平成二十四年東京都議会会議録第十六号

〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
 百二十番大塚たかあき君。
   〔百二十番大塚たかあき君登壇〕

〇百二十番(大塚たかあき君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について関係局長に伺います。
 先日ご逝去なさった名誉都民森光子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
 石原慎太郎前知事の突然の辞職により、新知事が誕生する間、都政に大きな空白がもたらされることになりました。さらに、辞職を表明した知事が退任日の翌日を着任日として、自身の特別秘書を専門委員に選任するという異例の事態も生じました。
 また、来年度予算編成の最終盤に、その最高責任者たる知事が辞職したことにより、日常の都政運営のみならず予算編成や都議会での議論にも大きな制約をもたらすことになりました。
 私たちは、どのような状況下にあっても、議会は議会としての役割を着実に果たしていかなければならないと考えております。しかし、移行期における知事の権限行使のあり方、予算編成や議会審議のあり方などについては、今回明らかになった課題についてしっかり検討し、より明朗で力強い都政をつくり上げていきたいと思います。
 それではまず、平成二十五年度予算編成など今後の財政運営について伺います。
 十一月十二日、政府が発表した、ことし第三・四半期のGDP、実質国内総生産は、前の期と比べ〇・九%の減、年率で三・五%減少し、三・四半期ぶりにマイナス成長に転じました。欧州における財政危機や新興国の経済減速、そして、特に尖閣諸島問題に端を発した中国との関係悪化などで、今後の経済見通しは極めて厳しいものになると考えます。
 このような中、現在、都においては、平成二十五年度予算案の編成に向けて実務的に作業が進められているとは思いますが、私たち都議会民主党は、都政のむだを排除するとともに、成長戦略に基づく新産業の育成や環境エネルギー施策の充実、子育て、福祉の充実などに集中して予算を投じていくべきだと考えております。
 そこで、都として、どのような予算を編成しようとしているのか、見解を伺います。
 予算編成に当たっては、財源確保の見通しがなければ、その大枠は定まりません。基金や都債を活用するにしても、今後の財政運営を考えれば、その活用は戦略的あるいは計画的に行われるべきであります。そのためにも、この間、ピーク時と比較して一・三兆円の減となってきている都税収入の見通しが明らかにされる必要があります。
 そこで、都の主要財源である平成二十四年度都税収入の見込みについて、また、平成二十五年度都税収入の見通しについて見解をお伺いいたします。
 また、今後、都財政を運営していく上で、法人事業税の暫定措置の撤廃は大きな課題です。法人事業税の暫定措置は、平成十九年十二月、当時の自民党の福田首相と石原知事とが合意し導入された地方税の原則を無視するものでした。これにより、都は、平成二十四年度までの間に約六千億円もの減収を余儀なくされているのです。
 一方、民主党は、政権交代以降、三年連続国家財政が苦しい中でも、地方交付税等をふやし続けてまいりました。自治体が自由に使えるお金をふやし、国による自治体の事務への義務づけ、枠づけなどの制度を変えてきたのです。これらによって、この暫定措置を継続する意味もほとんど失われてきたといえます。
 私たち都議会民主党は、この間、都とも連携しながら、暫定措置の撤廃に向けて積極的に取り組み、社会保障・税一体改革関連法において、抜本的に見直しを行うことを明記させることができました。
 この暫定措置を確実に廃止させ、地方税財源全体を充実強化させるには、引き続き政府に働きかけていくことが必要です。
 そこで、都としても、引き続き暫定措置の撤廃に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、この間の取り組みとあわせて見解をお伺いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
 帰宅困難者対策条例が来年四月に施行される予定ですが、都はこれに先立ち、十一月十三日に帰宅困難者対策実施計画を発表しました。実施計画では、首都直下地震によって生じる一時滞在施設への受け入れ需要人数を九十二万人と試算しています。しかし、都が都立施設等を活用して確保するのは七万人分であり、一時滞在施設の確保など民間の協力をいかに得ていくのかということが重要です。
 私たち都議会民主党は、条例制定時の代表質問において、国が規制緩和や補助金制度を通じて、備蓄倉庫や非常用発電設備の整備を促そうとしていることを例に挙げ、都においても企業の協力に対する物資供与や助成など誘導策を講じる必要があると主張してきました。
