平成二十三年東京都議会会議録第十三号

〇副議長(鈴木貫太郎君) 五十三番神野吉弘君。
   〔五十三番神野吉弘君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇五十三番(神野吉弘君) 三月十一日の東日本大震災では、津波災害や原発事故の対応をめぐって、想定外との言葉が繰り返されました。地震の規模も想定外、原発事故も想定外。しかし、想定外の出来事が起きることを想定して対策を練るのが本来の政治の仕事であります。都は現在、この東日本大震災を受けて、東京の新しい震災対策を検討中でありますが、想定外が生じないよう、可能な限りの想像力を働かせていただきたいわけであります。
 実は、我が国では、戦後一切想定をしてこなかった大きな危機があります。それは外国からの軍事攻撃です。政府は戦争の悲惨さを強調してきた割には、外国から再び軍事攻撃を受けたとき、国民をどう守るのかといった課題には、戦後一貫して見て見ぬふりを決め込んできました。
 そんな政府が、ようやく重い腰を上げて平成十六年に制定したのが、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、つまり国民保護法であり、都はそれを受けて、平成十八年三月に、武力攻撃事態や大規模テロ等から都民の生命、財産を保護し、都民生活への影響を最小とするための東京都国民保護計画の策定をしたわけです。
 危機管理の常識、それは国民に対する最大の危機を想定した上で、それよりも小さな危機に対処することです。つまり、大きな危機の想定なきところに小さな危機の克服もない。いいかえれば、国防体制が明確になっていない国家においては、災害等の非軍事的な危機にも対応できないということであります。それは、あの阪神・淡路大震災、今回の東日本大震災における政府の対応を見ても明らかであります。
 軍事について語れば、右翼だとのレッテルを張られる戦後の時代でありますが、あえて東京の防災対策を考えるに当たって、外国からの軍事攻撃に対処する東京都国民保護計画を再点検することは意義あることと考え、以下の質問をさせていただきます。
 都は、東京都国民保護計画の中で、本計画の具体的な運用のために必要なマニュアルや基準、体制、関係機関との協定等を速やかに整備するとうたっているわけですが、これまでの取り組みと国際情勢の変化に伴う今後の見直し等、方向性を伺います。
 私は、東京に対して武力攻撃をしかける可能性が最も高いのは北朝鮮だと考えます。金正日が再び南への侵攻を決断するときは、必ずコミットしてくるアメリカ軍の戦闘能力をそぐため、まず最初に物資の補給基地となる日本に攻撃をしかけ、これを無力化する。この朝鮮戦争の教訓に金正日が忠実に従うと思っているからです。これまでも北朝鮮は、彼らがいうところの人工衛星を発射し、日本列島を飛び越えさせてきました。当然、ミサイルを東京に着弾させることも可能なはずです。その弾頭に核が積まれていれば、東京は一瞬にして壊滅です。
 核攻撃を受けた際、本計画によれば、熱風等による直接の被害を受ける地域の都民を近くの堅牢な建物、地下施設へと避難をさせ、一定時間経過後、放射線の影響を受けない安全な地域にさらに避難をさせるとあります。また、直接の被害は受けないけれども、放射線の被害を受けるおそれがある地域については、放射線の影響を受けない安全な地域へと避難を呼びかけるとあります。
 しかし、大気中の放射線量がどの程度になれば表に出て避難できるのかが明確に書いてありません。放射線の影響を受けない安全な地域の放射線量の目安はどれぐらいなのか、放射線量を計測する体制の整備を含め、核攻撃に対する都の体制を伺います。
 今回の質問をするに当たって、スイス政府発行の「民間防衛」という冊子を参考にいたしました。スイスでは、全国民にこの冊子が配布され、外国からの軍事攻撃への対処法を教育しています。この「民間防衛」には、核攻撃を受けたときの放射線量の半減期の目安、その放射線量の人体への影響が政府見解として盛り込まれ、国民の共通認識となっています。
 福島原発事故でも明らかになったように、我が国は放射能被害について、国家としての対策をこれまで何も講じてきませんでした。これは、我が国が再び外国から核攻撃を受けることを全く想定していなかった証拠であります。
 スイスを初め、どの国でも核攻撃に対処するため、放射能被害の研究を行っています。それに比べ我が国は、唯一の被爆国であるということを強調しさえすれば、世界は同情して核を落とさないと考えていたんです。お涙ちょうだいは冷徹な国際社会では通じません。被爆国だからこそ、国民を二度とあの悲劇に遭わさないよう守るべきでした。
