平成二十三年東京都議会会議録第十三号

   午後三時二十五分開議

〇議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十八番淺野克彦君。
   〔二十八番淺野克彦君登壇〕

〇二十八番(淺野克彦君) 石原知事は、著書「新・堕落論」の中で、天はみずから助くる者をのみ助くという人間社会の公理を、そろそろ我が身に当てはめて事を考える時期に来ているのではないかと述べられております。これは、日本の国防に関することでしたが、私は、この国のすべてのことについて同様に考える必要があると思っております。
 例えば福祉であります。近代国家において、福祉というものは成熟した国家のあかしともいえ、みずからに起因しないことで、つまり不運に見舞われた方々を制度によって救い、支えていくということは、すばらしいことだと思います。
 しかし、それは、国民がみずからの努力でどうすることもできない場合です。もちろん、大多数の国民は誠実にみずからの努力で生きておりますが、一方で、さまざまな制度を悪用するような方がいることも事実です。
 ただ、ここで、私がより問題に感じるのは、そのような制度を悪用するやからではありません。まじめに、そして誠実に暮らしてきながら、不運に見舞われ、福祉制度に助けられ、その制度なしでは生きられなくなってしまう、あるいは、利用していないまでも、安心を得るために何でもかんでも制度として用意させようとする、そのようなところに今のこの財政状況では遠くなく破綻してしまうというのは、知事も常日ごろおっしゃっているとおりだと思います。
 我が国の福祉政策は、そろそろ、助ける、救うというよりも、自立させるということをより強く発信していかなければならないのではないでしょうか。
 人は、基本的に怠け心があるものです。水が高きから低きに流れるがごとく、人の心も強い意思がなければ自然と楽な方に流れてしまいます。だからこそ、さまざまな制度で満足してもらうことよりも、自分の足で立って生きているという基本を重要視すべきだと考えます。
 そこで、これからの福祉政策は、自立を中心に据えて実施すべきだと考えますが、今後の社会保障制度のあり方について、知事の所見を伺います。
 自立という観点でさまざまな政策を見直していきますと、厳しいようですが、生活保護についてもしっかりと見ていかなくてはなりません。もちろん、この社会における最後のセーフティーネットであり、国の制度でもありますから、都で簡単にどうこうできることではありませんが、検証することは必要です。
 例えば、人間はそう簡単にリスクをとれないものです。就職を探すとしても、一度生活保護を受けてしまえば、自分が一〇〇%満足する就職先を探し続けてしまう場合もあるでしょう。これは、保護を受けていることが悪いとかそういう話ではなくて、制度として、自立してもらおうという観点が弱いように思うと、そういうふうに思います。
 ましてや、現在のような社会経済情勢の中ですと、失業を契機として生活保護を受給している人がふえております。就労可能な方には、できる限り早く生活保護からの自立を促していくことが必要だと考えます。都がどのように取り組んでいるのか伺います。
 また、さきにも申し上げたとおり、生活保護は最後のセーフティーネットです。だからこそ、生活支援という面が強く出てしまうのもわからなくはありません。であれば、生活保護を受ける前に、自立できるように手助けをする仕組み、生活支援より自立支援を強く意識したものが必要だと考えます。いわゆる第二のセーフティーネットのことです。
 都はこれまで、緊急対策とはいえ、そのような制度を全国に先んじて行っていたことについては評価をいたします。そのような取り組みもあり、国は、求職者支援法をこの十月から施行し、時限ではなく恒久的な制度としてスタートします。とはいえ、この制度がまだ十分なものとはいえません。特に、福祉とはいえ、自立を促す意識を持ち続けていかなくてはなりません。こうした制度がスタートすることでもあり、都は、生活保護に至る前の対策としてどのように取り組んでいるのか伺います。
 子育ては、日本の将来を担う人材を育成する最も重要な取り組みです。特に、脳や体、人格の基礎を形づくる幼少期は、子どもにとっても親にとっても大切な期間であります。
