平成二十三年東京都議会会議録第十七号

   午後一時開議

〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

〇百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、平成二十四年度東京都予算編成について伺います。
 東日本大震災の影響によって分断されていた部品などのサプライチェーンは各業界の尽力によって復旧し、生産活動は持ち直しつつあります。
 一方、円高の進行による企業収益の悪化やタイにおける洪水被害による部品不足、そして南欧諸国の財政、債務危機による欧州問題などで、国内外の経済は先行きが懸念されています。
 都内においては、今年度の経済成長率は〇・四%のマイナス、都民所得も対前年度に比べ一・四%のマイナスと見込まれています。日本政策金融公庫の調査によっても、都内小企業の売り上げ回復は長期化を覚悟しなければならない状況とのことです。平成二十年度からの法人事業税国税化による税収減の影響も大変大きいものとなっています。
 このような中、都の施策の主要財源である平成二十三年度都税収入の見込みについて、また、平成二十四年度都税収入の見通しについて伺います。
 法人事業税の一部国税化については、都議会民主党は導入時から今日まで、あらゆる機会を通じて国に対し暫定措置の撤廃を求めてきました。引き続き、法人事業税一部国税化の撤廃に向けて取り組みを強めてまいります。
 今年度、都は、東日本大震災後の被災地支援や都内インフラ被害の復旧、東京のエネルギー戦略の見直しなどに、税収と約三千億円の基金を取り崩して対応してきました。平成二十四年度の予算編成においては、都債償還分の減や退職による人件費の減少など、財政健全化や行政改革の効果などによって財源を確保し、都が果たすべき課題に取り組むこととなります。
 厳しい都民生活や都内企業を支える施策や都内の経済成長を促す取り組み、自立分散型エネルギー供給の仕組みづくり、そして首都直下地震へのスピード感ある対応など、中長期を含む東京の課題解決に向けて、来年度予算をどのように編成するお考えなのか、所見を伺います。
 次に、東京の防災対策について伺います。
 国の首都直下地震防災・減災特別プロジェクトの東京大学地震研究所や防災科学技術研究所などのチームは、首都圏に四百個の地震計を設置し、地震の震源となる地下の三つのプレートの位置関係を明らかにする研究を進めています。
 そして、陸側の北米プレートの下に南から沈み込むフィリピン海プレートが現在の想定よりも約十キロメートル近く浅いことを解明しました。地震の震源が地表に近づくことで、首都直下地震が起きた際に、想定震度が大きくなる可能性があります。
 国に、地震の想定規模などの再検証を求める都は、この新たな科学的知見を受けて、首都直下地震発災時のより詳細な被害想定の検証を行い、震災対策の推進に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、立川断層帯地震への対応について伺います。
 多摩地域では、プレート境界多摩地震に比べ発生頻度が低いとされる立川断層帯地震が想定地震に追加されました。都においては、十月、西東京市、小平市、武蔵野市や小金井市とともに、ブラインド型の実践的な総合防災訓練を行うなど、大震災を教訓とした取り組みを始めています。
 こうした多摩地域における防災対策を推進していく一方で、断層調査を進めるとともに、まだわかっていないことも多いものの、震源が比較的浅いため揺れが大きく、断層のずれによる大きな被害のおそれがあるといったきめ細かな情報を都民や市町村に提供していくことが大切です。
 立川断層帯地震に対する都民の過度な不安を解消しながらも、防災対策をいかに進めていくかが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、三連動地震対策について伺います。
 平成十五年、三連動地震の発生に関して、国の東南海、南海地震に関する専門調査会は、東京東部地域では震度五弱の揺れが発生すると予想していました。平成十八年には、国の大都市大震災軽減化特別プロジェクトにおける京都大学防災研究所による新たな強振動予測手法により、東京東部地域では震度六弱の揺れと東京湾岸地域の液状化の可能性が示されました。
 現在、国において南海トラフの巨大地震モデル検討会が開催され、東海、東南海、南海地震の規模について検証を行っており、新たな被害想定が出される予定です。
 都においては、三連動地震への対策として、長周期地震動対策、液状化対策や島しょ地域の津波対策など、都内の災害対応及び被災地支援の双方に円滑かつ迅速に対応できる体制を構築するとしていますが、国の新たな被害想定を踏まえて、具体的な対策をとっていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、自助、共助の取り組みの推進について伺います。
 いつどこで首都直下地震が起こるのか、予測はできません。また、発災から三日間、公共機関は、消火や負傷者の救助、救急、交通規制などに追われ、個別の要請に対応できないと考えられます。
 そこで、まずはみずからの命を守る自助、そして共助の取り組みが重要となります。中林一樹明治大学特任教授によると、都民が自助能力を発揮するためには、平素から自宅の耐震化や家具の転倒防止、備蓄の推進などのハード面での備えを行うとともに、防災イメージトレーニングを行うこと、自治会、町会やマンションでの災害時助け合いシステムづくりなどのソフト面の備えを行うことが重要だということです。
 こうした都民による自助、共助能力を高める事前の取り組みが進めば、けがをせずに、災害時要援護者の避難支援や負傷者の救助といった共助を推進でき、被害を軽減することができます。
 一方、震災後に行った都の震災対策アンケートの結果では、防災用品や備蓄の用意は進みましたが、家具類の固定は半数、自宅の耐震化や防災訓練への参加も低いなど、課題が多くあります。
 首都直下地震時の被害軽減のために、都民の自助、共助能力を高める取り組みを市区町村とともに一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、震災後における応急仮設住宅の供給について伺います。
 国は、東日本大震災後に応急仮設住宅の用地確保が難航したことから、都道府県に対し、応急仮設住宅の建設候補地の把握を要請するとともに、来年三月に応急仮設住宅建設のガイドラインをまとめることとなりました。
 東京都においては、首都直下地震により全壊する建物の被害想定は最高四十七万一千五百八十六棟にも上ります。しかし、都市部では制約があることから、確保される用地は都や市区の公共空き地など五百七十ヘクタールのみです。しかも、震災後には、それら用地の被害状況を調査して、使用できるかどうかも見きわめていかなければなりません。
 そのため、震災などの発生時には、公的住宅や民間賃貸住宅の空き家活用による都民への供給も重要です。大震災の教訓も踏まえた首都直下地震後の応急仮設住宅供給に向けた考え方について見解を伺います。
 次に、大規模水害対策について伺います。
 複合災害や荒川及び利根川の洪水などにより、東京東部の低地帯に大規模水害が起こった場合に備え、江東区などは水害時における一時避難施設の指定を推進するなど、防災対策を進めています。
 都においては、万が一浸水が起きた場合に、迅速で的確な情報提供や避難先の確保、広域避難も含めた避難誘導体制の整備などの検討を行うこととしています。
 また、広域避難場所である都立公園をかさ上げして、緊急避難場所として整備を検討していくことや地下鉄本体並びに入り口の浸水防止や水道、下水道施設の耐震、耐水化を進めるなど、減災に向けた対策を行う必要があります。
 東京東部地域における大規模水害対策の推進について見解を伺います。
 次に、建築物の耐震化について伺います。
 平成二十一年度から二十二年度までの間に耐震診断を実施した建築物のうち、木造住宅で倒壊または崩壊する危険性があるとされるIw値が一・〇未満のものが約九九%、鉄筋コンクリートなどの非木造建築物で、倒壊または崩壊する危険性があるとされるIs値が〇・六未満のものが分譲マンションで約八〇%、緊急輸送道路沿道建築物で約九一%だといわれています。この数値からも、昭和五十六年五月以前の旧耐震基準で建てられた建築物は、倒壊または崩壊する危険性の高いことがわかります。
 東日本大震災以降、建築物の安全性に対する建物所有者の意識も変化しており、建築物の耐震化を推進するためにも、耐震改修助成制度の拡充は非常に重要だと考えます。
 緊急輸送道路沿道建築物については、来年四月から耐震診断の実施が建物所有者に義務づけられます。より多くの建物所有者がより早く耐震診断を実施することを促すため、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 東日本大震災におけるマンション被害を見ると、旧耐震基準マンションの損傷割合が大きくなっており、これらのマンションを耐震化する緊急性が改めて確認されています。
 都では、六月に策定した東京緊急対策二〇一一の中で、マンション耐震化促進に向けた取り組みを緊急対策の一つとして取り上げ、学識経験者などから成る専門家会議を設置し、耐震化推進のための新たな実効性ある方策を検討しています。
 この専門家会議の議論を踏まえ、都は十一月二十二日、耐震改修や円滑な建てかえを促進するための法制度の改正について、国に対する緊急提案を行っています。国の法改正に関しては、私たちも東京都と問題意識を一にしていますので、政府や党本部に対して強く働きかけを行っていきますが、マンションの耐震化に向けた今後の都としての取り組みについて所見を伺います。
 木造住宅密集地域では、防災都市づくり推進計画で整備地域に指定されている地域の中でさえ、その整備がはかどっていないのが現状です。これまでの整備手法を改めて見直すとともに、各地域の実情やニーズをより詳細に把握して整備を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、放射能対策について伺います。
 私たちは、食品の放射性物質の検査について、生産地検査だけではなく、流通消費地としての都内での検査を求めてきましたが、都はその声にこたえ、十一月から流通食品のモニタリング検査をようやく開始をいたしました。
 また、子どもたちを内部被曝から守るために、八月二十九日に子どもの内部被曝ゼロを目指すための緊急要望で、学校給食などの安全性を確保するよう求めてきました。
 その学校給食の品目の牛乳に関しては、学校給食用牛乳供給事業者が、給食用牛乳の検査を実施しながら、その結果を公表していなかったことが波紋を広げていましたが、教育庁は十二月二日に、供給事業者の団体である東京学乳協議会に対して、各事業者の検査結果の公表を促す要請を行いました。不安を持つ保護者の立場に立った対応が徐々に進み始めたといえます。
 さて、私たちは、第三回定例会の代表質問で、災害廃棄物の受け入れに関しても、被災地支援で東京ができることはやるべきとした上で、都民の健康への影響を考慮し、慎重な検討と都民に理解を求めるために、丁寧な説明が必要であると述べてきました。
 十一月三日からは、岩手県宮古市から都内への災害廃棄物の搬入が始まりました。その手法を視察し、確認したところ、東京都が飛散防止策など丁寧な対応をしていることがわかりました。また、宮古市の瓦れきは、岩手県の調査によれば平均六十九ベクレル・パー・キログラムであり、濃度が低いこともわかっています。
