平成二十四年東京都議会会議録第四号

   午後三時二十分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十四番田中健君。
   〔十四番田中健君登壇〕

〇十四番(田中健君) まず、脱法ドラッグについて伺います。
 脱法ドラッグは、麻薬や覚せい剤などの法規制薬物と化学構造物が類似し、人体への危険性も同等でありながら、法の網を逃れ、流通している製品です。麻薬や覚せい剤などを乱用する契機となるゲートウエードラッグとも呼ばれており、最近では、麻薬や覚せい剤の代用品として使用が拡大することも懸念されていると聞いています。
 そんな中、最近、若者を中心に、脱法ハーブと称する薬物の乱用が広がっています。これがその脱法ハーブの現物であります。薬事課から借りたものでありますから、もちろん中身は入っておりませんが、昨年末、違法な薬物ドラッグとしてこれは摘発されたものであります。ティーバッグの包装とほとんど変わらず、小学生が持っていてもわかりません。また、三千円から五千円で購入することができます。
 ハーブといえば、一般的には、薬品や食品、香料に使われる植物の総称で、健康的なイメージのものです。しかし、この脱法ハーブは、幻覚や興奮作用を引き起こす化学物質を植物片にまぜ、ハーブと称して販売をしております。特に近年、服用後けいれんを起こしたり、意識不明に陥るなどして緊急搬送される事例が全国で相次いでおります。
 東京都内でも、一月二十五日の夜、渋谷区の路上で、少年三人が、店から勧められたハーブを吸って、吐き気や頭痛を訴えて緊急搬送される事件が発生したところです。
 また、こうした薬物を扱う店舗は、都の調査によりますと、平成二十一年度二店舗、平成二十二年度は十七店舗、そして現在は九十店舗を超えるなど、ここ数年で急激に増加をしています。
 都は、平成十七年に、全国に先駆けて、薬物の濫用防止に関する条例、いわゆる脱法ドラッグ条例を制定し、乱用のおそれのあるドラッグを、知事指定の薬物として取り締まり始めました。これを受けて、国は薬事法の改定をし、指定薬物制度が導入されました。
 しかし、指定薬物の成分構造を一部だけかえて、法律には触れませんと、繁華街の駅前では、堂々と看板を持って宣伝し、販売されているのが実情であります。摂取目的で販売したり、健康被害が認められれば、医薬品とみなされ、規制の対象になりますが、店側は、あくまでもお香であるといい張り、吸引しないように店に張り出したりすることで逃れる手口が横行しています。
 一昨日、都が、買い上げ調査をした違法脱法ドラッグから麻薬が検出されたとの報道発表を行いました。麻薬や覚せい剤に類似した成分だけでなく、麻薬そのものが混入していたのです。そういったものが市場に流通している、だれもが手に入れられる状況にある、これはゆゆしき事態であります。
 こうした現状を踏まえ、都として今後、違法脱法ドラッグ対策をどのように推進していくのか、所見を伺います。
 行政の取り組みは重要であることを述べました。しかし、警察による積極的な取り締まりや摘発も重要であることはいうまでもありません。販売店の激増、健康被害が実際報告される中、現状では、使用者は処罰されず、覚せい剤などのように所持や使用を制限する法律の施行を求める声も上がっています。
 このような現状を踏まえ、今後どのような対策を考えているのか、警視総監に見解を伺います。
 私は、最近報道されている健康被害の報告は氷山の一角であり、ハーブという名称に惑わされ、軽い気持ちで薬物使用の一線を超える若者を引きとめるためには、健康被害の実態を把握し、都民にその実態を知らせ、注意喚起につなげていくことが大切であると考えます。
 これまでも、薬物乱用防止推進協議会や保護士会、ライオンズクラブやロータリークラブ等の奉仕団体と協力して取り組んできた実績があります。脱法ドラッグから未来ある若者を守るために、販売する側への取り締まりの強化と、都民への普及活動を両輪として取り組むことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、都立高校における聴覚障害の生徒への支援について伺います。
 現在、高等学校では、聴覚障害の生徒に対する情報保障の制度がありません。東京都の公立中学校難聴学級の卒業生のうち、おおよそ三割はろう学校等に進学し、七割は都立や私立の高等学校に進学していると聞いています。そして大学に進学する生徒の多くは一般高校を卒業しています。しかし、彼らが学校の授業で得られる情報は極めて少なく、過大な自主学習によって不足をカバーしているのが現実です。
 義務教育である小中学校で、特別支援学級、難聴学級などの教育の環境整備が進む中、その生徒たちの進路である高等学校の情報保障は大幅におくれているのです。
