平成二十四年東京都議会会議録第九号

   午後五時四十六分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十八番淺野克彦君。
   〔二十八番淺野克彦君登壇〕

〇二十八番(淺野克彦君) 東日本大震災以後、都も、地震、津波への対策がクローズアップされておりますが、我が国は自然災害に加えて、テロや未知の感染症、さらに、他国からの軍事攻撃なども念頭に置かなければなりません。
 私は常々、日本では自然災害に比べて、こうした人為的危機への備えがおろそかになりがちであると感じており、日本の首都である東京都には、このような危機にもしっかりと取り組んでほしいと考えます。
 きのう、我が党の代表質問で、都内の劣化ウランの管理についての質疑がありました。こうした物質を用いたテロによって都民の生命が脅かされた場合に、都は、国民保護法に基づき、適切に対応する必要があります。
 そこで、核によるテロが行われた場合、都はどのように対応することになっているのか、まず伺いたいと思います。
 そのような場合も含めて、放射能被害は後々まで尾を引きます。昨年の福島第一原発の被害から被災地を復興させるために、東京都としてできる限りの尽力をされていることには敬意を表しますが、一方で、日本は原子力安全神話に邪魔をされ、放射能被害に対する防御や除染を効率的かつ的確に行う技術やシステムの構築がおくれているのではないでしょうか。
 既に環境省や福島県では、民間からの知恵を募集するなどの取り組みが行われているようですけれども、都としても効果的な除染のための新技術開発を後押しすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、自治体間の競争を促す取り組みについて伺います。
 ここ数年の事例を見るまでもなく、一般の方々は、自治体にもできるだけ競争を促す仕組みを望んでいることは明らかです。お隣の埼玉県では、知事のリーダーシップのもと、県内自治体の行政データを順位づけし、公表あるいは行政トップに知らせることにより、成果を上げています。都でも、できることから取り組んでいくべきです。
 例えば、個人住民税の徴収率で取り組めば、都民税は市区町村民税に合わせて徴収していただいているため、徴収率が上がれば、都も税収増となります。権利や自由に対して、責任や義務の規定が少ないといわれる日本国憲法でさえ、三つしかない義務の一つに納税がある以上、本来一〇〇%であるべきですが、行政による取り組みが必要だというのが現実です。
 そこで、徴収率の向上には、今すぐ順位づけまではいかなくても、各自治体が協力、連携にとどまらず、刺激を受け合い、競争意識を高めるような仕掛けが必要だと考えますが、所見を伺います。
 また、数字がすべてをあらわすとは思いませんが、数字は多くのことを客観的に示すものです。徴収率対策も、各自治体と協力しながら取り組む姿勢は否定はしませんが、必死で取り組む環境をつくり上げるためにも、各自治体のデータを順位づけし、徴収率向上に向けた取り組みを促すことを、今後前向きに検討していただきたいということを要望しておきます。
 このように、自治体職員がいい意味で相互に競い合い、高め合っていくことは、行政成果のレベルを引き上げていく上で極めて有効と考えますが、それだけで徴収率がアップするわけではありません。何よりも納税者の理解と納税意識の向上を図ることが大切です。自分は納税しているが、何に使われているのかといった気持ちの方もいらっしゃるようですが、公共サービスは、公務員給与などの人件費を除いても、納税者にかなりの還元があるということは余り知られておりません。そういった意識の向上を図るためにも、納税者には正しい理解をしていただくことが重要です。
 例えば、公立小学校の児童一人に対し、年額平均八十二万七千円の公費が投入されておりますし、公立中学校なら九十五万七千円の公費支出となります。合わせて百八十万円。このように都民が納めた税に対し、都民は都からどれだけの行政サービスを受けているのかという負担と受益の対応関係をわかりやすく広報していくことは、都民の納税に対する理解を深める上で有効と考えます。
 そこで、今後、納税者の理解を得るための主税局の広報の取り組みについて伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 まず、教育分野での自治体間の比較でございます。
 さきに示した埼玉県では、公立中学校の自治体別不登校者数を公表し、平成十八年から平成二十二年の五年間で、都道府県別に並べますと、悪い方から八位だったのが三十一位、百人当たり三・三一人だったものが二・六九人まで大きく改善されました。各自治体の首長さんが、データを知り、必死で取り組んだ成果だと思います。
