平成二十四年東京都議会会議録第四号

〇議長(中村明彦君) 九十六番斉藤あつし君。
   〔九十六番斉藤あつし君登壇〕

〇九十六番(斉藤あつし君) それでは、まず最初に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 二月十六日に二〇二〇年夏季オリンピック・パラリンピック招致の申請ファイルが発表され、翌日の報道では、東京開催の理念を問う指摘が多かったように見受けられます。
 私も申請ファイルの冒頭の大会ビジョンとレガシーのページで、東京の長年の夢について、それはオリンピック・パラリンピックの開催という夢だというふうなことで書いてあって、これをちょっと見たときに、IOCの方から余りにもそのまま過ぎる夢なので、刺激も緊張感もないというふうに思われたらどうしようかなというふうに心配をしていたんですが、そうしましたら、この招致委員会の小倉和夫事務総長が、東京のような発達した都市でどんな五輪ができるのか、例えば環境面とか福祉とか、五輪に批判的な立場の人たちを含めた話し合いが重要だと訴えたというふうにコメントしており、なるほど、イエスマンばかりでわきを固めてはいけないという大変謙虚で的確な姿勢に感心をしたところであります。
 実は、ここだけの話、私、スポーツをするんですけれども、子どものとき余り運動が得意じゃなかったのか、スポーツ観戦の習慣が余りないので、五輪招致について批判的ではないにせよ、ちょっと距離を置いて見ておりましたが、事務総長の言葉を受けて、それだったら私も今回、スポーツの力をということで意気込みはわかるんですが、一方で、なかなかスポーツに全面的に関心を寄せられない、そういうような方を意識して、国民全体の支持を得るにはどうしたらいいのかという視点で意見と質問をしてみようかと思いました。
 過去、五輪は夢を実現し、都市が変わるきっかけとなってきました。北京では都市部のマナー向上や禁煙五輪を目指した禁煙対策、リオデジャネイロでは治安対策が必須となるでしょう。その都市の課題をあえて直視して、宿題にし、世界が開催地の努力を開催までに評価していくような構図を伴ってきた場合が多いと思います。
 一九六四年の東京オリンピックでは、東京はごみ問題の解決を急いだり、また地方では、聖火リレーのために、でこぼこな道路を先進国レベルの舗装道路にしたそうです。モノレールや地下鉄、首都高速やホテルの整備といった外国のお客様をお迎えするという意味の必要なインフラはもちろんのこと、競技場以外の赤坂など、いろいろな市街地整備も一緒に行われたそうです。
 どう見ても五輪が来ることだけで景気がよくなったということじゃなくて、五輪を理屈にしていろんなことに潤沢な投資をして、五輪景気をつくってきたんじゃないかという印象です。
 同時期に開通にこぎつけた新幹線だけで見ても、世界銀行から当時、融資だけで八千万ドル、当時のお金で二百八十八億円が国内に入ってきましたので、それだったら景気も当然よくなるはずです。
 このときの印象を持てば、当然、世論調査の中でオリンピックが来ると景気がよくなるというふうな印象を持つわけなんですが、実際にそういった皆さんの思いにつながるようなことをしなきゃいけないという課題も残るわけです。
 そもそも、当時の五輪競技自体は、フェンシングや水球など、日本人になじみがないものも既に入っておりましたので、スポーツに関心があるだけでみんなが喜んでいたとはとても思えません。やはりまち全体の雰囲気のせいだったんじゃないかなと。
 そして、オリンピックは、まちの中心地のグラウンドで運動会をやるような話では、当然ありません。遠方のお客様が来るので、それに合わせて、まちじゅうのどぶさらいや植栽を一気に役場や会社が一緒になってやるようなことが、多分オリンピックなんじゃないかと私は思っています。
 ですから、今の東京において、海外の先進国標準に届いていないものは何かを改めてチェックをして、開催までに改善して、それを披露するのがやはりオリンピック・パラリンピックなんじゃないでしょうか。
 私のいる多摩地域は、二〇一六年招致でもコンパクト、コンパクトといわれるたびに、何かそのにぎわいから外されているような印象を持った人が結構周りに多かったんですけれども、それこそ、まち外れにいてもまち全体がよくなったと実感できるのであれば、賛同できる人というのは結構多いのではないかというふうに思います。
 申請ファイルではどうしてもいい点ばかりを並べざるを得ないので課題がわかりにくいんですけれども、それに加えて、一九六四年当時はどこもでこぼこ道だったということもあって、どこに予算をつけても喜ばれるという状況だったと思うんですが、今のようなまさに発達した都市になってしまうと、何をしたらみんなが喜ぶか見つけるのは、結構難しい問題じゃないかと思います。
