平成二十五年東京都議会会議録第一号

平成二十五年二月二十日(水曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大場やすのぶ君
四番和泉 武彦君
五番近藤  充君
六番福士 敬子君
八番野上ゆきえ君
九番佐藤 広典君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番松葉多美子君
二十番小宮あんり君
二十一番吉住 健一君
二十二番桜井 浩之君
二十三番山崎 一輝君
二十四番鈴木 章浩君
二十五番くりした善行君
二十六番山内れい子君
二十七番小山くにひこ君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番伊藤こういち君
三十七番大松あきら君
三十八番中山 信行君
三十九番高倉 良生君
四十番菅  東一君
四十一番田中たけし君
四十二番鈴木 隆道君
四十三番宇田川聡史君
四十四番高橋 信博君
四十五番中屋 文孝君
四十六番鈴木あきまさ君
四十七番柳ヶ瀬裕文君
四十八番星 ひろ子君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番上野 和彦君
六十番吉倉 正美君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番矢島 千秋君
六十五番高橋かずみ君
六十六番三宅 正彦君
六十七番早坂 義弘君
六十八番相川  博君
六十九番山加 朱美君
七十番吉原  修君
七十一番林田  武君
七十二番西崎 光子君
七十三番伊藤 ゆう君
七十四番原田  大君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番西岡真一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番服部ゆくお君
八十八番こいそ 明君
八十九番きたしろ勝彦君
九十番高木 けい君
九十一番神林  茂君
九十二番遠藤  衛君
九十三番三原まさつぐ君
九十四番田島 和明君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番泉谷つよし君
九十七番くまき美奈子君
九十八番大西さとる君
九十九番今村 るか君
百番増子 博樹君
百一番いのつめまさみ君
百二番小沢 昌也君
百三番石毛しげる君
百四番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番三宅 茂樹君
百十一番山田 忠昭君
百十二番村上 英子君
百十三番野島 善司君
百十四番川井しげお君
百十五番吉野 利明君
百十六番宮崎  章君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番斉藤あつし君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番和田 宗春君
百二十六番馬場 裕子君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 一名
  七番 土屋たかゆき君
 欠員
    十番 八十番

 出席説明員
知事猪瀬 直樹君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長前田 信弘君
総務局長笠井 謙一君
財務局長中井 敬三君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長小林  清君
警視総監西村 泰彦君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長中西  充君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長中村  靖君
水道局長増子  敦君
消防総監北村 吉男君
下水道局長小川 健一君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長塚田 祐次君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長醍醐 勇司君
包括外部監査人松本正一郎君

二月二十日議事日程第一号
第一 第一号議案
  平成二十五年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成二十五年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成二十五年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成二十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成二十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成二十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成二十五年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
  平成二十五年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成二十五年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
  平成二十五年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
  平成二十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
  平成二十五年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
  平成二十五年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
  平成二十五年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
  平成二十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成二十五年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成二十五年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成二十五年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成二十五年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成二十五年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成二十五年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成二十五年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例
第二十九 第二十九号議案
  東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例
第三十 第三十号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都職員互助組合に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都新型インフルエンザ等対策本部条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都災害対策本部条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  障害者自立支援法施行条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都介護福祉士等修学資金貸与条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  東京都が設置する水道の布設工事監督者に関する資格等を定める条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例
第百十二 第百十二号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
  警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都営住宅二十四H─一一四東(江戸川区船堀一丁目第二)工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都営住宅二十四H─一一〇東(北区神谷二丁目)工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都立足立高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都立荏原看護専門学校(二十四)改築工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都立日比谷高等学校(二十四)校舎棟改修工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  東京消防庁八王子消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  平成二十四年度十号地その二多目的内貿岸壁(―(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
第百二十五 第百二十五号議案
  環二勝どき高架橋(仮称)鋼けた及び鋼製橋脚製作・架設工事(二十四 一─環二築地)請負契約
第百二十六 第百二十六号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十七 第百二十七号議案
  東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百二十八 第百二十八号議案
  境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百二十九 第百二十九号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
第百三十 第百三十号議案
  土地の買入れについて
第百三十一 第百三十一号議案
  平成二十五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十二 第百三十二号議案
  平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十三 第百三十三号議案
  東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十六 第百三十六号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成二十四年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成二十四年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百四十 第百四十号議案
  平成二十四年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四十二 第百四十二号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第百四十三 第百四十三号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第百四十四 第百四十四号議案
  東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百四十五 諮問第一号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第百四十六 諮問第二号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第一号
  東京都議会会議規則の一部を改正する規則
第二 議員提出議案第二号
  東京都議会委員会条例の一部を改正する条例
第三 議員提出議案第三号
  東京都政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例
第四 議員提出議案第四号
  東京都議会図書館条例の一部を改正する条例
第五 議員提出議案第五号
  核兵器廃絶に関する決議

   午後一時開会・開議

〇議長(中村明彦君) ただいまから平成二十五年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、去る十二月十六日執行されました東京都議会議員の補欠選挙において当選されました議員の議席を、会議規則第二条第二項の規定により、大場やすのぶ君を三番に、和泉武彦君を四番に、近藤充君を五番に、それぞれ指定いたします。

〇議長(中村明彦君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十五番  畔上三和子さん 及び
   六十四番 矢島 千秋君
を指名いたします。

〇議長(中村明彦君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 平成二十五年二月十三日付東京都告示第百二十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成二十五年二月十三日付及び二十日付で、本定例会に提出するため、議案百四十六件の送付がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十五年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十五年二月十三日付で、平成二十四年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が三件ありました。
 内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例の報告について、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十四年工事監査、平成二十四年財政援助団体等監査及び平成二十四年行政監査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成二十四年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(二〇ページ)に掲載〕

〇議長(中村明彦君) 次に、新たに当選されました諸君を順次ご紹介申し上げます。
 三番大場やすのぶ君。
   〔三番大場やすのぶ君登壇〕

〇三番(大場やすのぶ君) 昨年十二月十六日の補欠選挙におきまして選出させていただきました世田谷の大場やすのぶでございます。どうぞ皆様よろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 四番和泉武彦君。
   〔四番和泉武彦君登壇〕

〇四番(和泉武彦君) 昨年十二月十六日に選出させていただきました葛飾区和泉武彦でございます。精いっぱい活動させていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 五番近藤充君。
   〔五番近藤充君登壇〕

〇五番(近藤充君) 東京都議会自民党所属八王子選挙区の近藤充でございます。先輩諸氏のご指導を心からお願い申し上げ、猪瀬都知事を初めといたします行政理事者の皆様には、これからお世話になりますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって紹介は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、警視総監樋口建史君の退任に伴い、新たに西村泰彦君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監西村泰彦君。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 去る一月二十五日付で警視総監を命ぜられました西村でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。
 都内の治安情勢は、警視庁が総力を挙げて取り組んでおります犯罪抑止総合対策の効果などにより、刑法犯認知件数は、平成十五年から十年連続で減少しております。また、交通事故発生件数は、平成十三年から十二年連続で減少し、とりわけ昨年の交通事故死者数は、戦後最も少ない人数に抑止することができました。
 しかしながら、被害が大幅に増加した振り込め詐欺への対策や、巧妙化するサイバー犯罪への対応が急務となっているほか、都民の方々から要望が高い防災対策や、スポーツ祭東京二〇一三に伴う警備など重要課題が山積しております。
 警視庁といたしまして、こうした課題に的確に対処し、犯罪や交通事故の減少傾向をさらに進めるため、本年も、犯罪抑止総合対策を初め、振り込め詐欺対策、サイバー犯罪対策、重大交通事故防止対策等に全力で取り組んでまいる所存であります。
 都議会の皆様方には、今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって紹介は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る二月十三日付をもって、お手元配布の名簿のとおり、各委員より、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の常任委員の選任について申し上げます。
 委員会条例第五条第四項の規定により、去る一月十七日付をもって、議長において、新たに当選されました大場やすのぶ君を環境・建設委員に、和泉武彦君を都市整備委員に、近藤充君を財政委員に、それぞれ指名いたしました。

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る一月十七日付をもって、笹本ひさし君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって柳ヶ瀬裕文君を指名いたしました。

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック招致特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る一月十七日付をもって柳ヶ瀬裕文君及びたぞえ民夫君より、それぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって林田武君、吉田信夫君を指名いたしました。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、東京都議会会議規則の一部を改正する規則外条例三件、決議一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十八日までの三十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間と決定いたしました。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成二十四年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、平成二十四年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、松本正一郎包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人松本正一郎君入場、着席〕

〇議長(中村明彦君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 松本正一郎さんです。
   〔包括外部監査人あいさつ〕

〇議長(中村明彦君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席いただき、まことにありがとうございます。

