平成二十四年東京都議会会議録第一号

平成二十四年二月二十二日(水曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番三宅 正彦君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番相川 博君
十番山内れい子君
十一番関口 太一君
十二番くりした善行君
十三番西沢けいた君
十四番田中 健君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番松葉多美子君
十九番伊藤 興一君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅 東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番早坂 義弘君
二十四番高木 けい君
二十五番星 ひろ子君
二十六番小山くにひこ君
二十七番柳ヶ瀬裕文君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番中村ひろし君
三十二番たきぐち学君
三十三番田の上いくこ君
三十四番島田 幸成君
三十五番大島よしえ君
三十六番高倉 良生君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番遠藤 守君
四十一番高橋 信博君
四十二番中屋 文孝君
四十三番村上 英子君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番しのづか元君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番大松あきら君
六十番中山 信行君
六十一番橘 正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山田 忠昭君
六十五番林田 武君
六十六番小宮あんり君
六十七番吉住 健一君
六十八番神林 茂君
六十九番野島 善司君
七十番服部ゆくお君
七十一番伊藤 ゆう君
七十二番原田 大君
七十三番佐藤 広典君
七十四番西岡真一郎君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口 拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番野上ゆきえ君
八十番今村 るか君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井 一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤 衛君
八十九番田中たけし君
九十番宇田川聡史君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十五番吉田康一郎君
九十六番斉藤あつし君
九十七番泉谷つよし君
九十八番くまき美奈子君
九十九番大西さとる君
百番いのつめまさみ君
百一番小沢 昌也君
百二番石毛しげる君
百三番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番古賀 俊昭君
百十一番吉原 修君
百十二番鈴木あきまさ君
百十三番宮崎 章君
百十四番川井しげお君
百十五番三宅 茂樹君
百十六番吉野 利明君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番増子 博樹君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢 昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 なし
 欠員
 四十番 九十四番 百四番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤 広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長笠井 謙一君
財務局長安藤 立美君
警視総監樋口 建史君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長井澤 勇治君
スポーツ振興局長細井 優君
都市整備局長飯尾 豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長松田 芳和君
消防総監北村 吉男君
交通局長野澤 美博君
水道局長増子 敦君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長中西 充君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長加藤 英夫君
監査事務局長塚本 直之君
収用委員会事務局長細野 友希君

二月二十二日議事日程第一号
第一 第一号議案
 平成二十四年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
 平成二十四年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
 平成二十四年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
 平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
 平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
 平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
 平成二十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
 平成二十四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
 平成二十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
 平成二十四年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
 平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
 平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
 平成二十四年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
 平成二十四年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
 平成二十四年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
 平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
 平成二十四年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
 平成二十四年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
 平成二十四年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
 平成二十四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
 平成二十四年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
 平成二十四年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
 平成二十四年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
 平成二十四年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
 平成二十四年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
 平成二十四年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
 平成二十四年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
 審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
 東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
 東京都帰宅困難者対策条例
第三十八 第三十八号議案
 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
 東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
 東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
 東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
 東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
 東京都消費生活条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
 東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
 計量法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
 東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
 東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
 東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
 東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十一 第六十一号議案
 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十二 第六十二号議案
 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第六十三 第六十三号議案
 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
第六十四 第六十四号議案
 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
第六十五 第六十五号議案
 東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
 東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十七 第六十七号議案
 東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例
第六十八 第六十八号議案
 興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
 公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
 東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
 東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
 東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
 東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
 東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
 東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
 東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
 東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
 東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
 東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
 東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
 東京都障害児通所給付費等不服審査会条例
第八十六 第八十六号議案
 東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
 東京都知的障害者援護施設条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
 東京都身体障害者更生援護施設条例を廃止する条例
第九十 第九十号議案
 東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
 東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
 東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
 東京都工場立地法地域準則条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
 東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
 東京都森林整備地域活動支援基金条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
 東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
 東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
 東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
 東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
 東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
 東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
 東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
 東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
 警察参考人等に対する費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
 警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
 東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
 火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
 都立小岩高等学校(二十三)改修及び改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
 都立板橋看護専門学校(二十三)改築工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
 都立鷺宮高等学校(二十三)改築及び改修工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
 都営住宅二十三H─一〇七東(葛飾区高砂四丁目)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
 都営住宅二十三H─一〇四西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
 環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十三 一─環二新大橋工区)請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
 包括外部監査契約の締結について
第百二十五 第百二十五号議案
 全国自治宝くじ事務協議会への熊本市の加入及び全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十六 第百二十六号議案
 土地の信託の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
 平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十八 第百二十八号議案
 平成二十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十九 第百二十九号議案
 ヘリコプター用エンジンの買入れについて
第百三十 第百三十号議案
 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十一 第百三十一号議案
 平成二十三年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十二 第百三十二号議案
 平成二十三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百三十三 第百三十三号議案
 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百三十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について

 午後一時開会・開議

〇議長(中村明彦君) ただいまから平成二十四年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
  十三番  西沢けいた君 及び
  六十八番 神林 茂君
 を指名いたします。

〇議長(中村明彦君) ここに謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民松平康隆氏には、去る平成二十三年十二月三十一日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

〇議長(中村明彦君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(鈴木省五君) 平成二十四年二月十五日付東京都告示第百九十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案百三十三件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について依頼がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十四年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、選挙管理委員会委員長より、平成二十三年第四回定例会の会議において選挙された選挙管理委員は、平成二十三年十二月二十三日をもって就任したとの通知がありました。
 次に、知事より、平成二十三年第四回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員及び監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十四年二月十五日付で、平成二十三年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十三年各会計定例監査、平成二十二年度執行分、平成二十三年工事監査及び平成二十三年財政援助団体等監査の結果について、それぞれ報告がありました。
 (別冊参照)

〇議長(中村明彦君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成二十三年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付しておきました。ご了承願います。
  〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一五ページ)に掲載〕

〇議長(中村明彦君) 次に、閉会中の議員の退職について申し上げます。
 去る一月十五日、八王子市選出石森たかゆき君は、公職選挙法第九十条の規定により、退職となりました。

〇議長(中村明彦君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十九日までの三十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間と決定いたしました。

〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成二十三年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、平成二十三年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、松本正一郎包括外部監査人の出席を求めます。
  〔包括外部監査人松本正一郎君入場、着席〕

〇議長(中村明彦君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 松本正一郎さんでございます。
  〔包括外部監査人あいさつ〕

〇議長(中村明彦君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席をいただき、まことにありがとうございます。