 このような中、都は宮城県女川町からの瓦れき受け入れを公表しています。災害廃棄物の受け入れについては、環境局に対して多くの都民から中止を求める電話が寄せられ、また署名活動がなされるなど、都民の安心、理解を十分に得られているとはいえない状況にあります。
 国が示す安全基準が焼却灰八千ベクレル・パー・キログラム以下という出口の基準しかないため、高い濃度の放射性物質が都内に持ち込まれるのではないかとの都民の不安を惹起してしまっています。実際には、災害廃棄物の放射能濃度が低いことが都民に伝わっていないのです。
 受け入れに当たって、都の対応をきちんと説明していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 しかしながら、災害廃棄物の空間線量の測定に関しては、きめ細かい測定はしていますが、濃度測定は一回だけで、不確かさが残り、不十分な対応状況にあります。
 そこで、放射能濃度を定期的に測定し公開するなど、より多くの情報を提供することが必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都立施設における放射線の測定強化と除染について伺います。
 私たちは、六月十日の緊急要望で、空間放射線量の測定強化を求めてきました。現状、東京都は、モニタリングポストの増設などを実施し、測定を強化してきています。また、各市区町村も独自に測定を実施し、高い線量の場所は除染するなどの対処をしています。
 このような中で、東京都が文部科学省のガイドラインに従い、十一月に都有施設である足立区の中川公園、葛飾区の水元公園、江戸川区の篠崎公園の放射線量の調査を実施しました。
 その結果として、調査の目的である高さ一メートルで周辺より放射線量が一マイクロシーベルト毎時以上高いポイントは見つからなかったものの、調査の中で、中川公園では管理小屋雨どい付近の高さ一センチで七・〇六マイクロシーベルト毎時、水元公園でも高さ一センチで四マイクロシーベルト毎時を超える数値を検出しています。
 東京都は、この結果を受けた報道発表の資料の中で、都有施設全般にわたる調査や経常的な調査は基本的に不要としています。そのため、各市区町村が放射線量の測定を強化していく中で、都有施設だけが測定されず、測定の空白地をつくる結果となってしまっています。
 ある区では、区立公園のほとんどで測定を済ませていますが、大規模な都立公園だけが測定をされず、都立公園の利用控えが起こっているなどと聞いています。
 そこで、都に子どもが利用する都立公園を中心に、都有施設全般について放射線量の測定を実施し、結果を広く公表するべきであると考えますが、所見を伺います。
 また、国の除染基準に該当する箇所も出てくる可能性があると思われますが、その場合、どのように対応するのか、見解を伺います。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 まず、エネルギー政策についてです。
 電力の供給力不足が懸念されていたことしの夏は、都内の事業者や都民の皆様のご協力のもと、また電力会社の電力供給力の積み上げ努力や機動的な電力融通等の対応もあり、計画停電や需給逼迫による停電を回避することができました。
 去る十一月一日、国はこの冬の電力需給対策についての方針を示しました。この中では、この冬の電力需給バランスについて、一般的に冬の電力需要は夏に比べ低いことから、ことしの夏ほどには深刻にならない見通しであるとされています。
 その一方で、電源脱落などのリスクに備える必要があることなどから、節電対策は引き続き必要であるとされています。
 そこで、この冬における節電に向けた都の取り組みについて所見を伺います。
 東日本大震災直後の計画停電では、医療機関等の人の命にかかわる施設やライフライン施設の機能に大きな影響が生じ、事業継続に支障を来すケースが発生しました。
 一方、高効率に発電を行い、街区内に電力を供給する特定電気事業者の取り組みが注目されましたが、このような自立分散型エネルギーを保有する施設等はいまだ限られています。
 私たちは、震災の発災時に、都民生活を守り、都市機能を維持するために、できる限り低炭素型の自立分散型エネルギーの確保を進めていく必要があると考えます。
 都はことし七月、分散型発電ワーキンググループを立ち上げ、具体的な検討を行ってきていますが、その検討状況も含め、自立分散型エネルギー確保に向けた今後の取り組みについて見解を伺います。
 都は、建築物環境計画書制度やキャップ・アンド・トレード制度、マンション環境性能表示制度等を通じて、建築物の省エネ化を推進するとともに、地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度を通じて、地域冷暖房のエネルギー効率の向上などを進めています。その結果、東京には先端的な省エネ技術を取り入れた低炭素ビルなどが多く建設されるようになってきています。
 しかし、廃熱を最大限に利用するコージェネレーションシステムによる地域への効率的なエネルギー供給は十分に進んでいません。また、エネルギーの需要と供給の両面から、最適制御を図る仕組みの構築も課題となっています。さらには、清掃工場の廃熱等の未利用エネルギーも散在している状況にあります。
 私たちは、今後の大規模な都市開発や住宅開発などにおいては、低炭素型でかつ分散型のエネルギーを最適活用する都市づくりを進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、建設廃棄物のリサイクルについて伺います。
 建設廃棄物であるコンクリートの塊のリサイクル品の多くは再生砕石ですが、建築物等の長寿命化や土木工事の減少等により、その使用量は減少傾向にあり、再資源化施設では再生砕石の在庫を大量に抱えている状況にあります。
 そこで提案ですが、現在、東北地方では復興、復旧作業でのインフラ整備における再生砕石の需要が高まっていると聞いており、都内の建設廃棄物のリサイクルによる再生砕石を東北地方へ提供してはいかがでしょうか。
 東日本大震災により発生した災害廃棄物の受け入れ処理が十一月三日から始まっています。放射性物質の濃度を確認し、アスベスト等の有害物質や危険物を除去し、安全性の確認された災害廃棄物が鉄道コンテナによって搬送されてきています。この鉄道コンテナが被災地へ戻る際に、再生砕石を搬送する方法が有効と考えます。
 このような東北地方の復興支援のための建設廃棄物のリサイクルによる再生砕石の提供について所見を伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致について伺います。
 私たち都議会民主党は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致に関し、国を挙げての招致取り組みを進めるため、これまでも国に対し積極的に働きかけを行ってまいりましたが、昨日の衆議院本会議と本日の参議院本会議にて、見事招致決議が可決されました。
 オリンピックは、競技開催都市こそ一都市に限られていますが、知事もいわれているように、一都市のイベントというより、国のイベントともいえます。
 今回の招致意義は、日本の復興をテーマとしたオリンピック開催です。早速二〇二〇年、夏季五輪の東京招致委員会は、十一月二十八日に開いた理事会で競技会場計画を検討し、復興五輪として東日本大震災で被災した地域で一部競技を実施することを検討していると聞いています。来年二月に国際オリンピック委員会、IOCに提出する申請ファイルに盛り込む予定とのことです。
 そのような中、国内の招致活動においては、被災地復興の後押しとなることを前面に出していかなければなりません。国内世論を盛り上げるよう、招致のかけ声、スローガンを工夫し、東日本招致といったかけ声を検討していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、国際的な招致活動について伺います。
 二〇二〇年五輪招致をかち取るためには、オールジャパンで取り組まなければならないことはいうまでもありません。その招致活動の一つとして、まず在外日本公館の大使にも積極的な協力をお願いしていく必要があります。
 外務省やJOCは、各国の日本大使館向けに招致活動の基本ルールを説明する機会を設け、説明会等を行うようですが、基本ルールの説明を聞いて理解しただけでは、具体的にどう動けばいいのかを理解することは難しいといえます。これまでの経験やノウハウを熟知しているJOC等の関係者から、積極的に各大使が実践していけるよう促す具体的で丁寧な説明をする機会を設けることが重要です。
 また、外務省だけではなく、経済界などあらゆるルートを使って臨むことが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、新しい公共について伺います。
 新しい公共という考え方は、私たちが国家戦略の柱として、地域主権改革とともに、これからのあるべき社会像として掲げたものです。
 日本では、古くから連、結、講、座、あるいは若者組などの住民組織や市井の寺子屋、隠居という名のボランティア的な活動などが活力ある市民社会を担っていました。新しい公共の考え方は、以前あったこのような社会を現在にふさわしい形で再構築することを目指すものです。
 東日本大震災の被災地では、数々のボランティア活動が行われています。強制ではなくみずからの意思で支援活動をされていた多くの方々の姿は感動的であり、改めて人々のつながりと助け合いの大切さを感じさせられました。
 石原都知事は、都の防災対応指針において、自助、共助の徹底について述べられています。行政依存ではなく、一人一人自立した個が、地域、社会を主体的に働きかけていく協働は、災害時には不可欠なものです。
 そこで伺います。東京都においては、このような新しい公共型社会の実現を目指し、支え合いと活気のある社会を構築していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、新しい公共に対する支援事業について伺います。
 都においては、国の交付金を受け、新しい公共の担い手となるNPO等の自立的活動を後押しし、新しい公共の拡大と定着を図ることを目的とした支援事業を二年度にわたり実施することとしています。新しい公共の場づくりのためのモデル事業の第一次募集では、既に支援対象事業が決定し、選ばれた各団体は交付金をもとに活動を開始しています。
 行政と市民の間に立って、行政や企業ではできない現場に即した細やかなサービスで地域に貢献するNPO等は、決して行政の下請ではなく、住民に公益的サービスを提供する官と同等のサービスの担い手です。
 したがって、今後、公益的サービスにおける住民の選択肢を広げ、住みやすい豊かな地域社会にしていくためにも、NPO等を継続して育てていく必要があります。この二年の事業が終わった後も、新しい公共に向けた取り組みを積極的に行っている団体に対し、東京都は独自の自立支援策を講じていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、新しい公共に関連し、NPO法改正について伺います。
 NPO法の改正により、NPO法人認定事務が移管され、都道府県と政令市が所管庁となりました。これは、NPO法人の身近な地域でその実態に通じており、事後のチェックで監督ができる自治体が認定機関となることで、NPO団体が認定をとりやすくなるということを目的としており、都は来年度予算に認定等にかかわる事務費を要求しています。
