午後五時四十一分開議
〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十四番長橋桂一君。
〔八十四番長橋桂一君登壇〕
〇八十四番(長橋桂一君) 謹んで申し上げます。多くの国民に敬愛されてまいりました寛仁親王殿下におかれましては、去る六月六日、薨去されました。ここに謹んで弔意を表します。
それでは、都議会公明党を代表して質問いたします。
日本観測史上最大のマグニチュード九を記録した東日本大震災は、未曾有の被害をもたらし、戦後、日本人が経験をしたことのない超広域災害となりました。この地震により大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。また、大津波以外にも建物の倒壊や道路陥没など広大な範囲で被害が発生し、各種ライフラインも寸断されました。
震源地から離れた東京においても、液状化現象や大量の帰宅困難者の発生などの被害がありました。
都は、東日本大震災を踏まえ、現行の首都直下地震に加え、海溝型地震、活断層で発生する地震を加えて被害想定の見直しを行いました。
そこで、現在、地域防災計画の改定を進めていることを踏まえ、首都東京の防災、減災対策の強化について質問をいたします。
一九五〇年代から始まった我が国の高度経済成長期に東京の都市インフラは集中的に整備が進められ、以来、都市機能が高度に集積した都市として発展してまいりました。しかし、社会資本の基盤である橋梁や道路、河川や港湾、さらには鉄道や空港、水道、下水道など、多くのインフラが耐用年数の五十年から六十年を経過するなど、防災力低下が指摘されています。
アメリカでは、一九二九年に始まった世界恐慌を克服するためにニューディール政策で大量のインフラが整備されましたが、その後の維持管理に十分な予算を投じなかったために、半世紀後の一九八〇年代に入ると、老朽化した橋の崩落や道路の陥没が多発するなど、荒廃するアメリカと呼ばれる事態に陥りました。その再構築に膨大な予算を投じざるを得なかったことはいうまでもありません。
この教訓を踏まえ、世界の都市間競争を勝ち抜いていける都市を構築する上でも、首都直下地震に備えた東京の都市インフラの強化に向けた抜本的な取り組みを加速させるべきであります。知事の所見を伺いたいと思います。
膨大な予算を要する都市インフラの更新を加速させていくためには、民間資金の活用も重要であります。都は、今年度予算において、環境、エネルギー対策の推進のため、官民連携インフラファンドを創設しております。同様の視点から、東京の都市インフラの更新に民間資金の導入を検討すべきと考えます。見解を求めます。
次に、災害時に重要な役割を果たす橋梁の耐震化について質問いたします。
都は現在、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めておりますが、道路施設である橋梁については、崩落した場合には緊急輸送道路の寸断という甚大な被害が想定されます。したがって、広域的な防災活動を支える都市基盤の強化には橋梁の耐震化が欠かせません。
都道の橋梁は、完成後五十年以上経過しているものが三四%もあり、二十年後には七六%に達します。建設局は、管理する橋梁千二百六十一橋のうち、緊急輸送道路等の四百一橋の耐震化を急ぐべきです。今後の耐震補強計画について見解を求めます。
次に、水道、下水道施設の耐震化について質問します。
まず、水道施設ですが、大震災が発生した場合でも、断水を最小限にとどめ、飲料水を確保することが重要であります。東日本大震災では、被災地において約二百二十万戸を超える断水被害がありました。
一方、都の被害想定によると、首都直下地震では、都内の断水率は三四%と想定されています。都の水道管路は、耐震性にすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえをほぼ完了しておりますが、課題は現在二七%の整備率にとどまっている継ぎ手の耐震化であります。
都は、平成二十二年から最重要課題として、耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を推進しておりますが、都内の水道管路は約二万七千キロメートルと地球の約半周を超える長さであり、相当な期間を要します。取りかえ期間中に大震災の可能性があり、応急給水体制をしっかりと構築しておくことが重要であります。このことについて、我が党は繰り返し指摘し、対応を求めてまいりました。
そこで、応急給水拠点の体制整備、さらには都内に十四万カ所ある消火栓や私道内の排水栓を活用した応急給水をさらに推進すべきであります。耐震継ぎ手管の早期取りかえに向けた取り組みとあわせて見解を求めます。
また、応急給水拠点の耐震化も重要であります。都の給水拠点は百九十六カ所ありますが、阪神・淡路大震災以降に改定された耐震基準に適合する施設は百十一カ所となっております。特にその基準に達していない浄水場、給水所が多い多摩地域において耐震化を進めなければなりません。給水拠点の今後の耐震化について見解を求めます。
次に、下水道管の再構築について質問します。
東京の下水道管の総延長約一万六千キロメートルのうち、約千五百キロメートルが法定耐用年数五十年を超え、今後二十年間に現在の四倍強の約六千五百キロメートルが新たに耐用年数を超えることになります。
都内での道路陥没は、下水道管の老朽化などが原因で年間一千件程度が発生しており、このうち八割は家庭などからの排水を受ける取りつけ管で発生しております。大都市で顕在化しているこうした道路陥没を防ぐため、下水道管の老朽化対策を急ぐべきであります。見解を求めます。
さらには、震災時に下水道機能が失われることのないよう、施設の耐震化を進めるべきであります。約二千五百カ所の避難所などのトイレ機能を確保するために、下水道管とマンホールの接続部の耐震化、さらには緊急輸送道路や避難所などへのアクセス道路でのマンホールの浮上抑制など、耐震化対策を強力に進めるべきです。見解を求めます。
また、多摩地域の下水道は、流域下水道と公共下水道から構成されていることから、公共下水道施設の耐震化は各市町村が担っております。しかし、下水道総合地震対策計画を作成しているのは十六市にとどまっており、都として多摩地域の市町村に計画の策定を促すべきであります。見解を求めます。
次に、木造住宅密集地域の耐震化と不燃化について質問します。
首都直下地震においては、火災による被害の拡大が懸念されることから、今後十年間で木密地域の不燃化を完了させる都の計画を確実に達成する必要があります。そのためには、あらゆる手段を講じるべきであり、優遇税制も有効な取り組みの一つであると考えます。不燃化建てかえによって評価額が上がり、税負担がふえてしまうという課題もあります。
一方、老朽住宅を除去して更地にしてしまうと、これまでの優遇措置が適用されなくなるという問題もあります。不燃化事業の迅速化は、防災上の観点からも極めて重要であり、都は、都税の優遇措置を早期に公表すべきであります。
都の補助対象となる面積要件も見直す必要があります。木密地域の解消を進めるために、地権者の意向に応じて区が土地を取得し、木密事業の種地とする場合があり、都は区に対して百平米以上の土地の取得に限り財源補助を行っています。しかし、狭い土地であっても、取得効果が極めて高い事例もあることから、都補助の面積要件を見直す必要があります。
さらに、木密地域の不燃化の早期実現は、対象地域の地権者や建造物の所有者の意欲を刺激する区の積極的な提案が欠かせません。その一助として、我が党が本年の第一回定例会の代表質問において、不燃化事業に伴う自己負担の軽減を導く空中権や容積率の移転の活用を提案しました。
都は、今後、支援を希望する区からの提案内容について、容積率の移転などを活用した立案が進むよう、みずからが積極的なアドバイスを行うとともに、民間の専門家の協力を得て、区が効果的な立案を工夫できるよう、設計委託経費に関して補助制度を設けるべきであります。
また、都は、不燃化助成の上乗せを実施するとしており、その内容についても早期に明らかにするべきと考えます。
以上四点、不燃化特区制度に関する効果的な支援について見解を求めます。
木密地域の不燃化に関連し、不燃化事業と連動させたエコタウン化について質問します。
一定規模の面積の地域に、系統電力だけに頼らない電力が供給され、需給の最適化を図ることができれば、都市全体のエネルギーマネジメントの実現に向けた第一歩となります。
しかし、現在、工場やオフィスビルだけでなく、住宅にも電力を供給し、地域全体でのエネルギーマネジメントの実現を試みている例は、電気事業法の特定供給エリアの特区として認められた北九州市だけであります。現行制度上は、これまで全く想定されてこなかったというのが実情であります。
木密地域は、ある程度まとまった規模での開発ができる地域であり、かつまた社会的にもその地域の開発が強く期待されている地域であります。北九州市のようなエコタウンの発想に防災まちづくりの視点を加えた取り組みを都内で展開していくことができれば、木密解消に取り組む強いインセンティブにつながります。地域のブランド力を高めることになり、結果的に都全体の省エネ機能も大きく向上することになります。
