〇議長(中村明彦君) 五十四番鈴木勝博君。
〔五十四番鈴木勝博君登壇〕
〇五十四番(鈴木勝博君) 昨年の十月末、世界の人口は七十億人を突破しました。食料や水、そしてエネルギー問題で、世界じゅうに貧困層が激増し、飢餓や貧困で命を失う途上国の深刻な現状があります。
一方、先進諸国でも時を同じくして、ニューヨークのウォールストリートでは、一%の富裕層が支配し、九九%の私たちが犠牲になってもいいのかとのスローガンを掲げた大規模な失業者のデモが行われました。先進国では、経済的格差の拡大が社会問題として大きくクローズアップされております。
資本主義社会である以上、市場原理を導入し成長する中で、格差は努力した者が正当に評価された結果生じるもので、格差がある社会自体は否定されるべきものではありません。しかし、格差が拡大することで社会の悪であるとはっきり認識できるようになった背景は、私は、格差の拡大が社会で貧困を生むことになるからと認識をいたしております。
新自由主義の行き過ぎがアメリカ発の金融危機を招き、リーマンショック以降、国内でもますます貧困層が厚くなり、日本を支えてきた中間層が薄くなっています。そして、多くの若者がワーキングプアとして不安定な生活を余儀なくされ、若年世代の先行きの見えないストレスは日本の将来を暗く覆っています。
日本は、このままアメリカ型の資本主義国家を続けていくべきなのか、それとも欧州型の社会民主主義国家を目指すべきなのか、独自の二十一世紀の日本の姿をこれから求めていくのか、政治は国民に国家の向かう方向を示さなければなりません。
石原知事は、国民のために都知事の四期目を引き受けられたと記者会見でお話をされていますが、まさに東京から日本を変えていくという気概の中で、これからの日本はどのような国家を目指していくべきなのか、そしてまた、東京から日本をどのように今後改革しようとしているのか、知事の見解をぜひお伺いいたします。
さて、格差が貧困を生む要因は、幾つかの社会の変化にあると考えております。
第一に考えられるのは、雇用環境の変化です。
国内では、電気や自動車などの輸出産業の工場移転が始まり、製造業などの雇用が縮小していく中、サービス産業がアルバイトやパートとして雇用を吸収しました。また、規制緩和により派遣社員が常態化し、二〇一〇年には全雇用者の三四・四%、何と一千七百万人が非正規社員として働いております。こうした変化にもかかわらず、同一労働同一賃金はいまだ守られていず、彼らは非正規社員として常態化し、所得格差が貧困を生んでいく構図となっています。
二つ目は、教育環境の変化です。
戦後、高度成長期を支えてきた親世代は、子どもを最終学歴の大学まで進学させ、安定した大企業に就職させることを教育目標としてきました。受験戦争も過熱化し、一流大学に進学するには公立学校の授業のみでは難しくなり、塾に行かせるため、保護者の資力が学力に如実に反映されるようになり、親の所得格差が子どもの教育格差に連動するという格差の連鎖が生まれています。
一方、大学の数はふえ、勉強しなくても希望すれば大学に入学できる大学全入時代を迎えております。
そして三つ目は、家庭環境の変化です。
大家族で夫が外で働き、妻が専業主婦として家事をこなすというモデルが主流であったころは、企業の終身雇用制度と相まって、老後は家族が支えることも可能であったことから、貧困は顕在化しませんでした。しかし、この家庭モデルは、核家族化や離婚の増加による母子家庭化によって壊れ、家庭環境が格差の大きな要因になっております。
すなわち、これまで日本の発展を支えてきた雇用、教育、福祉のシステムと社会の実態との間にゆがみが生じ、格差是正のための富の再分配機能がうまく機能せず、格差が広がり、相対的貧困率を高めています。
今こそ、これまでの日本社会を支えてきたシステムを根本から見直し、低成長社会、超高齢化社会を生き抜く新たなシステムを構築するときです。
国で議論されている税と社会保障の一体改革は、まさに国家としての社会保障システムを根本から見直し、日本の将来の世代間格差を是正する作業です。日本を支える首都東京も、当然今の社会の変化に合わせて、さまざまなシステムを見直す必要があると思っております。
そこで、格差是正の観点から、何点か質問をさせていただきます。
まず、所得格差是正のためには雇用政策が重要です。若年雇用者の失業率が一〇%を超えている現状や、大学を卒業しても正社員として働くことのできない新卒者の急増、また、フリーターとして年を重ね、未婚でいる三十代、四十代の若者などの急増は、社会の深刻さを増しています。
