回の予算編成においては、国を動かし、民間活力を引き出しながら、新たな東京モデルを発信していく取り組みを行い、さらに都民の安全・安心を守る取り組みに財源を重点的に投入することとしました。
 幾つか例を挙げれば、国に先駆け、小規模保育に対する補助制度、東京スマート保育を創設したほか、家庭用蓄電池等への新たな補助や、ソーラー屋根台帳の作成、公表などにより、エネルギー産業の市場拡大にも取り組んでいく、こういうことであります。
 就任から短期間での予算編成になりましたが、選挙で約束したことについては、このように直ちに取り組み可能なものをしっかりと具体化するとともに、時間を要する事業については、政策展開の方向性を示して、精力的に検討していきます。
 今後とも、現場を持つ強みを生かし、知恵を出し合い、費用対効果の高い新たな施策を展開することで、霞が関の壁を打ち破り、日本全体に改革のうねりを巻き起こし、東京からこの国の将来を切り開いていきます。
 次に、地方分権改革についてであります。
 施政方針で申し述べたとおり、我が国は明治維新以降、一貫して官僚主権であります。しかし、この体制はもはやその有効性を失っており、国全体に活力を取り戻すために、地方を画一的な基準から解き放ち、その持てる力を十二分に発揮させる改革が必要であります。
 こうした認識のもとで、地方分権改革推進委員会の委員として、内閣総理大臣に対し、四次にわたる勧告を行ってきました。しかし、地方を縛る義務づけ、枠づけの見直しは骨抜きにされ、国の出先機関の三万五千人の職員削減も全く進んでいません。まずは地方分権改革推進委員会の勧告どおりに実施すべきでありました。
 また、これまで東京都は、認証保育所など生きた現場から、発想力を駆使した東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開してきました。さらには、厚労省のハローワークが持つ職業紹介機能を東京都へ移管させることで、職業訓練、職業紹介、実際の就職という流れが一体となった雇用施策を展開することが可能となるわけであります。こうした具体的な政策の実現もあわせて、国からの権限移譲や関与の撤廃など、地方分権改革を東京から進めていきます。
 法人事業税の暫定措置についてであります。
 この措置は、受益と負担という地方税の原則に反し、地方自治を侵害する極めて不合理な制度であります。もとよりこの措置は、税制の抜本的な改革までの間の暫定ということでありますから、今回の消費税率の引き上げにあわせて確実に廃止し、地方税として復元するとともに、総体としての地方税財源の拡充という本質的な課題に取り組むことが必要であります。政府に対して引き続き、都議会の皆様と一緒に一体となって強く働きかけていきたい、そう思っております。
 東京都という首都の基本的な役割ですが、東京は、いうなれば一つの国であります。官僚は都道府県のことを地方公共団体と、団体と呼ぶんですが、憲法の原文では、ローカル・セルフ・ガバメント、すなわち地方公共団体ではなくて地方政府と書いてある。翻訳がおかしい。アメリカはユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカといいますが、残念ながら日本はユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパンです。縦割りの省庁の連合体が政府となっている。だから、首都である東京都は、戦前戦後一貫して続くこの国の官僚主権を打破し、地方政府としての、首都政府としての範を示す必要があります。
 同時に、東京のためだけの地方政府であってはならないということで、常々都庁職員に対しては、君たちは首都公務員であって、満点は百点じゃないよ、百二十点満点だよと。あとの二十点は、世のため、人のため、地方のため、国のために力を尽くすということで、仕事をしていただいているつもりです。この姿勢は職員の心構えにとどまらず、都政運営の大原則というふうに考えていただければというふうに思います。
 首都東京は日本の心臓であり、みずからの力強い鼓動によって日本を支え、日本を変えていくという大きな役割を担っています。国家を背負う気概を持って、東京のみならず、日本全体を俯瞰し、都民、国民の利益のために、東京独自の政策を積極的に展開していく、そういうふうに考えております。
 防災対策についてであります。
 未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、我々に多くの教訓を与えました。行政、企業、住民は、日本列島で災害を生き抜いてきた共通の記憶を持つ一員として、リスクを直視し、そしてそれぞれが責任とコストを分かち合い、自助、共助、公助を重ね合わせた対策を進める必要があります。
 まず、公助を担う行政が社会的な役割を果たすのは当然であります。水門、堤防などの耐震、耐水対策や、学校、病院等の耐震化はもとより、ツイッターの活用や地下鉄における通信環境の整備など、ハード、ソフト両面における対策を着実に進めていきます。
 一方で、災害への備えをすべて行政任せにしないよう、自助、共助の担い手となる住民や企業の意識を高め、その取り組みを後押ししていきます。消防少年団員を、三カ年で現在の三千人から六千人へと倍増させ、すべての都立高校で宿泊防災訓練を実施するなどにより、地域の防災の担い手を今から育てていく。スタンドパイプを活用した初期消火訓練も推進し、都民の防災力も向上させていく。
 企業の取り組みについては、本年四月の帰宅困難者対策条例の施行を見据えて、帰宅困難者保護のための備蓄の一割上乗せを呼びかけるとともに、備蓄品への補助など、そういう支援を通じて、その取り組みを加速化させていくということです。