 認定の実態調査を行う手間をなるべく省き、情報公開や毎年提出される書類の事後チェックを重視することで、認定がとりやすい環境をつくることが求められます。NPO活動が盛んなアメリカでは、NPOの税制優遇認定等は書類チェックだけで、事後チェックに重きを置いているようです。
 その認定処理期間においては、現在、国税庁は六カ月と定めています。これは、認定NPO法人制度がスタートして数年、認定にかかる期間が平均八カ月、長いもので二年にも及び、市民から批判が高まったことで定められたものです。しかし、実際には三カ月から四カ月で審査が終わっています。なお、国の公益法人認定の標準処理期間は四カ月です。
 今回の改正NPO法では、認定にかかわる期間については、自治事務としての定めを置いていません。しかし、施行条例、施行規則で決められなくても、認定にかかわる標準処理期間は、現行の国の定めより短縮した期間を実施要領やマニュアルで定めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 改正条例案は、来年の第一回定例会に提出すると聞いています。しかし、二十四年度四月からの施行となるため、条例改正の三月議決から四月一日の施行までの期間が余りにも短いといわざるを得ません。果たしてその期間に徹底した周知、説明会等が行えるのでしょうか。
 多くのNPO等の関係団体は、東京都の対応を見守っている状況ですが、万が一、四月一日からスムーズに手続ができなかった場合、彼らの活動に不利益を及ぼしかねません。迅速的確な対応が求められますが、所見を伺います。
 次に、医療について伺います。
 私たちは、本年だけでも第一回定例会、第三回定例会とがん医療の充実を取り上げ、求めてきました。今後、正念場を迎える少子高齢社会において、介護サービスの提供体制と同時に喫緊の課題となるのは、日本人の三人に一人の死亡原因であるがん医療、そして医療の発展に伴い必要性が高まってきた医療的ケアを受けながらの地域での生活を支える体制の整備です。
 私たちはまた、救急医療や周産期医療の危機的状況への対応についても、改選以来集中的に取り上げてきました。この点については、救急患者受け入れコーディネーターや救急医の処遇改善、こども救命センターの設置、NICUの増床など、多くのことが実現しています。NICUについては、新生児医療を担う医師の不足が深刻であり、新生児医療担当医確保支援事業等により、引き続き安定的な確保に努めなければなりません。
 こうした救急医療の問題、がん医療体制の整備に取り組む中で、常に課題とされてきたのが、急性期医療を受けた後の地域医療、療養環境整備の必要性です。今回は、こうした高度医療、急性期医療と密接な関連性を持つ地域医療の各分野における取り組みの推進を求め、何点かお伺いをいたします。
 まず、NICU病床は、東京都周産期医療体制整備計画において、平成二十六年度までに三百二十床整備することとしており、現在二百七十九床まで整備が進んでいます。ハイリスク出生児の実態に合わせた数を目標に整備が行われていますが、家庭での療育環境がなかなか整わないことなどから、スムーズな在宅移行に向けた早い段階からの支援体制を一層進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 在宅における療養を希望するがん患者に対し適切な支援を行うことは、患者やその家族のQOL向上とともに、積極的な治療を断念した後のいわゆるホスピスケアにおいても、悔いの少ない終末期を過ごし、あるいはみとるために非常に重要な課題です。
 がん患者に対する在宅での緩和ケアは、医療、訪問看護、薬局、介護等多数の職種による連携の上に成り立つものであり、各従事者の緩和ケアに対する専門性も必要なサービスです。
 患者や家族の療養上、日常生活上での悩みや不安等の解消を図り、さまざまなニーズに対応したきめ細かな相談を受け、支援を行う機能も求められるところです。在宅での緩和ケアを希望するがん患者の支援について、都の取り組みをお伺いいたします。
 高齢者の地域での療養生活を支える上で重要な役割を果たすのが訪問看護ステーションですが、地域偏在や人材の不足、緊急時の対応等さまざまな課題があります。こうした課題がある中で、大都市東京においては、まず訪問看護ステーションの量を確保していくことが必要だと考えます。
 高齢者の地域での在宅医療を支えるためには、市区町村の取り組みも不可欠ですが、都として必要なときに訪問看護サービスが利用できるよう、サービスの量確保に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、教育施策について伺います。
 知事は、破壊的教育改革に向け、第一回教育再生・東京円卓会議を十一月十六日に開催いたしました。そこでの議論は、実践的な英語教育や国語教育の徹底、テーラーメード教育の提案など多岐にわたり、それらの具体的な話のほとんどが学校教育という公教育におけるものでした。
 子どもの学力と人格の形成において、公教育である学校教育の役割は大きく、さまざまな施策を講じていくことが重要である一方、私の教育、私教育としての家庭と地域の役割は、より人格形成に大きく影響するものとして欠かすことができません。
 会議の終盤に、原島首都大学学長や中嶋国際教養大学理事長が、東北の子どもたちにおける精神の安定性が幼児教育、家庭教育やコミュニティのつながりによるものであることを述べ、中嶋理事長は都知事に対し、ぜひそこをやってほしいと述べています。
 現在、この私教育の低下が著しい状況です。家庭教育の低下については、父親の権威が戦後低下したことや核家族化が進んだことなどが主な原因とされています。
 日台中韓の東アジア四カ国の大学、研究機関の共同調査、EASSによれば、日台中韓の中で、どのような状況においても父親の権威は尊重されるべきだに賛成の割合が、日本が六割弱なのに対し、韓国や台湾、中国は八割前後で、日本が一番低い結果となっています。よって、都は、父親の権威回復のための社会的バックアップに関する具体的施策を真剣に検討していかなければならないと考えます。
 また、地域の教育力低下については、新しい公共型社会の実現に取り組むなど、コミュニティの再生を図っていかなければなりません。私教育が低下した結果、学校に学力と基本的な生活習慣の部分までが求められており、そのためもあって、現場の教師は疲弊し、多忙化やストレスによるうつ病、休職、退職、最悪は自殺につながっています。
 こうしたことを踏まえ、この円卓会議においては、家庭の教育力を高める施策や地域の教育力を発揮できる社会づくりについての議論をさらに深め、都民に発信していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 このたび、新たな都立高校改革推進計画案の骨子が発表され、来年二月に第一次実施計画が策定される予定です。これまでの都立高校改革推進計画では、学区制廃止、進学重点校やチャレンジスクールなどの特色ある高校をつくることが重視されていましたが、今回は自立した人間の育成に焦点が当てられています。
 この具体的な取り組みの一つとして、地域や家庭と連携した実践型の防災教育が挙げられています。東日本大震災が起き、都民の防災への意識が高まっているという点で、家庭や地域、関係機関等の協力も得られやすく、連携強化を図っていくよい機会になるはずです。そして、この取り組みを通して、生徒たちの自立心やリーダーシップの育成だけではなく、家庭や地域における子どもたちへの教育的関心が高まっていくことも期待できます。
 今後、都立高校生が防災訓練などを通して、家庭や地域、関係機関等との連携のもと、生徒一人一人の社会貢献意識をはぐくみ、自立につなげる積極的な取り組みを求めますが、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 総務省が十一月二十九日発表した労働力調査では、十月の完全失業率は全国で四・五%と、前月に比べ〇・四ポイントと大幅に悪化しました。円高や景気の先行き不透明感から、企業が採用に慎重になっていることも背景にあると指摘されていますが、同様に、十一月十八日発表による来春卒業予定の大学生の就職内定率でも、十月一日時点で五九・九%と過去最悪だった前年同期の五七・六%を辛うじて上回ったものの、統計をとって以来二番目の低さとなっています。
 経済危機に苦しむヨーロッパ諸国において、若者の失業率が軒並み高いことを踏まえれば、この状況を打開することが東京にとっても極めて重要であると認識しています。
 東京都は、今年度より、就職先が決まらない未就職卒業者を対象として、紹介予定派遣制度を活用して都内中小企業での就労体験を行い、正規雇用化を支援する未就職卒業者緊急就職サポート事業を始めているところですが、私は現下の厳しい雇用情勢を踏まえれば、こうした事業も含め若年者の就業対策に積極的に取り組むべきと考えます。
 若年者の就業対策に向けた東京都の見解を伺います。
 次に、障害者雇用について伺います。
 東京都は、本年九月に障害者雇用・就労推進連携プログラム二〇一一を策定し、東京都、経済団体等八団体が一丸となって取り組む全六十一事業を示しました。厳しい雇用情勢と平成二十二年の法改正の影響もある中、東京の民間企業における障害者の雇用率は一・六一%と、前年を〇・〇二ポイント下回りました。
 昨年まで連続して改善してきた民間企業における雇用率改善の流れを定着させ、また東京において一・八%の法定雇用率を達成していくためには、もう一段の取り組みが求められているところです。
 そこで、都の民間企業の雇用率改善に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 東京都知事部局は、地方公共団体の障害者法定雇用率二・一%を達成し、既に二・五九%となっています。しかし、東京都教育委員会は一・五八%と、都道府県教育委員会の法定雇用率二・〇%のみならず、全国平均の一・七五%をも下回っています。障害者の雇用数が前年より減少したのは都教育委員会のみで、不足数は百八十人、四年連続して雇用率、雇用数ともに低下をしています。
 例えば大阪府では、一年六カ月まで更新可能なチャレンジ雇用等により二・〇%、千葉県でも教員以外の指導員、実習助手、一般事務職員の正職員、上限三年のチャレンジ雇用など、さまざまな方策を用いています。
 都教育委員会は、法定雇用率未達成事業者として、平成十五年に策定した採用計画に対しても、三回にわたり適正実施勧告を受けています。
 都教育委員会は、永福学園等で知的障害が軽い生徒の就労を積極的に推進するなど、知的障害特別支援学校高等部卒業生の就職率は全国平均二七・六%を大きく上回り、三八・九%と大変な実績を上げています。こうした実績があるのですから、知的、精神も含めた障害者雇用をもっと進めていただきたいと思っております。
 今後、さまざまな方策を通じ、早急に法定雇用率を達成していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、現在、東京都のチャレンジ雇用は臨時的任用、いわゆるアルバイトの扱いであり、六カ月が上限となっています。しかし、法定雇用率を達成している大規模委員会の一つである大阪府では、チャレンジ雇用について知的、精神障害者を対象に、知事部局で非常勤職員として一括採用し、教育委員会を配属先の一つとしているとのことです。
 また、先ほども申し上げました千葉県では、教育委員会において一年契約で更新もある嘱託職員として図書館等に採用、知事部局では独自の制度として、チャレンジドオフィスで三年を上限とする非常勤職員として採用しているとのことです。