民主党政権下での非正規労働者への失業手当の支給や職業訓練による早期就業への法改正は、若年雇用者へのセーフティーネットとして大変有意義ではありますが、都は現場を持つ立場から、若年雇用者へ具体的にどのような雇用政策をとられてきたか、それによりどのような成果が上がっているのか、お伺いいたします。
また、リーマンショック以降の世界同時不況により、世界的に失業者の増大が続いています。雇用問題は、どこの国でも自治体でも、最優先の解決すべき課題となっています。
特に多くの就業者と産業を抱えている首都東京は、雇用政策で日本の経済を牽引していく責任があると考えます。東京の完全雇用をどのように実現するか、都民の労働生産性をどう高めるか、新たな産業の担い手としてどのような教育訓練をすべきかなど、厚生労働省にかわって東京の雇用を考える、シンクタンク的な機能を持つ部署が必要ではないでしょうか。
スウェーデンの労働市場省は、積極的労働市場政策で国の経済成長に大きく貢献しました。これからの雇用政策は、新たな成長産業を担う人材の育成を中心に考えていく必要があります。東京の成長戦略に資する東京ならではの雇用教育局を創設し、人材育成重視の雇用政策を検討する必要があると思いますが、都の見解をお伺いします。
次に、家族の変化による貧困の問題です。
国の統計によれば、五〇%を超えるひとり親世帯が相対的貧困世帯となっています。近年の離婚率の増加により、ひとり親世帯が東京でも約十七万世帯となっており、ひとり親世帯への支援は急務であると思われます。特に母子家庭の場合は、母親が専業主婦であったり、働いた経験があってもブランクがあるなど、就職ではスタート時点で厳しい状況に置かれる場合が少なくありません。また、就業している場合でも、アルバイトやパートで働く人が五割を占めており、貧困に陥りやすい現状があります。
そこで、ひとり親世帯に対して、都はどのような政策で貧困に陥らないよう自立に向けた支援をしているのか、お伺いいたします。
単身高齢者は、身寄りがいないことや所得が少ないことなどから、貧困世帯が多いといわれています。行政サービスが行き届かないことや、ひっそりと孤独死する現状がありますが、絶対に避けなければならないことです。
私の地元足立区でも、自治会の会長とお話をさせていただくと、必ず単身高齢者の見守りの問題で苦慮されております。
一方、高齢者世帯でも深刻な問題が生じています。高齢者が高齢者を介護する老老介護や、認知症の症状がある方が認知症のある方を介護する認認介護などは、支援がなければ家庭崩壊につながる例も多く見聞きいたします。
現在、都内の特別養護老人ホームの入所定員は三万八千名ですが、これに対し、四万人を超える多くの方が申し込みをしている状況です。
そこで、単身高齢者に対して、どのようなセーフティーネットの構築に取り組んでいるのか、また、要介護高齢者を抱える家庭崩壊を防ぐために、都はどのような在宅サービスを充実させていこうとしているのか、見解をお伺いします。
また、在宅介護を推進していくためには、二十四時間のケアサービス導入やショートステイなどのさまざまな制度が必要とされていますが、私は、家族がそれぞれ自立しながら介護ができる環境を整えることが重要であると認識をしています。そのためには、企業への介護休業制度の導入こそが、介護の基本となるべきです。
殊に、介護を担う世代は、職場では働き盛りの中堅社員や管理職層が多く、仕事と介護の両立は重要な課題です。
都内企業の介護休業取得率は、直近のデータではわずか〇・〇六%にすぎません。介護休業制度などを有効に活用し、仕事と介護が両立するように、企業への働きかけなどの支援が必要であると考えますが、都の見解をお伺いします。
貧困に陥りやすいひとり親世帯や単身高齢者世帯は、核家族化する社会の変化にありました。そうであるならば、離れた家族を再度つなぐための施策が行われるべきであると考えます。
今回の住宅マスタープランでは、高齢化に備えて、特に単身者を地域社会で支えるさまざまな施策が盛り込まれています。もちろん、地域の力で高齢者を見守ることも重要ですが、まずは家族が面倒を見ることができれば、それにこしたことはありません。
高齢者となった親を迎え入れる家族に対しては、空き家となっている民間賃貸住宅でより広い部屋に入居できる情報提供などの住宅支援や、都営住宅の建てかえ時に、大家族で住めるような部屋を提供するなどの住宅施策が考えられると思いますが、これらの施策を含め、都は、二世代、三世代が同居できる住宅施策についてどのように考えるのか、所見をお伺いします。
