平成二十三年東京都議会会議録第十三号

〇議長(和田宗春君) 二十一番菅東一君。
   〔二十一番菅東一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇二十一番(菅東一君) まず、債権管理の取り組みについて伺います。
 平成十八年度の年次財務報告書において、資産の中に多額の未収債権が存在していることが明らかとなったことを受け、都は、全国に先駆けて債権管理条例を制定し、債権管理の適正化を進めてまいりました。
 改めて申し上げるまでもありませんが、これら本来歳入されるべき債権が回収されないということは、自治体経営の観点からも許されることではなく、都が有する資産を減少させることにもつながっているといえます。
 また、もはや回収が困難となった債権がそのまま管理され続けると、本来都民サービスに向けられるべきエネルギーが、不要な業務に割かれてしまうこととなります。都財政を取り巻く環境が不透明な今だからこそ、貴重な財源として債権の回収を強化するとともに、徴収に係る費用などコスト感覚を加味して債権管理に取り組んでいくことが重要であると考えます。
 これまでの取り組みを踏まえ、さらなる債権管理の適正化に向けた取り組みをいかに進めていくべきか、所見を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 まず、木造密集地域対策についてであります。
 知事は、今定例会の所信表明において、木造密集地域の防火性を向上させるため、新たに木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、その取り組みの一環として、地元自治体も巻き込みながら都民に訴えていくと発言されました。
 防災都市づくり推進計画の重点整備地域に位置づけられている私の地元、板橋区大山駅周辺地区では、今年度から、都と区によるまちづくりや道路整備のための調査が始まりました。この地区には、都内でも有名なハッピーロード大山商店街があり、店舗や住民との合意を図りながら、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備や建物の不燃化などに取り組まなければなりません。
 このように、地元の合意を得ながら整備を進める木密地域は、山手線の外側に数多く残されています。
 こうした木密地域の不燃化を進める上では、そこに住む住人たちがみずからの問題として危機意識を持つことが必要であり、そのためには、都が積極的に意識啓発の働きかけを行う必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 次いで、東日本大震災の被災地支援について伺います。
 未曾有の大震災から半年が経過し、被災地では主なインフラが復旧するとともに、応急仮設住宅への入居も進むなど、復興への歩みが進められています。
 しかし、放射線汚染への対応や具体的な復興計画の推進、地域経済の再建など、大きな課題は残されたままであり、この国難とも呼ぶべき悲惨な状況を前に、有効な対策を打てない国に対し、被災自治体はいら立ちを募らせております。
 一方、都内には八千名を超える方々が避難されていますが、いつになったらふるさとに帰れるのかという思いを胸に、生活再建への不安を抱えながら長期にわたる避難生活が続いております。
 三月十一日の大震災前の日々に戻ることは当分の間は難しいとは思いますが、被災地の復興とともに、こうした都内に避難されている方々が一日も早くもとの生活を取り戻せるよう、東京都もしっかりと支えていくべきだと思います。
 先般、都は、総務局に復興支援対策部を立ち上げ、復興支援に取り組む体制を整備したとのことですが、発災から半年が過ぎ、本格的復興に向けて歩もうとする被災地、そして都内での避難生活を余儀なくされている方々をどのように支援していくのか、今後の東京都の取り組みについて、まず伺います。
 都は、発災直後から岩手、宮城、福島の三県に現地事務所を設置し、現地のニーズをくみ上げながら、全国の自治体のリーダーとして先頭に立って、積極的な支援を行ってきました。
 例えば、人的支援では、現在においても他の道府県を大幅にしのぐ職員数を派遣しております。
 こうした支援の裏には、混乱の中で現地ニーズを把握し、被災自治体と調整してきた現地事務所の職員の方々の努力があります。また、実際に被災地に派遣された多くの職員についても、なれない土地での活動でさまざまな苦労があったことと思います。着のみ着のままで都内に避難された方々を都内施設に受け入れるために奔走し、お世話をした職員にも同様の苦労があったと聞いております。このような都職員の経験は、必ずや今後の都政に還元できるものと考えます。