 しかし見てみれば、インフラのほか、救急医療や分煙や公共マナー、教育分野などを考えても課題が結構たくさんあります。課題がないわけではありませんので、五輪を理屈にやるべきことはたくさんあるんじゃないでしょうか。
 例えば、自転車の事故に海外のお客さんが遭ったら大変となれば、もちろん日本人が事故に遭っても困るわけなんですが、今課題になっている自転車交通環境の整備を、まさに歩道や車道とともに二〇二〇年までに都内で完了させるというのもいいと思います。
 また、国内外から東日本を見たときに、放射能の影響を心配されるというのも当然の課題です。私も、東京消防庁時代の学校の訓練仲間が福島第一原発の冷却放水作業に実際出場して、現場で何人もが被曝危機に遭っておりますし、また、私自身も昨年、福島市の除染活動に参加したんですが、ことしも広範囲で行われています。
 子どもの知り合いの親御さんでも、食品などの放射線被害について、はたからは余りわかりませんけれども、しかしながら、実際に話を聞いてみると、想像以上にこのことを心配している方が多いのは話をするとよくわかります。皆さん、すぐにはこの心配を意識の外に簡単に追いやれないというふうに思います。
 そこで、仙台でのサッカー開催もあるのならば、一昨日話題になったような除染予定地の早急な作業を国とともに一気に後押しをして、仙台への交通途上を心配する外国の方のためにも、福島県民のためにも、そういう作業はいいんじゃないでしょうか。
 ただ、ライバル候補の大都市でありますイスタンブールのありますトルコも、昨年十月二十三日にマグニチュード七・二の地震に遭って、数百人規模の死者が出た上に、トルコ国境からわずか十六キロしか離れていないアルメニアのメツァモール原発が被害を受けて、放射能漏れがあり、トルコが同原発の閉鎖を要請したと聞いています。
 被害に差があるとはいえ、同じような困難にトルコも遭っているので、確かに海外向けに震災復興をいいづらいという事情はあると思うんですけれども、ただ、国内には五輪が復興の後押しと感じる人は多いと思いますし、また、仮に招致ができなくてもよい結果を残すということはあると思います。
 それ以外にも、四月の原子力発電所の完全停止の可能性をかんがみれば、当然、自然再生エネルギー依存度の目標を立てた向上というのもあるでしょうし、個人や企業に負荷がかかり過ぎない継続可能な節電の呼びかけの広報物を招致の呼びかけと兼ねてつくれるようにしたり、太陽光発電などの設置補助を五輪に絡めて二〇二〇年までに進めて、関連業界の浮揚などが形に残る結果になれば、それはそれでいいのではないかと思います。
 先ほどの聖火の道路の話もそうかもしれませんけれども、市民の期待が以前からあるのに進まなかったことが、五輪となったら国や都が一気に進めるということがこれまでもありました。いずれやらねばならないものをこの機会に進めて、五輪イコールスポーツばかりじゃなくて、五輪が問題解決、そしてまた都市改革の印象づけをするのは、少なくともスポーツに関心がある人、関心の薄い人も含めて、国内向けには望ましいことなんじゃないかと思います。
 東京都として、二〇二〇年招致では、オリンピックを契機に都市の問題解決をどのように図られるのか、都の所見を伺います。
 二点目、先ほど挙げた電力不足の懸念ですが、四月には稼働原発が実際にゼロ基になるかもしれません。猪瀬副知事が担当しているような、発電所等によって、五輪のような夏の大イベントの電力をどう確保するかも含めて早晩対策をそろえなくてはならないでしょうし、二〇二〇年ころには、国も自然再生エネルギー依存比率の向上を目指している状況です。
 東京の今後の電力確保予測とともに、四月以降の対応について都の所見を伺います。
 三点目として、代替自然エネルギーの話をしましたが、このエネルギーを最大限活用したオリンピック・パラリンピック競技大会を実現するためにも、競技会場などの大会関係施設を初め、太陽光発電を積極的に導入し、再生可能エネルギーを活用していくなど、省電力、環境配慮の大会運営を都は考えているかと思いますが、今のところの都の所見を伺います。
 もう一つ、大変心配なので伺います。
 首都直下地震の発生確率が四年以内に五〇%という研究が発表されたり、都議会民主党の方も既に内閣に対策要望をしましたけれども、東京湾及び河川の今後二年間の放射能汚染など、外国の方をお招きするには大変悩ましい課題が次々と出てきました。ひょっとしたらこれからも出てくるかもしれません。
 招致に支障が出ないように、東京都の取り組みに加え、大会での震災対策や放射能汚染に対する不安の払拭をどのように行っていく予定なのか、都の所見を伺います。