次に、教育の機会均等の観点から質問をいたします。
教育は、すべての都民に平等に機会が与えられなければなりません。
民主党政権下で高校の授業料無償化が実現され、だれもが高校進学まで希望がかなうことになっています。しかし、さきにも述べたとおり、親の経済的格差により、子どもの教育格差が生じることが問題になりました。
足立区では、経済的な理由で塾に通うことのできない優秀な生徒を区の運営する塾に通学させる足立羽ばたき塾を二〇一二年度からスタートさせます。また、都においても、特色ある都立高校を目標に、さまざまな制度に取り組んでいると聞いています。私の地元の都立江北高校でも、早稲田大学へ数名が現役合格するなど、進学校としての特別カリキュラムなどが整備され、実績を積んでいます。
重要なことは、親の所得格差が子どもの教育格差にならないように、公立の小、中、都立高校の改革を進めていただき、教育の機会均等が担保されることです。
また、今までの親の子どもへの教育目標が、一流大学に進学し、そして一流企業に就職するという大変狭い目標であるならば、子どもの機会を奪うばかりか、自立する力まで奪うことになりかねません。子どもの自立する強い力を身につけるために、東京都教育委員会は都立高校でどのような教育改革を進めていくのか、見解を伺います。
最後に、治安対策について質問させていただきます。
私の地元でも、高齢化していくまちの治安について不安の声が強くなっております。特に、繁華街から離れた明かりのない住宅街や都営住宅の方々からは、ポリスボックスを設置してほしいという陳情が多く寄せられております。
足立区は不名誉なことに、二十三区刑法犯認知件数がワーストワンとなってしまっています。このたび、区と警視庁の治安対策会議を開催し、青バイを導入し、三月から区内のパトロール時間、パトロール範囲を広げるなどの対策を打ち出したところです。さらに、警視庁から、防犯抑止には防犯カメラが有効とのアドバイスを受け、合計四百台の防犯カメラの設置を検討しています。
防犯カメラは、人手では補えない部分をなくし、いわゆるまちから死角をなくすことで、まちの安全・安心を実現できると聞いております。
そこで、警視総監に、防犯カメラの設置効果についてお伺いいたします。
また、カメラの設置については、住民のプライバシーについての配慮が必要であると思います。足立区においても、足立区街頭防犯カメラの設置及び運用に関する要綱を昨年三月から施行して、住民の合意を得ながら設置をしています。
そこで、今後、防犯カメラの設置場所や住民への説明など、自治体ごとのルールづくりが必要になると思いますが、これに対して警視庁の見解をお伺いして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 鈴木勝博議員の一般質問にお答えいたします。
目指すべき社会、国家のイメージについてでありますが、私は、アメリカが世界じゅうに喧伝して押しつけようとしている、マネーゲームで人間の実直さを毀損し、株式至高の価値観に立っているあの市場原理主義を、決して是とはいたしません。国会議員でいるときから、私は特にこの問題について異論を唱えてきたつもりでありますが、小泉内閣のころでしたか、竹中君の唱道で、あの内閣はしきりに市場原理主義を唱えていた時期でありますが、ある番組でアメリカの、若造といっても五十前のやり手なんでしょうけれども、ファンドマネジャーが、日本のある企業、これもダイヤモンドを使って物を工作する、非常に特殊な技術を持つすぐれた会社で、その年配の、多分私と同世代か、それよりちょっと若いぐらいの白髪の社長に、ぜひお宅の株を放出しなさい、それが株主にとっても非常に有利なもうけをもたらしますよと説得しているのに対して、その社長が、君のいうことは違うと。会社は株主のものではない、会社は社員のもののためだと。それから次いで、これは社会のためのものだ、君のいうことは私は絶対に是としない、うちの株は絶対君のいうままに放出しないということで、いい切るのを見て、非常に心強い思いをいたしました。
あなたの質問を聞いておりますと、現在の日本の格差が容易ならざる事態のようにも聞こえますが、私は、まだアメリカと比べて、この社会の、到来しつつある格差というもの、拡大しつつある格差というものは、救いようがあると思っております。ウォール街での大規模なデモが行われた、あれは私は当然のことだと思うし、あのデモを行った若い連中たちの意識がいささかおくれて到来したんじゃないかという気がいたします。
