平成二十四年東京都議会会議録第十六号

〇議長(中村明彦君) 二十五番くりした善行君。
   〔二十五番くりした善行君登壇〕

〇二十五番(くりした善行君) 失われた十年は今や昔、最近では、日本の長期低迷を指して失われた二十年と呼ばれるようになりました。景気停滞に加えて膨れ上がる財政赤字や国力の低下に歯どめがかからない、現在、日本は紛れもなく、再生か衰退かの岐路に立たされています。
 その間、この国の政治は、多くの課題を抱えながら、しかし、それらを根本的に解決するのではなく、ずるずる先延ばしをしながら、その場限りの対応に終始してきました。何とかしてそれを打ち破ってくれるだろう、三年前、多くの都民、国民の期待に支えられて躍進した民主党も、旧来の政治から抜け出せずに、改革を貫き通すことができなかったことは、返す返すも残念でなりません。
 しかし、このまま政治の針を政権交代以前の状態に戻してよいわけでは断じてありません。民主党ができなかった旧体制の打破、そして新たな日本のビジョンを示すグレートリセットをなし遂げるために、我々は維新の会として、これまでだれも触れたがらなかった問題についても、覚悟を持って挑んでまいります。
 かつて多くの革新政党が問題提起し、しかし、根源的な解決をされてこなかった問題の一つとして、公務員の外郭団体への非合理な再就職、いわゆる天下りがあります。その弊害については、今さらいうまでもありませんが、税負担を背負っている都民からの不信を生むことのほか、組織構造にゆがみを生じさせ、結果として行政全体のポテンシャルを損なうということも殊のほか大きな問題であります。
 大阪市においては、この夏、橋下徹市長と大阪維新の会によって、職員基本条例が制定をされ、市職員の再就職について新しいルールがつくられました。職員の再就職において、人材バンクの活用による透明化はもとより、その妥当性について市長の附属機関によるチェックを義務づけることによって、責任の所在を明確に示していくとしています。
 都や国においても、再就職情報の透明化については一部進んできてはいますが、本当に団体がその人の能力を必要として採用に至ったのか、経緯の調査は現実的に難しいことから、抜本的な対策とはいえません。であればどうすべきか。我々は、合理的な再就職と非合理な再就職との線引きを行政が責任を持って明らかな形で示し、徹底的に遵守をすることによって、都民が憤る、いわゆる天下りは根絶に向かっていくと考えます。
 現状、東京都は、都職員の外郭団体への再就職のあり方についてどのようにあるべきだと考えているのか、見解を伺います。
 冒頭申し上げたとおり、日本は今やがけっ縁の状態であります。大変な思いをしても、二十年後、三十年後、私たちの子どもたちや孫たちがこの国を再び誇れるように、今責任を持ってつくり直していかなくてはなりません。
 我々議員にも、職責や報酬について、みずからの権益を排しても、改革を断行していく覚悟は問われています。それが我々の掲げている議員定数削減、議員報酬削減の意義でもあります。職員の方々にだけ一方的に厳しい環境を強いるつもりはありません。互いに力を合わせあって、本当の意味で東京都を心の底から誇れる行政にしていこうではありませんか。
 日本全体を覆っているこの閉塞感を吹き飛ばす、首都東京にはその責任があります。我々は、この東京から硬直した古い政治を打ち壊し、地方政治に新しい風を吹き込みたい。そのために、これからもただただ前進していくことをここに宣言し、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) くりした善行議員の一般質問にお答えをいたします。
 幹部職員の外郭団体への再就職のあり方についてでございますが、幹部職員が退職後、在職中に培った知識や経験を社会のさまざまな分野で活用することは、極めて意義のあることと考えております。
 特に、監理団体は、都の行政運営を支援、補完する重要な機能を持っており、報告団体は、その公益性にかんがみて、都が出資などを行っている団体であります。
 都は、こうした外郭団体に対して、出資者としての立場などから、その適切な運営に寄与するよう、早期に退職の勧奨を受ける国の天下りとは異なり、定年またはその直前まで働いた幹部職員のうち、適切な人材を都の保有する人材情報をもとに推薦しております。
 とりわけ監理団体につきましては、これまでも団体の統廃合、都の財政支出や都派遣職員数の削減、経営目標達成評価や役員業績評価制度の導入、退職金の全廃、情報公開の推進など、不断の改革に取り組んでおり、そうした状況のもと、再就職した役職員には、自律的な経営のかじ取りを厳しく求めております。
 一方、幹部職員の再就職については、都民から、公正な都政運営に疑念を持たれることのないよう、平成二十二年に再就職情報を一元管理し、部課長級以上の幹部職員全員の再就職情報を公表する人材バンクを整備したところであり、これまで適切に運用し、実績を積み重ねてまいりました。
 今後とも、より一層、公正性、透明性のさらなる向上を図る観点から、制度の運用に努めるとともに、その運用状況について不断の検証を行ってまいります。

〇議長(中村明彦君) 以上をもって質問は終わりました。

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