系統電力だけに頼らず、かつまた地域の防災力向上につながる防災エコタウンの実現に向けて、環境局は必要な法改正の要請を国に行うなど、検討を開始すべきであります。見解を求めます。
都市整備局は、現在、区に対して木密解消の提案を募っていますが、こうした防災エコタウンの概念が区から提案された場合は、将来の補助メニュー化も視野に入れて、まずは制度化の検討を行うべきであります。見解を求めます。
集合住宅の耐震化は、一棟の耐震化が多くの命を救う可能性があり、重要な取り組みです。一般的にも旧耐震基準のマンションで一階部分に広いピロティーがある場合は、耐震面で課題があるといわれています。
我が党は、三月の予算特別委員会でこの点について都の認識をただしました。これに対して都市整備局長は、都が昨年度から実施しているマンションの耐震化の促進に向けた実態調査の中で、ピロティーの有無についても調査を行っている旨を明らかにしました。
実態調査の結果について、まず旧耐震基準の分譲マンションの存在数、そのうちのピロティーつきマンションの棟数、さらに旧耐震基準の分譲マンションでの耐震診断の実施状況を伺います。
今回の調査は、初めて都内の全マンションの実態を明らかにするものであり、耐震化を含めマンション施策を総合的に進めていく上で大変貴重で有意義な基礎データとなるものであります。
一方、既設マンションの耐震化は、居住者間の合意形成や経費の高額さなど課題があり、進んでいません。したがって、都は、今回の実態調査の結果から得られた知見を生かし、新たなマンション耐震化促進策を構築すべきと考えます。見解を求めます。
都民の住宅セーフティーネットである都営住宅は、都が管理している公共住宅であり、居住者が安心して暮らしていく上で耐震性の確保は重要であります。都は、都営住宅耐震化整備プログラムを策定し、平成二十七年度までに都営住宅の耐震化率を九〇%以上とする目標を掲げて取り組みを進めています。
一方、我が党は、「二〇二〇年の東京」の公表後に、特に都営住宅の従前の耐震化整備プログラムを改定して、先導的役割を果たすよう都に要請を行いました。したがって、都は、耐震化率一〇〇%を早期に達成すべきであります。見解を求めます。
次に、消防力の強化について質問します。
東京消防庁は、一九九七年から震災時の情報収集や通信連絡、平常時における救助、救急活動に対する、通称クイックアタッカーと呼ばれるオフロードタイプの消防活動二輪車二十台を都内二十カ所の消防署に配備しております。
東日本大震災以降、その機能と役割に注目が集まり、特に木密地域における火災被害や人的被害を最小限に食いとめるための情報収集手段として期待されております。
総務省消防庁は現在、消防活動二輪車の全国的な運用状況の実態調査を実施し、今月中にも結果を取りまとめ、各地の消防本部へ適切な助言を行うと聞いております。
そこで、東京消防庁は、木密地域での火災に対応するための消防活動二輪車の効果的な運用など消火体制の強化を検討すべきであります。見解を求めます。
次に、地域防災力の向上に向けた取り組みについて質問します。
都は、地域防災力向上モデル地区を指定し、モデル地区で得られた成果を他の地区に広めることにしております。都内には約六千六百の自主防災組織があり、それぞれの地域の特性、事情に応じたきめ細かな対応により、防災力の底上げにつなぐことが重要です。そのためには、具体的な防災のアドバイスができる多くの人材が不可欠であります。
そこで、防災に関する専門的な知識、経験を持つ行政職員のOBや日本防災士機構、NPO法人などの人材から成る防災アドバイザーが自主防災組織の避難計画策定に参画することにより、実践的な対策を進めるなど、地域の防災力を向上させる体制づくりに取り組むべきであります。見解を求めます。
次に、都立高校における防災訓練について質問します。
昨年の東日本大震災では、地震や津波で家を失った多くの住民が地域の避難所に指定されている学校等での長期にわたる避難生活を強いられました。避難所で生活する生徒たちは、全国から送られてくる支援物資等の搬入等、地域住民と協力して避難所の運営に貢献したと聞いております。
東京でも、首都直下地震による大規模な災害が想定されており、学校での避難訓練や防災訓練の見直しが求められています。こうした中、ことしから都立高校では、震災等の発生を想定して、生徒が学校の備蓄品等を使い、体育館等で宿泊するとともに、地域や関係機関と連絡した宿泊防災訓練が始まりました。全国でもこのような取り組みは例がなく、特別支援学校や小中学校に拡大していくべきと考えます。見解を求めます。
次に、島しょの津波対策について質問します。
先般、都が公表した首都直下地震等による東京の被害想定によると、島しょの津波は御蔵島で最大二十二・四メートル、三宅島で最大十八・一メートルなどとなっています。また、三月末に公表された内閣府の南海トラフの巨大地震に関する検討会では、新島で最大二十九・七メートルという推計値が示されています。
今回の都の想定や国の推計値では、津波高は示されているものの、各島において具体的かつ詳細な予想データは示されていません。実際に避難などの対策を練る上では、こうしたシミュレーション結果をもとに、より詳細なハザードマップなどを作成する必要があり、都としても、島しょ町村のハザードマップ作成などの取り組みを後押ししていくべきと考えます。見解を求めます。
島しょ地域は、地形や居住状況、港湾の整備状況などがそれぞれ異なっているため、各島の実情を把握した上で対策を講じていく必要があります。
そこで、各島の実情に応じて避難計画や避難施設をつくるため、専門的知見や人的、技術的支援など総合的な支援を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
八丈島、青ケ島、御蔵島を除く伊豆諸島の各島には、海岸の近くに火力発電所が設置されています。そのため、津波が各島を襲った場合、真っ先に発電所が停止し、全島が停電となることが懸念されます。
そこで、地震、津波から島のライフラインを守るため、各ライフライン事業者の参画を経て、具体的な対策を講ずるべきと考えます。見解を求めます。
我が党は先日、御蔵島へ津波調査に行ってきました。御蔵島では、津波により唯一の船着き場が破壊され、海岸におりる都道が被災する危険性が懸念されます。一たび船着き場や道路等の機能が損なわれてしまうと、船により病人や緊急物資を運ぶことができなくなります。
そこで、自然災害時に島民生活を守るため、島しょ部における都道の防災性向上について見解を求めます。
次に、東京電力の電気料金値上げに対する中小企業支援策について質問します。
東京電力は、自由化部門の電気料金値上げに引き続き、このたび、家庭や中小工場向けの規制部門の電気料金を値上げすることについて、国に認可の申請をしました。
この電気料金値上げの根拠として、東京電力はかなりの割合が火力発電の稼働に係る燃料費の負担増であるとしています。原子力発電所が点検のために停止している現状において、フル稼働している古い火力発電は、エネルギー効率が四二%と低く、そのため大量の燃料が必要となるものの、六〇%近いエネルギーをむだにしていることになります。
燃料費を抑制するためには、廃熱をもう一度利用する最新のコンバインドサイクル方式の発電に早急に切りかえる具体策を推進するべきであります。都は、このことを国に強く働きかけるべきであります。環境局長の見解を求めたいと思います。
その上で、製造業の九〇%を占める中小企業を支え、経済活動が失速しないよう、都は考えるべきであります。一連の値上げによって、大きいところでは、電力の使用料が変わらなければ年間で四百万円近くの負担増となり、デフレ経済の中で厳しい経済環境に係る中小企業にとっては大打撃となります。
そこで、日本経済を下支えしている中小企業が、電気の使用量が大きければ、それだけ値上げ幅が高くなるという電気料金体系に対して、効率的な設備が導入できるよう、都も支援するべきであると考えます。見解を求めます。
次に、東京電力の家庭向け電気料金値上げに対する支援策について質問します。
東京電力は、家庭の電気料金について、夏の昼間を割高にする一方、夜間は安く設定する新たな料金プランの導入を打ち出すなど、経済的なインセンティブによりピークカット対策を進める方針を初めて示しました。
家庭において経済的にもメリットのあるピークカット対策を実践するためには、電力の使用状況の見える化を図りながら、家電製品等の電力使用のむだを制御できるホームエネルギーマネジメントシステム、いわゆるHEMSを活用し、ピーク時間帯を的確にとらえた電力使用の削減と最適制御を行うことが有効であります。
そこで、今後は家庭におけるエネルギーマネジメントの実現に向け、HEMS等を積極的に活用した賢い節電を誘導することが有効と考えますが、見解を求めます。
都は、これまでも大きな成果を上げてきた太陽光発電について、さらなる普及拡大を図るため、低所得者に配慮した初期投資軽減の観点も含めた新たな普及スキームを検討しているとのことですが、その検討状況と民間の自由な発想を活用した具体策について見解を求めます。
次に、中小事業所や家庭における賢い節電について質問します。
クリーンで安全といわれてきた原子力発電所の事故は、国の根幹でもあるエネルギー政策のあり方を見直さざるを得ない状況を招いております。公明党は、原発に依存しない安全・安心社会を目指し、思い切った省エネと再生可能エネルギーの拡大が必要であると考えます。中でも、これまでのライフスタイルを見直し、エネルギーの節約と効率化を図っていくことが重要であります。