 東京都においても、一般就労に向けた経験をしっかり積めるよう、非常勤職員として位置づけるなど、一年以上のチャレンジ雇用を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 私たちは、豊洲の安全性の確認と関係者の合意なくして、この問題の解決はないと前回の代表質問でも申し上げてまいりました。
 都は、水産仲卸業者など市場業者に対して個別面談を実施していますが、いまだすべての水産仲卸業者の意向を把握できておらず、築地に残りたい、豊洲へ行くのは不安だなどとする声もあり、関係者の合意が図られているとは思えません。
 一方で、去る十一月一日、地元中央区は、石原知事あてに市場移転後の築地地区のまちづくりに関する要望を提出しています。その基本認識として、市場の跡地の一部に食文化継承の核となる施設イコールイメージとして、食のプロに評価、利用され、一般客、観光客にも親しまれる施設を整備し、場外市場地区とともに築地の食文化の拠点としての機能や活気とにぎわいを確実に将来に引き継いでいくとしています。
 この地元自治体の要望に関する、十一月二十二日の中央区議会における矢田区長の答弁によれば、都も今年度内に当該要望に対して一定の回答をするとしており、中央区としても早期に都と合意を交わしたいとしているところです。
 そこで、中央区からの要望及びその回答、区との合意について、都はどのように認識をしているのかお伺いいたします。
 築地市場の移転問題に関連し、今定例会には、環状第二号線、隅田川橋梁等の契約案件が提案をされています。
 当該契約案件は、平成二十二年の第一回定例会以来となりますが、当時の代表質問でも、現在地再整備の再検討をする上で選択肢を狭めるのではないかと述べてきました。私たちがこの案件に強い関心があることは、都も承知していたはずです。
 また、隅田川橋梁の工事に先立ち、十一月十六日に築地市場内の桟橋を撤去する工事が始まりましたが、一部の人たちによる座り込みなど抗議行動も見られたように、関係者の理解と合意がいまだ十分とはいえないのではないでしょうか。
 加えて、本工事は築地市場内の事業者の営業に影響を与えるほか、仮設取りつけ道路の整備費用などは、市場事業者の負担にはね返ることにもなるのではないでしょうか。いまだ豊洲の安全性の確認と関係者の合意のない中、なぜ今議会において環状二号線の契約案件を提案しなければならなかったのか、お伺いいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 まず、ものづくり産業の振興についてお伺いをいたします。
 関税の引き下げや非関税障壁の撤廃など、貿易の自由化が今後ますます進展していく中にあって、日本が国際社会の中で生き残っていくためには、日本の基幹産業であるものづくり産業の振興を図っていくことが極めて重要です。
 しかし、一方で、アジア新興国の成長や急激な円高などによって、日本のものづくり産業は工場の海外移転など空洞化の危機に直面しており、都としても、早急に空洞化対策を講じていく必要があります。
 現在、都は創造的都市型産業の集積の創出に向けて、地域ごとの産業の特性に応じたきめの細かい支援策を講じているところですが、空洞化対策という視点からも、地域の産業基盤のより一層の強化に向け、工場の集積を高めるような新たな施策の創設に積極的に取り組んでいく必要があると考えます。
 ものづくり産業を振興するため、空洞化対策にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 都内では、製造業を初めとするさまざまな業種の中小企業で、事業承継の問題を抱えており、これを放置すると、会社の運営を円滑に次世代に引き継いだり、事業を再構築していく努力が滞るような事態が懸念されます。
 都はこのような認識から、事業承継・再生支援事業を実施し、産業振興指針二〇一一の中でも、専門家による税務対策、後継者の育成、発掘、M&Aなど多様な手法を活用した支援を充実するとの方向性を示しています。
 しかし、ある経済団体のM&Aサポートシステムでは、M&Aの検討対象は相談に来た会社の一〇%にしかすぎず、M&Aの成約に至るのはさらにその半分でしかないそうです。多くの企業が対象にならないのは、そもそもの企業価値といったものがマイナスなので、M&Aの前に再生が必要であり、中小企業の事業承継対策は事実上、中小企業の事業再生であるということでした。
 事業継続のために融資制度等の充実が図られておりますが、融資を受けても、その返済のめどが立たなければただの延命でしかありません。事業の再生、時には不採算部門の整理縮小など、事業を継続させるための手法、ノウハウをあわせて提供していくことが真に必要な支援策ではないでしょうか。
 そこで、都として今後、都内中小企業の事業承継・再生支援事業についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 日本のものづくり産業がより高付加価値の製品をつくり、それを展示、販売していく上で、展示会産業の振興は欠かすことができません。
 私たちは、前回の代表質問においても、東京ビッグサイトの機能拡張について質問してきました。繰り返すまでもなく、見本市の会場は、国際的に見ても大規模化が進んでおり、ビッグサイトの八万平米という面積は世界で六十番台という水準で、経済大国日本としては極めて不十分な状況にあります。
 経済面での成長が著しいアジアでも見本市会場の整備は進んでおり、中国の上海に大規模な展示場がオープンして、高い集客力を示しています。こうした中で、日本の首都東京においても、将来に向けた産業振興の拠点として、より規模の大きな見本市会場が必要であると考えます。
 また、二〇一六年のオリンピック招致の計画の中で、ビッグサイトはメディアセンターとして使うために拡張するとされていました。今回の招致に当たっても、同様の拡張の計画が持ち上がることが見込まれます。
 私は、ビッグサイトの拡張に向けて積極的に調査検討をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、農業の振興について伺います。
 日本の農業は、自民党政権下による減反政策や補助金漬けの依存体質が抜け切らず、農業者の高齢化や後継者不足などの課題にも有効な政策を打ち出すことができないまま、極めて深刻な状況に陥っています。TPPなど、関税の撤廃の有無にかかわらず、農業政策の抜本的な改革が求められていると思います。
 このような中、民主党政権は、昨年三月に食料・農業・農村基本計画を策定し、戸別所得補償制度の導入や消費者ニーズにかなった生産体制への転換、六次産業化といった新政策を国家の戦略として位置づけ、農業の再生を図ろうとしています。
 東京の農業についても、平成十二年からの十年間で、農業者の年齢が六十三・八歳と四・六歳上昇し、高齢化が進むとともに、農地についても十年間で一四・七%、千三百三十ヘクタールが失われ、減少傾向がとまらない状況となっています。
 一方で、近年、援農ボランティアや農家の出身でない人が農地を借りて農業を始める事例も見受けられ、また、新技術の導入など、さまざまな形で意欲的に取り組む農業者がふえているのも現状です。
 このような中、首都圏三千三百万人の消費地と直結した東京の農業を振興していくためには、消費者ニーズを素早く生かした経営展開や多様な人材の活用など、東京ならではの農業政策を展開していくことが求められますが、知事の農業に関する基本的認識をお伺いいたします。
 十一月七日、東京都農林・漁業振興対策審議会は、知事の諮問に応じて、都民生活に密着した産業・東京農業の新たな展開についてを答申しました。
 先日、都議会民主党の産業部会でも、これら答申についてのヒアリングを行ってきましたが、その中で、特に耕作放棄地の解消に向けた取り組みを求める声が上がりました。
 答申では、耕作放棄地などについて、規模拡大を目指す農業者や新規参入者とのマッチングの促進や耕作放棄地の再生支援、農作業受委託制度の充実などが提言されていましたが、都として今後、耕作放棄地に対してどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 また、都内農産物の地産地消を推進していくためには、学校給食での利用拡大はもとより、直売所や量販店、生協など、販売チャンネルの多様化を進めていく必要があります。加えて、多摩地域から都心部、あるいは島しょ地域から区部、多摩地域といった流通の活発化を図っていくことも重要です。
 そのためには、流通のネットワークづくりを進めるなど、地産地消の推進に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、森林再生について伺います。
 木材価格の長期低迷と高コスト構造によって、林業もまた、農業と同様、高齢化と後継者不足が進んでいましたが、花粉症への対応や地球温暖化問題を背景に、森林再生に向けた取り組みが、わずかずつではありますが、進展しつつあります。
 現在、東京都は森林循環再生プロジェクトとして、林道など生産基盤の整備や地域に適合した高性能林業機械の導入、集約的施業のモデル地区の設定、森林境界の明確化などに取り組んでおり、あわせて、基盤整備の基幹となる林道の重点的な整備や森林所有者等が行う作業路の整備の支援などによって、全国平均よりも密度が低い多摩地域の林道等の路網の整備などに取り組んでいるところです。
 私は、こうした取り組みをさらに加速し、林業の自立と東京の森林づくりを積極的に推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、多摩産材の利用拡大に向けては、今年度までの提案公募型の多摩産材利用拡大事業を踏まえ、来年度以降、公共施設の木材、木質化の支援など、公共利用のさらなる促進を初め、流通加工施設の整備に対する支援やJAS、日本農林規格の認定を取得しようとする製材業者等への支援など、供給体制の整備など、施策のさらなる充実が求められています。
 そこで、多摩産材の利用拡大に向けて、今後、東京都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、離島の港湾、漁港の整備について伺います。
 離島にとって、港湾、漁港は欠くことのできない生活基盤であり、その整備にはこれまでも多くの時間と費用が費やされています。
 しかし、離島の港湾、漁港の整備は緊急性が高いといわれる一方で、厳しい自然条件の中、事業期間が長くなり、事業効果が発揮されるまで長時間を要する事態も生じてしまいます。
 現在、大島支庁管内ではジェットフォイル船が就航し、船舶が小型化することなどにより、これまで漁港として利用されていた港に旅客船が接岸することになり、乗客への対策が十分に確保されないまま使用されている状況が続いています。こうした漁港については、地元の皆さんからのご意見を伺いながら、集中的かつ効率的な整備を行う必要があります。
 季節風の時期など、港内の静穏度の確保や岸壁への越波を防止し、ジェットフォイル船の安定的な就航の確保や乗降客の利便性を高める港湾や漁港の整備を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、自転車対策について伺います。
 自転車は、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の方々が利用する身近で手軽な乗り物であり、環境に対する影響も少なく、健康増進にも寄与することに加え、三月に発生いたしました東日本大震災を契機に、通勤手段としても関心が高まっており、利用者が増加していると聞いています。
