平成二十三年東京都議会会議録第十三号

   午後五時三十五分開議

〇議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十二番たきぐち学君。
   〔三十二番たきぐち学君登壇〕

〇三十二番(たきぐち学君) 初めに、観光振興に関連して質問をいたします。
 石原知事は、知事に就任した平成十一年第二回定例会で、人口減少時代における東京の活力向上のために、訪都外国人をふやし、経済波及効果の大きい観光・コンベンション関連産業の振興に努めていくと決意を述べ、都は、観光振興プランを策定するなど、取り組みを進めてきました。その結果、約二百七十万人だった訪都外国人は、昨年、過去最高の約五百九十四万人に達し、一定の成果があらわれていると認識をしています。
 しかし、ロンドンやパリ、ニューヨークなどと比べて、都市産業における観光の占める比重は依然として低く、日本あるいは東京の国際旅行収支の赤字は解消されていません。加えて、東日本大震災の影響で観光客は激減し、先般、観光事業審議会から特別提言が出されたところです。
 都は「十年後の東京」への実行プログラムで、年間一千万人の外国人旅行者が訪れる世界有数の観光都市を目指していますが、人数もさることながら、観光収入の増加を図るべく質を高め、外国人観光客の滞在日数や消費単価を上げて最終消費額をふやすことが重要です。東京の成長戦略の柱として、観光による都内の経済効果を官民が共有し、海外から人や金を呼び込むための戦略を官民一体となって推進すべきと考えます。
 昨日の我が会派の代表質問に対し、MICEに積極的に取り組んでいくと答弁がありました。観光を産業振興の成長分野と位置づけ、都が安全性と魅力を世界に再発信することが、インバウンドの回復につながり、日本を牽引する力になると考えます。知事の見解を伺います。
 先般、ベトナム・ホーチミンを訪れ、ホーチミン市議会、総領事、ジェトロ、航空会社支店長らと意見交換を行ってまいりました。アジアの経済成長は、数千万人ともいわれる富裕層を生み出しましたが、毎年七%前後の経済成長を続けるベトナムも例外ではなく、ベトナムから日本を訪れた団体が、しにせの和菓子屋一店舗分の商品を買い占めたという話も伺いました。
 しかし、歴史的には、親日国でありながら日本の存在感は薄く、韓国企業、文化の進出が目立っているのに対し、カントリーセールス、シティーセールスの不足を痛感いたしました。
 訪日外国人は、韓国、台湾、中国で約六割を占めます。三大市場への戦略的な観光予算の投下と、ベトナムのような潜在的市場の開拓を図るには、市場調査に基づいたシティーセールスの強化が必要です。成長著しいアジア市場からどのように観光客を呼び込むのか、見解を伺います。
 また、欧米市場については、都はこれまで、ロサンゼルスやロンドン、パリなど十都市で、海外在留邦人に東京のセールス活動を委託する東京観光レップを設置し、シティーセールスに取り組んできました。これまでの成果を踏まえて、東京観光レップについて伺います。
 昨年の訪都外国人が過去最高を記録した背景に、昨年十月の羽田空港の国際線拡充があります。一方で、昨年七月に成田空港─日暮里間も三十六分で結ばれました。東京首都圏の空港容量不足が指摘され続けてきた中で、羽田の再拡張、国際化と三年後の成田の発着枠拡充によって、航空行政は、従前の内際分離から新たな時代に入りました。
 観光とビジネス、機能分化を図りながら、羽田、成田両空港の内際ハブ化の強化に向けて航空戦略を推進するべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都は、平成十二年に航空政策基本方針を発表しました。策定から十一年を経た今、両空港の機能拡充に加えて、オープンスカイ、LCCの出現など、航空情勢が激変している状況を踏まえ、航空政策基本方針の見直しの時期にあるかと考えますが、見解を伺います。
 羽田の玄関口が品川や蒲田であるならば、成田の都内への玄関口は日暮里であります。スカイアクセスの開通などによって増加している京成の日暮里駅利用客は、実は京成上野の約二倍であります。都は、都庁、羽田空港、上野の三カ所で観光情報センターを運営していますが、より外国人が情報を収集しやすい場所にインフォメーション機能を置くなど、ホスピタリティーの充実を図ることが必要だと考えています。