 そこで、これまでの被災地における具体的な活動実績を、何らかの形で取りまとめておくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、防火対策について伺います。
 防災対策においても、火災への備えは重要であります。
 四十四名の方々が亡くなった新宿歌舞伎町ビル火災から、ことしの九月で十年が経過いたしました。東京消防庁が火災発生後、直ちに緊急特別査察を実施し、また、その後も各種対策を継続的に実施するなど、小規模雑居ビルに対する防火安全対策を積極的に推進してきたことは評価いたします。
 しかし、火災への備えに終わりはありません。今後も、建物管理者の防火意識の向上に向けた取り組みや建物の安全を使用者みずから確認することの奨励など、各種対策を継続的かつ多角的に展開する必要があると考えます。
 そこで、歌舞伎町雑居ビル火災等の教訓から進められてきた小規模雑居ビル対策とその現状について伺います。
 次に、動物園マスタープランについて伺います。
 都は、去る九月七日、都立動物園マスタープランを策定し、公表いたしました。今後、都は、このマスタープランに基づいて、都立動物園の目指す姿の実現に向けて、さまざまな取り組みを展開していくことになります。
 その中で、特に重視しなければならないのは、未来を担う子どもたちが、動物や自然との触れ合いを通じて、生命のとうとさなどについて学ぶことのできる教育活動の場としての都立動物園の取り組みであります。
 そこで、都は、都立動物園の教育機能について、どのように認識しているのかを伺います。
 また、各園の施設の再整備に当たっては、動物の飼育、繁殖や展示機能の充実はもとより、教育機能を最大限発揮できるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
 ぜひ、これまでの延長線にとどまるのではなく、完全に生まれ変わった新たな都立動物園の姿を我々に示してもらうことを楽しみにしております。
 次に、第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOについて伺います。
 全国都市緑化フェアTOKYOでは、主な基本方針として、第一に、緑のつながり、広がりを体感、発信するフェア、第二に、新しい緑や都市観光の創造につながり、技術にこだわるフェア、そして第三に、東日本大震災で被災された方々に力強い支援の輪を広げるフェアにすることを掲げていますが、都民や国、自治体、民間事業者などと広く連携して、緑のムーブメントを東京から全国に発信していただきたいと大いに期待しております。
 フェアは、来年の九月二十九日から開催されますので、くしくもきょうがちょうど一年前に当たりますが、フェア開催に向け、これから徐々に機運を高めていく必要があると思います。
 都は、緑化フェアの事前周知を図るため、被災地支援も兼ねたプレイベントを開催すると聞いておりますが、現在の取り組み状況について伺います。
 最後に、浸水対策について伺います。
 近年、地球温暖化に伴う気候変動などにより、一時間五〇ミリを超える集中豪雨が頻発しております。
 私は、本年の予算特別委員会で、浸水対策として、下水道幹線や雨水を排水するポンプ所などの基幹施設を計画的に整備していることを確認いたしました。
 最近のゲリラ豪雨による浸水被害状況を見ると、さまざまな機能が集積し、地下利用が進む東京においては、浸水リスクが高まっており、浸水に対する安全性をより一層向上させることが求められると思います。
 そこで、浸水被害軽減に向けた下水道局の今後の取り組みについて伺います。
 私の地元である板橋区高島平地区では、かつては大雨が降るたびに大規模な浸水被害が発生していましたが、下水道幹線の整備などにより被害が劇的に軽減いたしました。
 そこで改めて、板橋区におけるこれまでの下水道の浸水対策について伺います。
 浸水対策においては、下水道幹線などの整備に加え、局地的な浸水に対してきめ細かい対応も必要であると考えます。
 板橋区内において、昨年七月五日に一時間一一三ミリを記録した豪雨により、石神井川沿いの大谷口北町地区や白子川沿いの成増地区で浸水被害が発生しました。川の水位が急激に上昇し恐怖を感じたと地元の人から聞いております。ことしに入っても、先月二十六日に関東地方を襲った集中豪雨により、大谷口地区などで浸水被害が発生いたしました。
