平成二十四年東京都議会会議録第十三号

〇議長(中村明彦君) 百二十六番馬場裕子さん。
   〔百二十六番馬場裕子君登壇〕

〇百二十六番(馬場裕子君) 駐車監視員制度と駐車取り締まり規制の緩和について、お伺いをいたします。
 平成十八年六月監視員制度の開始より六年を経過し、制度の周知と効果は十分発揮されてきていると受けとめております。
 一方で、大都市東京都が抱えてきた道路交通状況の中で、規制により生じている課題については、これまでも検討をお願いしてまいりました。四年前の一般質問で、荷さばきに配慮した駐車規制の緩和区間の設置をお願いし、以後、これまでに四十カ所を設置していただきました。規制緩和区域の拡大や短時間利用パーキングメーター導入などの改善策に感謝申し上げます。
 しかし、以前に増して取り締まりが強化された状況に対して、都民への生活サービスに携わる業務関係者からは、対策経費の多額な負担と違反認識に対する運転者の心理的負担増から、規制緩和要請がたくさん寄せられております。
 最初に、道路交通法改正による放置駐車取り締まり規制強化の効果についてお伺いいたします。
 現在、駐車規制除外の対象は、特定の人及び車両とされておりますが、改正から六年が経過し、渋滞対策に効果が出つつあるとの認識のもと、業務として訪問医療、介護などのサービス提供が求められる車両、例えば、助産師、介護士、ヘルパーなど、訪問先が多数であり、ある程度の所要時間が必要かつ道具ないし備品を携帯しなければならない業務などについては、規制対象から除外すべきと考えます。
 また、近年、税金や公共料金の取扱委託により、銀行などに加えコンビニ店に設置されているATM機など、現金取扱箇所が急増しております。二人乗務でのATM機への現金装てんを伴う現金輸送時など、埼玉県で発生した銃を使用した襲撃事件の例もあり、危険にさらされているという緊張感は、民間人にとって精神的に重い負担となっております。
 昨年、経団連から、犯罪の誘発または盗難、ATM等への現金供給の停止や被害拡大による社会経済機能の麻痺を防ぐためにも、警備会社が使用する、現金輸送用車両及び機械警備警報対応用車両を駐車規制対象除外車両として認めるべきとの要望が出されています。
 現金輸送車などの危険を伴う警備輸送車両の安全確保のため、現金取扱場所から最短距離に駐車できるよう規制対象から除外すべきと考えます。
 警視庁は、駐車規制除外車両の拡大をどのように考えておられるのか、ご所見を伺います。
 警視庁では、放置車両確認事務の民間委託に伴い、従来以上に違反実態等に即した公平かつめり張りをつけた取り締まりを行うため、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯を定めた駐車監視員活動ガイドラインを策定、公表し、ガイドラインに沿った取り締まりをするものとされております。
 各署で作成する活動ガイドラインは、指定された最重点、重点路線並びに地域を監視員の活動範囲とし、範囲外であっても、活動場所に移動途中に悪質、危険性、迷惑性が極めて高い放置車両などは対象とすると規定しています。
 高齢社会化が進む中、注文による個宅への配送などの営業や定時に指定地域に集配送を要請される業務など、日々、数十万台もの集配車両が運行しています。渋滞対策として広く制度の周知もできたところで、客の依頼で移動するこうした運輸車両の駐車については、渋滞が予想されず、悪質、危険、迷惑性の低い状況と判断できる場所については、駐車規制の緩和が強く求められております。
 都民が必要と求める場所では、荷さばきスペースの拡充と駐車規制の緩和が必要と考えますが、警視庁のご所見を伺います。
 限られた道路を安全で効率よく利用するには、さまざまな規則を守らねばなりませんが、自動車免許を持たない者、高齢者、子どもなど、標識や表示の意味を理解しているとは限りません。多種多様な条件で人と車が道路を利用します。交通事故や違反行為を未然に防ぐには、的確な指導と細心の見回りが求められます。
 監視員による放置車両確認件数はこの六年で約二百五十六万件、委託経費は約二百五十億円です。放置車両の確認等の事務は、放置車両確認機関として三年間の契約で法人に委託し、駐車監視員は確認標章の取りつけのみが任務とされています。
 ことしは、年間四百三十一ユニット、八百六十二人が常時巡回をしております。監視員は二日の講習の上、資格者証の交付を受け、公務に従事する職員とみなされます。国において道路交通法の改正が必要なことは承知していますが、今後は、知識や経験など一定の要件を備えた駐車監視員に交通専門指導の役割を付加することを検討されるよう、都民とともに期待をしております。
 次に、オートバイ、観光バスなどを含めた総合駐車対策について伺います。
