平成二十四年東京都議会会議録第四号

〇議長(中村明彦君) 二十番鈴木章浩君。
   〔二十番鈴木章浩君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇二十番(鈴木章浩君) かつて、二十一世紀は都市の世紀になるといわれていましたが、今、それが現実になりつつあります。どこの国でも産業構造は第一次産業から第二次産業へ移行し、第三次産業の従事者は都市に住み、富は都市で生まれ、その都市の力を見れば、その国の国力もわかるところまで来ております。
 諸外国はその事実に気づいており、いかに自分の都市の競争力を高めるかに力を注いでおり、人や産業を呼び込む努力を進めております。
 現在、東京は、世界の都市総合ランキングで、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで四位につけ、経済力だけを見ればトップでありますが、近年のアジア諸都市の躍進は目覚ましく、日本のプレゼンスは相対的に低下してきております。
 どういうわけか、この国には東京の成長を前向きに受け入れない風潮がありますが、結果的に証明されたのは、集積が力を生むという否定しがたい事実であります。そのためにも、国政が成長戦略を示さず機能不全となる中、東京は確たる戦略を持って都市機能を高め、都市の魅力を高めていかねばなりません。先般公表された「二〇二〇年の東京」計画を基軸として、世界における東京のプレゼンスを高める手だてを確実に講じていく必要があります。
 魅力を高める取り組みと同時に、東京のウイークポイントを克服していくことも重要であります。海外の保険会社のレポートによれば、東京の自然災害リスクは世界一とされております。
 東京は他の自治体と同様、高度成長期やバブル期に整備された大規模施設が数多くあります。その中には、都民の生命と財産を守る重要な施設もあります。東京の競争力向上の観点からは、そうした老朽化したインフラ施設の更新や耐震化等を着実に進め、都市の安全性を高めていくことが重要であり、昨年の大震災を教訓とした防災力の強化が急務であります。
 そこで、都は、防災対策や耐震対策、節電などの行政課題への対応も含め、今後、大規模施設の維持更新をどのように進めようとしているのか、お伺いいたします。
 次に、都債についてお伺いいたします。
 国による成長戦略なき財政再建の取り組みは、消費を落ち込ませ、さらに産業を停滞させ、国際競争力を確実に低下させるものであります。
 増税は、すなわち民間部門から公的部門へ資産を移動させることであり、例えば社会保障費のような移転支出のように、結果として国民へ富が回るとしても、不景気感はぬぐえないものであり、最終的には景気が落ち込み、歳入不足が一段と進んでまいります。
 景気の影響を受けやすい都財政においても同様であり、その備えが喫緊の課題であります。
 その上で、ただいま申し上げた大規模施設の更新を初め、東京の成長と発展に向けた戦略的な取り組みを進めていくための貴重な財源として、都債の安定的な発行がこれまで以上に重要となってまいります。
 現在、日本の長期国債が一%内外の低水準で落ちついているのは、国債が国内消費であり、国民の個人金融資産がそれに見合うからでありましたが、先日、財務省から二〇一三年に政府の借金がそれを超えると発表されました。
 基本的には、財政赤字の拡大や国債残高の累積がもたらす影響は、国債が内国債である限り、直接的には国と民間の相対的関係にとどまるものでありますが、懸念されるのは、受け手が民間金融機関であるため、金融機関の資産の悪化が経済全体のパフォーマンスに影響を与えることであり、また、そのことが一方的な我が国の国債の格下げをもたらしかねず、都債もその影響を避けられないということであります。格下げは金利の上昇、すなわち資金調達コストの上昇となって、財政負担が増加することになり、さらに、問題は金利上昇だけではありません。
 我が国は、全体で二百五十兆円もの対外純資産を有している純債権国といわれておりますが、そのほとんどは民間部門が稼いだ経常収支の黒字の蓄積によるものであります。しかしながら、昨年の貿易収支が三十一年ぶりに赤字となり、エネルギー政策のつまずきもあり、近い将来には経常収支も赤字となると見込まれております。