日本の経済も戦後の成功の余禄を食いつぶしながら今日まで来たわけでありますけれども、先般も円高について外国のエコノミスト、アナリストと話をしたときに、三人ほどの人間が同じことをいいましたが、自分たち外国人から眺めると、日本の政府の借財はGDPの二倍という膨大なものですけれども、その対象が国内であるために、総体的に眺めると、日本の経済というのはまだまだ安定しているし救いようがあると思う、ゆえにも私たちはマネーゲームの中で円を買わざるを得ないということをいっておりまして、これはありがたいようなありがたいような話でありますが。
いずれにしろ、このまま日本の経済が推移しますと、超高齢化社会に突入して、もはや非常に徹底した高福祉というものは、今のような低負担では絶対に成り立ち得ない。彼らも、日本人は利口だからそれをわかっているだろうし、やがては消費税を上げざるを得ないし、上げるだろう。ただ、その前にすべき措置というものを政府がしていないために、非常に片手落ちな印象を受けている。今の与党の政権の中にもいろいろ異論があるようでありますけれども、いずれにしろ、私たちがこれから望むべき社会というものは、本来の日本人の価値観にのっとった、やっぱり、我々が伝承しなくちゃいけない価値の基軸というものが一本しっかり通った、そういう意識の中で構築されていく経済社会であるべきだと思っております。
いずれにしろ、日本は、日本人そのものは、この戦後の繁栄といっていいんでしょうか、これが今没落しつつあるわけですけど、その中で、かつての日本人と違った資質を備えるようになりました。いつもいうことですけれども、おととしの暮れに、最初東京で見つかって、日本じゅうで見つかって、政府はぐあい悪いから正確な報道をしていませんが、とにかく自分を生んで育ててくれた親が死んでも弔いもせずに、最初の例などは三十年間布団をかぶせてミイラにして、その年金を詐取していた。こういう人間というのは、私はアメリカにもヨーロッパにも、途上国にもアフリカの蛮地にもいないと思いますね。これはやっぱり、日本人の非常に本質的な堕落というものを表象する、非常に嫌な出来事だと思います。
アメリカには、あの甚だしい格差をもあえて是認する、アメリカの一つのアイデンティティーがあります。これは自由です。これを彼らは徹底して唱道する。ゆえに、アメリカンドリームを認めるし、それに及ばない賤民も、要するに決して気の毒と思わずに放置する。
フランスの場合には、あの革命で獲得した自由と平等と友愛ですか。公共の施設に行きますと、フランスのどこでも、金属のプレートにリベルテ、エガリテ、フラタニテという言葉が刻まれて飾っておりますが、しからば、日本における日本人の今の共通の、何というんでしょうか、理念といいましょうか、日本人のアイデンティティーは何かというと、私は我欲でしかないと思いますね。こういったものを、私たちはこれから淘汰して、何ていうのでしょう、かつての日本人が持っていた倹約にも表象される一つの控え目、こういったものを私たちは、あるいは自己抑制ですね、こういったものを取り戻していかないと、この国は内側からも荒廃して社会として栄え得ないという気がいたします。
いずれにしろ、私たちの子孫のためにも、今の時点で国民の一人一人が甘えを捨てて、我欲を抑制して、国家の体質というものを一人一人が心がけることで根本的に変えていかないと、この国は本当に立っていけないんじゃないかという気がいたしてなりません。
そういう、何ていうのでしょう、他人行儀といいましょうか、我欲をいたずらに主張する体質そのものが政治もゆがめて、政治家そのものも我欲に走って、自分の保身という我欲のために歴代の政府がポピュリズムに走る、こういったものの基本的な反省をしませんと、私はこの国は立っていかないんじゃないかと懸念しております。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 防犯カメラについて二点ご質問でございました。
まず、防犯カメラの効果でありますけれども、防犯カメラは、まずは犯罪を行おうとする者に対して、防犯カメラ、ステッカーも表示するわけでありますけれども、防犯カメラの存在を意識させ、犯行を思いとどまらせる効果があると思います。加えて、犯罪が不幸にして発生した場合には、犯人のまずは特定、そして犯行の立証にも活用されているところであります。
