平成二十四年東京都議会会議録第四号

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件七件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十八番松下玲子さん。
   〔七十八番松下玲子君登壇〕

〇七十八番(松下玲子君) 一昨年八月、東京都が里親に措置を行っていた児童が死亡するという大変痛ましい事件が起きました。お亡くなりになられた当時三歳七カ月のお子様のご冥福をお祈りしますとともに、二度とこうした事件が起きることがないよう、つらく悲しい現実に向き合い、児童虐待防止対策を進展させなければなりません。
 里子死亡事件は、死亡から一年後、昨年八月に里親が逮捕され、傷害致死容疑で起訴されました。この間、粘り強く捜査を重ね、里親逮捕に至った警視庁関係者のご尽力に敬意を表すとともに、捜査の過程で明らかになったことをぜひ警視庁や東京都としての児童虐待防止対策に生かしていただきたいと願ってやみません。
 そこで、警視庁としての児童虐待防止対策の取り組みについて伺います。
 児童虐待防止のためには、日常の、虐待とは至らないまでも、虐待の疑いが持たれる兆候や、親や子どもからのどんなささいな小さなサインも見落とさずに、ありとあらゆる機関が連携をして子どもの命を守らなければなりません。
 そこで、児童相談所と警視庁がより連携を深めて児童虐待防止に取り組むべきと考えますが、児童相談所と警視庁との連携について伺います。
 ことし一月に発表された里親事例中間のまとめは、児童福祉法の規定に基づき設置された検証部会の議論を取りまとめたものです。厚生労働省の通知には、会議の開催は、死亡事例等が発生した場合、準備が整い次第速やかに開催することが望ましいと書かれていますが、死亡事件後一年が経過し、里親が逮捕された後に都は検証依頼を行っています。なぜ死亡事件一年後に部会への検証依頼を行ったのか、見解を伺います。
 東京都が里親に措置を行っていた児童が死亡したという事件は重く、報告書にも時間を置くことなく検証作業を進めることが必要であると書かれています。虐待による死なのかどうか認定が困難な場合もあるかもしれませんが、事故であれ虐待であれ、未来ある子どもが死亡したという事実を重く受けとめ、再発防止に向けた検証を速やかに行うよう要望いたします。
 海外では、虐待、事故、自殺といった防げる子どもの死を明らかにして、それを防ぐ方法を発見するためのチャイルド・デス・レビューが地域ベースで行われる事例もありますが、残念ながら日本では行われていません。
 また日本では、児童相談所、警察、医療機関など、それぞれがデータを持っていますが、データの共有体制はなく、それらのデータが詳しく分析されることも残念ながらありません。虐待の予防は大変難しい課題ですが、詳しい情報を一カ所に集め、それをいろいろな専門家が分析できるシステムを構築することが喫緊の課題であるとの指摘もあり、都としても検討していただきたいと要望いたします。
 今回の事件を報告書等で検証すると、里親委託後に虐待に関して何らかのサインを読み取ることがなぜできなかったのか、里親子が関係する機関からの情報が児童相談所と共有されていなかったのか、悔やまれてなりません。里親子関係が成立するまでには里子との愛着形成が重要であり、里親委託から半年、一年と経過を観察し、里親子関係が成立するまでの時期を支援を得ながら過ごす必要があるはずです。
 東京都は、里親委託後の里子が安全に生活を送っていることを確認する義務があると考えますが、実際の生活や委託前、委託後の生活の変化等をどのように確認しているのか、またあわせて、事件を教訓として、今後、里子と里親に対する支援をどう強化していくのか伺います。
 里親支援とは、里子のための里親育成支援であると明確にいい切る専門家もいます。里親制度を考える上では、何より里子の安全、里子の健全な育成を目的として、里親支援とともに里子支援を充実すべきです。また、里親は家庭という私的な場で行われる公的な重要な仕事を担っているのだということを強く認識し、共有すべきと考えます。
 検証報告書では、出血による診察を受けたが、原因不明の不正出血であったと書かれています。三歳の子どもが、原因がわからずに出血をした事実、なぜセカンドオピニオンをとらなかったのか、悔やまれてなりません。
 報告書では、当時病院内には院内虐待対策委員会の設置はなく、事件後設置された旨も書かれています。虐待ではないかと疑い、あらゆる角度から診察をし、院内虐待対策委員会の設置を進めるべきと考えます。
 どういった病院に院内虐待対策委員会を設置すべきであると考え、対象施設はどのくらいであり、現在の設置数は幾つか、お伺いいたします。
 残念なことに、児童虐待の数はふえ続けています。まさに議案調査を行っているさなかにも、都内で四歳の男の子が母親の交際相手の男性から虐待を受け、死亡する事件が起きました。死亡に至らないまでも、重篤な結果となるような虐待事例も後を絶ちません。