 しかし、その大切な時期の子どもたちを対象とする幼稚園、保育所の所管は、国においては文部科学省と厚生労働省に分かれております。都においても、教育庁、福祉保健局、生活文化局に分かれております。このことについて、幼保一体化の議論も十数年前からありますが、遅々として進んでいないように見えます。
 本来、幼稚園も保育所も、通うのは同年代の同様に大切な時期を過ごす子どもたちです。一体化の議論も、残念ながら時に制度論に終始し、幼少期の環境、教育がどうあれば子どもにとって、社会にとって、そして将来の日本にとってよいのかという根本的な問いかけをしているようには見えません。すぐに一体化すべきということをいうつもりはありませんが、少なくとも対象とされる子どもは一緒なのですから、情報の共有は図るべきだと考えます。
 そこで、子育て施策に関して、幼稚園、保育所を所管する局が分かれていたとしても、子育てに関する諸課題を共有し、積極的に情報交換をするなどの取り組みを都が先陣を切って進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、保育所を初めとする保育サービスは、保護者の社会生活や経済活動の多様化により、そのニーズが高まっていることは、保育所をふやしても待機児童がなかなか減少しないことからもわかります。したがって、これまで都が行ってきたように、さまざまな保育サービスの拡充を図ることは確かに重要であると思います。
 しかし、一方で、子育ては親育てといわれるように、子育てを通して親心がはぐくまれるという側面も忘れてはなりません。特に、昨今のように核家族化が進み、大都市にある地域コミュニティの希薄化も進めば、大人が幼少期の子どもに触れ合う機会そのものすら減ってきていると思われます。これはつまり、現在の社会では、保護者の養育力、もっと簡単にいえば親心をはぐくむ社会的な環境が悪化しているともいえるのではないでしょうか。
 そのような中で、保育サービスの拡充によって、親が一人前の親として成長するチャンスを奪うことになってはならないと考えます。我々政治家も、保育サービスの拡充を声高に叫ぶに当たって、子育て支援のみの視点に寄ってきてしまったのではないかと、自戒を込めて振り返るときに来ているのではないでしょうか。
 誤解のないように申し上げますが、保育サービスの拡充に反対しているわけではありません。子育て支援という視点のみで保育サービスの拡充が進めば、保護者の養育の責務が希薄化することも懸念されるということです。拡充するとしても、子育てが親育てであるならば、保育サービスは、子育ての支援であると同時に親育ての支援でもなければならないと申し上げたいと思います。
 そこで、保育所は、保育サービスを提供していくだけでなく、そこを利用する保護者の養育力を向上させる役割も果たすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 この国の先を憂う方々の話を聞けば、教育をよりよくしていくことが必要であることは異口同音に聞くことができます。国を構成しているのは、第一に国民であり、我々政治家、役所の方々、メディアに至るすべての方々、すべての国民の資質維持と向上が日本の未来を明るくしていくことに異論はないでしょう。
 それだけに、教育というのは重要なものであり、石原都知事も著書の中で、近代史、現代史を必修科目として教えることの必要性に触れ、歴史認識について、その時々の選択の是非については、それを教えられる者たちの判断、選択に任せたらいいと述べられております。私も全く同感でございます。
 ただ、歴史認識だけでなく、教育はある種の主観を押しつけるべきではありません。先入観や固定観念を持たせない教育が必要です。
 また、教科書選定についても、最近さまざまな話題となっております。新しいものを認めない、中身をちゃんと確認もせずに思い込みによる批判をしている姿を見ると、教育というものからほど遠い感覚を覚えてしまいます。
 ただ、私は、教科書や資料集、そういったものも重要だとは思いますが、教育にとって最も大切なのは人、つまり教員だと思います。なぜなら、教科書にどのようなことが書いてあったか、今ここで覚えている人はそんなに多くはないと思いますけれども、教師から授業中に教えられたことは今でも記憶に残っている人は少なくないと思うからです。であるなら、教科書選定以上の関心が教員の指導方法、あるいは教員の指導の方向性に向いていってもいいのではないでしょうか。