〇議長(中村明彦君) この際、知事より、平成二十五年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事猪瀬直樹君。
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 平成二十五年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る十一月十日、名誉都民である森光子さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 東京都知事に就任してから二カ月余りが過ぎました。この間、東京と日本が直面しているさまざまな問題について、予算の査定や各局からの報告の場で職員とも中身の濃い議論を重ねてまいりました。日本の沈没を防ぐのは東京にしかできないということを改めて強く確信し、今、その重責に身が引き締まる思いであります。
 選挙を通じ、さらには就任後も、さまざまな機会を通じて強く感じてきたのは、都民の皆様の思い、単に現状を変えてほしいというだけでなく、改革のスピードを加速させてほしいという願いであります。
 私は、その期待にこたえるべく、事実に基づいて決断し、何としてもやり遂げるという意志の情熱で改革を断行し、東京からこの国の将来を切り開いていく覚悟であります。
 申し上げるまでもなく、都政は、執行機関である知事と議決機関である議会の二元代表制であります。私は、都議会の皆様の意見に真摯に耳を傾け、建設的な議論を交わしてまいります。そのことが、東京をさらに高いレベルへと引き上げることになると確信しております。
 本定例会は、私にとっては、知事として臨む初めての都議会であります。個別の政策展開を述べる前に、まずは、私の都政運営に対する基本方針について申し述べたいと思います。
 今の日本が置かれている状況、その中で東京が何をなすべきかを正しく認識するためには、まず、日本の近代からの歴史、その中で東京がいかに発展してきたのかということを理解する必要があります。
 百五十年前、明治維新を経て、我が国は近代国家への道を歩み始めました。ヨーロッパ植民地主義の弱肉強食の論理がアジアを席巻する中で、伊藤博文が憲法制定のためにヨーロッパに渡りました。そこで、ウィーン大学のシュタイン博士から助言を得て、当時の我が国の成熟度を勘案し、議会の権限を絞り、中央官僚による国家統制を軸にした大日本帝国憲法をつくり上げました。そして、議会制民主主義をだんだんと根づかせながら、富国強兵を進め、日清戦争、日露戦争に勝利し、不平等条約を改正して、欧米列強と対等な近代国家をつくり上げたのです。
 近代国家へのキャッチアップという目標を一応達成した日本は、目標を見失いながらも、国民国家としての道を歩み始めました。大正デモクラシーの時代です。東京には地方から人が集まり、田んぼの中を通っていた山手線に私鉄が接続することで、ターミナルステーションができ、デパートができました。そして、沿線にたくさんの住宅が生まれ、人口を吸収して、私鉄が不動産業のビジネスモデルをつくり上げたのです。沿線の農地が住宅に変わったとき、サラリーマンという職業と、通勤というライフスタイルが生まれ、大衆というものが生まれました。東京は郊外へと膨張、発展を遂げて、人々は大正のモダニズムを謳歌したのです。
 しかし、我が国は国民国家に生まれ変わることはできませんでした。政党が官僚機構を制御するという、近代の政党政治を確立しようとした総理大臣原敬が暗殺されたのです。さらに我が国は、ヨーロッパ諸国とは違って、第一次世界大戦という人類最初の総力戦、せん滅戦を実質的に経験することもありませんでした。この二つの近代日本の挫折が重なり合う中で、原敬の暗殺以降は短命内閣が続き、決められない無責任体制の政治は、軍部と官僚をコントロールできないまま、三百万人もの国民が犠牲になった第二次世界大戦へと突入していきました。官僚主権を抜け出せないまま、日本は近代の終えんを迎えたのです。
 戦後は、ソニーやホンダという企業も生まれ、新しい創業者の時代となりました。高度経済成長、一九六四年の東京オリンピックを経験し、再びの坂の上の雲を目指してバブルまで走ってきました。しかし、バブル崩壊後の失われた二十年の間、小泉政権の五年五カ月を除いて、首相は平均一年で交代し、我が国は迷路に入り込んでいきました。戦後日本の挫折です。政治の混迷は、戦前の原内閣以降と酷似した現象であり、こうした状況では、政治が官僚をコントロールできようはずもありません。戦前は天皇主権、戦後は国民主権というのが教科書の歴史ですが、その実は、戦前も戦後も一貫して官僚主権であります。さらに、東日本大震災という大災害にも見舞われたこの国は、大海原の中で羅針盤を失ったまま漂っているのです。
 私は、こうした歴史の軸を心に構えて、官僚主権に埋もれた力を見つけ出し、それを伸ばすことこそが日本を沈没から救うという思想で首都のかじ取りを担う決意をいたしました。
 東京は日本の心臓であります。日本を支え、変えていくためには、東京自体が力強く鼓動して、新鮮な血液を全国へと送り出さなければなりません。私は、人間社会の現実に向き合い、エビデンスを提示しながら、作品を結論に導く責任をとる文学ということを信念に作家活動を続けてきました。その責任感で道路公団改革に取り組み、政府の地方分権改革推進委員、そして、東京都の副知事としての仕事もしてまいりました。作家として培った力、発想力も駆使して、東京の生きた現場から霞が関の壁を打ち破り、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開することで、日本全体に改革のうねりを巻き起こしてまいります。
 改革の先にある社会の姿は、一人一人が輝く社会であります。時代おくれの規制や既得権益に封じられていたものを解き放つことで、新しい価値と富が創造され、それが社会の連帯を支え、さらに強固なものにしていく、そういう社会を築き上げていきます。人々や企業が自分の個性と才覚を最大限発揮できる環境を整え、強い人が弱い人を助け、余裕のある人が余裕のない人を助け、若者と高齢者が知恵と情報を伝え合う、そうしたきずなを張りめぐらせることで、東京を世界一の都市へと押し上げてまいります。
 それを実現するため、先般、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三を策定いたしました。これまでの都政の方向を継承しつつ、私が選挙で都民の皆様に約束したことについて、政策展開の方向性を示し、直ちに取り組みが可能なものを具体化しました。これにより改革をスピードアップするだけでなく、実行する過程で新たに生じた問題に対しても機敏に対応することで、改革をさらにブラシュアップしてまいります。
 私が知事として初めて手がけた平成二十五年度予算案は、スピード、先駆性、健全性、その三つを備えた攻めの予算として編成したものであります。国を動かし、民間活力を引き出しながら、新たな東京モデルを発信する先駆的な取り組みや、都民の安全・安心を守る取り組みに財源を重点投入することにしました。事業評価を通じて二百三十億円の財源を捻出し、現場の持つ強みを生かして知恵を出し合いながら、費用対効果の高い施策を練り上げました。また、福祉と保健の分野には、初めて一兆円を超える予算をつけました。
 一方、政策展開を支える都税収入は、増加に転じたものの、依然としてリーマンショック直後の水準にとどまっており、今後に備えて、中長期的な視点から財政基盤の強化を図ることにいたしました。家計でいえば借金に当たる都債の発行を今年度より一割、四百五十億円減らし、貯金に当たる基金残高は三百七十億円ふやします。これにより、基金残高については、手つかずのまま残している東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金四千億円を含めて、八千七百億円を確保いたしました。都は、これからも自己改革をたゆみなく進め、積極的な政策展開とそれを支える財政基盤の強化を両立してまいります。
 なお、来年度予算とあわせて、都民、国民の皆様から寄せられた志を、国による尖閣諸島活用の取り組みにつなげるため、基金を設置する費用などを盛り込んだ平成二十四年度の補正予算案を提案しております。よろしくご審議のほどお願いいたします。
 東京を世界一の都市として押し上げるための政策展開について申し上げます。
 世界の人口の半数が都市に集中する都市の世紀にあって、災害に強い都市を築くことは、世界をリードする東京の使命です。
 東京の急速な発展の中で生まれ、今日、防災上の最大の弱点となった木造住宅密集地域の不燃化は待ったなしであります。意欲ある地元区と連携して、不燃化特区の指定を現在の十二地区から五十地区に大幅に拡大してまいります。
 不燃化特区では、税制優遇や補助など、さまざまな支援メニューを展開します。整備を進める上でネックとなっていた古い空き家の除却を後押しし、新しい住宅の設計費用も助成します。また、延焼を遮断する役割を持つ地域の道路の整備も進め、燃え広がらないまちづくりを進めてまいります。
 大震災が起これば、行政による公助だけで対応することはできません。一人でも多くの方の命を救うべく、地域の自主的な防災の取り組みを後押ししてまいります。東京水道と東京消防が連携して、応急給水用の設備を初期消火にも活用できるようにします。応急時の給水に使用するスタンドパイプと仮設給水栓、消防用ノズルを地域に配布し、地元消防署と水道局が地域住民の方の訓練を実地で指導します。近隣の方には訓練の様子を見ていただくことも防災意識の向上につながります。組織に横ぐしを通し、現場でそれぞれが得意分野を生かして、地域の自助、共助の取り組みを広げていきます。
 将来を見据えて、地域防災の担い手も育成してまいります。小中学生が参加し、地域での防災訓練や社会奉仕の活動をしている都内の消防少年団は、三千人の団員がいますが、今後、毎年千人ずつふやして、三カ年で二倍の六千人にします。また、今年度から、すべての都立高校で行うことにした一泊二日の宿泊防災訓練を続けます。来年度は、地域の町会、自治会などと連携して、避難所の運営も経験させるなど、より実践的な訓練を実施することで、子どもたちの共助の意識を高めてまいります。
 大震災は、大都市における帰宅困難者の問題を浮き彫りにしました。帰宅困難者対策は、自助、共助、公助の適切な組み合わせなくして対応できない課題であります。昨年成立した帰宅困難者対策条例がこの四月から施行されます。民間の事業者にも、それぞれの従業員のために水と食料などを三日分備蓄するよう義務づけております。
 事業者の皆様、さらに備蓄の一割の上乗せをお願いいたします。この一割というのは、観光、ビジネス、ショッピングなど、災害発生時にまちに出ている人たちのためのものです。互いに助け合う共助の都市をつくっていくきっかけにもなります。東京都も、民間の一時滞在施設を拡充するため、備蓄品の購入を支援する補助制度を創設いたします。
 災害発生時に地上が混乱する中で、ヘリコプターによる空からの救出、救援活動が極めて有効であるのは、気仙沼の公民館から幼児を含む四百四十六人の人々を救出した例からも明らかであります。しかし、一刻を争う事態の中で、救出に向かうヘリコプターがみずからの飛行位置を確認し、どの建物に被災者が取り残されているのかが上空からすぐわからなければ、十分な活動はできないんです。そこで、学校や病院などの屋上に目印となるヘリサインを整備します。現在八百カ所しかありませんが、三カ年で一千六百カ所へと倍増させます。九都県市でもこの取り組みを促し、首都圏全体で展開することで、国も動かしていきます。
 臨海部や区部東部ゼロメートル地帯での津波、高潮対策も進めていきます。水門などの施設について、耐震性、耐水性の総点検を実施し、昨年末に、整備が必要な箇所と目標年次を明示した計画を策定して、すぐ具体の取り組みを開始いたしました。二〇二〇年までに、水門とその外側にある堤防、防潮堤、下水道のポンプ所の対策をすべて完了させ、東京を水害から守っていきます。
 こうした首都の防災力向上のためには財源が必要です。国は道理もなく奪った法人事業税を東京に返すべきであります。暫定措置の確実な撤廃に向け、都議会の皆様の一層のお力添えをお願いいたします。
 日本では、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。高齢者の方が、人とのつながりを持ち、いきいきと暮らしながら、必要なときに必要な支援を受けられる、こうした仕組みを築かなければなりません。東京都では四年前に、住宅か施設かという行政の縦割りを突破して、ケアつき住まいという新しいモデルを打ち立てました。このモデルを国に示して巻き込みながら、四年間で四千五百戸整備してまいりました。しかし、まだ不足しています。利用者の所得水準にも配慮した都市型軽費老人ホームについても、なかなか整備が進まない現状があります。そこで、地元区市町村と連携して、期間を限定した追加の支援策を実施し、ケアつき住まいは二年後に一万戸、老人ホームは四年後に二千四百人分を目指して、整備を加速いたします。このケアつき住まいを大幅にふやす都の政策は、民間資金の投資のインセンティブにもなると思います。実際になっています。行政だけでなく、みんなが力を発揮することで、高齢者の住まいを確保してまいります。
 認知症は、年齢を重ねる上での大きな不安です。しかし、早期に発見し治療を開始すれば進行をおくらせたり、病状を軽くしたりすることができます。このため、地域の力を生かした新たなシステムを構築します。地域の高齢者の見守り活動に加えて、区市町村に認知症コーディネーターを配置し、かかりつけの医師と連携して、認知症の疑いのある高齢者を訪問するなど病気の早期発見を進めます。また、医師、看護師、精神保健福祉士によるチームが、疑いのある方を直接訪問し、治療の開始に結びつけます。病気の疑いを家庭で判別するためのチェックシートも開発します。
 具体的な政策をきめ細かく展開することで、一人一人が輝きながら年を重ねていくことができる東京をつくってまいります。
 子どもを産み育てることの不安も払拭していかなければなりません。
 周産期医療については、副知事時代にNICUの診療報酬の改善、補助の拡充を国に実現させたことで、着実に整備が進んでおります。平成二十六年度末までに予定どおり三百二十床を整備します。かつては二百床しかありませんでした。
 小児医療においても、重篤な小児患者の命を救うこども救命センターに、退院支援コーディネーターを新たに設置します。空き病床を確保することで、緊急時に一人でも多くの命が救われるようにするとともに、入院した子どもが一日も早く自宅に戻れるようサポートしてまいります。
 国による全国一律の基準という概念を突破して生まれた認証保育所は、年々整備が進み、今や二万二千人分の保育ニーズにこたえるまでになりました。しかし、頑迷な国は、いまだ認証保育所を制度として認めておりません。国はというのは厚生労働省ですが、制度として正式に位置づけて財政支援を拡充するよう要求してまいります。さらに、都は全国に先駆け、保育ママと保育所の中間にある六人から十九人の子どもを預かる小規模保育についても、開設資金を全額補助するなどの支援策を開始いたします。六人から十九人のところがすき間になっている。この制度のすき間を埋めるため、東京スマート保育と、こういうふうに保育所の名前を定めまして、愛称ですけれども、略称スマ保というふうにして、待機児童を確実に減らしていきます。覚えやすい方がいいんです。
 自転車を原因とする交通事故は社会問題になっており、放置自転車は、都市の景観にも悪い影響を及ぼしています。本定例会には、ルールを守った自転車利用を目指し、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を提案しております。この条例によって、学校、家庭、企業での自転車の安全教育を推進いたします。公道を走る目的でブレーキのない自転車を販売することを禁止し、従業員の自転車通勤を認めている会社には駐輪場の確保を義務づけます。放置自転車対策では、既にこれをビジネスチャンスととらえる企業の先駆的な動きもあらわれており、こうした民間の力をさらに引き出しながら対策を進めます。
 麻薬や覚せい剤などと分子構造を少し変え、巧みに規制を逃れている脱法ドラッグ対策も進めます。今般、海外でしか確認されていないドラッグを分析し、国内に持ち込まれる前の段階でも都が独自に条例に基づく指定をすることで、販売を規制することにいたしました。海外でしか確認していないドラッグを条例で規制するのは、全国で初めてのことであります。東京が先陣を切ることで、国に早期の法指定を促しながら、危険な薬物の流通を阻止してまいります。
 日本が、世界との激しい国際競争に打ち勝つためには、首都の都市機能の強化を図っていかなければなりません。
 まず、地下鉄の一元化について申し上げます。
 首都の旺盛な活動を支える地下鉄は、高度経済成長期に整備を急いだ歴史的経緯もあり、本来、一つであるはずのものが、東京メトロと都営交通という二つの事業者によって、建設、運営されてまいりました。しかし、地下鉄のネットワークが成熟段階に入った今こそ、本来の姿に立ち返り、利用者利便の向上を図る必要があります。
 先般、国土交通大臣に面会し、いわゆるメトロ法について、東京都の株式売却を義務づけた規定の削除を要請するとともに、国が保有する株式の都への譲渡を求めました。その場で、東京都それから国土交通省の鉄道局と財務省の理財局、そして東京メトロ、これらから成る協議を再開することに合意いたしました。東京都が株を所有することで、責任を持って、経営の一元化を実現していきたいと、こう思っています。
 経営の一元化への一里塚であるサービスの一体化も進めていきます。来月には、同じホームを都営とメトロで隔てていた九段下駅の壁、これが取り払われます。これ僕は、ばかの壁だといっていますが、それが取り払われる。そして、都営の岩本町駅とメトロの秋葉原駅の乗り継ぎについては、新たに割引の対象に加えます。都営とメトロのお互いの改札を自由に通ることで目的地に近い出口を利用できるようになる改札通過サービスも市ヶ谷駅や春日駅、後楽園駅で実施いたします。
 また、三月末には、都内の地下鉄全線でメールが使えるようになります。これは、単なるサービスの向上にとどまらず、チリの岩盤事故のように、災害などで地下に閉じ込められた際の有力な通信手段になります。さらに、ホームからの転落を防ぐホームドアも、六月には都営大江戸線全駅で設置を完了いたします。
 日本と世界の結節点である空港は、我々の未来を運命づける重要な都市インフラであります。
 副知事時代から取り組んできた羽田空港の国際化の問題については、来年度じゅうに、国際線の発着枠が九万回にまで拡大されます。この機会をとらえ、昼間の時間帯に、羽田と欧米やアジアの主要都市を結ぶ長距離便の運航を目指します。
 しかし、発着枠がふえてもなお、首都圏の空港容量は、あと十年で満杯になります。日本の国際競争力強化のため、さらなる空港容量の拡大、国際線の増枠を国に強く要求してまいります。
 都市機能を最大限生かすべく、道路ネットワークの整備も進めてまいります。
 これから三年間で、三環状道路の整備率は八五%に達します。外環道の関越、東名高速の間については、二〇二〇年早期に確実に完成させるよう、国に要求してまいります。残された外環道の東名以南についても、羽田空港や京浜港を結び、首都圏の高速道路ネットワーク機能を最大限に発揮させるには、欠くことのできない路線です。今後、国や関係機関との協議会を立ち上げ、具体的な検討を進めていきます。
 都心部と臨海部を結ぶ環状二号線は、来年度、新橋─虎ノ門間が開通いたします。平成二十七年度の全線開通に向けて整備を進めてまいります。
 一方で、開通から五十年が経過した首都高速は老朽化が進んでおります。一号羽田線や都心環状線などは、つくり直しが必要とされる区間すら抱えております。首都の屋台骨を支える基幹インフラであり、将来にわたって、その機能を維持していかなければなりません。
 国や高速道路会社に対しては、老朽化対策に向けた一層の取り組みを求めてまいります。三環状道路の整備を進めていくことで車の流れを変え、都心の交通量を減らし、首都高速の維持更新がしやすい環境を整えていきます。
 もう一つ重要なことは、三環状道路が整備されても、現在の料金体系のままでは、都心方面に向かった方が外側の環状道路を利用するよりも安上がりであり、都心の通過交通を減らす効果は十分に発揮されないことがあります。交通量が適切に分散され整備効果を最大限発揮させるような料金体系の構築を、国や高速道路会社に求めてまいります。
 都が有するインフラの老朽化対策も進めてまいります。都は全国に先駆け、橋梁などに予防保全型の管理手法を導入し、適切に維持管理することで、長寿命化を図りながら、計画的な更新を進めております。さらに、高度経済成長期以降に集中的に整備し、大量更新期を迎えることになる下水道管についても対策を強化いたします。古い下水道管を生かしながらリニューアルする独自の工法を使ってコストを抑え、来年度から更新のペースを二倍にスピードアップします。築地市場の老朽化に伴う豊洲への移転については、土壌汚染対策に万全を期すため、開場を一年おくらせ、平成二十七年度の開場に計画を変更いたします。
 次に、エネルギー政策について申し上げます。
 東日本大震災によって、これまでの地域独占的な日本の電力システムの矛盾が露呈しました。東京都は、市場における新電力のシェアを三割にするという具体的な目標を掲げながら、独自の取り組みを進めてまいります。
 行政として全国で初めて電力の複数契約を始めました。一日を通じて常に使用するベースとなる部分は東京電力と契約し、昼間の需要に対応する変動部分については新電力と契約することで、新電力の育成を図ってまいります。先月の都立中央図書館を皮切りに、今月からは東京武道館にも複数契約を導入しました。その結果、その施設は電気料金もそれぞれ一割安くなりました。
 東京電力のみに売却してきた奥多摩の都営水力発電所で生み出す電力については、売却先を初めて公募いたしました。新電力などから価格の提案を受け、来月には売却先を決定いたします。東京電力に安く売っていたんですけれども、新電力に購入のチャンスを与え、そして、東京都側の売買価格も高くなると、こういうことになります。
 また、災害時のリスク分散にもつなげるべく、昨年末から、これまで東京電力と契約してきたこの都庁の建物の電気の大体三分の一、三千キロワット分を、近隣にある、あのパークハイアットホテルの地下なんですが、地域冷暖房センターで発電した電力に切りかえました。これにより、電気料金は年間八百万円下がります。こうした一連のリアルな取り組みを呼び水にすることで、電力会社の独占体制に風穴をあけていきたいというふうに思っています。
 東京電力自体の改革も進めてまいります。現在、東電の改革本部と東京都側と両者で定期会合を持ちまして、改革の進捗をチェックしています。改革本部と定期会合を持つということは、どこかに報告しなければいけないんです、改革本部は。東京都がいるぞ、うるさいよということを常に、その改革本部と定期会合をすることで、改革本部が、まさに東電の中で改革できるように後押しする、あるいは強く改革の中身をチェックするということになります。
 昨年は、東電病院の売却方針や、高コストにつながる子会社との随意契約の見直しを決めさせるなど、まず当たり前の合理化を行わせました。今後は、会社自体の構造的、戦略的な改革に踏み込む次のステージに入ります。電力システム改革に先鞭をつけるため、東電社内に競争原理を取り入れる社内カンパニー制の導入を確実に進めさせてまいります。
 さらに、首都圏には、稼働から四十年以上経過した東京電力の老朽火力発電所が一千万キロワットあります。そこに三十五年以上のものを加えると、合わせて一千六百六十万キロワット、東京湾に老朽火力発電所があります。それらは、いつ壊れてもおかしくない状態です。東京都は、そういう老朽火力発電所のリプレースのために、既に、環境アセスメントの短縮など、国に具体的な提案を行ってきました。電力安定供給に支障が生じないよう、国と東京電力を動かし、リプレースを着実に進めさせていきたい、そう思っています。
 電力改革を進めると同時に、家庭や企業でも、みずから電気を生み出し、賢く使っていく都市をつくる必要があります。そのためのかぎは、見えないものを見えるようにするということであります。自分で、ちょうど東日本大震災の一年前に、太陽光パネルを導入しているユーザーでありますが、実際につけてみて、カラーモニターをのぞくと三つの数字が出てきます。それは発電量、消費量そしてその差、その差を見れば、今電気を売っているのか買っているのか一目瞭然です。これが省エネ意欲につながるのです。
 自然エネルギーの普及を図るためにも、都は、見える化というのを進めています。来年度、国内初となるソーラー屋根台帳、ソーラー屋根台帳という、東京都の屋根の発電できる可能性についてマップをつくる、それを公表します。これにより、自宅や会社が太陽光発電に適しているかどうか、目で見てわかる情報を提供いたします。さらに、建物の中にある電気設備や家電製品などを効率的に制御して、電力の使用状況も見えるようにすることで、省エネとピークカットを促す仕組みの導入も進めます。この仕組みの導入にあわせた家庭用蓄電池や燃料電池の設置なども支援してまいります。
 以上、述べたように、電力、エネルギーに関する取り組みは多岐にわたっており、これを一元的、総合的に進めていくために、環境局の中に、エネルギーに関する専管組織を立ち上げ、取り組みを加速させてまいります。
 東京が、日本再生の起点となるためには、多彩な人材や企業といった、東京が本来持ちながら埋もれていた力を引き出していかなければなりません。
 中小企業の現場で鍛えた発想を海外の市場で通用させ、取引先を広げていくことは、日本の産業の新たな展望を開くことにつながります。その場合、重要なのは、知的財産の保護であります。そこで、外国特許や意匠、商標の出願費用に加え、迅速な権利保護が可能となるよう、実用新案の出願にも新たな助成を始めます。
 EUで定める安全規格のCEマークのように、世界各地域には、製品に対するさまざまな基準や規格がありまして、いかにすぐれた製品であっても、こうしたものに適合させなければ海外で取引することはできません。
 そこで昨年十月、都立産業技術研究センター内に、埼玉、千葉、神奈川、長野の四県の試験研究機関と共同で、広域首都圏輸出製品技術支援センターを開設しました。海外の規制や規格に関するきめ細かな情報提供を行うほか、評価試験や設計のサポートを行ってまいります。さらに来年度から、海外規格に適合させるための製品改良や認証取得への助成も開始し、支援を強化いたします。
 なお、来月末の中小企業金融円滑化法の終了に対しては、都としても、制度融資の充実や特別相談の実施などにより、中小企業の経営をしっかりと支えてまいります。