 昨年施行された障害者基本法十六条の中でも、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮しつつ、必要な施策を講じなければならないとあります。また、二十二条の情報の利用におけるバリアフリー化等でも、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及のため、必要な施策を講じなければならないともあります。
 高等学校が準義務教育化する今、子どもたちが選択肢を狭めることなく、希望の都立高校で確かな学力を身につけられる教育環境の整備は急務であります。現在は、都立高校において、聴覚障害の生徒への情報保障はどのようになされているのか、現状を伺います。
 現在、筑波技術大学障害者高等教育支援センターで、パソコン遠隔文字通訳というシステムが開発されています。これは、教室にいる話者の言葉を、通信で他の場所にいる文字通訳者に送り、通訳者がパソコンに打ち込んだ文字を、教室にいる生徒のアイフォンに表示するものです。
 東日本大震災の後、被災地の大学の講義を、関東の大学で学生ボランティアがパソコンに打ち込み、文字化して支援するという遠隔文字通訳が行われ、多くの人が知ることになりました。
 東京都では、練馬区立開進第二中学校で唯一導入されています。
 私は、昨年、視察に行き、先生の言葉がほとんどリアルタイムにアイフォンに表示され、聴覚障害のある生徒がそれを見ながら、皆と同じように授業を受けている姿を見ることができました。これは、区の移動等介助員の制度を有効利用し、校長先生を中心として、学校全体の理解があって実現できており、制度ではありません。
 つまるところ、聴覚障害を持った生徒が、野球がしたい、サッカーがしたい、また、勉強して大学進学を目指したい、どんな理由であれ、都立高校に行きたいと思ったとき、整備がなされていないという理由でその選択肢を奪われることを避けるために、日進月歩のインターネットの通信システムを使って支援ができないかと思うのです。もっといえば、それを整備するのが行政の役割だと思うのです。
 もちろん、中途半端なシステムを教育の場に入れることはできません。通信システムの費用は、文字通訳者はだれがやるのかといったコストの面も考えなくてはなりません。しかし、このシステムがすぐれているのは、遠隔ということであります。通訳者は、在宅で対応することができますし、地域を選ばないという利点があり、雇用創出にもつながります。
 さらに、企業としては、CSRのような形で対応することもでき、オフィスにいながらも、パソコンさえあれば通訳者となることも可能です。行政だけで仕組みを賄うのではなく、企業を巻き込んだ形での運用も考えられ、社会全体で支え合うことにつなげられないかと考えます。
 都立高校に在籍している聴覚障害の生徒に対する情報保障の一つとして、パソコン文字遠隔通訳システムの導入を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、アジアヘッドクオーター構想について伺います。
 国により、国際戦略総合特区に、都のアジアヘッドクオーター特区が採択されました。これから具体的な取り組みが始まっていくかと思いますが、まず今回の選定時での審査の結果をしっかりと検証していくことが肝要です。
 今回の結果は、アジアヘッドクオーター特区、七特区中一位であることを目指し推進をしてきましたが、結果は六位という評価でありました。
 まず、この評価をどうとらえているのか、また、今後の特区推進にどう生かしていくのか、都の見解を伺います。
 総合特区は、順次規制緩和を求めていくとのことでありますが、羽田空港、お台場地区を中心に、臨海部がその多くを占めることになります。舟運に関しては、法規制で、現在は不定期の場合は、屋形船のような形でしか認められておりません。同じ場所から出発して同じ場所に戻ることしかできません。羽田空港からお台場、スカイツリー、日本橋等々、人を乗せて運ぶことができるようになれば、観光の面からも大きな可能性が開かれることになります。
 特区の提案において、都は、この舟運の利用促進のため、規制緩和を提案していると聞いています。今回の提案内容と今後の予想される展開について伺います。
 また、現在、羽田空港とディズニーランドを海上航路で結ぶ計画が動き出しています。浦安商工会議所、民間シンクタンクの人材交流推進機構が中心となり、現在、東京商工会議所、千葉県、浦安市、国などと協議を始めています。羽田空港敷地内の再開発地域と浦安市の臨海部に船着き場を設けて、民間の海運会社が約三十分で結ぶ定期航路を運航するものです。
 この計画から見えてくることは、東京湾を首都圏全体として考えて、都市づくり、観光、そして今回のアジアヘッドクオーター特区を考えていかなくてはならないということです。
 企業、ビジネスパーソンを誘致するにも、市場の大きさやビジネスの効率性をいうだけでは他の都市には勝てません。この計画では、羽田空港の中に、ディズニーゲートができ、これまで施設の中にしか認められていないディズニーの公式ホテルも併設が考えられています。東京にビジネスに来るだけでなく、ディズニーランドにも行ってもらい、ホテルにも泊まってもらい、さらに東京を観光してもらうような、ビジネスマンの家族も含めた長期滞在をしてもらえるような魅力ある東京への発展が必要であります。
