〇議長(中村明彦君) 七番土屋たかゆき君。
〔七番土屋たかゆき君登壇〕
〇七番(土屋たかゆき君) 初めに、石原知事の憲法発言と領土の問題に関して、都議会議員として、また憲法学会会員としてご所見をお伺いいたします。
知事は、四月十六日、ワシントンにおいて、また定例記者会見、産経新聞の「日本よ」で、憲法問題に関する極めて法理的なご主張をされています。
この問題は、私の盟友で憲法学会の雄である南出喜久治弁護士、世界的に著名な発明家であり、東京大学における創造学講義においても無効論を説き続けられた中松義郎博士も同じ見解を主張していますが、占領下の昭和二十一年二月三日、マッカーサーは、ホイットニー民生局長にマッカーサーノートを提示、これを基本に憲法を新たにつくることを指示しています。
改正に関して、米国政府から、日本の統治体制の変革の命題がマッカーサーに出されていることからも、これは形式的意味において天皇の発議をとっていますが、実質的意味においては、法律の専門家もいないGHQ民生局のわずかな人数でつくられ、日本の自主的な帝国憲法の改正憲法という虚構の上で公布されたものであることは、その後、公開された資料からも明白な事実であります。
サンフランシスコ講和条約第一条(a)では、昭和二十七年四月二十八日までは戦争状態にありました。ポツダム宣言は、第九項で、武装解除などを目的としています。十三項にも、全日本軍の無条件降伏と明記されており、これを戦後の言論統制などで日本国の無条件降伏といいかえ、国際法違反の占領地の法改正、マスコミの検閲、情報操作によって、被占領経験のない日本国民は、心理学定義のマインドコントロールの典型例として洗脳されたのであります。
ハーグの陸戦法規第四十三条にも、占領地の現行法を尊重しとあります。実際、憲法学者の宮沢俊義氏は、当初、日本国憲法制定は、日本国民が自発的、自主的に行ったものではないと発言し、また美濃部達吉博士も、この憲法は国体、つまり日本の国柄の変更であるとして審議会でも反対、議会でも採決の際は欠席するなどして抵抗をしています。
比較憲法学の観点からも、フランスの一九四六年憲法第九十四条に、占領下の法改正は無効と書かれています。別にフランスのように明文化されていなくても、国際法に規定がある以上、それは違法といえます。
その国際法を侵犯して、銃剣による恫喝と厳重な言論統制のもとで、憲法が違法な手続のもとにいわゆる改正され、憲法と同格の皇室典範も、憲法第七十五条では、異常な事態、例えば摂政を置かなければならないような事態での憲法及び皇室典範改正は禁じられているにもかかわらず、占領下という異常事態で、皇室典範にも不当かつ重大な干渉があったといえます。
そもそも帝国憲法では、憲法改正は天皇が発議するとありますが、日本共産党の野坂参三議員は、二十一年六月二十八日、憲法改正にはその手続がなく、さらに国会では修正できないと書いてあるのに、修正するのはおかしいといった趣旨の主張をし、これは宮沢も美濃部も、さらには民主主義科学者同盟もそういっていて、これは定説だと発言しています。少なくとも、この共産党の発言は正しい憲法解釈であります。
つけ加えれば、この日の議会で、共産党野坂議員は、防衛戦争は正しい戦争だといい、八月二十四日の本会議では、自衛権を放棄して民族の独立を危うくするから、改正憲法は反対だと主張しています。これを付言しておきます。
そもそも今の憲法解釈も、議員諸氏も官僚諸君も、大学で宮沢憲法概説を習ったと思いますが、その改正に当たっては基本理念を逸脱したものは無効というのが今の学会の主流です。こうした論に対峙するためにつくられたのが八月革命説です。もしこれが通るとするなら、憲法の規定はことごとく無意味になります。
このように、手続に重大な瑕疵、欠陥があり、それを正当化する説も極めて陳腐なものです。
石原知事の憲法についての基本的ご認識は、日本国憲法は憲法として認めがたく、第九十六条の改正条項によらず、無効宣言をして排除できるというご見解であると拝察しますが、法理論的には当然の結論で、その手続を省略しての自主憲法制定は、違法な憲法強制を間接的に認めたものであることを指摘しておきます。つまり、違法性を排除した上で、自主的な帝国憲法の改正手続こそが、法律の精神に合致しているといえます。