 さまざまな理由で施設や里親のもとで暮らす子どもたちには、虐待により情緒障害や愛着障害などを抱え、養育が困難な場合も多々あると考えます。虐待により重い障害を抱える児童をケアする専門の施設を都はつくるべきであると考えます。
 児童福祉審議会の答申により、新たな治療的ケア施設の基本構想検討会が発足し、二年の議論を経て、昨年三月に報告書が取りまとめられ、都に報告されています。今回、連携型専門ケアとして具体化するようですが、基本構想検討会の議論の経過及び結果を踏まえた取り組みについて伺います。
 連携型専門ケア施設が実現できれば、恐らく全国で初かと存じます。関係者と協議を重ね、ぜひ一日も早い実現に向け、引き続きご努力ください。
 子どもを大切にしない国に未来はありません。里子死亡という重くつらい現実を受けとめて、亡くなった子どもに学び、生きている子どもを守るため、東京都全体で児童虐待防止に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都市基盤の整備について二点伺います。
 平成十四年の都市計画法の改正により、都市計画提案制度という新たな仕組みが創設されました。この制度は、土地所有者やまちづくりNPO等が、地域の合意等一定の条件を満たした上で、都市計画について提案できる仕組みですが、残念ながらまだ実績はないようです。
 制度の詳細を調べてみますと、提案する際に必要な署名の同意の範囲等わかりにくい点もあるようです。都市計画提案制度により、都民から既に決定している都市計画道路について変更や廃止の提案があった場合に、こうしたわかりにくい点を丁寧に説明し、受理をするために努力するべきと考えますが、見解を伺います。
 また、実際に提案時、相談を行うのは、各担当の課、例えば外環の地上部の都道についての提案窓口は外環担当となるなど、都市整備局内のそれぞれの課が担当となるようです。ぜひ都市整備局として制度の意義や目的について共有した上で、都民からの貴重な提案に関して誠実に対応していただくことを要望いたします。
 次に、大深度地下に計画を変更している外かく環状道路の地上部に残る都道について伺います。
 昨年末の知事の定例記者会見では、知事が地上部にも都道が計画として残っていることに驚きを感じていらっしゃるかのようなやりとりがありました。私の地元武蔵野市の、外環地上部に残る都道について関心を持っている皆様からは、ああ、知事はやっぱりぶれていないといった高い評価の声が多数出ています。
 外環道路は、長い地元の反対運動があり、事業が膠着していた中、当時の扇大臣と石原知事が現地に足を運び、知事のご英断で大深度地下に変更した経緯があります。当時の知事のご英断とは、一家団らんのところをちゃぶ台を土足でまたぐようなことはしないといったものであり、記者会見のご発言は、まさにちゃぶ台を土足でまたぐ都道の計画に関して疑義を持たれたのかと考えます。
 改めて、地下に潜った外環道路の真上、地上部に四十メートルの幅のまま残る都道について東京都は都民にどのような説明をしてきたのか、過去の経緯を調査しましたところ、平成十五年に都が発表した資料がありました。このパネルです。当時これを見た地域住民は喜び、知事の英断で地上部街路がなくなったかと思ったものです。というのも、ちょうどここの部分、目白通りから青梅街道は、地元の意向を踏まえながら、ちょうどこの下に書かれている、地下の本線の上に都道設置を検討すると当時の文章にも書かれています。今度、青梅街道から東八道路の部分に関しては、上部に道路は全く書かれていません。
 しかし、その後、実際には、平成十七年に大深度地下方式に本線が変更されたとき、東八道路以南の附属街路は廃止されたものの、東八道路以北の外環と一体だったはずの地上部街路は廃止されず、現在もなお計画が残っています。外かく環状道路地上部街路、外環ノ2について、知事の現状認識についてお伺いいたします。
 東京都は現場があると知事は常に発言されています。記者会見では、外環道路の現場に行くとおっしゃっていました。ようやく春の足音が聞こえてきました。定例会が終わるころには桜も咲き、暖かくなっていることと思いますので、ぜひ現場を見に来ていただきたい。そして、現場にいらっしゃった際には、外環の地上部の都道について取り組んでいる地域住民と意見交換の場を設けていただきたいと強く要望いたします。
 最後に、水資源について伺います。
 二月九日、東京水道施設再構築基本構想の概要についてが発表されました。私はこれまでも水資源に関して、最新のデータを用いた水需要予測を早急に行うべきであると質疑を行ってきました。現状のデータに基づかない過大な施設整備投資は、都民に水道料金の値上げ等負担となって返ってくると考えるためです。
 水道局は、公営企業として公共性と経済性を最大限発揮し、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供することにより、安全で快適な都民生活や都市活動を支えるとともに、良好な水環境を創出することが仕事のはずです。