〇議長(中村明彦君) この際、知事より、平成二十四年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 平成二十四年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る十二月三十一日、名誉都民である松平康隆さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、世界は、今、大きな厄介な三つの波に覆われております。
 その一つは、文明発展が招いた地球の温暖化であります。昨年末に開かれた第十七回気候変動枠組条約締約国会議、COP17では、CO2の多量排出国であるにもかかわらず削減義務を忌避するアメリカ、シナ、インドが抵抗した結果、四年かけて新たな削減の枠組みを決めた後、それをさらに、五年後から実施するという、まことに愚劣な結末となりました。こうしている間にも事態は進み、地球は確実に滅亡の道をたどっているのです。
 二つ目は、歴史の復讐ともいうべきものであります。欧米と中東との間で起きているさまざまないさかいは、人、物、情報の交流が活発化する中で増幅されてきた豊かさへの願望、過去の歴史的怨念、宗教的対立がもたらした必然にほかなりません。こうした歴史認識なくして有効な外交戦略を打ち立てることはできず、資源や食料の多くを海外に依存する我が国が、国益を守ることは至難であります。
 三つ目は、ずさんな財政運営が招いたヨーロッパの経済危機でありまして、日本の産業経済にも多大な影響を与え始めております。超高齢社会に突入した我が国は、今後も社会保障費の増大が避けられず、高福祉低負担の幻想を完全に捨て去らなければ、同じ轍を踏むことは明らかであります。
 にもかかわらず、国のかじ取りを担うべき政治には、こうした世界の大きな潮流をとらえ、みずから進むべき針路を選び取ろうとする気概が全く感じられません。さきのCOP17においても、我が国は卓越した省エネ技術などの強みを有しながら、指導力を発揮することができなかったのであります。
 国内においては、歴代政権が目先の利害にとらわれ、その場しのぎを続けてきた間に、社会保障、税制など戦後の繁栄を支えてきた社会システムは完全な行き詰まりを見せております。大震災から一年近くたって、ようやく復興庁が創設されるありさまを見ても、被災地が懸命に努力する中で、国政はスピード感を致命的に欠いているといわざるを得ません。
 今ここで、肝心なことに手をつけずにいれば、子どもや子孫たちに日本を残すことも、地球を残すこともできないかもしれません。その意味で、ことしは、我々の今後の命運を決める大きな意味を持つ年となる気がしてならないのです。
 こうした中、大都市としての成熟の過程で数々の試練を克服し、それをばねに変えてきた東京が行動を起こすことの意味は、決して小さくはないと思います。政治が、真の指導力を発揮することで、東京に集中、集積するさまざまな力を引き出し束ね、その力を、大震災を乗り越え日本の再生を果たす原動力に変えていく必要があるのです。
 日本の再生を牽引する役割を担い得るのは、東京をおいてほかにはありません。みずからの知恵と発想力を鍛えながら、戦略的に手だてを講じ、その持てる力を存分に発揮することで、首都東京が、日本のダイナモとしての使命を果たしてまいります。
 大震災を乗り越え、日本の再生を確かなものとするためには、まず、都民、国民が一丸となれる目標を構え、希望を指し示す必要があります。東京は、スポーツの力で人々に夢や希望を与え、困難に直面した人々を励まし勇気づけるべく、オリンピック・パラリンピック招致に名乗りを上げました。現在、被災県の関係者を交え、復興支援策の検討を行っており、ことしじゅうに具体策を定め、開催計画に反映させてまいります。
 五月の立候補都市の決定を経て、来年一月に立候補ファイルをIOCに提出し、世界との熾烈な戦いに突入いたします。この戦いは、政治力、外交力、経済力、そして、人脈など、日本の総力を結集して臨まなければ勝ち抜くことはできません。国の財政保証はもとより、JOCを初めとするスポーツ界、経済界などの主体的な、かつ全面的な取り組みを強く求めてまいります。東京もなすべきことは確実に実行してまいります。
 同時に、都民、国民に、再生、発展の道筋と将来への展望を明確に指し示さなければなりません。ゆえにも、大震災後の状況変化をとらえて「十年後の東京」計画を充実強化した、新しい都市戦略「二〇二〇年の東京」計画と今後三カ年の具体的な道のりを明らかにした実行プログラムを策定いたしました。この計画を羅針盤にして、東京を世界に誇る都市へと進化させ、日本をさらなる飛躍へと導いてまいります。
 まずもって、危機に強い都市でなければ、都民、国民は将来への展望を見出せず、都市が持つ力を十分に発揮することはできません。
 都は、現在、東日本大震災を踏まえた首都直下地震などの被害想定を見直しておりまして、この四月にそれを明らかにいたします。これをもとに、昨年策定した東京都防災対応指針の取り組みも深化させて、地域防災計画を抜本的に見直します。リスクを直視し、自助、共助、公助を組み合わせ、東京を高度防災都市に進化させるべく重層的な対策を講じてまいります。
 人口が集中する東京において、被災時に多量の帰宅困難者が発生する事態は、混乱をとめどなく拡大させます。都民、国民の生命を守るとともに、救助救援活動を円滑に実施し、首都の迅速な機能回復を実現するためには、社会全体で帰宅困難者対策に取り組む必要があります。
 本定例会では、企業には従業員の帰宅の抑制と三日分の備蓄を、学校には子どもの安全確保を、駅やデパート等には利用者保護を求める条例を提案しております。先日実施した訓練の検証も踏まえ、東京に存在するそれぞれの主体がみずからの責務に基づき行動する体制を整えてまいります。
 都市部での震災において建物の倒壊、炎上が甚大な被害を引き起こすのは、阪神・淡路大震災の例を見ても明らかでありまして、木造住宅密集地域をこのまま放置することはできません。
 対策をさらに強力に進めるために、意欲ある区と連携して、都が助成の上乗せや都税の減免などの支援を行う不燃化特区を創設いたします。同時に、延焼を遮断する道路の整備を推し進めるべく、路線を指定して、移転先の確保など特別の生活再建策を講じることで、倒れず燃え広がらないまちづくりを加速させてまいります。
 地域に自助、共助の力を取り戻す取り組みも進めてまいります。意欲的な防災活動を継続して行っている団体、グループを、この三月には防災隣組として認定いたします。区市町村と連携して、その活動を広く紹介することで、他の地域の取り組みを誘発していきます。また、意欲はあるがノウハウがない地域には専門家を派遣して支援をいたします。施策を点から面へと粘り強く展開し、地域の防災力を高めてまいりたいと思います。
 行政による公助も充実いたします。福島で命がけの活動を展開した東京消防庁のハイパーレスキュー隊を八王子にも増設し、多摩地域の災害対応力を強化いたします。
 また、今回の大震災で得た教訓をもとに、限られた医療資源を効率的、効果的に運用するため、先月、三名の東京都災害医療コーディネーターを選任いたしました。災害時には都庁に参集し、東京DMATや医療救護班の配置について都内全域の調整を行います。さらに、都内を十二の区域に分け、地域内の調整を受け持つコーディネーターも早期に設置し、体制を強化してまいります。
 東京ならではの環境エネルギー戦略も果敢に展開いたします。
 我々の存在の舞台である地球は、ポイント・オブ・ノーリターンを、今まさに超えようとしていると思います。人類が文明を発展させるためにエネルギーを多量に消費することで、自然の循環は年々加速度的に狂い、多発する豪雨などの異常気象と呼ばれる現象も、地球の多量の氷がどんどん溶けていく状況を見れば、実は当然の正常な現象にほかなりません。
 一方で、エネルギーは高度に発達した文明社会には不可欠なものであります。今、求められることは、地球の未来を考えながら、技術の進歩も見据え、現実的な期間を想定して、その間、どの程度の生活水準を望み、そのために、いかなるエネルギーをどれだけ確保するか、政治が責任ある決断を下すことであります。しかし、国は、原子力発電所が全基停止しようとする中でも、エネルギーの基本戦略を構えることもできておりません。ならばこそ東京は、地球環境問題を念頭に置きながらエネルギーを確保し、環境と経済が高度に両立した都市の実現を目指します。
 発電効率が高く、他の化石燃料に比べて環境負荷が少ない天然ガス発電所の建設では、現在、候補地の事業可能性の調査を行っておりまして、来年度には、候補地周辺の自然環境に関する調査も開始します。
 また、民間の都市開発と連携して、新たな助成制度や容積率緩和といった手法を駆使しながら、自立分散型の高効率な発電システムを構築し、エネルギー需給の最適化、効率化も図ります。家庭には省エネを促しながら、太陽光発電の導入を支援いたします。こうした取り組みにより、三百万キロワットの電力を新たに創出し、二〇二〇年には東京産の電力を倍増いたします。
 原発代替のために電力会社がフル稼働させている老朽化した火力発電所は、故障の危険も抱えながら地球環境に悪影響を及ぼしております。そこで、これまで社会資本整備における新たな資金循環のシステムとして提唱してきたインフラファンドを官民連携でこの夏にも創設し、電力の安定供給にも貢献してまいります。
 具体的な取り組みを先導することで、国には抜本的な電力制度改革を迫り、多様な主体による低炭素で安定的な電力の創出を進めてまいります。
 日本の再生を牽引すべく、都民、国民の創意あふれる活発な行動を引き出して、都市としての魅力と存在感を高めてまいります。
 そのためにも、アジアヘッドクオーター構想を推し進めてまいります。
 アジアにおける業務統括、研究開発の拠点ともなり得る外国企業を誘致するため、都独自の減税措置を実施し、法人実効税率を四割から二割台にまで引き下げます。また、高い付加価値を創出すべく、外国のすぐれた経営資源と都内中小企業が持つ高度な技術力を結びつけていきたいと思います。
 都の主体的な取り組みに加え、国からは入国審査、電力事業への参入障壁などの規制緩和をかち取り、外国企業が活躍しやすい環境を整えてまいります。
 こうした戦略を果敢に展開することで、五年間で外国企業のアジアの拠点を五十社以上誘致し、アジアの成長を日本に取り込んでまいりたいと思います。
 円高の影響により、国内のものづくり企業が生産拠点を海外に移す動きを加速させております。産業の空洞化は、我が国の強みである技術力を低下させ、地域の活力を奪いかねません。東京の宝である中小企業の集積を維持し、新たな集積を生み出すために、区市町村と連携し、企業の共同開発、共同受注の推進など産業基盤の強化に取り組んでまいります。中小企業の競争力を高め、製品開発に向けた設備投資も促すことで、ものづくり産業を活性化し、経済にも刺激を与えていきたいと思います。
 文明工学的視点を欠いた都市経営は、東京の有する力を効率的、効果的に発揮することを妨げ、我が国の国際競争力を奪ってきました。そのため就任当初から、東京の最大の弱点である渋滞を解消すべく、三環状道路の整備を強力に進めてまいりました。
 中央環状品川線は、間もなくトンネルの掘削が完了し、平成二十五年度の開通に向けて最終段階に入っております。外環道の関越道から東名高速までの区間については、国がようやく二〇二〇年までに完成させる方針を示しました。これを確実に実行するために、来年度早期にはトンネル工事に着手するよう国を動かしてまいります。
 臨海部では、先日、東京港をまたぎ湾岸道路の混雑緩和に大きく貢献する東京ゲートブリッジが開通いたしました。今後も、環状二号線や東京港トンネルの整備を進め、東京の道路ネットワークを有機的に結合させ、首都の力を最大限に発揮できる体制を構築してまいります。
 東京が日本の首都としての存在感を高めるためには、風格のある都市を造形しなければなりません。
 知事就任以来手がけてきた、首都の玄関口であります東京駅丸の内周辺の整備も大きく進んでまいりました。東京駅と皇居を結ぶ行幸通りを歴史を感じさせる格調高い道路として整備し、来月には、空襲で一部が焼けた東京駅が復元され、六十七年ぶりに創建当時の姿をあらわします。東京駅から行幸通り、江戸城のたたずまいを残す皇居周辺が一体となった風格ある景観は、後世に残る我が国の財産になり得ると思います。
 さらに、二〇二〇年までに、緑の拠点たる公園を東京全体で日比谷公園の十個分に当たる百七十ヘクタールを整備し、街路樹も充実させます。緑あふれる美しいまち並みを整え、首都にふさわしい姿で東京の存在感を高めてまいりたいと思います。
 かつてだれも経験したことのない急激な少子高齢化を見据えて、東京が世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを構築していきたいと思います。
 とりわけ認知症は、高齢者にとっては将来への不安であり、家族にも大きな負担となります。本人も家族も安心して生活できる体制を整えるべく、今後三年間で認知症高齢者グループホームの定員を一万人分まで増加させます。働き盛りの年代でも発症する若年性の認知症についても、ワンストップの相談窓口を新たに設置し、就労継続、医療、介護の問題など多岐にわたる支援につなげてまいります。
 少子化を打破するには、安心して子どもを産み育てる環境が必要であります。潜在ニーズも含めて待機児童を抜本的に解消すべく、都独自の認証保育所も活用しながら、保育サービスを大幅に拡充いたします。まず、当面の三カ年で二万四千人分をふやしたいと思います。子どもが熱を出しても安心して預けられる病児保育施設も駅の近くに増設するなど、子育て家庭を社会全体で支える仕組みを構築してまいります。
 放射性物質への対策も引き続き進めてまいります。都内小売店で流通している食品について、都民、特に子どもが日常的、継続的に摂取する食品などを中心にモニタリング調査を強化するとともに、芝浦と場でと畜したすべての牛肉の検査も進めます。健康安全研究センターの検査体制も強化するなど、都民、国民の安心につなげてまいります。
 先日の教育再生・東京円卓会議では、日本の科学技術の将来を担う人材をいかに育てていくかについての議論を交わしました。日本人に自信と誇りを取り戻させるよすがともなるあの小惑星探査機「はやぶさ」を生んだ科学者たちのように、日本を輝かせる人材は内向き志向、安定志向からでは生まれようはずがありません。若者の旺盛な好奇心と発想力を伸ばし、実際の体験の中でさまざまな困難を乗り越えさせてこそ、そうした人材は生まれると思います。
 その手だての一つとして、都は独自に高校生の挑戦を応援します。まずは、都立高校生から志のある生徒を募り、一年間の長期海外留学を経験させます。真の国際人に成長させるため、事前に日本の歴史、文化も教えて、海外から日本という国を相対的、客観的にとらえる素地を養いたいと思います。
 現下の経済情勢から若者の就職は厳しい状況が続いておりますが、東京と日本の発展のため、意欲ある若者を積極的に後押ししてまいります。
 そのため、都は、雇用就業支援の取り組みを一層強化いたします。今年度開始した、実際に中小企業で数カ月仕事を経験させ、正規雇用につなげる仕組みを拡充してまいります。未就職の大学新卒者等に加え、フリーターなどの非正規雇用から正規雇用を目指す若者も対象として実施いたします。この仕組みにより、環境や健康など成長が見込まれる産業分野における中小企業の人材確保も重点的に支援してまいります。
 次に、多摩・島しょの地域の振興について申し上げます。
 来年、多摩・島しょを中心に開催されるスポーツ祭東京二〇一三は、豊かな自然、文化を有する地域の魅力をアピールする絶好の機会であります。準備を着実に進め、スポーツの機運を盛り上げ、オリンピック・パラリンピックの招致にもつなげてまいります。
 多摩地域では、この春に、圏央道の八王子ジャンクションと高尾山インターチェンジの区間が開通いたします。来年度末には、圏央道へのアクセス道路である新滝山街道と多摩の南北を結ぶ府中清瀬線を全線開通させるなど、多摩地域の利便性を格段に向上させてまいります。
 多摩・島しょの自然は、世界遺産に登録された小笠原諸島を初め、貴重な財産であります。都は、独自にレンジャー制度を整えて、貴重な自然を保護する先進的な取り組みを進めてまいりました。来年度から、都の職員を現地に派遣し活動を支援することで、レンジャーのパトロール活動を大幅に強化して、比類ない自然を確実に守ってまいります。
 次に、東日本大震災の被災地支援について申し上げます。
 未曾有の大震災から間もなく一年が経過いたします。今月、警察官二百人が被災県の警察本部に出向したことを初め、四百人を超える都の職員が、東京を離れた被災地で、治安維持や行方不明者の捜索、除染作業の支援、下水道や港湾等のインフラの復旧、学校教育などに当たっております。アスリートやアーティストも派遣して、被災地を元気づける活動も続けております。東京に避難されている方々は、今も九千人を超えておりまして、都営住宅などを活用して受け入れ、就労、就学も支援するなど生活をきめ細かく支えております。さらに、都は、区市町村や民間と力を合わせて、全国の先頭に立って、被災地の瓦れきを受け入れ、安全を確認しながら順調に処理を進めております。
 被災地の復旧、復興は、日本人が一丸となって取り組まなければなし得ません。都は、今後も、強力に後押ししてまいります。
 東京がその実行力を問われている今、これまで述べてきた政策を着実に遂行するための土台は、いうまでもなく強靱な財政であります。
 平成二十四年度予算案は、都税収入が五年連続で減少する厳しい状況の中、強固な財政基盤を堅持しつつ、直面する難局を乗り越え、東京のさらなる発展に向けて着実に歩みを進める予算として編成いたしました。
 複式簿記・発生主義の手法を駆使した事業評価等でむだをあぶり出し、二百二十億の財源を確保して、全体の支出も厳しく抑制いたしました。
 その一方で、「二〇二〇年の東京」計画を実行するための経費を全額計上し、経済への波及効果の高い投資的経費も八年連続で伸ばしております。都債への依存度も八%に抑えつつ、基金残高も八千三百億円を確保し、将来に向けた手だても講じております。こうしたことができたのも、財政を立て直すべく現実と真正面から対峙し、本質的な議論を闘わせながら改革を重ねてきたがゆえであります。
 これとは対照的に、国の来年度予算案は、国債依存度が約五割という、尋常ならざる事態に陥っております。国も、都と同様に、会計制度を根本的に改革してむだを省き、財務諸表をきちっと提示し、職員を削減するなど、一刻も早くなすべき改革を断行すべきであります。
 また、社会保障と税の一体改革が議論されておりますが、先般、政府が閣議決定した大綱の中に、国が道理もなく奪った法人事業税の暫定措置の撤廃に向けた方針が明記はされました。当初約したとおり、確実な撤廃に向けて、都議会の皆様のお力添えをぜひお願いいたします。
 次に、築地市場の豊洲移転について申し上げます。
 豊洲新市場への移転を希望する事業者の不安を払拭すべく、移転資金や運転資金、移転後の新たな事業展開に必要な資金の手当てなど、経営支援策を講じてまいります。また、先般、地元中央区と築地市場の移転についての合意を交わし、今後、区とともに跡地の一部を活用して築地のにぎわいを継承する方策についての検討を進めてまいります。
 老朽化した築地市場の移転は、昭和からの宿題であります。平成二十六年度の豊洲新市場の開場に向けて、着実に取り組んでまいります。
 次に、朝鮮学校に対する補助金について申し上げます。
 都は、外国人の子どもを教育する各種学校の運営に対しても助成を行っております。これは、外国人の日本に対する理解や愛着を深め、我が国の将来にとっても非常に有意義なことであるとも思います。
 しかし、その学校は、同胞を誘拐、拉致した北朝鮮の影響下にある朝鮮総連と密接な関係があると指摘され、教育内容や政治的中立性などに疑念が呈されているのであれば、これは話は全く別であります。朝鮮学校に対する補助金は、予算に組み入れないことにいたしました。今後、学校運営や教育内容について徹底した調査を進めてまいります。
 さて、私は、今から四十数年前、直接、戦地に赴いてベトナム戦争を取材する中で、当時のベトナムと同じように、日本でも自由主義体制が崩壊する日が来るのではないかという強い懸念を抱き、政治家としての道を歩み始めました。
 日本が費やしてきた努力は、自由主義と市場経済の優位を明かし、我が国は経済大国として、かつてない成功を手に入れました。しかし、イデオロギー対立の終えんと東西冷戦の終結は、新興国の経済的、軍事的な台頭をもたらし、文明の衝突ともいうべき対立を顕在化させ、我が国を取り巻く国際情勢は複雑化して、厳しさを増しております。
 そうした中で、今の日本人の多くは、物質的な繁栄の中におぼれ、祖先から受け継いできたはずの価値の基軸を見失い、アメリカ依存の平和に安住して、みずからの足で立とうとする意欲すら失っているのです。世界観、歴史観を持たない政治家たちもまた、危機感を欠いたまま、理念なき離合集散を繰り返し、ただみずからの保身のために国民にこびて、問題を先送りしてきました。それは、国の政治家の多くに、国家を背負うという気概がなくて、何が肝心なのかを理解する力もないからにほかなりません。
 私は、今また、このままでは日本は滅亡するのではないかという強い懸念を抱かざるを得ないのです。
 首都東京の知事として、日本を愛する一人の政治家として、このまま見過ごすことは絶対にできません。志を同じくする都議会の皆様とともに、時には他の都市とも手を組みながら、危機の本質にメスを入れ、東京から日本再浮上の道筋をつけるべく、渾身の力を振り絞ってまいります。皆様のより一層のご理解とご協力をお願いいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十件、条例案九十一件など、合わせて百三十四件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして施政方針表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上もって知事の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
  〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 都内の治安情勢についてご報告を申し上げたいと思います。
 昨年は、東日本大震災に伴いまして、発災当日から被災地の支援活動、そして都内における震災関連の各種の活動に従事いたしました。そういった業務と並行いたしまして、本来の業務でありますけれども、重要凶悪事件の捜査や犯罪抑止総合対策、暴力団排除対策、交通事故抑止対策等の治安対策に従事してきたところであります。
 現在のところ、都民生活の安全と安心につきましては、おおむね保持できているのではないかと考えております。
 以下、若干敷衍いたしまして、ご説明申し上げたいと思います。
 第一でありますが、犯罪抑止総合対策についてでございます。
 その一といたしまして、昨年の成果と今後の課題について申し上げます。
 昨年の刑法犯認知件数は――刑法犯認知件数というのは、要するに犯罪の発生件数でありますけれども、犯罪抑止総合対策をスタートさせました平成十五年から昨年まで、九年連続で減少いたしております。昨年は十八万六千四百三十二件でありました。ピークは平成十四年であります。この平成十四年と比べますと三八%減少しております。
 数値的には目覚ましい改善といえようかと思います。けれども、昨夏実施されました都の調査でありますが、都民生活に関する世論調査を見てみますと、回答者の五三%が、みずから何らかの犯罪被害に遭う不安を感じると答えております。なぜ不安感が高どまりしているのかということでありますけれども、その背後には、必ずしも都民が強い不安を感じるような手口の犯罪が思うように減少していないといったこと、さらには、生活スタイルや住居構造の変化もありまして、地域社会における人と人のつながりの希薄化、身近なところに何でも相談できる人がいないといったような事情があるのではないかと考えております。いずれにいたしましても、この不安感の改善が今後の課題であります。
 次に、その二といたしまして、重要特異事件の検挙状況等について申し上げます。
 この重要特異事件と申しますのは、一件一件が都民を不安にさせる、社会を震撼させる事件でもあるわけでありますが、昨年は、特別捜査本部を設置した重要特異事件が七事件でございました。そのうち六事件を検挙、解決いたしております。
 残念ながら、平成七年発生の八王子市大和田町のスーパー事務所におけるけん銃使用強盗殺人事件、そして平成十二年の世田谷区上祖師谷三丁目の一家四人強盗殺人事件など、まさにこの重要事件がいまだ解決に至っておりません。
 こういった事件を早期に検挙、解決できるかどうかは、客観証拠をいかに収集し、分析できるかどうかにかかっているところであります。対策といたしまして、DNA型鑑定や、街頭防犯カメラの一層の活用に向けて、インフラ整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、その三でありますけれども、振り込め詐欺を初めとする詐欺の被害状況等について申し上げます。
 昨年、振り込め詐欺の認知件数は千五百六十三件でございました。被害総額は三十六億二千万円でございました。
 この振り込め詐欺の被害者の七四・四%が六十歳以上の女性であります。そのほとんどが、お子さん方、若い世代のご家族と離れて暮らしておられる方々であります。突然電話がかかってまいりまして、何らかの不始末をしでかしたというんですね。窮地に陥った息子さんや男のお孫さんを装いまして、そういった、装っておるわけでありますが、犯人にだまされて、かけがえのない蓄えを奪われるといった状況であります。
 実にこの振り込め詐欺の平均被害額は、昨年二百三十二万円であります。振り込め詐欺が猛威を振るい始めましてはや十年になりますので、ほとんどの都民の方々は、ほとんどの被害者は――被害届け出の際に被害者からお聞きするわけでありますけれども、知識としては十分に振り込め詐欺のことを知っておられる。にもかかわらず、だまされているのであります。防犯意識が浸透しているはずの振り込め詐欺の被害が後を絶たない状況にあります。
 対策といたしましては、警察が摘発、検挙をさらに強化すべきは当然のことでございますけれども、加えまして、息子さんを語ってだまされるケースがほとんど、すべてでありますが、離れて暮らしておられる息子さんに、危険にさらされている母親を守っていただくように呼びかけることも、焦点をそこに合わせた広報啓発も重要であろうと考えております。
 近年、こうした、特殊詐欺と呼んでおるのでありますけれども、特殊詐欺を初めとする多様な形態がありますが、詐欺が多発をしております。ネット上の出会い系サイト詐欺なども最近ふえておりますけれども、こういった詐欺の被害総額は、都内で昨年、百三億八千万円に上ります。これはついに窃盗の被害総額を超えました。窃盗が八十三億三千万円であります。この詐欺のほとんどは、犯罪をなりわいとするグループによって敢行されているところであります。こういった詐欺の被害が、都民生活の安全を脅かす大きな要因となっているところであります。
 対策といたしましては、取り締まりの強化はもちろんのことでありますけれども、焦点の合った被害防止の呼びかけ、広報啓発が重要であると考えております。特に、判断能力の衰えたご高齢の方々の資産をねらった犯罪への対処が、大きな課題であると考えております。
 次に、その四でありますけれども、盛り場の治安状況等について申し上げます。
 平成十四年から、都内の主要な盛り場におきまして盛り場総合対策を実施しております。
 現状について申し上げますと、悪質な客引きや違法風俗店、性風俗等の摘発、検挙につきましては、相当に進捗もしてきているのでありますけれども、若い女性に声をかけて性風俗店等で働かせようとするスカウトが路上等にたむろしている、徘回をするといった状況がふえております。この点が問題になっているところでございます。
 今定例会に、スカウト目的で相手方を待つ行為などを規制対象とする迷惑防止条例の改正案を提出させていただいているところであります。
 その五でありますけれども、少年非行の現状と課題について申し上げます。
 昨年、刑法犯で検挙した少年は七千七百九十人でございました。前年対比で六百四十四人の減少でありますけれども、その三割以上が再犯少年であります。問題は、非行のわだちから抜け出せないで何度も犯罪を繰り返す少年が多数存在をしているということであります。
 こうした少年やその保護者は、多くの場合、自分たちの方から助けを求めることが難しい事情を抱えておりますので、こうした状況を勘案いたしまして、警察の方から手を差し伸べる出前型の支援を実施することといたしております。関係機関や少年警察ボランティアと連携いたしまして、非行少年を生まない社会づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、第二でございますが、暴力団総合対策の推進状況について申し上げます。
 暴力団は犯罪組織でありますので、警察の責任は、いかなる暴力団犯罪も見逃さず、摘発、検挙を徹底することであります。昨年は暴力団員等四千六百五十一人を検挙しております。前年対比で六百八十六人の増加でございました。
 それから、暴力団排除の状況につきましては、昨年十月から都条例が施行されまして、社会の各分野、各業界で、契約の際には暴力団排除条項が新たに取り入れられるなど、着実に暴力団排除が進捗してきているものと見ております。
 さらに、都内の区市町村でも、暴力団排除条例の制定の動きが広がってきておりまして、これまでに八つの自治体で条例が施行されております。
 警視庁といたしましては、特に、暴力団排除の活動に携わっておられる方々が危害を加えられることのないように、警戒活動と保護対策の万全を期していきたいと考えております。
 次に、第三でございますが、重大交通事故防止対策の推進状況について申し上げます。
 昨年は、交通事故発生件数総数につきましては、平成十三年以降でございますけれども、十一年連続で減少いたしておりますが、交通事故死者数につきましては、昨年は年当初から二百名未満に抑止することを目指しまして、悪質違反の取り締まりや、高齢者、二輪車、自転車利用者等の安全対策に力を尽くしてまいりましたけれども、一昨年と同数の二百十五名でございました。大変残念な結果でありました。
 ことしこそは、交通事故死者数を二百名未満に抑止できるように、関係機関やボランティアと連携いたしまして対策を進めてまいりたいと考えております。
 ちなみに、この二百名は、四十七都道府県でいまだ達成した経験のないのは東京だけであります。人口も車の台数も違いますから、単純比較には問題がありますけれども、そういったことからも、ぜひ二百名未満を目指して努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、第四でございますが、サイバー犯罪対策の推進状況について申し上げます。
 サイバー空間は、その高い匿名性が大きな特徴でありますし、また、基本的に何でも自由であるべきだといった風潮が、利用者にも、関係事業者にも根強いのでありますけれども、その実態について申し上げますと、児童ポルノでありますとか、違法薬物の密売情報でありますとか、さらには、やみの求人情報等、あらゆる種類の違法情報、有害情報がはんらんいたしております。
 さらにまた、サイバーインテリジェンスやサイバーテロの脅威も現実のものとなってきております。昨年は政府機関や民間事業者等の保有する情報が、サイバー攻撃にさらされるといった事案が相次いで発生したところであります。
 いずれにいたしましても、サイバー空間は、今や人々の日常生活、社会活動にとりまして不可欠の存在であります。その安全確保対策は極めて重要な課題であるということでございます。
 なお、違法情報、有害情報につきましては、ほとんどの事犯が都道府県の境を越える、またがる事案でございますけれども、そういったことから、昨年の七月、全国警察の中で警視庁が元立ちになりまして全国協働捜査方式を導入いたしまして、捜査の効率化を図ったところであります。その成果といたしまして、昨年末までに三百二十九件を検挙したところでございました。
 また、サイバー攻撃につきましては、サイバーパトロールを実施しておりますほか、官民のネットワークや対策協議会を活用いたしまして情報共有を進めますとともに、共同訓練を実施するなど、防御力の強化を図っているところであります。
 次に、第五でございますが、テロ、ゲリラ等の防圧検挙について申し上げます。
 まず、極左暴力集団につきましては、昨年、活動家等八十五人を検挙したところでありますが、近年はその暴力性や党派性を隠しまして、労働運動や大衆運動に取り組む傾向にあります。特に昨年からは、福島第一原子力発電所の事故をとらえた反原発運動を活発に展開しているところであります。
 次に、右翼につきましては、昨年、団体構成員等百三十人を検挙いたしたところでありますけれども、領土問題等をめぐり、関係諸国や我が国政府の外交姿勢に反発いたしまして、抗議行動や街頭宣伝活動を活発にこれまた展開しているところであります。
 次に、国際テロ情勢につきましては、アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの死後も、世界各地でテロが相次いで発生いたしております。こうした中、本年十月には都内で、第六十七回国際通貨基金・世界銀行年次総会が開催される予定となっているところであります。世界的な経済、金融不安の高まりなどの状況からいたしますと、同総会に向けた国内外の諸勢力による不法事案の発生も懸念されるところでもあります。
 対策といたしましては、国内外の幅広い情報の収集、分析を強化しなければなりませんし、テロ対策東京パートナーシップを構築いたしておりますけれども、活用いたしまして、関係事業者等との連携強化を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、オウム真理教につきましては、主流派のアレフと上祐派のひかりの輪に内部分裂しておりますけれども、実質は松本智津夫への帰依に変わりはございません。引き続き、関係機関とも連携の上、教団の実態解明と教団施設等の警戒活動を徹底してまいりたいと考えております。
 次に、第六といたしまして、最後に、当面の重点課題、二点申し上げたいと思います。
 その一は、災害警備対策であります。
 先ほども申し上げましたけれども、東日本大震災に際しましては、発災当日から特派部隊を被災地に派遣いたしました。今日もなお百名規模の派遣を継続いたしておるところであります。これまでに派遣した職員は、延べでございますけれども、十九万人を超えております。加えまして、先ほど知事から言及がございましたけれども、今月の頭からは、被災三県警察に対しまして、合わせて二百名の警察官を特別出向させているところであります。
 一方、都内における当面の最重要課題は、首都直下地震が発生した場合における警備対策であります。一たん、有事の際には、まずは、住民自身による的確な避難行動をとっていただけるかどうかが最大のポイントになるわけでありますけれども、そのためには、事前の準備、取り組みが極めて重要であります。
 ということで、先般、五つのモデル地区を設定いたしまして、正しい情報を迅速に伝達するにはどうすればいいか、実際的な避難行動はどういう経路で、どうあるべきかなどにつきまして、実際的な検討を進め、単位となるべきコミュニティごとの事態対処能力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、その二、自転車総合対策であります。
 東京では近年、老若男女を問わず、また用途のいかんを問わず、社会全体に自転車の利用が広がりを見せております。特に東日本大震災以降、その傾向が顕著となっております。
 自転車は道路交通法上の軽車両でありますから、車道通行が原則でありますけれども、都内では、道路環境等の現状を踏まえまして、安全確保の観点から、歩道の約六割を自転車通行可といたしております。
 ところが、現状には問題がございます。歩道を通行する自転車利用者の多くが、交通ルールや安全マナーを知らない、あるいは守らないといった状況にございますがゆえに、歩行者の安全を守るといった観点からも、非常に大きな問題となっているところであります。
 自転車が関与した交通事故が交通事故全体に占める比率を見てみましても、東京では三七・三%であります。これは全国平均を大きく上回っております。こうした状況を踏まえまして、昨年十二月、自転車総合対策推進計画を策定いたしました。
 この自転車につきましては、通行環境の整備が重要であることはもとよりでありますけれども、この環境整備と並行いたしまして、自転車利用者に対するルールやマナーの浸透を図ることといたしました。また、悪質、危険な違反者に対する取り締まりの徹底を期することといたしました。この総合対策の目的は、自転車利用者の安全と歩行者の安全をともに守ることであります。現場の実態に即した実際的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 以上、治安概況について申し上げました。
 安全で安心して暮らせるまち東京を実現するためには、警察業務につきましても、合理化、効率化が大変重要であります。合理化、効率化にあわせまして、人的基盤の充実強化も必要となっているところでございます。
 本定例会におきましては、警察官三十二人を増員するための条例改正と所要の予算の確保をお願いいたしておるところでございます。ご理解を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員石毛しげる君。
  〔百二番石毛しげる君登壇〕