 一度きりの観光地からリピーターをふやす都市へと進化するためには、受け入れ体制の整備が不可欠です。外国人旅行者の受け入れ体制の整備をどのように進めていくのか伺います。
 昨年一月、政府の会議で初めてスポーツ観光が取り上げられ、スポーツ・ツーリズム推進連絡会議が発足しました。ことし六月に示された基本方針では、日本の復興にスポーツと観光の果たす役割は大きく、これまで別の概念として認識されていた両者を意図的に融合させることで、今までにないスポーツ産業、観光産業の新しい収益構造を生み出すことができるとしています。
 再来年に予定しているスポーツ祭東京二〇一三は、国体としては五十四年ぶりの東京開催です。主な来場者が選手と関係者だけという状況から脱するために、会場となる六十を超える自治体と連携して、観光要素を付加した複合的なスポーツツーリズムとして集客モデルをつくり出していくべきだと考えます。世界体操や東京マラソンなど、国際大会も予定されていますが、都のスポーツ振興に当たり、観光振興の視点からスポーツツーリズムの取り組みが必要だと考えますが、認識を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 阪神・淡路大震災では、死者の約八割が建物の倒壊による圧死、東日本大震災では、津波によって多くのとうとい命が奪われました。関東大震災では、発災直後に火災が発生し、百三十四カ所で出火、四十六時間にわたって延焼が続いたと記録されています。火災による死者数は九万人を超え、百カ所以上で炎の竜巻である火災旋風が発生し、本所被服廠跡一カ所で三万八千人が亡くなったとされています。
 「三陸海岸大津波」などの著書で知られる荒川区出身の作家、故吉村昭氏は、その著書「関東大震災」で、火災旋風の筆舌に尽くしがたい様子を記しています。八十八年前とは、不燃化や消防力が格段に進む一方、高層建築物が建ち並ぶ都心では、都市型風害という新たな対処すべき課題も出ています。火災旋風のメカニズムを研究し、火災の怖さ、この教訓を生かさなければなりません。
 都は、高度防災都市づくりを目指し、延焼遮断帯の整備や建築物の不燃化、難燃化、住宅、マンションの耐震化を進めてきました。とりわけ、地域危険度の高い荒川、隅田川沿いの下町地域、荒川区を初め足立区南部、台東区東部、葛飾区西部、墨田区、江東区北部などにおける木造密集地域では、旧耐震基準の木造家屋の耐震化、建てかえに区と連携して取り組んでいます。
 しかし、居住者の高齢化や敷地の狭さ、狭隘道路の存在などを理由に、遅々として進んでいないのが現状です。
 知事は所信表明演説で、木密地域不燃化十年プロジェクトを実施し、これまでの取り組みを加速させると決意を述べられました。これまで進んでこなかった課題をいかに克服し、木造密集地域の不燃化促進に取り組んでいくのか、都の考えを伺います。
 先月末に発生した台風十二号は、気象庁のスーパーコンピューターでも読み切れなかったスピードの遅さで日本列島を縦断し、死者、行方不明者九十人を超える平成最悪の被害をもたらし、激甚災害に指定されました。和歌山、奈良両県の死者、行方不明者のうち約半数が、避難指示、避難勧告が出なかった地域の住人だったことも明らかになり、警戒避難体制の重要性が改めてわかりました。
 都は、区部五百九十二カ所、多摩二千七百四十一カ所、島しょ部三百八十五カ所を土砂災害危険箇所として公表していますが、法的な位置づけはありません。このため、平成十三年四月に施行された土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定をするべく、現在、危険箇所の多い西多摩地区から基礎調査を実施していると聞いております。
 山間部ではない都心部では、二十三区のうち、六つの区を除く十七区で危険箇所が抽出されています。しかし、土砂災害に対する意識は希薄であり、区市町村が作成するハザードマップにこれらの危険箇所を反映しているのは、新宿区と台東区など、わずかな区に限られているのが現状です。
 けさの読売新聞でも、警戒区域指定の低い実態が報じられました。今なお余震が続く中、地盤が緩んだ上に台風やゲリラ豪雨なども予想される中、一瞬で人の命を奪う土砂災害に対して、区市町村との連携の視点に立ち、土砂災害警戒区域の指定などソフト対策をどのように進めるのか伺います。
