平成二十四年東京都議会会議録第九号

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
 三十一番中村ひろし君。
   〔三十一番中村ひろし君登壇〕

〇三十一番(中村ひろし君) 最初に、少子高齢社会への対応について質問します。
 現在、老後の不安、若い世代の貧困など、先への不安を抱く方も多くいます。都政には多くの課題がありますが、現在の東京の最大の課題は雇用と貧困だと指摘する有識者もいます。昨今、知事は国政に関する発言が目立ちますが、都民の暮らしについても、もっと発信をしていただきたいと思います。
 二〇一三年四月以降は、公的年金の報酬比例部分が段階的に六十五歳に引き上げられます。現在のままでは、六十歳定年以降、継続雇用を希望したとしても、雇用が継続されず、また年金も支給されず、無収入となる期間が生じる可能性があり、いわゆる二〇一三年問題といわれています。この問題に対応するため、企業に、継続雇用制度などの六十五歳までの雇用を確保するための制度の導入を義務づける高年齢者雇用安定法の改正案が国会に提出されています。一方、この高齢者の雇用により、若年者の雇用機会が失われるのではないかとの声もあります。高齢者の生活も大切ですし、若年者の仕事の確保も大切です。高齢者、若年者、両者に対する就労支援を行っていく必要があると考えますが、都としての対応を伺います。
 次に、高齢者の住まいの課題について伺います。
 都は、施設での介護よりも住まいに近い形のモデルとして、サービスつき高齢者住宅、都型ケアハウス、シルバー交番の三つを示しました。とりわけ中間所得層向けのサービスつき高齢者向け住宅については、先日、見学もさせていただきましたが、バリアフリーの住宅に行き届いたサービスがあり、すばらしかったのですが、今後、普及するかどうかは注視をしていきたいと思います。今般、自治体でも品川区が主体となって整備するとの報道もありました。
 今後、サービスつき高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅を大幅に供給していく必要があると考えますが、都の設置促進に向けた取り組みを伺います。
 孤独死、孤立死は、大きな課題です。以前も述べましたが、都知事の選挙公報の十の約束の一つに、認知症ゼロ、寝たきりゼロ、孤独死ゼロのトリプルゼロ社会を東京ルールで実現しますとありましたので、具体的な取り組みを求めます。
 昨年度、都は、東日本大震災の影響による電力不足を受けて、高齢者の熱中症対策を緊急対策事業として実施をしましたが、震災後の特殊事情だけではなく、日常的な高齢者施策としての見守りが必要です。地域では創意工夫を凝らしたさまざまな取り組みが行われていますが、オートロックマンションや個人情報の壁など、依然として見守りの現場における課題は多いのが現状です。取り組みに地域差があることも気になります。
 都は、市区町村において、より効果的な高齢者等の見守りの取り組みが進むよう、一層支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 三月二十八日に東京都のがん対策推進協議会を傍聴しました。さきの定例会最終日の二十九日の前日で、まだ条例の可否が決まる前でしたが、福祉保健局長からは議会での議論についての一定の評価をされていました。国の方でも、がん対策推進基本計画が閣議決定をされ、都も、二十五年度の改定に向けて取り組んでいる大切な時期だと思います。
 がんには、早く見つけて治療をすれば治るがんがありますし、治療も随分と進んできました。治せるがんを早く見つけるためにも、がん検診の受診率向上に向けた取り組みは大変重要で、そういう点では、都議会民主党の要望により、今年度の予算に新規事業として、がん検診受診率精度向上支援事業が計上されたことは評価します。
 しかし、都のがん対策基本計画では、平成二十四年度の目標を五〇%としながらも、二割台から三割台にはできましたが、まだまだ目標にはほど遠い数値です。がん検診受診率を向上させるためには、自治体だけではなく、職域等の受診率の向上も重要です。
 がん検診受診率への効果的な対策を考えるためにも、まず現状把握に取り組むべきと考えますが、現在、職域におけるがん検診は位置づけが明確になっておらず、受診状況の正確な把握もできていません。そのことに関する都の見解、所見をお伺いします。