 実施計画では、備蓄品の購入経費の補助や運営アドバイザーの派遣、通信手段の確保などに加えて、都市開発諸制度の活用や固定資産税の減免などによって、民間の一時滞在施設を確保していくことを打ち出しています。
 こうした実施計画を着実に推進し、民間の協力を得て帰宅困難者対策を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、耐震化の推進について伺います。
 先日、国土交通省は、二〇一二年三月一日時点で地震時などに著しく危険な密集市街地の全国調査結果を発表しました。調査によれば、全国で五千七百四十五ヘクタール、百九十七地区が該当しており、そのうちの千六百八十三ヘクタール、百十三地区が東京都内に集中しているとのことです。
 この調査結果は、最低限の安全性を確保することが困難な地区、すなわち地区外への避難経路喪失などにより、生命、財産の安全性の確保が著しく困難な地区が都内に多数ある実態を改めて示すものであり、より一層の支援策や規制緩和などさまざまな手法を駆使した取り組みの推進が必要と考えます。
 そうした中で、木密地域不燃化十年プロジェクトにおいて、都が整備地域約七千ヘクタールの中から不燃化推進特定整備地区を指定し、特に重点的に取り組みを推進する制度を創設することになりました。このいわゆる不燃化特区が十二地区において先行実施されています。これは今後の防災まちづくりを強力に推進するための原動力となる非常に重要な取り組みですが、この先行実施地区における現在の取り組み状況をお伺いいたします。
 こうした特に危険な地区は、面的な整備、まちづくりと一体となった整備によって、地区全体の危険性を低減、または安全性を高める取り組みが喫緊の課題となります。地震による死者、特に圧死者を出さないためには、個々の建築物の耐震性も重要であり、都議会民主党は、木造住宅の耐震化助成について、取り残される地域、家屋が生じないよう、基本的に対象を限定せずに行うことをこれまで何度となく求めてきました。
 木造住宅の耐震診断、耐震改修助成制度の適用対象地域の拡大について改めて求めるものですが、都の見解をお伺いいたします。
 都の行ったマンション実態調査では、都内の分譲、賃貸マンションの約二割、二万四千棟が旧耐震基準で建てられていると推計されています。これらのマンションが一棟でも倒れれば、倒壊による人的被害はもちろんのこと、道路はふさがれ、住民の避難、消火や救命救助活動の妨げになるおそれがあります。
 また、耐震化の促進により被害を軽減すれば、仮設住宅の必要数や瓦れきが減少し、早期の復旧、復興につながります。
 私は、取り組みを加速するためには、年次ごとの目標や一層のインセンティブ、規制緩和などを総合的に盛り込んだマンション耐震化プログラムというべき計画策定などが必要と考えています。
 特に、分譲マンションで耐震化を進めるためには、多数の権利者間での合意形成という高いハードルがあります。都は、さきの第三回定例会における都議会民主党の質問に対して、今年度新たにマンション啓発隊を組織して、約百棟の分譲マンションを個別訪問し普及啓発活動を行ったと答弁しました。
 今年度、さらに分譲マンションへの啓発隊の派遣を本格的に実施すると聞いています。一万棟を超える分譲マンションが旧耐震基準であるという実態にかんがみ、まずはこの取り組みをさらに拡充する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、環境施策について伺います。
 環境エネルギー施策については、国において電力制度改革に向けた検討が行われる一方、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、いわゆるFIT制度の運用開始による太陽光発電等の導入拡大など、さまざまな動きがあります。
 今回のFITでは、建築廃材や工場残材、林地残材を利用したバイオマス発電やコージェネについても燃料代を考慮した買い取り価格が設定されており、木材加工業で発生する端材等や間伐材の受け皿として、市場における未利用資源の活用につながるものとして注目されています。
 一方、都は、第二回定例会の私の代表質問に対し、今後の都の取り組みとして、スマートエネルギー都市の実現を掲げ、その方向性として節電、省エネ技術やノウハウを最大限活用すること、低炭素、自立分散型エネルギーの利用を進めること、エネルギーマネジメントの仕組みが組み込まれた都市づくりを実現することの三点を実践していく旨、答弁をしております。
 そこで、これまでの都のスマートエネルギー都市の実現に向けた取り組みの現状と今後の展開についてお伺いをいたします。
 東日本大震災以降、効率の悪い老朽火力発電所の稼働により、CO2排出量が増加しており、地球温暖化対策の観点からも事業所や家庭における節電、省エネが必要です。
 都内のCO2排出量の約四割は業務産業部門が占めており、オフィスビルなどの省エネ対策は不可欠です。一方、都内のビルの多くはテナントビルであり、CO2排出を着実に削減していく必要があります。