 これは、日本全体の稼ぐ力が低下し、国の資金だけで国債の消化が困難となる事態が到来することを意味するものであり、そうなれば地方債の発行環境にも影響が及ぶことは必至であります。
 こうした事態に備え、都としても都債の安定的な発行、資金調達コストの低減に向けた取り組みを進めていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 世界経済は大きく動いており、今後ますますアジアの時代となるのは確実であり、その流れは加速し、地産地消型のグローバル化が進展し、日本企業の現地化も進んでおります。こうしたグローバル化経営の本質を、中国や韓国は日本より数倍早く見抜き、取り組んでおり、技術開発、生産拠点の展開、先端企業との連携、海外営業力、官民一体の力など、日本はあらゆる分野でおくれをとっております。
 これまで日本の貿易を支えていた中間財においても、中国、韓国の技術水準の高まりと円高の影響もあり、二〇〇〇年以降、劣勢になっており、半導体や液晶関連部材など電子機器の分野では、エルピーダメモリの破綻に象徴されるように、完全に韓国製品が優位となっております。
 日本の産業の復活には、高技術、高品質という資産をさらに磨き、グローバル競争を対等に戦える体制を早く確立することであります。そのためにも、高技術の集積力を生かして、東京からその流れを後押ししていくことが重要であり、その先鞭となるのが二〇〇七年に始まった航空機関連産業参入支援事業であります。
 航空機は、聞くところによると自動車の百倍、三百万点の部品から成り立っており、求める技術や品質管理の水準も高く、日本の産業の特性を生かしやすい分野であり、新型旅客機ボーイング787は日本の部品が三割を占め、YS11以来、約四十年ぶりの国産旅客機となるMRJも登場するなど、日本の航空機産業の発展を予感させるものであります。
 さらに、アマテラスの挑戦は、世界経済で四十兆とも八十兆円ともいわれる米国のPMA部品といわれる大市場であり、実際二つの部品の受注に成功したことは、日本のクオリティーの証明であり、日本のものづくりに携わる職人たちの意地と矜持のようなものを感じずにはおれません。
 現在のものづくり産業は、より付加価値の高い分野への進出が必要とされる中、中小企業が部品供給を通じて航空機産業に参入することを、都は戦略的に支援するべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 航空機は多くの人命を預かる乗り物であり、部品一つ一つに求められる安全性は自動車をはるかに超え、極めてレベルの高い精緻な技術力と厳しい品質管理が必要とされております。
 都内の中小企業にとっては、航空機部品の製造に加わることは大きなビジネスチャンスでありますが、ハイレベルの注文に安定した対応をするのは大変であり、さらに新しい受注先としての信頼を得るには、さまざまな課題があると聞いております。これらを中小企業が独力で乗り越えていくのは、やはり限界があります。
 都は、都内中小企業が航空機産業に参入できるよう、平成十九年から支援に取り組んでおりますが、これまでの成果と今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、医療療養病床の確保と介護療養病床の転換についてお伺いいたします。
 平成十八年の医療制度改革関連法の改正により、介護療養病床の全廃と医療療養病床の削減が決定されましたが、多くの現場の声をもって、介護療養型の廃止は平成二十九年度末まで延期されました。しかし、その後は、医療療養病床も含めた再編成を行うこととされております。
 現実には、介護療養型が廃止された場合の東京の医療への影響はかなり出てくるものと指摘されております。特に、今回の診療報酬改正の柱である在宅医療の推進でも、医療と介護の連携において、そのはざまの方々の対応に困難が生じてくると考えられます。