 都庁自身が持つ卓越した技術を武器に国際展開を図ることで、日本の産業力強化につなげる東京モデルは、具体的な成果を上げようとしています。漏水率わずか三%という東京水道の持つ技術力は世界一です。一昨年、漏水率が東京の十倍、三〇%もあるタイで、試験的に東京の技術を導入したところ、導入地区の漏水率が東京と同じ三%まで低下しました。これが大変評価され、このたび東京水道が、タイの首都バンコクで漏水防止のパイロット事業を行うことになりました。あわせて、タイ首都圏水道公社からの要請により、人材育成も強化してまいります。
 また、下水道の分野でも、先進的、具体的な技術で海外に進出しております。都が民間企業と共同で開発し、特許を取得した河川へのごみ流出を防ぐ装置は、既に、ドイツや韓国の企業とライセンス契約を締結しております。さらに、昨年末には、震災時の液状化によるマンホールの浮上を抑制する工法でニュージーランドに進出いたしました。
 今後も、東京の企業だけじゃなくて東京都自身が持っているお宝、そういう技術、優秀な技術を広め、日本経済の活性化を図りながら、海外が抱える問題の解決にも積極的に貢献してまいります。
 仕事は、人々が持てる能力を発揮して輝くための重要な手段です。意欲ある若者が活躍の場を見出せるよう、実際の就労体験を通じた中小企業とのマッチングを進める若年者緊急就職サポート事業を展開してまいります。また、出産や育児などで離職した女性の再就職を支援するため、保育サービスつきの職業訓練を実施します。働く意欲のある元気な高齢者を対象とした就職支援にも取り組むことで、東京の眠れる力を呼び起こし、産業の発展にもつなげてまいります。
 こうした施策の効果を最大限発揮するためには、職業訓練、職業紹介、実際の就職というふうな流れが一体となった雇用施策を展開することが不可欠であります。国のハローワークが持つ職業紹介機能の移管に向け、作戦を立て、戦略的に取り組んでまいります。
 私は、作家であり、日本の未来を切り開くかぎは、言葉の力であると確信しています。言葉の力を高めるためには、まず、多くの本を読む必要があります。一冊の本を読むことは、二、三時間かけて他者の述べていることに耳を傾けることと同じです。相手の主張を的確に把握した上で、自分の意見を述べる訓練を積むことが言葉の力を養うことにつながるのです。
 今年度の知的書評合戦、ビブリオバトルは、参加人数、参加大学が、その前の年と比べ三倍にふえ、全国規模の大会へと成長いたしました。今年度から始めた高校生の大会も、来年度から大幅に規模を拡大いたします。都立高校は、全校が参加することにしたほか、私立高校や近隣県の学校にも参加を呼びかけ、高校生書評合戦首都大会を実施します。また、子どもの思考力、判断力、表現力をはぐくむため、小中学校も含めて、現在、百三十校指定している言語能力向上推進校を約二百校に拡大いたします。
 若者たちの挑戦も後押ししてまいります。今年度から、都立高校生を選抜して、次世代のリーダー候補として海外に留学することを支援する仕組みを構築しております。その第一陣の五十人が、先月、オーストラリアへ旅立ちました。来年度からは、留学の枠を百五十人から二百人にふやします。さらに、これとは別枠で、新たに私立高校生の留学支援も開始いたします。また、ものづくり技術を学ぶ都立の高等専門学校の学生が、今後成長が見込まれ、市場としても期待できるアジア地域の日系企業でインターンシップを実施できるよう準備を進めています。こうした取り組みを重ねることで、自分の物語を持ちながら将来を切り開いていく若者を東京から育てます。
 若者たちが人間的に磨かれていくためには、インターネットやメールの関係ではない他者との共同生活も有効であると思います。日本の漫画の黎明期に、トキワ荘というアパートで、同じ夢を志す若者が集まり、切磋琢磨していました。世界に誇るべき日本の漫画という文化が花開く原動力は、こうした若者たちの青春の情熱であったといえます。
 現代の若者たちの間では、台所やおふろ、トイレなどを共有し、共同生活を行うシェアハウスという新しい住まい方に関心が高まっています。都では、こうした動きをとらえ、民間のアイデアを十分に活用したシェアハウスの社会実験に向け、検討を進めてまいります。この新しい試みを、若者同士にとどまらず、高齢者など他の世代との交流のきっかけにもしていきたいと、こう思っています。
 子どもたちは、一人一人が個性を持っており、教育の形は多様であることが望ましいと思います。都は、新たな東京モデルとして、小中高一貫教育校の設置を目指し、検討を開始しました。小中高一貫教育では、十二年というスパンを確保することができます。先取りして新しいことを学べる実質的な飛び級の仕組みをつくることができ、特に、理数系のような分野では効果を発揮します。逆に、苦手分野のある生徒は、その部分をじっくり学ぶことができます。学校の新しい形を提案するための試行錯誤を通じて、よりよいモデルを構築していきたいと思っています。
 一方で、いじめや不登校など、現在、教育現場が抱える問題にはすぐ対処してまいります。都は、来年度から、スクールカウンセラーの人数を、七百人から二倍の一千四百人に倍増し、都内公立小中高等学校二千百校すべてに配置します。子どもの心理に専門的な知見を有するカウンセラーが、子どもや保護者へのカウンセリング、教師への指導助言を行いながら、子どもたちの悩みに向き合い、いじめも予防、解決していきます。
 多摩・島しょ地域の振興にも力を尽くしてまいります。
 東京の島しょ地域は、これまでもたびたび噴火に見舞われるなど、厳しい自然と向き合う地域である一方で、地熱、風力、太陽光など、自然エネルギーの可能性を有した地域でもあります。八丈島に、日本で初めてエネルギー需要のほとんどを地熱だけで賄う画期的な仕組みを取り入れることにいたしました。地元や民間と連携して、クリーンエネルギーのモデルの島にすることで、新たな観光資源としてまいります。三宅島など他の島でも、自然エネルギーの活用可能性や採算など事業性の調査を実施します。地域の振興という都政の命題の中に、東京が進める電力制度改革をビルトインするという全く新しい発想で政策を展開してまいります。
 また、大島、新島、神津島と空で結ばれている調布飛行場では、このたび地元との協議が調い、来年度から、離島との航空路に計器飛行が導入されることになりました。これにより就航率は九割にまで上がると見込んでおります。羽田との航空路の廃止が予定されている三宅島については、調布と結ぶ路線が平成二十六年度から新たに開設されます。就航率の向上は、島しょ地域に住む方々の切なる願いでありました。調布飛行場の地元の皆様に心から感謝申し上げます。
 多摩地域は、先端産業が集積し、都心へのアクセスのよさに加え、数多くの大学や研究機関も立地するなど、我が国の発展の一翼を担う重要な地域であります。こうした多摩の力を最大限発揮するのに不可欠な圏央道については、来年度東名高速と結ばれます。実現すれば、地域の航空利便性が大幅に増す横田基地の軍民共用化にも引き続き取り組んでまいります。
 多摩地域のスポーツの拠点となる武蔵野の森総合スポーツ施設については、味の素スタジアムの隣接地に、二〇一六年度の完成を目指してメーンアリーナなどの工事に着手いたします。
 一方で、多摩地域は、高度成長期に整備された大規模な団地や都市インフラの老朽化などの課題も出てきております。こうした時代の変化に的確に対応していくため、来月には、今後の多摩振興の指針となる新たな多摩のビジョンを策定いたします。これに基づいて魅力と活力にあふれた多摩の実現に取り組んでまいります。
 ことしは、九月に二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催都市が決まり、準備を重ねてきたスポーツ祭東京二〇一三が開かれるスポーツの年であります。先般、その皮切りとして、スポーツ祭東京二〇一三の冬季大会を、東京と福島県の郡山で開催し、成功裏に幕を閉じました。
 スポーツ祭東京二〇一三は、障害のある人とない人が相互に支え合う社会の実現を目指し、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催いたします。この大会は、すべての区市町村で競技が行われます。ふだんは余り目にすることがない競技種目もあり、新しいスポーツとの出会いになるかもしれません。一人でも多くの方に観戦いただき、日本じゅうから集まる選手たちに熱い声援を送っていただきたいと思います。
 失われた十年はいつの間にか二十年となり、今の子どもたちは、閉塞感に覆われた日本しか知らなくなりました。彼らが、新しい坂の上の雲を目指して頑張るための具体的な夢を贈ることは、大人の責任であると思います。日本人が、心のデフレを取り払い、この国に自信を取り戻す大きな力となるのが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックです。
 聖火ランナーが走ることになる東北の被災地にとっては、復興への大きな目標になります。子どもたちは、アスリートの鍛え抜かれた筋肉の美しさ、肉体の荘厳さを直接感じることができます。これは、人生の記憶に残るかけがえのない財産になるでしょう。
 大会に参加する機会は、選手や観客としてだけではありません。次の日曜日に開催される東京マラソンと同じように、ボランティアとして運営に参加することもできます。そこでは、人との新しい出会いが生まれるかもしれません。おもてなしの精神を初めとする日本の魅力を多くの外国の方に知っていただく、またとない機会にもなるでしょう。
 先月、一月七日の立候補ファイル提出直後、私自身がロンドンに赴いて、オリンピアンの澤穂希さん、パラリンピアンの鈴木孝幸さんらと記者会見に臨みました。多くの海外メディアを通じて、日本と東京のすばらしさや、高い大会開催能力を全世界にアピールいたしました。帰国してすぐに、安倍総理に面会して、国を挙げて招致活動に取り組むことを確認し、開催都市が決定されるブエノスアイレスでのIOC総会には、総理みずから出席するよう強く要請しました。
 来月、三月初めに、IOC評価委員会が現地調査のために来日します。IOC委員の信頼を獲得するとともに、万全の運営体制、コンパクトな会場配置、治安のよさ、伝統とモダニズムが重なり合った都市の姿など、成熟し、かつ洗練された東京の魅力を実際に感じていただき、十分理解いただけるように全力を尽くします。
 是が非でも招致をかち取り、神宮の森に新しく生まれ変わる国立競技場にオリンピックとパラリンピックの大会旗を掲げようではありませんか。今こそ日本じゅうの力を招致に結集していただくよう、よろしくお願い申し上げます。
 これまで個別の政策展開について申し述べてまいりましたが、しかし、どんなよい政策であっても、その実現のために貴重な税金と都庁の戦力を幾ら投入したとしても、都民の理解と協力を得ることができなければ、その政策は十分な効果を発揮することができないのであります。そのため、都民広報は、知事である私が直接指示する事項として、就任後すぐに、全局に、ツイッターでの情報発信を始めるように命じました。百四十字以内という限られた文字数の中でつぶやくことを通じて、職員一人一人が都民に伝えるべき肝は何かということを必死で考えるようにもなります。意識改革です。それは職員自身の言葉の力を磨き、都民への説明能力を高めることにつながります。これからは、言葉の力を駆使した情報の出前をすることで、都民への説明責任を果たし、政策の費用対効果を高めてまいります。
 東京都は、首都政府として、東京だけでなく、全国に対しても責任を有しております。首都公務員である都職員の満点は百二十点満点でありまして、百点分は東京、二十点分は全国のため、そのために力を使わなければいけない。
 五年前に始め、日本人同士、地方同士の支え合いの全国モデルとなった夕張市の支援をさらに続けていきます。東京都の職員が、東京と夕張とを相対的に見詰めて複眼的に物を見る見方が養われれば、これも大きな意識改革につながります。
 東北の被災地支援の職員派遣も続けていきます。来年度も、福島県への旅行を対象にした被災地応援ツアーを実施して、新たに、岩手県陸前高田市と釜石市からの震災瓦れきの受け入れを始めるなど、これからも全国の先頭に立って東北を応援していきます。
 都民、国民が困っていることに真っ正面から向き合い、自分たちの領分を超えてでも改革に挑戦する気概を持った職員を育て、都庁をさらに強くしていきます。そして、その都庁を、都民のため、東京のため、日本のためにフル活用してまいります。
 東京府と東京市が一つになり東京都が生まれてから、ことしでちょうど七十年目を迎えます。この節目の年を、新たな時代の始まりとして、今、私は決意しております。官僚主権と決別し、戦後日本の挫折、さらには東日本大震災をも乗り越えるべく、首都の知事として渾身の力を振るってまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご協力をお願いするものであります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十一件、条例案九十五件など、合わせて百四十六件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして施政方針表明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 警視庁では昨年、IMF・世界銀行年次総会に伴う警備を初め、犯罪抑止総合対策、暴力団総合対策、重大交通事故防止対策、さらには、昨年から開始した自転車総合対策など、さまざまな重要課題に取り組んでまいりました。この間、東京都を初め、東京都議会、都民の方々のご協力をいただきながら、おおむね首都東京の安全・安心を守ることができたものと考えております。
 以下、その状況と対策についてご報告いたします。
 第一は、犯罪抑止総合対策の推進状況についてであります。
 昨年の刑法犯認知件数は十七万二千三百八十五件で、前年に比べ七・五%減少しており、本対策を開始した平成十五年から十年連続で減少するとともに、戦後最悪を記録した平成十四年に比べ四二・九%減少しております。また、侵入窃盗、ひったくり等の指定重点犯罪についても一万六千十二件で、前年に比べ九・〇%減少するなど、数値的には治安は随分回復してきたものと認識しております。
 しかしながら、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺については、懸命な取り組みにもかかわらず、被害が大幅に増加しており、本年も、本対策の中で最重要課題となっております。
 以下、犯罪抑止総合対策に関し、四点申し上げます。
 その一は、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺対策の推進状況についてであります。
 平成十九年以降、ここ六年間、詐欺の被害総額が窃盗の被害総額を上回っておりますが、その主たる要因は、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害の増加にあると考えられます。昨年の特殊詐欺の認知件数は二千二百七十四件で、前年に比べ三四・一%増加し、被害総額も約三十三億九千万円増加の約八十一億二千万円に上るなど、被害拡大に歯どめがかからない状況にあります。特に被害者の九割が六十歳以上であり、息子や孫になりすましてお金をだまし取るオレオレ詐欺については、一件当たりの平均被害額が三百三十三万円と高額化し、一千万円以上の高額被害も百十九件発生しております。
 こうした中、当庁では、窓口等で高齢者に声をかけ、被害を未然に防止した金融機関の職員を、声かけマイスターとして委嘱するなど、高齢者への声かけを強化した結果、約三十三億円の被害を未然に防止したところであります。
 今後とも、こうした高齢者への直接的な注意喚起に加え、企業等と連携し、三十代、四十代の息子世代の従業員等に対して、自分の親や祖父母に注意喚起を行うよう働きかけるとともに、犯行グループの検挙対策を一層強化するなど、特殊詐欺の撲滅を図ってまいります。
 その二は、犯罪の起きにくい社会づくりの推進状況についてであります。
 犯罪の起きにくい社会づくりを推進するためには、警察と自治体等との連携が不可欠であります。当庁では、自治体との協働体制を強化し、首長等に働きかけを行い、昨年末までに約三十一の自治体との間で、安全・安心まちづくりに向けた覚書等を締結するとともに、若い世代や現役世代の防犯ボランティア団体の結成を支援してきたことにより、大学生主体による防犯ボランティア団体が新たに結成されるなど、若い世代や現役世代による防犯活動が徐々に活発化してきております。
 今後も、犯罪の起きにくい社会づくりを定着化させるため、官民一体となって規範意識の向上と地域社会のきずなの再生に向けた各種の施策に取り組んでまいります。
 その三は、少年非行総合対策の推進状況についてであります。
 当庁では、不良行為少年等に対する街頭補導活動、非行集団等の実態把握及び検挙、解体補導を強化してきた結果、昨年、九千十五人の非行少年を検挙、補導いたしました。しかしながら、刑法犯の犯罪少年のうち、再犯者が約三割を占めていることから、当庁では非行を繰り返している少年の立ち直りを支援するため、関係機関等と連携し、農業体験活動、スポーツ活動等を推進してまいりました。今後も、非行少年を生まない社会づくりを推進してまいります。
 また、いじめ問題については、昨年、東京都教育庁との連絡会議を開催し、双方の責任の明確化、各種相談制度の充実と周知、教育相談機関への警察官OBの配置等について申し合わせを行ったところであります。今後とも、学校等教育機関との緊密な連携のもと、子どもたちが健全な学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。
 その四は、自転車総合対策の推進状況についてであります。
 当庁では、自転車及び歩行者の通行に係る安全の確保を図るとともに、自転車利用者に対する交通ルールと安全マナーの普及を通じて、都民の社会生活における規範意識の向上を図るため、昨年から新たに本対策を推進してまいりました。
 特に、都内百十カ所を自転車対策重点地区路線に選定し、その場所を中心に、悪質、危険な自転車利用者に対する指導、取り締まりを強化してまいりました。その結果、昨年、自転車が関与した交通事故は一万七千七十八件で、前年に比べ一一・一%減少し、交通事故全体に占める割合も三七・三%から三六・〇%に低下するなど、一定の成果が認められたところであります。
 今後とも、自転車利用者に対する交通ルールや安全マナーの浸透を図るとともに、平成二十七年までに、自転車交通事故件数を年間一万四千件以下に抑止するという具体的な数値目標を掲げ、各年代に応じた自転車安全教育、悪質、危険な違反者に対する取り締まり、自転車通行環境の整備など、自転車総合対策をさらに推進してまいります。
 第二は、重要特異事件の検挙状況についてであります。
 昨年約十七年間に及ぶ長期逃亡を続けていたオウム真理教特別手配被疑者三人を検挙いたしました。検挙に際しまして、都民、国民の皆様に多大なるご協力をいただきました。改めて御礼を申し上げたいと思います。
 また、特別捜査本部を開設した事件は、上野六丁目コインパーキング内殺人事件など九事件で、このうち六事件について被疑者を検挙したほか、通行中の被害者をサバイバルナイフで切りつけた副都心線渋谷駅構内刃物使用殺人未遂事件やホームレスの女性に火をつけて殺害しようとした八重洲・新橋地区における連続放火殺人未遂事件では、防犯カメラ画像の分析等により、早期に被疑者を検挙し、解決したところであります。
 しかしながら、大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件や上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件等は、いまだ犯人の検挙に至っていないことから、今後とも、被害者やご遺族に思いをいたし、必ず検挙するという強い信念のもと、DNA鑑定等の科学捜査力の活用により事件を再検証するなど、事件の解決に向け、懸命な捜査を展開してまいります。
 第三は、サイバー犯罪対策の推進状況についてであります。
 サイバー空間は、今やインターネット利用者が九千六百万人ともいわれ、国民の日常生活や社会活動に欠かせないものとなっております。こうした中、インターネットバンキングに対する不正アクセス事犯、他人のパソコンを乗っ取り遠隔操作するコンピューターウイルス事犯、スマートフォンから個人情報を抜き取る不正アプリ事犯のほか、政府機関や民間事業者等を標的としたサイバー攻撃事案が相次いで発生するなど、サイバー空間の脅威はますます増大しております。
 こうした犯罪に対処するため、当庁では、銀行や民間事業者との連携を強化し、サイバー犯罪に共同対処する協定を締結するなど、官民一体となった取り組みを推進し、被害の未然防止や拡大防止を図ったところであります。
 また、昨年五月に施行された改正不正アクセス禁止法等を積極的に活用した取り締まりや、わいせつ物、薬物密売等の違法、有害情報に対する取り締まりを強化し、七百九十八件のサイバー犯罪を検挙したところであります。今後も、関係機関、団体等と連携を図りながら、警察自身も対処能力の向上を図り、サイバー攻撃に係る被害の未然防止と実態解明に努めるなど、サイバー空間の安全・安心を確保してまいります。
 第四は、暴力団総合対策の推進状況についてであります。
 暴力団は、一般企業活動を仮装したり、フロント企業や共生者を隠れみのとするなど資金獲得活動を一段と悪質、巧妙化しており、建設、不動産、証券の取引等に介入するとともに、振り込め詐欺の背後でも関連がうかがわれるところであります。こうした中、山口組については、極東会を上回り住吉会に次ぐ都内第二の勢力となり、今後さらなる勢力拡大が懸念されます。
 一昨年、東京都暴力団排除条例を制定していただきましたが、施行から一年以上が経過し、この間、都内六十二区市町村のうち四十八の区市町村において、暴力団排除条例が施行されたほか、昨年、改正暴力団対策法が施行されるなど、暴力団排除機運は高まりを見せております。
 こうした社会的機運を暴力団壊滅の絶好の機会ととらえ、当庁では、昨年、山口組を中心に、暴力団の中枢幹部等を検挙し、人的基盤に打撃を与えるとともに、関係企業や共生者の摘発検挙により資金源を遮断するなど、暴力団にかかわる取り締まりを徹底し、暴力団員等四千二百七十五人を検挙したところであります。
 今後も、暴力団との対決姿勢を堅持し、取り締まりを徹底するとともに、都民や事業者の方々が安心して暴排活動を推進できるよう、情報提供と保護対策に万全を期してまいります。
 第五は、テロ等不法事案対策の推進状況についてであります。
 その一は、テロ等不法事案の防圧検挙状況についてであります。
 昨年、最大の警備でありましたIMF・世界銀行年次総会に伴う警備は、都民の方々のご理解とご協力をいただきながら所期の目的を達成することができました。
 しかしながら、イスラム過激派によるテロの脅威は依然として高い状況にあるほか、極左暴力集団は、組織の維持拡大をもくろみ、暴力性、党派性を隠して、労働運動や大衆運動を展開しており、また、右翼は、政府の政策や領土問題等をめぐり、街頭宣伝活動や抗議行動等を執拗に展開しております。
 こうした中、当庁では、昨年、十七年ぶりに中核派の非公然アジトを摘発したほか、極左暴力集団の活動家等十三人、右翼団体構成員等七十六人を検挙いたしました。
 本年は、九月二十八日から十月十四日までの間、スポーツ祭東京二〇一三が開催される予定でありますが、過去には、他県で開催された国体の開会式において、発煙筒が投てきされる事案も発生していることなどから、今回の大会をとらえた不法事案の発生も懸念されます。そのため、当庁では、本年一月に警備準備室を設置し、関係機関等と連携を図るとともに、情報収集や事前対策を推進しているところであり、今後も、テロ等不法事案の防止に万全を期してまいります。
 その二は、反原発運動にかかわる警備諸対策の推進状況についてであります。
 反原発運動については、昨年、原発の再稼働問題等をとらえて、官邸前抗議行動を初めとする各種の取り組みが活発に行われ、一部において、極左暴力集団の介入が確認されております。当庁では、違法行為に対しては厳正に対処するとともに、官邸前抗議行動等における混乱防止や各種事故の抑止等の諸対策を推進し、参加者等の安全確保に努めてまいりました。
 こうした取り組みは、政府のエネルギー政策の方向性等によっては、さらに大規模化することも考えられますことから、今後も、諸情勢に応じた対策を推進し、都民の方々の安全確保に万全を期してまいります。
 第六は、重大交通事故防止対策の推進状況についてであります。
 昨年は、前年に引き続き、「交通事故連続減少 交通事故死者数チャレンジ・アンダー二〇〇」をスローガンに掲げ、自治体、交通ボランティア等と連携した取り組みの強化により、都民一人一人の交通安全意識の高揚を図ったほか、交通事故多発地域、路線を見据えた上で、交通機動隊等による集中的な指導、取り締まりを実施するとともに、過去三年平均の交通事故発生実態の分析に基づき、毎月、重点的対策を設定して、街頭活動を強化するなど、重大交通事故防止対策を推進してまいりました。
 その結果、交通事故発生件数は、平成十三年から十二年連続で減少し、とりわけ死者数については、戦後最も少ない百八十三人に抑止することができました。本年は、新たなスローガンとして「交通事故連続減少 交通事故死者数チャレンジ・アンダー一五〇」を掲げるとともに、交通事故実態をより多角的かつ緻密に分析し、交差点や時間帯等をあらかじめ指定した街頭配置を実施するなど、よりきめ細かな諸対策を推進してまいります。
 第七は、震災警備対策の推進状況についてであります。
 昨年十一月に公表された都民生活に関する世論調査では、都政への要望として、防災対策が治安対策を上回り、二年連続で第一位になるなど、都民の方々の防災への関心は、東日本大震災以降ますます高まっております。
 当庁では、東日本大震災の教訓を踏まえ、首都東京における震災対策を抜本的に見直し、新たな警視庁震災警備実施計画や、大地震の発生に伴う交通対策等実施要綱を策定するとともに、昨年九月には、全国警察で初めて災害救助を専門とする特殊救助部隊を設置するなど体制を強化したところであります。
 今後も、懸念される首都直下地震等に備え、初動警察措置の強化を図るとともに、行政と地域住民の方々が一体となって地域防災力の向上を図るなど、震災対策に万全を期してまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、首都東京の安全・安心を守っていくためには、警察活動を支えるさまざまな警察基盤の強化が必要であり、本定例会において、条例改正と所要の予算の確保をお願いしているところであります。東京都議会の皆様には、今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますのでこれを許します。
 監査委員小沢昌也君。
   〔百二番小沢昌也君登壇〕