 副知事時代に帰宅困難者対策協議会の座長を務めまして、その対策を推進してきましたが、これから行政、企業、住民それぞれが、利害や事情を抱えていても責任を全うすることで、壁を突破し、解決していきます。こうしたことを通じて、日本の心臓である首都東京の防災力を高めるとともに、お互いを思いやり、助け合う、一人一人が輝く社会を実現させていきたいというふうに思っています。
 次に、エネルギー政策についてでありますが、副知事在任中から、市場における新電力のシェアを三割にするという具体的な目標を掲げながら、東京都は独自の取り組みを進めてきました。これまでに、電力会社の独占体制に風穴をあけるため、都庁舎の電力の一部切りかえ、都立中央図書館や東京武道館での電力の複数契約の導入、都営の水力発電事業における新電力の買い取り参入に向けた条例改正など、極めてリアルな取り組みを次々と実現してきています。
 また、東京電力自体の改革を進めるため、会社の経営改革本部と定例会合を持ちながら、改革の進捗をチェックするとともに、新電力から需要家への供給が十分に進んでいない実態を明らかにし、バックアップ電源の供給を東京電力に求めました。
 こうした電力システム改革を進めると同時に、家庭や企業でもみずから電気を生み出し、賢く使っていく都市を構築する、そういう必要があります。そこで、家庭や企業における電力の使用状況の見える化を進めるとともに、燃料電池や蓄電池、コージェネレーション設備の設置を促進する新たな補助制度を来年度開始いたします。
 このように、エネルギーの供給側、需要側の両面から、一体的な取り組みを進め、都市の成長を支えるエネルギーバランスの確保を図っていく、そういう方針でやっています。
 東京の産業振興についてでありますが、日本の再生を牽引し、新たな発展を実現させるためには、世界的に事業活動を展開する外国企業を東京に誘致するとともに、首都東京を支える産業を活性化し、東京をアジアのビジネス拠点として形成しなければいけません。
 そこで東京は、海外からの投資を呼び込むため、法人税の減免や規制緩和を図るとともに、外国人の生活環境を整備し、戦略的に外国企業を誘致するアジアヘッドクオーター特区の取り組みを始めたところであります。これを積極的に推進していきます。国は法人税を下げ、東京都は法人事業税、地方税を下げるんです。
 一方、国内市場の飽和や少子高齢化の影響により、我が国の企業は、ビジネスモデルの転換やイノベーションを迫られています。
 東京都では、環境、エネルギーなど今後成長が見込まれる産業分野を振興するとともに、中小企業の海外展開、技術開発、そして経営革新を支援していきます。こうした産業振興施策を着実に進め、活気ある東京を取り戻し、輝く国際都市にしていきたい、そう思っています。
 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は、現経営陣のもと、再建に向けて懸命な努力を重ね、連続して黒字を計上し、純資産も五百十四億円まで積み上がっています。しかし、まだリハビリ状態にあり、再生に向けては道半ばであります。
 新銀行東京の今後の方向性については、新たな提携先などを含め、さまざまな可能性も考えられますが、その前提として、新銀行東京の企業価値を高めていく必要があります。まずは安定的に黒字を確保して、経営基盤をより一層強化することが先決となります。
 雇用についてであります。
 東京の有効求人倍率は、平成二十四年四月に一倍を上回り、現在は一・一六倍まで持ち直したにもかかわらず、失業率は四・八%と依然高どまりしています。仕事があっても職につけない状態は一刻も早く打開すべきでありまして、来年度も引き続き意欲ある若者に、実際の就労体験を経て中小企業とのマッチングを進めるなど、効果的な施策を展開していきます。
 雇用の確保や労働条件の改善は、成長産業の育成を推進する産業政策と軌を一に進めるべきものであります。都としては、中小企業の意欲ある取り組みへの支援を一層充実させることにより、東京の経済を活性化させていきます。
 また、日本経済が活力を喪失してから多くの年月が費やされてきましたが、この間、人々に蔓延した心のデフレを克服するためにも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致の成功を目指して、全力を挙げていきます。三月の初めにIOCの調査団が参りますので、プレゼンテーションをきちんとやりたいと、今その準備をしています。
 豊洲新市場についてでありますが、副知事就任早々に築地市場に足を運び、現状を目の当たりにいたしました。築地市場は、施設配置が鉄道時代のもので、トラック輸送が主流の現在の物流に対応していません。産地等からの多くのトラックや買い出し人の車で場内が錯綜し、駐車場所も足りないため、十分な営業活動ができない状態であります。その上、施設の老朽化が著しく、顧客ニーズに対応可能な新たな施設設備も困難です。流通環境の変化や、これらのことが原因で取扱量が減少しており、このままでは卸売市場の機能が損なわれるおそれがあります。こうした状況を考えれば、一刻の猶予も許されないという状態であります。
 しかし、都民の食の安全・安心の確保は最優先されなければならず、新市場用地の土壌汚染対策に万全を期すことにいたしまして、このため、今回、開場を一年延期することにしました。
 築地は、海外にも広く知られておりまして、多くの観光客でにぎわうなど、食文化の拠点としてのブランドを確立していることは事実でありますので、石原前知事も述べていましたが、市場移転後も、築地と豊洲がともにブランドとして並び立つことが重要であるというふうに考えております。築地のにぎわいは成熟した文化でありまして、中央区が取り組む食文化の継承について、引き続き協力してまいります。
