平成二十四年東京都議会会議録第十二号

   午後三時開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番野島善司君。
   〔百十三番野島善司君登壇〕

〇百十三番(野島善司君) 平成二十四年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 名誉都民山田五十鈴様には、去る七月九日、ご逝去なされました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 この夏、我々は、日本という国が置かれている厳しい現実を改めて思い知らされました。民主党政権が、我が国の安全保障の根幹をなす日米同盟を大きく毀損してしまったがために、北方領土、国後島へのロシア首相の上陸、竹島への韓国大統領の上陸、尖閣への香港活動家の上陸という事態が相次いで生じてしまいました。
 改めて申し上げるまでもなく、国家を構成する三要素は領土、国民、主権であり、これを全力で守り抜き、国際社会に屹立してこそ真の独立国家であります。しかし、民主党政権は、全くそうした自覚を欠いています。
 とりわけ尖閣諸島では、巡視船に対して公務執行妨害を働いたことが明々白々な香港の活動家を裁判にかけず、強制送還するだけで済ませました。尖閣諸島を国有化しても、中国に憶して何もしようとしません。
 我が自由民主党は、さきの国会に無人国境離島管理法案を提出しました。地元の漁業者を初め、広く国民のために有益な施設を建設するなど、実効支配を確固たるものにして国益をあらゆる方策で守ることが急がれています。
 こうした取り組みこそが、東京都に寄せられた約十五億円の寄附金に込められた都民、国民の志、声なき声、日本の将来への憂いにこたえるものであります。
 我々も、尖閣諸島を初めとする国境離島の保全について、責任ある政策を実行できる政権を樹立すべく東京から行動してまいりますが、知事に、領土、国民、主権を守るために、今、政治をつかさどる者は何をなすべきか、ご所見を伺います。
 世界は、国家と国家とが国益をめぐって激しく対立しているのが現実の姿であります。諸外国と友好親善に努めることが重要なのは論をまちませんが、一方で、みずからの正当性を強く主張し、守るべきものは断固守らなければなりません。
 そのために、国民は団結し、先人の苦労をしのび、培ってきた歴史、伝統、文化を未来に引き継ぎながら国力を絶えず涵養していく必要があります。いかなる政権であってもこうした視点に立たなければなりませんが、民主党政権は、政権をつかさどる責任感が完全に欠如しています。
 とりわけ目に余るのは、疲弊した国家財政を顧みず、ばらまきを重ねていることです。政権をとれば十六・八兆円の財源が捻出できると豪語し、国民をペテンにかけ、仕分けなる単なるパフォーマンスはしても、本格的な行政改革には手をつけず、歳出の蛇口は全開です。成長戦略もかけ声ばかりで、国民の閉塞感は募りに募っております。
 こうした現状を踏まえ、首都東京の長として常に時代を先取りし、国をリードする手だてを揺るぎなく講じてこられた知事に、国家の運営はいかにあるべきとお考えなのか、ご所見を伺います。
 次に、アジア大都市ネットワーク21について伺います。
 六月に開催されたシンガポール総会においては、都市の経済成長と環境政策等の両立について議論が行われたほか、モンゴルの首都ウランバートルと、ロシア・シベリア地方の主要都市トムスクの加入が承認されました。
 アジネット設立後、新規加入は初めてであり、開催都市がほぼ一巡する節目の総会にふさわしい、喜ばしいトピックであります。
 特筆すべきは、トムスクの加入は、石原知事みずからロシア首脳部と外交交渉され、その結果、今回の正規加入につながったことです。
 また、ウランバートルは、昨年八月の我が党調査訪問団による訪問が加入申請のきっかけとなったものであり、議会と一体となった自治体間外交の成果といえます。
 アジネット第二ステージともいえる新たな時期に当たり、二つの都市を仲間に加え、今後、本事業をどのように発展させていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、新たな多摩ビジョンについて伺います。
 都は、さきの都議会第二回定例会において、我が党の質問を受け、新たな多摩地域のビジョンを明らかにすると表明しました。多摩地域は、都市形成から来るさまざまな顔がある中で、今後は人口減少社会の到来や大規模工場の移転、撤退など、厳しい局面を迎えることが予想されます。こうした多摩の課題は、都の執行体制の強化を含め、総力を挙げて取り組むべきであると考えます。
 一方で、このような長期にわたる将来構想は、往々にして行政の思いが先行し、単なる絵にかいたもちに終わってしまうことがあります。こうした事態にならないよう、今後、新たな多摩のビジョンをどのように策定していくのか、基本的な考え方について伺います。
 さて、東日本大震災から一年半が経過しました。東日本大震災を踏まえ、都は防災対応指針を策定するとともに、最新の科学的知見に基づく新たな被害想定をまとめるなど、着実に防災体制の見直しを進めてきました。
 我が党は、先月、地域防災計画修正に向けた具体的提言を取りまとめ、都民目線に立った具体的な対策の推進、危機管理体制の再構築、地域の特性に応じた対策の推進の三つの大きな視点から、東京が抱えるさまざまな課題への対応の具体化を強く求めてまいりました。都は、これにこたえ、先般、地域防災計画の修正素案を示しました。
 国の対策が後手後手に回る中、都民の不安に正面からこたえ、内容を大幅に充実させた都の対応は高く評価したいと思います。本日は、都の修正素案について、内容を検証し、高めていくという意味において、我が党の提言に基づいて質疑をしてまいります。
 第一の視点は、都民目線に立った具体的な対策の推進です。
 全体で約六百ページにも及ぶ今回の修正素案を貫くのは、もちろん都民の命を守るという強い都の意思だと思います。我が党の提言でも求めているとおり、高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦など災害時に弱い立場に立つ人々への対応をしっかりと進めていかなければなりません。
 地域防災計画の修正に当たっては、こうした明確なメッセージを都民にわかりやすく伝え、自助、共助の取り組みを促していくべきですが、都はどのように取り組むのか伺います。
 発災時の被害を少しでも軽減するには、地域の防災力を高めることが何より重要です。都内には、約九千の町会や自治会が地域に根差したさまざまな活動を行っています。地震の対策として具体的に何をすればいいのかわからないとの声もあり、草の根レベルでの防災活動のすそ野を広げていくことが求められます。
 首都直下地震へ備える機運が高まっているこの時機をとらえ、地域の自主的な取り組みへの支援を積極的に行うべきですが、見解を伺います。
 こうした多くの町会、自治会の活動の中核的な存在として、地域の防災活動の牽引役を期待されるのが東京防災隣組です。
 さきの定例会での我が党の提案を踏まえ、今回の修正素案にその役割が明確に位置づけられましたが、都内では、第一回認定の三十六団体以外にも数多くの団体が意欲的な取り組みを進めています。地域に精通した区市町村とも連携し、早期に第二回認定を行うべきです。また、専門的なアドバイスによる継続的な支援も重要です。
 こうした質と量の両面から、東京防災隣組の充実に向けた取り組みについて伺います。
 地域の防災力のもう一方の担い手が消防団です。さきの第二回定例会でも、その活動の充実に向けた支援を求めました。
 大規模災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、消防隊に先んじて初期消火活動を担う消防団の役割が決定的に重要です。
 しかし、都内の消防団では、団員の確保に大変苦労しています。知人、友人を頼ったり、各消防団でPRを行うなど、それぞれ人材確保に取り組むものの、各地域での募集活動には限界があるようです。
 また、多摩地域の消防団では、財政的な制約などから、例えば団員の安全確保や地震時の救出救助に不可欠な資器材が十分整備されていない地域もあると聞いております。
 首都直下地震の切迫性を踏まえれば、区部や多摩・島しょの区別なく、地域防災のかなめである消防団がその役割を十分に果たせるよう、東京消防庁とも連携した対応が急務だと考えますが、都の見解を伺います。
 また、首都直下地震の際に、社会の混乱を回避し、救出救助活動を円滑に行うためにも、帰宅困難者対策は極めて重要な課題です。
 今月の十日、帰宅困難者対策協議会の最終報告がまとまり、行き場のない買い物客等を受け入れる一時滞在施設の確保に向けて、民間施設にも協力を求めることが明記されています。社会全体で対策に取り組むことは重要ですが、一方で、施設所有者には受け入れ体制の整備など、相当の負担が生じます。
 今後、帰宅困難者対策条例の施行に向けて都が策定する実施計画には、民間事業者の協力を得るための十分な支援など、一時滞在施設の効果的な確保策を盛り込むべきですが、都の見解を伺います。
 第二の視点は、危機管理体制の再構築です。
 発災後七十二時間以内に、いかにして多くの都民を救うか、初動対応は極めて大きな課題です。昨年の東日本大震災では、自衛隊、警察、消防の各機関が総力を挙げて被災地での救出救助活動に奔走し、かけがえのない多くの命を救いました。
 我が党の提言でも、初動体制の徹底的な強化を求めました。これにこたえ、消防総監を災害対策本部の副本部長として位置づけたことは高く評価します。
 また、今月、警視庁は新たに特殊救助隊を発足させ、災害対応の強化を図りました。
 さらに、都は陸上自衛隊から陸将を危機管理監に招聘したところであり、これを機に自衛隊との連携を密にした体制づくりが期待されます。
 都は、都民の命と首都東京を守り抜くため、首都直下地震へ対応する骨太の体制を構築すべきですが、知事のご見解を伺います。
 初動体制のためには、情報の収集、発信が決定的に重要です。都はこれまで、防災行政無線の拡充等を進めてきましたが、初動体制の見直しに合わせ、一層の取り組みを進めるべきです。
 また、昨年三月十一日に起きた通信の大幅な制限という事態を省みて、発災時に都民が情報を取得し、また、相互に連絡をとるための手段の確保に向けて、日々進化するさまざまなツールを活用していくべきです。
 初動時の情報通信の確保に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、災害医療体制について伺います。
 昨年の東日本大震災では、発災直後から東京DMATや東京都医療救護班が被災地に入って医療救護活動を行い、災害医療における東京都の実力を見せつけました。
 都は、被災地での救護活動の経験も踏まえ、災害医療のより一層の充実を図るため、東京都災害医療協議会を設置して検討を行い、今月四日に協議会の検討結果がまとまりました。その内容は、地域防災計画の修正素案に反映されています。
 そこで、災害時に都民の命を守るため、都は災害医療対策にどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 三つ目の視点が、地域の特性に応じた対策の推進です。
 首都中枢を担う区部中心部のみならず、海抜ゼロメートル地帯、木密地域、多摩地域、そして島しょ地域等、さまざまな顔を持つ東京では、それぞれの特性に応じた対策をしっかりと進める必要があります。
 以上三つの視点に立って、喫緊の課題についてお尋ねいたします。
 最初に、不燃化特区について伺います。
 本年一月に木密地域不燃化十年プロジェクトを公表して以降、都はもとより、区においても不燃化特区のための取り組みを進めてきたところですが、我が党としては、取り組みの緊急性を踏まえ、区の危機感、意欲にこたえるべく、先行実施地区に応募のあった十二地区すべてを指定するよう要望してきました。今回、要望を受けて、不燃化の取り組みを大幅に前倒ししたことは大いに評価するところです。
 今回の先行実施地区の募集に当たり、区からさまざまな提案が寄せられていますが、都は、こうした提案を踏まえ、先行実施地区にどのように取り組み、制度構築を図り、また、この取り組みを本格実施に結びつけていくのか伺います。
 また、延焼遮断帯を形成するなど、防災上、整備効果の高い都市計画道路である特定整備路線を平成三十二年度までに一〇〇%整備することとしており、その候補区間の一部が六月に公表されました。
 我が党は、かねてより東京の防災対策の再構築に向け、まちづくりの強化を提言しており、この実現のためには、特定整備路線の整備を強力に推進することが極めて重要です。
 そこで、特定整備路線の今後の取り組みについて伺います。
 また、木密地域に限らず、都内には約七十五万戸に上る空き家が存在し、倒壊や火災など、防災上の課題でもあります。
 少子高齢化に伴う都民の住宅ニーズの多様化により、必ずしも高齢者世帯や子育て世帯のニーズに合った住宅が供給されていないといった需給のミスマッチも生じています。
 こうした状況を踏まえると、活用されていない空き家を都民のニーズにマッチした住宅にリフォームするなどして市場に流通させることで、防災上の課題を初め、さまざまな住宅問題の解決に寄与できるものと考えます。
 都は、現在行っている空き家活用モデル事業も踏まえ、今後、空き家の有効活用についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、外かく環状道路について伺います。
 外環は、平成十三年に石原知事が当時の扇国土交通大臣と現地視察を行うなど、知事のさまざまな働きかけにより、凍結されていた扉が開かれることになりました。