 また、都民の受診率向上のために、都はどのように取り組んでいくのかも伺います。
 がん患者の方が自宅で療養する場合、独居高齢者の場合は十分に対応できないという不安もあります。往診に行ったら亡くなっていたという医療関係者の声も聞きました。在宅での療養と独居との関係も重要な課題です。国は医療制度をつくるのですが、地域福祉との連携は地方自治体の役割です。
 今後、都として、がん患者の地域における療養生活を安定したものにする施策、さらには、社会復帰に向けての支援について、どのように取り組むのか伺います。
 次に、精神保健福祉について伺います。
 昨年、厚生労働省が、精神疾患を五大疾患とし、医療計画の必須事項となりましたので、今後改定を行う東京都保健医療計画に盛り込まれることになります。とりわけ若年層については重要であるにもかかわらず、支援が十分に行き届いていない領域といわれています。若年者の苦しんでいる状況を何とかしたいという切実な声も届いています。精神疾患を早く見つけて早く支援を行うことは大切です。
 都は、そのために内科医の研修を行うなど取り組んではいますが、医療機関だけではなく、民間事業者によるサポートが行われている事例もあり、地域において若年層を対象とした医療と福祉の連携に取り組んでいく必要性があると考えますが、所見を伺います。
 精神疾患に関する施策に関連して児童虐待への対応についても伺います。
 さきの予算特別委員会でも多くの議論がありましたので、私も、東京都児童相談センターや杉並児童相談所を訪問しました。痛ましい事件がなくせるよう一層の取り組みを要望するものです。児童虐待が問題になるときに、親に精神疾患の疑いがある場合もあります。児童相談所で子どもの対応はするのですが、親への対応はどのようにしているのでしょうか。児童相談所は、保健所と連携したり、専門家を配置するなどの取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、地域主権について質問します。
 都は三多摩格差はなくなってきたといいますが、近年でも公立小中学校におけるエアコン設置率の余りの差に依然として格差があることを実感させられました。これは会派を超えた議員の取り組みだと思いますが、都が市町村総合交付金を年々拡充してきたことは評価をします。ただ、多摩地域では、保健所が統合されたり、多摩図書館の位置づけも変わりました。今度は労働情報相談センターも統合しようとしていますので、サービスが低下しないよう要望します。
 また、本年四月には、地域主権一括法により多数の事務が都から市区町村に移譲されました。各市区町村においては、実施主体の変更に伴うサービスの低下を招かぬよう懸命にサービス水準の維持向上に努めているところです。
 これら移譲事務に係る財源は、地方交付税により国が措置するとされていますが、多摩地域には、交付団体もあれば不交付団体もあります。不交付団体にとっては、仕事がふえたが財源は来ないという現状であり、この状況は住民サービスにも影響しかねません。私の地元三鷹市も不交付団体ですが、このような状況も踏まえ、先般、三鷹市長が総務大臣あてに、地方交付税の不交付団体における都市財政の充実強化についての要望を提出しました。
 都においても、市区町村の実情を踏まえ、国に対して強力に働きかけを行っていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、調布飛行場について質問します。
 調布飛行場は、三鷹市、府中市、調布市三市にまたがり、大島、新島、神津島と本州を結んでいます。都議会民主党は島嶼振興等調査会を設置し、私も会員として、島しょ振興に取り組んできました。一方、周辺に住む方にとっては安全への不安や騒音などの環境問題もありますので、常に配慮することが大切です。
 これまで都と地元三市で協定を結び、空港の運営については常に協議を行っていました。今回、羽田空港から三宅島への航空路線が平成二十四年度末をもって羽田では就航不可能になるとのことで、調布飛行場からの就航が検討され、既に都から地元三市への協議を申し入れ、島からも三市への要請もあったようです。