 東京都も統計データは公表しておりますが、比較データにはなっておりません。今後、中学校の不登校改善に向けた取り組みを推進していくため、不登校者数についても、自治体間の比較データを作成、公表し、少なくても、各区市町村教育委員会は把握しているように努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、尖閣諸島の寄附金の集まりを見て、日本の領土を守るということにみずから具体的な行動をもって協力したいと考える国民が多くいることはうれしい限りです。しかし、そのすべてが歴史的な認識あるいは地理的な関係性を理解しているとは思えませんし、さらには、昨今の若者に対する調査では、国土の場所など正確に把握できていない人もいるようです。
 沖縄県における基地問題や尖閣諸島の軍事的重要性などを理解するためには、地政学的に物事をとらえる必要があり、私は高校生くらいからそのような訓練をしておくことが必要であると思います。具体的には、地理歴史科と公民科の各科目相互の関連を図ることです。社会科という一つの科目が二つに分かれてしまっている現状では、なおさら必要であります。
 そこで、地理歴史科と公民科との関連を図った授業の研究をすべきと考えますが、見解を伺います。
 学校における部活動というのは、授業だけでは学べないチームワークや忍耐力、喜びや悔しさなど、人間的に成長するために必要なことが学べるよい機会です。今後、少子化や放課後の過ごし方の変化などで部活動への参加が減り、廃部や休部になるケースがふえてくることも予想できます。そういった場合におきまして、部活動はそのすべてが生徒の学習や成長につながるものなので、廃部や休部になる場合も、結果がどうであれ、顧問や関係する先生方には、廃部にならないよう努力する姿を見せてほしいと考えます。
 都教育委員会として、都立高校の部活動の廃部、休部に対する顧問教諭の活動についてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 また、部活動において外部指導員を活用することへの取り組みには一定の評価をいたします。しかし、制度として定着していく一方で、予算上の制約などで対応しづらい場合も見受けられます。OB会など、部活動指導に貢献したいという積極的な指導者がいる場合には、予算の制約に対して、予算を増額するということだけが解決方法ではなく、学校や教育委員会の知恵で、都立高校の部活動に外部指導者の導入を柔軟かつ積極的に対応すべきと考えますが、所見を伺います。
 部活動における外部指導者にかかわらず、OBを活用することは、生徒の学びに効果的です。例えば、都立の伝統ある高校では、同窓会と連携して、各界で活躍する卒業生によるキャリア講演会などを実施しています。著名人や業界トップの方々だけでなく、いわゆる普通に働く方々や年齢の近い卒業生から仕事や就職に関する話を聞けるのは、生徒にとっても有意義です。このような取り組みは、在校生が主体的に自身の進路を選択する能力、態度を育てるキャリア教育を進める上で有効な方法だと思います。
 一方で、学校創設後十年にも満たない新設高校では、同窓会の組織自体がいまだ強固なものではなく、キャリア教育への支援がおぼつかない状況もあります。学校からの求めに応じて、キャリア教育に協力をするような仕組みを導入することにより、同窓会自体も活動が活発になることが期待できるのではないでしょうか。
 都立高校において、同窓会などを活用してキャリア教育を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、電力政策について伺います。
 東電は本年四月に、企業、産業向けのいわゆる自由化部門の電力料金値上げを強行しました。しかし、自由化部門といっても、実質的に東電以外に電気の供給先を需要家が選ぶことに制約がある状況では、競争が担保されているとはいえません。
 報道によれば、いまだ四割の需要家が契約に応じていないようですが、逆にいえば、値上げの説明に東電の不手際があるにせよ、やむなく契約更新に応じた六割の需要家がいるということになります。
 電力の安定供給など、エネルギー政策は国が主体的に取り組む課題であり、電力システム改革の方向性についても、国の専門委員会などで議論されていることは承知しておりますが、需要家が電力の供給先を自由に選択できる、真の意味での競争が担保されるようにしていくことは、都としても重要であります。
 そこで、都は、電力システムの改革にこれまでどう取り組み、今後どう取り組んでいくのか伺います。
 また、東電管内の電力供給は、昨夏のような危機的状況にはないものの、都民生活や経済活動を支える電力の安定供給には、火力発電所の役割が以前にも増して重要となっています。しかし、九都県市首脳会議でも議題となったように、運転期間が四十年を超える老朽火力発電所や三十五年を超える予備軍が多数存在し、その設備更新には一兆円を超える投資需要が見込まれています。
 このような老朽火力は、故障による停止のリスクを常に抱え、リプレース、つまり設備更新は喫緊の課題となっています。
