午後三時十五分開議
〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十二番鈴木あきまさ君。
〔百十二番鈴木あきまさ君登壇〕
〇百十二番(鈴木あきまさ君) 謹んで申し上げます。寛仁親王殿下におかせられましては、去る六月六日、薨去されました。社会福祉や国際親善などに情熱を注がれたお姿を国民はひとしくお慕い申し上げておりました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
さて、私は、都議会自由民主党を代表して、都政が抱えている重要課題について質問いたします。
現在、極東の政治情勢は極めて不透明で、緊迫の度を増しています。中国が急成長した経済力を背景に軍備を増強し続けている現状では、極東の政治的、軍事的環境がますます不安定化していくことは、火を見るより明らかであります。
そうした時代認識もない中で、民主党政権は、沖縄普天間基地問題を殊さら複雑化させ、解決困難な状況に追い込みました。そして、このことは日米の信頼関係を決定的に傷つけ、アジアの政治、軍事の安定において極めて重要なアジア諸国の公共財ともいわれる日米同盟を殊さらに弱体化させました。北方領土、竹島、尖閣諸島などに対する周辺国の傍若無人な振る舞いを助長しているのは、定見なき民主党政権の所業といわざるを得ません。
こうした状況の中で、石原知事が尖閣諸島を通じて大変重い問題提起をされました。私たち都議会自民党は、かねてから尖閣諸島にかかわるさまざまな問題について、数多くの議員が適時適切に機会をとらえて発言をしてまいりました。いずれもその趣旨は、我が国固有の領土であり、中国などが不当に領土権を主張している尖閣諸島を今後どうしたら守れるかという強い憂国の情念から発したものにほかなりません。
本来、国有化されるべき国境離島の島々が個人所有であり続けてきたことがいかに不正常であるのか、石原知事の発言は多くの都民、国民に覚せいさせました。寄附口座開設以来、既に七万七千九百件、十一億一千九百万円余の浄財が集まっていることを見ても、国民世論は、国有化できないのであれば公有化すべきとの意思が大きなうねりとなっています。
私たちが今考えなければならないことは、石原知事の問題提起に対して、都民、国民の願いを確実に実現するために、行政的、政治的課題をどのように乗り越えるのか、まずは知事とともに努力を惜しまず、知恵を絞ることであります。そして、私たちはこの問題に関して、東京から日本を変える大きな一歩を記していくために力強く取り組んでまいります。
ワシントンでの発言以来、およそ約一カ月半、尖閣諸島をめぐる状況は確実に変化しています。そこで、知事に改めて、発言以来刻々と変化してきた国民世論、国会、周辺諸国などに関する思いと、この問題にかける知事の決意を伺います。
政治が眼前の危機を冷静にとらえて、社会を確かに変える具体的な手だてを講じなければならないのは、電力問題も同じであります。昨年、東京は計画停電を経験しました。電力不足に直面し、知恵を絞って、必死の思いで節電し、乗り切りました。ことしも夏を迎えるに当たり、課題山積となっています。
当面の課題の第一は、中小企業や家庭を直撃する電力料金の値上げです。都議会自民党は、既に国と東電に経営改革を迫ってきましたが、値上げの妥当性を検証し、東電の経営合理化を要求してまいりました。また、安定供給を確保し、万が一にも真夏のブラックアウトは避けなければなりません。
さらに、日本の将来にとって、電力不足の長期化は産業空洞化を一段と加速させることから、都民、国民の雇用と生活を守るべく、原発をどうしていくかも含めた国家的なエネルギー戦略の構築が急務です。
とまった原発を火力発電で代替するために、国全体で新たに年間三兆円を超える燃料代を海外に支払うことを余儀なくされており、調達価格の交渉やエネルギー安全保障の取り組みも強化しなければなりません。
このような複雑多岐な難題を解決するためには、政治が責任を持って全体を俯瞰しながら複合的に判断することが必要です。
一方で、今定例会には、原発の稼働に関する住民投票条例案が提案されております。住民投票は、直接民主主義の手法として、住民が意思表示を行う重要な仕組みであることは認識しております。しかし、今回のような複雑多岐にわたる事態を前に、もはや原発を動かすか動かさないかという単純な議論で済む状況にはありません。今回のような事態に住民投票は適切な手段とは思えません。
東京において、電力問題を考える上で欠かしてはならないのは、原発立地地域に対する電力消費地としての感謝と敬意です。東京の便利で快適な生活は、立地地域が長年にわたり大変なご苦労を重ねながら原発と向き合ってきた上にあるのです。
我が都議会自民党は、これまでも立地地域を訪れ、感謝を伝えるとともに、電気を享受する東京への厳しいご意見もいただきました。電気を頼る立場の東京が、立地地域の雇用、ひいては地域社会の存立自体に甚大な影響を与える稼働の是非について、都民がじままに判断すべきことではありません。
今、東京に求められるのは住民投票ではありません。東電と国に改革と安定供給を迫り、全国の範となる節電を実行しながら、既に原発が停止し、現に深刻な影響が出ている立地地域を支え、特に福島の復興に全力を尽くすことです。
そこで、知事に住民投票条例について所見を伺います。
エネルギー問題と同様に、政治の責任、役割を問われているのが防災対策であります。
我が党は、昨年十一月、防災対策強化に向けての提言を都に行い、高度防災都市づくりの推進を強く働きかけました。これを受けとめ、「二〇二〇年の東京」において、東京の震災対策が積極的に打ち出されたことは高く評価いたします。
一方で、国政では首都機能のバックアップについて議論が進んでおりますが、これは余りにも乱暴で稚拙といわざるを得ません。確かに想定外をなくし、日本が機能停止する事態を防がなければならないことには異存はありません。しかし、直下型地震で東京全体、首都圏全体が壊滅することはあり得ません。
また、東京は全力で防災対策を進めております。そうした中で、初めに首都機能移転ありき、箱物づくりありきでは、防災対策に名をかりた壮大なばらまき、むだ遣いを生み、弱った国力に致命傷を与えることにもなりかねません。
こうした国政のバックアップに名をかりた首都機能移転の動きに対して、知事のご所見を伺います。
これまで取り上げた尖閣、エネルギー、防災の問題は、どれも政治の構えや志が問われ、単なる観念論、理念論では到底太刀打ちできるものではありません。我が都議会自民党は、この三つを初め、あらゆる事柄に対して、将来を見据えながら、極めて複雑に絡み合う要素を解きほぐしつつ、具体的に物事を決断していくことをお約束しつつ、さらに質問を続けます。
国の民主党政権は、コンクリートから人へという間違った二者択一のかけ声のもと、必要な公共事業まで削減する愚挙を続け、大震災を経て、今ごろ社会資本整備のあり方を見直そうとしていますが、こうした迷走がどれだけ我が国の国益を損ねてきたことでしょうか。
都は、これまでも毎年度、投資的経費をしっかりと計上し、三環状道路など都市を支えるインフラの着実な整備や耐震化の推進を図ってきました。こうした歩みを一層加速させるとともに、さまざまなソフト対策を組み合わせた総合的な対策を強力に推進し、高度防災都市東京への歩みを進めなければなりません。
都は、先月、新たな被害想定を公表しました。東日本大震災以降、初めての首都直下地震等にかかわる想定で、まさに国に先駆けた取り組みです。フィリピン海プレートの深さなどの最新の科学的知見を踏まえたほか、新たに津波の想定を行うなど、東京に起こり得る地震像をより科学的、客観的に示そうとしており、我が党としても意欲的な取り組みとして高く評価いたします。
震源が浅くなったことで、区部や従来地盤が強固だといわれてきた多摩地域でも、震度六強や七などの強い揺れにより、被害の拡大が想定されています。こうした厳しい状況を知って、都民の中には、自分の住む地域は安全なのか、どういった対策が必要なのかといった戸惑いの声も上がっています。行政として備えを固めるとともに、都民も冷静に、着実に、自助、共助の取り組みを進めることが重要です。
まず、被害想定に対する都民の声を踏まえ、防災対策を推進する知事の率直な所見を伺います。
引き続き、被害想定の見直しに関して、ソフト、ハードの両面から伺います。
まず初めに、東京港におけるBCPの策定について伺います。
東京港において被害を受けるバース数の想定が示されるなど、港湾施設の防災機能の強化が課題として明らかになりました。
さきの大震災においても、被災者支援のための緊急物資輸送や地域の経済活動の復旧、復興において、港湾が重要な役割を果たし、港湾における物流機能の重要性を再認識したところであります。
特に東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支える総合物流拠点であり、その機能が停止した場合、国民生活や日本経済に与える影響も大きいことから、被害を最小限に抑え、物流機能を早期に復旧させる取り組みが重要であります。
そのため、港湾に関係する多様な民間事業者や行政機関が連携し、東京港が災害時にもその役割を十分に果たすことができるよう、事業を継続するための計画、いわゆるBCPを策定していくべきと考えますが、所見を伺います。
また、災害時における物資の確保対策についてですが、被害想定では、避難者数は最大で約三百三十九万人、そのうち、避難所生活者数は約二百二十万人と想定されています。避難所での生活を余儀なくされる方が多数に上ると見込まれる中、避難所生活者のニーズに応じて物資を確保し、これを迅速かつ的確に供給する体制づくりが大変重要であると考えます。
平成二十三年第四回定例会における我が党の質問に対し、物資確保対策について調査検証を行い、その結果を地域防災計画の修正に反映していくとの答弁がありました。
そこで、調査検証の結果はどのようなものであったのか、それを踏まえ、災害時の物資の確保、輸送体制の構築に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、災害時の障害者支援について伺います。
東日本大震災では多くの障害者団体がさまざまな支援活動を行ってきましたが、障害者の安全を確保するためには、独自の支援ノウハウやネットワークを持つ、こうした障害者団体と連携することも必要です。
都は、我が党の指摘も踏まえ、障害者団体に対して、災害時の対応に対して調査を実施したと聞いています。
今後、災害時における障害者の支援にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、自助、共助の取り組みについて伺います。
都は、先般、三十六の団体を第一回の東京防災隣組として認定しました。いずれの団体も、都内の各地域で身近な存在である町会、自治会を母体として、長年、防災活動に熱心に取り組んでおり、核となる人々の地域に対する熱い思いやさまざまな創意工夫に支えられています。
今後の普及に当たっては、こうした熱意や創意工夫をしっかりすくい上げ、他の地域へ波及させる必要があります。地域の地道な活動に光を当てる防災隣組の取り組みは大いに評価できるものであり、自助、共助の核として、今後修正する都の地域防災計画に明確に位置づけ、広く波及させていくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
地域における防災活動で忘れてならないのは消防団です。大津波が迫る中、人々に避難を呼びかけ、その後も救助、捜索活動を続けるという被災地の消防団の献身的な姿勢に私は強い感銘を受けました。
都内には区部、多摩、島しょ部を合わせて九十八の消防団があり、それぞれに歴史と伝統、そして誇りを持ってまちを守っています。なり手がいないといった課題もある一方で、装備が十分にあれば、また、もっと研修や訓練を受けられれば、活動を一層充実できるとの声も聞こえます。
東京で自助、共助の取り組みを進めるためにも、都はこうした声に耳を傾け、消防団活動の一層の充実に向けて取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、都立高校における防災教育について伺います。
