平成二十四年東京都議会会議録第四号

〇議長(中村明彦君) 二十二番きたしろ勝彦君。
   〔二十二番きたしろ勝彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇二十二番(きたしろ勝彦君) 質問に先立ち、福島第一原子力発電所事故について申し上げます。
 先月二十七日に、福島第一原子力発電所の事故を調査してきた民間の福島原発事故独立検証委員会が調査報告書を公表しました。その中で、菅首相ら官邸の対応を、場当たり的で泥縄的な危機管理と指摘しています。
 昨年の第二回定例会の一般質問で、私は、菅総理の原発事故に対する対応を厳しく批判し、その対応が国民の不安感を増幅していると指摘しましたが、まさに、そのとおりでした。そのときの政府の対応が、現在の震災地の廃棄物処理を初め、風評被害など、国民の不信感につながっています。その後、総理はかわっても、民主党政権の混迷、ていたらくは現在も続いているといわざるを得ません。
 民主党政府は、この事実を謙虚に認め、猛省することを求めたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 教育の課題についてお伺いをいたします。
 昨年の予算特別委員会における私の質問に対し、石原知事は、一つだけやり残したもの、それは破壊的に教育の改革を行うことだと答弁されました。知事は四期目に入り、教育再生・東京円卓会議での議論を進めるなど、教育改革に取り組んでおられます。
 一方、国では、民主党政権の迷走が続いています。
 民主党政権は、日本再生の方向を見出せないばかりか、未来を担う若者をいかに鍛え育てていくかの明確なビジョンも一向に示されていません。私は、こうした無責任きわまりない政治に怒りと憂いを覚えると同時に、教育改革についても、東京から国を変える取り組みが急務であるとの思いを強くしているところです。
 昨年、ブータンのワンチュク国王が来日されました。ご夫妻が醸し出すすがすがしさが我々を魅了しましたが、これは、ブータンが急速な近代化の中にあって、物質的な豊かさを追い求めることなく、国の歴史や伝統を重んじ、国民の心の豊かさを大切にしている姿勢へのあこがれと、尊敬の念ゆえではないでしょうか。
 一方、我が国では、日教組による戦後教育によって戦前の価値観はすべて否定され、例えば、親に孝行し、友人は互いに信じ合うといった、古来、日本人が守り続けてきた当然の美徳までもが教えられなくなりました。
 これは神との契約に基づいた欧米の個人主義というものを、伝統と文化の異なるこの日本に、ただ、いたずらに持ち込んだ結果であり、それがゆえに、日本人の行動の基準が善悪から損得に取ってかわり、自分さえよければいいという我欲が社会に蔓延することになってしまいました。
 昨年の東日本大震災を境に、国民の間にきずなのとうとさが見直されてきました。日本人の精神性を呼び覚まし、日本全体が凜として立っていくためには、今こそ戦後進められてきた非現実的な教育から決別しなくてはなりません。
 そこで知事は、あるべき日本人の姿を取り戻すために、どのような教育改革が必要と考えているのか、所見をお伺いをいたします。
 次に、今後、日本人として大切にすべき心の教育についてお尋ねをいたします。
 新学習指導要領には、日本の伝統と文化を尊重し、それをはぐくんできた国と郷土を愛し、公共の精神をとうとぶ日本人の育成が記されています。
 情けは人のためならず、タカは飢えても穂を摘まず、そですり合うも他生の縁など、古くから伝わることわざには、私たちが大切にすべき宗教観や価値観が込められております。
 しかしながら、戦後教育の義務なき自由や履き違えた個人主義の教え、とりわけ昭和三十年代に展開された日教組による道徳特設反対運動や自虐史観などにより、日本人が二千有余年にわたり培ってきた価値観や我が国の歴史は軽んじられてしまいました。
 その結果、行動の基準を善悪ではなく損得に置く、利己的でせつな的な風潮が蔓延してしまったのです。
 そこでまず、子どもたちに、法や決まりを守るといった規範意識を身につけさせ、人が人として生きる上で大切な道徳性を育成するために、都教育委員会は、どのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
 また、先人の残したすぐれた伝統文化と、それを生み出した精神をとうとぶことは、国際社会に生きる日本人としてのアイデンティティーをはぐくむことにつながると考えます。
 そこで、伝統文化をとうとぶ心をはぐくむ教育についての都教育委員会の取り組みについても伺います。
 次に、災害時における公立学校の防災機能についてお尋ねをいたします。
 学校は、地域の防災拠点として重要な役割を担っています。