 これからの日本を支える人材を育てる場を担う教員には、価値判断や情報分析すらだれかに頼らなければ自信が持てないような人間ではなく、精神的に自立した大人になるための教育をしていただきたい。
 教科指導においても、教員は児童生徒に大きな影響を与えるのですから、従来の固定観念や先入観にとらわれない、そういった教育ができる教員の育成が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、医療について伺います。
 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターから、地方独法移行後、二度目の業務実績評価報告をさきに受けたところであります。その内容は、おおむね着実な業務の進捗状況にあると報告されております。
 この施設は、病院と研究所を統合し、研究成果を臨床においてすぐにフィードバックできるということも期待できます。また、独法化により運営面などでの自由度も上がったと思われます。
 この報告書では、年度計画の項目に関して実施状況を評価したものでした。ただ、評価書には、数値としてその成果が一目瞭然のものもあれば、そうでないものもあります。数値にはあらわれない独法化によるメリットを、都としてどのように認識しているのか伺います。
 さきの東日本大震災は、大津波などで甚大な被害を与えました。首都東京も、いつ直下型地震が来てもおかしくない状況であり、あの震災からたくさんのことを学び、生かしていかなければなりません。もちろん都は、そういった姿勢で防災計画の見直しなどを行っております。
 私も、被災地に派遣された医療関係者の話などを聞きました。災害発生当初は、緊急対応に追われ、派遣された医師が引き揚げるときには、引き継ぎというか患者情報の伝達を行っていきます。その派遣されたときから、自分の病院の書式で診療記録をとっていた医師団は、引き揚げるときに新たに診療記録をつくり直し、二度手間になったと伺いました。
 これは、だれが悪いということではなくて、今実際に起こったからこそわかることです。実際にカルテなどが統一書式でないことも、私は初めて知ったわけですから。
 そこで、将来に備え、発災時、日本じゅうどこの医師団が来られても同様の記録が残るような準備をしておくべきです。本来は、国あるいは日本医師会などが主導して全国レベルで行うことではありますが、それを待つまでもなく、まず都が検討する必要があると考えます。都の見解を伺います。
 九月十六日付の読売新聞に、光が丘にある四つの練馬区立小学校において、法で義務づけられている完了検査を受けていないことが報じられておりました。昨日も、そして本日も読売新聞紙上にはその記事が載っており、きのうは、別の小学校の増築工事においても完了検査済み証が発行されていないことが載っておりました。
 民間企業ならば罰則もある義務であり、公的機関が怠ることは許されるものではありません。この件につき、局に確認したところ、さきの四つの小学校については、平成二十年には都として把握していたとのことでした。
 また、さきの報道によれば、当の練馬区の担当者は、現在は調査をしている最中ということですが、当初は、他の小学校についても調査、確認を行わないと答えていました。この感覚が問題だと思います。
 もちろん、実際の小学校は、当時の資料を調査し、安全上問題ないことは確認済みであるようですが、手続上のこととはいえ、指導監督する立場でもあり、今さらという感もぬぐえません。
 ただ私は、ここでこのようなミスを殊さらに取り上げて責任追及するようなことがいいとは思っておりません。大切なのは分析と検証であり、人は完璧ではあり得ないのですから、同様の事案が発生しないように調査、確認を行って、将来につなげていくことこそが大切です。
 特に、こういったミスが起こり得る背景が、単なる人的なものなのか、制度上起こりやすいものなのかを分析することは、予防措置としても最も必要なことの一つであります。
 本来であれば、平成二十年の時点で、都内の全自治体に対し情報提供と確認を求めるべきでしたし、当初の把握から三年が経過をしておりますが、都は、今回の完了検査未実施の発覚を契機に、同様のことが発生していないかどうか、これまでの取り組みも踏まえて調査、確認を行うべきだと考えますが、今後の見通しについて伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 淺野克彦議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の社会保障制度は自立を中心に据えるべきとの指摘についてでありますが、これは、ここまで来てしまったこの国では、なかなか難しい政治命題だと思いますね。