 一方、東電の経営状況を見ると、多くの資金と時間を必要とする老朽火力のリプレースに東電が単独で取り組む余力がないことは明らかです。今回の東電の総合特別事業計画においても、今後は、老朽火力のリプレースについて、他社との共同事業という方向性が出され、東電の火力発電所八カ所がその対象として記載されています。東京のエネルギー政策上、重要な位置づけにある大井火力発電所も、その候補として上がっています。
 都として、こうした東電の老朽火力のリプレースは最優先で行っていかなければならないと考えますが、具体的な取り組みについて伺います。
 また、昨夏の電力不足の経験を踏まえ、都民や事業者の省エネに対する関心は高まっております。しかし、エネルギー効率という観点から、本当の意味での省エネは進められていないのではないでしょうか。例えば、発電所は一部を除き、熱エネルギーを電気エネルギーに変換しています。しかし、消費者側で電気エネルギーから熱を取り出すのは、エネルギー的には非効率だと思います。このような事例はまだ多いのではないでしょうか。
 そこで、都は今後、エネルギー効率という観点から、都民が真の省エネを進められるよう積極的な啓発を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、観光について伺います。
 旅行者向けの観光ガイドや説明用の看板は、情報提供に有効ですが、その育成や設置、更新に係るコストなど制約も少なくありません。
 そこで、旅行者への情報提供におけるICT技術の活用を提案いたします。
 ICT技術の活用により、携帯情報端末などを通じて、文字や映像での情報提供はもとより、多言語による多人数への対応も容易となります。また、二次元バーコードや専用アプリにより、楽しみながら情報を取得する仕掛けの構築も可能であります。何より、情報の更新が迅速かつ低コストです。
 ただ、こうした仕組みの開発に当たって、収益性が追求されると、旅行者のニーズに沿わなくなる可能性も高くなります。
 そこで、行政が民間の取り組みをつなぎ、その基礎的なプログラム開発にかかわるなどで観光にICT技術が活用されれば、東京のイメージやブランド力の向上につながると考えます。
 進歩が著しいICTの世界に行政がかかわることは難しい側面もあるとは思いますが、東京を訪れる旅行者の拡大を図り、その利便性を上げるためにも、受け入れ体制の充実に資するICT技術を活用した情報提供を進めていくべきと考えます。都の見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔副知事猪瀬直樹君登壇〕

〇副知事(猪瀬直樹君) 淺野克彦議員の一般質問にお答えします。
 電力システム改革の取り組みについてですが、東京電力など九電力体制による地域独占の弊害である競争のない電力市場の改革を目指して、東京都はさまざまな提言を行ってきました。
 現在、自由化部門に占めるPPS、いわゆる新電力の全国シェアは三・五%にすぎません。需要家が東電以外の事業者と電気の供給契約を結ぼうとしても、この期待にこたえられる状況ではありません。
 電力市場の自由化に当たっては、新規事業者の参入ルールの策定が必要であると認識していますが、まずは弱者である新電力を育成するために参入障壁を取り除くなど、政策誘導を行うことによって新規参入を促し、携帯電話市場のように、競争が当たり前の世界にしていくことが重要だと思っています。
 具体的には、東電等の送配電網を利用する際に支払う託送料金について、新電力の負担を軽減するなどの措置を講ずるべきことを国に提言してきました。経済産業大臣あるいは資源エネルギー庁長官に具体的に伝えました。
 また、今後、東京都みずからの取り組みとして、公営水力発電事業の売電先について、これまで条例により、東電のみを相手方としてきたものを、他の事業者に売却可能となるような検討を進めるとともに、同一事業所において、東電と新電力の双方から電力供給を受ける複数契約の推進などを通じて、競争環境の創出に取り組んでいきます。
 老朽火力発電所のリプレースについてですが、東電の火力発電所は、約四割が運転開始から三十五年を経過しており、今後、故障などの発生により、停止することもあり得ますので、電力の安定供給に支障が生じるおそれがあります。発電所も車の車検と同じで定期的にチェックするのですが、古くなると部品供給が、どんどんどんどん高くなります。性能も、古い車と同じで、古くなっていくとかなり効率が悪い。そういうことで、これから高効率かつ環境負荷の少ない発電所へのリプレースが早急に取り組むべき課題として迫られています。
 しかしながら、東電は、もはや自前でリプレースを行う経営体力はなく、他の民間事業者に依存せざるを得ない状況であります。一方で、新電力は販売電力の確保が課題となっています。
 そこで、先般、これも経済産業省に行き、枝野経済産業大臣に対して、新電力の自由化部門におけるシェアを、具体的に数値目標で三割と、そういう形できちっと目標設定をして、それを比重を高めていくというふうな大胆な政策展開が必要であると、こういうふうに提案して、そうしようというふうな話になりました。