 また、羽田空港とディズニーランドを結ぶ中間には、東京湾の臨海副都心があります。平成元年の開発着手から二十年余がたち、今や、東京ビッグサイト、ホテル、MICE施設が立地するとともに、お台場など多くの人々でにぎわう観光名所になっている一方、未開発地区もあり、まだまだ発展の余地があります。
 臨海副都心は、アジアヘッドクオーター特区構想が目指す外国企業の誘致に必要なMICE機能、そしてそのMICE機能を強化するために必要なアミューズメント機能、すなわち国際観光機能を持つ重要な地域とならなくてはなりません。
 アジアヘッドクオーター特区実現のためには、アミューズメントの視点、観光の視点も踏まえて総合的に考えていく必要があり、臨海副都心における国際観光機能のさらなる充実が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 羽田空港跡地がアジアヘッドクオーター特区の一つに位置づけられ、大田区は、平成版長崎の出島をつくりたいと考えています。つまり、アジアと地元大田区のまち工場をつなげる拠点として、アジアと東京をつなげる拠点として、アジアと日本全体をつなげる拠点としての位置づけです。
 この跡地に隣接する三十ヘクタールもの旧整備場地区の利活用について、国交省が検討を進めていることも聞いています。空港機能の向上もさることながら、空港のポテンシャルを高める視点も検討され、集客力、収益力があるものも想定しているとのことであります。
 跡地の活用を考える上で、大田区が地元区として地域との連携を目指す一方で、羽田空港全体としてはどうあるべきかについては、情報収集も含めて、ぜひ都が積極的にかかわっていく必要があると考えます。また、それを議論できる協議体も必要であると考えます。
 羽田空港の再拡張、国際化を推し進めてきた東京都に、空港全体のあり方を見据えた上で、跡地のまちづくりのイニシアチブをとってほしいと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、都有財産の利活用について質問します。
 都有財産は、財産の価値を最大限発揮し、むだなく都の各種施策にも効率的に活用していくことが理想であります。これまで都は、平成十二年から十八年までには売却を進め、その後十九年以降は運用にシフトし、都財産の活用を推進してきました。
 しかし、各局での行政用途を終え、財務局に引き継がれた財産で未利用のものは約三百三十件、千四百億円分もあると聞いています。こうした当面活用のない財産については、暫定的に収益事業等により収益向上を図ることは、もちろん行っていかなければなりませんが、一方で、先般の大地震の例を引くまでもなく、災害時には、一時避難所や一時的な物資置き場として活用するなど、緊急用途に迅速に活用できる有益な財産ともなります。
 そこで、こうした未利用の都有地について、例えば、災害時における地域の救護活動の拠点や、一時的な資材置き場などの用途に転用できる体制を整えておくなど、いざ災害が発生した際に、直ちに提供できるよう、あらかじめ土地の所在や現状を十分に把握しておく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 ところで、土地だけでなく、あいている施設についても、災害時には有効に活用できるような準備を行っていくべきであります。建物がそのままあいている事例は少ないと思われますが、例えば、知事公館は、石原知事就任後は、本来用途としてはほとんど使用していないため、平成十二年以降、暫定貸付、職員及び都民の研修、講演等に活用された後、現在では空き家の状態だと認識しています。売却との方針が出されたのは、平成二十年、最低価格は四十八億円。大使館や大使公邸用に外国政府に売り込んでいたとのことですが、売却のめどは立っていません。年間二百五十万の維持費がかかるとのことですから、四年間の塩漬け状態の間に一千万円もの費用をこれまで費やしてきたことになります。
 都税収入が五年連続減という厳しい財政状況の中、有効利用も考えていかなくてはなりません。設備に関しては当時の最新技術を駆使し、免震構造となっており、災害時に活用することは適切な施設であると聞いています。
 もちろん、売却に向けて知恵を出して努力をしてほしいと思いますが、それまでの間も必要なときには使えるような形にしておき、災害発生時の際に有効活用すべきと考えますが、都の見解を伺い、理事者の皆さんの前向きな答弁をお願いし、質問を終わります。(拍手)
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 田中健議員の一般質問にお答えをいたします。
 脱法ハーブへの対応ということでございますが、いわゆる脱法ハーブにつきましては、議員からもご紹介ありましたけれども、ことし一月、渋谷署管内で少年六人が吸引をいたしまして、うち三人が救急車で搬送されるといった事案がございました。二月には、赤坂署管内でありますけれども、若い男女がやはり吸引をいたしまして、病院へ搬送されるといった事案がございました。