〇百二番(小沢昌也君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の役割は、各局の事務事業が適正に実施されているかについて監査することで、都民の信頼を確保していくことであります。そのため、年間を通じて、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査、決算審査、住民監査請求に基づく監査など、多岐にわたる監査を実施しております。
 この一年間で監査を実施したのは五百九十六カ所、問題点の指摘は二百四十八件、指摘した金額は約七十億円であります。
 初めに、定例監査について申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。本庁各部のすべてと事業所の約四割、合計で四百三十八カ所を対象として監査を実施し、指摘した金額は約十二億円に上ります。
 定例監査においては、監査を効率的、効果的に進めるため、重点監査事項を設定していますが、平成二十四年は、業務委託などを対象に検証いたしました。その結果、例えば、病院の収納業務委託について、仕様書や手順書と実際の業務手順が異なっていたため、適切な委託内容とするよう求めました。また、物品購入契約において、契約を分割して予定価格を少額にすることにより入札を行わなかった事例に関し、契約を適正に行うことを求めました。さらに、定例監査では、毎年、東京都財務諸表についても監査を実施しております。その結果、平成二十三年度東京都財務諸表について、会計基準に準拠して作成されていることが認められました。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は百万円以上の工事を対象とし、平成二十四年は、件数では約一割の千六百三十五件について監査を実施いたしました。その結果、工事請負者への指導監督では、掘削工事において、崩落を防止するために必要な措置が講じられていない施工があり、工事の安全の観点から適切な監督を行うよう求めました。また、契約事務規則で禁止されている検査員と工事監督員の兼務が行われており、検査の公正の観点から任命を適正に行うよう求めました。さらに、単価設定に関する誤りも数多く認められました。
 次に、財政援助団体等監査について申し上げます。
 補助金交付団体への監査では、補助金交付団体等百四十九団体に対して、補助等に係る事業が適切に行われているかなどについて検証をいたしました。その結果、例えば、社会福祉法人において、施設利用者数の算定誤りなどによる過大交付の事例が多数認められたため、補助金の返還を求めました。また、所管局に対しては、審査事務を適切に行うよう求めました。
 出資団体への監査では、出資団体九団体に対して、団体の事業が適切に行われているかなどについて検証いたしました。その結果、例えば、現金や金券類の取り扱いについて不適切な処理をしている事例が認められたことから、適正に管理するよう求めました。また、法人事業税、都民税に係る申告の計算について誤りが認められたことから、速やかに修正申告を行うことを求めました。
 次に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、特定の事務や事業を対象として行う監査であり、今回は、土地及び建物の運用管理が経済的、効率的、効果的に行われているかとの観点から実施しました。
 その結果、事業用代替地として確保したまま二十年以上経過しているものが認められました。また、未利用のまま利用計画や売却などの処理方針が定められていないもの、方針が定められているものの売却などに必要な測量や境界確定などの手続が滞っているものなどがありました。これら全体で約五十六億円の土地及び建物の財産について改善を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成二十三年度の決算について、決算計数が適正であるかに主眼を置き審査を行いました。その結果、財産に関する調書において、出資による権利で約二十億円の登載漏れなどがあり、財産計上額の把握を適正に行うよう求めました。また収入未済額が過大計上となっているもの、計上科目を間違っているものなどが複数認められ、それぞれ適正な会計処理を求めました。
 次に、監査結果に対する措置状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めてその目的を達成します。このため、年に二回、各局から改善状況について報告を求め、その改善を促しています。過去三年間に行った指摘について見ると、各局が改善に努めた結果、これまでに約七八%が改善済みとなっています。
 具体的な改善例としては、収入管理システムのデータを正確に保持するようシステムを改善したもの、公平かつ効果的、効率的となるよう、滞納整理事務を見直したものなどがありました。
 また、事業評価の新たな取り組みとして、これまでの各種監査報告を活用し、類似事例への横断的な検証を行うとともに、監査結果に基づく見直し内容を評価し、迅速かつ的確に予算へ反映する仕組みが導入されたことから、これまで以上に監査結果に対する改善の取り組みを促してまいります。
 これらの監査のほかに、住民監査請求が九件あり、このうち要件を満たした三件については監査を実施することとし、陳述や書類調査などを経て、いずれも請求人が主張する内容に理由がないとして棄却いたしました。またそのほか六件については監査を実施するための要件を満たしていませんでした。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 平成二十五年度の予算において、都税収入の増加が見込まれるものの、都財政は、景気の変動に左右されやすい特徴的な構造にあります。
 一方で、都政においては、急速に進む少子高齢化への対応や、災害に強い都市の実現に向けたハード、ソフト両面での取り組みなど、さまざまな課題に果敢に取り組み、課せられた使命を確実に果たしていかなければなりません。このため、行財政の適切な運営が一層求められております。
 都は、これまで行政の効率化と都民サービスの充実に向けて、民間活力を活用したさまざまな経営手法の導入、新公会計制度による財務状況の把握など、各分野で行財政改革の取り組みを進めてきました。
 一方で、平成二十四年において、チェック体制の不備や、モラルの欠如に起因する汚職事件や、不適正な事務処理が発生し、都政に対する信頼を損なうなど、都民の見る目が一層厳しいものとなっています。こうしたことから、事務事業の効率化や都民へのサービス向上に加え、事件、事故の再発抑止の観点からも、重点的に検証していくことが監査の果たす役割として一層重要となっています。
 このような中で、私ども五名の監査委員は、監査を通じて事務事業の是正改善により、公正かつ効率的な都政運営が行われることで、都民の信頼と期待にこたえていきたいと考えます。これからも、監査委員の使命を全力で果たしていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、包括外部監査人より、平成二十四年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人松本正一郎さん。
   〔包括外部監査人松本正一郎君登壇〕