 東京には、地下街、地下鉄、さらには地下の高速道路を初めとして、数多くの地下施設があります。本計画でも、熱風を防ぐため地下施設への避難を呼びかけています。それは正解なんですが、直接の熱風は防げても、降下する大量の放射線がその地下施設に侵入することを妨げなければ、施設内に避難をした都民は全滅です。
 また、ミサイルの弾頭にサリンなどの化学兵器や生物兵器が積まれていた場合でも結果は同じ。施設の入り口を封鎖する分厚いコンクリートの扉を設け、放射能を通さない空気清浄機を設備しなければ都民の命を守ることはできません。つまり、核シェルターとしての機能を備えた地下施設をつくらなければならないんです。
 財団法人日本核シェルター協会の資料によれば、スイス、スウェーデンの核シェルターの普及率は一〇〇%であるのに比べ、日本のそれは〇・〇二%。スイス、スウェーデンは、ほぼ全国民が核攻撃から身を守る体制ができ上がっているにもかかわらず、日本ではこれまで考慮された形跡が全くありません。
 また、本計画では有事の際の司令基地は都の防災センターとなっています。しかし、核攻撃を受けた際、放射能は空から降ってきます。ビルの上に行けば行くほど危険度は高いわけです。避難施設にも、そして司令基地にも核に対する防御機能を検討すべきであります。核の恫喝に屈しない東京をつくるべきです。
 生命尊重を声高に叫び続けてきた日本の戦後政治は、実は国民の命を守ることには極めて冷淡でした。繰り返しになりますが、最大の危機である外国からの軍事攻撃に対処する体制を整えてこそ、非軍事的危機である自然災害から国民、都民を守ることができます。
 その意味で、東京都国民保護計画を絵にかいたもちにせず、国任せにせず、不断の見直しを行っていくべきと考えますが、都の決意を伺って、次の質問に移ります。
 東京都における外国人登録者数は、平成十八年、三十六万五千人だったものが、平成二十二年には四十一万八千人、毎年大きな伸びを記録しています。国策としての移民政策をとっているわけではないのに、なし崩し的に外国人の数が伸びています。このペースで進めば、近い将来、この外国人問題が東京の大きな不安定要因になるとの問題意識から、都の外国人政策について幾つかの質問をさせていただきます。
 都の進める人権施策の中の人権課題には外国人が挙げられ、差別はいけないと強調しています。外国人に対する我々日本人の偏見、外国人との理由だけで賃貸住宅への入居が拒否をされるなどの差別が大きな問題だとの認識が示され、宅建業者に対して、賃貸住宅への入居時に使用する申込書には国籍欄を設けてはいけないとの行政指導もなされています。
 しかし、文化も習慣も違う外国人が入居することで起きる将来のトラブルを心配して入居をちゅうちょする大家さんの警戒心は、果たして悪なんでしょうか。実際、現場では、ごみ出しのルールを守らなかったり、近所づき合いの行き違いが大きな問題となるケースも聞こえてきます。
 賃貸業の事業者である大家さんにとって、入居希望者の個人情報は、事業リスクを軽減するための重要な判断です。日本人なのか外国人なのかも当然その一つ。外国人であるという事実は、賃借人としての将来のさまざまな事業リスクを考えれば、決してプラスではありません。その事業にかかわる情報さえ、外国人への差別だ人権だといって開示させないならば、日本人にはリスク判断の権利さえ認めないことになります。国籍欄のない申込書を使用させている理由について伺います。
 都が発行する「みんなの人権」という冊子では、言語、文化、宗教、生活習慣の違いや、これらに対する無理解から外国人に対する差別や偏見が見られるとしています。
 しかし、最近の風潮を見ますと、外国人の人権だけが声高に叫ばれ、我々日本人の人権はどうなっているのかと思わざるを得ません。ここは日本です。外国人であっても、日本にいる以上、日本の文化や習慣、社会のルールを尊重するのは当然ではないでしょうか。都が目指す真の国際化のためには、外国人だけでなく、我々日本人の人権も尊重するというバランス感覚が必要と思いますが、見解を伺います。
 先般視察に行ったある中学校夜間学級では、五十人の生徒のうち三十一人が中国人。それこそ、あいうえおの読み書きから教師に丁寧に指導を受けていました。現場を見て、これほどたくさんの日本語が全くわからない中国人が東京で生活していることに衝撃を受けました。校長先生のお話では、夜間学級に来ることができる中国人は恵まれている方で、現実にはもっと多くの日本語が全くわからない中国人が存在しているとの事実にさらに大きな驚きを感じました。
 ヨーロッパにおける移民問題の発端は、多くの移民が移民先の国の文化や習慣を十分に理解せず、自分たちだけの排他的なコミュニティをつくり、移民先の国民との衝突を繰り返したことにあり、結果として大きな混乱が生まれました。その火種が既にこの東京にもくすぶり始めています。