 例えば、要介護認知症に身体合併症が発生した場合、救急車で急性期一般病院へ搬送されますが、介護力不足を理由に対応困難として断られるか、平均在院日数短縮により、早期退院を迫られることが出てくる可能性もあり、結局完治せずに入退院を繰り返すことが多々生じます。それに、医療区分一ならば医療療養型も受け入れたがらないと思われます。
 そのほかにも、要介護の精神科救急患者の受け入れや救急入院後に在宅や介護施設へ帰れなくなってしまう問題など、高齢者一人に対して、介護施設の整備が不足している都において、深刻な影響が考えられます。
 今後さらに、高齢化の急速な進展が予測される中、高齢者が安心して医療介護を受けられるようにするためにも、医療療養病床が担っている役割はますます高くなってくると考えますが、都の所見をお伺いいたします
 また、国は、法改正に伴い、転換を円滑に進めるために必要な追加的支援策を講じるとのことでありますが、実際、私も介護療養病床の関係者から、医師の数や施設の基準の問題などにより、転換に踏み切れないなど意見を聞いております。
 これら医療機関に対し、都は、今後どのように支援をしていくのか、ご所見をお伺いいたします。
 防災隣組についてお伺いいたします。
 これについては、我が党の代表質問で、町会、自治会、消防団など地域に根差した組織の活性化が重要であるとの議論がありましたが、そのためにも連携強化に向けて、地元の区市町村や消防署、消防団などが、定期的に地域の防災上の課題を話し合う地域防災会議などの場を持ち、行政側からも連携強化に向けて取り組んでいくことが大切であります。
 そうしたことにより、休日昼間の防災訓練ではわからないさまざまな課題が見え、また、何よりも、地域防災について定期的に話し合っていくことにより、お互いの理解が深まってまいります。
 防災隣組の構築を進めるに当たり、こうした地域における連携強化の取り組みが重要だと考えられますが、都の見解をお伺いいたします。
 また、大地震の発生の確率が高まったことが報道されておりますが、初期の対応で地域のかなめとなるのは、消防団や防災市民組織であります。そのため、消防団は、地域の防災リーダーとして消火や救助、応急救護の技術向上に努めるとともに、防災市民組織の指導に当たり、お互いに切磋琢磨しながら地域の防災力向上に努めております。
 しかしながら、外出の多い日中に災害が発生すれば、消防団も防災市民組織も、限られた人員で初期の活動を行わなければならないことが必然であり、初期の消火活動など、消防団と防災市民組織が連携しなければならない状況が発生することも十分考えられます。
 このため、消防団と防災市民組織が、その場に居合わせた者同士でも連携した活動ができるよう、特に消火栓、防火用水、軽可搬ポンプ等を使用した実効性のある訓練を重ね、これまで以上にお互いを理解していくことは必要だと考えます。こうした実効性のある関係を構築するための取り組みについてご所見をお伺いいたします。
 最後に、伝統文化の理解を求める教育についてお伺いいたします。
 英国のブレア元首相が就任に際して、政府にとって三つの優先課題は何かとの記者からの問いに、教育、教育、教育と述べて記者たちに感動を与えたことは有名なエピソードであります。それほど教育は国の礎として重要であり、日本にとって人材こそ大切な資源として、その教育に力を入れていかねばなりません。
 特に、これからの社会は国際化がますます進展します。今後とも、日本が発展し、これまで以上に重要な役割を担うためには、さまざまな分野で国際社会に貢献し、世界の人々から信頼される人間を育成していくことが重要であります。
 そのためには、児童生徒がまず我が国の伝統や文化について理解し、そのよさに気づくことが必要です。
 日本は気候風土に恵まれ、四季折々の古くから伝わる年中行事があります。これらの年中行事は我が国の伝統文化に根づくものであり、その幾つかは国民の祝日となっております。この国民の祝日は、私たち日本人が美しい風習を育てつつ、よりよき社会やより豊かな生活を築き上げるために定められたものであり、とても大切なものであります。そして、そのことを学ぶことにより、古事記、日本書紀に通ずる日本の伝統文化の偉大さに気づくことができます。またさらに、万葉集の中にうたわれた「皇神の厳しき国」、「言霊の幸はふ国」である我が国を深く理解し尊重することになり、みずからの国に誇りを持てる人材となってまいります。