 その反面、交通ルールやマナーを守らない自転車の利用者が社会問題となっているのも事実です。
 また、都内の交通事故に占める自転車関与率が、全国平均が約二割であるのに対して約四割に上るなど、都内の自転車利用者等に対する交通事故防止対策が喫緊の課題であると認識しています。
 警視庁には、小さな子どもからお年寄りに対して、さまざまな機会を通じて交通安全教育を実施していただいておりますが、都民からは正しい自転車の交通ルールはわかりにくい、人通りが多い場所でスピードを出して走る自転車を何とかしてほしいとの声が上がるなど、まだまだ自転車を利用する方々にルールやマナーが徹底されていない状況が見受けられます。
 自転車の利用者に対して、最も基本的でわかりやすい自転車の交通ルールが、平成十九年に交通対策本部で決定されたいわゆる自転車安全利用五則だと思います。この自転車安全利用五則が自転車を利用する方々に徹底されれば、都内における自転車が関与する交通事故は大きく減少するばかりでなく、自転車を利用する方と歩行者とのトラブルも減少し、安全かつ快適な交通社会を実現できると考えています。
 そこで、警視庁では、都民に対してこの自転車安全利用五則をどのように周知徹底を図っているのかお伺いいたします。
 また近くでの買い物への利用や児童、高齢者の自転車利用がある一方で、ブレーキがない自転車で公道を走ったり、信号を無視するなど、悪質で危険な自転車利用者も後を絶ちません。
 このような悪質で危険な自転車利用者に対してどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。
 さて、自転車には、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律に基づき、都道府県ごとに指定された団体が、主に自転車の盗難防止を目的として、自転車の利用者に対して行う防犯登録というシステムがあります。この登録を行うと、登録者にはシールが交付され、それをフレーム本体の目立つ場所に張ることになっています。
 このシステムにおいて、シールの表示を明確にし、歩行者にも見えやすくするなどの改善をすることによって、悪質な自転車利用者の通報に役立て、危険走行の抑止につながるものと考えますが、将来的にぜひご検討いただきたいと思います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、支え合いと活気のある社会の構築についてでありますが、かつて福沢諭吉は、独立の心なき者は国を思うこと深切ならず──深切は深く切るという言葉です。そして、続いて、立国は私なり、公にあらずと述べておりますが、まさに至言であると思います。
 私という個人の強い意思があってこそ、国家を動かす原動力たると説いたわけでありまして、都はこれまでも、公共的な課題を都民一人一人が大事な私ごととして解決にかかわる仕組みを構築してきたつもりであります。
 例えば、緑の東京募金には八億円もの拠金が集まりましたし、地域で犯罪から子どもを守るため、四千ものボランティア団体が形成されましたし、事業者などの広範囲な協力によって、例のディーゼル車の規制も実現できました。
 今回の東日本大震災では、災害への対応策一つをとっても、ひとり行政だけで対応することの限界と、自助、共助の取り組みの重要性を浮き彫りにしたと思います。
 今後も、都政の展開に当たっては、行政がその責任を果たすことは当然として、都民、企業、NPO法人など、東京に集積する多様な主体と肩を組んで、帰宅困難者対策など、防災、防犯、省エネ、環境問題などに取り組んでいかなければならないと思っております。
 日本が直面する課題が最も先鋭的にあらわれております現場を持つ東京から、日本を、人々が協力し合い、ともに支えんとする心意気を備えた国として再生させ、次代に継承していきたいものだと思っております。
 次いで、家庭や地域の教育力の向上についてでありますが、かつて申しましたけれども、社会運動家として有名な賀川豊彦が、子どもには大人からしかられる権利があるという、非常にパラドキシカルなことをいっておりますけれども、そのとおりだと思います。大人は子どもをしかる、たとえそれが他人の子どもでも、気がついたときにはそれをしかったり、鍛える責任があると思います。
 本来、現実に対する厳しい身構えを子どもに教えるのは、学校の教師ではなく家庭の親であり、地域の大人たちであるべきだと思います。昔は、私たち子どものころ遊んでいると、まちにうるさいおじいさんがいまして、そこで遊んじゃいかぬとか、落書きするなとか、木に登ったら危ないとかしかられたものですけれども、そういう傾向が非常に少なくなってきたような気がいたします。
 これまで都は、次代を担う子どもをはぐくむために、心の東京革命として、乳幼児期から親にしつけを促す取り組みや地域でのあいさつ運動を展開するなど、家庭、学校、地域の社会全体で子どもを守り育てる運動に取り組んできました。
 しかし、現実を直視しますと、当節、子どもの親となった大人自身が実は戦後の教育のゆがみの中で育てられた世代でありまして、親にもこらえ性がなく、学校に理不尽な要求を繰り返す。例えば、子どもが風邪で寝ておりましたら、親が学校に電話をかけて、給食費を払っているんだから、給食を持ってこいというばかなことをいう親がざらにいるというのは、まさに本当にこっけいを通り越して恐ろしい状況でありますが、こういったモンスターペアレントの存在や、子どもの非行を見て見ぬふりする大人たちを見るにつけても、家庭や地域における教育力の低下は甚だしいものだと思います。
 このまま手をこまぬいておりますと、日本の将来を担う若者を育成するという我々大人の責任を果たすことができないのではないか。今後の教育再生・東京円卓会議では、こうした危機感を共有しながら、親としての教育力を回復し、時代を超えた共有すべき基本的価値を、家庭や地域でいかに継承すべきかを議論として深めていきたいと思っております。
 次いで、東京の農業に対する基本認識についてでありますが、東京では、それぞれの農地は規模は小さいものでありますけれども、コマツナの発祥地であったり、あるいはブドウの「高尾」であるとか、稲城のナシ、立川のウドを初め、全国に誇り得る農産物を生産するなど、農業者は日々努力を重ねております。
 また、消費地に近いという強みもありまして、多くの都民は新鮮な農産物の供給だけではなくて、市民農園などの身近な場所で農作物の体験を希望するなど、農業への関心も高まってきていると思います。
 国は、新たな農業政策を模索しているようでありますが、都市の農業に関してはまだ確たる指針も示されておりません。
 都は、意欲のある農業者や都民の期待にこたえながら、大消費地に立地した有利性を生かして、東京の農業振興に努めていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監からお答えいたします。
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 二点、ご質問にお答えをしたいと思います。
 まず、自転車安全利用五則の普及浸透につきましては、これまでも警視庁ではホームページにも掲載をいたしておりますし、チラシ、リーフレットのたぐいも相当数作成をいたしまして、事あるごとに、講習会、イベント、あらゆる機会に配布をいたしております。小学校、中学校でも安全教育の中で教えておるところであります。
 また、交通安全運動が年に何回も実施されますけれども、こういった機会をとらえて、報道を通じても広報に努めておるところでございます。
 にもかかわらず、必ずしもルールやマナーが守られていない、そういった現状がございます。そういった現状にかんがみますと、この安全利用五則が多くの自転車利用者に浸透しているとはいいがたいわけで、そういう状況であります。
 この利用五則は、中身は、ご存じかと思いますけれども、単純明快で、極めて常識的な内容でありまして、必ずしも教わらなくても、常識に照らして考えれば、どう行動すべきかわかる内容を改めて整理したものであります。
 これが、にもかかわらず社会に浸透していない、通行の現場で守られていないということは、自転車にも守るべきルールとマナーがあるんだと、自転車を利用する限りはだれであろうときちんと守らなきゃいけないんだという基本的な認識が、社会全体に高いとはいいがたかった、そういうことであろう、そこに根本的な問題があると思います。
 警視庁も、この点においてこそ大いに反省をしなければならないと考えておるところであります。
 そこで、対策なんですけれども、こういう議論が随分巻き起こりましたのも、十月二十五日に警察庁がいわゆる自転車総合対策を発表いたしまして、それ以降、随分メディアの関心も、世間の関心も高まりました。いろんな議論がございます。広がっております。
 ずっと見ていますと、自転車の安全な乗り方について、警察は、大人に対するものも含めて実践を交えてもっと教えるべきだし、指導すべきだという世論が醸成されてきているように思います。
 これが大事だと思うんでありますが、こういった機運をより確かなものにするためには、警察でしかできないことでありますけれども、自転車にまつわる悲惨な事故の実態でありますとか、いっぱいあるわけでありますが、細々したトラブルの実情、実態を広く知っていただくべく、情報の発信も積極的に行ってまいりたいと考えております。
 また、通行の現場で実際にルールやマナーを遵守していただくためには、現場における制服警察官による指導警告、あるいは取り締まりが重要でありまして、この点もこれまで以上に強化していきたいと考えております。
 要するに、安全教育と指導取り締まりが両輪であるということでありますが、安全教育の対象につきましては、ここはこれまで不足がございまして、これまで必ずしも対象としてとらえてきていなかった高校生、大学生でありますとか、働き盛りの世代、そして主婦の方々にもこれからアプローチをしていきたいと考えておるところであります。
 次に、悪質で危険な自転車利用者への対策ということでありますけれども、一般的にルール、マナー違反に対しましては、現場で指導警告を実施しているところでありまして、必要に応じまして指導カード、警告カードを交付しておるところでもあります。
 中でも、ご質問にありましたような悪質、危険な違反者に対しましては厳しく取り締まり、交通切符というんですけれども、交通切符を切ることといたしております。
 交通切符を切った、それも複数回に及ぶ、そういった反省のない悪質な違反者につきましては、実質的な処罰にもつながるように関係機関とも協議をしておりまして、努めていきたいと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、高校生の社会貢献意識をはぐくむ取り組みについてでございます。
 高校生が災害発生時に、みずからの安全確保はもとより、友人や家族、地域の人々の安全にも貢献し、社会に役立とうとする態度を身につけることは重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、すべての都立高校に「奉仕」の授業を導入し、例えば水道局と連携した災害時における給水訓練の実施、消防署での防災に関する知識、技能の学習や地域のイベントにおける初期消火訓練への参加等を行ってまいりました。
 今後は、東日本大震災の経験を踏まえまして、生徒が社会の中での自己の役割を認識し、災害時の支援活動に主体的にかかわれるよう、学校だけでなく、家庭、地域の防災関係機関、企業等の幅広い教育力を活用した防災教育を推進し、高校生の社会貢献意識をはぐくみ、自立につなげてまいります。
