平成二十四年東京都議会会議録第十一号

平成二十四年九月十九日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番小宮あんり君
四番吉住 健一君
六番福士 敬子君
七番土屋たかゆき君
八番野上ゆきえ君
九番佐藤 広典君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番松葉多美子君
二十番桜井 浩之君
二十一番山崎 一輝君
二十二番鈴木 章浩君
二十三番菅  東一君
二十四番田中たけし君
二十五番くりした善行君
二十六番山内れい子君
二十七番小山くにひこ君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番伊藤こういち君
三十七番大松あきら君
三十八番中山 信行君
三十九番高倉 良生君
四十番鈴木 隆道君
四十一番宇田川聡史君
四十二番高橋 信博君
四十三番中屋 文孝君
四十四番鈴木あきまさ君
四十五番矢島 千秋君
四十六番高橋かずみ君
四十七番柳ヶ瀬裕文君
四十八番星 ひろ子君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番上野 和彦君
六十番吉倉 正美君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山加 朱美君
六十五番吉原  修君
六十六番三宅 正彦君
六十七番早坂 義弘君
六十八番相川  博君
六十九番林田  武君
七十番服部ゆくお君
七十一番野田かずさ君
七十二番西崎 光子君
七十三番伊藤 ゆう君
七十四番原田  大君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番西岡真一郎君
八十番吉田康一郎君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番きたしろ勝彦君
九十番高木 けい君
九十一番神林  茂君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番泉谷つよし君
九十六番くまき美奈子君
九十七番大西さとる君
九十八番今村 るか君
九十九番増子 博樹君
百番いのつめまさみ君
百一番小沢 昌也君
百二番石毛しげる君
百三番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番三宅 茂樹君
百十一番山田 忠昭君
百十二番村上 英子君
百十三番野島 善司君
百十四番川井しげお君
百十五番吉野 利明君
百十六番宮崎  章君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番斉藤あつし君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番和田 宗春君
百二十六番馬場 裕子君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 一名
 八十一番 たぞえ民夫君
 欠員
    五番 十番 百四番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事安藤 立美君
副知事猪瀬 直樹君
副知事秋山 俊行君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長前田 信弘君
総務局長笠井 謙一君
財務局長中井 敬三君
主税局長新田 洋平君
警視総監樋口 建史君
生活文化局長小林  清君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長中西  充君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長中村  靖君
消防総監北村 吉男君
水道局長増子  敦君
下水道局長小川 健一君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長塚田 祐次君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長醍醐 勇司君

九月十九日議事日程第一号
第一 第百五十八号議案
  特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第二 第百五十九号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第三 第百六十号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第四 第百六十一号議案
  東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第五 第百六十二号議案
  東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例
第六 第百六十三号議案
  東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例
第七 第百六十四号議案
  東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第八 第百六十五号議案
  東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例
第九 第百六十六号議案
  介護保険法施行条例
第十 第百六十七号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十八号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十九号議案
  東京都工場立地法地域準則条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十一号議案
  東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十二号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十三号議案
  警視庁大塚警察署庁舎(二十四)改築工事請負契約
第十七 第百七十四号議案
  都立練馬工業高等学校(二十四)改築工事請負契約
第十八 第百七十五号議案
  都立江戸川地区特別支援学校(仮称)(二十四)増築工事請負契約
第十九 第百七十六号議案
  都立第三商業高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
第二十 第百七十七号議案
  東京国際フォーラム(二十四)ガラス棟改修工事請負契約
第二十一 第百七十八号議案
  東京都監察医務院(二十四)本館改築その他工事請負契約
第二十二 第百七十九号議案
  東京消防庁武蔵野消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
第二十三 第百八十号議案
  妙正寺川鷺の宮調節池工事(その四)請負契約
第二十四 第百八十一号議案
  トンネル本体築造工事及び擁壁築造工事(二十四 四─放三十五)請負契約
第二十五 第百八十二号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第二十六 第百八十三号議案
  特種用途自動車(災害時医療支援車)の買入れについて
第二十七 第百八十四号議案
  磁気共鳴断層撮影装置(MRI)の買入れについて
第二十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申立てに関する報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二四財主議第二五九号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二四財主議第二六〇号)

   午後一時開会・開議

〇議長(中村明彦君) ただいまから平成二十四年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   八番   野上ゆきえさん 及び
   六十七番 早坂 義弘君
を指名いたします。

〇議長(中村明彦君) 次に、議会局の局部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 議会局長産形稔君、管理部長鈴木省五君、議事部長別宮浩志君。
   〔局部長あいさつ〕

〇議長(中村明彦君) 以上で紹介を終わります。

〇議長(中村明彦君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民山田五十鈴氏には、去る七月九日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに、生前のご功績をたたえるとともに故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

〇議長(中村明彦君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 平成二十四年九月十二日付東京都告示第千三百五十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十七件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申し立てに関する報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、平成二十四年第二回定例会の会議において同意を得た、副知事、教育委員会委員及び監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び監査委員外四行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会委員長より、平成二十四年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十三年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十四年各会計定例監査、平成二十三年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一二ページ)に掲載〕

〇議長(中村明彦君) 次に、先般、副知事及び教育長に就任されました方々をご紹介いたします。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) 先般の第二回定例会におきまして、選任の同意をいただき、副知事を拝命いたしました安藤立美でございます。都民が将来にわたって安心して暮らせる東京の実現に向け、災害に強い都市づくりや少子高齢社会への対応などに、知事のもと全力を尽くして取り組んでまいりたいと存じます。都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。

〇議長(中村明彦君) 副知事秋山俊行君。
   〔副知事秋山俊行君登壇〕

〇副知事(秋山俊行君) さきの定例会におきまして、選任の同意をいただき、副知事を拝命いたしました秋山俊行でございます。来年決定いたしますオリンピック・パラリンピックの東京招致や二〇二〇年の東京計画の実現など、都政の課題を解決すべく、石原知事のもと全力で取り組んでまいる所存でございます。都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

〇議長(中村明彦君) 教育長比留間英人君。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 平成二十四年第二回都議会定例会におきまして、教育委員の選任にご同意をいただき、七月十三日付で教育長を拝命いたしました比留間英人でございます。時代の変化に主体的に対応し、我が国の将来を担う人間を育成するため、東京の教育改革を積極的に進めてまいる所存でございます。都議会の皆様方のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

〇議長(中村明彦君) 以上をもって副知事及び教育長の紹介は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 知事本局長前田信弘君、財務局長中井敬三君、生活文化局長小林清君、福祉保健局長川澄俊文君、産業労働局長中西充君、港湾局長多羅尾光睦君、交通局長中村靖君、下水道局長小川健一君、病院経営本部長塚田祐次君、中央卸売市場長塚本直之君、人事委員会事務局長真田正義君、労働委員会事務局長岳野尚代さん、監査事務局長松井多美雄君、収用委員会事務局長醍醐勇司君。
   〔理事者あいさつ〕

〇議長(中村明彦君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。

   常任委員所属変更名簿
財政委員から文教委員へ     大塚たかあき君
文教委員から財政委員へ     くりした善行君
〔以上 平成二十四年八月三十日付〕
文教委員から厚生委員へ     今村 るか君
厚生委員から環境・建設委員へ  吉田康一郎君
環境・建設委員から文教委員へ  笹本ひさし君
〔以上 平成二十四年九月五日付〕
財政委員から厚生委員へ     くりした善行君
厚生委員から環境・建設委員へ  柳ヶ瀬裕文君
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕
文教委員から厚生委員へ     西沢けいた君
厚生委員から文教委員へ     斉藤あつし君
〔以上 平成二十四年九月十八日付〕

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の議会運営委員、防災対策特別委員並びにオリンピック・パラリンピック招致特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

〇辞任
 宮崎  章君(自民) 川井しげお君(自民)
 鈴木あきまさ君(自民)吉原  修君(自民)
 鈴木 隆道君(自民) 宇田川聡史君(自民)
〔以上 平成二十四年八月一日付〕
 山下 太郎君(民主) 小沢 昌也君(民主)
 西岡真一郎君(民主) 大西さとる君(民主)
 尾崎 大介君(民主)
〔以上 平成二十四年八月三日付〕
 清水ひで子君(共産)
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

〇選任
 野島 善司君(自民) 村上 英子君(自民)
 山田 忠昭君(自民) 神林  茂君(自民)
 きたしろ勝彦君(自民)中屋 文孝君(自民)
〔以上 平成二十四年八月一日付〕
 斉藤あつし君(民主) 今村 るか君(民主)
 原田  大君(民主) 神野 吉弘君(民主)
 笹本ひさし君(民主)
〔以上 平成二十四年八月三日付〕
 野田かずさ君(東維)
 〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

   防災対策特別委員辞任・選任名簿

〇辞任
 神野 吉弘君(民主) 三宅 茂樹君(自民)
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

〇選任
 鈴木 章浩君(自民) くりした善行君(東維)
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

   オリンピック・パラリンピック招致特別委員辞任・選任名簿

〇辞任
 中村ひろし君(民主)
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

〇選任
 柳ヶ瀬裕文君(東維)
〔以上 平成二十四年九月十二日付〕

〇議長(中村明彦君) 次に、オリンピック・パラリンピック招致特別委員長より、調査の経過について中間報告をいたしたい旨申し出がありましたので、これを許します。
 オリンピック・パラリンピック招致特別委員長山口拓君。
   〔七十六番山口拓君登壇〕

〇七十六番(山口拓君) オリンピック・パラリンピック招致特別委員会における調査、検討の経過について中間報告いたします。
 本委員会は、平成三十二年、二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会、第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に関する調査、審議及び必要な活動を行うことを目的として、平成二十三年十二月十五日に設置されて以来、委員会を七回開催いたしました。
 この間、申請ファイル、IOC(国際オリンピック委員会)理事会における正式立候補都市の承認など、理事者からの報告事項の聴取を行ってまいりました。
 八月二十八日から九月一日までの間には、オリンピック・パラリンピック競技大会に関する実地調査及びロンドン・パラリンピックの開催状況に係る調査を実施するため、英国のロンドン市を視察してまいりました。
 今回の視察は、オリンピック・パラリンピックが四年に一度開催されるため、実際に開催状況を調査するための非常に限られた機会であります。
 また、東京都が実施している招致活動の最前線の現場を調査する絶好の機会でもあります。
 今回の視察では、ロンドン・パラリンピック開会式や競技開催に係る運営や施設の状況の調査、JSC(日本スポーツ振興センター)のロンドン事務所長からの説明聴取と意見交換、JPC(日本パラリンピック委員会)及び都で設置したジャパンハウスや在英国日本大使館への訪問などを行いました。
 慌ただしい日程にもかかわらず、参加された理事、委員の皆様には、積極的に意見交換を行うなど、終始熱心に調査されたことに深く感謝を申し上げます。
 それでは、ロンドン市で調査いたしました主な事項につきましてご報告申し上げます。
 まず、開会式では、約八万人の観客の移動に伴う交通手段、規制の状況、安全な開催に向けたセキュリティー対策、大会後の利用法なども考慮した一部仮設方式の施設など、パラリンピックのメーン会場について調査いたしました。
 次に、オリンピックパーク内の競技の視察では、視覚障害者の競技であるゴールボールのほか、車いすバスケットボール、水泳について競技や施設の状況を調査いたしました。
 また、ふだんは展示場などとして使用されている施設であるエクセル内に設置された競技場の視察では、ウエートリフティング、柔道について競技や施設の状況を調査いたしました。
 どちらの会場とも、会場の周辺を含め、若者からお年寄りまで、幅広い層の市民の皆様方がボランティアとして、案内や誘導などの業務に生き生きと楽しそうに活躍する姿を目の当たりにしてまいりました。
 ロンドンの中心部では、車いすのマラソンコースについてスタート地点の準備状況を視察いたしました。
 また、オリンピックパークに隣接して設けられている選手村では、日本代表選手たちを支えるスタッフの皆様を激励するとともに、業務内容等について説明を聴取いたしました。
 JSC(日本スポーツ振興センター)のロンドン事務所では、ロンドン・オリンピック期間中に設置され、選手の活躍をさまざまな角度から支えたマルチサポートハウスについて、その設置経緯や機能、利用実績について説明を聴取するとともに、今後の課題等についても事務所長から説明を聴取し、活発な意見交換を実施いたしました。
 また、ジャパンハウスでは、その運営状況を視察するとともに、車いすバスケットボール用の車いすに試乗し、日本代表経験者などと競技について率直な意見交換を行いました。
 最後に、在英国日本大使館を訪問いたしました。
 まず、ロンドン到着後、大使館で開催されたパラリンピック日本代表選手の激励会に駆けつけ、選手の皆様やJPC(日本パラリンピック委員会)の会長を初めとする関係者の皆様を激励いたしました。
 また翌日には、大使から、二〇一二年ロンドン大会の立候補から招致決定、大会の開催に至るまでの取り組みやロンドン市と市民の皆様の状況について直接説明を受けるとともに、二〇二〇年大会の東京招致に向けて、意見交換も行いました。
 以上述べてまいりましたように、ロンドン・パラリンピックの開催、運営状況、オリンピック・パラリンピック招致から開催に至るまでの開催都市の取り組みや状況などについて幅広く調査してまいりました。
 本委員会といたしましては、これまでの報告事項の聴取を踏まえた上で、今回の視察の成果を今後の委員会審議に十分反映させてまいりたいと考えております。
 以上をもちまして、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会を代表しての委員長報告といたします。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもってオリンピック・パラリンピック招致特別委員長の中間報告は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月四日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