 また、新たな航空路線をふやすだけではなく、これまでは目視による有視界飛行しか認めてこなかったのを、天候によっては計器飛行に変更することもあわせて計画し、三市に申し入れているとのことですが、いずれも、今開会をしている三市の議会で協議をされると思われます。島しょ振興は大変重要ですが、安全対策を怠ってはなりません。最終的には三市の承諾が必要になりますが、前提として安全対策や騒音対策などが重要になりますので、都としてどのように取り組むのかを伺います。
 また、これまでも都が決定するときは、なかなか地元に情報が出てこないことに、地元の不信感がなかったわけではありませんでした。今後、地元三市、周辺住民にどのように説明をしていくのか伺います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 東日本大震災以降、原子力発電への依存度を減らさざるを得ない社会になり、再生可能エネルギーの推進、省エネルギーの推進が大変重要になります。都議会民主党は、昨年、省エネ条例を提案して可決をさせ、それを受けて都は省エネ推進方針を策定し推進をしています。今後、一層省エネを進めるには、都だけが旗を振るのではなく、都民の中からも省エネを進める大きな動きが出ることを期待します。
 今回、東日本大震災や原子力発電所の事故に伴う大幅な電力不足の経験を受けて、多くの方がエネルギー政策に関心を持っている昨今の状況を踏まえ、都民の声をしっかりと受けとめながら、エネルギー政策を企画、展開していくことが必要と考えます。
 都は、東日本大震災を踏まえたエネルギー政策のあり方について、どのような検討体制で議論を深め、どのような取り組みをしてきたのか、今後はどのような取り組みを行っていくのかを伺います。
 最後に、中国残留邦人問題について伺います。
 私は一橋大学に在学のときからこの問題にかかわり、支援活動にかかわってきましたが、高齢化が進み亡くなる方も多くなってきました。いうまでもなく、中国残留邦人は、終戦の混乱や冷戦などの国際情勢のもとで、何十年も中国に残留を余儀なくされた日本人のことです。
 戦前、国策として満州に渡ったものの、敗戦を知らされず、ソ連軍の襲撃により多くの犠牲者を出しました。その後、東西冷戦により帰国の道が閉ざされ、ようやく日中国交回復後に帰国の道が開かれたものの、時間の経過により、判明が困難であったり、判明しても遠い親戚では受け入れが難航するなど、現実的に帰国できるまでにはさらに多くの月日がかかりました。人数は減りましたが、今なお訪日調査で身元を探す方もいます。国家間の戦争は国民を不幸にし、その後、何十年もつめ跡を残します。当事者にお会いするたびに戦争の愚かさと平和のとうとさを認識させられます。
 ここで、知事の中国残留邦人問題と平和に関する認識についてお伺いをします。
 中国残留邦人は、帰国後に日本語が不自由なため就職が困難で、本当に苦労をされました。国の責任と補償を求めて、国家賠償請求訴訟も起こされましたが、国との和解がなされ、法律が改正されて新たな支援策が導入をされました。新支援法の本格施行から約四年が経過をしました。支援相談員の配置はありますが、地域支援については受け皿となる民間団体が必ずしもなく、また、人数が少ない自治体だけでは対応が難しいところもあります。地域支援については、法律で市区町村の業務とはなりましたが、各自治体の取り組み状況と広域的な支援を行う都の今後の取り組みを伺います。
 中国残留邦人の問題は、長年放置されたせいで、二世、三世、四世へと、課題が継承されてしまいました。国の援助の範囲は同伴家族だけだったため、呼び寄せ家族への支援はほとんどないため、苦しい生活の方が多くいます。
 都は自治体として、問題に直面した方々に対して、国よりも対象範囲を拡大し、日本語学校事業を行ってきたことは高く評価をします。しかし、高齢化しつつある二世の中には、先への展望が抱けず不安を抱いている方もいます。根本的な問題は国の責務とはいえ、都としても国に対して要望すると同時に、現実的な対応が必要です。相談等の対象も呼び寄せ家族にも拡大するべきだと考えます。
 こうした呼び寄せ家族の問題について、都はどのように認識をし、どう対応するのかお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 中村ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 中国残留邦人の問題と平和に対する認識についてでありますが、敗戦間際、ソビエトは中立条約を一方的に破棄して、我が国に宣戦布告をいたしまして、ソ連軍は、満州、南樺太、千島に一挙に侵攻し、どさくさに紛れて領土までもかすめ取ったわけでありますが、この戦で満州では開拓民を初め多くの同胞たちが悲惨な最期を遂げられました。何とか生き延びた人々も、日本へ引き揚げに際して厳しい苦難に遭って、こうした悲惨な歴史が今日の中国残留邦人の問題を生んだと思います。
