平成二十四年東京都議会会議録第四号

〇議長(中村明彦君) 百十番古賀俊昭君。
   〔百十番古賀俊昭君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇百十番(古賀俊昭君) 自分の国の国旗・国歌に反対して裁判に訴える教育公務員のいる国など、世界じゅうで日本だけです。
 不起立等の教員たちの主張は、校長の職務命令は、思想、良心の自由、信教の自由を侵害するとして、いわゆる内心の自由を盾に教育委員会の処分の取り消しを求めた訴訟がほとんどです。いずれの事件においても、彼らは、最高裁での確定判決で敗北しています。
 一部に平成十八年の東京地裁での常識を疑う難波判決に一時小躍りした教員らも、裁判闘争では連敗です。彼らが頼る司法判断は皆無なのです。
 具体的には、平成十九年二月、最高裁は、国歌のピアノ伴奏を指示した校長の職務命令は合憲とし、一連の訴訟で職務命令を合憲とする判断を初めて示したのを初め、ことしに入り、処分の取り消し等を求めた事件でも、公式の儀式である卒業式、入学式等で不起立等の妨害行為は許さないとしました。
 近年、都教委の適正な指導と都民の良識、都議会での取り組みのかいがあって、被処分者は減っています。よく都では、大量処分が行われているかのごとき宣伝を耳にしますが、悪質な教員はごく一部です。
 平成二十二年度に職務命令違反で処分された教員は九名で、これは同年五月一日現在、都が任用している公立学校教員数六万四百七十八人のうち、わずか約〇・〇一五%なのです。
 そもそも、内心の自由の問題は、思想や歴史観を理由にした一般義務の個別的免除の問題であり、例えば良心的兵役拒否の場合と同じで、ほとんどの国では認められていません。
 また、ある宗教が偶像崇拝禁止の教義により、国旗・国歌も校旗・校歌も拒否する場合も同様です。世俗的特殊な思想信条を理由に一般義務の拒否を認めると、仮に税金の存在を絶対に否定する信条を持つ者の納税逃れを容認することになるからです。
 改めて伺いますが、都教委が平成十五年、一〇・二三通達及び実施指針を発出しなければならなかった当時の入学式、卒業式等の状況と秩序状態はどのようなものであったか、お答えください。
 ここで学校式典での国旗・国歌訴訟に関する最高裁判決が出そろったわけですが、職務命令を破る教員に対する処分は戒告までとの誤解があってはなりません。
 今後も、不起立等の妨害に対しては厳しく処分すべきですが、都教委の姿勢と方針を伺います。
 また、都教委は、最高裁判決を受けて、去る平成二十四年一月二十四日、新たな議決を行いましたが、目前に控えた卒業式、入学式等における国旗掲揚、国歌斉唱の実施についての決意を伺います。
 次は、相続税についての質問です。
 なぜ我々は相続税を負担しなければならないのか。相続税の課税割合、すなわち年間の死亡者数に対する課税件数は、わずか四%であることはよく知られています。ほんの一部の高額納税者が過大な負担を強いられています。
 相続税の歴史をひもといてみると、中世の封建主義国家において、上級騎士階級が、王から与えられた権限を継承する際に負担した特許料がその原型とされています。
 一方、近代における相続税は、マルクスとエンゲルスが著し、ヨーロッパに幽霊が出る、共産主義という幽霊であるに始まり、万国のプロレタリア団結せよで終わる共産党宣言の中で登場した概念で、共産党宣言では相続権の廃止を明示しています。
 国民が働いて蓄えた私有財産を否定し、そのすべてを国家に集中しようとする共産主義に基づく税が相続税なのです。
 ちなみに、私も共産党宣言を持っていますけれども、大内兵衛、向坂逸郎のこの共産党宣言の中に書かれています。
 ちなみに、マルクスは、私有財産は盗品と主張したフランスの無政府主義者プルードンの大きな影響を受けたといわれています。
 我が国においては、相続税は明治三十八年、日露戦争の戦費調達を目的として創設されましたが、その後はさまざまな役割を担わされて延命してきました。
 我が国に相続税が導入された経緯について、主税局ではどう認識しているか伺います。
 また、直近の全国の相続税収入額と、それに占める東京都分の割合と税額について伺います。
 相続税の弊害は、さまざまな面に出ています。農家にとっても、地価が高いこの東京では、相続税の負担が重くのしかかり、農業経営が困難となる事例も多く見られます。
 また、中小企業の経営者が、生産設備や自社株式を子供に引き継ごうとしても、相続税の負担が生じて事業を続けることが事実上できなくなります。
 このように、相続税は都市農業や中小企業に深刻な影響を与えています。相続税が及ぼす都市農業と中小企業への実害について伺います。