 しかし、賃貸を主な用途とするビルの節電、省エネは難しいといわれております。オーナーはテナントに対し、快適な環境を提供することが第一であり、テナントに対しエネルギー利用の抑制を強制することができないからです。
 また、フロアごとの管理ができなかったり、テナント自身はエネルギー使用削減のモチベーションが低い場合が多いといった課題が挙げられており、これらに対応した施策が必要です。
 テナントビルでの温暖化対策を進めるために、都ではどのような対策を講じていくのか、お伺いをいたします。
 スマートエネルギー都市の実現に向けては、住宅における低炭素電源の確保も必要です。住宅においては、創エネルギー機器の導入補助事業により、太陽光発電等の普及が進んできましたが、この補助事業は、今年度末で終了するとのことです。
 今後とも、住宅における創エネルギー機器、特にその中心となる太陽光発電は、さらなる普及促進が必要と考えますが、補助事業がなくなる来年度以降、どのように普及を進めていくのか所見をお伺いいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 アジアでは、自由貿易圏に向けた動きが加速し、国内においても、アジアの金融センターとして地位を確立するため、今月、日本取引所が発足するなどアジアの経済連携が進んでいます。
 シンガポール、上海、香港といったアジア各都市でも外国企業誘致の取り組みを強めていますが、日本も税制、財政措置を付した総合特区制度を設立し、海外の活力を国内産業に結びつけ、国際競争力を強化することに取り組んでいます。
 首都東京においては、あらゆる業種の外国企業を誘致して、東京を業務統括拠点、研究開発拠点に進化させるアジアヘッドクオーター特区の構築を目指しています。
 特区の推進には、綿密な戦略に基づいた計画をいかに実行し、目指す特区を実現していくかが重要と考えます。東京には、新宿、渋谷、六本木、湾岸地域、羽田空港跡地などが特区エリアに指定されています。
 都は、都内各エリアの差別化をどう図って多国籍企業を集積し、特色あるアジアヘッドクオーター特区を構築しようとお考えか、見解を伺います。
 また、国内には、食や医療、航空宇宙、環境といった国家戦略上、重要な専門領域を高めることを目標とした六つの総合特区があります。東京には、世界とこれらの特区を結ぶ羽田空港が位置し、日本の交通結節点となっています。
 そこで都は、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区を初めとした各特区との協力体制を築くことが重要と考えます。例えば、ライフイノベーション特区と都内ものづくり企業が医工連携を進めれば、都内産業の活性化と雇用の促進が図られ、アジアヘッドクオーター特区への外国企業の業務統括部門の誘致につながることなどが期待できます。
 ほかの総合特区と協力体制を築いて、アジアヘッドクオーター特区の取り組みを推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 特区計画には、外国企業誘致、ビジネス交流のために有意義な機会となる国際会議、国際見本市、展示会などを招致するMICE拠点の形成がうたわれています。中国や韓国、シンガポールなどアジア諸国も展示会産業の発展に力を入れ、産業が成長している一方、国内の展示会産業の成長率は必ずしもよいとはいえません。
 都は、昨年度から、臨海副都心を対象にMICE国際観光拠点化構想を打ち出し、MICE機能の充実による国際的ビジネス交流拠点の形成を目指しています。また、二〇二〇年オリンピック招致計画では、二〇一六年招致と同様に、東京ビッグサイトを増築して国際放送センターなどとして活用する見通しです。
 先月、IMF・世界銀行年次総会が東京で開催されましたが、こうした国際会議や国際見本市、研修、視察を招致するために展示会場の拡張は重要で、MICEビジネスには不可欠です。
 都内のMICE拠点を強化するための東京ビッグサイトの拡張に向けた進捗状況と今後の取り組みについて、都の見解をお伺いいたします。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致について伺います。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会は、いうまでもなく出場する選手が主役ですが、大会運営の一端を担うボランティアスタッフも、来日する世界の人々に対し、おもてなしをする大事な主人公であります。
 そこで、私は、日本特有の文化や伝統に重きを置いた心を持ち合わせ、昨年の東日本大震災に受けた多くの苦難と世界各国からの支援への感謝の気持ちを継続して忘れないようにするために、招致決定直後にボランティアを募集し、二〇二〇年にはボランティアリーダーとして活躍する人材を育成すべきと考えます。
