平成二十四年東京都議会会議録第二号

   午後三時二十一分開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番宮崎章君。
   〔百十三番宮崎章君登壇〕

〇百十三番(宮崎章君) 風邪を引いておりまして、聞きにくいところはお許しをいただきたいと思っております。
 平成二十四年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 我々が生きている日本列島は、地震、津波、台風や活発な火山活動など、数限りない天変地異に見舞われてきました。こうした過酷な国土にありながら、我々の先祖は、たぐいまれな忍耐、自己犠牲の精神で、強いきずなで助け合う社会を築き、たくましく生き抜いてきました。今日の豊かで成熟した社会は、決して偶然ではありません。
 今から千四百年前の「隋書倭国伝」で、既に、日本人は、性質直にして雅風ありと記され、明治に我が国を訪れたエドワード・モースが、善徳や品性を日本人は生まれながらに持っていると評したように、自然と歴史が培ってきた国民、国家の有形無形の底力があってこそであります。
 そして、今、我々は大震災の痛手に苦しむ岩手、宮城、福島を初めとする被災地の復興を全力で支えていかなければなりません。それを可能にするのも、日本人自身が自然と歴史の中で培ってきた底力であります。被災地とのきずなをしっかりと固く結んで、一段と力強く再起を後押ししていこうではありませんか。これは、戦後日本人が置き去りにしてきた同胞意識や郷土愛、祖国愛を取り戻し、我が国の混迷停滞を根本から断ち切ることにもつながると思います。
 被災地のため、そして、日本の未来のために、東京は先頭に立つべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 知事は、かねてより、東京は日本の牽引役であると述べられています。我が国が未曾有の危機にもかかわらず、政府がこの国の将来の姿を示すこともできずにいる今、首都東京が、日本を覆う閉塞感を打ち破り、都民、国民に希望を与える展望を指し示すことが求められております。
 先般、都は、計画期間の半ばを迎えた「十年後の東京」計画を充実強化した新たな長期ビジョンとして、「二〇二〇年の東京」計画を公表しました。大震災後の都政運営の中長期的な道筋を明らかにしましたが、この新たなビジョンに込めた知事の決意を伺います。
 昨年は石原都政が三期十二年の間培ってきた都財政の底力が遺憾なく発揮された年であると思っております。
 大震災を受けての補正予算編成など、対応が後手に回る国をよそに、効果的な手だてを迅速に講じることができたのは、知事と我が党が手を携え、徳俵に足のかかった財政を立て直し、その後も堅実な財政運営に徹してきたからこそであります。
 税収が都政史上初めて五年連続で減収するなど、かつてない厳しい状況の中で編成された二十四年度予算編成について、東京のさらなる成長発展と強固な財政基盤の堅持という、二兎を追うような課題に立ち向かうものであり、高く評価をするものです。
 とりわけ注目すべきは、東京に活力をもたらし、経済の波及効果や雇用創出効果の高い公共事業に予算を重点的に配分している点でございます。
 都は、歳出総額を抑制しつつ、事業進捗や事業終了による当然減がある中で、我が党の主張を十分に酌み取り、投資的経費を八年連続伸ばしてまいりました。確たる理念もなく、公共事業関係費を削減し続けている国とは極めて対照的であります。
 そこで、このようなめり張りをきかせた予算を編成された知事に、平成二十四年度予算に込めた思いを伺います。
 次に、高度防災都市東京への取り組みについて伺います。
 昨年十一月に、都は、我が党の防災対策強化に向けた提言を踏まえ、今後の防災対策の方向性を示した防災対応指針を策定しました。遅々として進まない国の防災対策に比べて評価はできますが、問題は、これをいかに具体化していくかです。
 知事は、大震災で浮かび上がった帰宅困難者の問題に対して、大規模で実践的な訓練を実施し、全国で初めてとなる条例を今定例会に提案されました。迅速かつ具体的に対策を進めるこうした姿勢を高く評価するとともに、最近、首都直下地震について、その切迫性が一段と指摘されています。首都直下地震は、いつ来てもおかしくない状況にあるという認識のもとで、高度防災都市への歩みを進め、発災時の対応力を高める取り組みを直ちに具体的に進めなければなりません。
 まず、首都直下地震に対してどのように備えていくのか、知事の決意を伺います。
 防災対応指針を具体化するために、現行の地域防災計画の抜本的な見直しが必要です。特に、国、区市町村、警察、消防、自衛隊、インフラ事業者等の連携協力に向け、それぞれの役割や手順を明確化するなど、具体的に被害状況を想定した上での実践を重視した取り組みが求められております。
 都は、首都直下地震への備えを固めるため、地域防災計画の修正にどのように取り組むのか、見解を伺います。
 大震災当日は、都内で三百五十二万人の帰宅困難者が発生し、混乱をいたしましたが、国の調査によれば、首都直下地震が発生した場合にも、半数の人が徒歩で帰宅すると答えており、震災時の帰宅抑制の徹底は、首都東京の機能を維持する上での喫緊の課題でございます。
 我が党は、かねてより、都民の意識が高く、大震災での経験が風化しないうちに実効性ある対策を速やかに打ち出すことを求めてきました。
 今回の条例案は、従業員の施設内待機や駅等における利用者保護など、主要な対策が盛り込まれており、評価しますが、条例の施行に向けては、都民への周知とともに、関係者の行動マニュアルの策定など、具体化に取り組む必要があります。事業者との十分な話し合いや適切な支援策を講じていくことが必要です。
 都は、今回制定する条例に基づき、帰宅困難者対策をどのように具体化していくのか伺います。
 また、都営地下鉄の帰宅困難者対策については、大震災の際にも、大江戸線がいち早く運行を再開するなど、都民の足を確保する責務を果たしたと評価しております。
 さらに、耐震対策を強化するとともに、帰宅困難者の対応についても推進していくべきです。例えば、JRやメトロも駅に水や毛布の備蓄を進めていると聞いておりますが、都営地下鉄では駅に滞留するであろう帰宅困難者向けの備蓄について、どのような取り組みを進めているのか伺います。
 次に、発災時には、何といっても自助と共助が重要です。これをいかに社会全体に浸透させ、地域の防災力を向上させていくかが課題でございます。
 都内には多くの防災組織が存在します。大震災の被災地で献身的な活動をした、地域に根差した消防団を忘れてはなりません。そして、何といっても、町会、自治会を中心とした地域の自主防災組織が発災時に機能するかどうかがかぎでございます。高齢化や後継者不足などにより、こうした活動が停滞している地域も多い一方で、意欲的な取り組みを積極的に進めている団体もあります。
 我が党は、防災隣組の取り組みを進めるに当たっては、町会、自治会、消防団を中心として、地域に根差した既存の組織の活性化を図っていくことが重要だと提言しました。
 そこで、地域の防災力の強化に向けて、防災隣組の構築を具体的にどのように進めていくのかお伺いをします。
 さきの第四回定例会における我が党の質問に対し、災害医療体制の充実に向け、災害医療コーディネーターの配置について検討するとの答弁がありました。災害医療コーディネーターについては、選任を行ったとのことであり、迅速な対応については高く評価をいたします。
 これは、今回の大震災で得た教訓を踏まえ、被災地で実際に医療救護活動に従事した方や被災県に派遣している都職員の現場の経験をもとに創設するもので、都の防災力を高める施策として大いに期待をいたしております。
 今後、都において、この災害医療コーディネーターをどのように活用し、災害医療体制の充実に取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、我が党は、大震災で活躍したハイパーレスキュー隊を中心に消防力の整備をさらに進めるべきと強く訴えてきました。ハイパーレスキュー隊は、都内で発生する対応困難な災害や国内各地の震災はもとより、ニュージーランド地震などでの活躍は記憶に残るところで、また、大震災に伴う福島第一原子力発電所での活動など、人命を守ることとするその活躍は、都民、国民の周知のところであります。
 そこで、新たに設置するハイパーレスキュー隊の配備の考え方や内容について伺います。
 次に、災害に強いまちづくり関連の質問をいたします。
 初めに、木密地域不燃化十年プロジェクトについて伺います。
 我が党は、これまでも、木密地域の改善には、従来の考え方にとらわれない大胆な発想や地元区の積極的な取り組みが不可欠であると主張してまいりました。
 都は、先般、不燃化特区、そして、特定整備路線を柱とする木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針を公表しましたが、その内容はまさに我が党の考えとも一致しておるものであり、意欲のある区と連携して具体化に取り組んでもらいたいと思っております。不燃化特区については、先行実施地域の募集も始まり、複数の区が応募を表明するなど、高い関心が集まっています。
 そこで、まず、不燃化特区制度の構築に今後どのように取り組むのか、所見を伺います。
 また、特定整備路線の整備が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、住宅政策についてです。
 一月に公表された住宅マスタープラン素案では、高度防災都市づくりに向けた取り組みが最重要課題として位置づけられ、さらに、木密地域の改善のほか、我が党の提案を受け、マンション建てかえ等に関する国への提案要求などが行われました。
 これに加え、既存住宅ストックの有効活用が住宅政策の大きな柱として挙げられました。都内六百八十万戸の住宅ストックを適切にリフォームしながら流通させていけば、都民の住宅ニーズへの対応などに有効であるとともに、沈滞する経済全体への波及効果も期待できます。現場で実務を担う業界の方々と十分に連携しながら取り組みを進めることが必要です。
 そこで、今後、既存住宅ストック活用をどのように進めていくのか伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 緊急輸送道路は、震災時の避難、救急、救援や緊急物資の輸送など、首都東京の生命線であり、沿道建築物の耐震化を一日も早く進める必要があります。都は、昨年の条例制定後、区市町と連携して、所有者への周知や対応を積極的に行い、この結果、耐震診断の相談件数が条例制定前に比べ大幅に増加していると聞いております。
 この機をとらえ、所有者が耐震診断を実施するよう、都としてさらなる働きかけを行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 一方、建築物の耐震性能を確保し、都民の生命と財産を守るために、診断結果を耐震改修に結びつけることが不可欠です。また、耐震改修には行政の取り組みだけでなく、民間の力も活用して進めることも重要です。
 そこで、今後、どのように耐震改修につなげていくかを伺います。
 次に、街路樹について伺います。
 都市の中で身近な緑である街路樹は、都市空間に美しさと潤いを与え、災害時には火災から都民を守るさまざまな役割を担っており、街路樹倍増計画で都内街路樹を百万本にふやして育てることは重要なことと考えます。
 今回、都は、「二〇二〇年の東京」の中で、新たに災害に強い街路樹へと回復、更新する大径木再生大作戦を展開するとしていますが、今後の取り組みについて伺います。
 津波、高潮対策について伺います。
 大震災は、巨大地震と、それにより引き起こされた大津波など、我が国がこれまでに経験したことのない複合災害であり、かつてその被害は東日本一帯に及びました。都では、これまでの想定を超える地震や津波等に対応するため、関係局が連携して委員会を立ち上げ、耐震性や耐水性の強化など、技術面の検証が進んでいるとのことであります。
 そこで、東部低地帯における河川施設の耐震施策について伺います。
 また、高度に都市機能が集積する東京の沿岸部を守るために、東京港における津波、高潮対策の強化が必要であると考えますが、見解を伺います。
 さらに、防災を担うインフラの中で、下水道は、地震時においても、その機能を確保し、快適な都市生活や企業活動を支えるとともに、水害から首都を守るために必要不可欠であり、いかなるときもその機能を発揮することが求められております。
 そこで、下水道施設の耐震化や耐水化の今後の取り組みについて伺います。
 次に、東京外かく環状道路の整備推進について伺います。
 外環は、首都圏の交通渋滞の解消や環境改善などの効果だけではなく、交通物流拠点を連携させることにより、低迷する日本経済を活性化するなど、欠くことのできない重要な幹線道路であります。大震災において、高速道路が迅速な救命、救援活動など大きな役割を果たすことが改めて認識されたところです。
