平成二十三年東京都議会会議録第十八号

〇議長(和田宗春君) 九十一番鈴木隆道君。
   〔九十一番鈴木隆道君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇九十一番(鈴木隆道君) 都市外交についてお伺いします。
 今日の国政は、特に外交政策を見ていますと、TPP交渉加盟の問題や尖閣、竹島の領土問題などに端的にあらわれているように、日本政府には、各国の立場を踏まえながらも国益を守る姿勢が全く感じられず、世界からますます孤立していく感を否めません。
 国家の外交に比べて、都市と都市との間では、政治体制や思想などにとらわれない、身軽で自由な交流が可能であります。国家間の交流が停滞をしていても、都市間では、経済、文化、スポーツなど、さまざまな分野においてスピーディーで自由な経済活動が可能であります。また、人材の交流を通して、お互いの友情と信頼も深めることが可能であります。
 昨年十月に、台北松山空港と東京羽田空港との間で国際定期便が就航したのを機に、私たちは都議会の同志二十三名とともに、羽田発の一番機で台北市を訪問いたしました。
 台北が東京に寄せる期待には大きいものがありました。国交のない台湾においても、東京と台北市との都市間交流を積み重ねることにより、両都市間の信頼関係に基づく、人や企業の幅広い交流を進めていく必要があることを痛感したのは、私一人ではないと思います。
 また、ことし八月には、私は同僚議員四名とモンゴルのウランバートル市を訪問いたしました。モンゴルは東日本大震災のすぐ二日後に、三億円もの多額の義援金と物資を、世界で最初に日本へ届けてくれた国であります。それほど日本への友情と希望の念を抱いている国であります。
 ウランバートル市からは、東京のすぐれた技術、都市計画の豊富な経験から学びたい、アジア大都市ネットワークへぜひとも加盟をしたいという熱いラブコールを受けました。
 このようにアジアの国々や都市は、東京に大きな期待を寄せ、東京がアジアの牽引役として、経済成長や課題の解決に向け、積極的な役割を演じることを熱望しております。
 国家が責任を果たせない今日、まさに都市が立ち上がるときなのであります。
 こうした中、石原知事は、アジア大都市ネットワークを十年前にいち早く立ち上げ、従来の儀礼だけではない現実的な課題解決のための取り組みを進め、アジア各都市との厚い信頼と信用を得てまいりました。
 しかし、欧米の債務危機、各地で頻発する自然災害など、世界を取り巻く環境は厳しさを増すばかりであります。世界全体を閉塞感が覆う中で、世界じゅうの子どもたちが自国の未来に明るい希望と夢を持てなくなっている。それが現実であります。
 東京はアジア地域だけにとどまらず、全世界の平和と繁栄を力強く牽引していく責務を負っているといっても過言ではありません。東京は国に成りかわり、都市間交流を強化することにより、東京からアジアへ、アジアから世界へ貢献する道筋をはっきりと示す必要があります。そのことが東京に対して、世界からの賞賛と支持を集めることになり、ひいては、都が目指す二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致を成功させる土台を築くことにもつながっていくと私は確信をいたします。
 そこで、東京が幅広い分野で世界に貢献していくためにも、アジア大都市ネットワークを初め、姉妹都市、友好都市との関係を強化し、東京だからこそできる都市間交流、外交というものをさらに進めていくことが重要だと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、中小企業の海外販路開拓について伺います。
 経済活動のグローバル化にあわせ、東京のビジネスマンも海外での営業活動を活発に行っています。特に、成長の著しいアジア市場での販路開拓の競争は熾烈なだけに、東京から台北、上海と、三都市を日帰りで回り、商談を取りまとめるような事例は日常茶飯事の時代に入りました。昨今の欧州の債務危機の混乱などを見るにつけ、やはり、これからの世界経済の成長の中心はアジアであることは確実でありましょう。
 こうした中、都は、アジア大都市ネットワークでの実績を活用し、アジア諸都市の企業が産業交流展で商談できる機会づくりに取り組んでいることを評価したいと思います。