 二〇二〇年の大会時に二十のボランティアスタッフになる小学六年生または中学一年生の児童生徒を対象に登録してもらい、開催までの間、学校内外において日本の伝統文化、礼儀作法を勉強し身につけてもらいます。その結果、社会貢献意識が芽生え、周りの子どもたちにもよい影響を与え、また海外の文化や言語への興味づけともなり、語学向上にもつながります。
 また、若者も対象にする一方、中高年も対象とした募集も同時に行うことで、彼らの豊富な人生経験を生かしたボランティアを行ってもらい、目標や生きがいにつなげることもできます。そして、招致段階からこの募集を行うことを大々的に発表すれば、招致機運の醸成にもつながるのではないでしょうか。
 以上のことを踏まえて、オリンピック・パラリンピックの開催決定後、早期にボランティアの募集を開始し、語学研修などさまざまなプログラムを組んで、大会開催までに資質豊かなボランティアを育成すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都内の子どもの体力向上施策について伺います。
 都内では、若者のスポーツ離れもさることながら、ふだんの生活習慣等の影響も含めた子どもの体力低下が問題となっています。全国小中学校の学力、体力テストにおいても、東京都の学力は平均を上回っていますが、体力は全国平均を大幅に下回っている状況です。都内には運動ができる環境が少ないなど、さまざまな要因が考えられますが、徹底して取り組むべき課題であると考えます。
 この子どもたちの体力低下問題の対策として、都教育委員会においては、平成二十二年度から三カ年で、総合的な子どもの基礎体力向上方策第一次推進計画を実施しています。今年度はちょうどその三年目の節目の年に当たります。
 そこで、体力向上施策等の現状と今後の方向性について、都の見解を伺います。
 都教育委員会による昨年度の東京都広域歩数調査では、三十年前に比べて、児童生徒の歩数が半減しているという結果でした。三十年前の小学生の一日の歩数は約二万七千歩に対し、現在の小学生が一万一千三百八十二歩、中学生で九千六十歩、高校生は八千二百二十六歩であり、子どもの運動不足がここに顕著にあらわれています。
 例えば、都内の私立小学校では、ウオーキング等を授業前に取り組んでいる例もありますが、健康増進や体力向上には、学校外での活動や生活習慣も大きく影響するため、学校以外での運動量の向上や運動習慣づくりなどの対策も必要です。
 そこで、都教育委員会は、子どもの基礎体力を向上していくため、こうした歩数調査の結果を踏まえて、どのように取り組むか見解を伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 まず医療と介護の連携についてです。
 国では、高齢化がピークに差しかかる二〇二五年までに、長年の課題である過度の病院頼みから脱却すると同時に、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる体制を整えるという基本方針のもと、二〇一二年度、診療報酬、介護報酬の改定では、病院から在宅医療につなげるための退院調整や在宅復帰支援、さらには二十四時間体制での在宅医療や看護、介護サービスなどに関する評価が軒並み拡充されました。
 これらは、医療と介護の役割分担を明確化し、互いに連携強化を図るということをねらいとしたものであり、私たちも極めて重要と考えます。
 そこでまず、医療と介護の連携強化に対する都の基本的な認識と具体的な取り組みについて、所見を伺います。
 また、医療と介護の連携強化に関する都立病院と公社病院の取り組みについて、あわせて所見を伺います。
 次に、震災時の医療機能の確保についてです。
 現在、都は、医療施設における安全と、特に地震災害時の医療体制の確保を図るため、未耐震の建物を有する医療施設が行う耐震化を目的とした耐震診断、新築建てかえ、耐震補強工事等に必要な経費を補助しています。
 こうした取り組みについては私たちも評価しておりますが、一方で新築建てかえの場合を除いては、単なる耐震補強では建物が倒壊しないというレベルの補強に終わるおそれがあり、電気設備や医療機器類が破損するなど、震災時の医療機能が確保できなくなることが予想されます。
 そうした事態を回避するためにも、免震構造化や制震構造化、あるいは自家発電設備の設置などを行うことで、医療設備面での医療機能の確保が必要と考えます。
 そこで、震災時の医療設備面での医療機能の確保に対する都の基本認識について、所見を伺います。
 また、震災時の医療設備面での医療機能の確保に向けた都立病院と公社病院の取り組みについて、あわせて所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 福島での原発事故以降、エネルギーをめぐる情勢は大きく変化し、再生エネルギー導入拡大の重要性がますます高まっています。地球温暖化やエネルギー安全保障に加え、経済成長の実現に向けても、再生可能エネルギーの普及が重要なかぎになっているといわれています。再生可能エネルギーの普及促進や地産地消の事業化、また自然エネルギーを活用し、地域分散型の供給体制をつくり上げる必要があります。