 具体的には、今後更新されると想定される東電の老朽火力八カ所のうち、大井火力発電所などを東電以外の事業者がリプレースして、複数の新電力の電力供給基地として開放するということを提言しました。これにより、地産地消のエネルギーの確保と電力システム改革に向けた新電力の育成を図ることが可能となります。
 今後とも、東電改革の重要なテーマである東電の老朽火力発電所のリプレースに向けて、積極的に取り組んでいきます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、不登校生徒に関するデータの把握についてでございますが、区市町村教育委員会が不登校対策を検討する上で、不登校生徒の出現状況を把握することは重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまで区市町村別の不登校生徒数について、公立学校統計調査報告書で毎年公表いたしますとともに、指導主事連絡会等で不登校への対応策について情報交換を行ってまいりました。
 今後は、各区市町村の不登校生徒の出現状況について、都全体の状況と比較ができる資料を作成し、各自治体が不登校の状況をより正確に把握し、対応できるよう、区市町村教育委員会に提供してまいります。
 さらに、不登校対策で効果があった具体的な事例等につきましても積極的に提供することで、不登校解消に向けた取り組みが充実するよう支援してまいります。
 次に、地理歴史科と公民科の関連を図った授業研究についてでございますが、新学習指導要領では、歴史においては、歴史的事象を地理的条件と関連づけて、また、地理においては、地理的事象を歴史的背景と関連づけて考察することが、新たに地理歴史科の各科目の目標に加えられたところでございます。
 都教育委員会は、こうした新学習指導要領に対応した地理歴史科の授業について、教科等の指導内容、方法を研究し、実践事例の開発を進め、その成果を発表会や報告書により、全都立高校に広めております。
 さらに、地理歴史科の授業を計画する際には、公民科との関連に留意する必要がございますことから、今後はこうした視点からの研究も進めてまいります。
 次に、都立高校の部活動の休部、廃部に対する顧問教諭の活動についてでございますが、部活動は、生徒の自主性や社会性などを育て、豊かな人間関係、さらには個性、能力の伸長や体力を向上する上で極めて重要な教育活動でございます。
 しかし、都立高校の部活動の中には、運動部系、文化部系を問わず、部員数の減少により、休部や廃部となるものもございます。こうした部員数の減少による休部や廃部の防止に向けまして、都教育委員会は、今後とも、部員数の動向を把握しております顧問教諭に対して、生徒に部活動への関心を持たせ、新入部員の確保に努めるよう、講習会等の機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、都立高校の部活動における外部指導員の導入についてでございますが、卒業生や地域の専門的指導者を外部指導員として部活動に導入することは、部活動を活性化するための有効な手段の一つでございます。
 このため、都教育委員会は、平成十八年度に規程を改正いたしまして、外部の指導者が部活動の顧問を行えるよう門戸を広げてまいりました。その結果、平成十九年度から平成二十三年度までの間、都立高校には延べ八千四百二十九人の外部指導員が導入され、そのうち、延べ四百四十九人の外部指導員が顧問として正式委嘱され、部活動に貢献していただいております。
 今後とも、都教育委員会は、部活動に貢献する意欲ある外部の指導者について、適切に導入していくよう、各学校を指導してまいります。
 次に、都立高校における同窓会を活用したキャリア教育についてでございますが、同じ高校出身の社会人から話を聞く機会を設けることは、在校生に身近な進路のイメージを持たせることができ、キャリア教育の推進の上で非常に効果的であると考えます。
 現在、幾つかの都立高校では、各界で活躍している卒業生から話を聞く取り組みが行われておりまして、生徒に将来への希望を抱かせる機会となっております。
 また、みずからの近い将来像を具体的に描くためには、職業について間もない卒業生から、現在の仕事、そこに至るまでのさまざまな経験や苦労話を聞くことも意義がございます。
 今後、都教育委員会は、各学校が同窓会等の協力を得て、これらの取り組みを進めるよう、実践事例を広め、生徒一人一人のキャリア形成の機会を充実させてまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 核物質を用いたテロに対する対応でございますが、核物質を用いた大規模テロ等が生じた場合、都は、国民保護法の定めにより、東京都緊急対処事態対策本部を設置し、国や関係機関と連携して、国民を保護するための措置を講ずることとしております。