 我が党は、党派を超えた都議会外かく環状道路建設促進議員連盟とともに、国に対して、一日も早く外環を完成させるよう、要請活動を強力に行ってまいりました。
 昨年十二月には、国から、二〇二〇年のオリンピック開催に向け、来年度早々にもトンネル立て坑工事に着手し、あらゆる手段を尽くして、できるだけ早く完成させたいとの発表がありました。また、平成二十四年度の直轄事業計画では、二百から三百億円の計上見込み額が示されました。
 こうした中、都においても二〇二〇年までの完成のため、今後の外環事業をいかに推進していくか、その取り組みについて伺います。
 多摩地域の都市計画道路について伺います。
 多摩地域では、平成二十七年度までに優先的に整備する路線を定めた第三次事業化計画に基づき、道路整備が進められた結果、整備率は約六割となりました。南北主要五路線の整備や中央線連続立体交差化などにより、以前と比べるとスムーズに移動できるようになったことは実感しているところでございます。
 しかしながら、道路の整備は道半ばであるため、ターミナル駅周辺などでは慢性的に渋滞をしています。また、広域的な視点で見ると、産業振興の面でも重要となる隣接県との往来には時間を要し、必ずしも便利とはいえません。さらに、大震災の教訓を踏まえると、防災性の向上に資する道路の一層の整備推進が求められます。
 そこで、今後の多摩地域の都市計画道路ネットワークの充実強化について、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、連続立体交差化事業でありますが、都内には、いまだ千百三十カ所もの踏切が残されております。特に震災時には、踏切による道路の遮断が緊急、救急活動の支障となり、深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
 都民の生命、財産を守る安全な都市を実現するためには、道路ネットワークの整備を推進するとともに、震災時に支障となる数多くの踏切を一挙に解消する連続立体交差化事業の推進が必要不可欠であります。
 そこで、連続立体化交差事業の推進に向けた取り組みについて伺います。
 さらに、水道事業について伺います。
 さきの大震災では、震源から遠く離れた東京でも、管路の抜け出しや計画停電による断水など、さまざまな被害を受けました。水道は、発災直後の消火活動や復旧、復興を支える上で不可欠であることから、想定を超える事態が生じようとも、水は供給し続けなければなりません。
 こうした状況を踏まえ、都では、大規模浄水場の一斉更新を見据えた水道施設の再構築のあり方の検討を進め、このほど基本構想の素案が策定されました。水道施設の再構築に当たっては、耐震性の向上はもとより、一部の浄水場が停止しても、他の浄水場や水道管路のネットワークでカバーするなど、幾重もの対策が必要です。
 そこで、将来におけるさまざまなリスクに対して、首都東京を守る水道の備えのあり方について見解を伺います。
 次に、都市の血液ともいえるエネルギーの対策で伺います。
 東京はこれまで、福島や新潟など遠隔地に電気を依存することで成り立ってきました。エネルギー確保、電力の安定供給策は、国家存立のための戦略そのものであります。今、我が国は原発事故という未曾有の事態を受けて、電力の安定供給をいかに図り、社会経済をどのように維持するかという問題に直面しております。そうした冷静な視点に立って、エネルギー問題の全体像をとらえることが肝要です。
 それゆえ、我が党は、一部に見られる東京電力をたたいて世論にこびする動きとは明確に一線を画すと申し上げます。また、先の見通しもなく、脱原発を唱える勢力にくみすることも決してありません。ましてや、迷走とその場しのぎに終始する政府の姿勢を看過できません。
 とりわけ、国において何の戦略もないまま、電気料金の値上げがあくまで一企業の経営の問題として論議されていることは容認できません。すなわち、社会全体の問題という点で、例えば、都民の命を支えている病院を初めとする医療関係団体、障害者や高齢者を預かる福祉施設等にとっては、人間としての尊厳を守る生活の担保として、エネルギーの問題は重大であります。
 同時に、歴史的な水準の円高と景気低迷のもとで、日本の宝である中小企業はもだえ苦しんでおり、料金値上げがさらなる打撃となることは必至です。製造業を国内から追い出すことにもなり、空洞化が一段と進めば、雇用は失われ、地域は疲弊し、日本経済はますます落ち込みます。
 こうした状況で、中小企業への配慮なしに料金を値上げすることは、昨年の夏、都民、国民が率先して行った節電への協力に対して、まさに恩をあだで返す仕打ちにほかなりません。
 知事には、電気料金の値上げの動きに対する所見と、ご自身の文明観、歴史認識に基づくエネルギー論について伺います。
 次に、知事がかねてより提唱し、昨年十二月に創設を公表した官民連携インフラファンドについて伺います。
 知事は、来年度の新規事業の一つとして、官と民が連携したインフラファンドの創設を予算案に計上しました。このファンドは、短期間で整備できる十万キロワット級のガス火力発電事業を初め、再生可能エネルギー事業も投資対象となっていると聞いています。
 政府がいまだ明確なエネルギー政策を示せない中、都がこれからの日本のエネルギー政策の先鞭をつけることになる当ファンドの創設は、都民、ひいては国民に安心を与える取り組みとして、我が党も大いに期待をしています。
 そこで、改めて、官民連携インフラファンドの創設のねらいについて、知事の所見を伺います。
 次に、都は、昨年夏の経験を生かし、良好な執務、居住環境を維持しながら合理的な省エネを継続するとともに、防災力の強化をねらった自立分散型、低炭素なエネルギーの確保に向けた戦略をいち早く打ち出すなど、国をリードする取り組みを進めてまいりました。
 東京の活力と国際競争力を維持向上させるためにも、最大の電力需要部門であるオフィスビル等が都と連携し、省エネと職場環境の快適性を両立できるスマートな省エネモデルを東京から発信すべきと考えますが、見解を求めます。
 エネルギーの安定供給を確保し、事業活動、都民生活の安全・安心を支えるという明確なメッセージを発することも重要です。
 都は、供給面の対策として、百万キロワット級の天然ガス発電プロジェクトの推進や臨海副都心における自立分散型電源確保に向けた取り組みを進めていますが、電力供給体制を強化するためには、既存の老朽化した火力発電所をリプレースするという手法も有効です。
 例えば、都内にある大井火力発電所は、運転開始からおおむね四十年が経過しており、原油を燃料とする効率が低く環境への負荷も大きい発電所です。
 こうした火力発電所を優先的にリプレースすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、産業振興について伺います。
 歴史的な円高といわれて以来、半年、無策のまま時間が経過をしました。国は、なぜこれほどまでに時間の流れに無反応だったのでしょうか。最近、日銀の金融緩和政策が講じられ、やや戻ったとはいえ、依然として高値にとまったままであります。
 円高にはメリット、デメリットがありますが、こと中小製造業についていえば重大な脅威です。まず、国は一刻も早く抜本的な空洞化対策を講じるべきであります。
 また、都としても、空洞化の危機に対処する必要があると考えます。ものづくり産業の空洞化への対応について、基本的な考え方を知事に伺います。
 次に、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについて伺います。
 都内のものづくり産業の強みは、すぐれた基盤技術を有する中小企業が地域の中で集積して、さまざまな部品や加工技術をしっかりと提供できる仕組みにあります。
 こうしたものづくり企業が設備更新などを進めることができず、周辺の住宅に配慮し十分な操業ができないため、廃業や海外移転を迫られることは製造業の競争力に深刻な影響を及ぼすものと考えます。
 そのため、都は、ものづくりを基礎から支える製造業の集積の維持と発展に向けた重点的な支援を展開すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、商店街振興についてですが、商店街は、地域の商業活動の拠点であるとともに、地域コミュニティの担い手として、住民の便利で快適な生活を支える重要な役割を果たしています。
 こうした商店街が、日常の買い物に不便の生じている買い物弱者の問題に取り組む場合、行政として効果的なサポートを行うことが必要と考えます。
 我が党は、このような新しい課題について、現状をしっかりと把握し、その結果を踏まえた施策をモデル的に展開すべきとの具体的提案も行っています。
 これを受けて、都は、昨年末に実態調査を取りまとめ、新年度の予算案にモデル事業を計上しております。一連の着実な対応を高く評価したいと思います。
 都が実施した調査の結果と、今後の事業展開について伺います。
 次に、観光産業の活性化に向けた取り組みについて伺います。
 大震災直後、外国人旅行者は大幅に減少しました。最近では、アジアを中心に回復が顕著です。先日の東京マラソンにおいても、多くの外国人ランナーが東京のまちを疾走するなど、明るい話題もふえてきました。
 こうした機をとらえ、外国人旅行者を積極的に誘致し、東京の魅力を直接発信することが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック招致にもつながると考えます。
 また、五月には東京スカイツリーが開業するなど、新たな観光スポットも誕生します。
 そこで、この好機を生かし、来年度は観光産業の一層の活性化に向け、どのような取り組みを重点的に展開していくのか伺います。
 被災地応援ツアーについて伺います。
 来年度は、福島県を対象に被災地応援ツアーを実施することになりましたが、我が党が要望した日帰り旅行が追加されたことを評価します。桜の時期に合わせた開始を望むものでありますが、日帰り旅行の実施の考え方、内容、あわせて開始時期について伺います。
 次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化についてですが、アジア地域での国際会議は、最近五年間で二倍以上の伸びとなっております。
 シンガポールや韓国、中国などはMICE分野の高い成長性と経済効果に着目して、大規模なMICE施設が次々と整備され、日本は後塵を拝する状況となっております。
 都では、昨年、アジアヘッドクオーター特区構想を掲げ、全庁的に取り組みを進めています。特に東京ビッグサイトやホテル、商業施設などが既に集積している臨海副都心は、戦略上極めて重要なエリアであります。
 今後、臨海副都心のMICE、国際観光拠点に向け、都はどのように取り組みを進めていくのか伺います。
 さらに、雇用対策について伺います。
 若者の雇用情勢は、完全失業率がほかの年齢層より高いなど、深刻な状況にあります。
 一方、都内経済を支える中小企業では、多くの企業が人材確保に悩んでいます。
 我が党は、若者が中小企業にも目を向け、強い意思を持って社会に出て自立することの重要性を指摘してきました。また、企業が将来を担う優秀な人材を確保するためには、十分に人材を見きわめることも必要です。
 都は、若者と都内中小企業とを結びつける取り組みとして、未就職卒業者緊急就職サポート事業を今年度から開始いたしました。
 来年度には、本事業を拡充するとともに、新たに環境など、今後、成長が期待できる分野への若者の就業を促すとのことですが、こうした取り組みのねらいについて伺います。
 多摩地域では、しごとセンター多摩が地域の中小企業団体などと連携して、人材確保に寄与したところは評価いたします。
 さきの定例会で多摩地域の就業支援策を拡充すべきとした我が党の主張を受け、都は実行プログラム二〇一二で、しごとセンター多摩の就業支援拠点としての機能を強化すべく、その移転に着手するとされました。
 その移転を機に、雇用面からのサービスのワンストップ化を図り、企業の抱えるさまざまな課題解決を総合的に支援することが重要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 まず、後期高齢者医療制度ですが、この制度は、超高齢社会に備え、国民皆保険を堅持するために構築された制度です。
 その財源は、一割を被保険者の保険料で、残り九割を公費及び現役世代からの支援金で賄うことが原則でございます。
 現行制度の廃止を方針とする現政府は、二年前の保険料改定時にこの原則をゆがめ、財政安定化基金を活用して、保険料の上昇率を抑制するよう都道府県に要請をしました。
 その後、制度廃止についての検討は遅々として進んでおりません。将来見通しが立たない中、保険料改定の時期を迎えますが、都はどのように対応するのか伺います。