昨年夏、東京では多くの事業所や家庭が節電に取り組み、東京電力管内の最大電力使用量は、二〇一〇年よりも約一千万キロワットの削減を達成するなど大きな効果がありました。しかしながら、空調の使用控えなど、健康影響が懸念される取り組みが一部に見られたことも事実であります。
このような中、東京都が先月作成した省エネ・エネルギーマネジメント推進方針は、賢い節電七カ条として、むだを排除しつつ、事業所や家庭において無理なく継続できる省エネ対策をわかりやすく示すものと評価をしております。
今後、中小事業所や家庭に向けて、賢い節電をいかに定着させるかが重要と考えますが、具体的な取り組みについて見解を求めます。
次に、被災地支援について三点質問をいたします。
まず、教員の被災地視察研修について質問します。
本年三月の予算特別委員会で我が党は、東京都の教員等が実際に被災地を訪れ、現地の実態を踏まえた防災教育を各学校で実施することは有効であると指摘しました。これを受け、都教育委員会は先月、東京都及び区市町村教育委員会の指導主事六十二名を宮城、福島両県へ被災地視察研修として派遣をいたしました。本視察研修が非常に充実した内容だったと聞いております。
私学では、既に福島県への修学旅行を実施している例もふえており、都立高校においても同様の取り組みを実施すべきと考えます。見解を求めます。
昨年の東日本大震災から一年が過ぎ、今後の本格的な復興に向け、被災者のメンタル面での支援がますます重要となってきます。我が党は、震災後直ちに被災三県の状況を調査し、都としての芸術文化を通じた被災地支援の実施を要請しました。これにこたえ、都が東京都交響楽団の派遣など速やかに対応したことは評価をいたします。
さらに、ヘブンアーチストや都内の官民の文化資産も活用して、被災者の心のケアにつながる幅広い取り組みを展開すべきであります。見解を求めます。
次に、被災地応援ツアーについてであります。
公明党の提案を受け二十三年度に開始した被災地応援ツアーは、今年度は、原発事故による風評被害でいまだに観光産業が低迷する福島県に絞って実施をされております。多年にわたり東京に電力供給を続け、東京都の発展を後押ししてきた福島県の復興に対する都民の思いは強く、現時点で既に予定の二万泊分、日帰りの一万五千人分の大部分が販売済みとなっております。
これからの旅行シーズンを控え、旅行先に福島県を検討しているとの声が我が公明党には大変多く寄せられております。都は、こうした都民心情に十分にこたえるべく、事業展開を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、医療施策の充実について質問いたします。
初めに、今年度末に予定されている東京都保健医療計画の改定に関連してであります。
介護療養病床は、これまで医療的なケアの必要性が高く、在宅での介護が難しい多くの高齢者を受け入れてきましたが、平成十八年の介護保険制度改正により、平成二十三年度末をもって廃止されることとなりました。
その後、国は、介護療養病床の転換先として、介護療養型老人保健施設などを創設しましたが、報酬基準の問題等により容易に転換が進まず、今般の介護保険制度改正において、廃止期限を平成二十九年度末に先送りをしました。
このように、転換が進まなければ廃止を延長するという国の態度は無責任であるといわざるを得ません。
我が党は、介護療養病床については全面廃止の方向ではなく、一定程度の病床確保は必要であるとの認識ですが、こうした介護療養病床に対する国の姿勢について都の認識を問うとともに、国に対して責任ある対応をするよう強く求めるべきであります。見解を求めます。
一昨年、公明党は、全国の地方議員が一丸となって介護総点検を実施しました。その結果、多くの不安の声が寄せられたものが在宅支援体制の不足でありました。このたびの保健医療計画の改定に当たっては、都としても、訪問医療の充実や中小の一般病院、診療所の機能向上など、効果的な在宅医療体制を導く内容とすべきであります。
そこで、保健医療計画における在宅療養の推進について見解を求めます。
また、医療計画に明示し、医療連携体制を構築すべき疾病として、新たに精神疾患を加え五疾病といたしました。平成二十年の調査では、全国の精神疾患の患者数は、指定された五疾病の中で最も多い三百二十三万人となっています。
また、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、東京都において、平成二十二年度は平成十二年と比較して約三・六倍と急増しています。精神疾患の医療体制を充実させていくには、地域における医療と保健、福祉サービスとの綿密な連携が不可欠であります。
しかし、地域の窓口となる区市町村によっては、精神疾患に対応する保健師、医師、ケースワーカーの窓口がばらばらで、連携できていない場合があります。そのため、経済的自立や社会復帰が進まず、患者や家族の負担が改善されていません。
急増する精神疾患患者とその家族に対し適切なケアを提供していくためには、医療部門だけではなく、地域のさまざまな機関の連携が重要であります。このような状況をかんがみ、保健医療計画の改定においては、都は広域行政の立場から保健、医療、福祉サービスの円滑な地域連携を導く内容とすべきであります。見解を求めます。
続いて、次期東京都がん対策推進計画について質問します。
国は、平成二十四年度から平成二十八年度までの五カ年を対象としたがん対策推進基本計画を六月八日に閣議決定しました。都議会公明党は、都の推進計画の策定以前から、放射線治療、緩和ケア、がん登録など、がん対策の充実に向けて具体的な提言を重ねてきました。
その結果、現行計画の最終年を迎える現在では、都民の期待にこたえる大きな進展を見せていると高く評価をするところであります。例えば、放射線治療では三十四のがん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院で放射線治療機器が整備されたほか、放射線療法の専門研修が進むなど、充実をしております。
また、緩和ケアの分野でも、医師緩和ケア研修の修了者数が平成二十四年三月末までに三千百七十名に達しています。
さらに、がん登録でも、拠点病院と認定病院が実施する院内がん登録の精度向上を導くため、都立駒込病院内に院内がん登録室を新設して、データの集計、分析に加え、院内がん登録実務者研修を実施、本年七月には地域がん登録が開始されるなどの前進を見せております。今後、三つの検討部会で策定が進む次期計画においても、従前の成果を踏まえた一層の拡充が期待をされます。
そこで、これまでの都のがん対策の成果と次期計画の実施に向けた知事の決意を伺います。
今後のがん対策においては、まず緩和ケアの分野では、がんと診断された時点から緩和ケアを提供するなど、治療過程のさまざまな場面での切れ目のない提供体制を整備するべきです。
特に、患者と家族が住みなれた地域で安心して療養するためには、退院後も在宅で円滑に緩和ケアを利用できるよう、病院と地域の診療所等との連携を推進、確保する取り組みが重要であります。見解を求めます。
小児がんは、種類も多様で症例数が少なく、今も小児の病死原因の第一位となっているほか、治療時の合併症に加えて、治癒後も発育、発達障害、内分泌障害、二次がんなどが生じるおそれもあるため、長期にわたる取り組みが必要であります。
こうしたことから、我が党は平成二十一年の第三回定例会で、専門の知見、情報、マンパワーを集約するなどの重層的な取り組みの強化を求めました。小児がん拠点病院の整備とあわせて、次期計画での対策の明記など、小児がん対策の充実について見解を求めます。
がん予防の上で、国の新たな計画では、成人の喫煙率の数値目標を定めるなど、その取り組み姿勢を強化しています。
そこで、都の次期計画において、成人の喫煙率の減少と受動喫煙の防止に関する目標について見解を求めます。
次に、技術立国を支える人材育成と学力向上の取り組みについて質問します。
今日、国際的な技術開発の競争は激しく、日本が長く技術立国を続けるためには、知的財産の保護の取り組みに加えて、すぐれた才能を積極的に評価、保護し、新たに生み出していく取り組みの強化が重要であります。
都議会花粉症対策議員連盟の視察に参加した我が党の議員の報告によりますと、木質廃材からエタノールを抽出する上で重要な発酵性大腸菌KO11も世界的には米国の研究と位置づけられていますが、実は宮崎大学の太田一良教授が留学中に開発し、その頭文字をとってKOと命名されたものだそうであります。
また、アジア諸国などの経済成長の舞台裏には、日本企業から退職、ヘッドハンティングされた技術者の貢献が大きいといわれます。知的財産の内容を詳しく知る人材が、社外や海外に数多く流出していく事態は深刻化する一方です。
こうした知的人材を会社や国内にしっかり確保し、知的財産の保護に万全を期す取り組みは、中小企業を初めとする個々企業の自主努力に任せていては、決して十分ではありません。まさに国家的な課題であり、基礎研究を支える国庫補助を減らすなどもってのほかであります。
首都東京は、まさに百年の大計に立って、無策の国を動かし、みずからも技術立国を支える知的人材を含めた知的財産の保護策を強力に展開をすべきであります。見解を求めます。