 効率経営に努めていただくためにも、現状の実績に基づいて水需要予測を立て、その上で水源確保や、それに伴う施設整備を計画しなければならないはずです。
 そこで、基本構想の目的に書かれている新たな安全度を備えた水道施設とは一体どのようなものか、水道事業の運営の観点から見解を伺います。
 基本構想を読むと、将来にわたって安定給水を確保していくために、十分な安全度を加味して施設整備を進めていくといった視点は強いものの、十分な安全度を加味した施設整備には莫大な費用が伴うであろうことが全く書かれていません。
 だれしも安全度は高めたいけれど、限られた予算内でできるだけ安全度を高めることこそが必要であると考えます。新たな安全度を備えることが公営企業として経営にどのような影響を与えるのか検討すべきであり、実際の施設整備計画に反映するためには、さらなる安全度の検証が必要と考えます。
 施設整備の基礎となる水需要予測に関して、前回の予測から算出方法が変更されているようです。算出方法を変更し、一日最大配水量六百万トンを導き出していますが、これまでと異なる算出方法を選択しているのはなぜか、行政としての一貫性や合理性が求められるはずです。変更理由を詳細にお答えください。
 算出方法変更は合理的に現状に合うようにすべきです。私には、今回基本構想の素案で算出方法を変更して、再び一日最大配水量が六百万トンと算出していることは、現状と余りにかけ離れていると思えてなりません。基本構想はあくまで素案であり、都民意見や都議会での議論を反映した上での基本構想となることを要望し、答弁によっては再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 松下玲子議員の一般質問にお答えいたします。
 児童虐待についてでありますが、次代を担う子どもたちが親や地域の人々の愛情に包まれて健やかに育つことはもう万人の願いでありまして、その育ちを支えることは、行政はもとより社会全体の責任であると思います。
 にもかかわらず、痛ましい虐待事件が都内でも後を絶たない。今回起きた養育家庭での事件は、里子の死亡という最悪の結果となってしまいました。子どもを慈しみ守るべき大人がみずからの我欲におぼれて子どもを虐待し、殺しまでするというのは、日本人の精神のただならぬ荒廃が端的に、また醜悪な形であらわれたものと思います。
 児童虐待は子どもの心に深い傷を残すだけでなくて、子どもたち一人一人が持つ未来への可能性を奪うことでもあります。人として決して許されるものではないと思います。今回の事件で、これまで心血込めて子どもたちを育ててきた多くの養育家庭の労苦や努力を無にしてはならないと思います。
 都は、専門機関である児童相談所の体制を強化するとともに、民間の力も活用した里親支援事業を充実させて、区市町村、学校、医療機関など地域の関係機関と一体となって、児童虐待の防止に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、警視庁としての児童虐待防止対策でありますけれども、議員ご指摘の杉並の事案につきましては、大変残念ながら、事前の通報等がございませんでした。経緯は、死に至った児童を変死と判断した医師からの通報により警察といたしましては認知をいたしまして、そこから捜査を始めたといった経緯でございました。
 いずれにいたしましても、警察の最大の責務は、児童が虐待されているのではないかといった通報を受けた場合において、いち早く現場に乗り込み、児童の生命、身体に危険が切迫しているかどうかの判断をし、かつ、危険にさらされている場合には、生命、身体を守るために必要な措置を講じると、こういったことであろうと考えております。
 警視庁では、児童虐待そのものずばりの通報や相談を受けた場合はもちろんのことでありますけれども、児童虐待の可能性をうかがわせる情報を入手したような場合にも、安否確認のためのあらゆる現場措置を講じるなど、適切に対応してまいりたいと考えておるところであります。
 二点目でございますが、警視庁と児童相談所との連携について申し上げます。
 警察と児童相談所は、要保護児童の早期発見と的確な保護という非常に重い責任をともに担っているところでありますので、平成十八年に設置されているのでありますけれども、東京都要保護児童対策地域協議会でありますとか、そのもとの専門部会でありますが、警視庁と児童相談所との連絡協議会、こういった枠組みを活用いたしまして、情報交換、そして支援内容の協議を行っているところであります。
 さらに、現場レベルでも、児童相談所ごとに実務者レベルの会議も開かれておりまして、担当者同士が顔の見える信頼関係でやっていこうということで努力をいたしております。
 加えまして、昨年の十二月でありますけれども、警視庁の生活安全部と東京都福祉保健局との間で、具体的な連携の中身に踏み込んだ確認書を締結いたしました。