 外環は、交通渋滞の解消、環境の改善、交通物流拠点の連携などを進めるとともに、災害時には、迅速な救命救急活動を支える命を守る道路として重要な役割を果たすことが求められます。
 東京都議会自由民主党はこれまで、知事とともに外環の建設促進に取り組んでまいりました。我が党の遠藤衛議員が会長を務める、超党派による東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟では、歴代の国土交通大臣に対して外環の早期完成を強く要請してまいりました。こうした関係者の努力により、今月五日には東名ジャンクション予定地の着工式が開催されました。
 知事は、本定例会冒頭の所信表明において、外環についての決意を示されております。関越道から東名高速間については大きな第一歩を踏み出しましたが、まだ湾岸道路までの計画は定まっておりません。外環の早期着工に大きな役割を果たしてこられた知事に、改めて外環について所見を伺います。
 また、首都圏三環状道路では、平成二十五年度に中央環状品川線の完成や、圏央道の東名高速までの接続が予定されております。残る外環についても、二つの環状道路におくれることなく整備を進めていかなければなりません。
 着工式を経て、外環整備事業についてはいよいよ本格的に工事が始まりますが、今後の関越道から東名高速までの早期完成に向けた都の取り組みについて伺います。
 また、本年四月に都が公表した首都直下地震等による東京の被害想定では、多摩地域においても多摩直下地震と立川断層帯地震が想定されています。
 多摩地域の防災力向上のためには、震災時に緊急車両の通行や避難路が確保できるよう、骨格幹線道路の整備が重要であります。
 都はこれまで、防災力強化に資する多摩地域の南北主要五路線の整備を推進しております。このうち、府中所沢鎌倉街道線及び立川東大和線では、いまだに着手されていない区間がありますが、防災上のネットワークの観点から課題と考えます。
 そこで、未着工区間の今後の取り組みについて伺います。
 次に、安定給水の確保について伺います。
 利根川では、十一年ぶりに取水制限が実施され、その影響は都だけでなく、埼玉県や千葉県など他県にも及びました。
 最近、渇水が起きていないからなどといって、ダムが不要とするのは、短絡的な考え方です。
 近年の異常気象を考えると、今後、より厳しい渇水が発生することも予想され、八ッ場ダムの早期完成が不可欠と考えます。
 そこで、将来にわたり安定供給を確保するための備えのあり方について、見解を伺います。
 次に、水道管の耐震化について伺います。
 我が党は、さきの大震災の教訓を踏まえ、避難所や主要な駅へ供給する水道管の優先的な耐震化を主張するとともに、新たな地域防災計画では水道の復旧目標を明らかにすることを提言しています。大規模地震の切迫性が指摘される今、断水被害の低減と復旧日数の短縮が必要です。
 そこで、さきの大震災の状況と新たな被害想定の見直しを受け、水道管の耐震化の全体像を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、水道施設の多くは高度経済成長期に整備され、おおむね半世紀が経過をしており、間もなく本格的な更新時期を迎えます。とりわけ、大規模浄水場の更新時期の集中、工事による長期的な供給能力の低下など、困難な課題に対処しなければなりません。
 そのため、更新期間中の供給能力の低下を補う代替施設をあらかじめ整備し、着実に更新を進めていく必要があると思います。
 そこで、本格化する大規模浄水場の更新に向けた具体的な取り組みについて伺います。
 また、水道と同様、下水道管の耐震化を進めていることも極めて重要であります。
 東日本大震災の被災地では、下水道の使用制限によりトイレやふろが使用できない地域の存在や、避難所などに設置された仮設トイレの衛生環境の悪化の問題がありました。
 そこで、下水道管の耐震化の取り組み状況と今後の対策について伺います。
 また、東京都は、東日本大震災を踏まえ、地震、津波や洪水等から東京を守る対策について技術検証委員会を設置され、このたび委員会からの提言とあわせて、都がとるべき対策の基本方針を取りまとめたと聞いておりますので、三点ほどお伺いいたします。
 江東デルタ地帯のような低地帯や沿岸部において、地震、津波等による水害から人々の生命や暮らしを守るため万全の備えを講じていくことは、まさに喫緊の課題であります。
 そこで、新たな耐震対策にかかわる都の基本的な考え方と今後の取り組みについて伺います。
 とりわけ東京湾に面する東京港の水門や防潮堤等の海岸保全施設は、津波や高潮から都民を守る最前線の施設であります。
 都はこれまでも、整備計画に基づき対策を行ってきましたが、今後、新たな被害想定に対応すべく、抜本的に計画を見直していくことが必要と考えます。
 そこで、現行計画をどのように見直し、地震、津波対策を実施していくのか伺います。
 また、下水道においても、災害時にその機能を発揮するとともに、万が一、浸水が発生した場合にも機能を保持できるよう十分な対策を講じなければなりません。
 そこで、ポンプ所や水再生センターなどの下水道施設における耐震化や耐水化の今後の取り組みについて伺います。
 次に、島しょ地域の津波対策について伺います。
 先般、国が発表した南海トラフの巨大地震に伴う津波高や人的、物的被害の想定、これは全国で三十二万人以上が亡くなるという衝撃的な内容です。都内でも、島しょ地域に高い津波が予想され、犠牲者が千五百人に上ることが示されましたが、地域ごとの被害など、実態は十分に明らかになっていません。
 そこで、南海トラフの巨大地震に対する独自の被害想定を行い、島しょ地域の津波対策の具体化や、島しょ住民への適切な情報提供につなげていくべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 以上、都民目線に立った具体的な対策を進めること、危機管理体制を改めて見直すこと、都内各地域の特性を踏まえた対策を講じること、こうした三つの視点から地域防災計画の素案を検証してきました。
 地域防災計画の本案策定に向け、対策のさらなるブラッシュアップを進めるよう強く求めておきます。
 首都東京の防災対策は、待ったなしの状況にあります。必要な人員と予算を確保し、きめ細かな地元対応やスピード感を持った取り組みを着実に進めることを求めるものであります。
 また、財源確保に当たっては、我が党は、法に抜本的な見直しが明記された法人事業税の暫定措置の確実な撤廃に向け、引き続き国に強く働きかけておくことを申し上げておきます。
 日本に活力を取り戻すには、東京のみならず、被災地が元気になることが重要です。そこで、改めて被災地支援について伺います。
 我が党の要望を踏まえ、都が東日本大震災の発災直後から現地事務所を設置し、人的、物的支援を行うとともに、瓦れきの都内受け入れ処理や商談会の開催など、さまざまな取り組みを進めていることは高く評価されるべきです。
 岩手県や宮城県では、高台移転等住宅再建事業が着工されるなど、復興の歩みが始まっている一方、福島県では、国の原発事故対応策が進まず、風評被害や人口流失が深刻化し、将来展望が開けない状況が続いています。
 このように、復興の進みぐあいは一様ではなく、立ちはだかる課題も多様化しています。都は、被災地の状況を踏まえ、それぞれのニーズに即した支援を的確に実施すべきです。
 特に、被災地が直面する技術職員不足や福島県の風評被害対策など、復興を阻む課題の解決に向け、被災地支援にどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。
 また、今なお岩手、宮城両県の災害廃棄物の処理は、二五%程度にとどまっております。
 一部には、仮設焼却炉などを使えば広域処理は不要との意見もありますが、発生した災害廃棄物は千五百万トンにも及び、県内施設をフルに活用しても県内ですべて処理できる見通しはなく、今後、さらに百万トン以上は広域処理が必要と両県は推計しています。
 都は、いち早く両県の災害廃棄物の受け入れを進め、全国に範を示すなど、広域処理の推進に大きく貢献してきました。
 都は、今後も引き続き、共助の精神のもと、被災地の復興を支えるため広域処理の一翼を担っていくべきと考えますが、今後の処理予定を伺います。
 次に、電気料金の値上げについて伺います。
 今月一日、家庭や多くの中小企業を対象とした規制部門の電気料金が値上げされました。
 我が党は、五月、この値上げに先立ち、政府と東京電力に徹底した経営合理化と経済負担の軽減等を求める緊急要請を行いました。この要請により、七月の国の認可では値上げ幅が圧縮されたものの、十分な経営合理化が図られたとはいいがたい状況にあります。
 一方、我が党の要望を受け、都が制度融資の拡充に取り組んできたことは高く評価します。しかし、中小製造業等では、値上げによる生産コストの上昇が懸念され、節電しながら生産を継続することが一層重要となっています。
 そこで、中小製造業等が節電の取り組みを無理なく効果的に行えるよう都が支援していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、東電の経営改革と電力システムの改革について伺います。
 東京電力は、総合特別事業計画に安住することなく、徹底した経営改革が必要であります。株主総会を経て新体制が発足いたしましたが、引き続き厳しく監視していく必要があります。
 また、先ごろ国はエネルギー戦略なるものを策定いたしましたが、具体的裏づけや展望を欠いたまま原発ゼロを掲げただけで終わりました。我が国の先行きへの不安を払拭するためには、具体的かつ現実的な議論に立って、中長期的なエネルギー国家戦略を明確に示す必要があります。
 都は、千三百万都民という最大の需要者を抱える自治体としての立場から、現実性のある議論を提起し、電力の確保策と自立分散型発電の拡充などを可能にする電力システムの改革を積極的に推進すべきであります。
 東電経営改革と都の取り組みについて、電力問題を担当する猪瀬副知事に伺います。
 次に、ことしの夏の省エネ、節電の取り組みとその成果について伺います。
 省エネ、節電は、CO2の削減につながることはもちろん、料金値上げに対する自衛手段としても非常に関心が高く、この機をとらえ、都民や事業者が無理なく効果的に節電に取り組めるよう、賢い節電の定着に向けた普及啓発を続けていくことが重要と考えます。
 都は、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針に基づき、賢い節電の実践、定着を誘導していますが、ことしの夏の都民、事業者による取り組みの進展とその成果を踏まえ、今後どのように効率的なエネルギー利用を誘導していくのか、見解を伺います。
 東京がビジネスの中枢として選択され続けられる存在であるためには、エネルギー利用の効率化とともに、潤いや安らぎを与える自然に配慮した都市環境を創出し、都市としての魅力を一層磨き上げることが必要です。
 東京がオリンピック招致を実現するため、また都市としての国際的な評価を高めるためには、エネルギー利用の先進性を最大限に高めるとともに、江戸から引き継がれてきた緑の歴史的価値や生物層の多面的な機能に着目しつつ、品格ある都市環境を創出し、東京の優位性を世界に発信することが重要です。
 その意味で、都が策定した省エネ・エネルギーマネジメント推進方針及び緑施策の新展開は、エネルギー利用の効率化、高度化と質の高い緑の創出に向けた時宜を得た方針であると評価します。
 今後、これらの方針の具体化が求められるわけでありますが、都としてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、東京の産業施策について伺います。
 東京の活力を生み出す中小企業の経営環境は未曾有の厳しさが続いています。特に中小零細企業は、円高や震災等による売り上げへの影響を乗り切るため、血のにじむ努力を重ね、日々の資金繰りの確保に奔走しています。
 こうした中、国は金融円滑化法を今年度限りで終了するとともに、金融面でのセーフティーネットとなる融資保証の縮小を決定し、多くの企業経営者に不安や動揺を与えています。
 中小企業への金融面での支援を取りやめるのであれば、景気の回復が前提となるにもかかわらず、民主党政権は中長期的な視点に立った成長戦略をつくることはおろか、景況改善の手だてすら行わずにいたのが現状です。
 都は、中小零細企業が現在の苦境を脱出し、将来の成長と発展を展望できる一層の支援を行うべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 金融円滑化法の終了の影響について、我が党はかねてより強い問題意識を持ってきました。金融円滑化法を活用している企業は、経営の見直しに向けてさまざまな困難を乗り越える必要があります。そうした取り組みをすべてみずからの力で行うには限界があります。そのため、都は、こうした企業に対して経営上の助言を行うなど、適切なサポートを実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、国は先月末に、経営不振の企業向けの一〇〇%保証の融資制度については、一部の対象業種は業況が改善したとして指定から外すこととしました。厳しい経営環境の中で、都内中小企業が日々の経営に懸命に取り組んでいる現状を考えれば、今回の国の業種絞り込みにより影響を受ける企業の資金繰りに支障が出ることのないよう、都は早急に対策を講ずべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、販路開拓支援について伺います。