 ぜひとも、税金も使う以上、スポーツ好きだけ、スポーツ振興局だけで小さくまとまって考えず、「二〇二〇年の東京」の実行プログラムとも上手にリンクをして、この招致活動を考えていただければと思いますので、答弁をお願いいたします。
 三つのことについての答弁をお願いいたします。
 二点目でございます。東京都と市町村との連携について伺います。
 小平市では、五月十二日、十三日に第五十五回全日本花いっぱい小平大会が行われます。小平市も東京都にいろいろご協力をいただいており、引き続きのご指導、ご理解、そしてご協力をお願いいたします。
 このように、日ごろより都と市町村の連携は大事ですので、それをテーマに伺います。
 東日本大震災以降、東京都と並んで都内の市区町村も被災地への職員派遣を行ってきました。震災直後は、自治体それぞれで職員を数週間単位の短期で交代させつつ派遣をしてきましたが、昨年夏ごろからは、被災地からの、半年から一年間という長期の技術職中心の派遣要請がふえてまいりました。
 各自治体は、昨今の財政難もあって、どこも職員体制のスリム化を図っていましたので、職員を出してあげたいのはやまやまですけれども、難しい場合も多く、大変申しわけないなという思いが多いそうです。やりくりをしながらできる限りの支援を行っているようですが、全国市長会の集計では、被災地からの五百五十人の要請に対して、二百五十人程度しか確保できていないそうです。
 また、市町村職員派遣の場合、現地での住宅確保などの滞在準備も大変なようです。都はこの間、現地事務所とも連携して、市町村職員の派遣を支援してきたと聞いておりますが、これまでの市町村職員派遣の状況とともに、都は市町村職員派遣そのものへの支援をどのように行っているのか、都の所見を伺います。
 また、都と市町村の連携については、都から市町村への権限移譲などにおいて、より重要になってまいります。ことし四月に地域主権改革一括法の施行により権限移譲が行われますが、移譲後に市民サービスを低下させることなく、市町村が円滑に事務執行を行うためには、事務執行方法や留意点などの都からの十分な周知や助言など、都のサポートが必要です。今回の権限移譲では一挙に移譲されることから、市町村にとって相当な業務負担が予想され、内容に応じた十分な工夫、準備期間、調整期間が必要です。
 そこで伺いますが、都は市町村との連携を図りつつ、円滑な移譲のためにどのような取り組みを行っているのか伺います。
 そして、このような都と市町村の連携ですが、課題がどうしてもあります。これは都の幹部職員の皆さんに関することですが、代表して総務局長に伺います。
 都の人事のサイクルが余りに早いために、当然のことですが、市町村との連携が深まらないまま都側の人事異動の時期が来たりしています。余りに早いと、どうしても業務の実績づくりに余裕がなくなって、連携に無理が生じます。時には、市町村が都から投げかけられた事業を一生懸命やって、せっかく結果が出たときには、もう既に担当課長が異動していていなかったという笑い話みたいなことがあるそうです。
 そこで伺いますが、職員の経験や知識を充実させ、市町村と強力なタッグを組んでいくには、一つの部署に同じ都の職員を長く配置していくことも有効と考えますが、人事異動の考え方について都の所見を伺います。
 最後に、難病でございます。
 東京都は、国が決めた五十六の指定難病以外に二十三疾患を指定し、合計七十九疾患を対象に医療費助成を始め、国の調査研究事業である百三十疾患を対象に居宅生活支援事業をするなど、多くの難病対策を展開しています。
 現在、希少性が高く、そして根治治療方法が確立していない疾患という一般的な意味での難病というのは、五千から六千疾患あるといわれています。この中には、慢性疲労症候群やウェルナー症候群、若年性線維筋痛症、リンパ脈管筋腫症などが含まれておりますが、わけのわからない症状にずっと悩まされ、たび重なる検査の末に医師からやっと広い意味の難病である診断名が出ても、行政から見れば指定外の、難病ではない病というふうに判断される場合がほとんどだということです。
 難病事業は、医療費助成を目的に、研究支援事業という名目で行われました。しかし、都単独で新たに対象疾患にしたい病気があっても、研究事業としては、都内だけでは国と比べて患者数が少ないため、研究目的を達成するのも困難で、指定も慎重にならざるを得ない状況が続いています。
 本来ならば、介護保険のように生活の困窮度を評価して支援を出せればいいんですが、原因疾患で支援の有無が決められている状況です。指定が何百年先になるかわからず、そのうち患者の病状と生活は悪化するばかり。