 次に、障害者の法定雇用率達成についてでございます。
 都教育委員会は、教員以外では四・六%と法定雇用率を上回る配置を行っております。
 一方、教員採用選考においても、受験時間の延長や手話通訳の配置など、障害者が受験しやすい環境を整備してまいりましたが、平成二十一年度に全国で教員免許状を取得した約十万三千人のうち、障害者は八十八人と大変少ないことから、免許職種である教員での法定雇用率達成には限界があるのも事実でございます。
 しかしながら、障害者の自立と社会参加を進めるための雇用の充実は重要な課題でありまして、今後は、引き続きチャレンジ雇用や特別支援学校生徒の現場実習受け入れ等を実施いたしますとともに、関係局、関係機関と連携し、さらなる制度面での検討や他県の先進事例を研究するなどいたしまして、法定雇用率達成に向けて努力してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 環状二号線の契約案件についてでございますが、環状二号線は、江東区有明を起点とし、中央区、港区などを経て千代田区神田佐久間町を終点とする全長約十四キロメートルの骨格幹線道路でございます。
 本路線のうち、豊洲から汐留までの区間の整備は、臨海部と都心部の連絡を強化し、交通の円滑化や防災性の向上を図る上で極めて重要であります。とりわけ、水域に囲まれている臨海副都心の有明北地区や晴海、勝どき地区などから都心方向へ抜ける主要な道路は、現在、晴海通りのみであり、早急な避難経路の多重化が求められております。
 また、これらの地区では、環状二号線の平成二十七年度開通を見込んだ住宅とオフィスなどの複合大規模開発など、新たなまちづくりが急速に進んでおり、この十年で地区人口が倍増しております。
 さらに、唯一、都心方向へ向かう晴海通りの自動車交通量は、双方向で一日約四万台を超えており、今後、臨海部全体の開発に伴い発生、集中する交通需要に対応するためにも、六万台の交通量を受け持つ環状第二号線の整備が急務であります。
 このため、道路ネットワークの形成に資する環状第二号線の整備を一日たりともおくらせることはできず、計画どおりの整備を進めるには、本契約案件の年内工事着手が必要不可欠でございます。
 また、地元中央区においても、本年十一月の議会で、本路線の平成二十七年度中の供用開始に向け、早期整備が必要であると区長が述べており、このことについては、共通認識を持っております。
 以上のことを踏まえ、今後とも地元の理解と協力を得ながら、環状第二号線の平成二十七年度開通を目指し、全力で整備を進めてまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 平成二十三年度及び平成二十四年度の都税収入の見通しについてでございますが、我が国の景気は、東日本大震災により、生産と輸出を中心に大きく落ち込んだことで厳しい情勢となっており、企業収益は減少しております。その後、サプライチェーンの復旧等に伴い生産は持ち直してはいるものの、海外経済の減速や歴史的な円高の影響等によっては、景気が下振れするリスクがございます。
 本年度の都税収入につきましては、十一月末に申告された法人二税の中間申告等の状況を見きわめる必要があり、現時点で確たることを申し上げることはできませんが、当初予算の確保については厳しい状況にあると認識しております。
 また、来年度の都税収入につきましては、復興需要の本格化による景気回復の予測もございますが、企業収益の伸びに多くは期待できず、引き続き厳しい状況になるものと考えております。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 二十四年度予算の編成についてでありますが、まずは、直面する難局に対し、都民の安全・安心を取り戻し、活力を高める確かな手だてを講ずること、また、将来を見据え、成熟した都市の実現に向け、これまで進めてきた施策を着実に推進すること、そして、防災力の強化など、大震災によって明らかになった課題にも果敢に取り組むことを柱といたしまして、予算編成を進めております。
 ただいま答弁がありましたように、都税収入は大幅な好転が期待できず、引き続き厳しい財政環境が続くと見込まれる中での編成でありますけれども、こうした施策をこの先しっかりと進めていくためにも、財政の対応力に、より一層配慮することが重要となっております。
 このため、一つ一つの施策の効率性や実効性を高める取り組みをさらに徹底することはもとよりでございますが、基金や都債を計画的に活用することで財政の健全性を堅持しながら、山積する都政の諸課題に着実に対処する予算とするべく、引き続き編成作業を進めてまいりたいと思います。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、被害想定についてでありますが、東日本大震災の経験を踏まえ、平成十八年に策定いたしました被害想定を再検証する必要があることから、都は、本年九月に、東京都防災会議に専門的知見を有する委員から成る地震部会を設置し、見直しに着手いたしました。
 見直しに当たりましては、今回の震災の被害実態等を踏まえるほか、お話のフィリピン海プレートの深さに関する見解など、最新の科学的知見に基づき検討を行うこととしております。
 今後、国の研究成果なども取り入れながら、東京を襲う地震像や被害を明らかにし、防災対策を推進してまいります。
 次いで、立川断層帯地震についてでございますが、立川断層帯地震は、国の評価では三十年以内の発生確率は〇・五から二%、平均活動間隔は一万年から一万五千年とされており、首都直下地震と比較いたしますと、その発生頻度はまれであると考えられます。
 しかしながら、同地震については、国において、今回の東日本大震災による地殻変動により発生確率が高くなっている可能性があると発表され、また、発生すると局所的ではあるが東京に大きな被害を与えるおそれがあるとされております。
 このため、都は国に対し、立川断層帯に関する詳細な調査を要望するとともに、現在、東京都防災会議の地震部会において、同地震を想定地震に加え、平成十八年に策定した被害想定の見直しを検討しております。
 今後、この検討結果を都民に客観的に示し、自助の取り組みを促進するなど防災対策の充実に生かしてまいります。
 次いで、国の被害想定を踏まえた対策についてでありますが、今回の震災は、震源から遠く離れた都内においても、液状化などの直接的な被害はもとより、計画停電の実施による都民生活の混乱など大きな影響を及ぼしました。こうした教訓を踏まえ、防災対策を再構築する必要がございます。
 現在、国において、南海トラフの巨大地震である東海、東南海、南海連動地震に関する分析が行われておりますが、都は、首都直下地震だけでなく、遠隔地の地震への対策も早期に講じるため、東京都防災対応指針を策定し、液状化や長周期地震動対策、島しょの津波対策、物流、備蓄対策など、遠隔地の地震への対応を示したところであります。
 今後、国の検討結果とも整合を図りつつ、地域防災計画の修正に反映してまいります。
 次いで、自助、共助を高める取り組みについてでありますが、今回の震災では、住民等による自助、共助の取り組みが発災時に有効に機能することが改めて明らかになりました。
 一方、都政モニターアンケート結果を見ると、都民の自助の取り組みについては、いまだ課題が残されております。
 こうしたことから、都は、防災教育の推進や家具類の転倒防止など自助を促進する対策、さらに町会、自治会、事業者など多様な主体の連帯による防災隣組の構築や、社会全体で取り組む帰宅困難者対策など、共助を再構築する対策を東京都防災対応指針において示したところでございます。
 今後、都民の自助、共助の取り組みの一層の強化に向け、区市町村と連携し、これらの対策を着実に推進してまいります。
 次いで、大規模水害対策についてでありますが、区部東部地域の低地帯における大規模な水害を防止するために、都はこれまでも水門や防潮堤の整備など対策を着実に講じてまいりました。
 しかし、従来の想定を超える被害をもたらした東日本大震災を踏まえ、地震、津波、高潮対策を検証する必要が生じております。
 このため、都は、被害想定の再検証を行うとともに、学識経験者等による地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会において、堤防の耐震性や機械設備等の耐水性の検証と必要な対策について検討を進めているところでございます。
 加えて、今後、浸水被害を最小限に抑止するための的確な情報提供や迅速な避難誘導体制の整備など、大規模水害対策に取り組んでまいります。
 最後に、チャレンジ雇用についてでありますが、障害者が地域で自立した生活を実現する上で、就労の問題は非常に重要であると認識しております。
 都では、平成二十年度から、知的障害者、精神障害者に対して就労経験を積む機会を提供するためチャレンジ雇用を実施してきましたが、臨時職員としての雇用であることから、任期が六カ月という制約がございます。
 今後は、より長期の雇用を確保し、知的障害者、精神障害者がさらなる有意な経験を積むことができるよう、任期一年かつ更新が可能な非常勤職員制度の創設を検討してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 防災対策に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、応急仮設住宅の供給の考え方についてでございますが、震災等の災害により家屋を失うなど、居住が困難となった被災者の方の住まいを早期に確保することは、生活の安定化、プライバシーの確保等の観点から重要でございます。
 東京都地域防災計画では、被災者の方に対して都営住宅など公的住宅や借り上げによる民間賃貸住宅を提供するとともに、区市町村と連携して確保する用地に応急仮設住宅を直接建設して供給することとしております。
 この応急仮設住宅の建設については、今般、東日本大震災の教訓を踏まえて策定した東京都防災対応指針に基づき、用地や建築資材の確保について再検討してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、条例に基づき耐震診断を着実に進めるためには、建物所有者に対する十分な周知と必要な支援を的確に行い、所有者の主体的な取り組みを早期に促すことが重要でございます。
 そこで、来年四月からの耐震診断の義務化に先立ちまして、所有者に条例の内容や新たな助成制度を十分理解してもらうため、約五千棟を対象といたしまして、市区町村と連携し、八月末から個別訪問と説明会を行っております。
 また、沿道建築物の耐震診断に関する具体的な相談などに対応する専用窓口を設置するとともに、アドバイザー派遣による技術的支援も開始しております。
 今後とも引き続き、所有者に対してきめ細かく丁寧に対応し、理解と協力を得ながら緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めてまいります。
 次に、マンションの耐震化についてでございますが、マンションは、震災時の倒壊などにより、居住者のみならず地域に及ぼす影響が大きいことから、東京緊急対策二〇一一に基づき専門家会議を設置し、法制度の課題について検討を行ってまいりました。その結果を踏まえて、去る十一月二十二日、国に対して、耐震改修をする場合の合意要件緩和などの法制度の改正に関する緊急提案を行ったところでございます。
 また、現在、都内マンションの実態調査を進めており、今後、この調査から得られた情報などをもとに、区市町村とも連携しながら管理組合に働きかけを行うなど、マンション耐震化の促進に取り組んでまいります。
