平成二十四年東京都議会会議録第十二号

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十三年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
 百十九番斉藤あつし君。
   〔百十九番斉藤あつし君登壇〕

〇百十九番(斉藤あつし君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 質問に先立ち、先日、名誉都民山田五十鈴さんがご逝去されました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 さて、私たちは本定例会に、犯罪被害者等の権利を守り利益の保護を図る東京都犯罪被害者等基本条例案並びに公共公益施設及び建築物の内部の緑化を推進する東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例案の提案を予定しております。それぞれの趣旨につきましては、改めて説明させていただきたいと考えていますので、本会議場の皆様の真摯な議論を心よりお願いするものであります。
 また、このほど政府は、我が国固有の領土である尖閣諸島の国有化を決定し、尖閣諸島の三つの島について地権者と売買契約を正式に交わしました。歴代自民党政権にはなし得なかった尖閣諸島国有化が、石原知事が購入を表明してきっかけをつくってから、たった半年で実現することになったのです。地権者は、これまでの政権への不信感から、政府には売却しないといわれていましたが、野田政権においてそのようなことはありませんでした。石原知事も、本来国がやるべきとされていましたが、その主張も実現したわけです。
 しかし、私たちはこの国有化でとまるわけではありません。早速、この売買契約当日、野田総理に対して、さらに具体的に実効支配を強化するよう求めたところです。私たちは、今後もこのような取り組みを進めていくことを表明させていただきます。
 まず、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致について伺います。
 ロンドン・オリンピックでの日本代表は、ナショナルトレーニングセンターや国のマルチサポート事業等が選手への大きなバックアップにもなり、過去最多のメダル数を獲得いたしました。そして、五輪閉幕後に銀座で行われたメダリストらによるパレードでは、五十万人もの観衆が集まり、メダリストを祝福しました。
 その盛り上がりは東京招致の世論調査にもあらわれ、招致委員会がロンドン五輪閉会後に調査を行った結果、開催支持率は、開会前の世論調査よりも八ポイント上回る六六%という結果になりました。
 このオリンピック・パラリンピック熱をさらに高める戦略を早期に展開し、IOC世論調査が予想されることしの十二月から来年一月前後までに、都民、国民の招致への支持率を最高潮に持っていかなければなりません。
 そのためにも、公共交通機関等多くの方の目に触れる媒体を活用した招致PRをもっと展開していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 また、さまざまなメディアやイベントにメダリストが出演していますが、こうした機会を通じて、直接招致に向けた都民、国民へのメッセージを発信していくことが世論への大きな訴えになるはずです。来月には都民広場でメダリストへの都民スポーツ大賞表彰式がありますが、こうした機会も活用して、メダリストにメッセージを発していただくよう、都としても働きかけるべきです。
 また、日本で人気の高い野球やソフトボールが、現在、オリンピック種目から外されております。これらの復活も含めて、新たなスポーツ競技の二〇二〇年オリンピックでの種目化を今から検討していくべきと考えます。それが日本スポーツ界のオリンピック招致熱を高め、都民、国民の支持率向上につながっていくと考えるものであります。あわせて検討されるよう求めておきます。
 さて、さまざまなリサーチ会社が支持率調査を行っていますが、賛成者も反対者も経済的な部分に着目をしています。このような状況を踏まえると、短期の経済効果もさることながら、長期的な投資効果をもっとPRしていくべきと考えます。
 例えば、国立霞ヶ丘競技場の改築については、オリンピック・パラリンピックが終わった後も、防災拠点やその他の機能として有効活用されるといったことなどを早目に都民、国民に示して、一定の経費をかけても長期的なメリットがあることを可能な限り具体的にPRをしていくべきと考えます。
 その点では、東京と似た規模のまちで同じ成熟都市であるロンドンでの大会は、先進国五輪のモデルをつくったという人もいるほど、経費や投資を有効に使う工夫が図られたといわれているため、参考にできるのではないでしょうか。
 投資効果を踏まえた今後の国内向け招致PRの展開について、都の見解を伺います。
 次に、パラリンピック競技大会について伺います。
 ロンドン・オリンピックだけでなく、パラリンピック競技大会においても、女子ゴールボールの金メダル獲得や、車いす男子テニスの国枝選手の北京大会に引き続く二連覇など、さまざまな競技でパラリンピック選手の活躍する姿が日本じゅうを元気づけました。
 今回のロンドン大会では、パラリンピック発祥の地での開催ということで観客数は過去最高で、二〇〇八年の北京大会を大幅に上回る二百七十万枚のチケットが販売されたと聞いています。こうしたイギリス国民のパラリンピックに対する関心の高さは、パラリンピックのみならず障害者スポーツの振興がイギリス国内に広く浸透している証左です。
 一方、日本においては、国民の関心はまだまだ低いのが現状です。障害者スポーツ浸透のためにも、都が全国に先駆けて策定した東京都障害者スポーツ振興計画の着実な実行を図るとともに、二〇二〇年にパラリンピックを東京で開催することが、障害者スポーツを普及させる上で大変重要なわけです。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが開催され、東京がどういう都市に変わるのか、震災から復興した日本はどういう姿になっているのか、具体的で明確なビジョンを知事がさらに発信し、都民、国民の皆様に東京で開催したときの輝く未来像をイメージしてもらうことで、招致への賛同と協力につながり、国内の招致機運を高めることになると考えます。
 ロンドン大会が終わった今、東京のトップである知事には、招致に向けて改めて先頭に立って、招致関係者、都民、国民が一丸となれるよう引っ張っていただき、メッセージを発信していってほしいと思います。
 そこで、そのメッセージの一つとして、ロンドンでの開催結果を踏まえた東京でパラリンピック競技大会を開催する意義というのは何か、知事の見解を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 四月に公表した都の首都直下地震等の新たな被害想定では、死者は約一万人、避難者は三百三十九万人に上り、揺れによる建物全壊は十二万棟、火災により二十万棟が焼失するというものでした。被災から三日間は、都民、地域が自助、共助で生き延びる対策を講じていかなければなりません。被害想定の発表から約半年、都は社会に対して、首都直下地震に被災した東京のイメージを認識させることはできたのでしょうか。
 また、今回、地域防災計画の修正素案が公表されましたが、震災から一年半たち、日本経済新聞の家庭での災害の備えアンケートでは、その直後に比べ、備えを強化した、維持していると答えた人は半数以上に上りますが、していない、緩んだと答えた人も半数と、ほぼ拮抗している結果が出ました。
 被災イメージを認識した都民、企業、組織、地域、そして東京全体が大規模地震対策にいかに取り組むか、継続して備えるかを都が支援し、減災戦略が実現するよう促せるかが重要と考えますが、見解を伺います。
 続きまして、東日本大震災では、東北地方から関東地方にかけての広い地域にわたって、河川堤防や港湾施設、下水道施設に甚大な被害が発生いたしました。この未曾有の災害を踏まえ、国においては、総合的な津波対策のあり方を検討するとともに、河川堤防の耐震対策、下水道施設の耐震、耐津波対策の進め方などをまとめました。
 東京においても、マグニチュード八・二の大規模海溝型地震などが発生したことによる震度分布や津波高、浸水分布などの被害想定が示され、実際に地震、津波が起こった場合においても施設の安全性を確保する対策が重要となっています。
 大地震の教訓と新たな被害想定を受け、都は、地震、津波に伴う水害対策の強化に取りかかる方針を決めました。都民の安心・安全に資するため、都はどのような認識を持って河川堤防、海岸保全施設、下水道施設などの地震、津波対策を順次行っていくこととしたのか、見解を伺います。
 木密地域不燃化十年プロジェクトにおいて、都が整備地域約七千ヘクタールの中から不燃化推進整備地区を指定し、特に重点的に取り組みを推進する制度を創設することとした、いわゆる不燃化特区制度では、先般、応募のあった十二地区すべてを先行実施地区としたところであり、積極的な姿勢を評価するものであります。
 整備地域等における不燃領域率は、平成八年の四九%から平成十八年には五六%へと改善はしたものの、防災都市づくりの推進計画に掲げる平成三十七年度に七〇%の目標達成には、実効性の高い支援策や規制緩和、時間軸を意識した合意形成、新たな税制見直しによる誘導策など、多様な手法を駆使した取り組みが必要とされております。
 今後、東京都と区が共同で整備プログラムを作成するわけですが、今年度末に予定されている不燃化特区制度の骨格となるものです。各区、各地域の特性に応じた取り組みを進めるため、区との緊密な連携のもとで大胆な施策を実施し、進めるよう求めるものですが、都の所見を伺います。
 そして、東京都は、都内の木造住宅密集地域のうち、防災都市づくり推進計画で指定した整備地域内での木造住宅の耐震化に助成をしております。私たちは、都内全域への適用あるいは対象の拡大に向けた第一段階として、建物倒壊危険度五の地域すべて、もしくは建物倒壊危険度と火災危険度がともに五である地域をすべて制度の適用対象地域として取り扱うよう、再三再四求めてまいりました。
 その結果、建物倒壊危険度と火災危険度がいずれも五である二十五地域のうち、一地域を除く二十四地域が指定されました。