 これらの事案が犯罪に当たるかどうかなんですけれども、違法な麻薬でありますとか、薬事法が規定する薬物の成分が含まれていたかどうか次第でありまして、この薬物の種類も多岐にわたるものですから、いまだ最終的な鑑定結果を得ていないと、そういう状況であります。
 警察は捜査機関でありますので、取り締まりの観点から申し上げますと、そもそも脱法という表現は、実質的には違法だということをいわんとしているんじゃないかと思いますけれども、将来の立法論はともかくも、当該物品に、いわゆる麻薬か、それとも薬事法の指定する、現在六十八あるわけでありますが、指定薬物のいずれかの成分が含まれている場合には違法、そうでなければ違法は問えないということになります。
 さらに、そういった違法の責任をだれに対して問うことができるかということにつきましては、場合が分かれるのでございまして、いわゆる麻薬が含まれている場合には、販売者も使用者も取り締まることが可能であります。が、薬事法の指定薬物六十八種のいずれかの成分が含まれているといった場合につきましては、販売者のみ取り締まりが可能ということになります。
 また、この六十八種の指定薬物でありますけれども、少しでも化学構造が異なりますと、これが外れてしまうといったことであります。
 今後の対応でありますけれども、出回っておりますいわゆる脱法ハーブには、先日の都の実施した調査結果を見てみましても、違法成分が含まれていることが少なくないということでありますので、このことを念頭に置きまして、取り締まりを徹底してまいりたいと考えております。
 また、あわせて、乱用防止の広報啓発にも努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校における聴覚障害の生徒への支援についてでございますが、中学校の難聴学級及びろう学校中学部から都立高校に進学し学んでいる生徒に対しまして、都立高校では、都立ろう学校の助言を受けまして、個々の生徒の障害の状況に応じて、教室内の座席位置の配慮、発問の工夫、教科の補充指導等によりまして、学習活動への支援を行っております。
 次に、パソコン遠隔文字通訳システムについてでございますが、このシステムは、聴覚に障害のある生徒の学習支援ツールとして開発されたものでございまして、公立中学校において、社会科など一部の教科で使われている例がございます。
 高校段階での導入についてでございますが、高校では教科ごとの専門性が高くなるために、適用できる教科が限定されるということがございます。
 また、授業の進行に合わせて、リアルタイムで教員の話す内容をキーボードから入力しなければならないことから、教科ごとの授業内容を理解し、入力する作業を担う人材の確保が必要になってまいります。
 こうしたことから、このシステムの導入につきましては、まだ、さまざまな解決しなければならない課題があるというふうに認識しております。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 違法脱法ドラッグ対策の推進につきましてお答え申し上げます。
 都はこれまで、店舗やインターネットでの買い上げ調査を行い、違反薬物が発見された場合は、販売中止や回収を指示いたしますとともに、都民への注意喚起を行ってまいりました。
 また、未規制の薬物が確認された場合には、化学構造式や人体への健康影響を解明いたしますとともに、国に対して情報提供をし、法規制につなげてまいりましたが、未規制の薬物は、次々と海外から流入しているのが実態でございます。
 そのため、来年度から、都内で流通した際に、速やかに規制につなげられるよう、海外での流行の動向を速やかに把握いたしまして、その情報を蓄積いたします。
 また、違反薬物を販売した業者に対しましては、警視庁との連携を強化いたしまして、告発も視野に入れた取り締まりを行うこととしております。
 都民に対しましては、薬物乱用防止推進協議会など、地域の関係機関、団体とも連携をした普及啓発を行いまして、違法脱法ドラッグ対策を一層推進してまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 総合特区の書面審査結果と今後の特区の推進についてでございますけれども、ご指摘のございました書面審査結果、これは、総合特区の指定に向けて、第一段階として行った国の事務局による評価でございます。
 これをスタートにいたしまして、第二段階では、総合特区評価検討委員会の専門家グループによる書面審査が行われ、外国企業誘致のために解決すべき政策課題が適切であり、かつ、そのための取り組みが先駆的であるなどといたしまして、他団体と同等以上の評価を得て、第三段階となるヒアリングが実施をされたところでございます。