 アジアでのビジネスは、国や大都市の行政機関などによるサポートが何よりも重要であります。公的な組織による後ろ盾があるだけで、商談がスムーズに進むような実態は数多くあります。知事が都内中小企業の技術力をトップセールスで売り込むとの意欲を示す中、都の職員の方々も海外に積極的に出向き、商取引の実態をしっかり理解することは重要になると考えます。
 都は、中小企業の海外販路の開拓を支援するため、これまでも相談業務や現地での商談会に参加する際のフォローに取り組んでいますが、こうした体制の一層の充実に力を入れていくべきものと考えますが、所見を伺います。
 また、都内の中小企業は、長引く景気の低迷に加え、東日本大震災による影響や歴史的な水準となった円高により、これまでにもない厳しい経営状況に直面しております。
 こうした中で、中小企業はさまざまな経営課題の解決に向け、レベルの高いアドバイスを会社の現場で受けながら、根本的な解決の方法を見出すことを強く望んでいます。
 都においては、二十一年度から経営力向上TOKYOプロジェクトを開始し、経営の専門家を会社の現場に派遣し、経営課題とその解決策を明らかにする取り組みを行い、数多くの経営者が高く評価しているものと聞いています。このような派遣相談の方法は、今回の震災や円高に関する緊急的な対応の中でも生かされ、中小企業を強力にサポートしているものと考えています。
 これまでの経営力向上TOKYOプロジェクトを初めとする専門家派遣などの成果を十分に踏まえながら、相談事業のレベルの向上を図るべきものと考えますが、所見を伺います。
 次に、世界に通用する人材の育成について伺います。
 政治や経済を初め、スポーツ、文化など、さまざまな分野で世界各国の都市や人々との交流を深め、信頼関係を築いていくために、多様な文化や風習に直接触れる経験を積み、国際感覚を備えた人材を多数輩出していくことが不可欠であります。
 若者が海外に積極的に出ていき、経験を積むことの重要性はだれもが認めているところでありますが、海外に出ていく若者が少ない現状に対する危機感が欠如していると、私は指摘をせざるを得ません。これからの時代は、海外という壁を取り払い、東京から大阪に行くような感じで気楽に海外都市へ出かけていけるような感覚を持った人をもっとふやしていく必要があります。
 企業等で働く社会人や研究員など、幅広い人材に海外での経験を持たせることも重要でありますが、中でも高校生、大学生などの若者が、みずみずしい感性を持ったその時期に海外で多様な経験をすることは、その後の人生を考えるきっかけになり、夢や希望の実現に向けて大きなプラスになることは間違いないことだと思います。
 私はさきの第一回定例会においても、都内の高校生全員が在学中に一度は海外を体験できるような、壮大な事業の必要性を指摘いたしました。それに対して教育長から、国際交流の重要性について触れ、海外修学旅行や国際交流の取り組みを支援していくとの答弁がありました。多くの若者が海外に出ていく大きな流れを創出する突破口を、東京都がまずつくることは、大きな意味を持つ第一歩であると考えます。
 そこで伺います。
 都教育委員会が検討している、都立高校生を留学させる施策のねらいも含め、どのように世界で通用する人材を育成していくのか、所見を伺います。
 一方で、育成すべき都立高校生の今の姿を見ていますと、残念ながら、自分の将来を十分見詰めることなく、安易に進路を選択する者や、就職の厳しい状況の中でせっかく就職しても、上司や職場が合わないという理由で簡単にやめてしまう者が多いと聞いております。
 こうしたことは、高校時代に他人から褒められたり、怒られたり、我慢するといった経験に、もしかしたら恵まれなかったことが原因になっているかもしれません。世界で通用するたくましい人材を育成するには、こうした働く上での基本を、実社会での経験を通して身につけることが重要であるとも考えます。
 新たな都立高校改革推進計画の骨子によると、職業的自立意識を醸成するとありますが、都教育委員会では現在、都立高校生の就業体験活動にどのように取り組んでいるのか、今後どのような取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
 次に、アジアにおける人材の交流について伺います。
 残念ながら、これまで日本はアジア地域での人的交流に十分なリーダーシップを発揮してきたとはいえません。その結果、アジアの優秀な人材は、教育や技術の向上のために欧米諸国を目指し、アジア地域のほかで開花するという実態があります。