 しかしながら、建物倒壊危険度五に該当する地域が八十四地域ある中で、二十三地域がいまだ整備地域になっておりません。同じように危険でありながら整備地域にも指定されない残された地域では、耐震化が進まないままとなることが懸念されております。
 建物倒壊危険度五に該当する地域も、木造住宅の耐震診断、耐震改修助成制度の適用対象地域とすべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、東京都は昨年、条例を制定し、特定緊急輸送道路を指定して、沿道建築物の所有者に対する耐震診断の実施義務、耐震改修などの実施の努力義務、耐震化に要する費用の助成などを実施しています。
 私たちは、建築物の耐震化は基本的に対象を限定せずに進めていくべきものと考えていますが、条例化によって、少なくとも特定緊急輸送道路の沿道建築物の一層の耐震化促進に向けた施策が従来よりも一歩進むものであると一定の評価をしております。
 耐震診断義務化後の状況と今後の取り組みについて、当局に伺います。
 続きまして、特定緊急輸送道路に指定された沿道の建築物に限っていえば、旧耐震基準で建てられた約五千棟において八一・三%となっている耐震化率を一〇〇%とすることが急務であり、東京都は平成二十七年度までに実現するという目標を掲げています。
 耐震化の取り組みを加速させるには、老朽化した中小ビルのオーナーの心に響くような、例えば固定資産税減免等のさらなるインセンティブ付与に関する要望も聞いております。都民の意識が高まっているこの時期を逃さずに、一棟でも多く耐震化に向けた第一歩である耐震診断を実施することが肝要ではないでしょうか。
 国、都、市区町村が一体で実施している耐震診断や耐震化への助成ですが、幾つかの区では、予算が年度の前半で底をついたとのことです。補正予算等による対応が行われて、事業実施には影響がないようですけれども、耐震化に向けた取り組みに水を差すようなことがあってはなりません。
 市区町村とも十分に連携し、平成二十七年度までの特定沿道建築物一〇〇%耐震化達成に向けて強力に取り組むよう求めるものですが、都の見解を伺います。
 次いで、都の行ったマンション実態調査で、都内の分譲及び賃貸マンションの約二割、二万四千棟が旧耐震基準で建てられていると判明しました。都の戸建てを含む全住宅の耐震化目標は、平成二十七年度までに九〇%以上、平成三十二年度までに九五%以上です。
 ところが、今回の調査の速報による推計では、旧耐震基準のマンションのうち、耐震診断で耐震性が確認されたもの及び耐震改修により耐震性が確保された建物が、分譲で約一二%、賃貸で約七%であり、私たちがかねてから求めてきた老朽マンションへのさらなる改修、更新促進策の必要性を改めて認識させる結果です。
 一棟でも倒れれば、倒壊による人的被害はもちろんのこと、特定緊急輸送道路に限らず道路はふさがれ、住民の避難、消火や救命救助活動の妨げとなります。被害を軽減すれば、仮設住宅の必要数や瓦れきが減少し、早期の復旧、復興につながることはいうまでもありません。
 都は今年度、千棟を目標に、分譲マンションに対して耐震化の必要性や支援対策を説明する啓発隊の派遣を八月から先行実施しており、待ちの姿勢からアウトリーチへ転換したということは大変歓迎いたします。しかし、概算で一万棟を超える分譲マンションが未耐震、このままでは目標が達成できるのでしょうか。年次ごとの耐震化棟数の目標をつくるなど、より一層の取り組みが必要と考えます。
 そこで、これまでに実施したマンション啓発隊の個別訪問の成果と今後の取り組みについて伺います。
 続きまして、大災害発生時の消防団活動のあり方を議論してきた総務省消防庁の検討会は、消防団員を地域に最も身近な防災の担い手と位置づけ、装備充実や報酬増額によって活動を強化すべきであると求めています。
 一方、特別区消防団運営委員会からも今後提言が予定されており、これらの提言を踏まえ、今後の消防団活動をより一層強化していくべきと考えます。
 同時に、都内には九十八消防団、約二万四千五百人の消防団員のほかに、防災市民組織や防災ボランティアの存在があります。震災時には、都民一人一人の自助に加えて、これらの重層的な共助の仕組みが連携して対処することが重要であり、そのための活動用資機材の整備には、関係各局の協力も不可欠であります。
 既に、木造住宅密集地域などの消防車が進入できないような地域では、各消防署の呼びかけにこたえて、地域住民が水道施設である排水栓を活用した消火訓練にも参加しています。
 そこで、消防総監に伺います。震災時における被害を軽減するために、特別区消防団と地域住民との連携の取り組みについて伺います。
 次に、多摩の振興について伺います。
 多摩地域は、少子高齢化による人口減少や各市町村の財政状況の悪化など、今後、さらに厳しい状況になることが見込まれますが、こうした中にあっても、圏央道や多摩南北道など道路ネットワークの整備を初め、産業振興や災害対策など多岐にわたる課題について、果断に取り組んでいく必要があります。
 このような認識のもと、私たち都議会民主党は、ことし二月の代表質問において、新たな時代を迎え、都のさまざまな事業を進める上では、多摩地域の将来に向けたトータルビジョンを明確にすべきというふうに主張してまいりました。
 既に都では、新たなビジョンを策定することを明らかにしており、多摩の持つポテンシャルを従来と違った視点でとらえ直すと述べております。
 私たちは、新たなビジョンの策定に向けては、市町村との連携を図ることで、より具体的かつ実現性のあるものになると考えています。
 そこで、多摩の新たなビジョンについてどのような内容にしていこうとしているのか、策定時期も含めて見解を伺います。
 続きまして、多摩地域の産業振興についてです。
 ことし二月の代表質問でも触れたように、多摩地域では、大規模な自動車工場の閉鎖によって、従業員の雇用に加えて、自動車部品の製造を支える中小企業への注文がなくなり、工業集積が崩れ去ることが懸念されています。
 このような中、私は、イノベーション、いわゆる技術革新による生産性の向上が、多摩地域が未来に展望を見出すためには不可欠であると考えます。技術革新を生み出すために、産業の集積を維持しながら、すぐれた人材や企業、さらには高度な知識を有する研究機関などのネットワークをつくり上げていくことが極めて重要です。そして、実際、多摩地域にはさまざまな種類の製造業が集積し、数多くの大学や研究機関に加え、そこに勤務する優秀な人材が存在するなど、技術革新を引き起こすポテンシャルが極めて高いんです。
 そこで私は、大学などの研究内容を企業に橋渡しして、行政などの支援も取り込み、新たな技術や製品の開発に結びつける産学公の連携に力を入れて、多摩地域の持つ力を十分に発揮させる産業振興策について、さらに積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域の公共交通の整備についてです。
 鉄道など公共交通の整備は、多摩の振興を図る上からも欠くことのできない課題です。しかしながら、平成二十三年二月に策定された多摩振興プロジェクトでは、例えば多摩南北道については、主要五路線ごとの事業目標や事業現業図が示されるなど、道路整備については幅広く記述されているものの、公共交通機関に関しては、連続立体交差事業が記されるにとどまっております。
 多摩地域では、平成十二年の運輸政策審議会において、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線と位置づけられた多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸を初め、JR中央線の三鷹─立川間の複々線化などが特に注目されますが、その他の公共交通についても積極的に検討し、多摩地域が希望の持てる将来像を示していくべきと考えます。
 そこで、都として、多摩都市モノレールを初め、多摩地域における鉄軌道ネットワークの充実に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 また、連続立体交差化については、北多摩北部における取り組みが、JR中央線や京王線と比べても特におくれているともいわれています。
 平成十六年に策定された踏切対策基本方針で、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられている西武新宿線東村山駅付近を初め五カ所の早期実現を強く求めるものでありますが、見解を伺います。
 次に、多摩の公立小中学校の冷房化について伺います。
 都教育委員会は、平成二十二年度から市町村立小中学校の普通教室の冷房化促進のための補助事業を、今年度までの時限事業として行っています。しかし、東日本大震災の影響等により、一部の市町村では冷房化が完了しておりません。
 したがって、冷房化補助事業を来年度も延長すべきと考えますが、見解を伺います。
 続きまして、中小、小規模企業対策について伺います。
 日本経済の発展には地域経済の活性化が必要であり、中小企業の活力を引き出すことが不可欠です。国の新たな再生戦略では、経済を支える中小企業が発展、活躍することが重要とし、創業支援の充実や海外展開支援の強化などが盛り込まれました。
 東京の産業も数多くの中小企業によって支えられていますが、中でも、都内企業の約八割を占める小規模企業がさまざまな事業分野ですぐれた力を発揮することを通じて、都内の経済活動の基礎をしっかりと固めている現状があります。
 こうした小規模企業の活躍の場を広げるため、さまざまな事業展開を後押ししたり、経営能力を高めるためのサポートなどを行政として着実に進めることは、ますます重要になると考えます。
 小規模の会社経営に当たっては、限られた人材で多様な経営課題を速やかに解決していく努力が不可欠です。そのために、例えば経営知識やノウハウを豊富に持った公認会計士や税理士などの専門家から、知識サポートや経営改革への支援を受ける機会を確保することなどが効果的であると考えます。
 都内の小規模企業により注目して、都がその成長を促すような施策体系を展開していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、成長産業分野にかかわる金融支援についてです。
 都内中小企業を取り巻く経営環境が依然として厳しい中、経営安定化を図るセーフティーネット融資も重要ですけれども、都としては、将来を見据え、成長産業の振興に向けた金融支援に徐々に軸足を移していくことも必要ではないかと考えます。