 相続税収入の国税収入全体に占める割合は、わずか三%にしかすぎません。基幹税である消費税の収入の約十兆円と比べれば約一割です。このわずかな税収のために複雑な制度をつくり、高い徴税費をかけるのは全く無意味です。
 相続税は、いわゆるお金持ちに対する怨嗟による税といえます。昔は、資産家が他人の子供でも優秀であれば学校に通わせるなど援助をしたものです。このような援助を受け大学に行き、政治家や学者になった者も多くいます。しかし、相続税のためにかつての美風は廃れてしまいました。
 相続税を廃止しても、国家財政は破綻しません。相続税を全廃し、所得税の税率を恒久的に一律一〇%にすれば、十分やっていけるとの見解を述べる識者もいます。
 日露戦争が終わって既に百七年、いまだにこのような税が存続していることは、まことに不可思議です。諸外国の例を見ても、オーストラリア、カナダ、スイス、スウェーデンなど主要国ではすべて廃止されています。相続税の存在が当然であるとは、決していえないのです。
 中小企業振興、農地や緑地の保全等を目的として、具体的な制度の改善を行うことは結構ですが、しかし、根本にさかのぼって考えると、相続税は私有財産を否定する思想が根底にあり、努力した者を罰するがごとき悪税であり、廃止されるべきです。
 東京都は、率先して相続税の廃止を表明すべきと考えますが、所見はいかがでしょうか。
 次に、我が国の生命線、沖ノ鳥島についてです。
 本年は、昭和四十七年九月、田中首相が中共を訪問し、共同声明に調印して日中が国交を開始してから満四十年に当たります。
 一昨年九月、尖閣諸島の日本領海での漁船を装った中共船の我が国海上保安庁巡視艇への体当たり事件では、北京政府は臆面もなく日本に謝罪と賠償を要求して、我々を啞然とさせました。そして、尖閣諸島を驚くべきことに自分の領土だと主張しています。
 四十年前の日中共同声明に関する首脳会議で周恩来は、尖閣諸島についてどう思うかとの田中首相の問いに、今回は話したくない、石油が出るから問題になったと話題を変え、自国領だという主張は一切述べていません。
 しかし、日中共同声明に仕組んだ歴史問題を巧みに利用し、昭和五十七年の第一次教科書事件、続く第二次教科書事件、靖国神社参拝等を突きつけて日本を強迫し続け、その効果はてきめんで、日本は中共に六兆円からの多額のODA等を与えたのです。そして、異常な早さで経済発展をなし遂げました。
 日本は徹底的に利用し尽くされ、常に歴史問題で一切頭が上がらない精神状態のまま、友好どころか奇妙な二国間関係が固定したのです。
 中共への日本の隷従の姿勢は精神的侵略の完了といえるもので、尖閣事件を起こした中共の意図は、日本に対するあからさまな侵略の宣言といえます。
 平成二十一年十二月、北京で開催された中共の著名な歴史学者の会では、昭和四十七年の沖縄返還は国際法上根拠がないとの主張が繰り返されました。既に平成十七年の上海の反日デモでも、沖縄を返せと書かれたビラが出ています。
 ことしに入り、中共の日本に対する態度は一層傲慢、高圧的になりました。日本が排他的経済水域を守るために、基点となる無名の島しょに名称をつける手続を進めていることに対し、一月十七日、人民日報は、中共の核心的利益を侵すものと抗議したのです。
 核心的利益とは穏やかではありません。中共が他国に絶対譲歩できない領土、権益に日本の離島を取り込んだのです。
 もともと、チベット、ウイグル、台湾を指していたものに、近年、南シナ海までこれを拡大し、今度は日本の領土に直接触手を動かしたのです。
 そこで、沖ノ鳥島ですが、同島は沖縄本島とグアムの中間にあって、米海軍が日本周辺で行動する際の重要な位置を占めています。
 中共は、同島を島でなく岩だと強弁し、排他的経済水域約四十万平方キロを認めないとの見解です。もしこの水域を失えば、同海域は公海となってしまい、中共潜水艦はだれはばかることなく航行し、日本周辺有事の際に米海軍艦艇は、同島周辺を安全に航行することが不可能となり、我が国の安全保障にも大きな影を落とすのです。
 既に、平成十六年七月に、同島周辺で中共海軍測量船が潜水艦航行に必要な水温分布調査を行ったほか、昨年六月にはミサイル駆逐艦等が宮古島北東を東シナ海から太平洋に抜け同島周辺で演習を行うなど、今後、南沙諸島同様に領有を主張してくる可能性は大です。
 我が国のかけがえのない領土に五星紅旗を立てさせないために、自衛隊の常駐を含めた必要な防衛手段を早急に講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 都の道路事業について伺います。