 都立学校は、東京都地域防災計画における災害時帰宅支援ステーションに指定されており、区市町村の地域防災計画においては、小中学校とともに多くの都立学校が避難所に指定されています。
 また、東日本大震災においては、交通機関の不通等のため、児童生徒を翌日まで学校で保護した例もあり、災害時における学校のさまざまな役割が改めて認識をされたところです。
 このことから、ライフラインが遮断した場合の対応を整えておく必要があり、自家用発電設備は極めて重要です。
 例えば、震災後、児童生徒の安全が確認された後、学校で保護する際には、飲料水の確保が不可欠となり、そのためには、保存水の備蓄とともに、プールの水を飲料水とするためのろ水器や排水ポンプを作動させる必要があります。
 さらに、災害時帰宅支援ステーションとして開設した際には、帰宅者を避難誘導するための投光器は欠かせないものであり、地域の災害情報や交通機関の運行状況の提供も求められています。
 そこで、都立学校における災害時の自家用発電設備等の整備状況についてお伺いをいたします。
 また、こうした自家発電設備の整備が必要なのは、都立学校だけではありません。区市町村においては、多くの小中学校が発災時の避難所として指定されており、小中学校における電源の確保も重要な課題です。
 例えば、私の地元の港区について調べてみましたが、小中学校に自家発電設備は、残念ながら配備されていませんでした。非常に心もとない状況だと思います。
 もとより、区市町村立学校については、設置者である区市町村において適切な対応を図るべきものですが、東京全体の防災力の向上という観点から、都としても、区市町村に積極的に働きかけるなどの取り組みが必要だと考えます。
 都は、地域防災計画の修正に当たり、避難所となる小中学校での電源確保も視野に入れた対策を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、災害時の外国人旅行者への対応についてお尋ねをいたします。
 昨年の東日本大震災から、もうじき一年がたとうとしております。一年前を振り返ってみますと、震災当日の東京の混乱が思い出されます。交通機関が麻痺し、移動手段が徒歩だけという状態でした。電話回線もほとんどつながらない状態で、多くの都民が不安な一日を過ごしました。
 このような中、東京には震災当日も、五、六万人程度の外国人旅行者が滞在していたと考えられます。日本人ですらどのように行動すればよいか判断に迷った状況の中で、言葉がよく通じない外国人旅行者にとっては、情報不足による不安ははかり知れません。
 こうした状況においても、外国人旅行者に対して、きめ細かく対応していくことが、世界都市東京としての責務だと思います。
 災害時に多くの外国人旅行者の接点となる場所としては、ホテル、旅館や観光案内所等が考えられます。これらの施設と連携し、外国人旅行者が必要とする情報提供をスムーズに実施することが効果的と思いますが、今後の取り組みについて伺います。
 なお、我が党は、災害時における障害者支援について、早急に対策を講じるよう求めてきました。障害者については、障害特性に対応したきめ細かな対応策が必要です。
 都は、広域的な立場から、障害者を含めた災害時要援護者の安全確保を図るため、東京都地域防災計画について、必要な修正を行うよう、改めて要望します。
 次に、地球温暖化対策についてお尋ねをします。
 知事の施政方針表明にもありましたように、昨年末に開催されたCOP17は、CO2削減のための新たな枠組みづくりを先送りしただけという残念な結果に終わりました。
 しかも、この中で野田政権は、京都議定書の第二約束期間への不参加を早々に表明し、世界における我が国の存在感も失ってしまいました。国の取り組みは後退し、国家間交渉は停滞しています。
 国が動こうとしないならば、東京から日本を変える、東京から世界を変えることこそ、東京の役割であり、使命です。
 国際会議の場でも、年を重ねるごとに都市や地方政府の役割がクローズアップされていると聞き及んでいます。そして、キャップ・アンド・トレード等の東京都の先駆的な取り組みは、今や日本だけではなく、世界から注目され、都は世界の諸都市を牽引していくべき立場にあります。
 そこで改めて、都のこれまでの国際環境協力の成果と今後の取り組みについて伺います。
 次に、芝浦水再生センターの再構築事業と高浜運河の水質改善の取り組み状況についてお尋ねをいたします。
 品川駅の周辺は、さらなる発展が期待されている地域であり、この地区にある下水道局の芝浦水再生センターでは、施設の再構築に合わせて、高浜運河の水質を改善するための貯留池の整備を行うと同時に、その上部空間を活用した業務商業ビルを建設する事業が進められています。