 各地域においても、大阪府が提携金融機関とともに新ビジネスなどを支援する制度融資を拡充し、福岡県ではアジアに進出する中小企業を支援する融資を新設するなど、新分野進出や新事業展開の金融支援を充実させています。
 都では、産業振興基本戦略において、環境エネルギー関連産業、健康関連産業などを重点分野と位置づけ、積極的な支援を計画しているところであり、こうした分野に参入する企業のニーズにこたえていくため、中小企業に対する金融支援のあり方について検討していくべきと考えます。
 東京都は、環境、エネルギーなど成長産業分野に取り組む中小企業に対する金融支援について、産業振興の観点から、どのように対応していこうと考えているのか、見解を伺います。
 次に、中小企業の雇用、定着対策についてです。
 東京の産業を支えている中小企業において、最も重要な経営資源は人材であり、人材が集まることで都内経済の基礎体力が強化され、社会も安定します。
 しかし、中小企業が若者の採用意欲を強くしても、大企業に比べて知名度や資金的な余裕が少ないため、民間の求人情報会社を使って採用活動を行うことは大変困難です。また、企業が採用の内定を出しても辞退される、新入社員が持つイメージとのギャップなどで早期に離職してしまうなど、雇用のミスマッチも生じております。
 一方で、最近では中小企業への就職を希望する新卒者もふえつつあります。そこで、都としても、中小企業と若者の雇用のミスマッチを改善する支援を充実すべきと考えます。企業の魅力とともに、企業の実情を踏まえた情報を発信し、若者の情報不足を補うことや、個別企業ごとの社員育成計画やキャリアパス提示のコンサルティングを行うなど、企業の人材定着を図ることが考えられます。
 中小企業単独では難しい人材確保と定着に向けた都の取り組みの強化について、見解を伺います。
 次に、公共事業における労働環境確保についてです。
 建設産業においては、下請企業を中心に、年金、医療、雇用保険に未加入の企業があり、技能労働者の処遇が低下して、若者の業界離れの一因になっているほか、まじめな企業ほど受注競争上不利になるといわれています。
 このような状況を是正すべく、建設業法の省令が改正されました。経営事項審査を所管する都市整備局では、十一月から、保険未加入であることが判明した企業に対して加入指導を実施することになります。
 一方、発注する側の財務局も、十月一日以降に公示される契約案件から、代金支払いや社会保険加入等の法令遵守についての誓約書提出の義務づけなど、低入札価格調査制度に係る調査マニュアルを見直しすることを公表しました。
 私は、公共工事の発注者側からも社会保険未加入問題に取り組み始めたことを大変評価するとともに、経営事項審査での状況を勘案しつつ、すべての公共工事での労働環境確保に向けた取り組みを進めるべきだと考えます。
 また、制度導入によって、現場で働く労働者が不利益をこうむることのないよう、都としても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、指定管理者制度における労働環境確保についてです。
 都議会民主党は、昨年二月の代表質問において、指定管理者における適正な労働環境を維持確保するため、社会保険労務士などの専門家を活用した労働監査や労働モニタリングの導入を行っている例があるとして、都における対策強化を求めてきました。
 既に東京都も、指定管理者に対する関係法令遵守の義務づけや事業計画の審査など、公募段階での取り組みとともに、労働環境を含めた事業計画が履行されているかを適切に評価することなどとしていますが、私は、専門家を積極的に活用して、書類確認、現地調査、面接などにより、点検、報告する労働条件審査の導入を進めるなど、より確実な取り組みを進めるべきだと考えます。
 指定管理者制度における労働環境の確保に向けた見解を伺います。
 次に、東京都水道局及び東京都住宅供給公社、JKKの発注工事に関連した汚職事件について申し上げます。
 九月三日、都職員が収賄の容疑で警視庁に逮捕されました。収賄事件による都職員の逮捕は、平成十八年の下水道局職員の逮捕以来六年ぶりで、平成に入ってから七件目の汚職事件です。
 また、十日にはJKKの住宅計画部長が収賄容疑で逮捕されました。JKKでは平成七年に職員が逮捕されて以来のことで、みなし公務員として収賄罪が適用されたんです。
 今後、都とJKKにおいては、汚職事件の全容や効果的な再発防止策を公表し、都民の信頼回復に努めることを要望するものです。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 九月十三日、都が公表した豊洲新市場用地における土壌汚染対策工事に伴う調査の結果についてなどによれば、不透水層内を調査した百十三地点のうち六十八地点から、ガス工場操業に由来するベンゼンが確認され、最大濃度は環境基準の千倍、最大で六深度、すなわち六メートル掘り進んだところからも汚染が確認されたんです。
 東京都は、これまで粘土層を形成している有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いと再三答弁してきましたが、多くの、しかも深い地点の不透水層内から汚染が検出されている現実を踏まえ、その原因を究明し、底面管理の徹底など、万全の対策を講じていくべきです。
 私たち都議会民主党は、汚染された土壌が無害化され、安全な状態になっていなければ豊洲新市場の開場には反対であり、開場スケジュールよりも食の安全を確保していくことの方が、都民にとって重要であるということを主張してきましたが、改めて、今回、不透水層内の汚染の徹底的な除去など、土壌汚染対策に向けた都の決意を確認するものであります。
 次に、築地地区におけるまちづくりについてです。
 ことし二月七日に、都と中央区とが交わした築地のまちづくりに関する合意に基づき、現在、中央区においては、新しい築地をつくる会などにおいて検討が進んでいると聞いています。
 中央区が主張していた鮮魚マーケットなど、食文化の拠点を継承していくことについて都が合意したことは、都議会民主党の一定の成果であると考えております。そして、私たちは、この合意が着実に履行されることを強く求めてきました。
 中央区での検討状況については、都としても、都区検討会などを通じて適切にかかわっていると思いますけれども、現時点で、築地地区においては何店舗分の面積が確保され、その開設がいつごろになる見込みなのか。また、検討されている施設が、中央区がイメージしたような食のプロに評価、使用される施設、あるいは一般客、観光客にも親しまれる施設となり、築地の食文化を継承していく拠点となり得るのか、見解を伺います。
 次に、事業者に対する支援についてです。
 この間、私たちは都議会民主党として、築地市場の水産仲卸組合の方からさまざまな要望を聞いてまいりました。九月のヒアリングでも、都が示している支援策は、移転を機にやむなく廃業する方への救済については想定していないことや、築地で商売を続けるため、都と中央区が合意した鮮魚マーケットへの転業に興味を示している仲卸業者もいるとして、より実効性のある支援策を求める声が聞かれました。
 都は、平成二十三年三月七日の予算特別委員会において、私たちの質問に対して、移転を希望する事業者、移転を希望しない事業者における具体的課題の解決に向けて最大限努力をしていくと答弁しており、私は、都に対して、引き続き最大限の努力を強く求めるものであります。
 一方、築地で働いている市場業者の人たちは、景気の低迷も相まって、日々の経営にも大いに不安を抱えながら、移転準備も真剣に考えなければいけない時期に来ています。ことし一月に、都は具体的な移転支援策を発表し、本年度、移転前の支援についても行うと述べていますが、現在の支援策の進捗状況について見解を伺います。
 次に、東京外かく環状道路の東名高速から湾岸道路について伺います。
 外環は、いうまでもなく、首都圏のみならず我が国の発展を支える重要な道路です。先日、外環の着工式が催され、いよいよ関越道から東名高速までの工事に着手することになりましたが、東名高速から湾岸道路までの計画はいまだ具体化されておりません。
 この外環を、第三京浜を経て湾岸道路まで延伸させることにより、環状八号線瀬田交差点など、周辺地域の渋滞の解消や物流の改善効果が期待されます。このため、早急に、そしてコストも安く抑えて、湾岸道路までの整備を進めていくべきと考えます。
 都議会民主党では、平成二十四年度予算特別委員会において、羽田空港や京浜三港と首都圏との交通ネットワーク強化のためにも、早急に議論を進めていくべきと強く求めるとともに、民主党国会議員はもとより、国に対しても強く働きかけてまいりました。
 その結果、先日の外環の着工式では、羽田国土交通大臣から、今後、関越道から東名高速間の早期開通に向けて事業を推進するとともに、東名高速以南の計画を地域の方々の意見を伺いつつ具体化させていくべく、関係者との検討の場を立ち上げたいという力強いあいさつがありました。
 そこで、東名高速から湾岸道路までの検討の場の設置に向けて、今後、都はどのように取り組むのか伺います。
 続きまして、自転車対策です。
 自転車対策につきましては、この間、我が会派の議員が、ナンバープレート制度の導入を初め、TSマークや保険加入の促進、自転車走行空間の確保や交通安全教育の充実など、本会議や委員会の場を通じてさまざまに提案をしてまいりました。
 このような中、九月十日、東京都自転車対策懇談会が取りまとめた自転車問題解決に向けての提言は、この間の私たちの提案についても、都に対して積極的な検討を求めるなど、一定の評価をする内容となっております。
 また、提言では、都において、自転車の安全で適正な利用に関する条例の制定に向けた積極的な検討を行うように求めており、私たち都議会民主党でも、条例に盛り込む施策のメリット、デメリットを明示して、都民の合意を図りながら検討を進めるべきだと考えています。
 そこで、都は、今回の提言を受け、自転車条例の制定に向けて、いつごろの提案を目標にどのように検討していくのか、見解を伺います。
 さらに、自転車におけるナンバープレート制度の導入についてです。
 今回の提言で、特に都民の関心を引いているのは、ナンバープレート制度の導入とデポジット制度の導入ですが、特にデポジットについては、議会での議論もほとんどなく、私たちも慎重に検討していきたいと考えております。