〇百二番(石毛しげる君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう厳格な監査を実施することにあります。
 年間を通じて、定例監査、行政監査、工事監査、財政援助団体等監査、決算審査、住民監査請求など多岐にわたる監査を実施しております。
 平成二十三年は、三月十一日に発生した東日本大震災の影響を受け、各局が震災対応に力を注ぐことができるよう、定例監査の日程を変更し、行政監査については行わないことといたしました。
 この一年間で監査を実施したのは六百カ所であり、問題点の指摘は二百四件、指摘した金額は、明示されているものだけを見ても約二億七千万円あります。
 初めに、定例監査から申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。本庁のすべての部と事業所の約四割、合計で四百五十三カ所を対象として、事務事業が適正適切に行われているかについて、監査を実施いたしました。
 監査の結果、物品購入など契約手続について、契約を締結していないまま物品を納品させ、後日まとめて代金を支払うといった不適正な契約手続が依然として認められました。
 また、情報システムの運用支援委託において、業務量を過大に算定したり、不要な機能改善を実施していたものがありました。
 定例監査では、監査を効率的、効果的に進めるため、重点監査項目を設定していますが、平成二十三年は重点監査項目の一つとしてリース契約を設定いたしました。
 リース契約による物品調達では、購入するなどの他の方法で調達する場合と比較した上でリース契約を選択する必要があります。今回指摘した内容を見ますと、積算の根拠が残っておらず、リース契約の妥当性について検証できないものがありました。また、短期間しか使用しない機器であるのに、物件の全価格を実質的に負担しているものがありました。
 ところで、多くの契約については、リース契約終了後も再リースが可能なものがあります。そのため、当初のリース契約締結時には、再リースを検討する際に備え、契約金額の内訳を把握しておく必要がありますが、その努力が十分に行われていませんでした。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は、全局における百万円以上の工事を対象としております。平成二十三年は、件数では約一割の千七百八十六件、金額ではその約二割に当たる三千百億円の工事について監査を実施いたしました。
 指摘した内容を見ますと、工事照明の設備費の積算において、撤去のみの単価を用いるべきところに、設置と撤去を行う場合の単価を用いていたものがありました。
 また、地上デジタル放送への移行に伴い、増幅器の設置数をアナログ放送よりも低減できることがあります。しかし、地上デジタル放送受信対応工事において、増幅器の設置数を精査せず従前のままとしたため、過剰な設計となっているものがありました。
 工事請負者への指導監督では、地下を掘削する際に、土どめ工を適切に行う必要がありますが、作業の途中で、支えとなる支保材を撤去しているものがありました。このような状況は、崩落事故につながりかねない大変危険なものですが、適切な監督が行われていませんでした。
 指摘全体を通して、工事の知識や工事監督経験の不足が原因で、単価設定や数量など基本的な事項の間違いや、現場の状況を十分把握できていないものが見られます。これら経験を積んでいない職員による技術業務を改善するため、技術職員の補強や部局を超えた支援体制拡大など、組織的な取り組みを求めました。
 次に、都の補助金交付団体や出資団体に対する監査について申し上げます。
 監査を実施したのは、補助金交付団体等百三十五団体及び出資団体十二団体であります。
 補助金交付団体等への監査では、社会福祉法人に対し、施設利用者の算定誤りなどによる過大交付の事例が多数認められたため、補助金の返還などを求めました。
 出資団体への監査では、院内保育所の運営実績がないにもかかわらず、その経費として運営費負担金約二千六百万円が交付されたままとなっていたものや、指定管理者が事業計画書において提案した内容が実際には履行されていないものがありました。
 また、制服の在庫管理がおろそかになっていたものについて、職員を装った詐欺や訪問販売等に悪用されないよう適正な管理を求めました。
 そのほか、出資団体が局から特命随意契約で受託した業務について、その主要な部分がさらに特命随意契約で再契約されているものが多数見られたため、競争性、透明性、公平性を高める観点から、これらの契約について改善を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成二十二年度決算については、主に法令等に基づき適正に執行されているかという合規性の観点から監査を行い、決算計数を確認するとともに、予算執行や資金管理、財産管理の面から検証いたしました。
 その結果、財産に関する調書において、土地約七千平方メートルの登載漏れ、有価証券六千万円の過大登載などがあり、現在高の把握を適正に行うよう求めました。
 また、公営企業会計において、特別損失三億六千万円余りが雑支出として計上されていたため、適正な会計処理を求めました。
 次に、監査結果に対する改善状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めてその目的を達成いたします。このため、年に二回、各局から改善状況について報告を求め、その改善を促しています。過去三年間に行った指摘について見ると、各局が改善に努めた結果、これまで約八八%が改善済みとなっています。
 具体的な改善事例としては、都立高等学校の図書館において、図書館の書籍の管理や貸出事務を効率的に行うとともに、読書活動の推進に活用できる図書館管理システムについて、約半数の導入にとどまっていましたが、すべての都立高等学校に導入されることになりました。
 このほか、都民の住民監査請求が十九件あり、そのうち請求の要件を満たした、固定資産税等の賦課に関する請求一件について監査を実施いたしました。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 監査の結果、総じていえることは、十分な検討がなされず、安易に前例の踏襲された事務処理が進められており、コスト意識や問題意識を持って業務を見直していない事例が少なくないということです。
 また、日常、事務処理が担当者のみで進められ、組織内のチェック体制や異なる部門間での連携が十分に機能していないために、事務処理の誤りやおくれが見過ごされていることです。
 ところで、定例監査で重点監査項目としたリース契約については、平成十九年には約三億四千万円の指摘をしていました。その後、各局においてマニュアルの作成、チェック体制の強化など措置が講じられ、平成二十三年の指摘額は約二千四百万円と、三億円を超える改善が見られました。今回指摘した事項につきましても、こうした積極的な取り組みを期待します。
 管理者の皆様におかれましては、職場のさまざまな課題に即応できる高度な知識や能力を備え、都民サービスをさらに向上させる気概のあふれた職員の育成に努められるよう望みます。
 都政を取り巻く環境は、今後も厳しい状況が続くと考えられます。このため、限られた財源や人材の中で、創意工夫を凝らし、今まで以上に効率的、効果的に事業を推進していかねばなりません。
 東京都は、これまで行政の効率化と都民サービスの充実に向けて、民間活力を活用した多様な経営手法の導入、IT化の推進、複式簿記・発生主義の考え方を取り入れた新たな公会計制度の導入、活用など、各分野で行財政改革の取り組みを進めてきました。
 これらの取り組みについて、一層の効率化やサービス向上が図られているかを検証することが、監査の果たす役割として従来にも増して重要となっております。
 私ども五名の監査委員は、都政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査委員の使命を全力で果たしていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〇議長(中村明彦君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

〇議長(中村明彦君) 次に、包括外部監査人より、平成二十三年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人松本正一郎さん。
  〔包括外部監査人松本正一郎君登壇〕