 多摩地域には自然エネルギーの豊富な資源、太陽光を初め、多摩の渓谷での小水力、多摩産材の間伐材によるバイオマスなど、多様な安全で安定的な自然エネルギーがあります。こうした自然エネルギーを活用した未来型の住環境の創造を目標とした環境スマートシティーの実現が可能な地域といえるのではないでしょうか。
 都が今年度末までに策定するとしている新たな多摩ビジョンに、こうした環境スマートシティーの観点を反映させることが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 平成二十三年五月から平成二十五年三月までの国の事業として、離島のガソリンに対する流通コスト補助が実施されています。
 一方、これまで都は、野菜、果物を初め生活に必要なものとして十九品目を対象に海上運賃補助を実施してきました。島しょ地域のガソリンの価格は、東京都区部や市部との差が大きく、島内に流通する商品のすべてに反映される関係から、ガソリンに対する運賃補助は島の暮らしの格差是正に直接的かつ大きな効果があります。
 都が指摘している島ごとの需要量や輸送形態の違いにより価格差が生じているのは、島しょ間の価格差であり、本土との差の大きな要因ではありません。また、より生活に必要なものという観点から見ても、ガソリンは島での生活費の中で大きな比重を占めています。
 国の補助制度が終了する平成二十五年三月以降には、島しょの経済活動の停滞も懸念されています。島しょ地域では、自動車なくして暮らしや経済が成り立ちません。ガソリン料金に対する支援事業は、低迷する島の経済を支えるための大きな役割を果たしています。国の補助事業が終了する平成二十五年度以降には、現行の運賃補助の対象品目にガソリン、軽油を含める見直しが必要となっているのではないでしょうか。都の見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 大塚たかあき議員の代表質問にお答えをいたします。
 子どもの体力に関する二点のご質問ですが、まず体力向上施策の現況と今後の方向性についてでございます。
 都教育委員会は、平成二十二年度から、体力向上を図る一校一取り組み運動の展開や、持久力を高める中学生東京駅伝大会の開催等、さまざまな体力向上施策を推進してきました。
 都内公立小中学校では、例えば毎週行う朝礼の時間でのストレッチ体操や縄跳び、体育授業での五分間走や筋力トレーニングなど、運動量を増加させる取り組みを進めており、東京都統一体力テストの結果、平成二十二年度以前と比べ、子どもの体力は上向きに転じてきております。
 今後、こうした状況を踏まえ、子どもの意識を高めて行動を活動的に変えていくことを目指した取り組み内容を定めることとしており、区市町村教育委員会等と連携しながら、子どもの体力向上を図ってまいります。
 次に、歩数調査の結果を踏まえた取り組みについてでございます。
 平成二十三年度の広域歩数調査によりますと、都内公立学校の子どもは、一日の平均歩数が約一万歩と、望ましい活動量である一日一万五千歩を大幅に下回る状況にあります。運動部活動などに参加していない子どもの運動習慣を確立するためには、学校での取り組みを推進することとあわせて、家庭、地域への働きかけが重要でございます。
 このため、学校に対しては、一校一取り組み運動のより一層の工夫、運動していない子ども一人一人の状況に応じたプログラムの実施、体を動かす観点からの学校行事等の改善など、取り組みを充実するよう指導してまいります。
 また、学校外の活動量の増加に向け、家庭に対して帰宅後や休日に屋外遊びや運動スポーツの機会をふやすよう働きかけるなど、子どもの基礎体力を高める取り組みを進めてまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、平成二十五年度予算の編成についてでありますが、現在、七月に策定した来年度予算の見積もり方針に基づき作業を進めているところでございます。この見積もり方針では、第一に、都政が直面する諸課題に的確に対処するとともに、将来を見据え、東京のさらなる発展に向けた戦略的な取り組みについても積極的に進めること、第二に、すべての施策について必要性や有効性を厳しく検証するとともに、これまで以上に創意工夫を凝らし、効率的でむだがなく、実効性の高い施策を構築していくことを柱としております。これらに基づき作業を引き続き進め、今後、新知事の方針を仰ぎ、予算案を取りまとめてまいります。
 次に、法人事業税の暫定措置についてでありますが、この措置は、受益と負担という税の原則に反し、地方自治を侵害するものであることなどから、都はこれまで、あらゆる機会を通じて国に撤廃を求めてまいりました。