 都は、平成十九年一月に路上駐車の削減を目指し、総合駐車対策マニュアルを作成しています。この中で、客待ちタクシー、自動二輪車、観光バス対策などが挙げられ、その後、行政や地域、警察などが連携協力し、数々の取り組みが進められてきました。
 東京駅やスカイツリーなど、新たな観光名所ができましたが、依然、駐車対策に関して多くの要望を受けております。ほかにも荷さばき車両や自動二輪など、個別に見ると、さまざまな問題が残っております。
 私は、平成二十一年の第四回定例議会一般質問で、荷さばき車両対策として、東京における地区物流効率化認定制度について質問いたしました。
 そこで、この認定制度について、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
 渋滞対策などから、四輪車からの乗りかえが期待されたオートバイなどの自動二輪車は、駐車取り締まり強化後、所有台数がふえるどころか十万台も減っております。この六年間で、放置車両確認件数は約七十二万台、所有台数の六〇%を超えました。その原因の一つとして、自動二輪車の駐車場の絶対的な不足が考えられます。
 都としては、都市計画駐車場など、公的駐車場における自動二輪車の駐輪場を設置促進しているとのことですが、数は足りていません。都はもちろん、区市の整備計画策定が進むよう、さらなる支援を要望しておきます。
 次に、道路、歩道の安全対策について伺います。
 九月十一日に川崎市内で発生した母子の自転車転倒事故は、自転車が道路右側の歩道を走行していてバランスを崩し、道路側へ倒れかかったところ、対向してきた車と接触し、一歳の子どもが死亡するという痛ましい事故でした。ニュースの映像では歩道も車道も狭く、段差が見られました。都内においても縁石などによる段差や、電柱や街路灯などにより歩道の幅が狭くなっているところが見受けられます。道路は都民生活において重要な基盤であり、安全で安心して利用できる道路環境を整備することが急務と考えます。
 都道における道路の安全対策への取り組みについて伺います。
 次に、東京の教育政策について伺います。
 先般、都教育委員会より、平成二十五年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書と、入学者選抜実施要綱が提出されました。募集人員の約二六%を占める推薦選抜の改善についてですが、入試は高校にとっても、受検生にとっても重大な関門で、これにより生徒の学校選択や中学の入試、進路指導に大きく影響します。
 都立高校入学者選抜における推薦選抜の改善点に関して、中学校への周知について伺います。
 平成二十四年度入試では、延べ約七万人の受検生のうち、約三万人が落ちる経験をしたこととなりました。生徒への精神面でのフォローもお願いをいたします。
 私は、これまで二十年にわたり日本語支援が必要な子どもたちへの学習環境の確保や、都立高校における在京外国人生徒の入学者選抜と入学後の学習支援についてお願いしてまいりました。平成二十年度の入試から、ルビをつけた学力検査問題による入試が導入されましたが、まだ十分とはいえません。
 また、在京外国人生徒へ高校就学の機会を提供するため、現在、国際、飛鳥、田柄の三校で外国人生徒募集枠を設定し、作文、面接による選抜が行われております。
 今般、都教育委員会は、学校が希望すれば、従前の方法にかえて学力検査を実施することができるとの方針を示されましたが、その理由について伺います。
 特別支援学校に通う児童生徒が、通学中に災害やアクシデントに巻き込まれた場合には、特別支援学校に迅速な対応が求められます。また、東日本大震災の経験から、学校がどこまで通学時の生徒の安全を担えるかについて課題となりました。学校も、生徒も、保護者も、臨機応変に対処することが求められております。
 特別支援学校への安全な通学は、学校の指導範囲と考えます。震災を含む通学中の事故、アクシデントなどの対策について伺います。
 学校教育に直接かかわる業務委託について伺います。
 外部人材を活用した教育関係の事業が年々増加しています。契約方法でいうと、給食調理や図書館司書は委託契約、特別支援学校のスクールバスは雇い上げ契約、栄養士や看護師等は非常勤職員として、ほかにスクールカウンセラー、介護職員、部活の指導員など、契約形態がいろいろあります。
 安全な学校教育環境を守るため、特に直接生徒にかかわる教育関係部門の外部人材活用は、それぞれの事業内容に十分適した資格要件などの条件を設定し、履行内容の質の確保に細心の注意を払わねばならないと考えます。
 今後、教育委員会における諸契約は、公契約として教育環境に十分適した契約条件を設け、適正な契約が継続されるよう、学校ごとの評価制度の設置に取り組むことを要望いたします。
 八ッ場ダムについて伺います。
 八ッ場ダム建設に関しての都の負担金は約八百七十億円とされています。ほかに、水源地域対策特別措置法に基づく事業負担金、また、利根川・荒川水源地域対策基金事業費負担金制度があります。