昨年の東日本大震災の際、都立高校は帰宅支援ステーションとして、翌朝まで帰宅困難者の受け入れを行いました。
都立高校は地域の避難所にもなることから、防災拠点としての機能を強化していくことが求められています。
また、日ごろの防災訓練等においては、地域と積極的に連携を図り、震災発生時に地域の防災活動に貢献できる生徒を育成していく必要があります。
こうした中、今年度からすべての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施することになったと聞いていますが、そのねらいと内容について伺います。
次に、被害想定の見直しを踏まえたハード面からの防災都市づくりについて伺います。
都はこれまで、防災都市づくり推進計画を策定し、延焼遮断帯の形成や市街地の面的な不燃化等の防災都市づくりに取り組んできました。
さらに、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の被害の大きさを踏まえ、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、木密地域の改善を一段と加速させることにしています。
このような状況の中で、今後、防災都市づくりにどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、建築物の耐震化について伺います。
都はこれまでも、全国初となる緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例の制定など、建築物の耐震化に向けた実効性のある取り組みを積み重ねてきました。
しかし、いまだに耐震性能を満たしていない旧耐震基準の建築物が数多く残っており、都がさきに公表した被害想定では、最大で三十万棟以上の建物被害が予想されるなど、一たび大地震が起これば甚大な被害が発生することが懸念されます。
特に東京は、国内で最も早くから住宅の共同化、高層化が進んだ都市であり、都内世帯の四割の方がマンションに居住していることもあって、老朽化したマンションの再生への取り組みは、東京における安心な居住の実現に向けて不可欠です。
都は、昨年度、都内全マンションを対象に実態調査を行いました。それらをいかに、実効性あるマンション耐震化施策を講じるべきと考えますが、今後、具体的にどのように取り組みを進めるのか、所見を伺います。
都は、先般公表した「二〇二〇年の東京」計画において、都内の住宅の耐震化率を平成三十二年度に九五%以上にすると目標を掲げました。この目標を達成するためには、都が民間等の耐震化への取り組みを促進していくことが必要ですが、その際、都がみずから設置、管理している都営住宅の耐震化を率先して進めることにより、民間等を先導することが重要です。
都営住宅について、これまで行ってきた耐震診断や耐震改修の状況も踏まえながら、平成三十二年度には、耐震化率を一〇〇%とするよう道筋を描くことが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、建築物における液状化対策について伺います。
東京湾北部地震が発生すると、液状化により、約六万四千棟の建物に被害が生じると想定されております。こうしたことから、都民一人一人が的確に判断をし、また液状化に備えていくことができるように、都は対策工法などの情報を適切に提供していくことが重要です。
東京都建築物液状化対策検討委員会が本年五月に公表した中間のまとめによれば、建物被害が発生した場所の土地の履歴や地盤特性が明らかになりました。
そこで、都は、検討委員会の成果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、木密地域不燃化十年プロジェクトについて伺います。
首都直下地震の切迫性を踏まえ、東京を高度な防災力を備えた都市へと進化させるためには、震災時に特に甚大な被害が想定される木密地域の早期改善を図る必要があります。このためには、市街地の延焼を遮断し、避難や救援活動の空間ともなる、防災上効果の高い都市計画道路の整備を加速することが不可欠です。
都が本年一月に策定した木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針では、整備地域約七千ヘクタールにおける主要な都市計画道路を特定整備路線に指定し、関係権利者に対する生活再建のための特別な支援策を講じ、平成三十二年度までに一〇〇%整備することとしています。
そこで、特定整備路線の着実な整備に向けた今後の取り組みについて伺います。
次に、東京港における耐震強化岸壁の整備について伺います。
阪神・淡路大震災において、神戸港では耐震強化岸壁の三バースを除き、ポートアイランド地区、六甲アイランド地区のコンテナふ頭など大半の施設が被災し、使用不可能な状態に陥りました。そのため、海上からの物流ルートが断たれ、経済活動が麻痺し、市民生活に多大な影響を及ぼしました。
こうした事実を踏まえると、首都圏の物流を支えている東京港の岸壁の耐震化は、まさしく喫緊の課題であります。
東京港では、これまでも耐震強化岸壁の整備を着実に進めておりますが、今回の被害想定を踏まえ、災害に対する対応力をさらに加速して強めていくべきであります。東京港が震災時にも十分な物流機能を発揮していくために、都として今後どのように取り組むのか伺います。
次は、島しょの津波対策について伺います。
今回、新たに相模トラフ沿いの巨大地震による津波の想定を行い、国も三月に南海トラフ沿いの津波高の想定を公表しました。いずれの想定でも、島によっては二十メートルを超える非常に高い津波が想定され、島しょ地域の都民は厳しい現実を突きつけられています。
津波は短時間で到達する場合もあり、避難のおくれが人的被害に直結します。かけがえのない都民の命を救うためには、住民の避難訓練を充実させるなど、避難対策を含めた総合的な対策が必要であると考えますが、所見を伺います。
次に、下水道事業における光ファイバーの活用について伺います。
これまでの想定を上回る津波の高さの予測発表や、これから梅雨の時期を迎え、近年、世界各地で頻発している局地的な大雨や集中豪雨が、都内でいつ発生してもおかしくない状況にあります。
津波や豪雨などで首都東京が浸水した場合、都民の生命、財産や都市機能に与える影響ははかり知れず、こうした災害時に被害を軽減するとともに、いち早く情報を収集、発信し、災害に備える体制を構築することが極めて重要であります。
下水道局では、下水道管の中に敷設した光ファイバーにより、施設の運転管理などを行っておりますが、危機管理対応を強化するため、さらに活用を図るべきと考えます。所見を伺います。
次に、発災時の都民の飲料水の確保について伺います。
さきの東日本大震災では、被災地で広域かつ長期にわたって断水が生じ、住民への飲料水の供給に大きな課題が生じました。
都はこれまで、浄水所、給水所に加え、応急給水槽を整備し、都内各地で給水拠点を確保してきましたが、その後の環境変化もあり、整備上の目安である半径二キロ圏よりも離れた地域が依然として存在しています。
こうした状況を踏まえ、都民の命の水を確実に確保、供給する使命を果たすため、都は積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
次に、水道事業における電力確保について伺います。
切迫性が指摘される首都直下地震等の発生時には、さきの震災時のように電力供給が途絶する可能性があり、また、政府が明確なエネルギー政策を示せない中、電力供給は長期的に不安定な状況が続くと予想されます。
こうした中、知事はさきの所信表明において、三郷浄水場へ新たに二万キロワットの発電設備の増設を表明されました。首都東京を支える水道が安定給水に必要な電力を確保するには、電力事業者からの供給のみに頼ることなく、みずから電力を確保すること、すなわち、電力の自立化が必要であると我が党も強く主張してきたところです。
そこで、電力自立化への取り組み状況と今後の具体的な整備について伺います。
次に、多摩地区の水道事業についてですが、我が党はこれまでも、多摩地区の給水安定性を向上させるため、送水管のネットワーク化を図ることは極めて重要であると指摘してまいりました。
こうした中で、都は、計画的に大規模な送水幹線の整備に取り組んできました。本年五月には、平成十四年から整備を行ってきた多摩丘陵幹線第二次整備区間の一部が通水し、運用が開始されました。また、東村山浄水場からの送水機能を強化するため、多摩南北幹線の整備事業が昨年度着手されたところであります。
しかし、広域的なバックアップ機能が十分でないという多摩地区の状況を踏まえると、さらなるネットワークの強化に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
次に、東京外かく環状道路の整備促進についてですが、外環は首都圏を支える高速道路ネットワークとして、交通渋滞の解消、環境の改善、交通物流拠点の連携など、我が国の低迷する経済の活性化や国際競争力の強化に資する重要な幹線道路です。さらに、災害時には迅速な救命、復旧活動を支える道路として機能します。
圏央道は、本年三月に都内区間の高尾山インターチェンジまで開通し、中央環状品川線も平成二十五年度に完成予定と、首都圏三環状道路の整備は着々と進んでおり、残すは外環のみといっても過言ではありません。
我が党は、東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟とともに、一日も早い外環の完成を国に強く要請してまいりました。その結果、本年度、国の直轄予算は二百五十億円が計上されました。
そこで、東京がオリンピックを招致している二〇二〇年までの完成に向けて、今後の外環整備事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
次は、東京電力の料金値上げ、経営合理化の取り組みについて伺います。
電気料金の値上げについては、東京電力が本年一月に自由化部門の値上げを発表して以来、我が党は、国、東京電力に対し、経済活動や国民生活への影響を十分に配慮するよう、再三にわたり要請活動を行ってまいりました。
その結果、東京電力は、我が党の求めに応じ、甚だ不十分ではありますが、自由化部門における中小企業向けの値上げ緩和策を遅まきながら追加で発表しました。その後、東京電力は、将来にわたる経営の指針ともいうべき総合特別事業計画を策定し、去る五月九日、経済産業大臣の認定を受けたところです。
計画に基づき、五月十一日には、一般家庭や都内の九割の中小企業が対象となる規制部門の電気料金を平均で約一〇%値上げする申請が行われましたが、今回の値上げは、都民生活に打撃を与え、経済の低迷に追い打ちをかけるものにほかなりません。
このため、我が党は、いち早く総合特別事業計画の大臣認定に先駆け、五月七日、総合特別事業計画を上回る徹底した合理化に取り組むとともに、節電や実質的な負担の軽減につながる料金プランの設定に加え、医療、福祉施設への自家発電設備の補助など、総合的な対策を講じるよう、政府及び東京電力に対して緊急要請を行ったところであります。
また、我が党の質問状により、東電出身地方議員の給与や社員の冬のボーナスが料金の算定に盛り込まれているなど、今回の値上げが不合理であることも明らかになりました。
東京電力の経営合理化、情報開示の取り組み等は甚だ不十分であると認識しておりますが、都は、この四月以降、今回の規制部門の料金値上げや東京電力の経営合理化などについてどのように対応してきたのか伺います。
今回の規制部門の値上げの影響を最小限に抑えるため、一般の家庭や中小企業では、電気の使用量を減らす節電の取り組みが欠かせません。東京電力は、電気の使用量が多いほど値上げの率が高くなる料金の改定を国に申請しており、節電によって電力の使用を抑えることが、これまでにも増して重要になるものと考えます。
都はこれまでの節電の効果的な実現に向けて、一般家庭での太陽光パネルの導入に助成を行ったり、中小企業に電気の使用を抑えるノウハウをアドバイスし、自家発電設備の導入をサポートする施策に取り組んできました。