 主な内容を二点申し上げますと、一つは、職員が相互の研修会に参加してお互いの実務的な知識やノウハウを習得しようではないかということ、それからもう一点は、児童相談所の現場執行力の強化を支援するために警察官OBを配置することなどであります。
 この現場執行力の強化というのはやや口幅ったいんでありますけれども、児童虐待防止法は十九年に改正されておりまして、二十年の四月から改正法が施行されておりますけれども、九条の三というのが追加をされております。これは令状主義のもとではありますけれども、児相の職員には臨検、捜索等の権限が与えられているところであります。こういった権限が適宜適切に権限行使できるように、警視庁、警察としても支援をさせていただこうという趣旨であります。
 そういうことでございますが、児童相談所との連携をさらに強化を図りまして、児童虐待の未然防止、悲惨な結果の防止に努めてまいりたいと考えております。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、里親事例の検証時期についてでございますが、都では事件発生後、直ちに所管の児童相談所が保育所や医療機関などの関係機関から可能な限り情報収集を行いまして、事実経過を確認いたしますとともに、内部検証を開始し、児童福祉審議会における検証に向けた準備を行ってまいりました。
 この間、関係者からもさまざまな聴取を行いましたが、虐待の有無など、児童が死亡に至った事実の把握が大変困難でありまして、また、警察による捜査が継続されていたため、児童福祉審議会への付議は捜査状況を見きわめた上で行うものとしたものでございます。死亡事件が発生いたしました一年後の昨年の八月、里母が傷害致死容疑で逮捕されましたことから、直ちに児童福祉審議会に付議し、検証を開始したものでございます。
 次に、里親委託後の支援についてでございますが、児童の委託に当たっては、里親候補者と児童が定期的に交流を行いまして、児童相談所が交流状況などを確認して決定いたしております。
 また委託後は、担当の児童福祉司が委託後一カ月以内に家庭訪問を行った上で、自立支援計画を策定いたしまして、その後、一年以内に家庭訪問等を行い、親子の養育状況を確認いたしております。
 今回の事件を受けまして、都は、養育家庭の方々から改めて相談支援の現状に関する意見や要望を伺ったところでございます。これらの意見等も十分に踏まえ、来年度からすべての里子に対して心理面接も定期的に行いまして、児童の発達状況に応じて支援内容を見直しながら、里親に対し養育上の助言を行っていくことといたしております。
 さらに、民間団体等を活用いたしまして、相談支援を行う里親支援機関事業をすべての児童相談所に拡大いたしまして、新たに夜間、休日の養育相談や定期的な訪問なども実施してまいります。
 次に、院内虐待対策委員会についてでございます。
 医療機関は診療を通じまして虐待に気づく機会を有しており、重篤な案件を発見することも少なくありません。そのため都は、地域の医療機関における虐待対応力の向上に向けまして、虐待の傷の見分け方や、子どもからの聞き取り方などの研修を実施いたしております。
 また、平成十九年度から、産科、小児科を有する二次医療機関と二次及び三次救急医療機関を対象といたしまして、児童虐待への組織的対応を担う院内虐待対策委員会を設置していただくよう、各児童相談所で働きかけを行っております。都内には対象となる医療機関が約三百ございますが、このうち、平成二十三年六月現在、五十七の医療機関が委員会を設置いたしております。
 最後に、連携型専門ケアについてでございますが、都は平成二十年八月、児童福祉審議会から、虐待などによりまして重い情緒、行動上の問題を抱える児童に対して、生活、医療、教育の三部門が一体的な支援を行います新たな施設の整備について検討が必要であるという提言をいただきました。
 その後、この提言を踏まえまして、学識経験者や行政職員等で構成いたします基本構想検討会を設置いたしまして、施設、設備の条件や入所対象児童の年齢、職員体制などについて検討を行っております。
 こうした検討結果を踏まえまして、生活、医療、教育の部門が連携して支援を行う連携型専門ケア事業を都立石神井学園において試行することといたしておりまして、来年度はその準備に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市計画提案の取り扱いについてでございますが、この制度による提案は、都市計画の決定、変更を求めることになるため、都は規則で都市計画の内容、理由書、区域を明らかにする図面、都市の環境や機能が確保できることを示す資料等の提出を求めており、提案者は、これらの資料の中で良好な環境や防災、交通、衛生等の都市の機能が確保できることについて明らかにする必要がございます。