〇包括外部監査人(松本正一郎君) 平成二十三年度包括外部監査人の松本正一郎でございます。
 平成二十三年度の包括外部監査は、環境政策に関する事業の管理及び財務事務の執行について、並びに財団法人東京都環境整備公社の経営管理についてを監査のテーマとし、補助者十二名とともに監査を行いました。
 前者は十二件の指摘事項と二十件の意見、後者は十件の指摘事項と二十件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 本日は、その主な事項についてご説明申し上げます。
 初めに、環境局についてであります。
 まず、環境に配慮した行動を支援するエコ金融プロジェクトについてです。
 本事業は、信託財産の運用益で実施しておりますが、平成二十二年度において、住宅ローン、自動車ローン及びリースについては年間目標を大きく下回っており、約一千八百万円が繰り越され、十分に活用できておりませんでした。金融商品の年間目標の見直しや新しい金融商品の開発などにより、信託財産の運用益を有効に活用すべきであるとしました。
 次に、自動車関連の補助金についてです。
 天然ガスを使用するバスの購入補助については、平成二十二年度は実績がなく、また、天然ガススタンド設置補助についても、平成十七年度を最後に実績がなく、機能しておりませんでした。今後、補助の要否を含めた見直しを行うべきであるとしました。
 また、電気自動車の導入などに対する補助実績も少なく、自動車関連補助金は平成二十二年度の予算額約三億一千万円に対し、決算額は約四千四百万円にとどまっておりました。
 こうした次世代自動車に対する導入補助制度の実効性を確保する観点から、補助条件などを見直すべきであるとしました。
 次に、多摩地域の森林再生事業についてです。
 本事業は、十年程度で間伐が一巡することが想定されておりますが、九年間の実施面積の合計は約五千ヘクタールであり、対象面積である約一万八千ヘクタールの二九%程度にとどまっております。都は、事業の直接の実施主体である市町村との情報交換や調整をより密にし、事業の進捗や予算を適切に管理していくことが望まれるとしました。
 次に、医療廃棄物の適正処理を推進するための診療所などを対象にした医療廃棄物処理推進事業についてです。
 都内診療所数約二万五千所に対して、参加診療所数は約一千二百所であり、利用率は四・八%にとどまっております。同様に、病院を対象とした医療廃棄物追跡事業は、都内病院数約六百六十病院に対して、参加病院数は四十九病院であり、利用率は七・五%と低い状況にありました。病院などに対して利用を促す方策を検討する必要があるとしました。
 次に、都の単価契約における諸経費の積算方法についてです。
 平成二十二年度の省エネ診断支援業務を例に見たところ、一回当たりの直接人件費に対応する諸経費率を適用する場合に比べ、想定回数分の直接人件費合計に対応する諸経費率を適用した場合では、三千万円以上低く予定価格が算定されました。想定回数に極端な変動がないと予想され、かつ高額な契約の場合には、諸経費の積算をより実態に合ったものとする必要があるとしました。
 続いて、財団法人東京都環境整備公社であります。
 公社は、都知事から唯一、東京都地球温暖化防止活動推進センターとしての指定を受け、地球温暖化防止活動支援事業を行っておりますが、そのほとんどは、本来行政が行うべき業務が公社以外に実施できないことから、都からの特命随意契約での受託でありました。
 平成二十二年度は、当該事業収入約三億九千七百万円から九千五百万円を上回る利益が生じておりました。しかし、公社の予算では、当該事業は複数の業務を含み、業務ごとの損益を把握できていないことから、より詳細な単位に予算を分割することにより採算管理も可能とすることが望まれるとしました。
 また、都は、事業の実績などを考慮して、公社に対して収支バランスのとれた事業運営が実施できるよう指導すべきであるとしました。
 次に、平成九年十月から公社が運転している城南島エコプラントについてです。
 本施設は、中央防波堤外側埋立処分場の延命に寄与することを主目的とした産業廃棄物の中間処理施設であります。
 当該事業の収支は、平成二十二年度末時点で三期連続二億円以上の赤字であり、累積赤字は約十五億二千万円となっております。
 平成二十三年度以降は廃プラスチックの埋め立てが禁止されましたので、廃プラスチックを減容化しても中防外側処分場の延命には寄与しなくなっており、当初の主目的が失われつつあります。そのため、今後も公社が損失を負担してまで事業を遂行すべきかどうか、検討する必要があるとしました。
 次に、公社が運営しております神田情報センターのシステム開発、保守、運用についてです。
 平成十七年度において、本業務にかかわる外部事業者との契約の中に、受託者側の従事者は総勢二人であったにもかかわらず、一カ月当たり六・八人分、金額にして月額約六百万円のものがありました。人員数などが実績に見合う内容となるよう、契約内容を最適化することが必要であるとしました。
 また、委託先の業務履行状況を適時にモニタリングする必要があるとしました。
 最後に、公社は、一般廃棄物、産業廃棄物の収集運搬も行っておりますが、既に行財政改革実行プログラムにおいて、廃棄物関連事業などについて、社会経済情勢の変化や民間事業者との適切な役割分担を踏まえ、事業の廃止を含め、そのあり方を見直しますとされております。廃棄物の収集運搬事業は、さらなる縮小をすべきであるとしました。
 以上をもちまして、平成二十三年度の包括外部監査結果のご説明といたします。

〇議長(中村明彦君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十三日から二十七日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十三日から二十七日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後二時二十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二三財主議第五〇八号
 平成二十四年二月十四日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
  文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十三年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
  記
 山内れい子議員
 畔上三和子議員
 中村ひろし議員
 大島よしえ議員
 伊藤ゆう議員
 たぞえ民夫議員
 吉田信夫議員
 斉藤あつし議員

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
 一 公文書管理について


 一 公文書管理について
 2011年4月1日公文書管理法(「公文書等の管理に関する法律」)が施行されました。この法律は、政権交代直前の09年6月に成立し、今年施行となりました。公文書管理と情報公開は車の両輪であり、民主主義の根幹にかかわるものです。国では、各府省で文書管理がバラバラで、これまで文書の廃棄による情報隠しやずさんな文書管理が指摘されており、一貫した公文書管理の必要性が言われていました。
 成立した公文書管理法は、第1条で「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする」と、目的を規定しています。公文書は国民の共有財産であるから、単に効率的な管理をするだけでなく、説明責任を全うし、市民にとってアクセスしやすい管理のしかたを考える必要があるということです。
 公文書管理法には34条で「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と、自治体の努力義務も示されています。
 東京都における公文書管理は、「文書管理規則」によって管理していますが、教育委員会や公営企業管理者、地方独立行政法人などはそれぞれ別の規則や規程を設けています。文書管理規則の制定・改正経過を見ると、時代の要請に合わせて規定が変化していることがわかります。しかし、この規則には効率的な管理という視点しかなく、目的規定もありません。公文書管理法の精神である公文書が市民の共有財産であること、説明責任を全うすることが明確にされていないのです。条例という形で、こうした理念を示す必要があると考えます。
 現在の公文書も歴史的公文書も市民にとって使いやすい管理が必要です。特に、意思決定過程の情報が、説明責任の観点からも市民参加の観点からも重要であり、その視点で、文書管理のあり方を検討する必要があります。
 1 公文書管理法の施行に伴って、東京都では公文書管理のあり方についてどのように検討が行われたか伺います。
 2 情報公開条例では「実施機関」に入っている教育委員会、公営企業管理者、警視総監や地方独立行政法人などが、文書管理規則ではその対象となっておらず、この規則は都のすべての機関や外郭団体に及ぶものではありません。
 文書管理と情報公開は、民主主義の根幹をなす車の両輪ですから、文書管理についても、情報公開条例と同様に共通の考え方が必要ではないかと考えます。文書管理規則は、非常に細かく規定が示されており、そのままで共通にすることは難しいと思いますが、公文書管理法に示された目的規定を踏まえて、都の公文書全体を貫く考え方を示す必要があると考えますが、見解を伺います。
 3 保存期間と廃棄について伺います。文書管理規則に基づいてそれぞれの文書の保存期間は各局で定めることになっており、計画策定過程の文書についても同様です。例えば、環境基本計画策定については、成果物は長期保存ですが、1庁内議論に関する文書2審議会の会議録および資料3パブリックコメントなどの資料が存在します。2や3はホームページで長期間公開していますが、公文書としては局の文書保存期間表により3年または軽易なものは1年未満となっています。また、現在策定されている「2020年の東京(仮称)」は、都の基本的な計画となるものですが、策定過程に審議会やパブリックコメントはなく、7月に「策定方針」が発表され、各局から事業案が出されたとのことです。この場合は1策定方針が長期2各局の事業案および庁内議論に関する文書は1年未満となっています。このように、長期保存である計画の策定過程文書の保存期間が短いことは問題であると思います。一貫した公文書の管理という視点から、あらためて1庁内議論に関する文書2審議会の会議録および資料3パブリックコメントについて、保存期間の考え方を伺います。
 さらに、保存期間が過ぎて、公文書館から引き継ぎの求めがない場合、廃棄の判断は誰がするのか伺います。引き継ぎを求められても局内に置かれる場合もあると聞いていますが、その判断についてもお聞きします。
 4 文書総合管理システムは、都の所有する公文書を調べるための目次のように使うことができます。インターネット検索もできるため、市民も容易にアクセスできます。ところが、起案文書名となっているため、これを見ただけでそれが必要な文書なのかわかりにくく、システムに記録されていない文書も多くあります。上記3で例示した文書については、環境基本計画に関するものは「東京都環境基本計画の改定に係る東京都環境審議会への諮問について」という文書しか記録されておらず、「2020年の東京(仮称)」については「「2020年の東京(仮称)」及び「実行プログラム2012(仮称)」策定に向けた事業案等の作成について」という提出文書が2つの局からあるだけです。このシステムでは、意思決定過程の内容がわかる文書を見つけるのは困難です。
 そこで、上記3で保存期間を伺った文書についてのシステム記録に関する考え方を伺います。
 5 東京都公文書館は、条例設置ではなく、組織規程に基づいて設置されています。これまで、東京都公文書館は公文書館法に定められたもの以外に修史事業の仕事もしているから「公文書館法に基づく条例設置」とはしないということでした。しかし、東京都公文書館の役割を見ると、「都の公文書や庁内刊行物などを系統的に収集・保存し、これらの効率的な利用を図る」ことが重要な役割ですから、地方自治法に定められた「公の施設」と位置づけられていないのがなぜなのか疑問です。公文書館法に基づく公文書館としないとしても、自治法に基づく公の施設にあたると思います。いずれにしても、条例による設置が必要になります。
 公文書管理法にあわせて国立公文書館法が改正されました。改正国立公文書館法には、目的に「公文書等の管理に関する法律の精神にのっとり」とあります。公文書管理法の精神とは、法1条に示された目的規定に他なりません。
 文書管理規則の対象に入っていない教育委員会、公営企業局、警視庁や独立行政法人などの文書は公文書館に引き継ぎがされません。教育庁の文書をはじめ、今年100周年を迎えた都営交通や上下水道なども含めて、東京全体の公文書が一体的に公文書館に収められていくことが大切ではないかと思います。
 こうしたことを考え合わせると、公文書館のあり方を見直す必要もあると考えますが、見解を伺います。

平成23年第四回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 公文書管理について
 1 公文書管理法の施行に伴って、東京都では公文書管理のあり方についてどのように検討が行われたか伺う。

回答
 平成23年4月に施行された公文書等の管理に関する法律は、これまで国において文書管理の運用が各省庁任せであったことなどにより、不適切な文書管理が行われていたことを踏まえ、まちまちだった各行政機関での文書管理について統一的なルールを定め、適切な文書の管理体制の確立を目指すため制定されたものです。
 一方、都では、既に平成11年に制定した情報公開条例において、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、文書の発生から廃棄までを統一的なルールで統制するため、文書管理規則等を整備しています。
 今後とも、こうした文書管理の仕組みを適切に運用していきます。

質問事項
 一の2 文書管理規則は都のすべての機関や外郭団体に及ぶものではない。公文書管理法に示された目的規定を踏まえて、文書管理についても、情報公開条例と同様に都の公文書全体を貫く考え方を示す必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠なものであり、適切な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民にとって、都政に関する情報を迅速かつ容易に得ることや、都政への参加を進めるために重要であると考えます。
 これを受けて、情報公開条例において、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、実施機関は、規則等で定めるところにより公文書の管理に関する定めを設けなければならないものとされています。
 これに基づいて、各実施機関は、文書管理規則に準じた規則等を定め、適切な文書管理を行っています。
 また、監理団体に対しては、監理団体指導監督要綱等において情報公開の推進を求め、それに必要な文書管理がなされるように指導を行っており、それぞれの団体において、文書管理に関する規程が整備され、適切な運用がなされています。

質問事項
 一の3 1庁内議論に関する文書2審議会の会議録および資料3パブリックコメントについて、保存期間の考え方を伺う。さらに、保存期間が過ぎて、公文書館から引き継ぎの求めがない場合、廃棄の判断は誰がするのか伺う。引き継ぎを求められても局内に置かれる場合もあると聞いているが、その判断についても伺う。

回答
 文書の保存期間は、文書管理規則に基づき、法令等の定め、当該文書の効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮し、都が執行すべき事務事業に係る基本的な方針及び計画の設定に関する起案文書については長期とし、また、基本的方針、計画等に関する重要なものに関する資料文書については3年などとする基準が定められています。
 この基準に基づき各局で定められた文書保存期間表に従って、お尋ねの文書についても適切に保存期間が設定されているものと考えています。
 また、保存期間を満了した文書については、廃棄されることになりますが、公文書館長が必要と認めた文書については、公文書館への引継ぎの対象となります。
 なお、保存期間を超えて保存する必要があると主務課長が認める文書については、局の庶務主管課長の承認を得て、引き続き当該文書を保存することができます。

質問事項
 一の4 文書総合管理システムへの記録は、起案文書名となっているため、見ただけでそれが必要な文書なのかわかりにくく、システムに記録されていない文書も多くある。そこで、1庁内議論に関する文書2審議会の会議録および資料3パブリックコメントについて、システム記録に関する考え方を伺う。

回答
 文書管理規則において、文書の管理は、原則として文書総合管理システムにより行うものとされており、主務課長は保存期間が1年以上である文書については、件名、文書番号、保存期間等の文書管理上必要な事項をシステムに記録するものとされています。
 したがって、お尋ねの文書についても、各局で定められた保存期間に応じて適切にシステムへの記録が行われているものと考えています。

質問事項
 一の5 東京都公文書館は自治法に基づく公の施設にあたり、条例による設置が必要だ。また文書管理規則の対象でない教育委員会、公営企業局の文書等も含め、東京全体の公文書が一体的に公文書館に収められていくことが大切だ。こうしたことを考え合わせ、公文書館のあり方を見直す必要もあると考えるが、見解を伺う。

回答
 公文書館法(以下「法」という。)に基づく公文書館は、現用文書を除く歴史的文書を保存し、利用に供すること等を目的として設置されるものであり、地方公共団体が法に基づく公文書館を設置する場合は、条例で定めなければならないとされています。
 しかし、都における公文書館は、長期保存の現用文書及び都政資料を保存するとともに、都政に関する修史事業を行うことを主な目的として開設されたものであり、法に基づく公文書館とは性格を異にすることから、行政の内部組織として組織規程に基づき設置されています。
 また、公文書の保存については、各実施機関ごとに規則等に基づいて適切な取扱いを行っているものと考えています。
 今後とも、公文書館は、都における公文書類及び史資料の保存及び利用並びに都政史料の編さんというその役割を的確に果たせるよう努めていきます。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 畔上三和子

質問事項
 一 知事の「破壊的教育改革」について


 一 知事の「破壊的教育改革」について
 石原知事は第2回定例会の所信表明で「破壊的な教育改革を議論し発信する」と表明し、そのために「教育再生・東京円卓会議」を設置、11月16日に第1回会議を開催しました。知事の「破壊的教育改革」は、首長と教育行政のあり方からいっても、また知事が進めようとしている教育の中身からいっても看過することはできません。
 まず、教育委員会制度と首長との関係について伺います。
 教育にかかわる行政は、戦前、国家権力が教育を直接支配することを通じて国民を戦争に動員していったことへの反省から、戦後は首長から独立した機関である教育委員会が担当しています。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律は、教育委員会と地方公共団体の長の職務権限を明確に分け、その第24条で地方公共団体の長の職務権限を、一 大学に関すること。二 私立学校に関すること。三 教育財産を取得し、及び処分すること。四 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと。五 前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること。と規定しています。
 1 知事は、円卓会議を、教育委員会ではなく知事部局に設置しましたが、円卓会議は、地教行法第24条の長の職務権限のうち、どれにあたるのですか。
 知事は第3回定例会のなかで、「破壊的な教育改革といわれましたが、これはもうなかなか、幾ら教育庁のけつをたたいてもなかなか動きませんで、今日まだじくじたるものを感じておりますけれども、今度の円卓会議を一つのきっかけにして、東京からこそ、この停滞した日本というものを支え直す本物の人材というものを若者たちから育てていきたいなと思っております」と答弁しました。
 2 これは、本来教育委員会がおこなうべきことに対し、知事の思うように進まないから知事が直接推進していく、ということではありませんか。
 3 教育委員会制度を設けている理由の1つが、首長への権限の集中を防止し、中立的・専門的な教育行政運営を担保するためであることへの、知事の認識を伺います。
 知事の進めようとしている教育の中身も問題です。
 知事は今年2月の予算特別委員会で、元首相の中曽根康弘氏に「破壊的に日本の教育の改革をしてくれ」と言われたことにふれ、そのなかで、教育勅語にあるような「国民としての当然な国家に対する義務」を「小学校のころから刷り込みしませんと」と述べ、さらに「子どもたちに正しい価値観の刷り込みをするためのそういった教育を建言していきたい」と答弁しました。
 4 知事の考える「正しい価値観」と、教育勅語との関係について説明してください。
 5 知事のいう「国民としての当然な国家に対する義務」とは、具体的にどんなことですか。
 6 特定の価値観を知事の考えで「正しい価値観」と決め、それを子どもたちに刷り込むことは、教育行政のあり方として認められるのですか。
 7 人間のもつ価値観は多様であり、そのどれを選びとりどんな価値観を形成するかは、個人の自由に属することで、法律や行政が立ち入ってはならない領域と考えますが、所見を伺います。
 特定の価値観について子どもたちに強制することができないのは当然ですが、なかでも知事の持ち出した教育勅語は、当時の天皇すなわち国家権力のために身を捧げろと子どもたちに教え、国家による命令に無批判に従う国民を育てる役割を果たしました。これは国民主権や民主主義とは相容れない考え方であり、その価値観を子どもたちに刷り込むなどというのは、日本国憲法を遵守すべき首長にあるまじき主張です。
 次に石原知事の歴史観と破壊的教育改革の関係について伺います。
 8 知事は第2回定例会の所信表明で、「戦後わが国は、正当な歴史を教えることもせず」と述べました。知事のいう「正当な歴史」とはどんな歴史ですか。
 9 また知事は9月の定例記者会見で、日本の教育の何を破壊すべきと考えるかと問われ、「決まっているじゃないですか。戦争に対する史観というものを一方的に強制してきたんだから」と答えています。そして第2次世界大戦で日本が植民地を解放したなどという自己の歴史観を披露しました。円卓会議のなかでも知事は、「あの戦争があったから、あなた方の植民地は解放された」という発言に拍手で賛意を示した旨の発言をしています。
 「破壊的教育改革」は、知事のこうした歴史観の押しつけに目的があるのではないですか。
 10 時の首長が自己の歴史観にもとづく教育を求めることは認められるのですか。
 知事は、日本の戦争がきっかけになって植民地が解放されたなどと、日本の侵略戦争と植民地支配を美化し正当化しますが、その議論そのものが、今日の世界では通用するものではありません。
 戦前、日本は植民地化や侵略による軍事支配を行ったアジアの各地で、残虐行為を行い、独立を求めて起ち上がった人を弾圧するなどの蛮行を働きました。
 11 戦後の世界政治と日本社会の大原則は、ドイツ、イタリアがヨーロッパで、日本がアジアで起こした戦争について、いかなる大儀もない侵略戦争だったという共通の認識の上に成り立っています。そして第二次世界大戦の悲惨な経験を通じ世界は、国家間の紛争の解決のために戦争をしかけることや、他国を侵略すること、戦争に勝った国が負けた国を自分のものにすることを認めない方向に、歴史を進めました。
 知事は、こうした事実を否定したり歪めて描いたりする発言を繰り返していますが、それは歴史観の違いにとどまらず、日本国憲法とともに国連憲章にも明記された戦後の国際秩序の原点を否定することに他なりません。知事の見解を伺います。
 12 知事の歪んだ歴史観を教育に持ち込み、子どもたちに押しつけようとすることはやめるよう求めます。
 さらに知事は、「知力・体力・人間力を備え、自信と誇りを持って世界と渡り合える人材を育てるために」などと述べ、人材育成を強調しています。
 13 しかし教育の目的は、一人ひとりの人格の完成であり、国家や社会の特定の目的に適うような人材の育成ではありません。このことも、教育勅語に示された戦前の教育からの反省に立脚するものであり、この見地から憲法第26条は「教育を受ける権利」として、子どもの学習権、子どもが主体として学び成長する権利を保障しています。知事はどう認識しているのですか。
 14 知事が「破壊的教育改革」、また円卓会議での議論を通じ、知事がふさわしいと考える価値観や歴史観を教えるよう求めたいという意思があることは明らかです。しかも第3回定例会の所信表明で知事は、できることから教育の現場で実行する旨を表明しているのです。これは教育内容への不当な介入にあたるのではないですか。
 15 知事の「破壊的教育改革」を進めるための円卓会議は、直ちに中止することを求めます。
 16 知事が今やるべきことは、子どもたちの教育の機会均等や、教育を受ける権利をきちんと保障すること、具体的には、子どもの貧困が問題になるなか、教育にかかる経済的な負担の軽減や、全国でもっとも遅れている小中学校の少人数学級の拡大、生徒増に対応した都立高校の新設、特別支援学校を大幅に新設し、教室不足を解消すること、すべての都立高校に正規の学校図書館司書を配置することをはじめとする教職員の増配置など、教育条件の整備です。いかがですか。
 以上、知事の答弁を求めるものです。