特に中小企業については、生産活動の中で多量の電力が必要な場合も多く、節電によりコストの増加を抑え、ようやく製品の競争力を維持できるような厳しい状況に直面しており、一層の下支えが必要です。
規制部門の値上げの動きを踏まえ、節電に取り組む中小企業に対する支援の充実を図るべきものと考えますが、所見を伺います。
節電の実践は、単に電気料金値上げへの自衛手段という側面にとどまらず、電力不足への対応としても重要な課題であります。
昨年の夏は、個人も企業も自己犠牲を払いながら、全力で節電にご協力いただき、電力危機を乗り越えましたが、都民生活や経済活動に大きな影響があったことも事実です。
今夏の電力需給見通しによれば、東電管内では、昨年ほどの危機的な状況は回避できるとされていますが、老朽火力発電所の故障等の事態に備え、節電が重要であることに変わりなく、都民生活や経済活動への制約を最小限とする、いわゆる賢い節電に取り組む必要があります。
都が、さきの第一回定例会における我が党の要請にこたえ、事業所や家庭が中長期的に取り組むべき省エネ・エネルギーマネジメント推進方針を発表し、今夏以降の省エネ対策の方向性を示した点は大いに評価いたします。
事業者や都民が今求めているのは、この夏、どのような対策にどの程度取り組む必要があるのか、客観的なデータに基づくわかりやすいメッセージであります。
都は、今夏の電力需給状況を見据え、今後求められる省エネ、節電方法をどのように打ち出し、どのような取り組みにより定着を図っていくのか伺います。
東京が環境先進都市として、都市の魅力をより一層高めながら、ビジネスの拠点として、世界の大都市間競争に勝ち、選択される存在であり続けるためには、賢い節電の定着だけにとどまることなく、良好な執務環境、快適な居住環境を確保するとともに、災害にも強いスマートエネルギー都市を実現し、さまざまな機会を通じて世界に情報発信していくことが必要であります。
都は、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針の中で、スマートエネルギー都市に求められる基本的な考え方を示しましたが、改めてその具体的な内容を伺うとともに、スマートエネルギー都市の実現に向けた施策の方向性について伺います。
次に、被災地支援について伺います。
初めに、災害廃棄物処理支援への取り組みについてですが、未曾有の大震災から一年余が経過し、被災地では復旧、復興の歩みを阻んでいた瓦れきの処理も一時仮置き場への集積がほぼ完了しました。
しかし、瓦れきの山は被災地にいまだ高く積まれており、依然として膨大な量です。とても被災地だけで処理することはできません。
阪神・淡路大震災の際には、発災後一年経過時には五〇%以上の災害廃棄物の処分が完了していましたが、今回の東日本大震災においては、阪神・淡路大震災とほぼ同量の災害廃棄物が発生していながら、政府の対応がおくれたこともあり、一年以上たっても処分は一五%にとどまっております。
広域的な支援が欠かせない中、都は、全国に先駆け、昨年十一月から岩手県宮古市の災害廃棄物の受け入れを始めました。ことし三月からは宮城県女川町の災害廃棄物の本格的な受け入れが二十三区の清掃工場で始まり、六月からは多摩地域でも開始されました。
都が、全国自治体の先導役となって災害廃棄物の処理を進めた結果、被災地ではどのような復興が進んだのか、その成果と今後の災害廃棄物の処理支援の取り組みについて伺います。
次に、被災地応援ツアーについて伺います。
福島県においては、風評被害等により、県内観光は厳しい状態が続いていましたが、観光客の数にようやく回復の兆しが見られ、これをしっかりと後押しすることが必要な段階にあると考えます。
都は、我が党の提案を受け、被災地応援ツアーに今年度から日帰り旅行も対象に含め、福島県への観光支援を着実に進めている点を評価したいと思います。
被災地応援ツアーは予想以上の反響を呼び、旅行会社の中には、夏以降の旅行の申し出を受け付ける余裕がないとの話もあります。
福島県の観光復興はいまだに道半ばであり、被災地応援ツアーを通じて、多くの都民が被災地支援に協力したいとの要望にきちんとこたえることのできる対応が必要と考えますが、見解を伺います。
次に、都民の安全・安心の確保という視点から何点か質問します。
まず、豊洲新市場整備について伺います。
豊洲新市場は、土壌汚染対策工事が進捗し、本年度は本体工事の着工に向けて、市場関係業界との施設計画に関する具体的な協議が進んでいると聞いています。新市場の建設が明確に見えてきた今だからこそ、将来を見据えた新市場の目指す方向性をいま一度明確にする必要があります。
私は、一昨年の十一月に行った都議会自由民主党の海外調査において、フランスのランジス市場を調査しました。約十度前後での高度な品質管理を目の当たりにし、温度管理の重要性を痛感したのです。
こうした事例を踏まえ、豊洲新市場は、東京の食文化を支える先進的な卸売市場として整備されるべきであり、高度な品質管理の実現は必須であります。特に、適切な温度管理によるコールドチェーンの確立は欠かせないと考えますが、都の所見を伺います。
また、品質管理の高度化と並び、コスト削減の視点を踏まえた物流の効率化など、ソフトのプラットホームづくりへの取り組みも重要であると考えます。所見を伺います。
次に、防犯対策について伺います。
我が党は、本年の第一回定例議会で、地域による防犯カメラの整備に対し、きめ細かく支援していくよう求めました。防犯カメラは、犯罪抑止とともに事件の解決にも大きく寄与するものであり、地域の安全・安心に大きな役割を果たしています。
都は、平成十五年から地域による防犯カメラの整備を支援してきましたが、当初整備されたカメラは老朽化が進んでおり、更新が必要となっているものがあります。
今日、東京の治安が大きく改善されてきたのは、防犯カメラの整備など地域の取り組みがあったからこそであり、それらの地域が引き続き防犯活動に取り組めるように、防犯カメラの更新も含め、支援すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、自転車の安全対策についてですが、都内では昨年、自転車が関与する交通事故が約二万件発生しており、本年も六十五歳以上の方の自転車乗車中の事故死者が急増するなど、自転車の安全対策が急務であります。
現在、関係者により東京都自転車対策懇談会が開催されておりますが、自転車の安全、適切な利用を促進するためには、自転車の走行空間の確保、交通ルールやマナーの徹底、悪質な違反者に対する取り締まり、交通の妨げとなる放置自転車への対応といったさまざまな対策が必要であります。
こうした対策を総合的に実施していくためには、関係者が一体となった取り組みが不可欠であり、また、東京都交通安全計画を踏まえた自転車対策を推進するための計画の策定が必要であると考えますが、所見を伺います。
次は、中小企業の置かれている状況を踏まえ、産業政策に関する要望と質問をします。
国内の景気動向は、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつあるといわれていますが、都内の中小企業は、円高や原油高、長引くデフレ状況に加え、電力の値上げなどさまざまな危機に直面し、依然として厳しい経営を強いられています。
私の地元大田区でも、円高の影響による取引先企業の海外移転により、中小企業の仕事が減り、まち工場の減少が加速するなどの影響が出ています。
こうした状況の中で、国は、経営不振の企業向けの一〇〇%保証の融資制度について、その対象業種を一部に絞り込む方針との報道がなされています。また、国は、有効な対策を打ち出すことなく、中小企業金融円滑化法を今年度に終了するとしています。
こうした状況の中で、中小企業の経営者は、先行きに大きな不安を抱えながら日々の運転資金の確保に苦心しています。
都は、都内中小企業の現状を踏まえ、しっかりと金融支援に取り組むことを要望します。
次に、グループ戦略策定・展開支援事業について伺います。
景気低迷が長引く未曾有の事態を前にして、中小企業は、それぞれの持つ経営資源のみで対応するのは困難な場合もふえています。
そうした中で、各企業が技術力や営業ノウハウなどすぐれた力を持ち寄ってグループをつくり、受注などを効果的に行う取り組みが進んでいます。
都は、これまでも中小企業がグループを立ち上げて、さまざまな事業展開を戦略的に行う際の計画づくりなどに対してサポートを行ってきました。これからは計画づくりにとどまらず、その実施段階を含めて意欲的に課題解決に取り組もうとする中小企業への総合的な支援がより重要になるものと感じています。
中小企業のグループ化をより実効性のあるものとするため、都は現在、どのような施策を展開しているのか伺います。
次に、中小企業に対する販路開拓支援について伺います。
中小企業が厳しい経営環境の中で業績を維持し、伸ばしていくためには、新しい取引先を着実にふやしていく努力が必要です。新規の販路を見出すには、国内外で開かれる展示会や見本市に出展することが効果的とされています。
こうした考え方に立ち、我が党は、中小企業が経営診断などを受け、販路開拓の必要が明らかとなった場合、出展経費の一部を補助する仕組みを充実すべきと主張してきました。現在の目指せ中小企業経営力強化事業は、経営状況を診断し、展示会の出展に助成することを組み合わせた事業として実施され、利用者からも高い評価を得ています。
販路開拓に当たっては、展示会や見本市に繰り返し出展することで会社の知名度も上がり、取引先との新たな商談もまとめやすくなるものと聞いています。実際に展示会への出展助成について、一社につき一回とのルールを緩め、再度出展申請ができるようにすべきとの要望も中小企業の団体から出ています。
こうした中、展示会出展の助成を利用する方法について、都として施策の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
次に、若年者の雇用対策について伺います。
現在、若者を取り巻く雇用環境は、改善傾向にはあるものの、依然として厳しく、就職できない若者が多い一方で、せっかく就職しても早期にやめてしまう若者の割合が高い状況が続いています。
今後、少子高齢化が進展していく中、東京の産業を支えていくべき若者が強い意思を持って社会に出て、持てる力を十分に発揮することがますます重要となります。とりわけ、今後成長が期待できる分野の企業に若者の就職を促すことは、雇用対策はもとより、有用な人材を求める都内中小企業のニーズにもこたえ、ひいては東京の産業の発展にも寄与するものと考えます。
このような状況を踏まえ、東京都は、今年度から、重点産業分野就業支援プログラムや就活力強化プログラムを新たな事業として立ち上げました。これらの事業は、大変意義があるものと考えていますが、事業のねらいや現在の状況について伺います。
次に、福祉、保健、医療政策について伺います。
まず、保健医療計画の改定についてですが、都は、保健医療の基本的かつ総合的な計画である東京都保健医療計画を平成二十年三月に改定し、疾病、事業などの医療体制の構築を図ってきました。
しかし、少子高齢化の急速な進展、都民の医療ニーズの多様化や、医師や看護師等の人材確保の問題など、保健医療を取り巻く社会状況は、複雑かつ多岐にわたって変化しています。先般出された国の通知では、これまでの四疾病五事業に、新たに精神疾患が追加され、在宅医療についてもその重要性が明確に位置づけられました。
こうした中、都民一人一人の健やかで生きがいのある生活を送るためには、保健、福祉と連携しながら、質の高い医療サービスを地域で切れ目なく提供することが必要です。
そこで、今年度予定している保健医療計画改定に当たって、都の取り組みについて伺います。
次に、東京都健康長寿医療センターについて伺います。
東京では、今後急速に高齢化が進み、平成二十二年度からの十年間で、七十五歳以上の後期高齢者が五十一万人ふえる見込みです。
後期高齢者の要介護認定率は、七十四歳までの高齢者の約七倍となっており、高齢者が健康を維持しながら、住みなれた地域で安心して生活できる社会をつくることが重要です。
都は、高齢者医療と研究の拠点として、平成二十一年度に地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターを設立し、医療、研究の両面で着実な成果を上げています。