 アジア地域が今後、第三極として欧米地域と伍していくために、アジア地域全体の人的資源の質の向上に貢献することは、まさに日本の首都である東京の使命であると考えます。経済、文化、スポーツなど、幅広い分野での人的交流を促進するとともに、直面する課題をみずからの手で解決し、都市の発展を担うことのできる人材を育成し、成長著しいアジア地域の発展を継続させていくための礎としなければなりません。
 こうした中、都は、平成二十年度にアジア人材育成基金を設置し、首都大学東京へのアジアの留学生の受け入れや、東京とアジアの行政職員の交流による人材の育成に着手し推進してきたことは、大いに評価できるものであります。基金を財源とした事業展開により、長くアジアと東京のかけ橋となる人材を育てていくことが可能となるものと考えます。
 都は、アジア地域における基金を活用した人材交流、人材育成をより一層推進し、東京とアジアのプレゼンスの向上となる発展に貢献すべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致については、さきの第三回定例会において招致決議を行い、都議会としての推進体制を整えてまいりました。我が党としても、全力を挙げて招致活動に邁進する所存であります。
 来年二〇一二年夏には、ロンドンで三度目となるオリンピックとパラリンピックが開催をされます。ロンドンが招致を成功させた最大の要因は、当時のブレア首相が旗振り役となり、国家一丸となった招致活動を展開したことによります。東京への招致成功のためには、ロンドンと同じように、日本全体が一体となって戦うことが必要でありますが、一方、国際的な招致戦略の構築も急務となっております。
 先ほども述べましたように、我が首都東京は、アジアを初めとする各都市との間で幅広く経済、人材の交流を行い、積極的に都市としての役割を果たし、世界に貢献する必要があります。そのような総合力の結集によって、東京のポテンシャルが国際社会によって認められ、初めて尊敬される存在となります。オリンピック・パラリンピック招致にとって大切なことは、まさにそのことであります。
 東京が志を持ち、招致を実現するためには、諸外国の国際スポーツ界の中枢部を初めとした人々との日ごろからの緊密なコミュニケーションと、国際都市東京の魅力を一つの外交として世界にアピールすることこそが最も重要であります。前回招致の反省点の一つは、日本は人材が豊富であるにもかかわらず、その意味での海外戦略が有効に機能し切れていなかったことではないでしょうか。
 そこで、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催をかち取るための海外戦略について、改めて所見を伺います。
 最後に、中央環状品川線について伺います。
 東京がアジアのヘッドクオーターとしての地位を確立し日本を牽引するためには、インフラ整備を加速させ、高度防災都市を実現することが不可欠であります。
 このため、さきの大震災で再確認されたネットワークの重要性を踏まえ、三環状道路を初めとする幹線道路整備が推進されておりますが、三環状道路の一つで、既に工事が進められています中央環状線の整備も、より一層推進すべきと考えます。
 そこで、現在の中央環状品川線の整備状況と今後の取り組みについて改めて所見を伺い、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えいたします。
 都市外交についてでありますが、二十一世紀に入って、人類史上初めて半数を超えた都市の人口は、二〇五〇年には七〇%にまで達するといわれておりまして、今世紀はまさに都市の世紀となるわけであります。大都市のダイナミズムが文明を発展させ、国家そのものを動かし地球の命運をも左右するという事態でありました。
 その一方で、人類共通の危機の様相が最も先鋭的にあらわれるのもまた大都市であります。ゆえにも、アジアの大都市に共通する具体的な課題に共同して取り組むことによりまして、世界の第三の極であるアジアの共存共栄を先導するとの思いで、アジア大都市ネットワーク21を提唱して実現してまいりました。テロや大規模災害などへの対応、アジアの大都市から世界への蔓延が懸念される新興感染症の対応など、危機管理の分野を初め、幅広く取り組んでまいりました。