平成23年第四回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 知事の「破壊的教育改革」について
 1 知事は、円卓会議を、教育委員会ではなく知事部局に設置したが、円卓会議は、地教行法第24条が規定する長の職務権限「一 大学に関すること。二 私立学校に関すること。三 教育財産を取得し、及び処分すること。四 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと。五 前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること。」のうち、どれに当たるのか伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、東京から広く次代を担う人材の育成について議論しその内容を発信するものです。
 これは、知事としての当然の職務であり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を根拠とするものではありません。

質問事項
 一の2 破壊的教育改革は、本来教育委員会がおこなうべきことに対し、知事の思うように進まないから知事が直接推進していく、ということであるのか伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、東京から広く次代を担う人材の育成について議論しその内容を発信するものです。

質問事項
 一の3 教育委員会制度を設けている理由の1つが、首長への権限の集中を防止し、中立的・専門的な教育行政運営を担保するためであることへの、知事の認識を伺う。

回答
 教育委員会は、地方自治法や地方教育行政の組織及び運営に関する法律等に基づき、教育行政を適正に執行する行政委員会として規定されています。教育委員会は一般的に政治的中立性や継続性、安定性の確保が必要とされています。

質問事項
 一の4 知事の考える「正しい価値観」と、教育勅語との関係について所見を伺う。

回答
 世代や立場を超えて、いわば垂直に継承されるべき価値の基軸は、誰もがきちんと受け継いでいくことが必要です。
 かつて教育勅語がありましたが、文章そのものを今復活させても時代錯誤でしかありません。しかし、人間の規律、規範を掛け算の九九と同じように繰り返し暗唱させ、子供たちに身につけさせることが重要です。

質問事項
 一の5 知事が今年2月の予算特別委員会で述べた「国民としての当然な国家に対する義務」とは、具体的にどのようなことなのか伺う。

回答
 国家、社会には人間同士の連帯が不可欠であり、他人への配慮や地域、国家に目を向け、進んで公に貢献する、志をもつ若者を育てることが必要です。

質問事項
 一の6 特定の価値観を知事の考えで「正しい価値観」と決め、それを子どもたちに刷り込むことは、教育行政のあり方として認められるのか、所見を伺う。

回答
 掛け算の九九と同じように繰り返し暗唱し人間の規律、規範を子供たちに身につけさせることは、当然に家庭でのしつけや学校での教育の中で行われるべきことです。

質問事項
 一の7 人間のもつ価値観は多様であり、そのどれを選びとりどんな価値観を形成するかは、個人の自由に属することで、法律や行政が立ち入ってはならない領域と考えるが、所見を伺う。

回答
 規律、規範などについては、当然に家庭でのしつけや学校での教育の中でしっかりと伝達していかなければならないものです。

質問事項
 一の8 知事は第2回定例会の所信表明で、「戦後わが国は、正当な歴史を教えることもせず」と述べた。知事のいう「正当な歴史」とはどんな歴史なのか伺う。

回答
 教育においては、近代史、現代史を含め、我が国の歴史として存在した事実を正しく伝えることが必要です。

質問事項
 一の9 「破壊的教育改革」は、第2次世界大戦で日本が植民地を解放したという知事の歴史観の押しつけに目的があるのではないかと考えるが、所見を伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、東京から広く次代を担う人材の育成について議論しその内容を発信するものです。

質問事項
 一の10 時の首長が自己の歴史観にもとづく教育を求めることは認められるのか、所見を伺う。

回答
 教育においては、近代史、現代史を含め、我が国の歴史として存在した事実を正しく伝えることが必要であり、特定の歴史観に基づく教育を求めるものではありません。

質問事項
 一の11 知事は、第2次世界大戦で日本がアジアで起こした戦争について、いかなる大義もない侵略戦争であるという事実を否定したり歪めて描いたりする発言を繰り返しているが、それは歴史観の違いにとどまらず、日本国憲法とともに国連憲章にも明記された戦後の国際秩序の原点を否定することに他ならない。知事の見解を伺う。

回答
 歴史には重層的、複合的な意味があり、歴史について様々な見方があるのは当然だと考えています。

質問事項
 一の12 知事の歪んだ歴史観を教育に持ち込み、子どもたちに押しつけようとすることはやめるよう求めるが、所見を伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、東京から広く次代を担う人材の育成について議論しその内容を発信するものであり、歪んだ歴史観を子供達に押し付けるものではありません。

質問事項
 一の13 教育勅語に示された戦前の教育の反省から、教育の目的は、一人ひとりの人格の完成とされ、知事の強調する国家や社会の特定の目的に適うような人材の育成ではないと考えるが、知事の所見を伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、知力・体力・人間力を備え、自信と誇りを持って世界と渡り合える人材の育成について議論しその内容を発信するものです。

質問事項
 一の14 知事がふさわしいと考える価値観や歴史観を教えるよう求めたいという意思を持ち、できることから教育の現場で実行する旨を表明しているが、これは教育内容への不当な介入にあたるのではないかと考えるが、所見を伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議では、東京から広く次代を担う人材の育成について議論し、教育再生の足がかりとなる具体的な意見やアイデアを導き出していきます。
 これは知事としての当然の職務であり、教育内容への不当な介入には当たりません。

質問事項
 一の15 知事の「破壊的教育改革」を進めるための円卓会議は、直ちに中止することを求めるが、所見を伺う。

回答
 教育再生・東京円卓会議は、幅広い視点から、次代を担う人材の育成について、従来の制度や仕組みにとらわれずに議論していきます。
 その内容を発信することで、社会全体にも論議を巻き起こし、現状を憂う声なき声にも応えていきます。
 今後、教育再生・東京円卓会議をますます実りあるように進めていきます。

質問事項
 一の16 知事が今やるべきことは、子どもたちの教育の機会均等や、教育を受ける権利をきちんと保障すること、具体的には教育条件の整備であると考えるが、所見を伺う。

回答
 都として取り組むべきことは、教育条件の整備のみならず、教育内容の改善充実や教員の資質向上、学校と家庭や地域・社会とが連携した取組の充実など、教育に関わる幅広い施策を総合的に講じていくことです。
 このような考えに基づき、教育の充実を図っています。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
 一 精神疾患、精神障がいに関する施策について


 一 精神疾患、精神障がいに関する施策について
 今年2011年7月、厚生労働省は、がん、脳卒中、心臓疾患、糖尿病の「4大疾病」に新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めました。昨今の経済的な不安定や社会情勢によって、うつ病や統合失調症などの精神疾患の患者は年々増え、その対策は重要です。また、10代前半からこころの不調や病気で苦しんでいる若者が多くいるため、早期発見・早期支援の取り組みが必要です。一方では、社会的入院の長期化により、人生の大半を病院で過ごすことになり人生が大きく変わってしまった人も多く存在しています。都政においても、これまでさまざまな取り組みはされてきましたが、より一層の施策の必要性から、これまでも当該分野においては、本会議、委員会でもたびたび質問してきましたが、改めて以下の質問をします。
 1 東京都の精神疾患患者の現状について、どのくらいの人数がいるか、そのうち、10代、20代の若者の人数はどれくらいか伺います。また、若年層の疾患における精神疾患の割合はどのくらいか伺います。さらには、都として、この数値をどのように受け止め、課題をどう考え、どのような対策を講じているかお尋ねします。
 2 若者が精神疾患に罹患することでその将来可能性が大きく変わってしまいます。若者本人の知識不足だけではなく、学校の教員、家族など周辺を含めて正しい知識が不足することにより発見が遅れてしまいます。そのため、若者がアクセスしやすい相談窓口の存在は大変重要です。発見が遅れると支援・治療が遅れ、重症化・慢性化してしまいます。逆に早期発見・早期支援を行うことで、未支援・未治療の期間を短縮でき、元の生活に戻ることも可能となります。
 若者の精神疾患には、早期発見・早期支援が必要であり、都も内科医への研修を行うなど対応はしていますが、より一層の取り組みが必要であると考えます。
 若者が地域で相談する体制として、医療機関によるモデルだけではなく、すぐに医療につながらない、家族支援、相談について医療機関では十分対応できない、などさまざま状況を考えると、地域の支援団体によるメンタルサポート支援の体制を構築することが重要と考えますが、都の所見を伺います。
 3 若者の早期発見・早期支援については、すでに10代前半から発症することもあるため、また、保護者によく知られていない場合も多く、学校現場との連携が大変重要と考えます。福祉保健行政としては、教育機関との連携をどのように考え、取り組んでいくのか伺います。
 4 精神疾患に対する都と市区町村との連携は必要ですが、それぞれの役割を伺います。都、市区町村と、精神保健福祉センター、保健所、医療機関、福祉団体など関わる機関は多様です。一方、患者を地域で支えることは重要ですが、その地域の範囲は必ずしも市区町村の範囲と同じということではありません。精神疾患の場合、大変重症な患者は市区町村だけでは対応が困難であったり、医療機関や相談機関との相性もあるため自治体の境を越えて対応することが必要な場合もあります。福祉政策は自治の観点から市区町村が基本ではありますが、広域的な支援が必要であり、民間の福祉団体の活動も重要になりますが、都のご所見を伺います。
 5 これまで精神科病院から地域に移行する際の中間施設としての機能を果たしてきた都の精神保健福祉センターの病室やホステルが昨年度末に廃止され、そのノウハウを活かした訪問型支援への転換を図ることになり半年経ちますが影響はなかったのでしょうか。医師、保健師、精神保健福祉士等からなる多職種チームが訪問型の支援として行うアウトリーチ支援について、昨年度はモデル事業を行い、今年度からは本格実施になりましたが、その評価はどうとらえていますか。アウトリーチ支援については、保健所を入口にした患者が多いようですが、もう少し間口を広げる必要はないのでしょうか。職員の体制からするともう少し広範な支援が可能だと思いますが、ご所見を伺います。
 6 平成21年3月に策定された「第2期東京都障害福祉計画」では、いわゆる「社会的入院」の状態にある精神障がい者の地域生活への移行について、地域生活移行者数の目標値は平成19年度末推計で686人、平成23年度末目標値が2500人としています。その中で東京都精神障害者退院促進支援事業の対象は、平成19年度末実績56人、平成23年度末目標値は500人となっています。まもなく目標年度が終わろうとしていますが、実績はどうなっているのでしょうか。現状をどう分析し、今後はどう取り組んでいくのか伺います。
 7 自殺対策は大変重要ですが、精神疾患は無関係ではありません。さまざまな状況で死を選ぶと考えられ、特に精神疾患が大きく影響しますが、都としてどう考えるのか伺います。

平成23年第四回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 精神疾患、精神障がいに関する施策について
 1 東京都の精神疾患患者の現状について、どのくらいの人数がいるか。そのうち、10代、20代の若者の人数はどれくらいか。若年層の疾患における精神疾患の割合はどのくらいか。また、この数値を都としてはどのように受け止め、課題をどう考え、どのような対策を講じているのか、伺う。

回答
 平成20年の「患者調査」によると、調査日に医療機関を受療した都民のうち、「精神及び行動の障害」の推計患者数は、入院は約2万2000人、外来が約2万5000人です。そのうち、10歳から29歳までの患者数は、入院が約1300人、外来が約5300人であり、この年代の全ての疾患の推計患者数に占める割合は、それぞれ約30パーセント、約8パーセントとなっています。
 入院と外来を合算した「精神及び行動の障害」の推計患者数は、前回の調査時と比べて、増えていますが、これは、精神疾患への認識が高まり、こころの不調を感じた場合に、医療機関を受診しやすくなったあらわれと考えられます。
 国の調査研究によると、10代の若者が精神的不調の際に最初に相談する相手としては、友人や家族が5割から6割程度と多く、一方、子供の不調に気づいた家族は、精神科医療機関よりも内科医などのかかりつけ医に相談する傾向がみられます。このことから、若年層も含め、精神疾患の早期発見・早期対応を一層進めていくためには、かかりつけ医と精神科医の緊密な連携が必要と考えます。
 都は、平成23年度から、診療科間連携を進めるため、順次地域ごとに一般診療科医師を対象とした精神疾患や精神保健医療制度に関する研修事業を行うとともに、精神疾患の初期症状やかかりつけ医から精神科医への紹介の流れなどを示したリーフレットを作成し、医療関係者や都民への普及啓発を図っていくこととしています。

質問事項
 一の2 若者の精神疾患には、早期発見・早期支援が必要であり、より一層の取組が必要と考える。若者が地域で相談する体制として、医療機関によるモデルだけではなく、地域の支援団体によるメンタルサポート支援体制を構築することが重要と考えるが、所見を伺う。

回答
 精神障害者を支援するため、区市町村では、民間事業者も活用し、地域活動支援センターを中心に相談支援を実施しています。
 都では、精神保健福祉センターや保健所において、若年層やその家族を対象に専門職による相談を行うほか、区市町村や民間事業者等と共同して事例検討会を実施するなど、支援に取り組んでいます。

質問事項
 一の3 若者の早期発見・早期支援には、学校現場との連携が大変重要と考える。福祉保健行政としては、教育機関との連携をどのように考え、取り組んでいくのか伺う。

回答
 精神疾患の早期発見・早期対応を図るため、都では、精神保健福祉センターが、個別ケースに係る学校からの相談に対応しているほか、学校に出向いて事例検討会を開催するなど、医療従事者のみならず、教育など他分野の専門職の理解の促進に努めています。
 また、学校現場における精神疾患の正しい理解と児童・生徒の心の健康づくりを促進するため、平成18年度から福祉保健局と教育庁が共催して教職員を対象にした研修を実施しています。

質問事項
 一の4 精神疾患に対する都と市区町村との連携は必要だが、それぞれの役割を伺う。患者を地域で支えることは重要だが、精神疾患の場合、自治体の境を越えた対応が必要な場合もある。福祉施策は自治の観点から市区町村が基本だが、広域的な支援が必要であり、民間の福祉団体の活動も重要になるが、都の所見を伺う。