 私の地元である日野市において、南北にJR中央線が貫いて走り、東西方向を結ぶ幹線道路は甲州街道と日野バイパスに限られています。
 中でも、日野駅周辺の甲州街道に接続する都道一六九号線は、甲州街道に流入する車で朝夕の交通渋滞が発生するなど、効果的な道路網の整備が長年求められてまいりました。
 このため、都道一六九号線の迂回機能を持つ日野三・四・八号線の早期完成が強く望まれていましたが、当事業の完了により、多年の念願であった日野市の循環道路が整うことになります。
 加えて、来年に迫った東京多摩国体、大江戸体育祭の競技会場への道路確保にも資するのです。
 平成十六年度の事業着手以来八年、整備区間のうち唯一の未開通区間であったJR中央線との立体交差部の工事現場を日々見てまいりましたが、ここで工事は予定どおり仕上げの状況であることがわかります。近々開通すると思いますが、その時期と工事概要、期待される事業効果について伺います。
 あわせて、残余の事業についてお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えいたします。
 沖ノ鳥島についてでありますが、北京政府は、我が国周辺のみならず、スプラトリー諸島周辺の海にも、シナの古銭であるとか陶器の破片をばらまいておいて、後に派遣団を派遣し、これはもともと中国人の領土だったという非常にこっけいな主張をするなど、その覇権主義、膨張主義の野心をむき出しにしておりますが、こうした態度は、大国としてのかさにかかった、本当に言語道断とでも申しましょうか、無知蒙昧といいましょうか、とにかくえげつないものでありまして、一方で、各国が国益を構えてせめぎ合う国際社会の現実も、これはやはり一つの現実を直視しなければならないとも思います。
 北方領土や竹島のことにしましても、我が国がみずからの領土を守るという強い意識を示さないことには、事態はどんどん悪化していくんじゃないかと思います。
 以前、我が国固有の領土であります尖閣諸島をめぐり、その帰属問題を日中で協議するという、ばかな日本の首相がおりました。売国の意味も理解できない人間が、この国家の最高指導者につくありさまを見ても、我が国をむしばむ平和の毒の恐ろしさに背筋が寒くなる思いがいたしますが、近隣の国と平和に共存していくすべは、遠慮であるとか謝罪であるとか愛想笑いなどではなくて、自分の主張をきちっと通すことだと思います。
 みずからの力のみを頼りに強い的確な自己主張を行うことこそ、他国からの敬意を払われ、我が国も繁栄する、そのために最も必要な、不可欠な手段であると思います。
 そして、その主張を明確に伝えるには、何よりも具体的な行動で示さなければならないと思います。
 私も、議員時代かつて、拠金して、関西大学の学生に依頼して尖閣諸島に非常に粗野な灯台をつくりました。それを受けて政治結社の日本社が立派な灯台をつくってくれましたが、こっけいなことに、国交省に視察をさせて、足りないところを補わせて立派な完璧な灯台をつくったと思ったら、これを海図に明記するために申請しましたら、腰抜けの外務省が、時期尚早といってこれをさせなかった。私の息子が国交大臣の代になって、初めて私もせっつきまして、あそこに、その灯台に、日本国、保安庁ですか、これをつくるというプレートを張らしめましたが、いずれにしろそういうていたらくでありました。
 ゆえにも、沖ノ鳥島についても、小笠原の、今東京全体の組合長を務めてくれております菊池さんというすばらしいリーダーとも相談しまして、沖ノ鳥島の周辺にも魚礁を設置しまして、その操業のための船も新規に進水させまして、日本を守るために東京ができることを考えて実行に移してきました。
 私自身も、沖ノ鳥島に、もう一つ、これは非常にある意味で戦略的な大事な拠点でありまして、今、先進国、特にアメリカと、日本にもその可能性がありますが、開発しようとしている新しい戦略兵器、これは核を伴わないコンベンショナル・ストライク・ミサイル、こういったものを日本がもし保有し製造するのならば、有力な発進基地になる南鳥島が大きな意味合いを持ってくると思いますけれども、私も政治家として初めて視察をしてまいりました。
 ここには自衛隊がおりますし、足りないのは、あと滑走路と立派な港湾でありますが、いずれにしろ、東京の広大な海を実地に見て、東京の領域にある離島がいかに戦略的な大きな意味を持つかということを実感してまいりました。
 一方、国の政治家は、国政調査権という力を持ちながら、何をはばかってか尖閣諸島に上陸しません。