 中小企業の経営改善には、資金繰り支援とあわせ、製品販路の開拓も重要です。このため、我が党は経営診断を行い、必要に応じ展示会出展費用等を助成する、目指せ中小企業経営力強化事業の重要性とその充実を繰り返し主張してまいりました。本事業の助成申請は、一企業一回となっていますが、企業からは、何とかもう一度支援を受けて取引先の開拓を進め、経営改善につなげたいという痛切な声が寄せられています。
 都は今こそ、これら意欲のある中小企業に対し、再度の申請を認め、支援の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩の産業活性化について伺います。
 高度な基盤技術が蓄積された中小企業が立地し、大企業の研究開発拠点や大学等も数多く存在する多摩地域は、ものづくり大国日本にとって非常に重要な地域です。その多摩において、都は、計測分析器やロボット等の分野で、企業や大学との連携に行政や金融機関が加わった産学公金のネットワーク形成と新製品プロジェクトへの支援を進めてきました。このネットワークからは、既に事業化に着手したプロジェクトや実用化のめどが立ったものもあると聞いております。
 こうした取り組みを多摩地域の産業活性化という大きな成果に結実させるためには、成功事例を一つでも多く生み出すための支援を引き続き行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、知的財産について伺います。
 特許庁の調査によりますと、知的財産を持つ中小企業の約二割が模倣被害に遭っています。新興国への進出が活発となる中、重要な技術を模倣されたり、現地企業が簡易な手続で取得した実用新案を盾に訴訟を起こすなどの危険性が高まっています。
 一方、すぐれた技術で特許を取得できれば、多くの国で事業展開が可能となり、複数の国での知的財産の取得と維持には大きな負担がありますので、海外展開をちゅうちょする原因になるとも聞いています。
 海外の知的財産をめぐる環境が大きく変化する中、こうした課題に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 経済のグローバル化が進む中、都内中小企業においては、国際競争力の強化が重要となっています。都では国際戦略総合特区などの動きもありますが、産業空洞化が懸念される現在、海外拠点を有する企業が海外で獲得した利益を国内に積極的に還流させ、自社の研究開発や新たな事業展開への活用に加え、新たな成長分野への投資に振り向けることが必要となっています。
 こうした動きに役立つ税制の優遇措置が平成二十一年から開始されましたが、成長過程の産業分野への資金供給につなげる方策の充実は不可欠です。都内中小企業が国内外の新しい成長機会を取り込み、過酷な国際競争に勝ち抜いていくためには、必要となる資金の円滑な調達が欠かせません。
 このため、成長分野の創業間もない企業や、将来を見据えた事業展開に取り組む企業への金融支援をさらに強化することが急務と考えますが、見解をお伺いします。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 東京には約七千七百ヘクタールの農地が存在し、都民への新鮮な農産物の供給に加え、都市生活に潤いや安らぎをもたらすなど、多面的な役割を果たしています。しかし、農産物価格の低迷等により、農業経営の維持は年々厳しくなっており、この十年間で都市農地は一割以上も減少しています。
 我が党は、都市農業や農地の役割を重視し、農業者と意見交換を重ね、都市農業の振興を強く主張し続けてきました。都市農業の振興には、頑張る農業者を支えることや農地保全への取り組みが急務です。
 首都東京の優位性を生かした農業経営や、貴重な都市農地の保全に積極的に取り組むべきと考えますが、今後の都市農業の振興についてお伺いいたします。
 次に、若年者の就業対策について伺います。
 若年者の完全失業率が高い水準で推移する中、若者の大企業志向はいまだに強く、一方で、多くの中小企業は人材確保に苦慮しており、若者と中小企業の雇用面のミスマッチが今なお大きな課題となっております。
 都は、重点産業分野就業支援プログラムなど、研修と就労体験を組み合わせた事業を展開していますが、こうした取り組みは、雇用対策はもとより、中小企業の振興にも大いに寄与するものです。
 我が党は、これらの事業を引き続き充実させていくべきと考えますが、雇用情勢が厳しいにもかかわらず、国は、当該事業の財源となる基金の活用を来年度より認めないとしています。
 将来の産業の発展を目指し、若者と中小企業を結びつける就業対策に、都は果断に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、豊洲新市場整備について伺います。
 先日、我が党は、新市場予定地における土壌汚染対策の現場を視察しましたが、プラントでの汚染土壌処理を目の当たりにし、本格的な工事の進捗を実感しました。食の安全・安心の確保は何よりも優先されるべきものであり、工事を確実に行うことはもとより、その状況について市場関係者を初め、広く都民に情報を提供し、理解と信頼を得ることが大切です。
 また、都は、市場関係者と協議しながら施設設計を行っていると聞いていますが、新市場は、時代のニーズに適応した首都圏の基幹市場として、国際的にも最先端の市場としてその機能を果たさなければなりません。
 そこで、土壌汚染対策工事を着実に進めるとともに、施設整備については市場関係者の意見も十分に聞いた上で行うべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 次に、福祉、保健対策についてお尋ねいたします。
 まず、がん対策について伺います。
 都はこれまで、国の計画を基本としつつ、都の特性を踏まえた東京都がん対策推進計画を策定し、独自の認定がん診療病院の指定や東京都医療連携手帳の作成などの対策を積極的に進めてきました。
 本年六月、国はがん対策推進基本計画を策定し、重点課題として、働く世代や小児へのがん対策を挙げました。都では、年度内にがん対策推進計画を改定するため、がん対策推進協議会において議論を重ねていると聞いております。次期計画におけるがん対策の課題と策定に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、健康推進プラン21について伺います。
 健康づくりは個人の自覚と実践が基本でありますが、活力ある東京の未来を築く上でも、都民の健康維持は欠かせないものです。都は、東京都健康推進プラン21を平成十三年度に作成し、健康長寿の実現に向けて、都民一人一人が主体的に取り組む健康づくり運動を総合的に推進してきました。
 今後、さらに高齢化が進む中で、都民の健康を維持増進するためには、区市町村を初めとする関係機関のより積極的な取り組みが求められるところであります。今年度予定している次期計画策定に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、健康長寿医療センターについて伺います。
 認知症高齢者の数は従来の推計を上回るスピードで増加しており、先月末の厚生労働省の発表によれば、全国の六十五歳以上の約一割に当たる三百五万人に達しています。
 我が党は第二回定例会で、来年度からの東京都健康長寿医療センターの中期目標について、センターが都の高齢者施策における重要課題に積極的に取り組み、社会的役割を果たしていくべきと提案しました。
 今回、都から中期目標案が提出されましたが、認知症など重点医療にかかわる課題について、センターにどのような取り組みを求めていくのか所見をお伺いいたします。
 次に、保育人材対策について伺います。
 認可保育所の運営支援とともに、我が党が積極的に支援してきた都独自の認証保育所の整備を推進した結果、本年四月一日現在の保育サービスの利用児童数は前年比一万人以上と大幅に増加しました。しかし、待機児童数は依然として七千人を超えており、引き続き保育サービスの拡充に取り組む必要があります。
 拡充に当たっては、質の担保が不可欠であり、そのためには、保育サービスを支える人材確保と質の向上がとりわけ重要です。
 全国の待機児童の三分の一を占める東京において、この課題にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害のある方や難病の方の中には、外見からは配慮が必要なことがわからないため、ご苦労されている方も多いと伺っております。我が党の山加議員は、ことしの予算特別委員会において、こうした方々への理解促進のための統一マークの作成について提案し、都としてマークの作成や活用に取り組んでいくとの答弁をいただきました。
 所信表明で知事からも、来月から都営大江戸線で取り組みを開始するとお話がありましたが、今後どのように進めていくのか伺います。
 次に、中等度難聴児支援について伺います。
 難聴児の言語能力の発達には、早期から補聴器を使用するなど、適切な支援が重要といわれております。しかしながら、中等度難聴では身体障害者手帳交付に該当しないため、障害者自立支援法に基づく補聴器購入費等の公的助成を受けることができません。こうした中、独自に助成を行う自治体も出てきていると聞いております。
 本年の第二回定例会では、我が党の議員が紹介議員となった中等度難聴児に対する補聴器購入費用等助成に関する請願が全会派一致で採択されました。中等度難聴児に対する支援について、都の見解を伺います。
 次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度について伺います。
 気管支ぜんそく患者の方々へ助成を行う本制度は、創設から五年の来年八月に見直しを迎えます。そもそも、大気汚染の根本的な原因は国の不作為であり、まずはその責任を問うていく必要があります。また、制度継続には関係者の協力が必要であり、都の負担のみで制度を支えていくには限界があります。
 一方、現在、本制度により助成を受けている患者は約七万人に上り、仮に来年八月をもってすぐ制度変更するとなれば、大きな影響が生じます。見直しに当たっては、患者の方々に十分な配慮がなされるべきであります。
 そこで、本制度に向けた基本的な考え方を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 我が党は、医療を取り巻く環境が厳しさを増す中、都民が安心して生活を送るためには、都立病院がその使命をしっかりと果たしていくべきことを主張してきました。
 都では、この十年間、都立病院改革マスタープランのもと、救急医療の強化、周産期医療の充実や再編整備の推進など、全国に先駆けたさまざまな取り組みを進めてきました。これまでの我が党の主張が具体化されたものとして一定の評価をしています。
 今般、外部有識者による都立病院経営委員会から、都立病院の今後のあり方についての報告が提出されました。都内にさまざまな医療機関がある中、都立病院の役割は、より一層重要なものになります。
 そこで、今後の都立病院改革をどのように進めていくのか、基本的考え方について伺います。
 次に、教育の課題についてお尋ねをいたします。
 まず、いじめ問題への対応について伺います。
 先般、都教育委員会は、いじめの緊急調査を実施し、いじめの疑いがあるものを含めて約一万一千件と公表しました。今回、都独自に調査範囲を、いじめの疑いがあるものまで広げたことは意義があると考えます。いじめによりとうとい命を絶つということは絶対にあってはなりません。
 都教育委員会は、学校がいじめの状況を把握し、早期の対応につなげられるよう、どのような取り組みを行うのか伺います。
 また、いじめはどこの学校でも起きるものであり、いじめが発覚したときに、教職員が、いじめ問題の解決に向けて具体的な手だてを迅速に講じていくことが極めて重要です。
 そこで、都教育委員会は、教職員のいじめ問題への対応力をどのように高めていくのか伺います。
 昨今のいじめは複雑で陰湿化し、学校だけで解決が困難なものも多々あると聞いております。いじめ問題の解決に向けて、学校、家庭、地域、関係機関などが連携し、社会全体で総合的に取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、公立学校の若手教員の育成について伺います。
 現在、東京都の公立学校では、いわゆる団塊の世代の教員の大量退職に伴い、毎年若手教員を大量に採用しており、採用した教員を早期に育成することが喫緊の課題となっています。
 そこで、都教育委員会は、今後どのように若手教員の人材育成を図っていくのか伺います。
 次に、私学振興について伺います。
 我が党はこれまで、日本の将来を担う高校生を海外に派遣し学ばせるなどして、世界に通用するグローバル人材を養成することを主張し、本年度、都立高校における海外留学支援制度を実現いたしました。
 一方、私立高校では、既に多くの学校が建学の精神と独自の教育理念に基づき、特色ある海外留学に取り組んでいますが、多額の経費を要することなどから、比較的短期の留学が中心となっています。
 豊かさに満足し、チャレンジ精神を失った若者を覚せいさせ、厳しさを増す国際社会で生き抜く力と困難に挑戦する不屈の精神を身につけさせるためには、私立高校におけるこれまでの取り組みをさらに推進するとともに、効果が高いとされるまとまった期間の留学体験を積ませることが必要です。
 昨年末の第四回定例会における我が党の代表質問に対し、私立高校の留学支援について検討するとの答弁がありましたが、制度の創設に当たっては、私立高校がこれまで培ってきた独自の取り組みを踏まえ、国際社会で渡り合える人材の育成にふさわしい内容の支援策とすべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 この夏のロンドン・オリンピック大会は日本国じゅうが熱狂に包まれ、大きな感動をもたらしました。続いて行われたパラリンピック大会も、障害のあるアスリートの力強さと選手を支える人たちの姿に、人間の崇高さを感じたものであります。