 一方、ナンバープレート制度の導入については、我が会派の議員が平成十九年十二月十二日の一般質問で取り上げたのが多分最初であったと記憶をしております。当時の警視総監は、制度的な対応が可能かどうか、関係向きと協議してみたいと答弁をしていました。
 もちろん、ナンバープレート制度の導入は、制度を管理する団体が新たな天下り団体になるのではないかということも含めて、さまざまな懸念の声があることは承知をしております。
 その上で、私は、これらの声にも十分配慮しながら、自転車におけるナンバープレート制度については、導入に向けての取り組みを求めるものでありますが、その見解を伺います。
 次に、自転車の保険加入の促進についてです。
 自転車保険が附帯しているTSマークの普及についても、平成十八年三月十六日の予算特別委員会で我が会派の議員が質問したのが最初でしたが、自転車事故では、多くが保険未加入のため、被害者が泣き寝入りをしているという話もよく聞きます。
 このように、TSマークに限らず、自転車に関する損害賠償責任保険の普及は、被害者の視点からも重要な課題であり、今回の提言においても、通勤、通学、事業者の業務による自転車の利用については、保険加入の義務づけなども検討すべきとしているところです。
 私も、自転車利用者が損害賠償責任保険に加入していることが当然であるという社会を構築していくためにも、まずは都としても、学校、事業所、市区町村とも連携しながら、保険加入の促進に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、自転車走行空間の整備についてです。
 都議会民主党は、都議会海外調査において、平成二十二年十二月にアムステルダムなどヨーロッパの各都市での交通政策を調査しました。
 ヨーロッパでは、中心市街地でも、二車線の車道のうち一車線をつぶし、その一車線分に二レーンの自転車レーンをつくるといった大変ドラスチックな取り組みや、駐輪場の整備とあわせ、自転車走行空間の確保をまちづくり全体の中でしっかりと位置づけるということなど、視察の成果を踏まえて、都に対して取り組みを求めてきました。
 一方、地域主権改革一括法により道路構造令の改正を受け、それぞれの自治体は、来年三月三十一日までに道路構造の技術的基準について条例で定めることとなっております。先行する幾つかの府県では、自転車の安全かつ円滑な通行を確保するために必要な基準を独自に条例で定める例も見られます。
 私は、東京都としても、自転車の安全かつ円滑な通行を確保するという視点から、道路構造基準の条例化を検討するとともに、市区町村とともに連携しながら、自転車走行空間の整備を進めていくべきと考えます。これについて見解を伺います。
 続きまして、犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害者などの権利を守り、利益の保護が図られる社会を実現するためには、国だけではなくて、被害者にとって身近な東京都の取り組みが大変大事です。東京は、三菱重工ビル爆破事件や地下鉄サリン事件といった重大事件の発生地であり、性犯罪を初めとした都内の犯罪発生水準や交通事故発生件数も依然として高く、だれもが犯罪に巻き込まれ、被害者になり得る危険性があります。
 犯罪被害者などが抱える問題は多様であり、被害直後から日常生活を回復するに至るまでの中長期的な支援を途切れることなく行っていくためには、単なる支援計画にとどまらず、犯罪被害者などが被害を回復または軽減し、再び平穏な生活を営むという権利を守り、利益の保護を図る目的や基本理念、施策などを都条例に明確に位置づけ、総合的、計画的に推進する必要があります。
 そのため、都議会民主党は、都の意思、姿勢を表明する犯罪被害者等基本条例の制定が早期に必要と考え、今定例会への提案を予定しております。犯罪被害者等基本条例案にぜひご理解をいただき、犯罪被害者などの権利を守り、利益の保護が図られる安心・安全な東京の実現に向けて、ともに取り組むよう求めるものです。知事の見解を伺います。
 犯罪被害者等を支援する条例というのは、既に制定をしている県や政令指定都市において、独自の工夫による先進的な取り組みをそれぞれ行っております。神奈川県では、かながわ犯罪被害者サポートステーションを開設し、犯罪被害者などから相談を受けた後に、県、県警、神奈川被害者支援センターの三者による支援調整会議を行い、被害者のニーズにこたえる支援を連携して決めていきます。京都市は、犯罪などにより当座の生活資金に困窮する被害者などに対して、生活資金の給付を行っています。
 また、生計の維持や犯罪が行われた住宅に居住し続けることが現実困難となった者を対象として、抽せんによらず公営住宅に入居させる取り扱いも、四十近い自治体で既に行われております。
 東京都では、都営住宅の優遇抽せんなどを行っていますが、そうした施策の実施に当たっては、被害者の声の把握に努め、きめ細かく対応することや、独自の施策の構築により、犯罪被害者支援の充実を図る必要があります。
 犯罪被害者の立ち直りに効果的な被害者目線の施策を充実していくことについて、都の見解を伺います。
 次に、いじめ問題について伺います。
 大津市のいじめ問題が報道され始めたのは七月四日ですが、それ以降、全国各地の痛ましいいじめ事件が数多く報道されております。
 いじめが起きたら、担任の教員個人ではなく組織として解決に努力をすることはもちろんのこと、迅速に察知し、適切に対処することが、いじめの深刻化、長期化を防ぐためには必要です。
 都教育委員会は、七月十七日、新たにいじめの疑いのあるものも含めたいじめの実態把握調査を緊急に実施し、その結果が今月発表されました。その結果を見ると、疑われるものも含めたいじめの認知件数は一万件を超え、平均すると一校当たり約五件存在することになります。
 都教育委員会は、今回の結果を受けて、対応状況等を追跡調査し、十月中に調査結果を発表するとのことでありますが、今回の緊急調査の有効性と、今後、調査方法の工夫が必要と考えるわけですが、これについて見解を伺います。
 さらに、学校でのいじめ問題や教育問題の対応における事なかれ主義が指摘をされております。例えば、学校側が教員の人事考課や学校の評判を下げたくないばかりに隠ぺいを行い、結果的に被害者の親族や関係者がマスコミに告発をして初めて発覚するというようなケースです。
 そこで、問題の隠ぺいにつながらないよう、校長や教職員個人の責任にされてしまう体制から、学校全体で情報を共有し、対策に当たるオープンな体制の構築を図るとともに、いじめはどの学校にも起こり得る問題という認識のもと、いじめがある学校の校長は評価が下がるという認識を改め、いじめ対策をどれだけ行い改善してきたかを評価するような体制に改善していくことが重要と考えます。
 そこで、都教育委員会においても、いじめ問題に積極的に取り組めるような教員評価とその周知徹底に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、いじめ問題においては、学校や各家庭に責任を負わせるだけではなくなりません。個々の家庭と学校、PTAとの連携、地域社会全体の見守りで防いでいくことが重要と考えます。
 既に、児童生徒の問題行動の防止や早期解決を図る学校サポートチームがありますが、民生委員や児童委員などによる多方面のパワーと連携をした、学校と地域社会、家庭が連携、協働できる体制づくりが必要だと考えます。
 いじめ問題対策として、学校と家庭、地域の連携についてどう取り組んでいくのか、見解を伺います。
 さらに、いじめの未然防止には徳育が重要です。東京都教育委員会は、道徳教育を推進させるため、中学校の道徳教育教材集「心みつめて」というのを独自に作成しました。この教材集の中には、嘉納治五郎の話など、日本の先人の功績、生き方が載せてあり、誇るべき日本人の精神などを学べるのが特徴的といえます。
 しかしながら、幾ら教材がよくても、そのような学ぶべき要素を、児童生徒の心にしっかり伝わり、心に響かせることが重要であり、それは、教える側がいかに理解、感動し、自分の体験も交えながら具体的に伝えていけるか、リアリティーを持った伝え方ができるかで決まると思います。そのためにも、指導資料の配布だけではなくて、教員には、人や社会のために尽くした功績者の講演を聞いて刺激を受けたり、研究大会等を通じて、効果的な指導のあり方について研究を深めたりすることを通じ、指導力強化を図るべきと考えます。
 このような観点を踏まえ、教材集の作成をきっかけとして、今後どのように徳育を推進していくのか伺います。
 次に、保健、福祉施策について伺います。
 高齢者を対象とする東京都高齢者保健福祉計画では、高齢者が住みなれた地域で、尊厳あるその人らしい生活を継続していくことを目指し、できる限り要介護にならないよう介護予防サービスを適切に確保するとともに、要介護状態になっても、高齢者のニーズや状態の変化に応じて必要なサービスが切れ目なく提供される、包括的かつ継続的なサービス体制、いわゆる地域包括ケアの概念が導入されています。
 一方、現在改定作業が進められている東京都保健医療計画については、現行の保健医療計画でも保健、医療、福祉の連携は既に盛り込まれてはいますが、私たちは、より踏み込んで、高齢者に限らず、障害者や児童の分野においても地域包括ケアの概念を導入し、都内各地域の特性に合わせた地域包括ケア体制を構築することが必要と考えます。
 また、今後の人口動態推計によれば、都内では、高齢者の数、割合がともに急激に伸びることが予想されており、これに対応するため、現在でも非常にニーズの高い医療療養病床の確保も急務と考えております。
 そこで、今回の改定に当たり、特にどのような観点を重視して保健医療計画の見直しを進めているのか、所見を伺います。
 昨年、厚生労働省が、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾患に精神疾患を加えた五大疾患を医療計画に盛り込む方針を示しました。都の現行の保健医療計画では、既に精神保健医療体制の実施が盛り込まれてはいますが、私たちは、次期計画においてしっかりと取り組みを体系づけることが必要と認識しています。
 とりわけ若年層の精神疾患においては、例えば三十歳代までに発症するとされる統合失調症、発達障害やそれに伴ううつなどについて、通院以外のきめ細かな支援サービスが十分に行き届いていない領域といわれております。若年者の苦しんでいる状況を何とかしたいという切実な声も聞いています。精神疾患も早期に発見し、早期に治療や支援を行うことによって回復の可能性も高くなり、相談事業やアウトリーチなどに民間の医療機関や福祉事業者を積極的に活用することが重要です。