 当然、石垣の市会議員が上がろうとしても、これは保安庁なり総務省が拒否しますけれども、この間も、私は自民党の谷垣総裁に建言したんです、一年以上前。民主党にも同調者がたくさんいますから、動議して、超党派で、国会議員は国政調査権があるんだから、あの島に上陸して調査をしたらどうだといったら、わかりましたと、委員会にかけますと。委員会にかけずにすぐ行ったらどうだといったら、その方がスムーズにいきますからということで、半年近く前ですかね、理事会で決まりましたといって、それから一向に行かぬですな。あの島へ国会議員は、何党も。自民党から共産党まで。こういうところがやっぱり私たち外国から見くびられる大きなゆえんじゃないかと思いますけどね。
 このご指摘の沖ノ鳥島も、なかなかこの戦略的な認識を、みんなが持ち得ないで、私の親友でありました、かつての国務次官補、後に国連大使にもなりましたボルトンに、私はこの問題について付言したときに、シナの政府が何か怒りまして、論議を醸しそうになったんですが、そのときにボルトンが、何で石原さん、あんなちっぽけな岩でしかないもの、島を、あれは私が写真で見ても、何かわずかな岩でしかないけれども、何で固執するんだというから、世界地図を見せてやったんです。君ね、アメリカがどういう世界戦略を展開するかわからぬけど、アメリカの大事な基地である、グアム島から沖縄の嘉手納を真っすぐに結んだちょうど真ん中にこの島あるんだぞといったら、彼、初めて、ひざをたたいて、なるほどということで認識を持ち直しましたけれども、アメリカの当事者にしても、その程度の認識しかない。むしろ中共の方が、シナの方が、これに関心持っていますけれども、それを排除し、監視するためにも、あそこに魚礁を設けて、日本の、要するに漁民が間接的に、あの島を警護、守っているというのが現況であります。
 いずれにしろ、みずからの持つ力を冷静に認識して、それを最大限に発揮すべく知恵をめぐらして、果敢に実行していくことこそが、この国土を守る唯一のよすがだと思います。
 あの沖ノ鳥島にしましても、かつて、何のためか知りませんが、足の高さが十五メートルぐらいある大きな大きな脚立の上に、二階建ての建物を建てて、それが一向に使われた節はありませんけれども、そういうこともかつての政府はやったわけでありますが、私はやっぱり具体的に、あそこに水路をつくって、島は非常に、環礁が非常に、水深が浅いですから、あれはあそこをしゅんせつして、日本が世界に誇っている、要するに飛行艇の発進基地にして、私はあそこに燃料タンクも置いて、そうすることで、日本の領土に対する意思というものをはっきり示せるんじゃないかと思っておりますが、幾らそういう建言しても動かないのは、自民党も民主党も同じことですな。
 いずれにしろ、この広大な海を抱える東京の政治家として、お互いに責務を果たすべく、都議会の皆さんも、この日本を守るためにも、党派を超えて、沖ノ鳥島に関心を持ち、かつまた南鳥島に強い関心を持っていただきたいと改めて申し上げます。
 他の質問については、教育長及び技監から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、平成十五年当時の入学式、卒業式等の状況についてでございますが、都教育委員会は、入学式、卒業式等での国旗掲揚、国歌斉唱が義務づけられました平成元年の学習指導要領改訂以降、入学式、卒業式等を適正に実施するよう学校を指導してまいりました。
 その結果、全国的に見て極めて低かった入学式、卒業式等の国旗掲揚、国歌斉唱の実施率は、平成十二年度卒業式から、形式的には一〇〇%になりました。
 しかし、その実態は、国旗が参列者から確認できない位置に掲揚されたり、指導すべき立場の教員が国歌斉唱時に起立しなかったり、あるいは、その式典にふさわしくないTシャツや体育着、さらには、国旗に斜線を入れたブラウスを着用して参列したりするなど、本来あるべき入学式、卒業式等の姿とはほど遠い状況でございました。
 次に、今回の最高裁判所判決を受けた今後の入学式、卒業式等における職務命令違反への対処についてでございますが、最高裁判所は、入学式や卒業式等の式典において、国歌斉唱時に起立して斉唱することを命じた職務命令は合憲であり、この職務命令違反に対し懲戒処分をすることは、懲戒権者の裁量権の範囲内に属し、過去の処分歴や不起立行為の前後における態度等によっては、戒告より重い処分も許されると判示いたしました。現に、停職三カ月という処分は維持されております。
 都教育委員会は、判決を受け、直ちに国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう万全を期す旨議決するとともに、議決内容を全都立学校長及び区市町村教育委員会に通知し、各学校に対する指導を改めて徹底いたしました。