 水特事業、基金事業は、それぞれこれまで都の負担額は幾らか、また、任意で設置されている基金事業の趣旨及び主な事業について伺います。
 ことしは記録的残暑のため、九月十一日から利根川で一〇%の取水制限が始まりましたが、都では、多摩川水系を活用し、総量調整で乗り切り、都民生活への影響はありませんでした。この件で、今後の水不足を声高に申されるのは、機に乗じた発言といわざるを得ません。
 都の水道料金は、電力と同じ総括原価方式で、コスト増は将来、利用者の負担となります。都民は節水により、今後予想される多額の負担を回避できるのであれば、これ以上のダムは不要と思われるでしょう。治水対策は、堤防の強化とゲリラ豪雨対策こそ急ぐべきであり、八ッ場ダム建設は中止すべきです。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 馬場裕子議員からの一般質問にお答えをいたします。
 三点ございましたが、まず、法改正による放置駐車取り締まりの効果でありますけれども、平成十八年に改正法が施行されて六年になります。いろいろ効果があらわれておりまして、放置車両の減少、渋滞の緩和、それから平均走行時間の短縮であります。
 計測しておりますのが、都内中心部の明治通り、新宿通りなどの主要十路線でありますけれども、改正法施行前と比べまして、放置車両が八一%の減少、渋滞の長さが五一%短縮、車両の平均走行時間が一三%短縮となっております。
 引き続き、違法駐車の実態でありますとか渋滞の状況を踏まえまして、総合的な駐車対策を進めてまいりたいと考えております。
 二点目でありますけれども、駐車規制除外車両を拡大すべきではないか、拡大の是非についてでございます。
 駐車規制の除外車両につきましては、東京都道路交通規則等で定められているところであります。緊急自動車、その他公共性が極めて高く、緊急に広域かつ不特定な場所に対応することが必要な車両でありますとか、身体障害者等で歩行が困難な者が使用する車両、こういったものが細かく定められているところであります。これらの規定内容につきましては、全国的にほぼ同じであります。
 具体的に若干申しますと、訪問医療や介護等に使用する車両につきましては、通常は緊急性を伴わず計画的な訪問が可能であるものと考えられますので、除外対象車両には当たらないものと考えております。その上で、具体的な必要が認められる場合には、警察署長が駐車許可証を発行して対応している状況であります。
 なお、流産や早産等といった緊急やむを得ない場合には、この警察署長の許可も、口頭や電話により受けて対応することといたしております。
 それから、現金輸送車についてもご指摘でありましたけれども、現金輸送車につきましては、五分以内の積みおろしであって、かつ運転者が直近にいる、そういった形態であれば、これはそもそも駐車には当たりません。一方、そういった形態を超えて駐車するとなりますと、防犯上の観点からも、それは、そういった形態の駐車には問題があるのではないかと思います。いずれにいたしましても、今、申し上げました除外対象車両の要件には該当しないものと考えております。
 それから、機械警備警報対応用車両といったものもあるんですけれども、これは、一般的には特定の顧客の警備に従事するものでありますし、除外対象車両の要件とされておりますところの公共性が極めて高く、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な車両とはいいがたいものと考えております。
 以上が原則ではありますけれども、先ほども申し上げましたけれども、駐車禁止規制の対象となる道路に駐車せざるを得ない特別な事情が認められる場合につきましては、警察署長による個別の駐車許可により対応することとしているところであります。
 最後でありますが、駐車規制の緩和についての考え方でありますけれども、実態でありますけれども、荷さばき車両等に配意した駐車規制の緩和につきましては、議員ご指摘のとおり、平成十八年の改正法施行から順次進めておりまして、昨年末までに都内四十カ所、四十区間で実施をいたしております。
 本年も、地域住民等からの要望を踏まえまして、新たに三区間について規制緩和を実施することといたしております。
 今後も、地域住民や物流事業者等のご意見、ご要望にも率直に耳を傾けまして、かつ交通の安全と円滑を確保しつつ、きめ細かな駐車規制を進めていきたいと考えております。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都立高校入学者選抜の改善点の中学校への周知についてでございますが、都立高校を志望する中学三年生に対し、適切な進路指導を行うに当たっては、中学校の教員一人一人が、都立高校の入学者選抜の改善の趣旨や改善点などについて確実に理解することが大切でございます。