〇議長(中村明彦君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 平成二十四年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る七月九日、名誉都民である山田五十鈴さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 まず、先般の水道関連施設の工事に関する職員の不祥事について、都議会の皆様、都民の皆様に心からおわびを申し上げます。
 このような愚劣な行為が、都政全体の信頼を著しく低下させたことは、まことに遺憾であります。本件を重く受けとめ、再発の防止に万全を期し、信頼の回復に全力を尽くす決意であります。
 このたび名誉都民の候補者として、北浦雅子さん、山田禎一さんの二人の方々を選定させていただきました。
 北浦雅子さんは、重症心身障害者の福祉向上のために半世紀にわたり第一線で活躍され、障害者の能力開発による自立支援にも取り組むことで、だれもが健全な生活を営む社会の実現に尽力してこられました。
 山田禎一さんは、五十五年の長きにわたり東京の地域医療に尽力され、国内初の精神障害者の授産施設の創設や都内初の介護老人保健施設の開設など、進取の精神による画期的な取り組みを重ねてこられました。
 お二方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 さて、我が国は、地理的、文化的、歴史的にアジアの一員でありまして、私は、かねてから、このことを十分に自覚すべきであると訴えてまいりました。アジアは、産業革命以来、西洋の植民地主義による収奪を余儀なくされてきましたが、約七十年前の第二次世界大戦が引き金となって、植民地支配からの解放をかち得たのであります。そして、二十一世紀を迎えた今、アジアは、世界経済の牽引車として、世界の三極の一つを占めるまでに発展成長を遂げました。
 そのアジアで、今、シナが、覇権的な海洋進出を展開しております。南シナ海では、ベトナムやフィリピンへの軍事的な圧力を強めながら、パラセル諸島、スプラトリー諸島などに進出し、東シナ海では、日本固有の領土である尖閣諸島の侵奪も試み、アジアの海をみずからの支配下に置こうとしているのであります。
 アジアの海が不安定な状況に陥れば、この海域での船舶の自由な航行や地域での自由な通商が阻害され、資源の多くを海外に頼る我が国の国益はもちろん、世界全体の利益を大きく損なうことになります。
 そして、もし、この問題に関して日本がシナに屈するならば、シナと対峙するアジアの国々の動揺は大きく、アジアの海におけるシナの覇権は容易に確立されることになります。ゆえにも、日本が尖閣諸島を守り抜くことは、南シナ海を含むアジアの海すべてをシナの覇権主義から守ることにつながるのです。
 しかし、正当な歴史認識、時代認識を決定的に欠いた歴代政権は、現実から目を背け、事なかれ主義を続けております。こうした態度に業を煮やし、尖閣諸島を守るため、手だてを講じるべく、都が島を購入する決意をいたしました。そのための交渉も重ねてきましたが、先般、地権者の方から、島を国に売却する旨の話がありました。これはもとより国がやるべき仕事であります。しかし、これまでと同じように無為のまま手つかずに島を荒廃させるだけでは、領土を守ることはできません。一昨年の特殊船による巡視船体当たりの事件に続いて、先月には、シナの政治団体のメンバーが尖閣諸島に不法上陸しましたが、政府は、この者たちを刑事手続に付さずに、単に強制送還するという弱腰な態度をとり、我が国を侮った彼らは、再び上陸するとさえ公言しております。これが、政府がいうところの平穏かつ安定的な維持及び管理がもたらした結果であります。
 今、我が国に求められることは、政治が、国民の生命、財産を守るという本来の役割を果たすことでありまして、この島に当然の手だてを講じることであります。先般、都は、洋上から島に接近し、島の地勢や自然環境などについて基礎的な調査を行いました。調査の様子が、テレビの映像に映し出されましたが、尖閣の青々とした美しい海と自然の姿に感嘆した都民、国民の方々も多かったと思います。そして、あの海は、地元石垣市にとっては極めて重要な財産であります。日本の零細な漁民が、尖閣という豊穣な、しかし、時には厳しい自然の顔を見せる海で、安全に漁ができるようにしなければなりません。そのためには、最低でも、海が荒れたときに一時的に小さな漁船が待避できる船だまりの整備が必須であります。尖閣近海での漁業無線の交信が可能となるように電波中継基地を整備し、島の頂上には海を遠く照らす灯台と、有人の気象観測所もつくることが必要であると思います。
 私は、かねてから野田総理に、戦後の歴代政権が重ねてきた事なかれ主義と本気で決別するのであれば、いつでも東京は協力すると申し入れてきました。しかし、現政権の態度は一向に変わりません。なぜ、零細な漁民のための船だまりすらつくろうとしないのか。もはや、この問題に関して現政権に期待することはできません。我々は、中央官僚に操られている国政に、政治本来の役割を取り戻させなければならないと思います。
 立国は私なり、公にあらざるなり。かつて福沢諭吉がこう訴えたように、国を思うことこそが、最も大事な私ごとでありまして、その意思の積み重ねこそが国を動かす大きな原動力になるわけであります。都には、国家を思う国民の志が、数万人の人たちから十五億円もの拠金として寄せられております。こうした都民、国民の意思を形にすべく、島の活用を新しい政権にしかと迫ってまいります。
 アジアが旺盛な経済成長を続けていくためには、たびたび襲う大災害や新興感染症への対応などの課題を解決していくことが求められております。東京が創設を主唱してきたアジア大都市ネットワーク21では、具体的な問題解決に向けて、実務家同士での共同事業に取り組んでまいりました。先般のシンガポール総会には、私も出席して直接報告を聞きましたが、インフルエンザを初めとする感染症の発生状況や症例などについて、都市間での情報を共有するネットワークを既に構築しております。危機管理の面では、東京での防災訓練に、シンガポールや台北の救助部隊が参加しているほか、毎年、各都市の担当者がアジア危機管理会議で一堂に会し、テロや災害時の経験とノウハウを交換しております。東京からも警視庁、東京消防庁の実務担当者が参加し、対応力の向上を図っております。
 今回の総会では、モンゴルのウランバートルとロシアのトムスクが新たに加盟し、ネットワークが強化されました。今後も、実りのある都市外交を積み重ねていくことで、アジアの発展に貢献してまいりたいと思っております。
 東京がアジアの中心的都市としての役割を引き続き担っていくためには、災害など、みずからの弱点を克服し、都市の機能性をさらに高めていかなければなりません。
 都は、東日本大震災の貴重な教訓と最新の科学的知見によって、この春に見直した首都直下地震などの被害想定に基づき、被害の軽減と復興に向けた道筋を明らかにすべく、地域防災計画の見直し素案を策定いたしました。今後、議会での議論や都民、国民の意見を踏まえて、十一月には計画を改定してまいります。
 今回の震災が突きつけた東京の弱点が、帰宅困難者の問題であります。都が、国と共同座長を務めて、首都圏の自治体や経済団体、鉄道事業者なども交えた協議会を開催し、課題や対策を検討してまいりました。今般、その最終報告を取りまとめ、第一回定例会で成立した帰宅困難者対策条例とあわせて、大都市に共通する課題への処方せんを示すことで、全国を先導してまいります。都は、この条例に基づいて、行政、企業、学校、駅やデパートなど、それぞれの具体的な取り組みを促す実施計画を十一月に公表いたします。自助、共助、公助を適切に組み合わせながら、一斉帰宅の抑制や一時滞在施設の確保など、実効性ある対策を定め、被災時の首都の混乱を最小限に食いとめてまいります。
 木造住宅密集地域については、当初の予定を大幅に拡充し、区から提案のあった十二の地区すべてを不燃化特区の先行実施地区としました。地元区と連携して、地域の実情に即した整備計画を策定し、今年度中には不燃化特区制度を創設いたします。火災の防波堤となる延焼遮断帯の形成では、緊急に対処すべき道路を指定して、移転先の確保など、特別の生活再建支援策を講じることで整備を推し進めてまいります。また、東京消防庁と水道局が連携し、消防車が入れない狭隘な道路の行きどまりに設置されている排水栓を、消防団や町会、自治会が消防水利としても新たに使用できるように改良しました。これを多摩地域にも広げて、自助、共助の取り組みを後押ししてまいります。
 区部東部のゼロメートル地帯と臨海部を守るための水門や防潮堤、都市の内部における浸水を防ぐ下水道のポンプ所などについては、耐震性、耐水性の総点検を行っております。この結果をもとに、想定される最大級の地震発生時にも東京を津波から守る取り組みを進めてまいります。年内には具体的な整備計画を策定するとともに、損傷すれば特に甚大な被害の生じる箇所については、直ちに対策に着手いたします。
 次に、震災以来、我が国に重くのしかかっているエネルギーの問題について申し上げます。
 先般、政府は、国のエネルギー戦略なるものを策定しました。国は、目指すべき社会と国民の生活水準を明らかにしないまま、原発ゼロを方針として掲げ、その実現に向けた現実的な方策も工程も示すことができてはおりません。これまで繰り返し申し上げてきているように、我が国の産業社会を支えるエネルギーの議論を行うには、地球温暖化という問題を見据えながら、ある期間を想定して、何%の経済成長を目指すのか、そのためにいかなる現実的な策を講じ、エネルギーをどれだけ確保するのか、複合的、重層的に検討していかなければなりません。そもそも原子力発電所の割合に関して、あらかじめ三つの選択肢を用意して、それを前提に進めた政府の粗雑な、幼稚なやり方は、これは根本的に間違っていたと思います。
 国家の命運を左右するエネルギーの問題に関して、国が有効な戦略を打ち出せない中、都は独自に戦略的かつ具体的な取り組みを進めてまいります。かぎとなるのは、地域独占の電力供給体制を改め、市場自体の競争性を高めていくことでありまして、そのためには、新しい電力事業者を育成していくことが不可欠であります。
 本定例会には、奥多摩にある都の水力発電所で生み出す電力を、東京電力以外の事業者にも売却可能とするよう条例の改正を提案しております。また、百万キロワット級の天然ガス発電所の建設に向け、候補地周辺の自然環境の調査に着手する一方で、稼働から三十五年以上たった首都圏に千六百六十万キロワットもある東京電力の老朽化した火力発電所を高効率なものへ置きかえていくために、局横断的なプロジェクトチームを立ち上げました。新電力の参入を促し、育成しながら、東京電力の既存発電所の更新を進める具体的な方策を検討してまいります。
 さらに、都のインフラファンドを活用して、十万キロワット規模の中小の火力発電所や再生可能エネルギーなどに投資することで、多様な主体の参入を後押ししてまいります。
 東京電力の電気料金値上げの問題については、厳しい経営環境にある中小企業を全力で支えるために、影響を受ける企業の資金繰りを支援する新たな制度融資のメニューを設けて対応しております。また、中小企業の節電を一層進めるため、相談体制を充実し、無料の省エネ診断や節電に資する機器の導入を支援しております。
 東京電力は、失った信頼を回復するためにも、みずからの改革を進めなければなりません。都は、会社が設置した経営改革本部と定期的に会合を持ち、改革の進捗状況をしっかりと監視してまいります。
 東京が国際競争を勝ち抜き、アジアの発展にも貢献していくためには、社会資本を充実させ、機能的な都市をつくり上げる必要があります。
 世界が時間的、空間的に狭小となった今日、首都の空港は、国家の存在感を示すために欠かせない戦力であります。羽田空港の再拡張は実現しましたが、首都圏の空港容量は、近い将来には限界に達すると予想されておりまして、我が国最大級の滑走路を有する横田基地の軍民共用化を絶対に実現しなければなりません。
 とりわけ、世界的に活用が進んでいるビジネスジェットについては、首都圏での利用環境が整っていないため、我が国を素通りして他国に向かうジャパンパッシングが起こっております。受け入れに横田を活用することは、日本にビジネスチャンスをもたらすとともに、共用化を実現する一つの突破口になると思います。
 四月の日米首脳会談の場で、横田の問題を再び正式に取り上げさせたことで、国でもようやく具体的な動きが出てまいりました。先般、都と国との会合が持たれて、協議再開に向けて日本側の体制を固めることになりました。今後も国を突き動かし、この問題を前に進めてまいります。
 空港とともに、首都の重要なインフラである三環状道路の整備も進めなければなりません。そのかなめとなる外環道は、先日、東名─関越間の本体工事に着手し、美濃部都政以来、長いこととまっていた時計の針がようやく目に見える形で動き始めました。二〇二〇年までの確実な完成を国に引き続き求めてまいります。
 環状道路の機能を最大限に発揮させるためには、残された東名以南の区間も整備して湾岸道路とつなげ、羽田空港や京浜港など、陸海空の要衝を結ぶことが不可欠であります。今後も、延伸に向けて国や関係機関との協議会を立ち上げ、具体的な検討を進めてまいります。
 東京の最大の弱点である渋滞を解消するためには、道路整備とともに、鉄道の立体交差を進め、あかずの踏切を取り除いていくことが必要であります。線路で分断されたまちの一体性を取り戻すなど、複合的な効果も期待できます。
 先月、京王線調布駅付近を地下化し、十八カ所の踏切を除去しました。また来月には、京急蒲田駅付近を高架化して、先行して除去した環状八号線など四カ所の踏切と合わせて二十八カ所の踏切を除去いたします。箱根駅伝で有名な、電車が通る間選手が足踏みして待たなくてはならないあの第一京浜の踏切もなくなります。都心から羽田に向かう直通列車の所要時間も短縮され、空港へのアクセスが向上いたします。
 今後も粘り強く、東京の都市インフラを整備し、次世代に残してまいりたいと思います。国に対しては、国家の屋台骨を支える都市のインフラの重要性を認識させ、整備に必要な財源を確実に措置するように強く求めてまいります。
 東京が成熟した都市としてその存在感を高めていくためには、高齢者や障害者、妊娠中の女性など、あらゆる人々が安心してまちに出て、活発に行動できる環境を整えなければなりません。
 障害のある方々の中には、外部からはわからない場合も多くて、今般、そうした方々のためにも新しいマークを作成しました。これを都民、国民に広く周知させて、電車の車内の優先席にも標示いたしますし、援助が必要な方々が、マークをわかりやすい位置に身につけることで周囲の理解も得られやすくなると思います。まずは、来月末から都営大江戸線で取り組みを開始し、都営交通を核にして、他の交通機関にも広げてまいります。
 あわせて、都営地下鉄では、今年度じゅうのエレベーター全駅設置に向けて取り組んでおります。少子高齢化の中で、地域の足として期待が高まる都営バスでも、年度内にすべてのバスで乗降口の段差の撤廃を完了するなど、だれもが快適に生活できる都市へと東京を進化させてまいります。
 続いて、オリンピック・パラリンピック招致について申し上げます。
 この夏、ロンドンで開かれた大会でアスリートたちが繰り広げた熱戦は、日本のみならず世界じゅうを魅了しました。都民、国民に夢と希望、深い感動を与えてくれた東京のメダリストたちを顕彰するために、都民スポーツ大賞を贈呈することにしました。特に、世界一の座に輝いた金メダリストの方には、あわせて東京都栄誉賞を贈り、その功績をたたえたいと思います。
 大都市ロンドンでの開催は三度目になります。先進的な都市機能に歴史と伝統を兼ね備えたロンドン大会での成功は、共通項を持つ東京にとって大きな意味を持つものであります。アジアでいち早く成熟を遂げた東京が、そのあかしとしてアジアで初めての二度目となる大会を目指します。世界で最も安全、快適な未来の都市モデルを示すことで、二十一世紀にふさわしいオリンピック・パラリンピックの姿と震災から復活した日本の姿を世界に披瀝したいと思います。
 来年九月の開催都市決定まで残り一年を切りました。先般、都議会の皆様には、全国を回って招致への協力を呼びかけていただき、ロンドンでの大会期間中は、副知事が現地で関係者に東京の強みを訴えてまいりました。来年一月の立候補ファイル提出に向けて、開催計画を練り上げ、招致機運をさらに盛り上げてまいります。
 先月の銀座のパレードでは、五十万人もの方が沿道に集まり、オリンピックのメダリストたちを祝福しました。都民、国民の皆様、ロンドンでのアスリートの活躍と感動をもう一度胸に刻んでいただきたいと思います。今から八年後、家族とともに、友人らとともに、この日本で、その感動を味わおうではありませんか。一人一人の純粋、素直な気持ちを招致成功への確かな力にしたいと思います。
 さきの国会において、社会保障と税の一体改革関連法が成立いたしました。少子高齢化が進んでいく中で、高福祉低負担は、到底成り立ち得ない幻想であって、破綻しかかった国家財政を見れば、消費税率の引き上げは避けて通れないことであると思います。もとより政府は、都が先導している複式簿記・発生主義による新公会計制度の活用や外部監査の導入により、徹底した行政改革を行うのが当然であります。
 そして、この税率引き上げにあわせて、法人事業税の暫定措置のような都市の財源を奪う小手先の手法は確実に廃止して、地方税財源の拡充という本質的な解決策を検討すべきであります。
 さて私は、八月十五日、靖国神社に参拝しました。毎年同じ日にもうでるたびに、今の日本の姿を英霊たちにどう伝えたらよいのか、言葉を失っていくのに暗たんとさせられる思いであります。
 我が国は、戦後、奇跡とも呼ぶべき復興をなし遂げ、経済大国としては成功をおさめました。しかし、それと引きかえに失ったものは、決して決して小さくはありません。権利ばかり主張して義務や負担をいとう今の日本人の姿、北朝鮮が同胞の誘拐、拉致を認めてから十年たっても何ら進展しない拉致問題、そして尖閣諸島の問題をめぐる歴代政府の事なかれな対応、これらは、いずれも戦後日本を呪縛してきた観念的な理想主義と言葉だけの平和主義がもたらしたものであります。
 国政は、そう遠くない時期に国民の信を問うことになるでしょう。今、この国に求められていることは、敗戦以来、我が国に取りついてきたあしきものと決別することであります。そのために、日本の頭脳部、心臓部たる東京こそが、果敢に行動を起こしてまいります。
 私は、首都を預かる知事として、そうした強い信念のもとに都政運営に当たってまいりたいと思います。都議会の皆様の協力を心からお願いするものです。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めて、条例案十五件、契約案九件など、合わせて二十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定いたしました。

〇議長(中村明彦君) 追加日程第一及び第二、東京都名誉都民の選定の同意について二件を一括して議題といたします。
   〔別宮議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について二件

二四財主議第二五九号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     北浦 雅子

      略歴
現住所 東京都品川区
北浦 雅子
大正十年三月二十五日生
大正十年   東京市下谷区根岸(現東京都台東区根岸)に生まれる
昭和十三年  桜蔭高等女学校卒業
昭和十六年  九州帝国大学助教授北浦貞夫氏と結婚
昭和二十一年 次男・尚氏誕生
昭和二十二年 尚氏が種痘後脳炎後遺症により脳性小児麻痺となる
昭和三十四年 福岡県から上京
昭和三十六年 国内初の重症心身障害児施設「島田療育園(現島田療育センター)」の建設に尽力
       重症児問題の運動を開始し、委託研究費陳情運動などに参加
昭和三十九年 全国重症心身障害児(者)を守る会を結成し、同会理事に就任
昭和四十一年 全国重症心身障害児(者)を守る会が社会福祉法人の認可を取得し、同法人常務理事に就任
昭和四十三年 厚生大臣感謝状
昭和四十五年 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会副会長に就任
昭和五十一年 朝日社会福祉賞受賞
昭和五十三年 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会会長に就任
同年     「重症心身障害児療育相談センターあけぼの学園」園長に就任
昭和五十五年 エイボン功績賞受賞
昭和五十六年 内閣総理大臣表彰
昭和五十七年 総理府「中央心身障害者対策協議会」委員に就任
平成元年   特殊教育義務制施行記念教育功績表彰
平成十四年  内閣府「新しい障害者基本計画に関する懇談会」委員に就任
昭和三十九年 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会結成
昭和四十一年 社会福祉法人認可
昭和四十四年 重症心身障害児(者)通所施設「重症心身障害児療育相談センターあけぼの学園」開設
昭和六十三年 「世田谷区立三宿つくしんぼホーム」の運営を世田谷区から受託
平成四年   「東京都立東大和療育センター」の管理運営を東京都から受託
平成八年   東京都立東大和療育センター分園「よつぎ療育園」の管理運営を東京都から受託
同年     在宅重症心身障害児(者)訪問事業を東京都から受託
平成十三年  国立療養所足利病院の経営移譲により保健医療・福祉施設あしかがの森「あしかがの森足利病院」開設
平成十七年  「東京都立東部療育センター」の指定管理者に指定
平成二十二年 重症心身障害児(者)在宅療育支援事業を東京都から受託
同年     「中野区立療育センターアポロ園」の運営を中野区から受託
平成二十四年 品川区重症心身障害者通所事業所「ピッコロ」の運営を品川区から受託

      事績
北浦 雅子
大正十年三月二十五日生
 大正十年、東京市下谷区根岸(現東京都台東区根岸)に生まれる。
 昭和十六年、九州帝国大学助教授の北浦貞夫氏と結婚、福岡県に居住。二児をもうける。
 昭和二十二年、次男・尚氏(当時七箇月)が種痘後、高熱・ひきつけを起こして脳炎を発症、その後遺症により右半身麻痺と言葉も不自由な脳性小児麻痺となる。
 昭和三十四年、福岡県から上京する。
 昭和三十六年、国内初の重症心身障害児施設「島田療育園(現島田療育センター)」の建設及び開設に尽力する。重症児問題の運動を開始し、委託研究費陳情運動などに参加、本格的に重症心身障害児(者)の運動に関わるようになる。
 昭和三十九年、夫・北浦貞夫氏を会長として全国重症心身障害児(者)を守る会を結成、昭和四十一年には、社会福祉法人の認可を取得し、同法人常務理事に就任する。
 昭和四十五年、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会副会長に就任する。
 昭和五十三年、夫で、同法人会長の北浦貞夫氏の死去を受け、その志を引き継ぎ同法人会長に就任するとともに、「重症心身障害児療育相談センターあけぼの学園」園長にも就任する。
 同法人の三原則「決して争ってはいけない 争いの中に弱いものの生きる場はない」「親個人がいかなる主義主張があっても重症児運動に参加する者は党派を超えること」「最も弱いものを一人ももれなく守る」を遵守し、慈愛に満ちた人柄と卓越したリーダーシップとを発揮した氏の活躍により、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会の活動範囲は多岐に広がり、心身障害児(者)や関係者だけでなく、都民や行政に認められるようになった。その結果、同法人は、昭和六十三年に世田谷区から「世田谷区立三宿つくしんぼホーム」の運営を受託して以降、「中野区立療育センターアポロ園」及び品川区の重症心身障害者通所事業所「ピッコロ」の運営を受託し、「東京都立東部療育センター」等の指定管理者に指定されている。また、東京都の福祉事業も受託している。
 豊富な知識と経験とを考量され、昭和五十七年に総理府「中央心身障害者対策協議会」委員、平成十四年には内閣府「新しい障害者基本計画に関する懇談会」委員に就任し、障害児(者)福祉施策の向上に寄与した。
 永年にわたる重症心身障害児(者)の自立と障害者福祉の向上に顕著な功績を挙げていることに対し、昭和四十三年に厚生大臣感謝状、昭和五十一年に朝日社会福祉賞、昭和五十五年にエイボン功績賞、昭和五十六年に内閣総理大臣表彰、平成元年には特殊教育義務制施行記念教育功績表彰と数々の賞を受賞する。
 次男・尚氏が種痘後脳炎の後遺症により脳性小児麻痺を発症したことを契機として、重症心身障害児(者)の福祉向上のために挺身し、五十年余にわたり第一線で活躍する姿勢は、志を同じくする後継の範となっている。
 氏は、障害児(者)の福祉環境の整備はもとより、障害児(者)自身の能力開発にも尽力し、障害児(者)の自立支援の大きな推進力となった。
 また、重症心身障害児(者)福祉の向上にとどまらず、重症児(者)の懸命に生きる姿を通じて、「命を大切にする社会」の実現を目指す氏は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二四財主議第二六〇号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     山田 禎一

      略歴
現住所 東京都調布市
山田 禎一
大正十四年十一月二十五日生
大正十四年  富山県中新川郡北加積村野町(現富山県滑川市野町)に生まれる
昭和二十三年 金沢大学医学部卒業
昭和三十年  金沢大学医学部精神神経科助教授に就任
昭和三十二年 「山田病院(調布市)」開設
昭和四十年  「稲城台病院(稲城市)」開設
昭和四十四年 「箱根仙石原温泉病院(神奈川県箱根町、現箱根リハビリテーション病院)」開設
昭和四十七年 調布市教育委員会委員長に就任(連続六期)
同年     国内初の精神障害者授産施設「創造印刷(調布市)」及び「精神医学古典刊行会(調布市)(現創造出版、渋谷区)」開設(現社会福祉法人新樹会傘下事業所)
昭和四十九年 調布市医師会会長に就任
同年     調布市医師会准看護学院長に就任
平成元年   富山県第一号の介護老人保健施設「なごみ苑(富山県滑川市)」開設
同年     神奈川県第一号の介護老人保健施設「サンライズ箱根(神奈川県箱根町)」開設
平成二年   東京都第一号の介護老人保健施設「ヒルトップロマン(稲城市)」開設
平成四年   「東京南看護専門学校(稲城市)」開校
平成八年   「富山医療福祉専門学校(富山県滑川市)」開校
同年     全国老人保健施設協会東京都支部長及び同協会理事に就任
平成十年   精神障害者地域生活支援センター「希望ヶ丘(調布市)」開設
平成十二年  国内初の介護付有料老人ホーム「デンマークINN小田原(神奈川県小田原市)」開設
同年     精神障害者援護寮「粋交舎(調布市)」開設
同年     生活支援ハウス「なじみ(富山県滑川市)」開設
平成十四年  介護付有料老人ホーム「デンマークINN深大寺(調布市)」開設
平成十五年  介護老人保健施設「デンマークイン新宿(新宿区)」開設
平成十六年  介護付有料老人ホーム「デンマークINN府中(府中市)」開設
平成十七年  稲城台病院サテライト「たま憩いクリニック(多摩市)」開設
平成二十年  介護付有料老人ホーム「デンマークINN調布(調布市)」開設
平成二十一年 滑川市名誉市民

      事績
山田 禎一
大正十四年十一月二十五日生
 大正十四年、富山県中新川郡北加積村野町(現富山県滑川市野町)に生まれる。
 昭和二十三年、金沢大学医学部を卒業後、同大学精神神経科に入局。昭和三十年に同大学医学部精神神経科助教授となる。
 昭和三十二年に同大学医学部を辞し、上京する。同年五月、調布市に「山田病院(精神科・内科)」を開設する。
 昭和四十年、精神科病院として「稲城台病院(稲城市)」を開設する。
 カナダ・ナイアガラ市立病院リハビリテーション科の見聞を生かし、昭和四十四年、神奈川県初の脳卒中リハビリ施設である「箱根仙石原温泉病院(神奈川県箱根町、現箱根リハビリテーション病院)」を開設する。当時、首都圏にリハビリ施設は少なく、同院の開設は、全国の福祉・医療関係者の注目するところとなった。
 昭和四十七年、国内初の精神障害者授産施設である「創造印刷(調布市)」及びその出版部門「精神医学古典刊行会(調布市)(現創造出版、渋谷区)」を開設する。同施設は、自治体発注の印刷物や医学書を中心に受注する精神障害者のリハビリ施設で、社会で自立するための技術と環境順応性の習得とを目的に運営されている。
 昭和四十七年、調布市教育委員会委員長に就任し、以後六期にわたり務める。「教育と医療をないがしろにして栄えた国家、民族はない」との哲学の下、今もなお、子育て、教育への信念の実現に努力している。
 昭和四十九年、調布市医師会の会長に就任する。夜間や休日の急病対応として、夜間診療所や休日当番医制度を創設し、医師が交代で診療する体制を整えた。
 平成二年、東京都第一号の介護老人保健施設「ヒルトップロマン(稲城市)」を開設する。
 福祉先進国デンマークの老人福祉施設の視察の成果として、介護保険法施行日の平成十二年四月一日に国内第一号となる介護付有料老人ホーム「デンマークINN小田原(神奈川県小田原市)」を開設する。同年、視察先であったデンマーク・コペンハーゲンのナーシングホームスタッフが来日し、「本家以上」との称賛を受ける。
 続いて、平成十四年に「デンマークINN深大寺(調布市)」、平成十六年に「デンマークINN府中(府中市)」、平成二十年に「デンマークINN調布(調布市)」を開設する。
 また、平成十五年には、幼児と高齢者とが交流できる保育園併設の介護老人保健施設「デンマークイン新宿(新宿区)」を開設する。
 その他、都内に、「東京南看護専門学校(稲城市)」の開校や、精神障害者地域生活支援センター「希望ヶ丘(調布市)」などを開設するほか、氏の出身地である富山県滑川市にも、富山県第一号の介護老人保健施設「なごみ苑」を開設し、「富山医療福祉専門学校」を開校する。
 氏は、昭和三十二年の上京以来、五十五年にわたり東京都の地域医療に尽力し、中でも様々な偏見により適切な治療やリハビリが受けにくい状況にあった精神障害者の授産施設の国内初の創設や、高齢化社会への備えとして東京都で最初の介護老人保健施設を開設し、地域医療に大きく貢献されている。こうした画期的な取組は、世界各地の先進施設への積極的な視察と、進取の気性に富んだ氏の精神によるところが大きいといえる。
 また、永年居住する東京都のみならず、氏の基礎的な思想や知識を育んだ出身地である富山県滑川市への恩義に報いることも忘れない「医は仁術」という懐の深さは、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君)  ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十日から二十四日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君)  ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十日から二十四日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二四財主議第二四四号
平成二十四年九月十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十四年第二回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   畔上三和子議員
   田の上いくこ議員
   かち佳代子議員
   吉田信夫議員
   斉藤あつし議員
   大山とも子議員