 このため、都では、説明用の冊子を作成するとともに、事務処理要領において、計画提案を行おうとする者に対し、当該提案に必要な技術的助言等の支援に努めることとしております。
 次に、外環の整備区域の地上部に計画されている道路についてでございますが、地上部の道路は都内の都市計画道路ネットワークの一部であり、地域の利便性向上など、高速道路の外環本体とは別の機能を持つ道路として計画されております。
 この道路については、関係区市等から出された要望を踏まえ、広く意見を聞きながら検討を進めることとしており、現在、整備のあり方などに関して話し合いの会などを開催しているところでございます。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、新たな安全度を備えた水道施設についてでございますが、水道は都市を形成する基幹的なライフラインであり、大規模な断水が社会に及ぼす影響ははかり知れません。我が国はこれまでも、大地震や深刻な渇水等に見舞われ、今日では首都直下地震の切迫性が指摘されております。
 まさに顕在化する自然の脅威に対して、首都東京の大動脈である水道を将来にわたり守り続けるためには、耐震性の向上や能力の増強など個別対策を強化することはもとより、それらを緊密に連携させ、水道システム全体で複合的な備えを講じていくという新たな安全度の構築が不可欠であります。
 都の水道施設は間もなく一斉に更新時期を迎えます。水道局では、この機をとらえ、今後、あらゆるリスクに直面しても水の供給が途絶えることのないよう、新たな安全度を備えた水道の実現に向けて着実に再構築を進めてまいります。
 なお、再構築に際し、水道事業運営の効率性を十分に考慮することは公営企業として当然の責務と考えております。
 次に、水道需要としての一日最大配水量の算出についてでございますが、将来の水道需要を長期的に見通すには、これまでの実績も長期的に分析することが不可欠であります。そこで、高度経済成長期を終え、水道事業が落ちつきを見せてきた昭和五十年代から現在までの三十五年間を実績期間といたしました。
 その上で、実績期間内の水使用の傾向から合理的な推計が可能な時系列傾向分析を用いて、今般の「二〇二〇年の東京」で示された将来の人口動向に基づき、実際にお客様が使用される一日平均使用水量を推計いたしました。この推計値をもとに、浄水場等からの配水過程での漏水や日々の供給量の変動を考慮して、将来の一日最大配水量をピーク時におおむね日量六百万立方メートルと見通しております。
 この際、漏水に関しては、これまでの実績や計画的な漏水防止対策の取り組みに加え、切迫性が指摘される首都直下地震による影響を勘案し、供給量の変動に関しては、安定給水確保の観点から、分析の対象とした期間の最大の変動幅を採用しております。
 このように今回示した将来の水道需要は、これまで経験した実績を確実に踏まえ、最新のデータを用いて長期的観点から合理的な手法により見通したものでございます。
   〔七十八番松下玲子君登壇〕

〇七十八番(松下玲子君) 私は、今回、知事にとても感謝をしています。ええっ、外環本線地下にしたのに、地上にも都道が残っているのというご発言は、ずっと同じ思いを持っている沿線都民の素朴な疑問をまさに代弁してくださったのです。
 定例記者会見での外環の地上部の都道に関してのご発言で、改めて外環本線が地下に変更となった経緯や、その初心に返らなければならないということを気づかせていただきました。
 では、地上に残された都道をどうするんだという話し合いの会を沿線二区一市で開催している現状もありますが、もう一度、外環本線を地下に変更した初心に返ってみると、これは都市整備局としての、もしどうしても地上部につくりたい部分があり、地元の強い要望があれば、本線は地下でも地上部に幾分か残してもいいですよという確認をする場のはずなのです。この話し合いの会はそうであるべきなのです。
 何だか最近、すっかり立場が逆になっていて、必要性があるからつくらないとと都市整備局がいい、地元の住民は、いや、要らないんだ、東日本大震災からの復興という、ただでさえ大変な時期に、無理に新たに住宅街の中に都道をつくってくれなんて頼んでいないんですと立場が変わっているんです。
 知事、もし何か外環の本線の真上に残る都道に関してつけ加えてお答えいただけることがあれば、私というより、沿線の都民に対してお答えいただきたいともう一度お願いをして、再質問を終わります。(拍手)
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 外環道の整備区域の地上部に計画されている道路の認識についてでございますけれども、この道路につきましては、外環本体の都市計画を地下方式に変更した際に、関係区市等から出されました要望を踏まえまして、広く意見を聞きながら検討を進めることを決定しておりまして、これに基づき現在、整備のあり方などに関して話し合いの会などを開催しているものでございます。

ページ先頭に戻る