一方、大学関係者からは、成績の上位者の知的レベルの低下が顕著になっているとの声が聞かれます。これまで日本の教育行政では、外形的な機会の均等に重きが置かれてきました。しかし、今後の激しい国際的な人材競争の荒波にさらされるのは児童生徒本人であり、知的レベルの向上は喫緊の課題であります。
小中高の六・三・三制の見直しや、小中一貫教育の新たな取り組みなどを通じ、児童生徒がみずからの意思と努力に応じてより多くの学識を習得し、才能を開花させていくことができる教育が重要であります。
既存の枠組みにとらわれない教育改革を東京からリードすべきと考えますが、知事の所見を伺います。
これからの教育行政においては、おのおのの理解度に即した取り組みが重要であります。習熟度別授業などの工夫を効果的に活用していけば、現状の教育制度の中でも、より発展的な学習に役立つ指導や徹底的な基礎学習の反復を公立の小中学校で展開していくことも十分可能なはずであります。
個々の児童生徒の個性や能力に応じて教育成果を生み出すことのできる授業改善について、教育長の見解を求めます。
学習上のつまずきはさまざまな要因で発生します。生活上の困難が原因となって、授業に集中できない、予習、復習に取り組めない、欠席や不登校が続くなどの状態に陥る場合があり、こうした事例が重なりやすい地域では、授業改善の取り組みが必ずしも学力の向上に結びつかない壁に直面しております。
不登校などの解決や未然防止を図ることは、学力の底上げを図る上でも極めて有効であります。
例えば、福岡県では精神対話士を活用して家庭訪問を徹底した結果、保護者が抱える悩みの軽減などに大きく貢献し、そのことが不登校の大幅な減少につながっております。
都は、家庭と子どもの支援員制度をスタートさせています。メンタルケアの研修などを経た外部人材が、保護者への支援でも有益な役割を果たせるよう、体制の整備を急ぐべきと考えます。見解を求めます。
次に、児童の安全確保について質問します。
全国では、児童等が犠牲になる痛ましい交通事故が多発しており、社会問題となっております。一連の事故は、運転者の重大な過失が原因であることはもとより、交通安全対策のあり方についても目を向けなければならないことを浮き彫りにしております。
都内においても、小学生の登下校における交通事故発生件数は、ことしは四月末までに八十二件となっています。都は、児童の交通安全対策に尽力し、効果を上げてきたことは承知をしておりますが、悲惨な事故から子どもたちを守っていくために、これまで以上に交通安全対策の強化が必要であります。
そこでまず、都は各学校における通学路安全総点検を子どもの目線から早急に実施するとともに、改善策を講じることができるよう、都は関係機関に強く働きかけるべきであります。見解を求めます。
また、登下校時における児童の安全対策は、交通安全のみならず、新たに災害発生時の対応や防犯などを含め、総合的な視点で取り組むべきであります。そのためには、学校において児童が安心して登下校できるよう、保護者や地域住民が幅広く意見を交換する場を設け、連携した活動を円滑に進めるべきであります。
そこで、都は、各学校における登下校時の総合的な安全対策が進められるよう、区市町村と連携して積極的に対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
最後に、治安対策について質問をいたします。
本年の第一回定例会において、警視総監は、今後、事件を検挙、解決できるかどうかは、客観的証拠をいかに収集し、分析できるかにかかっており、DNA型鑑定と並んで防犯カメラの活用が重要であり、インフラ整備を進めていくと、都の治安状況を説明いたしました。
私も繁華街を有する議員として、防犯カメラが犯罪発生の抑止に大きな効果があると実感をしております。先般の地下鉄渋谷駅構内で発生した殺人未遂事件やオウム逃亡犯の捜査では、防犯カメラが治安対策上極めて有効であることをまさに裏づけております。
今後、都民が安全で安心して暮らせるためにも、防犯カメラの整備、増設は極めて重要と考えます。防犯カメラ設置の効果と今後の増設の必要性について、改めて警視庁の所見を伺いたいと思います。
また、防犯カメラの設置促進には、それを促すための支援体制の強化が必要であります。都は、防犯カメラを設置するための補助事業を行っておりますが、必ずしも予算措置が十分ではなく、防犯カメラを設置したいという申請に十分対応し切れていないという話も聞いております。
さらに、補助事業の対象が新規設置に限られており、老朽化した機器の更新や機器の維持管理費用等が含まれていないため、故障や老朽化に伴う費用が負担となって、維持管理に困る商店街や自治会があると聞いております。これでは、せっかく設置された防犯カメラが次々とダミー化してしまうことも懸念をされます。
都民の安全・安心を守るためにも、こうした防犯カメラに関する補助事業を強化すべきと考えますが、青少年・治安対策本部長に防犯カメラ設置の補助事業の現状と今後の拡充について見解を求め、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 長橋桂一議員の代表質問にお答えいたします。
東京の都市インフラの強化についてでありますが、東京の都市インフラは、日本を牽引する首都としての機能や全国的な物流機能などを支えておりまして、その利益は国全体が享受していると思います。
高度成長期を通じて整備されてきた都市インフラがようやく更新期を迎えつつありますけれども、これらの的確な更新なくして、我が国のさらなる成長はあり得ないとも思います。
都は、新たな公会計制度を活用して、減価償却という考え方を導入することで、都市インフラの計画的な更新に取り組んできております。
また、三環状道路などを初めとする道路ネットワークの整備など、これからの発展の基盤となるインフラへの投資も積極的に展開しております。
今後、最新の科学的知見やデータに基づいて見直した被害想定を踏まえて、都市インフラの戦略的な更新と投資を図り、高度な防災力を備えた都市へと進化させ、首都東京をより高いレベルへと成熟させていきたいと思っております。
次いで、がん対策についてでありますが、がんは我が国の死亡原因のトップでありまして、死亡者の約三割、年間三十五万人以上の方ががんで亡くなっております。一生の間には二人に一人が罹患するといわれてもおりまして、我々の健康を脅かす重大な脅威であります。
この病の克服は人類積年の願いでもありまして、革新的な予防、診断、治療法の開発をだれもが切望し、国を挙げて取り組むべき課題でもあります。
都は、広く都民が検診を受けやすい体制整備を進めるとともに、最高水準の医療を受けられるよう、国指定の拠点病院に加え、独自の認定病院制度を設け、放射線療法、化学療法などの推進など、がん医療の水準向上に取り組んでまいりました。
また、都内のがん患者のデータを把握するがん登録や都内の医療機関が共通して利用できる東京都医療連携手帳を導入し、医療現場の力を結集した医療体制の構築を図っております。
今回改定するがん対策推進計画では、こうした取り組みを一層充実させるとともに、小児がん対策、緩和ケアの推進など新たな取り組みも盛り込んで、がんの予防から治療、療養生活の質の向上に至るまでの総合的ながん対策の推進に全力で取り組んでまいります。
次いで、教育改革でありますが、人間の社会の中では、いかなる領域においても、能力の優劣の差は認められてしかるべきであります。スポーツの世界にしろ、科学的な研究にしろ、あるいは企業にしろでありますが、しかし、不思議なことに、この日本では教育の世界だけこれを認めようとしない。戦後教育の画一性が培ってきたこのこっけいとしかいいようのない通念は、多くの子どもたちの個性や能力を摘み取ってきたと思います。
新しい時代を担う人材を育成するためには、これまでの行き過ぎた平等主義や画一的な知識偏重を改め、個性と競争を重視した教育へと転換して、それぞれが持つ可能性を存分に発揮させる教育こそが求められていくべきだと思っております。
例えば、既存の六・三・三制の殻にとらわれず、昔はありましたが、生徒の能力、努力次第で飛び級とか、あるいは飛び入学を可能とし、秀でた才能を一層伸長させる仕組みをつくるべきではないかと思っております。
また、これまでの教育再生・東京円卓会議でも重ねて取り上げられましたが、多様な一貫教育を構える中で、原体験に裏打ちされた豊かな感性や創造力を磨き上げて、単にテストに強い偏差値秀才が持ち得ない真の教養を備えた人材育成に取り組まなきゃならないと思っております。
今日の停滞した教育を再生するためには、何よりも教育の根幹を担う国家が大胆な改革に取り組まなければならないと思います。都は、現場を預かる立場から、具体的な改革に取り組むとともに、必要な建言を行うことで、何事にも動きの遅い国を動かしていきたいと思っております。
他の質問については、警視庁総務部長、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視庁総務部長室城信之君登壇〕
〇警視庁総務部長(室城信之君) 防犯カメラの効果と増設の必要性についてお答えいたします。
初めに、防犯カメラの効果についてであります。
ご指摘のとおり、防犯カメラは、犯罪を行おうとする者に対して、その存在を意識させ、犯行を思いとどまらせる効果に加え、不幸にして犯罪が発生した場合、防犯カメラの画像は、犯人の特定、犯行の立証に極めて有効であります。