 先月、銀座で行われたメダリストの凱旋パレードには、平日の午前にもかかわらず、約五十万人の人が詰めかけ、大歓声で覆い尽くされました。オリンピックにより、どれほど日本が元気づくのか、改めて思い知らされた光景でした。日本じゅうの熱い思いを、何としても日本、東京招致につなげなければなりません。
 ロンドン大会を終え、開催都市決定まで一年を切った今、オリンピック・パラリンピックを日本、東京で開催する意義について、改めて知事の所見を伺います。
 また、ロンドンと同様に、成熟した都市として開催を目指す東京にとって、今回のロンドン大会から得られるものが大いにあったと思います。ロンドン大会で参考となった点や大会期間中の招致活動の成果について伺います。
 さらに、大会開催能力は申し分ない東京にとって、招致の成功のかぎは国内支持率向上です。
 さきの第二回定例会終了以降、都議会は、議員による全道府県、全政令指定都市訪問を実施し、招致支援の要請を行ってまいりました。さらに今月からは、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟による東京招致への支援を呼びかける署名運動を開始いたしました。今後も、各方面への協力要請に積極的に取り組む決意です。
 ロンドン・オリンピック大会により高まったスポーツへの関心、オリンピック東京招致への期待を広く国民的世論につなげ、次回のIOC調査での支持率向上を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 支持率向上のためには、都を挙げて、オール都庁で、さらにPRを努めるべきですが、都民に身近な足となっている都営交通などを積極的に活用していくPR活動を行っていくことが重要です。所見を伺います。
 厳しい社会情勢下にある我が国にとって、今必要なものは、国難を乗り越え、国を再生する力と夢と希望と誇りを持てる国づくりです。ロンドン大会で日本じゅうが感動し、困難でも挑戦し、前へ進む勇気をもらったように、スポーツの力も非常に有効です。
 我が都議会自民党は、責任と実行力のある会派として、日本再生を牽引し、明るい未来づくりに全力を尽くすことを約束し、私からの質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 野島善司議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、領土、国民、主権を守るために政治をつかさどる者がなすべき役割についてでありますけれども、改めていうまでもなく、国政の大眼目は、国民の生命と財産を守ることであります。政治家の使命は、国際関係の冷徹な現実の中で、いかにして国家の存立を維持していくかに尽きます。そのためにも、政治をつかさどる者は、何よりも正しい歴史認識、時代認識を備えることが必要だと思います。
 尖閣諸島をめぐる問題にしても、単にあの島々の領有権の問題では済みません。尖閣を守ることは、南シナ海を含むアジアの海すべてを守ることにつながることを私たちは思い知るべきだと思います。シナは覇権的な海洋進出を続けておりまして、アジアの海をみずからの支配下に置こうとしていると、疑いはないと思います。
 もし尖閣の問題で、我が国がシナに屈するならば、ベトナムやフィリピンといったシナと対峙する国々の動揺は非常に大きく、アジアの海におけるシナの覇権は容易に確立されてしまうでしょう。アジアの国々は、日本の姿勢を今、かたずをのんで見守っていると思います。
 尖閣諸島をめぐる歴代政権の驚くほどの無為無策は、結局、シナを増長させて、際限のない覇権主義をそそのかすものでしかありませんでした。シナの一部の人たちは、沖縄はシナの属国だったとまで、今日いい出しております。私たちは、改めて、民族の個性、伝統を破壊されて失った内モンゴルやチベットや、あるいはウイグルの悲劇を我が事として今思い直してみるべきだと私は思います。
 日本固有の領土である尖閣諸島を守るために今求められていることは、この島にみずからの領土として当然の手だてを講じることであります。かつて、テレビの番組の対談の中で私と話し合いました元米国国防総省の日本部長のジム・アワーが尖閣諸島の現状を称して、日本は固有の領土だといっていますが、ところが、日本国はだれもそこに国民を住まわせない、これでは、中国にどうぞとってくださいという招待状を送っているようなものだと皮肉をいっていましたが、実効支配とは、沖ノ鳥島で都がやったように、そこの土地や海でどういうなりわいをするかが大事なものでありまして、国がやったように、単に島を国有化する云々の問題ではないと思います。
 しかし、現政権は、零細な漁民のための船だまりすらつくろうとはしません。野田総理は実は、最低、灯台だけはつくりたいといったようでありますけれども、これも結局、腰抜けの外務省の反対でつぶされました。都は、国民から寄せられた国家を思う志であります十万件、十五億円もの拠金で新しい基金を構えて、総選挙後の新しい政権に島の活用を強く迫っていくつもりであります。
 同時に、政府が、みずからの領土はみずから守るという強い意思を国際社会に示さなければならないと思います。日本にその覚悟がなければ、幾ら同盟国のアメリカでも、日本のために動かないのは当たり前ではないでしょうか。国民自身も、自国の海軍力、技術力といった日本の持つ力を正しく理解することが、今大切だと思います。
 安倍内閣の折に、ある問題をめぐってシナが軍艦を出すということを外務省に通告してきましたときに、安倍君が、ならばこちらも軍艦を出したらいいといったら、瞬間的にその話は立ち消えになった事実がございますが、これは非常に印象的な挿話だと思います。
 そして、その最も根底的にある主要な矛盾は、集団的な自衛権すら行使できない、領土、国民、主権を守るための足かせでしかない今の日本国憲法であります。占領軍が統治のためにつくった基本法が、独立を回復した後もいまだに通用している例など、世界の歴史にどこにもありません。一刻も早くこれを廃棄して、日本人自身の手で、正しい日本語で、みずからの国を守ることができる新しい憲法をつくり直すべきだと私は思います。
 次いで、国家の運営についてでありますが、かつて、ばらまきによって東京を大きく疲弊させた、社会党、共産党が熱烈に支持してつくり上げた知事でありましたけれども、美濃部知事が最後に、みずからの都政運営について吐いた言葉を印象的に覚えています。
 美濃部さんはこういっていました。四年前、三期目の発足に当たり、私は栄光を求めてではなく、泥にまみれる覚悟で都庁に戻りました、それにしても、これほど惨たんたる状況のうちに幕を引くことになろうとは思いもかけぬことでございました。これがばらまき都政の結論でありましたが、いずれにしろ、現行の民主党政権もまさにその惨たんたる幕引きを迎えようとしていると思います。
 民主党政権からは、国家を背負う気概というものがついぞ感じられませんでした。官僚に操られてきた自民党時代からの変革を期待もしましたが、脱官僚の実態は、官僚の専門性をも使いこなせない非常に稚拙なものでしかありませんでした。事業仕分けなどという派手なパフォーマンスにうつつを抜かすばかりで、行政の本質的むだをあぶり出すこともできてはいません。
 普天間の問題にしても、原発事故への対応にしても、あるいは今般のエネルギー戦略において、国民のセンチメントにおもねって打ち出した原発ゼロの扱いにしても、肝心なことは何かということが一向にわからないために、ただただ迷走を繰り返しているという印象が強い。
 およそ行政を運営するためには、政治が大きな戦略のもとで発想して、例えば有権者に人気のないことであろうと、国家、国民のためには確固とした信念に基づいて、なすべきことの方向性を示すことが重要だと思います。これがあって初めて、官僚もみずからの専門性を最大限に発揮して物事に対処することができると思います。
 都は、都議会の皆さんとも議論を重ねながら、東京が倒れたら日本が倒れてしまうという強い危機感を共有して、打つべき手だてを果断に講じてきました。
 財政再建団体への転落のふちに立った際には、人を減らし、組合も協力して、他の自治体に先んじた給与のカットもいたしました。財政の状況を赤裸々にあらわす道具として、複式簿記・発生主義という新公会計制度も編み出しました。世界じゅうの先進国の中で、日本のように大福帳にも及ばない単式簿記をやっている国は一つもありません。日本の周辺でも、単式簿記などという会計制度をとっている国は、北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアぐらいでありまして、いずれにしろ、福祉の分野でも、ばらまきを見直す一方で、東京に集まる民間の力を生かしてまいりました。
 今では、認証保育所は大都市東京に不可欠な存在にもなっております。大震災の被災地支援では、一部からなぜか強い反発もありましたが、復旧、復興の足かせとなる瓦れきを、安全を十分確認した上で、全国に先駆けて東京は受け入れてきました。
 そもそも国政において、大きな視座に立った政治家がだんだん少なくなってきたのは、今の選挙制度に問題があると思います。私は、自民党時代にも最後まで反対しましたが、いずれにしろ、一刻も早く小選挙区制度を中選挙区制度に改めて、二大政党だけなどではなくて、ドイツのように、三大政党がAとB、あるいはBとC、あるいはAとCが連携するような、互いに切磋琢磨することで、国民の意思を収れんされていく形が望ましいと私は思います。
 いずれにしても、国政はそう遠くない時期に国民の信を問うことになるでしょう。新しい政権が、正当な歴史観、時代認識に基づいて国家の大計を構え、日本の力を引き出し束ねながら、世界と渡り合っていくことを切に期待しております。
 次いで、首都直下地震へ対処する初動体制の構築についてでありますが、孫子の兵法の一節に、兵の形は水にかたどる──つまり、刻々と変化する状況に応じて、柔軟そのものである水のごとくに変幻自在に戦術を変えていくことが必要だということであります。首都直下地震などのあらゆる災害においても、想像力を駆使して備えを固め、実際に災害が起こったときには、その時々の状況に応じて、臨機応変な手だてを講じることが必要であります。
 まず、東日本大震災の教訓を踏まえ、自衛隊との連携を一層緊密にするとともに、警察、消防、DMAT、救援物資の輸送部隊など関係機関が連動して活動できるように、発災後七十二時間の災害行動全体を統合した基本戦略を新たにつくり上げております。これをもとに、さまざまな状況を想定した図上訓練を繰り返す中で、臨機の力を養い、首都東京の災害対応力を強化していきたいと思っております。
 常に準備を怠ることなく、危機管理体制を盤石なものとして、日本の頭脳、心臓である東京を守り抜いていきたいと思っております。
 次いで、災害時における医療についてでありますが、東日本大震災では、多くの病院、診療所が機能を喪失し、医療現場では大きな混乱を来しました。また、被害の全容把握に時間を要して、全国から助けに入った医療チームがどこに行けばいいのか、現場の調整に手間取ったと聞いております。
 私は、被災地に派遣した医師から状況をつぶさに聞きましたが、その報告の中で、宮城県の災害医療コーディネーターなる制度を知りまして、非常に参考になりました。
 首都東京が被災した場合に、生き残った医療資源を効率的、効果的に運用するためには、都全域の被害状況や医療機関の情報を集約し、東京DMATや全国から参集する医療チームを広域的かつ効果的に配置することが必要となります。
 そのため、都の特性を踏まえた災害医療コーディネーター制度の創設を指示いたしました。既に、東京都全域を調整する三名のコーディネーター、二次保健医療圏を受け持つ十二名のコーディネーターを配置しております。今後、区市町村にもそれを配備するつもりであります。
 また、刻々と変化する医療ニーズに迅速に対応するためには、すべての医療機関が、医療機関の能力に応じて医療を提供する体制を構築することが必要であります。今回の地域防災計画の修正では、発災後の段階ごとに必要な医療ニーズと、すべての医療機関の役割を明確化いたしました。さらに、災害時の医療提供体制を確保するために、すべての病院を対象に、耐震化や自家発電設備に対する都独自の支援を行っております。
 東京DMATについても、被災現場に数日間とどまって活動できるよう、水や食料などを備えた東京DMATカーの整備を進めておりまして、今年度内に指定病院すべてに配備を完了いたします。
 今後もあらゆる手だてを講じて、一刻たりとも東京の医療機能がとまることのないよう、体制の強化に万全を期してまいります。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道は、ひとり東京のためだけでなく、これは国家全体のための道路であります。首都東京の最大の弱点であります渋滞の解消はもとより、東名高速や東北道など放射方向の高速道路を束ねて、日本全体の人や物の流れをスムーズにする扇のかなめのような部分でありまして、この道路の整備が三十年以上凍結されたことは、不可解としか考えられません。
 これは、美濃部都政になぜかおびえた、はっきり申しますけど、当時の根本龍太郎さんという建設大臣が、何でしょうか、瞬間的にこの凍結を宣言して、それがそのまま今日まで放置されてきたわけで、これはある意味では、東京出身の政治家の責任だと自戒し、反省しておりますが、とにかく、この道路の整備が三十年間凍結されたということは、文明工学的にも、いかに政治家の認識が欠けていたかということの一つの証左だと思います。