 自転車の利用促進についてであります。
 自転車は環境負荷が少なく、都市における有効な移動手段の一つであります。東京は、鉄道の発展によってつくられた都市であります。一方、道路は、都市機能の急速な集積に、空間の確保がいまだに追いついていない。このため、自転車が安全に走行するための空間が決定的に不足しています。
 そこで、まず自転車の利用を促進するためには、交通ルール、マナーを守った安全な利用が欠かせないことから、本定例会に、自転車を安全で適正に利用するための条例案を提案いたしました。
 一方で、外環道を含む三環状道路の整備を促進し、都心に用のない自動車の流入を大幅に減少させることにより、慢性的な渋滞が発生している現在の東京の道路環境を一変させ、道路利用者の可能性を広げていきます。
 こうした取り組みなどにより、より快適で魅力的な都市空間を創出し、東京を輝く都市につくり変えていきます。
 オリンピック・パラリンピックの招致についてでありますが、間近に迫ったIOC調査団の訪問は、国際プロモーションの重要な機会の一つと位置づけています。開催計画内容の優位性をアピールし、歓迎ムードを最高潮に高めて、東京開催への熱意を示します。
 今回の調査結果が全IOC委員に報告されることから、報告書で高評価を獲得することを目指して、万全の体制で臨んでいって、今準備してやっています。
 今後の国際プロモーション活動では、都知事自身みずからが、盤石な財政基盤、宿泊、交通といった世界有数のインフラ、洗練された都市としての魅力、そういうものをプレゼンテーションして訴えます。
 加えて、スポーツ界の国際的なつながりを活用するきずな作戦、関係省庁や民間企業など国際ネットワークを活用する友達作戦、そういうものを駆使して、百一人いるIOC委員に迫っていくんです。
 このように、国家の総力を挙げて戦略的に東京の票を獲得して、招致レースを戦い抜いていきます。
 東京都の教育の充実についてであります。
 急速に変化し多様化する現代社会において、我々が直面する課題は一層複雑なものになっています。これからの厳しい時代を子どもたちが生き抜くためには、生きる力と支え合う力の育成を重視しなければならない。まず、子どもたちに、どん欲に疑問を持ち、徹底的に解を求める姿勢や、社会問題と向き合い、社会に積極的に貢献しようとする意識を身につけさせる必要があります。
 フランスの哲学者アランは、悲観主義の根底は意志を信じないことである。楽観主義は全く意志的であると書いています。アランの定義集です。気分による悲観主義は何も生みません。何も変えません。新しいものをつくり出すのは、いつの時代も意志、楽観的な意志がなければ動きません。
 さらに、このような挑戦意識、社会貢献意識を成果に結びつけるためには、事実やエビデンスなど根拠を挙げながら説明する。感情に走らず、形容詞を使わず、百かゼロかにならない議論ができる力を育成する必要があります。正しい現状認識を共有しながら他者と議論を積み重ねていけば、複雑な課題であっても結論を導くことができます。
 これらの力を育成するため、来年度、言葉の力を育成する言語能力向上推進校を百三十校から約二百校に拡充するとともに、首都圏の高校生を対象に、高校生書評合戦首都大会、これは仮の名称ですけれども、去年、ビブリオバトル首都決戦、約百の大学でやりましたが、今度は東京の高校生、首都圏の高校生を対象に、書評合戦首都大会を開催いたします。本を読まないとしゃべれないという、これが書評合戦です。
 また、高校生の挑戦意識や価値観の異なる他者と対話する力を高めるため、都立高校生の留学支援を拡充するとともに、新たに私立高校についても支援を開始します。
 さらに、去年からやりましたが、全都立高校で実施している一泊二日の宿泊防災訓練の内容をさらに充実させて、高校生の社会貢献意識を高めていきたい。
 資源のない我が国の存立基盤は、人であります。日本の心臓である東京が、日本を支え、変えていくために、さまざまな課題と向き合い、乗り越え、次代を切り開いていく人間を育成していきたいと思います。
 子育て支援のあるべき姿についてでありますが、かつて祖父母や近隣住民に助けられ、多くの人とかかわりながら子育てをすることが可能だった時代には、親は周囲の人から子育ての知恵を学ぶことができました。
 しかし、子育て世帯の九割近くが核家族となり、地域社会とのつながりも希薄になった現在の東京では、子育て家庭の孤立化が問題となり、子育てに対する不安や負担を感じる親も少なくありません。
 子どもはみんなそれぞれ個性や能力を持ち、将来への限りない可能性を秘めています。どんな社会環境であっても、すべての子どもたちを次代の後継者として、ひとしく健やかに育てていくことは、親だけでなく、社会全体の責務であり、子どもを産み育てることを望む人たちが安心して子育てできる環境を、住民団体やNPOなどの地域の力、企業など民間の力と連携して整備していくことが行政の役割であります。
 そのために、まず来年度の予算で、東京スマート保育の創設を初めとした保育サービスの拡充、こども救命センターにおける退院支援コーディネーターの配置など小児医療の充実、この四年間で二百三十一床から二百九十一床まで整備が進んだNICUのさらなる増設など、子育て支援のための新たな施策を盛り込んでいます。
 今後とも、こうした具体的な施策を積み重ねながら、子育てしながら働く女性を支援し、安心して子育てができる東京をつくっていきたいというふうに思っています。
 救急医療体制の充実についてでありますが、病気やけがは、いつどこで起きるか予測できません。どんなときでも、だれもが症状に応じた適切な医療を受けられる体制をつくることが救急医療の基本であります。