その効果につきましては、先般、渋谷駅構内で発生いたしました刃物使用殺人未遂事件において、被疑者の防犯カメラ画像を翌日公開したところ、都民等から多くの情報提供があり、早期に犯人検挙に結びついた例からも明らかなように、殺人事件、コンビニ強盗、ひったくり事件等で防犯カメラ画像を有効に活用して、多くの事件が解決しているところであります。
次に、防犯カメラ増設の必要性についてであります。
都内における防犯カメラの設置状況についてでありますが、警視庁が設置している街頭防犯カメラは、歌舞伎町地区など五地区に百八十五台であります。また、商店街や自治会、町会の方が設置している街頭防犯カメラにつきましては、ことし三月末現在で約三百地区、約四千八百台を警視庁では把握しております。
防犯カメラの有用性は、先ほど申し上げた効果事例などにより、商店街やまちの方々にも認識されており、積極的に防犯カメラを設置しようとする機運が高まっております。
そもそも防犯カメラは、真に必要とされる場所に必要なカメラが設置されていることが重要でありますが、現状では、多くの地域においてそういった観点からの設置に向けた取り組みをさらに推進する必要があると考えております。
警視庁といたしましては、今後、引き続き防犯カメラの設置について、商店街やまちの方々に働きかけを行うとともに、データの管理等も含め、防犯カメラの適正な運用について助言するなど、支援してまいりたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、宿泊防災訓練の拡大についてでございますが、都立高校においては、生徒の防災意識や社会貢献意識を高めることを目的に、高校生という発達段階を踏まえながら、宿泊を伴う防災訓練を今年度から開始いたしました。
実施した学校からは、人命救助や地域の人々との協力の大切さを実感したなどの生徒の声が報告されております。
現在、特別支援学校におきましては、生活の自立に向けた宿泊訓練を既に実施しておるところでございます。また、区市町村立の小中学校におきましては、区市町村独自の地域防災計画に基づいた防災教育を推進しているところでございます。
今後とも、児童生徒の発達段階に応じた防災教育を推進するため、都立高校での成果を特別支援学校における避難訓練等の充実に生かすとともに、区市町村教育委員会に対しても成果を活用するよう働きかけてまいります。
次に、被災地視察研修の成果に基づく取り組みについてでございますが、本研修の成果は、参加した指導主事等が実際に被災地に立ち、じかに地元の方の話を聞き、その状況を肌で感じたことで、具体的な取り組みを伴う日常のより実践的な防災教育の必要性について、強く認識したことでございます。
今後、これらの成果を踏まえ、被災地の写真や視察記録をまとめた指導資料を作成し、研修に参加した指導主事等を講師といたしまして、各地区で伝達研修を実施させることで、各学校の実践的な防災教育を一層推進してまいります。
お話の都立高校の宿泊行事等における訪問につきましては、その教育的意義や生徒の実態、訪問先の状況、保護者の意向等を総合的に検討し決定いたしますことから、今回の指導資料を全校に配布し、訪問先を決定する際の参考とするよう積極的に情報提供してまいります。
次に、教育効果を生み出す授業改善についてでございますが、都の学力調査結果における児童生徒の学力の状況は、下位層から上位層まで幅広く分布しており、それぞれの学力層に応じた指導の充実が必要でございます。
そのため、都教育委員会は、学習のつまずきを防ぐ指導基準であります東京ミニマムや発展的な学習を推進するための指導資料を作成し、都内の全公立小中学校に配布いたしましたほか、習熟度別少人数指導に関する研究校を指定するなどいたしまして、それぞれの学力層に対する教員の指導内容や方法の改善、充実に取り組んでまいりました。
今後、学力層に応じた指導方法などに関する説明会や公開授業等を新たに実施し、習熟度別少人数指導を取り入れていない授業におきましても個に応じた指導が適切に展開されますよう、各学校の授業改善を図ってまいります。
次に、保護者支援への外部人材の活用についてでございますが、都教育委員会は、平成二十三年度から、教員とともに家庭訪問等を行い、子どもと保護者の悩みに寄り添い、問題解決に向けての相談等を受ける家庭と子どもの支援員を派遣する事業を実施しております。
支援員が保護者等の悩みを受けとめ、教員と連携して解決に向けて取り組んだ結果、配置校からは、不登校児童生徒の状況が改善された、保護者の悩みへの対応が課題解決を早め、家庭との信頼関係が深まったなどの成果が報告されております。
都教育委員会は、ご指摘のような多様な人材を活用し、保護者支援を含めた児童生徒の健全育成を図る取り組みが充実いたしますよう、今後とも区市町村教育委員会を支援してまいります。
次に、通学路における児童の交通安全対策についてでございますが、ことしに入って相次ぎました登下校時の交通事故を踏まえまして、都教育委員会は、五月二日に、各区市町村教育委員会に対し、通学路の安全確保に一層の配慮を求める通知を行いますとともに、警視庁及び建設局に対しても、各区市町村における取り組みへの協力を依頼したところでございます。
五月三十日に文部科学省から、通学路における緊急合同点検を実施するよう通知を受けまして、都教育委員会は、各学校において、道路管理者及び地元警察署と連携した通学路の合同点検を実施し、対策案を策定するよう、区市町村教育委員会に促したところでございます。
今後、独自に点検の実施及び対策案の策定状況を取りまとめまして、すぐれた対策を周知するなど、区市町村教育委員会を初めとする関係機関に対し、子どもの目線を踏まえた改善を働きかけてまいります。
次に、登下校時における児童の安全対策についてでございますが、登下校時の安全対策は、学校、家庭及び地域が連携して、交通安全、防犯及び災害対策の各観点から総合的に実施されることが重要でございます。
都教育委員会は、学校が家庭、地域とともに取り組む安全対策の経費の一部を補助いたします地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を行っております。
この事業は、平成十七年、大阪府寝屋川市での教職員殺傷事件を契機とし、通学時の児童の犯罪被害防止を主眼に開始されたものでございますが、交通安全や災害対策にも事業を活用できるものでございます。
今後、都教育委員会は、この事業が区市町村において、登下校時における交通安全、防犯及び災害対策に幅広く活用され、新たに総合的な安全対策が推進されるよう積極的に取り組んでまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都道の橋梁の耐震化についてでございますが、震災時における都民の安全な避難や緊急輸送を確保し、救命、復旧活動の初動対応を迅速に行うためには、緊急輸送道路等の橋梁の耐震性向上が重要でございます。
都では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、緊急輸送道路などの橋梁四百一橋を対象として、プレート境界型の大規模な地震と阪神・淡路大震災のような内陸直下型地震を考慮し、橋脚の補強や落橋防止装置の設置など、必要な耐震化に重点的に取り組んでおり、平成二十三年度末までに二百八十九橋の耐震補強を完了いたしました。
残る百十二橋の耐震補強につきましては、東日本大震災を踏まえて、耐震計画を見直した「二〇二〇年の東京」計画に基づき、平成二十七年度末までに完了させる予定でございます。
引き続き、橋梁の耐震化の推進や全橋を対象とした五年ごとの健全度の点検などにより、安全の確保を図り、高度防災都市の実現に全力で取り組んでまいります。
次に、島しょ部における都道の防災性向上についてでございますが、島しょ部の防災力を強化するには、島内の集落間を結び、港湾、空港などを連絡する都道について、現道の安全性向上や代替路の整備を進めるなど、災害に強い輸送ネットワークの構築が重要でございます。
具体的には、道路災害防除や道路拡幅、線形改良、代替路整備など、緊急時に迅速な避難、復旧活動が行われるよう、都道の整備を積極的に推進いたします。
今後とも、地元関係者の理解と協力を得て、島しょ地域の振興や防災力の強化を図るため、豊かな自然環境や観光資源などを生かしつつ、島民の命綱といえる都道の整備に全力で取り組んでまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 都市インフラ更新のための財源確保についてお答えを申し上げます。
社会資本の基盤である都市インフラの更新は、都財政を取り巻く環境が依然として厳しい状況にありましても、着実に進めていかなければならないものというふうに考えております。
都はこれまで、PFI、あるいは個人向けの都債である東京再生都債など、民間の資金やノウハウを活用しながら事業を推進してまいりました。
今後とも、東京の防災力強化や都市機能向上に資する都市インフラの整備更新を着実に進めるべく、お話のインフラファンドといった民間資金の導入など、さまざまな工夫を凝らすことで、必要な財源を確保してまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、水道管路の耐震継ぎ手化の取り組みと応急給水体制の整備についてでございます。
