平成二十四年東京都議会会議録第十六号

〇議長(中村明彦君) 四十八番星ひろ子さん。
   〔四十八番星ひろ子君登壇〕

〇四十八番(星ひろ子君) 都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して質問します。
 首都直下地震等による東京の被害想定についてお伺いいたします。
 四月に発表された被害想定では、区市町村ごとの自力脱出困難者の予測数が出されました。自力脱出困難者とは、建物の倒壊によって下敷き、生き埋めになった場合、家族、消防団員や警察、消防により救助される人のことであり、文字どおり、自力では脱出できない人のことです。
 阪神・淡路大震災時の実態に基づく推計で算出されているそうですが、建物の全壊の数及びその率、発生時間における建物内滞留人口などの数値が絡み合い、大変複雑でわかりにくいものです。
 しかし、この想定が発表されてから自治体では、その問い合わせ、対応に追われてきました。私の地元の昭島市においては、立川断層帯地震で、冬の朝五時の時間帯で四千六百四十八人という、近隣市に比べ格段に多い数が算出されたため、耐震性の弱い施設、老朽家屋が他市よりも多いのではという不安が広がり、高齢者、障害者のひとり暮らしなど、対策強化が市議会でも大きな問題になりました。
 ところが、ことし十一月、東京都地域防災計画を修正、それと同時に四月に発表した被害想定の一部に誤りがあったと報告があり、自力脱出困難者の数が大幅に修正されたのです。
 例えば、冬の朝五時で多摩直下地震の場合、昭島市は二千百六十三人が五百七十八人に、さらに大きな数値で不安が広がった立川断層帯地震の場合、昭島市の四千六百四十八人は千二百四十二人に修正されました。昭島市は下方修正でしたが、数がふえた市もあります。
 自治体は、都の防災会議の被害想定をもとに地域防災計画策定を準備してきました。このような数字の誤りはあってはならないことです。各地域での対策の検討に与える影響が大きいことから、以後、こうした数値は十分に精査するとともに、関係市町村への丁寧な説明を求めます。
 こうした自力脱出困難者を減少させる取り組みとして、区市町村と連携し、実効性ある対策を講じるべきと考えますが、ご所見を伺います。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動に関する支出文書の情報公開請求に対し、報道によると、一部の文書が欠落、一時紛失したという問題が起こりました。報道後に見つかったと発表がありましたが、文書管理が適正に行われていなかったことは紛れもない事実です。文書は、文書管理規則にのっとり管理されています。文書総合管理システムによる文書一覧の管理と文書そのものの管理が一体となっているべきものと考えます。
 この問題が起こった原因は何か、また、その後の対策について伺います。
 東京都の文書管理規則では、請負または委託による事業に関するものは六千万円以上は五年間、三百万円以上については三年間を文書保存期間としています。後に見つかった八事業のうち四事業は六千万円以上の事業でした。現在もオリンピック招致活動が続けられており、費用対効果を検証するものとして、招致活動をやめるまでは、保存期間が切れたものについても延長して保存すべきだと考えます。
 こうした一体の文書については、保存期間をどのように運用しているのかお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 星ひろ子議員の一般質問にお答えをいたします。
 自力脱出困難者についてでございますが、被害想定でお示しした数値につきまして、一部計算上の誤りがあり、関係自治体には多大なご迷惑をおかけいたしました。
 今回、修正を行い、その内容について十分説明をさせていただき、ご理解をいただいているところでございます。
 大規模地震による自力脱出困難者や死傷者を減少させる取り組みとしては、都はこれまでも、地域防災計画に基づき、建築物の耐震化の促進、家具類の転倒、落下、移動防止対策の推進、東京防災隣組の普及など、区市町村と連携したさまざまな対策を講じております。
 今後とも、こうした取り組みを着実に推進し、被害の軽減を図ってまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 前回の招致活動にかかわる文書管理についての二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、情報公開請求についてでございますが、本年六月に、二〇一六年招致活動に関する旅費、契約等の支出文書全般に及ぶ開示請求がございました。この開示請求に係る対象文書は七百四十一件、五千枚を超えるものでございます。このうち、指定された期限内での開示ができなかったものが八件、百六十三枚でございました。
 その理由は、前回の招致活動終了後、オリンピック・パラリンピック招致本部、知事本局、スポーツ振興局と局をまたがる所管部局の変更がございまして、その都度、保存文書の移動もあわせて行ってきましたが、その際、書類の引き継ぎや整理が不徹底であったことにより、一時的な所在不明が発生したことによります。
 現在、招致活動を展開している二〇二〇年の大会については、適切な文書管理を行うことはもとより、あわせて二〇一六年大会の招致活動に係るすべての保存文書についても、再度整理を行っております。
 今後とも、適切な文書管理を徹底してまいります。
 次に、文書の保存期間の運用についてでございます。
 保存期間については、東京都文書管理規則に基づき、局で定める文書保存期間表に従い運用してございます。
 なお、前回の招致活動につきましては、四年間に及ぶ一連の活動内容を記載した二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書を取りまとめております。これによりまして、広範多岐にわたる活動を詳細に記録し、招致活動全体を総括して得た教訓を将来にわたって確実に引き継いでおります。
 前回、招致の際に培った有形無形の財産を最大限活用し、今後も引き続き、二〇二〇年招致活動に全力で取り組んでまいります。

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