 みずからの国に誇りを持てるからこそ、他国の伝統文化を真摯に理解し、尊重する態度が身についていくものであり、世界の人々から信頼される人材となってまいります。
 そこで、国際社会における日本人の育成のために、自国の伝統文化の理解を深める教育について、都教育委員会の見解と取り組みについてお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 鈴木章浩議員の一般質問にお答えいたします。
 中小企業の航空機産業への参入支援についてでありますが、これはあなたの、私もそうでありましたけれども、選挙区の大田区、優秀な中小企業が密集する大田区や、他にもございますが、この東京だけではなくて、これは日本全体にとって非常に大切な問題だと私は思います。
 この世界を時間的に狭くしたのも、まさに航空機の開発、発展でありまして、プロペラの飛行機が二枚羽根から一枚になり、さらに四発になって太平洋を横断し、途中で給油もしまして、今ではジェットがあれをはるかにまたいで超えて、東京からワシントンにも行くと。まさに航空機は現代文明を象徴する、人間にとっての有効なツールであります。
 かつて、日本の航空機産業、この技術は、典型的なのはゼロ戦でありますけれども、しかし、敗戦の間近には世界一優秀な戦闘機の「紫電改」を日本はつくっておりまして、これが量産されれば、亜成層圏を飛ぶB29にも、とにかく彼らもかなわないという。
 片っ方では、私の子どものころ、うわさになりましたが、引っ越してきて逗子に住んで、追浜の飛行場から試験飛行している「連山」という四発を見まして感動しましたが、何とそれだけではなくて、どこかの基地から発機して、ワシントンまで飛んでいって爆撃するつもりで、日本から、六発の爆撃機までありました。
 片っ方では、ドイツと同じように「秋水」というジェット機まで、日本は単発のジェット機もつくったわけでありまして、これは、日本を破って統治したアメリカにとっては非常に気になる日本の先端技術であって、彼らはこれを徹底的に弾圧してきたわけであります。
 ご指摘にもありましたけれども、先般開発された777という旅客機は、半分は日本でつくって、向こうの製造の部分がいびつで、向こうが恥じてつくり直すぐらい、日本は精巧なパーツメーカーになりましたが、なかなかその域をアメリカは出させようとしない。
 特にアメリカの軍用機、戦闘機といった優秀な、要するに非常に高性能の軍用機のコックピットは全部日本製です。これはダッシュボードは日本製のセラミックでありまして、そこに並んでいる計器の中の液晶体は、これは日本製じゃないと戦闘機なのに急降下したり急上昇して、温度が変わると曇ってしまって役に立たないということで、あれはいつの時代でしたかね、クリントンの時代でしたか、二代目のブッシュのころでしたか、アメリカの調査団がやってきまして、これを何とか、とにかく自前でつくりたいんで、企業機密に属する部分まで強引に立ち入って調査をしましたが、結果としては、とてもこれはかなわぬと。自分たちがつくると二倍の時間、二倍の経費がかかるんで、この部分だけは日本の製品にまとうという結論で帰りました。
 しかし、それぐらいアメリカは日本の航空機産業の台頭を恐れているわけでありまして、中曽根時代に三菱重工がFSX、次期支援戦闘機のすばらしいものを計画しましたが、アメリカはこれをすべての手を尽くして、いろんな形で恫喝してつぶしました。私は議員として中曽根さんに疑義を唱えて食ってかかったのを覚えていますが、あのころ中曽根さんは、アメリカを余り怖がらせちゃいかぬということでいい逃れをしました。
 これは三菱重工もかんかんになって怒ったんですが、結局、F16を日本とアメリカが共同開発して、市販しているよりもう少しましな飛行機をつくって、日本とアメリカだけで使おうということで折り合いがついた。これも非常に屈辱的な弾圧でありました。
 かつて、経済人でありました、議席を持たない高碕達之助さんが通産大臣になったときに、彼の見識で日本はようやく自前の旅客機のYS11をつくった。これは非常に優秀な、非常に便利な飛行機でありましたが、結局、製造途中で中止になる。なぜかというと、アメリカが策を弄じてこの販路を絶ったんです、世界じゅう、東南アジアは特に。そういうことを彼らはあちこちでやってきた。