 現在、都は、高齢者施策の基本となる東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めています。東京都では、高齢化率が平成二十七年に二四・二%、四十七年には三〇%を超え、都民の三人に一人が六十五歳以上となる見込みです。ひとり暮らしの高齢者、平成二十二年の六十万世帯が平成二十七年には七十一万世帯と、一九%増加すると推計されております。
 これらの高齢者が、たとえ介護が必要な状態や認知症となったとしても、できる限り地域での自立した生活を送ることができるよう、的確な支援を行っていく必要があります。
 そのためにも、特別養護老人ホームなど施設の整備はもちろん、グループホームなどの身近な地域に根差したサービスの充実が不可欠です。
 都は、広域的自治体としての基盤整備を強力に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 都の調査によりますと、高齢者の約三割が、長期療養が必要となった場合に在宅での療養を希望しています。こうした希望をかなえるため、医療と介護が有機的に連携したサービスを提供し、高齢者の在宅療養を支えていく体制を構築することが極めて重要です。
 都は、高齢者保健福祉計画の中で、在宅療養をどのように位置づけようとしているのか伺います。
 また、介護保険財政安定化基金について、平成二十四年度に限って取り崩すことができ、都道府県はこのうちの三分の一を介護保険に関する事業に充てるよう努めることとする法改正がなされました。
 我が党は、第三回定例会において、こうした財源は、中長期的な視点に立って将来を見通した施策に活用すべきであると指摘しました。都として、実際にこの財源をどのように活用していくのか伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者が地域で安心して暮らせる社会を目指し、平成十八年に障害者自立支援法が施行されました。都は、これに基づいて東京都障害福祉計画を策定し、グループホームなど地域生活に必要なサービス基盤の確保に努めてきました。
 第二期計画は、今年度末をもって終了となりますが、今後も障害者が地域で安心して生活するための基盤を引き続き整備すべきものと考えます。都はどのように取り組むのか伺います。
 次に、保育サービスについて伺います。
 大都市特有の保育ニーズにこたえるため、都が創設した認証保育所は、本年で十年を迎えました。零歳児保育や十三時間開所を義務づけるなど、大都市特有の保育ニーズに的確に対応した本制度は順調に拡大を続け、待機児童解消にも寄与してまいりました。
 しかしながら、現政権はいまだ認証保育所の実績を認めようとしません。十周年を迎え、都民から大きな信任を得ている認証保育所について、改めて知事の所見を伺います。
 都は、保育サービス緊急三カ年事業などにより、これまでも保育サービスの充実を図ってきましたが、昨年四月の待機児童は七千八百五十五人と依然として高水準にあります。
 待機児童解消に向け、引き続き計画的な施設整備を進めるとともに、利用者ニーズに即した取り組みをこれまで以上に促進することが重要と考えますが、今後どのような取り組みをするのか伺います。
 保育サービスの総量をふやす一方、転居や育児休業明け等、年度途中に発生するニーズに対して、既存施設を有効に活用し、柔軟に対応していくことも大切です。
 今回、都が提案する認可保育所の設備、運営基準を定める条例で、我が党が支持してきた認証保育所の成果を踏まえた面積基準の弾力化を認めることも施設の活用を促すものと考えますが、所見を伺います。
 次に、養育家庭について伺います。
 昨年八月、都が委託した養育家庭の児童が死亡した件について、里親が逮捕されるという事件がありました。
 都が昭和四十八年度から国に先駆けて取り組んできた養育家庭制度は、親元で暮らすことができない子どもたちを家庭的な環境のもとで養育するもので、児童の健全育成を図る上で重要な役割を果たしてきました。
 今後、この制度をさらに促進するために、今回の事件も踏まえ、養育家庭に対する支援を一層充実する必要があると考えます。
 都は、第三回定例会で、我が党の質問に対して、児童福祉審議会において改善策の検討を行った上で、必要な支援策を講じると答弁しました。
 先月、児童福祉審議会から提言がありましたが、都は、養育家庭への支援強化に向けてどのように取り組むのか伺います。
 次に、学校給食用食材に対する放射性物質の検査について伺います。
 国は、学校給食に関し、より一層の安全・安心を確保する観点から、学校給食用食材に対する放射性物質検査機器の整備に対する補助制度を創設しました。我が党は、昨年十二月、都教育委員会に対して、国の補助も活用しながら、学校給食に対する保護者の不安を払拭するよう要望書を提出しました。給食の安全・安心確保の観点から、都教育委員会はどのように対応していくのか伺います。
 次に、教育の諸課題について伺います。
 我が国が激しい国際競争に打ち勝っていくには、次代を担う人材の育成に本気で乗り出さなければなりません。
 今月、教育再生・東京円卓会議の第二回会議が開かれ、科学技術と教育をテーマに具体的に議論が行われたと聞いております。出席者の一人でありますJAXAの川口淳一郎教授は、国民に感動を与えた「はやぶさ」プロジェクトのリーダーです。
 この「はやぶさ」に象徴されるように、世界に誇るべき技術立国日本ではありますが、日本の若者の理数系離れが進み、数学、科学分野での応用力の低下が懸念されます。急速な成長を続けている中国や韓国などに負けないためにも、今こそ国を挙げて科学技術分野の人材育成に取り組まなければならないと考えます。
 このたびの円卓会議の成果について、知事の所見を伺います。
 都立高校改革について伺います。
 都教育委員会は、新たに都立高校改革推進計画を先日公表し、生徒に知、徳、体を確実に習得させ、一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育を実践するとしています。
 さきの大震災では、多くの人々が被災地支援に従事する姿を見て、私たちは社会の一員として奉仕することの大切さを改めて認識しました。今後は、次代を担う若者が、災害時のボランティア活動はもとより、日ごろからみずから先頭に立って社会貢献することが重要になります。
 そこで、社会貢献に必要な実践力を都立高校生に身につけさせるため、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
 来年度から実施する次世代リーダーの育成について伺います。
 我が国を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、閉塞感を打ち破り、国家の希望となる若者の育成は喫緊の課題となっています。
 昨年末の第四回定例会でも、我が党は高校生を海外に派遣し学ばせるなどして、諸外国の人々と臆することなく渡り合える、国際感覚を備えたたくましい若者の育成の重要性を指摘しました。
 今回の計画の中で、世界に伍して活躍する人材を育成するため、次世代リーダー育成道場を開設していくとされていますが、そこで、この次世代リーダー育成道場の具体的な内容について伺います。
 次に、私学振興について伺います。
 東京の私立学校は、建学の精神と独自の教育理念に基づき、子どもたちの個性に応じた特色ある教育活動を実践し、多くの優秀な人材を輩出してきました。東京の私学は、公教育において極めて重要な役割を担っております。今後もその役割を果たしていくことが期待されます。
 このような私立学校の教育活動をより一層振興、支援していくことが必要であると考えますが、都において私学振興の取り組みについての見解を求めます。
 我が党は、こうした人材の育成を進めるため、かなめとなる教育環境の整備を重視し、これまでも私学における耐震化の推進やICT環境の整備などに取り組んできました。
 今後とも、これらの取り組みを充実させていくことは重要でありますが、さらに、昨年発生した大震災は、子どもたちの命を守るという最も基本的な課題を改めて浮き彫りにし、教育現場における安全・安心の確保が一刻の猶予もならないことを再認識させられました。
 この大震災の教訓を踏まえ、都は、私立学校における安全対策にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 先日の東京マラソンでは、三万六千名余りのランナーが、全力で東京都心を駆け抜けました。副知事も完走したという報道もございましたが、知事が立ち上げた東京マラソンは、ランナー、ボランティア、観客までが一体となる、日本を代表するスポーツイベントに成長しました。今年は、外国人ランナーが家族などと楽しむフレンドシップランも開催するなど、内容も年々充実しています。
 さらに、十キロの部に、被災地から高校生百名を招待しており、子どもたちの心に思い出を刻み、勇気づけることにも大いに貢献したのではないでしょうか。
 スポーツは、このように人々に元気と感動を与えることができるものであり、震災で疲弊した日本を、復興に向けて後押ししていく力を秘めております。
 昨年、スポーツ基本法が施行されましたが、都では、国に先駆けてスポーツ振興局を設置し、来年度のスポーツ予算は国を上回る二百三十八億円余を提案するなど、東京が日本のスポーツ行政を牽引しているといえます。
 今後は、だれでもスポーツに親しめる施策の一層の推進が必要であり、障害者はもとより、高齢者がいつまでも生き生きと活動できる地域社会を構築するため、我が党が主張するシニアスポーツの振興にも力を入れるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、震災からの日本の復興、スポーツ祭二〇一三の開催、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの招致など、スポーツを通じた大きなムーブメントを繰り広げていくためにも、東京都スポーツ振興基本計画を改定し、新たな推進指針を策定すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
 スポーツ祭東京二〇一三の開催まで、残すところあと一年余りとなりました。本大会は、スポーツの力を実感することはもとより、多摩・島しょの豊かな自然、歴史、文化、観光資源など東京の多様な魅力を全国にアピールする絶好の機会となり、スポーツのすばらしさやさまざまな可能性を訴える、意義ある大会とすべきです。
 近年の国体では、開会式が午後二時ごろに開催されていますが、日暮れの時間帯を活用し、効果的な演出を行うなど、東京だからこそできる印象的な開会式としていく必要があると考えます。スポーツ祭東京二〇一三の成功に向けた知事の所見を伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 我が党は、前回二〇一六年招致の際には、各会派に呼びかけ、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟を設立するなど、招致に向けて積極的に取り組んでまいりました。
 今回の二〇二〇年招致は、東日本大震災から約一年を経た今、いまだ閉塞感のある我が国を、再び元気に躍動する日本に再生するため、国民全体が一丸となってかち取らなければなりません。都民、国民の理解、支持を得るために、オリンピックを日本で、そして東京で開催する、オリンピック招致の理念を明確にする必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 また、今回、招致をかち取るためにも、東京の強みを強調すべきと考えますが、東京はどのような大会を目指すのか伺います。
 この一年間、未曾有の事態が次々と押し寄せ、そのたびに、大都市東京の経営を知事とともに担う都議会自民党は、事態の解決に向けて責任ある対応をしてきたと自負を持っております。
 これからも、防災はもとより、幅広い分野で血の通った政策を打ち出し、確実に実行することを通して、責任政党としての役割を全うする決意を申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 宮崎章議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、被災地の再起と日本の未来のために東京が果たすべき役割についてでありますが、東日本大震災から既に一年がたとうという今、ようやく復興庁が創設されるという事例を一つ見ても、被災地の懸命な努力をよそに、政府はスピード感を致命的に欠いているという印象を否めません。
 かつて、後藤新平は関東大震災から一月もたたないうちに帝都復興院をつくって、単なる復興にとどまらない、今日のモータリゼーションの隆盛を見越した、いわゆる昭和通りでしょうか、ああいったものも創設して復興計画を推進しましたが、これとは大分違うなという感じが否めませんが、要するに発想力と行動力の能力の違いじゃないでしょうか。