 また、このネットワークを契機として、国産旅客機MRJの設計、製造へのインド、台湾の企業の参画が実現いたしました。本来ならば、このサイズよりもう少し大きな、世界的に需要のもっと多いはずの百三、四十人から五十人までの旅客機が必要だと思いますが、これはもう日本の実力をもってすると簡単にできるはずでありますけれども、なぜか通産省はそこまで気が向かずに、この程度の飛行機が国産として誕生するわけですが、恐らく近い将来、新しい需要がもっと拡大していくと思います。
 さらに、東京の産業交流展やソウルの見本市に、アジアの企業やすぐれた技術を紹介するアジアゾーンを設置するなど、経済交流を新たに展開しております。
 これらの具体的なその受け皿として羽田に──羽田は、私と盟友であります亀井静香と乱暴に強制しまして四本目の滑走路ができましたが、これを活用するために、やはりあそこに大きな国際会議場と、それを受け入れるホテルが必要だと思いますので、これは国と相談して、とにかく都心まで出てこなくとも大きな国際会議が持てる会議場をつくりたいと思っております。そうすることで、羽田を改めて国際空港にした意義も出てくるんじゃないかと思っております。
 東京には、中小企業が持つ独創的な技術やアイデア、世界最高水準の水道技術など、アジアだけではなくて世界の発展に貢献できる誇るべき技術力と、それを支える高度な人材が集中集積しております。
 今後とも、東京が持つ有形無形の都市の力を積極的に世界に発信して、都市が抱える問題の解決に貢献することで、国際社会における東京のプレゼンスを一層高めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、世界に通用する人材の育成についてでございます。
 国際社会に生きる日本人が、さまざまな国や地域の人々の信頼を得て、望ましい関係を維持していくためには、海外でその国の文化や生活を直接体験することを通じて、海外事情や多様な価値観を知り、国際的な視野に立って物事を考えられるようにすることが極めて重要でございます。
 そのため、都教育委員会では、海外修学旅行や語学研修、海外留学などに加え、新たに海外の高校や大学、企業など、多様な環境で学習や体験を積む都独自の海外派遣の仕組みを開発してまいります。
 このような取り組みを通して、より多くの高校生に海外に目を向けさせるとともに、さまざまな分野に果敢に挑戦していく意欲を持たせて、将来、世界を舞台に活躍できる人材を育成してまいります。
 次に、都立高校生の就業体験活動についてでございます。
 都教育委員会では、工業高校の生徒に、ものづくり企業において一年次に五日間程度の就業体験をさせた上で、二年次、三年次に、企業の一員として二カ月ずつ実施する長期就業訓練を、教科の単位として認定する取り組みを進めております。
 また、普通高校においても、スーパーマーケットでの販売や銀行における接客や営業など、生徒に就業体験をさせる取り組みを実施してまいりました。
 今後、新たな都立高校改革推進計画の中で、専門高校において就業訓練の充実を図りますとともに、普通高校でも、企業やNPOなどの協力を得て就業体験を含む新たな教育プログラムを開発、実施し、生徒の職業的自立意識を向上させる取り組みをさらに推進してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 中央環状品川線の整備状況と今後の取り組みについてでございますが、中央環状線は首都圏三環状道路の一つとして、高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、人と物の円滑な流れを実現するとともに、災害時の首都機能維持や交通機能確保、一般道路の渋滞緩和や環境改善にも大きく寄与する路線であります。
 このため、都みずからも事業者となり、首都高速道路株式会社と共同で事業を進め、中央環状線の最終区間である品川線の早期完成に全力を傾けております。
 現在の整備状況は、平成二十一年十一月に大井北立て坑を発進した東京都施工のシールドマシンが、来週にも延長約八キロメートルに及ぶ掘進を完了し、中央環状新宿線との接続部に到達する予定であり、三環状道路で初めての全線完成に向け、大きく前進いたします。
 引き続き、首都高速道路株式会社と連携を図りながら、トンネルの床板工事や中目黒外三カ所の換気所等の工事を進め、中央環状品川線の平成二十五年度末開通に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の海外販路開拓支援についてでありますが、都内の中小企業がアジア市場において販路開拓を進める上で、現地のマーケットの状況や商業取引のルールについて正確に把握し、商談の機会を確保するきっかけづくりを単独で行うことは困難な場合が多く、行政として着実なサポートを行うことが重要であります。