 今でも覚えていますけれども、敗戦直後、私の父の友人の一族が、満州にいた方々が、ほうほうのていで引き揚げてきまして、生活のめどが立つまで私の家に数カ月滞在しておられましたが、子どもを産んだばかりの娘さんが、男に見せるために頭を丸刈りにして、まだ毛が、要するによく伸びていなかったのを、私、子どものころでありましたから非常に奇異な思いで眺めたのを覚えています。
 いずれにしろ、生き延びるためとはいえ、親が自分の子どもを手放さなければならなかった事実には、思いをはせたとき、本当に心が痛みます。引き揚げた人は、まだましであったと思いますけれども、とにかく子どもを向こうへ残した人たちというのは、本当に、何ともいえぬ断腸の思いだったと思いますが、こうした悲劇はもう二度と起こしてはならないと思います。
 しかし、その平和を成立させるためには、それを一生懸命願うだけではなくて、現実的な手だてを積み重ねる必要があるということを忘れてはならないと思います。戦後、日本はアメリカ依存でずっと過ごしてきましたが、さしたる緊張もなしに、今は平和の毒に侵されて、自分の手で自分を守るということすら忘れた感じがいたしますが、心がけずして安易に手にしている平和は、結局、結果として、物質主義、拝金主義という平和の毒を醸し出したと思います。
 有名な哲学者でありました田中美知太郎さんの非常に識者の間では評判の論文でありましたが、その中で田中さんは、憲法で幾ら平和を唱えても、それで平和を確立するわけではない、ならば憲法に台風は日本に来てはならないと記すだけで台風が防げるかという至言を残しましたけれども、私たち、これを胸に刻むべきだと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 高齢者と若年者に対する就業支援についてのご質問にお答えします。
 今後、少子高齢化の進展により、労働力人口の減少が見込まれる中、世代を問わず働く意欲と能力のある方が就業を通じて社会を支え、活躍できるよう支援することが重要であります。
 ご質問の高齢者につきまして、都は、東京しごとセンターで就業相談や就職支援講習などを行うほか、地域で臨時的、短期的な就業機会を提供するシルバー人材センターへの支援などを行っております。
 また、若年者に対しましては、しごとセンターでのカウンセリングなどに加え、就職面接会の開催、研修と就業体験を通じた正規雇用化への支援などを行っております。
 今後とも、さまざまな施策を通じて、すべての年代の方々に意欲と能力に応じた支援を行い、就業を推進してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 高齢者向け住宅の設置促進についてでございますが、高齢化が急速に進む中、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らすことが重要でございます。
 このため、都は、平成二十一年、猪瀬副知事の発案により立ち上げたプロジェクトチームの検討結果に基づきまして、高齢者向けの賃貸住宅の供給促進を図ることといたしました。国は、この都の先駆的な取り組みを受け、昨年四月に関係法を改正し、現在は、これに基づき供給促進を図っております。
 お話の高齢者向け賃貸住宅は、平成二十三年度末で約二千七百戸が設置されており、平成二十六年度までの設置目標である六千戸に向け順調に推移しております。
 高齢者向け賃貸住宅の供給促進には、市区町村との連携強化や事業者への制度の周知が不可欠であり、都独自の基準や補助制度をわかりやすく示したパンフレットを作成し、周知に努めているところでございます。
 今後とも、国や市区町村と連携し、サービスつき高齢者向け住宅などの設置促進に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区市町村の見守りの取り組みへの支援についてでございますが、都はこれまで、民生委員や自治会、町会などによります高齢者の見守りを行う区市町村に対して、包括補助を通じて支援をいたしているほか、シルバー交番設置事業により、地域の高齢者を見守る拠点の充実を図っております。