 そこで、こうした取り組みなどにより、地域における若年層を対象とした医療と福祉の連携を充実させていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、感染症対策について伺います。
 国においては、今年度末までに麻疹を排除することを目標として掲げ、麻しん排除計画を策定しており、これに基づいた取り組みが進められております。
 麻疹患者数というのは徐々に減少してきましたけれども、昨年四月から約二カ月間、都内では麻疹患者の発生が続きました。都における昨年度末時点での麻疹ワクチン接種率は、中学一年生に当たる、いわゆる第三期が八四・七%、高校三年生に当たる第四期は七二・〇%と目標である九五%には達しておりません。
 私たちは、麻疹発生動向の解析や定期接種対象者の接種率の把握、効果的な接種勧奨方策等への改善などを今後も続けていく必要があると考えます。
 これらの状況を受け、都は麻疹対策に今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、自死対策、いわゆる自殺対策についてですが、これについて伺います。
 政府が推進すべき自殺対策の指針である自殺総合対策大綱、これは、自殺対策基本法に基づき、平成十九年六月に初めて策定をされました。それ以来、ことし初めて全体的な見直しが行われ、八月二十八日に閣議決定をされたのです。
 見直し後の大綱では、自殺者総合対策の現状と課題として、大綱に基づく政府の取り組みだけではなく、この間の地方公共団体、関係団体、民間団体等によるさまざまな取り組みの結果、近年、年間自殺者数は、わずかながらも減少傾向を示しており、平成二十三年は初めて三万一千人を下回ったとしています。
 民主党政権になってからの国の自殺対策について、その充実が図られているという評価の声もいただいております。徐々にその効果があらわれ始めているというふうなわけですが、このほか、中高年向けの対策が一定の成果を上げているとする一方で、残念ながら若年層の自殺死亡率は高まっており、学生、生徒の自殺者数が増加傾向にあるということが指摘をされております。
 政府の認識は今述べたとおりなんですが、都は、自殺者総合対策の現状と課題についてどのように認識をしているか、所見を伺います。
 東京都も、平成二十一年三月に、東京における自殺総合対策の基本的な取り組み方針を策定し、施策を進めていますが、国の大綱の見直しを受け、今後、国の施策との整合性を図りながら、自殺総合対策を推進していくことをぜひ強く求めておきます。
 続きましては、専決処分された地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申立てに関する報告及び承認について伺います。
 本件は、ことし二月、専決処分にて、冷凍倉庫に関して固定資産税等の過徴収を行ったことに対し、国家賠償法に基づき損害賠償を求められ、第一審での都敗訴を受け控訴した事案が、第二審でも一部を除き敗訴したにもかかわらず、再び専決処分により上告受理の申し立てを行ったものです。
 この控訴に係る専決処分に際し、都は、本件訴訟におきましては、固定資産評価の基本に係る重要な問題が含まれておりますが、必ずしも十分な審議が尽くされたとはいいがたくとしておりました。
 しかし、今回の控訴審においては、たった二回の口頭弁論で結審をしております。第一審にて十分な審理が行われていなかったと主張する都としては、証拠の提出を含めて、控訴審において十分な審理が行われるよう、代理人をして裁判に当たらせるべきであったと考えますが、都はどのような指示をし、訴訟に臨んだのか、第二審敗訴を受けても、なお十分な審理がなされていないと主張するのか、和解の模索はしなかったのか、そこを伺います。
 また、都は殊さら税務行政への影響を主張し、遡及に関して地方税法による五年にこだわり、さらに課税根拠資料の保管にも消極的な主張をしています。しかし、そもそも賦課税である固定資産税の賦課徴収に当たって、都は細心の注意をし、課税の公平性、公正性を担保しなければならないのです。今回の冷凍倉庫のような複数用途家屋だけでなく、複合構造家屋においても、課税の公平性、公正性を失するような事例は枚挙にいとまがなく、過徴収した税金のみならず、還付加算金をつけて納税者に還付している事例も、一件や二件ではございません。今回の控訴審判決においても、遅延損害金と弁護士費用だけでも七千万円を超える敗訴金額であり、一般納税者の貴重な税金を都の職員の過失によって浪費することになります。上告が不受理となったとき、七千万円を超える損失はだれが負担するのでしょうか。
 当然、過失が認定されるわけですから、それにかかわった担当者及び監督者が責任を負うべきではないでしょうか。賦課税である固定資産税の評価、課税に携わる者は、それぐらいの責任を持って賦課し、間違いがあったときには速やかに対応しなければなりません。
 石原知事は、その覚悟と決意を持った上で上告の判断をしたのか伺います。
 最後に、賦課税である固定資産税の評価課税に当たって、納税者の理解を得、公平で公正な取り扱いをするため、評価の間違えが起こらないような基準や制度を構築する必要があります。
 また、主税局の職員は、自分たちに間違いはないという意識を改め、評価課税の間違えを漫然と放置することがないようなシステムを構築し対応することが必要と考えますが、見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 斉藤あつし議員の代表質問にお答えいたします。
 パラリンピックの開催の意義についてでありますが、先般開催されたロンドン・パラリンピックの開会式では、筋ジストロフィーという不治の病に冒されているイギリスの天才的な天文学者、ブラックホールの発見者でありますけど、ホーキング博士が車いすで登場して、パラリンピックは我々の認識を変革する、私たちはみんなそれぞれ違っているが、同じ精神を共有していると、パラリンピックにふさわしいメッセージを発したようであります。
 選手が障害を物ともせずに真剣勝負を繰り広げる姿に、人間の可能性の大きさを再認識して、勇気づけられる思いであります。
 一九六四年のパラリンピック東京大会は、我が国の障害者スポーツの歴史を切り開き、その後における障害者に配慮したまちづくりや障害者の社会参加に大きく寄与いたしました。
 国は、オリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省と所管が違っていまして、いまだにこの縦割りの弊害が続いております。
 それに対して、都は、二年前にスポーツ振興局を設置して、健常者と障害者のスポーツを一元的に推進する体制を整えてきました。来年九月には、我が国で初めて国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催をすることになっております。
 障害者スポーツへの理解をますます高めて、東京のバリアフリー化をさらに進展させるなど、人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を大きく加速させていきたいと思っております。
 東京ならではのパラリンピック開催を目指して、これから正念場を迎える招致レースを是が非でも勝ち抜いていきたいと思っております。
 次いで、犯罪被害者支援の取り組みについてでありますが、犯罪被害者やその遺族が犯罪によって生命、身体を直接的に脅かされるだけではなく、その後も身体的、精神的あるいは経済的に過酷な状況に置かれることは、まことに理不尽であります。
 過酷な状況に直面した犯罪被害者の切実な思いにこたえるには、確かに届く具体的な支援を迅速に行うことが何よりも重要であると思います。
 都は、既に被害者や関係団体の声を受けて、支援の基本的な考え方を示した総合的な計画を二度にわたり策定し、犯罪被害者支援の取り組みを積極的に進めております。
 しかし、国民の命を守り、犯罪被害者の方に全国あまねく必要な経済的支援を行うことは、これはまさしく国の責務であります。
 遅まきながら、国も経済的支援の拡充など各種制度の検討に着手し、来年度には結論を出す予定と聞いております。都は引き続き、都がやるべき施策をしっかりとやってまいります。
 民主党の提案の条例には、生活資金の給付や民間賃貸住宅の家賃補助など、経済的支援が羅列されておりますが、中身の精査も十分でない上に、対象者も限定されていないことから、このような条例は必要ないと思います。
 なお、その他の質問については、教育長及び東京都技監、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、市町村立小中学校普通教室の冷房化についてでありますが、都教育委員会は、良好な教育環境の確保のため、冷房化緊急支援特別事業を平成二十二年度から二十四年度まで、三カ年の時限事業として実施をしております。この間、市町村教育委員会と緊密な連携を図るとともに、平成二十三年度には、東日本大震災の影響により国の補助が減少する中で、都独自に補助を実施するなど、平成二十四年度中の完了を目指して冷房化を進めてまいりました。
 現在、各市町村教育委員会は最大限の努力をしている最中であり、都としてもその取り組みを支援しておりますが、市町村によって進捗状況に差があることから、整備状況等の調査を既に進めているところです。
 次に、いじめの緊急調査についてでありますが、都教育委員会は本年七月、学校がいじめと認知したものに加え、いじめの疑いがある事例までも含めて把握する独自の緊急調査を実施しました。各学校では、児童生徒に対してアンケートや面談を実施するなど、調査の内容や方法を工夫していじめの実態把握に努めるとともに、把握したいじめに関する情報を教員相互で確認し、共有化するよう図っております。こうした取り組みが教員一人一人の意識を高めることにつながると考えております。
 全教員が、どの学校でも、どの学級でもいじめは起こるという危機意識を常に持ち、児童生徒のわずかな変化も見逃さないよう、いじめの早期発見、早期対応を徹底してまいります。
 次に、いじめ対策と教員の評価についてでありますが、今回の緊急調査では、いじめの疑いがあるものも含め、一万件を超える件数が報告をされました。このことは、学校が真摯に実態把握に努めた結果であります。