〇包括外部監査人(松本正一郎君) 平成二十四年度包括外部監査人の松本正一郎でございます。
 平成二十四年度の包括外部監査は、高齢者福祉に関する事業の管理及び財務事務の執行について、並びに地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営管理について、及び公益財団法人東京都福祉保健財団の経営管理についてを監査のテーマとしました。補助者十六名とともに監査を行い、二十一件の指摘事項と六十七件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 本日は、その主な事項についてご説明申し上げます。
 初めに、高齢者福祉に関する事業の管理及び財務事務の執行についてであります。
 都内の六十五歳以上の高齢者は、平成二十四年では約二百六十三万人ですが、平成四十七年には約三百九十万人まで増加し、都民のおよそ三人に一人が高齢者となることが予測されています。急激な高齢化により需要が急増する介護、福祉に関する施設整備やサービスへの取り組みを推進していくことは、都政の重要で緊急の課題であると考えます。
 まず、施設の整備状況についてです。
 都内の特別養護老人ホームの施設定員数は、平成二十四年四月時点で約三万八千人です。これに対し、都は、平成二十六年度末には、必要入所定員総数約四万六千人分の定員確保に努めるとしており、区市町村などへの働きかけを強化するなどして、必要入所定員総数の確保に向け引き続き取り組まれたいとしました。
 次に、ケアつき住まいなどの新たな住まいについてです。
 介護、福祉施設の約四割を占める特別養護老人ホームは、入所者の重度化傾向が進んでおり、また、約三割を占める介護つき有料老人ホームの多くは、高所得者向けの施設となっています。このため、今後増加が見込まれる中堅所得者層で要介護度の高くない高齢者に対応した住まいの拡充が必要であると考えます。この対応策としては、ケアつき住まいや高齢の単身者が共同で住む住宅等の新たな住まいが考えられます。
 次に、都市型軽費老人ホームについてです。
 都は、低所得で身体機能の低下により見守りが必要となっている高齢者向けの住まいとして、都市型軽費老人ホームの整備を進めています。当該施設の平成二十四年八月現在の開設状況を見ると、施設数十二、定員数百九十一人分となっており、平成二十六年度までの整備目標に対する達成率は八%と低い状況です。都として、整備目標を掲げて推進している施策であることから、さらなる供給促進を着実に実行されたいとしました。
 次に、既存ストックの活用についてです。
 既存ストックの有効活用の観点から、小中学校校舎や公共施設の建てかえなどにより生じる創出用地等をより積極的に活用し、介護施設や高齢者の生活支援等のサービス拠点施設への転換を図られたいとしました。
 一方、現在、約二十六万戸ある都営住宅では、居住者の高齢化が進み、世帯主が六十五歳以上である世帯がその五九%を占めております。また、都営住宅の四六%は、築三十八年を超えるなど老朽化しております。中長期的な維持更新を計画的に行い、高齢者も含めた居住者の生活の安定を図る必要があると考えます。福祉保健局と都市整備局がこれまで以上に連携し、地域のニーズを把握しながら都営住宅の建てかえに際して高齢者福祉施設の併設を図られたいとしました。
 次に、高齢者福祉サービスについてです。
 高齢者単独世帯の増加や低所得世帯の多様なニーズに対する施策は、今後見込まれる急激な高齢者の増加への対応という点では十分ではないと考えます。そのため、既存の住宅等への高齢者福祉サービス機能の付加、地域でのサポート拠点の整備拡充、人材の育成、シルバー交番等の整備等、高齢者見守りサービスのさらなる拡充を図られたいとしました。
 次に、都と区市町村との連携についてです。
 区市町村は、地域の特性と実情に応じた施策を展開しており、区市町村により高齢者福祉サービスの内容や量に差があります。また、老人福祉圏域ごとの施設整備や介護給付費の状況はさまざまです。
 都と区市町村は一層の連携を図り、圏域の実情に応じ、在宅居住系施設の各サービスのバランスを考慮し、広域的な観点からの施策検討を一層進められたいとしました。
 続いて、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営管理についてであります。
 都では、センターの病院事業の一部に、運営費負担金を交付しています。負担金の算定に当たっては、都が定めた費用案分のルールを用いており、センターの収支実績に基づいておりません。センターでは、診療科ごとの原価計算手法の検討に着手した段階であり、今後、都は、センターの負担金対象事業とそれ以外の事業を区分した収支実績に基づき、運営費負担金を算定し、交付額と収支実績を比較することで、交付額算定の精度を向上されたいとしました。
 次に、センターの未収金についてです。
 センターの診療業務によって発生した個人未収金のうち、平成二十年度以前に発生した約二千六百万円が、平成二十三年度末に未収金に含まれておりました。回収可能性を十分に検討した上で、回収可能性がないと判断したものは、不納欠損処分を行う必要があるとしました。また、未収金管理要綱等に具体的な事務処理方法を明記し、効率的な滞納金の回収を着実に実施する必要があるとしました。
 最後に、センターの危機管理についてです。
 センターの危機管理マニュアルの最終改定は平成二十二年四月であり、東日本大震災によって得られた経験に基づく見直しが行われておりませんでした。平成二十五年六月に新施設への移転を予定しておりますが、移転後、速やかに改定版を策定されたいとしました。同様に、未整備となっている事業継続計画であるBCPマニュアルについても、病院という業務の性質上、新施設に移転後、速やかに作業に入れるよう十分な準備をされたいとしました。
 以上をもちまして、平成二十四年度の包括外部監査結果のご説明といたします。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第五までを先議されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第五までを先議することに決定いたしました。