 そのために、十二年前に当時の扇国土交通大臣とともに現地視察を行いました。さびついた時計の針をようやく動かすことにいたしまして、その後も、文明工学的見識を欠いた国を牽引して、ようやく今月、大深度地下トンネルの着工にこぎつけたわけであります。
 さらに日本の発展のためには、首都東京をかなめとする陸海空の広域ネットワークをより強固にすることが不可欠でありまして、改めて国を動かし、この道路を湾岸道路まで完全につないでいきたいと思っております。外環道の完成により、経済を活性化させるとともに、災害に強い国土を形成し、日本を再生していきたいと思っております。
 次いで、中小企業対策についてでありますが、都が毎年開催しておりますベンチャー技術大賞では、中小零細企業の発想にいつも驚かされます。これは、これを審査する一流の学者先生たちも、いつも表彰式のときに感嘆しておりますけど、すばらしいその潜在能力を、日本の、特に東京の中小企業が持っていると思います。例えば、小さな水力による発電システムや、あるいは絶対に緩まないねじなど、日本の技術の無限の可能性を感じさせてくれます。
 しかし、こうした中小企業は、経済環境の変化に真っ先にさらされる存在でもありまして、新興国の激しい追い上げにさらされながら、国は有効な成長の道筋を示さずに、エネルギー政策でも迷走して、経済の閉塞感は一段と強まっております。
 そうした状況の中で、今般、電気料金が値上げされ、来年三月には金融円滑化法が終了するなど──恐らくそうなれば、大きな銀行は中小企業への融資を渋るでしょう。ということで、中小企業の苦境は今後も続いていくと思いますが、今、日本経済が再生していくためには、経済活力の源泉であります中小企業が将来への展望を持ち、困難を打開しながら、みずから強みを生かした新事業を結実できるように、その背中を都こそが力強く押すことにほかならないと思います。
 都は、東電以外の新電力の参入促進などによって、電力供給の不安払拭に努めるとともに、海外展開に当たっての知財戦略支援や都立産業技術研究センターの技術支援などによりまして、中小企業を多角的にサポートしてまいりますし、資金面でも、制度融資はもとより、今後創設する新たなベンチャーファンドによって、円滑に資金を供給していきたいと思っております。
 特に成長が期待される環境エネルギー分野や、最先端の半導体、電子部品に関する有望な技術力を持つものづくり企業を支援したいと思っております。現場の声に即した総合的な手だてによって、日本の宝ともいうべき東京の中小企業の成長をしっかりと支えていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピック開催の意義についてでありますが、スポーツには、人に夢や希望、感動を与えて、人々を結ぶ無限の力が存在しています。今回のロンドン大会では、日本選手たちが日の丸を背負い、大きなプレッシャーの中で戦い、見事にメダルを獲得してまいりました。銀座のパレードでは、集まった人たちのすさまじい熱気に、この国の可能性とオリンピックが人々を結びつける力を強く感じさせてもらいました。
 オリンピックは、我々日本人、特に子どもたちに夢や希望、誇りという心の財産をもたらします。衰退を迎えつつあるこの国の活力をもう一度取り戻して、次の新しい日本をつくり出していくために、オリンピックを東京で開催することは不可欠であると思います。
 招致獲得は、非常に複雑な見えにくいメカニズムでありまして、微に入り細にわたり重層的に事を構えて、総力戦で招致をかち取るべく努力したいと思います。
 他の質問については、副知事、教育長、技監、関係局長から答弁します。
   〔副知事猪瀬直樹君登壇〕

〇副知事(猪瀬直樹君) 東電の経営改革と東京都の取り組みについてお答えします。
 東電の経営改革は、九電力地域独占体制の改革、さらには、電力システム改革にもつながるものとして、重点的に取り組んでまいりました。
 東電の総合特別事業計画には、保有資産の売却、随意契約の三割削減や関連会社との取引の見直しなどによる、十年間で三兆三千六百五十億円の削減目標を掲げていますが、これを絵にかいたもちに終わらせず、確実に実行させることが必要であります。
 このため、さきの株主総会で、社内競争原理や国際入札の導入、徹底した情報開示といった新生東電に必要な五つの株主提案を行うとともに、旧経営陣に身を引くよう迫りました。
 さらに、総合特別事業計画の資産売却リストをチェックしていくと、東京電力病院が除外されているという事実に気づき、その理由が福島への医療支援となっている、一般開放されていない東電病院が存続されていることを不自然に思い、医療法に基づく立入検査を株主総会の前日に急遽実施しました。
 株主総会当日、福島への医療支援の件をただすと、副社長は、あたかも多数の医師、看護師を派遣しているかのような発言をしたので、四千人を超える株主の前で、土日に医師を一人だけ派遣しているだけじゃないかと、立入検査で明らかになった実態を突きつけ、結果として、勝俣会長から、検討課題とする旨の回答を引き出し、以後、東電病院は売却を視野に、今進んでいます。
 また、家庭向けの電力料金値上げでも、社内の営業関係者を総動員するなど体制を整備させ、中小企業や医療機関、福祉施設を初めとするさまざまな関係団体に対し、少しでも支払いが安くて済むような、丁寧かつわかりやすい説明を徹底させました。
 一方、首都圏の電力の安定供給のためには、三十五年以上経過した千六百六十万キロワットの老朽火力を、高効率で環境負荷の少ない火力発電設備へと早期に更新するとともに、これを単なる東電の設備更新にとどめることなく、多様な事業者の参入を進める契機とすることが重要であります。
 このため、七月には、原発稼働が困難な中で早急に電力が確保できるよう、国家戦略担当大臣に対して、設備更新に際してのアセスの適用除外や手続の簡素化による期間の短縮を要請しました。
 また、八月には、東京都に天然ガス発電所リプレースプロジェクトを新たに立ち上げ、東電の設備更新に際して、新電力への電力供給を行う仕組みを組み込むなど、さまざまな事業者と連携しながら、具体的な事業プランを提案していきます。
 さらに、国の電力システム改革に先駆け、これまで東電が独占してきた奥多摩の公営水力発電所を、新電力も入札に参加できる制度に変えていくため、都として条例改正を提案したところであります。
 今後とも、東電の主要株主として、また、電力改革を先導してきた実績を踏まえて、新体制の会長、社長のもとに置かれた経営改革本部との定例会合の場で、資材やサービスの調達に際しての随意契約の見直しやスマートメーターの導入など、総合特別事業計画の進捗状況の報告を求め、東電の構造改革を厳しく監視していきます。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、いじめの状況把握と早期対応についてでございますが、いじめ問題に迅速かつ的確に対応するためには、日ごろから児童生徒の言動等を注意深く観察し、あらゆる兆候を見逃さないようにすることが重要であります。
 都教育委員会は、本年七月、都内の全公立学校に対し、いじめの実態把握のための緊急調査を実施いたしました。この調査は、いじめの疑いのある事例を調査対象に加えることで、いじめにかかわる情報を多面的、多角的に収集するとともに、一件一件に確実に対応することの重要性をすべての教員に徹底することをねらいとしております。
 各学校においては、現在、把握した約一万一千件すべてに全力を挙げて対応しており、今後、この調査の趣旨を生かし、都と区市町村が一体となって、いじめの早期発見、早期対応の体制を定着させてまいります。
 次に、いじめ問題への対応力の向上についてでございます。
 いじめ問題解決のためには、まず、学級担任など個々の教員の対応力を高めることが重要であります。このため、都教育委員会は、インターネットを介した誹謗中傷など、いじめの態様が多様化していることを踏まえ、発見のポイントや対応上の留意点を見直した指導資料を早期に作成するとともに、いじめ問題の解決に特化した研修会を新たに実施し、教員一人一人の対応力を高めてまいります。
 各学校においても、校内研修を実施して、いじめに関する情報共有のあり方等についても再確認するなど、教員が一人で問題を抱え込むことなく、学校全体で組織的にいじめ問題に取り組む体制を強化してまいります。
 次に、いじめ問題の解決に向けた連携についてでありますが、いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域、関係機関が連携し、社会全体で取り組むことが重要であります。
 都教育委員会はこれまでも、スクールカウンセラーの配置のほか、民生児童委員や児童相談所職員などによる学校サポートチームを全公立小中学校に設置するよう推進をしてまいりました。こうした取り組みに加え、安全や生命を脅かすような案件について、警視庁と一層連携を強化するとともに、困難な事例に対し、弁護士や精神科医などが第三者として解決策を提示する仕組みの充実を図っていきます。
 あわせて、学校と関係機関等が情報を適時適切に共有できる体制を強化するとともに、各学校と教育委員会が一体となって総合的にいじめ問題に取り組んでまいります。
 最後に、大量採用に伴う若手教員の育成についてでございます。
 都教育委員会は、近年三千人規模の教員を採用しており、平成二十年度から十年間で、教員約六万人の半数が入れかわる年齢構成の転換期を迎えていることから、若手教員の育成が喫緊の課題となっております。
 都教育委員会は、採用から三年間で教員に必要な基礎的知識、技能を身につけさせるよう研修を再編し、四年目以降の教員を対象に、教科専門性を高める東京教師道場を実施しており、現在約二千人の修了者が活躍をしております。
 今後は区市町村と連携し、学校の核となる人材を選抜し、重点的に育てるとともに、自主的な研究活動を活性化することにより、互いに切磋琢磨する組織風土を培い、学力、体力の向上や規範意識の醸成等の諸課題に対応できる教員を育成し、東京の教育の向上に努めてまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、木造住宅密集地域における特定整備路線の取り組みについてでございますが、特定整備路線は、震災時に特に甚大な被害が想定される約七千ヘクタールの整備地域の防災性向上を図る都施行の都市計画道路でございます。
 都は、六月に、延焼遮断など大きな整備効果が見込まれる新設道路など、二十三区間、延長約二十三キロメートルを特定整備路線の候補区間として公表いたしました。また、一定の道路幅員が確保されている概成区間などについても、現在、詳細に整備効果の検証を進めており、来月にはすべての候補区間を公表いたします。
 さらに、関係権利者の生活再建に向けたサポート体制の充実や移転先の確保など、特別の支援策について制度案を年内に示すとともに、事業化に向けた準備として測量などを進め、関係権利者の意向確認を開始いたします。
 今後とも、地元区との連携を図るとともに、国に対し財源の確保を強く求め、燃え広がらないまちの実現に向け、命を守る道となる特定整備路線の整備に、全庁を挙げ、全力で取り組んでまいります。
 次に、外環整備の取り組みについてでございますが、外環は、首都東京の交通渋滞解消のみならず、首都圏の陸海空の要衝を結ぶ重要な幹線道路でございます。さらに、切迫する首都直下地震や東海地震に備え、日本の東西交通の分断を防ぎ、広く国民の生命、財産を守る、まさに命の道であります。一刻も早く完成させなければなりません。
 そこで、都は、東名ジャンクションにおいて、今月五日に、事業主体である国、東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社とともに着工式を開催し、初めての本体工事であるシールドトンネルの立て坑工事を着手させました。
 都は引き続き、大泉ジャンクション地域の用地取得を全力で推進するとともに、関越道から東名高速までの二〇二〇年夏の開通に向け、必要な事業費を確保し、スピード感を持って事業に取り組むよう、国など事業主体に強く働きかけてまいります。
 次に、多摩地域の南北主要五路線における未着手区間の今後の取り組みについてでございますが、多摩地域において、震災時の救援、救助活動や消火活動をより迅速に行い、早期の復旧を可能とするためには、南北主要五路線を初めとした骨格幹線道路ネットワークの形成が重要でございます。
 これら五路線については、約九割が完成または事業中であり、八王子村山線は既に全線で開通し、府中清瀬線と調布保谷線では、全線開通に向け、鋭意事業を進めております。
 残る二路線の未着手区間のうち、府中所沢鎌倉街道線の小平区間では、測量を着実に進め、平成二十五年度に事業化いたします。同路線の東村山区間では、交差する西武新宿線の連続立体交差事業に来年度着手するなど、早期事業化に取り組んでまいります。
 また、立川東大和線の立川─国立区間では、鉄道との交差などが事業化に向けた課題であり、JR南武線矢川駅から立川駅間について、鉄道立体化の事業候補区間に位置づけ、検討を進めてまいります。
 今後とも、地元市と連携しながら骨格幹線道路ネットワークを形成し、防災力の向上と交通の円滑化、都市間の連携強化を図り、多摩地域の魅力と活力を高めてまいります。
 最後に、地震、津波に対する堤防などの新たな耐震対策についてでございますが、想定される最大級の地震に対し、河川施設の耐震性について調査を行ったところ、水門や堤防の一部が損傷し、満潮時に津波が重なった場合に浸水する可能性があるのは、堤防の調査地点の約三割であることがわかりました。
 そこで、都は、最大級の地震時にも浸水を防止することを目標とする基本方針を八月に取りまとめ、ゼロメートル地帯など優先度を考慮して、対策の必要な堤防、水門、ポンプ所等を補強し、耐震性を強化することといたしました。