平成二十五年度は、現在整備を行っている新たな施設への移転とともに、新たな中期目標期間がスタートする節目の年です。
中期目標の策定に当たっては、今後センターが、医療と介護の連携や災害時の高齢者支援など、都の高齢者施策における重要課題に積極的に取り組み、社会的役割を果たしていけるものとすべきと考えますが、所見を伺います。
次に、いわゆる脱法ドラッグ対策について伺います。
最近、脱法ドラッグの吸引後に意識を失い、救急搬送される事例が続発するなど、脱法ドラッグの乱用は若年層を中心として、社会的に大きな問題となっています。
都は、我が党の働きかけにより、平成十七年に脱法ドラッグを規制する条例を制定するなど、国に先駆けた対策を講じてきました。
これを受け、国は、平成十九年に薬事法を改正し、都も、未規制薬物の情報を国に提供するなど、規制の強化に協力してきました。
しかし、国の法規制には時間を要するため、その間に脱法ドラッグが流通し、また、法規制が行われても、新たな薬物が海外から流入してくるのが現状です。
このような状況に対し、都は、どのように対策を強化するのか所見を伺います。
次に、健康安全研究センターについてです。
政治経済等の都市機能が集積し、世界じゅうから人、物が集まる首都東京は、一方で、新型インフルエンザなどの振興感染症の脅威や青少年を中心とした脱法ドラッグの乱用、食の安全の危機など、さまざまな健康危機の脅威にさらされています。
都立衛生研究所時代から六十余年の歴史を刻む健康安全研究センターは、都における保健衛生行政の科学的、技術的中核として、都民生活の安全確保に尽力してきました。
このたび、健康安全研究センターは再編整備を行い、新棟を開設しましたが、これに伴い、どのような機能強化を図り、都民をめぐるさまざまな健康危機に対応していくのか伺います。
次に、多摩地域の振興について伺います。
多摩地域は、都心に近い場所にありながら、豊かな自然と潤いの空間を持ち、歴史や伝統、祭りや固有の文化が息づく個性豊かな地域です。
知事が所信表明で軍民共用化への強い決意を表明された横田基地、さらに大学や研究機関、そこに集う多様な人材など、高いポテンシャルを有しておりますが、いまだその持てる力を生かし切っていないと思われます。
また、近年では大規模工場の閉鎖や移転が相次ぐなど、地域経済に大きな影響を及ぼす出来事も起こっています。
しかし、その一方で、大工場を支えてきたすぐれた技術を持つものづくりの中小企業が中心となり、産業集積の維持発展に向けた努力も進みつつあります。このような状況にある今、多摩は大きな転機を迎えていると考えます。
知事は、多摩地域の現状とこれからの可能性をどのようにお考えか、所見を伺います。
都は、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一を策定しました。これまで我が党は、都と手を携え、多摩振興プロジェクトなどの取り組みを進め、多摩は今日まで着実に発展しております。
しかし、先ほど申し上げた企業移転の例にも見られるように、この間の社会情勢は大きく変化しております。
そこで、今こそ、都として新たに多摩が進むべき方向を明らかにすべきときであると考えますが、所見を伺います。
次に、文化振興における都立文化施設の活用について伺います。
文化は、人々に感動と生きる喜びを与えるものであり、日本の豊かな自然や長い歴史が形づくった日本民族の宝であります。これを次代に継承し、世界に発信することは、我々の重要な役割にほかなりません。
東京には、歌舞伎などの伝統芸能から最先端の現代アートまで、世界に誇る多様な文化資源が集積しています。文化施設はその中核であり、四月の東京都美術館のリニューアル、今後の庭園美術館や写真美術館などの改修を好機として、東京の文化的プレゼンスや発信力を一段と強化する必要があります。
国内外から人々が集い、次代の担い手も育つよう、都立文化施設をより有効に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、次世代リーダー育成について伺います。
国際競争が激しさを増し、グローバル人材が求められているにもかかわらず、我が国では若者の内向き志向が見受けられます。私としても大変危惧すべき事態と考えており、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かな若者を輩出していくことが急務だと考えています。
こうした認識に立ち、都教育委員会では、全国に先駆け、都独自の高校生海外留学プログラム、次世代リーダー育成道場を本年度から実施するとのことです。
この事業の内容は、日本人としての自覚と誇りを持って留学に臨ませる事前学習や事後研修等を含めた総合的なプログラムであり、私としても深く共感するところです。
道場開校に先立ち、プログラム内容の周知と留学の機運醸成のため、留学予定先の在日大使館の担当者等を招き実施された高校生留学フェアは大変盛況であり、道場の応募も、定員百五十名に対して四倍以上の六百四十二名の応募があったと聞いています。
この潮流をとらえ、留学にチャレンジしようという高校生の夢をかなえ、グローバル化が進む国際社会でリーダーとして活躍していく人材に育成していくためには、一人でも多く海外での経験を積ませ、広い視野を身につけさせることが重要です。
そこで、次世代リーダー育成道場の今後の取り組みと展開について伺います。
次に、都立高校の進学実績の向上について伺います。
全日制普通科高校の約六割を占める中堅校の中には、進学校に準ずる学校から、就職者や進路未決定者が多いなど生徒の進路が多様である進路多様校に近い学校まで、極めて幅広い学校があります。
しかしながら、中堅校ではこれまで、進学校や進路多様校などと比較すると、それぞれの生徒の学力水準に応じた進学指導が必ずしも十分に行われてきませんでした。
その結果、特に中堅上位校については、本人の努力次第では、より上のランクの大学に合格できる可能性を持った生徒が、難関大学の入学試験にチャレンジすることなく、現在の学力で入れる大学に安易に進学している例もあると聞いています。
全日制普通科高校の多くを占める中堅校について、中堅校として一くくりにするのではなく、個々の学校や生徒の状況に応じた施策を通じて活性化をしていくことが、新しい都立高校改革の成否を握るといっても過言ではありません。
中堅上位校についても、生徒の学力水準に即した進学指導を強化し、進学実績を向上させる必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、来年に迫ったスポーツ祭東京二〇一三について伺います。
現在、区市町村では、競技別リハーサル大会が順次開催されています。七十を超える会場で開催されるこのリハーサル大会は、地元の方々が本番さながらの競技会を観戦でき、競技を身近に感じることで、スポーツ祭東京二〇一三の期待と関心をより一層高める大切な機会であります。
リハーサル大会を実施する区市町村では、本大会での運営をリハーサル大会によってあらかじめ経験するとともに、開催機運醸成のため、さまざまな取り組みを実施しています。このような中、区市町村からは、運営費負担に対する都の一層の支援を求める声があると聞いています。
こうした声にも耳を傾け、区市町村と連携し、来年の本番に向け着実に準備を進められるよう要望しておきます。
スポーツ祭東京二〇一三は、大会に参加する競技者だけのものではなく、すべての都民の皆様が参加して楽しむ、文字どおりスポーツのお祭りです。来年の本大会だけではなく、リハーサル大会を開催することしからお祭りは始まっています。
本大会まで一年余りとなったスポーツ祭東京二〇一三の成功のためには、本大会での都民の皆さんの観戦や応援などの大会参加はもとより、それまでのさまざまな場面でも都民の参加の機会をふやすなどして、都民が一緒になって大会を盛り上げていくことが重要であると考えます。
都としては、スポーツ祭東京二〇一三の成功のために、リハーサル大会が行われるこの時期からどのようにして都民参加を促していくのか、見解を伺います。
最後に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
先月開催されたIOC理事会で、東京は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市として選定されました。
開催都市決定まで残りわずか一年二カ月余り、三都市による少数激戦の中、いよいよ本格的な招致レースに突入します。
都市としての開催能力は申し分なく、今後は、IOCワーキンググループ評価レポートにおいて明らかとなった招致機運の盛り上げが最重点課題であります。
来月開催されるロンドン・オリンピック・パラリンピックでの日本人選手の活躍が、オリンピックへの関心を高め、機運の盛り上がりにつながるに違いありません。その盛り上がりを、IOCが行う世論調査の時期までに最高潮に持っていかなければなりません。
全国の招致機運を高めるため、我が党が中心となり、都議会として、全道府県への支援要請を今会期終了後に開始します。また、各種団体への招致機運醸成のための働きかけも積極的に進めてまいります。知事とともに、都議会が車の両輪となり、招致活動に取り組む決意であります。
予選を高評価で通過し、次の段階に挑むに当たっては、知事のリーダーシップが不可欠であると思いますが、決意を伺います。
また、IOC世論調査が行われるであろう来年一月前後まで、あと半年を残すのみです。支持率向上のために早急に戦略を立て、機運の醸成を図る必要があると考えます。
特に、次代を担う若者たちへの働きかけも重要となります。こうした点も踏まえ、今後の具体的な方策について所見を伺います。
さて、先日、東京の新名所、東京スカイツリーが開業しました。その雄姿は、日本のすぐれた技術を余すところなく示しています。美しいたたずまいは、江戸ではぐくまれた心意気を示す「粋」や、美意識を示す「雅」という言葉を体現しています。
東京と日本には、これだけのものをつくることができる底力があります。大震災への備えや、激化する国際競争、社会の閉塞感打破など、難題は山積ですが、我々が本来持つ力を束ねて生かせば、乗り越えられないはずはありません。
都議会自民党は、その底力を引き出し、都民、国民がみんなで力強く歩んでいけるよう、でき得る努力を惜しまないことをお誓い申し上げ、全質問を終了させていただきます。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 鈴木あきまさ議員の代表質問にお答えいたします。
まず、尖閣諸島についてでありますが、厳しい国際社会を生き抜くには、天はみずから助くる者をのみ助くという人間社会の公理にのっとることが必要であります。
みずからの領土も守れない国家が、早晩衰退、滅亡に向かうのは歴史の必然であります。にもかかわらず、自民党も含めて歴代の政権は、アメリカ依存の平和の中で、みずからを守るという当然の行為を怠ってきました。外交を他国と事を構えないための技術と勘違いして、時には相手にこびへつらいながら、結果として日本の国益を損なってきました。こうした国の無為無策に翻弄されてきた象徴が尖閣諸島であります。
かつて、自民党政権時代に有志が建設した灯台を、外務省は時期尚早と称して、付近を航行する船の危険も顧みずに、海図に正式に載せることを拒みました。
一昨年のシナの特殊船衝突事故では、船長釈放の責任を一地方検事に押しつけて、真夜中に空港を開かせ、お見送りをするていたらくでありました。
国政調査権を持つ国会議員が、今般、視察をしようとしたところ、これは与野党超党派で行こうとしたところ、現政府は、海上保安庁の船の使用の便宜を拒みました。
シナが日本の実効支配を打破すると明言している今、一刻も早くこの島々の所有を個人から公に切りかえなければならないと思います。
ゆえにも、都は東京のため、都民のため、そして日本のために、施策を実行すべく尖閣諸島の購入を決断しました。東京が起こした行動に対して、日本人の、国民の国家への熱い思いは、既に十一億を超える拠金として寄せられております。心から感謝を申し上げます。こうした国民の国土に対する思いは、被災地の復興や日本の再生にもつながると思います。