 一方、国民も、アメリカ依存の平和に安住してきて、物質的な繁栄を謳歌してきたために、その結果、何を得て何を失ったのか、私はどうも失ったものの大きさを考えますと慄然とせざるを得ませんが、ともかく東京にも事例はありましたけど、自分を産んで育ててくれた親の弔いもせずに、その年金を三十年にわたって詐取するというやからも、世界じゅうにこの日本にしかいないんじゃないでしょうか。
 そういう日本人の質的な変化の中であの震災が起こったわけでありますが、とにかくこの大震災からの復興は、日本人が一丸となって取り組まなければなし得ないことは論をまちませんけれども、日本人同士の連携、つながりの中で最も基本的な単位であります家族というきずなですら、さっき申しました事例が明かすように、あのていたらくでありました。
 大震災で日本人も変わったといいましょうか、本来の美しい姿を取り戻したという向きもありますが、しかし、これは本当に一部の現象であって、被災地の復興を阻んでいる瓦れきの処理も、どういうわけですかね、全く震災に関係ない、影響を受けなかった他の地域の全国の自治体の協力が一向に得られずにおります。
 これは本当に残念な兆候でありまして、やはり国民一人一人が同じ日本人という、そういう意識の上で、傷ついた仲間の手助けに一歩、二歩、三歩、もっと積極的に乗るべきだと思います。
 私は、瓦れきの問題をとらえて考えましても、一種の戦でありますが、何で総司令官の総理大臣がもっと大きな号令を出さないのでしょうか。地方自治体でこれを拒んでうろうろしている首長に、総理大臣がもっと強い言葉で叱責し、協力を促すのが私は本来あるべき政治家の姿じゃないかと思います。
 国がみずからの役割を果たしていないのならば、日本のダイナモであります東京がこの国を牽引する使命を果たすしかないと思いますが、各県が現地事務所を引き払っている中で、東京都は今も事務所を構えて、被災県からの要望を直接酌み取り、支援をしております。
 被災県の要請を受け、警視庁の警察官を初め、四百人を超える都の職員が東京を離れて被災地で活動しているわけでありまして、風評被害にも対応すべく、被災地への旅行に助成する応援ツアーも実施し、来年度も原発事故に苦しむ福島を対象に継続してまいります。
 被災地からの瓦れきも、区市町村や民間とともに、三年間で五十万トンを受けるつもりでありまして、都は、これからも全国の先頭に立って被災地の復興を強力に後押ししていきたいと思っております。
 昨日も、福島県の代表の方から、あれは新聞でしたか、取材を受けましたが、やはり放射線に関係のない、かつて非常に盛んであった観光地にも、本当にこのごろは人影がないということで、ならば、この次の関東知事会ぐらいは、私はやっぱり福島県の裏磐梯あたりでもう一度どうかとこれから関東知事会に提案するつもりでありますけれども、いずれにしろ、同胞への惜しみのない支援を通じて、かつての日本人の姿をもう一度取り戻したいものだと思います。
 次いで、「二〇二〇年の東京」計画についてでありますが、これまでも都は、都市戦略であります「十年後の東京」計画を構え、千ヘクタールの緑の創出や三環状道路の整備など、具体的な施策を重層的、複合的に展開してまいりました。
 一方で、国は、昨年の大震災の発生により、国家の危機がますます深刻化しているにもかかわらず、どうも国家発展のかなめであるエネルギー戦略一つをとっても、この国の進むべき道筋を描くことができずにおります。
 このままでは、この国は沈没必至でありまして、残された猶予は余りないような気がいたしますが、ならばこそ、この国家の危機に臨んで大震災の痛手から立ち上がらんとしているこの日本の再生を牽引すべく、「二〇二〇年の東京」計画を策定いたしました。
 この計画を羅針盤に、これまでの取り組みをさらに加速するとともに、大震災により明らかになった防災力の向上やエネルギー政策など、新たな課題にも都が率先して行動していきたいと思っております。
 具体的には、東京をやがては襲うであろう大震災に、大地震に耐え得る都市に改造するために、都市施設を徹底して耐震化するとともに、三環状道路を完成させ、日本の東西分断を防ぐという交通ネットワークを構築していきたいと思います。
 また、都市開発と連動して自立分散型発電を充実するなど、エネルギーの安定供給に向けた大都市ならではの取り組みを都独自に推進してまいります。
 東京が都市のあるべき姿を世界に発信して、先陣を切って行動を起こすことでこの大震災を乗り越えて、日本の再浮上につながると、そういう努力をしたいと思っております。
 次いで、平成二十四年度予算についてでありますが、今回の予算は、都税収入が五年連続で減少しまして、財政環境が非常に厳しい中で、いかにして都民の不安を払拭し、東京の活力を高めていく手だてを講じていくか、非常に難しいかじ取りが求められた編成作業でありました。
 そのため、新たな公会計の視点も一層活用しまして、徹底的にむだを排除するなど、全体の支出を抑制する一方、防災力強化や少子高齢化対策など、必要な施策を厳選して、限られた財源をめり張りをきかせて重点的に振り向けました。
 とりわけ経済波及効果の高い、これはもう経済学の通念でありますけれども、公理でありますけれども、公共事業については現下の厳しい景気状況も踏まえて、外環を初めとした都市インフラの整備や公共建築物の耐震化など、積極的に推進しております。
 編成に当たっては、場当たり的ではなくて、中長期的な視点で対策を講じることや、現場からの発想を生かして、先進的かつ効果的な施策に積極果敢に取り組むことに心がけました。
 この予算を原動力として、首都東京を成長と発展の軌道に乗せ、東京から日本の再生を牽引するべく全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 次いで、首都直下地震に対する備えについてでありますが、いつ発生するかわからない大震災に対して、決して人任せにせずに、自分の命を守るためには備えを急がなければなりません。
 我々は、複数のプレートがぶつかり、ひしめき合っているという非常に危険な地勢学的な条件のもとに暮らしているわけでありまして、ゆえに、地震が起こっても自分だけは大丈夫だとわけもなく単純に考えることはなしに、地震を自分のこととしてとらえなければならないと思います。
 自分の身の安全を確保したら、次は共助といいますか、ご近所に目を配るという、そういう姿勢も絶対に必要だと思います。
 先般、記者会見で、あるベテランの記者が、共助というよりも近助じゃないですかと、なかなかうまいことをいいまして、それは確かに近所の近は近くで、所は助けるにして、これは新しい言葉だなと思いますが、いずれにしろ、ご近所がどうなっているかということを、次いで気を配るということが必要だと思います。
 木密地域の住民による消火隊やレスキュー隊など、意欲的な取り組みを防災隣組として認定し、新たな取り組みを立ち上げる地域には専門家を派遣して支援することにより、身近な者同士で命を守る取り組みを広めていきたいと思っております。
 また、東日本大震災当日の多量の帰宅困難者の発生や駅での締め出しといった事態を決して繰り返すことのないように、これはこの間も強くJR東日本の社長を呼びつけてしかりましたが、企業での備蓄や、駅での利用者保護などを定めた帰宅困難者対策条例を制定いたします。
 都民、事業者がそれぞれの責任を果たしつつ、ともに助け合う社会の実現に向けて、東京が一体となって取り組みを進めていきたいと思っております。
 さらに、緊急輸送道路の沿道建築物や東京湾沿岸での水門等の耐震化など、都市防災力高度化に向けたハード対策はもとより、被災地で有効に機能した災害医療コーディネーター、これは現地に派遣した都の職員が持ち帰った、既に地震の多い、多発する東北では実現されていたシステムでありますけれども、非常に参考になりました。災害の際の医療コーディネーターを大都市の特性を踏まえた独自の仕組みとして導入していきたいと思っております。
 加えて、決死の放水活動によって、原発事故の危機的な局面を打開したあのハイパーレスキュー隊も八王子に増設するなど、公助の充実も図っていきたいと思っております。
 発災時に首都としての機能を維持して速やかな回復を図ることは、日本全体にとっても死活的な問題だと思っております。
 いつ来てもおかしくない大震災に対して、東京の総力を結集し、自助、共助、近助、公助のすべてにわたり備えを固めていきたいと思っております。
 次いで、エネルギーの問題でありますけれども、現在、東京電力の料金値上げの問題が議論されておりますが、事実上、独占企業である東京電力が都民、国民に料金値上げをお願いするのであれば、まず会社が情報を公開して、いかなる資産をむだに持っているかということを公開して、その理由も明らかにし、そういったむだを徹底してそいで合理化することなど、まずやるべきことをやるのが当然でありまして、その上で仮に値上げがやむなしということになったとしても、東京電力において地域の経済活動への必要な配慮が当然なされるべきだと思います。
 しかし、電気料金値上げの議論を引き起こした原発に関する一連の問題を冷静にとらえますと、政府は東京電力の構造改革を徹底して進めるのは当然だとしても、この問題を一会社だけの問題に矮小化することはできないはずであります。
 歴代政権は、自民党も含めてでありますけれども、国策として、ともに原発を推進し、最も大事な原発の管理にも一緒に携わってきました。これはいろいろ問題を含んでおりまして、フランスなどの方式と違って、日本の場合にはこの原発の推進、遂行体制というものが非常に複雑で、多岐にわたって、私は決して好ましいものではないと思います。
 そもそもエネルギーの安定的な確保は重要な国家戦略でありました。その確保をめぐっては、時としては戦争の原因にもなるという、そういう国益そのものでありました。
 かつて我が国は、心ならずも、とにかく戦争に追い込まれた。あの原因は、資源を求めて南方に進出し、そして、アメリカは対日石油禁輸を実行したわけでありますが、あのハル・ノートで、明治以来、日本が戦争で獲得した領土を全部返さなければ、一切とにかくエネルギーの供給を断つと。これはもう日本は資源が全くない国でありますから、これは致命的な通告でありまして、結局、日本はあの戦争に引きずり込まれたと。
 今も核開発をめぐって、アメリカ主導の経済制裁に反発するイランが原油を盾に抵抗し、その重要な輸送路がありますホルムズ海峡の封鎖も予告するなど、資源をめぐっての国際情勢は緊迫度を増しておりますが、エネルギーの議論をいたずらにもてあそびますと、国そのものが滅びるということにもなりかねない。
 今求められることは、原子力に対するこのセンチメントな、センチメンタルな原発廃止論ではなくて、原発推進か反対かという単純な二者択一論じゃなくて、こうした主張を展開する一部の人々におもねることでもなくて、我が国が置かれた国際情勢を冷静に分析し、地球温暖化の問題を念頭に置きながら、これからの技術の進歩を見据え、現実的な期間を想定して、その間、我々がどの程度の生活水準を望み、そのためにいかなるエネルギーをどれだけ確保していくかという、政府の手による徹底した大きなシミュレーションというものをやっぱり行わなきゃだめだと思います。その結果、政治が責任ある決断を下すべきだと思います。
 このままでは、四月に国内すべての原発が停止するわけでありまして、国は、震災から一年半近くたつこの夏までに、今申しましたように大きなシミュレーションを踏まえてエネルギー戦略をきちっと立てると。その必要がありますが、やっていることが非常に悠長で、あんまり現実性がない。もう一刻も早く決断をして、新たなエネルギー戦略を打ち立てるべきだと思っております。
 官民連携インフラファンドの創設のねらいについてでありますけれども、国と地方の債務残高は、GDPの二倍に当たる一千兆円にも上っておりまして、もはや借金に頼った行政運営は限界であります。
 仮に日本がこの財政事情を抱えながら新規にEUに参加しようと思っても、これは不可能だと、そういう財政状況でありますが、別にEUに参加することはそれほど日本にとっても大事なことではありませんけれども、EUもあのていたらくでありますから、それは論外であります。
 一方、国内の社会資本は高度経済成長期に集中的に整備されまして、四十年以上たった今、更新時期に来ている施設が膨大にあります。この更新を官だけで支えるのは不可能でありまして、民間資金の活用が欠かせません。
 しかるに、銀行は、国債保有額を大きく増加させる反面、企業への貸し出しは伸び悩んでおりまして、本来の機能を発揮しておりません。海外では、広く内外のマーケットから資金を集めるインフラファンドが活用されておりまして、海外の主要なファンドの過去五年間での投資額は、公表されているものだけでも十二兆円に上っております。
 これまでこのインフラファンドを活用するよう、幾度も国に提言してきましたが、国の動きは非常に鈍いと思います。そのため、都が先導役になりまして、社会資本投資における長期的かつ安定的な資金循環システムとして、我が国初の官民連携インフラファンドを創設することといたしました。