 私自身、都議会の場で、たびたび確認をしてきましたが、改めて、本事業の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 最後に、都立公園の整備についてお尋ねをいたします。
 かつて江戸は、庭園都市と呼ばれるほど緑豊かな都市でした。
 私は、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京をつくることを、大きな政治テーマの一つとしてまいりました。
 東京が風格のある首都であるためには、緑の存在が重要であり、その核となるのは都立公園です。
 知事は施政方針で、二〇二〇年までに、日比谷公園十個分に当たる百七十ヘクタールの公園を整備すると述べましたが、どのような公園を整備するのかお伺いをいたします。
 私の地元の港区に都立芝公園があります。芝公園は、災害時の避難場所ともなる貴重なオープンスペースであるとともに、歴史的資源にも恵まれています。特に、東京タワーの東にある通称もみじ谷には、明治から大正にかけて公園設計で全国的に活躍した長岡安平が東京市技師時代に設計した滝が今も残っています。しかし、もみじ谷は年月の経過で、造成時に比べ、その趣が失われてきています。
 防災公園としての整備を進め、都民の安全を支えるとともに、歴史的資源を生かして魅力を高め、快適な緑あふれる芝公園とするために、今後、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 また、芝公園周辺には大門があります。いわゆる赤門です。立地や所有も含め種々の課題がありますが、その歴史を踏まえた上で、都、港区、地域が連携して適切に維持管理し、地域の活性化につなげるように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 教育改革についてでありますが、かつての日本には、謙虚、節度、自己犠牲といった武士道に表象されるさまざまな美徳が存在しました。これは、決して武士だけではなしに、明治以降の日本人はすべてこれを体得したと思いますけれども、十九世紀に日本を訪れております、あの古都のトロイの発掘をしましたシュリーマンは、世界じゅうを遍歴した後で日本に寄りまして、アジア人の中で日本人だけが高貴な気質、すばらしい美徳を備えた民族であると称賛しておりますし、ルーズベルトの依頼で日本人の研究をした、有名なベネディクトの「菊と刀」にも、秋に咲く菊の花の気品を備えたすがすがしい薫り、あるいは恥を知ったときには自分で自分を裁いて死ぬ、あの武士が使った日本刀というものに表象される日本人の美徳について、見事なレポートを書いております。
 しかし、どうも時間、時代を経るにつれて、立場を超え、世代を超えて、世界を律する価値の基軸が毀損され、履き違えた自由と権利が日本全体を損なってきたような気がいたします。我が国の伝統文化を尊重して、郷土や国家を愛する心の涵養を図ることなくして、日本人としてのアイデンティティーは成り立ち得ないと思います。
 自分のごく近い先祖であります、おじいさん、おばあさん、ひいじいさん、ひいばあさんが一体何をしたかと。その努力によって、トインビーが人類の歴史の中で奇跡だともいった、この日本人の近代化というものがなし終えられたと。そういうことも知らずに、東京裁判が日本の近代化をすべて否定した、そういった史観というものをそのまま受け継いだ教育が、日教組の手引きで日本に蔓延したわけでありますが、こういった教育というものを、資質を、私たちはこれから絶対に変えていかないとならないと思っております。
 やはり、この教育を根本から変えるためには、まず、幼い子どもたちに、かつては教育勅語という、非常に、小学生にしては難解な難しい言葉でつづられた教育の規範がありました。今さら「朕惟フニ」でもないでしょうが、しかし、やはり小学校にしては難解な、兄弟相信とか、「朋友相信シ恭儉己レヲ持シ」とか、あるいは「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」といった、そういった難しい言葉が、挿絵などを添えて、絵本で私たち読まされましたが、これはやっぱり一種の刷り込みでありまして、そういう、人間が時代を超えても垂直に継承していかなくてはいけない価値の基軸というものを教えていたと思いますけれども、今さら教育勅語の復興というわけにはいきませんでしょうが、やはりそういう九九算と同じように、小学校という非常に幼い段階で、教育を通じて子どもたちに、時代を超えて通用する、その価値の基軸というものを言葉として刷り込んでいく必要があると思います。
 いずれにしろ、この国の伝統文化、先人の足跡といった継承されるべき教養の基盤をしっかり身につけさせる必要があると思います。