 最後に、中小企業支援について伺います。
 ことし上半期の直木賞受賞作品である「下町ロケット」、大田区のまち工場が取得した最先端特許をめぐる理不尽な訴訟に対して、中小企業が意地とプライドで立ち向かうという感動的な小説でありますが、改めて、知的財産保護の重要性を認識させられました。
 海外数カ国で特許を取得している地元の企業経営者に話を伺ったところ、中国、韓国で自社の製品を模倣され、アメリカでも類似品への対応を検討しているが、訴訟の前の仮調査だけでも一万ドルのコストがかかり、裁判となると、二年間で一億円はかかるだろうといわれ、苦悩されていました。
 生き残りをかけ、多くの企業が製品開発力や技術力にも磨きをかけて、国内外のマーケットでの競争力強化に力を注ぐ一方で、自社の製品や技術力が模倣されて、瞬く間に市場での競争力を失ってしまう例は後を絶ちません。研究開発の成果などを特許などの知的財産として確実に保護していくことが必要です。
 しかし、特許を取得するには、出願、審査請求、登録、維持にコストがかかり、海外で出願する場合には、限られた期間内に各国の言語への翻訳も必要であり、中小企業の負担は小さくありません。加えて、訴訟ともなれば、莫大なコストで経営基盤を揺るがしかねません。それ以前に、特許出願のノウハウがわからなくて対応できていない企業もあります。
 都は、知的財産の保護に向けて、中小企業がノウハウ、知識を習得するとともに、コスト負担の軽減を図るべきだと考えますが、所見を伺います。
 知人の弁理士の話では、中国、韓国、ベトナム、インドなどアジア市場で特許出願するケースがふえているが、欧米と比べて、アジアにおける独特の商慣習や特許侵害への対応が難しく、逆に訴えられるケースもあり、情報を取得しにくい現状があるとのことでした。海外に活路を見出す中小企業にとって、特許取得と同時に販路開拓が重要で、そのためには、現地の事情や各種手続などに精通した専門家による支援が不可欠です。
 都はこれまで、海外展示会出展への助成や、ベトナム、中国、インドネシア向けの販路開拓セミナーを実施するなど、海外販路拡大へのサポートをしてきましたが、商社OBの海外販路ナビゲーターによるきめ細かな支援のさらなる強化、拡充を図り、中小企業の海外展開を後押ししていくことが必要だと考えます。都の見解を伺います。
 昨年夏から進んだ円高は、極めて深刻な状況です。中小企業は、経営のあり方を抜本的に見直し、業績改善を目指すことが不可避の段階にあり、専門家の継続的な助言を求める声も聞きます。
 歴史的な円高に直面する中小企業をどのように支援をしていくのか見解を伺い、私の質問を終えます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) たきぐち学議員の一般質問にお答えいたします。
 観光振興についてでありますが、文明が成熟し、人々の欲求が高まるにつれ、異なる文化や社会との交流、遠方への移動が活発化するのは必然的な流れでありまして、観光は、今世紀大きな成長が確実であります。
 東京は、豊穣な歴史と文化の堆積、多彩な食、正確な鉄道など、世界を引きつける魅力にあふれております。さらに、江戸しぐさという他人を思いやる伝統も残っておりまして、自動販売機がまち中に多数置かれていることに表象される良好な治安など、たぐいまれなる都市であると思います。
 都は、観光を重要な産業と位置づけておりまして、国に先駆けて、その振興に力を入れてきました。これまでの積極的な取り組みによって、東京を訪れる外国人旅行者は着実に増加して、昨年は六百万人に近づきましたが、しかしながら、東日本大震災後の外国人旅行者は大きく落ち込んでおります。
 そこでまず、正確な情報を繰り返し発信し、東京の姿を正しく知ってもらうためにも、海外の旅行事業者を東京に招いて、東京の安全性をみずからの目で確かめてもらうことが必要だと思います。
 私自身も、既に四十の国と地域の五千に上る旅行関係者に対して、東京が既に日常を取り戻していること、そして旅行者を歓迎していることを直接訴えてまいりましたが、やはり世界を駆けめぐっているこのあしき風評というものが、大きなマイナスになっておると思います。