水道局では、耐震強度にすぐれ、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取りかえを積極的に推進しており、平成二十二年度からは計画を大幅に前倒しし、耐震継ぎ手率を三十一年度に四八%へ向上させるよう、取りかえを倍増させております。
事業実施に当たりましては、これまでの災害拠点病院等に加えて、新たに避難所等の重要施設について優先的に耐震化を進めるなど、さらに取り組みを強化してまいります。
一方、大規模災害時には断水地域の発生は避けられないことから、発災直後の給水を確保するための応急給水体制の整備は急務と考えております。
このため、応急給水拠点のうち、職員がかぎをあけ、機器を設置することになっている浄水場や給水所におきましては、職員の参集を待たずに、住民みずからが応急給水を行えるよう、昨年度末までに十一カ所の施設の改造を行っております。
また、給水拠点を補完する消火栓等を活用した応急給水の普及拡大を図るため、区市町や地域住民との合同訓練を昨年度は十六回実施しております。
引き続き、円滑な応急給水体制の構築に向け、地元区市町と密接に連携し、応急給水実施の受け皿として期待される町会、自治会等の参加を積極的に促してまいります。
次に、給水拠点の耐震化についてでございます。
震災時の応急給水のかなめとなる給水拠点の耐震化は、極めて重要な施策と考えております。
給水拠点となる給水所等の配水池の中には、ご指摘のとおり、阪神・淡路大震災規模の地震に対応する最高水準の耐震性能までに達していない施設はあるものの、さきの大震災では、被災地において同様の耐震性能まで有していない配水池の被害は、約五百カ所のうち三カ所にとどまっております。このことからも、震災時の応急給水に必要な水の貯留機能は維持できると考えております。
現在、都で進めている水道施設の耐震化は、多摩地域を含め、最高水準の耐震性能を目指したものであり、給水拠点となる配水池についても、鋭意、取り組みを進めております。
今後とも、施設の耐震化や応急体制の充実といったハード、ソフト両面の施策を進め、都民の暮らしの安全・安心の確保に向け、全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、下水道管の老朽化対策についてでございます。
ご指摘のとおり、今後二十年間で、現在の四倍強に当たる約六千五百キロメートルが、新たに耐用年数を超えることとなります。このため、老朽化した下水道管の再構築は、道路陥没対策のみならず、防災力向上の観点からも重要でございます。
これまで、整備年代の古い都心四処理区一万六千三百ヘクタールのうち、約四分の一に相当します四千百ヘクタールの再構築を完了させました。
今後は、平成四十一年度までにすべてを完了させることを目標に、事業のスピードアップを図ってまいります。
事業の実施に当たりましては、管の内部を調査し、健全度を把握、評価した上で、アセットマネジメント手法により計画的かつ効率的に進めてまいります。
また、地中にはガス管などの地下埋設物がふくそうしておりまして、取りかえが極めて難しいため、道路を掘らずに下水を流したままで管の内側から補強する更生工法など、独自に開発いたしましたすぐれた技術を活用し、全国の模範となる老朽化対策を精力的に進めてまいります。
次に、下水道管の耐震化の取り組みについてでございます。
過去の大規模地震の被害実態に基づきまして、震災時における下水道機能を確保するため、管とマンホールの接続部の耐震化と道路の交通機能を確保するための液状化の危険性の高い地域にあるマンホールの浮上抑制対策を進めております。
まず、接続部の耐震化についてでございますが、昨年度までに区部の避難所など約二千五百カ所の約八割を完了いたしまして、残りの箇所は計画を二年前倒しし、来年度に完了いたします。
次に、マンホールの浮上抑制対策についてでございますが、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路約五百キロメートルで対策を完了いたしまして、昨年度から緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路に対象を拡大し、実施しております。
これら二つの対策は、今後、震災時に多くの人が集まりますターミナル駅や災害復旧の拠点となります行政機関の庁舎などへ対象を拡大してまいります。
今後とも、下水道機能の確保と強化のため、下水道管の再構築や耐震化を積極的に進め、高度防災都市づくりに貢献してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩地域における下水道総合地震対策計画の策定促進についてでございますが、多摩地域の市町村は、雨水対策や合流改善などの課題に取り組む一方、既に十六市が下水道総合地震対策計画を策定し、五カ年で優先的に耐震化すべき施設の整備に取り組んでおります。
都はこれまでも、計画に基づく事業に対し、国の交付金制度と連携して補助を行うとともに、今年度からは計画策定についても助成の対象に加えております。現在、二市がこれを活用して計画づくりを進めており、年度末までに十八市が策定を完了する見込みでございます。
今後とも、地震対策を課題とする市町村に対し、計画策定を働きかけるなど、多摩地域の下水道の耐震化を促進してまいります。
次に、不燃化特区制度における支援についてでございますが、木密地域は、東京の防災力を強化する上で最大の弱点となっており、この地域の改善を加速していくために、都は、不燃化特区の創設等を初めとした木密地域不燃化十年プロジェクトに取り組んでおります。
このプロジェクトにおいて、都は、特に重点的、集中的に改善を図るべき地区について、不燃化特区を指定した上で、期間、地域を限定して特別の支援を行うこととしております。
お話の都税の優遇措置、種地取得や専門家活用のための支援、不燃化助成の上乗せなどにつきましては、検討すべきメニューであると認識しており、今後、区からの提案なども踏まえながら、制度構築に取り組んでまいります。
次に、不燃化に合わせた省エネの取り組みについてでございますが、木密地域の改善を進める上でも、建物の不燃化に合わせて省エネなどの付加価値をつけることは意義があると認識しております。
これまでも都内では、木密地域である東池袋地区や板橋三丁目地区などにおいて、建物の共同化に際し、太陽光発電や屋上緑化、壁面緑化、高効率な省エネルギー設備の導入などが行われており、今後もこのような取り組みを促進してまいります。
都は、現在、不燃化特区の制度構築を進めており、区からのさまざまな提案も踏まえながら検討を行い、区と連携して木密地域の改善に取り組んでまいります。
次に、マンション実態調査の結果についてでございますが、都は、昨年度、マンションの耐震化促進に向けた効果的な施策や管理のあり方などについて検討するため、都内すべてのマンションを対象に実態調査を行いました。
お尋ねの分譲マンションについては、耐震基準が改正された昭和五十六年以前に建設されたものが全体の約二割に当たる一万一千六百棟あり、このうち、ピロティーつきのものは千八百棟であることが明らかになりました。
また、調査の中で行ったアンケートに回答のあった旧耐震基準の分譲マンションのうち、約八割は耐震診断を実施していないことがわかりました。
次に、調査結果の活用についてでございますが、今回の実態調査では、分譲マンションの管理状況等も調査しており、耐震診断が実施されたところでは、長期修繕計画の作成や活発な管理組合の活動など、良好な管理が行われている傾向が見られました。
今後、こうした分析をさらに多様な角度から進め、マンション耐震化を進める上での課題や耐震診断、耐震改修を実施できたマンションの特徴などを取りまとめた報告書を作成し、都民に向けて広く情報提供してまいります。
あわせて、耐震診断実施を促す新たなパンフレットを作成し、啓発隊を派遣することで、マンションの管理組合に対し、耐震診断実施に向けたきめ細かい助言、誘導を行うなど、マンションの耐震化を強力に促進してまいります。
最後に、都営住宅の耐震化の計画についてでございますが、都はこれまで、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、都営住宅の耐震化を進めてまいりましたが、「二〇二〇年の東京」計画の策定等を受け、現在、整備プログラムの見直しに取り組んでおります。
居住者の安心・安全を図り、民間住宅等の耐震化を促すためにも、都営住宅の耐震化を推進することが重要でございます。
また、都営住宅は、都が管理する公共住宅であり、耐震化の完了までの計画を示す必要があると考えております。
こうしたことから、ご指摘を踏まえ、さらに取り組みを加速し、平成三十二年度の耐震化率一〇〇%達成に向けて、整備プログラムの改定を速やかに行い、都営住宅の耐震化を計画的かつ着実に推進してまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
まず、電力供給に係る国への制度改正の要請についてでございますが、ご指摘の北九州市の例は、国際物流特区におきまして、工場地帯に隣接するオフィス、店舗、住宅等を一の構内、すなわち一つの構内として認定するとともに、本来、資本関係など密接な関係がなければ電力供給が認められない電気事業法上の特定供給の例外として認められているものでございます。