 今年度は、見守りの担い手を中心に構成する会議を新たに設置しまして、これまでの取り組みの検証や先駆的事例の分析を行い、効果的な見守り手法などを検討することとしておりまして、この結果も活用しながら、区市町村の取り組みが一層進むよう支援してまいります。
 次に、職域のがん検診についてでございますが、職域におけるがん検診は、法令等における位置づけが明確でないため、受診状況の正確な把握や精度管理を行うことが困難でございます。
 また、がん検診の受診率を向上させるためには、区市町村が行う検診とあわせ、検診全体に占める割合が高い職域における検診の受診を促進することが重要でございます。
 このため、都は、職域におけるがん検診につきまして、がん対策推進基本計画に明確に位置づけ、受診率や実施状況を把握できる仕組みを構築するとともに、有効ながん検診が実施されるようガイドラインを示すなど、支援策を講じることを、国に対し、提案要求をしております。
 次に、がん検診の受診率向上のための取り組みについてでございますが、都はこれまで、リーフレットやホームページ、イベントなどを通じ、がん検診の重要性や具体的な受診方法等について、都民に周知を図ってきました。
 また、がん検診の実施主体であります区市町村に対しましては、個別の受診勧奨など、効果的な受診率向上策に取り組む際に、包括補助事業を活用して支援をいたしております。
 さらに、がん検診に積極的な企業をがん検診推進サポーターに認定をいたしまして、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発などの活動を支援しております。
 今年度は、こうした取り組みに加え、研修やイベント等で活用する映像作品を制作し、都民のがん検診受診率の向上を図ってまいります。
 次に、がん患者の療養生活についてでございますが、都は、病院での治療を終えたがん患者が、住みなれた地域で安心して療養できるよう、病院から在宅への円滑な移行等を調整する窓口の設置や急変時の病床確保など、区市町村における在宅療養の取り組みを支援いたしております。
 また、五大がん及び前立腺がんについて、東京都医療連携手帳を作成し、患者が自分の治療計画を理解して、地域で診療を受けることができるよう、普及を図っております。
 今後とも、がん患者が社会復帰を含め、地域の中で療養生活を継続できるよう、在宅療養の取り組みを進めてまいります。
 次に、若年層への支援における精神科医療と福祉の連携についてでございますが、精神障害者を支援するため、区市町村では、民間事業者も活用し、地域活動支援センターを中心に相談支援を実施いたしております。
 また、都では、精神保健福祉センターや保健所におきまして、若年層やその家族を対象に専門職による思春期、青年期相談を行いますほか、区市町村や民間事業者等と共同いたしまして事例検討会を実施するなど、医療と福祉が連携した支援に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを進め、若年層の精神障害者を支援してまいります。
 次に、児童相談所における親への対応についてでございますが、児童相談所は、親からの虐待が明らかになった場合、子どもの状況や家族環境、親の精神的な状況など、個々の家庭状況等を把握した上で、その家庭に対する支援方針を定め、親への指導を行っております。
 そのうち、精神疾患の疑いがあるなど、医療支援が必要な親に対しましては、児童福祉司や保健師の資格を持つ専門職員が、保健所等と連携をし、医療機関への受診の働きかけを行うなど、家庭生活を立て直し、子どもの養育が適切にできるよう支援をいたしております。
 次に、帰国した中国残留邦人等への支援についてでございますが、平成二十年度から、法改正に伴いまして、中国帰国者等に対する通訳や相談員の派遣等を行う地域生活支援事業の実施主体が区市町村となりましたが、都は、実施体制が整わなかった区市町村について、暫定的に事業実施を補完してまいりました。
 この間、都は、区市町村に対し主体的に事業を実施するよう働きかけを進め、今年度から、支援が必要な中国帰国者等の住むすべての区市町村において、実情に合わせた事業が実施されております。