 同じように、もう少しましな、進んだ中型の旅客機をつくろうと思っていたインドネシアのバンドンにあります、何ていいましたかね、あの航空会社も、日本と協力して、新しい旅客機をつくりたいと思っていますから、彼らが要するに、これをアメリカはいろんな策でつぶした。その張本人は、ロッキードで暗躍したクラッターとコーチャンですよ。
 私の今親友で、国際フォーラムの会長をしてくださっている同級生の鳥海君、これ、丸紅の社長、会長になりましたが、彼は当時、インドネシア丸紅の社長、つまり支店長をしていまして、そのクラッターとコーチャンがいかに熾烈な、悪らつな手を講じてインドネシアの飛行機の生産をつぶしたかということを具体的に話してくれました。
 かくして日本は、要するに航空機産業に関して、いまだにアメリカの奴隷なんです。ということで、私は、軍用機は問題あるかもしれないから、YSにつながる、例えば日本からシンガポール、デリーへ飛んでいかなくてもいいけど、東南アジアかいわいであるとか、あるいはインドのような亜大陸で国内を飛び回ることができるYS11並みの、百三、四十人の中小型の旅客機をつくろうということで、そもそも私はそれが目的でアジア大都市ネットワークをつくった。
 そして、それが成就して、専門家たちが集まって、いろいろ会議をして、設計図までできているけど、これはアメリカが許さない。特に外務省、日本の外務省と通産省が腰が引けてできない。そして、今度、三菱がつくるMRJのような、最初は七十人から五十人の飛行機だったんだけど、結局、やっとちょっとふやして九十人ですか、その程度の旅客機になったけど、こんなものじゃ役に立たないんだ。
 やっぱりYS11並みの百三、四十人乗る、今、世界で一番ニーズの高い旅客機を日本が中心になってアジアでつくればいいけど、これ、日本の政府がもたもたして、これは自民党、民主党もそうなんですよ。アメちゃんの圧力を怖がってつくらない。
 こんなばかな国に私たちは、とにかく、いたずらにすばらしい技術を持ちながら安住しているわけでありまして、これは、よほどやっぱり、これからの政府がその気になって、自分自身の実力というものをちゃんと信じて、世界にすばらしい製品を提供できるんだと、そういう自負を持って、私はやっぱり航空機産業というものを日本のイニシアチブで要するに広めて、アジアの中で共同して強めていく必要が絶対あると思います。
 とにかく、これ、たしか来年度の予算でも、航空機開発について予算は五百億ですから、ちゃちなものですね。宇宙開発に比べると何十分の一でしかない。私は、やればそのままその次に金になって、日本のもうけにつながる、経済の向上につながる航空機産業を、本気で政府が考える時期に来ていると思いますよ。これは、それを政府が提唱すれば、東京だけじゃなしに、日本じゅうの中小企業、優秀な中小企業が助かる。
 この間、「遙かなる帰還」のはやぶさの映画を見ましたが、あれに寄与した大田区の、山崎努君が演じているあの中小企業のおっさんは、結局倒産するんでしょう。しかし、それでもなお、彼は、自分のつくった製品が組み込まれているはやぶさの出発を、要するに、なけなしの金はたいて、内之浦まで行って眺める。そういう日本人の志がありながら、結局、日本の政府は歴代、アメリカにこびて、へつらって、おどおどして、自分たちの可能性をつぶしてきたんですよ。
 本当に、これはもう野党、与党も超えて、党派を超えて、こういう日本の実力というのをみんなで信じて、とにかく東京からでも大きな声を上げて──私はやってきましたよ、大都市ネットワークをつくって、そこで。しかし、いざとなって、融資が集まって、設計図までできて、そうすると、国が嫌がって、別なものをつくる。あんな、三菱がつくったあの程度の飛行機、どこに売れますか、あんなもの。つくったらいい、日本がいいものを。つくれるんだから。戦闘機もつくったらいい。それで日本を威嚇している国に世界一優秀な戦闘機を売ってやったらいい。これが抑止力になるんですよ。