 社会保障・税一体改革関連法において、暫定措置については、税制の抜本的な改革にあわせて抜本的に見直しを行うことが明記されたものの、この措置の撤廃に向けては、今後、根拠法である地方法人特別税等に関する暫定措置法の廃止が必要となることから、引き続き都議会のご協力をいただきながら、国に強く働きかけてまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 平成二十四年度及び平成二十五年度の都税収入の見通しについてでございますが、我が国の景気は東日本大震災の復興需要等により回復傾向にありましたが、本年七月から貿易収支が四カ月連続でマイナスを更新するなど、このところ弱い動きとなっております。また、景気の先行きについても、海外経済のさらなる減速等によって下振れするリスクが指摘されております。
 こうしたことから、本年度の都税収入につきましては、これまでは堅調に推移はしているものの、十一月末に申告された法人二税の中間申告等の状況をなお慎重に見きわめる必要がございます。
 また、来年度の都税収入につきましては、景気が当面、弱目に推移する見通しであることに加えまして、国の税制改正等の動向も不透明であり、引き続き予断を許さない状況にあるものと考えております。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、帰宅困難者対策における民間との協力についてでございますが、大規模災害発災時に帰宅困難者の大量発生による混乱を防止するためには、従業員等の一斉帰宅の抑制など、民間の協力も得て社会全体で取り組む必要がございます。
 とりわけ九十二万人にも上る行き場のない帰宅困難者への対応は、従業員用に加えて一〇%余分の備蓄や一時滞在施設としての運営など、民間事業者の幅広い協力が不可欠でございます。
 このため、今回の実施計画におきましては、一時滞在施設に協力する民間事業者に対し、備蓄品購入費への補助や二十三区内における防災備蓄倉庫の固定資産税等の減免など、さまざまな支援を行うことといたしております。
 今後、こうした支援策により、民間事業者の協力を得て、帰宅困難者対策を着実に実施してまいります。
 次いで、新たな多摩のビジョンについてでございますが、今回のビジョンは人口減少社会の到来や都市インフラの更新需要の増大など、多摩地域を取り巻く状況変化や課題等を踏まえ、二〇三〇年ごろを念頭に入れた多摩地域の目指すべき姿や方向性を示していくものでございます。
 ビジョン策定に当たりましては、これまで多摩の広域的な課題などについて、市町村とさまざまな観点から意見交換を行うとともに、多摩地域で活動を展開している民間企業や事業者、NPOに加え、まちづくり等に精通した有識者へのヒアリングを順次進めており、環境分野についてもさまざまなご意見がありました。
 これらの意見を参考にしながら、多摩ならではの豊かな自然の活用など多摩の持つ強み、ポテンシャルを生かした施策の方向性などについて検討をしてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区の先行実施地区についてでございますが、各地区は区のまちづくりに関する方針も異なり、区域の広がり、不燃領域率など、地域の実情はそれぞれ特色を持っております。
 このため、現在、地区ごとに設定した定例会議などを通じて、区と緊密な連携を図りながら、整備プログラムの作成や地域の実情に応じた都の支援策に関する協議を行っており、今後、平成二十五年度の事業着手に向け、区との協議をさらに深めてまいります。
 次に、木造住宅の耐震化助成についてでございますが、木密地域は東京の防災力を強化する上で最大の弱点であり、改善を加速するためには、重点的、集中的に施策を講じることが重要でございます。
 防災都市づくり推進計画に定める整備地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により、避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、区と連携し、耐震診断や改修に対する公的助成を行っております。
 都としては、引き続き、道路閉塞や延焼による被害の危険性の高い整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 最後に、マンション啓発隊についてでございますが、マンションの耐震性の確保に向けては、まず、所有者みずからが建物の耐震性能を把握することが不可欠でございます。
 このため、今年度新たに啓発隊を組織し、八月から二区一市でおおむね百棟を対象として先行実施を行いました。訪問した管理組合の中には、これを契機に地元区市の耐震アドバイザー制度の申し込みを行うなど、耐震化に向けた具体的な動きもございます。先行実施の経験を踏まえ、個別訪問に当たっての事前調整や耐震診断の進め方などの説明方法に工夫を凝らし、今月から啓発隊の本格実施に着手いたしました。