 いじめはどの学校でも起こり得ます。都教育委員会が実施している業績評価制度は、いじめなど課題の発生の有無で校長や教員を評価するものではなく、課題の解決に向けた取り組みを評価する制度であります。
 具体的には、事案の状況把握、他の教員や家庭との連携、児童生徒への指導など、多角的な着眼点から、課題解決の過程と成果を総合的に評価をするものです。
 都教育委員会は、こうした制度の趣旨を徹底し、各学校が家庭や地域、関係機関と一体となって、いじめの早期把握と解決に全力で取り組めるよう支援していきます。
 次に、いじめ問題対策としての学校と家庭、地域の連携についてでありますが、いじめの態様は多様化していることから、問題を学校だけで抱えることなく、家庭、地域と連携して対応することが重要であります。
 都教育委員会は、これまで学校サポートチームを全公立小中学校へ設置するよう推進するとともに、家庭と子どもの支援員が教員と一緒に家庭訪問などを行い、児童生徒やその保護者からの相談にこたえる制度を、今年度、小中学校合わせて百六十八校で実施し、いじめを初めとする問題行動等の解決に取り組んでおります。
 今後とも、家庭や地域から得られる情報を大切にし、地域の人材の活用を進めていきます。
 最後に、道徳教育の推進についてでありますが、いじめなど児童生徒の問題行動を未然に防止するためには、道徳教育などすべての教育活動を通じて豊かな人間性をはぐくむことが重要であります。そのため、都教育委員会は、道徳教育教材集「心みつめて」などを作成配布して、児童生徒に正義感や思いやりの心を育てる教育の充実を図るとともに、奉仕活動や職場体験などを通して、よりよい人間関係を構築する能力や態度等の育成を図る教育を推進しております。
 また、教員を対象に、社会に貢献することの意義や価値を実感できる参加体験型研修を実施し、指導力を高めることにより、豊かな人間性をはぐくむ教育を進めていきます。
 こうした方策により、区市町村教育委員会と連携し、道徳教育の推進を図ってまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、堤防などに係る地震津波対策についてでございますが、低地帯や沿岸部に暮らす人々の生命と財産を大地震による水害から守るには、河川や海岸の堤防、水門、下水道のポンプ所などについて、耐震性や耐水性の向上を図ることが重要でございます。
 都は、想定される最大級の地震に対する耐震性の調査を進めており、河川堤防では、一部が損傷して満潮時に津波が重なった場合に、調査地点の約三割で浸水する可能性があることから、技術検証委員会からの提言なども踏まえ、八月に対策の基本方針を取りまとめました。
 この方針では、最大級の地震が発生した場合でも、津波などによる浸水を防止することとし、堤防等の構造物の耐震性強化などを示すとともに、堤防背後の地盤の高さなど、優先度を考慮して整備を実施していくことといたしました。
 今後は、新たな整備計画を年内に策定し、対策を積極的に進めてまいります。
 次に、自転車走行空間の整備などについてでございますが、自転車は、都市内の有効な交通手段の一つであり、歩行者、自転車、自動車、それぞれの安全・安心を確保しながら、自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
 その整備に際しては、現行の道路構造令に基づき、自転車道や停車帯を活用した自転車レーンを整備することが可能であることから、これまでに渋谷区内の旧玉川水道道路などで自転車レーンを整備してまいりました。
 また、例えば東八道路では、沿線四市とともに協議会を設け、都道と市道が連続した自転車走行空間の整備を行うとともに、わかりやすい案内標識や路面表示の統一などにより、利用しやすい走行空間を整えるなど、整備に当たりましては、都と区市町村が連携して取り組んできております。
 今後とも、自転車走行空間の整備を積極的に推進し、だれもが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問にお答えをいたします。
 オリンピック・パラリンピック招致機運の盛り上げについてでございます。
 より幅広い支持を得ていくためには、多くの都民、国民に知ってもらうことのできる日常的な広報媒体を活用していくことが有効でございます。
 具体的には、「広報東京都」など既存の広報媒体を活用するとともに、電車内映像広告や街頭での大型ビジョンを活用した招致PRを今後も実施してまいります。
 また、現在、日本民営鉄道協会などの協力により、各駅に招致PRのためのポスターを掲載しておりますが、今後、JR各社の協力のもと、JR各駅にもポスターの掲示を拡大してまいります。
 このように、さまざまな広報媒体を活用し、東京招致に向けた機運醸成を図ってまいります。
 次に、投資効果等を踏まえた今後の国内向け招致PRの展開についてでございます。
 オリンピック・パラリンピック大会の運営経費は、仮設施設建設費用も含め、原則として民間資金で賄うこととしております。また、大会開催に当たっては、既存施設を最大限有効に活用する一方、新たに整備する施設については、大会終了後も多くの都民が利用するスポーツの拠点となるとともに、災害時での活用など、東京の貴重なレガシーとなります。また、施設整備を含めた大会開催に伴う経済波及効果は、日本全体で約三兆円と試算してございます。
 今後は、このような効果等についてさまざまな機会をとらえ、関係機関と連携し、広く都民に訴えることで、支持率の向上を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都の減災戦略の実現に向けた取り組みについてでございますが、大震災の被害を軽減するとともに、都市を早期に再生するためには、自助、共助、公助を担う主体が危機意識を共有し、継続的に取り組みを進める必要がございます。
 このため、都は四月に新たな被害想定を公表し、東京の実情に即して、首都直下地震等のリスクを明らかにするとともに、今回の地域防災計画修正素案において、今後十年以内に達成すべき目標として、死者を約六千人減少するなどの具体的な数値目標をお示しいたしました。
 今後は、地域防災計画の内容を具現化するため、道路ネットワーク整備等の公助の取り組みはもとより、防災隣組の認定団体の拡大や帰宅困難者対策にかかわる実施計画の策定など、都民や事業者の自助、共助の取り組みを推進する手だても着実に講じ、東京の防災力を向上させてまいります。
 次いで、新たな多摩のビジョンについてでございますが、今回策定するビジョンは、二〇一五年をピークとした人口減少社会の到来、多摩地域の発展を支えてきた大規模工場の相次ぐ撤退など、地域を取り巻く環境が厳しさを増す中、多摩地域全体の強み、ポテンシャルをとらえ直し、今後の方向性を示していくものでございます。
 また、今回のビジョンは、多摩振興に係る行政の指針にとどまらず、民間企業やNPOなど地域で活動を展開するさまざまな主体における今後の活動指針となることも目指しており、市町村と十分に連携を図るとともに、民間企業等からもヒアリングを行い、今年度中に策定する予定でございます。
 次いで、指定管理者制度における労働環境の確保についてでございますが、都はこれまでも、各都立施設の設置条例において、労働関係法令等の遵守を義務づけるとともに、指定管理者の選定や管理運営状況の評価を通じて、労働環境の維持確保に取り組んでまいりました。
 また、指定管理者の選定評価を行うに当たっては、外部の専門家を含む委員会を設置し、客観的かつ専門的な観点から、労働環境を含めた事業計画の審査や履行状況の確認を行っております。
 引き続き、専門家の知見を活用しつつ、指定管理者制度における適正な労働環境の確保に必要な取り組みを行ってまいります。
 最後に、被害者目線の施策の充実についてでございますが、犯罪被害者の状況はさまざまであることから、その支援に当たりましては、何よりも被害者の声を聞き、ニーズに合ったきめ細やかな取り組みを行うことが大切であります。
 都は現在、犯罪被害者を取り巻く実態やその率直な声を把握し作成いたしました第二期の計画に基づき、各種支援策を進めております。
 具体的には、被害者支援都民センターと協働して総合相談窓口を設置し、他の自治体に先駆け、精神科医や臨床心理士による最新の療法を用いたカウンセリングを実施しているほか、一時居所の提供など、きめ細やかな支援策を行っております。
 また、都の働きかけにより、この四月にすべての区市町村に相談窓口が設置されたことを踏まえ、被害者が身近な地域で十分なサービスが受けられるよう、職員の研修体制の充実など、都と区市町村との連携協力を強化しております。
 さらに、町会、PTA、医療機関、不動産事業者などで構成する犯罪被害者等支援を進める会議を活用するなど、関係団体との連携を深め、地域社会で被害者を支援する仕組みづくりに努めております。
 今後とも、被害者のニーズ、取り巻く状況の変化等に対応し、被害者目線に立った施策の充実を図ってまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度についてでございますが、先行実施地区においては、都と区が連携して整備プログラムを策定することとしており、先例を示すことによる不燃化の促進と、より有効に機能する制度の構築を目的としております。
 現在、各区からのさまざまな提案も踏まえまして、地区ごとにその作成作業を始めたところでございます。この作業を通じて、地域の実情に合った特別な支援策など、不燃化特区の制度を構築し、木密地域の不燃化を強力に推進してまいります。
 次に、木造住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど、震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象として重点的に施策を展開しております。
 このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、区と連携し、耐震診断や改修に対する公的助成を行っております。
 都としては、引き続き道路閉塞や延焼による被害の危険性の高い整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 次に、耐震診断義務化後の状況と今後の取り組みについてでございますが、本年四月からの耐震診断の義務化に伴い、引き続き個別訪問など、きめ細かい対応を実施してきた結果、診断助成については、八月末までに昨年度の実績の十倍を超える約千百件の申請がございました。また、補強設計や改修、建てかえの助成についても、昨年度の実績を大幅に上回っております。