 そのため、初期、二次及び三次救急医療の体制を整備し、三次救急医療を担う救命救急センターを都内で二十六カ所指定しています。また、広尾病院など四つの都立病院には、東京都独自の東京ERを設置し、地域の医療機関と連携しながら、初期、二次、三次救急医療を一体的に提供しています。
 さらに、専門医による対応が必要な小児や妊産婦に関しては、こども救命センターや総合周産期母子医療センターなどを整備し、緊急を要する患者を確実に受け入れる体制を整えています。
 患者の搬送についても、救急医療の東京ルールを定め、東京消防庁に搬送コーディネーターを配置して医療機関への迅速な搬送に努めており、来年度はこうした取り組みに加え、ひとり暮らし高齢者など搬送調整に時間を要する患者を受け入れる病院をふやし、救急搬送患者を受けとめる仕組みを強化いたします。
 救急医療は、都民の安全と安心を守るとりでであります。今後とも、医療機関の現場の声を聞きながら、都における救急医療体制を一層充実させていくつもりでいます。
 犯罪被害者等権利章典の策定についてでありますが、犯罪被害者やその遺族が、犯罪により生命、身体を直接的に脅かされるだけでなく、その後も身体的、精神的あるいは経済的に過酷な状況に置かれることは、まことに理不尽であります。過酷な状況に直面した犯罪被害者の切実な思いにこたえる、社会全体で被害者の人権を守り支えていくことが必要であり、ニーズに即した具体的な支援を迅速に行うことが何よりも重要であります。
 お話に出たイギリスの被害者憲章は、犯罪被害者が有する基本的権利等について政府が宣言したものであります。我が国でも、犯罪被害者等基本法などにおいて同様の内容が明記されており、東京都が改めて犯罪被害者等権利章典を策定する必要はないというふうに考えます。
 今後とも、犯罪被害者等基本法にのっとり、被害者や関係団体の声を受け、支援施策を総合的かつ体系的に示した東京都の計画に基づいて、区市町村、民間団体とも連携して、被害者支援に積極的に取り組んでいきます。
 今後の多摩振興についてでありますが、多摩地域は、戦後の高度成長に伴う人口の増加を吸収し、東京の人口の三分の一を擁するまでになりました。また、最先端産業や数多くの大学、研究機関が集積し、製造品出荷額では区部を上回るなど、東京の発展の一翼を担うとともに、奥多摩を初め豊かな自然環境に恵まれた多様な魅力を持つ地域であります。
 一方、多摩地域は、区部に先行した人口減少局面の到来、大規模団地や都市インフラの老朽化、大規模工場の相次ぐ撤退などの課題も発生していることは認識しています。
 こうした時代の変化に対応するため、多摩地域の特性を最大限に活用し、あらゆる世代が交流する暮らしやすいまちづくりや成長産業への参入など、これからの多摩の方向性を示す新たな多摩のビジョンを今般策定いたします。そのビジョンに基づいて、各市町村とも十分連携して、魅力と活力にあふれた多摩の実現に向けて取り組んでいきます。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをします。
 まず、中学校第一学年の学級編制についてでありますが、中一ギャップ問題に対応するため、平成二十二年度から計画的に教員の加配を拡大し、来年度、三十五人以下学級編制を可能とする教員の加配制度を完成させます。この加配は、学級規模の縮小のみならず、少人数指導、チームティーチングなど、各学校の実情に即した最適な方法を選択できるよう、弾力的な制度として実施をしており、今後ともこの方針を維持してまいります。
 中学校第一学年は、入学直後の環境の変化により、学習、友人関係、生活などに関する不安やストレスを抱え、学校不適応を起こしやすく、いじめの認知件数も最も多い時期であります。今回の加配の拡大は、こうした中一ギャップの予防、解決に効果が大きいと考えております。
 次に、スクールカウンセラーの活用についてでありますが、都教育委員会では、臨床心理に高度な専門性を有するスクールカウンセラーを平成七年度から順次配置し、学校における教育相談の充実を図ってまいりました。
 配置校からは、スクールカウンセラーへの児童生徒の相談がいじめの早期発見につながり解決した事例や、いじめている児童生徒に対してもカウンセリングを行うことで、いじめの再発防止につながった事例などの報告があり、いじめ問題の対応に成果を上げております。
 今後、期待される役割の徹底を図るため、手引を活用し、すべてのスクールカウンセラーを対象とした研修や、各学校における教員向けの教育相談に関する研修などの実施を通して、いじめ問題の解決に向けた取り組みを充実し、スクールカウンセラーの一層の活用を図ってまいります。
 次に、体罰問題への対応と今後の方向性についてでありますが、都教育委員会は、大阪市立高校の体罰事件を受け、一月十七日、適切な部活動指導の推進について通知するとともに、体罰の実態調査を開始いたしました。現在、都内公立学校において調査を進めており、三月末に概要を取りまとめる予定であります。
 都立学校における重大な体罰について、都教育委員会は調査チームを派遣し、適切に対応するとともに、外部委員を含めた体罰調査委員会において、実態や背景を解明することといたしました。
 今後、緊急に教員用パンフレットを作成し、顧問教諭対象の研修会を開催して、改めて体罰禁止の徹底を図ってまいります。
 また、部活動指導のあり方を検討する委員会を早期に立ち上げ、総合的な対策を講ずることにより、体罰の根絶に向け、学校と一体となって取り組んでまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 耐震、耐水事業における都民の防災意識の向上についてでございますが、事業の実施に当たりましては、都民に工事の内容や事業の必要性、効果などをわかりやすく周知することにより、防災に対する意識を高めていただくことも大切でございます。