回答
 区市町村では、地域で生活する精神障害者の自立を支援するため、地域活動支援センターを中心に、保健医療に関する情報の提供や助言、障害福祉サービスの利用支援などを行っています。
 都では、広域的な観点から、精神保健福祉センターや保健所において、地域活動支援センターを担っている民間事業者などに対する技術支援等を行うとともに、医療的配慮が特に必要な精神障害者には、精神保健福祉センターの専門職が訪問し、必要に応じて地域外の専門医療機関の受診に繋げるなどの支援を行っています。

質問事項
 一の5 都の精神保健福祉センターの病室やホステルが廃止されたが、影響はなかったか。アウトリーチ支援について、昨年度はモデル事業を行い、今年度からは本格実施になったが、その評価はどうとらえているか。職員の体制からするともう少し広範な支援が可能だと思うが、所見を伺う。

回答
 精神保健福祉センターにおいては、精神障害者の地域への移行支援やグループホーム等の地域生活基盤の整備などが進んでいることから、平成22年度末で病室及びホステルを廃止しました。
 平成22年度、23区及び西多摩二次保健医療圏で実施したモデル事業では、未治療・医療中断の状態にあった患者の半数が治療に繋がったほか、家族に対し症状に応じた対応方法の助言を行うなど、心理面の支援により家族の不安が軽減するなどの効果がありました。
 こうした成果を踏まえ、平成23年度からは、各精神保健福祉センターに支援チームを専任で配置し、全都を対象に機動的な支援を実施しています。これまでに23区と多摩地域の全ての保健所から支援依頼を受けるなど、アウトリーチ支援は浸透しており、今後とも着実に実施していきます。

質問事項
 一の6 「第2期東京都障害福祉計画」では、「社会的入院」の状態にある精神障がい者の地域生活への移行について、目標値は平成19年度末推計で686人、平成23年度末で2500人としている。その中で東京都精神障害者退院促進支援事業の対象は、平成19年度末実績56人、平成23年度末目標値は500人である。まもなく目標年度が終わるが、実績を伺う。また、現状の分析と今後の取組を伺う。

回答
 東京都精神障害者退院促進支援事業では、平成18年度から平成23年9月末までの累計で509名に支援を実施してきており、そのうち289名が既に退院しています。
 これまでの事例を見ると、長期間の入院により、退院後の生活に不安を持つ方が多いことから、本人の自信の回復に向けた取組や、退院後の地域生活を安定して継続するための支援体制の構築などが重要と考えられます。
 このため、都は、本事業において、グループホームを活用した体験入居を実施するとともに、都内12か所の地域活動支援センター等に退院促進の支援員を配置し、入院中の精神障害者に対し、退院に向けた働きかけを行っており、今後ともこのような取組により、精神障害者の円滑な地域移行・地域定着に努めていきます。

質問事項
 一の7 自殺対策は大変重要だが、精神疾患は無関係ではない。さまざまな状況で死を選ぶと考えられ、特に精神疾患が大きく影響するが、都としてどう考えるのか伺う。

回答
 自殺は、その背景に様々な要因が複合的に関係していますが、うつ病等の精神疾患はその大きな要因の一つとなっています。
 そのため、都では、ゲートキーパー研修により、地域や職場などで身近な人のうつ症状などのサインに気づき、専門相談機関へつなぐ人材を育成しています。
 また、うつ病の人は、身体的な不調により、最初に内科等を受診することも多いため、内科医等がうつ診療に関する専門的な知見等を得られるよう、うつ診療充実強化研修を行っています。
 さらに、救急医療機関に搬送された自殺未遂者に対してカウンセリングを行う際に使用する教材を作成し、現在、これを活用した精神的ケアをモデル的に実施しています。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大島よしえ

質問事項
 一 水道事業における震災対策について


 一 水道事業における震災対策について
 東京都が先月発表した「都民生活に関する世論調査」によると、大震災の際に不安なことでは、「電気・ガス・上下水道が使えなくなる」が69%で最多であり、第2位は、「水・食料の生活物資やガソリンなどの燃料が不足すること」51%で、ライフラインの機能停止に大きな不安を感じています。06年7月の水道協会雑誌の「新潟中越地震における水道機能停止が市民生活へ及ぼす影響」でライフラインの機能停止により困難を感じた順位の第1位が水道でした。
 1 東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震発生時における都の断水被害想定では、東京全域で34.8%、区部では46.3%ですが、東部地域の足立区の断水率は73%と言われています。東日本大震災発生時には、液状化もおきていますが、この断水被害想定には、液状化も想定されているのか伺います。
 2 水道局では、この震災時における断水被害を最小限にとどめ、可能な限り給水を確保するため水道管路の耐震継手化緊急十ヵ年事業を実施し、10年間で24%から48%へ倍加する目標を掲げています。耐震継手管への取替え計画を大幅に前倒しして、震災対策を強化するといいますが、目標達成に向けての計画を明らかにしていただきたい。また、足立区のように断水率の被害想定の高い地域については、重点的にすすめるべきと思いますが見解を伺います。
 3 断水となった場合の飲料水の確保対策では、これまで居住場所からおおむね2キロメートルの距離に1カ所の給水拠点の設置を目標とし、応急給水槽の建設を行なってきました。しかし、2005年度で必要な水量が確保できたとして、応急給水槽の設置を終了しました。震災で断水した時には、この給水拠点まで水を取りに行くのが原則となっています。水量は確保されたとしても、高齢者や、障害者など震災弱者が、直線距離で2キロメートルもの道を、一人分1日3リットルもの水を運ぶことは、とても困難です。身近なところで飲料水が確保できるような対策はあるのか伺います。また、こうした事態を解決するためにも、応急給水槽(小規模応急給水層も含め)の設置を再開すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 4 応急給水槽からの給水は、区市が行なうと聞いています。都と区市との役割り分担はどのようになっているのかうかがいます。また、日常的な維持、補修も含め管理はどのように行なっているのかうかがいます。
 5 給水拠点から2キロメートル以上はなれている避難場所には、必要に応じて水道局が車両輸送によって応急給水を行なうとされていますが、東京都には給水車が10台しかないと聞きます。どの程度の水量を運べる給水車がどのように配置されているのか。また、その台数で充分なのか見解を伺います。
 6 震災時には、道路障害などで輸送が困難になることも考えられます。少なくとも、全営業所に給水車を1台は配置すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 7 「都民生活に関する世論調査」では、災害に強いことに加え、将来の東京は「太陽エネルギー利用などが進んだ、人にも地球にもやさしい環境先進都市」になってほしいが第1位でした。いま、再生可能エネルギーとして配水池へ水道水を引き入れる時の圧力と流量を利用した小水力発電が注目されています。南千住給水所を視察しましたが、小規模な発電装置でしたが、最大出力95キロワットで、給水所の電力を賄っていました。亀戸給水所、八雲給水所でも行っているとのことですが、残念ながら足立区の小右衛門給水所では行なっていません。現在建設中の江北給水所には、この小水力発電装置を設置すべきと思いますが、見解を伺います。
 8 区部東部地域に送配水している朝霞浄水場、三郷浄水場、金町浄水場の配水池、ろ過池の耐震化の到達について教えてください。「東京水道長期構想STEP2」では、5年後の2016年度までに浄水場の耐震率を60%まで引き上げるとしています。朝霞浄水場、三郷浄水場、金町浄水場それぞれの浄水場の耐震化はどのような見通しとなっているのか具体的にお答えください。

平成23年第四回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 水道事業における震災対策について
 1 東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震発生時における都の断水被害想定では、東京全域で34.8%、区部では46.3%であるが、東部地域の足立区の断水率は73%と言われている。東日本大震災発生時には、液状化もおきているが、この断水被害想定には、液状化も想定されているのか伺う。

回答
 平成18年度に公表された「首都直下地震による東京の被害想定」における上水道の断水率は、過去の地震による被害実態や東京都土木技術支援・人材育成センターが判定した地域ごとの液状化危険度などを考慮しています。

質問事項
 一の2 水道局では、水道管路の耐震継手化緊急十ヶ年事業を実施し、10年間で24%から、48%へ倍加する目標を掲げている。計画を大幅に前倒しして震災対策を強化するというが、目標達成に向けての計画を明らかにしていただきたい。また、足立区のように断水率の被害想定の高い地域については、重点的に進めるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 水道局では、平成22年度から平成31年度までを計画期間として、「水道管路の耐震継手化緊急10ヵ年事業」を立ち上げ、これまでの耐震継手管への取替計画を大幅に前倒しして実施しています。平成22年度末現在、耐震継手率は、27パーセントとなっています。
 平成31年度末に耐震継手率を48パーセントまで向上させるよう、引き続き水道管路の耐震継手化に取り組んでいきます。
 なお、被害想定の高い区部東部地域については、既に耐震継手管への取替えを優先的に行っています。

質問事項
 一の3 断水となった場合の飲料水の確保のため、身近なところで飲料水が確保できるような対策はあるのか伺う。また、こうした事態を解決するためにも、応急給水槽(小規模応急給水槽も含め)の設置を再開すべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 都は、地域防災計画に基づき、おおむね半径2キロメートル圏内に1か所の給水拠点を整備するとともに、状況に応じて、仮設の給水栓による応急給水等の対応を行うこととしています。
 なお、東日本大震災の被災地において広域かつ長期にわたる断水が生じたことなどから、震災時の多面的な飲料水確保策について調査・分析を行うこととしています。

質問事項
 一の4 応急給水槽からの給水は、区市が行うと聞いている。都と区市との役割り分担はどのようになっているのか伺う。また、日常的な維持、補修も含め管理はどのように行っているのか伺う。

回答
 地域防災計画において、震災時の応急給水槽からの給水は、当該応急給水槽が設置されている区市町が行うこととされています。
 都は、応急給水槽等の給水拠点を整備し、必要な維持管理を行っています。

質問事項
 一の5 給水拠点から2キロメートル以上はなれている避難場所には、必要に応じて水道局が車両輸送によって応急給水を行なうとされているが、どの程度の水量を運べる給水車がどのように配置されているのか。また、その台数で充分なのか見解を伺う。

回答
 水道局では、給水車を10台保有しており、さらに増強する予定です。
 なお、各給水車のタンク容量は、2トンが8台、3トン及び4トンが各1台となっています。
 また、営業所等に、1トンタンク83個、0.3トンタンク52個等の給水タンクを配備し、局有車等に積載して、給水車として使用することとしています。
 これに加え、局有車が不足した場合に備えて、民間の貨物運送事業者で組織する東京都輸送事業協同組合と災害対策用車両供給協定を締結し、必要な輸送車を確保することとしています。

質問事項
 一の6 震災時には、道路障害などで輸送が困難になることも考えられる。少なくとも、全営業所に給水車を1台は配置すべきではないかと考えるが、見解を伺う。

回答
 水道局では、全営業所に給水タンクを配備し、震災時には局有車等に積載し応急給水を行うこととしています。

質問事項
 一の7 いま、再生可能エネルギーとして配水池へ水道水を引き入れる時の圧力と流量を利用した小水力発電設備が注目されている。南千住給水所、亀戸給水所、八雲給水所にはこの小水力発電設備が設置されているが、小右衛門給水所にはない。現在建設中の江北給水所には設置すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都では、これまでも電力抑制及び環境負荷低減の施策として、費用対効果等を勘案し、小水力発電設備の導入を進めてきました。今後とも、設置可能な給水所への導入を検討していきます。

質問事項
 一の8 区部東部地域に送配水している朝霞浄水場、三郷浄水場、金町浄水場の配水池、ろ過池の耐震化の到達について伺う。また、朝霞浄水場、三郷浄水場、金町浄水場それぞれの浄水場の耐震化はどのような見通しとなっているのか伺う。

回答
 都では、地震による水道施設の被害を最小限にとどめ、都民への安定給水を確保するため、これまでも震災対策を水道事業の最重要課題の一つに挙げ、施設の耐震化に取り組んでおります。この結果、現在、朝霞浄水場、三郷浄水場、金町浄水場を含めたろ過池の耐震化率は76パーセント、配水池の耐震化率は55パーセントとなっております。
 また、平成28年度末には、いずれも耐震化をほぼ完了する見込みです。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 伊藤ゆう

質問事項
 一 契約案件について


 一 契約案件について
 1 現在、東京都庁で進められている大規模改修工事の契約案件について伺います。去る9月29日、大規模改修工事の一環として東京都議会議事堂ほかブラインド改修工事の入札が行われ、予定価格2963万5200円に対して落札率99%の2961万円で落札されました。問題は落札率の高さもさることながら、失格者が相次いだことです。入札参加者数は17者でした。このうち、3者は辞退を申し出ておりますが、残り14者は応札したにもかかわらず、13者が最低制限価格を下回ったことを理由に失格になっています。
 失格になった13者の入札金額は2374万円から2460万円の、ほぼ横一線でありました。一方で、唯一、宗川工務店は2961万円の高値で応札しており、予定価格の99%で落札した事は、極めて特異な入札結果と言えます。
 不審に思った私が詳しく調査したところ、以下の事実が判明しましたので、事実関係と今後の対応についてお伺いいたします。
 まず、入札を巡る都と入札業者の基本的な入札プロセスを指摘しておきます。この工事はブラインドの取付工事でありました。日本には対象のブラインドを作る主なメーカーが3社であるため、都や入札業者は同じ3社から商品の見積り価格を取り寄せ、都は予定価格を、入札業者は入札金額を算定します。このブラインド工事は、大半がブラインド代で、入札価格に占める取付工事費はわずかであるため、本来、都の予定価格と入札事業者の入札価格が大きくかい離することは考えにくく、13者が最低制限価格を下回ることは、不可解としか言いようがありません。
 都もブラインドメーカー3社から、予定価格と最低制限価格の設定のため、ブラインドの実勢価格を取り寄せたはずですが、入札事業者と同じ価格を提示されたのか甚だ疑わしく、都が設定した最低制限価格の妥当性が疑われます。
 都は予定価格の算定経過を明らかにすべきであると考えますが、所見を伺います。
 2 同様のブラインド工事は平成22、21、20年の3カ年にわたって発注がなされています。過去の入札経過を調査したところ、平成22年度の発注においても最低制限価格による失格者が17者に上っており、ブラインド工事の入札としては異様な結果でありました。そこで平成20年から23年に発注されたブラインド工事における都が見積り価格として算定した一台当たりのブラインド単価はいくらであったのか、伺います。
 3 過去に都が算定したブラインド価格は実勢価格に照らして妥当なものだったのでしょうか?メーカー3社および入札事業者へのヒアリング調査を行い、明らかにするべきと考えますが、所見を伺います。

平成23年第四回都議会定例会
伊藤ゆう議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 契約案件について
 1 9月29日、大規模改修工事の一環として東京都議会議事堂ほかブラインド改修工事の入札が行われたが、高い落札率に加え、失格者が相次いだ。本来、都の予定価格と入札業者の入札価格が大きくかい離することは考えにくく、都が設定した最低制限価格の妥当性が疑われる。都は予定価格の算定経過を明らかにすべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 本改修工事の発注に当たっては、東京都工事施行規程に定める「積算に関する基準」等に基づき、価格を設定しています。
 具体的には、本改修工事で使用したブラインドの製品単価等については、刊行物等に掲載されていないため、複数のメーカーから見積りを徴収し、これを参考に単価を設定したうえで、予定価格を設定しています。

質問事項
 一の2 同様のブラインド工事は平成22、21、20年も発注がなされているが、平成22年度の発注においても最低制限価格による失格者が17者に上っていた。そこで平成20年から23年に発注されたブラインド工事における都が見積り価格として算定した一台当たりのブラインド単価はいくらであったのか、伺う。

回答
 ブラインド改修工事については、平成20年度より各年度、1回ずつ発注しています。
 その際、設定したブラインド単価は、形状、寸法等が異なるため、単純に比較はできませんが、予定価格をブラインド台数で除した1台当たりの価格は、平成20年度は8万3676円、21年度は15万7022円、22年度は12万2850円、23年度は9万2034円となっています。

質問事項
 一の3 過去に都が算定したブラインド価格は実勢価格に照らして妥当なものだったのか、見積もり価格を取り寄せたブラインドメーカー3社および入札業者へのヒアリング調査を行い、明らかにするべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 本改修工事の発注に当たっては、東京都工事施行規程に定める「積算に関する基準」等に基づき、価格を設定しています。
 しかし、本改修工事の入札においては、最低制限価格を下回る入札参加者が多数いたことを踏まえ、今後の単価設定の参考にするため、ブラインドメーカーおよび入札業者へのヒアリングを含めた調査を行います。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 たぞえ民夫