 国もようやく、このような難病患者の医療費負担を軽減しようと、慢性疾患の高額医療費の改定と、障害者関連法律への一体化を検討するところまでこぎつけました。
 そこで伺いますけれども、都はこれまで、国に比べれば、難病患者を広く支援する施策を実施してきましたが、現在、国では、希少な難治性疾患に罹患し、就労や生活に支障を来している難病患者をより広く助ける仕組みを検討しています。また、治療研究については、疾病対象範囲の見直しを検討しています。これらの検討を踏まえ、過去、独自の判断で上乗せをしてきた東京都はどのように対応していくか伺います。
 最後に、指定対象外の疾病に罹患した患者さんは、相談できる場所がなく、また、難病というふうに行政的にはいわれなかったがために、精神的に孤立をしてしまうといった現状も聞かれております。
 もちろん大きな予算を一人一人にかけるということは難しいことかもしれませんけれども、一方で、行政が光を当てて、支援を受けることができるという実感を持てることが、患者さんやその家族の孤立を防ぐ、患者さんやその家族にとって大変大事なことなんじゃないでしょうか。東京都は、そのような人たちに対して、きちんと光を当てるためにどのような対応をしているのか、所見を伺います。
 以上、三テーマについて伺いました。各局からの答弁をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 斉藤あつし議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、三点のご質問にお答えを申し上げます。
 二〇二〇年、オリンピック・パラリンピックの大会開催に伴います都市課題の解決についてでございます。
 都は、「二〇二〇年の東京」を策定するなど、これまでもさまざまな都市課題の解決に取り組んでまいりました。大会開催は社会経済に大きな効果を与え、都市課題の解決に寄与することを申請ファイルにも記載したところでございます。
 具体的には、スポーツ振興はもとより、海の森などの緑化や環境負荷の少ない輸送システムの構築などがさらに促進されることにより都市環境の改善が図られること、また、スポーツ施設や公共交通機関を中心にバリアフリー化が進展するとともに、外国語標記案内の整備によりユニバーサルデザインのまちづくりが推進されること。
 このように、都や大会組織委員会などが先進的な取り組みを行うことによりまして、都内全域にも都市課題の改善効果が拡大していくことを広く都民に訴えてまいります。
 次に、大会における環境対策についてでございます。
 IOCが重要視する事項として、スポーツ、文化とともに環境が三本柱の一つとして位置づけられており、二〇二〇年大会においても、日本が持つすぐれた技術を駆使し、環境に配慮した大会を実現していきます。
 具体的には、コンパクトな会場配置や既存施設の会場をベースに、大会に向けて新設、改修されるすべての競技会場を最先端の省エネ型施設として整備することで、環境への負荷を最小限にとどめてまいります。
 また、大会期間中の施設運営に必要となるエネルギーについては、競技会場や選手村などの大会関係施設に太陽光、風力などの自然エネルギーを利用した発電設備を積極的に導入してまいります。
 最後に、大会における震災対策などについてでございます。
 まず、地震対策につきましては、耐震基準を上回る強度の競技会場を整備するとともに、地震に伴う津波に備えるため、臨海部の選手村や競技会場の整備予定地では、必要に応じて防潮堤の設置や盛り土を行うなど、万全な対応を行うこととしております。
 次に、放射能汚染につきましては、政府による冷温停止状態の発表や都内の空間放射線量が原発事故発生以前のレベルに戻っていることなどから、申請ファイルにおいて原子力などの事故災害のリスクを最低ランクとしたところでございます。
 今後とも、最新の情報や動向を適宜収集いたしまして、日本での大会開催の安全性について、国などと密接に連携いたしまして、国際会議の場など、ありとあらゆる機会を通じまして、IOC委員や国際競技連盟等に強く訴えかけてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 今後の電力確保の見込みと都の対応についてでございますが、昨年十一月の国の発表によりますと、ことしの夏の東京電力の電力供給は、原発が稼働しない場合におきましても、さまざまな追加対策を織り込み、約五千七百万キロワット程度となるとしておりまして、昨年夏の最大需要の約五千万キロワットを上回る見込みでございます。
 しかし、この追加対策には、老朽火力や緊急設置電源など、発電効率が低く環境負荷が大きい発電設備のフル稼働を見込んでおりまして、故障のリスクも抱えております。