 都はこれまでも、住民説明会の実施や工事広報看板を現地に設けるほか、大規模工事などにおきましては、事業をPRするインフォメーションセンターの設置や、地元区と連携した町会や小中学校を対象とする現場見学会などを実施しております。
 今後とも、だれにでもわかりやすいイラストや映像、さらにはツイッターなどを活用した広報など、なお一層の情報発信や普及啓発に努め、防災意識の向上を図ってまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 尖閣諸島活用基金を国に託す上での考え方についてのご質問にお答えいたします。
 島々は国の所有となりましたが、今後は、その活用を図ることが肝要であります。昨年九月、国の所有に先立ちまして、東京都は現地調査を行い、地元漁業者のための施設の設置や自然環境の保護などの必要性を確認いたしました。
 今後も、国に対して島々の活用に資する取り組みについて提案等を続けてまいります。
 いずれにせよ、基金を託すに当たりましては、寄附者の志が生かされることが重要であり、国の動向を見きわめながら適切に判断してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、防災の広域的な応援体制についてでありますが、首都直下地震などの大規模災害に備え、広域応援を担う自衛隊、警察、消防との連携強化はもとより、他県市との相互支援体制を確保していくことが重要であります。
 このため、まず、全国から集結する自衛隊、警察、消防との連携について、初動時の各機関の活動内容をあらかじめ定めた対処要領を策定し、都内各地で応援部隊の受け入れと活動が迅速に展開できるようにしてまいります。
 また、職員派遣や支援物資、資機材の提供など、他県市との相互支援の強化に向け、全国知事会では、あらかじめ被災県ごとに支援担当府県を定めるとともに、九都県市においても、関西広域連合との意見交換を踏まえ、首都圏を超えた応援体制について検討を進めております。
 こうした取り組みを加速するとともに、自衛隊等の応援部隊や他県市と共同で実践的な訓練を行うなど、広域的な観点に立ち、首都直下地震への備えを強固にしてまいります。
 次いで、立川断層帯地震についてでありますが、立川断層帯地震は、首都直下地震と比較して発生頻度はまれであると考えられますが、文部科学省から、東日本大震災の影響で発生確率が高まった可能性もあると指摘されたことから、都は、昨年四月、被害想定を策定いたしました。
 今回、文部科学省は、より詳細な断層帯の実像を把握するため、三カ年のプロジェクトとして、大規模なトレンチを掘削して地層を観察するなどの調査を進めております。
 都といたしましては、このプロジェクトに協力し、関係市町とも連携して、都民に的確に情報を伝えていくとともに、今後得られる調査、観測の成果を踏まえ、防災対策の充実につなげてまいります。
 次いで、都内避難者への支援についてであります。
 都はこれまで、各局や関係機関と連携し、さまざまな情報の定期的な提供、相談窓口の設置、就労、就学支援、孤立化の防止など、生活全般にわたりきめ細やかな取り組みを行ってまいりました。
 このうち、孤立化防止については、区市町村や社会福祉協議会などと連携し、戸別の訪問活動や避難者同士の交流の場の提供など、さまざまな取り組みを進めております。
 こうした取り組みに加え、今回の東雲住宅における事例を受け、避難者に身近な自治会などとも連携し、情報を共有し合うなど見守り活動の充実を図ってまいります。また、区市町村の避難者支援担当者を対象とする連絡会を開催し、効果を上げている戸別訪問の事例紹介を行うなど、避難者の孤立化を防ぐ取り組みを強化しております。
 都といたしましては、避難元自治体とも十分に連携し、避難者が安心して生活を送れるよう、避難者支援に引き続き積極的に取り組んでまいります。
 次いで、復興対策についてでありますが、大規模災害から速やかな復興を果たすため、都は、各局の役割分担や復興事業の執行手順等を示した震災復興マニュアルを策定し、事前の備えに取り組んでまいりました。
 とりわけ、発災後早期の生活再建に不可欠な罹災証明発行業務について、発行手続や被災者台帳構築などを迅速化するシステムを国と共同して開発するなど、平時から復興対策を推進してまいりました。
 国は現在、東日本大震災の特別復興対策を今後の大規模災害でも発動できる制度として検討しているところであり、また一方で、被災された各県では復興に向けた具体的な取り組みが進められております。
 都といたしましては、こうした国の動きや各県の復興状況から得られる教訓を踏まえ、今後さらなる復興対策の強化に取り組んでまいります。
 次いで、多摩地域の犯罪被害者支援体制についてであります。
 都は、区部と同様に、多摩地域の被害者に対しても、都と共同で総合相談窓口を設置している被害者支援都民センターによる電話や面接での相談、精神的ケア、検察、裁判所等への付き添いのほか、被害者のところへ出向いての相談支援も行っております。
 また、被害者が身近な市町村で相談し、支援を受けられるよう、市町村の相談窓口機能の充実にも取り組んでおります。
 具体的には、都と都民センターが連携して市町村職員への研修を行うとともに、市町村訪問や情報交換、助言を実施しております。
 今後とも、都民センターや市町村と連携し、こうした取り組みを着実に推進し、一体となって多摩地域における被害者支援体制の構築を図ってまいります。
 次いで、再生可能エネルギー源を生かした多摩のまちづくりについてであります。