 我が国は、世界にもまれな豊かで平等な社会を実現し、相対的に高い生活水準を維持しております。しかし、これは、あくまでアメリカ依存のあてがいぶちの平和の中で手にしたものにすぎないと私は思います。
 その結果、多くの国民は、みずから犠牲を払うことを嫌い、じだらくになって我欲に走るようになりました。東京にもその事例がありましたが、亡くなった、自分を産んでくれた親を三十年間も放置してミイラにして、その間、年金を詐取していたような、こういう人間は、世界じゅうどの国にもいないと思います。
 こうした今日の日本は、金銭が価値の第一となって、みずからが所属している国家や地域社会への帰属意識、責任感をなくして、立場や世代を超えて垂直に継承すべき価値の基軸すら失いつつあるような気がします。
 また、現在行われている高福祉低負担は、とても成り立ち得ないものにもかかわらず、これを保障するため、担保するための消費税を含めた増税の議論すらが忌み嫌われて行われない。政治もそれにこびて随従する。そして一方では、また行政への過剰な期待だけがかき立てられて、自助、共助、公助というバランスがすべてのことでないがしろにされていると思います。
 民族が既に失いつつある禁欲、自己犠牲、我慢、努力といった当然の価値観を取り戻すことは、今となってはなかなか難しいことと思いますが、ならばこそ、あるべき国家の姿を国民に改めて指し示し、冷静な認識のもとに社会保障のありようを形づくっていかなければならないと思います。
 福祉を含めた社会保障においても、自助、共助、公助の仕組みのもとで、だれもが自立して生活できる緊密でタイトな社会をつくらないと、我が国は、世界のだれもが経験したことのない超高齢社会を乗り越えることができずに、確実に衰退するという気がしてなりません。
 その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 教員の育成についてお答え申し上げます。
 学校教育においては、学習指導要領に基づき、発達段階に応じて基礎的、基本的な知識等を確実に習得させ、これらを活用して、みずから考え、主体的に判断し、さまざまな問題を解決する能力を育成することが重要でございます。
 こうした力を身につけることによって、児童生徒はみずからの個性や感性を高め、社会的に自立することが可能となります。
 都教育委員会では、このような教育を実現するために、教員に対し、経験年数や職層等に応じた研修を、講義や実習、ロールプレー等、さまざまな形態を取り入れて実施しているところでございます。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、被保護者への自立支援の取り組みについてでございますが、国は、法に基づきます最後のセーフティーネットであります生活保護制度を、経済的な給付にとどまらず、被保護者の自立を組織的に推進する制度に強化するため、平成十七年度に自立支援プログラムを導入いたしました。
 また、都では、各区市がこのプログラムを効果的に実施できますよう、モデルプログラムの提供や先駆的な取り組みの紹介など、積極的に支援を行っております。これに加えまして、都独自の被保護者自立促進事業によりまして、求職活動時に必要な経費の助成など、各区市が行います自立に向けたさまざまな取り組みを支援いたしております。
 また、東京労働局、東京都などで構成いたします協議会を通じまして、福祉事務所とハローワークとの連携による就労支援の一層の強化を図るなど、自立の促進に努めております。
 次に、生活保護に至らないための支援についてでございますが、都は、生活に困窮している都民が、みずから生活安定への道を切り開けますよう、平成二十年度から、区市町村等と連携をし、国に先んじて、生活、就労の支援などを行う緊急総合対策三カ年事業を実施してまいりました。
 また、これらの成果を踏まえまして、現在、相談窓口の設置など、区市町村による低所得者、離職者対策への支援や、住居喪失不安定就労者などの自立に向けた介護資格取得や住宅確保の支援などに取り組んでおります。
 国は、こうした都の取り組みを受けまして、平成二十一年度に住宅手当や職業訓練など第二のセーフティーネットを整備いたしましたが、この制度が真の自立促進につながりますよう、国に対し各種支援策の見直しについて提案要求を行っているところでございます。