 また、都は、他の自治体の取り組み事例の紹介や、区市町村の支援、相談員等を対象とした医療通訳の専門研修等を行っており、今後とも、区市町村が中国帰国者等への支援を円滑に実施できるよう、引き続き取り組んでまいります。
 最後に、いわゆる呼び寄せ家族への対応についてでございますが、中国帰国者等への支援は、基本的に国の責任で行うべきでございますが、後から帰国した二世等の家族、いわゆる呼び寄せ家族を対象とした国の支援制度は設けられておりません。
 都は、呼び寄せ家族についても、言葉や生活習慣等の違いから生じる生活上の困難があると考えられることから、その自立、定着の促進を図るため、独自の生活相談員制度を活用し、日常生活等の諸問題に関する相談、助言、指導を行っております。
 また、無料で受講できる日本語教室や、都立高校での中国引き揚げ生徒のための入学者選抜について、呼び寄せ家族も対象にしているところでございます。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 市区町村の実情を踏まえた国への働きかけでございますが、地域主権一括法による市区町村への権限移譲に係る財源につきましては、国が、地方交付税や国庫負担金などにより確実に措置することとされております。
 しかし、地方交付税では、不交付団体にとって事実上の財源措置になり得ず、不満があることは都としても承知をしております。
 そのため、都は、国への提案要求等により、これまでも不交付団体などすべての市区町村に対し、必要な財源を措置するよう国に求めてまいりました。
 今後とも、市区町村の実情を踏まえながら、国に対して確実な財源措置を行うよう働きかけをしてまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 調布飛行場に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調布飛行場の安全、騒音対策についてでありますが、調布飛行場は市街地に立地していることから、これまでも、安全性の確保や騒音の低減に向け、さまざまな取り組みを行ってきております。
 具体的には、安全面に関しては、毎月開催される運航担当者会議等において運航の基本手順等の徹底を図るとともに、都独自の取り組みとして事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなどして、安全対策に努めてまいりました。また、騒音対策としては、国の基準よりも手厚い住宅防音工事補助等を実施してきております。
 今後は、航空法の改正により新たに導入された操縦者の技能維持を図るための特定操縦技能審査制度の活用などを図り、さらなる安全確保に万全を期すとともに、騒音対策にも引き続き努め、周辺住民の方々が安心快適に過ごせるよう、総合的に対策を実施してまいります。
 次に、調布飛行場の地元協議についてでありますが、都では、これまでも、飛行場の管理運営に関して大きな変更が生じた場合には、地元三市と協議を行うとともに、必要な住民説明も行ってまいりました。
 今回の三宅航空路線の新設及び計器飛行方式導入についても、地元三市に対して五月に提案を行い、協議を重ねているところであります。
 今後とも、地元市との協議が円滑に進むよう、適切な情報提供に努めるとともに、周辺住民の方々への説明会も開催し、地元から十分な理解が得られるよう全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) エネルギー政策に関する検討についてでございますが、都は、昨年七月、東日本大震災を踏まえた今後の環境政策のあり方につきまして、環境審議会に諮問を行い、エネルギー政策についても、主要な検討課題の一つとして活発な議論が行われました。
 議論の過程では、パブリックコメントを実施いたしまして、都民、事業者等から寄せられた意見の内容を公表するとともに、適宜、最終答申に反映をいたしました。
 先月、都が発表しました省エネ・エネルギーマネジメント推進方針は、本答申を受けまして、昨年夏の経験を生かした賢い節電の定着に向けた方針と、スマートエネルギー都市の実現を目指した施策の方向性を取りまとめたものでございまして、今後、都民や民間事業者等と連携し、着実に取り組みを進めてまいります。

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