 多摩地域を安全で魅力あるまちとするためには、地域の強みである豊かな自然環境を生かしたエネルギー創出の取り組みなど、環境に優しいまちづくりを進めていくことも必要であります。
 このため、新たな多摩のビジョンでは、多摩地域が有する豊かな自然など多様な資源を活用した再生可能エネルギーの普及や、スマートシティーのモデル構築などを今後の多摩地域の重要な方向性として位置づけました。
 今後、市町村はもとより、さまざまな主体とも連携しながら、ビジョンで掲げた低炭素で自立分散型エネルギーのまちづくりの推進に取り組んでまいります。
 最後に、小笠原諸島の航空路についてであります。
 小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要と認識をしております。このため、都は、平成二十年に都と小笠原村で構成する小笠原航空路協議会を設置し、これまで航空路開設についてさまざまな検討を行ってまいりました。
 航空路開設に当たっては、ご指摘の三案を中心として、陸域、海域への影響や希少な動植物の生態に与える影響に加え、費用対効果、運航採算性、安全性の確保、最新の航空機材の技術開発動向などを勘案し、実現可能な航空路案の取りまとめに向け、慎重に課題整理を行っております。引き続き、自然環境との調和を初め、さまざまな課題について幅広く検討をしてまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 特別区消防団運営委員会の答申を踏まえた東京消防庁の今後の取り組みについてでありますが、昨年、各区の消防団運営委員会から、木造住宅密集地域や大規模商業施設が集中する地域などを対象に、その特性に応じた震災時の多岐的な消防団活動の必要性が答申されました。
 この答申を受け、当庁では、災害態様に即した新たな災害活動基準づくりや消防団員の安全確保対策を推進していくとともに、消防団活動に必要な資機材等の拡充に努めてまいります。
 さらに、震災時における被害軽減のため、消防団と地域住民、自主防災組織等とのより一層の連携強化による実践的な訓練を推進するなど、地域防災力の向上を図ってまいります。
 今後も、地域特性に応じた即時性の高い消防団活動体制の充実に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度についてでございますが、不燃化特区は、都区の緊密な連携が重要であり、積極的に現場で取り組む区への支援を重点的、集中的に行うこととしております。
 木密地域には、住民の高齢化や権利関係の複雑さなど、地域の改善が進みにくいさまざまな課題があり、これらにきめ細かに対応する必要がございます。このため、区の体制を強化する観点から、事業に必要な専門的な知識を有する弁護士や税理士等を活用する際に助成を行うことといたしました。加えて、区が独自に取り組む住民への助成制度に対して都も新たに支援を行うなど、区の後押しを進め、木密地域の不燃化を強力に推進してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震診断については着実に進捗しており、今後は、補強設計や改修工事に速やかにつなげていくことが重要でございます。
 このため、区市町村や関係団体とも連携し、診断が完了した建物の所有者に対して、個々の事情を勘案しながら情報提供や助言を丁寧に行っていくとともに、助成制度を初めとするさまざまな支援策を講じていくことで、所有者の主体的な取り組みを促してまいります。
 また、個々の建物の状況や所有者の事情にも十分配慮しながら、条例に基づく指導や勧告などを適切に活用することも必要でございます。
 引き続き、都としては、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市推進事業についてでございますが、本事業は、家庭向けの燃料電池や事業所向けのコージェネレーション設備など、いまだ初期投資が大きい機器の設置費用を補助し、普及拡大を進めるとともに、エネルギー利用の効率化を誘導する施策でございます。
 国の補助制度に上乗せして活用することができますので、例えば蓄電池であれば、費用の三分の一を国が、六分の一を都が補助し、合わせて二分の一のコストで購入することができます。また、基金を造成して、家庭向けは五年間、事業所向けは七年間にわたる交付期間を設け、継続的に普及拡大と価格の低減を促進してまいります。
 次に、地域エネルギーマネジメントについてでございますが、都は昨年度から、都心部におきまして、コージェネレーション設備を活用した電気と熱の一体的な管理による地域エネルギーマネジメントシステムの構築に向けた調査を行っております。
 このシステムは、地域ごとのエネルギーの利用特性や供給可能性に応じた取り組みでございまして、業務系、住宅系など、各地域の特性に応じて電気と熱の最適な需給調整を行う必要がございます。
 今後、住宅系地域におきましては、関係局と連携しまして、コージェネレーション設備を活用した集合住宅の普及拡大を図るほか、新たな補助事業により、家庭におけるエネルギー利用の効率化を促進し、東京全体のエネルギー需給の最適化を図ってまいります。
 最後に、公有施設等における再生可能エネルギーなどの導入促進についてでございますが、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを普及拡大する上で、公有施設で率先導入することは重要でございまして、浄水場のろ過池へのふたの設置に合わせたメガソーラーや、給水所への送水圧力を利用したマイクロ水力発電など、都施設への導入を進めてきております。豊洲新市場でも、二千キロワットの太陽光発電を設置する計画でございます。