 引き続き、整備計画を年内に策定し、事業の対象区間などを示すとともに、損傷すれば被害の大きい隅田川の大島川水門など、四水門の設計に直ちに着手いたします。
 今後とも、安全で安心な都市東京の実現に向け、財源の確保に努めるとともに、国とも連携して、全力を挙げて耐震対策に取り組んでまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アジア大都市ネットワーク21についてでありますが、これまでアジアの十一都市の連携により、中小型ジェット旅客機の開発促進、危機管理ネットワーク、感染症対策プロジェクトなどの共同事業を推進し、大都市に共通する課題の解決に取り組んでまいりました。
 この間、アジアの経済発展は広がりを見せており、豊かな天然資源を有し、高い成長が見込まれるアジア内陸部の重要性も増しております。
 こうした中、六月に開催されたシンガポール総会におきまして、アジアの内陸に位置するモンゴルのウランバートル市とロシアのトムスク州が新たに加入し、ネットワークは十三都市に拡充されました。
 現在、ウランバートルが、今年度の職員能力向上プログラム、水道事業研修への参加を決定し、また、トムスクが研究都市としての実績を生かした若者の交流育成プログラムを共同事業として提案するなど、いずれも会員都市として具体的な取り組みを開始しております。
 今後とも、アジアにおける大都市間の連携を拡充しながら、地球温暖化、新興感染症、経済交流などの広域化する課題や、都市が単独では解決できない困難な問題にも共同で取り組み、その成果をアジアの一層の発展につなげ、人々の生活の向上と平和にも貢献してまいります。
 次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度についてであります。
 本制度は、一定の要件を満たす都内のすべての気管支ぜんそく患者の方々に助成を行うものであり、都、国、首都高速道路株式会社、自動車メーカー七社の負担により運営しております。
 和解条項に基づく制度見直しにつきましては、来年八月以降に、施行時期も含めさまざまな視点から検討してまいりますが、とりわけ二つの大きな課題がございます。
 一つは、大気汚染対策に責任を持つべき国が、健康被害に対する総合的な救済策をいまだ講じていないことであり、もう一つは、関係者からの財源の拠出について、現状、必ずしも十分でない上、制度継続に必要な追加拠出への理解も得られていないことであります。
 これらの課題を残したまま、都の負担のみでの制度継続はできませんことから、引き続き国や関係者に対して強く解決を求めてまいります。
 なお、現に助成を受けている患者の方々につきましては、見直し内容が決まるまでの間に急な影響が生じないよう必要な措置を検討してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな多摩のビジョンについてでございますが、今回のビジョンは、人口減少社会の到来や近年の大規模工場の撤退など、多摩地域を取り巻く社会環境の大きな変化を踏まえ、二〇三〇年ごろを念頭に入れた多摩地域の目指すべき姿や方向性を示していくものであります。
 また、本ビジョンは、行政はもとより、地域の民間企業やNPOなど多様な主体においても、今後の活動指針として活用されることを目指しております。
 このため、策定に当たりましては、各市町村との意見交換に加え、市町村のシンクタンクであります公益財団法人東京市町村自治調査会と十分に連携を図り、知見を活用するとともに、多摩地域で活動を展開している民間企業やまちづくり等に精通した有識者などからヒアリングを行い、その結果をビジョンに反映させてまいります。
 これらの取り組みにより、多様な視点を取り入れ、多摩の持つ魅力、特色を最大限に生かした新たなビジョンを、今年度中を目途に策定してまいります。
 次いで、地域防災計画の修正についてでございますが、大震災による被害から一人でも多くの命を救うためには、都を初めとする防災機関による公助の取り組みはもとより、都民による自助、共助を推進する必要があります。
 このため、今回の地域防災計画の修正素案では、これまでの計画と異なり、自助、共助、公助それぞれの取り組みの強化に向け、対策における現在の到達状況や、新たな被害想定を踏まえた課題、今後の到達目標などを明確にし、わかりやすく示したところであります。
 今後、さらに、都民目線に立って、地域防災計画の修正の趣旨や都のさまざまな取り組み、災害時要援護者への対応等を盛り込んだ概要版を作成してまいります。
 こうした取り組みにより、防災対策全般を周知し、都民の理解を深め、自助、共助の具体的な行動につなげてまいります。
 次いで、地域の自主的な防災活動への支援についてでございますが、自助、共助の取り組みを推進するためには、その主たる担い手である町会、自治会が意欲的に防災活動を展開していくことが不可欠でございます。
 都はこれまで、地域の防災リーダーの育成研修を行ってきましたが、地域での防災活動をさらに後押しするためには、意欲ある団体に活動の契機となる場を提供することも有効でございます。
 このため、新たに、希望する町会、自治会等に防災活動の専門家を派遣し、地域の防災マニュアル作成など防災活動の基礎的なノウハウを身につける学習会への支援を開始いたします。
 町会、自治会のこうした自主的な取り組みへの支援を積極的に行うことで、地域の防災活動のすそ野を広げてまいります。
 次いで、東京防災隣組の充実に向けた取り組みでございますが、都は本年三月、三十六の町会、自治会等を、地域防災の中核を担う東京防災隣組として初めて認定したところでありますが、地域の自助、共助の取り組みを一層活発にしていくためには、認定団体の増加を図るとともに、活動のさらなる向上に向けた支援が必要であります。
 このため、本年十一月に第二回の募集を開始し、地域の実情に通じた区市町村とも十分に連携して、年度内に認定を行ってまいります。
 また、認定団体における防災活動のより一層の充実を支援するため、専門的な見地からアドバイスを行う仕組みについても検討してまいります。
 東京防災隣組の量と質の両面からの充実を通じて、地域防災力の着実な向上を図ってまいります。
 次いで、消防団についてでございますが、東京湾北部地震、多摩直下地震などの災害に備えるためには、地域の防災のかなめであります消防団が円滑に活動できるよう、人材確保や装備など、多面的な環境整備が必要であります。
 また、ご指摘の多摩・島しょ地域の消防団の活動状況について確認いたしましたところ、団員の安全確保のための装備や、大規模地震の際に必要となる救出、救助用の資器材の装備に課題も見られるところであります。
 このため、消防団の人材確保に向けて、東京消防庁と連携した都内全域における幅広いPR活動など、広域的な視点から都が早急に行うべき対策について検討を進め、こうした状況の改善に取り組んでまいります。
 次いで、一時滞在施設の確保策についてでございますが、首都直下地震の発生時には、企業による一斉帰宅の抑制を徹底したとしても、平日の昼間に、買い物客など行き場のない方々を中心に、およそ九十万人を超える帰宅困難者が発生するおそれがございます。
 こうした状況を受け、先般の帰宅困難者等対策協議会最終報告では、各事業者に、従業員用に加え、外部の帰宅困難者のために一〇%余分の備蓄を推奨することが盛り込まれております。
 さらに、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設を、民間施設も含め幅広く確保し、行政は必要な支援策を講じることとしております。
 そのため、都は、率先して都立施設等を全面的に活用し、およそ七万人の帰宅困難者を受け入れる体制を整備するとともに、民間事業者の協力が得られるよう、負担を軽減するための効果的な支援策を盛り込んだ実施計画を、本年十一月を目途に策定してまいります。官民を挙げた取り組みにより、一時滞在施設の拡充を図ってまいります。
 次いで、初動時の情報通信の確保についてでございますが、防災機関同士の連絡、都民への情報提供、都民相互の安全、安否確認など、発災時の対応を迅速確実に行うためには、情報通信の確保が不可欠であります。
 都はこれまで、防災機関との連携を確保するため、防災行政無線網の大容量化や、災害情報システムの機能強化を図ってまいりました。
 さらに、来月からは、初動時の対応を担う業界団体に、初めて業務用無線機を配備してまいります。
 また、都民への的確な情報提供に向け、従来の防災ホームページに加え、区市町村とも連携して、エリアメールやツイッターなど複数の情報提供ツールを活用してまいります。
 さらに、都民同士の通信の確保策として、一時滞在施設への特設公衆電話の整備を進めるほか、無線LAN等の整備についても検討してまいります。
 こうした多面的な取り組みにより、情報通信の確保を図り、発災時の対応に万全を期してまいります。
 次いで、都独自の南海トラフの被害想定についてでございますが、津波からの避難計画の策定等、具体的な対策を進める上で、島ごとの被害を想定することが不可欠であります。
 しかしながら、国が公表した南海トラフの巨大地震による被害想定では、島しょへの高い津波の到来は想定されているものの、各島の詳細な被害状況は示されておりません。
 このため、都は、南海トラフに関する独自の被害想定を行うこととし、先般、東京都防災会議の地震部会で検討に着手をいたしました。護岸など海岸の構造物や建物一棟ごとのデータに基づき、島の各地に到達する津波高を具体的に想定するとともに、浸水域や人的、物的被害を島ごとに検証してまいります。
 被害想定は来年春ごろまでに取りまとめ、島しょ町村に提供するなど、各島の津波対策を支援してまいります。
 次いで、最後になりますが、被災地支援についてでございますが、都はこれまで、警察、消防を合わせ、延べ三万人を超える職員を派遣してまいりましたが、今なお監理団体を含め百人を超える職員を中長期で派遣し、被災地を支えております。
 さらに、今般、被災地の本格復興に必要な技術者を確保するため、即戦力となる行政OBや民間経験者四十七人を任期つき職員として採用し、被災地に派遣いたしました。
 この任期つき職員を活用した取り組みは、被災地における技術系人材の不足から、都が全国に先駆けて実施したものでありますが、宮城県など被災自治体でも相次いで導入することとなり、都では、採用広報の協力、選考会場の提供等、できる限りのサポートを行ってまいります。
 また、風評被害に苦しむ福島の支援では、一大消費地である都として、その払拭に向けたキャンペーンを継続的に展開し、福島の観光地を広く紹介するとともに、県産品の流通、消費がより一層促進されるよう取り組んでまいります。
 引き続き都は、各局や関係機関と連携し、被災地のニーズに即した支援を的確に行うことを通じて、復旧、復興を全力で後押ししてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区の取り組みについてでございますが、今回発表した先行実施地区につきましては、専門家活用による支援や建てかえ促進のためのインセンティブなど、木密地域の不燃化に向けた特別な支援策について、各区からさまざまな提案がございました。
 現在、区と緊密な連携を図りながら、地区ごとに整備プログラムの作成を始めたところでございまして、この作業を踏まえて、地域の実情に合った不燃化特区の制度案を取りまとめ、来年度当初から事業をスタートさせてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、区が主体的に取り組む環境を整え、各区の積極的な取り組みを促し、都も全庁の連携体制を組み、延焼による焼失ゼロの目安である不燃領域率七〇%の実現を目指してまいります。
 次に、空き家の有効活用についてでございますが、防災上の課題や少子高齢化に伴い多様化する都民の居住ニーズ等への対応のため、空き家を積極的に活用することは重要であると認識しております。
 今年度実施する空き家活用モデル事業は、木造住宅密集地域内の従前居住者の移転先や、新しい住まい方である高齢者等の共同居住に活用することによりまして、空き家の利活用方策の可能性を検証するものでございます。
 また、現在、既存住宅の流通促進に向け、消費者や業界等の意見を聞きながら、流通を阻害している要因などについて、広範かつ総合的な調査を行っております。
 今後、こうした取り組みの結果なども踏まえ、時代に即した良質な住宅ストックが供給されるよう、空き家活用の促進に取り組んでまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、安定給水の確保に向けた備えのあり方についてであります。
 首都圏の一人当たりのダム貯水量は、ニューヨークの十分の一、ソウルの十三分の一程度と、海外の都市と比較して少ない状況にあります。
 利根川水系では、八月の少雨により、ダム貯水量が低下し、取水制限が実施されたことから、改めて首都圏のダムの貯水容量が不足していることを確認いたしました。
 こうした状況や、世界各地の干ばつや豪雨といった異常気象、さらには気候変動による影響を踏まえますと、建設中の八ッ場ダムの一刻も早い完成が必要と考えております。
 今後、渇水や災害などのリスクに十分対応していくには、安定した水源の確保はもとより、都が保有する多様な水源の有効活用や漏水防止対策などに取り組み、これにより将来にわたる安定給水を確保してまいります。
 次に、水道管路の耐震化についてであります。
 水道局では、震災対策を最重要課題の一つに掲げ、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への全面的な取りかえを精力的に進めております。
