平成二十四年東京都議会会議録第十三号

   午後五時五十分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行します。
 百番いのつめまさみさん。
   〔百番いのつめまさみ君登壇〕

〇百番(いのつめまさみ君) ロンドン・オリンピック・パラリンピックが閉会しました。選手たちからはたくさんの感動をもらいましたが、まだまだ日本は女性とスポーツへの理解が足りないと感じました。
 なぜかというと、サッカー女子選手の往路はエコノミークラスでした。往復ビジネスの男子選手との差別が物議を醸しました。ロンドン・オリンピックは全競技が男女で行われた記念すべき史上初の大会でした。男女差別があったのは残念です。JFAの規約によるものだそうですが、規約よりも選手のコンディションを優先するべきです。
 そして、日本のメダリストへの報奨金は、他国と比較し低いです。もちろん選手の皆さんは報奨金目当てではなく、日本代表として頑張ってくれています。長年にわたる努力に対して敬意をあらわすためにも、もう少し手厚くしてほしいものです。
 質問に入ります。
 霞ヶ丘地域の再開発について伺います。
 霞ヶ丘地域は、港区と渋谷区に隣接する地域です。東京体育館、国立競技場があります。国立競技場については、国が建てかえを行うことにしており、オリンピック招致が実現した際には、メーンスタジアムとなることが見込まれています。
 また、この地域には築五十年以上の都営霞ヶ丘アパートがあります。エレベーターはなく、耐震もされていない団地が十棟、二百三十一世帯、約四百名が居住されています。
 八月、ここの住民の方々に、国立競技場の建てかえに伴う移転についてと記載された文章が配布されました。概略は、国がラグビーワールドカップの開催に向け、国立競技場の建てかえを行うことが決まりました、その計画に霞ヶ丘アパートが含まれており、移転していただかなければならない、移転時期は平成二十六年度ごろが想定されていますというものです。
 居住者の中には、昔からこの地域に住んでいた方がいます。東京オリンピックによって国立競技場が必要となり、霞ヶ丘アパートに移転されました。そして、また、今回の移転です。人生で二度、国立競技場のために移転を強いられる方がいます。お気の毒です。
 このアパートも高齢者が多く、移転により生活環境が変わるのは心配です。希望者が同じアパートに、ご近所さん同士、お仲間で移転できれば、コミュニティは存続でき、心強いと思います。
 居住者の皆さんは、今後どうなるのか、不安をお持ちです。全世帯の方の希望を伺い、丁寧な対応が必要です。具体的なことはまだ決まっていないとのことですが、いつ具体的になるのか、受け皿はあるのか、今後のスケジュールを早期に明確にすることが重要です。今後の取り組みについて伺います。
 次に、新宿駅西口について伺います。
 新宿駅はかつて、ギネス世界記録で世界一の乗降客を記録し、現在も一日三百四十万人の乗降客を誇る駅です。
 南口にはJR東日本の線路上空に約一・四七ヘクタールの人工地盤で、緑の広場、タクシーや一般車の乗降エリア、高速路線バス関連施設などの総合的な交通結節点として、二〇一六年に完成予定です。
 また、本年九月から、二〇二〇年開通の新宿駅東西自由通路工事が始まり、回遊性の高まりが期待されています。
 このように、周辺の開発が進むと、新宿駅西口駅前広場の整備が望まれるようになってきました。西口ロータリーは主に都道です。歩行者より車が優先された時代の整備です。地下と地上の二重構造で、歩行者広場がありません。地下のタクシー乗り場がオープンのため、大きな穴状態で駅前を分断しています。周囲の植え込みも、環境配慮とはいえません。路線バスへのアクセスにも問題があります。
 昨年三月十一日、新宿駅周辺は帰宅困難者であふれていました。まちの方からは、災害時の避難場所になるような広場が必要だと要望されています。広場でイベントができれば、まちのにぎわいにつながるといわれました。ふたをして平面になれば、新宿駅と西口のビル群へのアクセスが簡単になります。
 二〇二〇年オリンピックまでに、広場内のバリアフリー化や歩行者空間を創出し、時代に合った西口駅前広場の再整備が必要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、都営住宅跡地について伺います。
 都庁の西側に都営角筈アパートがありました。現在は取り壊され、五年間の期限つき暫定利用で民間に年間一億円で貸し、二〇〇九年九月から環境配慮型の住宅展示場となっています。しかし、契約者である民間会社が、出展者であるハウスメーカーと幾らで契約しているか、都は認識をしていない。知る必要もないということです。単なる又貸しビジネスにしないためにもルールが必要だと考えます。
 地域の皆さんは、旧都営角筈アパート跡地を考える会を立ち上げました。民間にアパート跡地が売却されるのでは、住宅展示場がもう一期延長されるのではと心配されています。考える会は、跡地の活用方法の方向性を地域の方に周知するために広報誌を発行され、孫と子と親の三世代社会をコンセプトに、環境に配慮した高齢者施設などの提案がありました。