 日本においては、移民政策の議論はなされていません。移民に対する具体的な対策は一切検討されていません。しかし、さまざまな制度を利用して、今、東京に大量の中国人が入り込んでいます。しかも、我々都民の認識もない中で。東京の将来の治安に対する危機管理上、看過できない深刻な事態と受けとめています。友好や親善といったきれいごとでは済まされない現場がこの東京には存在しています。
 都の人権教育における外国人問題では、日本の子どもたちに外国の文化、習慣を学ばせ、親しませるとともに、正しい知識を身につけさせる、外国人への偏見、差別をなくすとあります。しかし、中国人を初めとする言葉もわからない外国人の急増を受けて、これから必要となるのは、逆に外国人児童生徒の方に日本の文化、習慣を学ばせ、日本社会に適応させるプログラムではないでしょうか。
 反日教育を受けた中国人の中には、日本人に対する敵対心をむき出しにする者も多いと聞きます。そんな嫌いな日本になぜやってくるのかとも思いますが、言葉も文化、習慣もわからずやってきた日本で疎外感を持った中国人が、彼らだけの社会をこの東京につくるのは大きな脅威です。外国人の人権をおもんぱかる前に、日本人の安全と人権を守ることを念頭に置いた教育施策を講ずるべきです。
 外国人児童生徒に日本の文化、習慣を教え、日本社会への適応を促す指導を行い、日本を好きになる、日本に来てよかったと思えるようにすることが大切です。
 今後、一層増加していく外国人児童生徒を日本の学校生活や社会生活に適応させるよう、都教育委員会はどのような取り組みを行っているのか伺います。
 これまでの東京の外国人問題が大きくさま変わりしつつあります。言葉も文化、習慣も理解しない中国人の急増を受けて、今後、外国人との共生をどうするのか、知事の所見を伺って質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 神野吉弘議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、シナ人の急増を受けての外国人問題ですが、私が中国人のことをシナ人というと、日本人の中で非難する人がいる。これ、おかしな話なんですよ。なぜ日本人がシナをシナといっちゃいけないんですか。これ、孫文がつくった言葉ですよ。しかも、英語ではチャイナ、チャイニーズ、フランス語ではシーヌ、シノワ、スペイン語ではチーヌ、チノでしょう。何でシナ人のことを中国人といわなきゃ──これはとっても奇異な、中国人が、シナ人がこれを好まないというのも、逆に日本に対する差別じゃないんでしょうかね。中国というのは、私にいわせると広島県と岡山県のことですよ。
 いずれにしろ、アクセスが飛行機を含めて非常に発達しまして、世界が時間的、空間的に狭小となって、かつ現代文明の所産としてIT技術が進んで情報がはんらんしますと、非常に逆境にある後進国の人たちも、途上国の人たちも、情報だけは得て、自分たちの生活とかなり格差のある先進国にあこがれを感じる、これはしようがないと思います。
 しかも、それを保障するアクセスというのが非常に簡単になって、船の速度も速くなりましたから、これはやっぱりかつてなく人の往来が激しくなって、新しい国、新しい社会でチャンスや可能性を求めて人の流れが激しくなるということは必然だと思います。
 日本、とりわけ東京にも世界じゅうから多くの人たちが集まってきていますが、その中には好ましからざる人が多いのも確かであります。かつては、この都庁の展望台がただなものですから、たくさんのお客が来る中に、中国人、シナ人がいましたが、あの人たちは平気でそこへつばを吐くけど、これは衛視が注意して、彼らは最低そのマナーだけは守るようになりましたけれども、いずれにしろ、これは清潔を好む日本人にとっては迷惑千万な話でありました。
 私が非常に印象的でショックを受けましたのは、大分以前でありますけど、知事になりまして、池袋にありますシナ人まちを視察いたしました。いろんな彼らしか食べない食べ物もありましたが、中に多種類の新聞が出ておりました。中には部数が数万、十万近いものも二種類ぐらいありましたけれども、手にとってみましたら、まあ彼らは漢字を壊しておりますけど、しかし、日本人にも通じる漢字もありまして、私が広告欄を見ましたら、そこに探偵募集という大きな広告があった。これは一体何ですかと聞いたら、日本に日本語を習いに来ているシナ人の学生たちがアルバイトを欲しているんで、それを提供する広告だと。
 日本語のわからない日本語を勉強しているシナ人の若者が探偵の捜査という仕事をどうやってするのかなといったら、いや、実はそれは違います、これは泥棒の見張りですということでありました。その日当は、一晩、一、二万円、彼らにとってみるとかなりの額です。重機を使って高級な、要するに装飾品なり宝石類を置いてある店にとにかく強引に入って物を争奪する、そして香港にあるマーケットにこれをかける、その作業の見張りはその数倍するそうでありますが、これは決して日本にとって好ましいものではない。