 また、新築、大規模改修を行う都施設には、昨年度改定しました省エネ・再エネ東京仕様を適用し、建物の用途や立地条件等に応じ、原則として再生可能エネルギーを導入することを明確化しております。
 都は、今後とも、さまざまな手法を駆使し、都施設はもちろん、広く民間施設にも再生可能エネルギーなどが活用されるよう取り組んでまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 都はこれまで、海外展開を図る中小企業に対しまして、販路開拓の支援や知的財産の保護活用に関する支援を実施してまいりました。新年度は、販路開拓の分野で専門人材を確保いたしまして相談体制の充実を図るとともに、海外での知的財産のトラブルに対処するため、実用新案権の取得を助成対象に追加いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、海外市場を目指す中小企業を支援してまいります。
 次に、金融円滑化法終了に伴います経営支援についてでございます。
 円滑化法により借入条件を変更中の中小企業が経営の改善や事業の再生などを着実に進めるためには、都が適切な支援を行うことが有効でございます。
 都は、経営改善に向けた計画の策定をサポートするための相談対応や、経営の専門家が会社の現場に出向いて助言を行う取り組みを進めております。
 また、中小企業振興公社において事業再生などの相談に対応いたしますとともに、内容が複雑な案件は、専門家などが解決の方針を示し、企業に提案を行っております。円滑化法の終了により、事業の抜本的な再生が必要な企業に対しましては、今後は継続的なサポートを行ってまいります。こうした取り組みにより、中小企業の経営支援を的確に進めてまいります。
 次に、円滑化法終了に伴います金融支援についてでございます。
 借入条件を変更中の中小企業が経営改善を進めるためには、金融機関が円滑な資金供給を行うとともに、企業の取り組みを後押しすることが重要でございます。
 このため、都は、制度融資におきまして、金融機関による中小企業への貸し出しの原資となる預託金を、新年度も引き続き十分に確保しております。
 また、昨年新設いたしました経営力強化融資は、国の認定を受けた金融機関等のサポートを受けながら経営改善に取り組む中小企業を対象といたします制度融資メニューであり、今後はその拡充を初め、金融支援の充実を図ってまいります。引き続き、金融機関と連携しながら、中小企業の資金繰りを支援してまいります。
 次に、若年者就業対策についてでございます。
 若者の雇用環境は、やや改善したものの、失業率はいまだ高い水準にあるなど、厳しさが続いています。
 このため、都は、東京しごとセンターにおいて、個別担当制によるキャリアカウンセリングやセミナー等のきめ細かい支援を行っております。
 これに加えて、紹介予定派遣制度を活用したプログラムを実施するなど、正規雇用を望む意欲ある若者の就職を後押ししてまいりました。新年度は、このプログラムの事業規模を拡大して実施いたします。また、若者の職場定着を促進するため、しごとセンターにおいて新たなプログラムを実施いたします。
 こうした取り組みを通じ、意欲ある若者の就業と職場定着を支援してまいります。
 次に、女性の就業促進についてでございます。
 働く意欲のある女性が能力を十分発揮できる機会を確保することは、企業経営の面からもますます重要となっており、そのためには社会的機運の醸成が必要です。
 都では、女性が結婚や出産後も継続して就業できる仕組みづくりなど、仕事と家庭生活の両立についてすぐれた取り組みを進める企業を認定し、その内容を広く発信するなど、ワークライフバランスの推進を図ってまいりました。
 また、出産等を契機に離職した女性の再就職を支援するために、保育サービスつきの職業訓練を実施いたしますとともに、企業向けに女性の能力発揮促進マニュアルを作成、配布するなど、その積極的登用も後押ししております。
 引き続き、こうした取り組みを通じまして、職場における女性の活躍を支援してまいります。
 最後に、高年齢者雇用についてでございます。
 本年四月に施行される改正高年齢者雇用安定法では、企業に対しまして、原則として、希望する従業員全員の六十五歳までの継続雇用措置を義務づけております。法の施行後は、高年齢者と若年者のそれぞれの長所を企業活動に生かしながら、その活用を進めることが望まれます。
 都では、労働相談やセミナーなどを通じて、改正法の趣旨と遵守につきまして助言や普及啓発を行っています。さらに、新年度は、改正法に係る都内企業の具体的な取り組み内容や従業員の意識などについて実態調査を実施し、その結果を取りまとめることとしております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、高年齢者が安心して働き続けられる職場環境づくりを促進してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車のナンバープレート制度についてでありますが、この制度は、自転車利用者のルールの遵守やマナーの向上に有効な方策であると考えられます。
 しかし、真に効果的な制度として円滑に運用するためには、防犯登録との関係の整理や都外から乗り入れる自転車の取り扱い、そして制度導入時の移行期間の設定のあり方など、検討、解決すべき事項もございます。
 都といたしましては、自転車の製造業者や販売業者、そして利用者などの意見も踏まえ、ナンバープレート制度の導入の是非やそのあり方について、引き続き検討してまいります。
 次に、駐輪場所の確保についてでありますが、自転車の安全で適正な利用を促進する条例案は、自転車の利用を抑制するものではなく、放置の防止も含め、安全で適正な利用を促進するためのものでございます。