 都は、考える会の意見をよく聞いてほしいと要望するとともに、新宿区と協議し、跡地の有効利用を検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
 増加する廃墟について伺います。
 最近、老朽化した木造住宅の空き家がふえています。総務省統計局の平成二十年の調査によると、全国の総住宅数五千七百五十九万戸に対し、空き家は七百五十七万戸、空き家率は一三・一%と過去最高を記録し、東京都は一二・三五%です。
 近隣の住民は、倒壊、崩壊、屋根、外壁の落下、犯罪の誘発、ごみの不法投棄、衛生面での悪化、悪臭の発生、風景、景観の悪化などを心配しています。災害時は、燃えくさになり、とても危険です。
 地権者がいないケースもありますが、地権者がいても解体しないケースも多くあります。地権者が解体しない理由は、解体費用がかかることと、解体後、更地になると固定資産税が高くなることが原因になっています。廃墟対策として、固定資産税の改正は今後の国の課題だと思います。
 現在、都と区市とでできる、特に木密地域の空き家対策を提案させていただきます。地方税法では、行政が無償で借りた土地は非課税になります。防災拠点や防災倉庫、延焼防止として有効利用が可能です。借り上げる土地の上物の解体費用を助成すれば、一石二鳥と考えます。行政の三〇%が空き家対策を講じています。都は老朽空き家が除去されない課題をどのように認識しているか伺います。
 次に、不妊治療について伺います。
 厚生労働省が公表した平成二十三年度の人口動態調査によると、東京都の合計特殊出生率は一・〇六と、全国平均の一・三九と比較して低い水準にあり、少子化が進展しています。片や、不妊治療患者は五十万人といわれています。
 都では、現在、体外受精と顕微授精に対し、十五万円を五年間十回まで助成しています。民主党政権になってからの施策です。しかし、残念ながら人工授精はまだ自費です。
 毎月の通院、エコーによる診療、漢方薬や薬を飲む、排卵検査薬を使用するなど、不妊治療の経済的負担は大きいものです。若い夫婦が経済的な理由から子どもをあきらめざるを得ない残念なこともあります。
 例えば、多嚢胞卵巣症候群という卵子が育ちにくいケースには、糖尿病の薬が効く人がいます。糖尿病患者が服薬すれば保険適用ですが、多嚢胞卵巣症候群の方の服薬は自費です。薬代が高額になり、継続できない場合があります。
 しかし、品川区では、一般不妊治療に年間十万円を上限に助成を行っています。区の単独事業です。
 少子化対策にもなる不妊治療に対し、私はすべて保険適用にするべきと考えます。都も国に頼らず、品川区を見習い、独自の不妊治療の支援の充実を図っていくべきと考えます。見解を伺います。
 不妊治療は、年齢への焦り、精神的に落ち込んだり、夫婦間がぎくしゃくしたり、身体的苦痛だけでなく、精神的な苦痛が伴います。いつか、その胸に赤ちゃんを抱く日を願って頑張る女性を社会全体で応援したいです。不妊治療者に対する精神的な支援とともに、夫や両親など家族への理解を深めることが必要です。都の見解を伺います。
 次に、ホームドアについて伺います。
 近年、鉄道の駅ホームからの転落防止を解決するホームドアに、国や東京都から補助金が交付され、設置が進められています。
 京王線の新宿駅では二〇一三年度に、小田急線新宿駅地上急行ホームでは九月三十日より可動式ホームドアの使用が開始し、より安全になることは喜ばしいことです。
 一方で、列車を寸分狂わず停止位置に停車させる必要が生じてきています。これに対して、自動的に停止位置で列車を停止させる列車の運転を支援する装置が開発されています。
 しかしながら、この列車の運転を支援する装置には、国や東京都からの補助金がありません。
 ホームドアを設置することで運転手への負担が増加し、安全面への影響も危惧されます。ホームドアの設置は、列車の運転を支援する装置の設置と一体化した補助制度の確立が必要だと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、迷惑メールについて伺います。
 毎日何通も届く携帯電話への迷惑メールです。高収入の道、競馬が当たる方法、パチンコ必勝法、若い女性とつき合いませんか、悩みの相談に乗ってくださいなどなど、不愉快な文章が送信されます。受信だけでも料金がかかり、開けばまたかかり、拒否リストに加える作業が面倒です。むだな時間と労力が費やされます。
 総務省の迷惑メール対策のホームページには、本文の冒頭に受信月日と送信者アドレスを追記し、転送するようになっています。手間がかかりますが、効果はあるのでしょうか。
 また、配信停止メールを送信すれば、別の組織にメール情報が流れ、最悪な状態になります。迷惑メールは有害サイトへの誘導、詐欺行為、振り込め詐欺、メールアドレスの収集、チェーンメール、さまざまです。こちらは何も悪くないのに対応しなければいけないことに、ストレスと嫌悪を感じます。多くの人々に精神的な損害を与えて、もはや犯罪ではないでしょうか。厳しい取り締まりと対策が必要と考えます。都の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) いのつめまさみ議員の一般質問にお答えします。
 私からは、五点の質問にお答えいたします。