また、防犯カメラの設置地区では、犯罪が現に減少いたしております。減少し、住民のみならず、外からやってくる人々も安全で安心できるということで、地域の振興でありますとか、まちの活性化にも役立っているのではないかと思われるところであります。
特に、警視庁がみずから設置している街頭防犯カメラについて、若干付言いたしたいと思いますが、この警視庁設置のカメラは、平成十四年に歌舞伎町地区に五十台設置しまして以降、順次、地区や設置台数を拡大してきておりまして、現在、五つの地区において合計百八十五台設置されております。これらのすべての地区において、刑法犯認知件数が減少しているところであります。
これ、設置の年がそれぞれ違うものですから、全部平均してはなかなか申し上げられないものですから、具体例といたしまして、平成十六年にカメラが設置されました渋谷と池袋の両地区について申し上げますと、設置の前年、つまり平成十五年と、昨年平成二十三年の刑法犯認知件数を比べてみますと、都内平均が、この十五年から二十三年までが減少率が三七・七%なんですけれども、渋谷地区ではマイナス五〇・六%でありました。池袋地区ではマイナス四六・三%でありました。これがすべて防犯カメラの効果かどうかというところはやや乱暴なところがありますけれども、そういう状況であります。
それから、警視庁設置の街頭防犯カメラが犯罪検挙に活用された件数について申し上げますと、昨年一年間で、罪種は殺人、強盗、傷害、暴行等でありますけれども、百九十件でございました。
それから、もう一点でございますが、街頭防犯カメラ、防犯カメラ設置のルールづくりについてでございます。
防犯カメラは、今申し上げましたとおり、安全・安心まちづくりには欠かせないものでありますけれども、設置に際しましてはプライバシー保護等の観点から、設置方法や管理運用方法などについて、十分な配慮が必要であると私どもも考えております。
現に、設置されております街頭防犯カメラにつきましては、設置主体が商店街や自治会であることが多いわけでありますけれども、プライバシー保護と安全・安心の確保と、この二つのバランスを考慮の上で設置場所が選定され、防犯カメラ作動中のステッカーが掲出され、かつまた管理運用基準が定められているものと承知をいたしております。
なお、杉並区、足立区、立川市、三鷹市におきましては、それぞれの条例等で、防犯カメラの管理運用基準として定められるべき項目が、この条例等において示されているところでございます。
以上です。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 生徒の自立に向けた都立高校改革についてでございますが、都立高校生を対象とした調査によりますと、約四〇%の生徒が、将来について必ずしも明確な目標を持っておらず、都立高校では、社会的、職業的自立意識の低下が大きな課題となっております。
このため、新たに策定した都立高校改革推進計画に基づき、キャリア教育を通じて生徒に将来の明確な目標を持たせ、その実現に向けて、自立の基盤となる学力の定着を図るとともに、人間関係の構築に必要なコミュニケーション能力など、社会人としての基礎的な力を育成してまいります。
さらに、今後、企業、NPO等と連携し、生徒が体験的な学習を通じて社会や職業を実感できる実践的教育プログラムを新たに開発、実施し、生徒が社会人、職業人として生活していくために必要な力を育成してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、若者への就業支援と成果についてでありますが、少子高齢化が進み、また若者の雇用環境が厳しい中、次代を担う若者の意欲や能力を高め、安定した雇用につなげていくことは重要であります。
都では、東京しごとセンターにおいてきめ細かく就業を支援しているほか、合同就職面接会を開催し、若者と企業とのマッチングを促すとともに、紹介予定派遣制度を活用いたしまして、既卒者の正規雇用化も支援しております。さらに、職業能力開発センター及び民間教育機関等におきまして、技能習得を希望する若者に対し、即戦力となる訓練を実施し、企業現場に送り出してまいりました。
こうしたさまざまな取り組みを通じまして、例えばしごとセンターでは、開設以来延べ三十六万三千人の若者を支援し、二万三千人を超える方々を就職に結びつけたところでございます。