 そのため、推薦選抜の基本的な考え方を定めた四月以降、中学校長会等において、改善に至った経緯や推薦選抜の目的などについて直接説明を行うとともに、中学三年生全員にリーフレットを配布して周知をしてまいりました。
 現在、都内の全中学校を対象にした実施要綱説明会を開催し、具体的な実施方法等について周知を図っており、今後とも、都立高校合同説明会など、あらゆる機会をとらえて一層の理解促進を図ってまいります。
 次に、在京外国人生徒募集についてでございますが、在京外国人生徒対象の入学者選抜は、出身国の成績証明書等と作文及び面接により行ってまいりました。
 近年、受検生の出身国が多様化しており、それぞれの国によって成績評定の基準が異なることから、成績証明書により受検生の学力水準を統一的に評価することが難しい事例が生じております。
 こうしたことから、受検生の本来の学力をより的確に把握するため、学校の判断で学力検査を実施できるよう改め、在京外国人生徒募集を行っている都立高校にその旨、既に通知をいたしました。
 次に、特別支援学校の通学中の事故対策についてでありますが、スクールバス通学中に事故が起きた場合は、学校は直ちに現場に出向き、児童生徒の安全確保と保護者への連絡を行います。震災時には、速やかに救護に向かい、避難所への誘導等を的確に行ってまいります。
 一方、児童生徒が一人で通学中に事故が起きた場合は、学校は保護者と連絡をとるとともに、直ちに現場に出向き、救護と状況確認を行います。震災時でございますが、震災時にはあらゆる手段を用いて情報収集を行い、一人一人の所在確認と安全確保に努めていきます。
 また、発災後しばらくの間、通信手段が利用できないことも予想されるため、日ごろから児童生徒が周囲に対して援助を求め、安全な場所への誘導をお願いするなど、みずからの身を守るための行動を起こすことができるよう、安全指導を行っているところでございます。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 道路における安全対策についてでございますが、道路は、安全で快適な都市生活を実現する上で極めて重要な都市基盤でございます。
 都はこれまで、歩行者、自転車、自動車それぞれの交通機能が確保された都市計画道路などの整備を推進し、安全性の確保に努めてまいりました。
 既存の都道においても、車いすのすれ違いができる歩道の整備や、段差、勾配の改善を図る歩道のバリアフリー化を行ってきております。また、歩車道を分離する防護さくの設置や、歩行空間と分離した自転車走行空間を整備するなど、道路の安全性向上に取り組んでおります。
 今後とも、都市計画道路などの整備を進めるとともに、既設道路における交通安全対策を推進し、だれもが安全、安心、快適に利用できる道路空間を創出してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地区物流効率化認定制度の取り組み状況についてでございますが、本制度は、地域における物流効率化計画を認定し、共同配送などの自主的な取り組みを促進することにより、交通の円滑化や環境の改善を図ることを目的としております。
 都はこれまで、制度周知のための区市等への説明会や、具体的な検討に入った地区への計画策定に対する技術的支援を行ってまいりました。
 このたび、丸の内、神田、秋葉原地区等における食品中心の共同配送計画を、本制度の第一号として認定いたしました。これにより、当該地区に流入する車両の削減と、それに伴う路上駐車の減少が期待されます。
 今後とも、本制度の活用等を積極的に働きかけながら、地区物流の効率化に取り組んでまいります。
 次に、利根川・荒川水源地域対策基金などについてでございますが、都は、八ッ場ダム建設により水没地となる住民などを対象として、水源地域対策特別措置法に基づき、道路や下水道などの生活基盤の整備費を負担しており、その額は、平成二十二年度までに七十三億九千万円でございます。
 また、この事業を補完するために、利根川・荒川水源地域対策基金を設置し、代替地などを取得する際の利子補給や生活相談員の設置、道の駅など、地域経済の活性化策などを進めており、平成二十二年度までに十七億一千万円を負担しております。
 利根川の治水はもとより、ことしも含め、平成に入って七回もの渇水や、世界各地で多発する異常気象などを踏まえると、首都東京の利水安全度を高めるためには、八ッ場ダムの一日も早い完成が不可欠であり、そのためにも、今後とも関係県と連携しながら、採算性や効果などを勘案して基金事業を効率的に実施することにより、地域住民の円滑な生活再建を図ってまいります。

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