 今後とも、市区町村や関係団体とも連携し、所有者への働きかけや診断技術者、耐震改修工法の紹介など、耐震化に向けた情報提供を積極的に行うことにより、所有者の主体的な取り組みを促してまいります。
 次に、特定沿道建築物耐震化に向けた市区町村との連携についてでございますが、耐震化を円滑に進めるためには、地域に密着した市区町村との連携が不可欠でございます。
 このため、条例施行後に実施した個別訪問や説明会では、都の職員に加えて、市区町村の職員も一緒に参加するなど、既に連携した取り組みを進めてきております。
 また、助成制度については、市区町村が窓口になっておりますが、都と市区町村とによる連絡会議等を定期的に開催しており、こうした場を通じて必要な情報提供や助言を行うことにより、円滑な予算の執行と助成制度の運用に努めております。
 今後とも、都としては市区町村との緊密な連携を図り、特定沿道建築物の耐震化を推進してまいります。
 次に、マンション啓発隊についてでございますが、マンションの耐震性の確保に向けては、まず、所有者みずからが建物の耐震性能を把握することが不可欠でございます。
 このため、今年度新たにマンション啓発隊を組織し、八月から先行実施したところでございます。これまで、おおむね百棟のマンションを訪問し、管理組合から、合意形成の難しさや耐震診断、耐震改修の具体的な進め方に関する相談、支援制度についての質問などが寄せられております。
 今後、今回の経験を踏まえ、必要な資料の提供や耐震診断等の進め方の丁寧な説明など、マンションの取り組み状況に合わせ、工夫を凝らしながら、旧耐震基準の全分譲マンションを対象に、普及啓発活動を展開してまいります。
 次に、多摩地域の鉄軌道ネットワークの充実に向けた取り組みについてでございますが、多摩地域の振興を図る上で、拠点相互を結ぶ鉄軌道ネットワークを強化することが重要でございます。
 このため、都は、国や鉄道事業者等と連携し、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の実現に向け、取り組んでおります。
 この答申の中で、平成二十七年までに整備着手することが適当とされた中央線の複々線化や多摩都市モノレールなどの路線については、事業主体や採算性などの課題がございます。
 都としては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、これらの路線の整備について、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討してまいります。
 次に、連続立体交差化の取り組みについてでございますが、都は、踏切対策基本方針において、北多摩北部では、鉄道立体化の検討対象区間として五区間を選定しております。
 このうち、西武新宿線では、東村山駅付近について、十月にも都市計画決定を行う予定であり、井荻駅から東伏見駅付近については、事業候補区間として、事業化の可能性について調査検討を行っております。
 また、田無駅から花小金井駅付近並びに西武池袋線の大泉学園駅から保谷駅付近及びひばりヶ丘駅から東久留米駅付近の三区間につきましては、道路整備計画やまちづくりの取り組み状況などを踏まえ、対応してまいります。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら、鉄道立体化の推進に向けて取り組んでまいります。
 最後に、外環の東名高速から湾岸道路への取り組みについてでございますが、交通、物流ネットワーク機能を最大限発揮するためには、外環を湾岸道路までつなぐことが重要でございます。
 このため、都は計画の早期具体化に向けて、国や都による検討の場の設置などを国に働きかけてまいりました。
 今回、関越道から東名高速までの区間の本格的な工事着手を迎え、国から検討の場の設置が表明されました。これを契機に、検討の場を早期に立ち上げ、必要な調査を実施するよう、都として国に強く求めてまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 特別区消防団と地域住民との連携についてでありますが、震災時の被害を軽減するためには、消防団と地域住民が一体となり、初期消火や救出救護等が迅速に行われることが重要であります。このことから、消防団はこれまでも地域住民に対し、初期消火等の訓練指導などを通じて、地域の防災リーダーとしての役割を担ってまいりました。
 当庁では、消防団の活動に必要な可搬ポンプ、簡易救助資器材等を計画的に整備してきており、これらの資器材を有効に活用した実践的な訓練を指導するなど、消防団と住民とのより一層の連携を図り、地域の自助、共助体制の強化に努めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の産業振興策についてでございますが、多摩地域の中小企業がさまざまな機関と連携して研究開発や技術開発に取り組み、すぐれた製品を生み出すことは重要でございます。
 これまで都は、多摩地域で都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業により、産学公金のネットワークをつくり、製品開発の取り組みなどを支援してまいりました。開発の取り組みからは、介護施設における見守りシステムなど、製品化した事例もございまして、今年度は市場に出すためのサポートを行う体制の充実を図ったところでございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、多摩地域の産業振興を進めてまいります。
 次に、小規模企業への支援についてでございます。
 小規模企業が自社の強みを十分に発揮し、企業の発展につなげていくための支援は重要であり、都はこれまで、段階に応じたきめ細かなサポートを行っています。
 事業立ち上げ時には、企業の負担を軽減するため、低廉な家賃で事業スペースを提供するインキュベーション施設を設置、運営しております。また、企業が事業活動のさまざまな過程で直面する課題に対しまして、中小企業振興公社において、専門家が助言を行う体制を整備しています。
 さらに、新製品や新技術の開発により一層の発展を目指す企業のために、助成事業を実施しております。
 こうした取り組みを着実に実施し、小規模企業の成長を促進してまいります。
 次に、成長産業の振興に向けた金融支援についてでございますが、東京の産業力強化のためには、今後成長が期待されます産業を重点的に育成していく必要があることから、都はこれまでも、こうした産業分野において、事業を展開する中小企業への金融支援策を講じてまいりました。
 制度融資では、環境等の重点産業分野において、技術や製品の開発に取り組む企業に対し、産業力強化融資による支援を行っています。
 また、今年度は、成長分野の創業間もない企業を支援するため、新たにベンチャーファンドを立ち上げます。
 今後とも、重点産業分野に取り組む中小企業への金融支援を着実に実施してまいります。
 最後に、中小企業の人材確保と定着支援についてでございますが、中小企業の安定的な人材の確保とその定着を図るため、各企業の魅力をわかりやすく発信し、学生に正しく理解してもらうことが重要です。
 これまで都は、すぐれた技術を持つ中小企業をホームページ等で紹介するとともに、学生を対象に、中小企業のものづくり現場を訪問するツアーを実施するなど、中小企業で働く魅力を発信してまいりました。
 また、人材育成の専門家を中小企業振興公社に配置し、採用計画の策定や定着、育成に関する相談対応を行う等、企業ニーズに応じたサポートを行っております。
 引き続き、中小企業の魅力発信ときめ細かな支援策により、中小企業の人材の確保と定着を支援してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 公共事業における労働環境確保についてでありますが、都はこれまでも、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図ってまいりました。
 今般の建設業法施行規則の改正により、七月から都のすべての工事で入札参加資格の審査項目としている経営事項審査について、社会保険未加入企業への減点措置が厳格化されました。
 また、十月からは、低入札価格調査において、これまでの労務単価等の調査に加え、社会保険への加入状況など下請の法令遵守について、元請が確認指導を行うよう調査項目等を追加することとしております。
 さらに、工事施工中は、施工体制台帳等による確認指導を行うことや工事完了後に実績報告書を提出することなどを元請に義務づけ、下請への確認指導が確実に行われる仕組みをとることとしております。
 今後とも、関連部署と連携し、下請や労働者にしわ寄せが生じることのないよう、引き続き公共調達制度の適切な運用に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場用地における土壌汚染対策についてでありますが、都はこれまで、新市場用地において四千百二十二地点での詳細調査、一千四百七十五地点での深さ方向の調査などを実施し、ガス工場操業に由来する汚染状況を把握してきました。
 こうした中で、不透水層直上の汚染を確認している箇所については、汚染を拡散させることがないよう、工事に際して調査を行うこととしていました。
 今回、土壌汚染対策工事を進めるに当たり、底面管理調査や帯水層底面調査などを実施し、不透水層内のベンゼンやシアン化合物を含め、操業由来の汚染箇所を確認し、対策すべき範囲を確定いたしました。
 確定した範囲の汚染は、確実に掘削除去していきます。
 今後も、工事の進捗に合わせて引き続き調査を行い、対策範囲を確定し、操業に由来する汚染を確実に掘削除去し、無害化することで、市場用地の安全・安心に万全を期していきます。
 加えて、これらの調査結果や工事の状況については、ホームページ等を通して都民や市場関係者へ周知し、安心と信頼を得てまいります。
 次に、築地地区のまちづくりに関する中央区との検討状況についてですが、都と中央区はことし四月に都区検討会を立ち上げ、築地市場移転後も築地が食文化の拠点として活気とにぎわいを継承していくための検討を重ねております。