注目すべきは、憲法の復元、改正条項の中で、国を守る権利に関する事項があります。世界の多くの国で、国を守ることは憲法の崇高な行為であると規定されています。参議院憲法審議会報告ホームページには、国を守る権利があると明記されています。国を守るのは義務ではなく、国民の権利だといえます。
一方、日本国憲法という観点から領土問題を考えたとき、自衛隊は迎撃戦、つまり正当防衛行動しかとれません。となると、例えば尖閣が一たんシナ北京政府に不法占領された後では、尖閣の奪還は、武器使用と戦闘行動対応の制限からして困難となります。領土とそれを守る自衛権など、憲法規定は極めて密接に関連しています。交戦権がない軍は、世界に例がありません。
したがって、改正憲法でも、交戦権があることを当然とした上で、国民の崇高な権利として国を守ることが明記されることが望ましく、また、例えばスイス憲法のように、保健、介護、環境保護の社会行動を代替として義務づけることも世界の常識であります。
つまり、国を守る概念は幅広く、国を構成する国民は、その権利とそれに付随する義務が本来あるということであります。
石原知事の憲法無効宣言、領土と国を守る権利と憲法の条項に関してご見解をお伺いいたします。
石原知事が、国が何もしないので、都が尖閣を買い上げると発言、マスコミなどは産経新聞を除いて、シナ北京政府におもねった内容の記事を書いています。
国民は、十一億円を超える浄財を国家を守るために寄付しています。
ところが、「フィナンシャル・タイムズ」によれば、シナ北京政府駐在大使である買弁資本出身の丹羽宇一郎氏は、国民の石原知事への圧倒的支持について、日本の国民感情はおかしい、日本は変わった国と、まるでシナ北京政府の高官のような発言をしています。ちなみに、民主党、元社会党の横路代議士も同席しています。
また、民主党政府は、外務省が注意したと官房長官が発表していますが、これは明らかに国益を損ない、多くの国民の尖閣買い上げ支持、都民で九五%を冒瀆する行為で、直截的にいえば、国賊、売国奴といえます。当然、即時罷免が相当でありますが、自民党の山本一太議員が国会で罷免を求めたところ、何と驚くべきことに、野田総理はこれを拒絶しました。石原知事の尖閣への執念、またこうした売国奴外交官の暗躍にどのような考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
次に、いわゆる東京都平和祈念館の問題について、都民的ディベートを提案します。
これは、平成九年に私が当選した直後の第四回定例議会の前に私が調査した結果で、左翼と生活文化局ぐるみの陰湿な策謀です。展示計画の七分の一が追悼、あとは、東京は軍事都市だったから爆撃された、日本の加害責任の追及などで七分の六が占められています。
質問の過程で、局は、都議会議員の皆さんにも参加をしていただいてと、その正当性を強調していましたが、先日、野田かずさ都議が「江戸から東京へ」の偏向を追及したときも、教育庁は、文教委員会の先生方にはゲラを配っていますと抗弁しています。配布することが同意したと認識するとするなら、とんでもない法感覚を持った人間といえます。
なぜ今この話題がと不思議に思われる議員諸氏もいるでしょうが、平成九年から十年にかけて、都議会では大議論になりました。文教委員会でも集中審議が何度も行われ、つじつまの合わない答弁で予算凍結、つまり、計画は実質中止となりました。
ところが、十年以上経過したころから建設推進の陳情が出るようになり、過日は都議会議員へのアンケート調査が実施をされています。
このような計画は、大概、審議会がつくられます。前回もそうでした。ところが、座長を含めてトップ三人は、そろいにそろって空襲容認史観、自虐史観であります。
座長は、この平和祈念館問題が議会で議論になっていることを知って、議会で議論になろうとなるまいと、議会での議論を建設委員会の中に持ち込まないというのが私の考えですと、平成九年十一月十四日の委員会で発言しています。知事の私的諮問機関にすぎない委員会の座長が、都議会の二元代表制を無視した主張であります。
生活文化局は、この偏った人選について、適正に選んだといい張りました。今もいっています。