 このヒアリングでは、誘致対象とする外国企業に対し、法人事業税を免除する方針を明確に打ち出すなど、都独自の積極的な取り組みを具体的に説明し、最終的に、都が提案したアジアヘッドクオーター特区は、外国企業誘致に向けた戦略的な都市づくりを行うことで、日本経済の牽引に資するとの評価を受け、指定されたものでございます。
 このように、指定までの経過を振り返れば、各段階で、さまざまな評価が行われ、その都度、都としても具体的な対応を図ったところでございますが、いずれにいたしましても、既に昨年末に指定を受けておりますことから、今後は、外国企業誘致のための施策を具体化するとともに、推進に不可欠となる規制緩和を国に強く求め、官民一体となって総合特区を推進してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アジアヘッドクオーター特区に指定された区域における舟運の規制緩和についてでありますが、お話の規制は、旅客定期航路事業を保護するために、海上運送法で規定されているものであります。しかしながら、ケースによっては、定期航路事業に影響を及ぼさない形で不定期航路事業が実施できることも考えられるため、MICE、観光振興の観点から提案しているところであります。
 具体的には、MICE参加者等のアクセス向上を図るため、羽田空港と臨海副都心のコンベンション施設等を結ぶ航路において、旅客不定期航路事業の乗り合い片道運航を認めることなどを求めているものであります。
 今後、規制緩和がなされた場合には、東京港の舟運がさらに活性化され、MICEや観光の振興に資することになると考えております。
 次に、臨海副都心における国際観光機能のさらなる充実についてでありますが、臨海副都心は、水辺の景観や緑に恵まれ、国内のみならず、海外からの観光客にも人気の地域へと発展してきております。
 一方、アジア諸都市でも、新たな観光開発が大規模に行われるなど、観光客が急拡大している状況にあります。
 この厳しい都市間競争を勝ち抜いていくため、ゲートブリッジ、スカイツリーなどの新たな観光資源との連携も視野に入れながら、民間事業者の創意工夫を引き出して、ウオーターフロントならではの魅力を一層充実させる取り組みを進めてまいります。
 また、国際色豊かなイベントの開催や魅力的なホテルや商業施設などの誘致にも取り組み、日本を代表するMICE、国際観光拠点へと臨海副都心を発展させてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 羽田空港跡地のまちづくりについてでございますが、都は、羽田空港の国際空港機能のさらなる強化を国に求めており、跡地については、羽田空港をサポートするため、一体となった利用を図ることが重要だと考えております。
 跡地の活用については、都と国、地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において、都が事務局を担い検討を進めてまいりました。
 一昨年の十月には、同協議会において羽田空港跡地まちづくり推進計画を策定し、その後、跡地利用の具体化に向けて協議を重ねてきております。
 今後は、羽田空港へのビジネス航空の受け入れ促進など、特区制度に盛り込んだ施策などを促進するとともに、国や地元区と連携しながら、国際化された羽田空港にふさわしい跡地のまちづくりに引き続き鋭意取り組んでまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えを申し上げます。
 災害時における都有地の有効活用についてでありますが、災害時には、各局における緊急の行政課題解決のため、さまざまな土地活用が求められ、未利用地の中から直ちに活用できる候補地を絞り込む必要がございます。
 このため、土地の所在や面積などを即時に検索できる財産情報システムを活用することに加えまして、日ごろから現地確認による状況把握もあわせて考慮することで、こうした緊急のニーズにも迅速かつ的確に対応しているところであります。
 昨年の東日本大震災におきましても、避難者向けの駐車場等に活用可能な都有地を抽出し、提供いたしました。
 今後も、財産情報システムのデータを日ごろから最新情報に更新するとともに、引き続き現地の確認を小まめに行うことで、災害時においても有効に活用できる準備を着実に行ってまいります。
 知事公館の災害時の活用についてでございますが、平成二十年以降、本物件につきましては、この地域における法令上の用途制限や住宅地である地元への配慮の観点から、大使館や大使公邸等に使用目的を限定して売却するという方針を立てております。
 そのため、現在は、セキュリティー上の問題から貸し付け等は行わず、閉鎖管理を基本としております。
 大規模災害発生時に必要に応じて緊急的に利用することは、ただいま都有地について申し上げたように、財産管理上、当然であるというふうに考えておりまして、適切に対応してまいります。

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