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  畔上三和子

質問事項
一 消防団活動の環境整備について
二 都教育委員会の障害者雇用の拡充について


一 消防団活動の環境整備について
昨年の3月11日の東日本大震災・原発事故は、私達がかつて経験をしたことのない未曾有の被害をもたらしたものでしたが、あらためて消防団及び地域防災市民組織の活動の重要性の認識を深めました。私の住む江東区においても、消防団が日常的に地域の防災活動のリーダー的役割を果たしているところですが、益々、その役割の発揮が期待されているところです。
言うまでもなく、消防団は消防組織法に基づく消防機関であり、団員は特別職の地方公務員の身分を持っていますが、同時に、隣近所顔見知りの地域住民のひとりです。地域を良く知り、地域の防災力の要としての役割を発揮できる組織です。
その役割の重要性から、昨年度6月補正予算では、新たに消防団の資機材が購入されたことは、一歩前進だと考えます。しかし、大地震の危険性が高まる中、早急な対策の拡充が求められていると考えます。
「地域特性に応じた消防団の取り組みをどう進めるのか」について、現在、都が諮問している運営委員会において審議中とのことですが、その答申をしっかりと受け止め、施策に生かすとともに、現時点でも消防団からも強く要望されている会議室のある消防団詰め所の拡充や、資機材の整備拡充、消防団員の処遇改善など早急に取り組むよう求めるものです。
以下、具体的に伺います。
1 東日本大震災において、地域密着型の消防団分団の詰め所が、被災住民への情報提供の場となるなど被災者支援に大きな役割を発揮したと聞いています。
現在、会議室のある分団詰所の要望があっても、約80平米のスペースが必要とのことで、その確保が難しいのが実態です。地域によっては、「狭くてもいいから会議室がほしい」という声が上がっています。
特別区内にある439分団のうち会議室のある詰所をもっている分団はいくつあるのか伺います。
また、会議室を持った分団詰め所の重要性からいっても、各分団と場所やスペースの問題等についてもよく話し合い、早急に設置すべきと考えますが、いかがですか。
あわせて、具体的設置計画があれば、お示しください。
2 万一の場合の救助活動において、その迅速性が基本です。同時に、多発的に起こりうる火災にいかに対応するかが問われるわけで、特別区消防団において消火用の十分な資機材の配置が重要です。今後、どう拡充するのか、伺います。
3 消防団の夜間活動に対応するためにLEDバルーン型投光器、消防団の避難誘導などの活動に欠かせない「デジタル無線」を全特別区消防団に配置したことは、前進です。同時に、救助活動において不可欠なジャッキ、バール等の救助用機材の拡充とともに、消防団員の方々等が使いこなせるための使用訓練も重要です。機材の拡充と使用訓練をどう強化されるのか伺います。
4 災害弱者対策の強化など、地域の防災力の要としての消防団の役割は、益々重要です。出動手当の引き上げ等、消防団員の処遇の改善・福利厚生事業の拡充を求めます。
二 都教育委員会の障害者雇用の拡充について
障害者の雇用の促進に関する法律の第6条では、「国及び地方公共団体は、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない」としています。同時に、国及び地方公共団体が、障害者雇用の量・質両面での向上に自らが実践し、そのイニシアチブを発揮することが強く求められているのだと思います。
都教育委員会の2011年末の障害者雇用の状況は、算定基礎の教職員数43,110名のうち障害者は682名、雇用率は1.58%で、法定雇用率2.0%に到達していません。そればかりか、この3年間で障害者雇用数は42名も減少しています。
厚生労働大臣は今年3月30日、都教育委員会に対し、障害者採用計画を適正に実施していないとして、実施を勧告しました。この5年間で4回目の勧告になります。
1 こうした勧告をどのように受け止めているのでしょうか。また、法定雇用率達成のために、具体的にどのようなとりくみを実施する予定なのか教えてください。
都教育委員会は、2013年末の障害者雇用率を2.0%とする障害者採用計画を、国に提出しています。これを達成するために、定年退職者等の補充もふくめ今後300名近くを採用し、障害者雇用数を881人にしなければなりません。また、厚生労働省は、2013年4月1日から教育委員会の法定雇用率を2.2%に引き上げるとしており、いっそうの雇用推進がもとめられます。
都教育委員会はこれまで、教員採用試験における点字による出題など障害者への配慮や、教員以外の職員に、知事部局にくらべて多くの障害者を雇用するなどのとりくみをおこなってきました。今年度からは都教育委員会版チャレンジ雇用として、非常勤職員として3名(雇用率の算定にあたっては1.5名とカウント)の知的・精神障害者を雇用しています。一方で2010年6月から2011年12月までに採用した障害者数が32.5人、採用者全体に占める割合が0.4%ですから、法定雇用率を達成するためには、これまでの延長にとどまらない積極的な雇用対策をすすめる必要があります。
第1に、教員採用の改善についてです。特別支援学校の保護者や障害者団体などからは、子どもと同じ視覚障害や聴覚障害などをもった教員がいてくれると大変心強いので、ぜひ採用してほしいという声が寄せられています。
東京都の2012年度採用選考には44名の申し込みがありましたが合格は5名でした。これは全体の名簿登載者数3,983名の0.12%にすぎません。倍率も8.8倍で全体の平均4.5倍より高くなっています。
2 たとえば徳島県では、身体障害者を対象とした特別選考を行い、来年度は全体で220名程度の採用予定のうち身体障害者を3名程度採用するとしています。山口県でも323名程度のうち6名程度の身体障害者を採用するとしています。東京都でも、試験への配慮に加え、教員採用において「障害者枠」をつくり、障害者雇用を促進することを検討してはどうですか。
3 また、佐賀県などでは、身体障害者特別選考において、一次試験の一般・教職教養試験を免除しています。愛知県も、大学の推薦があれば一次試験を免除する制度をはじめました。こうした制度の検討も求めますが、いかがでしょうか。
第2に、教員以外の職員の採用についてです。東京都では障害者の正規採用は身体障害者のみを対象としていますが、障害者団体などからは、知的障害や精神障害も正規で雇ってほしいと要望がだされています。また、身体障害もふくめ、障害のない人と同じ仕事内容での採用も大事だが、同時に、障害の特性や体力などにも応じた仕事内容での採用も行ってほしいとの声も寄せられています。知的障害や精神障害は非常勤でしか雇わないのはおかしな話ですし、正規で働きたいなら障害のない人と同じ仕事をするべきということだとしたら、結局は、障害者は社会的に不安定な弱い立場でも仕方ないという差別につながります。教育委員会の雇用率を高めるためにも、知的・精神障害者の正規雇用の取りくみは重要です。
静岡県では、知的障害者を図書館などの本の整理やデータ入力などの技能労務職員として雇用しています。三重県では、非常勤職員として採用した知的障害者を1年後に一般事務職として正規雇用し、データ入力やコピー用紙の管理、文書配布などをしてもらっているとのことでした。
4 都として、知的障害者や精神障害者も正規雇用し、教育委員会もふくめ全庁的に従事してもらえる仕事を発掘し、配置するべきだと考えますが、いかがですか。
5 都の教育委員会版チャレンジ雇用は、教育事務補助として非常勤職員を採用していますが、今後、障害種と採用人数を拡大し、幅広く公募するとともに、正規雇用に結びつけられるようにすべきだと考えますが、所見を伺います。
今後新たに精神障害者雇用を義務化することも検討されています。例えばてんかんをもつ人は採用試験において、仕事は支障なくできるのに誤解と偏見の目で見られたりして大変だというお話も伺いました。精神障害者は、働きたいのに働く場が少ないのが現状です。
6 東京都及び都教育委員会が積極的に精神障害者の雇用に努めることを求めます。
7 障害者雇用の量とともに、雇用の質を確保することが重要です。就業上必要な支援を明らかにし、障害者が長く安心して仕事を続けられるための合理的配慮が提供できるようなしくみを整備すべきだと考えます。例えば、精神科ソーシャルワーカーなど専門家を配置して、障害者本人や職場の同僚などの相談にのることのできるしくみも必要と考えますが、いかがですか。
都では、東京都障害者就労支援協議会を設置し、都内の障害者雇用を推進していますが、都庁各局を初めとする公務職場のなかでは特に、教育委員会の障害者雇用率の達成が難しい現状を考えれば、教育委員会の特徴に合わせた仕事の開拓や工夫に知恵をしぼることが求められています。
愛知県教育委員会では、必要に応じて外部人材も参加できる雇用対策協議会を設置しています。下部組織としてプロジェクト会議も設置し、雇用促進に努めているとのことです。
8 都教育委員会においても、雇用対策協議会を設置し、教育委員会内部だけでなく、各障害種別の障害者団体や特別支援学校の保護者、学識経験者などを加えて、教育委員会の障害者雇用促進の方策を議論することを求めますが、いかがですか。
9 同時に、法定雇用率達成のための具体的方策や、どんな仕事で何人雇用するかの目標を明確にし、都民に公表・PRして、とりくみを促進してはいかがですか。
障害者が、安定的に仕事が続けられるしくみづくりは、障害の有無にかかわらず、誰にとっても安定的に仕事を続けられる環境の整備につながります。都教育委員会が、障害者雇用の量・質ともに先進的取り組みを真剣に進めていただくことを強く求めるものです。

平成24年第二回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 消防団活動の環境整備について
  1 東日本大震災において、地域密着型の消防団分団の詰め所が、被災者支援に大きな役割を発揮したが、特別区内に会議室のある詰所をもっている分団はいくつあるのか。また、分団詰め所の重要性から、早急に設置すべきと考えるが、具体的設置計画があれば伺う。

回答
特別区消防団の分団数は、439であり、このうち、会議室のある施設を持っている分団は、平成23年度末現在、309分団です。
今後も引き続き、構造、老朽度、狭隘度等を総合的に勘案して、各区や関係部局等と連携し計画的に整備していきます。

質問事項
 一の2 救助活動においては迅速性が基本であり、特別区消防団において消火用の十分な資機材の配置が重要であるが、今後、どのように拡充するのか伺う。

回答
特別区の消防団活動は、平常時はもとより、震災時において果たす役割は極めて重要であることから、活動に必要な資機材等を計画的に整備してきました。
今後とも特別区消防団運営委員会の答申等を踏まえ、各区や関係部局等と連携し、消防団の資機材等の整備に努めていきます。

質問事項
 一の3 消防団の夜間活動に対応するためLEDバルーン型投光器や消防団の避難誘導などの活動に欠かせない「デジタル無線」を全特別区消防団に配置したことは、前進であり、同時に、救助活動において不可欠なジャッキ、バール等の救助用資機材の拡充とともに、消防団員が使いこなせる使用訓練も重要であるが、どのように強化するか伺う。

回答
特別区消防団活動の充実のため、これまでも活動に必要な資機材を計画的に整備してきたところであり、東日本大震災の教訓を踏まえ、「東京緊急対策2011」に基づき、新たに、電光標示器(LEDバルーン型投光器)や専用の無線機を整備しました。
今後とも新たに整備した資機材の活用要領等の周知を図るとともに、実践的な訓練等を推進し、消防団の活動能力の向上に努めていきます。

質問事項
 一の4 災害弱者対策の強化など、地域の防災力の要としての消防団の役割は、益々重要であり、出動手当の引き上げ等、消防団員の処遇の改善・福利厚生事業の拡充について伺う。

回答
消防団員の処遇については、これまでも、活動実態や経済情勢等を踏まえて、報酬や出動手当について必要な改善を図ってきました。また、福利厚生についても、財団法人日本消防協会や社団法人東京都消防協会等により、見舞金や弔慰金を支給しているところです。
今後とも、消防団員の適切な処遇の確保に努めていきます。

質問事項
 二 都教育委員会の障害者雇用の拡充について
  1 厚生労働大臣は今年、都教育委員会に対し、障害者採用計画を適正に実施していないとして、この5年間で4回目の勧告を行ったが、こうした勧告をどのように受け止めているのか。また、法定雇用率達成のために、具体的にどのような取組を実施する予定なのか伺う。

回答
都教育委員会は、これまでも障害者雇用の促進に努めてきましたが、その結果として、厚生労働大臣の適正実施勧告を受けたことは重く受け止めています。
都教育委員会は、これまでも教員採用選考において障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集し、また、障害のある受験者には、試験時間の延長など受験時の配慮を行い、採用に努めてきました。
他方、平成21年度に全国で教員免許状を取得した約10万3千人のうち、障害者は88人と極めて少ないことから、教員の採用を中心とした法定雇用率の達成には限界があるのが現状です。
今後は、教員の採用はもとより、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用して事務補助職員を採用するなど、障害者雇用の促進に努めていきます。

質問事項
 二の2 都教育委員会はこれまで、教員採用試験における点字による出題などの障害者への配慮や、教員以外の職員に多くの障害者を雇用するなどのとりくみをおこなってきたが、法定雇用率を達成するには、これまでの延長にとどまらない積極的な雇用対策が必要である。試験への配慮に加え、教員採用において「障害者枠」をつくり、障害者雇用促進を検討してはどうか、見解を伺う。

回答
平成21年度に全国で新規に教員免許状を取得した約10万3千人のうち、障害者は88人、比率にすると0.08パーセントと極めて少なく、都の教員採用選考を受験する障害者も毎年30人から40人程度と少ないのが現状です。
都教育委員会は、教員採用選考において、障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集しており、広く門戸を開放しています。障害のある人の受験に関しては、一般の受験者と比べて不利にならないよう、障害の種類や程度に応じて、点字や拡大文字の使用、試験時間の延長、手話通訳の配置などの配慮を行っており、「障害者枠」を設ける考えはありません。
今後も、様々な配慮を行っていることを積極的に周知することにより、受験の促進を図っていきます。
なお、都教育委員会では「障害者枠」を設けていないことから、「倍率も8.8倍で全体の4.5倍より高くなっています。」との考え方は、当たらないと考えます。

質問事項
 二の3 佐賀県や愛知県のように、教員採用試験の一次試験の一般・教職教養試験を免除等について検討を求めるが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、教員採用選考第一次選考において、一定の条件を満たしている受験者に、教職教養試験等を免除しています。この教職教養試験等の免除は、教職経験や社会人経験等を有することが、教員としての一定の有用な能力として評価ができることにより行っています。そのため、障害者であることをもって、同様の免除を行う考えはありません。

質問事項
 二の4 教員以外の職員の採用について、都では障害者の正規雇用は身体障害者のみを対象としているが、教育委員会の雇用率を高めるためにも、知的・精神障害者の正規雇用の取りくみは重要であり、教育委員会もふくめ全庁的に従事できる仕事を発掘し、配置するべきだと考えるが、都の見解を伺う。

回答
都では知的・精神障害者の就労を支援するため、平成20年度より臨時職員として雇用するチャレンジ雇用に取り組んでおり、今後、就労する職場の拡大にも努めていきます。
さらに、より長期間の雇用を確保するため、平成24年度は都教育委員会も含め全庁を対象に障害者非常勤職員制度を創設しています。今後、本制度も活用しながら、引き続き知的・精神障害者の雇用に取り組んでいきます。

質問事項
 二の5 都の教育委員会版チャレンジ雇用は、教育事務補助として非常勤職員を採用しており、今後、障害種と採用人数を拡大し、幅広く公募するとともに、正規雇用に結びつけられるようにすべきだと考えるが、所見を伺う。

回答
都教育委員会は、平成24年6月から、3名の都立特別支援学校卒業生を会議等の資料の印刷及び製本、各種データのパソコンへの入力などの業務に従事する非常勤職員として採用しました。
このチャレンジ雇用は、働く意欲と能力を有する知的障害のある都立特別支援学校の卒業生の就労支援を図るために、都教育委員会において非常勤職員として勤務したのち、一般企業等への就労を目指す取組です。
平成24年度の就労状況等も踏まえながら、今後とも障害者雇用の取組を進めていきます。

質問事項
 二の6 今後、新たに精神障害者雇用を義務化することも検討されており、都及び都教育委員会が積極的に精神障害者の雇用に努めることを求めるが、見解を伺う。

回答(総務局)
都では精神障害者の就労を支援するため、平成20年度より臨時職員として雇用するチャレンジ雇用に取り組んでおり、今後、就労する職場の拡大にも努めていきます。
さらに、より長期間の雇用を確保するため、平成24年度は障害者非常勤職員制度を創設しています。本制度も活用して、引き続き精神障害者の雇用に努めていきます。

回答(教育庁)
都教育委員会は、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用して、知的障害のある都立特別支援学校の卒業生を非常勤職員として採用しましたが、この障害者非常勤職員制度は、知的・精神障害者を対象としています。
一方で、教員の採用については、引き続き、障害のある受験者も他の受験者と全く区別せずに募集しています。

質問事項
 二の7 障害者雇用の量とともに、雇用の質を確保することが重要であり、就業上必要な支援を明らかにし、障害者が長く安心して仕事を続けられるための合理的な配慮が提供できるようなしくみを整備するべきだと考える。たとえば、精神科ソーシャルワーカーなど専門家を配置して、障害者本人や職場の同僚などの相談にのることができるしくみも必要と考えるが、都の所見を伺う。

回答(総務局)
都の知事部局においては、職員本人や管理監督者等が、精神保健について随時相談できる体制を整えるため、現在、精神科医、心理職及び精神保健相談員の専門スタッフを配置しています。
この専門スタッフは、障害を持つ職員が抱える職場適応上の問題や精神的な問題などの相談にも応じており、適切な助言指導を行うことで、職員にとって働きやすい職場環境づくりに寄与しています。

回答(教育庁)
都立学校では、島しょの一部の学校を除く全校において産業医を選任し、労働者の健康の保持増進を図る中で、精神保健を含めた健康相談を行っています。
また、都教育委員会では、教職員からのメンタルヘルスに関する様々な相談窓口を設置するほか、臨床心理士の派遣によるメンタルヘルスに関する個別相談などを実施しています。

質問事項
 二の8 都教育委員会においても、雇用対策協議会を設置し、教育委員会内部だけでなく、各障害種別の障害者団体や特別支援学校の保護者、学識経験者などを加えて、教育委員会の障害者雇用促進の方策を議論することを求めるが、見解を伺う。

回答
都は、平成23年12月に策定した「2020年の東京」で、今後10年間で約3万人の障害者雇用の増加を新たな目標に掲げ、更なる雇用の増加を目指すこととしています。
この目標の実現のために設置されている東京都障害者就労支援協議会において、都、都教育委員会、特別支援学校関係者、学識経験者、企業等の関係機関が連携し、障害者雇用の推進に係る様々な課題についても議論しています。

質問事項
 二の9 法定雇用率達成のための具体的方策や、どんな仕事で何人雇用するのか目的を明確にし、都民に公表・PRして、とりくみを促進してはいかがか、都の見解を伺う。

回答
都教育委員会は、これまでも教員採用選考において障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集し、また、障害のある受験者には、試験時間の延長など受験時の配慮を行い、採用に努めてきました。また教員以外の障害者雇用率は4.6パーセントとなっており、法定雇用率を上回る配置を行っています。
今後とも、教員採用において様々な配慮を行っていることを引き続き積極的に周知するとともに、教員以外の職種については、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用するなど、法定雇用率達成に向けて努力していきます。

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  田の上いくこ

質問事項
一 東部低地帯における津波・浸水について


一 東部低地帯における津波・浸水について
東京都防災会議による「首都直下地震等による東京の被害想定」の報告書が5月に発表されました。報道等でもあったように、首都直下地震として、東京湾北部地震と多摩直下地震はM7.3。東京湾北部地震については、時間帯によって9,000人を超える死者が人的被害として示されました。
江東内部河川を中心とする低地帯は、「ゼロメートル地帯」とも呼ばれていますが、これまでは高潮対策が主となっていました。報告書では、液状化や斜面崩壊などさまざまな側面から分析がされていますが、東部低地帯における津波・浸水を中心に伺います。
1 元禄型関東地震の津波数値シミュレーションと比較し、東京湾北部地震の津波数値シミュレーションは、水門閉鎖の場合と水門開放の場合の最大津波高の最高値とその場所にほとんど変化がありません。どのような根拠に基づいた結果なのかおしえてください。
2 元禄型関東地震では、東京湾沿岸でT.P.+1.9メートルから+2.6メートル程度、東京湾北部地震でもT.P.+1.0メートルから+1.8メートル程度であり、すでに高潮対策で湾岸の地盤高が十分ではありますが、浸水も含め低地帯の住民の声を聞いています。平成24年第一回定例会の都議会民主党代表質問で、避難ビル・マンションと自治体が結ぶ協定についての質問をしましたが、近くに公共施設がない、高台がない地域では民間のビルやマンションに逃げ込むことができるという安心感がほしいのだと考えます。今回の報告書を受けて、都が各区市町村の取組を支援する体制についてどのようにお考えになるのか認識を伺います。
3 江戸川区北東にある都立篠崎公園は全体的に高台化する計画が策定されました。しかし、海抜の低い地域はむしろ荒川沿いの西側です。宇喜田公園においても、緊急時に備えて高台にしてほしいという声も聞こえてきます。公園すべてを高台にするのは、周囲との整合性からも不必要と思いますが、場合によっては、公園の新規拡張時に一部高台化することも考えられます。まず、公園内各所の高さもはっきりしていないため、早急に数値を把握すべきと考えますが、ご見解を伺います。
4 津波・浸水のみならず、あらゆる災害に備えてまず自助を促すのは当然であり、住民も家具の転倒防止や非常用備蓄等の努力をしています。都営住宅や公社住宅などの自治会での自助努力に対し、都市整備局ならびに公社は、備蓄の保管場所等最大限の協力をすべきと考えますが、認識を伺います。

平成24年第二回都議会定例会
田の上いくこ議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 東部低地帯における津波・浸水について
  1 都の被害想定において、元禄型関東地震の津波数値シミュレーションと比較し、東京湾北部地震の津波数値シミュレーションは、水門閉鎖の場合と水門開放の場合の最大津波高の最高値とその場所にほとんど変化がないが、どのような根拠に基づいた結果なのか伺う。

回答
一般に、津波の規模は、震源域の広さや震源域上部の水深、断層のずれの大きさなどにより移動する海水量が増えると大きくなりますが、到来した津波が水門などで遮られた場合、そこでさらに水位が高くなる可能性があります。
今回の被害想定における元禄型関東地震は、相模トラフにおける大規模な海溝型地震を想定しており、移動する海水量が多くなるため、江戸川区における最大津波高は、水門開放の場合が1.92メートルであるのに対し、水門閉鎖の場合は2.11メートルと19センチメートル高くなっています。
一方で、東京湾北部地震は、元禄型関東地震に比べて移動する海水量が少なく、津波高自体が低いことから、江戸川区における最大津波高は、いずれの場合も1.55メートルになっています。

質問事項
 一の2 元禄型関東地震では、東京湾沿岸で、T.P.+1.9メートルから+2.6メートル程度、東京湾北部地震でもT.P.+1.0メートルから+1.8メートル程度であり、すでに高潮対策で湾岸の地盤高が十分ではあるが、近くに公共施設や高台がない地域では、民間のビルやマンションに逃げ込むことができる安心感が必要と考える。今回の被害想定を受けて、各区市町村の取組を支援する体制について、都の認識を伺う。