 今般の大震災という未曾有の国家的な危機の中で、懸命に復旧に取り組む方々の姿に、日本人の根底にある同胞を思いやる気持ち、郷土を愛し、進んで公に貢献する気概をかいま見たという気がしますが、これは決して、これで日本人全体がそういう形でよみがえったわけではありません。
 今後、こうした日本人のあるべき姿というものを絶やすことなく、これからの子弟に確実に伝えていく手だてとしての教育の大胆な改革に、少しみんなで工夫を凝らして、急いで、本気で取り組んでいく必要があると痛感しております。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、規範意識や道徳性をはぐくむ教育についてでございますが、都教育委員会は、子どもが法や決まりの意義を理解し、適切に行動できる力を育てるカリキュラムや、郷土を愛する心をはぐくむ資料集の作成等を通しまして、法や決まりを遵守する心や思いやりの心、公共心などを育成してまいりました。
 また、子どもの規範意識や道徳性をはぐくむためには、学校、家庭、地域が一体となった心の教育に取り組む必要があることから、全公立小中学校において道徳授業地区公開講座を実施しておりまして、毎年、全児童生徒数の半数を超える約四十万人の保護者や地域の方々に参加していただいております。
 今後とも、これらの取り組みの充実とともに、家族愛、礼儀、節度、公徳心など、世代を超えて垂直に継承させる道徳的価値を醸成するための道徳教材や指導資料を開発し、規範意識や道徳性をはぐくむ教育を一層推進してまいります。
 次に、伝統文化をとうとぶ心をはぐくむ教育についてでございますが、現在、都内の公立学校では、国語や音楽等の授業や部活動において、和歌、俳句等のリズムや季節感、琴や三味線等の和楽器の音色や響き、武道や茶道等の礼儀作法など、日本の伝統、文化のすばらしさを体験的に学ばせております。
 また、都教育委員会では、啓発資料の発行や実践発表会の開催等によりまして、これらの教育活動の成果を普及させることで、郷土や国に対する愛着と誇りを持たせる教育に取り組んでまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、子どもたちが日本の伝統文化のよさを理解し、それらを尊重する心をはぐくむ教育を推進してまいります。
 次に、都立学校における災害時の自家用発電設備等の整備状況についてでございますが、都教育委員会は、平成十九年修正の東京都地域防災計画を受け、災害時帰宅支援ステーションとして指定されたすべての都立学校に、非常用発電機、投光器、排水ポンプ等を整備いたしました。
 また、東日本大震災を踏まえ、災害時にテレビやパソコン等で情報収集を行うなど、緊急時の電力確保を図るため、すべての都立学校に非常用発電機を二台ずつ増設いたしました。
 さらに、都立特別支援学校においては、避難時間の確保のために消防法で義務づけられたスプリンクラー作動用等の発電設備に加えまして、医療用ケアのための発電機等を整備するなど、防災機能の一層の強化を図っているところでございます。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園の整備についてでございますが、都立公園は、首都東京の魅力を高めるとともに、震災時には活動拠点や避難場所となるなど、快適で安全な都民生活に欠かすことのできない都市施設でございます。
 「二〇二〇年の東京」計画では、都市における広域的な防災機能を高めるため、東京都地域防災計画で大規模救出救助活動拠点に指定されている篠崎公園、和田堀公園などで拡張整備を推進いたします。
 また、水と緑のネットワークを形成するため、石神井川沿いの東伏見公園や放射第五号線内の玉川上水と神田川に接する高井戸公園などで、道路、河川、公園の緑が一体となった整備を行います。
 さらに、東京の骨格となる丘陵地の緑の保全のため、多摩丘陵の大戸緑地や狭山丘陵の野山北・六道山公園などの整備を進め、二〇二〇年までに、日比谷公園約十個分、百七十ヘクタールの都立公園を開園いたします。
 今後とも、次世代へ緑あふれる東京を継承していくため、必要な財源確保に努め、都立公園の整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、芝公園における今後の取り組みについてでございますが、芝公園は、明治六年に東京に初めて誕生した上野公園を初めとする五つの公園のうちの一つであり、都心部における貴重な緑の拠点となっております。
 また、東京都地域防災計画において避難場所に指定されており、防災公園として、平成二十二年度から園路や入り口の改修、非常用照明などの整備を順次行い、平成二十四年度に完了いたします。