 しかし、さきの大震災や今回の都の被害想定を踏まえますと、これまでの耐震化事業をより効果的に推進していく必要があります。
 このため、避難所や主要な駅への供給ルートの優先的な耐震化を図るとともに、被害想定の見直しを考慮した重点的な施策を展開してまいります。
 また、地域防災計画で示した発災後の復旧日数としている三十日を、十年後には大幅に短縮することを目指してまいります。
 こうした取り組みを具体的にしていくため、新たな耐震継ぎ手化十カ年事業を早急に検討してまいります。
 最後に、水道施設の更新についてであります。
 都の浄水場は、高度経済成長期の急増する水道需要に対応するため整備してきたことから、今後、一斉に更新期を迎えます。中でも、二百五十万人の給水を担う金町浄水場は、建設後約五十年を経過し、更新を迫られております。しかし、更新中には浄水能力が低下することから、あらかじめこれを補うことが必要になっております。
 このため、立地条件や整備コスト等の観点から、近接している三郷浄水場に、日量五十万立方メートル規模の代替施設を増強整備することとし、今年度内に基本設計に着手いたします。
 この代替施設の完成後は、金町浄水場の更新に着手し、工事が完了後、そのほかの浄水場におきましても、順次更新を進めるなど、全体の浄水能力が低下しないよう更新を行ってまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の耐震化の取り組みについてでございますが、これまで大規模地震時に被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図る取り組みを進めてまいりました。
 避難所や災害拠点病院などから優先的に対策を実施しており、昨年度までに、対象とする約二千五百カ所のうち約八割を完了し、残りの箇所につきましても計画を二年前倒しし、来年度完了の予定となっております。
 今後は、東日本大震災の状況を踏まえ、対策を拡大してまいります。具体的には、一日当たりの乗客数が十万人以上の大規模なターミナル駅約四十カ所や、災害復旧の拠点となる国、都、区の庁舎など約一千カ所へと対象を拡大いたします。
 また、発災時に多くの人がとどまる地区内残留地区におきましても、優先度を定めて対策を実施してまいります。
 このような下水道管の耐震化の対象の拡大により、大規模地震による被害を最小限にとどめるとともに、全国的な支援体制をさらに強化するなど、応急復旧期間の短縮に努めてまいります。
 今後とも、下水道管の耐震化を着実に進め、震災時の下水道機能の確保に万全を期してまいります。
 次に、下水道の基幹施設であるポンプ所や水再生センターの耐震、耐水化の取り組みについてでございます。
 技術検証委員会の提言を受け策定した基本方針に基づき、耐震、耐水性のレベルアップを図ることとし、年内に優先度を考慮した整備計画を策定し、緊急性の高い施設は今年度から対策を実施してまいります。
 まず、耐震対策については、水をくみ上げる揚水、簡易処理及び消毒などの震災時においても下水道が必ず確保すべき機能を担う施設を対象に、計画的に推進してまいります。
 また、耐水対策につきましては、東京都防災会議で示された最大津波高さに対し、電気設備などが浸水しないよう、出入り口や換気装置など開口部からの水の浸入を防止する措置などを講じてまいります。
 また、津波の下水道管内への逆流を防止する高潮防潮扉の操作につきましても、ポンプ所等の遠方監視制御のため、下水道管内に敷設した八百キロに及ぶ光ファイバーネットワークを活用するなど、閉鎖の迅速化、自動化を図ってまいります。
 今後とも、下水道施設の耐震、耐水対策を着実に推進し、高度防災都市づくりに貢献してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 東京港の海岸保全施設における地震、津波対策についてでございますが、都はこれまで、現行の整備計画に基づき、従来想定されていた首都直下地震等を対象として、水門の耐震性の強化に取り組んでまいりました。また、昨年の大震災を踏まえ、緊急時のバックアップ機能を強化することとし、既に第二の高潮対策センターの整備に向けた調査設計に取り組んでおります。
 先般の東京都防災会議による新たな被害想定では、津波に対しては、現行の防潮堤の高さで対応可能ですが、想定地震の規模が従前より大きくなるなど、施設の耐震性の強化が課題となっております。
 そのため、今後は、被害想定で示された最大級の地震に対する防潮堤等の耐震性の確認を進め、対策を強化してまいります。さらに、水門等の電気、機械設備が、万が一、浸水する事態にも備え、耐水対策を検討いたします。
 これらの取り組みを年内に行う現行計画の見直しに反映し、一層の防災力の強化を図ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
 まず、災害廃棄物の広域処理についてでございますが、都は、被災地の早期復興を支援するため、全国に先駆けて災害廃棄物の受け入れを開始しましたが、六月末に岩手県宮古市の処理を終えまして、現在、宮城県女川町、石巻市、岩手県大槌町の受け入れを進めております。
 女川町では、山積みになっておりました災害廃棄物の処理が進み、今週末には復興まちづくり事業の着工式が開かれるなど、再建への歩みが始まっております。
 また、都が災害廃棄物の広域処理の実例を示したことによりまして、モデル事例として他の自治体からの視察が行われるなど、都以外の九県における広域処理の促進にも寄与してまいりました。
 都は、今年度末までには十三万トンの災害廃棄物の処理を行う予定でございます。また、既に来年度分の受託先と受託量につきましても、岩手、宮城両県と協議を進めております。
 引き続き、都内区市町村や民間処理業者との連携協力のもと、災害廃棄物の受け入れ処理を積極的に進めてまいります。
 次に、この夏の省エネ、節電の成果と今後の効率的なエネルギー利用への誘導についてでございますが、ことしの夏、東京では、照明の照度の見直しや室温管理の適正化、電力使用量の見える化など、無理なく長続きできる賢い節電の促進に努めてまいりました。
 その結果、昨年の夏に実施されましたような夜間操業や休日の勤務、エレベーターの使用停止など、負担の大きな取り組みを実施しない中でも、東京電力管内のこの夏の最大電力は、震災前の平成二十二年夏に比べ、平均八百八十万キロワット減となり、約一七%の大幅な削減が実現されました。
 この削減実績は、平均気温が約一・三度低かったことを考慮しましても、賢い節電が確実に定着しつつあることを示すものと認識しております。
 今後とも、都は、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針に基づきまして、この夏のすぐれた節電の取り組み事例を広く普及するなど、むだを排除しつつ、都市の魅力や快適性を損なわない賢い節電の実践を誘導し、東京のエネルギー利用効率を最大限に高めてまいります。
 最後に、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針及び緑施策の新展開の具体化についてでございますが、世界の都市間競争の中で、東京が人と企業に選択される都市であり続けるためには、少ないエネルギー消費で効率的に事業活動を展開できるとともに、豊かな緑環境の中で快適に生活できる魅力ある都市であることが求められます。
 このため、まず、東京のオフィスビル等が省エネ性能を高めつつ、知的生産の場として快適なものとなるように、エネルギー需給の最適な制御を可能とする仕組みを普及するとともに、新たな都市開発におきましては、最先端のグリーンビルディングの開発を促進してまいります。
 また、豊かな都市環境の創出に向けましては、都市公園などの大規模緑地との連続性を考慮しながら、公共施設などの緑化を進め、生態系に配慮した緑のネットワークの形成を図ってまいります。
 その際、特にエノキ、ミズキなどの郷土種による植栽を行い、以前生息しておりましたモズ、コゲラを初めとする鳥類を呼び戻すことなど、生物の生息空間の拡充に向けた取り組みを進め、自然の息づく都市づくりを促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、高いエネルギーの利用効率の達成と快適性の確保が両立する東京を実現し、その姿を世界にも発信してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の節電に対する支援についてでございますが、ご指摘のとおり、中小製造業などが電気料金の値上げに伴う生産コストの上昇に対して、操業を続けながら電気の使用量を抑制する節電に取り組むことは重要でございます。
 都はこれまで、中小企業振興公社に基金を造成し、中小企業が電力の確保と有効利用を図るため、蓄電池や電気の使用状況を監視する機器などを導入する場合に、必要経費の一部を助成するなどの支援を行ってまいりました。
 電気料金の負担が経営に継続的な影響を及ぼすことが懸念される中、都は、中小企業が節電の取り組みをより一層効果的に進めることができるよう、今後の支援のあり方について検討してまいります。
 次に、金融円滑化法終了後の相談体制についてでございますが、経営状況が悪化した中小企業が経営の見直しを進めていく際に、豊富な知見やノウハウを持った外部の専門家が助言などを行うことは極めて重要です。
 中小企業振興公社では、中小企業診断士や会計士などの専門家が窓口で相談に対応するとともに、企業の求めに応じて継続的に会社を訪問し、直面する課題の解決や経営再建の方針づくりに向けたアドバイス等を行う事業を実施しております。
 金融円滑化法が終了した場合、中小企業を取り巻く経営環境がより一層厳しくなることが想定されます。今後、こうした状況を的確に把握しながら、経営改善に取り組む企業の要望に十分対応するための相談体制など、質と量の両面から今後の支援の強化について検討してまいります。
 次に、中小企業の資金繰り支援についてでございます。
 都の制度融資では、これまで国のセーフティーネット保証に対応した融資メニューである経営セーフにより、業況が悪化している中小企業を支援してまいりました。しかしながら、国の措置により、十一月以降は全体の約四割に当たる業種が対象外とされ、多くの事業者がこの制度を利用できなくなります。
 都といたしましては、こうした中小企業の資金繰りを支えるため、都独自のセーフティーネット融資メニューである経営一般の融資条件を緩和し、リーマンショック以前と比べて売り上げが減少している企業も対象に加え、幅広い利用を可能にするとともに、引き続き、小規模企業者に対する保証料の二分の一補助を行います。
 さらに、地域の金融機関と連携した新保証つき融資においても、国の業種絞り込みに先行し、十月から取扱金融機関を拡大するほか、今年度末までの特別措置として保証料率の引き下げを実施いたします。
 こうした取り組みを着実に進めるとともに、中小企業に対する的確な周知を図るなど、資金繰り支援に万全を期してまいります。
 次に、中小企業の販路開拓支援についてでございますが、売上高の減少に苦しむ中小企業にとって、新しい販路の開拓は喫緊の課題であり、新たな受注機会の確保に向けた取り組みを支援していくことは大変重要でございます。
 こうした考え方から、目指せ中小企業経営力強化事業では、平成二十二、二十三年度の二年間で六百四十件の展示会出展等に対する助成を実施し、中小企業の新規成約や売上高の増加に寄与してまいりました。
 しかしながら、円高等の影響を受けて、さらなる受注減少に悩む企業は多く、本事業の拡充により一層の支援を行うことが必要となっております。都といたしましては、今年度中の対応も視野に入れ、速やかに検討してまいります。
 次に、多摩地域の産業活性化についてでございますが、高度な技術を有する多摩地域の中小企業が大学や公的機関に加え、金融機関とも連携してすぐれた製品を生み出すことは重要な取り組みでございます。
 このため、都は、平成二十一年度より、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業により、産学公金のネットワークをつくり、新製品の共同開発の立ち上げから実用化までを支援してまいりました。現在、参加団体は七百三十となり、製品開発の取り組みのうち、センサー技術を活用した介護施設での見守りシステムについては既に受注を獲得するなど、成果があらわれ始めております。
 今後、売り上げを伸ばすための支援の充実など、具体的な成果をふやすことのできる支援策を検討し、多摩地域の産業の持続的発展に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、海外での知的財産の保護などについてでございますが、中小企業による海外への進出や外国との取引が活発となる中、自社のすぐれた技術等を知的財産として保護し、その権利をもとに事業を優位に進めることは重要でございます。
 東京都知的財産総合センターでは、海外の知的財産制度に精通した専門家による相談や、外国特許出願等の経費の助成など、海外展開を図る中小企業の支援に取り組んでまいりました。
 お話のとおり、海外での知的財産をめぐる訴訟などのリスクは高まっており、海外で広く事業展開を目指す中小企業にとって、実用新案に係る権利行使への対策や、各国での知的財産の維持等も負担となっております。こうした現状を踏まえ、より効果的な支援のあり方について今後検討してまいります。
 次に、中小企業の成長に資する金融支援についてでございます。