回答
東京湾沿岸部の各区においては、現在、津波発生時の高層マンション等への避難誘導など地域の特性を踏まえた様々な津波対策が進められています。
都としては、広域行政の立場から、東京都防災会議の下に避難対策に関する検討部会を設置し、各区における避難計画の策定に必要なデータの提供や、他区における取組状況を紹介するなど、様々な形で積極的に協力し津波対策を推進していきます。

質問事項
 一の3 都立宇喜田公園について、緊急時に備えて高台にしてほしいという声があり、公園すべてを高台にするのは周囲との整合性からも不必要であるが、公園の新規拡張時に一部高台化することも考えられる。まず、公園内各所の高さもはっきりしていないため、早急に数値を把握すべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
都立宇喜田公園に隣接する区立行船公園の中に東京都の設置した水準基標があり、平成23年1月1日を基準日としたT.P.表示では、T.P.マイナス2.0363メートルとなっており、周辺を代表する高さと認識しています。

質問事項
 一の4 津波・浸水のみならず、あらゆる災害に備えてまず自助を促すのは当然であり、住民も家具の転倒防止や非常用備蓄等の努力をしている。都営住宅や公社住宅などの自治会での自助努力に対し、都市整備局ならびに公社は、備蓄の保管場所等、最大限の協力をすべきと考えるが、認識を伺う。

回答
都営住宅の敷地は、本来目的である都営住宅のために使用すべき行政財産ですが、地方自治法に基づき、例外として、その用途又は目的を妨げない限度において、使用を許可することができるとされています。また、同法に基づき定められた東京都公有財産規則においては、国又は地方公共団体が公用・公共用に使用する場合など、使用許可できる場合が限定列挙されています。
地元区市町村が災害に備える目的で、都営住宅敷地内に備蓄倉庫等を設置する場合、区市町村から都に使用許可申請がなされれば、同規則に基づき、都営住宅の管理上支障がないときは、使用許可を行っています。
公社住宅についても、都営住宅に準じた取扱いを行っています。

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  かち佳代子

質問事項
一 放射能汚染対策について


一 放射能汚染対策について
1 都内の面的汚染について
都は、「都内は面的には放射能汚染されていない」としていますが、その根拠は「汚染状況重点調査地域」がないことです。しかし、その根拠には、問題があります。
そもそも葛飾区は、国に提出した「汚染状況重点調査地域の指定についての意見」の中で、葛飾区は「汚染状況重点調査地域に該当」することを認めています。
ア 汚染状況から判断すれば、都内にも面的に汚染されている地域があるということです。違いますか。
葛飾区が「汚染状況重点調査地域」への指定を留保している理由は、汚染状況からではなく「財政負担」「除去対策にかかわる基準」が具体的に示されていないからです。
この回答を受けた国は、「(この指定希望は)汚染状況から判断するもの」であるので、区の理由には無理があるという見解を示しました。
葛飾区は、国のこの見解にたいして、何の意見も明らかにしていません。
イ 都は、この国の見解について、どのような見解を明らかにしていましたか。
ウ 都は、汚染状況重点調査地域の指定にあたって、ガイドラインにもとづく具体的な検討をしたのですか。その検討過程を具体的に示して下さい。
わが党の調査、市民団体の調査によっても、都内東部地域では、汚染状況重点調査地域のガイドラインが示す「字」単位では一定の広がりをもって汚染されています。こうした地域をガイドラインにそって除染するためには、該当区自身が、汚染状況重点調査地域指定を申請することが要件になります。
葛飾区は、指定していませんが地表1センチ高で毎時1マイクロシーベルト以上の場合、除染しています。
エ 仮に、都内の該当区が「財政負担」「除去対策にかかわる基準」など、汚染状況以外の理由で指定をためらっているのであれば、住民の生命と健康を第一に考え、除染をすすめるために、国に問題点の改善を要請するとともに、該当区への支援にこそ力を入れるべきではありませんか。
東部地域には東京ブランドのコマツナも生産されるなど生産緑地が数多くあり、農業生産者がいます。
オ 都内産の農産物について風評被害から守るために、都内産農産物の放射性物質検査の頻度を増やしてはどうですか。農業者も、消費者も安心すると思いませんか。
カ 昨年第3回定例会で、私が農地土壌の検査を求めたのに対し、実施すると答弁しています。都民からの情報によれば、ハウスの雨どい周辺など農地にもホットスポットがあり、きめ細かな調査が必要です。また、汚染対策、農産物の測定と一体ですすめないと、風評被害も広がりかねません。農地の測定・汚染対策にたいして、都として区市町村、JA、農業生産者への支援策を打ち出してはどうですか。
2 葛飾区都立水元公園のホットスポットについて
わが党の6月8日、10日の調査で、葛飾区都立水元公園において、地上1メートル高で空間放射線量が毎時1.10マイクロシーベルトの地点、1キログラムあたり25万1千ベクレル、11万2千ベクレルという放射性物質が測定された土壌がありました。
水元公園については、私たちは、これまで具体的な測定値を示しながら、くり返し、きめ細な測定と除染・対策を求めてきました。今年2月の調査で2万ベクレルを超えた土壌があったことも示し、土壌、落葉などの処理については万全の対策をとることなどを求めてきました。
しかし、公園サービスセンターの責任者は、公園内の放射性物質に関するそれらの状況については、都からは何も聞いていないと言っています。大変驚きました。
第2回定例会で、地上1メートル高で空間放射線量が毎時1.10マイクロシーベルトの地点について、環境局長は、文科省から要請を受けたから、念のために現地調査を行ったと言いました。再質問で文科省の要請がなかったら、測定もしなかったということですかとの質問に、まともな答弁がありませんでした。
ア そもそも、私たちが6月9日、その測定結果を都に伝えたわけですから、都は「放射性物質による環境の汚染への対処に関する基本方針」に従って、文科省にその趣旨を連絡するべきでした。違いますか。
同じく第二回定例会で、都は「ガイドラインに基づき、都の判断として適切に対応している」「ご指摘のデータは、あくまでも局所的なもので、そもそも滞在時間が短いこと、少しでも離れれば放射線量は大幅に減衰することを確認しており、除染など特段の対応は必要ない」との立場を表明しました。
国が3月に発表した「放射性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドライン」によれば、「地表から1メートル高さの空間放射線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所」は、「一つの目安とし、実際には局所的汚染箇所の周辺における人の利用状況等を勘案して対処方法を検討する」としています。
環境局長も、第一回定例会でわが党の質問に「(都の示す基準は)福島県以外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安」「地域内の除染にあたって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安」と答弁しました。
イ そもそも地上1メートル高で毎時1マイクロシーベルト以上という目安については、日本共産党都議団が原子力災害対策本部で直接説明を受け、その考え方について確認しましたが、「この基準は機械的に決めたもの。健康への影響だとか、何か科学的根拠をもったものではない」ということです。違いますか。
ウ 毎時1.10マイクロシーベルトの測定値は、同ガイドラインのように「有意に高い」「目安」として、対応すべきではないのですか。
エ また、同ガイドラインでは、このような「目安」に相当する高い空間放射線量率の地点は「詳細な汚染原因・規模等の推定のための調査の実施」をするとしています。都は、この地点について、ガイドラインに沿って、いつ、どのように調査をしたのですか。
オ 私たちが見たところ、ここには側溝や池の泥を集め、積み重ねたような形跡がありましたが、どこからのものかということまで調べましたか。
カ 都は、同ガイドラインにそって、どのように対応したのか、具体的に答えて下さい。
キ 福島原発事故の放射性物質に対し、国は「人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」「(除染等にあたっては)とりわけ子どもへの対応に十分配慮することが必要であり、子どもの生活環境(学校、公園等)において優先的に実施する」との方針です。違いますか。
ク 水元公園の25万ベクレルの「黒い土」は、そのわずか150グラムで、法律的には放射線管理区域内で管理されないといけない、大変危険なものです。どうですか。
ケ たとえば乳児が、25万ベクレルのわずか1gを口にしただけで5.6マイクロシーベルトの内部被ばくに試算されます。そんな高濃度の土壌を、何の対策をとらずに放置しておいて子どもたちが遊んでも健康に影響がないという都の科学的根拠について、一般論ではなく具体的に示してください。
コ 同公園では、側溝や池の泥、落葉などの処理をどのようにしていますか。
サ それらの放射能汚染について、リスク管理は、どのようにしているのですか。
シ 都は、水元公園の管理責任者として、公園内の高濃度の土壌、落葉などに接触する清掃など作業者にたいして、放射能の影響を極力おさえるべく、配慮すべきではありませんか。都として、どのように認識していますか。
3 都内のホットスポットについて
日本共産党都議団は、今年2月から6月、主に東京の臨海部から東部地域にかけての空間放射線量及び土壌の放射性核種濃度測定等を行いました。
全体として、空間放射線量は昨年と比べて減っているものの、雨水が流れ込み溜まり易く水はけの悪い地点では、上昇ないしひき続き比較的高い測定値が出ています。土壌については、街路樹の植込みや雨水が流れ込み水はけの悪い箇所などで、1キログラムあたり8千ベクレル以上の高濃度放射性物質になっています。特定箇所に放射性物質が蓄積・集中していることが明らかになりました。都内の臨海部から東部地域には、こうしたホットスポットが数多く散在しています。
ア 都は、都内の東部地域を中心に分布しているホットスポットについて、どのように認識していますか。その根拠も示して下さい。
都は、東部のわずか3つの公園のサンプリング調査だけで、地上1メートルで毎時1マイクロシーベルトを超えるところはない、ホットスポットからわずかに離れるだけで大幅に線量が減衰するなどと言って、きめ細かな測定と除染を拒否しています。
こうした都の姿勢では、都内のホットスポットの正確な状況を把握することはできません。たとえば、私たちの調査で、江戸川区平井3丁目の都営アパート団地内の空地では、地上1メートル高で空間放射線量0.32マイクロシーベルト、1キログラムあたり放射性セシウム濃度が55,500ベクレル検出されました。
遊具がたくさん置かれた公園が隣接し、保育園も近くにあります。だれもが自由に出入りできるところです。
イ 都民から、この地点の放射線量等について都の担当部署などに情報が寄せられたことはありますか。都は、どのように対応してきましたか。それぞれ、寄せられた情報の日時、情報内容、都の対応内容を明らかにしてください。
ウ 都は、住民から寄せられた都内のホットスポットの情報提供等について、何件よせられているのですか。その情報はどのように管理、対応されているのか。月別に、件数、内容、対応内容をそれぞれ示してください。
エ 都内の各所を測定していると、街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などの放射性物質がたまりやすい土壌でさえも、花壇・街路樹の植込内へ処分している様子が見受けられます。
こうした行為は放射性物質を凝集・濃縮する可能性があり危険です。放射能から子どもたちを守る上で、このような行為を中止するよう、都民、業者への広報を徹底することが大事だと思いますが、どうですか。
オ 街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などで放射線量が高い土壌が発見された場合は、都として責任もって処分できるようにするよう求めます。
4 保育園における給食の放射能測定の実施について
1年前の福島原発事故以来、放出された放射能汚染の広がりは目に見えず、食物の中に、基準値を超える放射性物質が、あるのかないのか、特に乳幼児をかかえる父母にとっては、不安がぬぐえません。また、日常生活のなかで、呼吸や経口的に吸収しているかもしれない低線量内部被爆の問題が、将来、子どもたちの健康にどのような影響をあたえることになるのかなど、未知数であり心配はつきません。
ア 唯一言えることは、人工的に作られた放射性物質は限りなくゼロにすることが望ましいということであり、そのために、東電も国も地方自治体も最大限の努力をすることだと思いますがいかがですか。
本年4月から、食品に含まれる放射性物質の残留基準が改定されました。一般食品は100ベクレル、牛乳・乳児用食品は50ベクレル、水は10ベクレル以下になりました。しかし、幾ら基準が厳しくなっても、全食品が測定されていなければ、意味がありません。
現在、出荷時や、中央卸売市場にて抜き取り検査はしているものの、全数チェックはできていません。その意味においても、小中学校での給食調査を実現したことは、子どもたちの健康保持と都民の不安に応える上で、重要なことです。しかしながら、子どもたちのなかでもより影響を受けやすい保育園児などの給食については、都としてなんら対策がとられておらず、区市町村任せとなっています。
イ 放射能の影響をより受けやすい乳幼児を対象とする、保育施設における給食食材の放射性物質検査の必要性について、都はどのように認識していますか。
わが党は、都内53自治体(島しょ地域を除く)を対象に「保育施設における給食の放射性物質検査に関するアンケート調査」を行い、その実態と傾向が、あきらかになりました。
全区市町村のなかで、保育園の給食食材の放射能検査をしている自治体は、「実施している」が、27件、「実施の予定」が6件、「昨年実施した」が4件で、あわせて66%。「実施しない」が、18件で34%でした。回数は、ともかく、これまでに1回以上、給食食材の検査をしたことがある自治体が、3分の2をこえているのです。
実施しているもののうち、直営が7件・委託が20件でした。その経費については、2200万円余からゼロ円(大学や企業の好意で)まで、かなりの幅があります。
委託会社もそれぞれであり、その信ぴょう性に不安を感じている自治体もありました。経費に至っては、量と頻度にもよりますが、これも、大きく格差があります。
直接区民・市民の子どもたちにかかわる自治体として、やむにやまれず、その不安に応えようとしている姿勢が伺えます。しかし、なんら、食材測定における基準が示されたわけではありません。悩みながら、現実的なやり方で対応しているのです。そのため、検査方法も、頻度もバラバラです。
都への要望欄には、「費用負担の補助をしてほしい」あるいは「機器を無償配布してほしい」「学校給食と同様に、希望する自治体に食材検査ができるようにしてほしい」など、まずなによりも、費用負担に対する支援を求めています。
ウ 都として、学校給食の測定方法に準じた、区市町村への測定機器の貸し出しか、補助金制度の創設をもとめるものですが、どうですか。
また、直営で、検査を実施あるいは、今後予定の自治体が、増加していくにあたり、専門的な職員が必要となるため、運用面や技術的なサポートの支援を求めています。
エ 広域行政の都の役割として、技術面でのサポート支援が必要であるとおもいますが、どうですか。

平成24年第二回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 放射能汚染対策について
  1 都内の面的汚染について
ア 都は、汚染状況重点調査地域がないことにより、都内は面的には放射能汚染されていないとしているが、葛飾区は汚染状況重点調査地域に該当することを認めている。汚染状況から判断すれば、都内にも面的に汚染されている地域があるということだが、都の見解を伺う。

回答
葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空間放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定について要請する考えはない。」との見解を述べています。
実際に、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。
また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量について、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。
このような状況から、都は、葛飾区が面的に汚染されているとは考えていません。

質問事項
 一の1のイ 葛飾区が、汚染状況重点調査地域指定を留保している理由は、汚染状況からではなく「財政負担」「除去対策にかかわる基準」が具体的に示されていないからであり、この回答を受けた国は、「(この指定希望は)汚染状況から判断するもの」であるので、区の理由には無理があるという見解を示したが、この国の見解に関し都の所見を伺う。

回答
国は、汚染状況重点調査地域の指定に当たっては、航空機モニタリング調査結果に加え、空間線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上となる地域の面積の大きさ、空間線量の減衰状況、区市町村の意見なども参考にし、指定するとしています。
都内において、汚染状況重点調査地域に指定された区市町村はありません。
なお、葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空間放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定について要請する考えはない。」との見解も述べています。

質問事項
 一の1のウ 都は、汚染状況重点調査地域の指定にあたり、ガイドラインにもとづく具体的な検討をしたのか。その検討過程について伺う。

回答
汚染状況重点調査地域は、国が区市町村単位で指定するものです。
都は、国からの事務連絡を区市町村に通知すること、区市町村の事務連絡を国に通知することなどの役割を担っています。
なお、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。
また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量について、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。
したがって、都は、葛飾区が汚染状況重点調査地域に該当するとは考えていません。

質問事項
 一の1のエ 都内の各自治体が「財政負担」「除去対策にかかわる基準」など、汚染状況以外の理由で指定をためらっているのであれば、国に問題点の改善を要請するとともに、各自治体への支援にこそ力を入れるべきだが、都の見解を伺う。

回答
平成23年11月に提出された葛飾区からの汚染状況重点調査地域の指定に係る意見書には、「財政負担及び事故由来放射性物質の除去対策に係る基準等が示されていないため、指定を希望するか否かの判断をすることが困難」との内容がありました。
その後、葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空間放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定について要請する考えはない。」との見解を述べています。
実際に、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。
また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量について、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。
このような状況から、都は、葛飾区が汚染状況重点調査地域に該当するとは考えていません。

質問事項
 一の1のオ 都内産の農産物について、風評被害から守るために、放射性物質検査の頻度を増やしてはどうか。都の見解を伺う。

回答
都は、平成23年3月20日から独自に都内産農林水産物等の放射性物質の検査を行い、平成24年7月6日現在で、合計904検体の検査を実施しています。
今後とも、都内農林水産物の安全安心の確保と風評被害防止の観点から、放射性物質検査を継続して実施し、結果を公表していきます。

質問事項
 一の1のカ 農地の測定・汚染対策に対して、区市町村、JA、農業生産者への支援策を打ち出してはどうか。都の見解を伺う。

回答
農地土壌の放射性物質検査については、国が検査を行い、都内の農地のある43自治体の農地土壌の結果は、平成24年3月に公表されています。
土壌の放射性物質については、水田以外に基準がないことから、都としては、実際に人が食べる農産物の検査を実施しています。
都は、都内農林水産物の安全安心の確保と風評被害防止の観点から、今後とも、放射性物質検査を継続して実施し、結果を公表していきます。

質問事項
 一の2 葛飾区都立水元公園のホットスポットについて
    ア 都立水元公園において、地上1メートル高で空間放射線量が毎時1.10マイクロシーベルトの地点、1キログラムあたり25万1千ベクレル、11万2千ベクレルという放射性物質が測定された土壌があったが、都は「放射性物質による環境の汚染への対処に関する基本方針」に従って、文科省にその趣旨を連絡するべきだったが見解を伺う。

回答
平成23年10月21日付けで内閣府、文部科学省及び環境省から出された「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」及び文部科学省の「放射線測定に関するガイドライン」(以下、「文部科学省のガイドライン」という)では、地表から1メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い箇所を簡易な除染の目安としています。
同対応方針及び文部科学省のガイドラインでは、周辺より放射線量の高い箇所の報告については、地方公共団体または、民間団体等が発見した場合、文部科学省へその旨の連絡を行うとともに、可能な範囲で簡易な除染を行うよう要請するものとされています。
平成24年6月9日の通報では、地表から1メートルの高さの空間線量率が毎時1.10マイクロシーベルトとのことであり、文部科学省のガイドラインの目安を超えていないと判断しました。

質問事項
 一の2のイ そもそも地上1メートル高で毎時1マイクロシーベルト以上という目安については、原子力災害対策本部で直接説明を受け、その考え方について確認したが、「この基準は機械的に決めたもの。健康への影響だとか、何か科学的根拠をもったものではない」ということであった。都の見解を伺う。

回答
国は、平成23年10月、「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」を示しました。この方針によると、「地表から1メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所」を簡易な除染を行う場合の目安としています。
国からは、この目安は、福島県外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安であり、地域内の除染に当たって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安と聞いています。
都は、平成23年11月、同対応方針及び文部科学省のガイドラインに基づき、都内では比較的空間線量が高い区部東部の3区を対象とし、局所的な放射線量の調査を行いました。
調査の結果、この目安を上回る地点はなく、また、測定地点の中で、高さ1センチメートルの位置における比較的空間線量の高い地点で、距離による減衰度合いを詳細に確認した結果、わずかに離れただけで大幅に減衰していることが確認できました。都は、この目安は、都内における局所的汚染箇所への対応を図るに当たって、妥当なものであると認識しています。

質問事項
 一の2のウ 毎時1.10マイクロシーベルトの測定値は、ガイドラインのように「有意に高い」「目安」として対応すべきではないのか、都の見解を伺う。

回答
貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。
その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。
この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。
また、都が平成23年11月に行った水元公園内の12地点における局所的な放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.21マイクロシーベルトから0.44マイクロシーベルトであることを、葛飾区が平成23年10月に行った水元公園内の6地点における空間放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.22マイクロシーベルトから0.37マイクロシーベルトであることも確認しています。

質問事項
 一の2のエ ガイドラインでは、このような「目安」に相当する高い空間放射線量率の地点は「詳細な汚染原因・規模等の推定のための調査の実施」をするとしているが、都は、この地点について、ガイドラインに沿って、いつ、どのように調査をしたのか伺う。

回答
貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。
その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。
この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。
また、都が平成23年11月に行った水元公園内の12地点における局所的な放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.21マイクロシーベルトから0.44マイクロシーベルトであることを、葛飾区が平成23年10月に行った水元公園内の6地点における空間放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.22マイクロシーベルトから0.37マイクロシーベルトであることも確認しています。

質問事項
 一の2のオ 測定箇所には側溝や池の泥を集め、積み重ねたような形跡があったが、どこからのものかということまで調べたか伺う。

回答
貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。
その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。
この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。

質問事項
 一の2のカ 都は、ガイドラインにそって、どのように対応したのか、具体的に伺う。

回答
貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。
その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。
この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。

質問事項
 一の2のキ 福島原発事故の放射性物質に対し、国は「人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」「(除染等にあたっては)とりわけ子どもへの対応に十分配慮することが必要であり、子どもの生活環境(学校、公園等)において優先的に実施する」との方針だが如何か。

回答
文部科学省のガイドラインは、「人、特に子どもの集まる公的スペース等において放射線を測定するに際して参考となるもの」として作成されたものです。

質問事項
 一の2のク 都立水元公園の25万ベクレルの「黒い土」は、そのわずか150グラムで、法律的には放射線管理区域内で管理されないといけない大変危険なものだが、都の見解を伺う。

回答
東京電力福島第一原子力発電所の事故による状況に対応するため、放射性物質汚染対処特措法や文部科学省のガイドラインが作られており、これらを踏まえて対応することが適切です。
放射性物質汚染対処特措法や文部科学省のガイドラインでは、除染の判断は、地上1メートルの高さの空間線量で評価するものとされています。