また、そもそも現行法上、電力供給が自由化されておりますのは、五十キロワット以上の高圧電力でございまして、五十キロワット未満の一般家庭への電力供給は認められておりません。
国は、現在、電気事業制度の改革に向けた検討を進めておりまして、都としても、低圧電力も含む全面自由化や面的な開発でエリア内等における送電事業が可能となる仕組みの実現など、国に対して強く求めてまいります。
次に、老朽化した発電所の切りかえについてでございますが、東京電力の火力発電設備の約四割が運転期間三十五年を超えておりまして、このまま老朽化した非効率な火力発電に依存することは、燃料費の増加につながることに加えまして、CO2排出量を増加させ、地球温暖化対策にも逆行することになります。
コンバインドサイクル方式への切りかえに関しましては、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームで、百万キロワット級天然ガス発電所の建設とあわせて検討を行ってまいりました。
最新型のガスコンバインドサイクルへ切りかえますと、発電効率を五割程度高めることができます。また、天然ガス発電所におけるコストの約六割は燃料費であると試算されましたが、数年後には、北米から安価なシェールガスの輸入開始が期待されておりまして、ガスコンバインドサイクルのコスト面での優位性はより一層向上いたします。
これまでも、九都県市として国に対し、民間資金の活用による老朽火力の早期更新を要求してまいりましたが、本年五月には、猪瀬副知事による経済産業大臣への東京電力の総合特別事業計画に関する緊急要望の中で、高効率で低炭素な発電所のリプレースを推進することに加えて、特に災害時に重要な役割を担う単独系統安定化システムが導入されております大井火力発電所のリプレース増強を早急に具体化するよう指導することを求めました。
今後とも、国の施策及び予算に関する提案要求に盛り込むなど、引き続き機会をとらえて強力に働きかけを行ってまいります。
次に、家庭におけるエネルギーマネジメントについてでございますが、電力使用のむだを排除し、合理的な賢い節電を定着させるためには、電力使用量の見える化によりまして、節電意欲を高めるとともに、電力のピーク時間帯を見定めて、家電製品の使用を制御することが有効でございます。
家庭のエネルギーマネジメントシステム、いわゆるHEMSは見える化機能に加えまして、家電製品等の自動制御、太陽光発電や蓄電機能等との連携によるピークシフトなど、さまざまな機能を持った製品が実用化されつつありまして、今後、積極的な活用が期待されます。
電力会社によるスマートメーターの大量導入開始の動きや、HEMSの仕様標準化によるメーカーを問わず家電製品間の情報連携が可能になるなどの最近の動きを踏まえまして、今後、HEMSを積極的に活用した家庭におけるエネルギーマネジメント実現に向け、新たな取り組みを検討してまいります。
次に、太陽光発電の新たな普及スキームについてございますが、都はこれまで、国に先んじて打ち出し、集中的に取り組んできた補助事業によりまして、この三年間で太陽光発電の導入速度を十倍に加速するなど、大きな成果を上げてまいりました。
本年七月から、固定価格買い取り制度が開始することに伴いまして、太陽光発電への関心はさらに高まっており、今回、集合住宅向けに設置コストを十年以内に回収できる太陽光発電の設置プランを募集しましたところ、五十四の事業者から百八十三件に上るプランが提案されるという大きな反響をいただきました。
また、従来の業態の垣根を超えて、発電事業に新規参入する事業者の動きも活発化するとともに、建物の屋根貸し事業など、新たなビジネスモデルの展開に向けた動きも見られます。
こうした状況を踏まえまして、現在都は、太陽光発電のさらなる普及拡大に資する事業者の提案を募集しております。
今後、具体的な提案やニーズを踏まえながら、屋根貸し事業における建物事業者と発電事業者のマッチングを行うなど、実効性の高い新たな普及スキームを構築してまいります。
最後に、賢い節電の定着についてでございますが、この夏からは、昨年の経験を生かしまして、オフィスや家庭の快適性を確保しながら、無理なく長続きできる省エネ対策として取り組みを進めていくことが重要でございます。
そこで、都は、中小事業者の個々の実情に合わせた省エネのアドバイスを行っていくとともに、区市町村等と連携し、省エネ研修会を夏に向けて重点的に実施いたします。
また、店舗の入り口をあけ放したままの空調の利用を見直すなど、店舗における効率的なエネルギー利用の方策についての検討会を来月新たに立ち上げ、取り組みの強化を図ってまいります。
さらに、家庭向けには、昨年度に引き続き節電アドバイザーを活用し、戸別訪問を行うほか、今年度からは、スーパーマーケットなど多くの都民が集まる場所においても普及啓発を行います。
このほか、東京都地球温暖化防止活動推進センターにおいて相談に応じるなど、賢い節電の定着に向け、取り組みを進めてまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 震災時の木造住宅密集地域における東京消防庁の消火体制の強化についてでありますが、震災時の大規模火災に対し、効果的な消防活動を行うためには災害実態を早期に把握する必要があることから、機動力を生かした消防ヘリコプターや、消防活動二輪車等による迅速な情報収集が重要でございます。
引き続き消防活動においては、道路の狭隘状況等を勘案し、小型消防車や消防活動二輪車、可搬ポンプを活用するなど、当庁の保有する消防車両、資器材を結集して総合的な部隊運用により、被害の軽減に努めてまいります。
今後とも、首都直下地震などの大規模災害に東京消防庁の全精力を挙げて対処してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、地域の防災力の向上を図る体制づくりでございますが、地域の防災活動を担う自主防災組織がそれぞれの地域の特性に応じた取り組みをより効果的に展開していくためには、防災に関する専門家の知識やノウハウを活用していくことが重要でございます。
このため、都は、今回選定した地域防災力の向上を目指す四つのモデル地区に対し、避難所運営や地区内での安否確認など、各地区における課題解決を支援するため、防災活動の専門家をアドバイザーとして派遣し、モデル地区の成果を他の地区へ広めることにより、点から面へと展開するよう取り組んでまいります。
また、都内では、お話の防災に関する専門知識を持つ多彩な人材が企業や地域で活動していることから、今後、モデル地区へのアドバイザー派遣の成果も踏まえ、こうした人材活用方策についても検討してまいります。
次いで、島しょのハザードマップ作成支援についてでありますが、今回の被害想定では海溝型の大規模地震が発生した際、島しょ地域に高い津波が到来することが予想されており、各島の避難計画を見直す必要が生じております。
このため、都は、各島における地域ごとの浸水域などについて、より詳細な検証を行った上で、その結果をハザードマップの原型となる基本図として、島しょ町村に提供していくとともに、ハザードマップ作成に必要なアドバイスも行ってまいります。
こうした取り組みにより、各島における適切な避難計画の策定を進め、島しょ地域における安全の確保を図ってまいります。
次いで、島しょ町村の防災対策への支援についてでありますが、大規模地震や、これに伴う大津波に備えていくためには、各島の防災対策の主体となる町村が、それぞれの地域特性に応じた対策を講じる必要がありますが、町村ごとの取り組みでは、人的、技術的に制約があることから、都は、広域行政を担う自治体として、こうした各島の取り組みを支援していくことが求められております。
このため、都は、関係各局と島しょ町村とで構成される連絡会を設置し、各町村との情報共有や意見交換を行う中で、それぞれの実情や課題に即した実効性のある対策を町村とともに検討してまいります。
この検討結果を地域防災計画の修正に反映させるとともに、町村と合同での防災訓練を実施するなど、島しょ地域における大規模地震への備えに万全を期してまいります。
最後に、災害時のライフライン機能の確保についてでありますが、島しょ地域において、一たびライフラインが途絶すると、その地理的条件などから、長期間にわたって住民に大きな影響を及ぼすおそれがございます。
このため、都は、東京都防災会議のもとに各ライフライン事業者を含めて構成する検討部会を設置し、施設の耐震性の強化や早期の復旧等について、津波など東日本大震災の経験に基づき、事業者の取り組み状況も参考に、ライフラインの確保対策全般について検討を行っております。
今後、この結果を踏まえ、各ライフラインの防災性の向上と、発災時における機能確保に向け、関係機関に働きかけてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、電力にかかわる中小企業への支援についてでありますが、都はこれまで、自家発電設備等の導入支援に加え、今年四月からは電力の使用状況を監視する装置を支援対象として追加する措置を講じるなど、生産活動を維持しながら節電を行う中小企業の取り組みをサポートしてまいりました。