さらに、一般公募と称する民間人が五名参加しています。その審査で選ばれた人の本当の仕事は、団体役員とあるのは、日本原水爆被害者団体協議会事務局次長、平和博物館を創る会編集委員、中学教師とあるのは、教職員組合の教文部長、主婦とあるのは、社民系の日本婦人会議常任委員、社民系でつくる東京平和運動センター代表幹事、会社員とあるのは、反核家族新聞発行人、大学生とあるのは、民青の影響の強い東京の高校生平和の集い実行委員の前歴がある京都大学学生であります。
実は、公平でない証拠があります。当時、私は民主党に所属しておりましたが、その運動センター幹部から、おれたちが送り込んだ公募委員に反対するなと直接いわれたんですよ、民主党の諸君。このどこが公平で公正なんでしょうか。ですから、公募委員の発言は、追悼から離れて、東京大空襲に至った侵略戦争、回覧板も戦意高揚の政策だといいたい放題であります。
実は、この審議会とは別に、企画会社の中に秘密の委員会がありました。この委員会の存在が判明したのは、担当課長が説明の折に、うっかり資料を机の上に忘れていったからであります。この秘密の委員会はどんな資料にもありません。企画会社の中にこれをつくったといい逃れをしていますが、実はいろいろな資料から、ここで展示の核心を計画したことがわかりました。もちろん、都庁職員も参加しています。
生活文化局は、今もいい逃れに終始していますが、都庁官僚諸君は、人権週間に左翼講師を招聘し、天皇が死んだら祝杯を上げようと発言した講師の選定も問題がないといい張り、都立西高のごみ捨て場の後ろに国旗掲揚塔が建設されているのも、巡回する指導主事が意図的に見逃しているさまは、曲学阿世──学問を曲げて世を惑わす──や浅学非才──学問が浅く才能がない──を通り越し、無知蒙昧、左翼小児病罹患と認定できます。
十五年の間、私は同志とともにこれらを摘発してきましたが、局から私たちに報告があった事例はゼロです。これを考えると、橋下大阪市長の公務員制度改革が必要であると考える都民はたくさんいます。
ゲーテは、最も民族的なものこそ最も国際的といいました。また、歴史学者トインビーは、十二歳ごろまでに自国の神話を教えられていない民族は滅びると、またリンカーンは、国民は記憶の糸でつながっているといっています。
この民族の歴史の糸をへんぱ的で稚拙な政治的なアジテーション史観で踏みにじっているのが今日の教育や左翼の歴史捏造です。この問題についても、石原知事のご見識をお伺いいたしまして、私の質問といたします。「Alles über Japan」、意味、自分で調べてください。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
まず、憲法についてでありますが、現日本の憲法なる怪しげな法律体系の非常に矛盾に満ちたといいますか、ゆがんだ成立の過程に対するあなたのご指摘は全く正しいと思います。それを証明する資料はたくさんあります。大事なことは、私たちがどういう形で降伏したかということを思い返す必要がある。
ドイツも日本に先んじて数カ月前に降伏しましたが、ドイツと日本の降伏の形は違うんです。ドイツは、勝ったり負けたりした過去の戦争の体験がヨーロッパでありますから、非常に大事なことを連合軍にいいました。それは、我々が降伏した後の国を立て直すための基本法の憲法は私たち自身がつくる。もう一つは、戦後の教育の体系は私たちがつくる。一切外国の干渉は受けない。それが許容されないなら私たちは降伏をしないといい渡して、連合軍もそれをのんでドイツは降伏しました。
日本の場合はどうなんでしょうか。無条件降伏と称しているのは、マッカーサーの演説でありますけれども、いずれにしろ、私たちは残念ながら、そういう強い注文はつけずに、一種の敗戦という処女体験をしたわけでありますが、ともかく、この憲法が、占領軍が占領している地域というものを支配するための一つの基本法でありまして、それ以外の何物でもない。こういった、要するに占領軍が占領地域を支配するのにつくった法律というものを、占領を受けていた地域というものが独立を果たし、国家として成立し直したときに、これを直さなかった事例というのは、私は、世界の歴史を眺めてどこにもないんです。どこにもないんです。