 現在、首都圏では、老朽化した火力発電所が故障の危険も抱えながら稼働しておりますが、喫緊の課題であります電力の安定供給にも直接貢献すべく、このファンドを使って発電事業に集中的に投資していきたいと思っております。
 経済危機や電力危機への対応は、何よりもまず実践が肝心でありまして、国に電力の真の制度改革を迫ることはもとより、こうした新しい資金循環システムを現実に示すことで、我が国の経済の活力を取り戻すきっかけとしていきたいと思っております。
 次いで、ものづくり産業の空洞化への対応についてでありますが、いつの時代にも経済の進歩は新しい技術の開発によってもたらされてきました。これは歴史の原理であります。時代のニーズに合った新たな産業も、その基盤となる技術があってこそつくり出されるわけでありまして、六十億キロもの旅路から無事帰還し、世界を震撼させたあの「はやぶさ」の小惑星イトカワへの軟着陸を可能にしたのは、都内中小企業が持つアルミ加工技術でありまして、八千メートルの深海探査に挑む「江戸っ子一号」の開発も、防水ゴムやプレスなど優秀な技術を持つ東京の下町のまち工場が結集して始まりました。
 もとより、円高にはメリット、デメリットもありますが、事中小の製造業にとってはデメリットが大きく、このまま手をこまぬいていたら、高度な技術を持つ中小企業の集積も失われ、二度と取り戻すことができなくなります。
 先般、試写を見せてもらいました、渡辺謙君が主演した「遙かなる帰還」でも、大田区の中小企業のおっさんが、自分の技術でつくり出したパーツを提供して、会社がつぶれかかっているのに、日本人としての強い感動を覚えるために、内之浦まで行って娘にからかわれるというような、結局その企業は倒産してしまうんですけれども、あの映画が、すばらしい日本の技術の成果、快挙というものを映したと同時に、東京にある中小企業がいかに残酷、薄命にさらされていることも映し出してくれたことは、私非常によかったと思っております。
 こうした空洞化の危機に対しては、都は、新製品、新技術開発への支援に加えて、新たな産業の担い手をふやすためのベンチャーファンドの創設や、区市町村と連携し、新たに基盤技術の集積を維持する事業に取り組んでいきたいと思っています。
 これらの施策を重層的に講じることによって、競争力の高い企業の立地を確保し、ものづくり産業の集積を維持していくつもりであります。
 次いで、認証保育所についてでありますが、十年前、皆で知恵を出して大都市の保育ニーズにこたえるサービスとして、都独自の認証保育所制度を創設しました。最初はわずか三カ所から始まった認証保育所は、多くの都民の皆様の支持を得て、今や六百二十四カ所、定員は二万人を超えて、東京になくてはならない保育サービスにまで発展しました。
 この現実を見ながら、国の役人は規約を変えて、こういった認証保育所に、いわゆる認可保育所と同じような援助をしようとしない。これは本当に国の役人の通弊で、現場を知らない、現場を見ない、現場に踏み込まない、こういったばかな停滞というものが、新しい世代を育てるために大きな大きな障害になっているわけでありまして、これは何としてでも、この厚生省のばか役人どもが構えているバリアを東京からやっぱり破りませんと、東京の子どもたち、都市の子どもたちは救われない。皆さんもひとつ与野党──どれが与党か野党か知らないけれども、皆さんの議会挙げての協力をお願いしたいと思いますね。
 しかし、とにかく、現在検討している子育て支援の新たな仕組みでも、保育士の配置や児童一人当たりの面積など、全国一律の基準を変えないでいるわけで、例えば、看護師さんは病院でかなり複雑な治療に協力するわけですから、専門性を必要とするでしょうが、子どもや年寄りのシッターといいましょうか、介添えは、これは日本語がたどたどしくても、言葉の数がたくさん要るわけじゃありませんから、もっともっと外国人を登用したらいいと思いますけど、こういった障害をやっぱり東京から取っ払って、子どもの保育と老人の手当て、保育のために、私は、その意思のある非常に心の優しい外国人がたくさんいるわけでありまして、そういったものをもっと受け入れやすいような体制をできればこの東京からつくっていきたいと思っております。
 いずれにしろ、国家の未来を揺るがす少子化を打破するにも、安心して子どもを産み育てられる環境が必要でありまして、そのために都は、潜在ニーズも含めて、待機児童を抜本的に解消すべく、区市町村と連携して、人材の登用も含めて、保育サービスを大幅に拡充していきたいと思っております。
 その柱として、またこれから子どもを持ちたいと願う家庭の不安を解消するためにも、認証保育所の取り組みは一層強力に推進していきたいと思っております。
 次いで、円卓会議の成果についてでありますが、文明の進展は必ず新しい技術によってもたらされて、技術の力こそが国力であると思います。個々人の旺盛な知的好奇心、たゆまぬ努力と研ぎ澄まされたひらめきや創造性が一つに結集されて、日本人ならではのあの「はやぶさ」のようなプロジェクトが完成され、遂行されるわけであります。
 日本は、世界に比類のない技術力を備えるに至りましたが、翻って、昨今の若者の状況を見ますと、理数系離れが進んで、日本の持つ技術力に暗雲が立ち込めていることは否めないと思います。
 今月、教育再生・東京円卓会議を開きまして、すぐれた科学者や数学者を交えて、人材育成について議論いたしました。我が国の科学技術の基盤を担う人材を育成するためには、まず知的な好奇心をはぐくみ、その上で創造性やひらめきを引き出すための環境づくりが重要であるとの思いを一層強くいたしました。
 具体的な提案として、家庭や学校で日常的に科学の魅力に触れる機会を提供するなど、筆記試験でははかれない学生の創造力を評価する新たな仕組みを導入することなどのアイデアが出されまして、非常に参考になりました。
 今回の会議で得られた具体的な意見や提案も踏まえて、若者の存分な好奇心と斬新な発想力を伸ばす教育改革に取り組み、日本の輝きを何とか取り戻していきたいものだと思っております。
 次いで、スポーツ祭東京二〇一三についてでありますが、この大会は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を我が国で初めて一つのスポーツの祭典として開催するものでありまして、障害のあるなしにかかわらず、すべての人々がスポーツを楽しめる社会を実現することを目指しております。
 スポーツには、人々を結び、元気づける力がありまして、それを広く発信するためには、これまでの大会のあり方にとらわれずに、都民、国民に感動を与える新しい大会の姿を造形していく必要があると思います。
 このため、大会の象徴となる総合開会式を薄暮から夜間にかけて開催することによりまして、光や火を効果的に活用し、スポーツの持つ夢と感動や、震災から立ち上がる日本の姿を力強く表現していきたいと思います。
 今後、すべての区市町村とともに、一丸となりまして東京ならではのスポーツ祭東京二〇一三を成功させ、東京オリンピック・パラリンピックへとつなげていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック招致の理念についてでありますが、大局観を欠いた国政や停滞する日本経済など、我が国は強い閉塞感に覆われております。加えて、国は東日本大震災からの復興への明確な道筋をいまだに示せずにおります。
 今こそスポーツが持つ夢、希望、目標を生み出す力、さらには限界までに挑戦する勇気を持って、この国を活気づけることが重要でありまして、先日の東京マラソンでも、多くの市民ランナーがゴールを目指して自分自身の限界に挑み、おくれて入ってくる人ほど私にとっては感動──美しく見えましたが、このスポーツの力を、とりわけ次代を担う若者たちが体感することで、自信と誇りを取り戻し、みずからの可能性に挑戦することが重要であります。
 しかし、東京のあのマラソンを見ていますと、年配者が走って、その息子たちが、子どもたちが横で応援しているという奇妙な現象を随分見ましたな。いずれにしろ、世界最大のスポーツの祭典でありまして、震災復興の目標ともなるオリンピックを招致し、日本の再生を牽引していかなければならないと思います。
 東日本大震災からの復興を果たしたこの日本で最高の大会を開催することは、困難に直面した世界じゅうの人々に勇気と生きる力を与えるに違いないと思います。招致は非常に厳しい厳しい戦いでありまして、国家の総力を挙げて、日本のダイナモである東京が何としてでも招致をかち取っていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、学校給食用食材の安全・安心の確保についてでございますが、食品の安全に関しては、生産、流通の各段階で、既に関係諸機関において食品の放射性物質検査を実施しており、学校給食の安全は確保されているものと認識しております。
 さらに、昨年十二月にいただいた要望を踏まえまして、学校給食に対する保護者の不安払拭のため、都教育委員会は、食品の放射線検査機器を今年度内に購入し、都内公立学校を対象に一校当たり年間三回程度、調理前の給食用食材四品目を前日までに検査できる体制を整備いたします。検査に当たりましては、各区市町村教育委員会等の意見を聞きながら実施してまいります。
 次に、社会貢献に必要な実践力の育成についてでございますが、これまで都教育委員会は、すべての都立高校に「奉仕」の授業を導入し、例えば地域清掃などの環境保全活動や、高齢者の介護補助といった福祉施設での活動等、各学校が工夫したさまざまな体験活動を行ってまいりました。
 来年度は、防災教育を通して、社会貢献に必要な実践力を身につけさせるため、都立高校十二校を防災教育推進校に指定し、東京消防庁消防学校等で一週間程度の共同生活を通した災害時支援活動訓練等を行います。さらに、学校や地域の核となる防災活動支援隊を結成し、それらの成果を全都立高校に普及してまいります。
 こうした取り組みを強化することによりまして、社会貢献意識を持ち、互いに助け合う共助の主体となって、みずから考え、行動できる生徒を育成してまいります。
 次に、次世代リーダー育成道場についてでございますが、この事業では、すべての都立高校から意欲ある生徒を選抜し、国内外での研修を実施してまいります。
 国内での事前研修では、我が国の伝統や文化を学ばせますとともに、英語による講義や各界の著名人等の講演を通して、海外で通用する英語力や広い視野を身につけさせ、果敢に挑戦する意欲を醸成してまいります。
 その後の一年間の海外留学では、ホストファミリーとの生活や現地の高校での学習に加えまして、大学や研究機関等での課題研究やインターンシップなど、異なる文化や生活習慣の中でさまざまな学習や体験を行わせます。
 こうした都独自のプログラムにより、生徒を鍛え、将来、さまざまな分野で活躍するリーダーを育成してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、特定整備路線の今後の取り組みについてでございますが、木密地域における都市計画道路の整備は、延焼遮断のための空間確保のみならず、沿道などの土地利用を転換し、地域内の建物の不燃化促進の起爆剤ともなる極めて効果の高い事業でございます。
 このうち、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域の早期改善に大きな効果を有する路線を特定整備路線に指定し、都営住宅などの活用による移転先確保や残地取得の弾力的な運用など、関係権利者に対する生活再建のための特別な支援策を講じることにより、整備を加速いたします。
 特定整備路線の候補区間につきましては、現在実施している基礎調査の結果などに基づき、本年六月を目途に公表いたします。
 今後とも、財源の確保などに努め、地元区と連携を図りながら、燃え広がらないまちの実現に向け、都市計画道路の整備を全力で推進してまいります。
 次に、大径木再生大作戦についてでございますが、都市景観を形成し、都民に潤いや安らぎを与える街路樹は、震災時には沿道建物の車道への倒壊防止や延焼遮断などの防災機能を発揮いたします。
 このため、今後十年間で都市防災上重要な環状七号線や八号線など三十七路線において、幹回り九十センチメートル以上の大径木五万本を対象として、新たに根の張りぐあいや根腐れを調査項目に加えた街路樹防災診断を実施し、土壌改良などによる樹勢回復や不健全な樹木の植えかえを着実に行ってまいります。
 このことにより、災害に強い大径木を再生するとともに、風格のある美しいまち並みを創出してまいります。
 次に、東部低地帯における河川の耐震対策についてでございますが、都はこれまで、スーパー堤防整備や水門など河川施設の耐震補強などを進め、一定の安全性を確保してまいりました。
 これらに加え、東京都防災会議で示されたマグニチュード八クラスの海溝型地震などを想定し、水門、排水機場等の耐震性能の確認結果や、今後受ける技術検証委員会からの提言、国の検討状況などを踏まえ、対策の範囲や優先度などについて、基本方針を早急に取りまとめてまいります。