 今後とも、式典等において、職務命令違反があった場合には厳正に対処し、速やかに懲戒処分を行ってまいります。
 次に、都教育委員会の今後の決意についてでございますが、国際化が急速に進展している現代においては、国際社会で尊敬され、信頼され、世界を舞台に活躍できる日本人を育成しなければなりません。そのためには、児童生徒一人一人に、我が国の歴史や文化を尊重し、自国の一員としての自覚を持たせることが必要でございます。また、国家の象徴である国旗・国歌への正しい認識を持たせるとともに、我が国の国旗・国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てることが重要でございます。
 このことを踏まえまして、都教育委員会は、一人一人の教員に、学校教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と、教育者としての責務を認識させ、学習指導要領や通達に基づき、入学式、卒業式等が適正に実施されるよう、引き続き各学校を指導してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 日野三・四・八号線についてでございますが、本路線はJR中央線日野駅を環状に迂回し、八王子市域に至る重要な都市計画道路でございます。
 本路線のうち、日野駅の北側の事業中区間における唯一未開通のJR中央線との立体交差部について、今月二十日に交通開放し、事業中区間全線約一・四キロメートルで、二車線の交通機能を確保いたします。これにより、鉄道による地域の分断が解消されるとともに、本路線が持つバイパス機能により、日野駅周辺の交通渋滞が大きく緩和されます。
 また、日野市が建設を進めている防災拠点市民の森ふれあいホールへのアクセスルートが確保されるなど、地域の防災性向上が図られます。引き続き、残る電線類の地中化などを着実に進め、平成二十四年度内の完成を目指してまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 相続税に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、相続税が導入された経緯についてでございますが、我が国では、相続税は戦費調達のため、日露戦争中の明治三十八年に創設されました。当時の課税方式は、被相続人の遺産総額に応じ、相続税額が決まる遺産課税方式とされておりましたが、昭和二十五年に、個々の相続人等が相続する遺産に焦点を当て、それらの者が相続して取得した遺産額に応じて課税する遺産取得課税方式に改められました。
 さらに、昭和三十三年には、この遺産取得課税を維持しつつ、税額計算に関し、以前の遺産課税方式の要素も取り入れられて現在に至っております。
 次に、全国と東京における相続税額についてでございますが、国税庁の資料によれば、平成二十二年度の全国における相続税の収納済額は、約一兆四千九百億円でございます。そのうち東京都内における収納済額は、約四千三百億円であり、全国に占める割合は約二九%でございます。
 最後に、相続税の廃止についてでございますが、現在の相続税は、富の再配分を図るという役割と、被相続人の個人所得課税負担を清算する役割があるとされておりますが、税制度は、社会経済状況の変化に応じて、その存在意義や役割を常に見直していくべきものでございます。
 相続税のあり方につきましては、少子高齢社会における我が国の社会経済の活力の維持等の観点から、今後、税制の抜本改革の中で十分に議論がなされていくものと認識しております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 相続税が都市農業の継続や中小企業の事業承継に与える影響についてのご質問についてお答えいたします。
 東京の市街化区域内の農地面積は、十年間で一千百九十一ヘクタール減少しておりますが、その一因として、生産緑地のみ納税猶予対象で、それ以外の農業用施設用地や屋敷林などに課せられる高額な相続税の支払いのために、結局農地を売却せざるを得ない状況となることが挙げられます。
 また、中小企業の円滑な事業承継に当たり、相続税を初めとする事業承継関連税制の負担が大きな影響を与えることがございます。このため、農業団体や経済団体は、かねてから国に対する要望を行っており、都も国に対し、農家や中小企業の相続時の税負担の軽減措置の強化を求めております。
 今後とも、これらの場合における相続税負担の軽減を国に対し引き続き働きかけてまいります。

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