つまり、いろんな法律、いろんなものを引用する人がいますけれども、一番大事なことは、歴史というものを眺めてみて、歴史というものを通じた戦いの後のいろいろ複雑ないきさつがあるでしょうけど、そういったものを支配してきた歴史の原理というものがある。そういうものを照らしてみても、今の憲法というものを私たちは何でここまで墨守してきたか、私には本当に許せないし、考えられない。これは法律の歴史学者に聞いてみても、こういう事例は全く世界にない。ないことを日本人は唯一やってきた。本当に見事にマインドコントロールされたんだと思います。
私の親友でありました村松剛君がカナダの客員教授で二年ほど行っておりまして、帰ってくる途中に近くのニューヨークに寄って、アメリカの代表的な新聞でありますニューヨークタイムズの、日本が降伏したときとドイツが降伏したときのエディトリアル、論説を、社説をコピーして持ってきてくれました。
ドイツの場合には、これは非常に優秀な民族なんですね。ナチスのドイツによって道を間違ったが、彼らは必ず国を再建するだろう。この優秀な民族の再建のため、私たちはあらゆる手だてを講じて援助をしようと。残念ながら、戦後、ドイツは分割されましたが、やがて統一されましたが、そういうことで、アメリカを含めた連合軍はドイツの復興に協力した。
日本の場合はがらっと違うんです。全然違うんです。漫画が添えられていまして、その漫画は、この建物の半分ぐらいあるような巨大な化け物がひっくり返っていて、ナマズに似た、鯨に近いような大きな化け物ですが、そのあんぐりあいた巨大な口の中に、ヘルメットをかぶったアメリカの兵隊が三人入って、やっとこでそのきばを抜いている。
論説には、この醜くて危険な怪物は倒れはしたが、まだ生きている。我々は世界の平和のために、アメリカの安全のために、徹底してこれを解体しなくちゃならぬということでアメリカの統治が始まった。そのために、一つの手だてとして今の憲法がつくられた。
それを私はなぜか知らぬけど、とにかく今まで墨守してきたわけでありまして、この憲法というものは間違った点、汚点、マイナスなんていうのはたくさんありますが、これを改正などする必要はないんです。改正なんかを唱えているから時間がかかるんだ。これはしっかりした政権ができれば、その最高責任者が、とにかく国民の一番の代表として、この憲法は認められないと、歴史に例がないと。ゆえに、私たちはこれを要するに捨てる、廃棄する。廃棄という言葉が強いんだったら、どうもそぐわないカップルが、このままいくと決して幸せになれないから、私はこの女性と別れます、私はこの男と別れます──この憲法から別れたらいいんですよ。その判断をすればよろしい。国民はそれを必ず是とするでしょう、いろんなマイナスがあるんですから。
ということでありまして、私は、集団自衛権も含めて、世界じゅうが共同していろんな外敵というものを防ぎ、テロを防ごうとしているときに、その協力に積極的に参加できない国というのは尊敬されるわけがない。インド洋での給油作戦を小沢何がしが早くやめろと、そういう話をしましたが、ああいうばかな指導者というのがああいうことをいって、国もそれに従うということの面妖さというものは、世界は本当にひんしゅくしていると思いますけれども、そういう点で、私は全く今の憲法を評価しませんし、評価するしないじゃなしに、非常に害があると思うし、国家の安危というものを損ないかねないと思いますから、皆さんがもう一回憲法を読んでみて──この中に読んだ人は余りいないでしょう。いないと思いますよ。あの前文に、日本語としての間違いが三つも四つもありますよ。とにかく、精読すればわかることです。こんな憲法を拝受している国家というのは、今まで見たことない。ですから、私たちは、この憲法と手を切って別れればよろしい。それだけの価値しかない。私はそう信じております。
次いで、尖閣購入の決意と、これに関する丹羽というあほみたいな大使の発言でありますが、あんなものを、伊藤忠ですか、一番シナとの交易に大いに実績を上げている会社の社長をとにかく大使に仕立てて送り込む政府というのは、私、気が知れないんだけれども、非常に危険な人事だと思いますね。それが結局、今度、発覚したわけです。
いずれにしろ、なぜ尖閣を購入したかといえば、これは土屋議員が指摘された国を守る権利というものを国が行わないから、都がかわりにやっただけの話でありまして、だから、これだけの多くの方々が献金という行動を通じて賛意を表してくださっている。