 平成二十四年度は、新たな整備計画を策定し整備目標を示すとともに、優先度の高い水門については、速やかな工事実施に向け設計に着手いたします。
 今後とも、安全で安心な都市東京の実現に向け、全力を挙げて耐震対策に取り組んでまいります。
 次に、外環整備の今後の都の取り組みについてでございますが、外環は、首都東京の交通渋滞の解消のみならず、首都圏の陸海空の要衝を結ぶ重要な幹線道路であります。切迫する首都直下型地震や東海地震においても、日本の東西交通の分断を防ぐなど、その整備効果は多岐に及ぶものであり、外環の早期完成は喫緊の課題であります。
 このため、都は、大泉ジャンクション地域の用地取得をより一層加速させるとともに、外環の事業進捗状況やその効果について、広く都民に情報発信を行い、事業への理解と協力を得られるよう取り組んでまいります。
 また、外環の二〇二〇年夏までの完成に向け、国に対して、東名ジャンクション地域における大深度地下トンネル立て坑工事の早期着手を強く働きかけてまいります。
 最後に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化に資するとともに、都市の防災性の向上にも寄与する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、七路線八カ所で事業を進めており、本年八月に京王線調布駅付近を地下化するとともに、十月には、京浜急行線京急蒲田駅付近を高架化して、最大七百八十メートルの交通渋滞を起こしていた第一京浜の踏切を含め、これら二路線で四十二カ所の踏切すべてを除却いたします。
 また、二路線四カ所で事業化に向けて諸手続を進めており、平成二十四年度は西武新宿線中井駅から野方駅間の事業認可を取得し、京王線笹塚駅から仙川駅間及び西武新宿線東村山駅付近の都市計画決定を行う予定でございます。
 今後とも、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域防災計画の修正についてでございますが、東日本大震災の教訓を踏まえ、現行の地域防災計画をより具体的で実践的な内容へと見直す必要がございます。
 見直しに当たりましては、防災会議の下に関係各局や防災機関が参加して、安全な都市づくりや交通、ライフラインの確保など、課題に応じた九つの検討部会を設置いたしました。
 各部会におきましては、最新の科学的知見に基づき作成いたしました被害想定を踏まえ、災害へのあらかじめの備えや、発災時における各主体の役割や連携の手順など、被害を軽減するための具体的な対策、首都機能の早期復活への道筋などを検討してまいります。
 検討内容は九月までに素案として取りまとめ、広く都民の意見を聴取するためにパブリックコメントを実施いたします。
 地域防災計画の見直しを通じて、いつ発生するかわからない首都直下など大規模地震への備えを固めてまいります。
 次いで、帰宅困難者対策条例についてでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘される中、帰宅困難者対策の一層の充実には、まず、都民や事業者が取り組むべき基本的事項を条例で明文化し、都民や事業者に理解と協力を求めていく必要がございます。
 その上で、条例で規定した事項の具体化に向け、事業者や関係機関と十分に調整し、本年秋を目途に、帰宅困難者対策を総合的に推進するための実施計画を策定してまいります。
 この実施計画には、従業者の施設内待機や利用者保護の具体的な手順、事業者が帰宅困難者対策を実施するに当たり必要となる支援策等を盛り込んでまいります。
 さらには、こうした取り組みを首都圏の自治体と連携して広域的に進めることにより、実効性ある帰宅困難者対策を推進してまいります。
 最後に、防災隣組の構築についてでございますが、地域における自助、共助の力を強化していくためには、町会や自治会を中心とした既存の自主防災組織などを支援、活性化し、他の地域の新たな防災活動の誘発へとつなげていくことが重要でございます。
 具体的には、発災時における近隣住民の安否確認の仕組みづくりや区民レスキュー隊の結成など、意欲的な防災活動を行っている組織を三月に防災隣組として認定し、その活動をさまざまな媒体を通じて広く発信してまいります。
 あわせて、新たに防災活動を始める地域をモデル地区として指定し、その活動を支援するため、地元の町会等の関係者から成る地区連絡会を立ち上げ、地域の防災活動をサポートしている専門家を派遣して、きめ細かいアドバイスを行ってまいります。
 防災隣組の構築に向けた取り組みを、地元の区市町村や消防署など関係機関と連携して幅広く展開することにより、地域の防災力の向上を図ってまいります。
   〔交通局長野澤美博君登壇〕

〇交通局長(野澤美博君) 都営地下鉄における帰宅困難者向けの備蓄についてでございますが、首都直下地震が発生した際には、帰宅困難者による混乱を防止するため、一斉帰宅の抑制を徹底する必要がございます。
 そのため、交通局では、都営地下鉄の各駅において、利用者を一時的に駅構内で保護するために必要な物資を備蓄することとし、当面、今年度末までに帰宅困難者が多く滞留すると見込まれる十駅に、合計で約一万人分の飲料水及び防寒用シートを備蓄いたします。
 さらに、これに加え、今月三日に行われた帰宅困難者対策訓練の結果を踏まえまして、必要な物資を検証した上で、来年度早期に全駅に合計で約五万人分の物資を備蓄いたします。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、災害医療体制の充実についてでございますが、先月選任をいたしました東京都災害医療コーディネーターは、首都直下地震等の発生時に限られた医療資源を効率的、効果的に運用するために、都全域の被害状況や医療資源の状況に関する情報を集約し、東京DMATや全国から参集をいたします医療チーム等を広域的かつ効果的に配置をする役割を担っております。
 また、東京都地域災害医療コーディネーターは、区市町村や関係機関と連携いたしまして、医療チームの配置、医薬品の配分、傷病者の受け入れ先の確保など、地域の実情に応じた調整を行うことといたしておりまして、二次保健医療圏ごとに早期に選任をいたします。
 こうした災害医療コーディネーターが災害時により有効に機能をいたしますよう、現在、東京都災害医療協議会におきまして、発災直後から中長期に至る各段階で必要な医療体制、その際のコーディネーターの具体的な役割やサポート体制などについて検討を進めております。
 今後、この検討結果を踏まえまして、関係機関と協力し、コーディネーターを活用した訓練及び検証を重ね、大都市東京にふさわしい災害医療体制の充実強化を図ってまいります。
 次に、後期高齢者医療の保険料改定についてでございますが、都は、前回改定時の対応や保険料の増加抑制に基金の活用を求める東京都後期高齢者医療広域連合からの強い要望も踏まえまして、特段の措置として財政安定化基金を二カ年で二百六億円活用し、保険料の急激な上昇を緩和することといたしました。
 お話のとおり、本制度の財源につきましては、一割を被保険者の保険料とし、残りの九割を公費及び現役世代からの支援金で賄うことを原則としておりますが、国は、前回の保険料改定時に臨時的措置として基金の活用を要請したのみで、その後何ら必要な対策を講じておりません。
 都としては、今後とも国に対し、保険料の増加抑制のために新たに生じる財政負担につきましては、地方公共団体に転嫁することなく、国の責任で措置すべきことを強く提案要求してまいります。
 次に、介護サービス基盤の整備についてでございますが、介護サービス基盤の整備は、高齢者が可能な限り住みなれた自宅や身近な地域で安心して生活できるようにするために大変重要でございます。
 そのため、現在策定中の第五期高齢者保健福祉計画におきましては、平成二十四年度からの三年間で、認知症高齢者グループホームを約三千人分ふやし、定員一万人整備いたしますとともに、ショートステイについても大幅にサービス量を伸ばします。また、特別養護老人ホームにつきましても、約五千人分ふやし、四万五千人余のサービス量を確保いたします。
 計画達成に向けまして、今後とも整備の進んでいない地域への補助単価を加算するなど、都独自の制度を活用し、区市町村と連携しながら、高齢者の生活を支える介護サービス基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、在宅療養の推進についてでございますが、第五期高齢者保健福祉計画では、重点的に取り組む分野の一つとして、在宅療養の推進を位置づけ、医療と介護の連携強化によります二十四時間の安心を目指すこととしております。
 そのために、医療や介護の関係者など多職種による協議会の設置、病院から在宅への円滑な移行と在宅医療の継続を調整するための窓口の設置など、区市町村の取り組みへの支援に加え、来年度からは、医療と介護の連携に重要な役割を果たす訪問看護ステーションの拠点整備やサービスを支える人材育成等を一層推進することといたしております。
 こうした取り組みによりまして、高齢者が地域の中で安心して療養生活を継続できる環境を整備してまいります。
 次に、介護保険財政安定化基金の活用についてでございますが、都としては、保険者でございます区市町村の意見も踏まえまして、第五期高齢者保健福祉計画の計画期間でございます平成二十四年度から二十六年度の三年間で取り組みます六つの重点的取り組み分野にこの財源を集中的に投入いたしまして、新規事業の立ち上げや事業の拡充を図ることといたしております。
 来年度は、介護サービス基盤の整備ではショートステイの整備、また在宅療養の推進では訪問看護ステーションの拠点整備や人材確保支援の拡充、さらに高齢者の住まいの確保では、医療・介護連携型サービスつき高齢者向け住宅モデル事業の推進などに充当いたします。
 今後とも、医療や福祉、住まいなど多様なサービスを日常生活の場で切れ目なく提供していくという、地域包括ケアの実現を目指しまして、財源を有効に活用してまいります。
 次に、障害者の地域生活基盤の整備についてでございますが、都はこれまで、障害者が希望する地域で安心して暮らせるよう、第一期及び第二期の東京都障害福祉計画の中に、地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームや通所施設等の整備を進めてまいりました。
 こうした取り組みを一層推進するため、現在策定中の第三期計画では、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランを新たに定めまして、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や、定期借地権の一時金に対する補助制度の創設などにより、平成二十四年度から三年間で、障害者の地域生活基盤を約四千八百人分整備をしてまいります。
 また、入所施設からグループホームへの移行支援や、生活相談など単身生活を支援する仕組みづくりなども進め、障害者の地域生活を支える取り組みを推進してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、保育サービス拡充緊急三カ年事業や少子化打破緊急対策事業によりまして、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を独自に軽減するなどの取り組みを行い、平成二十年度からの三年間で保育サービスを二万四千六百十三人分整備をいたしました。
 この取り組みをさらに進め、保育を必要とする人がニーズに応じて利用できるよう、平成二十四年度からの三年間で保育サービスを二万四千人分ふやすことといたしております。
 この目標の達成に向け、これまでの施策に加えまして、駅ビルなど既存施設を活用した保育所等の整備や、家庭的保育の共同実施、病児保育の充実などにも新たに取り組み、利用者ニーズを踏まえたサービスの提供を促してまいります。
 次に、認可保育所の面積基準の弾力化についてでございますが、お話のように、転居や育児休業からの復職など、都民の保育ニーズは年度途中にも生じますことから、これらに柔軟に対応していくためには、新たな施設の整備だけでなく、区市町村が地域の実情に応じて既存施設を有効に活用していくことも大変重要でございます。
 そのため、今定例会に提出をいたしております認可保育所の基準を定める条例案では、利用者から高い評価を得ております認証保育所の実績を踏まえ、特にニーズの高いゼロ歳児、一歳児を年度途中に入所させる場合に、保育の実施主体でございます区市町村の判断で、児童一人当たりの基準面積を弾力的に運用できるようにいたしております。今回の条例案は、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みの選択肢を広げる効果があるものと考えております。