 一方、公園においては、歴史を刻んできた風景をよみがえらせることも重要であります。中でも、芝公園の地形を生かし、本格的な石組みの滝をしつらえたもみじ谷は、都心にありながらも深山幽谷の趣を持つ空間でありました。この滝を中心として、かつての風景の再生に向けて検討を進めるなど、今後とも歴史的資源の活用を図りつつ、緑あふれる魅力的な公園づくりを行ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 避難所となる小中学校の電源確保についてのご質問でございますが、多くの住民が避難する小中学校などの避難所は、発災時に重要な役割を担うことから、都は、避難所の指定基準や資器材の整備等による機能強化などについて、地域防災計画に定めてまいりました。
 しかしながら、東日本大震災を受けて、避難所の電源確保の重要性が再認識されているところでございます。そのため、都といたしましても、地域防災計画の修正に向けて設置いたしました避難所の運営等にかかわる検討部会において検討を進め、その結果を踏まえ、避難所の設置主体である区市町村と連携して、ご指摘の電源確保も含めた避難所機能の一層の強化に向けた対策の推進に努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 災害時の外国人旅行者への対応についてのご質問にお答えいたします。
 さきの東日本大震災の発災時には、外国人旅行者の多くが、情報も土地勘もない中で対応に戸惑うなど、不安な状況に置かれたと聞いております。こうした不安を解消するための環境整備が不可欠であると認識しております。
 そこで、都内の宿泊施設、観光施設等におきまして、災害発生時に外国人旅行者に対して、円滑に案内、誘導、情報提供ができるよう体制整備を図ってまいります。
 具体的には、関係事業者等で構成する検討会を設置いたしまして、今回の震災を踏まえた対応など、外国人旅行者が必要とする情報やその提供方法を検討した上で、外国人旅行者向け応対マニュアルを作成し周知を図っていきます。
 こうした取り組みにより、安心感の醸成を図り、外国人旅行者の受け入れ体制の向上に努めてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 国際環境協力の成果と今後の取り組みについてでございますが、東京は世界で唯一、都市レベルでキャップ・アンド・トレード制度を導入している地方政府でございまして、さきのCOP17では、すぐれた気候変動対策を進める都市に与える賞として創設されましたガバメントリーダーシップ賞を受賞いたしました。
 従来から、世界銀行やOECDなどのさまざまな国際会議に招かれまして、都の取り組みを積極的に発信してまいりましたが、最近では、キャップ・アンド・トレードの導入に向けた検討を開始している海外都市から、より詳細な具体的な制度内容を学びたいとの意向が寄せられるようになってきております。
 また、都の施策に呼応して進んでおります都内の低炭素ビルづくりの実例にも注目が集まっておりまして、香港などで開催されました国際会議には、東京の民間開発業者も招かれ、都とともに取り組みの紹介を行いました。
 都と東京の事業者がともに進めております低炭素都市づくりを広く発信することは、都市レベルの気候変動対策の世界的な前進に寄与するだけでなく、東京の国際的なプレゼンスを高める上でも重要な意義がございます。
 このため、本年六月に開催されますリオプラス20など、さまざまな機会をとらえまして、都の施策や民間の省エネ技術を積極的に発信、提供し、世界の都市の低炭素化とグリーン経済の推進に貢献してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 芝浦水再生センターにおける事業の取り組み状況についてでございますが、老朽化した施設の再構築に合わせまして、良好な水環境を実現するための高度処理や合流式下水道の改善、耐震性の強化など、下水道機能の高度化を図る事業を進めております。
 まず、昨年九月に、高浜運河などの水質改善を図るため、新たに貯留量約七万六千立方メートルの、大規模な雨天時貯留池の建設に着手し、鋭意工事を進めております。
 また、貯留池の上部空間を活用して建設する業務商業ビルとその周辺整備は、地元のご意見を踏まえながら、都市環境の向上やにぎわいの形成にも寄与する計画とし、先週、二月二十二日に建設に着手いたしました。三年後の平成二十七年二月の完成を目指しております。
 今後とも、再構築事業に合わせた下水道機能の高度化を着実に計画的に進め、地域のまちづくりにも積極的に貢献してまいります。

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