 そこで、自転車の放置防止対策として、自転車通勤を認めている事業者にも一定の責任を担っていただくため、通勤用自転車の駐輪場所の確保等を求めることといたしましたが、都は、地域の実情を踏まえた駐輪場の整備が進むよう、今後も区市町村等に対して、情報の提供、関係者による協議の場の設定などの必要な協力をしてまいります。
 なお、都は、スマートフォン等を通じて駐輪場の位置情報を提供することを、民間事業者と協力して開始する予定でございます。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進についてでございます。
 都民がスポーツを実施するに当たっては、世代や生活環境、健康状態によってさまざまな課題がございます。
 このため、都は、新たに策定する東京都スポーツ推進計画に基づきまして、多世代の人々が身近にスポーツを楽しめる場である地域スポーツクラブの設立を推進するとともに、働く世代が参加しやすい時間や曜日の設定の工夫、イベント開催時における託児サービスの導入、そして高齢者対象のスポーツ教室の開催など、地域スポーツクラブが行う取り組みを支援してまいります。
 さらに、だれもが、スポーツをしたいときに、したい場所で楽しめるよう、ソーシャルネットワーキングサービスを活用した情報発信を強化することなどを通じて、幅広い世代のスポーツ実施をさらに推進してまいります。
 次に、地域スポーツとトップスポーツの好循環についてでございます。
 世界を舞台に活躍したアスリートが地域スポーツに貢献することは、住民のスポーツへの参加意欲を誘引するとともに、次世代のアスリートの発掘につながることが期待できます。また、アスリートにとっても、モチベーションの維持向上、引退後のセカンドキャリアの形成にもつながるものでございます。
 このため、都は、東京都スポーツ推進計画において、トップアスリートを地域の指導者として迎える仕組みの構築に取り組んでまいります。
 今後、地域、アスリート双方のニーズの把握や課題の検証を行うモデル事業を通じて、東京アスリートサイクルを構築し、人材の好循環を図り、一層のスポーツの普及促進に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、健康推進プラン21の改定についてでありますが、今回のプランでは、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を総合目標に掲げ、どこに住んでいても、生涯にわたり健やかに暮らせる社会の実現を目指し、都の特性や都民の健康状況を踏まえた目標を設定するとともに、その達成に向けた都民、東京都、関係機関の役割や取り組みを明確化しております。
 目標としては、がん、糖尿病、メタボリックシンドローム、心の健康など、特に対策が必要な十四分野を設定し、都民には、生活習慣の改善方法など、それぞれの目標達成に向けた取り組みをわかりやすく示したほか、関係機関には、効果的で具体的な取り組みの内容を明示しております。
 次に、認知症対策の基本的な考え方と今後の取り組みについてでありますが、都は、認知症になっても、できる限り住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現を目指し、認知症対策を推進しております。
 こうした考えに立って、都は、地域の関係機関のネットワークづくりや認知症疾患医療センターの設置など、認知症の状態に応じて早期に適切な医療、介護、福祉サービスが提供される環境の整備に取り組んでおります。
 来年度は、区市町村と認知症疾患医療センター等が連携して認知症の疑いのある方を訪問し、必要な支援につなげる仕組みを構築する等、地域における認知症の早期発見、診断、対応の取り組みを進めてまいります。
 次に、地域での孤立化防止に取り組む区市町村への支援についてでありますが、現在、区市町村では、高齢者等の安心・安全を確保するため、地域住民による声かけや配食サービスを活用した安否確認、緊急通報システムによる見守りなど、さまざまな取り組みを行っており、都は包括補助事業により、こうした取り組みを支援しております。
 また、今年度は、見守りの担い手である地域包括支援センターの職員、民生委員等から成る関係者会議を開催し、高齢者を初めとした、地域で孤立している方々への効果的な支援策を取りまとめているところでございます。
 今後、この成果も活用しながら、区市町村における取り組みが一層進むよう支援してまいります。
 最後に、障害者の地域移行へ向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、障害者の地域移行を進めるため、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や定期借地権の一時金に対する補助を行い、グループホームや通所施設など、地域での生活基盤の整備を進めてまいりました。
 また、地域生活移行に向けて、本人や家族、区市町村、施設職員を対象にしたセミナーを実施するほか、支援者向けのマニュアルについても現在作成しているところでございます。
 来年度は、入所施設にコーディネーターを配置し、障害者への支援を行うこととしており、今後とも、区市町村や相談支援事業者と連携して、地域移行に向けた取り組みを一層強化してまいります。

〇議長(中村明彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

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