 最後に、養育家庭への支援についてでございますが、都は、本年一月に出された児童福祉審議会の提言も踏まえまして、養育家庭の認定から児童の委託後まで、養育家庭に対する支援体制を強化いたします。
 まず、養育家庭の登録に当たっては、聞き取りの項目や申請様式を見直し、生活実態等をより詳細に把握いたします。また、児童と候補家庭との事前交流の際には、児童を預かっている施設と児童相談所の間で、交流状況等を相互確認する場を設けるなど、情報の共有化をこれまで以上に図り、児童にふさわしい養育家庭への委託につなげてまいります。
 委託後におきましては、来年度から児童相談所に十一名増員をいたします児童心理司を活用いたしまして、すべての里子に対しての心理面接を定期的に行い、子どもの発達状況に応じて支援内容を見直し、養育上の助言等を里親に対して行ってまいります。
 また、児童養育のノウハウを持つ民間団体等を活用いたしまして、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を現在の三カ所から十一カ所のすべての児童相談所に拡大いたしますとともに、新たに夜間、休日の養育相談や、委託中の家庭に対する定期的な訪問などを行ってまいります。
 加えて、乳児院や児童養護施設に養育家庭からの相談に対応する専任の職員を新たに配置をいたします。これらによりまして、養育家庭が抱えるさまざまな悩みを受けとめ、気軽に相談できる体制を強化してまいります。
 さらに、児童相談所、子ども家庭支援センター、地域の関係機関の連携を強化いたしまして、児童への支援に必要な情報の共有化を図りながら、地域全体で養育家庭を支える仕組みを構築してまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 新たに設置を予定しているハイパーレスキュー隊の配備の考え方及び内容についてでありますが、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故など、大規模な複合災害となった教訓から、NBC災害にも対応できるハイパーレスキュー隊を八王子市において早期に増設いたします。
 この部隊には、放射能を遮へいする機能を持った特殊災害対策車を初め、高所から大量の泡剤を放射できる屈折放水搭車などの最新鋭の機能を備えた車両や資器材を整備いたします。
 これにより、既存のハイパーレスキュー隊との相互補完体制を確立するとともに、多摩地区の地域特性などを考慮し、林野火災や土砂災害にも幅広く対応してまいります。
 新たなハイパーレスキュー隊は、いつ発生するかわからない大地震に備え、平成二十四年度を目途に、仮隊舎での発隊を予定しており、さらに平成二十七年度の本隊舎での運用を目指し、計画的な整備に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度についてでございますが、この制度は、木密地域の中でも特に改善を必要としている地区を対象に、強制力を持った事業を活用するなど、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対し、都が不燃化助成の上乗せや都有地の提供などの特別の支援を行い、市街地の不燃化を強力に推進するものでございます。
 都は、実効性ある制度を構築するため、区と協力して制度の先行実施を行うこととし、先ごろ実施地区の募集を開始いたしました。今後、区からの提案を受けて地区の選定を進めてまいります。
 都としては、先行実施における取り組みも踏まえ、平成二十四年度中に制度を構築し、地元区の積極的な取り組みを支援しながら、木密地域の不燃化を加速してまいります。
 次に、既存住宅ストックの活用についてでございますが、約六百八十万戸存在する住宅ストックを有効に活用するためには、リフォームを含め、消費者が安心して取引できる市場を整備し、既存住宅市場の活性化を図ることが重要でございます。
 このため、既存住宅のリフォームや流通にかかわる市場の拡充強化に向け、市場の実態、消費者の意識、事前検査の実施状況の把握など、関係業界の意見も踏まえながら、これまでにない幅広い調査を実施いたします。
 この調査結果も踏まえ、既存住宅の検査項目や住宅履歴情報の内容の標準化を進めるとともに、売買時における情報提供方法の確立等、関係団体とも連携しながら、新たな実効性のある方策を実施してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、都は、条例制定後、所有者が速やかに耐震診断に取り組めるよう、義務化に先立ち、約五千棟を対象とした休日や夜間を含む個別訪問や説明会の開催を行い、条例や助成制度の内容等について周知してまいりました。
 この結果、所有者からの事前相談件数は大きく伸びており、特定沿道建築物の診断助成件数も大幅に増加しております。
 診断義務化が施行される四月からは、個々の所有者の事情に応じた具体的な相談や建築士のあっせんなど、診断の実施に向けたきめ細かな働きかけを行ってまいります。
 さらに、区市町村や診断を実施する建築士の団体との連絡会議を設置し、関係者間の連携を緊密にすることで、耐震診断を円滑かつ迅速に進めてまいります。
 次に、耐震改修の促進についてでございますが、耐震診断の結果を耐震改修工事に向けた所有者の主体的な取り組みに的確につなげていくことが重要でございます。このため、診断が完了した所有者に対しては、区市町とも連携して、適宜、補強設計や改修工事に関する必要な情報提供や助言を行うとともに、実際に行われた改修工事の事例をわかりやすく紹介するなど、技術的な支援を充実させてまいります。
 また、すぐれた技術力や豊富な実績がある施工業者の紹介や、工事全般に関する専門的な相談に対応できるよう、建設業の関係団体との新たな連携の仕組みの構築に向け取り組んでまいります。
 今後とも、こうした取り組みを強力に推進し、災害に強い首都東京を実現してまいります。
 最後に、多摩地域の都市計画道路についてでございますが、多摩地域が活力と魅力にあふれ、一層の発展を遂げるためには、南北道路やJR中央線を初めとした立体交差化など、これまで整備してきた基盤を生かしつつ、効果的な道路ネットワークを形成することが不可欠でございます。
 また、広域的な人や物の流れを円滑にするため、都県間を結ぶ道路を一層充実させるとともに、立川や八王子など拠点の育成や利便性の向上などに資する道路の整備が重要でございます。さらに、地震等への対応力を備えるためにも、迅速な救助救援活動や緊急物資輸送を支える道路ネットワークの充実が欠かせません。
 そこで、これらの視点も踏まえ、今後、都市計画道路のあり方について調査検討に着手し、第三次事業化計画以降を見据えた次の都市計画道路の整備方針の策定に向けて取り組んでまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港における津波、高潮対策の強化についてでありますが、首都東京の沿岸部を守るため、津波や高潮に対する備えをさらに強化することは、都における喫緊の課題であると認識しております。
 技術検証委員会におけるこれまでの議論を踏まえ、新たに、水門、排水機場の出入り口を防水扉にするなどの耐水対策に取り組むとともに、水門に引き続き、排水機場等についても、液状化対策など耐震性の強化を進めてまいります。
 また、緊急時のバックアップ機能を一層強化するため、高潮対策センターを現在の辰巳に加え、港南にも配置し、いずれかが被災によって機能不全になっても、もう一つの拠点から遠隔操作を可能とする体制を整備してまいります。
 さらに、通信網の多重化や連絡手段の複数化を進め、津波に迅速かつ確実に対応できる体制も構築してまいります。
 こうした取り組みとともに、今後公表される東京都防災会議や国における津波高の検討結果等を踏まえ、東京港の津波対策を推進し、東京の防災機能を一層高めてまいります。
 次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の取り組みについてでありますが、アジア諸都市との厳しい競争を勝ち抜くためには、臨海副都心ならではの特色ある開発を進めることが必要であります。そのためには、都のみならず、民間事業者も含めた多様な主体による知恵と努力がかぎとなってまいります。
 そこで、来年度、MICE、国際観光機能等の充実に資する事業に補助金を交付する臨海副都心MICE拠点化推進事業を創設し、民間事業者の進出意欲や創意工夫を引き出してまいります。
 また、地域一体でにぎわいを創出し、多くの来訪者を引きつける努力も重要であります。昨年の東京モーターショーに引き続き、現在、東京臨海ホールディングスグループや進出企業が協力して、「ゆりかもめ」とりんかい線の一日乗車券の提示で、東京国際アニメフェア二〇一二のオリジナルグッズや、周辺施設の料金割引等の特典が受けられる取り組みを展開しております。さらに、魅力的なイベントも新たに誘致していくこととしております。
 今後は、アジアヘッドクオーター特区の指定による規制緩和や税制支援も活用することで、臨海副都心をMICE、国際観光の一大拠点へと発展させ、日本経済を牽引する重要な国際戦略拠点として成長させてまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 下水道施設の耐震化、耐水化の取り組みについてのお尋ねでございます。
 基幹施設であります水再生センターやポンプ所について、技術検証委員会の議論を踏まえ、地震、津波への対策を強化をしてまいります。
 まず、耐震対策について、これまでは、関東大震災クラスの地震を想定し耐震補強を進めてまいりましたが、今後は、東京都防災会議で示されたマグニチュード八クラスの地震動などに対しても、機能を保持するために必要な対策を再構築などにあわせて計画的に実施をしてまいります。
 耐水対策につきましては、豪雨による浸水への対策を実施してまいりましたが、今後は、想定される津波に対しても機能が確保できるよう、止水壁や防水扉の設置など、新たに必要となる対策を速やかに実施してまいります。
 また、津波発生時に緊急に閉鎖しなければならない高潮防潮扉について、区部の下水道管内に敷設をして利用しております八百キロに及ぶ光ファイバー網を有効に活用し、操作の安全性と迅速性を確保するための遠隔制御化を行ってまいります。
 さらに、関係局と連携し、既存の通信網を相互に活用することで、情報の共有化や通信網の多重化を図るなど東京の防災力のさらなる強化に貢献をしてまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 水道の備えのあり方についてでございますが、東京の水道は、高度経済成長期に急増した需要を背景に施設の整備拡充に努めてまいりましたが、こうした施設の多くが、間もなく一斉に更新時期を迎えます。
 このため水道局では、大規模災害や気候変動などのリスクに対応できるよう、水道施設の再構築のあり方について検討を重ね、現在、その基本構想の素案を公表し、広く都民に意見を求めております。
 この素案では、将来起こり得るさまざまなリスクに対し、耐震性の向上や能力の増強など個別対策を強化するとともに、それらを緊密に連携させ複合的な備えを講じ、水道システム全体で対応していくという新たな安全度の考え方を基軸に据えております。
 具体的な取り組みについてでございますが、厳しい渇水にも対応できるように水源を確保してまいります。また、施設の更新時や災害時などにおきましても、給水に影響を与えないよう、先行して境浄水場などの能力を増強するとともに、全浄水場で電力の自立化を推進いたします。さらに、多摩南北幹線などの主要幹線や給水所の整備により、水道システム全体のネットワーク化を進め、バックアップ機能を強化してまいります。
 こうした取り組みを着実に進め、あらゆるリスクに直面しても水の供給を途絶えさせない新しい水道へと再構築することにより、都民の暮らしの安全と安心並びに首都東京の都市活動を将来にわたり支え続けてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、東京の活力と国際競争力の維持向上に向けた省エネモデルの発信についてでございますが、オフィスビルなどの業務部門は、東京の経済活力の源泉の一つでございます。低炭素型で防災性にすぐれるとともに、知的生産の空間として執務環境の快適性をも備えたオフィスビルの東京モデルを構築し、普及拡大を図っていくことは、東京が都市間競争の中で人や企業に選択され続けるアジアのヘッドクオーターとして発展していく上でも重要な課題でございます。
 東京では、多くの都市開発事業者等が、昨年夏に取り組みました照明や空調温度の見直しなど、運用面の対策に加えまして、エネルギー使用量の見える化を図りながら、LED照明や高効率空調システム等の導入を進めております。