 具体的には、防護措置を施した警察、消防、自衛隊が被災者の救出、救護を担い、都は、緊急被曝医療活動を行う救護班の編成を関係医療機関に要請するとともに、被災地付近の住民等をコンクリート屋内や放射線の影響を受けない安全な地域に避難させるよう区市町村に指示し、移動手段の確保などの支援を行います。
 こうした対応を適切に行うため、都は、対処マニュアルを整備するとともに、関係機関と連携して、大規模テロ等を想定した訓練を行っております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、除染技術についてでございますが、福島県等におきまして、放射能の除染が課題となっており、そのために効果的な除染技術の開発と検証が求められているものと認識しております。
 昨年八月に施行されました放射性物質汚染対処特別措置法によりまして、除染や汚染廃棄物の処理等の技術開発については、国が行うこととされております。国は、昨年十二月、今後の除染作業等に活用し得る有望な除染技術について公募をしておりまして、除染の効果、経済性、安全性等の評価結果を本年九月に取りまとめる予定でございます。また、本年五月からも二回目の技術公募を行っており、来年三月に評価結果を取りまとめる予定でございます。
 都といたしましては、除染技術に関する国の取り組みを注視してまいります。
 次に、省エネに関する普及啓発についてでございますが、昨年夏の経験を踏まえて、過度に電力に依存した生活を見直し、賢い節電を定着させるとともに、電気、ガスなど各エネルギーの特性を生かした利用を進めていくことが大切でございます。
 都は、低炭素な自立分散型エネルギーを確保するため、昨年夏から、太陽光、太陽熱、ガスコージェネレーションシステムなど、電気と熱の両面から高効率な設備への導入補助を開始しております。
 今後とも、都は、太陽熱利用の促進に向け実施をしております「熱は熱で」のキャンペーンや節電アドバイザーの訪問によるアドバイス等を通じ、都民が総合的なエネルギー効率の高い機器を選択し、快適性、利便性と省エネ、節電が両立した生活を実現できるよう、きめ細かい普及啓発を実施してまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、個人都民税の徴収対策についてでございますが、都では、平成十六年度に個人都民税対策室を設置し、区市町村からの整理困難事案の引き受けや都職員派遣などの支援を行い、税収の確保に一定の成果を上げてきました。
 また、昨年度から、都職員が区市町村を訪問して幅広くアドバイスを行う巡回相談を開始するなど、年々、連携の充実強化を図ってまいりました。
 昨年末には、都内区市町村のほとんどが一堂に会した情報共有の場として、創意工夫に富んだ督促文書の展示会を開催いたしました。参加者は、他団体の取り組みを目の当たりにして相互に刺激を受け、業務改善意欲も高まったところでございます。
 このように、情報を共有し、互いに切磋琢磨することは、区市町村の徴税力強化にとって重要と認識しており、都として、今後そうした機会づくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、納税者の理解を得るための広報についてでございますが、都税が果たしている役割をわかりやすく伝えていくことは、都民の理解を得ていく上で極めて有効であります。
 このため、これまでも主税局では、局ホームページや広報紙「あなたと都税」等で、東京都の歳入歳出予算を初め、都民生活を支える事業や取り組みを紹介してまいりました。
 また、小中学校等に職員が出向いて出前授業を行う租税教室の実施や、中学生の税についての作文に対する支援、協力など、次代を担う児童生徒の納税に対する理解を深める活動にも取り組んできたところでございます。
 今後、より一層わかりやすさに重点を置いた伝え方に努めていくとともに、多くの都民に都税に対する興味を喚起してもらえるよう創意工夫を凝らし、納税者意識の高揚を図ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 旅行者に対する情報提供についてのご質問にお答えいたします。
 東京を訪れる旅行者に対して、充実した観光情報を提供することは重要であり、こうした観点から、ICT技術の活用は大きな可能性を持つものと認識しております。
 一方、ICT技術を活用した観光情報の提供については、既に民間事業者によってさまざまな取り組みが行われており、その創意工夫によって日々進歩していくものであると考えております。
 都としては、こうした動向を見据え、旅行者のニーズに的確に対応できるよう、ICT技術を活用する民間事業者等への観光情報の提供などの充実に取り組んでまいります。

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