 都内中小企業の国際競争力を強化するためには、創業や成長分野への重点的な支援が重要です。また、国際戦略総合特区の取り組みとも連動し、東京に進出した外国企業と都内中小企業が刺激し合い、技術やサービスの活性化を図ることも期待されています。
 都は、成長の途上にある中小企業の資金ニーズにこたえるため、制度融資では、健康、環境、安全等の重点産業分野において、先端的な技術、製品の開発に取り組む企業を支援する産業力強化融資を実施しております。
 さらに、成長分野の創業間もない企業を支援するため、民間事業者の出資を得て、今年度、新たにベンチャーファンドを創設いたします。
 これらに加え、重点産業分野や新たな事業展開に取り組む企業を支援する金融支援策のあり方について検討し、成長性ある中小企業の資金繰り支援に今後も着実に取り組んでまいります。
 次に、都市農業の振興についてでございます。
 まず、経営面では、大消費地に近いなど、東京農業が持つメリットを生かしていくことが重要です。そのため、都は、都市農業経営パワーアップ事業を実施し、施設整備への経費補助や経営コンサルタント等の専門家派遣により、意欲ある農業者を支援しております。
 また、農地は生産基盤であると同時に、貴重な都市の緑地空間として防災や潤いの提供など、都民生活にとって多様な役割を果たしています。
 そこで、都は、農地を生かしたまちづくりに積極的に取り組む区市に対し、ソフト、ハードの両面から支援を行い、農地保全に取り組んでおります。
 今後とも、経営力の向上を目指す農業者をより幅広く支援するとともに、都市農地保全の取り組みを都内各地に定着させるなど、都市農業の一層の振興に努めてまいります。
 最後に、若者に対する就業支援についてでございます。
 厳しい雇用環境に置かれた若者を人材確保に意欲的な中小企業の採用に結びつけていくことは重要でございます。
 このため、都は、二十三年度からは、研修と就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始し、さらに今年度は、成長産業分野に若者の就業を促す重点産業分野就業支援プログラムを実施するなど、重層的な支援策を講じてまいりました。
 これらの事業で活用してきた国の交付金を原資とする基金は、来年度から当該事業の財源として充当できないこととされているため、事業の重要性を踏まえ、都は国に対し、基金を活用した事業継続が可能となるよう、期間の延長措置や追加財源交付などを強く要望してまいりました。
 引き続き、国に対し強力に働きかけを行っていくとともに、今後の若年者就業対策のあり方について多面的に検討を進めてまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 豊洲新市場の整備についてでございますが、豊洲新市場は、流通環境の変化や消費者ニーズの多様化など、時代の要請に適応した首都圏の基幹市場とするとともに、国際的にも通用する市場を目指してまいります。
 このため、高度な品質、衛生管理を実現する閉鎖型施設や、効率的な物流を可能とする十分な駐車場、荷さばき場などハード面の整備が重要でございます。また、適切な衛生管理や物流における情報技術の活用など、ソフト面の対策もあわせて実施していくことも必要であります。
 まずは、土壌汚染対策工事を都民や市場関係者の理解と信頼を得ながら確実に実施し、食の安全・安心に万全を期してまいります。
 加えて、平成二十六年度中の開場に向けて、今後とも市場関係者の意見を十分に聞き、新市場の整備を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都がん対策推進計画の改定についてですが、都は現在、専門医、医療関係団体、区市町村、患者団体等で構成する東京都がん対策推進協議会の下に三つの専門部会を設け、改定作業を進めております。
 部会では課題ごとに議論を行っており、予防・早期発見・教育検討部会では、生活習慣の改善、検診受診率の向上、医療・緩和ケア検討部会では、医療水準の一層の向上策、在宅療養体制の整備、小児がんへの総合的な対策、相談・情報検討部会では、就労を含めた患者、家族が抱える社会的問題への相談支援体制の充実などが主な課題となっております。
 年内には協議会で議論を取りまとめる予定であり、都民の意見も広く求めながら、都の特性を十分に踏まえ、総合的で実効性のある新たな計画を策定してまいります。
 次に、東京都健康推進プラン21の改定についてですが、都はこれまで、平成十三年度に策定したこのプランに基づき、区市町村、医療保険者、保健医療や職域等の関係機関と連携しながら、がんや糖尿病の予防など、都民の健康づくりに積極的に取り組んでまいりました。
 次期計画は、こうした十年にわたる取り組みの成果や課題、都の特性などを踏まえて策定することとしており、現在、学識経験者や関係団体等の代表で構成する策定会議の下に四つの部会を設け、検討を進めているところでございます。
 計画では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を総合目標に、がんや糖尿病、心の健康など、分野別に新たな目標を定め、区市町村を初め各機関が取り組むべき事項も明記する考えであり、保健医療計画などとの整合性も図りながら、年内に改正素案を策定する予定でございます。
 次に、健康長寿医療センターの中期目標についてですが、センターは、病院と研究所が一体となった法人であり、都における高齢者医療と研究の拠点として、その成果を広く社会に還元する役割を担っております。
 こうした考え方に立って、今回、都が策定した第二期の中期目標案では、重点医療である血管病、高齢者がん、認知症の医療提供体制のより一層の充実、高齢者の在宅療養の支援、医療と研究の連携の推進などを柱として、がん治療における相談体制の整備や緩和ケアの実施、医療と介護を支える専門人材の育成、認知症の診断法や治療法の開発などの取り組みを盛り込んでおります。
 今回、センターは中期目標に基づき、具体的な取り組みを中期計画として取りまとめることとなっており、都としても、その策定を積極的に支援してまいります。
 次に、保育人材の確保と質の向上についてですが、保育ニーズの増加に対応するためには、お話のように保育サービスを拡充するとともに、サービスを支える人材を確保し、育成していくことが重要でございます。
 そのため、都は現在、保育士資格を持ちながら保育所に勤めていない、いわゆる潜在保育士を対象に、事業者の参加も得ながら、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するなど、人材の確保に努めております。
 また、人材を育成するため、認可、認証保育所等の職員を対象に、障害児保育やアレルギー対応等の専門性向上に向けた研修を実施する区市町村を支援しているところでございます。
 今後、こうした取り組みをより一層進めるとともに、区市町村や保育団体等と連携しながら、保育人材の確保、育成に向けた新たな方策を検討してまいります。
 次に、援助が必要な方のためのマークについてですが、義足や人工関節を使用している方、難病、内部障害、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からはわかりにくい方のために、都は現在、障害者団体やデザイン関係者等と意見交換を行いながら、統一的なマークを新たに作成しているところでございます。
 来月末から、まず、都営大江戸線の優先席に新しいマークを標示するとともに、必要な方が身につけられるように、デザインしたマークを大江戸線各駅で配布することとしており、来年度からは、都営地下鉄全線に順次拡大し、他の交通機関にも活用を働きかけてまいります。
 また、マークを多くの方に知っていただけるよう、ポスターを作成するほか、十二月の障害者週間など、さまざまな機会を通じて、広く都民への周知を図ってまいります。
 最後に、中等度難聴児に対する支援についてですが、お話のように、中等度難聴児は、幼児期から補聴器の使用などの適切な支援を行うことで、言葉のおくれなどを防止し、言語能力や生活能力等の向上が図られると期待されております。しかしながら、障害者自立支援法に基づき、補聴器購入の支援を受けることができるのは身体障害者手帳の対象となる重度の難聴に限られております。
 こうした中、自治体による中等度難聴児への独自の支援も始まっており、都が実施した調査によれば、平成二十四年八月時点で十二府県十政令市が補聴器購入費用の助成等を行っております。
 都としても、第二回定例会で補聴器購入助成に関する請願が全会派一致で採択されたことを踏まえ、中等度難聴児に対する支援を検討してまいります。
   〔病院経営本部長塚田祐次君登壇〕

〇病院経営本部長(塚田祐次君) 今後の都立病院改革の基本的考え方についてでありますが、これまで都立病院は、社会的要請から特に対策を講じなければならない医療を行政的医療と定義し、東京ERを初めとした救急医療や小児、周産期医療の強化など、良質な医療の確保に取り組んでまいりました。
 都立病院経営委員会の報告では、少子高齢化に伴い、急増する高齢者救急、複数の疾患を有する合併症医療、地域医療機関との協働や在宅医療支援など、新たな医療課題への対応も必要であるとされています。
 今後は、この報告を踏まえるとともに、これまでの都立病院改革のさまざまな取り組みを検証し、引き続き、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を核として、急速に変化する医療ニーズにも的確に対応できるよう、今年度中を目途に次期計画を策定いたします。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立高校の留学支援についてでありますが、都内の私立高校では、独自の教育理念に基づき、北米地域を中心とした英語圏に加え、アジアやヨーロッパへ多くの生徒を派遣するなど、既に約八割の学校が海外留学に取り組んでおります。
 都としては、こうした私立高校におけるこれまでの経験に基づいた個性ある取り組みを生かし、さらに充実を図っていくことが世界に通用する人材の育成に必要であると認識をしております。
 とりわけ、豊かな国際感覚の醸成や語学力の習得などに効果が高いとされる一定期間以上の留学を対象とした経済的支援を行い、生徒、保護者の費用負担の軽減を図るなど、学校が留学に取り組みやすい環境を整えることが重要であります。
 今後、私立高校における留学制度の充実に向け、学校関係者との意見交換をさらに積み重ね、より効果的な支援制度の構築を図ってまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ロンドン・オリンピック・パラリンピックで参考になった点及び招致活動の成果についてでございます。
 本大会は、既存施設の最大限の活用や、大会後の地域での活用に配慮した施設設計など、大会のレガシーが考慮されたものでございました。また、パラリンピック大会では、継続的な事前の啓発活動によって、観客動員の面でも大きな成功をおさめておりました。
 こうした取り組みは、成熟した都市における大会開催のモデルとなるものでございまして、ここで得た貴重な情報やアドバイスを今後の開催計画作成に役立ててまいります。
 また、IOCホテルに隣接した場所にジャパンハウスを設置し、IOC委員等に対して直接、競技会場計画や東京の魅力と安全性をアピールするなど、積極的な国際招致活動を展開いたしました。
 今後は、ロンドン大会で得た知識やノウハウ、人脈等を活用いたしまして、招致をかち取るための戦略を練り上げてまいります。
 次に、支持率の向上についてでございます。
 ご指摘のとおり、IOCの調査時期を見据え、ロンドン大会による国内の盛り上がりを招致獲得に向けた機運高揚へと結びつけていくことが極めて重要でございます。
 今月、新たにスポーツ振興局のツイッターを開設し、特に若者への発信を強化いたしました。また、スポーツ博覧会や東京マラソンなど、局所管イベントはもちろん、全国都市緑化フェアTOKYOや産業交流展など、各局主催のイベントにおいても招致PR活動を積極的に展開をしてまいります。
 さらに、東京駅前など、都内各所への招致フラッグの設置を初め、新幹線やタクシーなどの交通機関への招致ロゴの掲出など、民間団体と連携するとともに、町会や自治会など地域の団体に協力をいただきながら、さまざまな手法で招致機運の醸成に努めてまいります。
 オリンピック・パラリンピック招致が夢と希望、震災からの復興、経済効果などにつながることを、あらゆる機会をとらえて都民、国民にわかりやすく訴え、国を挙げて東京への招致を必ずやかち取る決意でございます。
   〔交通局長中村靖君登壇〕

〇交通局長(中村靖君) 都営交通を活用したオリンピック・パラリンピック招致に向けたPR活動についてでございますが、交通局では、一日約三百万人のお客様が利用している地下鉄、バス、都電などを活用し、オリンピック・パラリンピック東京招致の支持率向上に向けて、各駅の構内や地下鉄、バスなどの車内にポスターの掲出を行ってまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加えて、地下鉄に設置しているホームドアや全駅の改札機にステッカーの掲出を行うとともに、ラッピングバスの運行を行ってまいります。
 さらに、都電荒川線の日などのイベントのほか、スポーツ振興局と連携して、招致機運をさらに盛り上げるイベントを実施するなど、都営交通を活用したさまざまなPR活動に積極的に取り組んでまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十五分休憩

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