 それから、なぜかその情報は封じられているようでありますけれども、放射線のおかげで退去を余儀なくされた、まさにゴーストタウンになった、あのまちに空き巣で入っているのは、組織的な中国人だと。しかも、中には津波にやられた部分もありまして、死体が放置されている、警察の手もまだ届かないうちにそこに行って、その死体のしている指輪を指を切り落として持っていく、こういう所業というのは、ちょっと日本人にはできませんな。
 こういった事実がある一方、しかし、彼らはまた日本にやってきて日本の文化、文明というものを享受すれば、やはり本質的な自分の祖国と日本との格差を感じて、本当の自由というものが何かということを感じ取るでありましょう。
 専門家に聞きますと、日本からシナに帰った、本土に帰ったかつての留学生を、シナの当局は非常に厳しく管理し、尋問し、場合によっては拘束するという事態もあるようでありますが、いずれにしろ、シナ人も含めて日本にやってくる、もっとほかの人種もありますけれども、覚せい剤の販路とかその他の手助けをして、日本の安全とか治安が脅かされ、国民もスポイルされるということは、これは許されるべきじゃありませんし、これまでも不法滞在者の取り締まりなどを徹底して行ってもきましたが、そういう意味でも、人手不足の入管にも、かつては職員を数十人派遣して手伝いもさせました。
 ご質問にあるシナ人についても、本国ではいわゆる反日教育を受けた人もたくさんいるようであります。
 いずれにしろ、こういったものを本質的に防ぐ、全面的に防ぐことはできないわけで、ヨーロッパは、また彼らがかざしているキリスト教なり、その辺の宗教というものは、友愛を説き、愛情を説き、友情を説いているならば、やってくる善良な移民を受け入れざるを得ない。その数がふえると、こうやって摩擦が起きて、この間も大変な問題が起こっていますが、いずれにしろ、私たちも、要するに善良な友人を受け入れるために、やはりきちっとした条件をつけて、社会のルールというものを守ってくれなければ、これは日本そのものが毀損されるわけであります。
 いずれにしろ、ことしに入って、アフリカや中東で相次いで独裁体制が崩壊しておりますが、こういった事態が中国で起こるかもしれない、起こらないかもしれない。私は、中国に政治的に激変が起きるとすると、これは農民に力がありませんから、やっぱり中産階級と、ある情報を持った若い人たち、特に学生たちが社会を大きく変える機動力になると思っています。また、そう期待もしております。
 私は、やっぱり、中国と敵対するんじゃなしに、かつてはいろんな文化を享受した相手でもありますし、そういう意味で、彼らが社会を開いた形で繁栄していくことを望まざるを得ないと思います。
 そして、もう一つ、恐らく総務局長の返事があると思いますが、東京の防衛に対しては、決して無防備ではありません。ある時期に、ご存じの方も多いと思いますけど、自衛隊から相談されて、私は、もっと目につくところに置けといったんだ。できれば皇居の前に置きなさいと。日本はどこが攻めてくるかわからない。そのミサイルというのは、地対空ミサイルを配備している。東京にも数基置いております。
 それは皆さん、考えてみてください。北朝鮮とか、中国とか、シナとか、ロシアとかね、三つとも核を保有し、ミサイルを持っている国。しかも、北朝鮮は日本から、状況証拠からいったら百人を超す同胞を拉致していて殺した。
 中国は、わけのわからぬ主張で日本の領土を侵犯しようとして、事件を起こしている。領海は侵犯される、無断で日本の島と島の国境、海峡を潜水艦が通過して、日本の政府はこれに対して手も出せない。
 一方、ロシアは、敗戦後のどさくさに乗じて、日本の北方四島をかすめ取って、いまだに返さない。こういった国が国境を接して三つも取り囲んであるシチュエーションの国家というのは、世界で今日本しかないですよ。
 私たちは、それを踏まえてこの国の防衛ということを真剣に考えないと、これはいつ、何がどんなふうに起こるかわからない。
 蛇足になるかもしれませんけど、総務局長の答弁も重なるかもしれませんが、以上申し上げます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 外国人児童生徒に対する教育についてお答え申し上げます。
 外国人児童生徒が日本の社会に適応できるようにするためには、学校において、日本語の習得や日本文化の理解などに取り組ませることが重要でございます。