質問事項
 一 コンビニエンスストアの代金収納代行サービスについて


 一 コンビニエンスストアの代金収納代行サービスについて
 日本共産党都議団は、2001年第1回定例会で、フランチャイズシステムについて国の法整備がおくれているもとで、家族の葬式を出すために店を閉めることすら許されないなどの契約システムになっている残酷な実態をとりあげ、法整備を国に求めること、都としてフランチャイズシステムの健全育成と商店街との共存のためにも指導要綱やガイドラインを検討するよう求めてきました。
 その後、フランチャイズチェーン数は1.2倍の1233チェーン、店舗数は1.1倍の23万店、売上は1.2倍の21兆円の、巨大産業になっています。日本共産党都議団は、その後も、委員会で問題点を指摘し、改善を求めてきましたが、フランチャイズ産業の健全育成は産業政策の上からも大きな課題となっています。
 今回は、コンビニエンスストア(コンビニ店)が行っている代金収納代行サービスに関連していくつか質問します。
 フランチャイズチェーン店のなかでも、もっとも店舗数が多いコンビニ店ですが、2010年には全国で売上8兆円、店舗4万店、来客数140億人になっています。このコンビニ店がもつ巨大なネットワークをつかって、様々な代金収納サービスができあがっています。
 この代金収納サービスの基本は、各コンビニ店を支払窓口にして代金を支払えば、系列コンビニ店のフランチャイズ本部に、自動的に一定割合の手数料が入るというものです。
 この代金収納サービスが普及する背景には、フランチャイズ本部と収納先事業者との間で契約さえすれば、支払い窓口となる各コンビニ店の意向、都合などお構いなく、フランチャイズ本部には、各コンビニ店が代金収納の決済サービスを1件行うごと、自動的に「ロイヤリティー」という一定割合の収益が入るという、システムのうまみがあります。
 いまでは、この代金収納サービスは、ネットショップでの通信販売の支払い、各種公共料金、税金等も扱っているところも出てきています。あるフランチャイズ本部では、決済サービス額が物販額を上回るという店も出てくるまでに至っていると言われています。
 私が聞いたあるお店の方は、ここ数年で、扱う金額が7倍に増えたと言っています。
 1 都が、コンビニ店等を利用した公共料金収納代行事務を委託している公共料金の名称、収納される代金、その10年間の推移を、すべて明らかにしてください。
 このサービスの特徴は、第1に、多額の代金が各コンビニ店に留め置きされることになるということです。各コンビニ店では一定程度、現金が貯まると銀行まで行って送金をするなど、このサービスには防犯上の潜在リスクがありますが、盗難による損害額は、店の責任になっています。
 第2に、取扱伝票の増加、現金と伝票との照合など、間違いが許されない作業量が増加するなど、各コンビニ店には大変な負担が生じているということです。だからといって、その人件費、手数料がフランチャイズ本部から各コンビニ店に支払われるわけではありません。
 第3に、各コンビニ店ではアルバイト店員が多額の現金を勘定していますが、収納額に不足が生じれば「店の管理責任」として、各コンビニ店が身銭を切ることになることです。
 一方、警視庁統計資料によるとコンビニ強盗は、商店への強盗の60%を占めています。コンビニ強盗が起きる時間は、0時から5時までに間に82%で、従業員が一人の時が56%です。各コンビニ店は、高いリスクを抱えている状況です。
 2 都は公共料金等を代金収納サービスの利用を拡大していますが、各コンビニ店を利用した決済代行サービスには、このように潜在的リスクが大きいことを、どのように認識していますか。
 公共料金収納代行サービスは、フランチャイズ本部にとっては契約さえすれば、自動的に手数料が入ります。収納先である事業者には、どんな事件があろうと、とにかくコンビニ店で収めたという手続きが伝票上確認できれば、自動的に代金が納入されるという、安上がりで便利なシステムと言えます。
 実際の作業をしている各コンビニ店からその実態をみると、その便利さの陰には、盗難などの問題ばかりでなく、そのサービス業務だけを取り出せば非常に手がかかり赤字という店がほとんどなどという様々な問題があります。しかし、この業務は、フランチャイズ本部と収納先事業主との契約で行われるため、個々の加盟店の努力では解決できません。困っていても、引き受けざるを得ないというのが現実です。
 これまで主な窓口になっていた銀行は、手間ひまがかかり収入が少ないために「コンビニに行った方が待たされることがない」とコンビニをすすめているとのことです。
 3 盗難などが起きても、その損害は各コンビニ店が自腹を切って負担することについて、サービスを利用している都として、どのように認識していますか。
 4 都として、フランチャイズ本部に改善を求めるべきではありませんか。
 5 コンビニ店では、伝票と金額を照合して間違いが分かり、伝票で支払い者の個人番号が分かって住所、名前を聞こうと行政側に問い合わせても、その個人の連絡先を教えず、結局は泣き寝入りし自腹を切っているということです。代金収納サービスの利用を拡大するにあたって都は、こうしたことについて、どのような対応をしているのですか。
 6 今では、代金収納代行システムだけではなく、市町村の住民票の写し、印鑑登録証明書も、各コンビニ店でできるようになっています。この代金収納サービス等には、個人情報の漏洩リスクという点もあります。都として、個人情報が守られるように、どのような改善策をとっていますか。
 総務省は、12月9日、「宝くじ活性化検討会報告書」を発表しました。この中で、コンビニ店のATM以外に、マルティメディア端末を使って販売することも検討していることがわかります。この場合、これまでの代行事務の作業量の増加とともに、これまでのケースから考えて、低額当選者には窓口支払いになる可能性があります。その場合、公共料金を含む留め置き金の中から支払われることになります。
 7 公共料金を含む各コンビニ店の留め置き金が、公共料金以外の支払いに流用されることについて、都としてどのように認識していますか。
 8 このような代金収納サービス等が普及することによって、フランチャイズ本部の売り上げが増えたとしても、決して健全な産業育成にはつながりません。都として、フランチャイズ産業の健全育成に向け検討をすすめるべきではありませんか。

平成23年第四回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 コンビニエンスストアの代金収納代行サービスについて
 1 都が、コンビニ店等を利用した公共料金代行事務を委託している公共料金等の名称、収納される代金、その10年間の推移を伺う。

回答
 都がコンビニエンスストアを通じて収納している公金としては、都税及び水道料金等があります。
 都税は平成16年度からコンビニエンスストアを通じた収納を開始しています。その金額の推移ですが、平成16年度は260億余円、平成17年度は342億余円、平成18年度は710億余円、平成19年度は876億余円、平成20年度は966億余円、平成21年度は1061億余円、平成22年度は1159億余円となっています。
 また、水道料金等は、平成13年度は309億余円、平成14年度は351億余円、平成15年度は376億余円、平成16年度は406億余円、平成17年度は412億余円、平成18年度は454億余円、平成19年度は525億余円、平成20年度は547億余円、平成21年度は同じく547億余円、平成22年度は562億余円となっています。

質問事項
 一の2 都は公共料金等に関し、代金収納サービスの利用を拡大しているが、各コンビニ店を利用した決済代行サービスには、多額の代金を店に留め置くことによるコンビニ強盗や作業量の増加による店への負担増など、潜在的リスクが大きいことをどのように認識しているのか伺う。

回答
 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などについては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。

質問事項
 一の3 盗難などが起きても、その損害は各コンビニ店が自腹を切って負担することについて、サービスを利用する都として、どのように認識しているのか、所見を伺う。

回答
 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などについては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。

質問事項
 一の4 都として、フランチャイズ本部に改善を求めるべきではないか、所見を伺う。

回答
 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などについては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。

質問事項
 一の5 コンビニ店では、伝票と金額を照合して間違いが分かり、伝票で支払い者の個人番号が分かって住所、名前を聞こうと行政側に問い合わせても、その個人の連絡先を教えず、結局は泣き寝入りし自腹を切っている。代金収納サービスの利用を拡大するにあたって都は、こうしたことについて、どのような対応をしているのか伺う。

回答
 取扱店等において収納に関する事故が発生した場合は、収納に関する契約に基づき、コンビニエンスストア本部及び収納代行業者を経由して、都に対して直ちに報告をすることとされています。
 納入者との連絡や確認が必要な場合は、都から納入者に速やかに連絡をし、コンビニエンスストア本部又は取扱店が事故の調査、事後対応ができるような体制を整えています。
 例えば、都税の収納に関して事故が起きた事例がこれまでにもありましたが、都から直接納税義務者に直ちに連絡を取るなどして、適切に対処しています。

質問事項
 一の6 今では、代金収納代行システムだけではなく、市町村の住民票の写し、印鑑登録証明書も、各コンビニ店でできるようになっている。この代金収納サービス等には、個人情報の漏洩リスクという点もある。都として、個人情報が守られるように、どのような改善策をとっているのか伺う。

回答
 コンビニエンスストア収納に関する契約において、コンビニエンスストア及び収納代行業者に秘密保持義務を課すとともに、業務従事者に対し教育訓練、各種安全対策の実施等を適切に行わせることとしています。また個人情報の管理、不正利用の防止等についても十分な措置を講じることとしています。
 なお、都税の収納に際しては、コンビニエンスストア本部や取扱店で保管する収納情報に関する書類に、納入者の氏名以外の個人識別情報が記載されないよう、様式について工夫を施しています。

質問事項
 一の7 今後、コンビニ店で宝くじの低額当選者への支払いが行われる可能性がある。その場合、公共料金を含む留め置き金の中から支払われることになるが、留め置き金が公共料金以外の支払いに流用されることについて、都としてどのように認識しているのか伺う。

回答
 各店舗において公金の収納を受け付けると、その収納情報は直ちにコンビニエンスストア本部へ伝達されるシステムとなっています。収納金については、収納に関する契約に基づき、収納情報と突合した金額が、一定期間内にコンビニエンスストア本部から、収納代行業者を経由して確実に都に払い込まれます。各店舗とコンビニエンスストア本部との精算方法については、都が直接関知する事柄ではありません。

質問事項
 一の8 代金収納サービス等が普及することによって、フランチャイズ本部の売り上げが増えたとしても、決して健全な産業育成にはつながらない。都として、フランチャイズ産業の健全育成に向け検討をすすめるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 フランチャイズシステムは、契約自由の原則に基づいて本部と加盟者が契約を結び、事業を展開するものです。
 そうした中、同システムは、中小小売商業振興法や独占禁止法により規律されており、フランチャイズ産業の健全育成については、まずは国において対応するべきであると考えています。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
 一 「外環ノ2」について


 一 「外環ノ2」について
 東京都は、国とともに、住民の根強い反対によって凍結されていた外郭環状道路計画を、高架構造から地下構造に都市計画変更し事業化をすすめている。そのうえ、地下構造にともなって本来廃止すべき外環ノ2を都市計画上に残し地上部も幹線道路が計画されている。
 外環道自体、地下構造による地下水系への影響をはじめ貴重な自然環境の破壊や、インターチェンジ等による住民立ち退きと、周辺の環境悪化など住民から厳しい反対の声があがっている。
 またそもそも、都内にはすでに環状道路が幾重にも整備されているうえに、環状の高速道路を中央環状、圏央道につづいて外環道と3本も整備する必要はない。
 さらに、東日本大震災を体験し、遅れている都市インフラ、生活インフラ等の耐震化を最優先ですすめ、そのために集中的に財政投入が求められているもとで、オリンピック招致を理由に外環道整備を進めることは中止すべきである。
 にもかかわらず、外環本体を地下構造ですすめるとともに外環ノ2によって地上部にも幹線道路を整備しようとすることは到底認められない。住民からも都が地下構造に変更と説明しながら、地上も道路をつくろうとしていることに、「住民をだますもの」等の厳しい批判の声があがっている。
 この外環ノ2に関して、都のこれまでの説明について、きわめて重大な疑問があり、住民からもさまざまな質問がだされている。よって以下質問する。
 1 外環ノ2は、そもそもどういう目的、機能をもった道路として都市計画決定されたのか。当時の決定にかかる文書等で明らかにされたい。
 都は、外環ノ2について「都内の都市計画道路ネットワーク」の一部と表現しているが、都市計画決定時にそのような説明等は行われたのか。
 2 外環ノ2は、外環本体の高架構造施設と一体に設計され、計画されたのではないか。
 都市整備委員会において、担当部長は「外環本線の収納機能がある外環の2」という発言をしている。この「外環本線の収納機能」とはどういうことか。
 3 外環ノ2は、外環本体を地下構造にしたことによって、外環ノ2計画の前提が失われたのではないか。
 したがって、そのまま都市計画として残したことが、不適切だった。前提である本体計画の変更とともに、外環ノ2は廃止すべきだったのではないか。
 4 現在杉並区などで実施されている地上部街路の検討は、都市計画外環ノ2についての検討となっている。この地上部の取扱について都は、3つのメニューを示してきた。1「現在の都市計画の区域を活用して道路と緑地を整備」、2「都市計画の区域を縮小して車道と歩道を整備」、3「代替機能を確保して『外環の2』の都市計画を廃止」である。1の区域を活用したものも、説明図面では車道は片側1車線でその間は緑の空間となっている。どれも外環の2を修正ないし廃止するもので、都市計画通りのものではないがどうか。都市計画決定そのものをメニューに示せなかったのは、計画自体が不整合ということではないか。
 5 国と都が、外環道を高架構造から地下構造に変更する計画を提示した当初は、外環ノ2をそのまま存続するという想定ではなかったのではないか。2001年・平成13年4月発表の「計画のたたき台」では、「構造について」で「現計画の自動車専用道路と幹線道路の広域機能を集約して、全線地下構造の自動車専用道路とします」と書かれている。この「現計画の」「幹線道路」とは何を指すのか、外環ノ2を指すのではないのか。
 6 2003年・平成15年1月に発表された国と東京都との「東京外かく環状道路(関越道から東名高速間)に関する方針について」では、地上部整備についてはまったく記載していない。なぜその後3月に発表した文書で地上部について記載したのか、しかも特定の地域を定めて「地上部街路の設置を検討する」と明記したのか。
 7 地上部については、それぞれの地域、自治体ごとに、要望が異なった場合には、その地域の意向を尊重することが当然と思うがどうか。
 それとも、地元の意向は聞くが外環ノ2全体の扱いは統一的に決定するのか。
 そうだというなら、なぜ平成15年3月の文書では「青梅街道から目白通りについては、地元の意向を踏まえながら、地上部街路の設置を検討する」と明記したのか。
 8 都の当初の説明では、外環ノ2全体ではなく、それぞれの地域ごとに地元の意向にそって対応すると受け取られるものだった。
 平成15年3月の文書では、「地元において地上部整備の方向が定まった場合、大深度区間であっても、地元の意向を踏まえながら、その整備を支援していく」と明記している。
 この表現では、「地元において」だから、各行政区ごとに整備方向を定めることと受け止められるがどうか。しかも「その整備を支援していく」と書かれている。主体は区市で国と都は支援する側と受け止められるがどうか。
 また、平成13年4月発行の「計画のたたき台」では、「地上部の利用について」、「緑豊かな公園の整備や新たなバスルートの新設等を行うことにより」と書かれている。この表現では、ある地域は公園、ある地域はバスルートの新設など地域によって選択できることを示しているがどうか。
 9 外環ノ2を交通ネットワークと強調している。それなら検討の土台として、事業費、住宅の立ち退き戸数、予測交通量など最低限明らかにすることを求める。
 10 現在行われている杉並区「外環の2・話し合いの会」はどういう役割か、廃止が多数意見だが、その意見は尊重されるべきだ。どのように尊重されるのか。

平成23年第四回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 「外環ノ2」について
 1 外環ノ2はどういう目的、機能を持った道路として都市計画決定されたのか伺う。都は、外環ノ2について「都内の都市計画道路ネットワーク」の一部と表現しているが、都市計画決定時にそのような説明等は行われたのか、伺う。

回答
 外環の2は、昭和41年に都内の都市計画道路ネットワークの一部として都市計画決定されています。
 これは、当時、都市構造の都心集中形態を排除するため、多心型の市街地を醸成するような街路網を編成することなどの基本構想に基づき都市計画街路網の再検討を行った結果、新たに東京都市計画街路網の一部に位置付けられたものです。

質問事項
 一の2 外環ノ2は、外環本体の高架構造施設と一体に設計され、計画されたと考えるが、見解を伺う。
 都市整備委員会において、担当部長は「外環本線の収容機能がある外環の2」という発言をしている。この「外環本線の収容機能」とはどういうことか、伺う。

回答
 外環の2については、平成19年1月の都市整備委員会で、「昭和41年の計画においては、今回、都市計画変更する外環本線と、もう一つ、都市計画道路ネットワークを構成し、外環本線の収容空間機能をあわせ持つ外環の2というものが同時に都市計画決定されています。」と答弁したとおりであり、ここで言う「外環本線の収容空間機能」とは、地表式である外環の2の計画線の中に外環本線を高架構造で整備する計画としていたことを指すものです。

質問事項
 一の3 外環ノ2は、外環本体を地下構造にしたことによって外環ノ2計画の前提が失われたのではないか。前提である本体計画の変更とともに、外環ノ2は廃止すべきだったと考えるが、所見を伺う。