 まず、霞ヶ丘アパートの移転についてでございますが、国は、施設の老朽化や競技の国際基準などへの対応を図るため、ナショナルプロジェクトとして国立霞ヶ丘競技場の建てかえを行うことを決定し、二〇一九年のラグビーワールドカップの開催に間に合わせることとしております。
 建てかえの計画対象範囲には、霞ヶ丘アパートの敷地が含まれていることから、都は先般、アパート居住者を対象として、今回の決定と移転の必要性について説明を行いました。
 今後、居住者への説明を続けるなど、適切に対応してまいります。
 次に、新宿駅西口駅前広場の再整備についてでございますが、都は「二〇二〇年の東京」計画において、東京を高度な利便性と効率性を備えた国際都市とするため、新宿駅などで交通基盤を充実強化することとしております。
 新宿区でも、昨年、新宿駅周辺地区整備ガイドライン二〇一〇を策定し、駅前広場を含めた駅周辺の回遊性の向上や、たまり空間の確保などを目指すとしております。
 現在、都は、地元区と協力し新宿駅周辺の現況などを調査しており、この中で、西口駅前広場のバリアフリー化など課題を抽出してまいります。
 次に、都営角筈アパート跡地についてでございますが、地域のまちづくりに活用するため、地元区等の意向も確認しながら整備の方向性について検討を進めましたが、具体的な活用策が定まるまでにしばらく時間を要する見込みであったことから、当面、平成二十六年度までの暫定利用を図っております。
 暫定利用後における具体的な活用については、現在、方針が定まっていないことから、今後、関係機関と調整してまいります。
 次に、木密地域における老朽空き家対策についてでございますが、都は、燃えにくいまち、燃え広がらないまちを目指し、延焼遮断帯の形成とともに、延焼遮断帯に囲まれた市街地について不燃化を推進する木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、先月、先行実施地区を公表いたしました。
 先行実施地区に応募した区などからは、さまざまな課題の一つとして、老朽空き家対策の必要性が挙がっております。
 都としては、現場を持つ区から、老朽空き家の状況や抱える課題などについて聞き取りを行ってまいります。
 最後に、ホームドアと一体化した列車の運転を支援する装置への補助についてでございますが、駅ホームにおける安全対策や列車の定時性確保などは、鉄道の安全、正確な運行の責任を負う鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でございます。
 ホームドアの設置については、整備上の課題を検討して利用者の安全性確保に向けた鉄道事業者の積極的な取り組みを促すため、都では、昨年度から三年間三駅に限り補助を実施しております。
 お尋ねの定位置停止装置など、運転を支援する装置の設置については、鉄道事業者みずからが判断し、実施すべきものと考えております。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、不妊治療への支援についてでありますが、子どもを欲しいと望んでいるにもかかわらず恵まれない方々が、保険適用とならない不妊治療を行う場合に、都は、国の制度に基づいて特定不妊治療費を助成し、経済的負担の軽減を図っているところでございます。
 都としては、不妊治療を必要とする人が安心して治療を受けられるよう、国において、全国の治療状況及び治療成績を考慮した上で、不妊治療の標準化を図るとともに、医療保険の適用対象とするよう求めており、引き続き、国に提案要求を行ってまいります。
 次に、不妊に悩む方への精神的な支援についてでありますが、不妊治療を受けている方の中には、家族や周囲の理解不足や治療の長期化などにより、悩みや不安を感じている方も少なくありません。
 そのため、都では、不妊・不育ホットラインにおいて、不妊に悩んだ経験を持つカウンセラー等が、さまざまな相談に応じるとともに、治療に関する情報提供等を行っております。
 また、多くの都民の方に、不妊のことを理解していただくため、リーフレットを作成し、区市町村の窓口で配布するなど、普及啓発を図っているところでございます。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 迷惑メール対策についてでありますが、携帯電話等に一方的に届く、いわゆる迷惑メールに対しましては、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づき、国が直接規制を行っております。
 この法律では、あらかじめ同意のない者への広告、宣伝メールの送信などが原則禁止され、違反した場合は、国による措置命令が行われます。また、送信者が電子メールアドレス等を偽って送信した場合には、直接刑事罰の対象ともなります。
 都は、迷惑メールによって不当請求等のトラブルが発生した場合には、消費生活総合センターにおける相談対応や事業者への指導、国等への情報提供を必要に応じて実施をしております。
 今後とも、ホームページや広報誌等により消費者への注意喚起を行うとともに、国や電気通信事業者の専門相談窓口を紹介するなど、適切に対応してまいります。

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