質問事項
 一の2のケ 高濃度の土壌を、何の対策をとらずに放置しておいて子どもたちが遊んでも健康に影響がないという都の科学的根拠について、一般論ではなく具体的に伺う。

回答
文部科学省が平成23年5月に公表した「『暫定的考え方』の取りまとめに際し検討した内部被ばくに関する算定結果と根拠」によれば、福島県におけるデータを使用した算定でも、学校グラウンドの利用に伴う土の吸入や口からの摂取などによる被ばく量の全体に対する割合は非常に小さいと推計され、空間線量の影響が大半を占めるとされています。
また、局所的に比較的高線量である地点の場合、そもそも滞在時間が短く、さらに、少し離れれば空間線量の大幅な距離減衰が見込まれることから、空間線量の影響も少なく、除染等の対応は必要ないと考えています。

質問事項
 一の2のコ 都立水元公園では、側溝や池の泥、落葉などの処理をどのようにしているか伺う。

回答
落葉については、歩行者、自転車、自動車のスリップ事故の予防や美観の保持を目的として、園路や駐車場において清掃を行っています。
また、園路や広場の側溝等に堆積する泥についても清掃を行っています。
これらの清掃で発生する落葉や泥は、原則として公園外に出さずに、自然に還すこととしています。

質問事項
 一の2のサ それらの放射能汚染について、リスク管理はどのようにしているのか伺う。

回答
放射性物質汚染対処特措法に基づき、国は、環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な「汚染状況重点調査地域」を都内では指定していません。
このため都立公園においては、文部科学省のガイドラインに基づき対応することとしています。

質問事項
 一の2のシ 都は、都立水元公園の管理責任者として、公園内の高濃度の土壌、落葉などに接触する清掃など作業者にたいして、放射能の影響を極力おさえるべく、配慮すべきではないか。都として、どのように認識しているか伺う。

回答
放射性物質汚染対処特措法に基づき、国は、環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な「汚染状況重点調査地域」を都内では指定していません。
なお、文部科学省のガイドラインに基づき除染を行う場合には、平成23年12月22日付けで厚生労働省から出された「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」に準じて行うこととしています。

質問事項
 一の3 都内のホットスポットについて
    ア 都は、都内の東部地域を中心に分布しているホットスポットについて、どのように認識しているか。その根拠についても伺う。

回答
そもそも、都内の空間線量は、関東地方の中でも高い水準になく、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域はありません。
局所的汚染については、文部科学省航空機モニタリング調査及び福祉保健局100箇所調査から、都内では比較的空間線量が高いことが示された区部東部の3区を対象とし、都は、平成23年11月、文部科学省のガイドラインに従って、都有施設における局所的な放射線量の調査を行いました。
調査の結果、同ガイドラインの目安である、「地上高さ1メートルの位置で周辺より放射線量が毎時1マイクロシーベルト以上高い地点」はありませんでした。
測定地点の中で、地上高さ1センチメートルの位置では、比較的線量の高い地点が数箇所あったため、それらの地点では、距離による減衰度合いを詳細に調査した結果、わずかに離れるだけで大幅に減衰していることが確認できました。
都は、この調査において、地上高さ1センチメートルの位置で比較的空間線量が高かった地点について、継続調査を行っており、平成24年5月までに、大半の地点で時間的に減衰していることを確認しています。

質問事項
 一の3のイ 江戸川区平井三丁目の都営アパート団地内の空き地では、地上1メートル高で空間放射線量0.32マイクロシーベルト、1キロあたり放射性セシウム濃度が55,500ベクレル検出されたが、都民から、この地点の放射線量等について都の担当部署などに情報が寄せられたことはあるか。都は、どのように対応してきたか。それぞれ寄せられた情報の日時、情報内容、都の対応内容について伺う。

回答
都営住宅を管理している都市整備局には、5月下旬に、平井三丁目の都営住宅団地の自治会から、団地内の放射線量等の情報が寄せられました。その内容は、団地内広場で測定したところ、地表から1メートルの空間放射線量が毎時0.33から0.38マイクロシーベルト、同地点の放射能が1キログラム当たり26,900ベクレルであった、というものです。
また、5月下旬に、都民の方から連絡があり、同団地の放射線量等について、上記と同様の情報が寄せられたほか、空間放射線量等の高い地点に立入りできないような対策を取るとともに、都により清掃を行うよう要望がありました。
寄せられた情報における測定結果では、地表から1メートルの高さの空間放射線量が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値に達していないことから、文部科学省のガイドラインに基づき、都として対応は行わないことを自治会、都民の方に説明しました。

質問事項
 一の3のウ 都は、住民から寄せられた都内のホットスポットの情報提供等について、何件よせられているか。その情報はどのように管理し、対応しているのか。月別に、件数、内容、対応内容について伺う。

回答
都は、都内の局所的な箇所における放射線量に関する都民からの情報提供に適切に対応しています。
平成23年10月7日から平成24年6月22日までに、都内の局所的な箇所における放射線量に関する都民からの情報提供で、環境局に寄せられた総件数は、40件ありました。
月別にみると、平成23年の10月は7件、11月は4件、12月は1件でした。
平成24年の1月は5件で、うち1件は事故由来放射性物質ではないため、地元区と文部科学省が連携して対応しました。
2月は6件、3月は3件でした。
4月は8件で、うち3件は毎時1マイクロシーベルトを超えるとの連絡がありましたが、いずれも、地元区や都が測定した結果、文部科学省のガイドラインの目安を下回っていることを確認しました。
5月は2件でした。
6月は4件で、うち貴党の調査結果で毎時1マイクロシーベルトを上回ったことから、貴党の通報を受けて都が対応したケースが3件ありました。

質問事項
 一の3のエ 街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などの放射性物質がたまりやすい土壌を、花壇、街路樹の植込内へ処分している様子が見受けられる。こうした行為は放射性物質を凝集・濃縮する可能性があり、このような行為を中止するよう、都民、業者への広報を徹底することが大事だが、都の見解を伺う。

回答
平成23年10月に公表された文部科学省のガイドラインによると、高い線量率が予測されるポイントとして、雨どい、側溝、側溝の泥土などが挙げられています。
都は、適切な対応を促すため、既に、このガイドラインについて、環境局ホームページを通じて周知しています。

質問事項
 一の3のオ 街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などで放射線量が高い土壌が発見された場合は、都として責任をもって処分できるようにするよう求めるが、見解を伺う。

回答
都は、対応が必要なケースが生じた場合は、文部科学省のガイドラインに従って適切に対応しています。

質問事項
 一の4 保育園における給食の放射能測定の実施について
    ア 福島原発事故以来、食物の中の基準値を超える放射性物質の有無や、日常生活の中での低線量内部被曝の問題があるが、人工的に作られた放射性物質は限りなくゼロにすることが望ましく、東電も国も地方自治体も最大限の努力をすることだと思うが、都の見解を伺う。

回答
内部被ばくは、放射性物質を含む空気、水、食品などを体内に取り込むことで起こります。
都では、大気中の浮遊塵や水道水について、毎日測定を行い、結果を公表しています。
また、食品については、国が定めた基準値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築しています。さらに、国の研究機関では、生産地における検査の効果を検証するため、流通段階での検査を行っています。
都では、これに加え、都内小売店で流通している食品について、都民が日常的に摂取する野菜類や、子供が継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を独自に実施しています。
国の発表によれば、国や地方自治体等において、6月末までに約19万件の食品が検査され、基準値を超えたものについては速やかに出荷や流通が停止されています。

質問事項
 一の4のイ 放射能の影響をより受けやすい乳幼児を対象とする、保育施設における給食食材の放射性物質検査の必要性について、都の認識を伺う。

回答
食品については、国が定めた基準値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築しています。
都においては、これに加え、都内小売店で流通している食品について、都民、特に子供が日常的・継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しています。
その検査結果は、都のホームページで速やかに公表しており、これまで基準値を超えたものはありません。
国の発表によれば、国や地方自治体等において、6月末までに約19万件の食品が検査され、基準値を超えたものについては速やかに出荷や流通が停止されています。
このように、生産段階、流通段階それぞれで検査が行われており、保育施設における給食用食材を含め、食品の安全が確保されていると認識しています。

質問事項
 一の4のウ 都として、学校給食の測定方法に準じた、区市町村への測定機器の貸し出しか、補助金制度の創設を求めるが、見解を伺う。

回答
都は、これまで、住民に身近な区市町村が、食品等の放射性物質の測定を行うに当たり、東京都消費者行政活性化基金を活用し、検査機器の購入や検査の委託費用等を支援してきました。
また、平成24年5月からは、区市町村等からの依頼に基づき、学校給食用食材を検査するための体制を整備し、検査を実施しています。
都内の区市町村においては、保育施設の給食用食材についても検査の実施が進んでおり、都は、こうした取組を支援するため、現在、検査体制の整備を図っています。

質問事項
 一の4のエ 直営で、検査を実施或いは、今後、実施予定の自治体が、増加していくに当たり、専門的な職員が必要となるため、運用面や技術的なサポートの支援を求めている。広域行政の都の役割として、技術面でのサポート支援が必要であるが、見解を伺う。

回答
都では、区市町村による検査の結果、必要な場合には、ゲルマニウム半導体核種分析装置による確定検査や、食材の流通調査等を行うなど、その取組を支援しています。
また、検査方法等について、区市町村から相談があれば、適宜、助言等を行っています。

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  吉田信夫

質問事項
一 防災対策の抜本強化について


一 防災対策の抜本強化について
都政にとって、東京を直撃する地震から都民の生命、財産を守るための防災対策の強化は最優先課題となっている。そのために、東日本大震災の教訓を生かし、起こりうるあらゆる可能性を想定し、ハード、ソフトの両面での対策強化が求められている。
しかしこれまでの都の対応や答弁では、きわめて不十分な問題が残されており、そうした個別課題ごとに都の認識と対応を伺う。
1 河川堤防の耐震強度について
河川堤防の耐震化は、東部低地帯をかかえる東京都にとって防災対策のなかでも重要課題である。都は、河川堤防の耐震補強について、「関東大震災時の震度に対して耐震補強を行い、一定の安全性を確保してきた」というが、国土交通省の研究機関は、これまでの構造物の耐震性の考え方について、ある程度の大きな地震にも耐えられるだろうと考えていただけであり、実際に非常に大きな地震をうけても安全性が確保できるかどうかは診断していなかったと論文でも認めている。
レベル2タイプ1、すなわち関東大震災での東京周辺の揺れを想定した国の新しい検査指針は、つい最近つくられたばかりであり、都はこの新しい指針をふまえて、昨年12月から検査をし、これから耐震化の計画をたてる、これが実際のところである。
ア 都は第2回定例会でわが党の質問に「一定の安全性」と答えたが、「一定」とはどういうことか。一定という言葉を使うこと自体、ある程度の安全性しかないことを認めていることではないのか。
イ 不十分な状況でありながら、十分であるかのような都民に誤解を招く表現を使うことは、震災にたいする備えを緩ませ、実際の震災のときに被害を拡大させかねないのではないか。
ウ 国の研究機関も、これまで非常に大きな地震を受けても安全性が確保されているか確かめてこなかったと認めているのだから、大正関東大地震規模の地震にたいして、現在の河川堤防が耐震性を保持していると明言できないのではないか。
エ それでも、大正関東地震規模の地震動に耐えられるとするなら、その根拠を具体的事実でしめされたい。
2 中小河川の危険性について
都は、立会川など川幅の狭い河川について、想定地震にてらして水害が発生するおそれがあり、どのように検討してきたのか、とのわが党の代表質問にたいし、「立会川など東京湾に流入する中小河川につきましては、今回想定された津波よりも高い高潮に備える対策区間とされており、おおむね安全性は確保されて」いると答弁した。しかしその根拠は示されず、きわめて疑問である。
ア 立会川等東京湾に流入する中小河川の高潮対策は、都のどのような計画にもとづいて行われているのか。その計画はいつ策定したものか。その進捗状況はどのようになっているのか。
イ 立会川において、高潮の河川域への遡上高は何メートルと想定しているのか。また、高潮の想定遡上高にたいし、河川の堤防の高さはどのように設定されているのか。
ウ 今回の津波の計算では、立会川河口部で何メートルの津波を予想しているのか。
エ 立会川の川幅は、運河の幅よりも狭まるものになる。津波の東京湾に流入する中小河川への遡上についても、シミュレーションを行うことが必要と考えるがどうか。
3 湾岸部の危険物対策について
千葉、神奈川など東京湾岸には石油タンクをはじめ危険物施設が多数集中し、地震等によって破損すれば、巨大火災、燃料の湾内への流出によって、東京にも深刻な影響を及ぼす。東京湾が使用不能となり燃料の供給が止まれば、たちどころに都民生活と東京の経済に深刻な影響を及ぼすことは必至だ。
ところが都は国の施設や地盤についての調査、検討結果をふまえ、国に対し働きかけていくとの態度をとってきましたが、すでに国は調査をおえ、昨年末に検討会報告が発表されている。
ア 都は、国の調査結果と検討会報告をどのように評価しているのか。液状化や側方流動の危険性など地盤の状況とその対応に関しては不十分と思うが、どのように認識しているのか。
イ 国の検討会報告をうけて、都として、国にどのように対策を要望していくのか。
ウ 国まかせの姿勢では、住民の生命と財産を守るという責任を果たせない。他県市と共同で、事業者にたいし、地盤や施設の耐震化状況と対策について報告を求めるとともに、必要に応じて直接調査を実施すべきではないか。
4 造成宅地対策について
東日本大震災において、造成宅地で住宅の深刻な被害がおきており、都の被害想定も重視し、新たに人工造成地での住宅損壊の被害を想定している。したがって都として、造成宅地対策を強化することが求められている。
都は、国によって宅地耐震化事業の抜本見直しが行われているという理由で、大規模造成宅地の調査事業を中断している。しかし、国の見直し結果は、事業の中止や廃止ではなく、事業の推進であり、そのためにガイドラインの改定を行い今年4月都道府県に通知し、さらに6月20日には全国担当者会議を開催する。
ア 国のこうした方針を都としてどううけとめ、対応するのか。
イ 東京都震災対策事業計画にかかげながら中断している大規模造成宅地対策を再開すべきだ。
5 都営住宅の耐震化について
わが党は、都内住宅の耐震化のなかでも、都が管理している都営住宅の耐震化がもっとも遅れていることを指摘し、100%の耐震化計画をたてその実現に努力することを要求してきた。都も、耐震診断の結果をうけて都営住宅耐震化プログラムを改定すると答弁してきた。
ア 都は第2回定例会で100%耐震化を2020年度としたが、なぜ2020年度か、もっと早めるべきではないか。
イ 都営住宅耐震改修プログラムの改定を明らかにしてから数カ月が経過している。住民の不安解消のためにも早急に示すべきではないか。
6 道路災害対策について
ア 阪神淡路大震災でも東日本大震災でも、地震動によって道路に亀裂が走り、液状化によって陥没がおきるなど、深刻な被害がおきた。前々回の想定では、道路が液状化した場合の影響を調査し、図上に示し、沿道の延焼火災によって通行不能の状態がどの地域で起きるかまで示したが、なぜ今回はこうした被害想定を行わなかったのか。
道路の液状化想定、沿道の延焼火災の道路への影響想定を行い示すべきであり、また、その対策も検討すべきと考える。
イ また、前回の想定では、地震時の交通事故の発生やそれにともなう人的被害まで推計したにもかかわらず、今回の想定ではなぜ実施しなかったのか。発生が低いという認識か、対策は必要ないという判断か。
ウ 震災時に懸念される通行車両の火災について、第2回定例会のわが党の代表質問にたいし、都は手法が確立されてないとの理由から想定を行っていないと答弁した。定量的想定は困難であっても、車両火災の可能性についてどのように認識しているのか。またこんご可能性の調査や対策についても検討が求められていると考えるがどうか。
7 火災対策について
ア 地震による火災対策のうえで、建物の不燃化促進などとともに、そもそも出火防災策を強化することが重要となっているが、どのように認識し、対策をとろうとしているのか。
阪神淡路大震災では火災の最大の原因は、地震後の通電火災である。感震ブレーカーの普及や、地震時にブレーカーを落とすとともに通電後に安易にブレーカーをあげないなどの注意点の周知をはかることも重要と考えるがどうか。
イ 火災の発生及び延焼を防止するうえでも、また避難計画を立てるうえでも、地域ごとに危険要因等を共通認識し、事前の対策や訓練を行うことが必要と考える。そのために、地域ごとの延焼シミュレーションを住民に示すことが重要と考えるがどうか。
ウ 消火活動のうえで、消防水利の確保は決定的に重要と考える。現在、消防水利の不足は何か所か。
不足分を充足するためにどのように対策をとっているのか。
また、消防水利確保のうえで、すでに足立区、杉並区で整備された深井戸からの消防用水確保は有効であり、火災危険度の高い地域を優先に整備をすすめるべきと考えるがどうか。

平成24年第二回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 防災対策の抜本強化について
  1 河川堤防の耐震強度について
   ア 都は、河川堤防の耐震補強について、関東大震災時の震度に対して耐震補強を行い、一定の安全性を確保してきたとしているが、「一定」とはどういうことか。一定という言葉を使うこと自体、ある程度の安全性しかないことを認めていることではないのか、都の見解を伺う。

回答
都は、これまで河川堤防などの耐震性を向上させるため、国の基準に基づき大正関東地震時の震度に対してスーパー堤防整備や堤防の耐震補強などの対策を進めてきました。
完了していない区間については、民地側の地盤が満潮面より高い地域、または対策が完了している水門の内側にある地域であることから、一定の安全性を有しています。
なお、平成23年3月の東日本大震災時の東京における震度は、東部低地帯の大部分で5強となっていますが、河川施設に損傷はありませんでした。

質問事項
 一の1のイ 不十分な状況でありながら、十分であるかのような都民に誤解を招く表現を使うことは、震災にたいする備えを緩ませ、実際の震災のときに被害を拡大させかねないのではないのか、都の見解を伺う。

回答
都は、これまで国の基準に基づき、大正関東地震時の震度に対して耐震対策を進めてきました。
さらに、都の防災会議が示したマグニチュード8クラスの海溝型地震等を対象とした河川施設の耐震性能の調査結果を踏まえ、新たな整備計画を策定していきます。
耐震強度が十分であるとの誤解を与えるものとは考えていません。

質問事項
 一の1のウ 国の研究機関も、これまで非常に大きな地震を受けても安全性が確保されているか確かめてこなかったと認めていることから、大正関東大地震規模の地震にたいして、現在の河川堤防が耐震性を保持していると明言できないのではないか、都の見解を伺う。

回答
河川施設の整備に際しては、大正関東地震等を考慮して定められた国の「河川砂防技術基準」に基づき設計を行っています。
都は、これまでこの国の基準に基づき、間断なく耐震対策を推進してきており、さらに、都の防災会議が示したマグニチュード8クラスの海溝型地震等を対象とした耐震性能の調査結果を踏まえ、新たな整備計画を策定していきます。

質問事項
 一の1のエ 現在の河川堤防が、大正関東地震規模の地震動に耐えられるとするなら、その根拠の具体的事実について伺う。

回答
河川施設の設計に際しては、大正関東地震等を考慮して定められた国の技術基準に基づいています。
さらに、都の防災会議が示したマグニチュード8クラスの海溝型地震等を対象とした耐震性能の調査結果を踏まえ、新たな整備計画を策定していきます。

質問事項
 一の2 中小河川の危険性について
    ア 立会川等東京湾に流入する中小河川の高潮対策は、都のどのような計画にもとづいて行われているのか。その計画はいつ策定したものか。その進捗状況はどのようになっているのか、伺う。

回答
都では、昭和34年に名古屋地方に史上最大の被害をもたらした伊勢湾台風を契機として、同台風級の高潮に対処できるよう昭和38年に東京高潮対策事業を計画し、着手しました。
平成23年度末までの整備率は、93パーセントとなっています。

質問事項
 一の2のイ 立会川において、高潮の河川域への遡上高は何メートルと想定しているのか。また、高潮の想定遡上高にたいし、河川の堤防の高さはどのように設定されているのか伺う。

回答
立会川においては、朔望平均満潮位であるT.P.プラス1.00(A.P.プラス2.10)メートルに、気圧の低下と風の吹き寄せによる海面上昇の高さである偏差2.00メートルと波打上高0.50メートルを加えたT.P.プラス3.50(A.P.プラス4.60)メートルを防潮堤の高さとしています。

質問事項
 一の2のウ 今回の津波の計算では、立会川河口部で何メートルの津波を予想しているのか伺う。

回答
今回の被害想定における立会川河口部周辺の津波高は、おおむねT.P.2.6メートルとなっています。

質問事項
 一の2のエ 立会川の川幅は、運河の幅よりも狭まるものになり、津波の東京湾に流入する中小河川への遡上についてもシミュレーションを行うことが必要と考えるが、都の見解を伺う。

回答
今回の津波に関する被害想定では、専門家の最新の知見を盛り込んだ地震モデルを設定した上で、中小河川の川幅などについても可能な限り考慮して最大津波高を算出しています。
今後は、こうした想定などを踏まえ、具体的な津波・高潮対策を講じていくことが重要です。
お話の立会川など、東京湾に流入する中小河川については、今回想定された津波よりも高い高潮に備える対策区間とされており、概ね安全性は確保されています。

質問事項
 一の3 湾岸部の危険物対策について
    ア 東京湾岸には石油タンクをはじめ危険物施設が多数集中し、地震等によって破損すれば深刻な影響を及ぼすが、都は、施設や地盤に関する国の調査結果と検討会報告をどのように評価しているのか。液状化や側方流動の危険性など地盤の状況とその対応に関しては不十分と思うが、都の認識を伺う。

回答
平成23年12月の国の検討会報告では、現状の液状化に関する技術基準は妥当であるとしています。東日本大震災における全国の液状化による被害件数や内容を踏まえれば、この報告内容は適切であると考えられます。また、この調査結果や報告を受け、国が事業者へ施設等の再確認や安全基準の遵守を求めたことは、当面の対応としては適当なものと考えます。