〇議長(中村明彦君) 追加日程第一から第四まで、議員提出議案第一号、東京都議会会議規則の一部を改正する規則外条例三件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第一号外三議案については、趣旨説明並びに委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第一号外三議案は原案のとおり可決されました。

〇議長(中村明彦君) 追加日程第五、議員提出議案第五号、核兵器廃絶に関する決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第五号
   核兵器廃絶に関する決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条第一項の規定により提出します。
  平成二十五年二月二十日
(提出者)
小林 健二  加藤 雅之  大場やすのぶ
和泉 武彦  近藤  充  福士 敬子
土屋たかゆき 野上ゆきえ  佐藤 広典
中村ひろし  西沢けいた  田中  健
関口 太一  畔上三和子  斉藤やすひろ
栗林のり子  遠藤  守  松葉多美子
小宮あんり  吉住 健一  桜井 浩之
山崎 一輝  鈴木 章浩  くりした善行
山内れい子  小山くにひこ 淺野 克彦
新井ともはる 佐藤 由美  たきぐち学
田の上いくこ 島田 幸成  しのづか元
大島よしえ  伊藤こういち 大松あきら
中山 信行  高倉 良生  菅  東一
田中たけし  鈴木 隆道  宇田川聡史
高橋 信博  中屋 文孝  鈴木あきまさ
柳ヶ瀬裕文  星 ひろ子  滝沢 景一
中谷 祐二  笹本ひさし  山下ようこ
神野 吉弘  鈴木 勝博  興津 秀憲
岡田眞理子  古館 和憲  かち佳代子
上野 和彦  吉倉 正美  橘  正剛
野上 純子  谷村 孝彦  矢島 千秋
高橋かずみ  三宅 正彦  早坂 義弘
相川  博  山加 朱美  吉原  修
林田  武  西崎 光子  伊藤 ゆう
原田  大  尾崎 大介  山口  拓
伊藤まさき  松下 玲子  西岡真一郎
たぞえ民夫  吉田 信夫  小磯 善彦
長橋 桂一  藤井  一  鈴木貫太郎
服部ゆくお  こいそ 明  きたしろ勝彦
高木 けい  神林  茂  遠藤  衛
三原まさつぐ 田島 和明  古賀 俊昭
泉谷つよし  くまき美奈子 大西さとる
今村 るか  増子 博樹  いのつめまさみ
小沢 昌也  石毛しげる  大津 浩子
清水ひで子  ともとし春久 東村 邦浩
中嶋 義雄  木内 良明  三宅 茂樹
山田 忠昭  村上 英子  野島 善司
川井しげお  吉野 利明  宮崎  章
比留間敏夫  門脇ふみよし 斉藤あつし
大塚たかあき 酒井 大史  山下 太郎
大沢  昇  中村 明彦  和田 宗春
馬場 裕子  大山とも子
東京都議会議長 中村 明彦殿

   核兵器廃絶に関する決議
 平成二十五年二月十二日、北朝鮮は、我が国を含む国際社会が、自制を繰り返し強く求めてきたにもかかわらず、三回目となる核実験を強行した。
 これは、日朝平壌宣言及び六者会合共同声明に反し、北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きに逆行するばかりか、関連安保理決議の明確な違反であり、国連安保理の権威、国際社会に対する重大な挑戦である。
 そして何より、昨今、増強著しい北朝鮮のミサイル技術と併せると、我が国の安全に対する重大な脅威であるとともに、北東アジア及び国際社会の平和と安全を脅かす行為として、断じて容認できない。
 北朝鮮は、これまでも拉致、ミサイル発射などを繰り返しており、今回の核実験は、昨年十二月の同年四月に続くミサイル発射から僅か二か月の内に行われた暴挙であり、核兵器不拡散条約(NPT)を中心とした世界的な潮流に逆行するばかりか、唯一の核兵器による惨禍を経験し、核廃絶を強く願う我が国民、都民の思いを踏みにじるものである。
 我が国政府においては、国民の安全・安心の確保に万全を期すとともに、国際社会との連携を強化し、北朝鮮によるミサイル、核開発、拉致問題の解決に向けて、一層の外交努力を尽くすべきである。そして、国際社会の理解と協力の下、核兵器廃絶に向けて、我が国が先導的な役割を担っていくよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十五年二月二十日
東京都議会

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第五号については、原案のとおり決定されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第五号は、原案のとおり可決されました。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時十六分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二四財主議第四七一号
平成二十五年二月十二日
東京都知事 猪瀬 直樹
 東京都議会議長 中村 明彦殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十四年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   中村ひろし議員
   大島よしえ議員
   清水ひで子議員

平成24年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 大規模事業所等の撤退への対応と多摩地域での産業振興について

一 大規模事業所等の撤退への対応と多摩地域での産業振興について
1 近年、多摩地域を中心に、大規模事業所等の撤退が相次いでいます。大規模事業所等の撤退は、地域経済、下請けの中小企業、雇用、地域の商店街などさまざまな影響を与えます。企業自身が撤退に伴うその後のまちづくりに全く考慮しないような姿勢であれば、企業の社会的責任の面でも問題がないとはいえません。
戦前から多くの製造業があった三鷹市でも、市外への撤退が続いていますが、昨今は、市内有数の企業である日本無線まで撤退を発表しました。しかし、三鷹市長は地域への影響を考慮し、会社に対して要望書を出すなど地域では懸命に取り組んでいます。
このように、大規模事業所等の撤退は、単に地域の問題ではなく、多摩地域を含めた全都的な問題としてとらえないと、各地でこうした問題が発生してしまいます。
そこで、大規模事業所等が撤退することなどによる都の対応について伺います。
2 製造業はアジア等との競争が激しく地価や人件費の高い東京では継続が困難になりつつあります。例えば、日野市ではまちの象徴的な企業でもある日野自動車が撤退し大きな衝撃を受けており、その対策として日野市では工業振興を図る「日野市工業振興条例」の制定を目指すなど、市区町村での独自の条例もあります。
都としても、市区町村の役割とするのではなく、研究開発などはマーケットに近い方が利点も大きく、それに転換する場合の補助制度を創設するなどで、東京都内で事業を継続するメリットを示し、事業所そのものの撤退を防ぐことも検討される必要があります。
都として、とりわけ多摩地域での産業振興をどのように図るのか所見を伺います。

平成24年第四回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 大規模事業所等の撤退への対応と多摩地域での産業振興について
  1 近年、多摩地域を中心に、大規模事業所等の撤退が相次いでおり、地域経済、下請けの中小企業、雇用、地域の商店街などにさまざまな影響を与えている。大規模事業所等の撤退は、単に地域の問題ではなく、多摩地域を含めた全都的な問題としてとらえるべきだが、大規模事業所等が撤退することなどによる都の対応について伺う。

回答
 生産拠点の移転等による空洞化の無秩序な進行は、東京の産業の将来に大きな影響を与える恐れがあり、適切な対応を行うことが必要です。
そのため都は、既に、東京で生産活動を継続できる高付加価値の製品や技術の開発に取り組む中小企業を支援するとともに、今後の成長が見込まれる産業分野での創業の支援に取り組んでいます。
 また、「創造的都市型産業集積創出助成事業」により、地域の特性や資源を活かした産業振興に区市町村と連携して取り組んでいます。さらに、平成24年度からは「ものづくり産業集積強化支援事業」を開始したところであり、引き続き、地域の産業集積の確保に向けた区市町村の取組を支援していきます。

質問事項
 一の2 製造業はアジア等との競争が激しく、地価や人件費の高い東京では継続が困難になりつつある。都としても、市区町村の役割とするのではなく、研究開発などはマーケットに近い方が利点も大きく、それに転換する場合の補助制度を創設するなど、東京都内で事業を継続するメリットを示し、事業所そのものの撤退を防ぐことも検討すべきだが、とりわけ多摩地域での産業振興をどのように図るのか所見を伺う。

回答
 多摩地域は、高度な技術力を持つ企業や大学、研究機関が数多く立地し、産業を支える人材も豊富であるなどの強みも有しており、製造品の出荷額は、都内の過半を上回っています。
 都では、こうした多摩地域における強みを活かし、産業集積の確保に向けた支援や、多様な人材が活発に交流し、ネットワークを強化する産産・産学公金連携の取組を行っています。
 また、平成22年に開設した「産業サポートスクエア・TAMA」を拠点とし、中小企業の技術・経営等に関して総合的に支援するほか、優れた技術・製品や市場としてのポテンシャルを国内外に情報発信するなど、多摩地域における企業活動を支援するための多面的な施策を講じてきました。
 都としては、引き続き、多摩地域での産業振興に努めていきます。

平成24年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大島よしえ

質問事項
一 子どもたちの教育条件整備について

一 子どもたちの教育条件整備について
いじめによる子どもの自殺に多くの人々が心を痛め、深刻化するいじめ問題の解決を願っています。いじめは、被害者にその後の人生を変えてしまうような深い心の傷をあたえるだけでなく、子どもたち全体の成長にも暗い影をおとします。
いじめが重大な人権侵害であり暴力であることをはっきりさせ、子どもの命を守ることを最優先に、ささいなことでも情報を共有しすぐに対応すること、教職員と保護者が協力して子どもたちの様子や変化を見守ることが大切です。また、文化祭や運動会をはじめとする自主的な活動を通じて、子どもたちが達成感や信頼関係を育み、いじめを止める人間関係をつくっていくことも重要です。いじめた子もいじめに走るだけの悩みやストレスを抱えており、厳罰主義でない人間的に立ち直るまでのケアも不可欠です。いじめが重大な事件・事故となった場合、被害者やその家族の知る権利も保障されなければなりません。
いじめの解決にとりくむための条件整備としていくつか提案したいと思います。
1 一般新聞の調査では7割の教員がいじめへの対応に時間が足りないと答えています。多すぎる事務的な業務などにより学校では長時間過密労働が常態化し、教員は、子どもと遊んだり授業準備をする時間が確保できないと悩んでいます。
教員の事務仕事を減らすことや、授業の持ち時数を減らし授業準備の時間を確保するなど、教員の長時間過密労働の解消が必要ではありませんか。
2 子ども1人ひとりにていねいに対応するためには、少人数学級も重要です。現在東京都では、小学校1、2年生が35人学級、中学校1年生が37人学級となっています。少なくとも中学校1年生を35人学級とするとともに、小学校3年生以上と中学校2、3年生にも少人数学級を拡大することが必要と考えますが、いかがですか。
3 いじめを発見しやすい立場にある養護教諭の配置の充実も求められます。国の基準では、小学校は児童数851人以上、中学校および高等学校では生徒数801人以上の学校には養護教諭を複数配置することになっていますが、東京都で複数配置されるのは26学級以上の小中学校のみで、国基準を下回っています。
養護教諭の定数配当の都基準と国基準による配当数の差は、2012年度の場合、小中高等学校でそれぞれ何人ですか。
4 少なくとも国基準に該当するすべての学校に、養護教諭を複数配置することを求めます。さらに国基準に満たない学校でも、必要に応じて複数配置を行うことを提案します。それぞれお答えください。
5 また、公立小学校および高等学校全校にスクールカウンセラーを配置することを求めます。すでに全校配置されている中学校は、勤務時間数を増やすことが校長会などから要望されており、これに応えるべきです。それぞれお答えください。
6 スクールソーシャルワーカーの配置の充実も重要ですが、いかがですか。
教職員がいじめへの認識を深め、適切に対応できる力量を身につけることも重要です。
7 教育学者や小児科などの医師などの専門家、いじめ被害者団体などの参加も得て、いじめへの対応のガイドラインを作成するとともに、教職員が自主的に行う研修を支援することを求めます。
8 都教委がすすめてきた人事考課制度による上からの教員評価や、主幹、主任制度の導入による職の階層化などが、教職員をばらばらにし、いじめの解決に必要な教職員の連携や協力に悪影響を与えていると指摘されています。
業績評価につながるので担任は周りに相談しづらい、職員会議が形骸化し、課題の学校全体の共通理解や教職員間の意思疎通が深まらない、学校選択制で問題になるので管理職は隠そうとする、気になる子どもの様子を出し合い話し合える雰囲気が職員室にないなど、子どもたちに寄り添い問題をどう解決するかという方向で大人が団結することが難しい現状を憂える声があがっています。
給与と連動した人事考課制度、主幹、主任制度は見直すべきです。
9 教育委員会は教職員の専門性を尊重し、職員会議は、教職員が自由に議論し教育方針について合意を形成する場として、位置づけることが必要ですが、いかがですか。
10 学校職場のパワーハラスメントの予防と解決も課題です。パワハラは人間の尊厳や人格を侵害する許されない行為ですが、教職員組合の調査では、「副校長に顔を2発も殴られる」、「(校長と副校長が)2人して『あなたは教員に向いていない。早くやめろ、やめろ』と執拗に退職を迫っていた」、「職員室内の個人ロッカーを無断で探索された」などの深刻な事例が報告されています。教職員のあいだにパワハラが横行していては、子ども同士のいじめを解決することはできません。
パワーハラスメント防止にかかわる指針、要項等を定め、ガイドブックを作成するとともに、第三者機関による相談窓口を設置するなど、パワハラ対策を強化することを求めます。
いじめは子どもの苛立ちの発散という面があり、子どもたちのストレスの背景に教育全体が競争的で管理的になっていることが指摘されています。受験競争は低年齢化し、塾通いの割合は十数年間で倍近くに増え、時間的にゆとりのない子どもたちが増えています。子どもの遊びは子どもの心を解き放ち、友達とのトラブルを解決しながら人間関係も学んでいくもので、それが減っていることは問題です。
競争教育の勉強は子どもを早くから「できる子」「できない子」により分け、わかる喜びやみんなで学ぶ心地よさを得ることはできません。「ありのままの自分」を認めることのできる自己肯定感が低いことも心配です。この間の「学力向上」政策で、国、都、区市町村それぞれの学力テストがくり返されたり、夏休みを減らしたり土曜日にも授業を行ったりすることは、子どもに強いストレスを与えています。問題行動を、その背景にある悩みや事情を顧みることなく、ゼロトラレンスで上から押さえ込むなどの管理的な教育も、子どもの心を抑圧します。
11 都独自の悉皆の学力調査、体力調査はやめ、進学率や就職率などの数字で学校を評価したり学校同士を競わせるようなやり方は見直すべきです。
競争原理が社会や労働の各分野に浸透し、「弱肉強食」を当然視する社会、人間的な連帯が弱まり、弱い立場の人々を攻撃する風潮、貧困と格差の広がりなど、社会全体が「いじめ社会」になっていることも見逃すことはできません。
子どもたちがのびのびと豊かに成長するためには、子どもの声に耳をかたむけ、子どもの社会参加を保障すること、国連子どもの権利委員会から3度にもわたり指摘された過度な競争教育から脱却すること、いじめが横行しやすい現在の社会全体のあり方を改め、人間的な連帯のある社会を大人たちの努力でつくることが大切です。