 このため、都は、アジア各国で多くの商談が期待できる機械や金属等の八つの分野ごとに、商社OBなどを海外販路ナビゲーターとして配置し、現地の市場動向や商慣習について、中小企業に情報提供や相談対応を行っております。
 また、販路拡大が見込まれる製品を対象として、海外展示会への出展支援を行っており、その際、ナビゲーターが同行し、現地で円滑に商談を進めるためのアドバイスなどを行っております。
 こうした取り組みは着実に成果を上げており、都内中小企業の評価も高くいただいておりますことから、都は販路開拓の支援体制の充実を検討してまいります。これにより、すぐれた技術力と製品を有する都内中小企業のアジアにおける販路開拓の取り組みを的確に支援してまいります。
 次に、中小企業に対する相談事業についてであります。
 中小企業が、震災や円高による影響などを含めた厳しい事業環境を乗り切るため、その会社の現場で専門的な相談を受け、経営課題を明確にした上で的確な解決策を見出すことは重要でございます。
 都では、平成二十一年度から経営力向上TOKYOプロジェクトを実施し、約四千社の都内中小企業に対して専門家を派遣して経営診断を行い、経営力の向上を実現するための具体的な提案に取り組んでまいりました。
 また、中小企業振興公社では、専門性の高い内容に対する相談体制を設けるとともに、中小企業診断士などが、企業の現場を最大で八回まで継続して訪問し、経営上の課題解決を図る事業を実施しております。これらの相談は、中小企業に出向いて実施いたしますことから、効果が高い取り組みであります。
 平成二十四年度は、経営力向上TOKYOプロジェクトによる専門家派遣の成果について、広報や普及啓発活動を行ってまいります。また、公社の専門家派遣や専門性の高い相談体制の拡充についても検討してまいります。
 こうした取り組みにより、中小企業に対する相談を充実し、経営力の向上を的確に支援してまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) アジアにおける人材の交流についてでございますけれども、アジア人材育成基金を設置してから三年が経過いたしました。この間、航空機用新素材の開発、高度医療開発に向けた基盤技術の研究、アジア都市圏の水問題解決のための適応策など、首都大学東京が行う高度先端的な研究に、計三十人のアジアからの留学生を受け入れ、今年度は第一号の博士課程修了者が誕生するなど、着実に成果を上げてきたところでございます。
 また、行政職員の人材交流につきましては、平成十四年度から、都市づくり、感染症対策など大都市に共通する課題をテーマとした共同研究や研修を実施し、これまで、アジアの各都市から延べ三百人を超える職員が参加いたしました。
 直近の例で申しますと、東日本大震災の発生を踏まえ、消防、医療など危機管理に携わる職員を各都市から招き、東京消防庁の被災地での救援活動を中心とした研修を行い、震災の教訓を共有したところでございます。
 今後とも、景気の動向などに大きく左右されることなく、安定的に事業を推進できる基金のメリットを生かしながら、アジアが直面するさまざまな課題の解決に向けた人材交流を深め、将来にわたり東京とアジアの発展を牽引する人材を育成してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致に向けた海外戦略についてでございます。
 オリンピック招致をかち取るためには、国、スポーツ界、経済界を挙げた総力戦で取り組むことが何よりも重要でございます。
 先般設置いたしました招致委員会の評議会には、経済界や外交など各界の要人にも参画いただいておりまして、それぞれの方々に強みの持つ分野で活動していただく予定でございます。
 さらに、前回の招致活動では必ずしも十分でなかった国際スポーツ界や海外経済拠点、在外公館などとのネットワークを構築していきます。今回はこうしたネットワークを有効に活用し、開催都市としての東京の優位性や、すぐれた都市環境やおもてなしの精神など、都市としての魅力をより強力に発信してまいります。

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