質問事項
 一の3のイ 国の検討会報告をうけて、都として、国にどのように対策を要望していくのか。

回答
これまでも九都県市では、石油タンク等に被害を及ぼす長周期地震動に関する研究や、その成果を活かした対策の推進について、国へ要望してきました。
今後、九都県市においては、石油コンビナート等民間企業の減災対策の促進について、国、自治体及び事業者の役割分担を踏まえ、共同研究を行った上で実効ある対策の推進を国に対して要望していくこととしています。

質問事項
 一の3のウ 国任せの姿勢では、住民の生命と財産を守るという責任を果たせない。他県市と共同で、事業者にたいし、地盤や施設の耐震化状況と対策について報告を求めるとともに、必要に応じて直接調査を実施すべきではないか。

回答
危険物施設の構造や地盤については、石油コンビナート等災害防止法や消防法などに基づき、国が厳格な技術基準を定め、事業者は、この基準に従い安全対策を講じる責務があります。
こうした取組の促進に向けて、九都県市では、国、自治体及び事業者の役割分担を踏まえた共同研究を行っていくこととしており、その中で、事業者の取組状況などについて把握していくこととしています。

質問事項
 一の4 造成宅地対策について
    ア 都は、国により宅地耐震化事業の抜本見直しが行われているという理由で、大規模造成宅地の調査事業を中断しているが、国の見直し結果は、事業の中止や廃止ではなく、事業の推進であり、そのためにガイドラインの改定を行った。国のこうした方針を都としてどううけとめ対応するのか、見解を伺う。

回答
国は、東日本大震災の被害状況を踏まえ、「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」を改正するとともに、「宅地耐震対策工法選定ガイドライン」を策定しましたが、宅地耐震化推進事業の進め方の抜本的見直しについては、引き続き、検討することとしています。
今後、都は、国の見直し結果を踏まえ、区市町村と連携しながら、適切な対応を図っていきます。

質問事項
 一の4のイ 都は、東京都震災対策事業計画にかかげながら中断している大規模造成宅地対策を再開すべきだが、見解を伺う。

回答
都は、これまで、国の通知を受けて、大規模盛土造成地の調査を実施してきましたが、現在、国において、宅地耐震化推進事業の進め方の抜本的な見直しが行われています。今後、国の見直し結果を踏まえ、区市町村と連携しながら、適切な対応を図っていきます。

質問事項
 一の5 都営住宅の耐震化について
    ア 都は、都営住宅の100%耐震化の目標を2020年度としたが、もっと早めるべきではないか。

回答
「2020年の東京」計画では、住宅の耐震化率を平成32年度に95パーセント以上に向上させることとしています。
都は、都営住宅については、平成32年度の耐震化率100パーセント達成に向けて、「都営住宅耐震化整備プログラム」の改定を行い、耐震化を計画的かつ着実に推進していくこととしています。

質問事項
 一の5のイ 都は、都営住宅耐震化整備プログラムの改定を明らかにしてから数ヶ月が経過しているが、住民の不安解消のためにも早急に示すべきではないか。

回答
これまでの診断結果等を踏まえ、平成24年7月、「都営住宅耐震化整備プログラム」を改定しました。

質問事項
 一の6 道路災害対策について
    ア 前々回の被害想定では、道路が液状化した場合の影響を調査し、図上に示し、沿道の延焼火災によって通行不能の状態がどの地域で起きるかまで示したが、なぜ今回の被害想定では行わなかったのか。道路の液状化想定、沿道の延焼火災の道路への影響想定を行い示すべきであり、また、その対策も検討すべきと考える。

回答
道路の液状化想定や沿道の延焼火災の道路への影響想定についてですが、今回の被害想定でも、最新の知見に基づき、各地震ごとの液状化危険度や焼失棟数を分布図として示すとともに、揺れや液状化現象によって道路周辺の家屋等が倒壊することにより通行できなくなる細街路も示しています。
都としては、既に、液状化対策として、橋梁など主要構造物の整備に当たっては、地質調査や道路橋示方書などの技術的基準に基づき、必要があると認められた場合には地盤改良や基礎部分の強化などの対策を実施してきています。
また、木密地域において、延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路の整備を進めるとともに、消火体制の充実・強化など延焼拡大を抑止するための対策を講じています。

質問事項
 一の6のイ 前回の被害想定では、地震時の交通事故の発生やそれにともなう人的被害まで推計したにもかかわらず、今回の想定ではなぜ実施しなかったのか、都の見解を伺う。発生が低いという認識か、対策は必要ないという判断か。

回答
地震時の交通事故の発生に伴う被害については、科学的知見に基づき精緻に算定する手法が確立されていないことから、今回は具体的な想定を行わなかったものです。
なお、発災時における交通事故の防止については、警視庁において、運転者の注意事項を盛り込んだ交通教則の徹底など、必要な対策を講じています。

質問事項
 一の6のウ 震災時に懸念される通行車両の火災について、都は、手法が確立されてないとの理由から想定を行っていないとしているが、定量的想定は困難であっても、車両火災の可能性についてどのように認識しているのか。また今後、可能性の調査や対策についても検討が求められると考えるが、見解を伺う。

回答
車両火災など車両にかかる被災については、今回の被害想定においても、既に定性的に示しています。
また、都としては、発災時に道路上の車両を極力抑制するために、交通規制の実施や、避難等の際に車両を使用しないよう啓発を図るなど、対策を着実に講じているところです。

質問事項
 一の7 火災対策について
    ア 地震による火災対策のうえで、建物の不燃化促進とともに、出火防災策を強化することが重要となっているが、どのように認識し、対策をとろうとしているのか。感震ブレーカーの普及や、地震時にブレーカーを落とすとともに通電後に安易にブレーカーをあげないなどの注意点を周知することも重要と考えるが、都の見解を伺う。

回答
地震時における出火防止対策を強化することは大変重要です。
このため、東京消防庁では従来から、防火防災診断、ホームページ等を通じて火気器具周辺の整理や家具類の転倒・落下・移動防止措置、感震ブレーカーの設置等を促進しています。
また、都民の地震時の行動をまとめた「地震その時10のポイント」の中で、地震後の出火防止対策として、避難時のブレーカー遮断や電源復旧時における電気器具の安全確認についての周知も図っています。

質問事項
 一の7のイ 火災の発生及び延焼の防止や、避難計画を立てるうえでも、地域ごとに危険要因等を共通認識し、事前の対策や訓練を行うことが必要であり、地域ごとの延焼シミュレーションを住民に示すことが重要と考えるが、都の見解を伺う。

回答
震災時における被害を軽減するためには、都民が地域特性及び地域の危険性を正しく認識することが重要です。このため、延焼シミュレーションなどを活用し地域の出火危険や延焼危険の周知を図り、実践的な初期消火訓練などを通じて、今後とも総合的な地域の防災力向上を図っていきます。

質問事項
 一の7のウ 消火活動のうえで、消防水利の確保は重要であるが、現在、消防水利の不足状況は如何か。不足分を充足するためにどのような対策をとっているのか。また、すでに足立区、杉並区で整備された深井戸からの消防用水確保は有効であり、火災危険度の高い地域を優先に整備をすすめるべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
東京消防庁では、震災時における同時多発火災や市街地大火を想定した水利整備基準を策定しており、平成24年3月末現在、概ね98パーセントの充足状況となっています。
不足地域に対しては、耐震性防火水槽の整備をはじめ、自然水利等の活用を図るなど、積極的な消防水利の確保に努めています。
また、深井戸については、消火用水が著しく不足する木造住宅密集地域を重点とし、平成24年度も一基整備することとしています。

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤 あつし

質問事項
一 障害者雇用について
二 福祉業務の民間委託について
三 東京都の節電対策及び自然再生エネルギー普及支援について

一 障害者雇用について
1 障害者の就職件数が過去最高となるなど障害者雇用に関する理解は前進していると考えられる。また、障害者の法定雇用率については、来年度から2.0%へと引き上げられることが予定されている。一方で、精神障害者の新規求職者数は5,682件と前年度と比較して12.5%増となっている。そこで、平成23年度の東京都における精神障害者をはじめとした障害種別ごとの就職状況及び精神障害者の就職の近年の動向について伺う。
2 精神障害者及び発達障害者に対する国の雇用促進のための主な事業はどのようなものがあるのか伺う。
3 精神障害者及び発達障害者に対する東京都の雇用促進のための主な事業について伺う。また、今後、精神障害者や発達障害者の方に、どのように雇用促進のための支援を行っていくのか、所見を伺う。
二 福祉業務の民間委託について
1 現在、都の児童相談所の多くは増加し続ける虐待案件などの対応でどの児童相談所も人手不足であり、関係機関との連携含め、体制の強化が必要である。H24年度の児童相談所の体制整備の状況を伺う。
2 現在は理想的な職員体制に人員が届いているのか伺う。
3 このような状況に於いて、以前の児童相談所に較べて現在は市町村の子ども家庭支援センターを設置したことによりかなり、業務を分担することが可能になっているが、市町村とどのように役割・業務内容を分担しているのか伺う。
4 子ども家庭支援センターは自治体によって直接自治体が運営している場合と、指定管理など、民間業者に委託をしている場合があるが、それぞれの方式を幾つの自治体が採用しているか伺う。
5 都として十分に子ども家庭支援センターとして業務を遂行できていないと注意・指導を行う場合はあったのか伺う。
6 民間に委託、指定管理しても問題ないと判断しているのか伺う。
7 職員の受給の可否の判断や、不正受給のチェック、労働や雇用の支援と言った業務で、職員の不足が顕著な生活保護業務も民間委託ができると思うか、所見を伺う。
三 東京都の節電対策及び自然再生エネルギー普及支援について
1 先日、東京都の停電時対策として中小企業支援として非常電源設備設置補助について都政相談を受けた。業種によってはありがたい支援だ。東京都では節電支援及び停電対策としてどのような支援がH24年度はあるのか伺う。
2 この他にも太陽光発電の設置補助などは定番の補助だが、東京都は手厚いということで好評のようだ。再生可能エネルギー電力の買い取り制度が進むことで、今後電気の使用量そのものも上昇が予測されることから、このような自然再生エネルギー設備を取り入れる家庭や企業は増えていくと思う。すると補助申請数も増えると思うが、今後東京都のこのような補助制度をどのように展開させようと考えているのか所見を伺う。
3 加えて、海外で研究が進んでいる潮力発電、波力発電だが、島嶼地域では若干だが、研究環境を整備する動きもあると聞く。現在の潮力、波力発電の研究状況を伺う。

平成24年第二回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 障害者雇用について
  1 障害者の就職件数が過去最高となり、また、法定雇用率については来年度から2.0%へと引き上げられることが予定されている。一方で精神障害者の新規求職数は前年度と比較し12.5%増となっているが、平成23年度の東京都における障害種別ごとの就職状況及び精神障害者の就職の近年の動向について伺う。

回答
東京労働局によると、平成23年度に都内のハローワークを通じて就職した障害者の数は過去最高の4,607件となっており、障害部位別構成比は、身体障害者が42.1パーセント、知的障害者が26.7パーセント、精神障害者が29.8パーセント、発達・難病等その他の障害者が1.4パーセントとなっています。
特に、精神障害者の就職件数は、平成18年度の702件に対して、平成23年度は1,372件と大きく増加しています。

質問事項
 一の2 精神障害者及び発達障害者に対する国の雇用促進のための主な事業はどのようなものがあるのか伺う。

回答
国では、精神障害者や発達障害者も含め、障害者に対してハローワークにおいて職業相談・職業紹介や障害者を短期の試行雇用の形で受け入れる「障害者試行雇用事業」などを活用した支援を実施しています。
また、一定程度の期間をかけて段階的に就業時間を延長しながら常用雇用を目指すための「精神障害者等ステップアップ雇用奨励金」の支給などを行うとともに、発達障害者をハローワークの職業紹介により雇い入れる事業主に対して「発達障害者雇用開発助成金」の支給などを活用し、企業への受入支援を行っています。

質問事項
 一の3 精神障害者及び発達障害者に対する雇用促進のための東京都の主な事業について伺う。また、今後、どのように雇用促進のための支援を行っていくのか所見を伺う。

回答
都では、精神障害者や発達障害者など障害種別に応じた、雇用管理の際の留意事項等をまとめたハンドブックの作成・配布やセミナー等の実施などを通じて、企業に対し障害者雇用に関する普及啓発を進めています。
また、精神障害者や発達障害者も対象として、職場体験実習に対する支援や民間教育訓練機関等を活用した職業訓練を実施するとともに、個々の障害者や企業の実情に応じて東京ジョブコーチによるきめ細かな定着支援を行っています。
引き続き、国とも連携しつつ、こうした施策を着実に実施することにより、障害者の雇用を促進していきます。

質問事項
 二 福祉業務の民間委託について
  1 現在、都の児童相談所の多くは増加し続ける虐待案件などの対応で、どの児童相談所も人手不足であり、関係機関との連携も含め、体制の強化が必要である。平成24年度の児童相談所の体制整備の状況を伺う。

回答
深刻化する児童虐待等に適切に対応するため、児童相談所では平成23年度に児童福祉司の定数を11名増員し、平成24年度は児童心理司の定数を11名増員しています。
平成24年度の定数は、児童福祉司が183名、児童心理司が65名です。
また、関係機関とより一層の連携を図るため、平成24年度、非常勤職員として、警察官のOBと保健師の有資格者を新たに配置しています。

質問事項
 二の2 児童相談所について、現在は理想的な職員体制に人員が届いているのか見解を伺う。

回答
都の児童相談所では、児童虐待対応などの強化を図るため、児童福祉司の定数を、平成20年度の159名から、平成23年度の183名へと24名を増員するとともに、児童虐待通告への初期対応を行う虐待対策班の設置や、地域支援を行う職員の配置など、体制を整備しています。
また、児童相談の一義的な窓口である区市町村では、子供家庭支援センターが、児童虐待などへの相談に応じており、児童相談所は、区市町村とそれぞれの役割のもとで、緊密に連携を図りながら対応しています。

質問事項
 二の3 以前の児童相談所に比べて、現在は市町村の子供家庭支援センターを設置したことにより、かなり業務を分担することが可能になっているが、市町村とどのように役割・業務内容を分担しているのか伺う。

回答
児童家庭相談の一義的窓口である区市町村では、子供家庭支援センターが、児童の養育に関する相談、ショートステイや一時預かりなどの子育てサービスを活用した支援を行うほか、家庭調査や面接など児童虐待の初期対応を行っています。
児童相談所は、虐待通告や養育に関する相談などを受けるとともに、心理診断や医学診断などの専門的な判断や、一時保護などの法的対応を担っており、これらの業務を進める中で、子供家庭支援センターと緊密に連携を図っています。

質問事項
 二の4 子供家庭支援センターは自治体によって直接自治体が運営している場合と、指定管理など、民間業者に委託をしている場合があるが、それぞれの方式をいくつの自治体が採用しているか伺う。

回答
子供家庭支援センターを設置している59区市町村のうち、自治体が直接事業を実施しているのは53区市町村、社会福祉法人を指定管理者とする等委託を行っているのは6区市です。

質問事項
 二の5 都として、十分に子供家庭支援センターとして業務を遂行できていないと注意・指導を行う場合はあったのか伺う。

回答
子供家庭支援センターは、平成7年度の事業開始以降、子供や家庭に関する相談体制の強化や、在宅サービスの充実などを図ってきており、地域における子育て支援の中核としての役割を担っています。
都は、子供家庭支援センター職員を対象とした研修を実施するほか、児童相談所が、個別ケースに関して専門的な立場から助言を行ったり、地域における関係機関の取組について情報共有を図るなど、必要な支援を行っています。

質問事項
 二の6 都は、子供家庭支援センターの業務を民間に委託、指定管理しても問題ないと判断しているのか、見解を伺う。

回答
都は、子供家庭支援センターについて、区市町村が、地域の実情に応じ、社会福祉法人に委託することができることとしています。
社会福祉法人に委託している区市町村では、子供や家庭に関する相談対応や在宅サービスの提供などにノウハウを有する法人を選定しています。
都としては、適切な運営が確保されるよう、児童相談所の職員が個別ケース検討会議や要保護児童対策地域協議会に参加する等、様々な機会を通じて、子供家庭支援センターの運営状況について把握しています。

質問事項
 二の7 職員の受給の可否の判断や、不正受給のチェック、労働や雇用の支援といった業務で、職員の不足が顕著な生活保護業務も民間委託、指定管理ができると思うか、都の所見を伺う。

回答
厚生労働省は立入調査の公権的行為そのものについては自治体職員が直接行う必要があるが、保護の決定・実施に関連する事務については民間委託が可能であるとしています。都内の多くの福祉事務所では、医療扶助のレセプト点検業務、生活保護受給者への就労支援業務等について、民間委託が導入されています。

質問事項
 三 東京都の節電対策及び自然再生エネルギー普及支援について
  1 先日、都の停電時の中小企業支援である非常電源設備設置補助について、都政相談を受けた。業種によってはありがたい支援だが、平成24年度の節電支援及び停電対策としてどのような支援があるのか伺う。

回答
都はこれまで、電力の確保や経費の削減につながる節電の方法について解説するセミナーを実施してきました。
また、希望する企業に対しては、専門家を実際に企業現場へ派遣し、その企業に適した節電方法などについてアドバイスを実施してきました。
その上で、生産活動に多くの電力を必要とし、節電の努力に限界がある中小企業に対しては、自家発電設備等の導入費用の3分の2を助成してきました。
平成24年度からは、電力の使用状況を監視する装置を支援対象として追加するとともに、導入費用の3分の2を助成する措置を延長するなど事業を拡充しています。
こうした取組を通じて、引き続き都内中小企業の節電対策と電力確保を支援していきます。

質問事項
 三の2 再生可能エネルギー電力の買い取り制度が進み、自然再生エネルギー設備を取り入れる家庭や企業が増えていくことで補助申請数も増えると思うが、今後、このような補助制度をどのように展開させようと考えているのか、都の所見を伺う。

回答
都は、平成21年度及び平成22年度の2年間、予算額90億円で住宅用太陽エネルギー機器の導入補助事業を実施し、さらに、平成23年3月の震災に伴う電力不足を踏まえ、平成23年度及び平成24年度の2年間、予算額140億円で太陽光発電を中心とする住宅用創エネルギー機器の導入補助事業を実施しています。
この集中的な補助事業により、補助を開始した3年前と比較して、太陽光発電の導入速度を10倍に加速する大きな成果を上げてきました。
飛躍的に導入が拡大したことなどにより、太陽光発電の設置コストは、この2年間で約2割低減するとともに、平成24年7月からの固定価格買取制度導入に伴い、太陽光発電への関心は更に高まり、従来の業態を超えて発電事業に参入する事業者の動きも活発化しています。
こうした状況を踏まえ、都は、既に、太陽光発電の更なる普及拡大に資する事業者の提案を募集しており、今後、具体的な提案やニーズを踏まえながら、実効性の高い新たな普及スキームを構築していきます。

質問事項
 三の3 海外で研究が進んでいる潮力発電、波力発電だが、島しょ地域では若干だが、研究環境を整備する動きもあると聞く。現在の潮力、波力発電の研究状況を伺う。

回答
都は、大幅な再生可能エネルギーの拡大には潮力、波力などの海洋エネルギーの利用が有効であり、日本では、特に波力発電が最も実用化の可能性が高いと考え、平成21年7月に産学官による波力発電検討会を設置しました。
この検討会における検討に基づき、平成22年度に民間事業者によって波況調査が実施され、神津島海域が実証実験可能な海域として把握されました。
一方、国においては、海洋エネルギー技術の研究開発支援が平成23年度から開始され、神津島海域を調査した事業者が、この制度の活用による実証実験の実施に向け、実験設備の設置海域の調査などを進めています。