 最後に、木密地域の整備についてでございますが、東京で大地震が発生した際、木密地域の延焼により被害が拡大し、都市機能が阻害されることがないよう、不燃化の取り組みを一層加速させる必要があり、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げたところでございます。
 このプロジェクトでは、木密地域の実態を調査するとともに、今後、地元で開催する不燃化のための集会を通じ、住民の生の声を聞くことなどにより、地域の解決すべき課題を的確に把握してまいります。その上で、都有地等を活用した効果的な生活再建支援など新たな誘導策の検討も進め、地元区と連携し、木密地域の改善に取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害廃棄物の放射能対策についてでございますが、都は、災害廃棄物の受け入れに当たりまして、測定の項目や頻度等を定めた独自の管理マニュアルを作成し、ホームページで公表するとともに、そのマニュアルに基づきまして測定した放射能濃度等もすべて逐次公表しております。
 また、岩手県宮古市からの受け入れ開始時には、被災地と都内処理施設の両方で放射能測定や廃棄物の分別の状況を報道機関に広く公開し、多数のメディアにおいて放射能測定等が適正になされていることが報道されました。
 こうした取り組みによりまして、受け入れの安全性については多くの都民のご理解が得られてきているものと認識しております。
 今後、宮城県女川町の災害廃棄物を都内自治体の清掃工場で受け入れるに当たりましても、区や市とともに都も住民説明会に出席し、処理の安全性を丁寧に説明してまいります。
 次に、災害廃棄物の放射能濃度測定についてでございますが、岩手県宮古市からの受け入れに当たりましては、あらかじめ被災地で焼却試験を行い、災害廃棄物自体と焼却灰、排ガスの濃度の測定を行っております。また、現地で、実際に東京に搬出される廃棄物の放射能濃度測定を行っております。
 さらに、都内では、選別破砕施設四カ所で可燃物と不燃物の濃度測定を行い、可燃物の焼却施設では焼却灰と排ガス等の測定を行いました。
 このように合わせて計四回、放射能濃度を測定いたしましたが、廃棄物自体では不検出のケースが多く、検出された場合でも最大で百十一ベクレルにとどまっており、焼却して濃縮されても問題のない値でございました。実際にこれらを都内で焼却した灰の濃度は九百二十ベクレルでございまして、基準とされる八千ベクレルを大幅に下回っております。
 今回の受け入れに当たりましても、こうした濃度測定を定期的に行うことを都のマニュアルで定めておりまして、これらの測定結果はすべて逐次公表してまいります。
 次に、都有施設の放射線量の測定についてでございますが、都では、文部科学省の放射線測定に関するガイドラインの公表を受けまして、都有施設全般における放射線量測定の必要性の有無を確認するため、サンプリング調査を行いました。
 国や都のこれまでの調査によりまして、都内では比較的空間線量が高いことが示された区部東部の三区を対象地域としまして、人、特に子どもが集まる公共施設で、このガイドラインで放射性物質がたまりやすいとしている雨水が集まるところや植物の根元などの地点を都立公園内で選定いたしました。
 測定の結果、ガイドラインの目安であります地上高さ一メートルの位置で、周辺より放射線量が毎時一マイクロシーベルト以上高い地点はございませんでした。
 測定地点の中で、高さ一センチメートルの位置では比較的線量の高い地点が数カ所ありましたので、それらの地点では、距離による減衰度合いを詳細に調査いたしました。
 その結果、高さ一センチメートルでの放射線量が最も高い毎時七・〇六マイクロシーベルトの地点におきましても、水平方向に六十センチ離れまして、高さ一メートルの位置では二十分の一以下になるなど、わずかに離れただけで大幅に減衰していることが確認できました。
 また、こうした限定された地点での汚染の場合、その近傍に人がとどまる時間は極めて少ないと考えられます。
 以上のことから、今後、都有施設全般にわたる調査や経常的な調査は基本的に不要と考えております。
 なお、今回の調査で、高さ一センチメートルの位置で比較的空間線量が高かった地点につきましては、人が立ち入らないように囲いを設置した上で、時間的な減衰を把握するための継続的な調査を行っております。
 次に、国の除染基準に該当する箇所が出てきた場合の対応についてでございますが、まず、面的な除染が必要となる可能性がある汚染状況重点調査地域の指定は、毎時〇・二三マイクロシーベルト以上の地域で原則区市町村単位でするとされておりますので、文部科学省の航空機モニタリング調査結果等を踏まえれば、都内で該当する地域はないものと考えております。
 また、局所的な汚染につきましても、文部科学省のガイドラインの目安より高い地点が見つかる可能性は低いものと考えております。仮に局所的な汚染について対応が必要なケースが生じた場合には、文部科学省のガイドラインに従って適切な対応を行うとともに、迅速な情報提供に努めてまいります。
 次に、この冬の節電に向けた都の取り組みについてでございますが、国が示しましたこの冬の東京電力管内の電力需給見込みでは、昨年冬の最大需要を上回る供給力を確保できるとしております。
 しかし、この供給力には老朽化した非効率な火力発電所の稼働なども含んでおりまして、トラブルの発生やCO2排出量の増加が懸念されることから、節電対策を継続していくことが必要でございます。
 都が先日公表いたしましたこの夏の節電対策の総括では、合理的な照度の見直しなど、無理なく実施できる節電対策が広く行われるようになってきておりまして、空調を余り使用しなくなった秋になってからも、東京電力管内では、昨年に比べ約四百万キロワットのピーク電力の削減が続いているという大きな効果を上げていることが明らかになっております。
 この冬を迎えるに当たりましても、こうした無理なく実施できる節電対策を都民、事業者に広めてまいります。
 次に、自立分散型エネルギーの確保についてでございますが、東京都技術会議におきまして各局が横断的に検討し、本年十一月に中間の取りまとめを行っております。
 この中では、都民生活を守る施設への自立分散型電源の設置と、低炭素なまちづくりに向けた自立分散型電源の設置の二本の柱を基本に、今後取り組んでいくこととしておりまして、具体的には、都庁舎の電源の多元化や応急復旧活動の拠点となる防災公園への非常用発電機の設置などを進めてまいります。
 次に、低炭素で分散型のエネルギーを活用した都市づくりについてでございますが、分散型のエネルギーの推進におきましては、電気とともに発電の際に発生します廃熱の両方を上手に活用する、高効率で環境性能の高い設備を導入することが重要でございます。
 今後、民間と連携しましてエネルギー効率の高いコージェネレーションガス発電を設置するなど、低炭素型であるとともに、災害時にもとまることのない都市を目指してまいります。
 最後に、被災地への再生砕石の提供についてでございますが、都は、岩手県、宮城県の災害廃棄物の受け入れを進めておりますけれども、これら被災自治体では、具体的な復興計画の策定が進んでいないために、復興に必要な資材の種類や必要量の把握などはほとんど進んでおりません。また、国土交通省の建設資材需給動向調査によりますと、現時点では、東北地方で再生砕石が不足しているという状況ではございません。
 都は今後とも、被災自治体のニーズを踏まえ、適切な支援を行ってまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピック招致についてでございますが、オリンピック・パラリンピック競技大会は世界最大のスポーツイベントであり、その開催の効果は、開催都市である東京のみならず、広く日本全体に波及いたします。
 特に二〇二〇年大会の日本への招致は、東日本大震災からの復興を大きく後押しし、被災地を中心に、震災で傷ついた人々の心をいやし、日本を元気にする意義を持つものと確信しております。
 そのため、オリンピック・パラリンピック開催に合わせた復興支援策についても、今後、復興委員会などの場で被災地の意見をも聞きながら策定していくこととしており、お話のかけ声、スローガンについても、そうした議論を踏まえて検討してまいります。
 次に、招致戦略についてでございますが、招致活動は国と国との熾烈な争いであり、国際的な活動が非常に重要となります。こうした活動を効果的に行うために、都は外務省を含むオールジャパンの体制構築を進めてきたところでございます。
 これに加えまして、今般、経済界の代表も参画する評議会を招致委員会に設置いたしまして、招致活動に対して支援する体制を整えたところでございます。
 今後、在外公館はもちろんのこと、海外に展開する日本企業の海外支社などにも招致活動の担い手として共通の意識を持って取り組んでいただけるよう、都としても積極的に働きかけてまいります。
   〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕

〇生活文化局長(井澤勇治君) 新しい公共に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新しい公共支援事業終了後における都独自の支援についてでございますが、都は、国からの交付金により、今年度から平成二十四年度までの時限事業として、いわゆる新しい公共の担い手となるNPO等の自立的活動を後押しすることを目的とした新しい公共支援事業を実施しております。
 今年度におきましては、例えば、産官学が連携した里山の保全や東日本大震災の被災者に対する自立した生活再建の場の提供などのモデル事業及びNPO法人に対する研修や個別相談などの基盤整備事業に、自治体とNPO法人等が協働して取り組んでおります。
 都といたしましては、この新しい公共支援事業を着実に実施し、今後につきましては、事業の効果や国の動向等を踏まえて判断してまいります。
 次に、NPOの認定に係る標準処理期間についてでございます。
 今回のNPO法改正によりまして、NPO法人による認定の取得を容易にするため、認定基準が緩和されますとともに、一定期間、認定要件の一部が免除される仮認定制度が新設されました。
 そのため、国税庁が実施している事務がすべて都に移管されることに加え、新たに発生する事務にも的確に対応していく必要がございます。
 また、現在、都内には約七千のNPO法人がありますことから、相当数の認定申請が都に寄せられるものと推定されております。
 今後、具体的に認定事務を行っていく中で、事務量等を見きわめ、行政手続条例に基づき適切な標準処理期間を定めてまいります。
 最後に、来年四月の改正NPO法施行に向けた迅速的確な対応についてでございますが、都は、NPO法施行条例の改正前におきましても、新制度に対するNPO法人の理解を深めますため、法改正の趣旨や基本的な内容等につきまして、積極的に周知、広報活動を行ってまいります。
 また、具体的な手続や申請上の留意点などをまとめたガイドブックの作成、配布や説明会などを実施し、法施行後、NPO法人が速やかに申請できますよう適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、NICUからの在宅移行支援についてでございますが、都は、NICUから在宅療養への円滑な移行を促進するため、在宅移行支援病床の運営について支援いたしますとともに、平成二十二年度から都立墨東病院を中心にモデル事業を実施いたしております。