 今後も、体制の整った区市から順次取り組みを進め、個々のマンションの状況に応じた普及啓発活動を展開してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市の実現に向けた取り組みの現状と今後の展開についてでございますが、賢い節電、省エネの定着につきましては、事業所への無料省エネ診断や、家庭への節電アドバイザーの派遣等を行っております。
 低炭素、自立分散型エネルギーの拡大につきましては、家庭への創エネルギー機器の導入支援や、オフィスビル等へのコージェネレーション設備の導入を図っております。
 エネルギーマネジメントにつきましては、大規模再開発エリアでの地域エネルギーマネジメントの構築に向けた調査等を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを並行して進め、スマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。
 次に、テナントビルの温暖化対策についてでございますが、テナントビルにおきましては、ビルオーナーとテナント事業者が協力して温暖化対策を進めることが不可欠でございます。このことから、環境確保条例では、すべてのテナント事業者にオーナーへの協力を求めております。
 こうした結果、例えば、ほとんどの大規模テナントビルにおきましては、オーナーとテナントが協力して温暖化対策を行うための協議会が設置されておりまして、テナント事業者も積極的に取り組んでおります。
 都では、今後とも、テナントビル向けの省エネセミナーを開催するなど、テナントビルの温暖化対策を支援してまいります。
 最後に、住宅における太陽光発電の普及策についてでございますが、都が展開してまいりました補助事業は、全国的な太陽光発電の普及拡大にも貢献し、その結果、一キロワット当たりの設置コストは、都の補助開始前の平成二十年度に七十万円を超えておりましたが、現状では五十万円を切るまでに低下しております。
 このように、かつて普及の大きな障害であったコストの問題は大幅に改善していることから、今後のさらなる普及に当たりましては、アフターケアや相談窓口の充実など、太陽光発電に関する理解を促進し、安心して設置できる仕組みを構築してまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特色あるアジアヘッドクオーター特区の構築についてでありますが、本年七月、本特区構想の推進母体であります、民間事業者、関係区等で構成される特区地域協議会が、アジアヘッドクオーター特区域内ビジョンを作成したところでございます。
 この中では、例えば大手町、丸の内、有楽町地区はビジネスセンターとしての長い歴史を生かした金融、保険を中心とする企業の拠点に、渋谷地区はIT産業の集積等を生かしたコンテンツクリエーティブ産業の集積地にしていくなど、各エリアそれぞれの地域資源と、そこから導き出される将来像が描かれております。このように、地域の特性を生かした将来像の実現に向け、それぞれの魅力を世界に発信するとともに、官民が一体となって外国企業の誘致、集積を進めていく考えでございます。
 次に、他の総合特区との協力体制についてでありますが、都内の中小企業を初めとする日本の企業の技術力や高い研究開発能力は、外国企業にとりまして魅力であり、東京が外国企業を誘致する際の重要なPR要素となります。また、東京に進出した外国企業が、東京以外の地域で事業活動を行えば、東京への外国企業誘致の取り組みの効果が日本全体に波及することとなります。
 このため、誘致活動や誘致した外国企業と国内企業のマッチング等の取り組みにおける連携や規制緩和等、共通する課題解決に向けた連携を図ることを目的といたしまして、本年八月、都が中心となって国際戦略総合特区間連絡会議を立ち上げました。アジアヘッドクオーター特区の取り組みに当たりましては、こうした会議を活用し、ほかの六つの国際戦略総合特区と協力体制を築いて、相乗効果を高めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 東京ビッグサイトの拡張についてでございますが、現在、ビッグサイトの周囲の土地の利用可能性や、埋立地である地盤の状況を踏まえた建設コストなどの視点から検討を進めております。検討に当たりましては、オリンピック招致計画との整合性や、臨海副都心におけますMICE拠点化の取り組みとの連携などが必要でございます。
 今後、国内外における将来の展示会開催需要の見通しなどについても、検討が必要であると考えております。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック開催時のボランティアについてでございます。
 オリンピック・パラリンピックのような大規模イベントの成功には、多数のボランティアの活躍が不可欠であります。さきのロンドン大会では、七万人のボランティアが大会の運営だけでなく、盛り上げにも大いに貢献したところでございます。