 このため、都教育委員会では、外国人児童生徒が日本語を学ぶためのテキスト「たのしいがっこう」を平成五年以降作成、配布するとともに、今年度、教員向けの指導資料であります日本語指導ハンドブックを都内の全公立小中学校等に配布いたしました。これらを活用した日本語指導を通して、あいさつなどの基本的な生活習慣を身につけさせ、日本固有の文化を理解させております。
 今後とも、こうした教材等の活用を促進し、外国人児童生徒が学校生活や社会生活に適応する力をはぐくむ指導を一層充実してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京都国民保護計画の取り組み状況についてでございますが、国民保護法は、外国からの武力攻撃や大規模テロ等から国民の生命、財産を保護することを目的として制定されたものであり、緊急通報の発令、住民への避難指示、救援、救護などについて、国、都道府県、区市町村が行うべき基本的な事項を定めております。
 同法に基づき策定いたしました東京都国民保護計画は、世界の首都や大都市で大規模なテロが多く発生している状況を踏まえ、大規模テロ等への対処を重視した計画としてつくられております。
 都は、この本計画に基づきまして、これまでに核や生物化学兵器を用いたテロに対するマニュアルを整備した上で、毎年、大規模テロ等を想定した訓練を実施しております。また、警視庁、事業者等との連絡会議や区市町村向けの危機管理研修の実施などにより、企業を初めさまざまな関係機関との連携を図っております。
 こうした取り組みの検証を踏まえ、今後、必要に応じてその内容を見直してまいります。
 次いで、核攻撃に対する都の体制でございますが、先ほど知事も申し上げましたとおり、東京には自衛隊の基地にそれに対するミサイルが配備されておるわけでございますが、核による武力攻撃の事態が見込まれる場合、都は、国からの指示に基づき、東京都国民保護対策本部を設置し、国や関係機関と連携して、国民を保護するための措置を講ずることとしております。
 具体的には、住民を地下施設や放射線の影響を受けない安全な地域に避難させるよう区市町村に指示するとともに、そのための移送手段の確保や、食料や物資の供給などの支援を行います。
 なお、核攻撃のような大規模な特殊な武力攻撃の事態が生じた場合の放射線量の計測等は、国民保護法により国が行うものとされております。
 次いで、国民保護の取り組みの推進についてでありますが、武力攻撃や大規模テロ等から都民を保護し、都民生活への影響が最小となるように努めることは都の重要な責務であります。
 このため、都は、先ほども申し上げましたが、核や生物化学兵器を用いたテロに対するマニュアルの整備や大規模テロ等の状況を想定した訓練の実施など、住民の避難、救済等の措置を迅速かつ的確に実施できるよう、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 本計画は、国の基本指針の変更や国際情勢の変化、訓練の成果等を踏まえ、不断の見直しを行うこととしております。今後とも、国や関係行政機関と連携し、国民保護の取り組みを着実に推進してまいります。
 最後に、外国人との共生についてでございますが、首都であり国際都市である東京には外国人が暮らしており、外国人登録者は本年七月現在、四十一万人を超えております。
 さまざまな国から東京に集まる人々は、多様な文化や価値観、ライフスタイルを持ち、この多様さが東京の伝統文化と相まって、自由で豊かな国際都市東京の魅力を醸し出し、活力を生み出しております。
 一方、国際化が進む中で、生活習慣の違いから、個々の主張が衝突するなどのトラブルも発生しております。
 こうした問題に対しては、これまで、東京都人権プラザなど都の人権相談機関や区市町村の生活相談の場で相談を受けるとともに、一方で、東京における社会生活のルールなどの啓発も行ってまいりました。
 今後とも、外国人と日本人がお互いを尊重し合いながら共生できる環境づくりに努めてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 賃貸住宅の契約申込書でございますが、民間賃貸住宅は、だれもが豊かに暮らすことができる社会を実現する上で大きな役割を担っております。都は、外国人についても入居の機会が制約されることのないよう、国籍欄のない契約申込書の指導をしてきております。
 一方、円満な賃貸借関係を維持するためには、居住者が生活マナーを守ることが不可欠であり、都は関係団体や区市町村と連携し、外国人に対しごみ出しなどの生活ルールを周知するなど、外国人の入居の円滑化を図っているところでございます。
 今後とも、入居機会の確保と円滑な賃貸借関係の両立に努めてまいります。

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