 この事業では、病院内に配置をいたしましたコーディネーターが、入院中から家族の状況に応じた在宅支援プログラムを作成し、退院後に必要な訪問診療や訪問看護を初め、各種サービスの提供について具体的に調整するなど、在宅療養に向けた支援を行っております。
 また、退院後の育児支援や家族間の情報交換の場として、患者家族の交流会なども実施いたしております。
 今後、本事業の評価、検証を行い、NICUからの円滑な在宅移行が一層進むよう取り組んでまいります。
 次に、在宅での緩和ケアを希望するがん患者への支援についてでございますが、都は、平成十九年度から在宅緩和ケア支援センターを設置いたしまして、がん患者や家族に対し、在宅緩和ケアに関する情報提供、療養上の不安や悩みに関する相談に対応いたしますとともに、緩和ケアに携わる医師、看護師、薬剤師など、医療従事者に対する研修会等を実施してまいりました。
 また、がん診療連携拠点病院等の相談支援センターにおきましても、在宅緩和ケアを含むがん患者へのさまざまな支援を行っております。
 現在、緩和ケアのあり方検討部会におきまして、地域連携や多職種連携などについて検討を行っており、この議論を踏まえ、拠点病院等を中心とする地域の実情に応じた在宅緩和ケア支援体制の充実に取り組んでまいります。
 最後に、訪問看護サービス量の確保についてでございますが、都はこれまで、訪問看護ステーションを増設するため、訪問看護サービスの報酬水準の改善を国に提案要求いたしますとともに、離職看護師の復職支援などの人材確保策を講じてまいりました。
 また、訪問看護ステーション本体と一体的な運営をすることにより、柔軟な人員配置などが可能となりますサテライト型事業所への都独自の補助制度を平成二十二年度から実施いたしまして、設置を促進いたしております。
 さらに、平成二十四年度に看護と介護が連携をいたします定期巡回、随時対応型訪問サービスが開始されますことから、適切な介護報酬とすることなどを国に緊急提言いたしておりまして、今後とも訪問看護サービスの一層の充実に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年者の就業対策についてでありますが、若者を取り巻く雇用環境は、他の年齢層と比べて高い水準にある失業率、新卒者の就職率の悪化など、依然として厳しい状況にございます。
 こうした状況を放置したままでは、若年者自身の職業的自立、キャリア形成に支障が生じることはもとより、社会にとりましても大きな損失となります。この問題の本質的な解決のためには、国が明確な成長戦略のもと実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠と考えております。
 都といたしましては、これまでも東京しごとセンターにおいて個別担当制によるキャリアカウンセリング、就職に必要な基礎能力を養うグループワークや多様なセミナー、企業採用担当者との交流会など、さまざまなきめ細かい支援を実施してまいりました。
 また、今年度から、研修と中小企業での就労体験を組み合わせました未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始し、これまで八百八十四名の若者が参加しております。
 さらに、若者に中小企業とのマッチングの場を提供する合同就職面接会を既に七月と十一月に開催し、来年二月にも開催を予定しております。
 今後とも、こうしたさまざまな対策を実施することにより、若者の就業支援に取り組んでまいります。
 次に、民間企業の障害者雇用率の改善に向けた都の取り組みについてであります。
 大企業に比べまして雇用率が低迷している中小企業を中心に、改正障害者雇用促進法を初めとする制度等を周知し、障害者雇用について働きかけることが重要であります。
 このため、都はこれまでも、障害者雇用のポイントをまとめたハンドブックの作成、配布や企業向けのセミナーの実施などを通じて、企業に対して障害者雇用に関する啓発を進めてまいりました。
 また、東京しごと財団において、障害者の職場体験実習に対する支援や企業合同説明会を開催するなど、企業と障害者のマッチングに向けた支援を行っております。
 加えて、今後、都、国、経済団体等から構成される東京都障害者就労支援協議会におきまして、都が実施する各種イベントへの参加や支援策の利用を傘下の企業に促すよう経済団体に働きかけるなど、引き続き関係機関と連携して、企業での障害者雇用を推進してまいります。
 次に、産業の空洞化への対策についてであります。
 ことしの夏以降の歴史的な円高は、長期化が懸念され、産業の空洞化が大きな課題となっております。空洞化の無秩序な進行は、東京の産業の将来に大きな影響を与えるおそれがあり、適切な対応を行うことが必要であります。
 都は、既に、東京で生産活動を継続できる高付加価値の製品や技術の開発に取り組む中小企業を支援するとともに、今後の成長が見込まれる産業分野での創業の後押しに取り組んでおります。
 加えて、基盤技術の担い手である中小製造業等の集積の維持を課題として、これまでの創造的都市型産業集積創出助成による集積支援のノウハウを活用し、区市町村と連携したサポートのあり方を検討してまいります。
 次に、中小企業の事業の承継、再生の支援についてであります。
 中小企業が事業の承継、再生を通じて経営の継続や発展を図ることは、東京の産業の活力を確保する上で重要であります。
 このため、都は、中小企業振興公社において事業再生などの相談に対応するとともに、内容が複雑な案件は、専門家による事業承継・再生推進委員会が解決の方針をつくり、企業に提案を行っております。
 また、同委員会によりまして販路開拓が効果的と判断された場合は、展示会出展の助成対象とする仕組みを設けたり、さまざまな手法を踏まえた相談対応を行うなど、施策の充実にも取り組んでおります。
 こうした対応により、引き続き中小企業の事業の承継や再生に対する支援を進めてまいります。
 次に、東京ビッグサイトの拡張についてであります。
 東京ビッグサイトは、中小企業の販路の拡大などを通じて経済波及効果を生み出しており、東京の経済を活性化する重要な役割を持っております。
 前回、二〇一六年のオリンピック招致におきまして、ビッグサイトはメディアセンターとして拡張することとされ、オリンピック終了後は展示場としての利用を計画しておりました。
 今後、二〇二〇年のオリンピック招致活動の中でビッグサイトを活用する場合は、その方針に従って検討してまいります。
 次に、耕作放棄地に対する取り組みについてであります。
 農業者の高齢化や後継者不足、また地理的条件などにより発生しました耕作放棄地は、減少傾向にあるものの、九百九十一ヘクタールに及んでおります。
 これまで都は、農道や農業用水施設などの農業基盤整備や農地の再生利用の促進、意欲ある担い手と農地のマッチングの推進など、耕作放棄地の発生防止や解消に努めてまいりました。
 今後も、各地域の特性を踏まえた農業生産基盤の整備や市町村との連携などによりまして、耕作放棄地対策を進めてまいります。
 次に、地産地消の推進についてであります。
 都内では、新鮮ですぐれた品質の農産物が生産されておりますが、生産量や安定供給に課題がございます。
 このため、都は今年度から、八王子市内の都有地にとうきょう元気農場を開設し、農地の少ない区部の小中学校を対象に、コマツナやジャガイモなどの野菜を学校給食の食材として供給しております。
 さらに、都内産農林水産物を積極的に使用していただいている飲食店をとうきょう特産食材使用店として登録し、広く都民にPR活動を行う取り組みも実施しております。
 今後も、こうした生産と流通の両面から都内産農産物の地産地消を進めてまいります。
 次に、東京の森林についてでありますが、森林は木材生産にとどまらず、水源の涵養、都民への憩いの場の提供など、多面的な機能を発揮しており、その機能の維持増進を図っていく必要があります。
 しかし、長期にわたる木材価格の低迷により、多くの森林が放置され、荒廃が進んでおります。
 そこで、都は、平成十八年度からスギ花粉発生源対策事業を開始いたしまして、主伐と植栽により豊かな森林の再生に取り組んでおります。
 さらに、平成二十一年度からは森林循環再生プロジェクトを開始し、森林施業の集約化や林道の整備等を図り、施業の効率化を進めております。
 今後も、これらの事業を着実に推進し、森林の整備に努めてまいります。
 最後に、多摩産材についでであります。
 多摩産材の利用拡大を図るためには、供給体制の整備と需要開拓の両面からの対策が必要であります。
 そのため、都は、供給面では、多摩産材の品質向上等を図るため、製材所に対して木材の乾燥施設や品質検査機等の導入支援を行っております。また、需要面では、民間での利用拡大に向けたモデルハウス建設等への支援を行っております。
 あわせて、公共での利用をさらに拡大するため、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されたことに伴い、都におきましても先月、多摩産材利用推進方針を改正したところであります。
 今後も、木材の生産から利用に至る支援策を通じ、多摩産材の利用拡大を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長中西充君登壇〕

〇中央卸売市場長(中西充君) 築地のまちづくりに関する中央区からの要望についてでございますが、区は、昨年十月には、築地市場の現在地での再整備を再度求めながら、万が一、豊洲へ移転する場合でも、市場機能の一部を築地に残すことを要求しておりました。
 今回の区の要望は、従来の考えを改め、豊洲移転の結論を区として厳粛に受けとめ、その上で、豊洲移転後の築地市場の跡地の一部に食文化継承の核となる施設を整備し、場外市場地区とともに活気とにぎわいを確実に将来に引き継いでいくことを基本認識としております。
 さらに、具体的な要望におきまして、いっときも築地の活気とにぎわいを市場移転後も途絶えさせないために暫定的な施設の整備を目指しており、都に対し、閉場後の市場施設の一部利用を要請しています。
 築地市場を豊洲に移転することについて、中央区と共通認識が得られたことから、都は、今後の築地のまちづくりについて区との連携が必要と考えており、年度内早期に今回の具体的要望について合意を図り、築地のにぎわいと伝統文化の継承に協力してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) ジェットフォイルの安定的な航路確保に資する港湾、漁港整備についてでありますが、大島から神津島までの航路には、平成十四年からジェットフォイルが就航しており、在来の貨客船とあわせて、島民や観光客の移動手段として重要な役割を果たしております。
 ジェットフォイルは、竹芝ふ頭から大島までを二時間弱で結ぶなど、高速性が特徴でありますが、一方で、停泊の際の高波に弱いため、港には高い静穏性が必要となります。
 このため、都では、港湾や漁港にジェットフォイルに対応した静穏な水域を確保すべく、突堤や防波堤の整備を進めており、これによりジェットフォイルの就航率は着実に向上しております。
 今後も、ジェットフォイルの安定就航のため、港湾、漁港の静穏性向上を図るとともに、岸壁上の日よけ雨よけ施設の整備などにも引き続き取り組み、乗降客の利便性向上に努めてまいります。

〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩

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