都は、小笠原諸島、伊豆諸島といった島々の振興を図る中で培ってきたノウハウを生かしながら、石垣市や沖縄県とも連携して施策を練り上げてまいります。豊穣な海、豊かな自然を有する島々をよみがえらせ、実効支配を強化していきます。
近々、東京みずからが船を仕立てて、東京の海洋調査の船がございますから、必要な調査を行うつもりでありますが、もちろん東京が軍隊を持っているわけでもありませんし、国防や国境警備については、当然、国が積極的に責任を履行してもらいたいと思います。
そもそもこんなことは東京都がやるべきことではないという声も聞こえますけれども、盗まれようとしている貴重な国土と資源を守るために、緊急に、一体だれが何をすべきだというんでしょうか。
いずれにしろ、私は思い出すのですが、かつて高名な彫刻家、高齢で亡くなるまで果敢に仕事をした平櫛田中さんが、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできるという言葉を吐いておりましたけど、国がやらなきゃ、我々東京ができることをやるしかないじゃありませんか。
都民投票条例についてでありますけれども、エネルギーは国家を支える重要な基盤の一つでありまして、産業経済はエネルギーを消費して新しい富を生み出し、それが医療、福祉、教育、防災、治安などに回って、高度に発達した社会を支えていくわけであります。
しかるに国は、どれだけのタイムスパンで、どの程度の経済成長を目指すのか、そのためにどれほどのエネルギーをどれだけ確保していくかについて明確な方向性を打ち出さないままに現実感を欠いた机上の議論に終始しています。
エネルギーの確保は国家の存立に直結するものでありまして、政治が責任を持って決断し、早急に基本戦略を策定すべきであります。
原発は、我が国の主要な電源の一つでありまして、その稼働の是非は国家の安危を左右するものであります。国が、安全性はもとより、経済性、産業政策、温暖化対策、安全保障などを複合的に考慮して、専門的な知見を踏まえ、理性的かつ冷静に判断すべきことであると思います。
東京は、原発に向かい合ってきた福島や新潟からの電力の供給を受けて、大都市としての豊かな生活を享受してきました。原発稼働の是非は、立地地域の人々への影響が十分にしんしゃくされなきゃならないと思います。
にもかかわらず、住民投票という手法で、ただ観念的に原発の是非だけを問い、その結果がにしきの御旗のごとく力を持つならば、立地地域の人々をないがしろにするばかりか、国を滅ぼしかねない危険なことにもなりかねません。このような条例には反対であります。
次いで、首都機能のバックアップについてでありますが、かつて論じられていた首都機能移転論は、大都市の活力が国家の存亡を決めるという世界的な都市間の競争の時代に逆行するものでありました。かつて私が先頭に立ってつぶした国家の愚策でありますが、しかるに、国政では、またそうした首都機能移転の不合理性を理解もせずに、大規模災害時のバックアップと称して、国策としてとうに破綻している過去の遺物をまたもや引っ張り出して、全国知事会も巻き込んで議論の俎上にのせようとしております。
そもそも、災害対策としての一時的なバックアップと、恒常的な首都機能の移転とは違うものでありまして、これを混同して議論していること自体が、本来の災害対策の趣旨を外れた、極めてひとり勝手な議論であると断ぜざるを得ません。
私は、首都直下地震のもたらす影響と被害想定について、専門家から直接お話を聞いてまいりましたが、首都圏が一挙に壊滅するようなことはおよそ考えにくいし、あり得ない。今求められているのは、こうした科学的知見に基づいて、起こり得る被害像を的確に分析し、具体的な対策を講じていくことであります。
都は、首都東京の防災力の向上こそ先決であって、実効性のある取り組みとして、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進を初め緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化、さらには、帰宅困難者対策条例の制定や防災隣組の創設など、ハード、ソフトの両面からさまざまな対策を講じております。
また、国に対しては、首都圏の九都県市と連携して、首都圏の防災力強化と首都圏域内でのバックアップの強化を進めるように強く提言するとともに、九都県市としても首都圏の中でのバックアップ体制について、みずから検討を進めていくこととしております。
今後とも、こうした本来取り組むべき対策をしっかりと進めつつ、災害対策に名をかりた首都機能移転を進めようとする動きを、これは断固として封じていかなきゃならぬと思っております。
次いで、防災対策についてでありますが、今回の被害想定は、地震や津波の第一人者たちによって、最新の科学的知見を踏まえて検証した結果、対象とした四つのタイプの地震のすべてで震度七の揺れが予測されるなど、厳しい内容となりました。
大切なことは、一人一人がこうした地震が実際に起こり得るかもしらぬという危機意識を持って、地震を我がこととしてとらえて、具体的な行動を起こすことであります。
都は、被害想定で改めて確認された木密地域の火災延焼や、五百万人を超える帰宅困難者といった東京の抱える脆弱性を踏まえて、自助、共助、公助のすべてにわたり防災対策を強化してまいります。
一分一秒を争う災害発生時には、自助、共助が一人でも多くの命を救うことになります。地元の消防団とも連携して、木密地域の初期消火を担う人材を育成するほか、帰宅困難者対策条例に基づき、企業による備蓄を促進するなど都民の意識を改革し、具体的な行動を促すための手だてを着実に講じていきます。
あわせて、都市の機能を支える道路ネットワークやエネルギーの確保に加え、水門や防潮堤の耐震化の促進など、公助の取り組みも着実に推進してまいります。
日本の頭脳、心臓部であるこの東京を一刻たりともとめることがないように、リスクを直視した確かな手だてを、本年秋に全面的に改定する地域防災計画に盛り込んで、東京の防災力を高度化させていきたいと思っています。
次いで、多摩地域の現況と可能性についてでありますが、多摩地域は、再三申してまいりましたけれども、戦後の高度成長に伴う東京の急激な人口増加を吸収し、東京の三分の一の人口を擁するまでになりました。また、大学や研究機関、最先端産業も集積し、製造品出荷額では区部を上回るなど、まさに首都東京の活力を力強く支えてきた地域であります。
しかし、近年、企業が生産拠点を集約化する動きに伴って、大規模工場の撤退が相次いでいることや、戦後、大規模に開発された団地に住む住民が高齢化するなど、多摩地域を取り巻く環境は大きな変化が起こっております。
もとより多摩地域は、都市の利便性を備える一方で、奥多摩を初め豊かな自然環境に恵まれた多様な魅力を持つ地域でもあります。
来年度には、圏央道の延伸により、関越道、中央道、東名高速が一本で結ばれることになりました。さらに、また我が国最大級の滑走路を有する横田基地の軍民共用化を実現することで、都心とのアクセスのよさも相まって、我が国を牽引する地域ともなり得る力を有していると思います。
こうした多摩の持つ可能性を最大限に発揮させることで、活力と魅力を一層引き出し、直面する課題を乗り越えて、東京、ひいては我が国のさらなる発展につなげていきたいと思っております。
次いで、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、一次通過は自明の結果でありまして、何もこんなことで欣喜雀躍することではないと思います。それぞれの文明を代表する三つの都市による極めて複合的かつ重層的で熾烈なレースがこれから幕をあけるわけでありまして、前回コペンハーゲンで東京が破れたときに、今回のロンドンのオリンピックの主体者でありますセバスチャン・コーがわざわざやってきまして、東京のプレゼンテーションは最高だった、ロンドンとして非常にうらやましい、しかるになといって肩をすくめていきましたが、これはいまだに忘れられません。つまり、彼のそのしぐさが暗示するように、非常に複雑で、ある部分隠微でもある熾烈な招致レースを勝ち抜くためには、これはなかなか一筋縄ではいかないと思います。
この夏、私もロンドンに赴き、戦略的活動を行いたいと思っておりますが、そして、日本代表選手が死に物狂いで戦う姿を応援もしたいと思っておりますが、いずれにしろ、主体者であるJOCを初めとするスポーツ界も、それぞれが持つ人脈をフルにフルに活用して、IOCというものに影響力をかけてもらいたいと思います。
混迷と深い閉塞感に覆われたこの日本を、再び力強く復活させるために、都民、国民にオリンピック開催という夢を訴え、必ずや招致を実現し、この国の未来を切り開いていきたいと思っております。
他の質問については副知事、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
〔副知事猪瀬直樹君登壇〕
〇副知事(猪瀬直樹君) 東京電力の料金値上げや経営合理化の取り組みについてお答えします。
東電は、子会社、関連会社、ゼロ連結会社との取引が常態化した高コスト体質の企業であることが、東京都の調査によって判明しました。
こうしたもたれ合いの関係にメスを入れ、具体的なコスト削減の方策を総合特別事業計画に盛り込むことが東電改革を進める重要なかぎとなることから、東電のグループ内取引の見直しなどに重点的に取り組んできました。
具体的には、去る三月、枝野大臣から随意契約の三割削減やゼロ連結会社との取引見直しの約束を取りつけましたが、原子力損害賠償支援機構とも相談の上、その内容を総合特別事業計画に盛り込ませることができました。
結果として、昨年暮れ、二兆六千五百億円でしたが、今回の総合特別事業計画で、三兆三千六百五十億円と、七千億円以上のコスト削減額の上積みが実現しました。
また、東電改革の歩みを確かなものとするためには、組織内部からの取り組みが不可欠であることから、五月十四日、特殊法人改革などに実績のある公認会計士で、社外取締役に内定した樫谷隆夫氏とともに記者会見を行い、東電改革の方向性を明確に示しました。
さらに、五月十六日には、経済産業大臣室を訪れ、枝野大臣に対し、料金認可の当事者として、計画を上回るコスト削減などによる料金値上げ額の徹底した精査を要求するとともに、電力業界を競争原理の働く当たり前の世界にするために、PPSなど、いわゆる新電力のシエア、現在三・五%ですが、三〇%まで数値目標を設定して、民間事業者の参入促進を政策誘導するように緊急提言しました。
今後は、六月二十七日に開催される株主総会に出席し、社内競争原理や国際競争入札の導入といった株主提案を行っていきます。
加えて、新体制発足後には、会長のもとに置かれる経営改革本部と定例会合を持つことを合意しており、この会合を通じて東電の構造改革を着実に進めていきます。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
まず、宿泊防災訓練のねらいと内容についてでございますが、この宿泊防災訓練は、災害発生時に、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに避難所の運営など地域の防災活動に貢献できる自助、共助の心を持った人間を育てることをねらいとしております。
都立高校百七十九校、約四万人の生徒を対象としておりまして、六月九日までに、十八校で約三千五百人が参加したところでございます。
各学校では、宿泊防災訓練の意義を理解させる事前指導を行いました後に、近隣の町内会、自治会や、区市町村の防災担当部署、消防署、警察署、自衛隊等と連携した人命救助等の体験訓練、非常災害用備蓄食料準備訓練、教室や体育館等での就寝訓練などを実施し、ワークシート等を活用した事後指導を行うこととしております。
こうした宿泊防災訓練を通して、将来のリーダー育成の観点からも、人と人とのつながりや連帯感、自己有用感を体感させ、社会の一員としての自覚を高めさせてまいります。
さらに、都立高校における宿泊防災訓練の成果を、都内公立学校の児童生徒の防災教育に活用できるよう、区市町村教育委員会等、広く教育関係者に働きかけてまいります。