 そこで、大谷口北町地区や成増地区における今後の浸水対策の取り組みについて伺います。
 最後に、一時間一〇〇ミリを超える豪雨が発生している状況があり、浸水被害の軽減に向けたこれまで以上の取り組みも求められており、雨水を貯留する施設の整備を強く要望して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 菅東一議員の一般質問にお答えいたします。
 木造住宅密集地域における都民の危機意識についてでありますが、私は、阪神・淡路大震災の直後に、運輸省に頼まれまして、主に被害に遭った港湾の視察に行きました。ついでに、一番被害の多かった東灘区と長田区も視察してきましたが、まず港湾で感じましたことは、戦後つくられた港湾は、キリンと呼ばれる大きなクレーンも含めて全滅しておりましたけれども、不思議なことに、対岸の古い様相の岸壁だけがちゃんと残っていました。案内した地元の役人に聞いたら、あれは戦前のもので、耐震性でつくられましたと。ではこの新規はどうなんだといったら、にやにや笑って答えませんでしたが、まさに耐震性のない岸壁を体裁だけつくって全滅したわけでありますけれども、長田区でも東灘区でも感じましたことは、木造の住宅は全滅しておりましたけれども、かなり年月のたっている様相の鉄骨の住宅も鉄筋の住宅も、全部残っておりました。
 ということは、やはり木造の建築はいかに大きな震災に弱いかということの証左でありますけれども、先般も一部の木密地域を視察に行ってきましたけれども、行ってみますと、まちも、ちまちま細かく狭いところですけれども、それだけに人間性があって、肌で触れ合う人たちがたくさんいまして、木密地域は住みやすい人情の細やかなまちだということを痛感しましたが、同時にそれはやっぱりまちの構造からいって、非常に災害には弱いまちだということにもなると思います。
 これはかねてから私も気にしたことですから、災害のときに、特に夜間の災害のときに、最低、自分の命だけは守ってもらおうということで、寝ている寝室の安上がりの補強策というものを何通りか開発しまして、皆さんにお見せしてるんですが、余りそれを採用した方は今までいませんですな。とにかく自分だけは大丈夫だと、何となく皆さん思うだけでなく確信していらっしゃる。これは非常に行政にとって厄介なことでありまして、説得するもしないも、とにかくここは大丈夫だといわれれば、いやそうでもありませんよといっても、とにかく応答にならない。
 そういう意味で、都は自助、共助の重要性を伝えるために、近く防災の専門家、いろんな資料を映像的には持っていますから、そういう方や、あるいは被災の体験者を招いて、その地域地域で小さくても講演会を開きまして、その地域の都民の方々に、一たん緩急、地震が到来したときの、その木密地域の怖さというものをまず自覚していただくことが大切だと思っております。
 そういうことを、住民の意識、危険意識を喚起して、防災隣組の構築にもつなげていきたいと思っております。これを手始めに、地元区も巻き込みながら、十年プロジェクトを推進して、高度な防災力を備えた都市の実現を目指していきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立動物園の教育機能についてでございますが、都立動物園、水族園は、種の保存、調査研究、教育、レクリエーションの四つの機能を有しております。このうち教育の機能としては、子どもから大人まで、多くの人たちが生命力に満ちた躍動感のある野生動物の行動や生態を目の当たりにし、多様な生命の存在や、その輝きを見詰めることで、生態系の一部である人間の存在を感じることができ、そのための環境を提供することが求められております。
 とりわけ、動物や自然との触れ合いの機会が減少している子どもたちが、そうした多様な生命の存在や、これら生命の未来につないでいく営みを肌で感じ、自己の存在や他者とのかかわりについて学んでいくことは、次世代を担う子どもたちの育成にとって不可欠であると考えております。
 次に、教育機能の発揮についてでございますが、都立動物園、水族園は、これまでも、子どもたちの動物や自然に対する感性をはぐくむため、動物観察や飼育体験などのサマースクールや、学校への出張授業の実施、さらには、オランウータンのスカイウオークやツキノワグマの冬眠展示を初め、葛西臨海水族園において、南極周辺に生息するジャノメコオリウオを本年八月から世界で初めて飼育展示するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後、都立動物園マスタープランに基づき、各園の施設の再整備を行うに当たっては、多様な教育プログラムと、それを支える環境づくりとともに、野生動物の行動や生態の再現にとどまらず、来園者が、あたかも野生動物の生態環境の中にいるかのような体験ができ、動物や自然への想像力をかき立てられるよう、教育機能を一層向上させてまいります。