 お話の区の施設については、場外の区有地を活用して、食のまち築地のにぎわいの拠点となる店舗施設を整備するとしており、施設のコンセプトや内容については、区が計画を進めています。
 施設は、敷地面積が約四千平方メートル、一区画が約二十平方メートルで、約百店舗分の区画を用意し、築地市場移転のおおむね半年前までに施設を完成させ、移転に先駆け開業を目指し、食のプロに支持され、一般客や観光客にも親しまれる施設として整備すると聞いております。
 都としても、築地地区のにぎわいの実態等について、今年度調査を実施しており、今後とも区と連携し、築地のにぎわいと伝統文化の継承に積極的に協力してまいります。
 最後に、築地市場の事業者に対する移転支援策の進捗状況についてですが、長引く景気の低迷や市場経由率の低下による取扱数量の減少などから、市場業者を取り巻く経営環境は厳しい状況にある中、本年一月に業界の要望を踏まえた移転支援策の項目を策定し、公表しました。
 その中で、移転時のみならず、移転前及び移転後の経営基盤の安定化と強化を図るなど、手厚い支援を行うこととしております。
 移転前の具体的な支援策として、本年七月から、例えば、業界団体が物流システムの導入や衛生管理体制の構築等、委託調査を行う場合に補助する事業を実施しています。
 また、十月からは、仲卸業者や関連事業者が制度融資などの経営安定化資金を利用した場合、借りかえも含め、その利子のおよそ半分を補助する事業を開始いたします。
 今後とも、個別の市場業者が抱えるさまざまな意見や要望に対し、真摯に耳を傾け、業界団体ともよく話し合いながら、具体的な支援策を検討してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車に関する条例制定の検討についてでありますが、自転車対策懇談会の提言では、都民の自転車利用に対する意識を高め、安全かつ適正な利用を促すためには、条例の制定が有効であるとされております。
 自転車による交通事故の多発、後を絶たない放置自転車の現状等から、都といたしましても、行政、事業者、自転車利用者等の関係者の責務を明らかにするとともに、安全教育の推進、点検整備の促進など、関係者それぞれの具体的な取り組みを示す条例を制定し、自転車の安全で適正な利用を促進していくことが重要と考えておりますが、自転車は都民生活に密着した身近な乗り物であることから、関係者や都民の幅広い意見を踏まえ、まず、自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案できるよう取り組んでまいります。
 次に、ナンバープレート制度の導入についてでありますが、自転車対策懇談会の提言では、登録番号を外部から見えやすく表示するナンバープレート制度について、導入に向けて積極的に検討すべきとされております。
 自転車の安全な利用のためには、利用者自身が車両の運転者であるとの自覚と責任感を持ってもらう必要があり、ナンバープレート制度は、ルールの遵守やマナーの向上に有効な方策であると認識しております。
 しかしながら、制度の導入に当たりましては、防犯登録との関係の整理や、効果的かつ効率的な制度の設計など、さまざまな課題がございます。
 都といたしましては、提言を踏まえ、ナンバープレート制度の導入の是非やその制度のあり方について、関係者の意見を踏まえ、検討してまいります。
 最後に、損害賠償保険の加入促進についてでありますが、都内では、自転車と歩行者との交通事故が、警察に届けられているものだけでも年間一千件以上発生しており、過去の事例では、加害者である自転車利用者に五千万円を超えるような高額の損害賠償を命じる判決が出された事例もございます。
 被害者、加害者双方の経済的な負担を軽減するためには、事故が起こった際の備えとして、損害賠償保険の普及が必要であると認識しております。
 都といたしましては、自転車の損害賠償保険が普及するよう、関係者とも連携し、自転車利用者に保険加入を促す広報活動を引き続き実施するとともに、保険加入の促進に向けた条例上の規定の必要性について検討してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点の質問にお答えいたします。
 保健医療計画の改定についてですが、都はこれまで、計画に基づき、がん診療連携拠点病院の整備や救急医療の東京ルールの推進など、四疾病、五事業を中心に医療提供体制の整備を進めるとともに、高齢者が地域の中で生活を継続できる地域ケア体制の構築や障害者の地域生活基盤の整備など、保健、医療、福祉が連携した施策を推進してまいりました。
 今回の改定では、高齢化の急速な進展など社会状況の変化や都の特性を踏まえ、医療と介護の連携による在宅療養の推進や、精神疾患医療の充実、災害医療体制の強化等を重点的に取り組む課題として位置づけております。
 現在、保健医療計画推進協議会等において具体的な検討を進めており、今年度中に計画を改定いたします。
 次に、若年層の精神疾患への支援についてですが、都は精神保健福祉センターや保健所において、若年層やその家族を対象に、専門職による思春期、青年期相談を行うほか、区市町村や民間事業者等と共同した事例検討会を実施するなど、医療と福祉が連携した支援を行っております。
 また、今年度から、区市町村や保健所などからの依頼により、地域生活に困難を来している精神障害者を、グループホームを運営する民間事業者が短期的に受け入れる、医療と福祉が連携したモデルを実施いたします。
 今後も、こうした取り組みを進め、若年層の精神障害者を支援してまいります。
 次に、麻疹対策についてですが、都は、麻しんに関する特定感染症予防指針に基づき、平成二十年度に感染症の専門家や医療、教育、行政の各分野の委員で構成される麻しん対策会議を設置し、区市町村における予防接種の進捗状況の評価や、対象者への効果的な勧奨方法について協議するなど、接種率の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。
 また、発生動向の把握や解析を健康安全研究センターで実施するとともに、学校医や養護教諭等を対象とした研修会を開催し、情報提供や啓発を行っております。
 現在、国は予防指針の改定を検討しており、都としてはこうした動向も踏まえながら、今後とも関係機関と連携し、麻疹対策に取り組んでまいります。
 最後に、自殺対策の現状と課題についての認識ですが、都は平成十九年に自殺総合対策東京会議を設置し、普及啓発、教育、早期発見、早期対応、遺族支援を柱に、ゲートキーパーの養成や自殺相談ダイヤルの運営、区市町村や民間団体の活動支援などに取り組んでまいりました。
 その結果、五年間で約三万八千人が都や区市町村のゲートキーパー養成研修を受講したほか、就労や生活支援など、さまざまな分野の関係機関によるネットワークの構築なども進んでいるところですが、都内の自殺者数は、平成十年以降横ばいであり、全国と比較して若年層の自殺者の割合も高いなど、今後も自殺対策への取り組みが必要であると認識しております。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 固定資産税に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、控訴審における都の対応についてでございますが、主税局はこれまでも都民の信頼にこたえるべく、適正かつ公平な課税に努めてきており、職員は、税務職員としての責任感と自覚を持って、日々職務に取り組んでおります。また、納税者対応につきましても万全の注意を払っており、評価の内容に疑問を持たれた場合には速やかに対応しております。
 こうしたことを踏まえ、都といたしましては、控訴審では、職員に職務上の注意義務違反がなかったことについて十分な審理がなされるよう、代理人をして新たな書証や陳述書を提出し、より丁寧な主張を行ってまいりました。しかし、控訴審におきましても、残念ながら十分な審理がなされず、都の主張は認められなかったところでございます。
 これまでの審理におきましては、法解釈に重大な誤りがあることに加えまして、本年七月末に出された同種の訴訟事件に係る最高裁判断において、複数用途家屋の取り扱いについては、評価基準に明示されていない以上、各課税団体の裁量による合理的な解釈、運用が許容され、適法、違法の問題は生じないという自治体側の主張が認められており、今回の判決の内容はそれに違背しますことから、上告受理の申し立てを行ったものでございます。
 次に、固定資産税の評価、課税事務に従事する職員の責任についてでございます。
 ご指摘のとおり、固定資産税の評価、課税に携わる者は、責任を持って賦課し、間違いには速やかに対応しなければならないと考えております。
 今回の訴訟におきましては、冷凍倉庫に係る国の定める評価基準が、当時の制度上、必ずしも明確でない中で、職員は最大限職務上の注意義務を払い、適正な評価に努めてきたものでございまして、国家賠償法上の違法はないものと考えております。
 このように、控訴審判決には重大な法解釈の誤りがあることや、直近の最高裁判断を踏まえ、上告受理の申し立てを行ったものでございます。
 最後に、固定資産税の評価、課税に係る基準や制度についてでございますが、固定資産税は都税収入の約三割を占める極めて重要な税であり、職員は強い使命感を持ち、適正公平な評価、課税に全力を挙げるとともに、納税者の理解を得るよう、親切丁寧な対応に努めてきております。
 また、評価の精度を高めるべく、精緻なマニュアルや事務提要等を作成するとともに、職員の専門性を高めるため、長期専門科研修を実施するなど人材育成にも努めております。さらに、ペア制による調査や複数職員によるダブルチェック体制を組むなど、評価、課税には正確を期しているところでございます。
 今後は、さらに職員の意識向上を図るとともに、固定資産税に係る納税通知書を初め帳票類等の表記につきましても、より一層わかりやすいものとなるよう研究してまいります。
 一方、固定資産税に係る国の制度や仕組みは複雑でわかりにくく、また必ずしも明確でない部分もありますため、都はこれまでも国に対して、簡素でわかりやすい制度の実現を繰り返し提案要求してまいりました。
 今後とも、よりよい固定資産税制を目指し、都議会のご協力を得て、一層強力に国に働きかけてまいります。

〇議長(中村明彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

ページ先頭に戻る