次に、次世代リーダー育成道場の今後についてでございますが、都教育委員会は、四月に高校生留学フェアや学校への説明会を開催し、留学への機運を高めてまいりました。その結果、今回の道場の応募状況は、百五十名の募集に対し六百四十二名の応募がございました。
七月には道場を開校し、事前研修で我が国の歴史や伝統文化、海外で通用する英語力などを学ばせ、来年一月以降の留学の後、海外での体験や学習成果を報告させ、広く高校生に還元してまいります。
今後は、さらに多くの高校生が留学を希望するよう、小中学生の早い段階から幅広く働きかけ、留学への興味、関心を高めさせるとともに、次世代リーダー育成道場の拡充を図り、世界を意識しながら活躍できるタフな人材を育成してまいります。
次に、中堅上位校の進学実績の向上についてでございますが、中堅校の中でも進学指導重点校等に準ずるような学校の進学実績が振るわない原因は、生徒が進学について必ずしも高い目標を持っていないことに加え、教員も生徒の潜在能力を十分に伸ばす指導ができていないことによるものと考えております。
このため、これらの学校では、学校全体として到達すべき学力の水準を高く設定しますとともに、生徒一人一人が努力すれば達成可能なより高い進路希望の実現に向けチャレンジするよう指導してまいります。
また、都教育委員会で作成した大学入試問題分析集を教科指導に効果的に活用するとともに、進学指導重点校等で蓄積してまいりました進学指導のノウハウを、これらの学校にも還元することなどを通じて教員の意識改革を図り、指導力を高めて、進学実績を向上させてまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、木造密集地域における特定整備路線の今後の取り組みについてでございますが、特定整備路線は、震災時に特に甚大な被害が想定される約七千ヘクタールの整備地域の早期改善に大きな効果を有する都施行の都市計画道路でございます。
都はこれまで、各区と個別に意見交換を行い、地元の状況の把握に努めており、延焼遮断帯などに大きな整備効果が見込まれる新設道路などについて、候補区間を今月末に公表いたします。また、一定の道路幅員が確保されている概成区間等についても詳細に整備効果などを検証し、秋にはすべての候補区間を公表いたします。
さらに、関係権利者に対する生活再建のための特別な支援策の制度案を取りまとめ、測量など事業化に向けた準備を進めてまいります。
今後とも、沿道の不燃化など、地元区と連携を図るとともに、国に対して財源の確保を強く求め、燃え広がらないまちの実現に向けて、特定整備路線の整備に全力で取り組んでまいります。
次に、外環整備の今後の都の取り組みについてでございますが、外環は、首都東京の交通渋滞の解消のみならず、首都圏の陸海空の要衝を結ぶ重要な幹線道路でございます。切迫する首都圏直下型地震や東海地震などにおいても、日本の東西交通の分断を防ぐなど、その整備効果は多岐に及ぶものであり、一刻も早く完成させなければなりません。
外環の関越道から東名高速までの区間につきましては、本年四月、国と東日本及び中日本高速道路株式会社が事業主体になることが決定いたしました。あわせて、工事の完成は平成三十二年度と公表され、今年度東名ジャンクション地域で、大深度地下トンネルの立て坑工事に着手する予定でございます。
都は、大泉ジャンクション地域の用地取得をより一層推進するとともに、二〇二〇年夏までの開通に向け、スピード感を持って計画的に事業に取り組むよう、引き続き国など事業主体に強く働きかけてまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 東京港の防災に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京港におけるBCPの策定についてでありますが、災害時において港湾は、国民生活や経済の復旧、復興などの観点から欠くことのできないものであり、その機能をいかなる状況下でも確保することが重要であります。
このため、都では、緊急物資輸送などの迅速円滑な実施を目的に、港湾関係団体と協定を締結するとともに、災害時の広域連携として、京浜三港における耐震強化岸壁の相互利用やウエブ会議システムの導入による情報連絡体制の強化など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
さらに、ことし五月には、港湾BCPの策定に向け海運事業者などの港湾関係団体と行政機関で構成する東京港連絡協議会を新たに設置いたしました。今後、この協議会において、災害時における被害の防止、安全確保及び物流機能の早期復旧などに向けた対策の検討を進め、東京港における港湾BCPを年度内に策定してまいります。
これらの取り組みを着実に推進することで、東京港の防災力の一層の向上を図ってまいります。
次に、東京港における耐震強化岸壁の整備についてでありますが、都はこれまで、震災時に、被災者の避難や緊急物資の迅速な輸送を確保するとともに、首都圏の物流機能を維持することを目的に、芝浦や大井などのふ頭において耐震強化岸壁十四バースを整備してまいりました。
しかしながら、これらの耐震強化岸壁のうち、国際貿易を担うコンテナふ頭は三バースのみであり、こうした状況では、被災時に首都圏の市民生活や経済活動に大きな影響が出ることが危惧されます。
そのため、中央防波堤外側地区において、事業中の耐震強化岸壁のふ頭整備を平成二十五年度完成を目指して着実に進めるとともに、新たなコンテナふ頭の早期事業化を国に強く求めてまいります。
さらに、今後は、既存ふ頭の再編にあわせて岸壁の耐震化を進めるなど、整備計画の見直しを行うとともに、国に対して財源の確保を強く働きかけてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、災害時の物資確保対策についてでございますが、昨年度、民間シンクタンクを活用して実施をいたしました、災害時における物資や輸送体制に関する調査検証におきましては、備蓄物資や調達物資の品目や量の不足、時間とともに変化する物資ニーズ、職員による物資の搬出入の非効率性、他県等からの救援物資を受け入れるスペースの不足などの課題に対しまして、民間の力を取り入れた対応策が提案をされました。
この提案を踏まえまして、必要な物資の品目や量、緊急度やニーズに応じた確保手段の見直し、備蓄倉庫や広域輸送基地での物流事業者のノウハウの活用、物資集積拠点への民間倉庫の利用等について、現在検討を行っております。
今後、関係機関や区市町村とも協議しながら、災害時の物資や輸送体制の確保に向け、実効性の高い方策を具体化し、地域防災計画の修正に反映させてまいります。
次に、災害時における障害者への支援についてでございますが、今回、都が障害者団体に実施した調査では、バリアフリー化され介護サービス等が利用できる福祉避難所の設置や、視覚や聴覚の障害者等に対する音声やボードを活用した情報提供、内部障害者への医療面からの配慮など、障害特性に応じた支援が必要との声が数多く寄せられました。
また、災害時における障害者の安否確認や避難の支援、平時からの防災訓練の実施や研修会の開催など、区市町村との連携に関する提案もいただいております。
今後、災害時における障害者への支援体制を一層強化していくため、今回の調査結果や障害者施策推進協議会等の意見を、地域防災計画の修正に反映いたしますとともに、災害時の要援護者対策を担う区市町村に対し、障害者団体との連携協力を働きかけてまいります。
次に、保健医療計画の改定についてでございますが、都はこれまで、計画に基づき、がん診療連携拠点病院の整備や救急医療の東京ルールの推進など、四疾病、五事業を中心に、都民が安心して質の高い医療が受けられるよう、医療提供体制の整備を進めてきました。
今回の改定では、こうした取り組みを一層推進するとともに、社会状況の変化や都の特性を踏まえ、保健、福祉と一体となった精神疾患患者への医療の充実や在宅医療のさらなる推進、災害医療体制の強化等を重点的に取り組む課題として位置づけ、現在、改定作業を進めております。
今後、保健医療計画推進協議会や、疾病や事業分野ごとに設置しております検討会等で具体的な施策のあり方を議論し、福祉や保健分野の各種施策との連携も十分図りながら、年内に、改定計画の素案を策定する予定でございます。
次に、健康長寿医療センターの中期目標についてでございますが、センターは、地方独立行政法人化以降、心臓外科や外来化学療法室の開設など診療体制の充実を図るとともに、最新の研究知見を認知症診断に生かすなど、高齢者の特性に配慮した医療と研究を積極的に行っております。
高齢化が進む中、センターはこれまで以上にその実績や成果を都民に還元し、社会的役割を積極的に果たしていくことが重要でございます。
そのため、第二期の中期目標では、来年度新たに開設をいたします施設の機能も十分に活用し、センターの重点医療でございます血管病医療、高齢者がん医療、認知症医療の一層の充実を図るとともに、在宅療養を支える人材の育成、災害発生後の中長期にわたる高齢者への支援の研究などを、新たな目標として定める考えでございます。
次に、いわゆる脱法ドラッグ対策についてでございますが、都はこれまで、未規制薬物の化学構造式や人体への健康影響を解明し、国に対して積極的に情報提供をしてまいりましたが、お話のように、国の法規制には時間を要する上、海外から新たな未規制薬物が次々と流入している実態がございます。
そのため都は、今月六日、平成十七年に国に先駆け制定した条例を活用し、五つの薬物を規制対象に指定いたしました。
また、新たな未規制薬物が都内に流入した際に、速やかに規制できるよう、海外の流行動向を監視しながら、成分等をデータベース化する準備を現在進めております。
さらに、警視庁とも連携いたしまして、未規制薬物を販売している店舗へ集中的に立ち入り調査し、文書による警告を行うなど、取り締まりを強化しております。
今後、こうした取り組みを一層進めるとともに、国に対し未規制薬物の国内流入防止や国内で流通した際の速やかな規制等を提案要求してまいります。
最後に、健康安全研究センターの機能強化についてでございますが、健康安全研究センターは、これまで健康危機管理の技術的拠点として、新型インフルエンザや放射能問題など、次々と起こる多様な健康危機に迅速に対応してまいりました。
再編整備に当たっては、こうした取り組みを一層強化するため、海外の動向を含め、感染症、食品、医薬品、環境など、健康危機全般にわたる情報を一元的に収集、解析、発信する健康危機管理情報課を設置し、危機発生時には、医師や保健師を中心とした実地疫学調査チームを編成、派遣し、速やかに原因究明等を行う体制を整備いたしました。
また、最新の検査機器や設備を整備し、精度の向上や時間の短縮化など、検査体制の強化も図っております。
今後、強化したセンターの健康危機対応能力を最大限活用し、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 五点の質問にお答えをいたします。
まず、防災隣組の今後の取り組みについてでございますが、大規模災害の発生に備え、東京における自助、共助の強化を図るためには、身近な地域で取り組まれている意欲的な防災活動を掘り起こし、広く波及させていくことが重要でございます。
このため、自助、共助の先導的役割を担う防災隣組を、地域の防災力向上の中核として地域防災計画に明確に位置づけ、区市町村と緊密に連携し、その普及拡大を進めてまいります。
具体的には、認定団体の活動を紹介する冊子の作成、配布や地域の防災活動に関するシンポジウムの開催など積極的な普及活動を展開し、防災隣組の認定のさらなる拡大につなげてまいります。
今後も、防災隣組の一層の普及拡大を通じて、地域防災力の向上を図ってまいります。
次いで、消防団活動の充実についてでありますが、発災時に救出救助活動や消火活動を迅速に展開するためには、地域の実情に精通した消防団が果たす役割は極めて重要でございます。
都はこれまでも、区市町村との役割分担のもと、団員の確保や消防訓練所での教育訓練など、消防団活動の支援を行ってまいりましたが、東日本大震災の教訓を踏まえ、地域における自助、共助の取り組みを推進するためには、消防団活動のより一層の向上を図る必要がございます。