 あわせて、観光は都市の活力の源泉であるとの認識に立ちまして、新たな観光資源を開発するとともに、世界に誇る東京の魅力を十分に生かしたシティーセールスを展開するなど、今後とも観光振興に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 区市町村との連携の視点に立った土砂災害に対するソフト対策についてでございますが、都はこれまで、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域などを、危険箇所が多い西多摩地域から順次指定しており、平成二十二年度末までに二千六百九十一カ所を指定しております。
 この指定に伴い、区市町村には土砂災害ハザードマップの作成や災害時における要援護者施設利用者への情報提供などが義務づけられることから、地域の警戒避難体制の整備が着実に促進されることとなります。
 また、区部では、危険箇所のうち、対策のとられていない自然斜面百七十五カ所について、がけの表面や湧水の状況など、経年変化の調査を今年度実施いたします。
 この調査結果に基づき、当該箇所の危険の度合いを区と共有することによりまして、区の施策を促し、住民の安全な避難行動につなげてまいります。
 今後とも、身近な行政を担う区市町村と連携し、安全・安心な都市東京の実現を目指してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、アジアからの旅行者の誘致についてでありますが、アジア諸国では、旅行目的地としての東京の認知度が既に高いことから、旅行者や旅行事業者への直接的な働きかけが有効であります。このため、各国の旅行市場の動向に合わせまして、旅行博覧会への出展や商談訪問などを実施してまいりました。
 加えて、訪日旅行者が大幅に減少いたしました震災以降は、現地のメディアを活用して、東京の正確な情報発信や旅行意欲の喚起などを図るとともに、現地の旅行事業者を東京に招聘するなど、商品造成や販売につながる取り組みを強化しております。
 引き続き、各国の市場動向などを踏まえつつ、アジアでのさらなる旅行者誘致を進めてまいります。
 次に、東京観光レップについてでありますが、都では、東京の観光情報が不足しており、また現地の旅行動向が入手しにくい北米、欧州及び豪州地域の十の都市に東京観光レップを設置しております。レップは、各都市でのニーズの収集を行い、これにこたえる東京の情報を現地旅行事業者に提供するセールス活動を実施しております。こうした活動を通じ、東京向け旅行商品の造成が促進されるなど成果を上げております。
 今後とも、東京観光レップを活用して、さらなる旅行者誘致を図ってまいります。
 次に、外国人旅行者の受け入れ体制の整備についてでありますが、都や区市町村、民間事業者などがそれぞれの役割を分担しながら、連携して取り組みを進めております。
 都では、三カ所の観光情報センターや、区市町村、宿泊施設等の窓口を活用した観光案内窓口を開設しており、都内のハンディガイドやハンディマップなどを無料で配布しております。
 また、多言語による歩行者用観光案内標識を都内約八百カ所に設置しているほか、観光ボランティアによるガイドサービスつきツアーを実施するなど、広域的な観点から、外国人旅行者の利便性や満足度の向上を図っております。
 今後も、引き続きこうした取り組みを推進し、外国人旅行者の受け入れ体制のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、中小企業の知的財産の保護についてであります。
 中小企業がすぐれた技術力を生かし、市場での競争力を維持するためには、知的財産の保護を確実に行うことが必要であります。
 都では、平成十五年に知的財産総合センターを設けまして、中小企業向けに知的財産に関する相談やセミナーを行い、特許の取得に必要な知識などを提供しております。
 また、中小企業の特許出願の負担を軽くするため、出願費用の一部を助成したり、知的財産の侵害の状況を調査する経費の助成を行うなどの支援を実施しております。
 こうした取り組みを通じまして、中小企業の知的財産の保護を着実にサポートしてまいります。
 次に、海外販路開拓の支援についてでありますが、アジア市場は今後とも大きな成長が見込まれることから、都は、商取引のニーズの高い分野の海外販路ナビゲーターを増員いたしまして、現地のビジネスデスクからの情報も活用しながら、中小企業の販路開拓の相談に応じるとともに、海外展示会に出展する機会の確保にも取り組んでおります。