いずれにしろ、シナの覇権主義というのはとどまるところがなくて、私はダライ・ラマと非常に親しい仲ですけれども、外務省はとにかくダライ・ラマが来るたびに牽制して、私に会わせない。ダライ・ラマもはばかって、迷惑かけてはいかぬというので会いに来ませんが、私はやっぱりこの日本を第二のチベットにしてはいけないと思いますね。
そういうことを私たちは銘記した上で、この尖閣の問題をこれから考えていきたいと思います。
とにかく、何を考えているか知りませんが、シナは中古になった航空母艦をロシアから買い込んで、何のつもりか知りません、浮かべてますけど、あんなものは世界の失笑を買っているだけで、海上における戦略の展開に何の役にも立たない。何の役にも立たない。そんなことを私たちは知った上で、彼らのデモンストレーションに幻惑される必要はないと思います。
それで、何度も申し上げてきたことですけど、私はこのままでいくと、下手をすると、日本はアメリカの属国から今後転じて、中国の属国になる、シナの属国になる。アメリカの「ニューズウイーク」という雑誌に、あるとき表紙に国旗がかかれていました。今さら何で日本版の「ニューズウイーク」にアメリカの国旗がかいてあるのかと思ったら、最後の小っちゃな星は小さな日の丸でしたが、下手をするとそのうちに、シナの国旗の六番目の星は、五星紅旗の六番目の星は、小さな日の丸になるかもしれぬ。私はそれを絶対に好まないし、私たちは子孫のために今すべきことをして、せめて、とにかくみんなの手で尖閣を守ろうということで、今度の挙に出ました。
次いで、東京都平和祈念館についてでありますが、これは今まで歴史認識や展示内容などをめぐって、議会でもさまざまな議論がなされて、当時の予算に付された都議会の合意を得た上で実施するということなど、付帯決議はまことに妥当でありまして、その重みを十分認識しております。
おかしな話で、広島の原爆の慰霊碑に「過ちは繰返しませぬ」、これ、一体主語は何なんですか。どう考えたってこれは日本人じゃない。オッペンハイマーという天才的な科学者、この人が原爆をつくった。私はオッペンハイマーの評伝というのを読みましたが、彼は広島の惨劇というものを目にして、日本にざんげして後悔して、その後、それをずっと演繹した水爆の製造に同意せずに、結局、マッカーシーによって非米委員会にかけるような、一時は要するに裏切り者とされて、結局、ケネディがそれを復権させたんですけれども、そのオッペンハイマーは、自分がつくった原子爆弾というものがいかに効果があって、いかに多くの人を一方的に殺りくしたか。あの瞬間にして殺された被害者というのは数十万ですけれども、九九%非戦闘員ですよ。これは明らかにジュネーブ協定違反ですが、その他のことをアメリカは堂々とやってきた。
この記念碑の対象になっている東京の大空襲にしたって、あれはもはや高射砲が届かないぐらいの高空というものを飛ぶようになったB29という一種の新兵器というものが制空権をなくした日本の空で、超低空、三百メートルの低空でとにかく焼夷弾をばらまいて、非戦闘員を一晩にして東京では十万殺した。名古屋でも同じことをやりましたが、これをとがめた岡田資という当時の中部軍管区の総司令官が、パラシュートでおりてきたアメリカのB29の操縦士を処刑した。これは結局B級戦犯として一方的に裁かれて、抵抗の余地もなく死刑にされましたが、こういった事例を私たちはもう一回思い返したらいい。
しかも、ルメイというのは航空の総司令官ですけれども、東京の大空襲を参謀たちは反対したのに、おれは日本が嫌いだ、日本人が嫌いだ、あの汚い国を焼いてきれいにするんだといって強行した。そのルメイに日本はおかしなことに、空軍自衛隊、航空自衛隊の創設に功があったというので勲章をやるんですな。こんなばかげた国というのは、私は世界にはないと思いますけれども、そういうことも思い起こして、この平和祈念館なるもののこれからの存続については、私たち、しっかりと物を考えた方がいいと思います。終わります。
〇議長(中村明彦君) 以上をもって質問は終わりました。
〔傍聴席にて拍手する者あり〕
〇議長(中村明彦君) 傍聴席、静かにしてください。拍手をしないで、静かに退席をしてください。
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