平成24年第四回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 子どもたちの教育条件整備について
  1 一般新聞の調査では7割の教員がいじめへの対応に時間が足りないと答えているなど、多すぎる事務的な業務などにより学校では長時間過密労働が常態化している。教員の事務仕事を減らすことや、授業の持ち時数を減らし授業準備の時間を確保するなど、教員の長時間過密労働の解消が必要だが、見解を伺う。

回答
 教員は、児童・生徒の在校中、全力を挙げて児童・生徒に対応すべきであり、いじめ問題に適切に対応するためには、児童・生徒の言動等を注意深く観察し、あらゆる兆候を見逃さないようにすることが重要です。
 事務的な業務については、その上で、効率的に処理するための様々な工夫を行う必要があります。都教育委員会は、効率的な学校運営の実現と更なる教育の充実を目的として、現在、校務改善を推進しています。
 授業の持ち時数は、いわゆる標準法上の教員数算定の基礎としている時数に基づいており、その軽減については考えていません。

質問事項
 一の2 子ども1人ひとりにていねいに対応するためには、少人数学級も重要であり、現在東京都では、小学校1・2年生が35人学級、中学校1年生が37人学級となっている。少なくとも中学校1年生を35人学級とするとともに、小学校3年生以上と中学校2・3年生にも少人数学級を拡大すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、平成22年度から、小1問題及び中1ギャップを予防・解決するために、小学校第1・2学年及び中学校第1学年を対象として教員を加配し、学級規模の縮小や少人数指導、ティームティーチングの導入など、画一的な少人数学級ではなく、各学校の実情に即した最適策を選択できる弾力的な制度を実施してきました。
 都は、今後とも、こうした方針を維持するとともに、国の動向を注視していきます。
 平成25年度予算案では、これまでの加配に加え、中学校第1学年を対象として、35人以下学級を実施するために必要な教員の加配を盛り込んでいます。

質問事項
 一の3 国の基準では、小学校は児童数851人以上、中学校および高等学校では生徒数801人以上の学校には養護教諭を複数配置することになっているが、東京都で複数配置されるのは26学級以上の小中学校のみで、国基準を下回っている。養護教諭の定数配当の都基準と国基準による配当数の差は、2012年度の場合、小中高等学校でそれぞれ何人なのか伺う。

回答
 国の標準法では、養護教諭の配当数を児童・生徒数に基づき算定しますが、都の定数配当基準では、学級数に基づき算定しています。
 この結果、学校毎にみると、国基準では複数配置にならないが都基準では複数配置になる場合があり、また、その逆の場合もあります。
 総数で比較すると、平成24年度においては、都の養護教諭の配当数が国基準を小学校7人、中学校2人、高等学校24人下回っています。

質問事項
 一の4 少なくとも国基準に該当するすべての学校に、養護教諭を複数配置すべきであり、さらに国基準に満たない学校でも、必要に応じて複数配置を行うべきだが、あわせて見解を伺う。

回答
 養護教諭の定数配当基準は、都と国とで算定の考え方を異にしており、都教育委員会は、都基準に基づき適切に複数配置を行っています。
 また、都基準に加え、各学校の実情等を勘案して加配を行っており、今後とも適切に養護教諭を配置していきます。

質問事項
 一の5 公立小学校および高等学校全校にスクールカウンセラーを配置すべきであり、また、すでに全校配置されている中学校は、勤務時間数を増やすべきだが、あわせて見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、文部科学省のスクールカウンセラー活用事業を受け、平成15年度から中学校の全校配置、平成23年度からは、小学校及び高等学校への配置を大幅に拡大し、平成24年度は小学校327校、中学校631校、高等学校100校、合わせて1,058校に配置するなど、着実に配置校を増やしてきています。
 平成25年度予算案では、全公立小・中学校及び全都立高等学校へ配置する経費を計上しています。

質問事項
 一の6 スクールソーシャルワーカーの配置の充実も重要だが、見解を伺う。

回答
 文部科学省の補助を受け実施するスクールソーシャルワーカー活用事業は、事業が開始された平成20年度には16区市での実施でしたが、平成22年度は24区市町、平成23年度は29区市町、平成24年度は31区市町で実施するなど、着実に実施地区が増えています。

質問事項
 一の7 教職員がいじめへの認識を深め、適切に対応できる力量を身につけることも重要であり、教育学者や小児科の医師などの専門家、いじめ被害者団体などの参加も得て、いじめへの対応のガイドラインを作成するとともに、教職員が自主的に行う研修を支援すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、平成24年10月に公表したいじめの総合対策に基づき、学識経験者を座長に、弁護士、精神科医など外部有識者をメンバーとして、今後の施策に生かすことを目的とした専門家会議を設置し、児童・生徒の自殺予防やいじめ等の問題行動への対応の在り方全般について検討しています。
 また、平成24年12月には、これまでのいじめ発見のポイントや対応上の留意点等を見直した指導資料を作成したほか、この資料の趣旨等を全ての学校に周知するため、学識経験者である大学教授を講師として、いじめに特化した研修会を実施しました。この研修会の内容を各学校における校内研修等を通して徹底し、教員一人一人の対応力を高める取組を進めています。

質問事項
 一の8 都教育委員会がすすめてきた、人事考課制度による上からの教員評価や、主幹、主任制度の導入による職の階層化などが、教職員をばらばらにし、いじめの解決に必要な教職員の連携や協力に悪影響を与えていると指摘されている。給与と連動した人事考課制度、主幹、主任制度は見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 いじめ問題に適切に対応するためには、教職員が、日頃から児童・生徒の言動等を注意深く観察し、あらゆる兆候を見逃さないようにするとともに、学校全体で情報を共有し、組織的な連携・協力体制を構築して取り組むことが重要です。
 給与と連動した人事考課制度、主幹教諭制度及び主任教諭制度は、学校の課題や目標の共有化を図り、各教職員の職責を明確化することで学校全体を組織的に機能させるための制度であり、見直す考えはありません。

質問事項
 一の9 都教育委員会は教職員の専門性を尊重し、職員会議については、教職員が自由に議論し教育方針について合意を形成する場として位置づけるべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、職員会議を校長の補助機関として位置付けており、校長は、教職員に対する経営方針の周知や、教職員からの意見聴取及び教職員相互の連絡を行うために職員会議を置くことができます。
 学校経営は、組織的に行うべきもので、教職員の建設的な意見を吸い上げることは重要ですが、最終的には校長が自らの責任と権限により方針を決定します。

質問事項
 一の10 学校職場のパワーハラスメントの予防と解決も課題であり、教職員のあいだにパワハラが横行していては、子ども同士のいじめを解決することはできない。パワーハラスメント防止にかかわる指針、要項等を定め、ガイドブックを作成するとともに、第三者機関による相談窓口を設置するなど、パワハラ対策を強化すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、パワーハラスメントを防止するため、従来から、学校管理職等を対象とした研修会などにおいて注意喚起を行うとともに、啓発資料を全教職員に配布する等を行っており、引き続きこうした対策を講じていきます。

質問事項
 一の11 いじめは子どもの苛立ちの発散という面があり、子どもたちのストレスの背景に教育全体が競争的で管理的になっていることが指摘されている。学力向上政策で、国、都、区市町村それぞれの学力テストがくり返されたり、夏休みを減らしたり土曜日にも授業を行ったりすることは、子どもに強いストレスを与えており、都独自の悉皆の学力調査、体力調査はやめ、進学率や就職率などの数字で学校を評価したり、学校同士を競わせるようなやり方を見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 「児童・生徒の学力向上を図るための調査」や「東京都統一体力テスト」は、その結果を児童・生徒一人一人に還元し、自らの課題の把握と新たな目標の設定を通して学力や体力の向上を図るとともに、都における学力や体力の状況を適切に把握し、各学校の授業改善に資するものであり、引き続き重点的な施策として推進していきます。
 また、都立高校では、生徒の希望や適性・能力に合った進路を実現することが重要な目標のひとつであることから、「進学率」及び「就職率」は教育活動の成果を示す主要な指標です。これらを具体的な目標として設定し、達成状況を評価することにより、各校は教育活動や学校経営の改善・充実を図っています。