 こうした施策を通じ、中小企業の海外販路の開拓を支援してまいります。
 最後に、中小企業の経営見直しへの支援についてでありますが、円高によります深刻な経営への影響を乗り越えるため、経営のあり方を根本的に見直す中小企業をサポートすることは重要と考えております。
 都は、既に今年度より、円高対応・企業変革アシストプログラムを開始いたしまして、中小企業に経営の専門家を派遣してアドバイスを行うなどの支援を進めております。
 具体的には、資金繰りの改善や販路の開拓などの課題を明らかにした上で、その計画的な解決を図るプランや対応策をつくり、企業経営の見直しをサポートしております。
 こうした取り組みを着実に実施することで、現在、円高で厳しい経営環境に直面している中小企業を支援してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田及び成田の両空港の航空戦略でございますが、昨年、国際定期便が就航した羽田空港では、年間発着枠が平成二十五年度に現在より昼間三万回増加し、九万回となります。
 これにより、深夜早朝枠に限定されていた欧州便が昼間の時間帯にも可能になるなど、都心に至近で二十四時間利用可能な羽田空港の機能が高まってまいります。
 一方、成田空港では、現在の二十二万回の発着枠を三十万回までふやすことで地元合意が整っており、従来からの国際ハブ空港としての機能がさらに強化されます。
 このような羽田と成田の両空港のそれぞれの特徴を生かし、一体的な運用を図ることにより、首都圏の国際ハブ空港としての機能を高めていくことができます。
 今後も、国際競争力の向上に向け、首都圏空港の一層の機能強化を国に求めてまいります。
 次に、航空政策基本方針でございますが、この方針は、羽田空港の国際化や横田飛行場の民間航空利用など、首都圏の空港機能の充実に向けて、都が取り組む施策をまとめたものでございます。
 都では、世界の航空需要を踏まえ、昨年度、首都圏におけるビジネス航空の受入れ体制強化に向けた取組方針を策定し、この分野に関して航空政策基本方針を補完いたしました。
 今後も、都として対応が必要な諸課題について、適宜こうした取り組みを進めてまいります。
 次に、木造住宅密集地域の不燃化でございますが、都はこれまで、区とともに木密地域の改善に取り組んでまいりましたが、居住者の移転先の確保が困難なこと、敷地が狭小であることなどの課題があり、なかなか改善が進んでまいりませんでした。
 このため、十年プロジェクトでは、まず、木密地域に住む人々が、我が身に迫る危険性をみずからの問題として認識する必要があることから、防災の専門家による講演会などを開催し、住民の意識啓発に取り組んでまいります。
 また、延焼遮断帯となる道路の整備と建物の不燃化を一体的に進めていくことが重要との考えのもとで、建物の不燃化に有効な、条例に基づく防火規制の区域拡大を図るとともに、都有地等を活用した効果的な生活再建支援など、新たな誘導策の検討を進めてまいります。
 これらを地域の実情に応じて組み合わせ、地元区と連携しながら積極的に実施することにより、木密地域の改善に取り組んでまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) スポーツツーリズムについてでございますが、議員お話しのような国際的なスポーツイベント等の開催は、東京の魅力を国内外に発信する好機でございまして、オリンピック・パラリンピック招致などのスポーツ振興に当たり、観光振興の視点は極めて重要であると認識しております。
 一方、観光庁が本年六月に発表した基本方針においては、オールジャパンのスポーツツーリズム連携組織を今後創設し、地域における国際競技大会の招致開催など、さまざまな取り組みを支援することとしております。
 都としても、東京マラソンや東京大マラソン祭りなどで培ったノウハウを生かしまして、庁内各局はもとより、スポーツ団体や地域の観光協会、企業などとの連携を深めながら、観光や文化、産業など幅広い視点を持って、さらなるスポーツ振興に取り組んでまいります。

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