 そういうことを考えられない、自民党も含めて歴代の政府、しかも、その政府をコントロールしている国の役人というのは、私は本当に卑劣なやからでしかないと思いますな。
 ちょっと、私、これは興奮するんでね、いつも頭に来ているんですけれども、いい質問をいただきましてありがとうございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 伝統文化理解教育についてでございますが、国際社会に生きる日本人には、我が国の伝統文化を理解し、そのよさを他者に紹介できる資質や能力が必要でございます。
 児童生徒は、各教科等を通じまして広く日本の伝統文化を学んでいるところでございますが、加えて、現在、都内の公立学校では、児童生徒が衣食住の変遷や芸術、芸能の特質等について学び、それらを発表し合う学習活動を通して、日本の伝統文化の理解を深めております。
 特に都立学校では、現在四十七校が日本の伝統文化を学校設定教科、科目として教育課程に位置づけ、特色ある教育活動を展開しております。さらに、このうちの十校は、世界に発信する日本の伝統文化推進校として外国人と互いの伝統文化を紹介し合い、文化交流のできる資質や能力をはぐくんでいるところでございます。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えを申し上げます。
 まず、大規模施設の維持更新と東京のプレゼンスの向上についてでございますが、都は平成二十一年二月に主要施設十カ年維持更新計画を策定し、計画的に進めているところでございます。
 具体例を挙げますと、産業技術研究センターは昨年十月、お台場に新しく生まれ変わり、また、上野の東京都美術館は、この四月にリニューアルオープンすることとなってございます。
 また、防災上重要な都有施設の耐震化につきましては、現在、耐震化率九六%まで進めてきており、平成二十七年度までの完了を目指しております。来年度におきましても千葉福祉園などの四施設の耐震化を前倒しするなど、積極的に取り組む予定でございます。
 また、建物の省エネにつきましては、昨年七月に省エネ東京仕様を改定し、LED照明などの導入拡大を図るとともに、自然換気システムなどの再エネ設備を仕様に追加いたしました。維持更新に当たりましては、順次この仕様を適用してまいります。
 今後とも、都市の安全性や防災力の強化、環境エネルギー対策の推進など、さまざまな行政課題の解決、ひいては、お話にありました東京の魅力を高め、プレゼンスの向上に資するように、大規模施設の維持更新を着実に進めてまいります。
 次に、都債の発行についてでありますが、都債は現時点では、その安全性、流動性等に対し投資家の皆さんから高い評価を得ており、安定的に消化できております。しかし、債券市場におきましては都債は国債の金利と連動して動くという現状があるために、国債金利が上昇した場合、都債の発行も影響を受けることになります。
 したがいまして、何よりもまず国が財政再建を着実に推進することが第一でございますが、都としても、市場環境の変動に備えまして、みずから安定的な消化と資金調達コストの低減に最大限努めてまいりたいと思います。
 具体的には、投資家の皆さんが安心して都債を購入できるよう、これまで一貫して進めてきました堅実な財政運営を今後とも維持していくとともに、そのことを市場に対してしっかりとアピールをしてまいります。
 また、投資家ニーズに即した都債を発行することにより、都債の魅力を高め、投資家からの支持を得る努力を続けていくとともに、都債残高の圧縮や公債費負担の軽減につながるような適切な公債管理にも引き続き取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 中小企業の航空機産業の参入についてでありますが、航空機の需要が世界的に拡大すると見込まれること、また都内中小企業の高度な技術が生かせるということで、非常に重要な取り組みと考えております。
 都内中小企業が航空機産業に参入するに当たりましては、海外市場の状況を正確に理解すること、品質管理の力をさらに高めること、安定した販路を開拓するなどの課題がございます。これらを一つ一つ解決し乗り越えていく必要がございます。