 次に、子育て施策に係る所管局の連携についてでございますが、都は、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ、かつ育成される社会の形成を目指しまして、次世代育成支援東京都行動計画を策定し、福祉、保健、教育など、さまざまな分野にわたる施策を実施しております。
 この計画の着実な推進のため、庁内に子育て応援都市推進本部が設置されておりまして、子育て施策を所管いたします福祉保健局や生活文化局、教育庁などが、保育サービスや幼児教育の充実に向け、情報交換を通じて課題の共有を図り、施策に反映するなど連携に努めております。
 また、企業、関係団体、NPO等の参画を得まして、子育て応援とうきょう会議を設置いたしまして、幼稚園と保育所の合同研修など、都独自の取り組みも行っております。引き続き、子育て施策の充実に向けて、関係する機関相互の連携を進めてまいります。
 次に、保育所を利用する保護者の養育力の向上への支援についてでございますが、いうまでもなく子育ての第一義的な責任は保護者にございますが、同時に、次代を担う子どもたちを健やかに育てていくことは、社会全体の責務でもございます。
 こうした中で保育所は、適切な保育サービスを提供いたしますとともに、保護者の養育力の向上を支援する役割を担っており、現在、日常的なかかわりの中で、一人一人の保護者の状況を踏まえ、子育てに関する助言や相談を行っております。
 今後とも、都は、保育所がこうした役割を適切に果たすことができるよう、保育の実施主体である区市町村を支援してまいります。
 次に、健康長寿医療センターの地方独立行政法人化によるメリットについてでございますが、地方独立行政法人化により、健康長寿医療センターは、心臓外科や外来化学療法室の開設など、高齢者医療の新たな事業展開を図りますとともに、病院と研究所を一体化し、最新の研究知見を認知症診断に生かすなど、患者サービスの向上につながる取り組みを行っております。
 また、センターの常勤役員による常務会を中心といたしまして、自律的な意思決定を行える体制を整備し、収支状況や重要度を勘案して柔軟な予算執行を行いますとともに、必要な人材を確保するため、独自に専門資格手当制度を創設するなど、効率的かつ効果的な事業運営に取り組んでおります。
 最後に、災害用の診療記録についてでございますが、診療記録の記載事項や様式につきましては、医師法等により定められているものの、災害時に救護所等で使用する様式については、現在定められておりません。
 このため、今回の東日本大震災に伴う医療救護活動におきましては、地元医療機関の様式や医療救護班が持参したものなど複数の様式が存在したため、発災直後の混乱時には、記載事項の重複などが生じることもあったというふうに聞いております。
 今後、国に対して問題提起を行うとともに、都としても災害時の診療記録のあり方について、派遣した医療救護班や東京都医師会などの意見を聞きながら検討いたしまして、広く医療機関や他県に情報提供をしていきたいと考えております。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 完了検査未実施の建築物への対応でございますが、確認検査制度は建築主の申請を前提とする仕組みでございまして、検査済み証交付率が低迷していたことから、都は平成十一年に、建築規制の実効性を確保するため、建築物安全安心実施計画を策定いたしました。
 この計画に基づき、確認済み証の交付の際、建築主に完了検査の必要性を周知するとともに、住宅資金融資の際に、検査済み証の添付を条件とするよう金融機関に要請するなど、受検率の向上に取り組んでまいりました。
 その結果、平成十一年度には約四〇%であった検査済み証交付率は、二十年度に九〇%に上昇いたしました。
 今後とも、電子化した建築確認台帳を活用するなど、完了検査が適切に実施されるよう取り組んでまいります。
 また、既存建築物については、区市と連携し、定期報告や増築などの機会をとらえ、完了検査の実施状況を把握し、建築基準法令への適合性について確認することにより、建築物の安全確保に努めてまいります。

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