平成24年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  大山とも子

質問事項
一 こころの健康政策について
二 生活保護について

一 こころの健康政策について
精神保健・医療・福祉の専門家や、当事者、家族により構成される「こころの健康政策構想会議」が、都立松沢病院を会場に同院長を座長として開かれ、熱い議論をかわして「提言書」をまとめあげ、厚生労働大臣に提出してから、2年がたちました。「提言書」で提起された「こころの健康を守り推進する基本法」の制定を求める100万人署名のとりくみが、いま全国各地でひろがっています。
こうした動きにこたえ、東京都議会においても今年3月、「こころの健康基本法(仮称)の早期制定を求める意見書」を、全会一致で採択しました。
国の患者調査(2008年10月)によれば、都内の精神疾患患者数は、約31万1千人(入院2万3千人、外来28万8千人)におよび、がんや脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病を上回っています。うつ病や統合失調症などの精神疾患は、だれにでも起こりえる身近な疾患です。
ところが、日本における「こころの健康政策」は大きく立ち遅れており、精神科医療ではいまだに入院・隔離収容が中心です。患者調査の結果をみても、都内の全入院患者のうち実に2割以上が精神疾患患者です。
しかも、精神科病院における職員配置基準は、「精神科特例」の名の下に、医師数は一般病院の3分の1、看護師数は2分の1という低い水準に抑えられており、手薄な医療看護体制で長期入院がよぎなくされる事態がつづいています。
また、早期発見・早期支援の対策や、家族支援もきわめて不十分です。精神疾患にたいする、いわれのない偏見・差別もねづよいものがあり、当事者や家族を苦しめています。
当事者・家族の方々は、こころの健康問題を経験したとき、「どこに相談してよいかわからなかった」、「早期に支援を受けられなかった」、「こころの健康や精神疾患についての正しい知識をもっていなかった」、「夜間や休日に不安をかかえても来てもらえない」、「継続した支援と見守りがなかった」、「支援の必要性が高い人ほど支援が届いていない」、「困ったときにいつでも相談できて、自宅まで来てくれる支援がほしい」、「家族は自分の人生をあきらめるしかない。家族も希望をもって生きていきたい」などの、切実な声をあげています。
厚生労働省は「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」のなかで検討を開始しましたが、いまだ具体的方向はしめされていません。
国の対応を待つという姿勢ではなく、東京都が国に先駆けて、「こころの健康政策」のモデルを都独自に構築し、全国に発信すべきです。この立場から、質問します。
1 「アウトリーチ(訪問支援)チーム」の設置をすすめることについて
「アウトリーチ(訪問支援)」は、利用者にとって馴染みのある環境のもとで、地域の力も活用しながら、保健医療福祉の一体的な支援をおこなう方法です。医療だけでなく、生活全体の支援や家族(介護者)への支援もできます。イギリス、アメリカをはじめ、世界各国で実施され、大きな成果をあげています。
「アウトリーチ(訪問支援)」は、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士、薬剤師など、「多職種チーム」でおこなうことが重要です。
東京都は、精神保健福祉センターで、「アウトリーチ支援事業」を昨年度から始めましたが、保健所から支援を要請された「困難ケース」がおもな対象です。このとりくみを、さらに本格的に発展させるとともに、「困難ケース」だけでなく、支援を必要とする人の所に、いつでも、すぐに出向いて対応する「アウトリーチ(訪問支援)チーム」の設置を、人口10万人に1カ所をめやすにすすめることが必要ですが、いかがですか。
2 「地域こころの健康支援センター」を身近な地域に整備することについて
ア 「アウトリーチ(訪問支援)チーム」が常駐する拠点であるとともに、365日24時間体制で当事者や家族(介護者)の相談支援をおこなう、「地域こころの健康支援センター」を整備することも求められます。「地域こころの健康支援センター」の整備をすすめることを提案しますが、いかがですか。
イ 「地域こころの健康支援センター」および「アウトリーチ(訪問支援)チーム」の交流をおこない、支援の質の向上をはかる「地域こころの健康推進協議会(仮称)」や、「サービス評価委員会」(第三者機関)を設置することも重要ですが、いかがですか。
3 都と区市の保健師を増やし、保健所を増設・拡充することについて
保健所の保健師は、地域における精神保健の推進、精神疾患患者と家族(介護者)の支援に、大きな役割をはたしてきました。ところが、国の方針に追随して、都も区も保健所の統廃合をすすめてきたために、保健師の活動地域がひろがり、きめ細かい支援ができない事態となっています。
感染症対策、健康危機管理対策など保健所に求められる役割・機能は増える一方であり、保健師は多忙をきわめています。
ア 地域における精神保健の推進・精神疾患患者と家族(介護者)支援の豊富な経験をもち、家庭訪問による支援をおこなうことができる保健師を増やすことが必要です。
イ また、あらためて保健所を増設・拡充すべきです。いかがですか。
4 早期支援青年期外来「ユースメンタルサポートセンター」を増やすことについて
青年期は、人の一生の中で、こころの不調を最も体験しやすい時期といわれています。精神疾患はこの時期に多く発症していますが、適切な支援や治療につながらないまま、症状が悪化するケースが少なくありません。早期発見・早期支援が、きわめて重要です。
こうした課題に対応するため、都立松沢病院に、早期支援青年期外来「ユースメンタルサポートセンター松沢」が開設され、自宅や学校へのアウトリーチ(訪問支援)にもとりくむなど、成果をあげています。しかし、きめ細かい支援をおこなうため、受診できるのは、世田谷区および世田谷区に隣接する地域に住む青年(15歳から25歳までの精神病状態が疑われる人)に限定されています。
都内すべての地域をカバーできるよう、松沢病院以外の都立病院・公社病院にも早期支援青年期外来「ユースサポートセンター」を開設するとともに、民間病院での開設を支援する必要があります。このことについて、福祉保健局は、一般診療医師を対象とした精神疾患や精神保健医療の法制度などに関する研修や、一般診療科医師と精神科医師による合同症例検討会を実施していることをもって、早期に専門的医療につなげるとしています。もちろん、こうした事業は重要なことですから、拡充する必要があります。同時に、「ユースメンタルサポートセンター松沢」の実践を広め、世田谷区及び周辺の地域以外の対象者にも対応できるようにすべきです。松沢病院ではすでに実施して成果を上げているのですから、青年期への対応が身近なところでできるよう、松沢病院以外の都立・公社病院での開設と民間病院での開設支援に踏み出すべきですが、どうですか。
5 学校での精神保健教育を抜本的に強化することについて
ア 精神疾患の予防や早期発見を促進するとともに、偏見・差別をなくすため、児童生徒、教職員、保護者にたいする精神保健教育を、抜本的に強化する必要があります。
  都立松沢病院の医師、看護師、精神保健福祉士は、三重県津市内の中学3年生にたいし、精神疾患にかんする実験的授業を実施した経験があります。この経験をもとに、教材も開発されています。都内の中学校や高校での実践にふみだすことが急がれますが、いかがですか。
イ その際には、精神障害の当事者や家族の体験を聞く機会をつくることも重要ですが、いかがですか。
ウ 養護教諭(保健室の先生)の複数配置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカの配置促進も求められています。見解を求めます。
6 地域における「こころの診療連携拠点病院」を設置することについて
「がん診療連携拠点病院」「東京都認定がん診療病院」や、「認知症疾患医療センター」と同じような、地域における「こころの診療連携拠点病院」の設置をすすめることも求められています。
ア 「こころの診療連携拠点病院」は、多職種によるチーム医療や相談支援事業、地域連携担当者会議、事例検討会の実施、精神看護専門看護師やケースマネージャー、精神保健福祉士の配置、早期退院の促進、社会復帰支援室や患者の権利擁護委員会、患者図書室の設置、専門人材養成などを要件とし、必要な財政支援を都独自におこなうことが重要ですが、どうですか。
  精神科病院への入院時に、人格をきずつけるような処遇をされたことによるトラウマ(心的外傷)が、精神疾患早期に治療を中断する理由のひとつといわれています。また、「東京都の医療施設」調査によれば、精神科病院の平均在院日数は289日にもおよんでいます。「こころの診療連携拠点病院」のとりくみをとおして、こうした事態を打開し、精神科病院および地域における精神科医療全体の質の改善・向上をすすめることが必要です。
イ 内科等の一般診療科の開業医にたいし、精神疾患の早期発見・早期支援につなげるための、精神科と一般診療科の連携体制整備にむけ、「うつ病」「認知症」だけでなく、統合失調症、発達障害などもふくめた精神保健医療全般にわたる研修を実施する必要があります。さらに、精神科と一般診療科が協働して継続的に診療をおこなう「こころとからだの二人主治医制」の構築も求められています。いかがですか。
7 総合病院の精神科への支援を強化することについて
がん、心疾患、糖尿病をはじめとした身体合併症で入院や手術を必要とする精神疾患患者の受け入れ先がすくなく、緊急の対策が必要です。なかでも、身体合併症による救急医療を必要とする精神疾患患者の受け入れを改善・促進することは、命にかかわる問題です。
ア 総合病院の精神科は、身体合併症の精神疾患患者を受け入れる重要な役割をもっています。救急病院をはじめとした総合病院の精神科医師の人件費補助の実施など、都として支援を強化することが必要ですが、いかがですか。
イ 同時に、都立病院・公社病院における身体合併症の精神疾患患者の受け入れを、抜本的に拡充・強化すべきです。お答えください。
8 外来と入院をつなぐ「宿泊訓練施設(ホステル)」や「短期宿泊施設(ショートステイハウス)」の整備をすすめる
東京都は、長期入院の精神疾患患者の退院、地域生活移行を促進するため、中部と多摩の総合精神保健福祉センターで実施していた「ホステル」(アパート形式の宿泊訓練)を、アウトリーチ支援事業の実施とひきかえに、一昨年度末で廃止してしまいました。
ア 中部と多摩で実施していた「ホステル」は、これまで大きな成果をあげ、高い評価をうけてきました。ただちに再開するとともに、大幅に増やすことこそ、求められています。
イ 症状が悪化したときに、一時的に宿泊・滞在できる「ショートステイ」は、あまりにもすくなすぎます。緊急時に利用できないことも、大きな問題です。精神障害者ショートステイの整備を促進するとともに、「アウトリーチ(訪問支援)チーム」と連携した都独自の短期宿泊施設「ショートステイハウス(仮称)」を制度化し、身近な地域で、いつでも利用できるようにすることが必要です。いかがですか。
9 ピアサポーターや「家族支援ワーカー」の養成をはじめ、当事者・家族(介護者)への支援を強化することについて
ア 精神障害者が地域で生活し、回復をすすめるうえで、当事者活動はきわめて重要です。都として、「ピアサポーター推進事業」を創設し、ピアサポーターの人材養成や活動の場をひろげるための支援を実施すべきですが、いかがですか。
イ 家族・介護者支援の専門人材である「家族支援ワーカー(仮称)」を都独自に制度化し、養成にふみだすことも重要です。
ウ 精神障害者が地域で自立して生活するため、就労支援の強化とともに、所得保障・経済的支援の充実は不可欠です。当事者・家族の切実な要望でもあります。すでに杉並区は、精神障害者への福祉手当の支給にふみだしました。都が身体・知的障害者を対象として実施している心身障害者福祉手当を「障害者福祉手当」とし、精神障害者にも対象を拡大すべきです。
10 災害時における「こころのケア」体制を整備することについて
東日本大震災では、避難所等における精神障害者への医療の継続をはじめとした適切な支援の確保が、大きな課題になりました。
大規模災害時は、災害の恐怖体験、身近な人を亡くしたことによる悲しみ、避難生活のストレスなどにより、精神障害者にかぎらず多数の都民にたいする「こころのケア」が必要となります。
兵庫県では、阪神・淡路大震災を契機として「兵庫県こころのケアセンター」が設置され、被災者や被害者のトラウマ(心的外傷)や、その結果として生じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの「こころのケア」にとりくんでいます。
こうした経験をふまえて、災害時の精神障害者への支援体制、必要な医薬品の確保をふくめた災害時の精神保健医療体制の確立、多数の都民にたいする「こころのケア」体制の整備、災害によるトラウマやPTSDにたいする専門的医療体制の強化などを、早急に具体化することが必要です。見解をうかがいます。
11 「東京都こころの健康政策推進計画」をつくることについて
すべての都民を対象にした、保健・医療・福祉の総合的な「こころの健康政策推進基本計画(仮称)」、およびその「行動計画」(3カ年程度の実行プログラム)の策定に、全国に先駆けて東京都がふみだすべきです。同時に、計画の推進状況を点検・評価するため、当事者、家族、都民の代表をはじめ、当事者・家族が推薦する精神保健・医療・福祉の専門家等により構成する「東京都こころの健康政策推進協議会(仮称)」を設置する必要があります。いかがですか。
12 「こころの健康を守り推進する基本法」の早期制定を、国にたいし強力に要請することについて
都議会は今年3月、全会派一致で「こころの健康基本法(仮称)の早期制定を求める意見書」を採択し、国会および政府に提出しました。
東京都としても、こころの健康を国の重要施策と位置づけ、総合的で長期的な政策を実行する「こころの健康を守り推進する基本法」の早期制定を、知事を先頭に、国にたいし強く働きかけることを求めます。
二 生活保護について
1 生活保護の増大について
都内の生活保護受給者は、毎年増加し2010年度は19万5110世帯となり、2000年度の1.9倍に増えています。高齢者世帯が依然として43%以上を占めているのは、年金や医療などの社会保障の貧しさが高齢期の生活を困難にしているからです。
また、最近の特徴は、世帯に働いている人がいるにも関わらず、生活保護を受給する世帯が増えていることです。2000年と比べると、働いている人がいない世帯の伸びは1.82倍ですが、働いている人がいる世帯は2.38倍にも増えています。
また、保護開始の理由について、毎年9月中の統計がありますが、解雇等によるものは、2008年が47世帯でしたが、2009年には175世帯、2010年にも134世帯と急増しています。その年齢層も、60歳未満での増加が大きくなっています。
2009年というのは、アメリカ発の金融危機による景気悪化を理由にした大企業の派遣切り・リストラ、内定取り消しなどが広がり、自公政権のもとでの「構造改革」路線で苦しめられてきた都民のくらしや中小企業の危機もさらに深刻になった時期です。初の「年越し派遣村」に衣食住を求めて五百人もの人たちが集まり、その後も次々と路頭に迷う事態が続いていました。そんな中で、解雇などによる生活保護の開始、また、働いていても生活保護水準以下の収入しかない、ワーキングプアーが増えていったのです。まさに、生活保護が増えたのは、政治の責任と言わなければなりません。
ところが政府は、生活保護世帯が急増していることをもって、生活保護の給付額引き下げや扶養義務強化の検討の意向を示していますが、上述したように、最近の特徴は雇用の破壊と、働いていても生活保護基準にも満たない収入しかない、ワーキングプアーの急増です。
ア 労働運動総合研究所は、「最低賃金の引き上げは日本経済再生の第一歩」とし、最低賃金を全国一律で時給1000円に引き上げた場合の経済効果を試算しています。「最低賃金の時給1000円への引き上げによって、約2252万人の労働者の賃金が月平均2万4049円上昇し、全体の賃金支払い総額が年間6兆3728億円増加し、それに伴って内需(家計消費支出)が4兆5601億円増加する。産業連関表を利用して、その生産誘発効果を試算すると、各産業の国内生産が7兆7858億円拡大し、GDPを0.8%押し上げる効果があることがわかった。その結果、約41万人の雇用と7231億円の税収増が期待される。」と報告しています。それにより、「被保護世帯の12.9%は世帯主または世帯員が働いている世帯である。最低賃金を時給1000円に引き上げれば、この人たちを生活保護から解放することができ、それに伴って約3800億円の財政支出削減となる。」と報告しています。
  今やるべきは、国民の懐を温めるこうした積極的な政策です。首都東京の知事が、国に対して人間らしく働ける雇用のルールを確立し、ワーキングプアーをなくす立場でものを言うべきですが、どうですか。
  知事は、所得保障は国の責任だと言って、東京都は関係がないような言い方をしますが、生活保護の周辺の社会保障、福祉施策がいかに厚いかどうかが、生活保護を増やさない道でもあります。例えば、年金額が少なくても、住宅費や交通費、医療費や介護にかかる負担が少なければ、なんとか生活が成り立つ方は、少なくありません。
イ 子育て世帯への支援では、乳幼児及びこども医療費助成の所得制限の撤廃と高校卒業までへの年齢引き上げが求められます。
ウ 同時に、75歳以上の医療費無料化、65歳から74歳の医療費助成も必要ですが、いかがですか。
エ 都として都営住宅入居基準以下の世帯など低所得の世帯やワーキングプアーの若年者に対する住宅補助に踏み出す時です。
2 扶養義務について
お笑いタレントの実家の母親が生活保護を受給していたことを自民党議員や一部メディアが問題視したことをきっかけに、政府が生活保護制度の改悪を加速させようとしていることは、問題です。今回のタレントの場合は、自民党議員が「不正受給」と指摘するような法律違反は、ありません。母親が病気で働くことができなくなり、息子も当時の収入では扶養できなかったため、受給が認められました。収入が増えてから一定額の仕送りもしていました。いずれも福祉事務所と相談しながら行ってきたものです。
ア 民法は、祖父母、父母、子、孫など直系血族と兄弟姉妹に扶養義務を定めていますが、成人になったこの親への扶養義務は、無理のない範囲で行うというものです。扶養内容や範囲は、当事者同士が実情に応じて話し合いで決めるのが普通です。都内福祉事務所の対応もそのようにしているという認識でいいですね。
イ 現在も生活保護申請の際、申請を受けた福祉事務所は扶養義務のある親族に扶養意思の有無を確認しています。親族に生活保護を申請したことを知られるのを嫌がったり、「これまでも借金で迷惑をかけた親兄弟に扶養調査までされるなら」など、今でも申請しない人が少なくありません。このような実態をどう認識していますか。
ところが、小宮山洋子厚労相が、扶養できないことの「証明義務」を生活保護受給の事実上の条件にする法改定の検討を表明したことは重大です。こんな条件をつければ、保護が必要な人がますます申請をためらい排除されます。かりに無理に扶養をしたとしても、扶養される側もする側も「共倒れ」になる危険さえあります。
ウ 都からも国に対して、「証明義務」を生活保護受給の条件にしてはならないことを、意見として上げるべきですが、どうですか。
人気が出てきたタレントの親の扶養という非常に特殊なケースは、あくまで道義的な問題であり、制度の欠陥ではありません。問題をすりかえて改悪の口実にするようなことはやってはならないことです。
ところが、現状は逆行しています。弁護士やNPO関係者でつくっている「生活保護問題対策全国会議」が、お笑いタレントのマスコミ報道以降、「生活保護制度と制度利用者全体に対する大バッシングが起こってい」るので、まずは生活保護受給者や保護が必要な方が深く傷つき不安にさいなまれているであろうと、6月9日に「生活保護“緊急”相談ダイヤル」を開催したところ、全国から363件の相談の声が寄せられました。何度かけてもつながらない、という声も多かったということですから、実際はそれ以上かかってきていたと言えます。
不安の訴えは多く、「親族に扶養を要求され迷惑がかかるのではないか」と「自分は生活保護を受けられないのではないか」がともに42件と多く、「打ち切られるのではないか」「生活保護を受けることに後ろめたさを感じる」など、生活保護が必要な人の足を止めるような状況が明らかになっています。
「福祉のお陰で命が助かっている。騒がれだして病院の対応も変わった。不正受給者のような目に晒されて病院に行くのも怖い。」「最初から泣いている、生きていちゃいけないのか、死にたい、苦しい、TVを見るのが怖い。」「近所の人に、「受給者はクズ」と言われた。お金のない人は死ぬしかないのか。」「これから申請したいと考えているが、テレビ報道のように別居の子どもたちに迷惑がかかってしまうのか心配。」「どうしようもなくつらい。薬が増え、夜も眠れなくなった。体調悪い。死んでしまいたい。現物支給は差別。」「次長課長の報道以来声が出なくなり、夜も眠れない、食欲も落ちた。」「最近の報道から生活保護に後ろめたさを感じ、病院にも行きづらい。」など、不安から体調まで崩している方もいます。
福祉事務所の窓口で「働いて生活しなさい」「扶養義務者に援助してもらいなさい」などと言われたなどの訴えもあります。
エ このような状況が生じていることを、どう受け止めていますか。
3 漏給をなくすことについて
生活保護でむしろ問題なのは、受ける必要がある方々が受けられていないことです。立川市で孤立死した95歳のお母さんは、介護認定は受けていましたが、介護していた娘さんは「うちの収入は年金だけなので、介護サービスは無理。自分で頑張る。」と近所の人に話していたそうです。
ア 生活保護を受ける資格がある生活水準の人が実際に受給している割合は、日本の場合、様々な研究ではわずか1割から2割です。厚労省が2007年の国民生活基礎調査をもとに推計した捕捉率は32.1%となっていますが、欧州諸国の7割から8割と比べればはるかに、受給すべき世帯が受給できていない状況です。
この捕捉率の低さをどう認識し、漏給を防ぐため、どのような努力をしているのですか。
慶應義塾大学の駒村康平教授が厚労省の審議会の資料として提出された、生活保護の「地域別捕捉率」では、5年ごとに推計値で出しています。東京都は89年は3割を超えていたものの、94年、99年と下がっていて、99年は15%程度でしかありません。
イ 欧州諸国は、国が責任をもって捕捉率を出し、漏給を防ぐ努力をしています。国に対し、捕捉率の正確な調査を実施するよう求めるとともに、都独自に少なくとも推計を行うなどの努力が必要ではありませんか。
ウ 不正受給は正されなければなりません。しかし、そのことによって支援を必要とする人を制度から遠ざけることになってはならないと思いますが、どうですか。
エ 厚労省は今年2月23日付で「生活に困窮された方の把握のための関係部局・機関等との連絡・連携体制の強化の徹底について」の通知を、各都道府県知事等にあてて出した。これをうけて、都としてどう対応したのですか。
4 福祉事務所のケースワーカー不足について
生活保護の急増により福祉事務所のケースワーカー1人が担当するケース数が増加しています。社会福祉法では、1人の担当ケース数の標準は80世帯となっているが、2011年7月現在の担当世帯数は、100ケースを超える自治体が24区市にも上っています。
ア ケースワーカーの増員は急がれますが、都としてどう支援していますか。
イ 人数を増やすと同時に、高い専門性が求められる仕事だけに、質の確保も重要です。ケースワーカーについては、法によって「社会福祉主事でなければならない」となっていますが、都内のケースワーカーのうち、社会福祉主事のケースワーカーは何人でその割合はどの程度になりますか。また、経験年数はどのような分布になっていますか。
ウ 都として、福祉事務所のケースワーカーの専門性を高めるための支援の強化が必要ではありませんか。
エ ケースワーカーの仕事量も、また相談自体も複雑多岐にわたっているだけに、ケースワークの仕事を側面から支援することへの支援は東京都ができることではないでしょうか。就労支援員や精神保健福祉士の配置などへの支援をさらに拡充するべきですが、どうですか。

平成24年第二回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問趣意書及び答弁書

質問事項
 一 こころの健康政策について
  1 都は、昨年度から「アウトリーチ支援事業」を始めたが、保健所から支援を要請された「困難ケース」が主な対象であるため、この取組を、更に発展させるとともに、「困難ケース」だけでなく、支援を必要とする人の所に、すぐに出向いて対応する「アウトリーチ(訪問支援)チーム」の設置を、人口10万人に1か所を目安に進めることが必要だが、都の見解を伺う。

回答
地域で暮らしている精神障害者の支援については、区市町村や保健所において、訪問活動を含めた相談支援を実施しています。
また、平成23年度から開始したアウトリーチ支援事業において、医療の中断などにより、地域での安定した生活が困難な精神障害者に対しては、精神保健福祉センターの医師、保健師等の多職種の専任チームが、区市町村、保健所等と連携しながら機動的な支援を行っています。
さらに、センターでは、事例検討会を実施するなど技術援助を行い、区市町村等関係機関の支援力の向上を図っています。

質問事項
 一の2 「地域こころの健康支援センター」を身近な地域に整備することについて
    ア 「アウトリーチ(訪問支援)チーム」が常駐する拠点であるとともに、365日24時間体制で当事者や家族(介護者)の相談支援を行う、「地域こころの健康支援センター」を整備することも求められるが、都の見解を伺う。