 これまで都は、航空機に関する海外の法規や専門用語を学ぶセミナーを開くとともに、すぐれた部品生産の力を証明する国際認証の取得を支援してまいりました。こうしたサポートを受け、航空機部品の一貫生産を行う中小企業グループ、アマテラスというのができまして、昨年、初の部品受注の獲得も実現しております。
 来年度は、企業グループが継続的に受注を確保する体制づくりを支援いたします。また、販路の開拓や技術力のPRに向けまして、航空機分野では世界有数のドイツの見本市や国内最大の展示会に出展するなど、さまざまな支援を総合的に展開してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、医療療養病床が担っている役割についてでございますが、医療療養病床は長期にわたり療養を必要とする患者に加え、急性期医療を終えた後の医学的管理が必要な患者を受け入れており、また在宅療養における後方支援病床としても大変重要な役割を果たしております。
 都は、医療療養病床の整備に関しまして独自の助成を行いますとともに、療養病床を有する医療機関に対し、がんの疼痛管理や在宅療養患者の緊急入院受け入れなどに関する研修を実施いたしまして、機能の強化を支援いたしております。
 また、医療療養病床を将来に向け安定的に確保する方針を国の責務として速やかに明示するよう、国に対して提案要求をいたしておりまして、今後とも、高齢者にとって安心な医療提供体制の実現のために必要な医療療養病床を確保するよう要望してまいります。
 次に、介護療養病床の転換についてでございますが、介護療養病床から介護療養型老人保健施設へ転換する場合には、改修などに経費負担が生ずることと転換先の報酬の水準が現行に比べて十分でないことなどの課題がございます。
 そのため、都は、国の交付金に加えまして、独自の整備費補助の上乗せを行いますとともに、介護報酬を適正な水準に設定するよう国に提案要求をしてまいりました。今回の介護報酬改定におきましては、都の提案を反映して行われた見直しもございますが、今後、報酬改定の影響や転換に係ります課題等を把握するため、改めて事業者に対し、きめ細かなヒアリングを実施することとしております。
 これを踏まえまして、介護報酬や運営基準などの必要な見直しを国に提言いたしますとともに、都独自の整備費補助を継続しながら、円滑な転換を支援してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 防災隣組の構築における地域の連携強化についてでございますが、都は、防災隣組の構築に向けた取り組みとして、新たに防災活動を始める地域をモデル地区として指定し、それぞれの地区にお話のような自主防災組織と消防署や消防団、警察、区市町村等から成る地区連絡会を立ち上げます。
 さらに、地域の防災上の課題を検討するこの連絡会に防災活動に関する専門家を派遣するとともに、他の地域における活動事例を紹介していくなど、きめ細かなアドバイスを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、関係機関の連携を強化することにより、モデル地区における活動を活性化するとともに、その成果をほかの地域にも発信してまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 消防団と防災市民組織の連携活動についてでございますが、お話のとおり、大地震発生時などにおいて実効性のある消防活動を行うためには、消防団と防災市民組織が相互に連携することが重要であると認識しております。
 このため、消防団が地域の防災リーダーとして中心的な役割を担っていることから、東京消防庁では、防災市民組織等への訓練指導を初め、総合防災訓練などの機会を通じまして、連携意識の醸成を図ってまいりました。
 今後は、軽可搬消防ポンプ、スタンドパイプ、簡易救助資器材などを活用した発災対応型訓練を実施するなど、消防団と防災市民組織のより一層の連携強化による地域防災力の向上に努めてまいります。

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