このため、今後、関係局や区市町村と密接に連携し、お話の人材確保や技能の向上などについて多面的な検討を進め、必要な対策を地域防災計画に盛り込んでまいります。
今後とも、地域に根差した消防団活動の一層の充実に向け、積極的に取り組んでまいります。
次いで、島しょの津波対策についてでありますが、今回の都や国の想定では、海溝型の巨大地震の発生により、島しょ地域に非常に高い津波が到来すると予想されており、ご指摘のとおり、都民の命を守るためには、津波対策を抜本的に見直す必要がございます。
このため都は、津波軽減効果を持つ港湾や護岸等の整備に加え、新たに避難施設の整備に着手するとともに、地元町村と協力した避難誘導の仕組みづくりやハザードマップの作成支援など具体的な対策を検討し、地域防災計画の修正に盛り込んでまいります。
さらに、対策の具体的な検証のため、十一月には神津島村と合同で住民避難に重点を置いた訓練を実施いたします。
今後とも、ハードとソフトを組み合わせた総合的な取り組みにより、島しょの津波対策に万全を期してまいります。
次いで、発災時における飲料水の確保についてでありますが、大規模災害の発生時に都民の生命を守るためには、飲料水の確保は極めて重要であり、都はこれまでも、地域防災計画に基づき、給水拠点を整備するとともに、給水車やペットボトルによる給水など、区市町村とも連携したハード、ソフト両面にわたる給水体制の確保に努めてまいりました。
東日本大震災の発生を踏まえ、改めて都民への給水体制の再検証を行う必要が生じたことから、現在、給水拠点の配置状況や被害想定に基づく応急給水量の検証等について、さまざまな観点から調査、分析を行っております。この調査結果を踏まえ、発災時における飲料水の確保に向けて検討を進めてまいります。
最後に、多摩の進むべき方向についてでありますが、最新の都の推計では、多摩地域の人口は、二〇一五年には約四百二十万人をピークに減少に転じ、本格的な人口減少社会を迎えます。
また、地域経済の重要な役割を果たしてきた大規模工場が撤退するなど産業構造が変化する動きも見られ、このような社会経済状況の変化に的確に対応することが求められております。
一方で、多摩地域は、都市基盤整備が進み、先端技術産業や数多くの大学、研究機関の集積、豊かな自然環境などを生かした特色のある都市づくりが可能な地域でもございます。こうした多摩の持つポテンシャルを従来とは違った視点でとらえ直し、新たなビジョンを策定することで、これからの進むべき方向を明らかにしてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、被害想定を踏まえた防災都市づくりについてでございますが、本年四月に公表された新たな被害想定によりますと、建物焼失棟数が多く見込まれる地域は、木密地域とおおむね一致するなど、改めて木密地域の火災による被害の危険性が明らかになりました。
都は、特に改善を要する地区につきましては、木密地域不燃化十年プロジェクトにより整備促進策を講じていくこととしており、こうした取り組みにより、市街地の不燃化を促進してまいります。
また、震災時の市街地大火に備えた避難場所、避難道路については、現在、市街地の状況の変化を踏まえて指定見直しの作業を行っているところでございまして、新たな津波被害の想定を受け、河川敷の避難場所等について改めて専門家の意見を聞き、早急に検討を進めてまいります。
次に、マンションの耐震化についてでございますが、マンションの耐震性の確保は、安全で安心な居住を実現する上で重要であり、所有者みずからが、まず耐震診断を実施し、建物の耐震性能を把握することが不可欠でございます。
都は、緊急輸送道路沿道における取り組みの経験を生かし、合意形成が必要な分譲マンションに対して、新たに啓発隊を派遣し、個々のマンションが抱える課題を聞き取りながら、きめ細かい助言や誘導を行ってまいります。
今後、地元区市とも連携し、昨年度実施した実態調査の結果を踏まえて、夏ごろに啓発隊の先行実施を行い、今年度後半には本格実施を開始いたします。あわせて賃貸マンションに対しても、ダイレクトメール等により耐震診断の実施を促してまいります。
こうした取り組みを関係団体等とも連携しながら推し進め、マンションの耐震化を強力に推進してまいります。
次に、都営住宅の耐震化の計画についてでございますが、都はこれまで、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、都営住宅の耐震診断を行いながら耐震改修を進めてまいりましたが、「二〇二〇年の東京」計画の策定等を受け、現在、整備プログラムの見直しに取り組んでおります。
都は、民間等の耐震化の取り組みをリードする立場にあり、民間住宅等の耐震化を促すためにも、都営住宅の耐震化を推進することが重要でございます。また、都営住宅について、都が管理者として耐震化の完了までの計画を示す必要があると考えております。
こうしたことから、ご指摘を踏まえ、さらに取り組みを加速し、平成三十二年度の耐震化率一〇〇%達成に向けて、整備プログラムの改定を速やかに行い、都営住宅の耐震化を計画的かつ着実に推進してまいります。
最後に、建築物における液状化対策についてでございますが、都が設置した地盤工学の専門家などから成る東京都建築物液状化対策検討委員会において、東日本大震災での液状化による建物被害は、臨海部では埋立地で、内陸部では河川沿いのかつての池や水田を埋め立てた場所でそれぞれ発生していたことが確認されました。
こうしたことから、建て主や建物所有者が適切に対策を講じていくためには、土地の履歴や地盤特性を把握することが必要であり、都や区市等が蓄積している地盤データや地盤調査の実施方法などの情報を容易に入手できることが重要であることなどの見解が示されました。
今後、都は、検討委員会から報告された中間のまとめやパブリックコメントで寄せられた都民の意見を踏まえて、今年度末に液状化対策の指針を作成し、区市と連携して都民に広く情報提供してまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 下水道の光ファイバーを活用した危機管理対応の強化についてでございますが、下水道局では独自の通信網として、下水道管内に敷設した八百キロに及ぶ光ファイバー網を活用し、ポンプ所などを遠方監視制御することで維持管理の効率化を図り、また、浸水被害の発生しやすい下水道幹線内の水位情報を関係区などへ提供し、地域の水防活動に役立てております。
東日本大震災では、電話がつながりにくい中においても光ファイバー通信網を活用した運転管理に支障はなく、災害時の高い信頼性が実証されております。
今後は、光ファイバー網をさらに活用いたしまして、津波発生時に高潮防潮扉を安全で迅速に開閉するため、遠隔制御化を進めるとともに、水防にかかわる関係局の持つ既存の通信網との相互利用や、多摩地域も含めたネットワーク化を進め、防災情報などの共有化を図ってまいります。
さらに、この光ファイバー網の積極活用はもとより、非常用発電設備の増強や連絡管の整備などによるバックアップ機能の確保なども含め、下水道の防災能力を総合的に高めることで危機管理対応を強化し、安全・安心なまちづくりに積極的に貢献をしてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、水道事業の電力確保についてでありますが、水道局ではこれまで、災害時等においても電力を安定的に確保するため、浄水場への自家用発電設備の整備に積極的に取り組んでまいりました。
一方、さきの大震災以降、電力の供給不足は今後も長期的に継続すると想定されており、安定給水を維持するための電力自立化につきましては、さらなる取り組みが急務であると考えております。
このため、まず、都の供給能力の大部分を占めている大規模な浄水場におきましては、その能力を一〇〇%発揮できるよう発電設備の増強を進めることとし、現在、東村山浄水場では、平成二十五年度の完成に向け、鋭意工事を進めております。
さらに、このたび大規模浄水場の一つである三郷浄水場におきまして、電力事情に左右されない常用発電設備を新たに二万キロワット規模で導入することとし、その整備に向け、直ちに関係機関との手続等に着手いたします。
今後とも、電力の自立化を推進していくことで、平常時はもとより、震災時においても安定的な給水を確保できるよう全力で取り組んでまいります。
次に、多摩地区における送水管ネットワークの強化についてでありますが、平常時の給水の安定性の向上はもとより、大規模な自然災害などにも対応するためには、さらなる送水管ネットワークの構築が必要であります。
現在、多摩地区では、多摩丘陵幹線と多摩南北幹線の整備事業を進めておりますが、これらの送水管を結ぶことで、全長約五十キロメートルに及ぶ多摩地区の広域的な送水管ネットワークを形成することが可能になります。
このため、この二つの幹線を結ぶ約十一キロメートルの送水管を、多摩南北幹線二期事業として新たに事業化し、平成三十年度完成を目途に整備を行うことといたしました。
これにより、多摩地区西部や南部の約百七十万人のお客様への給水安定性が飛躍的に向上するほか、多摩丘陵幹線へ送水するエネルギーを四割低減することができます。
さらに、この新たに構築されるネットワークを最大限に活用することにより、更新期を迎える既存の送水管を計画的に取りかえることが可能となります。
これらにより、多摩地区の給水安定性のさらなる向上に取り組んでまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、節電に取り組む中小企業への支援についてでありますが、都はこれまで、専門家のアドバイスや自家発電設備等の導入支援に加え、自由化部門の電気料金値上げに際し、電力の使用状況を監視する装置を支援対象として追加するとともに、導入費用の三分の二を助成する措置を延長いたしました。
また、本支援事業の助成を受けた事業者の自己負担分等について、制度融資の最優遇金利を適用した産業力強化融資が利用できることといたしました。
規制部門の値上げが審査されていることや全国的な電力需給の状況を踏まえ、中小企業が節電への取り組みを一層進めることができるよう、相談体制の充実や電力の効率的な利用に資する装置導入への支援について検討してまいります。
次に、被災地応援ツアーについてでありますが、今年度は、都民の福島県支援への思いに幅広くこたえるため、宿泊に加え、新たに日帰りも対象とし、事業を展開しております。
ご指摘のとおり、本事業は、出足が極めて好調であり、一部の旅行事業者では、これから夏に向け、都民が本ツアーへ申し込もうとしても受け付けられない状況にあると聞いております。
引き続き都民の要望にこたえ、被災地応援ツアーによる復興支援ができるよう、適切な対応を検討しております。
次に、中小企業のグループ化への支援についてでありますが、中小企業がグローバル化や競争の激化など、経済の変化に対応するためグループを形成し、それぞれの企業の強みを生かして事業に取り組むことは重要でございます。
都はこれまで、百七十六のグループに専門家を派遣し、経営力向上を図る計画策定を支援してまいりました。本年度からは、計画策定への支援に加え、策定した計画の実現性をより高めるため、グループ戦略策定展開支援事業を開始しております。
本事業では、計画の実施に当たり、四回を限度に専門家を派遣し助言を行うとともに、販路開拓や人材育成の経費の一部を助成することとしております。
これらの取り組みにより、中小企業のグループ化と課題解決を支援し、一層の経営力の向上を図ってまいります。
次に、中小企業の販路開拓支援についてであります。
都は、平成二十二年度に目指せ中小企業経営力強化事業を開始し、経営診断を通じて、都内中小企業の経営課題を明確化した上で、各企業が抱える課題解決に向けた取り組みを支援してまいりました。
販路開拓が必要とされる企業に対しては、二年間で六百四十件の展示会出展費用の助成などを行い、新規取引先の開拓につながるなどの成果が上がっております。
事業発足から二年が経過いたしましたが、この間、長引く円高など依然として厳しい経営環境が続いております。一度助成を受けた企業も、再度出展申請ができるよう要望が寄せられている状況は、都としても認識しているところであり、ご質問の趣旨を踏まえ、支援のあり方について十分な検討を行ってまいりたいと考えております。