 さらに、照明、空調のきめ細かい個別調整が可能なタスク・アンド・アンビエント技術の活用によりまして、個々のオフィスワーカーが自分にとって快適な執務環境をつくり出し、オフィスの知的生産性を高めることのできる先進的なエネルギーマネジメントの実現に向けた取り組みも開始されております。
 三月十二日には、メディアや都市開発事業者等と連携いたしまして、節電の先のスマートエネルギーシティーへと題するセミナーを開催し、こうした取り組みを広く紹介してまいります。
 さらに、ことし春には、中長期的に取り組むべき具体的な省エネルギー対策を示す行動方針を策定して、東京発のエネルギーマネジメントのあり方を提示してまいります。
 これらの取り組みを発展させ、執務環境にもすぐれ、スマートな節電が可能で、かつ防災性も備えました次世代型のオフィスビルの東京モデルの構築を促進し、国内外に発信してまいります。
 次に、老朽化した火力発電所のリプレースについてでございますが、石油火力など老朽化した火力発電所は、発電効率が低く、大気汚染への影響やCO2排出量の面でも環境性能の低いものとなっております。
 そこで、昨年秋、都は九都県市共同の取り組みとしまして、低炭素かつ高効率な火力発電設備へのリプレースの推進に向け、民間事業者の活用を図ることを国に対して要請いたしました。
 ご指摘のとおり、大井火力発電所も含め、老朽化した火力発電所をリプレースし、ガスコンバインドサイクル化することによりまして、発電効率や環境性能の向上に加え、発電能力の増強にもつながり、首都圏におけるエネルギー供給体制の強化に大きく貢献することができます。
 このため、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームで百万キロワット級天然ガス発電所の建設とあわせて検討いたしまして、外部資金の活用も含め、国や東京電力に対し、既存の老朽化した火力発電所の優先的なリプレースの実現を申し入れてまいります。
 こうした取り組みによりまして、都は、民間事業者の参入促進を進め、電気事業における地域独占の弊害を打破するとともに、首都圏におけるエネルギー需給の安定化を図ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについてであります。
 空洞化の危機に直面する中で、東京のものづくりを支える高度な基盤技術を持つ中小企業の集積を確保し、製造業の競争力の維持向上を図ることは重要でございます。
 このため、都は、来年度からものづくり産業集積強化支援事業を創設し、地元の自治体と連携して地域の産業集積確保のための支援を展開してまいります。
 具体的には、対象地域を設定して、生産設備等の充実に取り組む企業への助成や成長企業の誘致のための補助に加え、工場周辺に配慮した環境対策のハード整備などに取り組む区市町村の事業を対象といたします。最大で年間一億円の経費を都が補助することによりまして、基盤技術の担い手である中小製造業の集積の維持と発展を効果的にサポートしてまいります。
 次に、商店街を活用した買い物弱者への対応についてでありますが、買い物弱者の実態を正確に把握した上で、商店街による効果的な対応方法を検証するモデル事業を着実に進めていくことは重要であります。
 都の行いました調査では、高齢者のうち買い物に不便を感じる方は全体では一割半程度ですが、約三割と高い地域もあります。不便を感じる方は、買い物に行く店舗、お店まで時間がかかる傾向があり、商店街に対しても宅配サービス等を望む割合が高くなっております。
 来年度開始いたします買い物弱者支援モデル事業では、今回の調査結果を踏まえ、買い物弱者へのサポートとなる配達業務などですぐれた成果を期待できる商店街の取り組みをモデルとして選び、地元の区市町村と協力して助成を行うなど、円滑な事業の運営を支援してまいります。
 次に、観光産業の活性化に向けた取り組みについてでありますが、観光は、人々の動きや交流を生み出すことで経済活動を刺激し、平成二十二年の都内生産波及効果は九・八兆円に上っております。
 ことしは、大規模な国際会議の開催や東京スカイツリーの開業などがあり、さらに来年は、スポーツ祭東京が開催されるなど、東京の観光にとりまして絶好の機会が続きます。
 そこで、平成二十四年度は、アジア、欧州等でプロモーション活動を積極的に展開するとともに、オリンピック・パラリンピック東京招致の機会も通じまして、東京の魅力を世界に発信してまいります。
 一方、都内では、海外メディアを招聘して取材を支援するほか、MICEの機会をとらえて集中的なPRを行ってまいります。
 また、注目の集まる東京スカイツリーを初めとした新たな観光資源を生かす取り組みとして、地域の観光事業者等とも連携し、観光情報の一体的な提供や新たな観光ルートの開発促進を支援するなど、旅行者の回遊性を高めてまいります。
 こうした取り組みにより、観光産業のさらなる活性化を図り、東京の地域経済の発展に寄与してまいります。
 次に、日帰りによる被災地応援ツアーについてでありますが、福島県は、東京からの日帰り旅行圏でもあり、都内の旅行事業者が数多く日帰りツアーを催行しております。
 こうしたことから、来年度は宿泊旅行に加え、新たに日帰り旅行も対象といたします。
 具体的には、旅行事業者が造成する日帰りツアーへの申込者一人につき一千五百円、一万五千人分の助成といたしまして、時期については、四月からの開始に向けて準備を進めております。
 日帰り旅行も対象に加えることにより、観光を取り巻く状況が依然厳しい福島県の復興に貢献してまいります。
 次に、若者と企業とを結びつける取り組みについてでありますが、都は、厳しい雇用情勢に対応して、今年度から、若者と企業とのマッチングを支援する未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始しております。
 参加した若者は、研修を通じて職業観の醸成や中小企業への理解を深めた上で就労体験を行い、これまで約半数が正規雇用に結びつくなど成果を上げております。
 また、企業にとりましては、十分な時間をかけて、求める人材を見きわめられるなどの効果がありました。
 このため、来年度は事業規模を七百五十人から千人に拡充いたします。
 さらに、この仕組みを活用いたしまして、環境、健康など今後成長が見込まれ、重点的に人材を確保する必要があると考えられる産業分野でモデル事業を開始いたします。
 これらの取り組みを通じまして、就業面での若者と中小企業のミスマッチを解消し東京の産業振興にもつなげてまいります。
 最後に、しごとセンター多摩の移転とサービスの向上についてでありますが、都はこれまでも、地域のニーズに即した職業訓練や就業支援、労働相談などの事業を通じまして、企業の人材育成、確保や雇用環境の整備等をサポートしてまいりました。
 その拠点の一つである国分寺のしごとセンター多摩は、狭隘で近年建物も老朽化してきております。
 このため、平成三十年度を目途に、同センターを立川駅南口に移転整備し、機能の拡充を図ることといたしました。これにより、地域の求人、求職ニーズに的確に対応し、企業の人材不足の解消に資してまいります。
 同時に、企業の雇用環境整備を支援する労働相談情報センター国分寺事務所と八王子事務所を移転統合し、スケールメリットを生かした事業展開を図り、サービスをワンストップで提供する拠点としてまいります。
 こうした取り組みにより、多摩地域の中小企業が抱えるさまざまな雇用問題の解決に向けた支援の充実強化を図ってまいります。
   〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕

〇生活文化局長(井澤勇治君) 都における私学振興の取り組みについてでございますが、東京では、高等学校の生徒の約六割、幼稚園に至っては園児の九割以上が私立学校に通学しており、都は、私立学校が東京の公教育に果たしている役割が極めて大きいことから、私学振興を都政の重要課題と位置づけております。
 そのため、都では、教育条件の維持向上や児童生徒等の修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的とした、私学助成の基幹的補助である経常費補助を初めとして、学校の施設、設備に対する補助や保護者負担軽減策など、幅広い私学振興策を展開してまいりました。
 少子化の進行などにより、私学を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございますが、私立学校が今後も有為な人材を育成すべく質の高い教育を確保していくため、学校運営に対する支援の柱となる経常費補助を中心として、来年度も私学助成の充実を図り、引き続き、私立学校の振興に努めてまいります。
 次に、私立学校における安全対策の取り組みについてでございますが、都はこれまでも、私立学校に通学する子どもたちの生命を守るため、特に小中学校については平成二十五年度までに耐震化を完了させるという目標を掲げ、すべての私立学校を対象に、最大で補助率五分の四となる耐震化補助を実施するなど、安全確保に取り組んでまいりました。
 東日本大震災から得た教訓を踏まえ、さらなる私立学校の防災力向上を図ることとし、建築士の派遣などにより耐震化を一層促進するとともに、設備については、災害発生時の電力不足に備えるため、太陽光発電設備等の整備に対する補助を拡充いたしました。
 また、多くの児童生徒等が安全に学校で過ごすことができるよう、水や食料等の防災備蓄物資について、各学校の要望も踏まえ、備蓄状況に応じた整備が可能となるメニュー方式による補助を実施いたします。
 今後も、私立学校における児童生徒等の安全・安心の確保に向け、総合的な施策を推進してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、シニアスポーツの振興についてでございます。
 だれもがいつまでも健康に過ごせるよう、高齢者がスポーツに取り組める環境を整備することは極めて重要でございます。
 都はこれまでも、シニア健康スポーツフェスティバルの開催や全国健康福祉祭、ねんりんピックへの東京都選手団の派遣など、高齢者がスポーツに親しむことによる生きがいづくりや健康づくりを進めてきたところでございます。
 およそ四十年後には、全国の高齢化率は約四割となるとのことでございまして、一層の高齢社会の進展を見据え、今後、新たに、シニアスポーツ振興事業に着手いたします。
 地区体育協会などによる高齢者を対象としたスポーツ競技会、講習会などの実施を支援し、高齢者がスポーツに参加する機会を創出することで、さらなる高齢者の健康の維持増進、スポーツ振興を図ってまいります。
 次に、スポーツ推進のための指針策定についてでございます。
 ご指摘のように、震災を契機に、スポーツが被災地の復興、経済の復興、そして何よりも日本人の心の復興に大きな力を発揮することが改めて認識されてきたところでございます。
 また、スポーツ基本法の施行を初め、高齢社会の急速な進展や障害者の社会参画など、東京のスポーツを取り巻く環境は大きく変化しております。
 こうした状況を踏まえ、スポーツを通じて日本の復興を後押しするとともに、スポーツ祭東京二〇一三から二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックへと、都民が一層スポーツに親しめる環境を整備していけるよう、東京のスポーツ推進の指針となります計画の改定に取り組んでまいります。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについてでございます。
 東京は、世界有数の公共交通網を初め、質、量ともに充実した宿泊施設など、十分な都市インフラを有するとともに、世界の中で最も安全で治安のよい都市でございます。
 こうしたことから、東京においては、世界最大のスポーツイベントでございますオリンピック・パラリンピックを、都心から離れたオリンピックパークという隔離された空間を設けることなく、大都市の市街地の中で既存の都市空間と融合して開催することが可能でございます。
 このように大都市の中心で大会を開催することにより、選手や観客などが高度に発達した都市の利便性を享受しつつ、世界に誇る食文化や伝統芸能、地域住民との交流によるおもてなしの精神や礼節など、東京、そして日本の魅力を体感できる大会といたします。
 また、地域住民にとっては、身近なところで大会観戦が可能となるとともに、東京に集う世界のすべての人々と交流できる、またとない機会ともなります。
 二〇二〇年東京大会は、このような成熟した都市における新しいオリンピックのモデルを披瀝するものでございまして、これをIOC委員初め関係者に強く訴え、必ずや招致をかち取ってまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時四十三分休憩

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