 我が国においても、東京マラソンで約一万人のボランティアが大会運営を支え、選手や観客とともに、東京が一つになる日をつくり出しております。このように、人々のボランティア意欲は非常に高く、こうした方々の参画が、大会時だけでなく、その後のスポーツ振興にとっても重要でございます。
 二〇二〇年東京大会では、若者から高齢者まで幅広い方々の参加が可能となるよう、ボランティアプログラムを工夫することとし、大会組織委員会において、大会までの活動の場の提供や、効果的なトレーニングなどについて検討してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療と介護の連携強化についてでございますが、だれもが身近な地域で安心して療養生活を送ることができる社会を実現するためには、医療と介護の連携強化が重要でございます。
 このため、都は、医療、介護の関係者等による協議会や、病院から在宅への円滑な移行等を調整するための窓口の設置など、地域の特性に応じた取り組みを行う区市町村を支援しているところでございます。
 また、複数の在宅医が互いに補完し、訪問看護ステーションと連携しながら、チームを組んで二十四時間体制で訪問診療等に取り組む地区医師会への支援や、医療、介護従事者に対する研修などを実施しているところでございます。
 次に、震災時の医療機能の確保についてでございますが、大規模災害時においても継続的に医療を提供するためには、何よりもまず、病院の建物本体が耐震性を有していることが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、災害時医療の中核となる災害拠点病院や救急医療機関を対象に、医療機関の耐震化を促進してまいりました。昨年度の補正予算では、東日本大震災の教訓を踏まえ、地域の病院も医療機能を確保できるよう、医療施設耐震化緊急対策事業の補助対象をすべての病院に拡大したところでございます。
 本事業では、病院が新築建てかえや耐震補強に当たって免震化や制震化を実施した場合も補助しており、また、自家発電設備の整備についても、昨年度からすべての病院を対象に、都独自に補助を行っているところでございます。
   〔病院経営本部長塚田祐次君登壇〕

〇病院経営本部長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療と介護の連携強化に関する都立病院と公社病院の取り組みについてでありますが、都立病院と公社病院は、急性期を担う病院として医療サービスを提供するとともに、患者が地域で安定した療養生活を送ることができるよう、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどによりさまざまな支援を行っております。
 具体的には、かかりつけ医に対する情報提供、病院や施設への転院調整、患者や家族に対する福祉制度の紹介などを行うとともに、在宅に戻られた患者の緊急の入院にも対応しております。
 今後とも、療養型の病院や診療所、地域の自治体や訪問看護ステーションなどとの役割分担を踏まえ、これらの機関との連携を推進してまいります。
 次に、震災時の医療設備面での医療機能の確保に向けた都立病院と公社病院の取り組みについてでありますが、再編整備を行った多摩総合・小児総合医療センター及び松沢病院本館診療棟では、震災時における医療機能の確保を図るため、免震構造を採用しております。また、今年度中の松沢病院社会復帰病棟の改修により、都立病院と公社病院の病院本体の耐震化はすべて完了いたします。
 さらに、発災後においても医療機能の継続ができるよう、自家発電設備の設置などにより、三日分のライフラインの確保を図っております。特に、基幹災害拠点病院としての役割を担う広尾病院では、耐震性にすぐれた中圧ガスを燃料とする自家発電システムを導入するなど、さらなる強化を図ってまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 貨物運賃補助の見直しについてでございますが、この補助制度は、島民の生活物資の確保や特産品の出荷を海上輸送に頼る島しょ地域において、その運賃の一部を支援するものであり、対象となる品目は、補助の効果が高く、かつその効果が幅広く島民に還元されるものを指定しております。
 ガソリン及び軽油の島と本土との価格差は、貨物運賃に起因するものよりも、販売量の少ない島向けに小口輸送をするための経費や、小売段階での手数料などの要因の方が大きくなっております。
 そのため、ガソリン及び軽油は補助の効果が小さいことから、対象品目に加えることは現状では難しいと考えております。
 今後とも、島民の方々の生活安定に資する貨物運賃補助制度を着実に運用してまいります。

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