最後に、若者の就業と定着に向けた支援についてであります。
意欲ある若者に将来の発展が期待できる産業分野での就業機会を提供することは、雇用対策のみならず、都内中小企業の人材確保を図る上でも効果的であります。
このため、都は、重点産業分野就業支援プログラムを六月から開始し、今年度は太陽光発電など新たなエネルギーに関連する分野や、IT技術を活用した高齢者の安否確認など社会的課題の解決を図る分野に百人の若者の就業を促すことといたしました。
また、若者が確固たる意思を持って働き続けられるよう支援することも重要であります。
このため、従来のセミナーや企業説明会に加え、働く意味や社会人として求められる資質などをグループワーク等を通じて学ぶ就活力強化プログラムを四月から開始し、職業観の醸成や中小企業への理解促進を図ることにより、若者の就業と職場への定着を支援しております。
こうした取り組みを総合的に展開し、若者の雇用の確保を図り、東京の産業の発展につなげてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
まず、省エネ、節電の取り組みについてでございますが、この夏の東京電力管内の供給力は五千七百七十一万キロワット、最大需要は、猛暑となった場合で五千五百二十万キロワットと見込まれておりまして、需要を二百五十万キロワット程度上回る供給力が確保されております。
一方、この最大需要の見込みには、オフィスや店舗等における照明照度の見直しなど、昨年の夏、事業者と都民が節電に取り組んだ成果の一部である六百万キロワット程度が節電の定着分として織り込まれておりまして、この夏以降は、こうした無理なく実践できる省エネ対策を継続して実施することが必要でございます。
そこで、省エネ・エネルギーマネジメント推進方針では、むだの排除を徹底し、照明照度を五百ルクス以下とするなど賢い節電の具体的な手法を提示するとともに、都市の魅力や快適性を損なう取り組みは原則的に実施しないなどの基本方針を明確に打ち出しました。
今後、都は、事業者向けセミナーや無料省エネ診断の実施、家庭向けの節電アドバイザーの派遣等を行うとともに、区市町村や九都県市等とも連携した普及啓発を進め、賢い節電の実践と定着に取り組んでまいります。
次に、スマートエネルギー都市の実現に向けた施策の方向性についてでございますが、昨年の夏の電力不足を契機といたしまして、東京における省エネ、節電の取り組みは、先端技術を駆使した低炭素型ビルの建設が加速していることや、エネルギーマネジメントシステムの導入による需給の最適制御の拡大など、新しい段階に入っております。
都は、こうした先駆的な民間の取り組みとの連携を図りながら、低炭素なエネルギー利用、オフィスや居住環境の快適性、防災力強化の三つを同時に達成するスマートエネルギー都市の実現を目指すことといたしました。
今後、ICT技術を活用した見える化による省エネ、節電の定着、タスクアンドアンビエント照明など、建築物の省エネ性能の向上、高効率なコージェネレーション設備など自立分散型電源の活用、街区単位でのエネルギーマネジメントの導入など、これまで都が先駆的に取り組んでまいりました気候変動対策のノウハウも最大限に生かしまして、世界でも最先端のスマートエネルギー都市の実現を目指して取り組みを進めてまいります。
最後に、災害廃棄物処理の支援の成果と今後の取り組みについてでございますが、災害廃棄物の広域処理は、被災地の早期復興を支援する上で不可欠な取り組みでございます。
都が昨年十一月から受け入れを始めました岩手県宮古市の混合廃棄物の処理は、五月末までに約八割まで進みまして、今月中には終了いたします。混合廃棄物が撤去された仮置き場の一部には、破砕選別施設が設置されまして、復興の第一歩となる被災地での災害廃棄物処理が加速化しております。
また、宮城県女川町の可燃性廃棄物は、本格的な受け入れを始めたことし三月から五月末までに六千六百トンを処理しておりまして、来年三月まで引き続き受け入れを行っております。
女川町では、仮置き場が片づけられたことによりまして、津波により全壊した魚市場の冷凍倉庫の再建が始まるなど、被災地の復興に貢献をしております。
今後につきましては、新たに災害廃棄物の発生量が最も多い宮城県石巻市からも受け入れることといたしまして、今月下旬から自然発火を防止するために広い仮置き場を必要としておりました廃畳の処理を開始いたします。さらに、岩手県からの要請を受けまして、処理がおくれている大槌町からの災害廃棄物の受け入れを七月から始めるよう準備を進めております。
都は、引き続き、災害廃棄物の広域処理を進め、被災地の復興を全力で支援してまいります。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 豊洲新市場についての二点のご質問にお答えいたします。
まず、コールドチェーンの確立についてでございますが、豊洲新市場では、食の安全・安心に対するニーズの高まりから、高度な品質管理を実現することが重要であると認識してございまして、ご指摘のように、適切な温度管理を通じたコールドチェーンは、新市場の整備に当たり欠かせないものであり、その実現に向け、取り組んでまいります。
そのため、市場全体を閉鎖型施設としつつ、コスト面への影響を踏まえ、商品特性に適した温度帯の設定や衛生管理などの品質管理のあり方を精力的に検討してまいります。検討に当たりましては、海外の先進的な市場などの実例も踏まえつつ、都と市場関係業者とが十分に協議し、互いに知恵を出し合いながら進めてまいります。
こうした取り組みにより、高度な品質管理を実現し、東京の魅力ある食文化を支える先進的な卸売市場を目指してまいります。
次に、物流の効率化を図るための取り組みについてでございますが、コールドチェーンの確立とともに、卸売市場における物流の効率化を徹底し、コスト削減を図ることは、市場の競争力を強化する上で重要な課題でございます。
このため、豊洲新市場におきましては、広大な敷地に十分な駐車場や積み込み場、荷さばき場を確保するほか、場内通路を効果的に配置いたしまして、搬入出車両の錯綜を解消するなど、施設面での改善を図ることとしております。
また、情報システムを活用した車両の入退場や誘導システムを構築し、円滑な場内通行の実現を図ってまいります。
こうした施設面での工夫に加え、開場後において駐車場や荷さばき場など市場施設の適切かつ効率的な利用が行われるよう、開設者である都が、市場関係業者の協力のもとで、施設利用に関するルールづくりを行ってまいります。
さらに、場内物流の効率化やIT化など、取引実務の合理化を市場関係業者が進めるに際しては都も必要な協力を行うなど、コスト削減を目指したソフトのプラットホームづくりへの取り組みを積極的に進めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、防犯カメラの整備などへの支援についてでございます。
防犯カメラの設置を初めとした地域による自主的な防犯活動は、東京の治安確保に大きな役割を果たしていると認識しておりますが、東京の体感治安を向上させ、さらに安全で安心して暮らせるまちとしていくためには、より多くの地域が防犯活動に取り組むとともに、その取り組みが継続的に行われるよう促していく必要がございます。そのためには、今後も地域の実情に応じて防犯活動を的確に支援していくことが重要でございます。
お話の防犯カメラの更新への支援については、地域の実情を把握した上で、区市町村との役割分担などを整理し、今後の対応について検討してまいります。
次に、総合的な自転車対策についてでございますが、都では、関係各局などで構成する東京都自転車総合政策検討委員会において、自転車にかかわる関係者が連携協力しながら諸問題の解決を図る仕組みづくり等について検討し、本年二月に報告書を取りまとめました。
これを受け、現在、自転車利用者、自転車関連業界、運輸業界、地域団体などの幅広い関係者により構成する東京都自転車対策懇談会を設置し、行政のみならず、民間事業者等を含めた協力体制などについても議論をしていただいております。
関係各局、各機関が協力して自転車対策を推進するためにも、その指針となる計画が必要であると認識しており、九月に予定されている懇談会からの提言を踏まえ、自転車に関する総合的な政策を構築してまいります。
〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕
〇生活文化局長(井澤勇治君) 文化振興における都立文化施設の活用についてでございますが、都はこれまで、才能ある若手アーチストを発掘、支援するトーキョーワンダーサイトやヘブンアーチスト、民間芸術団体との連携により、多様な文化事業を展開する東京文化発信プロジェクトなど、さまざまな文化施策を展開してまいりました。
また、文化施設におきましても、館長に企業のトップを務められた方々を登用し、外部資金の導入や企業とのタイアップ、貸し館中心の事業から魅力ある自主事業への展開など、旧来の行政手法の殻を破る新たな取り組みを進めてまいりましたが、ご指摘のように、今後はこれまで以上に東京の文化的魅力を創造、発信する拠点として活用することが重要であると認識しております。
今後、国内外のよりすぐれた作品を集めた展覧会などを企画、開催いたしますとともに、レストランやショップの充実など、これまで芸術文化に触れる機会の少なかった方々にも楽しんでいただくことのできる空間づくりに努めてまいります。
また、地域や大学、民間団体と連携した多彩なプログラムの展開により、若手の人材育成にもつなげるなど、ハードとソフト両面の取り組みを進め、広範な都民、芸術家が集う施設として運営してまいります。
今後とも、施設の大規模改修に合わせてさまざまな取り組みを進めるなど、都の文化施設の有効活用に努め、成熟した文化都市東京の魅力を国内外へ発信してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
大会の成功には、多くの都民に大会を知っていただくだけでなく、リハーサル大会が始まるこの段階から都民が参加し、楽しんでいただくことが重要でございます。
このため、各区市町村において、リハーサル大会を通じて開催競技を地域に浸透させるとともに、夏の盆踊りなどでのゆりーと音頭、秋の一年前イベントから始まるゆりーとダンスコンテストや地域特産品を活用したB級グルメ大会への参加など、都民の皆さんが興味を持って楽しめる催しを今後積極的に展開してまいります。
また、開閉会式等で大会運営を実質支えますボランティアを広く都民から募ることとしております。
こうした都民参加の取り組みに加え、オリンピック・パラリンピック東京招致の機運を高めるためにも、区市町村との連携をより一層強化いたしまして、開催機運の醸成を図り、スポーツ祭東京二〇一三の成功を目指してまいります。
次に、オリンピック・パラリンピックについてでございます。
先月、立候補都市選定とあわせて発表されたIOCのワーキンググループによる評価レポートの結果、国内支持の拡大のためには、無関心層への働きかけが必要であることが明らかとなりました。
今後は、みずからの意見を持たないといわれる若年層やスポーツに関心が薄いとされる女性にターゲットを絞り、重点的に訴えることが重要であると考えております。
具体的な取り組みとしては、オリンピックの効果や支持率の重要性をわかりやすく訴えたチラシを作成し、さまざまな団体を通じて広く都民、国民に周知すること。また、メディアを有効に活用しまして、積極的なPRを展開していく。例えば、ロンドン・オリンピック・パラリンピックで活躍するアスリートやメダリスト、若者や女性に影響力のある著名人に、オピニオンリーダーとして二〇二〇年東京招致応援メッセージを発信していただくなど、あらゆる手段を通じて招致機運の盛り上げを図り、ことしの年末までに支持率を大幅に高めていきます。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時二十三分休憩
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