 次に、全国都市緑化フェアTOKYOの取り組み状況についてでございますが、多くの来場者を迎え、緑に対する意識の高揚や普及啓発を促し、緑あふれる東京を次世代に継承していく契機となるよう上野恩賜公園や井の頭恩賜公園を初めとした各会場での具体的な実施計画の策定を進めております。
 また、プレイベントにつきましては、国、民間事業者、関係各局などの協力、協賛を得ながら、メーン会場の一つである昭和記念公園を皮切りに、七月から開催してきております。延べ十会場で約七十万人の来場者に対しPRを行いました。とりわけ、十月二十二日から九日間開催され、例年十万人が訪れる日比谷公園ガーデニングショーは、メーンのプレイベントでございます。宮城県の国営みちのく杜の湖畔公園と茨城県の国営ひたち海浜公園とも連携して、被災地からの声や現地への応援メッセージを交換する復興応援メッセージガーデンなどの展示を行います。
 さらに、日比谷公園ガーデニングショー以降も多様なプレイベントを行い、民間事業者等との連携をも強めながら、一年後の開催に向け、機運を一層高めてまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 債権管理についてお答え申し上げます。
 平成二十年七月の債権管理条例の施行にあわせて、各局ごとに債権管理者を置き、全庁横断的な会議組織を設置するなど、債権管理の適正化を進めるための体制を強化してまいりました。この体制のもとに、債権の発生から回収に至るまでのノウハウ等を共有化し、マニュアルや債権管理台帳を整備するなど、都全体として取り組みの底上げを図ってまいりました。
 また、徴収努力を尽くしてもなお、回収不能な私債権については、債権放棄の基準を明確化し、欠損処理を適切に行ってきたところでございます。
 今後は、公平性の観点に加え、回収コストも考慮した対応を検討するなど、局ごとの実情に応じた取り組みをいかに進めていくかが重要と考えております。
 各局の取り組みを支える立場にある財務局といたしましても、引き続き支援の充実を図ることで、徴収強化や滞納の未然防止、適切な欠損処理など、実効性の高い債権管理体制の構築に努めてまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) まず、被災地及び都内避難者支援についてでございますが、震災発生から半年がたち、国の対応のおくれから、インフラ整備の本格復旧や被災地の産業再生など、復興への足取りは重く、現地の実情に即した対策を早急に講じることが重要であります。
 このため、都は現地事務所を通じ、被災地のニーズを的確にとらえ、まちづくりに関する専門技術を有する職員の長期派遣や、被災地産品の物産展、都内企業と被災地企業との商談会の開催などを通じ、被災地が本格的な復興に向け踏み出す歩みを力強く後押ししております。
 また、都内に避難された方々に対しましては、関係機関とも十分連携し、被災地の行政情報や、都の支援情報を定期的に提供するほか、避難者間の交流会を開催するなど、ふるさとや同郷の方々とのきずなを保つ取り組みを進めるとともに、就労、就学支援や福祉相談など、生活全般にわたる支援を引き続き、きめ細かく行ってまいります。
 次いで、支援活動の実績の取りまとめについてでございますが、都はこれまで延べ二万四千人を超える職員を被災地に派遣するとともに、約四千人の避難者を都内施設に受け入れるなど、総力を挙げて支援に取り組んでまいりました。
 現在、被災地での活動状況は、都のホームページに、被災地派遣レポートとして掲載をしております。今後、現地事務所の職員や被災地に派遣された職員、都内で避難者の受け入れに当たった職員の活動報告とあわせた支援活動実績集を取りまとめるとともに、報告会を開催し、知識、経験の共有化や職員の防災意識の向上に努めてまいります。
 今回の震災で支援活動に携わった職員の体験は極めて貴重であり、万一、都内で災害が発生したときや、新たに被災地支援に取り組む際などに大いに役立ててまいりたいと思っております。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 小規模雑居ビルの火災安全対策についてでありますが、当庁では、歌舞伎町ビル火災を契機に、消防法令の改正を受け、階段、廊下等に置かれた障害物の即時撤去の徹底や、新たに自動火災報知設備の設置が義務となった小規模な建物に対する設置の促進を図るとともに、出火危険や人命危険の高い建物から優先的に立入検査を実施するなど、火災安全対策を推進してまいりました。