 このため都は、首都圏の電力供給の安定化、低炭素化を早期に実現するため、百万キロワット級の高効率天然ガス発電所の整備と、老朽化した既存の火力発電所のリプレースに向けた検討を進めるとともに、自立分散型エネルギーの確保や再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでおります。
 加えて、昨年夏の経験を生かし、ことしの夏以降も企業活動や都民生活に支障を生じさせないスマートな節電の継続を促し、電力の需要抑制を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、被災地への市区町村職員の派遣等についてでございますが、被災地復興の担い手となる被災市町村を支えるため、都内の全市区町村は延べ七千名を超える職員を派遣するなど、発災直後から積極的に支援に取り組んでまいりました。現在、七十名を超える職員が被災地に入り、国民健康保険事務など、日ごろ培ったノウハウが生かせる業務に中長期にわたり携わっております。
 都は、現地事務所で把握いたしました被災地の状況や支援ニーズを区長会、市長会、町村会を通じて関係団体に迅速に伝えるとともに、多くの家屋が流失した被災地で派遣職員の住居を確保するなど、市区町村の安定的な支援活動の実現に努めてまいりました。
 今後とも、こうした市区町村による職員派遣が切れ目なく円滑に実施されるよう支えてまいります。
 次いで、地域主権改革一括法に基づく権限移譲に向けた取り組みについてでございますが、市区町村への権限移譲に当たりましては、事務の実施主体の変更により行政サービスが低下しないよう、市区町村と十分な連携、調整を行うことが重要でございます。
 そのため都は、昨年三月、市区町村と共同で移譲後の円滑な事務執行を実現するための連絡調整会議を設置いたしまして、準備状況の進行管理を行うとともに、市区町村の要望等を踏まえた説明会や研修の実施、事務マニュアルの作成などを行ってまいりました。
 また、本年四月の移譲後におきましても、市区町村からの照会や相談に随時対応し、事務執行を支援してまいります。
 今後とも、市区町村と十分連携を図りながら、円滑な権限移譲に向けた取り組みを進めてまいります。
 次いで、幹部職員の人事についてでございますが、都はこれまで、複雑高度化する行政課題への迅速な対応を図りつつ、人材育成の視点も踏まえ、適材適所の人事配置を行ってまいりました。
 具体的には、課題に対し、組織として万全な体制がとれるよう、同一部局の職員の組み合わせや異動時期などに配慮するとともに、若手や中堅職員一人一人の特性に応じて課題解決力や専門性の向上を図るため、計画的にキャリアを重ねるなど、きめ細かい配置に取り組んでおります。
 なお、在職期間につきましては、許認可、契約事務にかかわるポストの長期在職を業務適正化の観点から引き続き避ける一方、現在一ポスト二年程度の在職期間を、業務の状況に応じてより十分にとるなど、各事業における専門性の一層の向上も図ってまいります。
 今後とも、能力と業績に応じた適切な人事配置を行い、執行体制の強化に努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、難病対策についてでございますが、都はこれまで難病患者に対します医療費助成につきまして、国の対象疾病に加え、二十三疾病を対象としているほか、在宅療養患者への医療機器の貸与など、都独自に難病患者への支援を行ってまいりました。
 現在国は、希少難治性疾患について、幅広く医療費助成の対象とすることや治療法などの調査研究を推進すること、治療方法が未確立な疾病などを新たに法に基づく障害福祉サービスの対象とすることなどについて検討いたしております。
 都としては、こうした国の動向を注視してまいりますとともに、国が疾病を特定して治療法などの研究を進めております難治性疾患克服研究事業につきまして、対象疾病の拡大など一層の推進を図るよう、引き続き国に提案要求いたしてまいります。
 次に、国の臨床調査研究分野に指定されていない疾病に罹患した患者への対応についてでございますが、都は、難病相談・支援センターにおきまして、指定の有無にかかわらず、難病全般につきまして保健師などが電話等による相談を行っております。
 また、保健所等におきましては、医師や保健師がさまざまな理由で健康に不安を抱える都民の相談に幅広く対応いたしております。
 今後も、ホームページ等でこうした相談窓口について広く都民に周知してまいります。

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