回答
 外環の2は、昭和41年に都内の都市計画道路ネットワークの一部として都市計画決定されています。
 外環の2については、外環本線の都市計画を地下方式に変更した際に関係区市等から出された要望を踏まえ、広く意見を聴きながら、この道路の必要性やあり方の検討を進めていくこととしています。

質問事項
 一の4 現在杉並区などでは、都市計画外環ノ2についての検討が実施されている。都は三つのメニューを示してきたが、どれも外環ノ2を修正ないし廃止するもので、都市計画通りのものではないが、所見を伺う。都市計画決定そのものをメニューに示せなかったのは、計画自体が不整合ということではないか、見解を伺う。

回答
 現在、話し合いの会において基本的な考え方として、三つの幅員構成を示しています。そのうちの1つは、「現在の都市計画の区域を活用して道路と緑地を整備」するというものであり、昭和41年の都市計画決定の幅員に基づいたものです。

質問事項
 一の5 国と都が、外環道を高架構造から地下構造に変更する計画を提示した当初は、外環ノ2をそのまま存続する想定ではなかったのではないか、見解を伺う。
 2001年・平成13年4月発表の「計画のたたき台」で書かれている「現計画の」「幹線道路」とは、外環ノ2を指すのではないのか、所見を伺う。

回答
 平成13年4月に国と都が公表した「東京外かく環状道路(関越道から東名高速)の計画のたたき台」において、外環本線は、外環の2が持つ広域的な交通を処理する機能を分担するものとして計画しており、外環の2の廃止を前提としたものではありません。

質問事項
 一の6 2003年・平成15年1月に発表された国と東京都との「東京外かく環状道路(関越道から東名高速間)に関する方針について」では、地上部整備については記載していない。なぜその後3月に発表した文書で地上部について記載したのか、しかも特定の地域を定めて「地上部街路の設置を検討する」と明記したのか、伺う。

回答
 国と都は、平成15年1月に公表した「東京外かく環状道路(関越道から東名高速間)に関する方針について」を基に、沿線自治体との意見交換等を踏まえ、同年3月に「東京外かく環状道路(関越道から東名高速間)に関する方針について」を公表しました。

質問事項
 一の7 地上部については、それぞれの地域、自治体ごとに、要望が異なった場合には、その地域の意向を尊重することが当然と思うが、所見を伺う。
 それとも、地元の意向は聞くが外環ノ2全体の扱いは統一的に決定するのか、そうだというなら、なぜ平成15年3月の文書では「地元の意向を踏まえながら、地上部街路の設置を検討する」と明記したのか、伺う。

回答
 外環の2については、沿線区市ごとに「話し合いの会」を開催するなど、広く意見を聴きながら、この道路の必要性やあり方などについて検討を進め、都市計画に関する都の方針を取りまとめていくこととしています。

質問事項
 一の8 平成15年3月の文書では、「地元において地上部整備の方向が定まった場合、大深度区間であっても、地元の意向を踏まえながら、その整備を支援していく」と明記されている。行政区ごとに整備方向を定めることと受け止められるが、所見を伺う。また、主体は区市で国と都は支援する側と受け止められるが所見を伺う。
 平成13年4月発行の「計画のたたき台」では、「緑豊かな公園の整備や新たなバスルートの新設等を行うことにより」と書かれている。地域によって地上部の整備方向を選択できることを示しているが、所見を伺う。

回答
 外環の2については、沿線区市ごとに「話し合いの会」を開催するなど、広く意見を聴きながら、この道路の必要性やあり方などについて検討し、都市計画の方針を都が取りまとめることとしています。

質問事項
 一の9 外環ノ2を交通ネットワークと強調している。それならば検討の土台として、事業費、住宅の立ち退き戸数、予測交通量など最低限明らかにすることを求めるが、所見を伺う。

回答
 外環の2については、道路の必要性やあり方などについて広く意見を聴いている段階であり、現時点で事業費や住宅の立ち退き戸数については算出しておりません。
 なお、外環の2の将来交通量については、沿線区市ごとの「話し合いの会」等において資料として公表しています。

質問事項
 一の10 現在行われている杉並区「外環の2・話し合いの会」はどういう役割か。廃止が多数意見だが、その意見は尊重されるべきである。どのように尊重されるのか、見解を伺う。

回答
 外環の2については、広く意見を聴きながら、必要性やあり方などについて検討を進め、都市計画に関する方針を取りまとめていくこととしています。
 この一環として、地域住民の意見を聴くために、杉並区における地上部街路に関する話し合いの会を設置しています。
 今後も、広く意見を聴きながら、この道路の必要性やあり方の検討を進めてまいります。

平成23年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
 一 自転車の通行可能な歩道について
 二 放射能除染について
 三 東京都内の予防接種活動等の多摩と区部の違いについて
 四 小中学校の健康教育の普及について
 五 育児困難な親及び家庭の再生について


 一 自転車の通行可能な歩道について
 警視庁は自転車の通行可能な歩道を3メートル幅員としており、そもそもH16年の道路構造令において歩行者自転車道については幅員3メートル以上としている。ただ、現実は3メートル幅員の歩道は印象として少なく感じます。
 1 実際、都道に於ける幅員3メートル以上の歩道と言うのは全体のうちどのくらいあるのでしょうか?概算又は全体比で良いので、判る範囲で教えてください。
 2 今後、自転車交通を安全とするため極力通行可能な歩道にしていきたい、と言った場合に植え込みの撤去なども検討しなくてはならない局面もあろう。このような場合で、既存の歩道において歩行者と自転車の安全の為に今後はどのような考え方となっていくのか、所見を伺う。
 3 東京都としては道路のうち都道について把握していると思いますが、歩行者・自転車双方が安全に通る道路築造ができているわけではないと思います。平成20年6月1日から施行されている改正道路交通法で定めた「車道又は交通状況からみてやむをえない場合」、臨機応変に車道と歩道を安全に車線変更できるような歩行者・自転車・自動車が共存できる歩道又は自転車歩行者道の望ましい構造が必要と考えるが、所見を伺う。
 二 放射能除染について
 東京都は福島県などに職員派遣を行い、除染活動や方法についてのノウハウを身につけているので、そのノウハウを都内などの除染活動に活かしていくとのことです。先日、私も福島県福島市大波地区の除染活動に参加してきました。日帰りの活動でも多くの情報が得られるので、一般的なマニュアルがない除染活動ですから実際に繰り返し活動した経験を軸に方法を考えることが一番実用的かもしれません。
 ただ、除染活動も、作業後の効果測定をどの場所で図り、どの程度の放射線値を目標にするのかで作業工程が変わってくる。福島市でも、委託される土木関係を本業とする作業業者にもきちんと趣旨や目標、作業の基本を理解させていないと仕上げにばらつきが出るようです。
 都内各地の自治体で、排水溝などの高濃度汚染部分の「除染」作業が行われており、原子力災害対策本部が「市町村による除染実施ガイドライン」と言うのが過去に出ています。東京都は、現場の経験を踏まえて、「推奨される除染作業方法」として加えたい作業手法の工夫などはあるのでしょうか?また、独自のノウハウをこのようなガイドラインに加味する形で独自色のあるマニュアルというものをまとめる予定なのでしょうか?
 三 東京都内の予防接種活動等の多摩と区部の違いについて
 現在、都内の地域保健事業に関しては、地方行政と地域の医療団体らが協議をして事業内容やそれに伴う単価を決めている。その協議体は「3者協」と「5者協」があるが、前者は昭和50年からですが、後者は平成8年からと設置の状況もかなり異なる。
 1 現在、3者協・5者協それぞれが協議している事業はなんでしょうか?
 2 市町村における予防接種事業、1歳半検診、妊婦健診に関する内容の協議はどのように行われて決まり、どこが実施しているのでしょうか?
 3 「特に都区の統一的実施を図る必要がある事項」も3者協の協議項目になるようですが、都区の統一的実施を図る必要がある事項というものはありますか?
 四 小中学校の健康教育の普及について
 子宮けいがん、精神障害、AIDSを含むSTDといった、若いうちに罹患すれば治療困難であったり療養が長期にわたるような疾患はいくつもあります。同時にそれらの疾患は、知識がリスク回避、早期の発見・治療に有効な疾患でもあります。
 1 学校での教育活動は現在どの疾患にどの程度行われているのでしょうか?
 2 学校教育のプログラムとして対象となるためには、その疾患にどのような条件が整えば良いのでしょうか?
 五 育児困難な親及び家庭の再生について
 過去に私も一般質問で、子供のいる家庭で、親の疾患や養育能力の欠如、貧困などで養育が困難な家庭への支援をどのような機関が支援に関わるか質問した。このような家庭において子供が保護者とともに在宅での生活を続けながら、家庭関係修復を行っていくための関係機関の関わり方や支援のしくみはどのようになっているか、具体的かつ詳細に教えていただきたい。

平成23年第四回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 自転車の通行可能な歩道について
 1 都道に於ける幅員3メートル以上の歩道は、全体のうちどのくらいあるのか伺う。

回答
 平成23年4月現在、島しょを除く都の道路管理延長は、1989キロメートルです。
 このうち、歩道の全幅員が3メートル以上ある道路管理延長は、793キロメートルであり、都の道路管理延長の約40パーセントにあたります。全幅員が3メートル以上ある歩道の中には、防護柵や植樹帯などが設置されていることにより、有効幅員が3メートル未満になっているものも含まれます。
 なお、歩道上の有効幅員が3メートル以上ある道路管理延長の集計は行っていません。

質問事項
 一の2 今後、自転車交通を安全とするため極力通行可能な歩道にしていきたい、と言った場合に植え込みの撤去なども検討しなくてはならない局面もあろう。このような場合で、既存の歩道において歩行者と自転車の安全の為に今後はどのような考え方となっていくのか、所見を伺う。

回答
 自転車は近距離の移動に優れるとともに環境への負荷の少ない都市内の有効な交通手段の一つであり、歩行者、自転車それぞれの安全・安心を確保することが重要です。
 一方で、街路樹は、沿道の生活環境の保全や都市環境の改善、交通の安全確保、景観の向上及び緑陰の確保など、重要な役割を果たしています。
 今後とも、道路の必要な機能を確保しつつ、歩行者・自転車交通量など現地の状況を勘案して、だれもが安全で安心して利用できる空間の整備を検討し、地域の理解と協力を得ながら着実に推進していきます。

質問事項
 一の3 平成20年6月1日から施行されている改正道路交通法で定めた「車道又は交通状況からみてやむをえない場合」臨機応変に車道と歩道を安全に車線変更できるような歩行者・自転車・自動車が共存できる歩道又は自転車歩行者道の望ましい構造が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 自転車は車道通行が原則ですが、車道又は交通状況から見てやむを得ず歩道を通行することができます。この場合、歩行者の安全に十分に留意することが求められます。
 歩行者の乱横断の抑止、視覚障害者の車道への誤進入の防止など、歩道上では、歩行者の安全を確保する必要があることから、自転車が容易に歩道と車道を行き来できる構造とすることは困難です。
 歩道をやむを得ず自転車で通行する際は、歩行者の安全を確保する必要があることから、歩道への出入りの際の安全確認、歩道内での車道側通行、押し歩きなど、ルールとマナーを守って、歩道への出入りが可能な箇所から通行していただくこととなります。

質問事項
 二 放射能除染について
 東京都は、現場の経験を踏まえて、「推奨される除染作業方法」として加えたい作業手法の工夫などはあるのか。また、独自のノウハウをこのようなガイドラインに加味する形で独自色のあるマニュアルというものをまとめる予定なのか伺う。

回答
 都内においては、面的な除染が必要となる可能性がある汚染状況重点調査地域の指定はなく、また、局所的な汚染についても、文部科学省のガイドラインの目安より高いポイントが見つかる可能性は低いと考えています。
 このような状況から、都内の除染については、区市町村が独自に行うものなど限られたものになると想定されます。
 都は、これまでも区市町村からの除染等の相談に対応するとともに、平成23年12月に開催した区市町村に対する放射性物質汚染対処特措法等の説明会において、区市町村から意見を聴く場を設けるなど、ニーズの把握に努めています。
 今後も、都内の汚染状況を踏まえつつ、国の除染ガイドラインも参考にしながら、区市町村等からの相談に応じるなど、必要な技術支援を行っていきます。

質問事項
 三 東京都内の予防接種活動の多摩と区部の違いについて
 1 現在、三者協・五者協それぞれが協議している事業は何か伺う。

回答
 東京都・特別区・東京都医師会連絡協議会(略称:三者協)は、昭和49年の地方自治法の一部改正により、都から保健衛生事務事業が特別区に移管されたことに伴い、昭和50年に設置されたものです。
 三者協で協議している事項は、予防接種、1歳6か月児健康診査、医療費助成制度(妊娠高血圧症候群等)、医療救護等に係る費用弁償、公害健康被害補償制度及びその他特に都区の統一的実施を図る必要がある事項です。
 また、東京都地域保健事業連絡協議会(略称:五者協)は、地域保健法の施行に伴い平成9年に都から市町村に移管される母子保健事務等を円滑に執行していくため、平成8年に設置されたものです。
 五者協で協議している事項は、妊婦健康診査、乳児健康診査(6か月児・9か月児)、医療費助成制度(精密健康診査費)、医師の出務時の費用弁償(乳幼児健康診査(3から4か月児)、3歳児健康診査等)及びその他特に都、特別区、市、町村、東京都医師会相互に調整を図る必要がある事項です。

質問事項
 三の2 市町村における予防接種事業、1歳半検診、妊婦健診に関する内容の協議はどのように行われて決まり、どこが実施しているのか伺う。

回答
 市町村における予防接種事業と1歳6か月児健康診査については、各市町村が地区医師会に委託して実施しています。
 また、妊婦健康診査については、五者協で委託単価を統一的に設定し、各市町村が地区医師会に委託して実施しています。

質問事項
 三の3 「特に都区の統一的実施を図る必要がある事項」も三者協の協議事項になるようだが、都区の統一的実施を図る必要がある事項というものはあるのか伺う。

回答
 「特に都区の統一的実施を図る必要がある事項」として協議を行ったものとしては、昭和52年度の感染症定点観測調査開始に当たっての協議や昭和57年度の老人保健法の施行に伴う老人保健事業の実施における相互協力事項の確認などがあります。

質問事項
 四 小中学校の健康教育の普及について
 1 学校での教育活動は、現在どの疾患にどの程度行われているのか伺う。

回答
 現在、学校の授業においては、病原体に感染することによって起こる感染症、生活行動と深く関わる生活習慣病等について、その発生要因や予防方法の理解を中心に指導しており、子宮頸がんや精神障害等個別の疾病を取り上げての指導は行われていません。
 ただし、エイズ及び性感染症については、増加傾向とその低年齢化が社会問題になっていることから、児童・生徒の発達段階を踏まえて、疾病の概念や感染経路、予防方法等について指導しています。

質問事項
 四の2 学校教育のプログラムとして対象となるためには、その疾患にどのような条件が整えば良いのか伺う。

回答
 学習指導要領においては、疾病の学習内容として、感染症及び生活習慣病の原因と予防について理解を深めるようにすると示されています。
 このため、学校では、児童・生徒が日常的に経験するかぜや感染力が強く大流行を招く恐れがあるインフルエンザ、生活行動が主な要因となって起こる生活習慣病等を取り上げ、授業が行われています。
 ただし、エイズ及び性感染症は、増加傾向やその低年齢化が社会問題になっていることから、児童・生徒が学習するよう学習指導要領に特別に示されています。

質問事項
 五 育児困難な親及び家庭の再生について
 子供の養育が困難な家庭において子供が保護者とともに在宅での生活を続けながら、家庭関係修復を行っていくための関係機関の関わり方や支援のしくみはどのようになっているか、具体的かつ詳細に伺う。

回答
 様々な理由で子供の養育が困難な家庭に対して、都は、児童相談所を中心に、区市町村の子供家庭支援センターをはじめとする地域の関係機関と連携して支援を行っています。
 児童相談の一義的な窓口である区市町村では、子供家庭支援センターにおいて、保護者や学校等地域の関係機関から相談等を受け、家庭に対し、育児(産後)支援ヘルパーを派遣するなどの支援を実施しており、必要な場合は、児童相談所の職員が家庭訪問に同行するなどの対応を行っています。
 児童相談所では、保護者等からの直接の相談のほか、子供家庭支援センターからの通告などを受け、子供と保護者の状況調査や面接等を行って援助方針を検討し、在宅での援助が適当と判断した場合は、家族関係の修復等に向け、児童福祉司や児童心理司が定期的に訪問し、養育に関する指導や心理療法、カウンセリングなどを行っています。
 また、区市町村ごとに設置する「要保護児童対策地域協議会」を通じて、学校、保育所、保健所、医療機関等の関係機関が、情報を共有し、それを活用して、家庭に対する見守りなどの支援を実施しています。

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