 こうした状況下、一昨年、高円寺南雑居ビル火災が発生し、その後、当庁が実施した緊急一斉立入検査の結果、多くの雑居ビル等では、テナントの入れかわりが頻繁で、建物関係者の防火意識が希薄であり、建物の使用を開始するに当たって届け出がなされていないことが明らかになりました。
 このため、当庁の対応として、深夜時間帯も含めた立入検査を強化するとともに、改正された火災予防条例に基づき、本年四月から、消防用設備等の未設置の建物や防火管理等に係る法令違反を繰り返している建物を公表する制度により、広く都民に安全情報を着実に提供しております。
 今後とも、公表制度の周知徹底を図るとともに、関係行政機関や地元の商店街など地域との連携を密にし、事業所の自主的な取り組みの向上を促すなど、引き続き火災安全対策の万全を期してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 下水道の浸水対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、浸水被害の軽減に向けた今後の取り組みについてでございますが、下水道局では、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設を計画的に整備し、雨水を排除する能力を向上させることで、浸水被害の軽減に努めております。
 これまで区部で一時間五〇ミリの降雨に対応する施設の整備を進めておりますが、その完了した割合は六二%でございます。現在、特に浸水の危険性の高い二十地区を対策促進地区として重点化し、平成二十九年度までの完了を目指し対策を進めております。
 また、浸水被害による影響が大きい大規模地下街などの周辺では、一時間七五ミリの降雨に対応できる貯留施設などの整備を進めております。これまで新宿駅周辺などの四地区について整備が完了しておりますが、今後、渋谷駅東口、東京駅丸の内口、新橋・汐留駅、銀座駅、上野・浅草駅周辺の五地区を実施することとし、このうち、渋谷駅東口周辺については、街区基盤整備事業の中で貯留施設の整備を行うもので、今年度中に工事に着手をいたします。
 次に、板橋区におけるこれまでの下水道の浸水対策についてでございますが、板橋区においては、一時間五〇ミリの降雨に対応するため、志村坂下一号や新浮間などの下水道幹線と、浮間水再生センター内に雨水を排除する能力を増強するためのポンプ室を整備してまいりました。
 また、高島平地区で整備してきた高島平一号幹線は、平成十一年度に一部で貯留を開始した後、平成十五年度に全区間を完了させ、八万八千立方メートルの雨水を貯留する能力を有しております。これらの基幹施設の整備により、浸水被害は大幅に軽減をしてきております。
 また、浸水被害が多発をしておりました板橋区大山金井町・中丸地区では、できるところからできるだけの対策を図る雨水整備クイックプランの重点地区として選定し、既設の谷端川幹線を補完増強するため、内径三メートル延長約千三百メートルの新たな下水道管を並行して整備したことにより、浸水被害が軽減しております。
 次に、大谷口北町地区や成増地区における今後の浸水対策の取り組みについてでございますが、大谷口北町地区は、くぼ地のため雨水がたまりやすい地形であることから、既設下水道管同士を連結し、雨水を分散させるループ化の手法や、流下能力が不足をしている一部区間の下水道管の能力を補完するバイパス管の設置などにより、効率的に対策を講じるための工事に今年度着手をいたしました。
 なお、下水道管に雨水を取り込みやすくするため、地元区と連携して実施した雨水ますの増設や、ますのグレーチング化については既に完了いたしております。
 また、成増地区は、坂下で急激に雨水が集まりやすい地形であることから、百々向川緑道の下の貯留施設を整備をしてきたところでございますが、雨水を取り込みやすくするため、昨年度から、区と連携をいたしまして、雨水ますの増設を図っており、今年度中には完了させる予定でございます。
 今後とも、板橋区内の浸水被害の軽減に向けて着実に積極的に取り組んでまいります。

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