次に、雇用政策についてでありますが、まず、基本的な考え方といたしまして、国は、雇用政策全般にわたり必要な施策を総合的に講ずるものとされておりまして、都は国の施策と相まって、日本経済の中心地であり、また中小企業が集積するというこの東京の特性を踏まえた雇用対策を、産業振興も視野に入れて適切に実施していくこととしております。
このため、都はこれまでも、東京しごとセンターにおいて、求職者の個々の適性等を踏まえ、カウンセリングなどを通じた就業支援を行うとともに、来年度は、今後成長が期待される分野への若者の就業を支援する取り組みも開始いたします。
また、職業能力開発センターにおきましては、求職者及び在職者に対し、地域の企業ニーズに即した訓練を実施するなど、人材育成と産業振興を図ってきたところであります。
今後とも、引き続き、都民の安定した雇用の実現に向け、都における施策展開の基本的な考え方に基づき、対策に万全を期してまいりたいと考えております。
最後に、仕事と介護の両立支援についてでありますが、本格的な高齢社会を迎え、今後ますます家族介護に直面する労働者の増加が見込まれますことから、仕事と介護の両立が可能な雇用環境を整備することは重要であります。
育児・介護休業法の規定によりまして、労働者は介護のために休業することなどが認められているところでありますが、本年七月より全事業者に介護休暇の規定が適用されるなど、拡充が図られておりまして、この法制度の浸透を図ることが求められております。
都はこれまでも、使用者等を対象に仕事と介護の両立に関するセミナーを実施するとともに、パンフレット等を作成し配布することで、企業に対する普及啓発に努めてまいりました。
今後とも、こうした取り組みを通じ、仕事と介護の両立に向けた企業への働きかけを行ってまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、ひとり親家庭への支援についてでございますが、都は、ひとり親家庭の自立と生活の安定、向上を図るため、ひとり親家庭自立支援計画を策定いたしまして、就業支援や生活全般に関する相談体制の整備など、総合的に取り組んでおります。
就業支援につきましては、就業経験の少ない方を対象にしまして、キャリアカウンセリングや就職後のフォローを行いますとともに、病気の子どもを抱えるなど在宅での就業を望む方に対しては、スキル習得のための研修を行うなど、家庭状況に応じたきめ細かな支援を提供いたしております。
また、子どもの養育や住まいなどの相談につきましては、ひとり親家庭の当事者団体のノウハウを活用しながら助言いたしますとともに、必要に応じて地域の子育てサービスの紹介などを行っております。
次に、ひとり暮らし高齢者や要介護者を抱える家族への支援についてでございますが、都は、ひとり暮らし高齢者などが地域で安心して暮らし続けられますよう、支え合いマップの作成や、町内会、自治会などが中心となって行う自宅訪問による安否確認など、地域におけるさまざまな取り組みを区市町村包括補助制度により支援をいたしております。
また、家族介護者の負担軽減を図るため、高齢者が一時的に利用するショートステイや小規模多機能型居宅介護につきまして、土地所有者がみずから建設し、事業者に貸し付ける場合にも、都独自に補助を行うなど、設置促進を図っているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを進め、高齢者とその家族が、可能な限り住みなれた自宅や地域で安心して生活することができる環境を整備してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 多世代で同居できる住宅施策についてでございますが、多様化する都民のニーズに対応した住宅が市場において的確に供給されるためには、住宅市場の活性化が重要であると認識しております。
都はこれまでも、多世代向けの良質な住宅を借り上げて貸し出す、民間団体が行う事業について普及を図ってまいりました。また、都営住宅の建てかえに当たっては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立って基準を設け、それぞれに対応する規模の住宅を提供しております。
さらに、都営住宅においては、高齢者世帯が子ども世帯の近くで生活できる住みかえ制度を設けており、安心して支援が受けられるよう取り組んでいるところでございます。
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.