回答
区市町村では、地域活動支援センターを中心に、精神障害者に対し保健医療に関する情報の提供や助言、障害福祉サービスの利用支援などを行っています。
都においても、精神保健福祉センターに、アウトリーチ支援を行うための多職種の専任チームを配置するとともに、センターや保健所において、当事者や家族に対する相談支援を実施しています。
また、障害者自立支援法の改正に伴い、平成24年度から地域定着支援事業が創設され、24時間の相談支援を行うことも、その事業に含まれています。

質問事項
 一の2のイ 「地域こころの健康支援センター」及び「アウトリーチ(訪問支援)チーム」の交流を行い、支援の質の向上を図る「地域こころの健康推進協議会(仮称)」や、「サービス評価委員会」(第三者機関)を設置することも重要であるが、都の見解を伺う。

回答
区市町村では、障害者自立支援法に基づき、福祉、医療、教育又は雇用等に関連する分野の関係者、当事者等からなる自立支援協議会を設け、障害福祉に係る情報を共有し、課題解決に向けた協議を行っています。
都においても、東京都自立支援協議会や東京都障害者施策推進協議会等において関係者等と協議を行うほか、精神保健福祉センターでは区市町村や民間事業者等と共同して事例検討会を実施するなど、関係機関と連携して精神障害者に対する支援の充実を図っています。

質問事項
 一の3 都と区市の保健師を増やし、保健所を増設・拡充することについて
    ア 地域における精神保健の推進・精神疾患患者と家族(介護者)支援の豊富な経験を持ち、家庭訪問による支援を行うことができる保健師を増やすことが必要だが、都の見解を伺う。

回答
精神保健を含む地域保健対策については、都と区市町村が連携して推進しており、平成19年から平成23年までの5年間で、都と区市町村の保健師の総数は約140名増加しています。
また、都では、区市町村の精神保健活動に従事する保健師の専門能力の向上を図るため、保健所や精神保健福祉センターにおいて、訪問活動への助言や専門的研修等を実施しています。

質問事項
 一の3のイ 保健所を増設・拡充すべきだが、都の見解を伺う。

回答
「地域保健法」に基づき、都の保健所は、地域保健における広域的・専門的・技術的拠点として、新興感染症や食中毒などの健康危機に対応するとともに市町村への業務支援を行い、市町村の保健センターでは、住民に身近な保健サービスを行っています。
こうした役割分担のもと、都の保健所は、市町村や医療機関、地域の様々な機関と連携を図りながら、地域の保健施策を充実・強化しており、増設する考えはありません。

質問事項
 一の4 都立松沢病院で実施し成果を上げている、「ユースメンタルサポートセンター」について、青年期への対応が身近なところでできるよう、松沢病院以外の都立・公社病院での開設と、民間病院での開設支援を行うべきだが、都の見解を伺う。

回答
若年者の精神疾患の予防や、悪化防止については、精神保健福祉センターや保健所において、本人及び家族を対象とした思春期・青年期相談を実施し、早期に医療機関など必要な支援機関につながるよう取り組んでいます。
また、都は、精神疾患を早期に発見し、症状に応じた適切な治療につなげるため、平成23年度から地域ごとに、一般診療科医師を対象として、精神疾患や精神保健医療の法制度などに関する研修を行うとともに、一般診療科医師と精神科医師による合同症例検討会を実施しており、今後もこうした地域での取組を進めていきます。

質問事項
 一の5 学校での精神保健教育を抜本的に強化することについて
    ア 精神疾患の予防や早期発見を促進するとともに、偏見・差別をなくすため、児童生徒、教職員、保護者にたいする精神保健教育を抜本的に強化する必要があり、都内の中学校や高校で実践することが急がれるが、都の見解を伺う。

回答
児童生徒は、小・中・高等学校の学習指導要領に基づき、既に保健の授業において、精神機能の発達、心と体の関係、欲求やストレスへの適切な対処方法等の心の健康について学習をしています。
また、都は「都立学校における専門医派遣事業」として、精神科医を都立高校に派遣し、担任教諭や養護教諭等に対し、具体的なケースに対する助言を行うほか、生徒、教職員、保護者に対して講演会を実施し、校内連携の援助を行っています。

質問事項
 一の5のイ 精神保健教育を実践する際には、精神障害の当事者や家族の体験を聞く機会をつくることも重要だが、都の見解を伺う。

回答
学習指導要領に基づく保健指導の場においては、実情に合わせて様々な補助教材の使用、外部講師の活用など、効果的な教育を行っており、都立高校では、様々な事例に対応してきた精神科医による講演会を開催しています。

質問事項
 一の5のウ 養護教諭(保健室の先生)の複数配置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進も必要だが、都の見解を伺う。

回答
養護教諭の定数については、国の標準法に基づく都の定数配当基準により適切に配置しています。
また、スクールカウンセラーは、平成15年度から中学校の全校配置、平成23年度からは、小学校及び高等学校への配置を大幅に拡大し、平成24年度は小学校327校、中学校631校、高等学校100校に配置するなど、着実に配置校を増やしてきています。
さらに、スクールソーシャルワーカーも、事業が開始された平成20年度には16区市での実施でしたが、平成24年度は31区市町で取り組むなど、着実に配置地区が増えています。

質問事項
 一の6 地域における「こころの診療連携拠点病院」を設置することについて
    ア 「こころの診療連携拠点病院」は、多職種によるチーム医療や相談支援事業、地域連携担当者会議、事例検討会の実施、精神看護専門看護師やケースマネージャー、精神保健福祉士の配置、早期退院の促進、社会復帰支援室や患者の権利擁護委員会、患者図書室の設置、専門人材養成などを要件とし、必要な財政支援を都独自に行うことが重要だが、都の見解を伺う。

回答
精神疾患に関する拠点病院の設置等については、その必要性も含め、精神科医療のあり方全体の中で国において議論すべきものと考えます。

質問事項
 一の6のイ 内科等の一般診療科の開業医に対し、精神科と一般診療科の連携体制整備に向けた精神保健医療全般にわたる研修を実施する必要がある。さらに、精神科と一般診療科が協働して継続的に診療を行う「こころとからだの二人主治医制」の構築も求められているが、都の見解を伺う。

回答
精神科と一般診療科の連携を進めるため、都は、平成23年度から地域ごとに、一般診療科医師を対象とした精神疾患や精神保健医療の法制度などに関する研修や、一般診療科医師と精神科医師による合同症例検討会を実施しています。

質問事項
 一の7 総合病院の精神科への支援を強化することについて
    ア 総合病院の精神科は、身体合併症の精神疾患患者を受け入れる重要な役割を持っており、救急病院を始めとした総合病院の精神科医師の人件費補助の実施など、都として支援を強化することが必要だが、都の見解を伺う。

回答
都では、身体合併症の精神科患者に対し、迅速かつ適正な身体医療を確保することを目的として、精神科患者身体合併症医療事業を実施し、協力医療機関に対して、診療体制や病床の確保に必要な経費を措置しています。
救急病院を始めとした総合病院の精神科医師の人件費については、本来、診療報酬制度の中で措置されるべきものであり、都は国に対し、精神身体合併症患者に対する医療提供体制を一層整備するため、診療報酬の充実を図るよう提案要求しています。

質問事項
 一の7のイ 都立病院・公社病院における身体合併症の精神疾患患者の受け入れを、抜本的に拡充・強化すべきです。お答えください。

回答
精神科を持つ都立病院及び公社病院では、これまでも地域医療機関と連携した身体合併症患者の受入れを行ってきました。
引き続き、総合診療基盤を生かし、身体合併症を持つ精神疾患患者の方への対応を適切に行っていきます。

質問事項
 一の8 外来と入院をつなぐ「宿泊訓練施設(ホステル)」や「短期宿泊施設(ショートステイハウス)」の整備をすすめる
    ア 都は、長期入院の精神疾患患者の退院、地域生活移行を促進するため実施していた「ホステル(アパート形式の宿泊訓練)」を、アウトリーチ支援事業の実施と引換えに一昨年度末で廃止したが、直ちに再開するとともに、大幅に増やすことが求められているが、都の見解を伺う。

回答
精神保健福祉センターのホステルについては、精神障害者の地域への移行支援やグループホーム等の地域生活基盤の整備などが進んできたことから、平成22年度末で廃止したものであり、再開する考えはありません。
平成23年度から、センターで全都を対象として実施しているアウトリーチ支援については、これまでに23区と多摩地域の全ての保健所から支援依頼を受けるなど、着実に浸透しています。

質問事項
 一の8のイ 症状が悪化したときに、一時的に宿泊・滞在できる「ショートステイ」は、あまりにも少なく、緊急時に利用できないことも大きな問題である。精神障害者ショートステイの整備を促進するとともに、「アウトリーチ(訪問支援)チーム」と連携した都独自の短期宿泊施設「ショートステイハウス(仮称)」を制度化し、身近な地域でいつでも利用できるようにすることが必要だが、都の見解を伺う。

回答
都は、平成23年度から精神保健福祉センターにおけるアウトリーチ支援と緊密に連携して、症状が悪化する前に、速やかに精神障害者を受け入れる短期宿泊事業を、区部及び多摩地域の2か所のセンターで実施しています。
短期宿泊事業については、症状悪化を防ぎ、地域生活への復帰が可能となるなど成果が出ていることから、将来的な民間等での実施も見据え、平成24年度、民間事業者を活用したモデル事業を実施していきます。

質問事項
 一の9 ピアサポーターや「家族支援ワーカー」の養成をはじめ、当事者・家族(介護者)への支援を強化することについて
    ア 精神障害者が地域で生活し回復をすすめる上で、当事者活動はきわめて重要であり、都として、「ピアサポーター推進事業」を創設し、ピアサポーターの人材養成や活動の場を広げるための支援を実施すべきだが、都の見解を伺う。

回答
都はこれまでも、精神障害者の退院を促進し、退院後の安定した地域生活を支援するため、都内6か所の地域活動支援センター等でピアサポーターを育成し、入院患者等に対して地域生活への移行に向けた働きかけを行う等の支援を実施しています。

質問事項
 一の9のイ 家族・介護者支援の専門人材である「家族支援ワーカー(仮称)」を都独自に制度化し、養成することも重要だが、都の見解を伺う。

回答
精神障害者の家族や介護者に対する支援については、専門的知識が必要であり、現在は、精神障害に関する専門知識を有している保健師や精神保健福祉士など国家資格を有する者が行っています。

質問事項
 一の9のウ 精神障害者が地域で自立して生活するため、就労支援の強化とともに所得保障・経済的支援の充実は不可欠であるが、都が身体・知的障害者を対象として実施している心身障害者福祉手当を「障害者福祉手当」とし、精神障害者にも対象を拡大すべきだが、見解を伺う。

回答
都は「障害者の地域移行・安心生活支援3か年プラン」を策定し、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中生活の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しています。
また、精神障害者については、その障害の特性から、医療を確保することの重要性を考慮し、低所得者に対して、都独自に精神通院医療の1割の自己負担分を無料としています。
手当や年金制度などの所得保障は基本的に国の役割であることから、都はこれまでも他の自治体と連携し、年金制度の改善など障害者の所得保障の充実を国に要望してきており、引き続き国に働きかけていきます。

質問事項
 一の10 災害時の精神障害者への支援体制、必要な医薬品の確保を含めた災害時の精神保健医療体制の確立、多数の都民に対する「こころのケア」体制の整備、災害によるトラウマやPTSDに対する専門的医療体制の強化などを、早急に具体化することが必要だが、都の見解を伺う。

回答
都は、東京都地域防災計画において、災害時には精神障害者・精神疾患患者に対して、都立病院及び民間精神科病院との協力による精神医療を展開することとしています。
また、医薬品・医療資器材の確保や、被災住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)をも視野に据えてのメンタルヘルスケア体制整備を図り、被災の状況に即して活動することとしています。

質問事項
 一の11 都は、全ての都民を対象にした、保健・医療・福祉の総合的な「こころの健康政策推進基本計画(仮称)」、及びその「行動計画」(3か年程度の実行プログラム)を策定すべきであり、同時に、計画の推進状況を点検・評価するため、「東京都こころの健康政策推進協議会(仮称)」を設置する必要があるが、都の見解を伺う。

回答
国は、平成25年度から実施される医療計画に記載すべき疾病として、新たに精神疾患を追加し、これも踏まえ、現在、都は東京都保健医療計画の改定作業を進めています。
改定後の計画の実施状況については、東京都保健医療計画推進協議会において、評価・検証を行っていく予定です。

質問事項
 一の12 都としても、こころの健康を国の重要施策と位置づけ、総合的で長期的な政策を実行する「こころの健康を守り推進する基本法」の早期制定を、知事を先頭に、国に対し強く働きかけるべきだが、都の見解を伺う。

回答
こころの健康に関する法律については、今後とも国の動向を注視していきます。

質問事項
 二 生活保護について
  1 生活保護の増大について
   ア 労働運動総合研究所は、「最低賃金の引き上げは日本経済再生の第一歩」とし、「被保護世帯の12.9%は世帯主または世帯員が働いている世帯である。最低賃金を時給1000円に引き上げれば、この人たちを生活保護から解放することができ、それに伴って約3800億円の財政支出削減となる。」と報告している。今やるべきは、こうした積極的な政策であり、首都東京の知事が、国に対して人間らしく働ける雇用のルールを確立し、ワーキングプアーをなくす立場でものを言うべきだが、見解を伺う。

回答
最低賃金法では、最低賃金審議会において審議し、最低賃金を答申することとされています。審議に当たっては、地域における労働者の生計費及び賃金、並びに賃金の支払能力を考慮することとし、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとしています。
今年度も、こうした点にも配慮しながら見直しが行われていると聞いています。

質問事項
 二の1のイ 子育て世帯への支援では、乳幼児及びこども医療費助成の所得制限の撤廃と高校卒業までへの年齢引き上げが必要であるが、都の見解を伺う。

回答
都は、乳幼児期は病気にかかりやすく、一方、親の年齢が一般的に若く収入が低いこと、また、小中学校の学齢期は人間形成の核となる重要な時期であることから、子育て推進の一環として、市町村が実施する乳幼児医療費助成事業及び義務教育就学児医療費助成事業に対し、補助を行っているものであり、対象年齢を引き上げることは考えていません。
また、所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えています。

質問事項
 二の1のウ 75歳以上の医療費無料化、65歳から74歳までの医療費助成も必要だが、都の見解を伺う。

回答
高齢者の医療費負担のあり方については、社会保障制度全体の中で、国の責任で対応すべきものであり、都として新たな医療費助成を実施する考えはありません。

質問事項
 二の1のエ 都として、都営住宅入居基準以下の世帯など低所得の世帯や、ワーキングプアーの若年者に対する住宅補助を行うべきだが、見解を伺う。

回答
家賃補助は、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えていません。

質問事項
 二の2 扶養義務について
    ア 民法は、直系血族と兄弟姉妹に扶養義務を定めているが、成人になった子の親への扶養義務は、無理のない範囲で行うものであり、扶養内容や範囲は、当事者同士が実情に応じて話し合いで決めるものだが、都内福祉事務所の対応もそのようにしているという認識でよいか伺う。

回答
扶養義務について、生活保護法では、民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、全てこの法律に優先して行われるものとするとされています。
また、生活保護の決定・実施に関する事務は法定受託事務であり、その実施要領に当たる厚生労働省事務次官通知では、民法上の扶養義務は法律上の義務であるが、これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話し合いによって解決し、円満裡に履行することを本旨として取り扱うこととされています。
都内福祉事務所においては、これらの考え方にのっとって生活保護行政を行っています。

質問事項
 二の2のイ 現在も生活保護申請の際、申請を受けた福祉事務所は扶養義務のある親族に扶養意思の有無を確認しているが、親族に申請したことが知られることを嫌がるなど、今でも申請しない人が少なくない。このような実態をどう認識しているか見解を伺う。

回答
生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて定めた厚生労働省社会・援護局保護課長通知では、扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある、としています。
都内福祉事務所においては、この通知に基づき適切に対応していると考えます。

質問事項
 二の2のウ 国は、扶養できないことの「証明義務」を生活保護受給の事実上の条件にする法改定の検討を表明したが、国に対して、「証明義務」を生活保護受給の条件にしてはならないことを、意見として上げるべきだが、都の見解を伺う。

回答
平成24年7月5日に厚生労働省が発表した「生活支援戦略」中間まとめでは、生活保護制度の見直しの一つとして、「保護を必要とする人が受けられなくなることのないよう留意しつつ、扶養可能な扶養義務者には、必要に応じて保護費の返還を求めることも含め、適切に扶養義務を果たしてもらうための仕組みを検討する」とされており、都はこの検討状況を注視していきます。

質問事項
 二の2のエ お笑いタレントのマスコミ報道以降、生活保護制度と制度利用者全体に対する大バッシングが起こっており、生活保護が必要な人の足を止めるような状況が明らかになっている。このような状況が生じていることについて、都の認識を伺う。

回答
生活保護制度は、生活に困窮する方に健康で文化的な最低限度の生活を保障する最後のセーフティネットであり、都としては、漏給・濫給がないよう、各区市に対する指導・助言を行っています。各福祉事務所においては、制度の趣旨にのっとり、保護が実施されていると考えています。

質問事項
 二の3 漏給をなくすことについて
    ア 生活保護を受ける資格がある生活水準の人が実際に受給している割合は、日本の場合、様々な研究ではわずか1割から2割である。厚労省が2007年の国民生活基礎調査をもとに推計した捕捉率は32.1パーセントとなっているが、欧州諸国の7割から8割と比べれば、はるかに受給すべき世帯が受給できていない。この捕捉率の低さをどう認識し、漏給を防ぐため、どのような努力をしているのか伺う。

回答
国によって、公的扶助制度は様々であり、単純に比較することはできません。
また、ご質問にある推計について、厚生労働省は、本来生活保護を受給できる方のうち実際に受給できる方の割合を意味する、いわゆる「捕捉率」や、申請の意思がありながら生活保護の受給から漏れている要保護世帯、いわゆる漏給を示すものではないとしています。
都は、保護の実施要領にのっとって、必要な方々に対し適切な生活保護の適用が行われるよう、会議、研修及び指導検査等を通じて福祉事務所に対する周知・徹底を図っています。

質問事項
 二の3のイ 欧州諸国は、国が責任をもって生活保護の捕捉率を出し、漏給を防ぐ努力をしている。国に対し、捕捉率の正確な調査を実施するよう求めるとともに、都独自に少なくとも推計を行うなどの努力が必要であるが、見解を伺う。

回答
国は、生活保護の現状把握の指標の一つとして、定期的に保護世帯比等を調査・推計し、推計結果の動向を把握していくこととしています。
都内福祉事務所においては、制度の趣旨にのっとり、保護が実施されていると考えており、都独自の推計を行うことは考えていません。

質問事項
 二の3のウ 生活保護の不正受給は正すべきだが、そのことによって支援を必要とする人を制度から遠ざけることになってはならない。都の見解を伺う。

回答
生活保護制度は、生活に困窮する方に健康で文化的な最低限度の生活を保障する最後のセーフティネットであり、都としては、漏給・濫給がないよう、各区市に対する指導・助言を行っています。各福祉事務所においては、制度の趣旨にのっとり、保護が実施されていると考えています。

質問事項
 二の3のエ 厚労省は2月に「生活に困窮された方の把握のための関係部局・機関等との連絡・連携体制の強化の徹底について」を、各都道府県知事等に通知したが、これを受けて、都としてどう対応したのか伺う。

回答
都は、これまで、電気・ガス・水道各事業者、都市整備局及び国民健康保険所管部に対して、要保護者の把握のための福祉事務所との連絡・連携体制の強化について協力を依頼し、その旨を各福祉事務所に周知してきました。
平成24年2月に厚生労働省社会・援護局長通知「生活に困窮された方の把握のための関係部局・機関等との連絡・連携体制の強化の徹底について」が発出された際には、各区市長等に周知するとともに、平成24年3月に実施した福祉事務所長会議において、各自治体内部で生活困窮者情報を一元的に受け止める体制や、管内のライフライン事業者との具体的な連携体制の構築を図るよう助言しています。

質問事項
 二の4 福祉事務所のケースワーカー不足について
    ア 生活保護の急増により福祉事務所のケースワーカーの増員が急がれるが、都としてどう支援しているか伺う。

回答
生活保護現業員については、社会福祉法に標準数が定められており、これに基づき各区市において職員を配置しています。
都は、区市に対する指導検査の結果、定数不足により適正な事務処理がなされないと判断した場合、必要な職員配置など、適正な保護の運営実施を確保できる実施体制を構築するよう、文書での助言を行っています。

質問事項
 二の4のイ ケースワーカーの人数を増やすと同時に、高い専門性が求められる仕事だけに、質の確保も重要である。ケースワーカーについては、法により社会福祉主事でなければならないが、都内のケースワーカーのうち、社会福祉主事のケースワーカーは何人でその割合はどの程度になるか。また、経験年数はどのような分布になっているか、状況を伺う。

回答
都内の生活保護現業員の数は、平成23年7月31日時点で計2,214名となっており、そのうち社会福祉主事は1,406名、63.5パーセントです。
また、経験年数1年未満の者の数は546名、24.7パーセントです。

質問事項
 二の4のウ 都として、福祉事務所のケースワーカーの専門性を高めるための支援の強化が必要ではないか、見解を伺う。

回答
区市では、生活保護現業員の知識や技能を高めるため、OJT研修を実施するとともに、社会福祉主事資格認定研修の受講を促進しています。
都は、社会福祉業務に関わる職員としての専門的資質を一層向上させるため、社会福祉法に基づき、新任・現任地区担当員、面接相談員、新任・現任査察指導員等、業務・経験別に福祉事務所職員研修を毎年実施しています。

質問事項
 二の4のエ ケースワーカーの仕事量も、また相談自体も複雑多岐にわたっているだけに、ケースワークの仕事を側面から支援することが、都としてできることではないか。就労支援員や精神保健福祉士の配置などへの支援を更に拡充するべきだが、都の見解を伺う。

回答
都は、生活保護現業員の仕事に資するため、保護の決定・実施や自立支援等に関するマニュアルの提供や専門的助言を行っています。
また、国は、就労支援員や健康管理支援員などの福祉事務所への配置について財政的措置を講じており、都は、これらの専門支援員の業務に関する研修や事例検討会を実施するとともに、こうした専門的な知識や経験を有する者の配置を更に進めるよう、助言しています。

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