平成24年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
一 森林・林業の再生について

一 森林・林業の再生について
国は2011年4月に森林法を改正、2009年12月には「森林・林業再生プラン」を策定し、木材自給率50%を目標に、路網の整備、集約化、安定的な木材供給体制の確立、フォレスター制度の創設、管理放棄地のセーフティネット体制の確立を、当面の取り組み課題としています。さらに将来的には、国産材住宅の推進、公共施設等への木材利用の推進、バイオマス利用の促進、新規需要の開拓などにむけて動き始めています。
一方、東京都は、2012年11月に農林・漁業振興対策審議会にたいして、「制度変更を踏まえた対応が必要である」として、より有効な施策を打ち出すため、東京における持続的な森林整備と林業振興について諮問しました。その中で、施策の方向性として打ち出したのは、森林循環を考えた森林整備、路網の整備と機械化の推進などで林業の低コスト化の実現、多摩産材の利用拡大などです。
日本共産党都議団は、これまでもくり返し、東京の林業振興、森林再生に向けて提案してきましたが、こうした時点にたって改めて提案をおこないます。
1 都の「森づくり推進プラン」では、森林には、国土の保全、水源のかん養、地球温暖化防止、生物多様性保全、教育・保健、木材生産など多面的機能があるとしています。その機能をもつ森林の7割以上が、私有林です。
私有林と公有林を合わせた民有林では、5ヘクタール未満の所有者が88%で、面積では16%です。20ヘクタール以上の所有者はわずか3%ですが、面積では65%をしめます。
こうした特徴をもつ東京の森林を維持、資源循環させ、林業振興を図り、森林・林業の多面的機能を確保していくためには、都としてどのような施策が必要であると考えていますか。
2 一方、森林業者の林業所得は、「林業経営統計調査」によれば、2008年度は全国1戸あたりの林業所得は年あたり10万円、関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、長野)では年あたり33万円にとどまっています。
森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で重要な役割を担っている林家・森林業者ですが、その所得は林業で生活できるものになっていません。森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で、森林業者の所得補償をする制度をつくることも、有効だと思いますが、どうですか。
都内の年間森林伐採量は、都の事業として約1000ヘクタールの間伐、森林再生事業が行われています。しかし、その中から搬出される木材量は約2千立方メートルで、伐採された木材の2%にすぎないと言われています。間伐された木材のほとんどが切り捨てられています。大変もったいない話ですが、搬出コストが高いために、林業者の自助努力に任せて搬出の増加を図ろうとするのは、大変酷な話です。
3 林業者が、森林・林業での多面的役割を果たしていることを尊重して、木材生産にたいする所得補償をおこなうよう国に求めるとともに、都としても踏み出してはどうですか。
次に、木材生産を増加する上で欠かせない、木材搬出コストを下げることについてです。
そのための一つとして、都は、作業路の整備などを進めています。2011年度のその整備実績は合わせて約3800メートルです。
4 「森づくり推進プラン」では、林道整備を平成22年度までに年あたり5キロメートルに拡充するとしています。昨年度の実績約3800メートルとの乖離がありますが、この目標実現にむけて、どのように進めるのですか。また、今後の目標の引上げについては、どのような検討がされているのですか。
国では「森林・林業再生プラン」事業にもとづき、日本の森林の現状を、取り組みが進んでいるドイツの森林管理の専門家に見てもらいアドバイスを受けています。
その専門家は、路網の整備は長期的視点で、幅員3.5メートル程度のトラックが通れる恒久的な路網で、その密度はヘクタールあたり50メートルから60メートル、急峻な地形ではその半分程度に抑えるとするもので、道の真ん中を高くして山型とし、排水をよくすること、恒久的な路網とするため、岩石を砕いて敷き詰めることなど具体的に指摘しています。また、ドイツでは、木材搬出作業をする場合の効率性、安全性、植生回復、将来の斜面崩壊のリスク回避が優先されています。
国は、こうした結果を受け、従来の林道より単価が安い林業専用道、さらに森林作業道の検討を進めています。
5 東京都として、ドイツ等の路網の経験に学び、従来の林道より単価の安い林業専用道、および森林作業道の整備に取り組む必要が、あるのではありませんか。
さらに生産工具の開発も必要です。
6 多摩地域の森林は急峻なところが多いため、運搬コストを低減するためには新たな生産工具を開発することが求められています。日本共産党都議団は、そのために、都内の中小業者に、現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることを提案してきました。
都は、高性能林業機械の導入に取り組んでいるとしていますが、日本の林業機械の問題点について、専門家は、建設機械をベースにつくられており林業用に設計されているわけではないため、機械の価格に見合った生産性を上げる能力がなく、採算をあわせることができない、適切な施業がやりにくい、労働安全衛生上好ましくないなど、多くの問題を抱えているとしています。都には、そのような認識はないのですか。
7 現在の高性能林業機械は、急峻なところで十分対応可能で、コスト削減できると考えているのですか。
8 わが党が提案しているように、都内の中小業者に現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることも有効な方法ではありませんか。
次に、木材の需要の開拓についてです。
9 都は、1998年に「都の林業・林産業の振興を図る」ことを目的に、都として木材利用推進連絡会をつくり、公共建築物などへの木材の活用を進めているとしています。
東京都の木材利用推進連絡会には、どんな方が参加され、どんな資料が配付され、どのような議論がされているのですか。また、どんな頻度で行われていますか。
10 木材利用推進連絡会の取り組みについて、2006年度からは、多摩産材を中心に据えて、公共建築物等への積極的な利用を促進するために、「多摩産材利用推進方針」を決めました。多摩産材の認証制度、区市町村が多摩産材を活用する際への助成なども開始しています。都立学校や都営住宅の工事に用いるなど、全庁を挙げて取り組んでいます。また、区市町村に対しても積極的に働きかけています。
そのもとで、2011年度の多摩産材使用実績は約1900立方メートルとなっていますが、この実績についてどのような認識ですか。
11 これまでの取り組みの中では、都庁全体で最も木材利用が多い局は、都営住宅の建て替えをすすめている都市整備局です。過去13年間で、もっとも多く利用した年が1999年で13000立方メートルですが、2006年度には約5000立方メートルにまで下がってしまいました。全庁使用量に占める割合も、93%から68%に下がってしまいました。
多摩産材で見ると、同局の使用量は2011年度が約1000立方メートルです。
都営住宅の建て替え戸数は、2001年度から2007年度までは3000戸前後で推移し、2008年度から2009年度が3200戸余、2010年度は3400戸余と、減少しているわけではありません。
都営住宅の建て替えなどを通して、多摩産材の利用をもっと増やすことはできないのですか。利用を増やす上で障害になっている問題について、木材利用推進連絡会ではどのような検討がされているのですか。
12 都が2009年3月に策定した「森づくり推進プラン」では、多摩産材の利用目標として、2015年度までに公共利用を5700立方メートルとしています。2011年度の庁内利用実績の3倍になります。この4年間で、目標を達成に向けて、全庁を上げた努力が求められますが、どのようにするのですか。
13 区市町村利用については、どのように把握して、利用推進を図る計画ですか。
14 多摩産材の民間利用についても、多くの課題がある中で、2015年度までに24,300立方メートルという目標を掲げています。
都は、現状の民間利用実績をどのように把握しているのですか。そこから、2015年度目標を達成するために、どのような施策をとっていくのですか。
15 港区では、木材利用量の目標を数値化して床面積あたり0.005立方メートルとしています。5000立方メートル以上の建築物事業主にたいしては、協定木材の利用を促しています。都としても、こうしたことを検討してはどうですか。
16 切り捨て間伐されているものを燃料チップに加工し、暖房の燃料などバイオマスエネルギーとして活用することも需要の開拓につながると思います。都内の中小企業に、加工設備の製作を委託研究として発注したらいかがですか。
17 国有林の場合は、森林の専門家として森林官が森林の巡視業務をはじめ、森林を造り育てるための事業実行を監督する業務、森林の今後の施業計画を策定するための地況・林況調査、路網の整備・管理、木材の育成・伐採・生産・販売するまでの一連の事業の監督など、森林・林業が多面的な機能を果たす上で、重要な業務を担っています。
国は、「森林・林業再生プラン」の実現に必要な人材として、「フォレスター」、「森林施業プランナー」、「森林作業道作設オペレーター」、「フォレストマネージャー(統括現場管理責任者)」等を挙げています。准フォレスター等育成研修事業も始めました。
都としても、国の制度を積極的に活用して、「フォレスター」をはじめとした人材育成を具体的に進めることは有効だと思いますが、いかがですか。

平成24年第四回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 森林・林業の再生について
  1 都の「森づくり推進プラン」では、森林には、国土の保全、水源のかん養、地球温暖化防止、生物多様性保全、教育・保健、木材生産など多面的機能があるとしている。東京の森林を維持、資源循環させ、林業振興を図り、森林・林業の多面的機能を確保していくためには、都としてどのような施策が必要であるのか、見解を伺う。

回答
 平成21年3月に改定した「森づくり推進プラン」に基づき、林道などの基盤整備はもとより、花粉発生源対策や多摩産材の利用拡大など、総合的な施策展開を図っています。

質問事項
 一の2 森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で重要な役割を担っているのは林家・森林業者だが、その所得は林業で生活できるものになっていない。森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で、森林業者の所得を補償する制度をつくることも有効だが、見解を伺う。

回答
 森林所有者や林業事業体に対しては、これまでも間伐などの森林整備への補助や経営力強化に向けた支援などの様々な施策を実施しており、所得補償を行う考えはありません。

質問事項
 一の3 林業者が、森林・林業での多面的役割を果たしていることを尊重して、木材生産に対する所得補償をおこなうよう国に求めるとともに、都としても踏み出していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 森林所有者や林業事業体に対しては、これまでも間伐などの森林整備への補助や経営力強化に向けた支援などの様々な施策を実施しており、都における所得補償及び国に対する要望を行う考えはありません。

質問事項
 一の4 都の「森づくり推進プラン」では、林道整備を平成22年度までに5km/年に拡充するとしているが、この目標の実現にむけて、どのように進めるのか。また、今後の目標の引上げについては、どのような検討がされているのか、見解を伺う。

回答
 今後とも森林所有者の協力を求めるとともに、市町村と連携し林道整備を促進していきます。

質問事項
 一の5 国では「森林・林業再生プラン」事業にもとづき、日本の森林の現状を、取組が進んでいるドイツの森林管理の専門家に見てもらいアドバイスを受け、従来の林道より単価が安い林業専用道、さらに森林作業道の検討を進めている。都として、ドイツ等の路網の経験に学び、従来の林道より単価の安い林業専用道、および森林作業道の整備に取り組む必要があるが、見解を伺う。

回答
 都が現在整備中の路線においては、国の林業専用道の基準を適用することが困難であるため、現時点では施工していません。
 また、森林作業道については、平成23年度に森林所有者や林業事業体等が設置した約8キロメートルに対し支援を行っています。

質問事項
 一の6 多摩地域の森林は急峻なところが多いため、運搬コストを低減するためには新たな生産工具を開発することが求められている。都は、高性能林業機械の導入に取り組んでいるとしているが、日本の林業機械の問題点について、専門家は、多くの問題を抱えているとしており、都にはそのような認識はないのか、見解を伺う。

回答
 東京都森林組合など実際に森林施業を行っている林業事業体からは、国産の林業機械に対する問題点は出されていませんが、今後とも情報収集に努めていきます。

質問事項
 一の7 現在の高性能林業機械は、急峻なところで十分対応可能で、コスト削減できると考えているのか、見解を伺う。

回答
 一般に、森林整備を行う際には土場や森林作業道などを併せて整備することから、急峻な斜面でも高性能林業機械の活用は可能であり、コスト削減にもつながると認識しています。

質問事項
 一の8 都内の中小業者に現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることも有効な方法であるが、都の見解を伺う。

回答
 既に様々な林業機械が開発、販売されており、林業事業体では必要性に応じて購入やレンタル等で利用しています。

質問事項
 一の9 都は、1998年に「都の林業・林産業の振興を図る」ことを目的に、都として木材利用推進連絡会をつくり、公共建築物などへの木材の活用を進めているとしている。都の木材利用推進連絡会には、誰が参加し、どのような資料が配付され、議論がされているのか。また、どんな頻度で行われているのか伺う。

回答
 庁内関連部署で構成する「木材利用推進連絡会」を平成10年度に設置しましたが、平成17年度からは、新たに設置した「東京都花粉症対策本部多摩産材の流通部会」において、年1回程度、多摩産材の利用事例等に関する情報交換などを行っています。

質問事項
 一の10 木材利用推進連絡会の取組について、2006年度からは、「多摩産材利用推進方針」に基づき、多摩産材の認証制度、区市町村が多摩産材を活用する際への助成なども開始している。都立学校や都営住宅の工事に用いるなど、全庁を挙げて取り組み、区市町村に対しても積極的に働きかけているが、2011年度の多摩産材使用実績は約1,900立方メートルとなっており、この実績についてどのような認識なのか伺う。

回答
 平成18年度の多摩産材利用量1,200立方メートルと比べ約1.6倍に増加していますが、引き続き努力を重ねたいと考えています。

質問事項
 一の11 これまでの取組の中で、都庁全体で最も木材利用が多い局は都市整備局であるが、都営住宅の建て替えなどを通して、多摩産材の利用をもっと増やすことはできないのか。利用を増やす上で障害になっている問題について、木材利用推進連絡会ではどのような検討がされているのか伺う。

回答
 「東京都花粉症対策本部多摩産材の流通部会」において、庁内利用の実例や多摩産材の生産状況等について情報交換を行うなど、各局が協力して公共利用の拡大に取り組んでいます。

質問事項
 一の12 都の「森づくり推進プラン」では、多摩産材の利用目標として、2015年度までに公共利用を5,700立方メートルとしており、2011年度の庁内利用実績の3倍にあたる。この4年間で、目標達成に向けて、全庁を上げた努力が必要であるが、どのように取り組むのか、見解を伺う。

回答
 「東京都花粉症対策本部」において、各局における多摩産材の利用事例等について情報交換を行うことに加え、平成23年11月に改定した「東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針」により、庁内はもとより、区市町村への働きかけも強化し、多摩産材の利用促進に取り組んでいます。

質問事項
 一の13 区市町村の多摩産材の利用については、どのように把握して、利用推進を図る計画なのか伺う。

回答
 平成23年度より、区市町村から多摩産材の前年度利用実績及び翌年度利用予定量について報告を受けています。
 また、「東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針」に基づき、区市町村に対し、説明会を開催するなど様々な機会を捉えて、多摩産材利用への働きかけを強化しています。

質問事項
 一の14 多摩産材の民間利用についても、多くの課題がある中で、2015年度までに24,300立方メートルという目標を掲げているが、都は、現状の民間利用実績をどのように把握しているのか。そこから、2015年度目標を達成するために、どのような施策をとっていくのか、見解を伺う。

回答
 民間利用実績については、多摩産材を扱う都内唯一の原木市場の取引量をもとに推計しています。
 また、今後とも、魅力ある多摩産材製品の開発や効果的な普及策について、広く民間からアイデアを募集するなど、民間利用の推進を図っていきます。

質問事項
 一の15 港区では、木材利用量の目標を数値化して、床面積1平方メートルあたり0.005立方メートルとしており、5,000平方メートル以上の建築物事業主に対しては、協定木材の利用を促している。都としても、こうしたことを検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 企業や都民等による森づくりへの参加と多摩産材の利用促進を図るため、平成23年度に「とうきょう森づくり貢献認証制度」を開始しました。
 具体的には、森づくり活動や多摩産材を利用した住宅・什器による二酸化炭素の固定量等を数値化し、評価認証しています。

質問事項
 一の16 切り捨て間伐されているものを燃料チップに加工し、暖房の燃料などバイオマスエネルギーとして活用することも需要の開拓につながると考えられる。都内の中小企業に、加工設備の製作を委託研究として発注すべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 木材チップの加工設備については、移動式を含め、既に様々な製品が開発・利用されており、都内でも東京都農林水産振興財団や多摩地域の製材所などで利用されています。

質問事項
 一の17 国は、「森林・林業再生プラン」の実現に必要な人材として、「フォレスター」、「森林施業プランナー」、「森林作業道作設オペレーター」、「フォレストマネージャー(統括現場管理責任者)」等を挙げており、准フォレスター等育成研修事業も始めている。都としても、国の制度を積極的に活用して、「フォレスター」をはじめとした人材育成を具体的に進めることは有効だが、見解を伺う。

回答
 都では、すでに「准フォレスター」や「森林施業プランナー」など、国の制度も活用しながら人材育成を図っています。
 なお、フォレスター制度は平成25年度から開始される予定と聞いており、今後、国から示される制度の内容を踏まえて対応していきます。

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