現在、審査されております規制部門の値上げでは、お話のように電力使用量の増加に伴い、料金単価が上昇する仕組みも含まれていることや、この夏の電力確保の状況を踏まえ、多くの中小企業がこれらに対応することができるよう、電力の効率的な利用に資する装置導入への支援について検討してまいります。
次に、被災地応援ツアーについてでありますが、福島県においては風評被害等により県内観光は厳しい状況が続いておりましたが、最近ようやく観光客の数に伸びが見られております。
多くの都民が福島県へ旅行することにより、この動きを加速させることが重要と認識しておりますが、販売が見込みを上回って好調なことから、一部の旅行事業者ではこれから夏に向け、都民が本ツアーを申し込もうとしても受け付けられない状況にあると聞いております。
引き続き都民の要望にこたえ、被災地応援ツアーによる復興支援ができますよう、適切な対応を検討しております。
最後に、知的財産とその担い手の保護についてでありますが、大企業を退職した技術者を通じるなどして、日本企業の知的財産が外国に流出した事例が報じられております。
こうした中、都内の中小企業におきまして、高度な知識を持つ技術者に社内で力を発揮させるとともに、知的財産の重要性と取り扱いルールの認識を改めて徹底することは重要であります。
このため、中小企業の都内拠点での研究開発の強化の支援や、大企業を含めた研究開発機能の集積を通じ、東京ですぐれた技術者が活躍する場の確保につなげてまいります。
また、都の知的財産総合センターは、全国的にも先進的な取り組みを行っておりますが、さらに、企業と技術者との秘密保持の契約書の作成や、知的財産に係る社員の情報管理の強化などをサポートしてまいります。
こうした取り組みを総合的に実施し、技術開発の担い手をも視野に入れた知的財産保護を的確に進めてまいります。
〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕
〇生活文化局長(井澤勇治君) 芸術文化による被災者の心の支援についてでございますが、東日本大震災では、多くの文化施設や伝統芸能が被災するなど、芸術に触れたり、文化活動を行う機会が失われました。
芸術文化は、人々の心に安らぎと力を与え、地域のきずなを強め、あすへの希望をもたらすものであり、被災地の復興と再生には、文化による継続的な支援が重要となります。
都は、震災後直ちに、被災地域や被災者の方々に対する芸術文化を通じた支援に取り組み、室内楽を中心とした東京都交響楽団の演奏会、避難所の住民や子どもたちを元気づけるヘブンアーチストの公演、現地のNPOと連携したアートプログラム事業などを実施いたしました。
こうした現地での経験を生かし、今年度も引き続き東京都交響楽団やヘブンアーチスト等を派遣し、より広範な地域で活動を展開いたしますとともに、新たに楽器の指導を通じた楽団員と子どもたちとの交流や、だれもが楽しむことのできる大道芸教室など、参加型の公演を実施してまいります。
また、地元のニーズや文化施設の復興状況等を踏まえながら、文化的資源の被災地における活用の可能性について検討してまいります。
今後とも、地元の自治体とさらに連携を強化し、芸術文化を通じた被災地支援に積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、介護療養病床についてでございますが、都は、介護療養病床を平成二十三年度末に廃止するという平成十八年の法改正を受けまして、病床転換に伴う経費負担など、さまざまな課題への対応を再三、国に提案要求するとともに、老人保健施設や医療療養病床等への転換を促進するため、独自に整備費補助を実施してまいりました。
しかし、国はこの間、有効な方策を講じないまま、今回転換が進まないことを理由に廃止期限を平成二十九年度末まで単純に延長いたしました。こうした国の対応は、医療行政を担い、病院の現場を知る都として大変遺憾でございます。
都としては、今後も在宅療養が困難で、医療と介護を必要とする高齢者の受け入れ先を確保できるよう、介護療養病床を運営する事業者の状況を把握しながら、国に対し責任ある対応を強く求めてまいります。
次に、保健医療計画における在宅療養についてでございますが、都はこれまで、在宅療養体制の充実を図るため、区市町村を中心とした医療、介護の関係者等による協議会や、病院から在宅への円滑な移行等を調整するための窓口の設置を支援するなど、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
また、今年度から、医師の在宅医療への参加を促進するため、複数の在宅医が互いに補完し、訪問看護ステーションと連携をしながらチームを組んで、二十四時間体制で訪問診療等を行う取り組みを支援いたします。
今後、在宅療養推進会議において、これまでの取り組みの検証を行うとともに、在宅医療に携わる医師の負担軽減策、地域の中小病院、診療所の機能強化やネットワークの構築等について議論を進め、在宅医療の一層の推進策を新たな保健医療計画の中に位置づけてまいります。
次に、保健医療計画における精神疾患への対応についてでございますが、都はこれまで、精神障害者の退院を促進し、退院後の安定した地域生活を支援するため、地域活動支援センターや精神保健福祉センターに支援員等を配置し、病院と区市町村等との退院支援に向けた調整や、病院と地域の連携などを促進してきました。
精神障害者を地域で支える社会を実現していくためには、こうした取り組みを一層進めまして、医療と保健、福祉の円滑な連携を実現することが必要でございます。
本年四月の東京都地方精神保健福祉審議会の意見具申でも、診療科間の連携、地域連携、そして医療と保健、福祉の連携の三つの連携が重要であると指摘されておりまして、今後改定する保健医療計画には、各二次保健医療圏の状況を踏まえた具体的な方策を検討し、盛り込んでまいります。
次に、在宅緩和ケアについてでございますが、がん患者が住みなれた地域で安心して療養生活を継続するためには、在宅療養を支える地域の病院と診療所等の連携を進めていくことが必要でございます。
このため、都は今年度、区部、多摩の二カ所の二次保健医療圏におきまして、がん診療連携拠点病院が中心となり、病院、診療所、訪問看護ステーション、薬局などをメンバーといたします緩和ケア連携推進会議を設置いたします。
会議では、研修会や症例検討会等を通じまして、相互にバックアップする体制を構築するとともに、地域の医療資源のリスト等を作成し、情報の共有化を図ってまいります。
こうした取り組みを今年度策定いたします新たながん対策推進計画の中に位置づけ、地域における在宅緩和ケア体制の整備を推進してまいります。
次に、小児がん対策についてでございますが、小児がんは、合併症や成長障害への身体的ケア、再発の不安に対する心のケアなど、がんを克服した後でも引き続き医療的ケアを必要とする場合が多いことから、都内では、がん診療連携拠点病院など四つの医療機関が小児がんの長期フォローアップ体制を整備し、健康管理や合併症の予防など、きめ細かな支援を実施いたしております。
現在、国では、医療技術を集約化した、仮称でございますが、小児がん拠点病院の整備を検討しておりますが、都は、こうした国の動きも注視しながら、今後、がん対策推進協議会に設置をいたします医療緩和ケア検討部会におきまして、高度な小児医療に対応できる医療機関が多数存在をする都の特性を生かした小児がん医療のネットワーク構築など、具体的な方策を検討し、次期がん対策推進計画に盛り込んでまいります。
最後に、たばこによる健康影響への対策についてでございますが、都は、現行のがん対策推進計画の中で、成人の喫煙率の低下を目標に定め、喫煙の健康影響に関する普及啓発を行うとともに、禁煙希望者に対しましては、ホームページでの医療機関の情報提供を行っており、今年度は禁煙方法を紹介するリーフレットも新たに作成をいたします。
また、受動喫煙防止のためのガイドラインを策定し、公共の場所や職場における環境整備に関する普及啓発を行うほか、職場向けのハンドブックや飲食店向けの分煙方法に関するリーフレットを配布するなど、積極的に受動喫煙防止対策を進めております。
こうした取り組みの成果や新たな国の計画を踏まえ、今後、東京都がん対策推進協議会で喫煙率や受動喫煙防止の目標を検討し、次期の推進計画に盛り込んでまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 防犯カメラについてでございますが、地域における自主的な防犯活動は、東京の治安確保に大きな役割を果たしており、都は、これを支援するため、防犯カメラ設置等の費用の一部を補助しております。
防犯カメラの有効性が認知される中、地域の要望にこたえられるよう、今年度、地域における見守り活動支援事業について予算額を増額するとともに、町会、自治会が単独で行う防犯カメラの整備を新たに対象に加えるなど、補助制度の充実を図っております。
今後も、地域の取り組みを的確に支援していくことが重要と考えており、お話の防犯カメラの更新への補助を初め、支援の拡充については、地域の実情を把握した上で、区市町村との役割分担などを整理し、今後の対応について検討してまいります。
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